JP5051745B2 - 光伝送路の光軸調整方法および装置 - Google Patents

光伝送路の光軸調整方法および装置 Download PDF

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Description

本発明は、種々の光学部品を含む光伝送路の光軸調整方法および装置に関し、特に光学部品としてレンズ、発光素子、受光素子、半導体レーザ、ミラーなどを含む光伝送路の光軸調整方法及び装置に関する。
一般に、光通信、光計測、レーザ加工等に用いられる装置またはシステムの光伝送路では、半導体レーザ、ミラー等の光学部品が数多く接続される。このため、光学部品相互における光軸調整の高速化、高精度化が重要な課題となっている。例えば、図19に例示するような、光ファイバ10と受光素子11を含む光伝送路での光軸調整においては、光ファイバ10の光軸8の自由度は、光軸8の垂直方向に2自由度(x、y)、その軸回りの回転方向に2自由度(θx、θy)、光軸方向に1自由度(z)となり、合計5自由度となる。
このような光軸調整においては、光軸の自由度を変数として、光伝送路通過後の光強度の最大値を、与えられた探索アルゴリズムにしたがって求める(以下では、前記変数を光軸座標値と呼ぶことにする)。この探索アルゴリズムとしては、従来山登り法が用いられている。この山登り法を図19の伝送路に用いた従来の光軸調整方法について、図20を参照して説明する。
まず、一光軸方向に、所定の送りピッチで、光ファイバを受光素子に対して相対移動し、移動したそれぞれの位置で受光素子の受光強度を比較しピークの得られる位置を探索する。これを、X,Y,Zの三軸についてそれぞれ独立に同様の手順を受光強度が増加する限り繰り返す。また、特許文献1に示すように、探索時間を短縮するために送りピッチを数段階に設定し、祖調整、微調整の順で行う場合もある。
図21は、受光強度が単調増加の分布ではなく、局所ピークをもつ場合を表した図である。このような局所ピークが存在すると局所ピークで探索が終了するため従来の山登り法では真のピークに到達できない。特に、半導体レーザ、レンズ、光ファイバの複数部品の一つの光軸に沿って多段に直列に並べて光学部品を接続する場合のように、調整すべき光軸の自由度が大きい場合は、局所ピークが多数存在するために、十分な受光強度を得るまえに、探索が終了してしまうという問題点がある。
山登り法以外にも、例えば特許文献2に示す、ベクトル探索を用いたものもある。これは、探索に勾配測定を応用し、ベクトル的な探索を試みたものである。しかし、従来の山登り法に比べて移動回数を少なくできるものの、ピークを確認する手段がなく、山登り法同様局所的ピークにとどまる可能性があるという問題点がある。
さらに、特許文献3或いは特許文献4に記載されているように、受光強度分布にある一定の形状を仮定して、計測結果からその形状パラメータを推定し、探索時間を短縮する手法もある。しかし、これらの手法においても、依然として局所的ピークにとどまる可能性があり、また対象とする伝送光の強度分布が仮定より大幅に異なる場合は、新たにアルゴリズムを追加したり変更しないかぎり、有効な探索ができなくなるという問題点もある。
以上のように、従来の光部品の光軸調整技術では、探索に時間がかかる場合や、局所的ピークに捕われて、十分な受光強度が得られないという問題がある。とくに、光ファイバに受光素子、発光素子などが複数接合された光モジュールを製造する場合、光軸調整に長時間を要するため、製造工数が大きくなり生産性が低下し、製造コストが増大するという問題点がある。
また上記の説明は、光ファイバと他の光学部品との光軸調整に関するものであるが、光伝送路中に、空気中を伝播させる部分を含む場合にも同様の問題が発生する。たとえば、各種装置の可動部と固定の制御部との間の制御信号や映像信号をレーザ光を用いて伝送する光伝送路においては、発光ユニットから受光ユニットに対してレーザ光を発射する。その場合、発光ユニットでは図19の場合と同様に5自由度の光軸調整が必要であり、光軸調整に大変な手間と時間を要するという問題があった。
さらに、空気中を伝播させる光伝送路に、複数のミラーを組み合わせて伝送光を反射させる光路を含む場合もあり、そのミラー位置調整においても、同様の問題が発生する。たとえば、レーザ加工等において、被加工物の目標照射位置まで正確にレーザ光を伝送する場合などである。このような場合、ミラー位置を目視で確認しながら、手動でミラーの角度調整を行う方法が一般的である。しかしながら、放射線環境下や、高温環境下のように人が近づけない場合や、遠隔地から調整しなければならない場合は、CCDカメラ等のセンサを用いて自動調整する必要があり、この場合には、複数ミラーの多自由度の調整をする必要がある。
そのような調整において、直径が数十cmのミラーの位置調整が必要な場合があり、その場合の大きな問題点は、ミラーの一つの光軸の変位が重力によるたわみなどによって他の光軸の変位にも影響を及ぼすことである。たとえば、可変ミラーのX軸を変位させた場合、本来は変位しないはずの他の軸(たとえばY軸)も同時に変位が発生してしまう。そのため、光軸変位量と、目標位置からのずれ量の関係が単調にならず、山登り法を用いて自動調整した場合、調整が局所的なピークにとらわれて、目標位置から大きくずれてしまうという問題があった。
そこで、本件発明者は、先に、複数の光学部品の接続等において、位置合わせする箇所と自由度が多い場合にも実用的な時間で自動的に位置合わせを行うことが可能な位置合わせ技術を提供するため、遺伝的アルゴリズムや焼きなまし法を用いた光軸調整方法を提案している。(特許文献5参照。)
特開平9−311250号公報 特開昭62−75508号公報 特開平6−226415号公報 特開平7−62823号公報 特開2002−122758号公報 特開2006−105867号公報
前述した遺伝的アルゴリズムを用いた光軸調整方法においては、探索が局所解に陥るのを避けるために、突然変異等の大域的探索動作を行っている。これにより、探索が局所的なピークにとらわれ難くなるが、探索の終盤においても大域的探索動作を行うと、ステップモータ等の駆動に要する時間が増加するので、そのまま調整時間の増大につながるという問題があった。
また光軸調整時に、外部からの機械的な雑音、振動等によって光軸ずれが生じたり、空気のゆらぎ等によって光の評価値に雑音がのる場合が多く、そのような場合、評価値に誤差が生じ、その結果、時として誤った個体を選択・置換してしまい、調整アルゴリズムの収束が遅くなると共に、時には収束しないといった問題が生じていた。
一方前述した焼きなまし法を用いた光軸調整方法においては、基本的な動作は山登り法であるが、探索が局所解に陥るのを避けるために、受容関数の値に応じた大域的探索動作を行っている。しかし、局所最適解の数が多い場合は、結局局所的なピークにとらわれてしまい十分な調整精度が得られないという問題があった。光の評価値に雑音がのる場合においても、雑音の効果によって、みかけ上局所最適解の数がふえてしまい、結局十分な調整精度が得られないことが多かった。
本発明は、これらの従来手法の欠点を無くし、二分探索手法を応用した確率的探索手法を光軸調整アルゴリズムに取り入れて、前記従来と同様に光伝送路の光軸調整において、調整の自由度が多く、光の評価値に雑音がのる場合にも、熟練した作業者による介入を必要とすることなく、低コストで高精度な光軸調整を行うことが可能な技術を提供することを目的とする。
本発明の光伝送路の光軸調整方法及び装置は、光軸座標値を調整することによりレーザ光の光軸を調整する光軸調整機構と、該光軸調整機構を介して伝送されたレーザ光の目標照射位置からのずれ量を検出する光位置ずれ量計測装置と、そのずれ量を評価する信号に基づき、光軸座標の最適値を探索し、光軸座標値を設定する制御信号を前記光軸調整機構に出力する調整装置とを備えて、レーザ光の光軸を調整する。探索方法を選択するための遷移関数P(t)を演算して、この遷移関数P(t)に従って、光軸座標の最適値を探索する大域探索か局所探索のいずれを行うかの判断をし、大域探索による次の探索点の決定、または、局所探索による次の探索点の決定をする。遷移関数P(t)に従って大域探索を行うフェーズから局所探索を行うフェーズに確率的に徐々に遷移させることにより光軸の調整時間を短縮させる。光位置ずれ量の計測をして、位置ずれが所定値内におさまったときに、調整処理を終了し、かつ前記決定した次の探索点に基づく調整処理を、一定回数繰り返して行っても所定値内におさまる光軸座標値が得られない場合には、調整対象の光伝送路は不良品と判断する。
本発明によれば、調整の自由度が多く、光の評価値に雑音がのる場合にも、熟練した作業者による介入を必要とすることなく、低コストで高精度な光軸調整を行うことを可能にする。本発明は、遷移関数P(t)に従って徐々に大域探索から局所探索のフェーズに移行していくので、探索終盤での調整効率が改善され、短時間で光軸調整を完了することができる。大域探索ではそれまでに探索していない領域から探索を優先的に行うので、探索空間を少ない探索回数で効率良く、まんべんなく探索を行うことが可能となる。局所探索ではランダムに選出された組の中から有望点を決定し、有望点の周辺を探索するため、最も有望な領域だけではなく、複数の有望な領域の中から、より良い探索点を見つけることが可能となる。
以下に、この発明の実施の形態を、例示に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の光軸調整方法を実施するために構成した光伝送路の光軸調整システムを示す。図1中、7Lがレーザ光源、8がレーザ光である。13Aおよび13Bは自動調整ミラーであり、ミラー微調整機構4Aおよび4Bによって、光軸が微調整できるようになっている。6Bは光位置ずれ量計測装置であり、自動調整ミラーを介して伝送されたレーザ光8の目標照射位置からのずれを検出する装置で、その結果を評価信号3として調整装置5に引き渡す。調整装置5は、本発明の方法に従って制御信号をミラー微調整機構4Aおよび4Bに出力して自動調整ミラーの光軸座標値を調整する。なお、本明細書及び図面で同じ参照符号を付したものは同じもの又は相当するものを意味している。
図1において、レーザ光源7Lおよび光位置ずれ量計測装置6Bの配置、および自動調整ミラー13Aおよび13Bの配置は、その概念を示す例示であり、実際には光伝送路の設計により決められる。自動調整ミラー13Aおよび13Bは、本発明の方法で光軸座標値が調整される光学部品であり、他の方法、たとえば光伝送路を設置した直後の粗調整など、人手や従来手法による調整を行うようにしても良い。
自動調整ミラーの光軸座標値は、X軸を中心とした回転の量θx、Y軸を中心とした回転の量θyの2自由度となり、ふたつのミラー13A、13Bで合計4自由度となる。光軸座標系の原点は、伝送路設置時の初期位置とする。なお、ミラーそれぞれの変位量が互いに独立ではなく依存関係にあってもよい。一般的に、それぞれの変位量が独立になるように自動調整ミラーおよびミラー微調整機構を設計するのは非常に難しく時間がかかり、また剛性の高い部品を使用するために製造コストもかかる。しかし、本発明によれば、変位量が依存関係にあっても、確率的探索手法により調整が可能であるから、設計時間および製造コストを削減することができる。
ミラー微調整機構4Aおよび4Bは、ステップモータあるいはピエゾ素子あるいはガルバノメータ等による精密駆動機構を用いれば良い。光位置ずれ量計測装置6Bでは、PSD(Position Sensitive Detectors)素子あるいは分割型フォトダイオード素子を用いた光位置検出素子や、CCDカメラによる撮像と画像処理を組み合わせた光位置検出装置を用いて、目標照射位置からのずれを算出する。
本実施形態では、光伝送路を通過した光の評価値は、光位置ずれ量計測装置6Bによる光位置ずれ量の出力をそのまま用いる。たとえば、光位置ずれ量計測装置6Bの出力が、8.9μmであったとき、評価値は8.9となる。この場合の探索問題は、この評価値が小さければ小さいほどよい、最小化問題である。
調整装置5は、評価信号3を読み取り、後述の確率的探索手法に従って、自動調整ミラー13Aおよび13Bの光軸座標の最適値を探索し、座標値を設定する制御信号を出力する。ミラー微調整機構4Aおよび4Bは、この制御信号に従って、自動調整ミラー13Aおよび13Bの光軸座標値を変更する。なお、調整装置5は、パーソナルコンピュータあるいはマイクロコンピュータ等の読み取り可能な記録媒体/記録媒体の読み取り装置を具備した電子計算機により構成することが可能である。
上記の電子計算機に於いては、後述の確率的探索手法による調整プログラムがハードディスク、ROM(読みだし専用メモリ)、光ディスク、光磁気ディスク、フレキシブルディスク、磁気ディスク、フラッシュメモリ、強誘電体を利用したメモリ、磁性体を利用したMRAM、バックアップ機能をもつ半導体メモリ、等の記録媒体に格納されている。また、上記の調整を行うプログラムは、ネットワークを経由して伝送・配信されるものであってもよい。
調整対象となる自動調整ミラー13Aおよび13Bは、上述のように4自由度をもっており、従来手法を用いた場合、図21に例示したように、局所的なピークに捕われて探索が終了してしまう場合が多い。それゆえ、本発明に基づく確率的探索手法を用いた以下で説明する調整手法が非常に有効である。
上記光伝送路が設置された後、調整工程で、図1に示すように、レーザ光源7L、調整装置5、自動調整ミラー13Aおよび13B、光位置ずれ量計測装置6Bがそれぞれ配置される。そして、図2に示したフローチャートに従い光軸調整を行う。この処理手順では、まずステップS1で、光源を動作させ人手もしくは従来手法により自動調整ミラー13Aおよび13Bの粗調整を行い、さらに調整装置5や光位置ずれ量計測装置6Bを初期化する。なお、粗調整後の各光軸座標値を、以下の調整では基準点(θAx0、θAy0、θBx0、θBy0)に設定する。次のステップS2で、光位置ずれ量計測装置6Bでのずれ量を観測してその評価値を調整装置5に送り、次のステップS3で、調整装置5が、位置ずれが所定値内におさまったか否かを判定する。
ここで所定値内におさまっていない場合には、ステップS4で、調整装置5が、確率的探索手法に従って光軸座標値を変更するための制御信号を出力し、次のステップS5で、ミラー微調整機構4Aおよび4Bが停止するまで一定時間待機し、次のステップS6で、終了条件(具体的には後述する。)をみたしたか否かを判断し、終了条件をみたしていればステップS7で不良品処理を行った後に当該処理を終了するが、終了条件をみたしていなければステップS2へ戻る、という一連の処理が繰り返し実行される。そして上記ステップS3で、位置ずれが所定値を満たすものとなったとの判定が得られた場合には、当該処理を終了する。
ここで、光位置ずれ量は、自動調整ミラー13Aおよび13Bの光軸座標値を引数とする関数Fで表すことができる。光位置ずれ量を最小にすることは、関数Fの最適解を求めることと等価である。本発明者はこの点に注目し、自動調整ミラー13Aおよび13Bの光軸調整に、二分探索法を応用した調整方法を考案した。
図3は、本実施形態における確率的探索手法を用いた調整装置5の処理手順を示すフローチャートである。なお、この図3の処理は、図2のステップS2〜ステップS6の処理を具体的に示すものである。
まずステップS21で、確率的探索手法の探索の初期位置(t:=0)として、基準位置(θAx0、θAy0、θBx0、θBy0)を設定する。その状態において、光位置ずれ量計測装置6Bから送られてきた評価信号3(評価値)と、基準位置座標を1組みとしてデータベース5DBに記憶する。このデータベース5DBは、図4に示すように、調整装置5が保持しているデータベースで、それまでに探索した、光軸座標値と評価値の組を、すべて記憶している。
つぎに、ステップS22の遷移関数P(t)(後述する)の計算、ステップS23のP(t)に従った大域探索か局所探索のいずれを行うかの判断、ステップS24の大域探索による次の探索点の決定、または、ステップS25の加重平均値g(x)の算出、S26のg(x)に基づいた局所探索による次の探索点の決定、S27の光軸座標値を変更することで光の状態を変化させる光軸の変化(後述の[0050]参照)、S28の評価値の計測、ステップS29のデータベース5DBの探索履歴の更新、を行って、順次探索を行う。本手法においては、遷移関数P(t)に従って、大域探索を行うフェーズから局所探索を行うフェーズに確率的に徐々に遷移していくことが大きな特徴である。これにより、探索終盤に大域探索を行わなくなり、光軸の調整時間を大幅に短縮することが可能となる。本発明でいう大域探索とは、探索空間内でまだ一度も探索されていない最も広い領域から探索を行うことであり、局所探索とは、これまでに得られた探索点の中から決定された有望点の周辺の領域から探索を行うことである。従来の焼きなまし法では、ほとんど局所探索しか行わず、従来の遺伝的アルゴリズムでは、大域探索と局所探索を行うが、どちらの探索方法を行うかは一定の確率で定められており、探索の序盤も終盤においてもその確率は変化しない。
しかして、ステップS30での判断で位置ずれが所定値内におさまったときに、調整処理は終了するが、ステップS31でt:=t+1として、一定回数繰り返して調整処理をおこなっても所定値内におさまる光軸座標値が得られない場合には、調整対象の光伝送路は不良品と判断され、図2のステップS7で不良品としての処理を行う。
上記ステップS22の遷移関数は探索方法を選択するための関数であり、P(t)の値は大域探索が行われる確率となる。探索の序盤はP(t)の値が大きいので大域探索を行い、探索が進むにつれ徐々にP(t)の値は減少し行われる探索方法は大域探索から局所探索へ遷移し、探索の終盤ではP(t)の値は小さくなるので局所探索を行うことになる。この関数はたとえばシグモイド関数を用いて以下の式で記述される。
Figure 0005051745
式中のtは、現時点での探索の繰り返し回数である。Cは大域探索を行う最小確率、σは大域探索から局所探索に移行する速さ、Kは変曲点の位置、Nは上述した調整の打ち切り回数(繰り返し回数tの上限値)である。C=0.02、σ=0.05、K=0.1、N=500とした場合を、図5に例示する。なお遷移関数は、シグモイド関数に限らず、指数関数や多項式関数など、繰り返し回数tに対して単調減少する関数を用いてもよい。
ステップS23においては、遷移関数P(t)に従った確率で、大域探索を行うか、局所探索を行うか、確率的に判断する。例えば、P(t)の値が0.9であれば、90%の確率で大域探索を行い、10%の確率で局所探索を行うと判断する。例えば、0から1の範囲で任意に発生させた乱数の値をrとしたとき、P(t)の値が0.9の場合は、rが0.9より小さかった場合には大域探索を行い、逆にrが0.9以上の場合では局所探索を行う。ステップS23において、大域探索を行うと判断した場合は、ステップS24に進み、次の探索点を決定する。ステップS23において、局所探索を行うと判断した場合は、ステップS25、S26に進み、次の探索点を決定する。
次の探索点を決定した際、探索領域を2分割することで次に決定される探索領域を限定することを本発明の大きな特徴とする。そこでデータベース5DBは図6で示す二分木5Tにより探索履歴を管理する。二分木5Tは、探索領域の分割過程をツリー状に示したデータ構造であり、この二分木5Tにおいて、ノードは領域の各座標軸iにおける始点と終点、領域の大きさを表す超体積(例えば探索空間が2次元ならば面積、3次元ならば体積、n次元ならばn個の軸に対する辺の長さをかけて求めた値)、領域内の探索点を保持する。あるノードの領域に探索点が決定されその領域が2分割されたとき、分割された2つの領域のノードが子ノードとして追加される。
領域の分割例を図7で示す。あるノードの領域Aに探索点Pが決定されその領域Aが探索点Pで2分割されたとき、二分木5Tでは図8で示すように分割された2つの領域A、Aのノードが領域Aのノード(ノード2)の子ノード(ノード10,ノード11)として追加される。
ステップS24では、データベース5DBの探索履歴である二分木5Tを用いて、探索空間内で、これまで一度も探索されていない一番広い領域内に、次の探索点(θAx、θAy、θBx、θBy)を設定する。以下に詳細を説明する。
図9は大域探索における探索点の決定方法を示したフローチャートであり、図3のステップS24の処理を具体的に示すものである。まずステップS32において、二分木5Tの中からいままでに一度も探索されていない領域を選出する。いままでに探索されたことがあるかないかは、二分木5Tのあるノードに子ノードが存在するかしないかによって判断される。つまり、子ノードが存在しない(探索点情報がない)ノードの領域は一度も探索されていない領域とする。
ステップS33では、選出された複数の探索されていない領域の中から最も超体積が大きい領域を探し、大域探索領域とする。次にステップS34において、ステップS33で決定された領域内に探索点(θAx、θAy、θBx、θBy)を決定する。探索点は、各座標軸に対して乱数に従い決定される。乱数は一様乱数や正規乱数などを用いることができるが、探索点が領域の端に偏るのを防ぐために本実施形態では正規乱数を用いる。例えば、各座標軸に対して領域の中心をμ、領域の中心から領域の端(始点または終点)までの長さをLとしたとき、正規乱数N(μ, (L/4)2)に従いθAx、θAy、θBx、θByそれぞれを決定する。
ステップS35において、二分木5Tを更新する。具体的には、探索点が決定された領域のノードに対して、ステップS34で決定された探索点情報が付加される。
ステップS36〜ステップS38では、ステップS34で決定された探索点を基準とし、ステップS33で決定された領域(探索空間)をある座標軸に対して2分割する。本実施形態では、調整は4自由度のため探索空間は4次元となるので、領域を2分割する方法は4通り存在する。つまり、θAx軸に対して2分割するか、θAy軸に対して2分割するか、θBx軸に対して2分割するか、θBy軸に対して2分割するか、の4通りである。
ステップS36では、これら4通りすべてに対して、以下の超立方体性算出式を用いて分割後の領域の超立方体性の度合いHを算出する。
Figure 0005051745
式中のdmaxは分けられた2つの領域のもっとも長い辺の長さ,dminはもっとも短い辺の長さであり、Hが1に近いほどより超立方体に近い領域となる。分割した2つの領域が超立方体に近い領域となれば、それらの領域の超体積の差は小さくなり、領域を二等分することと同等となるため、少ない探索回数でも領域をまんべんなく探索することが可能となる。
ステップS37においては、ステップS36において算出された4通りのHの値のうち、最もHの値が小さくなる座標軸を選ぶ。つづくステップS38において、ステップS33で決定された領域を、ステップS34で決定された探索点を基準として、ステップS38で決定された座標軸に対して2分割する。上記の大域探索を繰り返し行った結果を図10に例示する。図は4次元の探索空間の一部である2次元空間を示しており、図中のPは探索点を表している。
ステップS38においては、具体的には二分木5Tの更新を行う。更新により探索領域のノードの下位に2つの分割領域の範囲、超体積が挿入される。このように、本実施形態の大域探索ではそれまでに探索していない領域から探索を優先的に行うので、探索空間を少ない探索回数で効率良く、まんべんなく探索を行うことが可能となる。
一方局所探索を行うステップS25では、データベース5DBの探索履歴を用いて、これまでに探索された履歴のなかで、有望そうな点の周辺に、次の探索点(θAx、θAy、θBx、θBy)を設定し、局所的な探索を行う。なお、その局所探索を行う際に、データベース5DBの探索履歴を用いて、評価値の加重平均値を算出することで、評価値の誤差に影響されにくくする。以下に詳細を説明する。
図11は局所探索における探索点の決定方法を示したフローチャートである。なお、このフローチャートは図3のステップS25、S26の詳細な処理を示したものである。ステップS41でデータベース5DBの探索履歴の中からランダムにN個の組を重複しないように選出する。このNに関して、値が大きすぎると局所解に陥りやすくなり、逆に小さすぎると収束が遅くなるので、例えばN=10などが良い。
次にステップS42において、選択されたN個それぞれの組の評価値である光位置ずれ量の加重平均値g(x)を算出する。加重平均値g(x)の算出には以下の2つの式を用いる。
Figure 0005051745
Figure 0005051745
式中のg(x)は組x=(θAx、θAy、θBx、θBy)の光位置ずれ量の加重平均値であり、f(x)はデータベース5DBで保持される組xの評価値である。ftはデータベース5DBの探索履歴のt番目の探索点の評価値、dtは探索履歴のt番目の探索点とxとの距離であり、kは距離dtの2乗に対してどのくらい評価値が減衰するかを表した比例定数である。tの値は、二分木5Tのノード番号に相当する。
ステップS43においては、ステップS42で算出された加重平均値を基準に、10個の中から最もg(x)の値が良い点xを有望点として選択する。次にステップS44で選択された有望点を中心とし、各座標軸に対し2dpの広さの局所領域を作成する。図12にこの局所領域の作成を例示する。
ステップS45においては、この局所領域と交わるすべての領域を二分木5Tを用いて選出する。なお、あるノードがいずれかの座標軸において次の2つの式どちらか一方でも満たすとき、2つの領域は交わっていないことを示し、そのノードより下位のノードについて交わっているかどうかの判別は無視できる。
Figure 0005051745
Figure 0005051745
式中のAiL, AiHは二分木5Tのあるノードにおいて、座標軸iでの領域の範囲の始点と終点を示す。Pは探索点の座標軸iでの値である。
図13は交差判別を行った際の二分木の様子を例示し、図14はそのときの4次元の探索空間の一部である2次元空間を示している。このとき局所領域と領域Aは交差条件式の一方を満たしているので、領域Aを分割してできた領域A、Aと局所領域の交差判別は無視できる。このようにして、交差判別のための計算量を削減することが可能である。
ステップS46でそれらの中から一度も探索されていない一番超体積の大きい領域を決定する。決定された領域に対して、ステップS24と同様にステップS47〜S51で探索点を決定し、領域を2分割し、二分木5Tを更新する。
このように局所探索ではランダムに選出された組の中から有望点を決定し、有望点の周辺を探索するため、最も有望な領域だけではなく、複数の有望な領域の中から、より良い探索点を見つけることが可能となる。また、加重平均値を算出し評価値とすることで頑健な探索が可能となる。
上述したステップS24もしくはステップS26において、次の探索点が決定されるので、ステップS27においては、決定された探索点に光軸座標値を変化させる。つまり調整装置5から、制御信号2をミラー微調整機構4Aおよび4Bに対して出力し、自動調整ミラー13Aおよび13Bの光軸座標値を変更する。
つぎのステップS28においては、光軸座標値が変化した後の光位置ずれ量を、光位置ずれ量計測装置6Bが計測する。計測した値は評価信号3として、調整装置5に送信される。ステップS29では、調整装置5において、計測された光位置ずれ量を変更後の光軸座標値x=(θAx、θAy、θBx、θBy)に対する評価値f(x)とし、光軸座標値xと組にしてデータベース5DBに記憶する。具体的には、ステップS35もしくはステップS48において更新された、二分木5Tのノードに、探索点の光軸座標値xと組にしてf(x)が保持される。
ステップS30において前述した終了条件を満たさなかった場合は、ステップS31に進み、繰り返し回数tに1を加算して、ステップS22に戻る。
以下に、本実施形態の確率的探索手法を用いた調整方法を適用した場合の実験結果について示す。この実験では、レーザ光源7Lとしては、JDS Unipase社製のHe-Neガスレーザー(光スポット径2mm)を、光位置ずれ量計測装置6Bとしては、浜松フォトニクス社製の2次元PSDを、ミラー微調整機構4Aおよび4Bには、0.075μm/step精度のステップモータを用いた。本実験では、調整を開始する初期状態としては、各光軸が理想的な位置よりも最大で5mmずれた状態をランダムに発生させた。また、遷移関数P(t)は、図5に示したものを用いた。また比較対象として、特開2002−122758号公報にて開示された遺伝的アルゴリズムを用いた調整手法による実験も行った。
図15に実験結果を示す。横軸に調整にかかる時間、縦軸に評価値をプロットした。実験は、乱数の種を変えて10試行行ったので、10試行分の平均値がプロットしてある。図15より、従来の遺伝的アルゴリズムを用いた調整手法では、26.1分かかっていた調整が、本実施形態の方法により、10.6分に短縮された。これは、遷移関数P(t)に従い大域探索から局所探索に徐々に移行したことで、探索終盤での探索効率を改善できたためである。また調整後の位置ずれ量の平均値は、従来の遺伝的アルゴリズムを用いた調整方法は、43.5μmであったのに対し、本実施形態の方法では、18.8μmであった。これは、探索履歴を用いた加重平均による評価値を採用することで、調整方法が観測誤差や位置制御誤差の影響をうけにくくなったためである。この実験により、本実施形態の調整方法の有効性が確認出来た。
本実施形態の方法によれば、自動調整ミラー13A、13Bの光軸座標を、目標照射位置からの光位置ずれ量が最小となるように確率的探索手法に従って探索する。従って、熟練者による精度の高い手動の調整を必要とすることなく、さらには局所的なピークにとらわれることなく多自由度の光軸を自動的に調整することができる。また、遷移関数P(t)に従って徐々に大域探索から局所探索のフェーズに移行していくので、探索終盤での調整効率が改善され、短時間で光軸調整を完了することができる。さらに、放射線環境下や、高温環境下のように人が光伝送路に近づけない場合や、遠隔地から調整しなければならない場合においても、自動調整をすることができるので、光伝送路の設置工程において、作業性を著しく向上させることを意味する。
また、ミラーのサイズが大きい場合など、ミラーの光軸変位量が軸間で互いに独立でない場合においても、評価関数の局所的なピークを避けて調整をすることができる。さらに、光軸調整時に、外部からの機械的な雑音、振動等によって光軸ずれが生じたり、空気のゆらぎ等によって光の評価値に雑音がのる場合においても、データベース内履歴の加重平均値を評価値として用いることで有効で頑健な探索をすることができる。つまり、一般的な勾配を用いる探索方法では、雑音により勾配値が大きく変化し、探索が誤った方向に進んだまま収束しなくなってしまう。一方、本実施形態の方法によれば探索に勾配を用いていないので誤った方向に進みにくく、さらに加重平均値を用いることで、安定した精度の良い探索を行える。
次に、本発明の第2実施形態を説明する。図16に示すように、第2実施形態の構成では、図1に示した第1実施形態の光位置ずれ量計測装置6Bの構成だけが異なる。第2実施形態では、光位置ずれ量計測装置6Bのかわりに光位置ずれ量・光入射角ずれ量計測装置6Cを用いる。光位置ずれ量・光入射ずれ量計測装置6Cとしては、特許文献6に開示されたような光軸検出センサを用いることができる。また、光位置ずれ量を計測する装置と光入射ずれ量を計測する装置をひと組にして、光位置ずれ量・光入射ずれ量計測装置6Cとしてもよい。
光位置ずれ量・光入射角ずれ量計測装置6Cからは、評価信号3として、ふたつの評価値が調整装置5に送信される。ひとつは、光位置ずれ量、もうひとつは光入射角ずれ量である。このような計測装置6CをステップS28で用いることで、光位置ずれと、光の入射角ずれの二つの評価値を同時に最適化することを本実施形態の目的とする。
本実施形態の調整方法では、実施形態1と同様に、図2、図3のフローチャートに従って調整が行われる。実施形態1と異なるのは、ステップS25、ステップS26、ステップS29のみである。以下に詳細を説明する。
ステップS29では、調整装置5において、計測された光位置ずれ量ならびに光入射角度ずれ量それぞれを、光軸変更後の光軸座標値x=(θAx、θAy、θBx、θBy)に対する評価値f1(x)、f2(x)とし、光軸座標値xと組にしてデータベース5DBに記憶する。具体的には、ステップS35もしくはステップS48において更新された、二分木5Tのノードに、探索点の光軸座標値xと組にしてf1(x)、f2(x)が保持される。
実施形態2におけるステップS25の詳細な処理のフローチャートを図17に示す。まずステップS61でデータベース5DBの探索履歴からN個を重複しないようにランダムに選出し、ステップS62で光位置ずれ量f1(x)と光入射角度ずれ量f2(x)それぞれの加重平均値g1(x)、g2(x)を実施形態1と同様に算出する。
次に、ステップS63において加重平均値に従いN個に優劣をつけ、ステップS64で非劣位解を選出する。優劣の関係は、ある組の光位置ずれg1(x)と光入射角ずれg2(x)が共に他の組のそれらより良いとき、その組は優越しているという。図18に示すように、ある組に対して優越した組がひとつも存在しないときに、その組を非劣位解と呼ぶ。
ステップS65においては、ステップS63で選出された非劣位解の中からランダムに1組を選択しそれを有望点とする。その後の処理は実施形態1のステップS26と同様に、有望点を基準とする局所領域の作成、局所領域と交わる領域から一番広い領域の決定、領域内で探索点の決定、探索点を基準に領域の分割を行う。
以上の処理を行うことで、光位置ずれ量と光入射角ずれ量の両方において優れた複数の解を見つけることが可能となる。従来手法では、光位置ずれ量と光入射角ずれ量の複数の評価値を、重みパラメータを用いて単一の評価値に変換していたが、本実施形態の方法によれば重みパラメータが不要となる。従来手法では、重みパラメータの設定に試行錯誤が必要であったが、その設定も不要となる。
本実施形態の方法によれば、自動調整ミラー13A、13Bの光軸座標を、目標照射位置からの光位置ずれ量が最小となるように、かつ、目標照射角度かれのずれ量が最小となるように、確率的探索手法に従って探索する。従来技術では、位置ずれと角度ずれの二つの目的を同時に自動調整することは困難であったが、本実施形態の方法により、熟練者による精度の高い手動の調整を必要とすることなく、さらには局所的なピークにとらわれることなく多自由度の光軸を自動的に調整することができる。また、実施形態1の効果と同様に、探索終盤での調整効率が改善され、短時間で光軸調整を完了することができる。さらに、実施形態1の効果と同様に、光軸調整時に、外部からの機械的な雑音、振動等によって光軸ずれが生じたり、空気のゆらぎ等によって光の評価値に雑音がのる場合においても、有効で頑健な探索をすることができる。
本発明は、いうまでもなく、複数の光学部品を含んだ光伝送路の全体、一部、あるいは複数の部分の何れにも適応可能であり、光伝送路の規模を問わず、それらの応用は本発明の範囲から除外されるものではない。
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載の範囲内で当業者が容易に改変し得る他の構成をも含むものである。
本発明の光軸調整方法の第1実施形態の構成を例示する説明図である。 本発明の光軸調整方法の第1実施形態の処理手順の概略を示すフローチャートである。 上記実施形態の方法における確率的探索手法を用いた処理手順を示すフローチャートである。 上記実施形態の方法における確率的探索手法で用いる調整装置5の構成を例示する説明図である。 上記実施形態の方法における確率的探索手法で用いる遷移関数P(t)を例示する説明図である。 上記実施形態の方法における確率的探索手法で用いるデータベースの二分木を例示する説明図である。 上記実施形態の方法における確率的探索手法による探索空間の分割を例示する説明図である。 上記実施形態の方法における確率的探索手法で用いるデータベースの二分木の更新を例示する説明図である。 上記実施形態の方法における確率的探索手法の大域探索処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。 上記実施形態の方法における確率的探索手法を用いた大域探索における探索空間の分割を例示する説明図である。 上記実施形態の方法における確率的探索手法の局所探索処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。 上記実施形態の方法における確率的探索手法の局所探索処理における局所領域の作成を例示する説明図である。 上記実施形態の方法における確率的探索手法で用いるデータベースの二分木における交差判別を例示する説明図である。 上記実施形態の方法における確率的探索手法における局所領域と探索領域の交差判別を例示する説明図である。 上記実施形態の方法における確率的探索手法を適用した調整実験の結果を示すグラフである。 本発明の光軸調整方法の第2実施形態の構成を例示する説明図である。 上記第2実施形態の方法における確率的探索手法の局所探索処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。 上記第2実施形態の方法における確率的探索手法における組の優劣関係を例示する説明図である。 光ファイバの座標系を説明するための説明図である。 従来例の山登り法を説明するための説明図である。 従来例の山登り法の問題点を説明するための説明図である。
符号の説明
2 制御信号
3 評価信号
4A、4B ミラー微調整装置
5 調整装置
5DB データベース
5T 二分木
6B 光位置ずれ量計測装置
6C 光位置ずれ量・入射角計測装置
7L レーザ光源
8 伝送光
13A、13B 自動調整ミラー

Claims (9)

  1. 光軸座標値を調整することによりレーザ光の光軸を調整する光軸調整機構と、該光軸調整機構を介して伝送されたレーザ光の目標照射位置からの光位置ずれ量を検出する光位置ずれ量計測装置と、その光位置ずれ量を評価する信号に基づき、光軸座標の最適値を探索し、光軸座標値を設定する制御信号を前記光軸調整機構に出力して前記探索結果を探索履歴として記憶する調整装置とを備えて、レーザ光の光軸を調整する光伝送路の光軸調整方法において、
    探索方法を選択するための単調に減少する遷移関数P(t)(0≦P≦1,tは繰り返し回数)を演算して、この遷移関数P(t)に従って、光軸座標の最適値を探索する大域探索か局所探索のいずれを行うかを確率的に判断
    前記大域探索によるまたは、局所探索による次の探索点を前記探索履歴に基づいて決
    前記決定された次の探索点に光軸座標値を変化させ、
    光軸の変化及び評価値の計測をして、光位置ずれ量が所定値内におさまったときに、調整処理を終了し、
    大域探索を行うフェーズから局所探索を行うフェーズに確率的に徐々に遷移させることにより光軸の調整時間を短縮させることから成る光伝送路の光軸調整方法。
  2. 前記光位置ずれ量を検出する光位置ずれ量計測装置は、光位置ずれ量と共に光入射ずれ量角を計測し、前記調整装置に送る評価信号として、光位置ずれ量と光入射角ずれ量の2つの評価値を用いて、この2つの評価値を同時に最適化する請求項1に記載の光伝送路の光軸調整方法。
  3. 光軸座標値を調整することによりレーザ光の光軸を調整する光軸調整機構と、該光軸調整機構を介して伝送されたレーザ光の目標照射位置からの光位置ずれ量を検出する光位置ずれ量計測装置と、その光位置ずれ量を評価する信号に基づき、光軸座標の最適値を探索し、光軸座標値を設定する制御信号を前記光軸調整機構に出力して前記探索結果を探索履歴として記憶する調整装置とを備えて、
    レーザ光の光軸を調整する光伝送路の光軸調整装置において、
    探索方法を選択するための単調に減少する遷移関数P(t)(0≦P≦1,tは繰り返し回数)を演算して、この遷移関数P(t)に従って、光軸座標の最適値を探索する大域探索か局所探索のいずれを行うかを確率的に判断る手段と、
    前記大域探索によるまたは、局所探索による次の探索点を前記探索履歴に基づいて決
    前記決定された次の探索点に光軸座標値を変化させる手段と、
    光軸の変化及び評価値の計測をして、光位置ずれ量が所定値内におさまったときに、調整処理を終了する手段と、を備え、
    大域探索を行うフェーズから局所探索を行うフェーズに確率的に徐々に遷移させることにより光軸の調整時間を短縮させることから成る光伝送路の光軸調整装置。
  4. 前記光軸調整機構は、前記光軸座標値としてX軸を中心とした回転の量θx及びY軸を中心とした回転の量θyを調整することによりレーザ光の光軸をそれぞれ調整する2つのミラー微調整機構から構成される請求項3に記載の光伝送路の光軸調整装置。
  5. 前記大域探索または局所探索による次の探索点を決定した際、探索領域を2分割することで次に決定される探索領域を限定する請求項3に記載の光伝送路の光軸調整装置。
  6. 前記大域探索は、一度も探索されていない領域を選出し、かつ、選出された複数の探索されていない領域の中から最も超体積が大きい領域を探して大域探索領域とし、この領域内に探索点を決定する請求項5に記載の光伝送路の光軸調整装置。
  7. 前記局所探索における探索点の決定は、探索履歴の中からランダムにN個の組を重複しないように選択し、選択されたN個それぞれの組の評価値である光位置ずれ量の加重平均値g(x)に基づき決定される請求項5に記載の光伝送路の光軸調整装置。
  8. 前記光位置ずれ量を検出する光位置ずれ量計測装置は、光位置ずれ量と共に光入射ずれ量角を計測し、前記調整装置に送る評価信号として、光位置ずれ量と光入射角ずれ量の2つの評価値を用いて、この2つの評価値を同時に最適化する請求項3に記載の光伝送路の光軸調整装置。
  9. 前記調整装置は、光位置ずれ量と光入射角ずれ量の2つの評価値に関する複数の非劣位解を求める請求項8に記載の光伝送路の光軸調整装置。
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