本発明の概念的な形態について説明した後に、具体的な形態について説明する。
上記目的を達成するために、手段1においては、
開閉部材により開放および閉止される役物内入球口と、その役物内入球口から入球した遊技球が入賞可能な特定領域とを有し、上記役物内入球口に遊技球が入球しかつその入球した遊技球が上記特定領域に入賞することで、非特別遊技状態から遊技者に有利な特別遊技状態に移行する遊技機において、
上記役物内入球口から上記特定領域に至る遊技球通過経路内に、その動きにより遊技球の挙動に影響を与える第1の可動部材と、この第1の可動部材の動きに連動する連動動作と第1の可動部材の動きに連動しない非連動動作とを実行して遊技球の挙動に影響を与える第2の可動部材とを有し、非特別遊技状態においては、これら2つの可動部材により、遊技球が特定領域に入賞しやすい状態と入賞しにくい状態とを連続的に出現させることを特徴とする。
上記の如く、2つの可動部材を有しており、かつ一方の可動部材が他方の可動部材に連動する連動動作と連動しない非連動動作とを実行するように構成されていれば、2つの可動部材により実現される位置変化は多種多様なものとなるため、役物内入球口から遊技球が入球した際に、遊技者がその後の遊技球の動きを予想することは困難となる。即ち、入賞した遊技球に対する変化が複雑化することによって、遊技の興趣が飛躍的に向上する。また、可動部材の位置変化は多種多様なものとなるため、特定領域に入賞しやすい場合のみ遊技を行い、特定領域に入賞しにくい場合には遊技を中止するような遊技を行うのは極めて困難である。したがって、パチンコホールにおける遊技台の稼働率の低下を抑制し、かつ、上級者と初級者とに対する平等性が損なわれることもない。
手段2:手段1において、
第1の可動部材の動作と第2の可動部材の動作における非連動動作とが非同期状態となるように規制されることを特徴とする。
第1の可動部材の動作と第2の可動部材の動作における非連動動作とが非同期状態となるように規制すると、両可動部材により実現される遊技球の変化状態がより多様化する。したがって、役物内入球口から遊技球が入球した後の遊技球の動きを遊技者が予想することは極めて困難となるので、上記手段1の作用、効果がより一層発揮されることになる。
手段3:手段1または手段2において、
非特別遊技状態中と特別遊技状態中とで、遊技球が特定領域に入賞する確率を異ならしめたことを特徴とする。
非特別遊技状態中と特別遊技状態中とで、遊技球が特定領域に入賞する確率が異なっていれば、各状態における遊技者の期待感が異なるため、遊技の興趣がさらに向上する。
手段4:手段3において、
特別遊技状態中に遊技球が特定領域に入賞する確率を、非特別遊技状態中に遊技球が特定領域に入賞する確率よりも高くなるように規定したことを特徴とする。
通常、遊技者は非特別遊技状態において遊技球が特定領域に入賞する期待よりも、特別遊技状態において遊技球が特定領域に入賞する期待の方が大きい。なぜなら、遊技球が特定領域に入賞して、次ラウンドも継続遊技が行えるということを当然に予想するからである。そこで、上記構成の如く、特別遊技状態中に遊技球が特定領域に入賞する確率が、非特別遊技状態中に遊技球が特定領域に入賞する確率よりも高ければ、遊技者の期待を裏切ることがないので、遊技者は安心して特別遊技状態における遊技を行うことができる。
手段5:手段3または手段4において、
特別遊技状態中の最終ラウンドにおいて遊技球が特定領域に入賞する確率を、非特別遊技状態中に遊技球が特定領域に入賞する確率よりも低くなるように規定したことを特徴とする。
通常、遊技者は特別遊技状態中の最終ラウンドにおいて、遊技球が特定領域に入賞することを期待していない。なぜなら、最終ラウンドが、法律で規制された最後のラウンドであれば、遊技球が特定領域に入賞してもそれ以上特別遊技状態は継続しないからである。また、最終ラウンドが抽選で選択されたラウンドにおける最後のラウンドであっても、遊技者は抽選結果を重視する傾向にあるからである。そこで、上記の如く、特別遊技状態中の最終ラウンドにおいて遊技球が特定領域に入賞する確率を、非特別遊技状態中に遊技球が特定領域に入賞する確率よりも低くなるように規定しておけば、最終ラウンドにおいて遊技球が特定領域に入賞することによって遊技者が損失気分を生じるのを排除できる。
手段6:手段5において、
特別遊技状態中の最終ラウンドにおいて、開閉部材が所定回数開閉するか、または、遊技球が所定数役物内入球口から入球した後に、遊技球が特定領域に入賞する確率を、非特別遊技状態中に遊技球が特定領域に入賞する確率と同等になるように規定したことを特徴とする。
手段5で説明したように、通常、遊技者は特別遊技状態中の最終ラウンドにおいて、遊技球が特定領域に入賞することを期待していない。しかし、最終ラウンドが抽選で選択されたラウンドにおける最後のラウンドであれば、遊技球が特定領域に入賞した場合にさらに特別遊技状態を継続しても何ら問題はない。そこで、最終ラウンドの終盤に、遊技球が特定領域に入賞する確率を回復させ、特別遊技状態が継続するかもしれないという期待感を遊技者に与えることにより、遊技の興趣がさらに向上する。
手段7:手段1〜手段6において、
特別遊技状態におけるラウンド回数を乱数抽選処理により決定することを特徴とする。
このように、ラウンド回数を抽選により行うことにより、遊技者はどのような抽選結果となるのかに注目するため、面白味のある遊技を実現することができる。
上記目的を達成するために、手段8においては、
開閉部材により開放および閉止される役物内入球口と、その役物内入球口から入球した遊技球が入賞可能な特定領域とを有し、上記役物内入球口に遊技球が入球しかつその入球した遊技球が上記特定領域に入賞することで、非特別遊技状態から遊技者に有利な特別遊技状態に移行する遊技機において、
上記役物内入球口から上記特定領域に至る遊技球通過経路内に、その動きにより遊技球の挙動に影響を与えるステージと、このステージの両端に設けられてステージに遊技球を供給する遊技球排出口と、遊技球が特定領域に入賞するのを妨害及び案内することが可能な妨害及び案内手段を備えたキャラクタ体とを有し、妨害及び案内手段の動きがステージの動きに連動する連動動作とステージの動きに連動しない非連動動作とを実行して遊技球の挙動に影響を与えるキャラクタ体とを有し、非特別遊技状態においては、妨害及び案内手段とステージとにより、遊技球が特定領域に入賞しやすい状態と入賞しにくい状態とを連続的に出現させることを特徴とする。
上記の如く、遊技球通過経路内にステージと妨害及び案内手段とを備えたキャラクタ体とを有しており、かつ妨害及び案内手段がステージに連動する連動動作とステージの動きに連動しない非連動動作とを実行するように構成されていれば、ステージと妨害及び案内手段とにより出現される変化状態は多種多様なものとなるため、役物内入球口から遊技球が入球した際に、遊技者がその後の遊技球の動きを予想することは困難となる。即ち、入賞した遊技球に対する変化が複雑化することによって、遊技の興趣が飛躍的に向上する。また、ステージと妨害及び案内手段との変化状態は多種多様なものとなるため、特定領域に入賞しやすい場合のみ遊技を行い、特定領域に入賞しにくい場合には遊技を中止するような遊技を行うのは極めて困難である。したがって、パチンコホールにおける遊技台の稼働率の低下を抑制し、かつ、上級者と初級者とに対する平等性が損なわれることもない。
手段9:手段8において、
上記ステージは、遊技球案内方向とは交差する方向に、複数に分割されており、各分割部のうち少なくとも1つの分割部は上下方向に揺動しうることを特徴とする。
ステージが複数に分割されており、かつ、少なくとも1つの分割部は上下方向に揺動しうる構成であれば、入賞した遊技球に対する変化が複雑化するので、遊技の興趣が向上する。尚、遊技球案内方向とは交差する方向にステージを分割するのは、ステージにより遊技球停留状態を出現可能とするためである。
手段10:手段9において、
上記ステージは2分割されて、遊技球案内方向の上流側から第1揺動部材と第2揺動部材とを構成し、かつ、各揺動部材は、遊技球案内方向とは交差する方向に設けられた2つの軸を中心に各々独立して揺動することを特徴とする。
各分割部が各々独立して揺動すれば、入賞した遊技球に対する変化がさらに複雑化するので、遊技の興趣が一層向上する。
手段11:手段10において、
上記第1揺動部材は略中央に軸が配置される一方、第2揺動部材は遊技球案内方向の下流端近傍に軸が配置され、第1揺動部材における遊技球案内方向の下流端側が下方に位置するように第2揺動部材を揺動させる一方、第2揺動部材における遊技球案内方向の上流端側が上方に位置するように第2揺動部材を揺動させることにより遊技球停留状態を出現させることを特徴とする。
このような構成であれば、単に2つの揺動部材を揺動させるだけで遊技球停留状態を出現させることができるので、省スペース化と低コスト化とを図ることができる。
手段12:手段10において、
上記分割部のうち遊技球案内方向の上流側に設けられた第1揺動部材は略中央に軸が配置される一方、下流側に設けられた第2揺動部材は遊技球案内方向の下流端近傍に軸が配置され、第1揺動部材における遊技球案内方向の下流端側が上方に位置するように第2揺動部材を揺動させ、第2揺動部材における遊技球案内方向の上流端側が下方に位置するように第2揺動部材を揺動させることにより遊技球通過状態を出現させることを特徴とする。
このような構成であれば、単に2つの揺動部材を揺動させるだけで遊技球通過状態を出現させることができるので、省スペース化と低コスト化とを図ることができる。
手段13:手段8〜手段12において、
上記妨害及び案内手段は、上記ステージの動きと連動してステージの上方で上下方向に移動可能に構成されることを特徴とする。
妨害及び案内手段が上方に位置する場合には、妨害及び案内手段の下面とステージ(第1揺動部材)との間に遊技球の直径よりも大きな間隔を有する空間を生じさせることが可能となるため、遊技球が特定領域に導かれる可能性を有する領域が大きくなって、遊技球が特定領域に入賞しやすい状態となる。一方、妨害及び案内手段が下方に位置する場合には、妨害及び案内手段の下面とステージ(第1揺動部材)との間に遊技球の直径よりも大きな間隔を有する空間を生じることがないため、遊技球が特定領域に導かれる可能性を有する領域が小さくなって、遊技球が特定領域に入賞しにくい状態となる。このように、妨害及び案内手段を上下に移動させるだけで、遊技球が特定領域に入賞する確率を変化させることが可能となる。
手段14:手段8〜手段13において、
上記ステージに妨害及び案内手段を作動させる作動体を設けていることを特徴とする。
このように、ステージに妨害及び案内手段を作動させる作動体が設けられていれば、妨害及び案内手段の動きをステージの動きに連動させることが容易に達成できる。
手段15:手段14において、
上記作動体として、第1揺動部材における遊技球案内方向の上流端近傍に形成された押上突起を用いることを特徴とする。
作動体としてはいかなるものを用いてもよいが、単に、第1揺動部材上に形成された突起を用いれば、パチンコ機の製造工程が簡略化される。
手段16:手段8〜手段15において、
上記妨害及び案内手段における非連動動作は、ステージの上方で左右方向に移動する動作であることを特徴とする。
このように、妨害及び案内手段における非連動動作の方向が、妨害及び案内手段の連動動作の方向に対して略垂直となるような構成であれば、入賞した遊技球に対する変化が複雑化するので、遊技の興趣が一層向上する。
尚、妨害及び案内手段が左右端に位置する場合には、妨害及び案内手段の位置とは反対方向の位置にある遊技球排出口からの遊技球は、妨害及び案内手段により妨害されることが少なくなって、遊技球が特定領域に入賞しやすい状態となる。一方、妨害及び案内手段が中央に位置する場合には、どちらの遊技球排出口からの遊技球が排出されても、妨害及び案内手段により妨害されて、遊技球が特定領域に入賞しにくい状態となる。このように、妨害及び案内手段を左右に移動させるだけで、遊技球が特定領域に入賞する確率をさらに変化させることが可能となる。
手段17:手段16において、
上記妨害及び案内手段の左右方向の動きとステージの動きとが非同期状態となるように規制されることを特徴とする。
妨害及び案内手段の左右方向の動きとステージの動きとが非同期状態となるように規制すると、妨害及び案内手段とステージとにより実現される遊技球の変化状態がより多様化するので、役物内入球口から遊技球が入球した後の遊技球の動きを遊技者が予想することは極めて困難となる。したがって、遊技の興趣がさらに向上する。
手段18:手段8〜手段17において、
上記妨害及び案内手段は先端先細り状のカヌーから構成されることを特徴とする。
このような構造であれば、遊技球の挙動を複雑化すると共に、妨害及び案内手段の先端部近傍に案内された遊技球の特定領域への入賞確率を高めることができる。
手段19:手段13〜手段18において、
非特別遊技状態では、ステージを構成する第1揺動部材と第2揺動部材とが各々揺動すると共に、妨害及び案内手段が、ステージの動きと連動する上下方向の移動と、ステージの動きと連動しない左右方向の移動とが実行され、これら3つの動きが連続的に出現することにより、遊技球が特定領域に入賞しやすい状態と入賞しにくい状態とを連続的に出現させることを特徴とする。
上記の如く、ステージと妨害及び案内手段とが動き、かつ、妨害及び案内手段がステージの動きと連動する動きとしない動きとを有していれば、ステージと妨害及び案内手段との位置変化は多種多様なものとなるため、役物内入球口から遊技球が入球した際に、遊技者がその後の遊技球の動きを予想することは困難となる。即ち、入賞した遊技球に対する変化が複雑化することによって、遊技の興趣が飛躍的に向上する。また、ステージと妨害及び案内手段との位置変化は多種多様なものとなるため、特定領域に入賞しやすい場合のみ遊技を行い、特定領域に入賞しにくい場合には遊技を中止するような遊技を行うのは極めて困難である。したがって、パチンコホールにおける遊技台の稼働率の低下を抑制し、かつ、上級者と初級者とに対する平等性が損なわれることもない。
手段20:手段13〜手段18において、
特別遊技状態中の初回ラウンドから最終ラウンドの1つ前のラウンドでは、ステージが遊技球停留状態で停止し、かつ、妨害及び案内手段が上端あるいはその近傍で停止させることにより、特別遊技状態中に遊技球が特定領域に入賞する確率のほうが、非特別遊技状態中に遊技球が特定領域に入賞する確率よりも高くなるように構成され、かつ、開閉部材が所定回数開閉するか、または、遊技球が所定数役物内入球口から入球した後にステージが遊技球停留状態を解除して遊技球通過状態に変化させることを特徴とする。
前述の如く、通常、遊技者は非特別遊技状態において遊技球が特定領域に入賞する期待よりも、特別遊技状態において遊技球が特定領域に入賞する期待の方が大きい。そこで、上記構成の如く、特別遊技状態中に遊技球が特定領域に入賞する確率が、非特別遊技状態中に遊技球が特定領域に入賞する確率よりも高ければ、遊技者の期待を裏切ることがないので、遊技者は安心して特別遊技状態における遊技を行うことができる。
加えて、ステージが遊技球停留状態で停止していれば、各ラウンドでの賞球が少なくなって、遊技者に不利益を与えるのを抑制することができる。
尚、所定の要件が満たされた後、遊技球停留状態を解除して遊技球通過状態に変化するのは、停留している遊技球を特定領域に導くためである。
手段21:手段20において、
妨害及び案内手段が左右の動き方向における中間位置で停止していることを特徴とする。
妨害及び案内手段が左右の動き方向における中間位置で停止していれば、どちらの遊技球排出口から遊技球が排出されても特定領域に遊技球を導くことができる。
手段22:手段13〜手段18において、
特別遊技状態中の最終ラウンドでは、ステージを構成する第1揺動部材と第2揺動部材とが各々揺動し、かつ、妨害及び案内手段が上下動のみを行っている状態が連続的に出現することにより、特別遊技状態中の最終ラウンドにおいて遊技球が特定領域に入賞する確率を、非特別遊技状態中に遊技球が特定領域に入賞する確率よりも低くなるように規定したことを特徴とする。
前述の如く、通常、遊技者は特別遊技状態中の最終ラウンドにおいて、遊技球が特定領域に入賞することを期待していない。そこで、上記の如く、特別遊技状態中の最終ラウンドにおいて遊技球が特定領域に入賞する確率を、非特別遊技状態中に遊技球が特定領域に入賞する確率よりも低くなるように規定しておけばよい。
また、このような状態は、2分割されたステージが各々揺動し、かつ、妨害及び案内手段が上下動のみを行っている状態を連続的に出現させることにより、簡単に実現できる。
手段23:手段22において、
特別遊技状態中の最終ラウンドにおいて、開閉部材が所定回数開閉するか、または、遊技球が所定数役物内入球口から入球した後には、2分割されたステージが各々揺動し、かつ、妨害及び案内手段が、ステージの動きと連動して上下方向に移動すると共に、ステージの動きと連動することなく左右方向に移動する状態が連続的に出現することにより、遊技球が特定領域に入賞しやすい状態と入賞しにくい状態とを連続的に出現させることを特徴とする。
手段22で説明したように、通常、遊技者は特別遊技状態中の最終ラウンドにおいて、遊技球が特定領域に入賞することを期待していない。しかし、最終ラウンドが抽選で選択されたラウンドにおける最後のラウンドであれば、遊技球が特定領域に入賞した場合にさらに特別遊技状態を継続しても何ら問題はない。そこで、最終ラウンドの終盤に、遊技球が特定領域に入賞する確率を回復させ、特別遊技状態が継続かもしれないという期待感を遊技者に与えることにより、遊技の興趣がさらに向上する。
また、このような状態は、非特別遊技状態と同様の状態とすることにより、簡単に実現できる。
手段24:手段10〜手段23において、
上記第2揺動部材における遊技球案内方向の上流側端部には、複数の凹凸部が設けられ、凹部によって遊技球が保持されることを特徴とする。
このように複数の凹凸部が設けられていれば、遊技球停留状態において遊技球が移動するのを防止できるので、遊技球を特定領域に案内しやすくなる。したがって、ラウンドの更新がなされないという不利益を遊技者に与えるのを抑制できる。
手段25:手段24において、
上記第2揺動部材には特定領域案内溝が形成され、かつ、この特定領域案内溝の一方端は上記凹部のうち略中央部に位置する凹部と連通されると共に、特定領域案内溝の仮想延長線上には特定領域が存在することを特徴とする。
上記構成の如く、第2揺動部材には特定領域案内溝が形成され、かつ、特定領域案内溝の仮想延長線上には特定領域が存在していれば、遊技球を略確実に特定領域に案内できるので、ラウンドの更新がなされないという不利益を遊技者に与えるのをさらに抑制できる。
以下、本発明の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、遊技機としてパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を挙げるが、本発明は、パチンコ機の入賞装置の他に、球体を用いて遊技盤上で遊技を行う遊技機一般の入賞装置を対象とすることができる。なお、実施形態は、本発明の主旨から逸脱しない限り適宜設計変更可能なものである。
(パチンコ機正面側の構成)
図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は、外枠11に対して内枠12と前面枠セット14とを開放した状態を示す斜視図である。但し、図2では便宜上、下皿ユニット13が内枠12から取り外された状態を示している。
図1,2に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11の一側部に開閉可能に支持された内枠12とを備えている。以下に、外枠11と内枠12との構成を個別に詳細に説明する。
上記外枠11は、木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。本実施の形態では、外枠11の上下方向の外寸は809mm(内寸771mm)、左右方向の外寸は518mm(内寸480mm)となっている。なお、外枠11は樹脂やアルミニウム等の軽金属により構成されていてもよい。このように構成することにより、パチンコ機の軽量化を図ることができるからである。
一方、上記内枠12の開閉軸線はパチンコ機10の正面からみてハンドル(後述する遊技球発射ハンドル18)設置箇所の反対側(図1のパチンコ機10の左側)で上下に延びるように設定されており、この開閉軸線を軸心にして内枠12が前方側に十分に開放できるようになっている。このような構成とするのは、内枠12の開閉軸線がハンドル設置箇所側(図1のパチンコ機10の右側)で上下方向にあるとすると、内枠12を開放する際に遊技球発射ハンドル18の頭部等が隣なりのパチンコ機やカードユニット(球貸しユニット)に干渉することになり、内枠12を十分に開放できないからである。また、内枠12は合成樹脂、具体的にはABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂から成る。こうすることで、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できるという利点が発揮される。
上記内枠12の構成を、図3も用いて詳細に説明する。図3は、パチンコ機10から前面枠セット14を取り外した状態を示す正面図である(但し、図3では便宜上、遊技盤30面上の遊技領城内の構成〔釘、センター役物等〕を空白で示している)。
内枠12は、大別すると、その最下部に取り付けられた下皿ユニット13と、この下皿ユニット13よりも上側の範囲で内枠12の左側の上下方向の開閉軸線を軸心にして開閉自在に取り付けられた前面枠セット14と、後述する樹脂ベース20と、この樹脂ベース20の後側に取り付けられる遊技盤30とを備えている。これらの各構成を以下に詳細に説明する。
上記下皿ユニット13は、内枠12に対してネジ等の締結具により固定されている。この下皿ユニット13の前面側には、下皿15と球抜きレバー17と遊技球発射ハンドル18と灰皿22と音出力口24が設けられている。球受皿としての下皿15は、下皿ユニット13のほぼ中央部に設けられており、後述の上皿が満タンになった場合等に排出口16より排出される遊技球を停留する役割がある。上記球抜きレバー17は、下皿15内の遊技球を抜くためのものであり、この球抜きレバー17を図1で左側に移動させることにより、下皿15の底面の所定箇所が開口され、下皿15内に停留された遊技球を下皿15の底面の開口部分を通して遊技者の持球貯留箱(ドル箱)に排出することができる。上記遊技球発射ハンドル18は、下皿15よりも右方で手前側に突出するように配設されている。遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に応じて、遊技球発射装置38によって遊技球が後述する遊技盤30の方へ打ち込まれるようになっている。遊技球発射装置38は、遊技球発射ハンドル18と後述するセットハンドル228と発射モータ229(図6参照)などで構成されている。上記音出力口24は、下皿ユニット13内あるいは背面に設けられたスピーカ24からの音を出力するための出力口である。また、灰皿22は下皿15の左方に設けられている。灰皿22は左右方向(水平方向)の軸線を軸心にして回勣(例えば前方側に向けて前回り)するように、その右側が下皿15に片待ち支持されている。
なお、下皿ユニット13はその大部分が内枠12と同様、ABS樹脂にて成形されている。こうすることで、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できる。特に、下皿15を形成する表面層と下皿奥方の前面パネル部分とを難燃性のABS樹脂にて成形している。このため、この部分は燃えにくくなっている。
また、前面枠セット14は、図2に示すように、内枠12に対して開閉可能に取り付けられており、内枠12と同様、パチンコ機10の正面からみて左側に上下に延びる開閉軸線を軸心にして前方側に開放できるようになっている。しかも前面枠セット14は内枠12の外側壁(リブ)12b(図3参照)内に嵌まり込むようにして取り付けられている。つまり、この前面枠セット14の側面の少なくとも一部が内枠12の外側壁(リブ)12b内に嵌まり込むようにして取り付けられているので、内枠12と前面枠セット14との隙間から異物(針状あるいは薄板状等のものであって、具体的には針金、ピアノ線、セルロイド板等)を差し入れるなどの不正行為を防止できるようになっている。また、前面枠セット14は、内枠12と同様に、合成樹脂、具体的にはABS樹脂により構成されているので、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できる。
一方、前面枠セット14の下部(上述の下皿15の上方位置)には、遊技球の受皿としての上皿19が前面枠セット14と一体的に設けられている。この上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置38の方へ導出するための球受皿である。従来のパチンコ機では前面枠セットの下方に内枠に対し開閉可能な前飾り枠が設けられ、該前飾り枠に上皿が設けられていたのであるが、本実施の形態では前飾り枠が省略され、前面枠セット14に対し直接的に上皿19が設けられている。この上皿19も下皿15と同様、表面層が難燃性のABS樹脂にて成形される構成となっている。
ここで、前面枠セット14は、少なくとも遊技球発射ハンドル18に干渉しないようにして本パチンコ機10の下方に拡張して設けられており、具体的な数値を示すと、パチンコ機10の下端から前面枠セット14の下端までの寸法(図1のL1)は、既存の一機種で例えば約201mmであるのに対し、本パチンコ機10では30mm程小さく、約172mmとなっている。また、これに伴いパチンコ機10の下端から上皿19までの寸法(図1のL2)も小さくなっており、既存の一機種では例えば約298mmであるのに対し、本パチンコ機10では261mmとなっている。かかる構成では、上皿19の位置を下げたことにより、パチンコ機10の左方に設けられた球貸し装置のノズル部(いわゆる、象の鼻)と上皿19との距離が大きくなって貸し出される遊技球のこぼれ落ちなどが懸念されるが、本実施例では、当該ノズル部からの遊技球を受ける部分(向かって左側部分)で上皿19の周囲壁の一部を高くした(図1の高壁部19a)。これにより、上皿19の位置を下げた構成にあっても貸し遊技球のこぼれ落ち等の不都合が解消されるようになっている。なお、高壁部19aの高さ寸法は、上皿19の下げ寸法に見合うものであればよく、本実施例では25mmとした。
図3に示すように、内枠12は、外形が矩形状の樹脂ベース20を主体に構成されており、樹脂ベース20の中央部には略円形状の窓孔21が形成されている。樹脂ベース20の後側には遊技盤30が着脱可能に装着されている。遊技盤30は四角形状の合板よりなり、その周縁部が樹脂ベース20(内枠12)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分が樹脂ベース20の窓孔21を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。なお、遊技盤30の上下方向の長さは476mm、左右方向の長さは452mmとなっている(従来と同等サイズ)。
次に、図4を用いて遊技盤30の構成を説明する。図4は遊技盤30の構成を示す正面図である。遊技盤30は、天入賞口610、一般入賞口600、左右1対の第1始動口601、これら第1始動口601の中間部であって第1始動口601より若干下方に設けられた第2始動口602、遊技領域の略中央に設けられた電動役物ユニット(センター役物)603等を備えている。これらの一般入賞口600、第1始動口601、第2始動口602、電動役物ユニット603等は、遊技盤30における、ルータ加工によって形成された各貫通穴にそれぞれに配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取り付けられている。前述の天入賞口610、一般入賞口600、第1の始動口601、第2の始動口602に対応する部位には、それぞれ、天入賞口入球センサ609、一般入賞口入球センサ607、第1始動口入球センサ605、第2始動口入球センサ606が設けられており、これらセンサは、図示しない電気配線を通じて後述する主制御基板(主制御装置)に接続されている。そして、天入賞口610、一般入賞口600、第1始動口601、第2始動口602および電動役物ユニット603に遊技球が入球した場合には、上記各検出センサ(但し、電動役物ユニット603に遊技球が入球した場合には、後述の役物内入球口カウントセンサ730)で検出され、この検出センサの出力に基づいて、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞品球が払い出される。
尚、上記入賞感知機構にて各々検出された検出結果は、後述する主制御基板に取り込まれ、該主制御基板よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数、但しVゾーン入球センサ721での検出結果の場合は除く)が払出制御基板に送信される。そして、該払出制御基板の出力により所定数の遊技球の払出が実施される。かかる場合、各種入賞口に入賞した遊技球を入賞球処理装置に一旦集め、その入賞球処理装置で入賞球の存在を1つずつ順番に確認した上で払出を行う従来方式(いわゆる証拠球方式)とは異なり、本実施の形態のパチンコ機10では、各種入賞口毎に遊技球の入賞を電気的に感知して払出が直ちに行われる(すなわち、本パチンコ機10では入賞球処理装置を廃止している)。故に、払い出す遊技球が多量にあっても、その払出をいち早く実施することが可能となる。但し、本発明に従来の「証拠球方式」を適用してもよい。
その他に、遊技盤30の左右端には、上記一般入賞口600を備えた装飾部材630が設けられる一方、遊技盤30の下方には、上記第1始動口601、第2始動口602を備えた補助ユニット608が設けられている。また、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞装置等に入球しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。さらに、遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、同様の機能を有する風車が配設されている。
また、遊技盤30には、遊技球発射装置38から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。レールユニット50はリング状をなす樹脂成型品(例えば、フッ素樹脂が添加されて成形されたもの)にて構成されており、内外二重に一体形成された内レール51と外レール52とを有する。なお、レールユニット50はフッ素樹脂を添加して成形されているので、図3に示す奥面50aについての遊技球の摩擦抵抗を少なくできる。内レール51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成され、一部(主に左側部)か内レール51に向かい合うようにして外レール52が形成されている。かかる場合、内レール51と外レール52とにより誘導レールが構成され、これら各レール51、52が所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により球案内通路が形成されている。なお、球案内通路は、遊技盤30との当接面を有した溝状、すなわち手前側を開放した溝状に形成されている。
内レール51の先端部分(図4の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、内レール51および外レール52間の球案内通路から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止されるようになっている。また、外レール52には、遊技球の最大飛翔部分に対応する位置(図4の右上部:外レール52の先端部に相当する部位)に返しゴム54が取着されている。従って、所定以上の勢いで発射された遊技球は、返しゴム54に当たって跳ね返さわるようになっている。外レール52の内側面には、遊技球の飛翔をより滑らかなものとするべく、つまり遊技球の摩擦抵抗を少なくするべく、長尺状をなすステンレス製の金属帯としての摺動プレート55が取着されている。
また、レールユニット50の外周部には、外方へ張り出した円弧状のフランジ56が形成されている。フランジ56は、遊技盤30に対する取付面を構成する。レールユニット50が遊技盤30に取り付けられる際には、遊技盤30上にフランジ56が当接され、その状態で、当該フランジ56に形成された複数の透孔にネジ等が挿通されて遊技盤30に対するレールユニット50の締結がなされるようになっている。この実施例では、レールユニット50の少なくとも左側を遊技盤30に強固に締結するために、レールユニット50の左側はその右側よりも多いネジで遊技盤30に締結されているので、レールユニット50の左側についての遊技盤30への密着性を上げることかでき、遊技球の球飛びを良くすることができる。レールユニット50の左側が遊技盤30に対してぐらついているとこのレールユニット50に出射された遊技球の勢いが当該ぐらつきにより吸収されてしまうからである。
さらに本実施の形態では、正面から見てレールユニット50の上下左右の各端部は略直線状に(平坦に)形成されている。つまり、レールユニット50の上下左右の各端部においてはフランジ56が切り落とされ、パチンコ機10における有限の領域にてレール径の拡張、すなわち遊技盤30上の遊技領域の拡張が図られるようになっている。
内レール51および外レール52間の球案内通路の入口には、同球案内通路の一部を閉鎖するようにして凸部57が形成されている。この凸部57は、内レール51からレールユニット50下端部にかけて略鉛直方向に設けられ、遊技領域まで至らず球案内通路内を逆流してくるファール球をファール球通路63(図3参照)に導くための役目をなす。なお、遊技盤30の右下隅部および左下隅部は、証紙(例えば製造番号が記載されている)等のシール(図4のS1,S2)やプレートを貼着するためのスペースとなっており、この貼着スペースを確保するために、フランジ56に切欠58,59が形成されている。遊技盤30の右下隅部や左下隅部に、証紙等のシール(図4のS1,S2)を貼着することで、遊技盤30と証祇との一義性を持たせることができる。
次に、遊技領域について説明する。遊技領域は、レールユニット50の内周部(内外レール)により略円形状に区画形成されており、特に本実施の形態では、遊技盤30の盤面上に区画される遊技領城が従来よりもはるかに大きく構成されている。本実施の形態では、外レール52の最上部地点から遊技盤30下部までの間の距離は445mm(従来品よりも58mm長い)、外レール52の極左位置から内レール51の極右位置までの間の距部は435mm(従来品よりも50mm長い)となっている。また、内レール51の極左位置から内レール51の極右位置までの間の距離は418mmとなっている。
本実施の形態では、遊技領域を、パチンコ機10の正面から見て、内レール51および外レール52によって囲まれる領域のうち、内外レール51,52の並行部分である誘導レールの領域を除いた領域としている。従って、遊技領域と言った場合には誘導レール部分は含まないため、遊技領域の向かって左側限界位置は外レール52によってではなく内レール51によって特定される。同様に、遊技領域の向かって右側限界位置は内レール51によって特定される。また、遊技領城の下側限界位置は遊技盤30の下端位置によって特定される。また、遊技領域の上側限界位置は外レール52によって特定される。
従って、本実施の形態では、遊技領域の幅(左右方向の最大幅)は、418mmであり、遊技領域の高さ(上下方向の最大幅)は、445mmである。
ここで、前記遊技領域の幅は、少なくとも380mm以上あることが望ましい。より好ましくは390mm以上、400mm以上、410mm以上、420mm以上、430mm以上、440mm以上、450mm以上、さらに460mm以上であることが望ましい。もちろん、470mm以上であってもよい。すなわち、遊技領域の幅は、遊技領域拡大という観点からは大きい程好ましい。また、遊技領域の高さは、少なくとも400mm以上あることが望ましい。より好ましくは410mm以上、420mm以上、430mm以上、440mm以上、450mm以上、さらに460mm以上であることが望ましい。もちろん、470mm以上、480mm以上、490mm以上としてもよい。すなわち、遊技領域の高さは、遊技領域拡大という観点からは大きい程好ましい。尚、上記幅および高さの組合せについては、上記数値を任意に組み合わせたものとしてもよい。
本実施の形態では、遊技盤30面に対する遊技領域の面積の比率は約70%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。なお、遊技盤30面に対する遊技領域の面積比は、従来では50%程度に過ぎなかったことから、遊技盤30を共通とした前提においてはかなり遊技領域を拡大しているといえる。尚、パチンコ機10の外形は遊技場への設置の都合上製造者間でほぼ統一されており、遊技盤30の大きさも同様とせざるを得ない状況下において、上記のように遊技盤30面に対する遊技領域の面積の比率を約20%も高めたことは、遊技領域拡大の観点で非常に有意義である。ここで、前記比率は、少なくとも60%以上であることが望ましい。さらに好ましくは65%以上であり、より好ましくは70%以上である。また、本実施形態の場合を越えて75%以上であれば、一層望ましい。さらには、80%以上であってもよい。
また、パチンコ機10全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積の比率は約40%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。なお、パチンコ機10全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積比は、35パーセント以上であるのが望ましい。もちろん、40パーセント以上としてもよいし、45パーセント以上、または50パーセント以上としてもよい。
なお、遊技領域が左右方向に拡張されていることによって、複数の釘(遊技球を第1始動口601、第2始動口602、或いは役物内入球口612,613等に誘導するための誘導釘)、他の役物を種々配設することができ、電動役物ユニット603の左右両側の遊技領域での遊技球の挙動を一層面白くすることができるようになっている。また、遊技領域が上下方向にも拡張されていることから、さらに、複数の釘、風車、他の投物を種々配設することができ、遊技領域での上下方向の遊技球の挙動をより一層面白くすることができるようになっている。
図3の説明に戻り、前記樹脂ベース20において、窓孔21(遊技盤30)の下方には、遊技球発射装置38より発射された直後に遊技球を案内するための発射レール61が取り付けられている。発射レール61は、その後方の金属板62を介して樹脂ベース20に取付固定されており、所定の発射角度(打ち出し角度)にて直線的に延びるよう構成されている。従って、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球は、まずは発射レール61に沿って斜め上方に打ち出され、その後前述した通りレールユニット50の球案内通路を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。
本パチンコ機10の場合、遊技領域が従来よりも大幅に拡張されることは既に述べたが、かかる構成下では、誘導レールの曲率を小さくせざるを得ないことから、打出球を安定化させるための工夫を要する。そこで本実施の形態では、遊技球の発射位置を低くするとともに発射レール61の傾斜角度(発射角度)を既存のものよりも幾分大きくし(すなわち発射レール61を立ち上げるようにし)、さらに発射レール61の長さを既存のものよりも長くして十分な長さの球誘導距離を確保するようにしている。これにより、遊技球発射装置38から発射された遊技球をより安定した状態で誘導レールに案内できるようにしている。この場合特に、発射レール61を、遊技球発射装置38の発射位置から遊技領域の中央位置(アウト口36)を越える位置まで延びるよう形成している。
また、発射レール61とレールユニット50(誘導レール)との問には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にファール球通路63が形成されている。従って、仮に、遊技球発射装置38から発射された遊技球が戻り球防止部材53まで至らずファール球として誘導レール内を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路63を介して下皿15に排出される。因みに、本実施の形態の場合、発射レール61の長さは約240mm、発射レール先端部の隙間の長さ(発射レール61の延長線上の長さ)は約40mmである。
ファール球が誘導レール内を逆流してくる際、その多くは外レール52に沿って流れ、外レール52の下端部に到達した時点で下方に落下するが、一部のファール球は誘導レール内で暴れ、内レール51側へ跳ね上がるものもある。この際、跳ね上がったファール球は、球案内通路入口の前記凸部57に当たり、ファール球通路63に誘導される、これにより、ファール球の全てがファール球通路63に確実に案内されるようになり、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
なお、詳しい図面の開示は省略するが、遊技球発射装置38には、前面枠セット14側の球出口(上皿19の最下流部より通じる球出口)から遊技球が1つずつ供給される。この際、本実施の形態では遊技球の発射位置を低くしたため、前面枠セット14側の球出口から前記発射位置への落差が大きくなるが、発射レール61の基端部付近にはその右側と手前側にそれぞれガイド部材65,66を設置した。これにより、前面枠セット14側の球出口から供給される遊技球が常に所定の発射位置にセットされ、安定した発射動作が実現できる。また、遊技球発射装置38には打球槌が設けられ、軸部を中心とする打球槌の回動に伴い遊技球が発射されるが、打球槌に関して軽量化が望まれている。それ故、アルミニウム等の軽金属への材料変更や軸部寸法の縮小化により打球槌の軽量化を図る一方で、十分な発射力を確保すべく、打球槌のヘッド部(軸部と反対側の端部)に重り部を設けている。これにより、十分でかつ安定した遊技球の発射が実現できる。打球槌の重り部を上方に突出して設けることにより、打球槌を容易に摘んだりひっかけたりすることかでき、槌先の打球強さの調整等がしやすくなるという効果がある。
なお、図3中の符号67は上皿19に通ずる排出口であり、この排出口67を介して遊技球が上皿19に排出される。排出口67には、略水平方向の回転軸を軸心として略水平状態と略垂直状態とに変位する開閉式のシャッタ68が取り付けられている、前面枠セット14を内枠12から開放した状能(図3の状態)では、バネ等の付勢力によりシャッタ68が略水平状態から略垂直状態となり、排出口67から遊技球がこぼれ落ちないようにこの排出口67を閉鎖する。また、前面枠セット14を閉鎖した状態では、当該前面枠セット14の裏面に設けられた球通路樋69(図2参照)によりシャッタ68が押し開けられて略水平状態になり、排出口67の方へ排出された遊技球はもれなく球通路樋69を通って上皿19に排出されるようになる。従って、前飾り枠が省略され前面枠セット14に対して上皿19が直接設けられる構成とした本パチンコ機10において、前面枠セット14の開放に際し払出通路内等の遊技球がパチンコ機10外にこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できるようになっている。
樹脂ベース20には、窓孔21の右下部に略四角形状の小窓71が設けられている。従って、遊技盤30の右下隅部に張られた証紙などのシール(図4のS1)は、この小窓71を通じて視認できるようになっている。また、この小窓71からシール等を貼り付けることも可能となっている。
また、図3に示すように、内枠12の左端部には、前面枠セット14の支持機構として、支持金具81,82が取り付けられている。上側の支持金具81には図の手前側に切欠を有する支持孔83が設けられ、下側の支持金具82には鉛直方向に突出した突起軸84が設けられている。
図3に示すように、内枠12の上側には、前面枠セット14が内枠12に対して開かれたことを検出する前面枠セット開検出スイッチ90が設けられている。前面枠セット14が開かれると、前面枠セット開検出スイッチ90からホール内(パテンコ店内)用コンピュータヘ出力されるようになっている。また、前面枠セット14が閉じられると、図5に示す前面枠セット14の金属製の補強板132,131が図3に示す内枠12の一対の金具92に接触するようになっており、前面枠セット14のアースが確保されている。
ここで、前述した前面枠セット14について、図1,図5を参照しつつより詳細に説明する。図5は、前面枠セット14の背面図である。前面枠セット14には前記遊技領域のほとんどを外部から視認することができるよう略楕円形状の窓部101が形成されている。詳しくは、窓部101は、その左右側の略中央部が、上下側に比べて比較的緩やかに湾曲した形状となっている。なお、前記略中央部が直線状になるようにしてもよい。本実施の形態において、窓部101の上端(外レール52の最上部、遊技領域の上端)と、前面枠セット14の上端との間の距離(いわゆる上部フレーム部分の上下幅)は61mmとなっており、85mm〜95mm程度上部フレーム幅がある従来技術に比べて著しく短くなっている。これにより、遊技領域の上部領域が確保されやすくなるとともに、大型の電動役物ユニット603も比較的上方に配置することかできるようになっている。前面枠セット14の上端との間の距離は80mm以下であることが望ましく、より好ましくは70mm以下であり、さらに望ましくは60mm以下である。もちろん、所定の強度が確保できるのであれば、50mm以下であっても差し支えない。
また、パチンコ機10の正面から見て窓部101の左端と前面枠セット14の左端との間の最短距離(いわゆる左側部フレーム部分の左右幅:図5では右側に示されている)、すなわち開閉軸線側のフレーム幅は、前面枠セット14自体の強度および支持強度を高めるために比較的大きく設定されている。この場合、図1および図3を相互に比較すると明らかなように、前面枠セット14が閉じられた状態において、外レール52の左端部はもちろん、内レール51の左端部も前記左側部フレーム部分によって覆い隠される。つまり、誘導レールの少なくとも一部が、パチンコ機10の正面からみて前面枠セット14の左側部フレーム部分と重複し覆い隠される。このように遊技球が一時的に視認困難となったとしても、それは、遊技球が遊技領域に案内される通過点に過ぎず、遊技者が主として遊技を楽しむ遊技領城において遊技球が視認困難となるわけではない。そのため、実際の遊技に際しては何ら支障が生じない。また、このような支障が生じない一方で、前面枠セット14の十分な強度および支持強度が確保可能となっている。ちなみに、パチンコ機10の正面から見て外レール52の左端位置と外枠11の左端位置との左右方向の距離は21mm、遊技領域の右端位置(内レール51の右端位置)と外枠11の右端位置との左右方向の距離は44mmとなっている。
加えて、前面枠セット14にはその周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり遊技状態時や羽根開放時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、該環状電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部には、同じくLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり遊技状態時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり遊技状態中であることを報知する。さらに、上皿19周りにも、同じくLED等の発光手段を内蔵した上皿電飾部104が設けられている。その他、中央電飾部103の左右側方には、賞球払出し中に点灯する賞球ランプ105と所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ106とが設けられている。また、環状電飾部102の下端部に隣接するようにして、内枠12表面や遊技盤30表面等の一部を視認できるよう透明樹脂からなる小窓107が設けられている。この小窓107の所定箇所を平面状としているので、遊技盤30の右下隅部に貼り付けられた証紙などを、小窓107の当該平面状箇所から機械で好適に読み取ることができる。
また、窓部101の下方には貸球操作部120が配設されており、貸球操作部120には球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置された図示しないカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタン121は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部123はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置部から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部の共通化が図れる。
また、図1に示すように、前面枠セット14の左側の小窓107付近を前面側(図1の紙面手前側)に必要以上に突出しないようにしている。こうすることで、パチンコ機10の左側に設けられたカードサンドの球貸し装置から直接に上皿19に遊技球を貸し出す際に、当該球貸し装置のノーズ部(いわゆる象の鼻)の先端排出口を好適に上皿19の上方位置に位置させることができ、当該球貸し装置のノーズ部から貸し出される遊技球を上皿19で受けることかできる。
前面枠セット14の裏側には、窓部101を囲むようにして金属製の各種補強部材が設けられている。詳しくは、図5に示すように、前面枠セット14の裏側にあって窓部101の上下左右の外側にはそれぞれ補強板131,132,133,134が取り付けられている。これら補強板131〜134は相互に接触して連結されているが、図の左側および上側の補強板132,133の連結部には直接の接触を避けるための樹脂パーツ135が介在されている。このように補強板132,133の連結部に樹脂パーツ135を介在させているので、ノイズが補強板131〜134でループすることを防止できる。また、図5の右側の補強板131にはその中間位置にフック状をなす係合爪131aが設けられており、この係合爪131aは、前面枠セット14を閉じた状態で内枠12の孔部12a(図3参照)に係合されるように構成されている。この構成により、上皿19を含む形態で前面枠セット14が構成され、その上下の軸支位置が延長されたとしても、中間位置における前面枠セット14の浮き上がりが防止できる。それ故、前面枠セット14を浮かしての不正行為等が抑制されるようになっている。
また、下側の補強板134には、前記発射レール61(図3参照)に対向する位置に樹脂製のレール側壁部材136が設けられている。このレール側壁部材136は、前面枠セット14を閉じた際に発射レール61の側壁となる。故に、発射レール61から遊技球がこぼれ落ちないようになっている。
上述した補強板131〜134はガラス支持用の金枠としての機能も兼ね備えており、これら補強板131〜134の一部が後方に折り返されてガラス保持溝が形成されている。このガラス保持溝は前後に2列形成されており、矩形状をなす前後一対のガラス137が各ガラス保持溝にて保持される。これにより、2枚のガラス137が前後に所定間隔を隔てて取着されるようになっている。
前述の通り本実施の形態のパチンコ機10では遊技領域の拡張を図っていることから、前面枠セット14を閉じた状態にあっては、内外のレール51,52により構成された誘導レールの一部が前面枠セット14により覆い隠される構成となっている。それ故、当該誘導レールでは手前側の開放部がガラス137で覆えない部分ができてしまう。かかる場合、例えば、遊技球発射装置38より発射された遊技球が戻り球防止部材53まで至らず戻ってくると、当該遊技球が誘導レール外にこぼれたり(飛び出したり)、外レール52とガラス137との間に挟まってしまうおそれがある。そこで本実施の形態では、前面枠セット14に、誘導レールの手前側開放部を被服するためのレールカバー140を取り付けている。
レールカバー140は略円弧状をなす略平板体であって、透明な樹脂により形成されている。レールカバー140は、その円弧形状が前記誘導レールの形状に対応しており、窓部101の周縁部に沿って、誘導レールの基端部から先端部近傍までの区間を覆うようにして前面枠セットl4の裏側に取着されている。特にレールカバー140の内径側の寸法・形状は内レール52のそれにほぼ一致する。レールカバー140が取着された状態では、その表面側がガラス137に当接した状態となる。前面枠セット14が閉じられた状態においては、レールカバー140の裏面が誘導レールのほぼ全域を覆うこととなる。これにより、誘導レールのほとんどの区問において遊技球のガラス137への衝突を防止できる。従って、ガラス137への接触による破損等の悪影響を抑制することができる。
また、レールカバー140の右端部(すなわち、レールカバー140を前面枠セットl4に取着した図5の状態で右端となる部位)には、誘導レールがガラス137の側緑部からはみ出した部分を被覆するための被覆部141が設けられている。これにより、遊技球が誘導レール外にこぼれたり(飛び出したり)、外レール52とガラス137との間に挟まってしまうといった不具合の発生を防止することができる。
さらに、レールカバー140の裏側には、その内側縁に沿って円弧状に延びかつ図5の手前側に突出した突条142が形成されている。突条142は、前面枠セット14が閉じられた状態において、誘導レール内に入り込んだ状態で内レール52にほぼ一体的に重なり合うよう構成されている。従って、例えば前面枠セット14と内枠12との隙間から針金等を侵入させて不正行為を行おうとしても、誘導レールの内側にある遊技領域にまで針金等を侵入させることが非常に困難となる。結果として、針金等を利用して行われる不正行為を防止することができる。なお、突条142をより広い範囲で、例えばレールカバー140の内側縁の全域に沿って形成する構成としても良く、かかる構成によれば、より広い範囲で針金等を侵入させにくくなり、針金等を利用して行われる不正行為をより確実に防止することができる。
また、前面枠セット14の図5の右端部(パチンコ機10正面から見ると左端部)には、内枠12の支持機構として、支持金具151,152が取り付けられている。従って、内枠12側の支持金具81,82(図3参照)に対して前面枠セット14側の支持金具151,152を組み付けることで、内枠12に対して前面枠セット14が開閉可能に装着されるようになる。
(パチンコ機の背面構成)
次に、パチンコ機10の背面の構成を詳しく説明する。図6はパチンコ機10の背面図であり、図7はパチンコ機10の背面構成を主要部品毎に分解して示す分解斜視図である。
先ず、パチンコ機10の背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機10にはその背面(実際には内枠12および遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにしてまたは前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施の形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12または遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主制御基板と音声ランプ制御基板とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板、発射制御基板および電源基板を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。
また、払出機構および保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202および裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されており、さらにこれに加え、一部に支軸部を設けて内枠12または遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置されても、隠れた構成等を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。
一方、図8は、内枠12に遊技盤30を組み付けた状態でその構成を示す背面図であり、図9は内枠12を後方より見た斜視図である。ここでは図8および図9を用いて内枠12および遊技盤30の裏面構成を説明する。
遊技盤30は、樹脂ベース20に囲まれた四角枠状の設置領域に設置され、内枠12に設けられた複数(本実施の形態では4カ所)の係止固定具211,212によって脱落しないように固定されている。係止固定具211,212は手動で回動でき、固定位置(ロック位置)と固定解除位置(アンロック位置)とを切り換えることができるよう構成されており、図8にはロック状態を示す。遊技盤30の左右3ヵ所の係止固定具211は金属片を折り曲げ形成したL型の金具であり、遊技盤30の固定状態で内枠外方へ張り出さないよう構成されている。なお、遊技盤30の下部1カ所の係止固定具212は樹脂製のI型の留め具である。
遊技盤30の中央には電動役物ユニット603が配置されている一方、電動役物ユニット603の下側には第1始動口601および第2始動口602を備えた補助ユニット608が配置されている。遊技盤30の裏面には、電動役物ユニット603、補助ユニット608、および、装飾部材630を取り囲むようにして、遊技球回収機構を備えた裏枠セット(図示せず)が取り付けられている。また、遊技盤30の下方には、内枠12に樹脂製(例えばポリカーボネート樹脂製)の排出通路盤217が取り付けられており、該排出通路盤217には、排出球をパチンコ機10外部へ案内するための排出通路218が形成されている。従って、一般入賞口600等に入賞した遊技球は何れも裏枠セット215の回収通路216を介して集合し、さらに排出通路盤217の排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36(図3参照)も同様に排出通路218に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。
なお、排出通路盤217は、パチンコ機前面の上皿19の丁度裏側辺りに設けられており、上皿19に至る球排出口(図2の球通路樋69)より針金等を差し込み、さらにその針金等を内枠12と排出通路盤217との隙間を通じて遊技領域側に侵入させるといった不正行為が考えられる。そこで本パチンコ機10では、排出通路盤217の上皿19の丁度裏側辺りに、内枠12にほぼ一体的に重なり合うようにしてパチンコ機前方に延びるプレート219が設けられている。従って、内枠12と排出通路盤217との隙間から針金等を侵入させようとしてもそれがプレート219にて阻害され、遊技領域にまで針金等を侵入させることが非常に困難となるので、不正行為を防止することができる。なお、図9において符号228は打球槌等を備えるセットハンドルであり、符号229は発射モータである。
また、内枠12の裏面には、第2制御基板ユニット202や裏パックユニット203を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、内枠12にはその右端部に長尺状の支持金具235が取り付けられており、その構成を図10に示す。図10に示すように、支持金具235は長尺板状の金具本体236を有し、その金具本体236より起立させるようにして、下方2カ所に第2制御基板ユニット用の支持孔部237が形成されると共に、上方2ヵ所に裏パックユニット用の支持孔部238が形成されている。それら支持孔部237,238にはそれぞれ同軸の支持孔が形成されている。その他、第2制御基板ユニット用の取付機構として、内枠12には、遊技盤設置領域よりも下方左端部に上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)239が設けられている。また、裏パックユニット用の取付機構として、内枠12には、遊技盤設置領域の左端部に上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)240が設けられている。但し、第2制御基板ユニット用の支持金具と裏パックユニット用の支持金具とを各々個別の部材で設けることも可能である。符号241,242,243は、遊技盤30との間に裏パックユニット203を挾み込んで支持するための回動式の固定具である。
その他、内枠12の背面構成において、遊技盤30の右下部には、後述する払出機構部352より払い出される遊技球を上皿19、下皿15、または排出通路218の何れかに振り分けるための遊技球分配部245が設けられている。すなわち、遊技球分配部245の開口部245aは上皿19に通じ、開口部245bは下皿15に通じ、開口部245cは排出通路218に通じる構成となっている。図8に示すように、遊技球分配部245は、その上方位置に位置する後述の払出機構部352(図18参照)とは別体としている。図8に示すように、遊技球分配部245は、内枠12にネジで締結固定されており、パチンコ機10の上皿19の排出口67(図3参照)から異物を挿入操作するなどしても動かない、つまり遊技球分配部245が奥側に押されて遊技球分配部245と内枠12との間に隙間が空くようなことが無いし、この隙間に異物を押入するなどによる不正を防止できる。
また、内枠12の下端部には、下皿15に設置されたスピーカ24の背後を囲むための樹脂製のスピーカボックス246が取り付けられており、このスピーカボックス246により低音域の音質改善が図られている。
次に、第1制御基板ユニット201を、図11〜図14を用いて説明する。図11は第1制御基板ユニット201の正面図、図12は同ユニット201の斜視図、図13は同ユニット201の分解斜視図、図14は同ユニット201を裏面から見た分解斜視図である。
第1制御基板ユニット201は略L字状をなす取付台251を有し、この取付台251に主制御装置261と音声ランプ制御装置262とが搭載されている。ここで、主制御装置261は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む主制御基板を具備しており、この主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263(被包手段)に収容されて構成されている。なお、基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニット264(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス263が封印されている。
封印手段としての封印ユニット264はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用できるが、ここでは図12等に示すように、5つの封印部材が連結された構成となっており、この封印部材の長孔に係止爪を押入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に連結されるようになっている。封印ユニット264による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期にかつ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度開封・封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、封印ユニット264を構成する5つの封印部材のうち、少なくとも一つの封印部材の長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主制御基板の不具合などにより基板ボックス263を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部材と他の封印部材との連結を切断する。その後、再度封印処理する場合は他の封印部材の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス263の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス263に残しておけば、基板ボックス263を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
また、音声ランプ制御装置262は、例えば主制御装置261(主制御基板)または表示制御装置45からの指示に従い音声やランプ表示の制御を司るCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む音声ランプ制御基板を具備しており、この音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス265に収容されて構成されている。音声ランプ制御装置262上には電源中継基板266が搭載されており、後述する電源基板より供給される電源がこの電源中継基板266を介して表示制御装置45および音声ランプ制御装置262に出力されるようになっている。
取付台251は、有色(例えば緑、青等)の樹脂材料(例えばポリカーボネート樹脂製)にて成形され、その表面に平坦状をなす2つの基板搭載面252,253が設けられている。これら基板搭載面252,253は直交する向きに延び、前後方向に段差をもって形成されている。但し、取付台251は無色透明または半透明の樹脂成型品であっても良い。
そして、一方の基板搭載面252上に主制御装置261(主制御基板)が横長の向きに配置されると共に、他方の基板搭載面253上に音声ランプ制御装置262(音声ランプ制御基板)が縦長の向きに配置されるようになっている。特に、主制御装置261は、パチンコ機10裏面から見て手前側に配置され、音声ランプ制御装置262はその奥側に配置される。この場合、基板搭載面252,253が前後方向に段差をもって形成されているため、これら基板搭載面252,253に主制御装置261および音声ランプ制御装置262を搭載した状態において各制御装置261,262はその一部を前後に重ねて配置されるようになる。つまり、図12等にも見られるように、主制御装置261はその一部(本実施の形態では1/3程度)が浮いた状態で配置されるようになる。故に、主制御装置261に重なる領域まで音声ランプ制御装置262を拡張することが可能となり、当該制御基板の大型化にも良好に対処できる。また、各制御装置が効率良く設置できるようになる。また、第1制御基板ユニット201を遊技盤30に装着した状態では、基板搭載面252の後方にスペースが確保され、電動役物ユニット603やその電気配線等が無理なく設置できるようになっている。
図13および図14に示すように、主制御基板用の基板搭載面252には、左右2ヵ所に横長形状の貫通孔254が形成されている。これに対応して、主制御装置261の基板ボックス263には、その裏面の左右2ヵ所に回動式の固定具267が設けられている。主制御装置261を基板搭載面252に搭載する際には、基板搭載面252の貫通孔254に固定具267が通され、その状態で固定具267が回動されて主制御装置261がロックされる。従って、上述の通り主制御装置261はその一部が浮いた状態で配置されるとしても、当該主制御装置261の脱落等の不都合が回避できる。また、主制御装置261は、裏パックユニット203の軸線を軸心として開き、第1制御基板ユニット201を軸線を軸心として開いた後に、この第1制御基板ユニット201(基板搭載面252)の裏面側から固定具267をロック解除しなければ、取り外しできないため、基板取り外し等の不正行為に対して抑止効果が期待できる。主制御基板用の基板搭載面252にはその裏面に格子状のリブ255が設けられている。
取付台251には、図12等の左端面に上下一対の支軸256が設けられており、この支軸256を図8等に示す支持金具231に取り付けることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に対して開閉可能に支持される。また、取付台251には、右端部に締結具として上下一対のナイラッチ257が設けられると共に上端部に長孔258が設けられており、ナイラッチ257を図8等に示す被締結孔232にはめ込むこと等により、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に固定されるようになる。
次に、第2制御基板ユニット202を、図15〜図17を用いて説明する。図15は第2制御基板ユニット202の正面図、図16は同ユニット202の斜視図、図17は同ユニット202の分解斜視図である。但し、図16では便宜上、カードユニット接続基板314が取付台301から取り外された状態を示している。
第2制御基板ユニット202は横長形状をなす取付台301を有し、この取付台301に払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313およびカードユニット接続基板314が搭載されている。払出制御装置311、発射制御装置312および電源装置313は周知の通り制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む制御基板を具備しており、払出制御装置311により、賞品球や貸出球の払出が制御される。また、発射制御装置312により、遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に従い発射モータ229の制御が行われ、電源装置313により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。カードユニット接続基板314は、パチンコ機前面の貸球操作部120(図1参照)および図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御装置311に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板314は不要である。
上記払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313およびカードユニット接続基板314は、透明樹脂材料等よりなる基板ボックス315,316,317,318にそれぞれ収容されて構成されている。特に、払出制御装置311では、前述した主制御装置261と同様、基板ボックス315(被包手段)を構成するボックスベースとボックスカバーとが封印ユニット319(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス315が封印されている。
払出制御装置311には状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。
また、電源装置313にはRAM消去スイッチ323が設けられている。
取付台301は例えば無色透明な樹脂成型品よりなり、その表面に平坦状をなす基板搭載面302が設けられている。この場合、発射制御装置312、電源装置313およびカードユニット接続基板314は取付台301の基板搭載面302に横並びの状態で直接搭載され、電源装置313の基板ボックス317上に払出制御装置311が搭載されている。
また、取付台301には、図15等の右端部に上下一対の支軸305が設けられており、この支軸305を図9等に示す支持孔部237に上方から挿通させることで、第2制御基板ユニット202が内枠12に対して開閉可能に支持される。また、取付台301には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ306が設けられており、ナイラッチ306を図9等に示す被締結孔239にはめ込むことで、第2制御基板ユニット202が内枠12に開閉不能に固定されるようになる。
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものであり、裏パックユニット203の正面図を図18に示し、分解斜視図を図19に示す。
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成型されており、略平坦状のベース部353と、パチンコ機後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部354とを有する。保護カバー部354は左右側面および上面が閉鎖されかつ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも電動役物ユニット(センター役物)603を囲むのに十分な大きさを有する(但し本実施の形態では、前述の音声ランプ制御装置262も合わせて囲む構成となっている)。保護カバー部354の背面には多数の通気孔354aが設けられている。この通気孔354aは各々が長孔状をなし、それぞれの通気孔354aが比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。従って、隣り合う通気孔354a間にある樹脂部分を切断することにより、裏パック351の背面を容易に開口させることができる。つまり、通気孔354a間の樹脂部分を切断してその内部の表示制御装置45等を露出させることで、所定の検定等を容易に実施することができる。
また、ベース部353には、保護カバー部354を迂回するようにして払出機構部352が配設されている。すなわち、裏パック351の最上部には上方に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は図19に示す払出通路359等を通じて前記上皿19に供給される。
タンクレール356と、当該タンクレール356に振動を付加するためのバイブレータ360とが一体化となるようにユニット化されている。つまり、バイブレータ360が例えば2本のネジでタンクレール356に締結されて取り付けられるようになっている。さらに、バイブレータ360は、タンクレール356に面接触するのではなく、当該2本のネジの部分で接触するようになっており、バイブレータ360による振動がより効果的にタンクレール356に伝わるようになっている。従って、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際、バイブレータ360が駆動されることで球詰まりが解消されるようになっている。
タンクレール356の構成について詳述すると、図20に示すように、タンクレール356は上方に開口した長尺樋状をなすレール本体361を有し、レール本体361の始端部には球面状の球受部362が設けられている。この球受部362により、タンク355より落下してきた遊技球が円滑にレール本体361内に取り込まれる。また、レール本体361には長手方向に延びる仕切壁363が設けられており、この仕切壁363により遊技球が二手に分流されるようになっている。仕切壁363により仕切られた2条の球通路は遊技球の直径よりも僅かに幅広となっている。仕切壁363により仕切られた各球通路の底面には、1筋または2筋の突条364が設けられると共に、その突条364の側方に開口部365が設けられている。
また、レール本体361には、その下流側半分程度の天井部分を覆うようにして整流板367が配設されている。この整流板367は、下流側になるほどタンクレール356内の球通路高さを制限するよう弓なりに反った形状をしており、さらにその下面には長手方向に延びる凸部368が形成されている。これにより、タンクレール356内を流れる各遊技球は最終的には上下に積み重なることなく下流側に流出する。従って、タンクレール356に多量の遊技球群が流れ込んできても、遊技球の噛み込みが防止され、タンクレール356内における球詰まりが解消されるようになっている。なお、レール本体361が黒色の導電性ポリカーボネート樹脂により成形されるのに対し、整流板367は透明のポリカーポネート樹脂により成形されている。整流板367は着脱可能に設けられており、当該整流板367を取り外すことによりタンクレール356内のメンテナンスが容易に実施できるようになっている。
図18,19の説明に戻り、払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ONまたは電源OFFとされるようになっている。
タンク355から払出通路359に至るまでの払出機構部352は何れも導電性を有する樹脂材料(例えば導電性ポリカーボネート樹脂)にて成形され、その一部にてアースされている。これにより、遊技球の帯電によるノイズの発生が抑制されるようになっている。
また、裏パック351には、図18等の右端部に上下一対の支軸385が設けられており、この支軸385を図8等に示す支持孔部238に上方から挿通させることで、裏パックユニット203が内枠12に対して開閉可能に支持される。また、裏パック351には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ386が設けられると共に、上端部に係止孔387が設けられており、ナイラッチ386を図8等に示す被締結孔240にはめ込むと共に、係止孔387に図8等に示す固定具242を係止させることで、裏パックユニット203が内枠12に開閉不能に固定されるようになる。このとき、図8等に示す固定具241,243によっても裏パックユニット203が内枠12に固定される。
なお、図6,図18に示すように、内枠12の右上側には、内枠12が外枠11に対して開かれたことを検出する内枠開検出スイッチ388が設けられている。内枠12が開かれると、内枠開検出スイッチ388からホール内(パチンコ店内)用コンピュータヘ出力されるようになっている。
なお、図8に示すように、裏パックユニット203は、被締結孔240およびナイラッチ386と、固定具241とによって、内枠12の裏面に着脱自在に取り付けられている。このように固定具241も用いているので、タンク355に供給される遊技球の重みで裏パックユニット203が内枠12から外れてしまうことを防止している。
(電動役物ユニットの正面側の大枠構成)
電動役物ユニットの正面側の大枠構成を、図21に基づいて、以下に説明する。図21は電動役物ユニットの正面図である。
電動役物ユニット603は、一般入賞口600と同様に入賞すると対応個数の賞球を払い出す天入賞口610(いわゆる天穴)や、図柄等を表示可能な図柄表示部611、羽根614,615、役物内入球口612,613、競技者がカヌーを漕いでいることを模して形成したキャラクタ体616、Vゾーン617、Vゾーン617の両隣に隣接して設けられるハズレゾーン618,619、役物内入球口612,613から入賞した遊技球をVゾーン617およびハズレゾーン618,619に案内するステージ620等を有する。Vゾーン617は、本発明における「特定領域」に対応しており、このVゾーン617へ遊技球が入賞することにより、通常遊技状態から大当たり遊技状態に移行し、かつ、大当たり遊技状態における次回のラウンドを継続するようになっている。
上記羽根614,615は、後述の羽根駆動装置732のソレノイド939に駆動されて、実線で示す姿勢と二点鎖線で示す姿勢との間で往復運動(図5中、D1方向およびD2方向に回動)し、役物内入球口612,613を開閉する構造となっている。
ここで、前記第1の始動口601に遊技球PBが入球した場合、羽根614,615は微少時間(例えば、約0.4秒)の開放を1回だけ行う一方、上記第2の始動口602に遊技球PBが入賞した場合、羽根614,615は微少時間の休憩(例えば、約0.6秒)をはさみ微少時間の開放(例えば、約0.5秒)を2回行う。このように、第2の始動口602に入賞した場合の方が、第1の始動口601に入賞するよりも、遊技者に有利な利益状態(開放状態)が付与されるようになっている。
そして、上記開放時に遊技球PBが役物内入球口612,613から入球すると、後述の第1遊技球案内通路755および第2遊技球案内通路756を通って、遊技球排出口975,976からステージ620に排出される。その後、遊技球PBはステージ620上を滑落して、Vゾーン617或いはハズレゾーン618,619に入球する。この際、遊技球PBがVゾーン617に入球すると、遊技者に有利な特別遊技(大当たり)が付与される一方、遊技球PBがハズレゾーン618,619に入球すると、特別遊技が付与されない構成となっている。
(本発明の遊技性)
先ず、具体的な構造を説明する前に、本発明の遊技性について、表1および図22〜図25に基づいて、以下に説明する。図22は遊技球がVゾーンに極めて入賞しやすい場合を示す説明図、図23は遊技球がVゾーンに入賞しやすい場合を示す説明図、図24は遊技球がVゾーンに入賞しにくい場合を示す説明図、図25は遊技球がVゾーンに極めて入賞しにくい場合を示す説明図である。
(1)各部材の機能について、簡単に説明する。
・b:遊技球排出口eから排出された遊技球PBが、Vゾーンdに案内されるのを妨害する妨害及び案内部材(後述のカヌー部)である。軸hを中心に上下方向(図22(a)〜図25(a)のB1、B2方向)に自由に回動すると共に、駆動手段(図示せず)により軸iを中心に左右方向(図22(b)〜図25(b)のB7、B8方向)に回動する。尚、妨害及び案内部材の上下動に関して原点位置とは、その先端が上端位置にあることであり、左右動に関して原点位置とは、左右方向における中間位置にあることである。また、妨害及び案内部材の上下動は下記ステージの動きと連動(依存)している。
・c:ステージであり、下記第1揺動板と第2揺動板とから構成される。尚、ステージの上下動に関して原点位置とは、第1揺動板が上端位置にあり、第2揺動板が下端位置にあること(即ち、第2揺動板c2の先端で遊技球PBを停留しうる状態にあること)である。
・c1:第1揺動板であり、駆動手段(図示せず)により軸fを中心に上下方向(図22(a)〜図25(a)のB3、B4方向)に回動する。背面側端部には、妨害及び案内部材bを押し上げる押上突起jを有する。
・c2:第2揺動板であり、駆動手段(図示せず)により軸gを中心に上下方向(図22(a)〜図25(a)のB5、B6方向)に回動する。
・e1、e2:遊技球排出口
(2)次に、基本的な姿勢において、遊技球PBがVゾーンdに入る確率が高い場合から順に説明する。
(I)妨害及び案内部材bが左端(或いは、右端)に位置し、かつ、ステージcが遊技球停留状態(第1揺動板c1がB4方向に揺動すると共に、第2揺動板c2がB4方向に揺動した状態であって、遊技球PBがステージcで一旦停留しうる状態)にある。また、ステージcが遊技球停留状態であるので、第1揺動板c1の押上突起jにより、妨害及び案内部材bがB1方向に押し上げられ、妨害及び案内部材bの先端は上方に持ち上がっている状態である(図22(a)(b)に示す状態)。
この場合には、妨害及び案内部材bの先端が上方に持ち上がっているので、妨害及び案内部材bの先端部近傍においては、妨害及び案内部材bの下面と第1揺動板c1との間に遊技球PBの直径よりも大きな間隔を有する空間が生じる。したがって、右側の遊技球排出口e2から排出された遊技球PBは、妨害及び案内部材bに当たってVゾーンd方向に導かれる場合の他、妨害及び案内部材bの下面と第1揺動板c1との間を通過してVゾーンd方向に導かれる場合も生じる。このため、遊技球排出口e2から排出された遊技球PBがVゾーンdに導かれる可能性を有する領域(以下、Vゾーン誘導可能領域と称する)は非常に大きい(図22(b)のハッチング部分)。
また、ステージcは遊技球停留状態となっているので、遊技球PBはステージcで一旦停留する。したがって、この段階で遊技球PBの勢いが滅殺されることになるので、その後、ステージcが遊技球通過状態(図24(a)(b)に示す状態)に変化した場合には、遊技球PBの滑落速度は遅くなる。この結果、ステージcの中央部に停留していた遊技球PBは、略確実にVゾーンdに入賞することになる。よって、この点からも、遊技球PBがVゾーンdに導かれる可能性が高くなる。このことは、下記(II)の場合も同様である。
但し、左側の遊技球排出口e1から排出された遊技球PBは、妨害及び案内部材bに当たってVゾーンd方向に導かれる場合は殆んどないので、遊技球排出口e1から排出された遊技球PBのVゾーン誘導可能領域は狭くなる(図22(b)のハッチング部分)。
(II)妨害及び案内部材bが中央に位置し、かつ、ステージcが遊技球停留状態にあると共に、妨害及び案内部材bの先端は上方に持ち上がっている状態である(図23(a)(b)に示す状態)。
この場合にも、上記(I)の場合と同様、妨害及び案内部材bの先端部近傍においては、妨害及び案内部材bの下面と第1揺動板c1との間に遊技球PBの直径よりも大きな間隔を有する空間が生じる。したがって、左側の遊技球排出口e1から排出された遊技球PBは、妨害及び案内部材bの下面と第1揺動板c1との間を通過してVゾーンd方向に導かれる場合も生じる。このため、Vゾーン誘導可能領域は大きい。(図23(b)のハッチング部分)。尚、右側の遊技球排出口e2から排出された遊技球PBについても上記と同様である。
但し、Vゾーン誘導可能領域の合計面積は、(I)の場合よりも小さくなる。
(III)妨害及び案内部材bが左端(或いは、右端)に位置し、かつ、ステージcが遊技球通過状態(第1揺動板c1がB3方向に揺動すると共に、第2揺動板c2がB4方向に揺動した状態であって、遊技球PBがステージcを通過する状態)にある。また、ステージcが遊技球通過状態であるので、第1揺動板c1の押上突起jにより、妨害及び案内部材bがB1方向に押し上げられておらず、妨害及び案内部材bの先端は持ち上がっていない状態である(図24(a)(b)に示す状態)。
この場合には、妨害及び案内部材bの先端が上方に持ち上がっていないので、妨害及び案内部材bの先端部近傍においては、妨害及び案内部材bの下面と第1揺動板c1との間に遊技球PBの直径よりも大きな間隔を有する空間が生じることはない。したがって、右側の遊技球排出口e2から排出された遊技球PBは、妨害及び案内部材bに当たった場合のみVゾーンd方向に導かれる場合が生じうる。このため、遊技球排出口e2から排出された遊技球PBのVゾーン誘導可能領域は非常に小さい(図24(b)のハッチング部分)。
また、ステージcは遊技球通過状態となっているので、遊技球PBの勢いが滅殺されることがなく、遊技球PBはVゾーンdにさらに入りにくくなる。
尚、左側の遊技球排出口e1から排出された遊技球PBは、妨害及び案内部材bに当たってVゾーンd方向に導かれる場合は殆んどないので、遊技球排出口e1から排出された遊技球PBのVゾーン誘導可能領域は殆んどなくなる。
また、上記(I)(II)の場合と異なり、Vゾーン誘導可能領域の外枠を構成する線分(図23中、2点鎖線で表される部分)の終端が第2揺動板c2の端部にあるのは(上記(I)(II)の場合は、Vゾーン誘導可能領域の終端は第1揺動板c1の端部にある)、上記(I)(II)の場合は遊技球PBが第2揺動板で停留されるのに対して、(III)の場合は、ステージcを通過して、直接Vゾーンdに導かれるからである。このことは、下記(IV)も同様である。
(IV)妨害及び案内部材bが中央に位置し、かつ、ステージcが遊技球通過状態にあると共に、妨害及び案内部材bの先端は上方に持ち上がっていない状態である(図25(a)(b)に示す状態)。
この場合にも、上記(III)の場合と同様、妨害及び案内部材bの先端部近傍においては、妨害及び案内部材bの下面と第1揺動板c1との間に遊技球PBの直径よりも大きな間隔を有する空間が生じることはない。したがって、左右の遊技球排出口e1から排出された遊技球PBがVゾーンd方向に導かれる場合は殆んどない。このため、遊技球排出口e1、e2から排出された遊技球Vゾーン誘導可能領域は極めて小さい。(図25(b)のハッチング部分)。
上記のことから、Vゾーン誘導可能領域合計面積は極めて小さくなる。
(3)さらに、実際の遊技中において、遊技球PBがVゾーンdに入る確率が高い場合、低い場合、これらの中間である場合について説明する(表1参照)。
〔高確率の場合〕
大当たり遊技状態(最終ラウンドを除く)で出現する。具体的な状態は、上記(2)(II)の状態が継続している状態である。
したがって、遊技球PBがVゾーンdに入る確率は高くなる。
〔中確率の場合〕
通常遊技状態(大当たり遊技状態でない状態)および大当たり遊技状態(最終ラウンドの終盤以降)で出現する。具体的な状態は、上記(2)の(I)(II)(III)(IV)の状態が順次現れる状態である。
したがって、遊技球PBがVゾーンdに入る確率は中程度となる。
〔低確率の場合〕
大当たり遊技状態(最終ラウンドの終盤まで)で出現する。具体的な状態は、上記(2)の(II)(IV)の状態が順次現れる状態である。
したがって、遊技球PBがVゾーンdに入る確率は極めて低くなる。
(電動役物ユニットの概略構成)
次に、図26〜図29を用いて電動役物ユニット603の背面側の構成を説明する。図26は電動役物ユニットを斜め前方からみたときの斜視図、図27は図26のA1−A1線矢視断面図、図28は電動役物ユニット603を分解して斜め前方からみたときの分解斜視図、図29は電動役物ユニット603を分解して斜め後方からみたときの分解斜視図である。
電動役物ユニット603は、センター窓701と天入賞口610とが設けられた基体700、回転軸702,703に固定された羽根614,615、基体700に固定される前飾り704,705,706,707、窓枠708、上記基体700に嵌合固定され上記天入賞口610に入球した遊技球を検出すると検出信号を出力する天入球センサ710、補強板711,712,713、前記図柄表示部611を取り付けるための表示部取付板714、図柄表示部611を保護するためのカバー715、Vゾーン617に入球した遊技球を検出すると信号を出力するVゾーン入球センサ721、Vゾーン入球センサ721を取り付けるための入球センサ取付板722、飾り壁723,724、飾り板725、案内通路構成部材726、この案内通路構成部材726に嵌合され上記Vゾーン617に入球した遊技球を検出すると通過信号を出力する役物内入球口カウントセンサ730、キャラクタ体616、上記案内通路構成部材726の背面側を封止して遊技球がこぼれるのを防止するための蓋体731、上記羽根614,615を駆動するための羽根駆動装置732、上記ステージ620を駆動するためのステージ駆動装置733、上記キャラクタ体616を駆動するためのキャラクタ体駆動装置734、透明板735,736、スペーサ740,741,742,743,744、背面板750、中継基板751,752等から成り、これらの部材は金属製のねじ等(図示せず)により固定される。
上記案内通路構成部材726は、図29および図50に示すように、役物内入球口612,613に入球した遊技球を役物内入球口カウントセンサ730に案内する第1遊技球案内通路727と、役物内入球口カウントセンサ730を通過した遊技球PBをステージ620に案内する第2遊技球案内通路755と、上記天入賞口610に入球した遊技球を球排出路に案内する第3遊技球案内通路756とを備えている。
また、上記羽根614,615に固定された回転軸702,703は、図49および図50に示すように、それぞれ、基体700に形成された貫通孔760,761と、蓋体731に形成された貫通孔762,763とを挿通して、羽根駆動装置732と連結されている。尚、補強板711および飾り板725には、上記回転軸702,703が補強板711および飾り板725に当たるのを防止するため、それぞれ、切り欠き770,771、および切り欠き772,773が形成されている。
(ステージおよびステージ駆動装置の具体的な構成)
上記ステージ620およびステージ駆動装置733の具体的な構成を、図30〜図43に基づいて、以下に説明する。図30は遊技球がステージで停留している状態を示す分解斜視図、図31は遊技球がステージを通過している状態を示す分解斜視図、図32は図30の要部を示す側面図、図33は図31の要部を示す側面図、図34および図35はVゾーン案内溝と遊技球との関係を示す説明図、図36はステージの変形例を示す斜視図、図37は図36のA2−A2線矢視断面図、図38はステージの変形例の不具合を示す斜視図、図39はステージの変形例をさらに変形した場合の断面図、図40はステージに遊技球が停留した状態を示す斜視図、図41はステージに遊技球が停留した状態を示す斜視図、図42はステージが1回揺動した後の遊技球停留状態を示す斜視図、図43は、ステージの他の変形例を説明するための側面図である。
ステージ620は、それぞれ揺動可能な、第1揺動板800と第2揺動板801とを有している。これら第1揺動板800と第2揺動板801とが向き合う位置には、同形の波状を成す凹凸部806と凹凸部807とが、それぞれ形成されており、第1揺動板800の凹部と第2揺動板801の凸部、および、第1揺動板800の凸部と第2揺動板801の凹部とが対向する位置に配置されている。尚、第2揺動板801の凹部は5つの凹部から構成され、これら凹部は中央凹部808bと中央凹部808b以外の外側凹部808aとから成る。
また、凹凸部806と凹凸部807との間には、若干の隙間が形成されており、第1揺動板800と第2揺動板801との回動が規制されることがないように構成されている。
上記両揺動板800,801の色彩は青色としている。これは、後述のキャラクタ体616がカヌーを漕いでいる競技者を模しているものであるため、川または海を想起させることにより、より臨場感を醸し出すためである。ただし、両揺動板800,801の色彩は青色に限定するものではなく、白色、黒色等であっても良い。また、上記両揺動板800,801の材質としてはポリカーボネート樹脂が用いられている。したがって、強度が大きく、かつ耐久性に富む他、遊技球PBの滑りが良くなって遊技球PBが円滑に転がる、或いは、滑ることになる。
上記第2揺動板801の中央部にはVゾーン案内溝803が形成されている。このVゾーン案内溝803は、上記凹凸部807の中央の凹部808bを始端803aとし、第2揺動板801の端部を終端803bとするものであり、この終端803bからの仮想延長線上に前記Vゾーン617が配置されている。
上記ステージ620は、通常遊技状態(大当たり遊技状態以外の状態)では、後述のステージ駆動装置733が駆動されて第1揺動板800と第2揺動板801とが揺動し、遊技球停留状態(図32に示す状態)と遊技球通過状態(図33に示す状態)が交互に出現するような構造となっている。
一方、大当たり遊技状態では、ステージ駆動装置733に作動停止信号が出力され、遊技球停留位置でステージ620が停止して遊技球PBをステージ620上に停留することになる一方(図30および図32参照)、所定個数以上の遊技球PBが入賞した場合や、所定回数以上の羽根614,615の開閉が終了した場合には、遊技球通過状態(図31および図33に示す状態)となって、Vゾーン617やVゾーン617に隣接して設けられたハズレゾーン618,619に遊技球PBを案内する構造である。
上記の如く、大当たり遊技状態で遊技球停留状態を出現させるのは、以下に示す理由による。即ち、本形態のごとく所謂第2種のパチンコ機においては、各ラウンド中にVゾーン617に遊技球PBが入賞すると、直ちに次のラウンドに移行することが規定されている。このため、各ラウンドの初期に遊技球PBがVゾーン617に入賞(例えば、役物内入球口612,613から入球した1つ目、或いは2つ目の遊技球PBがVゾーン617に入賞)すると、当該ラウンドでの賞球が少なくなって、遊技者に不利益を与える。そこで、上記の如く、大当たり遊技状態時に遊技球停留状態を出現させることにより、ステージ620上で一旦遊技球PBを停留させ、その後Vゾーン617に導くような構成とすれば、各ラウンドでの賞球が少なくなって、遊技者に不利益を与えるのを抑制することができるからである。
ここで、上記Vゾーン案内溝803の溝幅L3は(図34参照)、遊技球PBがVゾーン案内溝803の底面803cに当接しないように規制することが望ましい。なぜなら、遊技球PBがVゾーン案内溝803の底面803cに当接する状態とする(図35のように、溝幅L4を大きくする)と、遊技球PBが左右方向にぐらつき、遊技球PBを正確にVゾーン617に案内することができないためである。
さらに、単に第2揺動板801にVゾーン案内溝803を形成するだけでは、ステージ620に遊技球PB1,PB2が停留している状態(図30および図32参照)から、ステージ620を遊技球PB1,PB2が通過している状態に変化した場合において、遊技球PB2がE1方向に進行したときには問題は生じないが、遊技球PB2がE2方向に進行したときには、Vゾーン案内溝803に案内されている遊技球PB1と干渉して、遊技球PB1がVゾーン617に導かれなくなることがあるといった問題が生じうる。そこで、図36、図37に示すように、第2揺動板801に凸部(高さL5≒0.5mm)805を形成し、この凸部805にVゾーン案内溝803を形成するような構造とすれば良い。なぜなら、このような構造とすれば、凸部805の側壁に規制されて、遊技球PB2が遊技球PB1のほうに転がるのを抑制できるため、両遊技球PB1、PB2が干渉せず、Vゾーン案内溝803によって遊技球PB1はVゾーン617方向に確実に導かれることになるからである。
但し、図38に示すように、遊技球排出口976から排出された遊技球PBがVゾーン案内溝803方向に直接向かっているような場合(ステージ620が遊技球通過状態になっている場合)には、凸部805の側壁に妨害されてVゾーン案内溝803に到達するのが困難な場合が生じる。そこで、図39に示すように、凸部805の側壁を傾斜させれば、両遊技球PB1、PB2が干渉するのを抑制できると共に、凸部805の側壁に妨害されるのを抑制して、遊技球排出口976から排出された遊技球PB(遊技球排出口975から排出された場合も同様)がVゾーン案内溝803に到達するのが容易となるという効果が発揮されることになる。
また、第1揺動板800における遊技球排出口975,976の近傍には、遊技球排出口975,976から排出された遊技球PBの勢いを減じるためのじゃま突起812と、第1揺動板800の揺動に伴って前記キャラクタ体616のカヌー部を押し上げることが可能な押上突起813とが形成されている。この押上突起813によりキャラクタ体616のカヌー部が押し上げられて前記Vゾーン617に遊技球PBが入りやすい状態を演出したり、押上突起813によりキャラクタ体616のカヌー部が押し上げられないことにより前記Vゾーン617に遊技球PBが入りにくい状態を演出したりすることが可能となる。詳しくは後述する。
さらに、図32および図33に示すように、上記第1揺動板800の略中央部には、第1揺動板800を貫通する孔815が形成されており、この孔815には支軸816が挿通されている。このように、第1揺動板800が軸支されて、第1揺動板800が支軸816を中心に揺動することが可能となっている。一方、上記第2揺動板801の前側端部近傍には、第2揺動板801を貫通する孔818が形成されており、この孔818には支軸819が挿通されている。このように、第2揺動板801が軸支されて、第2揺動板801が支軸819を中心に揺動することが可能となっている。また、第1揺動板800の下面には凸部820が第1揺動板800と一体的に形成されており、この凸部820には案内溝821が形成される一方、第2揺動板801の下面には凸部822が第2揺動板801と一体的に形成されており、この凸部822には案内溝823が形成されている。
また、上記ステージ駆動装置733はモータ830を有しており、このモータ830の回転軸831には回転体832がねじ(図示せず)により固定されている。この回転体832はモータ830側から順に、円盤状のステージ位置検出用ホイール833と、円盤状の取付板834と、上記モータ830の回転軸831に対して偏心状態で取付板834に一体的に設けられる偏心軸835とを有する。この偏心軸835は回動板837に形成された長孔836に若干の遊びを持った状態で挿入されている。
また、回動板837は支軸840に軸支されており、この支軸840を中心として回動しうる構造となっている。一方、回動板837における前記第1揺動板800の案内溝821に臨む位置には、この案内溝821に緩やかに嵌まり込む突起838が設けられ、回動板837における前記第2揺動板801の案内溝823に臨む位置には、この案内溝823に緩やかに嵌まり込む突起839が設けられている。
このような構造であれば、モータ830が回転すると、このモータ830の回転軸831とは偏心して設けられた偏心軸835が回転することにより、支軸840を中心として回動板837が回動する。これにより、回動板837の突起838,839も回動するので、突起838,839の案内溝821,823内における相対位置が変化する。この結果、第1揺動板800と第2揺動板801とが支軸816,819を中心として揺動するので、ステージ620に遊技球が停留しうる状態(図32の状態であり、この状態を原点位置と称することがある)となったり、ステージ620を遊技球が通過している状態(図33の状態)となったり変化できるように構成されている。
尚、前記ステージ位置検出用ホイール833は大径部833aと小径部833bとを有しており、ステージ位置検出センサ841によってステージ位置検出用ホイール833の位置が検出される。具体的には、モータ830の回転軸831が時計方向(図32および図33中、矢符F方向)に回転している場合、ステージ位置検出用ホイール833の大径部833aから小径部833bに変化する位置(図32の状態)では、ステージ620に遊技球PBが停留可能な状態となることを検出する一方、ステージ位置検出用ホイール833の小径部833bから大径部833aに変化する位置(図33の状態)では、ステージ620を遊技球PBが通過する状態となることを検出することができる。
尚、ステージ駆動装置733は、ねじ(図示せず)により筐体850に固定されており、また第1揺動板800の支軸816と第2揺動板801の支軸819とは、筐体850の外方に設けられた係止板851,852により係止されている。この係止板851,852は上記筐体850に、ねじ(図示せず)により固定されている。
また、大当たり遊技状態において、通常は、図40に示すように、ステージ620の左方に位置する遊技球排出口975とステージ620の右方に位置する遊技球排出口976とから略均等に遊技球PBが排出されるので、ステージ620上に遊技球PBが均等に停留される。しかしながら、役物内入球口612,613に遊技球PBが入賞するタイミング等により、一方の遊技球排出口(例えば、右側の遊技球排出口976)のみから遊技球PBが排出されて、図41に示すように、遊技球PBが一方向にのみ偏って停留され、Vゾーン案内溝803と連通する凹部808bに遊技球PBが停留されないことがありうる。しかし、このような場合であっても、ステージ620の1回の揺動によってステージ620から滑落する遊技球PBは2列分程度(図143においてはPB10〜PB13)となる場合が多いので、残余の遊技球PB(PB14〜PB16)は再度ステージ620上を滑って第2揺動板801の凹部に停留される。したがって、再度の遊技球PBの移動により、Vゾーン案内溝803と連通する凹部808bに遊技球PBが停留されることがある(図42参照)。この結果、遊技球PBがVゾーン617に入賞することによるラウンドの更新率を高めて、遊技者にとって有利な状態を作り出すことが可能となる。
加えて、上記構造のステージ620であれば、図43に示すように、第1揺動板800の底面800aと案内溝821との角度θ1、および、第2揺動板801の底面801aと案内溝822との角度θ2を変えるだけで、第1揺動板800や第2揺動板801の揺動角度を変更できるので、設計変更を簡単に実施することが可能となる。
さらに、ステージ620の揺動周期は、本実施例では、26回/分となるように規定されているが、この値に限定されるものではない。
(Vゾーン開閉板駆動装置の構造)
Vゾーン開閉板駆動装置の構造を、前述の図28、図29、および、図44、図45に基づいて、以下に説明する。図44はVゾーン開閉板駆動装置の斜視図、図45はVゾーン開閉板近傍の図であって、同図(a)は正面図、同図(b)は同図(a)のA4−A4線矢視断面図である。
図28および図29に示すように、上記筐体850には前記Vゾーン617を開閉するVゾーン開閉板866を駆動するVゾーン開閉板駆動装置860が固定されている。このVゾーン開閉板駆動装置860は、図44に示すように、ソレノイド862を有している。このソレノイド862には、ソレノイド862のOFF時にG1方向に動き、ソレノイド862のON時にG2方向に動く駆動板863が設けられており、この駆動板863の先端近傍には、孔863aが設けられている。この孔863aには、軸864aを中心に回動自在の回動板864に形成された突起864bが回転自在に挿入されている。上記回動板864は筐体850(図30、図31参照)と止め板865との間に挟まれて枢止されており、これにより、回動板864は時計方向(図44におけるH1方向)、および反時計方向(図44におけるH2方向)に自在に回動しうる構造となっている。
また、回動板864における上記突起864bとは反対側(軸864aを挟んで反対側)には、長孔864cが形成されており、この長孔864cにはVゾーン開閉板866の突起866aが嵌っている。Vゾーン開閉板866は、上記回動板864の回動に応じて図43のJ1方向およびJ2方向(G1方向およびG2方向と平行方向)に動くことができる。これらのことから、Vゾーン閉信号がソレノイド862に出力された場合には、ソレノイド862がON状態となって駆動板863がG2方向に移動し、回動板864がH2方向に回動する結果、Vゾーン開閉板866はJ2方向に移動してVゾーン617が閉成される。一方、制御部からVゾーン開信号がソレノイド862に出力された場合には、ソレノイド862がOFF状態となって駆動板863がG1方向に移動し、回動板864がH1方向に回動する結果、Vゾーン開閉板866はJ1方向に移動してVゾーン617が開放される。
また、Vゾーン617内におけるVゾーン開閉板866の位置を、図45(a)(b)を用いて説明する。図45(a)はVゾーン617の正面図、図45(b)は図45(a)のA4−A4線矢視断面図である。
図45(a)(b)に示すように、Vゾーン開閉板866はVゾーン617の上端617aよりも下方にあり、また、Vゾーン617の上端617aとVゾーン開閉板866の上面との距離L6は遊技球PBの半径よりも大きくなるように構成されている。これにより、大当たり遊技状態でステージ620上に位置する遊技球PBがVゾーン617方向に転がり落ちてきた場合に、Vゾーン617内のVゾーン開閉板866上で遊技球PBを確実に保持しておくことが可能となる。
ここで、上記Vゾーン開閉板866は、通常遊技状態では、Vゾーン617を開放し、Vゾーン617の奥方向に設けられたVゾーン入球センサ721で遊技球PBを検出できるように構成される。一方、大当たり遊技状態では、ラウンド初期はVゾーン617を閉成する(図45の実線の状態)一方、ラウンド終期にはVゾーン617を開成する(図45の仮想線の状態)。これは、ラウンド初期に遊技球PBがVゾーン入球センサ721に検出にされることによる次ラウンドへの移行を阻止すると共に、ラウンド終期には遊技球PBがVゾーン入球センサ721に確実に検出にされて次ラウンドへの円滑な移行を実施するためである。
(キャラクタ体およびキャラクタ体駆動装置の構造)
キャラクタ体およびキャラクタ体駆動装置の構造を図46〜図53に基づいて、以下に説明する。図46は右正面側からキャラクタ体を見たときの斜視図、図47は右背面側からキャラクタ体を見たときの斜視図、図48はキャラクタ体の軸を蓋体に取り付けた場合の説明図、図49は電動役物ユニットを分解して右前方から見たときの分解斜視図、図50は電動役物ユニットを分解して右後方から見たときの分解斜視図、図51はモータ近傍の背面図、図52は摺動板の拡大背面図、図53は案内孔の説明図である。
前記キャラクタ体616はポリカーボネート樹脂から成り、図46および図47に示すように、先端が先細りかつ略半円状のカヌー部900と、このカヌー部900を漕ぐような動作を行うキャラクタ部901とからなる。上記の如く、カヌー部900の先端が先細りかつ略半円状とするのは、遊技球PBの挙動を複雑化すると共に、先端部近傍に案内された遊技球PBのVゾーン617への入賞確率を高めるためである。また、カヌー部900の先端部は、水平面から25度程度上方に傾斜している。これにより、カヌー部900の下側空間が大きくなるので、遊技球PBの通過が容易となる。上記カヌー部900とキャラクタ部901とは蓋体731に枢支された軸902に取り付けられている。この軸902の蓋体731に対する取付構造を、図48を用いて説明する。蓋体731には2つの突起910,911が設けられている。これら突起910,911のうち上方に位置する突起910には上記軸902の直径よりも若干大径の円筒状の溝903が形成される一方、下方に位置する突起911には上記軸902の直径よりも若干幅広の略U字状の溝904が形成されており、これら2つの溝903,904に、それぞれ、軸902の一端が配置される。この状態で、略U字状の溝904の開口部に蓋905を配置し、ねじ906により蓋905と突起911とを固定している。このような構造とすることにより、軸902を蓋体731に容易に取り付けることができる。尚、図48中、907は仕切板であり、上記カヌー部900とキャラクタ部901とを分離するものである。仕切板907と突起910との間にはキャラクタ部901が配置され、仕切板907と突起911との間にはカヌー部900が配置されることになる。また、908は貫通孔であって、この貫通孔908を軸902が挿通している。
図46および図47に示すように、上記キャラクタ部901はキャラクタ支持部材912を有する一方、上記カヌー部900はカヌー支持部材913を有し、これらキャラクタ支持部材912とカヌー支持部材913とが回動しうる状態で、両支持部材912,913を上記軸902が挿通している。
上記キャラクタ支持部材912にはキャラクタ本体915がねじ(図示せず)により固定されており、上記カヌー支持部材913には上下方向に回動しうるようにカヌー本体916が枢支されている。この枢支に際しては、カヌー支持部材913に対してカヌー本体916が若干の遊びを有するように設けられている。このため、カヌー支持部材913に対してカヌー本体916が左右方向に若干回動しうる構造となっている。このように構成することにより、遊技球PBがカヌー本体916に当たった場合にカヌー本体916が若干回動するので、遊技球PBがVゾーン617に入りやすくなるという利点が発揮される。特に、後述の如く、一方の遊技球排出口976からのみ遊技球PBが排出され、遊技球排出口976側のステージ620上にのみ遊技球PBが停留するような場合(図41参照)に、有意義である。
また、カヌー支持部材913に対するカヌー本体916の上下方向の回動角度は、前記ステージ620の第1揺動板800に設けられた押上突起813による回動限界(上下方向の限界)よりもさらに回動しうる構造となっている。このように構成することにより、ステージ620とカヌー本体916との間に遊技球PBが挟まるのを防止している。尚、上述のごとく、ステージ620とカヌー部900とは遊技球PBが滑りやすいポリカーボネート樹脂より成るので、ステージ620とカヌー本体916との間に遊技球PBは挟まりにくいが、上記構成とすることによって、遊技球PBがより挟まりにくくなる。したがって、遊技中に遊技を中断しなければならない状態が発生するのを抑制できる。
さらに、キャラクタ支持部材912の背面側にはキャラクタ支持部材912と一体形成された動力伝達用の上連結部材917が設けられ、この上連結部材917の先端には、上連結部材917に対して回動自在なスペーサ918が、ねじ919により取り付けられている。さらに、キャラクタ支持部材912の背面における上連結部材917の下方には、オールをもってカヌーを漕いでいることを模した腕部920が回動自在に、ねじ921により固定されている。腕部920には、蓋体731に形成された溝(後述)内に配置される突起925が形成されている。
一方、カヌー支持部材913の背面側にはカヌー支持部材913と一体形成された動力伝達用の下連結部材922が設けられ、この下連結部材922の先端には、下連結部材922に対して回動自在となるように、スペーサ923がねじ924により取り付けられている。
前記蓋体731には、図49および図50に示すように、上記上連結部材917が挿通している開口部930と、上記腕部920の動きが規制されるのを防止するための開口部931と、上記下連結部材922が挿通している開口部932とを有する。また、蓋体731の正面側には、案内通路構成部材726の第2遊技球案内通路755を蓋体731で閉じた状態で、第2遊技球案内通路756を通る遊技球PBの落下速度を低減させるためのじゃま突起935が設けられている。一方、蓋体731の背面側には、前記羽根614,615を回動させて役物内入球口612,613の開閉をつかさどる後述の羽根駆動装置732がねじ(図示せず)によって固定されている。
上記蓋体731の背面側にはキャラクタ体駆動装置734が設けられており、このキャラクタ体駆動装置734は、中継用基板961と駆動用基板962とを有している。また、図51(駆動用基板は省略している)に示すように、駆動用基板962にはモータ963が固定されており、このモータ963にはギア964が取り付けられている。このギア964はギア980と噛み合っており、このギア980の背面側には後述のキャラクタ体位置検出用ホイール981が、このギア980の正面側には動力伝達用円盤965が、それぞれギア980と一体的に形成されている。これによりモータ963の駆動が、ギア964とギア980とを介して動力伝達用円盤965に伝達されるとともに、キャラクタ体位置検出用ホイール981がギア980と一体的に回転するため、キャラクタ体616の位置を検出できることになる。尚、上記ギア964とギア980とのギア比を変化させることにより、動力伝達用円盤965の回転速度を変えることが可能である。
上記動力伝達用円盤965の周縁部近傍には、図49に示すように、駆動伝達用の第1駆動部材966が形成されている。一方、中継用基板961の背面側には、図50に示すように、中継用基板961に形成された案内溝968に沿って摺動可能な摺動板967が配置されている。この摺動板967には、図52に示すように、直線状の案内溝970と、直線部と傾斜部とが組み合わされた形状の案内孔971とが形成されている。案内溝970には、上記動力伝達用円盤965の第1駆動部材966が摺動自在に緩やかに嵌まり込んでおり、動力伝達用円盤965の回転に伴って摺動板967が上下動(図52中、P1方向およびP2方向)する。即ち、第1駆動部材966と案内溝970とにより、回転運動を直線運動に変えるものである。
また、上記案内孔971の形状は、具体的には、図53に示すように、3つの直線部971a,971b、971cと、これら3つの直線部971a〜971cをつなぐ傾斜部971d,971eとが組み合わされた形状を成している。直線部971a,971b、971cは、上下方向に延びるとともに、ほぼ同一の長さとなっている。そして、直線部971a,971b、971cは、上下方向及び左右方向にずれて配置されているとともに、直線部971bが、上下方向及び左右方向に関して直線部971a、971cの中間に配置されている。このように構成することにより、直線部971a(正面から見て、カヌー部900が左側を向き、キャラクタ部901が右側を向いている状態)、直線部971b(正面から見て、カヌー部900とキャラクタ部901とが正面を向いている状態)、直線部971c(正面から見て、カヌー部900が右側を向き、キャラクタ部901が左側を向いている状態)で、当該各姿勢がある程度の時間維持され、これら姿勢間の移動は傾斜部971d,971eで素早く実行されることになる。
また、上記駆動用基板962の正面側には軸973を中心に回動する回動腕972が設けられており、この回動腕972の両端には孔972a,972bが設けられている。これら孔972a,972bには、それぞれ、前記キャラクタ体616に設けられたスペーサ918,923とが挿入されている。これにより、回動腕972の動きに応じてキャラクタ体616が作動することになる。また、上記回動腕972には第2駆動部材974が形成されており、この第2駆動部材974は上記摺動板967に形成された案内孔971に摺動自在に緩やかに嵌まり込んでいる。即ち、第2駆動部材974が案内孔971に緩やかに嵌まり込んだ、所謂反対カム構造を成している。尚、動力伝達構造としては、このような構造に限定するものではないが、反対カムのように重力や付勢力を必要としない確動カム構造を採用することが望ましい。
上記の構造であれば、モータ963が回転すると、ギア964,980を通じて動力伝達用円盤965が回転し、これに伴って摺動板967が上下動する(図52中、P1方向およびP2方向)。そうすると、回動腕972の第2駆動部材974が回動するため、軸973を中心として回動腕972が時計方向または反時計方向に回動する(図52中、R1方向およびR2方向)。この結果、回動腕972の孔972a,972bに嵌め込まれたスペーサ918,923が左右方向に動く(図52中、S1方向およびS2方向)。したがって、スペーサ918,923と一体的に設けられたキャラクタ本体915とカヌー本体916とが左右方向に動くことになる。
具体的には、例えば、図52の状態から摺動板967が上方向(図52中、P2方向)に移動すると、回動腕972が反時計方向(図52中、R1方向)に回動する。そうすると、スペーサ918は左方(図52中ではS2方向、図46中ではK1方向、尚、図46と図52とで方向が異なるのは、図46は斜め正面側から見た図であるのに対して、図52は背面から見た図だからである)に動く一方、スペーサ923は右方(図52中ではS1方向、図46中ではK2方向、尚、図46と図52とで方向が異なるのは、スペーサ918で説明した理由と同一の理由である)に動く。このように、両スペーサ918,923が動くと、スペーサ918とは軸902に対して反対側に設けられているキャラクタ本体915は左方(図46中、K2方向)に動き、スペーサ923とは軸902に対して反対側に設けられているカヌー本体916は右方(図46中、K1方向)に動く。これによって、図64、図65に示す状態に変移することになる。
他方、図52の状態から摺動板967が下方向(図52中、P1方向)に移動すると、回動腕972が時計方向(図52中、R2方向)に回動する。そうすると、スペーサ918は右方(図52中ではS1方向、図46中ではK2方向)に動く一方、スペーサ923は左方(図52中ではS2方向、図46中ではK1方向)に動く。このように、両スペーサ918,923が動くと、スペーサ918とは軸902に対して反対側に設けられているキャラクタ本体915は右方(図46中、K1方向)に動き、スペーサ923とは軸902に対して反対側に設けられているカヌー本体916は左方(図46中、K2方向)に動く。これによって、図60、図61に示す状態に変移することになる。
尚、前記キャラクタ体位置検出用ホイール981は、図51に示すように、大径部981aと小径部981bとを有しており、キャラクタ体位置検出センサ982によってキャラクタ体位置検出用ホイール981の位置が検出される。具体的には、キャラクタ体位置検出用ホイール981が、図51のU方向(反時計方向)に回転しているとすると、キャラクタ体位置検出用ホイール981の大径部981aから小径部981bに変化する位置(図51の状態)、キャラクタ体位置検出用ホイール981の小径部981bから大径部981aに変化する位置(図51の状態から、キャラクタ体位置検出用ホイール981が180°回転した状態)では、キャラクタ体616のカヌー本体916とキャラクタ本体915とが正面を向いている状態(原点位置)であることを検出することができる。
また、キャラクタ体616の回動周期は、本実施例では、30回/分となるように規定されているが、この値に限定されるものではない。また、ステージ620の揺動周期(上述の如く、26回/分)とキャラクタ体616の回動周期とを異ならしめているのは、これらの周期が同じ場合には、遊技球PBがVゾーン617に入りやすい状態が短い周期で到来するため、その状態でのみ遊技球PBを打ち出し、その他の状態では遊技球PBを打ち出さないような打法を行う遊技者が出現して、遊技性を損なうことになりかねないからである。したがって、キャラクタ体616とステージ620とが或る状態から再度その状態に戻るまでの時間が長くなるように、ステージ620の揺動周期とキャラクタ体616の揺動周期とを規定するのが望ましい。
(羽根駆動装置の構造)
羽根駆動装置の構造を、図54および図55に基づいて、以下に説明する。図54は羽根駆動装置の斜視図、図55は羽根駆動装置の作動状態を示す説明図であり、同図(a)はソレノイドがOFF状態の場合の説明図、同図(b)はソレノイドがON状態の場合の説明図である。
羽根駆動装置732は、図54に示すように、信号に応じて羽根614,615を作動させるソレノイド939を有しており、このソレノイド939には、図55(a)(b)に示すように、舌片940が固定されている。この舌片940はソレノイド939のON、OFF状態に応じて左右方向(図55(a)中のN1方向、N2方向)に動く構造であり、また舌片940の作動領域内には、回動板942に設けられた被押圧部943が存在する。回動板942は軸941を中心に回動する構造であり、回動板942の両側面には円筒状の出っ張り部944,945が一体形成されている。これら出っ張り部944,945の前面側には、それぞれ、横長の案内溝946,947が形成されており、この案内溝946,947内には、案内溝946内を摺動可能な突起950,951が挿入されている。これら突起950,951は、回転軸702,703を中心にして回動する回動部材952,953に固定されている。尚、回動部材952,953には孔954,955が設けられており、これら孔954,955には、それぞれ、羽根614,615が固定された回転軸702,703が嵌合されている。
このような構成であれば、ソレノイド939がOFFの状態(図55(a)の状態)から、役物内入球口作動信号が出力されると、ソレノイド939がON状態になり、舌片940はソレノイド939に駆動されて横方向〔図55(a)中のN1方向〕に動く。そうすると、回動板942の被押圧部943が押圧されて、軸941を中心に回動板942が回動する〔図55(a)中のQ1方向に動いて、図55(b)に示す状態となる〕。このように、回動板942が回動して案内溝946,947が上側に移動すると、これに伴って回動部材952,953がそれぞれ回動するので〔図55中、各M1方向、M2方向〕、回転軸702,703およびこの回転軸702,703が固定された羽根614,615が回動して、役物内入球口612,613が開放されることになる。
(補助ユニットの構成)
補助ユニットの構成を、図56、図57に基づいて、以下に説明する。図56は補助ユニットの斜視図、図57は遊技球案内機構の説明図である。
図56に示すように、補助ユニット608は左右両端近傍に第1始動口601を有すると共に、中央部には遊技球案内機構983を備えている。遊技球案内機構983は、背面側に下り傾斜する上ステージ985と、左右に揺動する振分部材987と、正面側に下り傾斜する下ステージ986とを有し、図示しない釘の間から入った遊技球PBは、上ステージ985、振分部材987、および下ステージ986を経て第2始動口602方向に案内される。
上記上ステージ985には玉受け部985aが設けられる一方、上ステージ985の中央部には遊技球落下孔985bが設けられており、玉受け部985aからの遊技球PBは上ステージ985上を案内された後、遊技球落下孔985bから下方に落下する。上記振分部材987は、図57に示すように、遊技球落下孔985bの下方に配置されたハート状の大開口部994aと、この大開口部994aの正面側に連通する長穴状の小開口部994bとを有している。
ここで、上記大開口部994aにおける振分部材987と下ステージ986との距離は遊技球PBの直径よりも小さく構成される一方、上記小開口部994bにおける振分部材987と下ステージ986との距離は、下ステージ986が正面側に下り傾斜しているので、背面側では遊技球PBの直径よりも小さく、正面側では遊技球PBの直径よりも大きくなるように構成されている。したがって、遊技球落下孔985bから下ステージ986に落下した遊技球PBは、大開口部994aから小開口部994bに案内されて下ステージ986に落下し、さらに第2始動口602方向に落下する。この際、振分部材987が左右端やその近傍に位置している場合には、遊技球PBが第2始動口602に導かれる確率は低く、振分部材987が中央部やその近傍に位置している場合には、遊技球PBが第2始動口602に導かれる確率は高くなる。これは、振分部材987が中央部に位置する場合に、振分部材987における小開口部994bの仮想延長線上に第2始動口602が配置されているからである。
つぎに、左右に揺動する振分部材987の揺動構造について説明する。図57に示すように、振分部材987は軸992に回動自在に軸支されている。また、振分部材987の背面には凹部987aが形成されており、この凹部987aには円柱カム988の鍔部988aが嵌っている。円柱カム988にはギア989が固定されており、このギア989は、モータ991の軸に固定されたギア990と噛み合っている。これにより、モータ991が駆動するとギア990,989を介して円柱カム988に伝達され、円柱カム988の鍔部988aの位置に応じて振分部材987の凹部987aも移動するため、振分部材987を回動させることができる。
〔Vゾーン通過率〕
Vゾーン通過率高確率信号(以下、単に高確率信号と称する)が出力されている場合、Vゾーン通過率中確率信号(以下、単に中確率信号と称する)が出力されている場合、Vゾーン通過率低確率信号(以下、単に低確率信号と称する)が出力されている場合に分け、表2および図58〜図65を参照しつつ、Vゾーン通過率について考察する。尚、このことは簡単に前述しているが、ここでは、上記構成に基づいて、さらに詳細に説明する。図58はカヌー部が正面側を向いた状態で先端が上方に持ち上がりかつステージが遊技球停留状態となっている状態を示す部分断面斜視図、図59は図58と同じ状態の正面図、図60はカヌー部が側面側を向いた状態で先端が上方に持ち上がりかつステージが遊技球停留状態となっている状態を示す部分断面斜視図、図61は図60と同じ状態の正面図、図62はカヌー部が正面側を向いた状態で先端が上方に持ち上がっておらずかつステージが遊技球通過状態となっている状態を示す部分断面斜視図、図63は図62と同じ状態の正面図、図64はカヌー部が側面側を向いた状態で先端が上方に持ち上がっておらずかつステージが遊技球通過状態となっている状態を示す部分断面斜視図、図65は図64と同じ状態の正面図である。
(1)高確率信号が出力されている場合
(I)出力開始時期
遊技球がVゾーン通過(初回)より1.5秒経過後に開始する。
ここで、遊技球がVゾーン通過したとき(大当たり遊技状態となったとき)に高確率信号が出力されるのは、以下に示す理由による。
即ち、通常、遊技者は通常遊技状態において遊技球がVゾーンに入賞する期待よりも、大当たり遊技状態において遊技球がVゾーンに入賞する期待の方が大きい。なぜなら、大当たり遊技状態に遊技球がVゾーンに入賞して、次ラウンドも継続遊技が行えるということを当然に予想するからである。そこで、上記構成の如く、大当たり遊技状態に遊技球がVゾーンに入賞する確率が、通常遊技状態に遊技球がVゾーンに入賞する確率よりも高ければ、遊技者の期待を裏切ることがないので、遊技者は安心して大当たり遊技状態における遊技を行うことができる。
(II)出力終止時期
最終ラウンドの1つ前のラウンドにおいて、18回目の役物内入球口開放開始時または規定入賞個数の入賞時より1.5秒経過後に終止する。
(III)ステージおよびキャラクタ体の状態
カヌー部900が正面側を向いており、かつ、カヌー部900の先端が上方に持ち上がり、しかもステージ620が遊技球停留状態となっている状態が継続している場合(図58、図59に示す状態が継続している場合)
この場合には、カヌー部900の先端が上方に持ち上がっているので、カヌー部900の先端部近傍においては、カヌー部900の下面と第1揺動板800との間に遊技球PBの直径よりも長い空間が生じる。したがって、第2遊技球案内通路755を通って遊技球排出口975或いは遊技球排出口975に対向する位置にある遊技球排出口976(例えば、図40参照。但し、図58、図59では図示せず)から出てきた遊技球PBは、カヌー部900の下面と第1揺動板800との間を通過してVゾーン案内溝803方向に導くことができる。
また、ステージ620は遊技球停留状態(図30および図32の状態)となっているので、遊技球PBはステージ620(第2揺動板801の凹部)で一旦停留する。したがって、この段階で遊技球PBの勢いが滅殺されることになる。したがって、凹部のうち中央凹部808bに遊技球PBが停留し、その後、ステージ620が遊技球通過状態(図31および図33の状態)に変動した場合には、遊技球PBはVゾーン案内溝803に案内されて確実にVゾーン617を通過することになる。
(2)中確率信号が出力されている場合
(I)出力開始時期
通常遊技状態で開始する。
最終ラウンドにおいて、遊技球が役物内入球口カウントセンサを7球通過するときまたは16回目の開放開始時に開始する。
尚、15ラウンド以外の最終ラウンド(制限ラウンド)中にVゾーンを遊技球が通過した場合も、遊技球が役物内入球口カウントセンサを7球通過するときまたは16回目の開放開始時に開始する。
(II)出力終止時期
Vゾーン通過(初回)より1.5秒経過時に終止する。
(III)ステージおよびキャラクタ体の状態
下記(a)(b)(c)(d)の状態、および各状態の中間的な状態が、順次現れる。
(a)上記高確率信号が出力されている場合と同様の状態
(b)カヌー部900が側面側を向いており(図では左側を向いている)、かつ、カヌー部900の先端が上方に持ち上がっている場合(図60、図61に示す状態)
この場合には、カヌー部900の先端が上方に持ち上がっているので、カヌー部900の先端部近傍においては、カヌー部900の下面と第1揺動板800との間に遊技球PBの直径よりも長い空間が生じる。したがって、第2遊技球案内通路755を通って遊技球排出口975に対向する位置にある遊技球排出口(図示せず)から出てきた遊技球PBは、カヌー部900の下面と第1揺動板800との間を通過して、或いはカヌー部900に当たって、Vゾーン案内溝803方向に導くことができる。
また、ステージ620は遊技球停留状態(図30および図32の状態)となっているので、上記(a)の場合と同様、遊技球PBは略確実にVゾーン617に入賞することになる。
尚、上記の如くカヌー部900が側面側を向いている(図では左側を向いている)場合には、向いている側の遊技球排出口975(左側の遊技球排出口)からの遊技球PBは中央凹部808bに導かれることは殆どない。
但し、カヌー部900が向いている方向とは逆方向の遊技球排出口(遊技球排出口975と対向している右側の遊技球排出口)からの遊技球PBが中央凹部808bに導かれる確率は高くなる。
また、上記説明では、カヌー部900が左側を向いている場合について説明したが、右側を向いている場合も同様の確率であることは勿論である。
(c)カヌー部900が正面側を向いており、かつ、カヌー部900の先端が上方に持ち上がっていない(水平に近い状態である)場合(図62、図63に示す状態)
この場合には、カヌー部900の先端が略水平状態であるので、カヌー部900の先端部近傍においては、カヌー部900の下面と第1揺動板800との間に遊技球PBの直径よりも長い空間が生じることはない。したがって、第2遊技球案内通路755を通って遊技球排出口975或いは遊技球排出口975に対向する位置にある遊技球排出口976から出てきた遊技球PBは、カヌー部900の下面と第1揺動板800との間を通過することができないのでVゾーン617方向に導かれる確率は低下する。
また、ステージ620は遊技球通過状態(図31および図33の状態)となっているので、遊技球PBは第2揺動板801の凹部で停留することはない。したがって、遊技球PBの勢いが滅殺されることがないので、遊技球PBがVゾーン617に入賞する確率はさらに低下する。
(d)カヌー部900が側面側を向いており(図では左側を向いている)、かつ、カヌー部900の先端が上方に持ち上がっていない(水平に近い状態である)場合(図64、図65に示す状態)
この場合には、カヌー部900の先端が略水平状態であるので、(c)の場合と同様、カヌー部900の下面と第1揺動板800との間に遊技球PBの直径よりも長い空間が生じることはない。したがって、Vゾーン617方向に導かれる確率は低い。
また、ステージ620は遊技球通過状態(図31および図33の状態)となっているので、(c)の場合と同様、遊技球PBがVゾーン617に入賞する確率はさらに低下することになる。
尚、上記の如くカヌー部900が側面側を向いている(図では左側を向いている)場合には、向いている側の遊技球排出口975(左側の遊技球排出口)からの遊技球PBはVゾーン617に導かれることは殆どないが、カヌー部900が向いている方向とは逆方向の遊技球排出口(遊技球排出口975と対向している右側の遊技球排出口976)からの遊技球PBがVゾーン617に導かれる確率は上記(c)の場合と比べると若干高くなる。
また、上記説明では、カヌー部900が左側を向いている場合について説明したが、右側を向いている場合も同様の確率であることは勿論である。
(3)低確率信号が出力されている場合
(I)出力開始時期
最終ラウンドの1つ前のラウンドにおいて、18回目の役物内入球口開放開始時又は規定入賞個数の入賞時より1.5秒経過後に開始する。
尚、16ラウンド以外の最終ラウンド(制限ラウンド)にVゾーンを遊技球が通過した場合も同様に開始する。
ここで、最終ラウンドで低確率信号が出力されるのは、以下に示す理由による。
即ち、通常、遊技者は大当たり遊技状態の最終ラウンドにおいて、遊技球がVゾーンに入賞することを期待していない。なぜなら、最終ラウンドが、法律で規制された最後のラウンドであれば、遊技球がVゾーンに入賞してもそれ以上大当たり遊技状態は継続しないからである。また、最終ラウンドが抽選で選択されたラウンド(制限ラウンド)における最後のラウンドであっても、遊技者は抽選結果を重視する傾向にあるからである。そこで、上記の如く、大当たり遊技状態中の最終ラウンドにおいて遊技球がVゾーンに入賞する確率を、通常遊技状態中に遊技球がVゾーンに入賞する確率よりも低くなるように規定しておけば、最終ラウンドにおいて遊技球がVゾーンに入賞することによって遊技者が損失気分を生じるのを排除できる。
(II)出力終止時期
最終ラウンドにおいて、遊技球が役物内入球口カウントセンサを7球通過するとき又は16回目の開放開始時に終止する。
(III)ステージおよびキャラクタ体の状態
上記(II)の(a)(c)の状態、および各状態の中間的な状態が、順次現れる。
(遊技機の電気的構成)
図66はパチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。CPU(プロセッサ)1001を中心に構成した主制御装置261は、ラウンド回数の抽選処理を実行する抽選部1002、遊技制御プログラム等を格納したROM1004、乱数等のように一時的データを格納可能なRAM1005、遊技制御プログラム実行中の時間管理等を行うタイマ1007、基準クロック信号を生成するクロック回路1007等を備える。CPU1001は、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン1003を介して、ROM1004、RAM1005、タイマ1007、及びクロック回路1007と接続されている。
CPU1001は、遊技制御プログラムを実行してパチンコ遊技を実現する。当該遊技制御プログラムには、後述する始動口開始処理,役物内入球口入球処理,大当たり処理等の手続きを実現するためのプログラムを含む。ROM1004は例えばEPROMを用いてもよく、RAM1005は例えばDRAMを用いてもよく、また、他種のメモリ(例えばEEPROM,SRAM,フラッシュメモリ等)を任意に用いてもよい。
また、CPU1001は、始動口機能設定用フラグF1、及び特定領域機能設定用フラグF2を備えている。始動口機能設定用フラグF1は、始動口センサ605,606の検出結果を許容するか、無視するかを決定するためのフラグであって、論理「1」の場合には始動口センサ605,606の検出結果が許容され、そのため、第1始動口601または第2始動口602に遊技球PBが入球すると、羽根614,615の開放が許容される。一方、始動口機能設定用フラグF1が論理「0」の場合には、始動口センサ605,606の検出結果が無視とされ、そのため、第1始動口601または第2始動口602に遊技球PBが入球しても、羽根614,615が開放されることはない。また、特定領域機能設定用フラグF2は、Vゾーン入球センサ721の検出結果を許容するか、無視するかを決定するためのフラグであって、論理「1」の場合にはVゾーン入球センサ721の検出結果が許容され、論理「0」の場合にはVゾーン入球センサ721の検出結果が無視される。
なお、電源装置313は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261、払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電源を供給する。
また、主制御装置261には、入出力処理回路1009が備えられている。この入出力処理回路1009には、羽根駆動装置732,表示制御装置45、払出制御装置311、音声制御装置1021、ステージ駆動装置733、キャラクタ体駆動装置734、Vゾーン開閉板駆動装置等の各種の制御装置や駆動装置、及び、キャラクタ体位置検出センサ982、ステージ位置検出センサ841、第1・第2始動口入球センサ605,606、役物内入球口カウントセンサ730、Vゾーン入球センサ721等の各種のセンサ類が接続されている。なお、第1・第2始動口入球センサ605,606、役物内入球口カウントセンサ730、Vゾーン入球センサ721等は、接触型センサあるいは非接触型センサのいずれであってもよい。
(遊技機の具体的な遊技方法)
図67〜図70を参照して、遊技機の遊技方法及びその遊技方法を実現する遊技処理の手続を説明する。図67は第2始動口602への入球により羽根614,615が開放したが、遊技球PBが役物内入球口612,613に入球しなかった場合の動作を示すタイミングチャート、図68は第2始動口602への入球により羽根614,615が開放し、遊技球PBが役物内入球口612,613に入球し、且つ、Vゾーン617に入賞した場合の動作を示すタイミングチャート、図69は低確率状態信号、中確率状態信号、及び高確率状態信号のON・OFFのタイミングを示すタイミングチャート、図70はラウンド回数抽選中及び抽選結果時における図柄表示部611での表示信号を示すタイミングチャートである。
遊技機の遊技方法の主たる特徴を述べると、遊技球PBが第1始動口601または第2始動口602に入球した場合、羽根614,615が所定回数開放され、遊技球PBが役物内入球口に入球される可能状態が得られる。そして、遊技球PBが役物内入球口612,613に入球され、且つ、その役物内入球口612,613に入球された遊技球PBがVゾーン617に入賞した場合は、大当たり状態となる。なお、大当たり状態を獲得すると、大当たり状態の継続する回数、即ち、ラウンド回数(3回、5回、15回のうちのいずれかの回数)が抽選され、その抽選結果のラウンド回数に設定される。そして、ラウンド遊技中は、羽根614,615が所定回数(本実施の形態では18回)または役物内入球口への入球個数が規定個数(本実施の形態では10個)の何れかに達するまで開放される。これにより、遊技者に大きな利益が得られることになる。そして、役物内入球口612,613へ入球された遊技球PBのうち1個がVゾーン617に入賞したときは、ラウンド継続の利益を得て、次回ラウンドが実行される。役物内入球口612,613へ入球された遊技球PBの全てがバズレゾーン618,619に入球したときは、ラウンド継続の利益を喪失し、そのラウンドで終了する。
設定されたラウンドのうち最終ラウンドである制限ラウンド(但し、15ラウンドを除く)では、Vゾーンへの入賞があった場合、もう1ラウンド継続する。そして、その追加されたラウンド(追加ラウンド)においては、Vゾーンへの入賞があっても、そのラウンドで終了する。但し、追加ラウンドでVゾーンに入賞した場合、さらにもう1ラウンド継続するような構成でもよい。また、設定されたラウンド回数が15回であった場合の最終ラウンドにおいては、Vゾーンへの入賞があっても、ラウンド継続することはなく、その15ラウンドで終了する。
また、ラウンド遊技中において、キャラクタ体61とステージ620との動きが制御されて、低確率状態と中確率状態と高確率状態とが選択的に出現する(図69参照)。低確率状態は時間T12の期間出現し(図69(3)参照)、中確率状態は時間T13の期間出現し(図69(4)参照)、高確率状態は時間T14の期間出現する(図69(5)参照)。
時間T12は、最終ラウンド(制限ラウンドを含む)の前のラウンドにおける18回目の大賞口開放開始時あるいは規定入賞個数が入賞した入賞時より1.5秒経過後から、最終ラウンドにおいて遊技球が大賞口カウントセンサ730を7球通過時あるいは大賞口の16回目の開放開始時までの期間である。
時間T13は、通常時(大当たり中以外)、または、最終ラウンド(制限ラウンド、追加ラウンドを含む)において遊技球が大賞口カウントセンサ730を7球通過時あるいは大賞口の16回目の開放開始時から、そのラウンドが終了するまでの期間である。
時間T14は、Vゾーン通過(初回)より1.5秒後から、最終ラウンド(制限ラウンを含む)の前のラウンドの18回目の大賞口開放開始時あるいは規定入賞個数が入賞した入賞時より1.5秒後までの期間である。
なお、低確率状態、中確率状態、高確率状態の各状態を出現するための低確率状態信号、中確率状態信号、高確率状態信号は、具体的には、キャラクタ体駆動用モータ963及びステージ駆動用モータ830のON・OFFを適当なタイミングで制御することにより行われる。
次いで、上記の遊技方法を達成するための具体的な処理手続について説明する。なお、以下の説明では、遊技球PBが第2始動口602に入球した場合を想定する。第1始動口601に入球した場合と第2始動口602に入球した場合とでは、羽根614,615の開閉回数(第1始動口601に入球した場合は1回、第2始動口602に入球した場合は2回)が異なるだけであり、その他の処理は基本的には同一である。
(1)第2始動口への入球により羽根が開放したが、遊技球が役物内入球口に入球しなかった場合
先ず、図示しない主電源がONにされると、中確率状態信号がONとなり(図69(4)参照)、ステージ駆動装置733が駆動されて第1揺動板800と第2揺動板801とが揺動し、遊技球停留状態(図32に示す状態)と遊技球通過状態(図33に示す状態)が交互に出現すると共に、キャラクタ体駆動装置734が駆動されて、キャラクタ体616のカヌー部900が上下左右方向に動くと共にとキャラクタ体616のキャラクタ部901が左右方向に動く。このような中確率状態は、遊技球PBがVゾーン617に入賞されるまで継続する。
また、主電源のONと同時に、振分部材987が左右方向に揺動する。さらに、主電源のONと同時に、始動口機能設定用フラグF1が論理「1」とされ、また、スピーカ24から音響出力され、図柄表示部611に通常図柄が表示される。このようにして、遊技スタンバイ状態となる。
そして、遊技スタンバイ状態において、遊技球発射装置38によって遊技球PBが遊技領域に発射されることにより、遊技状態となる。
このような遊技状態中において、時刻t1において第2始動口602に遊技球PBが入球すると、そのことが、図67(2)に示すように、第2始動口入球センサ606によって検出され(第1始動口601への入球の場合は、第1始動口入球センサ605によって検出され)、検出信号がCPU1001に送信される。これにより、CPU1001は図67(1)に示すように、始動口機能設定用フラグF1を論理「0」とし、始動口機能設定モードを解除する。これにより、上記したように、第1始動口601または第2始動口602に遊技球PBが入球しても、羽根614,615が開放されることはない。
また、第2始動口入球センサ606による入球検出時t1において、CPU1001は、図67(5)に示すように、特定領域機能設定用フラグF2を論理「1」とし、Vゾーン入球センサ721の検出結果許容状態(特定領域の機能ON状態)とする。また、第2始動口入球センサによる入球検出時t1には、図67(9)に示すように、羽根作動中信号を、パチンコホールのホストコンピュータに送信する。なお、ホストコンピュータは、羽根作動中信号により、各遊技機の羽根の作動回数や大当たり回数等のデータを得て、後日に、例えば、遊技者への情報として作動回数や大当たり回数等を表示し、遊技機を選択する際の判断材料を提供するためなどに利用される。
次いで、入球検出時刻t1から時間T1(役物内入球口開放前時間であり、本実施の形態では1秒に設定している)経過時に、CPU1001は羽根614,615を開閉作動するための手続を実行する。即ち、時刻t2から時刻t3までの時間T2(図67(3)参照)の間、CPU1001は羽根614,615を開閉作動するための手続を実行する。この時間T2は、羽根614,615の作動時間であり、本実施の形態では、第1の始動口601への入球の場合には0.4秒に設定され、第2の始動口602への入球の場合には1.6秒に設定されている。なお、この時間T1、T2の時間管理はタイマ1006によって行われる。後述する時間T3等についても同様にタイマ1006によってその時間管理が行われる。
ここで、上記の羽根614,615の開閉作動手続について具体的に説明すると、ROM1004に記憶された開閉回数がCPU1001によって読み込まれ、時間T2内に、その読み込んだ開閉回数に対応した作動信号が羽根駆動装置732に与えられ、これにより、その開閉回数に対応した回数だけ羽根駆動装置732のソレノイド939がON状態となる。本実施の形態では、第1の始動口601に遊技球PBが入賞した場合には、ソレノイド939が0.4秒かけて1回ON状態とされ、第2の始動口602に遊技球PBが入賞した場合には、ソレノイド939は微小時間0.6秒のOFF状態をはさみ、0.5秒かけて2回ON状態とされる。このソレノイド939のON/OFFに応じて、羽根614,615は微小時間0.6秒の休憩をはさみ、0.5秒かけて2回開閉作動される。なお、第1の始動口601に遊技球PBが入賞した場合には、羽根614,615は0.4秒かけて1回開閉作動される。この結果、役物内入球口612,613への入球が可能となる。
次いで、時間T2経過した時刻t3において、CPU1001は、図67(1)に示すように、始動口機能設定用フラグF1を論理「1」とし、始動口機能モードに設定する。そして、時刻t3において、タイマ1006に有効時間T3(本実施の形態では6.0秒)をセットする(図67(6)参照)。この有効時間T3は、遊技球PBが役物内入球口612,613に入球し、且つ、その遊技球PBが誘導路を通過してVゾーン617に入賞されるまでに必要とされるに充分な時間に設定されている。そして、有効時間T3内に、遊技球PBがVゾーン617に入賞したことが検出されない場合は(図67(7)参照)、大当たり状態とはならず、処理は終了する。なお、遊技球PBが役物内入球口612,613に入球したが、Vゾーン617に入賞しなかった場合も、上記と同様に、大当たり状態とはならず、処理は終了する。
(2)第2始動口への入球により羽根が開放し、遊技球が役物内入球口に入球し、且つ、Vゾーンに入賞した場合
図68を参照して説明する。先ず、第2の始動口602への入球による羽根の開閉動作処理が行われる。次いで、時刻t4において、Vゾーン入球センサ721によって、遊技球PBがVゾーン617に入賞したことが検出されると(図68(7)参照)、始動口機能設定用フラグF1が論理「0」とされ(図68(1)参照)、始動口機能モードが解消される。なお、遊技球PBがVゾーン617に入賞しなかった場合は、始動口機能設定用フラグF1は論理「1」のままである。従って、時刻t3から時刻t4の期間内に第1始動口601または第2始動口602に遊技球PBが入球した場合は、羽根614,615が開放される。但し、時刻t4において、遊技球PBがVゾーン617に入賞した場合は、大当たり状態処理が優先し、後述する一連の大当たり状態処理が実行される。
また、Vゾーン入球センサ721によって、遊技球PBがVゾーン617に入賞したことが検出されると、タイマ1006は有効時間T3まで経過することなく、その時点(時刻t4)でリセットされる(図68(6)参照)。
さらに、Vゾーン入球センサ721によって、遊技球PBがVゾーン617に入賞したことが検出されると、その検出時刻t4で、特定領域機能設定用フラグF2が論理「0」とされる(図68(5)参照)。これにより、有効時間T3内に、複数の遊技球PBがVゾーン617に入賞しても、最初の入賞のみを有効とし、その他の入賞を無効として、複数の大当たり状態の利益を与えないようになっている。なお、特定領域機能設定用フラグF2が、時刻t1で論理「1」とされ、Vゾーン入球センサ721の検出信号許可状態となっているのは、以下の理由による。即ち、時刻t1から時刻t2までの期間は、羽根が開放されていないので、その期間中は遊技球PBがVゾーン617に入賞せず、従って、特定領域機能設定用フラグF2を論理「1」とする必要はないとも考えられる。しかしながら、上記したように、時刻t3から始動口機能設定用フラグF1は論理「1」であるので、第1・第2の始動口601,602への入球により、羽根が開放される。その結果、遊技球PBがVゾーン617に入賞することも有り得る。そのような場合に、時刻t1から時刻t2までの期間中、特定領域機能設定用フラグF2を論理「0」としておくと、Vゾーン入球センサ721での検出が無効となっていることから、大当たり状態が得られないことになり、遊技者に不利益を与えることになるからである。
次いで、Vゾーン入球センサ721によって、遊技球PBがVゾーン617に入賞したことが検出されると、CPU1001は、大当たり処理を実行する。
「大当たり処理」は、役物内入球口612,613を所定回数あるいは所定時間だけ開放して遊技者に賞球を獲得する機会を与える「大当たり遊技」を実現するための処理である。「大当たり遊技」は最大15ラウンドのラウンド遊技によって構成されており、各ラウンド遊技は羽根614,615の開閉回数が18回あるいは役物内入球口612,613への入球が10個に到達した時点で終了するようになっている。なお、この「大当たり遊技」が、本発明における「特別遊技」に対応している。
上記したように、大当たり遊技は、ラウンド回数の抽選に始まり、その抽選によって設定されたラウンドに応じた処理を行う。具体的には、今回のラウンドが1ラウンドか否かを判別し、1ラウンドであれば、1ラウンドの遊技を実現するべく1ラウンド処理を実行する一方、1ラウンドでなければ、今回のラウンドが最終回ラウンドか否かを判別する。今回のラウンドが最終ラウンドであれば、最終ラウンドの遊技を実現するべく最終ラウンド処理を実行する。今回のラウンドが最終ラウンド以外のラウンドである場合には、通常のラウンド遊技を実現するべく通常ラウンド処理を実行する。
〔1ラウンド処理の具体的な手続き〕
先ず、ラウンド回数を決定する手続きが行なわれる。具体的には、CPU1001の抽選部1002によって乱数発生プログラム等が実行され、その乱数がRAM1005の記憶部に一時的に記憶されるとともに、当該乱数に基づく抽選を行なってラウンド回数が決定されるようになっている。本実施の形態では、ラウンド回数は3回、5回、15回の中から決定されるようになっている。この3回、5回、15回のラウンド回数を決定するための乱数抽選は、3回、5回、15回のいずれの回数も同一確率で発生するようにしてもよく、また、いずれかの回数に対応する乱数のみが多く発生されるようにして確率的に差異を設けるようにしてもよい。また、ラウンド回数は2回〜15回の中から任意に決定されるようにしてもよい。ラウンド回数が決定された後は、その決定したラウンド回数はRAM1005に一時的に記憶される。
なお、ラウンド回数抽選に関する図柄表示部611の表示態様は、以下のようになる。即ち、遊技球PBが第1始動口601または第2始動口602に入球すると、図70(3)に示すように、CPU1001は表示制御装置45に動画変化中信号を送信する。これにより、表示制御装置45は、時刻t4から時間T10(ラウンド判定図柄変動時間であり、本実施の形態では6.5秒、)経過時まで、図柄表示部611に抽選図柄が動画表示される。この抽選図柄は、具体的には「3」、「5」、「V」の表示がこの順序でスクロール表示されることにより行われる。そして、その抽選図柄表示中にラウンド回数の抽選が行われると、その結果が、時間T11(図柄確定時間)中、図柄表示部611に表示される(図70(4)参照)。例えば、抽選結果のラウンド数が3回の場合は、「3」が表示され、抽選結果のラウンド数が5回の場合は、「5」が表示され、抽選結果のラウンド数が15回の場合は、「V」が表示される。これにより、遊技者は抽選結果を目視により知ることができる。
次いで、遊技球PBがVゾーン617に入賞し、大当たり状態が得られると、中確率状態信号をOFFとし、高確率状態信号をONとする(図69(4)、(5)参照)。これにより、原点位置でキャラクタ体616とステージ620とが停止した状態となり、遊技球PBのVゾーン617への入賞可能確率が高確率となる。
具体的に説明すると、Vゾーン入球センサ検出時t4より1.5秒経過後から、最初にキャラクタ体位置検出センサ982がONになって原点位置を検出した時刻t5において、キャラクタ体駆動用モータ963を停止する(図68(12)参照)。これにより、キャラクタ体616は原点位置(上端位置)で停止した状態となる。同様に、Vゾーン入球センサ検出時t4より1.5秒経過後から、最初にステージ位置検出センサ841がONになって原点位置を検出した時刻t5において、ステージ駆動用モータ830を停止する(図68(13)参照)。これにより、ステージ620は原点位置で停止し、遊技球停留状態となる。
また、Vゾーン入球センサ721がONになった時刻t4から所定時間(T10+T11)が経過した時刻t6において、CPU1001はVゾーン開閉板駆動装置860に作動開始信号を出力し、これによりVゾーン開閉板駆動用ソレノイド862がONとなり(図68(11)参照))、Vゾーン開閉板866がVゾーン617内に進入することになる。このようなVゾーン617を閉成するのは、通常、ステージ620が遊技球停留位置で停止している場合には、遊技球PBは停留位置で停留されるが、遊技球PBの勢いが強い場合には停留位置で停留することなく、直接Vゾーン617方向に向かうことが有り得る。この場合、第2種の遊技機では、Vゾーン617に入ると直ちに次のラウンドに移行しなければならないことが規定されている。このため、各ラウンドの初期にVゾーン617に遊技球PBが入球した場合には、非常に少ない遊技球PBが入賞しただけで次のラウンドに移行するため、遊技者に不利益を与えることになる。そこで、Vゾーン開閉板866をVゾーン617内に進入させておくことにより、上記不都合を回避することができる。
なお、Vゾーン開閉板駆動用ソレノイド862は、時刻t6から時間T5経過した時刻t7においてOFFとなる(図68(11)参照))。ここで、Vゾーン開閉板駆動用ソレノイド862がOFFとなる時刻t7は、羽根614,615の所定回数の開閉動作のうち最終回数目(所定回数が18回であれば、18回目)の開放開始時か、あるいは規定入賞個数の入賞時(規定入賞個数が10個であれば、10個目の入賞時)から1.5秒後である。なお、図68(11)では、羽根614,615の18回目の開放開始時の例が示されている。そして、Vゾーン開閉板駆動用ソレノイド862がOFFとなると、Vゾーン開閉板866がVゾーン617内から元の位置に後退する。
一方、時刻t6において、タイマ1006に所定の羽根作動時間W1がセットされる(図68(3)参照))。この羽根作動時間W1は、原則として役物内入球口612,613を所定回数(本実施の形態では18回)開閉するに要する時間に設定されており、所定回数のうちの最終回の羽根の開閉動作終了時にリセットされる。但し、羽根作動時間W1中に、役物内入球口612,613に遊技球PBが規定入賞個数(本実施の形態では10個)入賞すると、その時点でタイマ1006がリセットされ、羽根作動時間W1が終了する。つまり、羽根の開閉処理としては、役物内入球口612,613を所定回数(本実施の形態では18回)開閉するか、あるいは該所定回数に至るまでに役物内入球口612,613に遊技球PBが規定入賞個数(本実施の形態では10個)入賞すると開閉を終了する。本実施の形態では、羽根作動時間W1中における羽根614,615の開期間及び閉期間は共に、0.8秒に設定されている
そして、有効時間T3内の時刻t8で、遊技球PBがVゾーン617に入賞すると(図68(7)参照)、ラウンドが継続する。遊技球PBがVゾーン617に入賞しない場合は、そのラウンドで終了する。
なお、キャラクタ体駆動用モータ963は、役物内入球口612,613の所定回数の開閉動作のうち最終回数目(所定回数が18回であれば、18回目)の開放開始時か、あるいは規定入賞個数の入賞時(規定入賞個数が10個であれば、10個目の入賞時)から1.5秒後にONとなり(図68(12)参照)、遊技球PBがVゾーン617に入賞したときはVゾーン617通過後に原点位置でOFFする(図68(12)参照)。遊技球PBがVゾーン617に入賞しないきはONのままである。これにより、キャラクタ体616は、時間T6(図68(12)参照)中は中央位置で停止し、ラウンド終了間際(図68(12)の時間T6経過時から時間T7の開始時までの期間)に左右動を開始する。そして、遊技球PBがVゾーン617に入賞したときは、キャラクタ体616は、Vゾーン617通過後に中央位置で停止し、遊技球PBがVゾーン617に入賞しないときは、左右動を継続する。
一方、ステージ駆動用モータ830は、役物内入球口の所定回数の開閉動作のうち最終回数目(所定回数が18回であれば、18回目)の開放開始時か、あるいは規定入賞個数の入賞時(規定入賞個数が10個であれば、10個目の入賞時)から0.5秒後にONとなり(図68(13)参照)、遊技球PBがVゾーン617に入賞したときはVゾーン617通過後に原点位置でOFFする(図68(13)参照)。遊技球PBがVゾーン617に入賞しないきはONのままである。これにより、ステージ620は、時間T8(図68(13)参照)中は上端で停止し、ラウンド終了間際に上下動を開始する。そして、遊技球PBがVゾーン617に入賞したときは、ステージ620は、上端で停止し、遊技球PBがVゾーン617に入賞しないときは、上下動を継続する。
こうして、ラウンド遊技中に、高確率状態が得られることになり(図69(5)参照)、役物内入球口612,613に入球した遊技球PBがステージ620で保留状態とされた後、ステージ620の駆動によりVゾーン617やハズレゾーン618,619への入球がなされることになる。
〔通常ラウンド処理〕
通常ラウンドとは、2ラウンド以降のラウンドであって、最終ラウンド(制限ラウンドを含む)を除くラウンドを意味する。
通常ラウンドの処理は、1ラウンドの処理と基本的には同一である。但し、通常ラウンドでは、ラウンド回数の抽選処理は行われない。即ち、ラウンド回数の抽選は、1ラウンドにおいてのみ行われる。なお、ラウンド回数の抽選処理がないのに対応して、通常ラウンド処理における羽根の開放前時間T4(図68(2)参照)は、5.5秒に設定されており、1ラウンド処理における開放前時間(T10+T11)に比べて短くなっている。
なお、遊技球PBのVゾーン617への入賞可能確率状態は、高確率状態である(図69(5)参照)。
〔最終ラウンド処理〕
最終ラウンドの処理は、通常ラウンドの処理と基本的には同一である。但し、以下の点で異なる。
(1)遊技球PBがVゾーン617に入賞しても、最終ラウンドで終了する。但し、最終ラウンドが制限ラウンドの場合は、遊技球PBがVゾーン617に入賞すると、もう1ラウンド追加される。なお、追加ラウンドで遊技球PBがVゾーン617に入賞しても、その追加ラウンドで終了する。ただし、追加ラウンドが、制限ラウンドである場合には、再度ラウンド追加するような構成としても良い。
(2)キャラクタ駆動用モータ963は、図68(12)に示すように、前回ラウンドにおけるVゾーン入球センサ721のON時t8から時間T7経過した時刻t9において、ONとなり、その後ONのままである。ここで、キャラクタ駆動用モータ96がONとなる時刻t9は、役物内入球口カウントセンサ730が7球を検出した時、あるいは、羽根614,615の16回目の開放開始時である。なお、図68(12)では、羽根614,615の16回目の開放開始時の例が示されている。また、参考のため、最終ラウンド以外のラウンドの場合における、キャラクタ駆動用モータ963のON・OFF状態を図68(12)の時間T7以降の破線で示している。
一方、ステージ駆動用モータ830は、図68(13)に示すように、前のラウンドの18回目の羽根開放開始時、あるいは、規定入賞個数の入賞時から0.5秒後にON(図68(13)参照)するが、その後、ONのままである。なお、図68(13)では、羽根614,615の18回目の開放開始時の例が示されている。従って、図68(13)の時間T9において、通常ラウンドではOFF(破線で示している)であるが、最終ラウンドではONとなっているのが異なる。
(3)但し、最終ラウンドが制限ラウンドの場合は、キャラクタ駆動用モータ963は、遊技球PBがVゾーン617に入賞すると、その入賞後、原点位置でOFFとなる。また、継続したラウンド(追加ラウンド)においては、遊技球が大賞口カウントセンサ730を7球通過時あるいは大賞口の16回目の開放開始時からOFFとなる。
こうして、最終ラウンド(制限ラウンド、追加ラウンドを含む)ラウンド遊技中、低確
率状態が出現し、次いで、ラウンド終了間際に中確率状態が出現することになる(図69(3)、(4)参照)。
(他の実施の形態)
(1)上記形態では、ステージ620とキャラクタ体616との駆動源を異ならしめているが(ステージ620の駆動源としてモータ830を用い、キャラクタ体616の駆動源としてモータ963を用いている)、このような構造に限定するものではなく、1つのモータ等でステージ620とキャラクタ体616とを駆動する構成であっても良い。但し、この場合には、ステージ620に対する駆動伝達比(例えば、ギア比)とキャラクタ体616に対する駆動伝達比とを異ならしめて、両者の周期を変えることが望ましい。
(2)ステージ620とキャラクタ体616との周期は上記の値に限定するものではなく、その他の値であっても何ら問題はない。但し、ステージ620とキャラクタ体616とが或る状態となった後、再度同じ状態となるまでの周期が長くなるように、ステージ620とキャラクタ体616との周期とを決定するのが望ましい。
(3)図71に示すように、役物内入球口カウントセンサ730の下方における第1遊技球案内通路755内に、ソレノイド(図示せず)により駆動される遊技球振分板995を設け、遊技球PBがセンサ996a,996bで検出される毎に遊技球振分板995を揺動させ、左方の第1遊技球案内通路755a(図71は背面からの図であるため、左右が逆になっている)と右方の第1遊技球案内通路755bとに確実に振り分ける構成としても良い。また、このような遊技球振分板995を設ければ、大当たり遊技状態となった際に、キャラクタ体616のカヌー部900が左端部に配置され、かつ、その先端が上方に持ち上がっている状態(図60、図61の状態)で、遊技球PBが右方の第1遊技球案内通路755bからのみステージ620に排出されるように遊技球振分板995を設定しておけば、遊技球PBがVゾーン617に入賞する確率をさらに上げ、所謂パンク状態となるのを抑制できる。
(4)第1揺動板800と第2揺動板801とが対向する部分の形状は、前記の形状に限定するものではなく、例えば、図72に示すように、略V字状(端部側の凹部808aが遊技球排出口975,976に近くなっている)に形成しても良い。このような構成であれば、遊技球PBがVゾーン617に入賞する確率をさらに上げることが可能となる。
(5)Vゾーン617に入賞する確率を変えたい場合には、ステージ620やカヌー部900の周期を短くすることにより入賞する確率を低下させ、ステージ620やカヌー部900の周期を長くすることにより入賞する確率を向上させることができる。また、カヌー部900の幅を大きくすることにより入賞する確率を低下させ、カヌー部900の幅を小さくすることにより入賞する確率を向上させることができる。
(6)カヌー部900の構造としては、上記の構造に限定するものではなく、図73に示すように、カヌー部900の先端近傍に軸996を中心に回動する円盤997を設け、この円盤997の周縁に、ゴムからなる反射部997aと、プラスチックからなる反射部997bと、金属からなる反射部997cとを設けるような構成としても良い。このように、各反射部997a,997b,997cの構成材料を代えることにより、遊技球PBが各反射部997a,997b,997cで反射する態様が異なってくるため、パチンコ機の興趣がさらに向上する。
(7)上記形態では、カヌー部900を押し上げる押上突起813を、第1揺動板800に形成しているが、このような構造に限定するものではなく、カヌー部900における第1揺動板800に臨む位置に形成しても良いことは勿論である。また、その伝達機構としては、押上突起に限定するものではなく、歯車、ベルト等の伝達手段を用いても良い。ただし、伝達機構の簡素化を図るためには、上記形態の如く押上突起を形成することが望ましい。
(8)図柄表示部611に表示させる図柄としては、上記の図柄に限定するものではなく、例えば、大当たり遊技状態中の各ラウンドで入賞した遊技球PBの個数や、大当たり遊技状態中にラウンド数等を表示しても良い。また、図柄表示装置611で表示する「図柄」は、文字(英数字や漢字等),記号,符号,図形(キャラクタ等)などからなる抽選表示用図柄,装飾用図柄を問わず、かつ、静止画であるか動画であるかをも問わない。
(9)キャラクタ体616としては、競技者がカヌーを漕ぐような動作を行うものに限定するものではなく、例えば象を用いても良い。この場合には、象の鼻で妨害及び案内部材(上記形態ではカヌー部900)を構成すれば、象の鼻が上を向いたときに遊技球PBがVゾーン617に入賞しやすくなるので、象の雄叫びによる臨場感を醸し出すことができる。
(10)羽根614,615の位置は天入賞口610の近傍に限定するものではなく、もう少し下方に形成しても良い。
(11)上記形態では、ステージ620を2分割しているが、このような構造に限定するものではなく、3分割以上に分割するようにして、より遊技球PBの動きを複雑化しても良い。また、ステージ620を分割することなく、単に1つのステージを揺動させることにより、キャラクタ体616を上下動させる構成としても良い。
(12)上記形態では乱数抽選処理によりラウンド回数を決定しているが、このような方法に限定するものではなく、当初より定められたラウンド(例えば、15ラウンドに固定、または3、5,15ラウンドが順番に現れる)とするような方法でも良いことは勿論である。
(13)上記形態では、電動役物ユニット603に電飾部を設けていないが、電動役物ユニット603の中央部や周辺部に電飾部を設けても良い。また、この電飾部は大当たり遊技状態と通常遊技状態とで電飾方法を変化させて遊技中の演出効果を高めるように構成しても良い。
(14)上記形態では、パチンコ機に本発明を適用した。この形態に代えて、パチンコ機以外の他の遊技機(例えばアレンジボール機,雀球遊技機,テレビゲーム機等)であって一定の条件下で特別遊技を付与可能に構成したものにも本発明を適用することができることは勿論である。