発明の詳細な説明
関連出願に対するクロスリファレンス
本出願は、35U.S.C.§119(e)に基づいて、米国仮出願第60/683,475号、2005年5月19日出願の優先権を請求し、該文献は、本明細書において、その全体が援用される。
分野
本発明は、抗体を安定化させるための方法および組成物の分野にある。
背景
抗体を用いる多くの適用において、ある期間に渡って、物理的構造および生物学的活性が安定に維持されるように、抗体を配合することが望ましい。抗体の現在の使用には、多くの他の使用の中に、広い研究使用、ならびにヒト療法剤および診断剤としての使用が含まれる。抗体は、タンパク質の一種として、多くの類似性を共有するが、異なる抗体は、異なる物理的構造および生物学的活性を所持する。単一抗体の調製物は、例えば、グリコシル化、アミノ酸修飾、または三次構造における相違のため、不均一である可能性もある。本発明は、抗体の特定の群を安定化させるための組成物および方法、ならびにこうした組成物を用いて、多様な疾患を治療する方法に対して向けられる。
概要
本発明は、抗体を含む安定な組成物、および抗体を安定化させるための方法を含む。特定の態様において、組成物は、開示する抗体群の中から抗体を含んでもよく、そして組成物は、特定の範囲内のpHを有し、そして/または特定の緩衝剤、例えばヒスチジン、酢酸ナトリウム、またはクエン酸ナトリウムなどを含む。他の態様において、本発明は、複数の構造変異体を含むモノクローナル抗体の精製調製物、例えば、抗体の少なくとも2、3、4、または5の異なるアイソフォームを含む調製物を含む、組成物を提供する。本発明は、抗体、場合によって、複数の構造変異体を含むモノクローナル抗体の精製調製物を安定化させる方法をさらに含む。構造変異体は、抗体の可変領域に付着したN−グリカンの不均一シアル化によるアイソフォームであってもよい。構造変異体は、抗体に付着したグリカンいずれかの不均一シアル化によるアイソフォームであってもよい。
1つの側面において、本発明には、約pH5.5〜約pH6.5のpHを有し、モノクローナル抗体の精製調製物およびヒスチジン、酢酸ナトリウム、またはクエン酸ナトリウムを含む、安定な薬剤組成物であって、抗体が、以下からなる特性群から選択される少なくとも1つの特性を有する、前記薬剤組成物が含まれる:(a)抗体は、配列番号6、配列番号10、配列番号14、または配列番号30と、少なくとも約80%、85%、90%、95%、98%、または100%同一である重鎖可変領域を含む;(b)抗体は、配列番号8、配列番号12、配列番号16、または配列番号31と、少なくとも約80%、85%、90%、95%、98%、または100%同一である軽鎖可変領域を含む;(c)抗体は、N−グリカン部位を含む重鎖可変領域を含む;(d)抗体は、N−グリカン部位を含む軽鎖可変領域を含む;(e)抗体は、(i)配列番号36におけるのと同じ順序および間隔で、配列番号36のアミノ酸の少なくとも7つを含むアミノ酸配列;および(ii)配列番号37を含むアミノ酸配列、からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む、重鎖可変領域を含む;(f)抗体は、(i)配列番号43;および(ii)配列番号44からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む、軽鎖可変領域を含む;(g)抗体は、ヒト・ゲノムVHセグメント5−51(配列番号58)または5−a(配列番号59)によってコードされるものと、少なくとも約80%、85%または90%同一である重鎖可変領域を含む;ならびに(h)抗体は、ヒト・ゲノムVLセグメントVKIII/A27(配列番号60)によってコードされるものと、少なくとも約80%、85%または90%同一である軽鎖可変領域を含む。さらなる側面において、抗体は:配列番号34を含むCDR1;配列番号35を含むCDR2;および配列番号36または配列番号37を含むCDR3を含む、重鎖可変領域を含んでもよい。さらに別の側面において、抗体は:配列番号38、配列番号39、または配列番号40を含むCDR1;配列番号41または配列番号42を含むCDR2;および配列番号43または配列番号44を含むCDR3を含む、軽鎖可変領域を含んでもよい。いくつかの態様において、重鎖可変領域は、以下の配列を含んでもよい:配列番号34におけるのと同じ順序および間隔で、配列番号34のアミノ酸の少なくとも4つを含むCDR1;配列番号35におけるのと同じ順序および間隔で、配列番号35のアミノ酸の少なくとも10、11、12、13、14、または15を含むCDR2;配列番号36または配列番号37におけるのと同じ順序および間隔で、配列番号36または配列番号37のアミノ酸の少なくとも5、6、または7を含むCDR3。いくつかの態様において、軽鎖可変領域は、以下の配列を含んでもよい:配列番号38、配列番号39、または配列番号40におけるのと同じ順序および間隔で、配列番号38、配列番号39、または配列番号40のアミノ酸の少なくとも9、10、または11を含むCDR1;配列番号41または配列番号42におけるのと同じ順序および間隔で、配列番号41または配列番号42のアミノ酸の少なくとも4、5、または6を含むCDR2;配列番号43または配列番号44におけるのと同じ順序および間隔で、配列番号43または配列番号44のアミノ酸の少なくとも7、8、および9を含むCDR3。モノクローナル抗体は、IgG抗体、例えばIgG1、IgG2、およびIgG3、またはIgG4抗体であってもよい。組成物は、ソルビトールまたはスクロースなどの糖、および/または塩を含んでもよい。組成物のpHは、約5.7〜約6.3であってもよいし、または約6.0であってもよい。抗体は、ヒトまたはヒト化抗体であってもよく、そしてインターフェロン・ガンマ(IFN−γ)に結合してもよい。
本発明は、モノクローナル抗体の精製調製物および緩衝剤を含む薬剤組成物であって、該組成物が約5.5〜約6.5のpHであり、そして該精製調製物が、抗体の少なくとも3つの異なるアイソフォームを含む、前記薬剤組成物を提供する。組成物のpHは、約5.7〜約6.3であってもよいし、または約6.0であってもよく、そして組成物は液体であってもよい。抗体は、重鎖および/または軽鎖の可変領域中にN−グリカン部位を含んでもよく、そして配列番号6、配列番号10、配列番号14、または配列番号30と、少なくとも80%、90%、95%、98%、または100%同一である重鎖可変領域を有してもよく、そして/または軽鎖可変領域は、配列番号8、配列番号12、配列番号16、または配列番号31と、少なくとも80%、90%、95%、98%、または100%同一である。抗体は:配列番号34を含むCDR1、配列番号35を含むCDR2、および配列番号36または配列番号37を含むCDR3を含む、重鎖可変領域;ならびに/あるいは配列番号38、配列番号39、または配列番号40を含むCDR1、配列番号41または配列番号42を含むCDR2、および配列番号43または配列番号44を含むCDR3を含む、軽鎖可変領域を含んでもよい。緩衝剤は、ヒスチジン、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、またはクエン酸ナトリウムであってもよく、そして組成物は、糖、例えばソルビトールなど、炭水化物、および/または塩をさらに含んでもよい。抗体は、CHO細胞中で産生されてもよい。抗体は、ヒトまたはヒト化IgG抗体、場合によって、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4抗体であってもよい。抗体は、インターフェロン・ガンマ、場合によって、ヒト・インターフェロン・ガンマに結合してもよい。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって評価した際、精製調製物中の検出可能なタンパク質の少なくとも90%または95%が、単量体ピーク中にあってもよい。
さらに、本発明は、緩衝剤を含む組成物中に精製調製物を配合することを含む、モノクローナル抗体の精製調製物を安定化させるための方法であって、該組成物が約5.5〜約6.5のpHを有し、そして該精製調製物が、抗体の少なくとも3つの異なるアイソフォームを含む、前記方法を提供する。抗体は、重鎖および/または軽鎖の可変領域中にN−グリカン部位を有してもよい。抗体の重鎖可変領域は、配列番号6、配列番号10、配列番号14、または配列番号30と、少なくとも80%、90%、95%、98%、または100%同一であってもよく、そして/または抗体の軽鎖可変領域は、配列番号8、配列番号12、配列番号16、または配列番号31と、少なくとも80%、90%、95%、98%、または100%同一であってもよい。抗体は:配列番号34を含むCDR1、配列番号35を含むCDR2、および配列番号36または配列番号37を含むCDR3を含む、重鎖可変領域;ならびに/あるいは配列番号38、配列番号39、または配列番号40を含むCDR1、配列番号41または配列番号42を含むCDR2、および配列番号43または配列番号44を含むCDR3を含む、軽鎖可変領域を含んでもよい。緩衝剤は、ヒスチジン、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、またはクエン酸ナトリウムであってもよい。組成物は、糖、例えばソルビトールなど、炭水化物、および/または塩をさらに含んでもよい。抗体は、CHO細胞中で作製されてもよく、そしてIgG抗体、場合によって、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4であってもよい。抗体は、ヒトまたはヒト化抗体であってもよい。組成物のpHは、約5.7〜約6.3、または約6.0であってもよい。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって評価した際、精製調製物中の検出可能なタンパク質の少なくとも90%または95%が、単量体ピーク中にあってもよい。
別の態様において、本発明には、ヒスチジンおよびモノクローナル抗体の精製調製物を含む組成物であって、該精製調製物が、抗体の少なくとも3つのアイソフォームを含み、そして該組成物のpHが約5〜約7である、前記組成物が含まれる。あるいは、組成物は、酢酸ナトリウムおよびモノクローナル抗体の精製調製物を含んでもよく、該精製調製物は、抗体の少なくとも3つのアイソフォームを含み、そして該組成物のpHは約5〜約6である。抗体は、重鎖および/または軽鎖の可変領域中にN−グリカン部位を含んでもよく、そして配列番号6、配列番号10、配列番号14、または配列番号30に、少なくとも80%、90%、95%、98%、または100%同一である重鎖可変領域、および/または配列番号8、配列番号12、配列番号16、または配列番号31と、少なくとも80%、90%、95%、98%、または100%同一である軽鎖可変領域を含んでもよい。抗体は:配列番号34を含むCDR1、配列番号35を含むCDR2、および配列番号36または配列番号37を含むCDR3を含む、重鎖可変領域;ならびに/あるいは配列番号38、配列番号39、または配列番号40を含むCDR1、配列番号41または配列番号42を含むCDR2、および配列番号43または配列番号44を含むCDR3を含む、軽鎖可変領域を含んでもよい。組成物は、糖、例えばソルビトールなど、炭水化物、および/または塩をさらに含んでもよい。抗体は、CHO細胞中で作製されてもよく、そしてIgG抗体、場合によって、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4であってもよい。抗体は、ヒトまたはヒト化抗体であってもよい。組成物のpHは、約5.5〜約6.5、約5.7〜約6.3、または約6.0であってもよい。組成物は液体であってもよく、あるいは凍結または凍結乾燥されていてもよい。組成物は、糖、例えばソルビトールなど、炭水化物、および/または塩をさらに含んでもよい。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって評価した際、精製調製物中の検出可能なタンパク質の少なくとも90%または95%が、単量体ピーク中にあってもよい。
別の態様において、本発明は、ヒスチジンを含む組成物中に抗体を配合することを含む、モノクローナル抗体の精製調製物を安定化させるための方法であって、該精製調製物が、抗体の少なくとも3つのアイソフォームを含み、そして該組成物のpHが約5〜約7である、前記方法を含む。あるいは、組成物は、酢酸ナトリウムおよびモノクローナル抗体の精製調製物を含んでもよく、該精製調製物は、抗体の少なくとも3つのアイソフォームを含み、そして該組成物のpHは約5〜約6である。組成物は、糖、例えばソルビトールなど、炭水化物、および/または塩をさらに含んでもよい。抗体は、配列番号6、配列番号10、配列番号14、または配列番号30と、少なくとも80%、90%、95%、98%、または100%同一である重鎖可変領域、および/または配列番号8、配列番号12、配列番号16、または配列番号31と、少なくとも80%、90%、95%、98%、または100%同一である軽鎖可変領域を含んでもよい。抗体は:配列番号34を含むCDR1、配列番号35を含むCDR2、および配列番号36または配列番号37を含むCDR3を含む、重鎖可変領域;ならびに/あるいは配列番号38、配列番号39、または配列番号40を含むCDR1、配列番号41または配列番号42を含むCDR2、および配列番号43または配列番号44を含むCDR3を含む、軽鎖可変領域を含んでもよい。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって評価した際、精製調製物中の検出可能なタンパク質の少なくとも90%または95%が、単量体ピーク中にあってもよい。
本発明にはまた、モノクローナル抗体の精製調製物およびヒスチジンを含む薬剤組成物も含まれ、該薬剤組成物は、約5〜約7のpHを有するか、または約6のpHを有する。精製調製物は、抗体の少なくとも3つのアイソフォームを含んでもよい。抗体は、配列番号6、配列番号10、配列番号14、または配列番号30のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、85%、90%、95%、または100%同一である重鎖可変領域、および/または配列番号8、配列番号12、配列番号16、または配列番号31のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、85%、90%、95%、または100%同一である軽鎖可変領域を含んでもよい。組成物はまた、ソルビトールも含んでもよい。
本発明にはさらに、モノクローナル抗体の精製調製物および酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、またはリン酸カリウムを含む薬剤組成物も含まれ、該薬剤組成物は、約5〜約6のpHを有するか、または約6のpHを有する。精製調製物は、抗体の少なくとも3つのアイソフォームを含んでもよい。抗体は、配列番号6、配列番号10、配列番号14、または配列番号30のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、85%、90%、95%、または100%同一である重鎖可変領域、および/または配列番号8、配列番号12、配列番号16、または配列番号31のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、85%、90%、95%、または100%同一である軽鎖可変領域を含んでもよい。組成物はまた、ソルビトールも含んでもよい。
本発明にはさらに、モノクローナル抗体の精製調製物およびクエン酸ナトリウムを含む薬剤組成物も含まれ、該薬剤組成物は、約6〜約7のpHを有するか、または約6のpHを有する。精製調製物は、抗体の少なくとも3つのアイソフォームを含んでもよい。抗体は、配列番号6、配列番号10、配列番号14、または配列番号30のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、85%、90%、95%、または100%同一である重鎖可変領域、および/または配列番号8、配列番号12、配列番号16、または配列番号31のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、85%、90%、95%、または100%同一である軽鎖可変領域を含んでもよい。組成物はまた、ソルビトールも含んでもよい。
別の側面において、本発明は、ヒト抗原に特異的に結合するヒトまたはヒト化モノクローナル抗体の精製調製物、ヒスチジン、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、またはクエン酸ナトリウム、および塩ならびに/あるいは糖を含む、安定な薬剤組成物であって、抗体がその重鎖および/または軽鎖の可変領域中にN−グリカン部位を有する、前記組成物を提供する。別の態様において、本発明は、ヒト抗原に特異的に結合するヒトまたはヒト化モノクローナル抗体の精製調製物、緩衝剤、および塩ならびに/あるいは糖を含む、安定な薬剤組成物であって、該抗体がその重鎖および/または軽鎖の可変領域中にN−グリカンを含み、そして該組成物のpHが約5.5〜約6.5である、前記薬剤組成物を提供する。場合によって、組成物のpHは、約5.7〜約6.3であってもよいし、または約6であってもよい。さらに、本発明は、ヒト抗原に特異的に結合するヒトまたはヒト化モノクローナル抗体の精製調製物、緩衝剤、例えばヒスチジン、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、またはクエン酸ナトリウム、および塩ならびに/あるいは糖を含む、安定な薬剤組成物であって、該抗体が、配列番号6、配列番号10、配列番号14、および/または配列番号30と、少なくとも約80%、85%、90%、95%、98%、または100%同一である、前記薬剤組成物を含む。組成物のpHは、約5.5〜約6.5であってもよい。さらなる側面において、本発明には、ヒト抗原に特異的に結合するヒトまたはヒト化モノクローナル抗体の精製調製物、緩衝剤、例えばヒスチジン、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、またはクエン酸ナトリウム、および塩ならびに/あるいは糖を含む、安定な薬剤組成物であって、該抗体が、配列番号8、配列番号12、配列番号16、および/または配列番号31と、少なくとも約80%、85%、90%、95%、98%、または100%同一である、前記薬剤組成物が含まれる。組成物のpHは、約5.5〜約6.5であってもよい。場合によって、組成物のpHは、約5.7〜約6.3であってもよく、または約6であってもよい。組成物は、液体であってもよく、そしてその場合、あらかじめ凍結乾燥されていなくてもよい。あるいは、組成物を凍結乾燥してもよい。
本発明にはまた、抗体を安定化させるための方法であって:重鎖および/または軽鎖の可変領域中に、N−グリカン部位を有するモノクローナル抗体の精製調製物を選択し、そしてヒスチジン、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、またはクエン酸ナトリウムを含み、そして約5.5〜約6.5のpHを有する溶液中に、精製調製物を配合する工程を含む、前記方法も含まれる。溶液は、ソルビトールまたはスクロースなどの糖、および/または塩をさらに含んでもよい。溶液のpHは約6.0であってもよい。抗体は、配列番号6、配列番号10、配列番号14、および/または配列番号30と、少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、または100%同一である、アミノ酸配列を含んでもよい。あるいは、またはさらに、抗体は、配列番号8、配列番号12、配列番号16、および/または配列番号31と、少なくとも約80%、85%、90%、95%、98%、または100%同一である、アミノ酸配列を含んでもよい。
最後に、本発明は、モノクローナル抗体の複数の構造変異体を含む、ヒト抗原に結合するヒトまたはヒト化モノクローナル抗体の精製調製物を安定化させるための方法であって、構造変異体がN−グリカン部位の不均一なグリコシル化による、少なくとも2つ、3つ、または4つの構造変異体の混合物を選択し、そして約5〜約6.5のpHで、緩衝剤、例えばヒスチジン、リン酸、クエン酸、または酢酸、および糖ならびに/あるいは塩を含む組成物中に、混合物を配合する工程を含む、前記方法を提供する。組成物は、ソルビトールまたはスクロースをさらに含んでもよい。
配列リストの簡単な説明
表1
詳細な説明
物理的構造および生物学的活性を安定化させるように、抗体を配合してもよい。抗体を安定化させる特に重要な側面は、抗体の凝集を阻害するかまたは防止することであり、これは、凝集した抗体が、単量体よりもより免疫原性でありうるためである。例えば、Hermelingら(2004), Pharm. Res. 21(6):897−903を参照されたい。療法剤に対する免疫応答は、望ましくない副作用を生じるか、または抗体の有効性を減少させうる。本発明は、抗体配合のための組成物および方法、場合によって、例えばグリコシル化の相違のために不均一であるモノクローナル抗体の精製調製物配合のための組成物および方法を提供する。
抗体安定化のための重要なパラメーターには、抗体の純度および不均一性の度合い、pH、および緩衝剤が含まれる。組成物の他の特質、例えば塩、炭水化物および/または糖、アミノ酸、ならびに/あるいは多くの他の成分もまた、抗体安定性に影響を及ぼしうる。抗体濃度もまた、安定性に影響を及ぼしうる。異なる抗体は、組成物のいくつかの特質に対して感受性であり、そして他のものに感受性でない可能性もある。本発明は、モノクローナル抗体の精製調製物を安定化させるための方法、これらの抗体を含む安定組成物、およびこれらの組成物を用いて、特定の疾患を治療する方法に対して向けられる。
いくつかの態様において、本発明の抗体は、「不均一」である。モノクローナル抗体の精製調製物は、抗体がモノクローナル抗体であり、そして精製調製物中の抗体分子の実質的にすべてが、同一のアミノ酸配列を有する場合であってさえ、複数の「構造変異体」を含むならば、本明細書に意味するように不均一である。不均一性は、他の可能性の中でも、例えば、不均一なグリコシル化、ジスルフィド結合形成の不均一性、および/またはタンパク質フォールディングの不均一性から生じうる。本明細書に意味する際、「構造変異体」の中に含まれないのは、C末端リジンまたは環状化N末端グルタミンを欠く変異体などの、異なるアミノ酸配列を持つ変異体である。例えば、Moorhouseら(1997), J. Pharmaceut. Biomed. Analysis 16:593−603を参照されたい。例えば、不均一モノクローナル抗体は、IgG重鎖のCH2ドメイン中の非常に保存されたN−グリカン部位以外の、N−グリカン部位またはO−グリカン部位を有するIgG抗体であってもよい。この保存されたN−グリカン部位は、実質的にシアル化されず、そして抗体のエフェクター機能に重要である。例えば、WrightおよびMorrison(1997), TIBTECH 15:26−32;TaoおよびMorrison(1989). J. Immunol. 143:2595−2601;Sheeleyら(1997), Analytical Biochem. 247:102−10を参照されたい。他のN−グリカン部位またはO−グリカン部位は、抗体アミノ酸配列中のどこに存在してもよく、場合によって、重鎖または軽鎖の可変領域中、あるいはCL、CH1、CH2、またはCH3領域中に存在してもよく、そして多様な度合いにシアル化され、こうして異なる電荷を持つ異なる構造変異体を生じてもよい。こうした異なって荷電した変異体は、本明細書において、「アイソフォーム」と称される。あるいは、不均一抗体調製物は、異なってフォールディングされている構造変異体を含んでもよく、そして異なってフォールディングされた種は、カラム・クロマトグラフィーによって分離可能でありうる。いくつかの態様において、こうした異なってフォールディングされた変異体は、異なるジスルフィド結合パターンを有してもよく、そしてカラム・クロマトグラフィーによって分離可能でありうる。不均一抗体調製物は、均一調製物とは異なる安定特性を示す可能性もあり、そして単離構造変異体を含む、異なる均一調製物は、互いに異なる安定特性を示す可能性もある。したがって、ただ1つの構造変異体または構造変異体の組み合わせを含む組成物は、市販に適した安定組成物でありうる。
精製抗体調製物の観察される不均一性が、N−グリカン間の不均一なグリコシル化のためであるかどうかを決定するため、実施例1に記載するように、ペプチド:N−グリコシダーゼF(PNGアーゼF)での消化を伴いおよび伴わずにの両方で、陽イオン交換クロマトグラフィーによって、抗体の精製調製物の試料を分析してもよい。PNGアーゼFはタンパク質からN−グリカンを除去するため、未消化の試料中で観察される不均一性が、不均一なグリコシル化のためであるならば、N−グリカナーゼ消化した試料は、未消化の試料に比較した際、ほとんどまたはまったく不均一性を示さないと予期されるであろう。製造者、例えばNew England Biolabs(米国マサチューセッツ州)によって推奨されるように、PNGアーゼでの消化を本質的に行ってもよい。New England Biolabsは、10X G7反応緩衝液を供給し、そして1%NP−40を加えた1X反応緩衝液(50mMリン酸ナトリウム、pH7.5)中、37℃で反応をインキュベーションすることを推奨する。N−グリカンを特異的に除去する他の酵素、例えばN−グリカナーゼもまた、これらの酵素に適した反応条件とともに使用可能である。
一次配列が抗体構造の重要な決定要因でありうる。いくつかの態様において、本発明の抗体の重鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列番号6、配列番号10、配列番号14、および/または配列番号30と、少なくとも約80%、場合によって、少なくとも約85%、87%、90%、92%、95%、98%、または100%同一であってもよい。本発明の抗体の軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列番号8、配列番号12、配列番号16、および/または配列番号31と、少なくとも80%、場合によって、少なくとも85%、87%、90%、92%、95%、98%、または100%同一であってもよい。同一性領域は、以下に定義するように、これらの配列比較のいずれかにおいて、長さが少なくとも約40、50、60、70、80、90、または100アミノ酸であってもよい。さらに、本発明の抗体は、配列番号36におけるのと同じ順序および間隔で、配列番号36のアミノ酸の少なくとも7つを含むアミノ酸配列を有するか;または配列番号37を含むアミノ酸配列を有する、重鎖CDR3を含んでもよい。
「抗体」は、本明細書に意味する際、抗体の重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域のすべてまたは部分を含む1以上のポリペプチド鎖を含むタンパク質を指し、抗体は抗原に結合可能である。多くの天然存在抗体が、例えば、Kabatら(1991, Sequences of Proteins of Immunological Interest, Public Health Service N.I.H., メリーランド州ベセスダ)に記載される。抗体は、抗原の生物学的活性を調節、すなわちアゴナイズまたはアンタゴナイズすることが可能でありうる。「抗体」には、以下に記載する、天然存在抗体が含まれ、2つの完全重鎖および2つの完全軽鎖を含有する抗体、ならびに、F(ab)、F(ab’)、F(ab’)2、Fv、一本鎖Fv断片などの抗体断片、および天然存在抗体に見られる他のドメインを含まない、重鎖または軽鎖の単一の可変領域を含む抗体が含まれる。一本鎖、キメラ、ヒト化、ヒト、ポリクローナル、およびモノクローナル抗体が本明細書に意味するような抗体である。特定の態様において、抗体は、組換えDNA技術によって産生される。さらなる態様において、抗体は、天然存在抗体の酵素的または化学的切断によって産生される。抗体は、IgG(IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4サブクラスを含む)、IgA(IgA1およびIgA2サブクラスを含む)、IgM、IgD、またはIgEアイソタイプのものであってもよく、そしてカッパ型またはラムダ型軽鎖を含んでもよい。抗体は、ヒトまたはヒト化抗体、ネズミ抗体、ウサギ抗体、ヒトコブラクダ(dromedary)抗体、または任意の哺乳動物抗体であってもよい。
本発明の組成物および方法で用いる抗体は、いくつかの態様において、「モノクローナル抗体」である。本明細書に意味する際、「モノクローナル抗体」調製物は、大部分、同じアミノ酸配列を有する抗体を含有する。いくつかの例において、モノクローナル抗体の配列変動は、例えばアミノ酸修飾または切断を含む、翻訳後事象のために起こりうる。対照的に、例えば接種された動物由来の血液試料から精製可能なポリクローナル抗体調製物は、多くの異なるアミノ酸配列を持つ抗体を含む。モノクローナル抗体は、任意の適切な手段によって作製可能である。例えば、単一のアミノ酸配列を持つ抗体を生じるハイブリドーマ細胞株から、モノクローナル抗体を単離してもよい。KohlerおよびMilstein(1975, Nature 256:495)の方法によって、こうしたハイブリドーマ株を単離して、そしてin vivoまたはin vitroのいずれで培養してもよい。あるいは、モノクローナル抗体を以下のように産生してもよい。通常は抗体を産生しない宿主細胞株、例えば細菌、酵母、昆虫、または哺乳動物細胞株内に、抗体をコードする核酸を導入してもよい。細胞株が哺乳動物細胞株であるならば、該細胞株は、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、あるいはVERO、BHK、HeLa、CV1(Cosを含む)、MDCK、293、3T3、骨髄腫(例えばNSO、NS1)、PC12、またはWI38細胞株であってもよい。抗体をコードする核酸を含有する細胞株を培養してもよく、そして培地または細胞から抗体を採取してもよい。
「モノクローナル抗体の精製調製物」は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって評価した際、調製物中の検出可能なタンパク質の少なくとも約80%、場合によって、少なくとも約85%、90%、92%、95%、97%、98%、または99%が、単量体(以下に定義するようなもの)ピーク中にある、調製物を指す。SECの方法は、実施例2および図3に説明される。実施例2で検出される単量体ピークは、2つの完全重鎖および2つの完全軽鎖を含む四量体抗体を含有する。しかし、他の種類の抗体(上に定義するようなもの)を含有する単量体ピークが、モノクローナル抗体の精製調製物が何であるかを定義する際に意図される。
「scFv」は、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含み、そして抗体の定常領域を含まない、一本鎖抗体である。いくつかの態様において、scFvはまた、重鎖および軽鎖の可変領域間に多様な長さのリンカーも含んでもよい。scFvを他のアミノ酸配列に融合させてもよいが、scFvと称されるタンパク質部分は、好ましくは、VH領域、VL領域、および場合によってこれらの配列を連結するリンカー以外の、いかなる実質的な量のアミノ酸配列も含まない。
抗体の「Fc領域」は、CH2およびCH3ドメイン、ならびにヒンジ領域(またはその一部)を含み、そしてCH1ドメインまたはVHドメインを含まない、重鎖断片またはこうした断片の変異体である。例えば、Kuby, Immunology, 第2版, p.110−11, W.H. Freeman and Co., ニューヨーク(1994)を参照されたい。Fc断片は、IgA、IgD、IgE、IgG、またはIgAアイソタイプのものであってもよく、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4または他のサブクラスが含まれる。
「scFv−Fc」は、Fc領域に融合したscFvを含有する抗体である。
一般的に、大部分の哺乳動物由来の天然存在抗体は、2つの重鎖および2つの軽鎖を含む。重鎖は、3つまたは4つの定常ドメイン、CH1、CH2、およびCH3ドメインを含み、そしてIgEおよびIgM抗体では、CH4ドメインもまた含む。重鎖は、1つの可変ドメイン、VHドメインを含む。軽鎖は、1つの定常ドメイン、CLドメイン、および1つの可変ドメイン、VL領域を含む。軽鎖可変領域は、ラムダ・ファミリーまたはカッパ・ファミリーのいずれかに属することも可能であり、これらのファミリーは、配列が関連する軽鎖の2群である。重鎖または軽鎖の可変ドメインは、フレームワーク領域(Kabatら, 1991, Sequences of Proteins of Immunological Interest, Public Health Service N.I.H., メリーランド州ベセスダによって、フレームワーク領域1〜4、FR1、FR2、FR3、およびFR4と称される;ChothiaおよびLesk, 1987, J. Mol. Biol. 196:901−17もまた参照されたい)に包埋された、3つの相補性決定領域(超可変領域としても知られ、Kabatら、上記によって、CDR1、CDR2、およびCDR3とも称される、CDR;ChothiaおよびLesk、上記;Chothiaら, 1989, Nature 342:877−83もまた参照されたい)を含む。CDRおよびフレームワーク・セグメントは、多様な領域のアミノ末端から出発して、以下のように散在する:FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4。本発明の抗体は、ヒト、またはヒト・フレームワーク領域を有するヒト化抗体であってもよい。
抗体可変領域は、一般的に、一次アミノ酸配列によってそれと同定可能である。抗体可変領域のフレームワーク領域の一次配列は、門(phyla)に渡って普遍的に保存される、少数の残基を有する。さらに、多くの残基は、門に渡って、ならびに/あるいは種内および/または門内で、非常に保存されており、そして抗体内の多くの位は、通常、既知のアミノ酸群の1つによって占められる。Kabatら、上記を参照されたい。あるいは、またはさらに、配列は、予測される三次構造によって、抗体として認識可能である。グリーク・キーβバレルとして知られる構造を形成する9β鎖を含む、可変領域の三次構造は、非常によく保存され、そしてこの構造内のCDRの位置もまた、非常に保存される。例えば、Borkら, 1994, J. Mol. Biol. 242:309−20;HunkapillerおよびHood, 1989, Adv. Immunol. 44:1−63;WilliamsおよびBarclay, 1988, Ann. Rev. Immunol. 6:381−405;ChothiaおよびLesk、上記;Kabatら、上記を参照されたい。
重鎖可変領域をコードするゲノム配列がマッピングされ、そして配列決定されてきている。例えば、CookおよびTomlinson(1995), Immunol. Today 16(5):237−42を参照されたい。天然では、重鎖可変領域は、3つの別個の生殖系列DNAセグメント、VH、D、およびJHセグメントを含むDNAによってコードされ、これらのセグメントは、抗体産生細胞において、DNA再編成事象によって、一つになる。天然存在重鎖可変領域の長さの大部分は、VHセグメントによってコードされ、このセグメントは、ヒト重鎖可変領域の総数約108アミノ酸のうち、およそ94をコードする。したがって、既知のVHセグメントへの配列類似性に基づいて、生殖系列VHセグメントの群を決定可能であり、そのうち1つは、部分的に、問題の特定の重鎖可変領域をコードする。いくつかの場合、配列類似性は、問題の抗体をコードするとして単一の生殖系列VHセグメントを指し示しうる。およそ51の機能性ヒト生殖系列VHセグメントがあり、これらは、配列類似性によって、7つのファミリーに分類される。いくつかの態様において、本発明の抗体は、ファミリー5のヒト生殖系列VHセグメント、場合によってVHセグメント5−51または5−aによってコードされるアミノ酸配列と、少なくとも約80%、場合によって、少なくとも約85%、90%、95%または98%同一である。例えば、CookおよびTomlinson(1995), Immunol. Today 16(5):237−42を参照されたい。あるいは、本発明の抗体は、ファミリー1、2、3、4、6、または7のヒト生殖系列VHセグメントによってコードされるアミノ酸配列と、少なくとも約80%、場合によって、少なくとも約85%、90%、95%、または98%同一であってもよい。
同様に、ヒト軽鎖可変領域をコードする天然存在DNAは、生殖系列VLセグメントおよびJLセグメントを一つにする、抗体産生細胞中のDNA再編成事象から、通常生じる。ヒトVLおよびJLセグメントは、2つの遺伝子座に見られ、一方は染色体2上であり、そしてもう一方は染色体22上であり、これらはそれぞれ、カッパ鎖およびラムダ鎖をコードする配列を含有する。配列類似性に基づいて、10のファミリー(VL1〜VL10)に属する、およそ31の機能性ヒトVλ遺伝子セグメント(ラムダ型軽鎖をコードするVLセグメントであるもの)がある。Williamsら(1996), J. Mol. Biol. 264:220−32。7つのファミリー、VKI〜VKVIIに属する、約40の機能性生殖系列ヒトVκセグメント(カッパ型軽鎖をコードするVLセグメントであるもの)がある。本発明の抗体は、カッパまたはラムダ軽鎖を含んでもよく、場合によって、例えばVKIII/A27などのVKIIIファミリー中の生殖系列Vκセグメントによってコードされるアミノ酸配列に、少なくとも約80%、場合によって少なくとも約85%、90%、95%、または98%同一である、軽鎖可変領域を含むものを含んでもよい。あるいは、軽鎖可変領域は、VKI、VKII、VKIV、VKV、VKVI、またはVKVIIファミリー中のVκセグメントによってコードされるアミノ酸配列と、少なくとも約80%、90%、95%、または98%同一であってもよい。
本明細書に意味する際、「単量体」は、抗体を指す場合、1つより多いポリペプチド鎖を含んでもよい、1つの完全抗体である。例えば、多くの天然存在抗体の単量体は、2つの重鎖および2つの軽鎖、すなわち全部で4つのポリペプチド鎖からなる。さらに、いくつかの一本鎖抗体の単量体(1つの重鎖可変領域および1つの軽鎖可変領域を含むscFv)は、単一ポリペプチド鎖である。しかし、scFvは、重鎖および軽鎖の可変領域間のリンカーの長さのため、自発的に二量体化することも可能である。こうした場合、単量体は、二量体scFv(またはディアボディ)であってもよい。同様に、2つの重鎖を含みそして軽鎖をまったく含まない、天然存在ヒトコブラクダ抗体の単量体(Muldermansら, 2001, J. Biotechnol. 74:277−302;Desmyterら, 2001, J. Biol. Chem. 276:26285−90)またはscFv−Fcは二量体である。要するに、単量体は1つの完全抗体であり、抗体の部分であるすべての分子を含んで完全である。
「ヒト」抗体は、最終的にヒト供給源から得られる配列によってコードされる抗体である。例えば、ヒト血液から単離される抗体は、ヒト抗体である。不死化細胞とヒト抗体産生細胞の融合物である、ハイブリドーマ細胞株由来の抗体は、ヒト抗体である。さらに、抗体可変領域をコードするヒトDNAのファージ・ライブラリーから単離された抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体には、ヒト抗体をコードする配列が、トランスジェニック動物中の抗体をコードする配列の少なくともいくつかを置換している、トランスジェニック動物によって産生されるヒト配列を持つ抗体もまた含まれ、例えば、米国特許第5,625,126号および第6,075,181号に記載されるものがある。さらに、抗体をコードするヒト起源の核酸が導入されている、宿主細胞によって、ヒト抗体を産生してもよい。「ヒト」抗原は、ヒトに存在する分子であり、例えば他の可能性の中でも、ヒトで発現されるタンパク質、あるいはヒトで見られる糖または炭水化物である。
「ヒト化抗体」は、抗体の可変領域(単数または複数)のフレームワーク領域がヒト起源であり、そしてCDRが別に由来する抗体である。ヒト化抗体は、例えば米国特許第5,693,761号に記載される。
抗体は、付着したNまたはO連結グリカンを有してもよい。O連結グリカンは、全部ではないが、いくつかのセリンまたはスレオニン残基に付加される。どのセリンまたはスレオニンがグリコシル化されるかを予測するためのコンセンサス配列はないが、いくつかの予測因子が知られる。Essentials of Glycobiology, Varkiら監修, 第8章, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク(1999)を参照されたい。N連結グリカンは、配列関係Asn−Xxx−Ser/Thrに存在するアスパラギン残基に付加され、ここで、Xxxはプロリン以外の任意のアミノ酸である。こうした配列は、本明細書において、N−グリカン部位またはN−グリコシル化部位と称される。Essentials of Glycobiology, Varkiら監修, 第7章, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク(1999)。Asn−Xxx−Ser/Thr配列に続くプロリンは、アスパラギンがグリコシル化される頻度を実質的に減少させる。Gavelおよびvon Heijne(1990), Protein Eng. 3(5):433−42。
N−グリカンは、複雑で、そして不均一な構造を有しうる。図1に示すように、N−グリカンは、例えば、枝(高マンノース・オリゴ糖と称される)を持たないか、あるいは2つ、3つ、または4つの枝を有してもよく、その各々が、シアル酸残基で終結してもまたはしなくてもよい。図1に示すもの以外の構造が可能である。枝の長さは多様であってもよい。例えば、単一の枝が、N−アセチルグルコサミンおよびガラクトースを含む単位(LacNAc単位と称する)を2以上含んでも、または1つのLacNAc単位のみを含んでもよい。図1B〜1Gを参照されたい。シアル酸残基は、一般的に負に荷電するため、異なる数のシアル酸残基を含む抗体は、例えば陽イオンまたは陰イオン交換クロマトグラフィーによって、電荷に基づいて分離可能である。また、等電点電気泳動ゲルを用いて、場合によってはキャピラリー電気泳動を用いて、こうした不均一性を検出してもよい。シアル酸残基の数が異なるため、異なる電荷を有する構造変異体を、本明細書において、「アイソフォーム」と称する。
すべてのクラスの天然存在抗体のCH2ドメインは、N連結グリカン部位を含有することも可能であるし、そして通常、含有する。TaoおよびMorrison(1989), J. Immunol. 143:2595−2601;WrightおよびMorrison(1997), Trends in Biotechnol(TIBTECH)15:26−32;Riottら, IMMUNOLOGY, 第3版, Mosby, 1993。しかし、シアル酸は、組換えIgG抗体上に、微量を超えて見出されることは稀であり、CH2 N−グリカン部位は、あるとしても稀にしかシアル化されないと示唆される。Harrisら(2004), Drug Dev. Res. 62:137−54。本発明の組成物および方法の抗体は、Fc領域中にN連結グリカン部位を有してもよい。さらに、本発明の組成物および方法で用いる抗体は、別の箇所、例えば可変ドメイン、場合によってVHおよび/またはVLドメイン中に、N連結グリカン部位を有してもよく、該抗体は、多様な度合いにシアル化されうる、付着した多様なN−グリカンを有してもよい。こうした可変領域グリコシル化は、抗原に対する結合親和性、抗体産生、in vivo半減期、および臓器ターゲティングに影響を及ぼしうる。Colomaら(1999), J. Immunol. 162:2162−70;GalaおよびMorrison(2004), J. Immunol. 172:5489−94。IgA、IgE、IgMおよびIgDアイソタイプの抗体は、一般的に、IgG抗体よりも高くグリコシル化される。Riottら、上記。したがって、これらのサブクラスのモノクローナル抗体の調製物は、シアル化の相違を含む、グリコシル化の相違のため、複数の構造変異体を含む可能性もある。
構造変異体が生じうる別の方式は、ジスルフィド結合の異なった形成を通じて生じる。天然存在抗体は、一般的に、ポリペプチド鎖内および鎖間の両方に、ジスルフィド結合を含有する。例えば、重鎖および軽鎖の各定常および可変ドメインは、鎖内ジスルフィド結合を形成可能な、非常に保存されたシステイン残基を含み、この各々は、約60〜70アミノ酸のループを囲む。さらに、鎖間ジスルフィド結合が、重鎖および軽鎖間、ならびに2つの重鎖間に存在可能である。大部分の天然存在抗体は、ヒンジ領域中のシステイン残基を介して、2つの重鎖間の1以上の鎖間ジスルフィド結合を有することも可能である。ジスルフィド結合は、システイン残基の多様な異なる対の間に形成可能であり、異なるパターンのジスルフィド結合を持つ構造変異体を生じさせる。異なるジスルフィド結合パターンを有するこれらの構造変異体は、例えば、イオン交換高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)または逆相HPLCによって、互いから分離可能である。
本発明の抗体は、本明細書にその全体が援用される、米国特許出願公報第US 2005/0004353 A1号に詳細に記載されるものなどの、特定の物理的性質を有してもよい。この出願に記載される抗体の中には、番号1118、1118*、1119、1121、および1121*と称する5つの抗体がある。これらの抗体およびその部分の配列を、付随する配列表に開示し、そして配列表の配列の同一性を、表1に簡単に説明する。1つの側面において、2つの重鎖および2つの軽鎖を含む抗体は、IgG、IgM、IgE、IgM、またはIgAアイソタイプのものであってもよい。抗体がIgG抗体である場合、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4抗体であってもよい。本発明の抗体は、配列番号6、配列番号10、配列番号14、および/または配列番号30と、少なくとも80%、場合によって、少なくとも85%、90%、95%、98%、または100%同一である重鎖可変領域を含んでもよい。本発明の抗体は、配列番号8、配列番号11、配列番号15、および/または配列番号31と、少なくとも80%、場合によって、少なくとも85%、90%、95%、98%、または100%同一である軽鎖可変領域を含んでもよい。別の側面において、本発明の抗体は、CDRの特定の配列を有してもよい。例えば、抗体は、以下のアミノ酸配列:(a)配列番号36におけるのと同じ順序および間隔で、配列番号36のアミノ酸の少なくとも7つを含むアミノ酸配列;または(b)配列番号37を含むアミノ酸配列、のうちの1つを含む、重鎖CDR3を有してもよい。
本明細書において、第一の配列が、例えば、配列RASQSVSSSY(配列番号56)の10アミノ酸からなる場合、7アミノ酸が、第一の配列中のものと同一であり、そして該配列におけるのと同じ相対的位置に存在するならば、別の配列は、第一の配列におけるのと「同じ順序および間隔」の7アミノ酸を有する。例えば、配列RAAAAVSSSY(配列番号57)は、RASQSVSSSY(配列番号56)におけるのと同じ順序および間隔の7アミノ酸を有する。対照的に、配列RASSVSSSY(配列番号58)は、RASQSVSSSY(配列番号56)と比較して、内部欠失を含有し、欠失のどちらかの側に3アミノ酸および6アミノ酸があるため、これは、この配列に関しては当てはまらない。したがって、該配列は、第一の配列と同じ順序および間隔の最大6アミノ酸を有する。RASQSVSSSY(配列番号56)と同じ順序および間隔の7アミノ酸を有しうる最短のありうる配列は、例えば、長さ7アミノ酸のもの、例えばSQSVSSS(配列番号59)である。
「同一性」は、核酸またはアミノ酸分子の対の間の比較を指す。配列同一性を決定するための方法が知られる。典型的な好ましいコンピュータプログラムは、遺伝学コンピュータグループ(GCG;ウィスコンシン州マディソン)ウィスコンシンパッケージ、バージョン10.0プログラム、「GAP」(Devereuxら, 1984, Nucl. Acids Res. 12:387;SmithおよびWaterman, 1981,Adv. Appl. Math. 2:482−489)である。「GAP」プログラムの好ましいデフォルトパラメータには:(1)ヌクレオチドに関する単一(unary)比較マトリックス(同一に対し1および非同一に対し0の値を含む)、ならびにSchwartzおよびDayhoff監修, Atlas of Polypeptide Sequence and Structure, National Biomedical Research Foundation, pp.353−358, 1979に記載されるような、GribskovおよびBurgess, Nucl. Acids Res. 14:6745, 1986の加重アミノ酸比較マトリックス;または他の匹敵する比較マトリックス;(2)アミノ酸配列の各ギャップに対する30のペナルティおよび各ギャップ中の各記号に対しさらに1のペナルティ、またはヌクレオチド配列の各ギャップに対する50のペナルティおよび各ギャップ中の各記号に対しさらに3のペナルティ;(3)末端ギャップに対するペナルティなし;および(4)長いギャップに対する最大ペナルティなし、が含まれる。GAPを用いて同一性を決定する際、長さの一部に渡って、またはすべてに渡って、2つの配列を並列させてもよい。この並列部分は、本明細書において、「同一性領域」と称される。
「実質的に類似の」ポリペプチドは、本明細書に意味する際、アミノ酸配列が互いに少なくとも約90%同一であり、そして非改変ポリペプチドの生物学的活性を、望ましい方式で維持するかまたは改変する。
「組換えタンパク質」または「組換え抗体」は、宿主細胞によって天然には産生されない、該細胞によって産生されるタンパク質または抗体である。宿主細胞は、核酸を細胞内に導入する他の方法の中でも、組換えウイルスでのウイルス感染、トランスフェクション、形質転換、核酸でコーティングされた微粒子銃での照射、またはエレクトロポレーションなどの「遺伝子操作」法を用いた、宿主細胞内への、タンパク質または抗体の発現を可能にする核酸配列の導入の結果として、組換えタンパク質または抗体を産生する。
いくつかの態様において、抗体は、IFN−γ、場合によってヒトIFN−γに特異的に結合可能である。抗体はまた、タンパク質であってもまたはなくてもよい、他の抗原にも結合してもよい。本発明の組成物に含有される抗体は、天然存在抗体と同一であってもまたは実質的に類似であってもよく、そして/または、組換えタンパク質であってもまたはそうでなくてもよい。場合によって、抗体が結合する抗原は、ヒト・ポリペプチド、その断片、または長さ少なくとも10アミノ酸の実質的に類似のポリペプチドを含んでもよい。
一般的に、本発明の方法および組成物は、例えば以下のポリペプチドの1つのすべてまたは部分を含む、任意の分子に結合する抗体を安定化させるのに有用である:flt3リガンド(本明細書に援用される国際出願WO 94/28391に記載されるようなもの)、CD40リガンド(本明細書に援用される米国特許第6,087,329号に記載されるようなもの)、エリスロポエチン、トロンボポエチン、カルシトニン、Tek、Tek−デルタ、Tie−2、レプチン、IL−2、アンジオポエチン−2(本明細書に援用される、Maisonpierreら(1997), Science 277(5322):55−60に記載されるようなもの)、Fasリガンド、NF−カッパBの受容体活性化因子のリガンド(RANKL、本明細書に援用される国際出願WO 01/36637に記載されるようなもの)、腫瘍壊死因子(TNF)関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL、本明細書に援用される国際出願WO 97/01633に記載されるようなもの)、胸腺間質由来リンホポエチン、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球−マクロファージ・コロニー刺激因子(GM−CSF、本明細書に援用されるオーストラリア特許第588819号に記載されるようなもの)、マスト細胞増殖因子、幹細胞増殖因子(例えば、本明細書に援用される米国特許第6,204,363号に記載される)、上皮増殖因子、角化細胞増殖因子、巨核球(megakaryote)増殖および発生因子、RANTES、成長ホルモン、インスリン、インスリノトロピン(insulinotropin)、インスリン様増殖因子類、副甲状腺ホルモン、αインターフェロン類、γインターフェロン、およびコンセンサス・インターフェロン類を含むインターフェロン類(どちらも本明細書に援用される、米国特許第4,695,623号および第4,897471号に記載されるものなど)、神経増殖因子、脳由来神経栄養因子、GDNFを含むグリア細胞由来神経栄養因子、シナプトタグミン様タンパク質(SLP 1〜5)、ニューロトロフィン−3、グルカゴン、インターロイキン1〜18、コロニー刺激因子類、リンホトキシン−β、腫瘍壊死因子(TNF)、白血病阻害因子、オンコスタチン−M、および細胞表面分子ELKおよびHekの多様なリガンド(eph関連キナーゼのリガンドまたはLERKSなど)。本発明の方法にしたがって産生可能なポリペプチドの説明は、例えば、すべて本明細書に援用される、Human Cytokines:Handbook for Basic and Clinical Research, Vol.II(AggarwalおよびGutterman監修, Blackwell Sciences, マサチューセッツ州ケンブリッジ, 1998);Growth Factors:A Practical Approach(McKayおよびLeigh監修, Oxford University Press Inc., ニューヨーク, 1993);およびThe Cytokine Handbook(A.W. Thompson監修, Academic Press, カリフォルニア州サンディエゴ, 1991)に見出すことも可能である。
本発明の組成物または方法で用いる抗体が結合可能な他の抗原には、前述のポリペプチドいずれかの受容体、またはこうした受容体に対するアンタゴニストのアミノ酸配列のすべてまたは部分が含まれ、以下が含まれる:腫瘍壊死因子受容体の両方の型(どちらも本明細書に援用される、米国特許第5,395,760号および米国特許第5,610,279号に記載されるような、p55およびp75と称するTNFR、EMBREL(登録商標)として市販されている融合タンパク質エタネルセプトを含む)、インターロイキン−1(IL−1)受容体(I型およびII型;すべて本明細書に援用される、欧州特許第0 460 846号、米国特許第4,968,607号、および米国特許第5,767,064号に記載される)、IL−1受容体アンタゴニスト(本明細書に援用される米国特許第6,337,072号に記載されるものなど)、IL−1アンタゴニストまたは阻害剤(すべて本明細書に援用される、米国特許第5,981,713号、第6,096,728号、および第5,075,222号に記載されるものなど)、IL−2受容体、IL−4受容体(どちらも本明細書に援用される、欧州特許第0 367 566号および米国特許第5,856,296号に記載されるようなもの)、IL−15受容体、IL−17受容体、IL−18受容体、顆粒球−マクロファージ・コロニー刺激因子受容体、顆粒球コロニー刺激因子受容体、オンコスタチン−Mおよび白血病阻害因子の受容体、NF−カッパBの受容体活性化因子(RANK、どちらも本明細書に援用される、WO 01/36637および米国特許第6,271,349号に記載される)、破骨細胞形成抑制因子(例えば、本明細書に援用される米国特許第6,015,938号に記載される)、TRAIL受容体(TRAIL受容体1、2、3、および4を含む)、およびFasまたはアポトーシス誘導受容体(AIR)などの死のドメインを含む受容体。
本発明の組成物または方法で用いる抗体が結合可能な他の抗原は、分化抗原(CDポリペプチドと称する)またはそのリガンドあるいはこれらのいずれかに実質的に類似のポリペプチドのアミノ酸配列のすべてまたは部分を含む。こうした抗原は、Leukocyte Typing VI(本明細書に援用される、Proceedings of VIth International Workshop and Conference, Kishimoto, Kikutaniら監修,日本・神戸, 1996)に開示される。類似のCDポリペプチドが、それに続くワークショップで開示されている。こうした抗原の例には、CD22、CD27、CD30、CD39、CD40、およびそのリガンド(CD27リガンド、CD30リガンド等)が含まれる。CD抗原のいくつかは、41BBおよびOX40もまた含むTNF受容体ファミリーのメンバーである。リガンドはしばしば、41BBリガンドおよびOXリガンドもメンバーであるように、TNFファミリーのメンバーである。したがって、TNFおよびTNFRファミリーのメンバーもまた、本発明の方法によって安定化される抗体が結合可能な抗原でありうる。
本発明の方法および組成物によって安定化される抗体はまた、酵素的に活性であるポリペプチドまたはそのリガンドにも結合可能である。例には、以下のポリペプチドまたはそのリガンド、あるいはこれらの1つに実質的に類似のポリペプチドの1つのすべてまたは部分を含むポリペプチドが含まれる:メタロプロテイナーゼ−ディスインテグリン・ファミリーメンバー、多様なキナーゼ、グルコセレブロシダーゼ、スーパーオキシド・ジスムターゼ、組織プラスミノーゲン・アクチベーター、因子VIII、因子IX、アポリポタンパク質E、アポリポタンパク質A−I、グロビン類、IL−2アンタゴニスト、アルファ−1アンチトリプシン、TNF−アルファ変換酵素、上述の酵素いずれかに対するリガンド、ならびに多数の他の酵素およびそのリガンド。
本発明の組成物および方法をさらに用いて、以下の抗原に結合する抗体を安定化させてもよい:CD2、CD3、CD4、CD8、CD11a、CD14、CD18、CD20、CD22、CD23、CD25、CD33、CD40、CD44、CD52、CD80(B7.1)、CD86(B7.2)、CD147、IL−1α、IL−1β、IL−2、IL−3、IL−7、IL−4、IL−5、IL−8、IL−10、IL−2受容体、IL−4受容体、IL−6受容体、IL−13受容体、IL−18受容体サブユニット、PDGF−βおよびその類似体(米国特許第5,272,064号および第5,149,792号に記載されるものなど)、VEGF、TGF、TGF−β2、TGF−β1、EGF受容体(本明細書に援用される米国特許第6,235,883 B1号に記載されるものを含む)、VEGF受容体、肝細胞増殖因子、破骨細胞形成抑制因子リガンド、インターフェロン・ガンマ、Bリンパ球刺激因子(BAFF、THANK、TALL−1、およびzTNF4としても知られるBlyS;DoおよびChen−Kiang(2002), Cytokine Growth Factor Rev. 13(1):19−25を参照されたい)、C5補体、IgE、腫瘍抗原CA125、腫瘍抗原MUC1、PEM抗原、LCG(肺癌に関連して発現される遺伝子産物)、HER−2、腫瘍関連糖タンパク質TAG−72、SK−1抗原、結腸および/または膵臓癌患者の血清に上昇したレベルで存在する腫瘍関連エピトープ、乳癌、結腸癌、扁平上皮癌、前立腺癌、膵臓癌、肺癌、および/または腎臓癌細胞、ならびに/あるいは黒色腫、神経膠腫または神経芽腫細胞、腫瘍の壊死コア上に発現される癌関連エピトープまたはポリペプチド、インテグリン・アルファ4ベータ7、インテグリンVLA−4、B2インテグリン類、c−MET、MET、TRAIL受容体1、2、3、および4、RANK、RANKリガンド、TNF−α、接着分子VAP−1、上皮細胞接着分子(EpCAM)、細胞間接着分子−3(ICAM−3)、ロイコインテグリン(leukointegrin)、アドヘシン、血小板糖タンパク質gp IIb/IIIa、心臓ミオシン重鎖、副甲状腺ホルモン、rNAPc2(因子VIIa組織因子の阻害剤)、MHC I、癌胎児抗原(CEA)、アルファ−フェトプロテイン(AFP)、腫瘍壊死因子(TNF)、CTLA−4(細胞傷害性Tリンパ球関連抗原であるもの)、Fc−γ−1受容体、HLA−DR 10ベータ、HLA−DR抗原、L−セレクチン、呼吸器合胞体ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、ストレプトコッカス・ムタンス(Streptococcus mutans)、および黄色ブドウ球菌(Staphlycoccus aureus)。
本発明の方法および組成物によって安定化される抗体は:腫瘍抗原gp72をターゲットとする抗体;ガングリオシドGD3に対する抗体;ガングリオシドGD2に対する抗体;またはこれらに実質的に類似の抗体に対する抗イディオタイプ抗体を含む、抗イディオタイプ抗体であってもよい。
本発明の薬剤組成物は、抗体が、4℃で2年間貯蔵した後、出発時の物理的および化学的構造ならびに生物学的活性を本質的に保持するならば、本明細書に意味する際、「安定」であると見なされる。物理的構造および生物学的活性は、多くのありうるアッセイの中でも、例えば、実施例2に説明するように、サイズ排除クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、A549アッセイ、および/または蛍光発光によって、多様な方法で測定可能である。方法または組成物は、これらの方法の少なくとも1つによって測定した際に、出発物質の特性の実質的な保持を促進するならば、「安定化」させている。
フリーズドライ組成物である「凍結乾燥」薬剤組成物は、特定の濃度で特定の分子を含有し、そして/または特定のpHであると記載してもよい。本明細書に意味する際、これは、凍結乾燥組成物を、使用に推奨される希釈剤の量中に再懸濁した際に、該組成物が、記載する濃度で記載する分子を含有し、そして記載するpHを有することを意味する。
本発明の薬剤組成物は、少なくとも緩衝剤および抗体を、そして場合によって少なくとも1つの安定化化合物、例えば糖、炭水化物、塩、アミノ酸、または界面活性剤などを含む。当業者は、緩衝剤以外の構成要素が、しばしば、抗体を含む薬剤組成物内に含有されることを知っている。例えば、薬剤組成物はしばしば等張であり、すなわち細胞が浸されていても、細胞の浸透圧体積変化を引き起こさないような、溶質濃度を有する。等張組成物は、一般的に、約250〜約350mOsmの浸透圧を有する。多様な種類の溶質、例えば糖、多糖、炭水化物、または塩を用いて、溶液を等張にする、すなわち等張化することも可能である。
緩衝剤は、例えば、以下またはその塩のいずれであってもよい:コハク酸塩、ヒスチジン、酢酸塩、グルコン酸塩、クエン酸塩、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、有機酸、Tris、bis−Tris、モノ−Tris、ピロリン酸、リン酸塩、プロピオン酸塩、カルボン酸、硫酸塩、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン(TRICINE)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(BICINE)、N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、イミダゾール、アミノエタンスルホネートまたはその誘導体(TESとしても知られるトリス(ヒドロキシメチル)−メチル−2−アミノエタンスルホネート、またはMESとしても知られる2−モルホリノエタンスルホン酸)、アミノプロパンスルホネートまたはその誘導体、シュウ酸、フマル酸、およびジエタノールアミン。上述の緩衝剤の塩には、とりわけ、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、塩化物、および/またはカリウム塩が含まれてもよい。例えば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、塩化ヒスチジン、Tris−HCl、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、コハク酸ナトリウム、コハク酸カリウムが、本明細書に意図する緩衝剤の範囲内に含まれる。組成物のpHは、約3.5〜約9、場合によって約5〜約7、約5〜約6.5、約4.5〜約6.5、約4.5〜約5.5、約5.5〜約6.5、約5.7〜約6.5、約5.7〜約6.3、約5、または約6であってもよい。
緩衝剤濃度は、少なくとも約0.5mMであり、そして約300mMを超えない。いくつかの態様において、緩衝剤濃度は、約1mM〜約100mM、または約5mM〜約50mM、または約5mM〜約15mMであってもよい。
本発明の組成物は、配合物を等張化するよう働きうるもの、他の可能性の中でも、塩、炭水化物、界面活性剤および/または糖を含んでもよい。典型的な塩には、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、およびカルシウム塩が含まれ、例えば、とりわけ、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、および塩化カルシウムがある。少なくとも約1、5、または10mMであり、そして約300、200、100、50、または30mMを超えない濃度で、塩を用いてもよい。約50mM〜約175mMおよび約75mM〜約150mMの濃度が意図される。
典型的な糖、多糖、および/または炭水化物には、とりわけ、スクロース、デキストロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、スレイトール、グリセロール、ポリエチレングリコール、糖酸、グルコース、フルクトース、マンノース、マルトース、マルトトリオース、ラクトース、ラクツロース、アラビノース、キシロース、リボース、ラムノース、ガラクトース、トレハロース、ソルボース、メレジトース、ラフィノース、とりわけ、デキストラン、アルギン酸、ヒアルロン酸、またはセルロースなどの多糖が含まれる。こうした糖、多糖、および/または炭水化物を、例えば約0.001%〜約25%、約1%〜約20%、または約1%〜約10%を含む多様な濃度で用いてもよい。
典型的な界面活性剤には、ポリソルベート20およびポリソルベート80を含むポリソルベート、ならびにポリアクスマー188を含むポリアクスマーが含まれる。これらを、約0.0001%〜約0.1%、場合によって約0.001%〜約0.01%の濃度で用いてもよい。
抗体を含む薬剤組成物のpHおよび/または特定の緩衝剤は、抗体の安定性に影響を及ぼしうる。異なるpHおよび/または緩衝剤が、異なる抗体、あるいは異なる構造変異体または単一の抗体の構造変異体の組み合わせを安定化させうる。抗体の多様な物理的および生物学的特性を測定してもよい。例えば、サイズ排除クロマトグラフィーは、抗体が、全長より小さい片に切断されているか、あるいは二量体またはより高次の凝集体に凝集しているかを決定可能である。逆相クロマトグラフィーもまた、抗体がより小さい断片に切断されているかどうかに関する情報を提供可能である。さらに、蛍光分光法によって、最大蛍光発光の波長(2つの波長間の比として表してもよい)を決定してもよい。この波長の変化は、抗体の二次または三次構造の変化を示しうる。pH変化は、異なる方式で、物理的構造の異なる側面に影響を及ぼしうる。さらに、生物学的活性に対する影響は、物理的構造に対する影響に対して、明らかな関連を示してもまたは示さなくてもよい。抗原への結合によって、例えばELISAアッセイを用いて、細胞に基づくin vitroアッセイを用いて、またはin vivoアッセイを用いて、生物学的活性を測定してもよい。
本質的にFishwildら, 1996, Nature Biotechnology 14: 845−851に記載されるように、インターフェロン・ガンマへの特異的結合を測定してもよい。簡潔には、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中、約1〜2μg/mlの濃度のIFN−γの溶液を約50μl/ウェル用いて、マイクロタイタープレートをコーティングし、そしてPBS中の5%ニワトリ血清を用いてブロッキングしてもよい。次いで、プレートを、結合に関して試験中である抗体と、そして西洋ワサビ(horseradish)・ペルオキシダーゼにコンジュゲート化した、試験中の抗体に結合するであろう抗体(例えば、抗ヒトIgG1 Fc抗体は、ヒト全長IgG1試験抗体に結合するであろう)と、連続してインキュベーションしてもよい。最後に、2,2’−アジノ−ビス[3−エチルベンゾチアゾリン(ethylbenziazolene)−6−スルホン酸](ABTS)などの検出可能な西洋ワサビ・ペルオキシダーゼ基質を添加し、そして490および415nmで吸光度を測定してもよい。490nmでの吸光度を415nmのものから引く。生物学的活性、結合活性を有する抗体の量、または単量体型である抗体の量を最大にするpHおよび/または緩衝剤が望ましい。PBS中の0.5%Tween20を用いて、工程間で、プレートを徹底的に洗浄してもよい。抗原結合のためのこの周知のアッセイ(ELISA)を用いて、ほぼいかなる抗原に対する結合に関しても試験可能である。
本発明の薬剤組成物は、液体、凍結乾燥、または凍結組成物であってもよい。液体または凍結組成物は、あらかじめ凍結乾燥されていてもまたはいなくてもよい。液体組成物は、凍結されていてもまたはいなくてもよい。
IFN−γは、免疫機能のいくつかの側面の重要な陽性制御因子である。したがって、インターフェロン・ガンマの生物学的活性の阻害は、多様な自己免疫および/または炎症疾患に対抗する手段でありうる。生物学的活性を阻害可能な、多様なIFN−γ抗体が当該技術分野に知られる。米国特許出願第2005/0004353号および第2003/0049647号。こうした抗体は、多様な自己免疫および/または炎症疾患を治療する際に有用でありうる。例えば米国特許第6,036,956号、第6,333,032号、および第6,558,661号を参照されたい。
抗体を産生し、そして精製する多くの方法が当該技術分野に周知であり、そしてこれらのいずれを用いて、本発明の方法および組成物で用いる抗体を産生してもよい。典型的な方法は、例えば、米国特許出願第2005/0004353号に記載される。例えば、哺乳動物に抗原を接種し、そして血液から、抗原に対するポリクローナル抗体を採取することによって、本発明の方法および組成物で用いる抗体を産生してもよい。あるいは、接種した哺乳動物から脾臓細胞を採取し、そして不死化細胞に融合させて、モノクローナル抗体を産生しそして分泌するハイブリドーマ株を産生してもよい。抗原に結合する抗体を産生する株に関して、こうした株をスクリーニングしてもよい。さらに、抗体をコードする核酸を細菌中にクローニングしてもよい。いくつかの態様において、細菌によって抗体を産生させてもよい。あるいは、抗体をコードするDNAを酵母、哺乳動物、植物、または昆虫細胞などの真核宿主細胞内に導入してもよいし、そして抗体を哺乳動物細胞によって産生させてもよい。細胞が哺乳動物細胞である場合、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはVERO、BHK、HeLa、CV1(Cosを含む)、MDCK、293、3T3、骨髄腫(例えばNSO、NS1)、PC12、またはWI38細胞であってもよい。
タンパク質精製の技術分野に知られる多くの方法のいかなる1つまたは組み合わせによって、抗体を精製してもよい。例えばProtein Purification Applications, A Practical Approach, HarrisおよびAngal監修, IRL Press at Oxford University Press, 1990;Wheelwright, Protein Purification: Design and Scale up of Downstream Processing, Hanser Publishers, 1991;Scopes, Protein Purification, Principles and Practice, 第3版, Springer Verlag, 1993;Gagnon, Purification Tools for Monoclonal Antibodies, Validated Biosystems, Inc., 1996を参照されたい。1つの非常に一般的な抗体精製法は、プロテインAクロマトグラフィーである。
本発明の組成物を、多様な障害の治療法として用いてもよい。例えば、インターフェロン・ガンマに結合する抗体を用いて、エリテマトーデス、ならびに多発性硬化症、関節リウマチ、強直性脊椎炎、若年性関節リウマチ、乾癬性関節炎を含む多様な自己免疫疾患、ならびにクローン病および潰瘍性結腸炎などの炎症性腸疾患を治療してもよい。米国特許第6,036,956号、第6,333,032号、および第6,558,661号を参照されたい。他の抗体の多くの他の使用が当該技術分野に知られ、例えば関節リウマチを治療するための抗TNF受容体抗体の使用、または癌を治療するための抗EGF受容体抗体の使用がある。抗体を用いて、例えば骨肉腫、膠芽細胞腫、神経膠腫、黒色腫、および髄膜腫、ならびに肺癌、乳癌、頭部および頸部癌、膀胱癌、卵巣癌、皮膚癌、前立腺癌、子宮癌、胃癌、腎細胞癌、膵臓癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、および食道癌を含む癌を治療してもよい。本明細書において、「胃腸癌」は、胃癌、食道癌、膵臓癌、および結腸直腸癌を含む。本発明の方法を用いてやはり治療可能であるのは、血液学的癌である。
疾患の治療は、障害の少なくとも1つの症状の軽減、疾患の重症度の減少、あるいは治療している状態に続いて、ある程度の頻度で起こる、より深刻な疾患への進行の遅延または予防を含む。治療は、疾患が完全に治癒することを意味する必要はない。有用な療法剤は、疾患の重症度を減少させるか、疾患またはその治療に関連する症状(単数または複数)の重症度を減少させるか、あるいは治療している状態に続いて、ある程度の頻度で起こりうる、より深刻な疾患の開始を遅延させさえすればよい。本明細書に意味する際、当該技術分野に知られ、そして臨床設定において疾患重症度を評価するのに用いられる方法によって、疾患の重症度を評価してもよい。
いかなる適切な経路によって組成物を投与してもよい。これらを、例えば、皮下、静脈内、関節内、筋内、動脈内、腹腔内注射してもよいし、あるいは例えば関節または腫瘍などの体の罹患領域内に直接注射してもよい。注入によってまたはボーラス注射によって、組成物を投与してもよい。いくつかの態様において、鼻、直腸、胃、または膣投与など、粘膜を通じた吸収によって、あるいは吸入によって、組成物を投与してもよい。体腔に挿入される座薬として経皮投与してもよいし、または点眼剤として投与してもよい。あるいは、経口投与してもよい。
「療法的有効用量」、すなわち治療している状態を治療するのに有効であり得るいかなる投薬量、頻度、および期間で、本発明の組成物を投与してもよい。当業者は、これが、他の考慮の中でも、抗体の分子の性質、結合する抗原のin vivo濃度、ならびに治療している障害の性質および重症度に応じることを理解するであろう。望ましい結果を達成するのに必要なだけ長く、治療を続けてもよい。他の可能な投薬量措置の中でも、単回投薬として、または1日多数回、毎日、1日おき、週2回、週3回、毎週、1週おき、毎月、1ヶ月おき、10週ごと、および12週ごとを含めて、周期的に投与される一連の投薬として、本発明の療法分子を投与してもよい。治療の周期性は、治療期間を通じて、一定であってもまたはなくてもよい。例えば、治療をまず、毎週間隔で行って、そして後に、1週おきに行ってもよい。数日、数週、数ヶ月、または数年の期間を有する治療が、本発明に含まれる。治療を中断し、そして次いで再開してもよい。最初の治療後、維持用量を投与してもよい。単独で、または他の治療、特にその疾患を治療するために通常投与される治療と組み合わせて、本発明の組成物を投与してもよい。
投薬量は、体重キログラムあたりのミリグラム(mg/kg)として、または皮膚表面平方メートルあたりのミリグラム(mg/m2)として、あるいは身長または体重に関わらず、固定した用量として、測定可能である。これらのすべては、当該技術分野において、標準的な投薬量単位である。ヒトの皮膚表面積は、標準的な公式を用いて、身長および体重から計算される。各投薬量は、例えば、約0.001mg/患者体重kg〜約50mg/患者体重kg、約0.01mg/患者体重kg〜約50mg/患者体重kg、約0.02〜約50mg/患者体重kgであってもよい。場合によって、投薬量は、約0.05〜約20mg/kg、約0.01mg/kg〜約10mg/kg、または約0.1〜約10mg/kg、または約0.01mg/kg、約0.1mg/kg、または約1.0mg/kgであってもよい。
当業者は、投与経路が、本発明の組成物の投薬量および濃度に影響を及ぼしうることを知っている。例えば、組成物を皮下投与する場合、投与可能な体積は、約5ml以下、場合によって約3、2、または1ml以下に限定されうる。したがって、組成物の濃度は、体積の限定によって影響を受ける可能性もある。他方で、組成物を静脈内注入する場合、より多くの体積を注射可能であり、そしてしたがって、組成物はより濃縮されていないことも可能である。
いくつかの態様において、本発明の組成物および方法は、抗体が、約50mg/ml未満、場合によって約45、40、35、30、25、10、5、1、または0.1mg/ml未満またはそれに等しい濃度であることを必要とする。あるいは、またはさらに、本発明の組成物および方法は、抗体が、約0.01、0.1、1、5、10、または50mg/mlより大きいかまたはそれに等しい、場合によって、約75mg/ml、約100mg/ml、150mg/ml、200mg/ml、または250mg/mlより大きいかまたはそれに等しい濃度であることを必要としうる。当業者は、特定の抗体のための特定の異なる投与経路には、より高いまたはより低い濃度の組成物が、より適切でありうることを知っている。さらに、抗体濃度は、抗体にはどの配合物が最適であるかに関して、影響を及ぼしうる。したがって、異なる濃度の同じ抗体に、異なる配合物が適している可能性もある。異なる抗体に必要な有効用量は、結合親和性、解離定数、および抗体が結合する抗原の存在量などの要因に応じて、非常に異なりうる。したがって、異なる濃度の抗体を有する組成物が、異なる場合で適切であろう。さらに、抗体を皮下投与する際、この方式で投与可能な容量は限定される。したがって、皮下投与される抗体組成物は、例えば静脈内注入によって投与される同じ抗体組成物より、より濃縮されていてもよい。
本発明を記載してきたが、以下の実施例を、例示の目的で提供し、そして限定の目的では提供しない。本明細書に引用するすべての参考文献は、その全体が本明細書に援用される。
実施例
実施例1:アイソフォームの精製
以下の実施例において、用いた抗体は、培養哺乳動物細胞(CHO細胞)によって産生された2つの重鎖および2つの軽鎖を含む、ヒトIFN−γに対する全長ヒトIgG1抗体であり、そしてその重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を、それぞれ、配列番号17および配列番号18に開示する。重鎖アミノ酸配列は、VHおよびCH2領域中、それぞれ、配列番号17のアミノ酸28および297にN−グリカン部位を有した。本実施例において、分子あたり異なる数のシアル酸を有するアイソフォームを単離した。バルク抗体物質は、いくつかのカラム・クロマトグラフィー工程を用いて精製されており、そしてアイソフォームを含む多様な構造変異体が互いに分離されていない、ろ過精製バルク(本明細書において、FPBと称する)を指す。
培養哺乳動物細胞上清から、3つのカラム・クロマトグラフィー工程において、バルク抗体物質(FPB)を精製し、そして電荷にしたがって分子を分離する弱陽イオン交換(CEX)カラムに適用し、そして0〜250mM NaClを含有する10mMリン酸ナトリウム、pH7.2を含有する可動相を用いて、溶出した。このカラムのプロフィールを図2に示す。異なる数のシアル酸残基を含有するアイソフォームを含む分画を収集し、そして濃縮した。同時に、分画を、10mM酢酸ナトリウム、pH5に緩衝液交換した。対応するCEX高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)プロフィールによって、最終濃縮アイソフォーム溶液各々の純度を決定し、該プロフィールは、主に、精製前のものに匹敵する溶出時間を持つ1つのCEXピークを含有した。CEX主ピークの面積を、215および280nm両方で検出される、いかなる少量のCEXピークも含めたすべてのピーク下の総面積で割ることによって、純度パーセントを定量化した。各アイソフォーム溶液の典型的な純度は、93%〜96%であった。表2。各々の精製アイソフォーム溶液の吸光度を、280nmで測定し、そして各アイソフォーム溶液の濃度を、ここから得た。表2(以下)は、純度パーセント、濃度、および各精製アイソフォーム溶液の総量、ならびに各アイソフォームが含む総FPBのパーセントを示す。この最後の数字は、陽イオン交換カラムで検出される各ピーク下の面積を、すべてのピーク下の面積の合計で割ることによって、計算される。表2に含めていないピーク−3、+3、および+4は、合わせて、総FPBの残った6%を構成する。
表2
実施例2:異なるpHでのアイソフォームおよびFPBの配合、ならびにその安定性の評価
以下の実験は、4℃および37℃の両方で、多様なpHでの、精製アイソフォームおよびFPBの安定性を比較する。FPBと一緒に、精製アイソフォームを各々、最終濃度1mg/mlで、以下の緩衝液中に配合した:10mM酢酸ナトリウム、pH4;10mM酢酸ナトリウム、pH5;10mMヒスチジン、pH6;10mMリン酸ナトリウム、pH7;および10mMリン酸ナトリウム、pH8。すべての試料はまた、5%(w/v)ソルビトールも含有した。蒸発を防ぐために用いるo−リング・キャップ付きの無菌微量試験管中に等分する前に、0.2μm膜を通じてろ過することによって、すべての配合抗体溶液および対応するプラセボ、すなわち抗体を欠く配合溶液を滅菌した。各試料の総容量は、約300μl〜350μlであった。配合抗体溶液および対応するプラセボの1組を4℃でインキュベーションし、一方、別の組を37℃でインキュベーションし、これらはどちらも静置条件下にあった。
他の技術の中でも、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、逆相HPLC、および蛍光分光法を用いて、0、2週、1ヶ月、および3ヶ月の時点で、各試料の生物物理的および生化学的安定性を評価した。分析超遠心分離(AUC)を用いて、SECによって検出されたHMW種のおよその分子量を決定した。pH5の配合物中で3ヶ月間インキュベーションしておいた試料に関して、生物活性を評価した。4℃および37℃で貯蔵しておいた、各配合タンパク質溶液、ならびに各プラセボを、不溶性種および透明度に関して調べた。4℃または37℃のいずれかで3ヵ月置いた後、抗体を含む試料および含まない試料両方が、すべて、無色透明を維持し、そして微粒子物質を含まなかった。
タンデムに連結した2つのSECカラムを用いると、SECは、単量体(この場合、2つの重鎖および2つの軽鎖を有する四量体抗体)、高分子量(HMW)(例えば二量体および凝集体)、および低分子量(LMW)種のレベルの定量化を提供した。各カラム試料は、1mg/mlの濃度で、20μgであった。多数の試料を流して、再現性を保証した。検出波長を、215および280nmに設定した。SECにおいて、大部分の試料では、大部分の物質は、単一の主要なピークとして溶出した。このピークは、単量体を含有する。この関連において、抗体がIgG抗体である場合、単量体は、2つの重鎖および2つの軽鎖を含む四量体抗体であり、分子量は、およそ150,000ダルトンであった。しかし、単量体主ピーク以外の4つの目立つピークが、37℃でインキュベーションした配合物由来の試料の中で観察された。10mMリン酸ナトリウム、5%ソルビトール中、pH8に配合したFPBおよび個々の異なる精製アイソフォームを含有し、37℃で3ヶ月間貯蔵した試料のSECカラム・プロフィールを図3に示す。これらの試料はすべて、単量体を含有する顕著な主ピークを、そして2つのより高分子量のものに加えて、2つのより低分子量のピークを示した。2つの低分子量種をLMW1およびLMW2と称した。最高の高分子量種を凝集体と称し、そして次の溶出種を二量体(2つの四量体抗体を含む二量体を意味する)と称した。これらの命名は、分析超遠心分離(AUC)およびSDS−PAGEによって決定した分子量に基づいた。AUCを用いて、非還元条件下で、SECによって検出されたHMW種のおよその分子量を決定した。還元条件下での、すなわちジスルフィド結合が破壊される条件下でのSDS−PAGEを用いて、HMW種のサイズを評価した。
図4A〜4Eは、各時点で、SECによって測定されるような単量体として維持された総物質パーセントを示す。すべてのpHで、4℃でインキュベーションしたすべての試料において、ほとんどの物質は、少なくとも3ヶ月間、抗体単量体のままであった。しかし、37℃で貯蔵した試料は、特にpH5の試料中で、単量体種のかなりの損失を示した(図4B)。37℃、pH5で貯蔵した、アイソフォーム・ピーク−2およびピーク0の物質は、他のいかなる試料よりも多くの単量体を損失し、そしてアイソフォーム・ピーク−2およびピーク0の試料は、試験した大部分の他のpHで、単量体パーセントに関して、より低いスコアの試料の中にあった。群として、そして個々に、37℃、pH5の試料は、他のいかなるpHおよび温度でインキュベーションした試料より、はるかに多くの単量体損失を示した。群として、そして個々に、37℃、pH6でインキュベーションした試料は、他のいかなる37℃の試料よりも、より高い割合の単量体を含有した。図4A〜4E。
これらの実験はまた、異なるアイソフォームおよびFPB間の相違も明らかにし、相違は、pH4および5の37℃の試料で特に明らかであった。FPBは、一貫して、すべてのpHで、最高量の単量体を有する試料の中にあった。図4A〜4E。pH4および5で、FPBは、いかなる精製アイソフォームより安定であり、アイソフォームの組み合わせは混合物を安定化することが示唆された。図4A〜4B。pH7および8で、FPBは、一貫して、最も安定した精製アイソフォームと同程度に安定であり、そしてアイソフォーム−2、−1、+1、および0より、より安定であり、これらのアイソフォームは、合わせて、FPBに含有される総抗体の約85%を含む。図4D〜4E。pH6では、FPBおよびアイソフォーム+2、+1、および0は、ほぼ等しく安定であり、そしてアイソフォーム−1および−2は、わずかにより安定でなかった。図4C。FPB中のアイソフォーム混合物中の各アイソフォームが、FPBにおいて、精製型における場合と同じ安定性を有するならば、FPBは、最も安定でないアイソフォームおよび最も安定なアイソフォームのものの間の安定性を有すると予期される。これは、いかなるpHでもあてはまらない。したがって、これらのデータは、FPB中のアイソフォーム混合物が、安定化する影響を発揮することを意味すると解釈可能である。
図5は、高分子量種(水平線より上、ΣHMWと表示)、すなわち二量体および凝集体、ならびに低分試料種(水平線より下、ΣLMWと表示)、すなわちLMW1およびLMW2である、4℃(図5A)および37℃(図5B)でインキュベーションした試料の中のSECカラムプロフィール下の総面積の割合を示す。異なるpHで、4℃でインキュベーションした試料は同様である。にもかかわらず、4℃でインキュベーションしたFPB試料は、一貫して、すべてのpHに渡って、他の試料より低いレベルのHMW種を有し、そしてアイソフォーム・ピーク+2試料は、一貫して、他の試料より高いレベルのHMW種を有する。37℃でインキュベーションした試料は、互いに根本的に異なり、そしてpH5の試料、特にアイソフォーム・ピーク0および−2の試料は、他のpHでインキュベーションした試料に比較して、実質的に非常に高い比率の二量体および凝集体を含有した。pH4、7、および8でインキュベーションした試料は、低い割合のHMW種を含有したが、pH6の試料は、37℃の試料の中で、最低の割合のHMW種を含有した。さらに、37℃でインキュベーションしたpH7および8の試料は、他のpHの37℃の試料より、わずかに多量のLMW1およびLMW2を有する。図5B。
図6は、37℃でインキュベーションした試料の中で、二量体(図6A)またはより高次の凝集体(図6B)であった、SECカラム・プロフィール下の総面積の割合を示す。pH5でインキュベーションした試料は、他のpHでインキュベーションした試料より実質的により高い割合の二量体および凝集体を有した。pH5の試料の中で、アイソフォーム・ピーク−2およびピーク0の試料は、他の試料より高い割合の凝集体を含有した。pH4、7、および8でインキュベーションした試料は、低い割合の凝集体および二量体を含有したが、pH6の試料は、最低の割合の二量体および凝集体を含有した。したがって、図4〜6のデータは、37℃でインキュベーションしたpH6の試料が、他の37℃の試料よりも少ない高分子量種を含有したことを示す。凝集体は、免疫原性であることが知られるため、凝集体の形成は、抗体配合物において、特に懸念される。Hermelingら(2004), Pharm. Res. 21(6):897−903。
Agilant Zorbax C−8カラム上で行う逆相HPLCを用いて、抗体のフォールディングに関連しうる特性である疎水性に関連する、配合抗体の変化をさらに性質決定した。さらに、逆相クロマトグラフィーは、貯蔵中の抗体の切断を介して形成可能な親水性または疎水性ペプチドの形成を検出可能である。溶液BおよびAの30:70の混合物中で、逆相カラムに装填し、そして30%溶液Bから50%溶液Bに進行する勾配中で溶出した。溶液Aは、0.12%トリフルオロ酢酸(TFA)であり、そして溶液Bは、60%イソプロパノール、30%アセトニトリル、0.12%TFAであった。図7Aおよび7Bは、10mMリン酸ナトリウム、pH8、5%ソルビトール中、4℃(図7A)および37℃(図7B)で3ヶ月インキュベーションした試料からの逆相OD215カラム・プロフィール群を示す。37℃の試料のカラム・プロフィール中の初期に、小さいピークが観察され、これはおそらく、抗体から切断された小さい親水性ペプチドである。このピークは、4℃の試料には存在しない。どちらの温度の物質の大部分も、単一ピークとして移動したが、ピークは、4℃の試料におけるより、37℃の試料でより広い。図7。
図8は、主ピークの部分(図8A)または初期に溶出する切断された種の部分(図8B)である、多様に示したpHでの37℃の試料の逆相カラム・プロフィール下の総面積の割合を示す。試験した他のいかなるpHよりも、pH8で、より多くの切断された種が観察される。pH5〜pH7の試料は、最低の割合の切断種を有し、そして最高の割合の主ピーク中の物質を有する。アイソフォームおよびFPB間の相違は、pH8で最大である。最多の凝集体を生じたアイソフォーム・ピーク−2および0はまた、pH8で最多の親水性クリップを有する。FPBは、pH8で、アイソフォーム・ピーク−2および0より少ないクリップを有するが、アイソフォーム・ピーク−1、+1、および+2より多い。
蛍光分光法によって、各時点での試料の三次構造および二次構造の変化を評価した。0.18mg/mlの最終濃度まで、対応する配合緩衝液で試料を希釈した。23℃の試料チャンバーを用い、発光スキャンモードで操作する、Photon Technology Internationalの二元発光ビーム蛍光分光計から、固有の蛍光測定値を得た。励起波長280nmで、300〜425nmの間、発光スキャンを行って、チロシンおよびトリプトファン残基による蛍光を評価した。励起波長293nmでもまた発光スキャンを行い、主にトリプトファン残基による蛍光を評価した。
結果は、ゼロ時点のすべての試料に関して、3ヶ月の貯蔵後の、4℃のすべての試料に関して、そしてpH6、7、および8の37℃の試料に関して、最大蛍光発光の波長が326nmであることを示した。しかし、pH4および5の37℃の試料に関しては、最大蛍光発光の波長は338nmであった。生データは提示しない。これらのデータを、326nmおよび338nmの発光の間の比として、図9に示す。結果は、37℃でインキュベーションしたpH4およびpH5の試料では、326nm/328nmの比が、約1以下であり、37℃のpH6、7、または8の試料におけるように、明らかに1より大きくはないように、発光スペクトルがシフトしたことを示す。データは、37℃でインキュベーションしたpH4および5の試料中の抗体の三次構造の変化を示す。検出された蛍光は、トリプトファンおよびチロシン残基によるため、データはまた、37℃でインキュベーションしたpH4および5の抗体試料において、これらのアミノ酸のより高い曝露も示す。
in vitroの細胞に基づくアッセイを用いて、生物学的活性を評価した。このアッセイは、A549肺細胞を利用する。A549細胞の増殖は、IFN−γによって阻害可能である。該アッセイは、細胞をALAMARBLUETM(AccuMed International, Inc.、イリノイ州シカゴ)で染色することによって、増殖を測定する。IFN−γによる増殖の阻害を半分救済するのに必要な抗体の濃度(IC50)を表3に示す。このアッセイは、本明細書に援用される米国特許出願第2005/0004353号により詳細に説明される。表3に示す温度で、pH5で3ヶ月間貯蔵した精製アイソフォームおよびFPBの試料を試験した。
表3
これらのデータは、上述の試料の物理的特性、およびここで測定するような生物学的活性の間に明らかな関連がないことを示す。37℃、pH5で形成される二量体および凝集体がかなりの量であることを考慮すると、これらのデータは、二量体および凝集体の形成が、ここで測定するような生物学的機能に影響を及ぼさないことを示唆するようである。しかし、他の実験において、希釈が、pH5の試料に存在する可溶性凝集体および二量体の形成を少なくとも部分的に逆転させうることが立証されている。データ未提示。この実験を行うために、試料を希釈することから、この実験から、生物学的活性に対する、凝集体および二量体形成の影響に関していかなる結論付けを行うことも不可能である。要約すると、すべての試料は、少なくともここで試験した生物学的活性の側面において、生物学的に活性である。試料の免疫原性は評価しない。
SEC、逆相、および蛍光発光データを合わせて解釈すると、結果は、pH6の貯蔵条件が、試験した他の条件よりも抗体の構造を保持することを示唆する。特に、蛍光発光データは、pH6、7、および8の条件が、pH4および5の条件に匹敵し、そしてこれらより優れていることを示す。逆相データは、pH5、6、および7の条件が、pH4および8の条件に匹敵し、そしてこれらより優れていることを示した。最後に、SECのデータは、pH6の条件が、37℃でのFPBおよびすべての個々のアイソフォームに関して、最も好ましいことを示し、これにpH4、7、および8の条件が続いた。pH5の条件において、凝集体および二量体の大部分が、37℃で観察された。4℃でほぼ2年後、ここに記載する各配合物中のFPB試料のpHを測定すると、各配合物に関して、pHが不変であることが示された。pH6、7、および8で配合し、そして37℃で3ヶ月インキュベーションし、そしてその後、4℃でほぼ21ヶ月貯蔵した試料もまた、不変のpHを有し、一方、pH4および5で配合して、同様に処理した試料は、ほぼ1pH単位の増加を受けた。データ未提示。pH4および5で配合した試料のpHの増加は、タンパク質分解および/または用いた緩衝剤の特定のロットの何らかの特性による可能性もある。
データはまた、FPBが、試験した各条件において、最も安定な個々のアイソフォームと同程度にまたはより安定であることも示す。図4A〜4Eを参照されたい。個々のアイソフォームが、単離中で、そしてFPBの構成要素としてインキュベーションされた際、同一の安定性を有するならば、FPBは、最も安定なアイソフォームおよび最も安定しないアイソフォームの間の中間の安定性であろうと予期される。これが当てはまらないという事実は、アイソフォームの組み合わせが、組成物を安定化させうることを示唆する。
実施例3:ソルビトールを含み、そして含まず、ある範囲のpHの多様な緩衝剤を用いた配合物
以下の実験を行って、上述のように、実施例1に記載する抗体の多様なアイソフォームを含有するFPBを含有する組成物の安定性に対する、pHの影響、および用いた特定の緩衝剤の影響の間を区別した。さらに、ソルビトールを含む試料および含まない試料を比較して、安定性に対するソルビトールの影響を決定した。10mMクエン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、またはヒスチジン中、4、5、6、7、または8のターゲットpHで、およそ1mg/mlの最終濃度に各試料を配合した。最終濃度および可能な限りターゲットpHに近いpHで、抗体以外のすべての構成要素を含む配合物溶液を作製した。濃縮溶液から、直接、配合溶液になるように、抗体調製物を、およそ29倍希釈し、これは、いくつかの場合、pHを実質的に変化させた。これは、試験したいくつかのpHが、いくつかの緩衝剤の緩衝範囲内でなかったため、驚くべきことではない。表4は、試料を記載し、そして抗体添加後の最終配合物の実際のpHを示す。NANODROPTM分光光度計(NanoDrop Technologies、米国デラウェア州ウィルミントン)を用いて、280ナノメートルの光学密度(OD280)を測定し、そして1.5μg/ml/OD280の吸光係数を用いて、タンパク質濃度を計算することによって、各完全配合物のタンパク質濃度を測定した。
4℃または37℃の静置条件下で、試料をインキュベーションした。蒸発を防ぐために用いるo−リング・キャップ付きの無菌微量試験管中に等分する前に、0.2μm膜を通じてろ過することによって、すべての配合抗体溶液および対応するプラセボ、すなわち抗体を欠く配合溶液を滅菌した。各試料の総体積は、約650μlであった。
表4:試料の説明
実施例2に説明するように、SECを用いて、貯蔵0、4、8、および12週間後、安定性を評価した。図13は、ソルビトールを含み(左のパネル)そして含まず(右のパネル)、ゼロ時点で、SECによって測定するような、単量体パーセントを示す。図13および続く図において、列挙するpHは、ターゲットpHであり、上に説明するように、いくつかの場合では、実際のpH(表4に列挙するもの)とは幾分異なる。配合物のpHがターゲットpHから実質的に逸脱している場合のデータ点(すべてを含むターゲットpH4以外)を図から省く。ソルビトールを含む配合物および含まない配合物のすべては、ゼロ時点では、同程度の単量体パーセント(およそ98%)を有した。図13。図14は、ソルビトールの存在下(左のパネル)および非存在下(右のパネル)での、37℃で12週間後の単量体パーセントを示す。4のターゲットpHの試料は、一般的に、約95%以下の単量体を有し、5のターゲットpHのクエン酸ナトリウム試料、ならびに7および8のターゲットpHのリン酸ナトリウムおよびリン酸カリウム試料、ならびにターゲットpH8のソルビトールを含まないヒスチジン試料も同様であった。ソルビトールを含む試料および含まない試料のデータは、一般的に同程度であるが、ソルビトールは、いくつかの例で保護効果を示した。37℃で12週間後、ソルビトールを加えた、ヒスチジン、酢酸ナトリウム、およびクエン酸ナトリウム中の最高の試料は、97%に近い単量体を有し、一方、ソルビトールを加えたリン酸ナトリウムまたはリン酸カリウム中の最高の試料は、わずかにより少ない単量体パーセントを有した。図14。4℃でインキュベーションした、試験した緩衝剤のいずれか1つに加えてソルビトールを含む試料は、12週間後、単量体パーセントに本質的にまったく変化を示さなかった。データ未提示。
ソルビトールを含みまたは含まず、ヒスチジンまたは酢酸ナトリウムを含有する試料に関して、pH6の試料が、37℃で12週間後、同じ緩衝剤中、同じ試料の間で、最高の単量体パーセントを有した。図15および16。ソルビトールとともに、リン酸カリウムを含有する試料に関しても同じことが当てはまった。図18。残りの試料において(ソルビトールを含む、および含まない、クエン酸ナトリウムおよびリン酸ナトリウム、ならびにソルビトールを含まないリン酸カリウム)、37℃で12週間後、pH6の試料が、最高で、そしてほぼ等しい単量体パーセントを持つ2つの試料の1つであった。図17〜19。したがって、pH6は、用いた緩衝剤に関わらず、抗体を安定化させるために最高のpHまたは2つの最高のpHの1つのいずれかであった。
図20は、37℃で12週間後の、ソルビトールを含み、そして含まずに試験した、緩衝剤およびpHのすべてに関する単量体パーセントを示す。これは、試験した緩衝剤すべてに関する単量体パーセントが、pH6では非常に近いが、他のpHではそうではなかったため、抗体の安定性が、約pH6以外のpHでは、用いた緩衝剤にはるかにより依存することを示す。これはまた、特にpH8の試料において、ソルビトールの防御効果も明らかにする。しかし、異なる緩衝剤が異なるpH範囲に渡って有効であった。例えば、リン酸ナトリウムおよびリン酸カリウムは、ターゲットpH5および6で最も有効であったが、ターゲットpH7および8では、ヒスチジンおよびクエン酸よりもはるかに低い単量体パーセントを有した。ヒスチジンはターゲットpH5〜7で有効であったが、ターゲットpH6で最適であった。酢酸ナトリウムはターゲットpH5〜6でよく働き、そしてクエン酸ナトリウムは、ターゲットpH6〜7で最も有効であった。また、クエン酸ナトリウムは、他の緩衝剤に比較して、ターゲットpH4で非常に低い単量体パーセントを有し、これは、クエン酸ナトリウム試料の実際のpHが、ターゲットpH4の他のいずれの試料よりも、pH4により近い(そしてより酸性である)という事実を反映している可能性もある。クエン酸ナトリウムはまた、試験した剤すべてが、最大でもpH5の0.23pH単位以内のpHを有したにもかかわらず、pH5で試験したすべての緩衝剤のうち、最低の単量体パーセントも有した。
図21は、ソルビトールを含む試料および含まない試料に関して、SEC(実施例2に説明するようなもの)によって決定した際の、低分子量種(LMW1およびLMW2)のパーセントを示す。図20と組み合わせて考えると、図21は、単量体損失の大部分が、ソルビトールを含む試料および含まない試料中の低分子量種の形成によるものであることを示す。
図22は、37℃で12週間静置インキュベーションした後、SECによって測定した際に二量体である総試料のパーセントを示す。pH7または8でインキュベーションした試料、特にリン酸ナトリウムまたはリン酸カリウム中の試料は、より高い二量体パーセントを有した。ソルビトールは、pH8で、ヒスチジン試料に対してわずかな防御効果を有した。したがって、二量体形成は、pH7または8のリン酸ナトリウムまたはリン酸カリウム中の試料で見られる単量体パーセントの減少のある程度を説明する。
総合すると、これらのデータは、抗体が、多様な緩衝剤中、約pH6で比較的安定であることを示す。ソルビトールは、いくつかの条件下で、安定化効果を有する。37℃でインキュベーションした試料中、単量体パーセントの損失の大部分は、低分子量種の形成のためであったが、pH7および8のいくつかの試料では、二量体形成もまた原因であった。37℃で12週間貯蔵した後のソルビトールを含むおよび含まないすべての試料のpHの測定は、ゼロ時点で測定したものとpHの変化を示さなかった。データ未提示。
実施例4:安定性に関する精製アイソフォーム混合物の試験
異なる精製アイソフォーム(実施例1に記載)が異なる安定性を有することを、実施例2に示し、そしてFPB(すべてのアイソフォームを含有する)は、一般的に、精製アイソフォームのうち、最も安定なものと同程度に安定であった。この観察のありうる説明は、FPB試料に存在するいくつかの要素が、個々のアイソフォームの単離中に取り除かれることである。これが正しいならば、FPBにおいて見られるものとほぼ同じ比のアイソフォーム混合物(以下の表5に記載するIsoBulk混合物のようなもの)が、FPBより安定でないことが予期される。
以下に記載する実験において、安定性に関して、精製アイソフォームの多様な組み合わせを試験した。さらに、FPB(IsoBulkと称する)に存在するのとほぼ同じ比のアイソフォーム−2、−1、0、1、および2の混合物を試験して、こうした混合物がFPBと同様に振舞うかどうかを決定した。FPBは、IsoBulkを作製するのに用いたものに加えて、3種、すなわち3、4、および−3を少量含有する。図2を参照されたい。表5は、試料を説明する。
表5:試料の説明
図23は、選択したpHで優れた緩衝能を持つ緩衝剤を加えた5%ソルビトールを含む配合物中で、4℃または37℃で12週間インキュベーションした後の、pH4〜8のFPB(左のパネル)とIsoBulk(右のパネル)の比較を示す。実施例2に記載するように、SECによって単量体パーセントを測定した。酢酸ナトリウムは、pH4および5で用いた緩衝剤であり、pH6ではヒスチジンを用い、そしてpH7および8ではリン酸ナトリウムを用いた。4℃でインキュベーションしたFPBおよびIsoBulk試料(図23、黒塗りの円)はどちらも、ゼロ時点の試料と実質的に同じであった。データ未提示。4℃でインキュベーションしたIsoBulk試料はすべて、4℃でインキュベーションしたFPB試料に関して観察されたもの(約99%)に比較して、わずかにより低い単量体パーセント(約98%)を有した。37℃でインキュベーションしたFPB試料は、pH4、5、および6で、IsoBulk試料よりわずかにより高い単量体パーセントを有し、そしてpH7および8で顕著により高い単量体パーセントを有した。FPB対IsoBulkに関して、出発単量体パーセントおよびpH4、5、または6、37℃で12週間後の単量体パーセントの間の相違は、ほぼ同じであった。したがって、FPBおよびIsoBulkは、pH4、5、または6でほぼ同等に安定である。このデータはまた、IsoBulkが、pH7および8で、FPBより安定でないことも示す。したがって、少なくともpH4〜6では、図4で観察された結果は、アイソフォーム精製中に、FPB中の安定化要素が除去されたことによっては説明不能である。こうした説明は、pH7および8でのFPBに比較したIsoBulkの安定性減少を潜在的に説明しうる。
図24および25は、37℃で8週間静置インキュベーションした後の、精製アイソフォームまたはアイソフォーム混合物を含有する個々の試料をSEC(上述のようなもの)によって測定した際の、純単量体パーセント損失を示す。5%ソルビトール、10mM酢酸ナトリウムpH5(図24)中、または5%ソルビトール、10mMヒスチジンpH6(図25)中のいずれかに、試料を配合した。単一の精製アイソフォームを含有する試料は、単量体パーセントの最大の損失を有し、その後、2つの精製アイソフォームの混合物を含有する試料が続いた。これは、試験した配合物両方に当てはまった。図24および25。3以上のアイソフォーム混合物を含有する試料は、単量体パーセントにおけるの同程度の損失を有し、これは一般的に、単一アイソフォームまたは2つのアイソフォームの混合物に関して観察されるものより低かった。試験した2つの混合物の1つ(アイソフォーム2および−2)は、3以上のアイソフォームの混合物に匹敵した。これらのデータは、3以上のアイソフォームを含有する混合物が、より少ないアイソフォームを含有する混合物に比較して、安定化されていることを示す。
図1A〜1Gは、N−グリカン・コア構造(1A)、ガラクトースを加えたN−アセチルグルコサミン(LacNAc)単位を1より多く含む枝がない、二シアル化二分岐N−グリカン(1B)、二シアル化三分岐N−グリカン(1C)、2つのLacNAc単位を含む1つの枝を含む、二シアル化三分岐N−グリカン(1D)、四シアル化四分岐N−グリカン(1E)、2つのLacNAc単位を含む1つの枝を含む、三シアル化四分岐N−グリカン(1F)、および2つのLacNAc単位を含む2つの枝を含む、三シアル化四分岐N−グリカン(1G)の構造を示す図である。記号は、以下の糖残基を表す:黒塗りの正方形、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc);白抜きの円、マンノース(Man);白抜きのひし形、ガラクトース(Gal);黒塗りのひし形、シアル酸(Sia);および白抜きの三角形、フコース(Fuc)。
図2は、重鎖可変領域中にN−グリカン部位を有する抗体の精製調製物を装填しておいた、陽イオン交換カラムからの、280ナノメートル(OD280)での光学密度を示す、溶出プロフィールを示す。少なくとも8つの異なる荷電変異体またはアイソフォームが検出された。
図3は、37℃で3ヶ月貯蔵した後の、10mMリン酸ナトリウム、pH8、5%ソルビトール中に配合した試料からの、一組の重ね合わせサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)OD215カラム・プロフィールを示す。
時間、貯蔵温度、およびpHの関数としての、精製アイソフォーム・ピーク−2、−1、0、+1、および+2、ならびにFPBに関する、非変性SECによって検出した際の単量体型である総抗体のパーセントを示す。各パネルは、4℃(黒塗り記号)および37℃(白抜き記号)両方の、pH4(図4A)、pH5(図4B)、pH6(図4C)、pH7(図4D)、およびpH8(図4E)に関する、0〜3ヶ月の時点での単量体パーセントを示す。試料を以下のように配合した:pH4、5%ソルビトール、10mM酢酸ナトリウム;pH5、5%ソルビトール、10mM酢酸ナトリウム;pH6、5%ソルビトール、10mMヒスチジン;ならびにpH7および8、5%ソルビトール、10mMリン酸ナトリウム。
時間、貯蔵温度、およびpHの関数としての、精製アイソフォーム・ピーク−2、−1、0、+1、および+2、ならびにFPBに関する、非変性SECによって検出した際の単量体型である総抗体のパーセントを示す。各パネルは、4℃(黒塗り記号)および37℃(白抜き記号)両方の、pH4(図4A)、pH5(図4B)、pH6(図4C)、pH7(図4D)、およびpH8(図4E)に関する、0〜3ヶ月の時点での単量体パーセントを示す。試料を以下のように配合した:pH4、5%ソルビトール、10mM酢酸ナトリウム;pH5、5%ソルビトール、10mM酢酸ナトリウム;pH6、5%ソルビトール、10mMヒスチジン;ならびにpH7および8、5%ソルビトール、10mMリン酸ナトリウム。
時間、貯蔵温度、およびpHの関数としての、精製アイソフォーム・ピーク−2、−1、0、+1、および+2、ならびにFPBに関する、非変性SECによって検出した際の単量体型である総抗体のパーセントを示す。各パネルは、4℃(黒塗り記号)および37℃(白抜き記号)両方の、pH4(図4A)、pH5(図4B)、pH6(図4C)、pH7(図4D)、およびpH8(図4E)に関する、0〜3ヶ月の時点での単量体パーセントを示す。試料を以下のように配合した:pH4、5%ソルビトール、10mM酢酸ナトリウム;pH5、5%ソルビトール、10mM酢酸ナトリウム;pH6、5%ソルビトール、10mMヒスチジン;ならびにpH7および8、5%ソルビトール、10mMリン酸ナトリウム。
時間、貯蔵温度、およびpHの関数としての、精製アイソフォーム・ピーク−2、−1、0、+1、および+2、ならびにFPBに関する、非変性SECによって検出した際の単量体型である総抗体のパーセントを示す。各パネルは、4℃(黒塗り記号)および37℃(白抜き記号)両方の、pH4(図4A)、pH5(図4B)、pH6(図4C)、pH7(図4D)、およびpH8(図4E)に関する、0〜3ヶ月の時点での単量体パーセントを示す。試料を以下のように配合した:pH4、5%ソルビトール、10mM酢酸ナトリウム;pH5、5%ソルビトール、10mM酢酸ナトリウム;pH6、5%ソルビトール、10mMヒスチジン;ならびにpH7および8、5%ソルビトール、10mMリン酸ナトリウム。
時間、貯蔵温度、およびpHの関数としての、精製アイソフォーム・ピーク−2、−1、0、+1、および+2、ならびにFPBに関する、非変性SECによって検出した際の単量体型である総抗体のパーセントを示す。各パネルは、4℃(黒塗り記号)および37℃(白抜き記号)両方の、pH4(図4A)、pH5(図4B)、pH6(図4C)、pH7(図4D)、およびpH8(図4E)に関する、0〜3ヶ月の時点での単量体パーセントを示す。試料を以下のように配合した:pH4、5%ソルビトール、10mM酢酸ナトリウム;pH5、5%ソルビトール、10mM酢酸ナトリウム;pH6、5%ソルビトール、10mMヒスチジン;ならびにpH7および8、5%ソルビトール、10mMリン酸ナトリウム。
図5は、示すような多様なpHで、4℃(図5A)および37℃(図5B)での3ヶ月の貯蔵後に、精製アイソフォーム・ピーク−2、−1、0、+1、および+2、ならびにFPB中で形成されている低分子量および高分子量(それぞれ、LMWおよびHMW)種のパーセントを示す。LMWおよびHMW種をSECによって検出した。図4におけるように試料を配合した。
図5は、示すような多様なpHで、4℃(図5A)および37℃(図5B)での3ヶ月の貯蔵後に、精製アイソフォーム・ピーク−2、−1、0、+1、および+2、ならびにFPB中で形成されている低分子量および高分子量(それぞれ、LMWおよびHMW)種のパーセントを示す。LMWおよびHMW種をSECによって検出した。図4におけるように試料を配合した。
図6は、示すような多様なpHで、37℃での3ヶ月のインキュベーション後に、SECによって検出した際の、二量体(図6A)および凝集体(図6B)であった、精製アイソフォーム・ピーク−2、−1、0、+1、および+2、ならびにFPB由来の物質中の抗体総量の比率を示す。図4におけるように試料を配合した。
図6は、示すような多様なpHで、37℃での3ヶ月のインキュベーション後に、SECによって検出した際の、二量体(図6A)および凝集体(図6B)であった、精製アイソフォーム・ピーク−2、−1、0、+1、および+2、ならびにFPB由来の物質中の抗体総量の比率を示す。図4におけるように試料を配合した。
図7は、10mMリン酸ナトリウムおよび5%ソルビトールを含有する配合物中の、pH8での4℃(図7A)または37℃(図7B)で3ヶ月貯蔵した、図中に示すような、精製アイソフォーム・ピーク−2、−1、0、+1、および+2、ならびにFPB由来の物質の重ね合わせOD215逆相クロマトグラフィー(RPC)カラム・プロフィールを示す。
図7は、10mMリン酸ナトリウムおよび5%ソルビトールを含有する配合物中の、pH8での4℃(図7A)または37℃(図7B)で3ヶ月貯蔵した、図中に示すような、精製アイソフォーム・ピーク−2、−1、0、+1、および+2、ならびにFPB由来の物質の重ね合わせOD215逆相クロマトグラフィー(RPC)カラム・プロフィールを示す。
図8は、示すような多様なpHで、37℃でのインキュベーションの3ヶ月後の、図中に示すような、精製アイソフォーム・ピーク−2、−1、0、+1、および+2、ならびにFPBにおける、主ピーク中(図8A)および親水性クリップ種中(図8B)の総抗体パーセントに対するpHの影響を示す。検出はRPCによる。図4におけるように試料を配合した。
図8は、示すような多様なpHで、37℃でのインキュベーションの3ヶ月後の、図中に示すような、精製アイソフォーム・ピーク−2、−1、0、+1、および+2、ならびにFPBにおける、主ピーク中(図8A)および親水性クリップ種中(図8B)の総抗体パーセントに対するpHの影響を示す。検出はRPCによる。図4におけるように試料を配合した。
図9は、多様なpHで、37℃でのインキュベーションの3ヶ月後の、図中に示すような、ピーク−2、−1、0、+1、および+2、ならびにFPBの配合物に関する、338nmでのものに比較した、発光波長326nmでの固有の蛍光強度の比を示す。励起波長は280nmである。図4におけるように試料を配合した。
図10は、ヒトVHセグメント5−51によってコードされるアミノ酸配列を示す。
図11は、ヒトVHセグメント5−aによってコードされるアミノ酸配列を示す。
図12は、ヒトVκセグメントVKIII/A27によってコードされるアミノ酸配列を示す。
図13は、0時点で、5%ソルビトールを含む(左のパネル)または含まない(右のパネル)、10mM酢酸ナトリウム
、ヒスチジン
、リン酸カリウム
、リン酸ナトリウム
、またはクエン酸ナトリウム
中の試料においてSECによって測定した際の単量体パーセントを示す。ターゲットpH4のすべての試料を示すが、いくつかはpH4ではない。実施例3、表4を参照されたい。ターゲットpHから0.4pH単位以内にないすべての他の試料を省く。
図14は、5%ソルビトールを含む(左のパネル)または含まない(右のパネル)、10mM酢酸ナトリウム
、ヒスチジン
、リン酸カリウム
、リン酸ナトリウム
、またはクエン酸ナトリウム
中で37℃で12週間静置した後の試料において、SECによって測定した際の単量体パーセントを示す。ターゲットpH4での試料以外、ターゲットpHから0.4pH単位以内にないすべての他の試料を省く。
図15は、5%ソルビトールを含む(左のパネル)または含まない(右のパネル)、10mM酢酸ナトリウム中の試料における、37℃での、時間の関数としての、SECによって測定した際の単量体パーセントを示す。図中の試料名は表4(実施例3)におけるとおりである。ターゲットpHの0.4pH単位以内にない試料を省く。
図16は、5%ソルビトールを含む(左のパネル)または含まない(右のパネル)、10mMヒスチジン中の試料における、37℃での、時間の関数としての、SECによって測定した際の単量体パーセントを示す。図中の試料名は表4(実施例3)におけるとおりである。
図17は、5%ソルビトールを含む(左のパネル)および含まない(右のパネル)、10mMクエン酸ナトリウム中の試料における、37℃での、時間の関数としての、SECによって測定した際の単量体パーセントを示す。図中の試料名は表4(実施例3)におけるとおりである。ターゲットpHの0.4pH単位以内にない試料を省く。
図18は、5%ソルビトールを含む(左のパネル)および含まない(右のパネル)、10mMリン酸カリウム中の試料における、37℃での、時間の関数としての、SECによって測定した際の単量体パーセントを示す。図中の試料名は表4(実施例3)におけるとおりである。
図19は、5%ソルビトールを含む(左のパネル)および含まない(右のパネル)、10mMリン酸ナトリウム中の試料における、37℃での、時間の関数としての、SECによって測定した際の単量体パーセントを示す。図中の試料名は表4(実施例3)におけるとおりである。
図20は、ターゲットpHの関数としての、37℃での静置インキュベーション12週間後のSECによって測定した際の単量体パーセントを示す。ターゲットpH4のすべての試料を示すが、ターゲットpHから0.4pH単位より大きいすべての他の試料を省く。左のパネル中の試料は5%ソルビトールを含有し、そして右のパネル中の試料はソルビトールを含有しない。10mMの濃度で存在する異なる緩衝剤を、以下のように示す:
、酢酸ナトリウム;
、ヒスチジン;
、リン酸カリウム;
、リン酸ナトリウム;および
、クエン酸ナトリウム。y軸のスケールは、左のパネルおよび右のパネルで異なる。
図21は、5%ソルビトールを含む試料(左のパネル)および含まない試料(右のパネル)中の、ターゲットpHの関数としての、37℃での静置インキュベーション12週間後の、SECによって測定されるような、低分子量種、LMW1およびLMW2のパーセントを示す。10mMの濃度で存在する異なる緩衝剤を、図20の説明に記載するように示す。ターゲットpHから0.4pH単位より大きい、ターゲットpH4のもの以外の試料を省く。
図22は、5%ソルビトールを含む試料(左のパネル)および含まない試料(右のパネル)中の、ターゲットpHの関数としての、37℃での静置インキュベーション12週間後の、SECによって測定されるような、二量体パーセントを示す。10mMの濃度で存在する異なる緩衝剤を、以下のように示す:
、酢酸ナトリウム;
、ヒスチジン;
、リン酸カリウム;
、リン酸ナトリウム;および
、クエン酸ナトリウム。ターゲットpHから0.4pH単位より大きい、ターゲットpH4のもの以外の試料を省く。図の下部に沿った線は、多様な試料の0時点での二量体パーセントに相当し、これらはすべて非常に類似であった。
図23は、4℃(黒塗りの円)または37℃(白抜きの円)のいずれかで12週間静置インキュベーションした後の、FPB(左のパネル)またはIsoBulk混合物(右のパネル、実施例4および表5に詳細に記載する)のいずれかを含有する試料に関する、ターゲットpHの関数としての、SECによって測定されるような単量体パーセントを示す。すべての試料は、ソルビトールを含有した。ターゲットpHは、実際のpHに非常に近かった。pH4および5の試料を10mM酢酸ナトリウム中で配合した。pH6の試料を10mMヒスチジン中で配合した。pH7および8の試料を10mMリン酸ナトリウム中で配合した。
図24は、示すように、単一精製アイソフォーム、あるいは2、3、4、5、または8の異なるアイソフォームの混合物のいずれかを含有する個々の試料に関する、37℃での静置インキュベーション8週間後の、SECによって測定した際の単量体パーセントの純損失を示す。すべての試料を、5%ソルビトール、10mM酢酸ナトリウム、pH5中に配合する。単一精製アイソフォームに関するデータは、実施例2に記載する実験に由来する。アイソフォーム混合物に関するデータは、実施例3および4に記載する実験に由来する。1つまたは2つのアイソフォームを含有する試料に関するデータ点の隣の数字は、どのアイソフォームが試料中に含まれるかを示す。3、4、および5つのアイソフォームを含有する試料は、それぞれ、A5S(−1、−2、−3)、A5S(1、2、3、4)、およびA5S(IsoBulk)である。これらは、実施例4および表5に記載される。8つのアイソフォームを含有する試料はFPBである。
図25は、示すように、単一精製アイソフォーム、あるいは2、3、5、または8の異なるアイソフォームの混合物のいずれかを含有する個々の試料に関する、37℃での静置インキュベーション8週間後の、SECによって測定した際の単量体パーセントの純損失を示す。すべての試料を、5%ソルビトール、10mMヒスチジン、pH6中に配合する。単一精製アイソフォームに関するデータは、実施例2に記載する実験に由来する。混合物に関するデータは、実施例3および4に記載する実験に由来する。1つまたは2つのアイソフォームを含有する試料に関するデータ点の隣の数字は、どのアイソフォームが試料中に含まれるかを示す。3つおよび5つのアイソフォームを含有する試料は、それぞれ、H6S(−1、−2、−3)およびH6S(IsoBulk)である。これらは、実施例4および表5に記載される。8つのアイソフォームを含有する試料はFPBである。