JP5047256B2 - 刺激信号エネルギーを調整する方法及び装置 - Google Patents

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Description

本発明は、包括的に埋め込み可能ペースメーカ及びディフィブリレータに関し、より詳細には心臓の両腔における心臓の捕捉を試験して検出し、刺激信号閾値データを導出して記憶し、且つエネルギー効率を得るように刺激信号エネルギーを調整するための方法及び装置に関する。
[関連出願の相互参照]
本出願は、2001年10月30日に出願された出願第10/004,164号の一部継続出願であり、米国特許第5,601,615号の一部継続出願であり、両者は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
参照により本明細書に援用される、同一譲受人に譲渡された米国特許第5,320,643号に記載されるように、心臓ペースメーカは、心臓の心筋の極性をなくすように設計された、適当に時間決めされた電気的刺激信号を送出することによって、異常な心臓の自然のペーシング機能を改善するために実施される電気的装置である。埋め込み式ペースメーカにより供給される刺激パルスは、通常よく定義された振幅特性及びパルス幅特性を有しており、この両方の特性は、特定の治療法の患者についての生理学的要求及び装置電力節約要求を満たすように遠隔プログラミング及びテレメトリ機器によって調整することができる。
ペーシングパルスの振幅及びパルス幅は、重大な合併症を防止するために、捕捉を維持するための刺激閾値を超える大きさでなければならない。依然として、これらのペーシング出力パラメータは、電池寿命を長くするために、刺激閾値を超えた適度の安全裕度より高くないことが望ましい。心房及び心室における患者の刺激閾値は、短期間において変動することが多く、また、長期間にわたって徐々に変化する。臨床経験が示したところでは、最も低い刺激閾値は、ペースメーカの埋め込み直後に観測される。ペーシングリード線電極の先端の周りの心臓組織における炎症は、使用されるリード線に応じて、埋め込み後の最初の2〜6週の間、刺激閾値を最も高いレベルまで急激に引き上げ得る。刺激閾値が上昇すると、捕捉を実施するのに、ペーシングパルスの大きさをより大きくする必要がある。炎症によっては、長期の間に減少して、閾値がピークレベル未満に、長期使用(chronic)閾値レベルまで下がるものもある。しかしながら、一部の永久繊維組織が電極先端の
周りに残るため、長期使用閾値は、通常、短期使用(acute)レベルと同じであることは決
してない。そのため、出力レベルを捕捉を維持する大きさに確実にプログラムするために、注意が払われなければならない。一日ごとに、閾値は、たとえば、運動によって減少する場合があり、睡眠を含む種々の活動によって増加する場合がある。その結果、安全裕度は、通常、見積もられる最大刺激閾値に対処するために、ペースメーカを埋め込む際に医師によって設定され、フォローアップセッション中の閾値の変化に対処するために、医師によって手動で、又は、ペースメーカによって自動的に調整されることができる。
参照により本明細書に援用される、同一譲受人に譲渡された米国特許第5,324,310号に記載されるように、医師による刺激閾値の術後の決定は、通常、ペースメーカプログラマを使用して閾値ルーチンを行いながら、表面ECG機器に患者が接続されることを必要とする。ペースメーカプログラマは、捕捉が喪失される点を確認するために、一時的にパルス幅及び/又は振幅を連続して再プログラムする。ペーシングパルスは、ディスプレイ又は紙トレース上でスパイクとして観測され、捕捉又は捕捉喪失は、各スパイクに続く誘発心臓反応波形(P波又はR波)の有無によって観測される。捕捉喪失時において、患者が失神しないように、プログラムされたペーシングパルスが即座に回復されてもよい。強度−継続時間曲線は、得られる閾値データからプロットされてもよい。得られる閾値データは、その後、パルスの大きさを永久的に再プログラムするために使用されてもよい。当然、こうした定期的な患者の調査は、時間がかかり、実施するのに費用がかかる。さらに、こうした調査は、患者の1日の過程にわたる刺激閾値変動及び活動レベルの指示を提供しない。しかしながら、ペーシングパルスが、これらの変化する活動レベルに対処するのに必要な大きさよりも大きい場合、電池が枯渇するにつれて、埋め込み可能パルス発生器(IPG)の寿命が短縮する。
これらの考慮事項の結果として、刺激閾値を自動的に試験する能力を有する、すなわち「自動捕捉」検出機能を提供し、臨床的又は患者の介入を必要とすることなく閾値を安全裕度だけ超えるようにペーシングパルスの大きさを再設定する、IPGを開発するために、長年にわたって多大な努力が費やされてきた。たとえば、同一譲受人に譲渡された
米国特許第5,324,310号及び米国特許第5,320,643号並びに米国特許第5,165,404号、第5,165,405号、第5,172,690号、第5,222,493号及び第5,285,780号において広範囲の種類の方策がとられてきた。
こうしたIPGでは、通常、ペーシングパルスを送出するのに使用されるペーシング電極から誘発心臓反応波形を検出する時の困難さを克服しようという試みにおいて、捕捉検出手法が種々の形態をとってきた。高エネルギーペーシングパルス及び次の後電位及び電極/組織分極アーチファクトは、誘発反応を隠す場合があり、それらが消散するまで、電極に結合するセンス増幅器を飽和させる場合もある。センス増幅器がもはや不感(blinded)でなくなる時点までに、誘発反応は、もしあれば、通常、電極を通過している。これら
の手法の多くは、センス増幅器のためのブランキング期間を含む。こうした手法は、飽和期間(及びブランキング間隔)をできるだけ短くするために、センス増幅器における合成後の送出信号レベルについて、電子的に抑制するか、減衰させるか、又は補償する他の努力と組み合わされる。
代替方法として、ペーシングパルスを送出する際に使用された「近界」電極システムとは別個の「遠界」EGM増幅器及び電極システムの使用が、たとえば上に引用された米国特許第5,324,310号において提案されている。
さらなる方策においては、心臓のメカニズムに対する反応を示す1つ又は複数の生理学的センサ、例えば圧電センサ又はインピーダンスセンサ、又は心臓が捕捉されたときの血液の物理的特性の変化を示す反応、例えばペーシングリード線における血液pH、温度、インピーダンス又は血圧センサもまた、上に引用された米国特許第5,320,643号により開示されるように示唆されている。
これらの方策の機能及び確度は、次のものを含むがこれに限定されない1つ又は複数の要因によって悪影響を受ける。これらの要因はすなわち、EGMの場合における筋電位(筋運動の産物である電気信号)、漂遊電磁干渉(EMI)、センサ感度についての諸問題(感度があり過ぎる又は感度が十分でない)、及び圧力センサの場合には、胸圧の変化の結果としての(呼吸、咳又はくしゃみに起因する)検出電気信号の変動である。
さらに、その全体が本明細書に援用される、Markowitz他に発行された米国特許第5,
601,615号において、別の手法が開示される。Aペース試験刺激に応答する心房捕捉喪失(ALOC)は、Aペース試験刺激の送出に続くペーシングされたA−V遅延間隔の後半部分における被検出心室脱分極(V事象)が無いことによって判定される。規則的な被測定洞調律を有する患者の心房において使用するための別の手法では、早期Aペ−ス
試験刺激が送出される。被測定洞逸脱間隔の終了時点において検知されるA事象の有無が、試験刺激時点で捕捉が存在したか、又は、捕捉喪失が存在したかを判定する。
本発明者等に知られている従来技術に関して、米国特許第5,601,615号を除いて、信頼性の問題以外に、より多くのエネルギーを消費し、システムの容積及びコストを増大する付加的な部品及び回路部に頼ることが必要である。誘発P波を検出する困難さが、その比較的低い振幅によってさらに複雑にされる、たとえば、2腔ペースメーカにおいて、さらなる付加的な部品及び回路部が増大する。そのため、洞結節疾病(SND)及び/又はAV伝導ブロックの有無を区別する装置及び方法に対する必要性が存在する。心房捕捉の有無を指示し、且つ評価することが可能な、さらに別の装置及び方法に対するさらなる必要性が存在する。
本発明は、他の部品をデバイスに付加することなく、心房捕捉を検出し、且つ区別することができる捕捉検出アルゴリズムを有する心臓ペースメーカを提供する。さらに、本発明は、一方又は両方の心腔におけるリード線の失敗(failure)の検出に応答して、ペース
メーカが、リード線の極性を2極から単極に切り換える時はいつでも、捕捉閾値を即座に測定する方法を述べる。
具体的に、本発明は、或る形態のAVブロック及び健全な洞結節を有する患者に埋め込まれた2腔ペースメーカで機能する心房腔再設定(ACR)方法を提供する。ACRは、心房出力回路部に、いろいろなエネルギーで定期的に心房試験パルスを放出して、心房心筋を捕捉する試験パルスの最小の大きさを決定するように指示する。ACRは、患者において以前に観測された「安定した」洞調律を妨害することによる心房試験ペースによって心房捕捉を確認する。
本発明はまた、無傷のAV結節を有する患者を特に対象とするAV伝導(AVC)方法を提供する。こうした患者の通常のペーシングパターンは、心房ペース(AP)と、それに続く心室センス(VS)である。AVCはまた、心房試験パルスを使用し、心房試験パルスは、本方法では、心房捕捉の喪失(LOAC)が起こるまで、高エネルギーから低エネルギーへ、又は低エネルギーから高エネルギーへ徐々に低下する。しかしながら、「バックアップ」心房ペースは、心房試験パルスによるLOAC後に、即座に捕捉し、AV同期性を回復するであろう。LOACは、前の心房ペーシング調律に続いて存在した安定した心室検知調律の妨害によって特徴付けられる。
本発明はまた、ユーザの介入無しで、AVC方法又はACR方法の使用を決定する手段を提供する。それぞれの試験を試みる前に、アルゴリズムは、任意所与の時間に任意所与の患者において、どの方法が、心房ペーシング閾値を首尾よく測定する可能性が最も高いかを判定する。方法間での選択をもたらすデータを記憶することによって、本発明は、患者の疾病状態の進行状態に関する情報をユーザに提供する。
本発明は、心房閾値測定を定期的に実施するために、ハードウェアメモリにオペレーティングアルゴリズムを記憶するだけで、多重プログラム可能なDDD(R)、IPG、ICD又は他の心臓埋め込み可能医療デバイス(IMD)に適用されてもよい。本発明の新規な態様の1つは、捕捉及び捕捉喪失を判定するための、安定性基準の計算、精密な間隔測定、及び試験間隔に対する基準間隔の使用を含む、正確な閾値測定を確保するのに必要とされるものを、本発明が明確に規定することである。これらの方法を実施するのに、付加的な回路部、センサ、又は他の部品は必要でない。IPGは、いろいろなパルス幅及び
振幅で心房刺激を適用し、これらの信号を処理して心房捕捉又はLOACを宣言するために、効果的に再構成される。「失敗した」リード線があるかを試験する本発明の部分は、単腔デバイス又は2腔デバイスで使用されてもよく、さらなるハードウェアを必要としない。本方法は、オペレーティングアルゴリズム、すなわち、心房用のACR方法又はAVC方法による心房ペーシング閾値探索(APTS)又は心室用の心室ペーシング閾値探索(VPTS)を、即座に使用するために記憶するだけである。このアルゴリズムは、疑わしいリード線失敗が検出される時はいつでも閾値測定をもたらすように実施され、デバイスは、埋め込み式心房又は心室リード線に関して、2極動作から単極動作に変化する。
本発明はさらに、本明細書で述べる方法及びプロセスを実行するソフトウェアプログラムを含む。本発明は、本明細書に開示される方法及びプロセスを実施し、且つ実行するように調整されたソフトウェアプログラム/アルゴリズムを実施するプロセッサを有するペースメーカを含む。
患者に埋め込まれた密閉デバイス及び外部プログラミングユニットを含む、本発明による体に埋め込み可能なデバイスシステムの図である。 図1のプログラミングユニットの斜視図である。 図1の埋め込み式デバイスのブロック図である。 心臓刺激信号についての典型的な強度−継続時間(S−D)曲線である。 ECG、及びACR中の心房パルス試験(APt)パルスによる捕捉を示すEGMトレーシングの表示図である。 ECG、及びACR中のAPtパルスによるLOCを示すEGMトレーシングの表示図である。 図5に対応する種々の間隔を代表するタイミング図である。 AVC動作を述べる一般的なタイミング図である。 APtパルスが心房を捕捉する時のAVC動作の詳細図である。 予定された時間にAVC閾値試験又はACR閾値試験を実施するプロセスの最初の部分を示すフロー図である。 予定された時間にAVC閾値試験又はACR閾値試験を実施するプロセスの第2の部分を示すフロー図である。 「失敗した」リード線の検出による、2極から単極への切り換えに続く心房リード線又は心室リード線上でのペーシング閾値探索(PTS)のためのプロセスを示すフロー図である。 ACRとAVCの間で選択するプロセスを示すフロー図である。
図1は、本発明による使用に適合した埋め込み可能医療デバイスシステムの図である。図1に示す医療デバイスシステムは、患者12に埋め込まれた、たとえば、ペースメーカなどの埋め込み可能デバイス10を含む。当該技術分野の従来の手法によれば、ペースメーカ10は、密閉され、生物学的に不活性な外部ケーシング内に収容され、その外部ケーシングは、それ自体導電性があって、ペースメーカのペーシング/検知回路において不関電極としての役割を果たす。図1において参照数字14でまとめて特定される、1つ又は複数のペースメーカリード線は、従来の方法で、ペースメーカ10に電気的に結合され、静脈18を介して患者の心臓16内に延びる。リード線はまた、心臓(図示せず)の外面上に配設されてもよい。こうしたリード線は、心外膜リード線と呼ばれ、当業者に知られている。
一般に、リード線14の遠位端の近くには、電気的な心臓信号を受信するため、且つ/又は、電気的ペーシング刺激を心臓16に送出するために、1つ又は複数の露出した導電性電極が配設される。当業者に理解されるように、リード線14は、その遠位端(複数可)が心臓16の心房及び/又は心室内、とりわけ、右心室尖部、心房付属器、冠状静脈洞などの、当業者に一般に知られている位置にある状態で埋め込まれてもよい。
本発明は、本明細書においてペースメーカを含む一実施形態で述べられるが、本開示の利益を受ける当業者は、本発明が有利には、複数の他のタイプのIMDシステムと共に、また、実際には、2腔IMDにおける心房閾値を決定する方法を提供することが望ましい任意の用途において実施されてもよいことを理解するであろう。
同様に、図1には、以降でさらに詳細に述べられる、アップリンク通信チャネル及びダウンリンク通信チャネルを介して埋め込み式デバイス10と無侵襲通信する外部プログラミングユニット(プログラマ)20が示される。埋め込み式デバイス10とプログラマ20の間での2方向通信を容易にするために、従来の医療デバイスプログラミングシステムに従ってプログラミングヘッド22がプログラミングユニット20に連結する。知られている多くの埋め込み可能デバイスシステムにおいて、図1に示すヘッドなどのプログラミングヘッドは、デバイスの埋め込み部位の上の患者の体の上に(通常、皮膚接触部から2〜3インチ以内に)位置し、それによって、ヘッド内の1つ又は複数のアンテナは、当該技術分野における一般的な手法に従って、埋め込み式デバイスの密閉格納器内に配設されるか、又は、デバイスのコネクタブロック内に配設されるアンテナに対してRF信号を送出し、そのアンテナからRF信号を受信することができる。
図2は、現在開示している発明によるプログラミングユニット20の斜視図である。プ
ログラマ20は、現在開示している発明によれば、パーソナルコンピュータタイプのマザーボード、たとえば、Intel Pentium(登録商標)3又は最新のマイクロプロセッサ及びデジタルメモリなどの関連回路部を含むコンピュータマザーボードである処理ユニット(この図には示さず)を内部に含む。プログラマのコンピュータシステムの設計及び動作の詳細は当業者によく知られていると考えられるため、本開示では詳細には述べられないであろう。
図2を参照すると、プログラマ20は、熱可塑性か、又は、別の適度に頑丈であるが比較的軽量の材料でできているのが好ましい外部ハウジング60を備える。図2で全体を62として示す、運搬ハンドルは、ハウジング60の前部に一体に形成される。ハンドル62を用いると、プログラマ20を、ブリーフケースのように運ぶことができる。
関節式ディスプレイスクリーン64は、ハウジング60の上部面に配設される。ディスプレイスクリーン64は、プログラマ20が使用中でない時には、押し下げて閉じた位置(図示せず)に畳め、それによって、プログラマ20の輸送及び保管中に、プログラマ20のサイズが減り、ディスプレイ64の表示面が保護される。
フロッピィディスクドライブは、ハウジング60内に配設され、ディスク挿入スロット(図示せず)を介してアクセスできる。ハードディスクドライブもまた、ハウジング60内に配設され、ハードディスクドライブ・アクティビティインジケータ(たとえば、LED、図示せず)が、ハードディスクのアクティビティの目に見える指示を与えるために設けられる。
当業者によって理解されるように、患者の伝導系の状態を判定する手段を設けることが望ましい場合が多い。プログラマ20は、埋め込み式ECGリード線からECGトレーシングを検出するために、患者の体の上に設置したパッドに接続するのに使用することができる外部コネクタ24を装備する。
本発明によれば、プログラマ20は、外部プリンタ(図示せず)を装備し、それによって、プログラマのディスプレイスクリーン64上に表示された患者のECG又はグラフィックスのハードコピーを生成することができる。General Scanning Co.から入手できるAR−100プリンタなどの、いくつかのタイプのプリンタが知られており、市販されている。
図2の斜視図において、ディスプレイスクリーン64の表示エリアが、プログラマ20の前にいるユーザに見えるように、関節式ディスプレイスクリーン64が複数の可能な開いた位置のうちの1つに持ち上げられている状態でプログラマ20が示される。関節式ディスプレイスクリーンは好ましくは、たとえば、陰極線管(CRT)又は同様なものと比べると、比較的薄いことを特徴とする、LCD又はエレクトロルミネッセンスタイプである。
当業者によって理解されるように、ディスプレイスクリーン64はハウジング60内に配設されたコンピュータ回路部に動作可能に結合され、内部コンピュータの制御下でグラフィックス及び/又はデータの視覚的表示を提供するようになっている。
図2を参照して本明細書で述べるプログラマ20は、その特許が参照によりその全体が本明細書に援用される、Thomas J. Winklerに発行された「Portable Computer Apparatus
With Articulating Display Panel」という名称の米国特許第5,345,362号により詳細に記載される。Medtronic Model9790プログラマは、とりわけ、以下で述べるアルゴリズムの有効性を判定するための、本発明を使用することができる
埋め込み可能デバイス−プログラミングユニットである。
図3は、現在開示している発明によるパルス発生器10を代表する電子回路部のブロック図である。図3に見られるように、ペースメーカ10は、デバイスのペーシング機能及び検知機能を制御する主刺激制御回路21を備える。刺激制御回路21と関連する回路部は、たとえば、Sivula他に発行された特許第5,052,388号「Method And Apparatus For Implementing Activity Sensing In A Pulse Generator」に開示されるものによ
る従来の設計であってもよい。パルス発生器10の或る部品が、その設計及び動作において従来型である限り、こうした部品の設計及び実施態様が、当業者にとって日常の事柄であると思われるため、こうした部品は、本明細書では詳細には述べられないであろう。たとえば、図3の刺激制御回路21は、センス増幅器回路部25、刺激用パルス出力回路部26、水晶クロック28、ランダムアクセスメモリ及び読み出し専用メモリ(RAM/ROM)ユニット30、並びに、中央処理ユニット(CPU)32を含み、これらは全て当該技術分野でよく知られている。ペースメーカ10はまた、内部通信回路34を含み、それによって、図2により詳細に述べるように、外部プログラマ/制御ユニット20と通信することができる。
さらに図3を参照すると、図1を参照して先に述べたように、パルス発生器10は、1つ又は複数のリード線14と結合し、リード線は、埋め込まれると、パルス発生器10の埋め込み部位と患者の心臓16の間に経静脈的に延びる。物理的には、リード線14とパルス発生器10の種々の内部部品の間の接続は、図1に示す従来のコネクタブロック組み立て品11によって容易に行われる。電気的には、リード線の導体とパルス発生器10の内部電気部品の結合は、リード線インタフェース回路19によって容易にされることができ、リード線インタフェース回路19は、マルチプレクサのように機能して、たとえば、心房の先端及びリング電極導体ATIP及びARING、並びに、心室の先端及びリング電極導体VTIP及びVRINGを含む、リード線14の種々の導体と、当業者が熟知していると思われるパルス発生器10の個々の電気部品との間での必要な接続を、選択的に且つ動的に確立する。リード線14とパルス発生器10の種々の部品の間の特定の接続は図3には示されないが、たとえば、リード線14は、一般的な手法に従って、直接的に又は間接的に、センス増幅器回路部25及び刺激用パルス出力回路26に必ず結合され、それによって、心臓電気信号が、検知回路部25に伝達され、また、刺激用パルスが、リード線14を介して心組織に送出され得ることが当業者によって知られている。同様に、たとえば、刺激用高電圧パルスからデバイスの検知回路部を保護するための、埋め込み式デバイスに通常組み入れられる保護回路部は図3に示されない。
先に述べたように、刺激制御回路21は、市販のプログラム可能なマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラであってもよいが、本発明ではカスタム集積回路である中央処理ユニット32を含む。CPU32と刺激制御回路21の他の部品との間の特定の接続は図3には示されないが、CPU32は、RAM/ROMユニット30に記憶されたプログラミングの制御下で、刺激用パルス出力回路26及びセンス増幅器回路25のタイミングをとった動作を制御するよう機能することが当業者には明らかになるであろう。当業者は、こうした動作機構を熟知していると思われる。
引き続き図3を参照すると、水晶発振器回路28、現在の好ましい実施形態では、32,768Hzの水晶制御式発振器は、刺激制御回路21に主タイミングクロック信号を供給する。この場合も、こうしたクロック同期信号が、パルス発生器10の種々のタイミング同期部品(たとえば、マイクロプロセッサ:CPU32)に供給されるラインは、明確にするために、図3から省かれる。
図3に示すパルス発生器10の種々の部品は、当該技術分野で一般的なやり方に従って
、ペースメーカ10の密閉格納器内に収容される電池(図示せず)によって駆動されることが理解されるべきである。図において明確にするために、電池及び電池とパルス発生器10の他の部品との間の接続は示されない。
CPU32が放出する信号の制御下で心臓刺激を生成するよう機能する刺激用パルス出力回路26は、たとえば、その特許が参照によりその全体を本明細書に援用される、「Body Stimulator Output Circuit」という名称の、Thompsonに対する米国特許第4,476,868号に開示されているタイプであってもよい。しかしながら、この場合も、当業者は、本発明を実施する目的に適すると思われる、多くの種々のタイプの従来のペーシング出力回路の中から選択するであろうと思われる。
従来の設計であるセンス増幅器回路25は、リード線14から電気心臓信号を受信し、こうした信号を処理して、心房収縮(P波)及び心室収縮(R波)を含む特定の心臓電気事象の発生を反映する事象信号を引き出すように機能する。当該技術分野の一般的な手法に従って、パルス発生器10の同期刺激動作の制御に用いるために、CPUは、事象指示信号をCPU32に提供する。さらに、これらの事象指示信号は、医師又は臨床医に対して視覚的に表示するために、アップリンク送信を介して、外部プログラミングユニット20に伝達されてもよい。
図4は、先に参照した米国特許第5,601,615号の図5に全体が対応する、パルス幅に対するパルス振幅としてプロットした心筋組織の電気刺激についての典型的なS−D曲線を示す。グラフは、とりわけ、刺激に必要とされる電圧が、パルス幅が減少するにつれて増加することを示す。しかしながら、基電流36を超えると、電圧閾値に関しては、振幅のさらなる減少は問題にならないことに留意されたい。そのため、或るデバイスでは1.0ミリ秒、又は概して、他のデバイスでは0.4ミリ秒を超えるパルス幅を使用することによって、心臓を捕捉するために、大幅に大きな電圧(たとえば、図4では0.5ボルト)が必要とされないことになる。同様に、クロナキシ38がグラフ上に含まれており、その点は、基電流の電圧の2倍で刺激を提供するのに必要とされる最小パルス幅を表す。
当業者は、2点試験を含む、閾値を取得する方法を理解する。通常、2点試験は、基電流点及びその後クロナキシ点を決定することを必要とする。患者の生理的変化により、最初に測定された1つ又は複数の値から閾値が変わる場合があるため、適切な医療行為は、安全裕度が維持されることを指示する。心房捕捉又は心室捕捉を提供する基電流及びクロナキシの決定後の自動安全裕度の計算は、Medtronic(登録商標)Kappa(登録商標)700ペーシングデバイスで使用される方法と同様な方法を利用する。それぞれの測定された閾値は、Powell他に発行された米国特許第5,447,525号に記載されるように、所定の安全裕度を乗算されることができる。その患者において、ペースメーカは、所望の安全裕度に適合するペーシング出力として、関連する電流ドレインがより低い電圧−パルス幅対を選択する。
2点試験に加えて、本発明は、捕捉の単一点決定を使用することもできる。すなわち、基電流のみを決定するために振幅を変更する順次探索方法か、又は、クロナキシのみを計算するためのパルス幅の変更が実施されてもよい。そのため、1点試験は、基電流か、クロナキシのいずれかのみの測定である。この手法の下で、所望の出力パルスを得るために、いずれかの閾値が、所定の安全裕度によって乗算されることができる。
ACR閾値試験及びAVC閾値試験中に、捕捉が喪失されるか、又は、獲得される点を計算するために、順次探索が使用される。基電流か、クロナキシのいずれかを決定するために、順次探索は、パルス振幅又はパルス幅の最大値か、最小値のいずれかで開始し、中
央値の範囲を通って反対の極性に達するまで続くことができる。たとえば、順次探索は、基電流36に到達するために、最小振幅で開始し、最大振幅設定へ進むか、又は、最大から最小へ進んでもよい。代わって、クロナキシ38を決定するために、順次探索は、最大のPWで開始し、最小に進むか、又は、最小から最大に向かって探索する。正確な閾値測定を確保するために、それぞれの方法は、心房捕捉及び捕捉喪失が存在することを必要とする。3つのうち2つの連続する試験ペースにおいて同じペーシング値での捕捉及び捕捉喪失を事前評価することは、患者の調律のランダムな(PVC、PAC)変化によって起こる可能性がある単一事例エラーをなくすことで捕捉検出方法の精度を上げる。
図5aは、ECG、及びACR中のAPt(心房パルス試験パルス)パルスによる捕捉を示すEGMトレーシングの表示である。EGM42は、ペーシング電極レベル上で見ることができる心房脱分極を表示する。EGM42上の脱分極信号の差は、心房センス信号47及び早期(early)APtパルス48の上に現れる波形に早期に見られる。ECGトレ
ーシング44は、異なるベクトルからのものであり、12リード線ECGトレーシングにおいて一般に見出されるベクトルを代表する。ECGトレーシング44上に2つの間隔がある。間隔46は、APtパルス48以前の基準心房間隔であり、一方、間隔50は、早期APtパルス48後に起こる「戻り(return)」心房間隔である。
ACR中、比較的安定した洞駆動調律が存在する。ACRは、「安定した」洞調律を有する患者について使用することを意図される。すなわち、ACRが実施される前でさえも、一連の安定なサイクルが検出されなければならない。より具体的には、これらのAS−ASサイクルは、図5A〜図6の間隔46で表される。実際に、多くのこれらのサイクル数が、ACRに進む前に観測されなければならない。たとえば、3〜10の連続する安定したサイクルは、全体の安定性を指示し、APtパルス48が始動されることを可能にするであろう。安定性を判定するための、閾値レベル(安定性の程度)及び関連する許容度は、異なる因子に対処するように選択されてもよい。一般に、偽りの事象を最小にすることと、患者の適用性を最大にすることとの間のトレードオフが存在することになる。すなわち、大きな許容度を必要とし、所与のサイクルが狭い窓をはずれる場合に不安定性を判定することによって、偽りの事象が最小になる。しかしながら、そのため、普通なら正常なその患者のパラメータが、こうした許容度からはずれることになり、許容度の選択を除いて、正確に試験したことになる、対応する数の患者が存在することになる。
そのため、プログラマ20は、臨床データに基づいてこれらの許容度を調整するのに使用されることができる。こうして、適切な許容度を設定することによって、偽りの事象を最小にしながら、患者の適用性を最大にすることによって、適切な特性を維持することができる。換言すれば、安定したサイクルを構成するものを、徐々に修正することができる。この同じ手法は、以下で述べるAVCに適用可能である。
ACRは、AVC方法にとって相補的なものであり、患者は、通常、SNDブロックとAVブロックの両方を有さない。ACRにおいて、APtパルス48が閾値以下である場合、後続のAS47は、前の安定した間隔において起こる(図5bを参照されたい)。APtパルス48が閾値を超える場合、APtパルス48は、捕捉し、洞を再設定し、この図に示すように、通常間隔においてASは存在しない。
A−A間隔46は、一連の最後の安定した心房調律間隔を表す。示す例では、955msのA−A間隔46及び1038msのA−A間隔50は、ほぼ同じ継続時間である。APtパルス48による捕捉後に、戻りA−A間隔50は、通常、基準A−A間隔46より少し長い。これは、心房脱分極波(通常、心房付属器に載置される心房電極によって始動される)が、SA結節に移動し、SA結節を再設定するのにかかる時間と、次の洞によって始動される波がSA結節から心房電極へ移動する時間を加えた時間に依存する。前の数
秒の間に、順次掃引動作が、APtパルスの出力を増加させ、ついには、APtパルスが48において心房を捕捉する。この時、安定した心房調律もまた妨害された結果、間隔50の終了時に再開するだけとなる。前のレートか、又は、前のレートに近い、前の安定な調律の再開を伴う、早期APtパルスによるこの妨害は、心房を捕捉するのに必要とされる心房出力パルスの大きさを決定する。
述べたように、APt48を始動する前に、一連の安定したサイクルが必要とされる。さらに、ACR中に与えられるそれぞれの順次APt48の間に、一連の安定したサイクル(たとえば、3〜4)又はサポートサイクルも存在すべきである。目的は、心臓が、試験パルスの間に再安定化することを可能にすることである。本発明者等は、前に、このシーケンスの変動性を述べた。そのため、通常の心周期の自然な変動と組み合わせたこの変動性は、測定されるAS−AS間隔の或る変動をもたらすことになる。したがって、サポートサイクルの継続時間の間の或る変動は、予想され、何の問題も提示しない。しかしながら、予想されるのに比べて継続時間により大きな振れが存在する場合、問題が発生する可能性がある。すなわち、最後の監視されたサポートサイクルが特に短く(しかし、測定されたシーケンスは、やはり、許容可能なパラメータ内にある)、且つ、APt48パルスが生成され、且つ捕捉する場合、2つの隣接する不規則な間隔が生じる結果となり、患者の徴候を誘発する可能性がある。こうした状態を回避するために、サポートサイクルは、全体の安定性があるかを監視されるが、また同様に互いに比較される。最後の監視されたサポートサイクルが、前のサポートサイクル(又は、別法として、最も最近のサポートサイクルの平均)の所定の変動内にない場合、サポートサイクル監視ルーチンが反復される。すなわち、変形(variant)サポートサイクルが、監視されるサポートサイクルの新し
いシーケンスにおける最初になり、APt48は、フルセットが首尾よく終了すると、送出されるだけである。別法として、変形サポートサイクル後の最初のサポートサイクルが次のシーケンスを開始する。さらに、こうしたサポートサイクルが、不適切な変形であると考えられると、中止カウンタが、適切に重み付け量だけ増加する。
APt48以前の最後のサポートサイクルが適切であるかどうかを判定するために、その継続時間を、最後から2番目のサポートサイクルの継続時間と比較することができる。最後のサポートサイクルの継続時間が、最後から2番目のサポートサイクルの継続時間に十分に近い場合、APtが許可される。最後のサポートサイクルと最後から2番目のサポートサイクルは、互いの50〜150ms以内にあるべきである。一実施形態では、2つのサポートサイクルは、継続時間が、互いの約100ms以内でなければならない。こうして、2つの順次の不規則な心房間隔をもたらすことになる時には、APt48は送出されない。
そのため、このプロセス中に、3〜4のこうしたサポートサイクルが、監視され、且つ比較されてもよい。最後のサポートサイクルが不規則である場合、プロセスは再始動し、中止カウンタが適切にインクリメントされる。さらに、(測定されたシーケンス内で)早期の不規則な間隔も検出することが可能である場合がある。そのため、一実施形態では、早期の不規則な間隔が指摘される場合(最新の間隔が測定されると確定できるだけであり得る)、プロセスは、指摘される最初の規則的な間隔から再始動することができる。換言すれば、測定される間隔のシーケンスは、サポートサイクル監視ルーチンを再始動するために処置がとられる前に、終了する必要はない。こうして、サポートサイクルは、実際にAPt48を送出する前により安定になることができる。
図5bは、ECG、及びACR中のAPtパルス48bによる捕捉喪失(LOC)を示すEGMトレーシングの表示である。図5aと同様に、間隔46bは、安定した心房調律を表す。示す例では、A−A間隔46bは、ほぼ同じ継続時間(それぞれ、1027ミリ秒、1027ミリ秒、及び1000ミリ秒)を有する。しかしながら、APtパルス48
は、心房を捕捉するのに失敗する。順次掃引が、試験心房ペースの出力を増加させたが、APtパルス48bは心房を捕捉しない。したがって、安定した心房調律は、妨害無しで続く。アルゴリズムは、安定した調律において妨害が無いことを認識し、順次掃引が、後続の試験シーケンスについて心房出力を増加させるように「指示する」。
図6は、図5a及び図5bに対応する種々の間隔を示すタイミング図である。間隔46は、心房基準間隔、すなわち、心房センスによって開始し、心房センスによって終了する心房基準間隔に対応する。APtパルス48は、間隔49で起こり、その大きさに応じて、心房を捕捉してもよいし、捕捉しなくてもよい。同じ大きさのAPtパルスを有する、3つのうち2つのこうした連続する試験サイクルは、安定した心房捕捉が起こったというアルゴリズムを満たすために、心房を捕捉しなければならない。
AS(予想)52は、心房が捕捉されず、APtパルス48によって再設定される場合に、優勢な(prevailing)洞レート(たとえば、60bpm)で起こるであろう。(間隔58+間隔54)の時間である、APtパルス48からAS(予想)までの間隔は短いであろう。一方、APtパルス48から次の心房センスまでの間隔、すなわち、図5aの終わりのAPtパルス48からAS47までの時間(間隔50)が長い場合、APtパルス48による心房の捕捉は、明らかに起こった。
上記に加えて、アルゴリズムはまた、患者の洞調律における通常の生理的変動を考慮しなければならない。この変動に対処するために、間隔54は、前のAS−AS間隔より10bpm速く開始し、この例では、60bpmから70bpmを引いた数値(又は、1000ミリ秒から857ミリ秒を引いた数値)となるであろう。間隔54はまた、「陰性の」検知間隔として記述されてもよく、概して、或る生理的許容度(〜50ミリ秒)より小さくない。一方、間隔56は、「陽性の」検知間隔として記述されてもよく、概して、「陰性の」間隔と同じ継続時間である。間隔54と56は、一緒にされると、「LOC検出窓」と呼ぶことができる。LOC検出窓において検知される心房事象は、心房試験ペースが心房を捕捉しなかったことを意味する。結果として、AS(予想)事象52が、LOC検出窓内で起こる場合(及び、3つのうち2つの規則が満たされる場合)、心房パルス出力は、次の順次掃引で増加するであろう。間隔58は、心房ペースに続くブランキング間隔であり、ブランキング間隔中、心房センス増幅器は、心房内のいずれの電気的活動も検知することができない。APtパルス48によって開始される間隔50は、継続時間が、およそ間隔46に対応し、心房を再設定する心房捕捉を表す(心房リード線から放出されたペーシングパルスが洞結節に移動し、洞結節から生じる後続の心房センスが心房リード線に達するのに必要とされる時間に対応する心房内伝導遅延時間のために、おそらく或る程度長くなる)。したがって、サイクルは再び開始するであろう。心房調律の安定性は、別のAPtパルス48が送出される前か、又は、3つのうち少なくとも2つの試験ペースが捕捉した時にACRが終了する前に、再び確立されなければならない。3つのうち少なくとも2つの試験ペースが心房を捕捉し、閾値が決定されている場合、安全裕度を計算し、実施することができる。
さらに、心房センス(AS)と心室センス(VS)の両方が、図6に示す同じ検知窓内で起こる場合の結果を判定する方法論(methodology)が提供される。さらに、この方法は
また、遠方場R波の存在を判定するであろう。こうした考察は、捕捉、捕捉喪失、又は捕捉に関する決定が行われない無視状態を評価するのに使用される。さらに、これらの考察は、ACR機能を終了させることになる中止カウンタ(以下で説明される)に影響を与えるために使用される。簡潔に言えば、中止カウンタは、指定された期間の間に試験機能を終了に導く一定の事象を記録する。たとえば、一定の心臓事象又は不安定性の検出は、中止基準と考えられてもよい。これらの基準は、異なるように重み付けられ、カウンタは、蓄積されたカウントが所定の値を満たす時に試験を終了するであろう。
この方法論は、特定の時間窓中に検知される特定の事象に基づく。より正確には、これは、検知事象の特定の組み合わせによって反映される。心房不応センス(AR)又は心室不応センス(VR)が、間隔58の間に検出される場合、中止カウンタは、適切な重み付け値だけ増加するが、これは、問題のAPt48について捕捉が存在したかどうかについての判定を必ずしも妨げないであろう。すなわち、LOC検出窓(間隔54〜56)においてASが存在しない場合、APt48は捕捉してしまっている。VSが存在しない場合、同じことが当てはまるが、APは、その後、間隔56の終わりで生成されるであろう。ASとARが共に、LOC検出窓中に起こる場合、中止カウンタは増加し、捕捉に関する判定は行われない。心室センス(VS)、VR、及び、AR、AS、又は心房ペース(AP)のうちの1つが起こる場合、同じ結果が生じる。
約80ミリ秒未満離れている、LOC検出窓内のASとVSが存在する場合、APt48は、この状態では互いから確定できない、遠方場R波か、PVCのいずれかと考えられる。いずれの場合も、中止カウンタはインクリメントされ、捕捉又は捕捉喪失についての判定は行われない。約80ミリ秒より遠く離れている、LOC検出窓内のASとVS(いずれかの順序で)が存在する場合、VSは、ASから伝導したと考えられ、したがって、捕捉喪失が判定される。最後に、ASがLOC検出窓内で検出され、且つ、VSが同じ間隔において起こらない場合、捕捉喪失が判定される。
以下の表は、上記パラメータの中のいくつかを要約する。
Figure 0005047256
再び図6を参照すると、APt48が生成されると、予想される時間間隔中にASが存在しないことによって捕捉が判定される。すなわち、LOC検出窓中にASが指摘されない場合、APt48は心房を捕捉したと推定される。ASが存在するが、検出されない場合、APt48は、実際には捕捉しなかった時に、捕捉したと考えることになる。これは、偽陽性と呼ばれ、好ましくない結果である。すなわち、後続の誤まった判定を通してエラーが確認される場合、偽陽性に基づいて閾値を設定することができる。その結果、IMD10は、その後、捕捉を達成する閾値未満でペーシングすることができる。そのため、偽陽性を回避することが望ましい。
ASを検出するセンス増幅器が、APt48によって効果的に圧倒される(overwhelm)
場合に、偽陽性が起こる可能性がある1つの理由が存在する。すなわち、APt48は約数ボルト(たとえば、3ボルト)であり、ASは約数ミリボルトである。こうして、比較的大きなパルスを送出するのに使用される同じリード線が、比較的小さな心房事象を検知するのに使用される。これらのリード線が作用を長引かせる容量性作用を有するため、この問題は、分極の大きいリード線が使用される時に悪化する。
パルスの送出後、使用されるセンス増幅器25は、正確に且つ確実に心房事象を検知することができる前に、回復しなければならない。回復時間が速ければ速いほど、信頼性が高い。さらに、センス増幅器25自体は、センス増幅器25が安定である時を判定することができる。そのため、一実施形態では、センス増幅器25は、安定である時、信号送信し、この信号は、適切な検知窓(たとえば、LOC検出窓)と比較される。検知窓が始ま
る前に、センス増幅器25が安定であると仮定すると、プロセスは、先に述べたように進み、一般に、ASが無いことが捕捉を指示する。他方、検知窓が始まり、その後、センス増幅器25が安定化する場合、ASが無いことは、捕捉とは考えられない。むしろ、ASが、センス増幅器25が安定化する前に起こり、単に検出されなかったという可能性を、システムが認識する。中止カウンタがインクリメントされ、APt48が、同じレベルで再送出されることができるが、APt48は、偽陽性のリスクのために、捕捉したと考えられないであろう。短い時間窓内で検出されるASが存在する場合、この事象は、カウントされ、システムは、前のAPt48が捕捉に失敗したと確実に考える。したがって、安定化期間を検知窓内に延ばすことだけでは、必ずしも、全ての事象を失敗させるとは限らないであろう。
別の実施形態では、センス増幅器25は、許容可能な時間枠内で確実に安定化するように選択される。たとえば、約120ミリ秒以内での確実な安定化は、可能性のある偽陽性からのリスクを排除するか、又は、少なくとも最小にする。これは、センス増幅器25が、一般に、LOC検出窓が始まる前に安定であることになるためである。たとえ、センス増幅器25が、時々この安定化期間を超えても、問題が反復性でない限り、ほとんど問題が提示されないはずである。先に述べたように、捕捉の単一の指示では、閾値レベルが設定されることにはならない。むしろ、閾値レベルが設定される前に、捕捉は、そのレベルで数回順次に起こらなければならない。そのため、単一の変則的な偽陽性を排除することができる。
図7は、AVC動作を述べる一般的なタイミング図である。AVCにおいて、通常、安定した心房ペース−心室センス(AP−VS)調律が存在する。閾値以下の心房試験ペースは、心房を捕捉しないことになり、結果として、AP−VS調律が妨害される。試験ペースは、心房閾値を越える場合に心房を捕捉することになり、早期AV伝導及び80ではなく78であるVSをもたらす。早期伝導は、AVCにおける捕捉についてのマーカである。AVCは、良好なAV伝導を有する患者のために意図される。通常、これらの患者は、とりわけ、洞結節疾病(SND)又は洞不全症候群(SSS)用のペースメーカを受け入れる。
さらに図7を参照すると、間隔70は、プログラムされるAP−AP間隔であり、間隔76と共に、AVC動作以外の時に見られる安定したAP−VS調律を示す。間隔72は、プログラムされた/計算された出力設定のAPで始まるが、APtパルス66で早期に終了する。AVCでは、順次掃引は、最大の大きさの出力(捕捉を維持する出力)で開始し、より低い大きさを有する出力(捕捉を喪失する出力)まで減少することができ、低い心房出力(捕捉を喪失する)で開始し、捕捉が回復されるまで出力をインクリメントする心房閾値探索方法が可能であるが、閾値を決定するために、閾値未満の測定と閾値を超える測定が必要とされる。AVCはまた、APtパルス66がわずかに早期に(premature)
なり、且つ、捕捉を維持する可能性が高くなるようにタイミングをとり、その後、最終的に捕捉を喪失するように、これらの試験パルスの大きさをゆっくり減少させる。間隔74は、時期尚早(prematurity)の程度を特徴付け、心房バックアップペーシングパルス68
で終了する。時期尚早間隔74は、通常、50〜100ミリ秒の範囲にあることになる。バックアップパルス68は、実際に、過剰駆動AP−AP間隔で起こる。VS78が起こる場合、ソフトウェア/アルゴリズムは、APtパルス66が心房を捕捉したと判定し、心房捕捉を喪失するために、APtパルス66のさらなるエネルギー低減が必要とされる。パルスの大きさのこうしたさらなる低減は、VS事象が、80、すなわち、安定した調律中において前に観測されたAP−VS時間において起こるまで行われる。VS事象が起こると、アルゴリズムは、APtパルス66が捕捉を喪失したと判定する。捕捉の喪失が、3つのうち少なくとも2つの連続した複合(complex)において起こる場合、アルゴリズ
ムは、最後の捕捉用出力設定に戻り、この設定を使用して、安全裕度が計算される。
図8は、APtパルス66が心房を捕捉する時のAVC動作の詳細図である。APtパルス66が放出され、本明細書ではAPバックアップ68と呼ぶ、予定された心房ペーシングパルスの放出をもたらす時期尚早間隔74を開始する。APバックアップ68の目的の1つは、APtパルス66が捕捉を喪失する時に捕捉を確保することである。いずれかの動作が首尾よくいくために、患者が安静であるという要件は存在しない。ACRの場合に、AVC動作は、APtパルス66の代わりに(閾値を超える出力で)コントロールペースを定期的に放出し、心房ペーシングの増加中に見られるAV伝導延長(AV conduction
extension)という現象を妨げず(illicit)、VS80において偽陰性心室センスを生じる。コントロールペース上でVS78が起こる場合、AV伝導延長は起こっていないが、コントロールペース上でのVS80の発生は、コントロールペースのわずかの時期尚早のためにAV伝導延長を指示する。コントロールペースは、偽陰性をなくすことを意味する。すなわち、APtパルス66が、実際に、心室伝導性の欠如により心房捕捉を喪失するという結論がもたらされる。
間隔82は、心房バックアップペース68の後に心室センス増幅器がブランキングされる期間である。これは、心室回路部に応じて変わる。クロストークのために、間隔84中に任意の心室事象が起こる可能性が高い。間隔84中に起こるいずれの心室事象も無視される。
間隔86は、アルゴリズムが被検知心室事象を探す心室検知窓である。アルゴリズムは、間隔86中の任意のこうした被検知事象が、APtパルス66によると仮定する。さらに、任意のこうした心室被検知事象は、心房が捕捉されたこと、及び、脱分極波が心房からAV結節へ、そして、心室上に引き続き進むことを意味することになる。間隔86の継続時間は、AVC動作以前の、前のAP−VS間隔に基づく。間隔86は、APtパルス66によって始動された伝導事象のみの検知を可能にするよう特化するのに十分に短くなるべきである。さらに、間隔86は、発生する伝導時間の通常の変動に対処するよう、十分に長くなるべきである。間隔88は、APtパルス66か、APバックアップパルス68のいずれかからの伝導の変動を表す。間隔88は、十分に広いため、間隔88内で起こるいずれのVS事象も無視されなければならない。間隔88内のVSは、捕捉のために無視され、間隔88内で或る数のVS間隔が検出される場合に、閾値探索をおそらく中止するための中止基準を構成するであろう。AVC動作は、3つのうち少なくとも2つのALOC事象を必要とするため、間隔88内の個々のVS事象は、AVC動作中に無視されることになり、一方、間隔88内での継続する心室検知は、AVC動作を中止することになる。
間隔90内で起こるVS事象は、心房がAPバックアップパルス68によって捕捉されたこと、及び、APtパルス66が心房の捕捉に失敗したことを意味する。そのため、間隔90は、LOC窓と呼ばれる。実際に、LOC窓90は、継続時間が、約5〜100ミリ秒に設定されるであろう。こうしたALOCは、3つのうち2つの基準の達成に向けてカウントするか、又は、その基準を達成する。後者の場合、アルゴリズムは、適切な安全裕度を計算するための基礎として、心房を捕捉した前のパルスの大きさを使用する。
時期尚早窓74、心室検知窓86、及びLOC窓90についてのタイミングを評価する時、ハードウェアの時間軸の粒度が考慮されなければならない。すなわち、任意所与の窓は、デバイス依存である、タイミングのために利用されるクロックパルスの倍数にすぎないことになる。さらなる考察として、時期尚早窓74とLOC窓90の間の対応が存在すべきである。一実施形態では、LOC窓90の継続期間は、時期尚早窓74の継続時間以下である。こうして、VSは、時期尚早窓74の継続時間後に始動されたAPt66又はバックアップペース68から発生したと、正確に判定されることができる。
一般に、APt66の送出及びAPバックアップ68の送出後に、最初のパルスが捕捉するか、又は、2番目のパルスが捕捉するかに応じて、心室検知窓86か、LOC窓90のいずれかにVSが存在すべきである。場合によっては、いずれの窓においても(中間又は前兆(precursor)窓82、84、及び88においても)VSが検出されないであろう。VSの欠如を処理するためのいくつかの方法が存在する。
一実施形態では、VSの欠如は、捕捉の喪失であると仮定され、その仮定によって処理が進む。論理的に、LOC窓90が延長された場合、後でVSが起こることになることが仮定される。代替の実施形態では、VSを検出するのに失敗することによって、現在の事象サイクルが無視され、中止カウンタが、適切にインクリメントされる。これは、安定し、且つ、予測可能な調律及びタイミング間隔を利用し、それに依存することによって、閾値精度を向上させるのに役立ち、予期しない、又は変則的な事象を使用することを防止する。
図9aは、予定された時間にAVCか、ACRのいずれかの閾値試験を使用する選択プロセスを実施するためのロジックフローチャートである。心房ペーシング閾値探索(APTS)94は、「毎日探索」、「毎日一定」などのプログラムされた期間、又は、24時間の毎日の予定より短いか、又は、長い期間において予定される。ステップ94にて、予定されたAPTS時間になると、ソフトウェアプログラムは、ステップ96においてデバイスの安定性をチェックすることに進む。決定ステップ98にて、デバイスは、合格か、又は、失敗とみなされる。デバイスが合格と確認されると、ソフトウェアロジックは、ステップ100における洞の安定性チェックに進む。決定ステップ102の下で、洞の安定性が、合格か、又は、失敗とみなされる。チェックが合格である場合、ソフトウェアロジックは、ステップ104に進み、適切なAPTS方法、すなわちAVC又はACRが実施される。決定ステップ106に従ってAPTSが首尾よく実施される場合、プログラムは、ステップ107に進む。決定ステップ98、102、及び106のいずれの決定ステップにおいても、調査結果が「失敗」である場合、プログラムはステップ108に進み、プロセスが反復されるか、又は、プログラムが中止される。
どのAPTS方法(AVC又はACR)が最初に試みられることになるかが判定されるのは、安定性チェック96中である。すなわち、心房ペーシング及び心室検知が起こっている場合、ステップ104にて、AVC方法が選択される。別法として、心房検知が発見される場合、ステップ104にて、ACR方法が選択される。各APTSは、それ自身の利点に基づく。前のAPTS以来、患者の調律が変化してしまっている場合があるため、前の試験の記録は保持されない。APTSは、有効で、且つ、安全なアルゴリズムの使用を確保するために、2腔、2重ペーシング及びトラッキングモード(DDD又はDDDR)を必要とする。
プログラミングチェック96は以下のもの、すなわち、
永久的にプログラムされた心房振幅は5.0V以下であること、
永久的にプログラムされた心房パルス幅は1.0ms以下であること、
2腔(DDD/R)モードの心房トラッキングデバイスであること、
デバイスは、現在、モード切り換えオペレーション、或いは、検出相又は回復相にないこと、
デバイスは、現在、レート低下応答オペレーションにないこと、
デバイスは、現在、スリープ減衰又は覚醒ステージにないこと、及び、
デバイスは、洞レートが100bpm以下であるのみならず、センサが毎日の生命活動レート以下のレートを指示していること、を含む。
さらに、洞安定性チェック100は、デバイスプログラミングチェック96に続く8心周期にわたって起こり、好ましくは、以下のもの、すなわち、
PVCのわずか1回の発生と、
デバイスプログラミングチェック96におけるわずか1つのAP/AS/AR−AS間隔が600msより短かったこと、
最も短いAP/AS/AR−AS間隔が、プログラム可能な洞変動性窓(デフォルト=200ミリ秒)内に入り、且つ、最も長いAP/AS/AR−AS間隔のプログラムされたミリ秒間隔以内でなければならないこと(レートの安定性)、
PVC又はPACの実行が起こらないこと、
わずか1つの心室安全ペース(VSP)、及び、
競合しない心房ペースが起こらないこと、を含んでもよい。
このチェックもまた満たされる場合、ソフトウェアプログラムの「選択器」部は、最初に、AVC方法を使用しようと試みるであろう。AVC方法について、何の結果も得られない場合、アルゴリズムはACR方法を選択する。
安定性チェックのいずれかの部分がいずれかの理由で失敗し、アルゴリズムが、遅延期間がアクティブであることを検出する場合、安定性チェックは、再び予定されて、遅延期間の終わりに再び起こる。遅延期間がアクティブでないか、又は、全ての遅延期間が試みられた場合、APTS試験は、次の予定されたPTS期間まで中止される。
ACRとAVCの間で選択する他の方法は、ステップ104にて実施することができる。両者の間での選択については、条件が普通なら等しいと仮定して、前のACMの試みの成功によって、又は、他のプログラムされた基準に基づいて、ACRか、AVCのいずれかの方にバイアスをかけるように内部フラグを設定することができる。たとえば、首尾よく1つのプロトコルを達成した後、バイアスは、将来、同じ方を選択するようにフラグを立てられることができる。同様に、AVC又はACRのプロトコルのそれぞれが、1日当たり所定の回数(たとえば、3回)試みられるだけであるため、フラグを使用して、試されていないプロトコルの方にバイアスをかけることができる。たとえば、AVCが数回試みられたが、成功しなかった場合、フラグは、次の試みでACRを容易にするように設定することができる。
図11は、AVCの方へのバイアスがある状態で、ACRが利用されるべきか、それともAVCが利用されるべきかを判定するプロセスを示す。上記のように、ステップ96にて、安定性チェックが実施され、ステップ200にて、データが処理される。安定性チェックが成功したと仮定すると、プロセスは、前向きに移動して、APTSを試みる。安定性チェック96が失敗することになるにはいくつかの理由が存在する可能性がある。たとえば、検知された間隔が、たとえば、125ミリ秒を超えて変わる場合、試験は、安定性が達成される後の時点まで遅延されるであろう。
この例では、AV伝導の実証が欠如しても、AVCを試みようとするバイアスが存在する。そのため、ステップ210にて、所定の数(たとえば、7)より少ない心房センス事象が存在したかどうかが判定される。AS事象が少な過ぎる場合、ACRは不成功である可能性が高いことになる。所定の数を超えるAS事象が存在した場合、ステップ240にて、ACRを行うべきかどうかについての判定が行われる。所定の数より少ないAS事象が存在したと仮定すると、ステップ220は、AVCが、同日の間に、前に試みられたかどうかを判定する。試みられた場合、毎日の数(たとえば、3)の試みがすでに行われた場合、AVCは再び試みられないであろう。AVCについて毎日の最大数より少ない試みが行われた場合、ステップ230にて、AVCが試みられる。そうでなければ、ステップ240にて、ACRを試みるべきか否かについての判定が行われ、ステップ250にて、
ACRが行われるか、又は、ステップ260にて、ACRが中止される。
図9bは、予定された時間にAVC閾値試験又はACR閾値試験を実施するロジックフローを示す。ステップ110にて、オペレーションが始動される。後続のステップ112は、設定された数の拍動について調律をチェックする。決定ステップ114にて、調律の安定性が確認される。ソフトウェアロジックは、安定した調律が確立されるまで、前へ進まないであろう。
より具体的には、適切なAPTS方法104(図9a)を選択すると、ロジックステップ110にて、ACRか、AVCのいずれかが始まる。ステップ112にて、アルゴリズムは、プリセットされるか、又は、プログラムされた数の拍動について調律をチェックする。ステップ112の目的の1つは、ステップ102(図9a)にて前に安定であると認識された調律が、決定ステップ114にて安定のままであったかどうかを判定することである。調律が安定である場合、ロジックステップ116にて、閾値試験サイクルが送出される。試験サイクルの完全性が、いずれの条件でも不安定である場合、ロジックは、ロジックステップ120に進み、中止カウンタがインクリメントされる。中止カウンタがフルになる場合、APTSは、ロジックステップ94(図9a)と一貫性があるように再び予定される。中止カウンタがフルでない場合、ロジックは、ステップ112に戻る。一方、決定ステップ118にて、全ての条件が満たされる場合、アルゴリズムは、図4〜図8の開示と一貫性があるステップ122にて閾値試験掃引シーケンスを開始する。3つのうち少なくとも2つの試験ペースが心房を捕捉したかどうかを調べるチェックが首尾よく完了すると、閾値試験は、決定ステップ124に進む。決定ステップ124にて、閾値試験が完了した場合、ステップ126にて、APTS閾値試験は終了する。しかしながら、決定ステップ124にて、3つのうち少なくとも2つの基準が満たされない場合、アルゴリズムは、調律チェック112に戻り、次の閾値試験サイクルを準備する。
一般に、ACMは、先に示したように、適切な閾値レベルを決定するために、定期的に、たとえば、1日当たり1回実施される。閾値レベルを適切に決定するために、任意の試験パルスを始動する前に、また、捕捉が起こったかどうかを判定する時に、一定の程度の安定性が観測されなければならない。安定した調律が無い状態では、偽りの測定のリスクが増加する。測定のより高い精度を確保し、APTSが、循環し、患者の徴候をおそらく生成することを防止するために、ステップ120の中止カウンタが利用される。中止カウンタは、一定のトリガー用事象の運転中のカウントを維持し、こうした事象の所定レベルに達した場合、APTSが中止される。
安定性サイクル(すなわち、試験パルスが無いこと)及び試験サイクルのそれぞれの間に、安定性及び種々の心臓状態が監視される。こうした状態は、たとえば、PVC、PAC、心室不応センス、心房不応センス、AS−AS間隔変動性、及びAP−VS間隔変動性を含む。不安定性又は或る状態が検出される場合、中止カウンタは、重み付き値だけインクリメントされる。値は、各不安定性又は所与の状態についての所定の値によって判定される重篤度に基づいて重み付けされる。
一般に、中止カウンタが所定の値を超え、且つ、APTSが中止される場合、システムは、或る所定の期間、たとえば、30分の間、APTSを再始動するのを防止される。さらに、許容される試みの数に対する毎日の限度(たとえば、3)が存在してもよい。そのため、予想しない状態に遭遇するか、又は、必要な安定性が無い場合、APTSは、閾値を決定することなく中止する可能性があり、こうした状態が持続する場合、全日の経過にわたって閾値を発見しない場合がある。
図10は、「失敗した」リード線の検出による、2極から単極への切り換えに続く心房
リード線又は心室リード線上でのPTSのためのプロセスを示す。最新のペースメーカは、リード線及び関連する構造の完全性を判定するためにリード線チェック130を定期的に実施する回路を含む。現在のところ、2極リード線の完全性を判定するために、リード線インピーダンスが使用される。他の方法は、たとえば、出力コンデンサから流れ出る電荷量がゼロであるか又は過剰であるかの検出、及び、時間領域反射測定を含んでもよい。リード線極性チェックが、ステップ132の下で、リード線が無傷であると指示する場合、リード線極性が維持され、ステップ134に従って、プログラムされるか、又は、予定された次の時間に極性チェックを行うように、回路部が自身をリセットする。一方、試験が否定的である場合、ステップ136に従って、リード線が試験に失敗したと考えられる。たとえば、インピーダンス試験に「失敗する」リード線は、非常に低いインピーダンス(絶縁の破壊)か、又は、非常に高いインピーダンス(導電性ワイヤの破損)を示すであろう。リード線が2極構成である場合、ステップ136におけるリード線の失敗は、ステップ138にて、リード線の極性を2極から単極へ即座に変える。単極構成へ変化すると、本発明によるペーシング回路部は、どちらのリード線が極性試験に失敗したかに応じて、ステップ140の心房チャネルか、ステップ142の心室チャネルのいずれかで、即座にPTSを始動する。失敗したリード線が単極であった場倍、デバイスが次に呼び掛ける時にリード線失敗を指示するメッセージが現れるであろう。
本発明の態様のうちの1つは、ペーシングが2極から単極に切り換わる時に異なる場合がある、心房ペーシング閾値及び心室ペーシング閾値に関する。単極構成において、出力が閾値より低い場合、失神又は死の可能性によって、即座のLOCが起こってもよい。出力が、安全裕度を含まない場合、たとえば図4に示す、強度−継続時間曲線を変える活動(とりわけ、運動、食事)に関わるなど、状態が変わる時に、LOCは起こる場合がある。そのため、上述したAPTS方法及び自動VPTS方法は、ペーシング出力について信頼性の高い安全裕度を決定する自動手段を実施するであろう。
先の特定の実施形態は、本発明の実施を具体的に示す。したがって、本発明又は添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、当業者に知られているか、又は、本明細書に開示される他の手段が使用されてもよいことが理解される。したがって、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明は、具体的に述べられる以外の方法で実施されてもよいことが理解されるべきである。全ての要素について、本明細書にその一部のみが開示されている、無限の等価な代替形態の任意の代替形態によって、要素が置き換えられてもよい。

Claims (1)

  1. 心房試験パルスの送出が、隣接する不規則な心房検出間隔をもたらすことになる時に、医療デバイスについて、心房腔再設定(ACR)手技中の心房試験パルスの送出を禁止するシステムであって、
    サポートサイクルを監視する手段と、
    前記サポートサイクルの不安定性を判定する手段と、
    不安定性が判定されると、前記心房試験パルスの送出を禁止する手段と、
    を備え
    前記サポートサイクルが、ACRの間に与えられる、各々の連続した心房試験パルスの間の一連の安定したサイクルであり、心臓が、心房試験パルスの間で再安定化することを可能とするためのものであり、
    与えられた心周期が、所定の窓であって、当該窓の外側においては望ましくない、当該窓の外側にある場合に、不安定性が判定される、
    心房試験パルスの送出を禁止するシステム。
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