JP5044776B2 - 有機半導体電界効果トランジスタの評価装置及び特性測定方法。 - Google Patents

有機半導体電界効果トランジスタの評価装置及び特性測定方法。 Download PDF

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Description

本発明は、有機半導体電界効果トランジスタの評価装置及び特性測定方法に関する。
有機物を用いたトランジスタは、基板上に有機物を蒸着または塗布して作製する。有機物は主に分子間力(ファン・デル・ワールス力)で結合しているため、Si結晶のような原子結合の物質よりも柔軟性に富んでいる。また、プラスチック基板を用いればSi基板やガラス基板に比べて厚さを薄くすることも可能である。
このため有機物を用いたトランジスタを使うことにより軽く,薄く,曲げられる電子デバイスが作製できるようになる。また、材料等のコストが安いというメリットもある。つまり、有機物を用いたトランジスタを用いることによって、形状に柔軟性を有する素子を安く作成することが可能となる。
この有機物を用いた素子の一例としては、たとえば、電子デバイスとしての有機半導体電界効果トランジスタ(有機半導体FET:Field Effect Transistor)や太陽電池や化学センサ、光デバイスとしてのOLED(Organic Light Emitting Diode)や光検出器などがある。これらの有機物を用いた素子は、有機物に特有の性質を生かした方法を用いて使用されている。
このようにして、有機半導体FETは将来的に有望なデバイスとして期待されている。しかしながら、有機半導体FETの特性を評価する方法は、いまだにその評価方法が確立していない。そこで、従来においては、有機半導体FETにおいても、無機半導体電界効果トランジスタで用いられているマクロな電気的測定法が利用されてきた。
図10に無機半導体FETを評価する方法の概略説明図を示している。図10に示されるように、無機半導体FET90においては、ソース91とドレイン92を有し、絶縁膜94を介してゲート93が形成されている。ゲート93に電圧が印加されることによって、チャネル層95や空乏層96が形成される。また、ソース91とドレイン92に電位差が印加されることによって、電流が流れる。このような半導体FET90における評価方法としては、電気容量−電圧(C−V)測定97及びコンダクタンス−電圧(G−V)測定98が用いられている。
C−V測定においては電荷の動きを見ることができるため、ゲート−ソース又はドレイン間の電気容量を測定することによって、空乏層の形成や酸化膜中の不純物など固定電荷の影響を調べることができる。また、G−V測定においては可動電荷の動きそのものを直接測定する方法であるから、FETのチャネル層を流れる電子を観測することができ、ソース−ドレイン間のチャネル形成について測定することができる。
また、無機半導体FETを評価する方法として、第2次高調波を用いる方法がある(例えば非特許文献1)。この方法においては、第2次高調波を用いてFET絶縁層の評価を行っており、絶縁層中の不純物密度やトラップ密度を見積もる手法として提案されている。また、無機物の絶縁層に着目しており、絶縁体において、固定電荷が第2次高調波を発生させている。
Z.Marka, S.K.Singh, S.C.Lee, J.Kavich, B.Glebov, S.N.Rashkeev, A.P.Karmarkar, R.G.Albridge, S.T.Pantelides, R.D.Schrimpf, D.M.Fleetwood, and N.H.Tolk,"Characterization of X-Ray Radiation Damage in Si/SiO2 Structures Using Second-Harmonic Generation", IEEE TRANSACTIONS ON NUCLEAR SCIENCE, Vol.47, No.6, DECEMBER, 2256-2261(2000)
しかしながら、有機半導体FET(:Field Effect Transistor)においては、無機半導体FETに用いられているC−V測定やG−V測定を用いた評価方法が適していない。これは、無機半導体FETのチャネルが半導体内部から供給される電荷によって形成されるのに対して、有機半導体FETのチャネルが電極からの注入電荷をキャリア供給源として形成されるからである。また、ソース−ドレイン間に位置する有機半導体の性質が、半導体の性質を持つものではなく誘電体の性質を持つことから、今までのC−V測定やG−V測定が適しているかどうかが明らかではないからである。
動作機構が異なる有機半導体FETに、無機半導体FETに用いられている評価方法を用いても有機半導体FETの正しい物性評価ができず、その評価結果をそのまま利用したのでは有機半導体FETの大幅な特性改善は望めないため、新たな評価手法が必要になると考えられる。本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、有機半導体FETを評価する有効的な方法や、その方法を用いた評価装置を提供することを目的とする。
本発明の目的は、有機半導体の本質的特徴である誘電分極と電気伝導に注目し、有機半導体FETの動作特性の改善を目指して、従来のC−V測定やG−V測定に代わる新しい測定手法を提案し、それを用いてデバイス設計に必要なパラメータを抽出した上で、設計にフィードバックできるようにすることである。特に、有機半導体に対しては、素子動作を記述する理想的な理論モデルがないために、従来の測定方法に代わる新しい測定手法の開発が急務となっている。
本発明の態様に係る有機半導体FETの評価方法は、有機半導体FETのゲートと、ソース−ドレイン間とに、電圧を印加し、前記電圧が印加された状態の有機半導体FETにおいて、前記ソースと前記ドレインの間に位置する有機物層の内にあって、チャネル層が形成される可能性を有するチャネル形成領域に光を入射し、前記光を入射されたチャネル形成領域から出射される高次高調波光を検出し、前記検出された高次高調波光の強度によって前記チャネル形成領域におけるコンダクタンス及び/又は電界分布を測定する、有機半導体FETの特性測定方法である。高次高調波光を用いることにより、有機半導体FETにおけるチャネル形成やチャネルコンダクタンスやチャネル層の電界分布をモニターすることが可能となる。
本発明の他の態様に係る有機半導体FETの評価装置は、光源と、有機半導体FETのゲートと、ソース−ドレイン間とに、電圧を印加する電源と、前記電源によって電圧が印加された状態の有機半導体FETに、前記光源からの光を照射することによって、生成される高次高調波光を検出する検出器と、を有する有機半導体FETの評価装置である。
本発明に係る特性測定方法及び評価装置によれば、高次高調波光の強度変化を測定することにより、チャネル形成やチャネルコンダクタンスやチャネル層の電界分布を非接触にてモニターすることが可能となる。チャネル層の状態を観測できることにより、本発明は有機半導体FETを評価する有効的な新しい方法であり、それをフィードバックすることにより、有機半導体FETにおける素子特性の改善することが可能となる。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本実施の形態においては、本発明を、有機半導体FETの評価方法及び評価装置に適用したものである。本実施の形態に係る有機半導体FETの評価方法では、有機半導体FETのゲート絶縁層とチャネル層の界面に生じる分極に光を照射することによって発生する高次高調波を利用している。
具体的には、有機半導体FETにおいて、チャネルが形成されることやチャネルのコンダクタンスが変化することによって、有機半導体層に生成される分極の量が変化するため、高次高調波光の強度が変化する。高次高調波光の強度測定を行うことによって、その有機半導体FETにおける特性評価を行うことができる。高次高調波を用いるのは、価電子帯から伝導帯への直接励起プロセスによるキャリア発生を伴わないので、非破壊プロセスによる有機物内の電界分布が観測できるからである。
ここでいう特性とは、その有機半導体FETにおいてチャネル層が形成されるか否かのことや、チャネル層における電界分布である。チャネル層が形成されるときでも、高次高調波光のゲート電圧に対する強度変化を測定することによって、この有機半導体FETのON/OFF比が良い試料であるか否かを判定することが可能となる。
また、この高次高調波光も第2次高調波光(SHG:Second Harmonic Generation)を用いるとよい。これは、SHG光は他の高次高調波よりも強度が強いために測定するのが容易であるからである。
ここで、有機半導体FETについて説明する。ここでいう有機半導体とは、FETのチャネルを構成する可能性を有する有機物質のことであり、必ずしも従来の無機半導体の性質を有する物質ではない。つまり、ドレインとソースの間に形成され、ゲートに電圧が印加されることによってチャネル層が形成される可能性を有する有機物である。
図1に有機半導体FET1の構成概略図の一例を示す。有機半導体FET1には、SiO絶縁層12の上にソース13とドレイン14とが形成されている。また、ソース13とドレイン14を覆うようにして有機半導体層15が形成されている。この有機半導体層15の一例は、ペンタセン、フタロシアニン、及びC60などの低分子量分子、ポリパラフェニレンビニレン、及びポリチオフェンなどの高分子のうちの一つ又はその組み合わせたものである。SiO絶縁層12のソース13とドレイン14との側と反対側にゲート11が形成されている。なお、この構造は、ボトムコンタクト型と呼ばれるが、トップコンタクト型(図1(b)参照)でもよい。
図1に示した有機半導体FET1の構成概略図の断面模式図を示したのが図2である。図2に示されるように、有機半導体FET1においては、ゲート電極11に電圧が印加され、ゲート電極11に電圧が印加されることによって、ソース13−ドレイン14間にチャネル層16が形成されることによって、このチャネル層16内を電流が流れることになる。
無機半導体FETのチャネル層は、ドレインとソースとの間の半導体層が有するキャリアによって形成されるのに対して、有機半導体FETのチャネル層は、ドレインとソースとの電極から注入されたキャリアによって形成されている。このように無機半導体FETのチャネル層と有機半導体FETのチャネル層では発現機構が異なっている。そこで、本実施の形態に係る有機半導体FETの評価方法においては、ドレイン14とソース13との間の有機半導体層15が誘電的であることに注目して、有機半導体層15に生成される誘電分極を検知する高次高調波光の強度を測定している。
高次高調波光の強度を測定するために、実施の形態に係る検査方法においては、ソース13とドレイン14との間に形成されるチャネル形成領域17に光を入射する(図3参照)。このチャネル形成領域17とは、ゲートに電圧が印加されたときに、ドレイン−ソース間にチャネル層ができる可能性がある領域のことである。このときの入射光は、有機半導体層15の吸収端よりも波長の長い光でなければならない。また、チャネル層16から出射される光は反射光(基本光)と高次高調波光の合成波であるから、これを分離する必要がある。高次高調波光は反射光(基本光)の整数倍の周波数を有する光であるから、ハイパスフィルターを用いることによって、高次高調波光と反射光(基本光)とを分離し、高次高調波光を抽出している。
図4に、本実施の形態に係る検査装置の構造図を示す。レーザ31の前に、IRパスフィルタ32aが位置し、レーザ31からのレーザ光のみを透過している。その後、ミラー33によって、レーザ31からIRパスフィルタ32aを透過したレーザ光は反射され、偏光板34aに入射される。偏光板34aに入射された光は、偏光子の角度に平行な方向の光のみが透過されることになる。
偏光板34aを透過した光は、IRパスフィルタ32bを透過する。ここで、迷い光などの光をカットすることできる。IRパスフィルタ32bを透過した光はレンズ35aによって集光され、レーザ31の出射光の波長の半分の波長の光をカットするローパスフィルタ36を通過させる。ローパスフィルタ36を通過した光は、サンプル38に入射される。
サンプル38から発生した光は、IRカットフィルタ37を通過する。このときに、基本光はカットされることになる。IRカットフィルタ37を透過した光はレンズ35bによって平行光に拡散され、偏光板34bを通過する。その後、レンズ35cによって集光され、モノクロメータ39に入射される。モノクロメータ39に入射された光は波長ごとに光が検出され、フォトマル40によって光強度が増幅された形で計測される。
以上のようにすることによって、レーザ31が出射した光からある波長領域の光のみをサンプル38に入射し、サンプル38から出射された光の中から高次高調波光のみを抽出されるようにしている。
ここで、一例として、3つの有機半導体FETのサンプル(サンプルA、サンプルB、サンプルC)を用意し、本実施の形態に係る有機半導体FETの評価方法で評価する。この場合においては、高次高調波光として第2次高調波光(SHG光:Second Harmonic Generation)を用いている。サンプルAは、良好な動作をすることが可能な有機半導体FETであり、ゲート電圧が印加されていないときのリーク電流が小さく、ゲート電圧が印加されていないときのドレイン−ソース間電流Idsとゲート電圧が印加されているときのドレイン−ソース間電流Idsとの比が大きいサンプルである。サンプルBは、ゲート電圧が印加されていないときのリーク電流が大きいサンプルである。サンプルCは、ゲート電圧が印加されているときでも電流がほとんど流れないサンプルである。サンプルBとサンプルCは、有機半導体FETとして欠陥があると判定される有機半導体FETである。
それぞれのサンプルにおけるI−V曲線を図5に示す。図5(a)がサンプルAのI−V曲線であり、図5(b)がサンプルBのI−V曲線であり、図5(c)がサンプルCのI−V曲線である。それぞれのグラフの縦軸はドレイン−ソース間電流Idsであり、横軸はドレイン−ソース間に印加された電位差Vdsである。
図5(a)に示されるように、サンプルAはゲート電圧が印加されていないときのドレイン−ソース間電流Idsがゲート電圧V=−70V印加されたときのドレイン−ソース間電流Idsと比較して非常に低く、この2つの電流比が大きいことから、サンプルAがONされた状態とOFFのときの状態において、電流値に大きく差ができることになる。これは、良好な動作をすることが可能であることを示している。
また、サンプルBにおいては、図5(b)に示されるように、ゲート電圧が印加されていない状態においても、ドレイン−ソース間電流Idsが大きく、ゲート電圧V=−70V印加されたときのドレイン−ソース間電流Idsとの電流比も小さいため、欠陥のある有機半導体FETと判定される。また、サンプルCにおいては、図5(c)に示されるように、ゲート電圧が印加されていない状態において、ドレイン−ソース間電流Idsが小さいが、ゲート電圧V=−70Vが印加された状態においてもドレイン−ソース間電流Idsが小さいため、この二つの電流比が小さいため、欠陥のある有機半導体FETと判定されるものである。
まず、図6にサンプルAのSHG光強度のドレイン−ソース電圧及びゲート電圧依存性を示す。縦軸がSHG光の強度であり、横軸が時間である。このとき、SHG光を測定するのに、500秒ごとにドレイン−ソース電圧Vdsまたはゲート電圧Vを変化させることによって測定を行っている。また、このSHG光発生に用いた入射光は波長λ=1120nmの光である。
まず、ドレイン−ソース電圧Vds=0V、ゲート電圧V=0VとしてSHG光強度を500秒測定する(図6(a))。次に、ドレイン−ソース電圧Vds=−90Vに変化させて、SHG光強度を500秒測定する(図6(b))。次に、ゲート電圧V=−90Vに変化させて、SHG光強度を500秒測定する(図6(c))。次に、ゲート電圧V=0Vに変化させて、SHG光強度を500秒測定する(図6(d))。最後にドレイン−ソース電圧Vds=0Vに変化させて、SHG光強度を500秒測定する(図6(e))。
まず初期状態である、ドレイン−ソース電圧Vds=0V、ゲート電圧V=0Vの状態では、SHG光強度は弱い(図6(a)参照)。その後、ドレイン−ソース電圧Vdsが印加されることによって、SHG光強度が強くなる(図6(b)参照)。これは、ドレイン−ソース間に電位差が印加されることによって、有機半導体層内に誘電分極が生じたためと考えられる。
その後、ゲート電圧Vが印加されることによって、有機半導体層にドレイン電極及びソース電極からキャリアが流れ込むことによりチャネル層が形成され、このチャネル層内を電流が流れるようになる(図6(c)参照)。このとき、有機半導体層内に生成された誘電分極の量が減少してしまうために、SHG光強度は著しく減少する。
そして、ゲート電圧VをV=0Vにすると、チャネル層は消滅してしまい、有機半導体層内に生成された誘電分極が再び形成される(図6(d)参照)。このとき、SHG光強度は著しく増加する。その後、ドレイン−ソース電圧VdsをVds=0Vとすると、有機半導体層と絶縁層との間の分極が消滅し、SHG光強度は著しく減少する(図6(e)参照)。図6(b)と図6(d)が略同じSHG光強度であることと、図6(a)と図6(e)が略同じSHG光強度であることから、この結果は再現性が高いものと考えられる。
これらのことは、有機半導体FETにおけるチャネル層形成領域のコンダクタンスの変化によって生じる可動電荷によって、SHG光の強度が変化していることを利用することによって、有機半導体FETにおける特性評価を行うことが有効であることを示している。
次に、サンプルBにおけるSHG光強度のドレイン−ソース電圧及びゲート電圧依存性を図7に示す。測定方法は、サンプルAの場合と同様である。初期状態と、ドレイン−ソース電圧Vdsが印加された状態における結果はサンプルAと同様である(図7(a)、(b)参照)。
しかしながら、図7(c)に示されるように、ゲート電圧が印加された状態においても、SHG光強度は減少することがない。これは、サンプルBの有機半導体FETにおいて、ソース−ドレイン間に電流が流れず誘電分極形成に、ゲート電圧が影響を及ぼさなかったと考えられるためである。つまりは、サンプルBにおいてチャネル層が形成されていないと考えられる。これらのことから、サンプルBにおいては、有機半導体FETは有効に動作をすることができないと考えられる。
最後に、サンプルCにおけるSHG光強度のドレイン−ソース電圧及びゲート電圧依存性を図8に示す。測定方法は、サンプルAの場合と同様である。初期状態と、ドレイン−ソース電圧Vdsが印加された状態における結果はサンプルAと同様である(図8(a)、(b)参照)。また、図8(c)においてもサンプルBと同様に減少することがない。つまり、サンプルCにおいてもチャネル層が形成されず、有効に動作することができない有機半導体FETであると考えられる。
以上のことから、SHG光強度を測定することによって、有機半導体におけるチャネル層が形成されているか否かを判定することができ、その有機半導体FETの動作評価をすることが可能となる。また、SHG光の発生と消滅は、チャネルコンダクタンスのON−OFFと連動していることから、SHG光の検出により、有機FETのON−OFF状態を光学的に検出できる。
次に、ドレイン−ソース電圧Vdsを一定とし、ゲート電圧を変化させたときのSHG光強度を示したのが図9である。縦軸はSHG光強度であり、横軸は時間である。このとき、SHG光を発生させるのに、400秒ごとにドレイン−ソース電圧Vdsまたはゲート電圧Vを変化させている。また、このSHG光発生に用いた入射光は波長λ=1120nmの光である。さらに、このときの用いられた試料は、上記の実験のときに使用されたサンプルAを用いている。
まず、ドレイン−ソース電圧Vds=0V、ゲート電圧V=0VとしてSHG光強度を400秒測定する(図9(a))。次に、ドレイン−ソース電圧Vds=−90Vに変化させて、SHG光強度を400秒測定する(図9(b))。次に、ゲート電圧V=−30Vに変化させて、SHG光強度を400秒測定する(図9(c))。次に、ゲート電圧V=−60Vに変化させて、SHG光強度を400秒測定する(図9(d))。次に、ゲート電圧V=−90Vに変化させて、SHG光強度を400秒測定する(図9(e))。次に、ゲート電圧V=0Vに変化させて、SHG光強度を400秒測定する(図9(f))。最後にドレイン−ソース電圧Vds=0Vに変化させて、SHG光強度を400秒測定する(図9(g))。
図9(b)から図9(f)にかけてドレイン−ソース電圧を−90Vに一定とし、ゲート電圧を0Vから−30V、−60V、−90Vと変化させている。図9(b)から図9(e)に示されるように、ゲート電圧が増加していくに従って、SHG光強度が減少しているのがわかる。これらのことから、ドレイン−ソース間に流れる電流値に対応してSHG光強度が変化すると考えられるため、SHG光強度を測定することによって、チャネル層の導電性評価が可能であると考えられる。
以上のことから、高次高調波光の強度変化を測定することにより、チャネルの形成やチャネルコンダクタンスをモニターできる。このことによって、有機半導体FETにおけるキャリアの伝導についての評価を高次高調波光の強度を測定することによって行うことができる。つまり、チャネル層の状態を観測することが可能となり、有機半導体FETを評価する新しい方法となりうる。
さらに、高次高調波のような分光学的手法を用いることで、測定波長を広範囲に変化させることが可能となり、測定対象が関与しているエネルギーが異なれば、それらを区別して観測できることになる。また、光学的に検査することが可能であるため、非接触で有機半導体FETの評価を行うことができる。さらに、偏光波入出力が可能であるため、入出力波の偏光方向を適切に制御することにより、有機物内の電界分布についての情報が得ることができる。このことは、有機物内におけるソース−ドレインを結ぶ方向だけでなく、ソース−ドレインを結ぶ方向に対して垂直な方向に対する電界分布を測定することが可能となる。これらによって、空間的に異方性をもつコンダクタンス又は電界分布の測定をすることも可能となる。
さらにまた、顕微鏡と組み合わせることで微小領域測定も可能となり、チャネル間横方向の電位分布のマッピング等が可能となる。また、他のレーザをアタッチメントとして用いることで、電界だけでなく電荷分布などデバイス動作に欠かせない情報を得ることが可能となると考えられる。また、本発明の方法においては、電場印加による光吸収計測による有機半導体FETの測定を行うときに発生するような光キャリアの発生がないため、非破壊の測定を行うことができる。
これらのことから、評価によって得られる素子パラメータをフィードバックさせることによる、素子特性の改善が望まれるだけでなく、実際に作成した素子に関しても、非接触で評価可能であるため、製造ライン等に導入することも可能となる。
なお、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。また、本実施の形態においては、赤外光によるSHG光発生をした結果を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。
有機半導体FETの構成概略図 図1に示した有機半導体FETの構成概略図の断面模式図 図1に示した有機半導体FETに光を入射し、そのときに発生するSHG光の概略図 実施の形態1に係る検査装置の構造図 3つのサンプルにおけるI−V曲線 サンプルAにおけるSHG光強度のゲート電圧及びソース−ドレイン間電位差依存性 サンプルBにおけるSHG光強度のゲート電圧及びソース−ドレイン間電位差依存性 サンプルCにおけるSHG光強度のゲート電圧及びソース−ドレイン間電位差依存性 サンプルAにおけるSHG光強度のゲート電圧を変化させたときの変化図 無機半導体FETを評価する方法の概略説明図
符号の説明
11 ゲート 12 絶縁層 13 ソース 14 ドレイン
15 有機半導体層 16 チャネル層 17 チャネル形成領域
31 レーザ 32 IRパスフィルタ 33 ミラー 34 偏光板
35 レンズ 36 ローパスフィルタ 37 IRカットフィルタ
38 サンプル 39 モノクロメータ 40 フォトマル
91 ソース 92 ドレイン 93 ゲート 94 絶縁層
95 チャネル層 96 空乏層 97 C−V測定 98 G−V測定

Claims (7)

  1. 有機半導体電界効果トランジスタのゲートと、ソース−ドレイン間とに、電圧を印加し、
    前記電圧が印加された状態の有機半導体電界効果トランジスタにおいて、前記ソースと前記ドレインの間に位置する有機物層の内にあって、チャネル層が形成される可能性を有するチャネル形成領域に光を入射し、
    前記光を入射されたチャネル形成領域から出射される第2次高調波光を検出し、
    前記ドレイン−ソース間に電圧を印加したときの前記第2次高調波光の強度と、前記ドレイン−ソース間に電圧を印加し、前記ゲートにも電圧を印加したときの前記第2次高調波光の強度とに基づいて、前記チャネル形成領域におけるコンダクタンス及び/又は電界分布を測定する、
    有機半導体電界効果トランジスタの特性測定方法。
  2. 前記コンダクタンス又は電界分布の測定は、前記入射光を偏光とすることによって行われる空間的に異方性をもつコンダクタンス及び/又は電界分布の測定を含む、請求項に記載の有機半導体電界効果トランジスタの特性測定方法。
  3. 前記ドレイン−ソース間に電圧を印加したときの前記第2次高調波光の強度と、前記ドレイン−ソース間に電圧を印加し、前記ゲートにも電圧を印加したときの前記第2次高調波光の強度とに基づいて、前記有機物に前記チャネル層が形成されるか否かを測定する、請求項1又は2に記載の有機半導体電界効果トランジスタの特性測定方法。
  4. 前記チャネル形成領域に入射される光は、レーザ光である、請求項1乃至請求項に記載の有機半導体電界効果トランジスタの特性測定方法。
  5. 前記ソースと前記ドレインの間に位置する前記有機物が、ペンタセン、フタロシアニン、及びC60などの低分子量分子、ポリパラフェニレンビニレン、及びポリチオフェンなどの高分子のうちの一つ又はその組み合わせたものである、請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の有機半導体電界効果トランジスタの特性測定方法。
  6. 光源と、
    有機半導体電界効果トランジスタのゲートと、ソース−ドレイン間とに、電圧を印加する電源と、
    前記電源によって電圧が印加された状態の有機半導体電界効果トランジスタにおいて、前記ソースと前記ドレインの間に位置する有機物層の内にあって、チャネル層が形成される可能性を有するチャネル形成領域に前記光源からの光を照射することによって、生成される第2次高調波光を検出する検出器と、を有し、
    前記検出器は、
    前記ドレイン−ソース間に電圧を印加したときの前記第2次高調波光の強度と、前記ドレイン−ソース間に電圧を印加し、前記ゲートにも電圧を印加したときの前記第2次高調波光の強度とに基づいて、前記チャネル形成領域におけるコンダクタンス及び/又は電界分布を測定する、
    有機半導体電界効果トランジスタの評価装置。
  7. 前記光源は、レーザである、請求項に記載の有機半導体電界効果トランジスタの評価装置。
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