以下、本発明一実施形態について、図1〜図13に基づいて説明する。
図1には、一実施形態の露光装置100の構成が概略的に示されている。露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置、すなわちいわゆるスキャナである。後述するように本実施形態では、投影光学系PLが設けられており、以下においては、この投影光学系PLの光軸AXと平行な方向をZ軸方向、これに直交する面内でレチクルとウエハとが相対走査される方向をY軸方向、Z軸及びY軸に直交する方向をX軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。
露光装置100は、照明系10、該照明系10からの露光用照明光(以下、照明光、又は露光光と呼ぶ)ILにより照明されるレチクルRを保持するレチクルステージRST、レチクルRから射出された照明光ILをウエハW上に投射する投影光学系PLを含む投影ユニットPU、ウエハステージWST及び計測ステージMSTを有するステージ装置50、及びこれらの制御系等を含んでいる。ウエハステージWST上には、ウエハWが載置されている。
照明系10は、例えば特開2001−313250号公報(対応する米国特許出願公開第2003/0025890号明細書)などに開示されるように、光源と、オプティカルインテグレータ等を含む照度均一化光学系、レチクルブラインド等(いずれも不図示)を有する照明光学系とを含む。この照明系10は、レチクルブラインド(マスキングシステム)で規定されたレチクルR上のスリット状の照明領域IARを照明光(露光光)ILによりほぼ均一な照度で照明する。ここで、照明光ILとしては、一例としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)が用いられている。また、オプティカルインテグレータとしては、例えばフライアイレンズ、ロッドインテグレータ(内面反射型インテグレータ)あるいは回折光学素子などを用いることができる。
レチクルステージRST上には、回路パターンなどがそのパターン面(図1における下面)に形成されたレチクルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、例えばリニアモータ等を含むレチクルステージ駆動系11(図1では不図示、図6参照)によって、XY平面内で微少駆動可能であるとともに、走査方向(図1における紙面内左右方向であるY軸方向)に指定された走査速度で駆動可能となっている。
レチクルステージRSTの移動面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、レチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)116によって、移動鏡15(実際には、Y軸方向に直交する反射面を有するY移動鏡(あるいは、レトロリフレクタ)とX軸方向に直交する反射面を有するX移動鏡とが設けられている)を介して、例えば0.25nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計116の計測値は、主制御装置20(図1では不図示、図6参照)に送られる。主制御装置20は、レチクル干渉計116の計測値に基づいてレチクルステージRSTのX軸方向、Y軸方向及びθz方向の位置を算出するとともに、この算出結果に基づいてレチクルステージ駆動系11を制御することで、レチクルステージRSTの位置(及び速度)を制御する。なお、移動鏡15に代えて、レチクルステージRSTの端面を鏡面加工して反射面(移動鏡15の反射面に相当)を形成することとしても良い。また、レチクル干渉計116はZ軸、θx及びθy方向の少なくとも1つに関するレチクルステージRSTの位置情報も計測可能としても良い。
投影ユニットPUは、レチクルステージRSTの図1における下方に配置されている。投影ユニットPUは、鏡筒40と、鏡筒40内に所定の位置関係で保持された複数の光学素子を有する投影光学系PLとを含む。投影光学系PLとしては、例えばZ軸方向と平行な光軸AXに沿って配列される複数のレンズ(レンズエレメント)から成る屈折光学系が用いられている。投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックで所定の投影倍率(例えば1/4倍、1/5倍又は1/8倍など)を有する。このため、照明系10からの照明光ILによって照明領域IARが照明されると、投影光学系PLの第1面(物体面)とパターン面がほぼ一致して配置されるレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PL(投影ユニットPU)を介してその照明領域IAR内のレチクルRの回路パターンの縮小像(回路パターンの一部の縮小像)が、その第2面(像面)側に配置される、表面にレジスト(感光剤)が塗布されたウエハW上の前記照明領域IARに共役な領域(以下、露光領域とも呼ぶ)IAに形成される。そして、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとの同期駆動によって、照明領域IAR(照明光IL)に対してレチクルを走査方向(Y軸方向)に相対移動させるとともに、露光領域(照明光IL)に対してウエハWを走査方向(Y軸方向)に相対移動させることで、ウエハW上の1つのショット領域(区画領域)の走査露光が行われ、そのショット領域にレチクルのパターンが転写される。即ち、本実施形態では照明系10、レチクル及び投影光学系PLによってウエハW上にパターンが生成され、照明光ILによるウエハW上の感応層(レジスト層)の露光によってウエハW上にそのパターンが形成される。
なお、図示していないが、投影ユニットPUは、防振機構を介して3本の支柱で支持される鏡筒定盤に搭載されるが、例えば国際公開第2006/038952号パンフレットに開示されているように、投影ユニットPUの上方に配置される不図示のメインフレーム部材、あるいはレチクルステージRSTが配置されるベース部材などに対して投影ユニットPUを吊り下げ支持しても良い。
本実施形態の露光装置100では、液浸法を適用した露光が行われるため、投影光学系PLの開口数NAが実質的に増大することに伴いレチクル側の開口が大きくなる。そこで、ペッツヴァルの条件を満足させ、かつ投影光学系の大型化を避けるために、ミラーとレンズとを含んで構成される反射屈折系(カタディ・オプトリック系)を投影光学系として採用しても良い。また、ウエハWには感光層だけでなく、例えばウエハ又は感光層を保護する保護膜(トップコート膜)などを形成しても良い。
また、本実施形態の露光装置100では、液浸法を適用した露光を行うため、投影光学系PLを構成する最も像面側(ウエハW側)の光学素子、ここではレンズ(以下、「先端レンズ」ともいう)191を保持する鏡筒40の下端部周囲を取り囲むように、局所液浸装置8の一部を構成するノズルユニット32が設けられている。本実施形態では、ノズルユニット32は、図1に示されるように、その下端面が先端レンズ191の下端面とほぼ面一に設定されている。また、ノズルユニット32は、液体Lqの供給口及び回収口と、ウエハWが対向して配置され、かつ回収口が設けられる下面と、液体供給管31A及び液体回収管31Bとそれぞれ接続される供給流路及び回収流路とを備えている。液体供給管31Aと液体回収管31Bとは、図3に示されるように、平面視(上方から見て)でX軸方向及びY軸方向に対して45°傾斜し、投影ユニットPUの中心(投影光学系PLの光軸AX、本実施形態では前述の露光領域IAの中心とも一致)を通りかつY軸と平行な直線(基準軸)LVに関して対称な配置となっている。
液体供給管31Aには、その一端が液体供給装置5(図1では不図示、図6参照)に接続された不図示の供給管の他端が接続されており、液体回収管31Bには、その一端が液体回収装置6(図1では不図示、図6参照)に接続された不図示の回収管の他端が接続されている。
液体供給装置5は、液体を供給するためのタンク、加圧ポンプ、温度制御装置、並びに液体供給管31Aに対する液体の供給・停止を制御するためのバルブ等を含んでいる。バルブとしては、例えば液体の供給・停止のみならず、流量の調整も可能となるように、流量制御弁を用いることが望ましい。前記温度制御装置は、タンク内の液体の温度を、例えば露光装置が収納されているチャンバ(不図示)内の温度と同程度の温度に調整する。なお、タンク、加圧ポンプ、温度制御装置、バルブなどは、そのすべてを露光装置100で備えている必要はなく、少なくとも一部を露光装置100が設置される工場などの設備で代替することもできる。
液体回収装置6は、液体を回収するためのタンク及び吸引ポンプ、並びに液体回収管31Bを介した液体の回収・停止を制御するためのバルブ等を含んでいる。バルブとしては、液体供給装置5のバルブと同様に流量制御弁を用いることが望ましい。なお、タンク、吸引ポンプ、バルブなどは、そのすべてを露光装置100で備えている必要はなく、少なくとも一部を露光装置100が設置される工場などの設備で代替することもできる。
本実施液体では、上記の液体として、ArFエキシマレーザ光(波長193nmの光)が透過する純水(以下、特に必要な場合を除いて、単に「水」と記述する)を用いるものとする。純水は、半導体製造工場等で容易に大量に入手できると共に、ウエハ上のフォトレジスト及び光学レンズ等に対する悪影響がない利点がある。
ArFエキシマレーザ光に対する水の屈折率nは、ほぼ1.44である。この水の中では、照明光ILの波長は、193nm×1/n=約134nmに短波長化される。
液体供給装置5及び液体回収装置6は、それぞれコントローラを具備しており、それぞれのコントローラは、主制御装置20によって制御される(図6参照)。液体供給装置5のコントローラは、主制御装置20からの指示に応じ、液体供給管31Aに接続されたバルブを所定開度で開き、液体供給管31A、供給流路、及び供給口を介して先端レンズ191とウエハWとの間に液体(水)を供給する。また、このとき、液体回収装置6のコントローラは、主制御装置20からの指示に応じ、液体回収管31Bに接続されたバルブを所定開度で開き、回収口、回収流路、及び液体回収管31Bを介して、先端レンズ191とウエハWとの間から液体回収装置6(液体のタンク)の内部に液体(水)を回収する。このとき、主制御装置20は、先端レンズ191とウエハWとの間に供給される水の量と、回収される水の量とが常に等しくなるように、液体供給装置5のコントローラ、液体回収装置6のコントローラに対して指令を与える。従って、先端レンズ191とウエハWとの間に、一定量の液体(水)Lq(図1参照)が保持される。この場合、先端レンズ191とウエハWとの間に保持された液体(水)Lqは、常に入れ替わっている。
上記の説明から明らかなように、本実施形態では、ノズルユニット32、液体供給装置5、液体回収装置6、液体供給管31A及び液体回収管31B等を含み、局所液浸装置8が構成されている。なお、局所液浸装置8の一部、例えば少なくともノズルユニット32は、投影ユニットPUを保持するメインフレーム(前述の鏡筒定盤を含む)に吊り下げ支持されても良いし、メインフレームとは別のフレーム部材に設けても良い。あるいは、前述の如く投影ユニットPUが吊り下げ支持される場合は、投影ユニットPUと一体にノズルユニット32を吊り下げ支持しても良いが、本実施形態では投影ユニットPUとは独立に吊り下げ支持される計測フレームにノズルユニット32を設けている。この場合、投影ユニットPUを吊り下げ支持していなくても良い。
なお、投影ユニットPU下方に計測ステージMSTが位置する場合にも、上記と同様に後述する計測テーブルと先端レンズ191との間に水を満たすことが可能である。
なお、上記の説明では、一例として液体供給管(ノズル)と液体回収官(ノズル)とがそれぞれ1つずつ設けられているものとしたが、これに限らず、周囲の部材との関係を考慮しても配置が可能であれば、例えば、国際公開第99/49504号パンフレットに開示されるように、ノズルを多数有する構成を採用することとしても良い。要は、投影光学系PLを構成する最下端の光学部材(先端レンズ)191とウエハWとの間に液体を供給することができるのであれば、その構成はいかなるものであっても良い。例えば、国際公開第2004/053955号パンフレットに開示されている液浸機構、あるいは欧州特許公開第1420298号公報に開示されている液浸機構なども本実施形態の露光装置に適用することができる。
図1に戻り、ステージ装置50は、ベース盤12の上方に配置されたウエハステージWST及び計測ステージMST、これらのステージWST,MSTの位置情報を計測する計測システム200(図6参照)、及びステージWST,MSTを駆動するステージ駆動系124(図6参照)などを備えている。計測システム200は、図6に示されるように、干渉計システム118及びエンコーダシステム150などを含む。干渉計システム118は、図2に示されるように、ウエハステージWSTの位置計測用のY干渉計16、X干渉計126、127、128、並びに計測ステージMSTの位置計測用のY干渉計18及びX干渉計130等を含む。
図1に戻り、ウエハステージWST,計測ステージMSTそれぞれの底面には、不図示の非接触軸受、例えば真空予圧型空気静圧軸受(以下、「エアパッド」と呼ぶ)が複数ヶ所に設けられており、これらのエアパッドからベース盤12の上面に向けて噴出された加圧空気の静圧により、ベース盤12の上方にウエハステージWST,計測ステージMSTが数μm程度のクリアランスを介して非接触で支持されている。また、ステージWST,MSTは、リニアモータ等を含むステージ駆動系124(図6参照)によって、Y軸方向(図1における紙面内左右方向)及びX軸方向(図1における紙面直交方向)に独立して駆動可能である。
ウエハステージWSTは、不図示のリニアモータ等によってXY平面内で駆動されるステージ本体91と、ステージ本体91上に不図示のZ・レベリング機構(例えばボイスコイルモータなど)を介して搭載され、ステージ本体91に対してZ軸方向、θx方向、及びθy方向に相対的に微小駆動されるウエハテーブルWTBとを含んでいる。
ウエハテーブルWTB上には、ウエハWを真空吸着等によって保持するウエハホルダ(不図示)が設けられている。ウエハホルダはウエハテーブルWTBと一体に形成しても良いが、本実施形態ではウエハホルダとウエハテーブルWTBとを別々に構成し、例えば真空吸着などによってウエハホルダをウエハテーブルWTBの凹部内に固定している。また、ウエハテーブルWTBの上面には、ウエハホルダ上に載置されるウエハWの表面とほぼ面一となる、液体Lqに対して撥液化処理された表面(撥液面)を有し、かつ外形(輪郭)が矩形でその中央部にウエハホルダ(ウエハの載置領域)よりも一回り大きな円形の開口が形成されたプレート(撥液板)28が設けられている。プレート28は、低熱膨張率の材料、例えばガラス又はセラミックス(ショット社のゼロデュア(商品名)、Al2O3あるいはTiCなど)から成り、その表面には、例えばフッ素樹脂材料、ポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))等のフッ素系樹脂材料、アクリル系樹脂材料あるいはシリコン系樹脂材料などにより撥液膜が形成される。さらにプレート28は、図4(A)のウエハテーブルWTB(ウエハステージWST)の平面図に示されるように、円形の開口を囲む、外形(輪郭)が矩形の第1撥液領域28aと、第1撥液領域28aの周囲に配置された矩形枠状(環状)の第2撥液領域28bとを有する。第1撥液領域28aは、例えば露光動作時、ウエハの表面からはみ出す液浸領域14の少なくとも一部が形成され、第2撥液領域28bは、後述のエンコーダシステムのためのスケールが形成される。なお、プレート28はその表面の少なくとも一部がウエハの表面と面一でなくても良い、すなわち異なる高さであっても良い。また、プレート28は単一のプレートでも良いが、本実施形態では複数のプレート、例えば第1及び第2撥液領域28a、28bにそれぞれ対応する第1及び第2撥液板を組み合わせて構成する。本実施形態では、前述の如く液体Lqとして水を用いるので、以下では第1及び第2撥液領域28a、28bをそれぞれ第1及び第2撥水板28a、28bとも呼ぶ。
この場合、内側の第1撥水板28aには、露光光ILが照射されるのに対し、外側の第2撥水板28bには、露光光ILが殆ど照射されない。このことを考慮して、本実施形態では、第1撥水板28aの表面には、露光光IL(この場合、真空紫外域の光)に対する耐性が十分にある撥水コートが施された第1撥水領域が形成され、第2撥水板28bには、その表面に第1撥水領域に比べて露光光ILに対する耐性が劣る撥水コートが施された第2撥水領域が形成されている。一般にガラス板には、露光光IL(この場合、真空紫外域の光)に対する耐性が十分にある撥水コートを施し難いので、このように第1撥水板28aとその周囲の第2撥水板28bとの2部分に分離することは効果的である。なお、これに限らず、同一のプレートの上面に露光光ILに対する耐性が異なる2種類の撥水コートを施して、第1撥水領域、第2撥水領域を形成しても良い。また、第1及び第2撥水領域で撥水コートの種類が同一でも良い。例えば、同一のプレートに1つの撥水領域を形成するだけでも良い。
また、図4(A)から明らかなように、第1撥水板28aの+Y側の端部には、そのX軸方向の中央部に長方形の切り欠きが形成され、この切り欠きと第2撥水板28bとで囲まれる長方形の空間の内部(切り欠きの内部)に計測プレート30が埋め込まれている。この計測プレート30の長手方向の中央(ウエハテーブルWTBのセンターラインLL上)には、基準マークFMが形成されるとともに、該基準マークのX軸方向の一側と他側に、基準マークの中心に関して対称な配置で一対の空間像計測スリットパターン(スリット状の計測用パターン)SLが形成されている。各空間像計測スリットパターンSLとしては、一例として、Y軸方向とX軸方向とに沿った辺を有するL字状のスリットパターン、あるいはX軸及びY軸方向にそれぞれ延びる2つの直線状のスリットパターンなどを用いることができる。
そして、上記各空間像計測スリットパターンSL下方のウエハステージWSTの内部には、図4(B)に示されるように、対物レンズ、ミラー、リレーレンズなどを含む光学系が収納されたL字状の筐体36が、ウエハテーブルWTBからステージ本体91の内部の一部を貫通する状態で、一部埋め込み状態で取り付けられている。筐体36は、図示は省略されているが、上記一対の空間像計測スリットパターンSLに対応して一対設けられている。
上記筐体36内部の光学系は、空間像計測スリットパターンSLを透過した照明光ILを、L字状の経路に沿って導き、−Y方向に向けて射出する。なお、以下においては、便宜上、上記筐体36内部の光学系を筐体36と同一の符号を用いて送光系36と記述する。
さらに、第2撥水板28bの上面には、その4辺のそれぞれに沿って所定ピッチで多数の格子線が直接形成されている。これをさらに詳述すると、第2撥水板28bのX軸方向一側と他側(図4(A)における左右両側)の領域には、Yスケール39Y1,39Y2がそれぞれ形成され、Yスケール39Y1,39Y2はそれぞれ、例えばX軸方向を長手方向とする格子線38が所定ピッチでY軸に平行な方向(Y軸方向)に沿って形成される、Y軸方向を周期方向とする反射型の格子(例えば回折格子)によって構成されている。
同様に、第2撥水板28bのY軸方向一側と他側(図4(A)における上下両側)の領域には、Yスケール39Y1及び39Y2に挟まれた状態でXスケール39X1,39X2がそれぞれ形成され、Xスケール39X1,39X2はそれぞれ、例えばY軸方向を長手方向とする格子線37が所定ピッチでX軸に平行な方向(X軸方向)に沿って形成される、X軸方向を周期方向とする反射型の格子(例えば回折格子)によって構成されている。上記各スケールとしては、第2撥水板28bの表面に例えばホログラム等により反射型の回折格子RG(図8(A))が作成されたものが用いられている。この場合、各スケールには狭いスリット又は溝等から成る格子が目盛りとして所定間隔(ピッチ)で刻まれている。各スケールに用いられる回折格子の種類は限定されるものではなく、機械的に溝等が形成されたもののみならず、例えば、感光性樹脂に干渉縞を焼き付けて作成したものであっても良い。但し、各スケールは、例えば薄板状のガラスに上記回折格子の目盛りを、例えば138nm〜4μmの間のピッチ、例えば1μmピッチで刻んで作成されている。これらスケールは前述の撥液膜(撥水膜)で覆われている。なお、図4(A)では、図示の便宜上から、格子のピッチは、実際のピッチに比べて格段に広く図示されている。その他の図においても同様である。
このように、本実施形態では、第2撥水板28bそのものがスケールを構成するので、第2撥水板28bとして低熱膨張率のガラス板を用いることとしたものである。しかし、これに限らず、格子が形成された低熱膨張率のガラス板などから成るスケール部材を、局所的な伸縮が生じないように、例えば板ばね(又は真空吸着)等によりウエハテーブルWTBの上面に固定しても良く、この場合には、全面に同一の撥水コートが施された撥水板をプレート28に代えて用いても良い。あるいは、ウエハテーブルWTBを低熱膨張率の材料で形成することも可能であり、かかる場合には、一対のYスケールと一対のXスケールとは、そのウエハテーブルWTBの上面に直接形成しても良い。
なお、回折格子を保護するために、撥水性をそなえた低熱膨張率のガラス板でカバーすることも有効である。ここで、ガラス板としては、厚さがウエハと同程度、例えば厚さ1mmのものを用いることができ、そのガラス板の表面がウエハ面と同じ高さ(面一)になるよう、ウエハテーブルWST上面に設置される。
なお、各スケールの端付近には、後述するエンコーダヘッドとスケール間の相対位置を決めるための、不図示の位置出しパターンがそれぞれ設けられている。この位置出しパターンは例えば反射率の異なる格子線から構成され、この位置出しパターン上をエンコーダヘッドが走査すると、エンコーダの出力信号の強度が変化する。そこで、予め閾値を定めておき、出力信号の強度がその閾値を超える位置を検出する。この検出された位置を基準に、エンコーダヘッドとスケール間の相対位置を設定する。
ウエハテーブルWTBの−Y端面,−X端面には、それぞれ鏡面加工が施され、図2に示される反射面17a,反射面17bが形成されている。干渉計システム118のY干渉計16、並びに3つのX干渉計126、127及び128(図1では、X干渉計126〜128は不図示、図2参照)は、これらの反射面17a、17bにそれぞれ干渉計ビーム(測長ビーム)を投射して、それぞれの反射光を受光することにより、各反射面の基準位置(例えば投影ユニットPUの側面に固定ミラーを配置し、そこを基準面とする)からの変位、すなわちウエハステージWSTのXY平面内の位置情報を計測し、この計測値が主制御装置20に供給される。本実施形態では、上記各干渉計として、一部(例えば干渉計128)を除いて、測長軸を複数有する多軸干渉計が用いられおり、Y干渉計16及びX干渉計126又は127のいずれかの計測値に基づいて、主制御装置20は、ウエハテーブルWTBのX,Y位置に加え、θx方向の回転情報(すなわちピッチング)、θy方向の回転情報(すなわちローリング)、及びθz方向の回転情報(すなわちヨーイング)も計測可能である。但し、本実施形態では、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)のXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、主として、後述するエンコーダシステムによって計測され、干渉計16,126〜128の計測値は、そのエンコーダシステムの計測値の長期的変動(例えばスケールの経時的な変形などによる)を補正(較正)する場合などに補助的に用いられる。
また、Y干渉計16は、ウエハ交換のため、後述するアンローディングポジション、及びローディングポジション付近においてウエハテーブルWTBのY位置等を計測するのに用いられる。また、アンローディングポジション、及びローディングポジション付近においてウエハテーブルWTBのX位置等を計測するのに干渉計128が用いられる。
また、例えばローディング動作とアライメント動作との間、及び/又は露光動作とアンローディング動作との間におけるウエハステージWSTの移動においても、干渉計システム118の計測情報、すなわち5自由度の方向(X軸、Y軸、θx、θy及びθz方向)の位置情報の少なくとも1つが用いられる。なお、干渉計システム118はその少なくとも一部(例えば、光学系など)が、投影ユニットPUを保持するメインフレームに設けられる、あるいは前述の如く吊り下げ支持される投影ユニットPUと一体に設けられても良いが、本実施形態では前述した計測フレームに設けられるものとする。
なお、本実施形態では、ウエハステージWSTがXY平面内で自在に移動可能なステージ本体91と、ステージ本体91上に搭載され、ステージ本体91に対してZ軸方向、θx方向、及びθy方向に相対的に微小駆動可能なウエハテーブルWTBとを含むものとしたが、これに限らず、6自由度で移動可能な単一のステージをウエハステージWSTとして採用しても勿論良い。また、反射面17a,反射面17bの代わりに、ウエハテーブルWTBに平面ミラーから成る移動鏡を設けても良い。さらに、投影ユニットPUに設けられる固定ミラーの反射面を基準面としてウエハステージWSTの位置情報を計測するものとしたが、その基準面を配置する位置は投影ユニットPUに限られるものでないし、必ずしも固定ミラーを用いてウエハステージWSTの位置情報を計測しなくても良い。
また、本実施形態では、干渉計システム118によって計測されるウエハステージWSTの位置情報が、後述の露光動作やアライメント動作などでは用いられず、主としてエンコーダシステムのキャリブレーション動作(すなわち、計測値の較正)などに用いられるものとしたが、干渉計システム118の計測情報(すなわち、5自由度の方向の位置情報の少なくとも1つ)を、例えば露光動作及び/又はアライメント動作などで用いても良い。本実施形態では、エンコーダシステムはウエハステージWSTの3自由度の方向、すなわちX軸、Y軸及びθz方向の位置情報を計測する。そこで、露光動作などにおいて、干渉計システム118の計測情報のうち、エンコーダシステムによるウエハステージWSTの位置情報の計測方向(X軸、Y軸及びθz方向)と異なる方向、例えばθx方向及び/又はθy方向に関する位置情報のみを用いても良いし、その異なる方向の位置情報に加えて、エンコーダシステムの計測方向と同じ方向(すなわち、X軸、Y軸及びθz方向の少なくとも1つ)に関する位置情報を用いても良い。また、干渉計システム118はウエハステージWSTのZ軸方向の位置情報を計測可能としても良い。この場合、露光動作などにおいてZ軸方向の位置情報を用いても良い。
計測ステージMSTは、不図示のリニアモータ等によってXY平面内で駆動されるステージ本体92と、ステージ本体92上に搭載された計測テーブルMTBとを含んでいる。計測テーブルMTBについても不図示のZ・レベリング機構を介してステージ本体92上に搭載されている。しかしながら、これに限らず、例えば、計測テーブルMTBを、ステージ本体92に対してX軸方向、Y軸方向及びθz方向に微動可能に構成したいわゆる粗微動構造の計測ステージMSTを採用しても良いし、あるいは、計測テーブルMTBをステージ本体92に固定し、その計測テーブルMTBを含むステージ本体92を6自由度方向に駆動可能な構成にしても良い。
なお、図6では、ウエハステージWSTのステージ本体91を駆動するリニアモータ等及びZ・レベリング機構、並びに計測ステージMSTのステージ本体92を駆動するリニアモータ等及びZ・レベリング機構を含んで、ステージ駆動系124として示されている。
計測テーブルMTB(及びステージ本体92)には、各種計測用部材が設けられている。この計測用部材としては、例えば、図2及び図5(A)に示されるように、投影光学系PLの像面上で照明光ILを受光するピンホール状の受光部を有する照度むらセンサ94、投影光学系PLにより投影されるパターンの空間像(投影像)を計測する空間像計測器96、及び例えば国際公開第03/065428号パンフレットなどに開示されているシャック−ハルトマン(Shack-Hartman)方式の波面収差計測器98などが採用されている。波面収差計測器98としては、例えば国際公開第99/60361号パンフレット(対応欧州特許第1,079,223号)に開示されるものも用いることができる。
照度むらセンサ94としては、例えば特開昭57−117238号公報(対応する米国特許第4,465,368号明細書)などに開示されるものと同様の構成のものを用いることができる。また、空間像計測器96としては、例えば特開2002−14005号公報(対応する米国特許出願公開第2002/0041377号明細書)などに開示されるものと同様の構成のものを用いることができる。なお、本実施形態では3つの計測用部材(94、96、98)を計測ステージMSTに設けるものとしたが、計測用部材の種類、及び/又は数などはこれに限られない。計測用部材として、例えば投影光学系PLの透過率を計測する透過率計測器、及び/又は、前述の局所液浸装置8、例えばノズルユニット32(あるいは先端レンズ191)などを観察する計測器などを用いても良い。さらに、計測用部材と異なる部材、例えばノズルユニット32、先端レンズ191などを清掃する清掃部材などを計測ステージMSTに搭載しても良い。
本実施形態では、図5(A)からもわかるように、使用頻度の高いセンサ類、照度むらセンサ94及び空間像計測器96などは、計測ステージMSTのセンターラインCL(中心を通るY軸)上に配置されている。このため、本実施形態では、これらのセンサ類を用いた計測を、計測ステージMSTをX軸方向に移動させることなく、Y軸方向にのみ移動させて行うことができる。
上記各センサに加え、例えば特開平11−16816号公報(対応する米国特許出願公開第2002/0061469号明細書)などに開示される、投影光学系PLの像面上で照明光ILを受光する所定面積の受光部を有する照度モニタを採用しても良く、この照度モニタもセンターライン上に配置することが望ましい。
なお、本実施形態では、投影光学系PLと液体(水)Lqとを介して露光光(照明光)ILによりウエハWを露光する液浸露光が行われるのに対応して、照明光ILを用いる計測に使用される上記の照度むらセンサ94(及び照度モニタ)、空間像計測器96、並びに波面収差計測器98では、投影光学系PL及び水を介して照明光ILを受光することとなる。また、各センサは、例えば光学系などの一部だけが計測テーブルMTB(及びステージ本体92)に搭載されていても良いし、センサ全体を計測テーブルMTB(及びステージ本体92)に配置するようにしても良い。
計測ステージMSTのステージ本体92には、図5(B)に示されるように、その−Y側の端面に、枠状の取付部材42が固定されている。また、ステージ本体92の−Y側の端面には、取付部材42の開口内部のX軸方向の中心位置近傍に、前述した一対の送光系36に対向し得る配置で、一対の受光系44が固定されている。各受光系44は、リレーレンズなどの光学系と、受光素子、例えばフォトマルチプライヤチューブなどと、これらを収納する筐体とによって構成されている。図4(B)及び図5(B)、並びにこれまでの説明からわかるように、本実施形態では、ウエハステージWSTと計測ステージMSTとが、Y軸方向に関して所定距離以内に近接した状態(接触状態を含む)では、計測プレート30の各空間像計測スリットパターンSLを透過した照明光ILが前述の各送光系36で案内され、各受光系44の受光素子で受光される。すなわち、計測プレート30、送光系36及び受光系44によって、前述した特開2002−14005号公報(対応する米国特許出願公開第2002/0041377号明細書)などに開示されるものと同様の、空間像計測装置45(図6参照)が構成される。
取付部材42の上には、断面矩形の棒状部材から成るフィデューシャルバー(以下、「FDバー」と略述する)46がX軸方向に延設されている。このFDバー46は、フルキネマティックマウント構造によって、計測ステージMST上にキネマティックに支持されている。
FDバー46は、原器(計測基準)となるため、低熱膨張率の光学ガラスセラミックス、例えば、ショット社のゼロデュア(商品名)などがその素材として採用されている。このFDバー46の上面(表面)は、いわゆる基準平面板と同程度にその平坦度が高く設定されている。また、FDバー46の長手方向の一側と他側の端部近傍には、図5(A)に示されるように、Y軸方向を周期方向とする基準格子(例えば回折格子)52がそれぞれ形成されている。この一対の基準格子52は、所定距離Lを隔ててFDバー46のX軸方向の中心、すなわち前述のセンターラインCLに関して対称な配置で形成されている。
また、このFDバー46の上面には、図5(A)に示されるような配置で複数の基準マークMが形成されている。この複数の基準マークMは、同一ピッチでY軸方向に関して3行の配列で形成され、各行の配列がX軸方向に関して互いに所定距離だけずれて形成されている。各基準マークMとしては、後述するプライマリアライメント系、セカンダリアライメント系によって検出可能な寸法の2次元マークが用いられている。基準マークMはその形状(構成)が前述の基準マークFMと異なっても良いが、本実施形態では基準マークMと基準マークFMとは同一の構成であり、かつウエハWのアライメントマークとも同一の構成となっている。なお、本実施形態ではFDバー46の表面、及び計測テーブルMTB(前述の計測用部材を含んでも良い)の表面もそれぞれ撥液膜(撥水膜)で覆われている。
計測テーブルMTBの+Y端面、−X端面にも前述したウエハテーブルWTBと同様の反射面19a、19bが形成されている(図2及び図5(A)参照)。干渉計システム118のY干渉計18、X干渉計130(図1では、X干渉計130は不図示、図2参照)は、これらの反射面19a、19bに、図2に示されるように、干渉計ビーム(測長ビーム)を投射して、それぞれの反射光を受光することにより、各反射面の基準位置からの変位、すなわち計測ステージMSTの位置情報(例えば、少なくともX軸及びY軸方向の位置情報とθz方向の回転情報とを含む)を計測し、この計測値が主制御装置20に供給される。
本実施形態の露光装置100では、図1では図面の錯綜を避ける観点から図示が省略されているが、実際には、図3に示されるように、前述の基準軸LV上で、その光軸AXから−Y側に所定距離隔てた位置に検出中心を有するプライマリアライメント系AL1が配置されている。プライマリアライメント系AL1は、支持部材54を介して不図示のメインフレームの下面に固定されている。プライマリアライメント系AL1を挟んで、X軸方向の一側と他側には、基準軸LVに関してほぼ対称に検出中心が配置されるセカンダリアライメント系AL21,AL22と、AL23,AL24とがそれぞれ設けられている。すなわち、5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24はその検出中心がX軸方向に関して異なる位置に配置されている、すなわちX軸方向に沿って配置されている。
各セカンダリアライメント系AL2n(n=1〜4)は、セカンダリアライメント系AL24について代表的に示されるように、回転中心Oを中心として図3における時計回り及び反時計回りに所定角度範囲で回動可能なアーム56n(n=1〜4)の先端(回動端)に固定されている。本実施形態では、各セカンダリアライメント系AL2nはその一部(例えば、アライメント光を検出領域に照射し、かつ検出領域内の対象マークから発生する光を受光素子に導く光学系を少なくとも含む)がアーム56nに固定され、残りの一部は投影ユニットPUを保持するメインフレームに設けられる。セカンダリアライメント系AL21,AL22,AL23,AL24はそれぞれ、回転中心Oを中心として回動することで、X位置が調整される。すなわち、セカンダリアライメント系AL21,AL22,AL23,AL24はその検出領域(又は検出中心)が独立にX軸方向に可動である。従って、プライマリアライメント系AL1及びセカンダリアライメント系AL21,AL22,AL23,AL24はX軸方向に関してその検出領域の相対位置が調整可能となっている。なお、本実施形態では、アームの回動によりセカンダリアライメント系AL21,AL22,AL23,AL24のX位置が調整されるものとしたが、これに限らず、セカンダリアライメント系AL21,AL22,AL23,AL24をX軸方向に往復駆動する駆動機構を設けても良い。また、セカンダリアライメント系AL21,AL22,AL23,AL24の少なくとも1つをX軸方向だけでなくY軸方向にも可動として良い。なお、各セカンダリアライメント系AL2nはその一部がアーム56nによって移動されるので、不図示のセンサ、例えば干渉計、あるいはエンコーダなどによって、アーム56nに固定されるその一部の位置情報が計測可能となっている。このセンサは、セカンダリアライメント系AL2nのX軸方向の位置情報を計測するだけでも良いが、他の方向、例えばY軸方向、及び/又は回転方向(θx及びθy方向の少なくとも一方を含む)の位置情報も計測可能として良い。
各アーム56nの上面には、差動排気型のエアベアリングから成るバキュームパッド58n(n=1〜4)が設けられている。また、アーム56nは、例えばモータ等を含む回転駆動機構60n(n=1〜4、図3では不図示、図6参照)によって、主制御装置20の指示に応じて回動可能である。主制御装置20は、アーム56nの回転調整後に、各バキュームパッド58nを作動させて各アーム56nを不図示のメインフレームに吸着固定する。これにより、各アーム56nの回転角度調整後の状態、すなわち、プライマリアライメント系AL1及び4つのセカンダリアライメント系AL21〜AL24の所望の位置関係が維持される。
なお、メインフレームのアーム56nに対向する部分が磁性体であるならば、バキュームパッド58に代えて電磁石を採用しても良い。
本実施形態では、プライマリアライメント系AL1及び4つのセカンダリアライメント系AL21〜AL24のそれぞれとして、例えばウエハ上のレジストを感光させないブロードバンドな検出光束を対象マークに照射し、その対象マークからの反射光により受光面に結像された対象マークの像と不図示の指標(各アライメント系内に設けられた指標板上の指標パターン)の像とを撮像素子(CCD等)を用いて撮像し、それらの撮像信号を出力する画像処理方式のFIA(Field Image Alignment)系が用いられている。プライマリアライメント系AL1及び4つのセカンダリアライメント系AL21〜AL24のそれぞれからの撮像信号は、図6の主制御装置20に供給されるようになっている。
なお、上記各アライメント系としては、FIA系に限らず、コヒーレントな検出光を対象マークに照射し、その対象マークから発生する散乱光又は回折光を検出する、あるいはその対象マークから発生する2つの回折光(例えば同次数の回折光、あるいは同方向に回折する回折光)を干渉させて検出するアライメントセンサを単独であるいは適宜組み合わせて用いることは勿論可能である。また、本実施形態では、5つのアライメント系AL1、AL21〜AL24は、支持部材54を介して投影ユニットPUを保持するメインフレームの下面に固定されるものとしたが、これに限らず、例えば前述した計測フレームに設けても良い。
さらに、本実施形態の露光装置100では、レチクルRの上方に、例えば特開平7−176468号公報等に開示される、露光波長の光を用いたTTR(Through The Reticle)アライメント系から成る一対のレチクルアライメント検出系13A,13B(図1では不図示、図6参照)が設けられ、該レチクルアライメント検出系13A,13Bの検出信号は、不図示のアライメント信号処理系を介して主制御装置20に供給される。
本実施形態の露光装置100では、図3に示されるように、前述したノズルユニット32の周囲を四方から囲む状態で、エンコーダシステムの4つのヘッドユニット62A〜62Dが配置されている。これらのヘッドユニット62A〜62Dは、図3等では図面の錯綜を避ける観点から図示が省略されているが、実際には、支持部材を介して前述した投影ユニットPUを保持するメインフレームに吊り下げ状態で固定されている。
ヘッドユニット62A及び62Cは、図3に示されるように、X軸方向の位置が異なる複数(ここでは5つ)のYヘッド65i、64i(i=1〜5)をそれぞれ備えている。より詳細には、ヘッドユニット62A及び62Cは、それぞれ、X軸方向に沿って投影光学系PLの光軸AXを通りかつX軸と平行な直線(基準軸)LH上に間隔WDで配置された複数(ここでは4つ)のYヘッド652〜655,641〜644と、これら4つのYヘッドの投影光学系PL側に距離WD離れ、かつ基準軸LHから−Y方向に所定距離離れた液浸ユニット32の−Y側の位置に配置された1つのYヘッド651,645とを備えている。
ヘッドユニット62Aは、前述のYスケール39Y1を用いて、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)のY軸方向の位置(Y位置)を計測する多眼(ここでは、5眼)のYリニアエンコーダ(以下、適宜「Yエンコーダ」又は「エンコーダ」と略述する)70A(図6参照)を構成する。同様に、ヘッドユニット62Cは、前述のYスケール39Y2を用いて、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)のY位置を計測する多眼(ここでは、5眼)のYエンコーダ70C(図6参照)を構成する。ここで、ヘッドユニット62A及び62Cがそれぞれ備える5つのYヘッド65及び64(すなわち、計測ビーム)のX軸方向の間隔WDは、Yスケール39Y1,39Y2のX軸方向の幅(より正確には、格子線38の長さ)より僅かに狭く設定されている。
ヘッドユニット62Bは、図3に示されるように、ノズルユニット32(投影ユニットPU)の+Y側に配置され、上記基準軸LV上にY軸方向に沿って間隔WDで配置された複数、ここでは4個のXヘッド66を備えている。また、ヘッドユニット62Dは、ノズルユニット32(投影ユニットPU)を介してヘッドユニット62Bとは反対側のプライマリアライメント系AL1の−Y側に配置され、上記基準軸LV上に間隔WDで配置された複数、ここでは4個のXヘッド66を備えている。ヘッドユニット62Bは、前述のXスケール39X1を用いて、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)のX軸方向の位置(X位置)を計測する、多眼(ここでは、4眼)のXリニアエンコーダ(以下、適宜「Xエンコーダ」又は「エンコーダ」と略述する)70B(図6参照)を構成する。また、ヘッドユニット62Dは、前述のXスケール39X2を用いて、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)のX位置を計測する多眼(ここでは、4眼)のXリニアエンコーダ70D(図6参照)を構成する。
ここでヘッドユニット62B,62Dがそれぞれ備える隣接するXヘッド66(計測ビーム)の間隔WDは、前述のXスケール39X1,39X2のY軸方向の幅(より正確には、格子線37の長さ)よりも狭く設定されている。またヘッドユニット62Bの最も−Y側のXヘッド66とヘッドユニット62Dの最も+Y側のXヘッド66との間隔は、ウエハステージWSTのY軸方向の移動により、その2つのXヘッド間で切り換え(つなぎ)が可能となるように、ウエハテーブルWTBのY軸方向の幅よりも僅かに狭く設定されている。
本実施形態では、さらに、ヘッドユニット62C、62Aの−Y側に所定距離隔てて、ヘッドユニット62E、62Fが、それぞれ設けられている。ヘッドユニット62E及び62Fは、図3等では図面の錯綜を避ける観点から図示が省略されているが、実際には、支持部材を介して、前述した投影ユニットPUを保持するメインフレームに吊り下げ状態で固定されている。なお、ヘッドユニット62E、62F及び前述のヘッドユニット62A〜62Dは、例えば投影ユニットPUが吊り下げ支持される場合は投影ユニットPUと一体に吊り下げ支持しても良いし、あるいは前述した計測フレームに設けても良い。
ヘッドユニット62Eは、X軸方向の位置が異なる4つのYヘッド67を備えている。より詳細には、ヘッドユニット62Eは、セカンダリアライメント系AL21の−X側にX軸に平行な直線(基準軸)LA上に前述の間隔WDとほぼ同一間隔で配置された3つのYヘッド671〜673と、最も内側(+X側)のYヘッド673から+X側に所定距離(WDより幾分短い距離)離れ、かつ基準軸LAから+Y側に所定距離離れたセカンダリアライメント系AL21の+Y側の位置に配置された1つのYヘッド674とを備えている。
ヘッドユニット62Fは、前述の基準軸LVに関して、ヘッドユニット62Eと対称であり、上記4つのYヘッド671〜674と基準軸LVに関して対称に配置された4つのYヘッド681〜684を備えている。後述するアライメント動作の際などには、Yスケール39Y2,39Y1にYヘッド67,68が少なくとも各1つそれぞれ対向し、このYヘッド67,68(すなわち、これらYヘッド67,68によって構成されるYエンコーダ70C、70A)によってウエハステージWSTのY位置(及びθz回転)が計測される。
また、本実施形態では、セカンダリアライメント系の後述するベースライン計測時(Sec‐BCHK(インターバル))などに、セカンダリアライメント系AL21、AL24にX軸方向で隣接するYヘッド67、68が、FDバー46の一対の基準格子52とそれぞれ対向し、その一対の基準格子52と対向するYヘッド67,68によって、FDバー46のY位置が、それぞれの基準格子52の位置で計測される。以下では、一対の基準格子52にそれぞれ対向するYヘッド67,68によって構成されるエンコーダをYリニアエンコーダ(適宜、「Yエンコーダ」又は「エンコーダ」とも略述する)70E,70F(図6参照)と呼ぶ。
上述した6つのリニアエンコーダ70A〜70Fは、例えば0.1nm程度の分解能で、ウエハステージWSTの位置座標を計測し、その計測値を主制御装置20に供給する。主制御装置20は、リニアエンコーダ70A〜70Dのうちの3つの計測値に基づいて、ウエハテーブルWTBのXY平面内の位置を制御するとともに、リニアエンコーダ70E,70Fの計測値に基づいて、FDバー46のθz方向の回転を制御する。
なお、図3では、計測ステージMSTの図示が省略されるとともに、その計測ステージMSTと先端レンズ191との間に保持される水Lqで形成される液浸領域が符号14で示されている。また、図3において、符号UPは、ウエハテーブルWTB上のウエハのアンロードが行われるアンローディングポジションを示し、符号LPはウエハテーブルWTB上へのウエハのロードが行われるローディングポジションを示す。本実施形態では、アンロードポジションUPと、ローディングポジションLPとは、基準軸LVに関して対称に設定されている。なお、アンロードポジションUPとローディングポジションLPとを同一位置としても良い。
図6には、露光装置100の制御系の主要な構成が示されている。この制御系は、装置全体を統括的に制御するマイクロコンピュータ(又はワークステーション)から成る主制御装置20を中心として構成されている。なお、図6においては、前述した照度むらセンサ94、空間像計測器96及び波面収差計測器98などの計測ステージMSTに設けられた各種センサが、纏めてセンサ群99として示されている。
本実施形態の露光装置100では、前述したようなウエハテーブルWTB上のXスケール、Yスケールの配置及び前述したようなXヘッド、Yヘッドの配置を採用したことから、図7(A)及び図7(B)などに例示されるように、ウエハステージWSTの有効ストローク範囲(すなわち、本実施形態では、アライメント及び露光動作のために移動する範囲)では、必ず、Yスケール39Y1,39Y2と、Yヘッド65,64(ヘッドユニット62A,62C)又はYヘッド68,67(ヘッドユニット62F,62E)とがそれぞれ対向し、かつXスケール39X1、39X2のいずれか一方にXヘッド66(ヘッドユニット62B又は62D)が対向するようになっている。なお、図7(A)及び図7(B)中では、対応するXスケール又はYスケールに対向したヘッドが実線の丸で囲んで示されている。
これを更に詳述すると、主制御装置20は、ウエハW上にレチクルRのパターンを転写する、後述するステップ・アンド・スキャン方式の露光動作中には、ヘッドユニット62A,62Cの各5個のYヘッド64の中からYスケール39Y1、39Y2にそれぞれ対向するYヘッド64を各1つ選択するとともに、ヘッドユニット62B、64Dの合計9個のXヘッドの中からXスケール39X1、39X2の所定の一方(これは、ウエハステージWSTのY位置に応じて定まる)に対向するXヘッド66を選択し、選択された2つのYヘッド64の計測値と選択されたXヘッド66の計測値とに基づいて、ウエハステージWSTのXY平面内の位置及び回転(θz方向の回転)を制御する。
また、主制御装置20は、後述するウエハアライメントの際には、Yスケール39Y1、39Y2にそれぞれ対向するYヘッド68、67と、ヘッドユニット62B、64Dの合計9個のXヘッドの中からXスケール39X1、39X2の所定の一方(これは、ウエハステージWSTのY位置に応じて定まる)に対向するXヘッド66との計測値に基づいて、ウエハステージWSTのXY平面内の位置及び回転(θz方向の回転)を制御する。
主制御装置20は、前述のウエハステージWSTの有効ストローク範囲では、エンコーダ70A〜70Dのうちの3つの計測値に基づいて、ステージ駆動系124を構成する各モータを制御することで、ウエハステージWSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)を、高精度に制御することができる。エンコーダ70A〜70Dの計測値が受ける空気揺らぎの影響は、干渉計と比べた場合には無視できるほど小さいので、空気揺らぎに起因する計測の短期安定性は、干渉計に比べて格段に良い。
また、主制御装置20は、図7(A)中に白抜き矢印で示されるようにウエハステージWSTをX軸方向に駆動する際、そのウエハステージWSTのY軸方向の位置を計測するYヘッド65、64を、同図中に矢印e1で示されるように、隣のYヘッド65、64に順次切り換える。例えば実線の丸で囲まれるYヘッド642から点線の丸で囲まれるYヘッド643へ切り換える。すなわち、本実施形態では、このYヘッド65、64の切り換え(つなぎ)を円滑に行うために、前述の如く、ヘッドユニット62A,62Cが備える隣接するYヘッド65,64の間隔WDを、Yスケール39Y1,39Y2のX軸方向の幅よりも狭く設定したものである。
また、本実施形態では、前述の如く、ヘッドユニット62B,62Dが備える隣接するXヘッド66の間隔WDは、前述のXスケール39X1,39X2のY軸方向の幅よりも狭く設定されているので、上述と同様に、主制御装置20は、図7(B)中に白抜き矢印で示されるようにウエハステージWSTをY軸方向に駆動する際、そのウエハステージWSTのX軸方向の位置を計測するXヘッド66を、同図中に矢印e2で示されるように、順次隣のXヘッド66に切り換える(例えば実線の丸で囲まれるXヘッド665から点線の丸で囲まれるXヘッド666へ切り換える)。
次に、エンコーダ70A〜70Fの構成等について、図8(A)に拡大して示されるYエンコーダ70Cを代表的に採り上げて説明する。この図8(A)では、Yスケール39Y2に検出光(計測ビーム)を照射するヘッドユニット62Cの1つのYヘッド64を示している。
Yヘッド64は、大別すると、照射系64a、光学系64b、及び受光系64cの3部分から構成されている。
照射系64aは、レーザ光LBをY軸及びZ軸に対して45°を成す方向に射出する光源、例えば半導体レーザLDと、該半導体レーザLDから射出されるレーザビームLBの光路上に配置されたレンズL1とを含む。
光学系64bは、その分離面がXZ平面と平行である偏光ビームスプリッタPBS、一対の反射ミラーR1a,R1b、レンズL2a,L2b、四分の一波長板(以下、λ/4板と記述する)WP1a,WP1b、及び反射ミラーR2a,R2b等を備えている。
前記受光系64cは、偏光子(検光子)及び光検出器等を含む。
このYエンコーダ70Cにおいて、半導体レーザLDから射出されたレーザビームLBはレンズL1を介して偏光ビームスプリッタPBSに入射し、偏光分離されて2つのビームLB1、LB2となる。偏光ビームスプリッタPBSを透過したビームLB1は反射ミラーR1aを介してYスケール39Y1に形成された反射型回折格子RGに到達し、偏光ビームスプリッタPBSで反射されたビームLB2は反射ミラーR1bを介して反射型回折格子RGに到達する。なお、ここで「偏光分離」とは、入射ビームをP偏光成分とS偏光成分に分離することを意味する。
ビームLB1、LB2の照射によって回折格子RGから発生する所定次数の回折ビーム、例えば1次回折ビームはそれぞれ、レンズL2b、L2aを介してλ/4板WP1b、WP1aにより円偏光に変換された後、反射ミラーR2b、R2aにより反射されて再度λ/4板WP1b、WP1aを通り、往路と同じ光路を逆方向に辿って偏光ビームスプリッタPBSに達する。
偏光ビームスプリッタPBSに達した2つのビームは、各々その偏光方向が元の方向に対して90度回転している。このため、先に偏光ビームスプリッタPBSを透過したビームLB1の1次回折ビームは、偏光ビームスプリッタPBSで反射されて受光系64cに入射するとともに、先に偏光ビームスプリッタPBSで反射されたビームLB2の1次回折ビームは、偏光ビームスプリッタPBSを透過してビームLB1の1次回折ビームと同軸に合成されて受光系64cに入射する。
そして、上記2つの1次回折ビームは、受光系64cの内部で、検光子によって偏光方向が揃えられ、相互に干渉して干渉光となり、この干渉光が光検出器によって検出され、干渉光の強度に応じた電気信号に変換される。
上記の説明からわかるように、Yエンコーダ70Cでは、干渉させる2つのビームの光路長が極短くかつほぼ等しいため、空気揺らぎの影響がほとんど無視できる。そして、Yスケール39Y2(すなわちウエハステージWST)が計測方向(この場合、Y軸方向)に移動すると、2つのビームそれぞれの位相が変化して干渉光の強度が変化する。この干渉光の強度の変化が、受光系64cによって検出され、その強度変化に応じた位置情報がYエンコーダ70Cの計測値として出力される。その他のエンコーダ70A,70B,70D等も、エンコーダ70Cと同様にして構成されている。各エンコーダとしては、分解能が、例えば0.1nm程度のものが用いられている。なお、本実施形態のエンコーダでは、図8(B)に示されるように、検出光として格子RGの周期方向に長く延びる断面形状のレーザビームLBを用いても良い。図8(B)では、格子RGと比較してビームLBを誇張して大きく図示されている。
次に、本実施形態の露光装置100における、ウエハステージWSTと計測ステージMSTとを用いた並行処理動作について、図9〜図13に基づいて説明する。なお、以下の動作中、主制御装置20によって、局所液浸装置8の液体供給装置5及び液体回収装置6の各バルブの開閉制御が前述したようにして行われ、投影光学系PLの先端レンズ191の直下には常時水が満たされている。しかし、以下では、説明を分かり易くするため、液体供給装置5及び液体回収装置6の制御に関する説明は省略する。また、以後の動作説明は、多数の図面を用いて行うが、図面毎に同一の部材に符号が付されていたり、付されていなかったりしている。すなわち、図面毎に、記載している符号が異なっているが、それら図面は符号の有無に関わらず、同一構成である。これまでに説明に用いた、各図面についても同様である。
図9には、ウエハステージWST上に載置されたウエハWに対するステップ・アンド・スキャン方式の露光が行われている状態が示されている。この露光は、開始前に行われるウエハアライメント(EGA:Enhanced Global Alignment)等の結果に基づいて、ウエハW上の各ショット領域の露光のための走査開始位置(加速開始位置)へウエハステージWSTを移動するショット間移動と、各ショット領域に対してレチクルRに形成されたパターンを走査露光方式で転写する走査露光と、を繰り返すことにより行われる。また、露光は、ウエハW上の−Y側に位置するショット領域から+Y側に位置するショット領域の順で行われる。
上述の露光中、主制御装置20により、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)のXY面内の位置(θz方向の回転を含む)は、2つのYエンコーダ70A,70Cと、2つのXエンコーダ70B,70Dの一方との合計3つのエンコーダの計測結果に基づいて制御されている。ここで、2つのXエンコーダ70B,70Dは、Xスケール39X1,39X2のそれぞれに対向する2つのXヘッド66によって構成され、2つのYエンコーダ70A,70Cは、Yスケール39Y1,39Y2のそれぞれに対向する2つのYヘッド64により構成される。また、主制御装置20により、ウエハテーブルWTBのθy回転(ローリング)及びθx回転(ピッチング)は、前述のX干渉計126及びY干渉計16計測値に基づいて管理されている。なお、ウエハテーブルWTBのZ軸方向の位置(Z位置)、θy回転(ローリング)及びθx回転(ピッチング)の少なくとも1つ、例えばZ位置及びθy回転をその他のセンサ、例えばウエハテーブルWTBの上面のZ位置を検出するセンサによって計測しても良い。いずれにしても、この露光中のウエハテーブルWTBのZ軸方向の位置,θy回転及びθx回転の制御(ウエハWのフォーカス・レベリング制御)は、主制御装置20により、ウエハW表面の面位置情報を検出する不図示の面位置検出系を用いたリアルタイムの面位置検出の結果に基づいて行われる。なお、主制御装置20は、露光中にウエハテーブルWTBの面位置を不図示の面位置センサを用いて検出しつつ、事前に計測したウエハの面位置情報の計測結果に基づいて、ウエハWのフォーカス・レベリング制御を行っても良い。
図9に示される、ウエハステージWSTの位置では、Xスケール39X1にはXヘッド665(図中に丸で囲んで示されている)が対向するが、Xスケール39X2に対向するXヘッド66はない。そのため、主制御装置20は、1つのXエンコーダ70Bと2つのYエンコーダ70A,70Cを用いて、ウエハステージWSTの位置(X,Y,θz)制御を実行している。ここで、図9に示される位置からウエハステージWSTが−Y方向に移動すると、Xヘッド665はXスケール39X1から外れ(対向しなくなり)、代わりにXヘッド664(図中に破線の丸で囲んで示されている)がXスケール39X2に対向する。そこで、主制御装置20は、1つのXエンコーダ70Dと2つのYエンコーダ70A,70Cを用いるステージ制御に切り換える。
このように、主制御装置20は、ウエハステージWSTの位置座標に応じて、使用するエンコーダを絶えず切り換えて、ステージ制御を実行している。
なお、上述のエンコーダシステムを用いたウエハステージWSTの位置計測と独立に、干渉計システム118を用いたウエハステージWSTの位置(X,Y,Z,θx,θy,θz)計測が、常時、行われている。例えば、X干渉計126,127,及び128は、ウエハステージWSTのY位置に応じて、いずれか1つが使用される。露光中は、図9に示したように、X干渉計126が使用される。例えば、干渉計システム118によるウエハステージWSTのX,Y,θz方向の計測結果は、補助的に、ウエハステージWSTの位置制御に利用される。
ウエハWの露光が終了すると、主制御装置20は、ウエハステージWSTをアンロードポジションUPに向けて駆動する。その際、露光中には互いに離れていたウエハステージWSTと計測ステージMSTとが、接触或いは300μm程度の離間距離を挟んで近接して、スクラム状態に移行する。ここで、計測テーブルMTB上のFDバー46の−Y側面とウエハテーブルWTBの+Y側面とが接触或いは近接する。このスクラム状態を保って、両ステージWST,MSTが−Y方向に移動することにより、投影ユニットPUの下に形成される液浸領域14は、計測ステージMST上に移動する(例えば図10参照)。
ウエハステージWSTが、スクラム状態に移行後、更に−Y方向へ移動して有効ストローク領域(ウエハステージが露光及びウエハアライメント時に移動する領域)から外れると、エンコーダ70A〜70Dを構成する全てのXヘッド、Yヘッドが、ウエハテーブルWTB上の対応するスケールから外れる。そのため、エンコーダ70A〜70Dの計測結果に基づくステージ制御が不可能になる。その直前に、主制御装置20は、干渉計システム118の計測結果に基づくステージ制御に切り換える。ここで、3つのX干渉計126,127,128のうちX干渉計128が使用される。
その後、図10に示されるように、ウエハステージWSTは、計測ステージMSTとのスクラム状態を解除し、アンロードポジションUPに移動する。移動後、主制御装置20は、ウエハテーブルWTB上のウエハWをアンロードする。そして、図11に示されるように、ウエハステージWSTを+X方向に駆動してローディングポジションLPに移動させ、ウエハテーブルWTB上に次のウエハWをロードする。
これらの動作と平行して、主制御装置20は、計測ステージMSTに支持されたFDバー46のXY面内での位置調整と、4つのセカンダリアライメント系AL21〜AL24のベースライン計測と、を行うSec-BCHK(インターバル)を実行する。ここで、XY面内の位置(θz回転)を計測するために、Yヘッド673,682とYヘッド673,682のそれぞれが対向する計測ステージMTB上の一対の基準格子52とから構成されるYエンコーダ70E,70Fが使用される。
次に、主制御装置20は、図12に示されるように、ウエハステージWSTを駆動し、計測プレート30上の基準マークFMをプライマリアライメント系AL1の検出視野内に位置決めし、アライメント系AL1,AL21〜AL24のベースライン計測の基準位置を決定するPri-BCHKの前半の処理を行う。
このとき、図12に示されるように、2つのYヘッド682,673と1つのXヘッド66(図中に丸で囲んで示されている)が、それぞれYスケール39Y1,39Y2とXスケール39X2に対向するようになる。そこで、主制御装置20は、干渉計システム118からエンコーダシステム150(エンコーダ70A,70C,70D)を用いたステージ制御へ切り換える。干渉計システム118は、再び補助的に使用される。なお、3つのX干渉計126,127,128のうちX干渉計127が使用される。
その後、主制御装置20は、プライマリアライメント系AL1とセカンダリアライメント系AL21〜AL24を用いて、ウエハアライメント(EGA)を実行する(図13中の星マーク参照)。
なお、本実施形態では、図13に示されるウエハアライメントを開始するまでに、ウエハステージWSTと計測ステージMSTはスクラム状態へ移行している。主制御装置20は、スクラム状態を保ちながら、両ステージWST,MSTを+Y方向に駆動する。その後、液浸領域14の水は、計測テーブルMTB上からウエハテーブルWTB上に移動する。
ウエハアライメント(EGA)と並行して、主制御装置20は、空間像計測装置45を用いたウエハテーブルWTBのXY位置に対する投影像の強度分布を計測するPri-BCHK後半の処理を実行する。
以上の作業が終了すると、主制御装置20は、両ステージWST,MSTのスクラム状態を解除する。そして、図9に示されるように、ステップ・アンド・スキャン方式の露光を行い、新しいウエハW上にレチクルパターンを転写する。以降、同様の動作が繰り返し実行される。
以上、説明したように、本実施形態に係る露光装置100によると、露光の際に、Yスケール39Y1,39Y2のそれぞれに対向してウエハステージWSTのY軸方向及びθz方向の位置計測に用いられる、ヘッドユニット62A,62Cにそれぞれ属する各5つのYヘッド651〜655,641〜645は、X軸方向に関しては、隣接するYヘッドの間隔WDをYスケール39Y1,39Y2のX軸方向の幅(例えば76mm)を考慮した所望の間隔例えば70mmに設定し、かつ空きスペース(本実施形態では、ノズルユニット32の周囲の空きスペース)に応じて最も投影ユニットPUの中心寄りに位置するYヘッド651、645のY位置を他の(残り4つの)Yヘッドと異ならせて配置している。これにより、ヘッドユニット62A,62Cの各5つのYヘッド65、64の、空きスペースに応じた配置が可能であるともに、スペース効率の向上により装置全体の小型化が可能となる。これに加え、ヘッドユニット62A,62Cの各5つのYヘッド65,64それぞれの間でつなぎ(使用ヘッドの切り換え)を支障なく行なうことが可能となる。従って、ヘッドユニット62A,62Cをそれぞれ有するYエンコーダ70A、70C、及びヘッドユニット62B、62Dをそれぞれ有するXエンコーダ70B、70Dを含むエンコーダシステムによって、露光の際、ウエハステージWSTのXY平面内の位置を空気揺らぎの影響を受けることなく高精度に計測することが可能になり、ひいてはウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)に保持されたウエハWに精度良くレチクルRのパターンを形成することが可能になる。
なお、上記実施形態では、ノズルユニット32周囲の空きスペースに合わせて、ヘッドユニット62A,62Cがそれぞれ備える5つのYヘッド65、64のうち、最も投影ユニットPUの中心より位置するYヘッド655、641のY位置を、残り4つのYヘッド65、64のY位置と異ならせる場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものでない。すなわち、ヘッドユニット62A,62Cの少なくとも一方に属する各5つのYヘッドのうち、いずれかのYヘッドが、他のYヘッドとY位置が異なっていれば良い。例えば、ヘッドユニット62A、62Cの少なくとも一方で、任意の2つのYヘッドが残り3つのYヘッドとY位置が異なっていても良いし、例えば任意の3つのYヘッドが残り2つのYヘッドとY位置が異なっていても良いし、例えば、ヘッドユニット62A,62Cにそれぞれ属する個々のYヘッドのY位置が互いに異なっていても良い。
また、上記実施形態では、ヘッドユニット62A,62Cが、それぞれ5つのYヘッド65,64を備えるものとしたが、これに限らず、ヘッドユニット62A,62Cが、それぞれ複数のYヘッドを備えていれば良い。
なお、上記実施形態ではノズルユニット32の下面と投影光学系PLの先端光学素子の下端面とがほぼ面一であるものとしたが、これに限らず、例えばノズルユニット32の下面を、先端光学素子の射出面よりも投影光学系PLの像面(すなわちウエハ)の近くに配置しても良い。すなわち、局所液浸装置8は上述の構造に限られず、例えば、欧州特許公開第1420298号公報、国際公開第2004/055803号パンフレット、国際公開第2004/057590号パンフレット、国際公開第2005/029559号パンフレット(対応米国特許公開第2006/0231206号)、国際公開第2004/086468号パンフレット(対応米国特許公開第2005/0280791号)、特開2004−289126号公報(対応米国特許第6,952,253号)などに記載されているものを用いることができる。また、例えば国際公開第2004/019128号パンフレット(対応米国特許公開第2005/0248856号)に開示されているように、先端光学素子の像面側の光路に加えて、先端光学素子の物体面側の光路も液体で満たすようにしても良い。さらに、先端光学素子の表面の一部(少なくとも液体との接触面を含む)又は全部に、親液性及び/又は溶解防止機能を有する薄膜を形成しても良い。なお、石英は液体との親和性が高く、かつ溶解防止膜も不要であるが、蛍石は少なくとも溶解防止膜を形成することが好ましい。
なお、上記実施形態では、液体として純水(水)を用いるものとしたが、本発明がこれに限定されないことは勿論である。液体としては、化学的に安定で、照明光ILの透過率が高く安全な液体、例えばフッ素系不活性液体を使用しても良い。このフッ素系不活性液体としては、例えばフロリナート(米国スリーエム社の商品名)が使用できる。このフッ素系不活性液体は冷却効果の点でも優れている。また、液体として、照明光ILに対する屈折率が、純水(屈折率は1.44程度)よりも高い、例えば1.5以上の液体を用いても良い。この液体としては、例えば、屈折率が約1.50のイソプロパノール、屈折率が約1.61のグリセロール(グリセリン)といったC−H結合あるいはO−H結合を持つ所定液体、ヘキサン、ヘプタン、デカン等の所定液体(有機溶剤)、あるいは屈折率が約1.60のデカリン(Decalin: Decahydronaphthalene)などが挙げられる。あるいは、これら液体のうち任意の2種類以上の液体が混合されたものであっても良いし、純水にこれら液体の少なくとも1つが添加(混合)されたものであっても良い。あるいは、液体としては、純水に、H+、Cs+、K+、Cl−、SO4 2−、PO4 2−等の塩基又は酸を添加(混合)したものであっても良い。更には、純水にAl酸化物等の微粒子を添加(混合)したものであっても良い。これら液体は、ArFエキシマレーザ光を透過可能である。また、液体としては、光の吸収係数が小さく、温度依存性が少なく、投影光学系(先端の光学部材)、及び/又はウエハの表面に塗布されている感光材(又は保護膜(トップコート膜)あるいは反射防止膜など)に対して安定なものであることが好ましい。また、F2レーザを光源とする場合は、フォンブリンオイルを選択すれば良い。さらに、液体としては、純水よりも照明光ILに対する屈折率が高い液体、例えば屈折率が1.6〜1.8程度のものを使用しても良い。液体として、超臨界流体を用いることも可能である。また、投影光学系PLの先端光学素子を、例えば石英(シリカ)、あるいは、フッ化カルシウム(蛍石)、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウム、フッ化リチウム、及びフッ化ナトリウム等のフッ化化合物の単結晶材料で形成しても良いし、石英や蛍石よりも屈折率が高い(例えば1.6以上)材料で形成しても良い。屈折率が1.6以上の材料としては、例えば、国際公開第2005/059617号パンフレットに開示される、サファイア、二酸化ゲルマニウム等、あるいは、国際公開第2005/059618号パンフレットに開示される、塩化カリウム(屈折率は約1.75)等を用いることができる。
また、上記実施形態で、回収された液体を再利用するようにしても良く、この場合は回収された液体から不純物を除去するフィルタを液体回収装置、又は回収管等に設けておくことが望ましい。
なお、上記実施形態では、露光装置が液浸型の露光装置である場合について説明したが、これに限られるものではなく、液体(水)を介さずにウエハWの露光を行うドライタイプの露光装置にも採用することができる。
また、上記実施形態では、ステップ・アンド・スキャン方式等の走査型露光装置に本発明が適用された場合について説明したが、これに限らず、ステッパなどの静止型露光装置に本発明を適用しても良い。ステッパなどであっても、露光対象の物体が搭載されたステージの位置をエンコーダで計測することにより、同様に、空気揺らぎに起因する位置計測誤差の発生を殆ど零にすることができ、このエンコーダの計測値に基づいて、ステージを高精度に位置決めすることが可能になり、結果的に高精度なレチクルパターンの物体上への転写が可能になる。また、ショット領域とショット領域とを合成するステップ・アンド・スティッチ方式の縮小投影露光装置、プロキシミティー方式の露光装置、又はミラープロジェクション・アライナーなどにも本発明は適用することができる。さらに、例えば特開平10−163099号公報及び特開平10−214783号公報(対応米国特許第6,590,634号)、特表2000−505958号公報(対応米国特許第5,969,441号)、米国特許第6,208,407号などに開示されているように、複数のウエハステージを備えたマルチステージ型の露光装置にも本発明を適用できる。
また、上記実施形態の露光装置における投影光学系は縮小系のみならず等倍および拡大系のいずれでも良いし、投影光学系PLは屈折系のみならず、反射系及び反射屈折系のいずれでも良いし、その投影像は倒立像及び正立像のいずれでも良い。さらに、投影光学系PLを介して照明光ILが照射される露光領域IAは、投影光学系PLの視野内で光軸AXを含むオンアクシス領域であるが、例えば国際公開第2004/107011号パンフレットに開示されるように、複数の反射面を有しかつ中間像を少なくとも1回形成する光学系(反射系又は反屈系)がその一部に設けられ、かつ単一の光軸を有する、いわゆるインライン型の反射屈折系と同様に、その露光領域は光軸AXを含まないオフアクシス領域でも良い。また、前述の照明領域及び露光領域はその形状が矩形であるものとしたが、これに限らず、例えば円弧、台形、あるいは平行四辺形などでも良い。
なお、上記実施形態の露光装置の光源は、ArFエキシマレーザに限らず、KrFエキシマレーザ(出力波長248nm)、F2レーザ(出力波長157nm)、Ar2レーザ(出力波長126nm)、Kr2レーザ(出力波長146nm)などのパルスレーザ光源、g線(波長436nm)、i線(波長365nm)などの輝線を発する超高圧水銀ランプなどを用いることも可能である。また、YAGレーザの高調波発生装置などを用いることもできる。この他、例えば国際公開第1999/46835号パンフレット(対応米国特許7,023,610号)に開示されているように、真空紫外光としてDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
また、上記実施形態では、露光装置の照明光ILとしては波長100nm以上の光に限らず、波長100nm未満の光を用いても良いことはいうまでもない。例えば、近年、70nm以下のパターンを露光するために、SORやプラズマレーザを光源として、軟X線領域(例えば5〜15nmの波長域)のEUV(Extreme Ultraviolet)光を発生させるとともに、その露光波長(例えば13.5nm)の下で設計されたオール反射縮小光学系、及び反射型マスクを用いたEUV露光装置の開発が行われている。この装置においては、円弧照明を用いてマスクとウエハを同期走査してスキャン露光する構成が考えられるので、かかる装置にも本発明を好適に適用することができる。この他、電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置にも、本発明は適用できる。
また、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク(レチクル)を用いたが、このレチクルに代えて、例えば米国特許第6,778,257号公報に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれ、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)などを含む)を用いても良い。
また、例えば国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞をウエハ上に形成することによって、ウエハ上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
さらに、例えば特表2004−519850号公報(対応米国特許第6,611,316号)に開示されているように、2つのレチクルパターンを投影光学系を介してウエハ上で合成し、1回のスキャン露光によってウエハ上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置にも本発明を適用することができる。
なお、上記実施形態でパターンを形成すべき物体(エネルギビームが照射される露光対象の物体)はウエハに限られるものではなく、ガラスプレート、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。
露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置、有機EL、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD等)、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
半導体素子などの電子デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した実施形態の露光装置(パターン形成装置)によりレチクルのパターンをウエハに転写するステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記実施形態の露光装置を用いて前述の露光方法が実行され、ウエハ上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを生産性良く製造することができる。