JP5055595B2 - 金属測定用蛍光プローブ - Google Patents
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Description
本発明は、分析化学などの化学分野、又は臨床検査などの生命科学分野において有用なものである。
また、ICP発光分析装置は、試料中の複数の金属を同時に測定することができるものであるが、これは非常に高価なものであり、そしてやはりその設置に広いスペースを必要とし、配管や換気装置が必要なものであった。
この方法は高価な装置を使用せずに測定を行える方法であるが、しかしこのキャピラリー電気泳動による方法においては、試料中の多くの共存化学物質もまた紫外光を吸収するため、多くの場合、測定を妨害することが知られている。
また、上記吸光検出法では、蛍光検出法に比べ感度が著しく低いことが一般に知られている。
(1) 「配位部位−スペーサー−蛍光団」の構造よりなる金属測定用蛍光プローブであって、当該配位部位が非環状でありかつ8座以上の配位部位であり、当該スペーサーが「−NH−C(=S)−NH−C 6 H 4 −CH 2 −」である金属測定用蛍光プローブ。
(2) 配位部位が非環状のポリアミノカルボン酸でありかつ8座以上の配位部位である、前記(1)記載の金属測定用蛍光プローブ。
(3) 2−(4−フルオレセイン−チオカルバミル−アミノベンジル)−ジエチレントリアミン五酢酸である、前記(1)又は(2)記載の金属測定用蛍光プローブ。
(4) N−[(R)−2−アミノ−3−(p−フルオレセイン−チオカルバミル−フェニル)プロピル]−トランス−(S,S)−シクロヘキサン−1,2−ジアミン−N,N',N',N''',N'''−五酢酸である、前記(1)又は(2)記載の金属測定用蛍光プローブ。
そして、本発明の金属測定用蛍光プローブにより、試料中に含まれる複数の金属を同時に測定することも可能となった。
本発明の金属測定用蛍光プローブを用いて測定を行う金属は、試料中における存在の有無又はその濃度を測定しようとする金属である。
この金属としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はその他の金属を挙げることができる。
本発明の金属測定用蛍光プローブを用いて金属の測定を行う試料は、前記の金属を含む可能性がある試料であって、これを測定しようとするものである。
金属は単体、イオン及び化合物等の種々の形態を取り、また遊離又はキャリアー(担体)に結合した状態等で存在し、そして様々な物に含まれて存在しているが、本発明の金属測定用蛍光プローブを用いて測定を行う試料中の金属は特に限定されるものではなく、直接又は処理を行うことにより測定することが可能なものであれば対象となる。
もし、金属を含む試料が液体でない場合には、抽出処理又は可溶化処理等の前処理を公知の方法に従って行ない、金属を液体中に含有させるようにしてもよい。
本発明の金属測定用蛍光プローブは、「配位部位−スペーサー−蛍光団」の構造よりなる金属測定用蛍光プローブであって、当該配位部位が非環状でありかつ8座以上の配位部位であるものである。
なお、この金属測定用蛍光プローブにおける配位部位は、測定しようとする試料中の金属と接触することにより、この金属と配位結合し、錯体を形成することができるものであって、そして当該配位部位が非環状でありかつ8座以上の配位部位であれば、特に制限なく用いることができる。
なお、これらの配位部位は、いずれも、5つのカルボキシル基の酸素原子及び3つの窒素原子により8座のものである。
なお、この金属測定用蛍光プローブにおける蛍光団は、可視部又は紫外部の励起光を照射することにより、蛍光を放出するものであれば、特に制限なく用いることができる。
この蛍光団としては、例えば、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアナトなどのフルオレセイン類縁体、キニーネ、ローダミンB、アクリジンオレンジ、クマリン、又はPOPOP等を挙げることができる。
この蛍光団としては、特に、フルオレセイン、又はフルオレセイン類縁体が好ましい。
このスペーサーとしては、特に、「−NH−C(=S)−NH−C6H4−CH2−」が好ましい。
本発明の金属測定用蛍光プローブは、前記の「配位部位」、「スペーサー」及び「蛍光団」を、「配位部位−スペーサー−蛍光団」の構造となるように結合させて調製すれば良い。
例えば、前記のFTC−ABDTPAの調製方法としては、2−(4−アミノベンジル)−ジエチレントリアミン五酢酸溶液にマレイン酸、フルオレセインイソチオシアナート アイソマーI溶液、及び超純水を加え、暗所で放置した後、1−ブタノールで抽出し、さらに1−ペンタノールで抽出し、そして塩酸で再結晶し、乾燥することによりFTC−ABDTPAを取得する方法等を挙げることができる。
本発明の金属測定用蛍光プローブを使用することにより、試料中に含まれる金属を、簡便、正確かつ高感度に測定することができる。また、試料中に含まれる複数の金属を同時に測定することもできる。
このゲル電気泳動法としては、支持体としてゲルを使用する電気泳動法であれば、特に制限なく用いることができる。
このゲル電気泳動法におけるゲルとしては、例えば、ポリアクリルアミドゲル、又はアガロースゲル等を挙げることができるが、特に、ポリアクリルアミドゲルを用いることが好ましい。
また、このゲル電気泳動法としては、スラブ型(垂直型)、ディスク型、又は水平型等のいずれの種類のゲル電気泳動法をも用いることができる。
そして、このゲル電気泳動法としては、通常のゲル電気泳動法、又はSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法のいずれをも用いることができる。
更に、このゲル電気泳動法としては、一次元電気泳動法、又は二次元電気泳動法のいずれをも用いることができる。
なお、このゲル電気泳動法は、濃縮ゲル及び分離ゲルよりなる非連続系ゲルを用いるゲル電気泳動法であっても良い。
(a)試料と、本発明の金属測定用蛍光プローブとを混合し、接触させ、この混合液中において前記試料に含まれる金属と前記金属測定用蛍光プローブとの蛍光性金属錯体を形成させる工程。
(b)前記混合液をゲル電気泳動法に適用する工程。
(c)前記ゲル電気泳動法により泳動された前記蛍光性金属錯体を測定する工程。
これは、この混合液をゲルに添加、接触させ、次に通電して、前記の蛍光性金属錯体を泳動させることにより行う。
これは、前記のゲル電気泳動法のゲルに、用いた金属測定用蛍光プローブの蛍光団に適した波長の励起光を照射し、これに対して放出された蛍光を測定することにより行う。
この蛍光の測定は、目視によりゲルの泳動パターン(バンド)の確認を行い定性的に金属を測定しても良いし、又はデンシトメーター若しくは蛍光光度計等により各バンドの蛍光強度を測定して、定量的に金属を測定しても良い。
また、ゲルの泳動パターン(バンド)を、デジタルカメラやスキャナー等により取り込んで、コンピュータで解析しても良い。
10−1mol dm−3の2−(4−アミノベンジル)−ジエチレントリアミン五酢酸溶液25mlに10−1mol dm−3のマレイン酸(pH6.0)を5ml、10−2mol dm−3のフルオレセインイソチオシアナート アイソマーI溶液を2.5ml、さらに超純水を17.5ml加えた。
その後、暗所で6時間放置し、その後、1−ブタノールで抽出し、さらに1−ペンタノールで抽出し、塩酸で再結晶し、乾燥し、2−(4−フルオレセイン−チオカルバミル−アミノベンジル)−ジエチレントリアミン五酢酸〔FTC−ABDTPA〕の粉末を得た。
測定値:C,53.30;H,5.25;N,7.05%.
計算値:C,53.31;H,4.54;N,7.40%(測定値と計算値の誤差0.71%)
本発明の金属測定用蛍光プローブ(FTC−ABDTPA)を用いて、ゲル電気泳動法により試料中の金属の測定を行った。
下記の13種類の試料をそれぞれ調製した。
(1)カルシウム含有試料
1mMのカルシウムイオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(2)マグネシウム含有試料
1mMのマグネシウムイオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(3)アルミニウム含有試料
1mMのアルミニウムイオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(4)鉄含有試料
1mMの鉄イオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(5)銅含有試料
1mMの銅イオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(6)亜鉛含有試料
1mMの亜鉛イオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(7)ニッケル含有試料
1mMのニッケルイオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(8)コバルト含有試料
1mMのコバルトイオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(9)マンガン含有試料
1mMのマンガンイオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(10)カドミウム含有試料
1mMのカドミウムイオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(11)水銀含有試料
1mMの水銀イオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(12)鉛含有試料
1mMの鉛イオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(13)陰性対照試料
超純水を陰性対照試料とした。
実施例1にて調製した2−(4−フルオレセイン−チオカルバミル−アミノベンジル)−ジエチレントリアミン五酢酸〔FTC−ABDTPA〕を、金属測定用蛍光プローブとして用いた。
(1)濃縮ゲル
ゲル濃度が16.5%T(1.46%C)であり、0.0938Mトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸緩衝液(pH8.8)を含むポリアクリルアミドゲルを調製し、濃縮ゲルとした。
ゲル濃度が30%T(0.8%C)であり、0.166Mトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸緩衝液(pH9.3)、0.0853Mグリシンを含むポリアクリルアミドゲルを、分離ゲルとした。
48mMグリシンを含む6.25mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液(pH8.3)を調製し、これを泳動液とした。
(1) 前記1の13種類の試料各々と、前記2の蛍光プローブ含有溶液と、50wt%グリセロール水溶液と、75mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液(pH8.8)と、純水とを、それぞれ1:1:0.5:1:6.5で混合し、これにより試料と金属測定用蛍光プローブ(FTC−ABDTPA)とを接触させ、室温にて20分間放置し、この混合液中において前記1の各試料中の金属と金属測定用蛍光プローブ(FTC−ABDTPA)との蛍光性金属錯体を形成させた。
なお、このポリアクリルアミドゲル電気泳動法は、一次元・スラブ型であり、濃縮ゲルの下に分離ゲルを配置した非連続系のものである。
この濃縮ゲルとしては前記3の(1)の濃縮ゲルを用い、また、分離ゲルとしては前記3の(2)の分離ゲルを用い、そして、泳動液としては前記3の(3)の泳動液を用いた。
次に、計13種類の前記(1)の混合液のそれぞれの0.5μLを、前記の濃縮ゲルに添加し、接触させた。
そして、電流20mA(一定)、電圧680−1150Vで、180分間通電した。
この通電により、前記の蛍光性金属錯体は濃縮ゲル中で濃縮され、その後分離ゲルに移動し、分離ゲル中を泳動した。
次に、この濃縮ゲル及び分離ゲルを乾燥させた。
これにより放出された蛍光による濃縮ゲル及び分離ゲルの泳動パターン(バンド)を、デジタルカメラで撮影した。
この濃縮ゲル及び分離ゲルの泳動パターン(バンド)を、図1に示した。
なお、この図1の泳動パターン(バンド)において、「Blank」は前記の陰性対照試料のバンドを示す。
また、「Ca」は前記のカルシウム含有試料のバンドを示し、同様に、「Mg」は前記のマグネシウム含有試料の、「Al」は前記のアルミニウム含有試料の、「Fe」は前記の鉄含有試料の、「Cu」は前記の銅含有試料の、「Zn」は前記の亜鉛含有試料の、「Ni」は前記のニッケル含有試料の、「Co」は前記のコバルト含有試料の、「Mn」は前記のマンガン含有試料の、「Cd」は前記のカドミウム含有試料の、「Hg」は前記の水銀含有試料の、そして「Pb」は前記の鉛含有試料のバンドを示す。
図1の濃縮ゲル及び分離ゲルの泳動パターン(バンド)から、本発明の金属測定用蛍光プローブを用いることにより、試料中に含まれる金属に応じたバンドが得られることが分かる。
このことより、本発明の金属測定用蛍光プローブを用いることによって、試料中に微量に含まれる金属を、簡便、正確かつ高感度に測定できることが確かめられた。
10−1mol dm−3の[(R)−2−アミノ−3−(4−イソチオシアナトフェニル)プロピル]−トランス−(S,S)−シクロヘキサン−1,2−ジアミン−五酢酸溶液25mlに10−1mol dm−3のマレイン酸(pH6.0)を5ml、10−2mol dm−3の5−アミノフルオレセイン溶液を2.5ml、さらに超純水を17.5ml加えた。
その後、暗所で6時間放置し、N−[(R)−2−アミノ−3−(p−フルオレセイン−チオカルバミル−フェニル)プロピル]−トランス−(S,S)−シクロヘキサン−1,2−ジアミン−N,N′,N′,N′′′,N′′′−五酢酸〔FTC−CHX−A”−DTPA〕を得た。
本発明の金属測定用蛍光プローブ(FTC−CHX−A”−DTPA)を用いて、ゲル電気泳動法により試料中の金属の測定を行った。
下記の14種類の試料をそれぞれ調製した。
(1)鉛含有試料
1mMの鉛イオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(2)水銀含有試料
1mMの水銀イオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(3)カドミウム含有試料
1mMのカドミウムイオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(4)マンガン含有試料
1mMのマンガンイオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(5)コバルト含有試料
1mMのコバルトイオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(6)ニッケル含有試料
1mMのニッケルイオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(7)亜鉛含有試料
1mMの亜鉛イオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(8)銅含有試料
1mMの銅イオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(9)鉄含有試料
1mMの鉄イオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(10)アルミニウム含有試料
1mMのアルミニウムイオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(11)マグネシウム含有試料
1mMのマグネシウムイオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(12)カルシウム含有試料
1mMのカルシウムイオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(13)12種類の金属含有試料
0.1mMの鉛イオン、0.1mMの水銀イオン、0.1mMのカドミウムイオン、0.1mMのマンガンイオン、0.1mMのコバルトイオン、0.1mMのニッケルイオン、0.1mMの亜鉛イオン、0.1mMの銅イオン、0.1mMの鉄イオン、0.1mMのアルミニウムイオン、0.1mMのマグネシウムイオン、及び0.1mMのカルシウムイオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(14)陰性対照試料
超純水を陰性対照試料とした。
実施例2にて調製したN−[(R)−2−アミノ−3−(p−フルオレセイン−チオカルバミル−フェニル)プロピル]−トランス−(S,S)−シクロヘキサン−1,2−ジアミン−N,N′,N′,N′′′,N′′′−五酢酸〔FTC−CHX−A”−DTPA〕を、金属測定用蛍光プローブとして用いた。
(1)濃縮ゲル
ゲル濃度が16.5%T(1.46%C)であり、0.0938Mトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸緩衝液(pH8.8)を含むポリアクリルアミドゲルを調製し、濃縮ゲルとした。
ゲル濃度が30%T(0.8%C)であり、0.166Mトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸緩衝液(pH9.3)、0.0853Mグリシンを含むポリアクリルアミドゲルを、分離ゲルとした。
48mMグリシンを含む6.25mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液(pH8.3)を調製し、これを泳動液とした。
(1) 前記1の14種類の試料各々と、前記2の蛍光プローブ含有溶液と、50wt%グリセロール水溶液と、75mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液(pH8.8)と、純水とを、それぞれ1:1:0.5:1:6.5で混合し、これにより試料と金属測定用蛍光プローブ(FTC−CHX−A”−DTPA)とを接触させ、室温にて20分間放置し、この混合液中において前記1の各試料中の金属と金属測定用蛍光プローブ(FTC−CHX−A”−DTPA)との蛍光性金属錯体を形成させた。
なお、このポリアクリルアミドゲル電気泳動法は、一次元・スラブ型であり、濃縮ゲルの下に分離ゲルを配置した非連続系のものである。
この濃縮ゲルとしては前記3の(1)の濃縮ゲルを用い、また、分離ゲルとしては前記3の(2)の分離ゲルを用い、そして、泳動液としては前記3の(3)の泳動液を用いた。
次に、計14種類の前記(1)の混合液のそれぞれの0.5μLを、前記の濃縮ゲルに添加し、接触させた。
そして、電流20mA(一定)、電圧680−1150Vで、180分間通電した。
この通電により、前記の蛍光性金属錯体は濃縮ゲル中で濃縮され、その後分離ゲルに移動し、分離ゲル中を泳動した。
次に、この濃縮ゲル及び分離ゲルを乾燥させた。
これにより放出された蛍光による濃縮ゲル及び分離ゲルの泳動パターン(バンド)を、デジタルカメラで撮影した。
この濃縮ゲル及び分離ゲルの泳動パターン(バンド)を、図2に示した。
なお、この図2の泳動パターン(バンド)において、「L」は前記の陰性対照試料のバンドを示す。
また、「Metal*12」は前記の12種類の金属含有試料のバンドを示す。
そして、「Pb」は前記の鉛含有試料のバンドを示し、同様に、「Hg」は前記の水銀含有試料の、「Cd」は前記のカドミウム含有試料の、「Mn」は前記のマンガン含有試料の、「Co」は前記のコバルト含有試料の、「Ni」は前記のニッケル含有試料の、「Zn」は前記の亜鉛含有試料の、「Cu」は前記の銅含有試料の、「Fe」は前記の鉄含有試料の、「Al」は前記のアルミニウム含有試料の、「Mg」は前記のマグネシウム含有試料の、そして「Ca」は前記のカルシウム含有試料のバンドを示す。
図2の濃縮ゲル及び分離ゲルの泳動パターン(バンド)から、本発明の金属測定用蛍光プローブを用いることにより、試料中に含まれる金属に応じたバンドが得られることが分かる。
このことからも、本発明の金属測定用蛍光プローブを用いることによって、試料中に微量に含まれる金属を、簡便、正確かつ高感度に測定できることが確かめられた。
本発明の金属測定用蛍光プローブ(FTC−ABDTPA)、又は従来の金属測定用蛍光プローブ(FTC−ABDOTA)を用いて、キャピラリー電気泳動−レーザー誘起蛍光検出法(CE−LIF)により試料中の金属の測定を行った。
下記の13種類の試料をそれぞれ調製した。
(1)マグネシウム含有試料
1mMのマグネシウムイオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(2)アルミニウム含有試料
1mMのアルミニウムイオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(3)カルシウム含有試料
1mMのカルシウムイオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(4)マンガン含有試料
1mMのマンガンイオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(5)鉄含有試料
1mMの鉄イオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(6)コバルト含有試料
1mMのコバルトイオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(7)ニッケル含有試料
1mMのニッケルイオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(8)銅含有試料
1mMの銅イオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(9)亜鉛含有試料
1mMの亜鉛イオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(10)カドミウム含有試料
1mMのカドミウムイオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(11)水銀含有試料
1mMの水銀イオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(12)鉛含有試料
1mMの鉛イオンを含む、10mM塩酸溶液を調製した。
(13)陰性対照試料
超純水を陰性対照試料とした。
(1)FTC−ABDTPA含有溶液
実施例1にて調製した2−(4−フルオレセイン−チオカルバミル−アミノベンジル)−ジエチレントリアミン五酢酸〔FTC−ABDTPA〕を、金属測定用蛍光プローブとして用いた。
2−(4−フルオレセイン−チオカルバミル−アミノベンジル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸〔FTC−ABDOTA〕を、金属測定用蛍光プローブとして用いた。
0.05wt%のポリブレン、及び1mMの1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸(DOTA)を含む50mMリン酸−ホウ酸緩衝液(pH10.09)を調製し、これを泳動液とした。
(1) 前記1の13種類の試料各々と、前記2の(1)のFTC−ABDTPA含有溶液と、100mMホウ酸緩衝液(pH10.0)と、純水とを、それぞれ0.001:0.05:2:8で混合し、これにより試料と金属測定用蛍光プローブ(FTC−ABDTPA)とを接触させ、室温にて20分間放置し、この混合液中において前記1の各試料中の金属と金属測定用蛍光プローブ(FTC−ABDTPA)との蛍光性金属錯体を形成させた。
なお、キャピラリー電気泳動−レーザー誘起蛍光検出法(CE−LIF)における高電圧電源は松定プレシジョンのHCZE−30Pを、レーザー装置はSpectra−Physics社製ArレーザーシステムModel263Dを、レーザー誘起蛍光検出器はPicometrics社製ZETALIFを使用した。
Arレーザー(励起波長488nm)の出力は8.0mWとした。
また、キャピラリー電気泳動の印加電圧は20kV一定とした。
キャピラリーチューブは、ジーエルサイエンス社製の内径0.05mm、全長60cm、及び有効長47cmの溶融シリカキャピラリーを使用した。
なお、この図において、「L2」は前記の陰性対照試料のバンドを示す。
また、「Cd」は前記のカドミウム含有試料のピークを示し、同様に、「Mn」は前記のマンガン含有試料の、「Pb」は前記の鉛含有試料の、「Zn」は前記の亜鉛含有試料の、「Ni」は前記のニッケル含有試料の、「Co」は前記のコバルト含有試料のピークを示す。
そして、この図において、横軸は移動時間(分)を表し、縦軸は測定により得られた蛍光強度を表す。
このFTC−ABDOTAを用いてキャピラリー電気泳動−レーザー誘起蛍光検出法(CE−LIF)により試料中の金属を測定した結果を、図4に示した。
なお、この図において、「L3」は前記の陰性対照試料のバンドを示す。
また、「Ca2+」は前記のカルシウム含有試料のピークを示し、同様に、「Mn2+」は前記のマンガン含有試料の、「Mg2+」は前記のマグネシウム含有試料の、「Zn2+」は前記の亜鉛含有試料の、「Co2+」は前記のコバルト含有試料の、「Cu2+」は前記の銅含有試料の、「Ni2+」は前記のニッケル含有試料のピークを示す。
そして、「■」は未確定なピークを示す。
なお、この図において、横軸は移動時間(分)を表し、縦軸は測定により得られた蛍光強度を表す。
図3より、金属測定用蛍光プローブとして、本発明の金属測定用蛍光プローブであるFTC−ABDTPAを用いてキャピラリー電気泳動−レーザー誘起蛍光検出法(CE−LIF)により試料中の金属を測定した場合には、試料中のカドミウム、鉛、マンガン、亜鉛、ニッケル及びコバルトの各イオンを測定することが出来たことが分かる。
Claims (4)
- 「配位部位−スペーサー−蛍光団」の構造よりなる金属測定用蛍光プローブであって、当該配位部位が非環状でありかつ8座以上の配位部位であり、当該スペーサーが「−NH−C(=S)−NH−C 6 H 4 −CH 2 −」である金属測定用蛍光プローブ。
- 配位部位が非環状のポリアミノカルボン酸でありかつ8座以上の配位部位である、請求項1記載の金属測定用蛍光プローブ。
- 2−(4−フルオレセイン−チオカルバミル−アミノベンジル)−ジエチレントリアミン五酢酸である、請求項1又は請求項2記載の金属測定用蛍光プローブ。
- N−[(R)−2−アミノ−3−(p−フルオレセイン−チオカルバミル−フェニル)プロピル]−トランス−(S,S)−シクロヘキサン−1,2−ジアミン−N,N',N',N''',N'''−五酢酸である、請求項1又は請求項2記載の金属測定用蛍光プローブ。
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