JP5028336B2 - 塗料組成物及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、木材、竹材等表面に塗装するための塗料組成物、特に木材、竹材、竹集成材、あるいはそれらを使用した家具、木製の装飾品をはじめタペストリー、壁面用木材などの塗料として好適な塗料組成物及びその製造方法に関するものである。
従来より防水性、耐久性に優れた薄膜を形成する合成樹脂塗料が広く使用されているが、それらに含まれる化学物質による環境汚染や、人に対しての室内環境におけるシックハウスなどの健康被害も問題となっている。このような状況において、植物油などの天然物を用いた、自然塗料と称される、素地への浸透性に優れ木目を目立たせる特徴を有し、人にも、地球環境にも優しい自然塗料が使用されるようになってきている。
しかしながら、従来の自然塗料は耐久性に乏しく、防水性が不十分であるため適用範囲が限られるという問題があった。また塗布面に醤油などのシミ跡が残ったり、塗装された家具類が梅雨時の高温多湿下に置かれた際にカビ発生などの問題があるため、合成カビ防止剤を配合した自然塗料も市販されている。しかし、人体へ悪影響を与える合成カビ防止剤を使用するため安全な自然塗料とはいえない。
この点を解決する技術として、特許文献1には、天然ヒバ油と植物油を含有することにより、その相乗効果によって比較的短時間に乾燥、硬化することで優れた抗菌・防カビ、防虫効果、芳香性を長期間発揮し、かつ、天然ヒバ油の使用量を低減しうる木材保護塗料組成物および該組成物を塗布された木材に関する技術が提案されている。そして、従来から木工製品に抗菌・防カビ効果を付与させる塗料に添加されていた銅、銀、亜鉛、カドミウム、水銀、鉛などの金属単体、無機金属化合物や有機金属化合物などの無機系抗菌剤の欠点である、塗膜強度の低下やその有害性のため、人体への悪影響や環境汚染の面での問題点を、この天然ヒバ油を用いることにより、解決できると述べている。
塗料に添加する殺菌、抗菌剤についても多くの提案が成されており、本発明で利用する竹成分の2,6−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノンの抗菌性に注目した文献も見られる。例えば、特許文献2には、孟宗竹を100℃以上の温度で浸出するエキスや粉砕物あるいは圧搾したエキス、そして、幹の表皮のエーテル抽出物などを食品や化粧品の抗菌剤として利用することが記載されている。
更に、近時は特許文献3にみられるように、各種の機能性塗料が開発され、ここでは有機系エマルジョン、例えば、アクリルエマルジョン塗料をベースとする無機多孔体含有壁塗装材中に抗菌剤、防カビ剤として竹抽出物を配合することが記載されている。
特開平10−212457号([特許請求の範囲][0006][0002]) 特開昭63−290825号公報([特許請求の範囲](第3ページ、右欄)) 特開2004−211049号公報([特許請求の範囲][0028])
これら上記の特許文献1,3にみられるように、塗料中に抗菌防カビ剤を添加すること、また、本発明で使用する竹抽出物を添加することは既に知られている。また、孟宗竹の表皮抽出物が抗菌性を有することも特許文献2に見られる通りである。しかしながら、特許文献1に記載の抗菌性木材保護塗料は天然ヒバ油をベースとして亜麻仁油を配合したもので、高価なヒバ油を少なくする目的の植物性塗料である。また、特許文献3は竹抽出物を抗菌剤として用いているものの、ベースはエマルジョン塗料であるし、本発明の目的とする亜麻仁油を主体とする木材や竹材からなる家具等の塗料ではない。
したがって、本発明の目的は、従来の自然塗料の耐久性の乏しさ、耐水性の不十分さの課題を解決し、耐久性、防水撥水性に優れた安全な自然塗料を提供することである。
本発明の他の目的は、耐水性、防水性、撥水性に優れ、しかも抗菌性、安全性にも優れた自然塗料を提供することである。
本発明者らは、安全な自然塗料を提供するため、孟宗竹の有機溶剤抽出物、特に孟宗竹の幹の表皮の有機溶剤抽出物が抗菌性を有すること(特許文献2参照)、孟宗竹表皮の抽出物中には抗菌性を有する2,6−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノンを含んでいること、また孟宗竹表皮抽出物は食品衛生法によって食品添加物として規定されている安全な物質であることに着目し、更に検討した結果、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明の塗料組成物は、植物性油脂を主成分とし、これに竹の幹の表皮成分の有機溶剤による竹表皮抽出物を添加したものである。ここで、植物性油脂は種々の乾性油のなかでも亜麻仁油が好ましく、竹表皮抽出物は孟宗竹幹の竹表皮研削粉からの有機溶剤抽出物が好ましい。竹表皮抽出物の含有量が0.05〜5重量%と少量でも抗菌効果が得られる塗料組成物である。
このような塗料組成物の製造方法は、竹幹の表皮を研削して竹表皮研削粉とし、これに有機溶剤を加えて竹表皮成分を抽出し、抽出液をろ過し、ろ液から有機溶剤を除去して竹表皮抽出物を取り出し、該竹表皮抽出物を植物性油脂に混合することを特徴とする。
他の優れた製造方法は、竹幹の表皮を加熱して該表皮成分を溶融樹脂様物質として分離し、該溶融樹脂様物質を有機溶剤抽出し、次いで該竹表皮抽出物を植物性油脂と混合することであり、上記の塗料組成物を効率良く製造することができる。
本発明の塗料組成物は、後述する各種の顔料等を配合するが、配合する顔料等は予め竹表皮抽出物と練り込んでから植物性油脂に混合するのがよく、竹表皮抽出物の含有量が塗料組成物中に0.05〜5重量%と少なくても、亜麻仁油中に均一に分散することができる。そうすることにより、本発明の塗料組成物を塗装した竹材及び竹集成材や家具の木目を鮮やかに現出し、耐久性にすぐれた抗菌性塗料となる。竹集成材に塗装する際のオイル使用量については、下塗りの目安は35g/m程度、上塗りの目安は20g/m程度である。
塗料組成物中の竹表皮抽出物の配合割合は少なくて良いことにつき、詳しく述べると、0.05〜5重量%、特に0.1〜2重量%の配合割合であることが好ましい。とりわけ0.2〜1.0重量%がより好ましい。ここで、0.05重量%未満では抗菌性が乏しくなり、さらに塗料の性能に関わる樹脂分の竹表皮抽出物が少なくなってしまい好ましくなくなり、5重量%を超えると塗料組成物の粘性が大きくなり塗りむらを生じやすくなり、多くの薄め液を使用することになり、かえって好ましくない。
本発明の塗料組成物は、種々の特性を付与させるため、一般に使用される着色剤、添加剤や溶剤を配合することができる。顔料には体質顔料、無機顔料、有機顔料があり、体質顔料には、炭酸カルシウム、クレー、タルク、硫酸バリウムなどが例示される。さらに無機の着色顔料としては、チタン白、硫化亜鉛、鉛白、黄色酸化鉄、酸化クロム、亜鉛華、カーボンブラック、モリブデン赤、パーマネントレッド、ベンガラ、黄土、クロムグリーン、紺青、群青、などが例示される。さらに、有機着色顔料としては、ハンザエロー、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、フラバンスロンイエロー、などが例示される。また、顔料は単独で、また色調に応じて複数を配合してもよい。特に堅牢性、耐光性に優れ、安全性が高く安価なベンガラが好ましく使用できる。
本発明の塗料組成物に含有している竹の幹の表皮抽出物は、顔料の分散性を向上させる特性を有し、配合する顔料を予め竹の幹の表皮抽出物と練り込んで塗料組成物に配合することで良好な着色性を付与させることができる。
竹の幹は、その断面中央が中空で、外周囲にある水分、養分の通る維管束部と、その外周表面にある表皮から構成されている。竹の表皮は、維管束部よりの水分や養分が外部へ滲み出すのを防ぎ、かつ外部からの水分の浸入を防いでおり、しかも竹を病害虫より守っていることが知られている。その竹の幹の表皮が有する防水効果、撥水効果を確かめるため、表皮の一部を削り取った部分と削り取っていない部分に赤色の食紅水を各4滴垂らし、所定時間放置させてふき取ったところ、図1に示すように表皮を削り取った部分は赤色に染まっており、一方、表皮を削り取っていない部分は、全く赤色に染まっていなかった。このことは竹の幹の表皮が、優れた防水効果、撥水効果を発揮することを示している。さらに、竹の幹の表皮を加熱した際に表皮より溶融するオイル状物が認められることにより、竹の幹の表皮に防水性、撥水性に優れた樹脂様物質が塗料中に含有することになり、上記の効果が得られる。
竹の幹の表皮に含まれる樹脂様物質を有機溶剤抽出すると、該抽出物を容易に塗料組成物に均一に混合でき、防水性、撥水性に優れた自然塗料ができる効果も発現している。また、孟宗竹の幹の表皮の抽出物中には抗菌性を有する2,6−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノンを含んでいるため、防水性、撥水性に優れ、しかも抗菌性にも優れた安全性の高い天然抗菌性物質を有する自然塗料を提供することができる。
本発明の塗料組成物に含有させる竹の幹の表皮抽出物を得るために用いられる原料となる竹としては、特に限定されないが、ホウソウチク属、シホウチク属、マダケ属、シュドササ属、ササモルファ属、ナリヒラタケ属、トウチク属等の竹類が用いられる。なかでも、マダケ属の孟宗竹が好適に用いられる。これらの竹の幹の表皮が含まれる竹の粉砕物あるいは粉状にした物、とりわけ樹脂様物質の含まれる竹の幹の表皮の粉砕物あるいは表皮の研削粉を原料とするのが好ましい。
抽出に使用される有機溶剤は、特に限定されないがトルエン、キシレンなどの芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、エチルエーテル、イソプロピルエーテルなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのアセトン類、クロロホルムなどの有機ハロゲン類、石油エーテル、n−ヘキサン、n−ペンタンなどの脂肪族炭化水素類なども用いられる。さらにメタノール、エタノールなどのアルコール類、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコール類又はその誘導体なども挙げられる。もちろん、これらの混合溶剤を使用してもよい。
さらにまた、抽出方法、抽出条件は、特に限定されないが、例えば竹の幹の表皮の粉砕物を粉末化した後、有機溶剤に浸漬して抽出しても良いし、加温下で有機溶剤による還流抽出を行っても良いし、超音波抽出による抽出効率を上げることも望ましい。
次に、有機溶剤抽出液をフィルターでろ過して、ろ過液の有機溶剤を除去する。あるいは、有機溶剤抽出液を遠心分離し、その上澄み液の有機溶剤を除去しても良いし、遠心分離した上澄み液をさらにフィルターでろ過を行い、そのろ過液の有機溶剤を除去してもよい。ろ過液あるいは上澄み液の有機溶剤の除去方法は特に限定されないが、例えば減圧下、加温して有機溶剤を除去して竹の幹の表皮抽出物を得ても良い。
本発明の塗料組成物の主たる成分とする植物性油脂は、特に限定されないが、乾性油、半乾性油あるいは不乾性油でも良いし、それらの混合物であっても良い。例えば、乾性油や半乾性油は、空気中で放置しておくと乾燥するが、乾燥時間を早めるために、ボディー化を行ったボイル油を使用するのが望ましい。ボイル油に用いられる植物性油脂の種類としては、特に限定されるものではないが亜麻仁油、荏油、大豆油、桐油などであり、乾燥促進剤としてはコバルト、マンガン、鉛などのナフテン酸塩、オクチル酸塩などが用いられる。さらに使用できるボイル油は、特に限定されないが、煮亜麻仁油、煮桐油、外部用ボイル油、速乾ボイル油、地塗用ボイル油、スタンド油などが好ましい。
本発明の塗料組成物は、種々の特性を付与させるため、一般に使用される着色剤、添加剤や溶剤を配合することができる。着色剤としては、有機顔料、無機顔料、染料等が使用でき、特に堅牢性、耐候性に優れ、安全性が高く安価なベンガラが好ましく使用できる。さらに、添加物としては、酸化防止剤、紫外線防止剤、光安定剤、乾燥促進剤、抗菌剤、抗カビ剤などが配合でき、また粘度の調節の目的や作業性に合わせて溶剤を添加できる。溶剤としては、特に限定されないが灯油、テレビン油、ミネラルスピリット、揮発油などが使用できる。
また、染料、顔料等の着色剤、酸化防止剤、耐候安定剤、ロジン系やテルペン系等の天然樹脂あるいは石油樹脂類、ポリエチレン等の合成樹脂、炭酸カルシウム、タルク等のフィラー、蛍光剤、蓄光剤、可塑剤、オイル、香料などを添加することもできる。
以下、実施例によって本発明の塗料組成物及びその製造方法について、更に具体的に説明する。
実施例1
孟宗竹を約1mの長さに切断したものを5本、1週間日陰に保管しておいた孟宗竹の幹の表皮をロータリーサンダーで削り取った。削り取った竹表皮粉50.03gにラッカーシンナー120mlを加え、一昼夜浸漬し、85℃程度の湯浴下、30分間超音波抽出を行った。その後、抽出液を15分間放置し2号ろ紙にて上澄み液をろ過した。次いで、ろ液をロータリーエバポレーターにて溶剤を除き、竹表皮抽出物2.13gを得た。次に、所定量の竹表皮抽出物を所定量の亜麻仁油(Lボイル油、商品名、東新油脂製)に加温して溶かし100倍希釈した塗料組成物を得た。
予めLボイル油を布にて下地塗布し、表面についた余分の油を布にて抜き取り12時間乾燥した竹集成材に100倍希釈した塗料組成物を上塗りとして、下地塗布同様の塗布作業を行い、72時間乾燥させた竹集成材を実施例1とした。
比較例1
一方、予めLボイル油を布にて下地塗布し、表面についた余分の油を布にて抜き取り12時間乾燥した竹集成材にLボイル油を上塗りとして、下地塗布同様の塗布作業を行い、72時間乾燥させた竹集成材を比較例1とした。
性能試験として、塗り性能として塗りやすさ及び塗りむらを目視で観察し、さらに塗布面の木目の鮮明さを目視で観察し、撥水性、防水性及び汚れの残存性に関しては、醤油、ソース及び食紅水を各数滴垂らし1時間後に布でふき取り、汚れ残存跡の有無程度で評価を行った。その評価結果を表1に示す。さらに、醤油、ソース及び食紅水の残存汚れを図2に示す。
実施例1は表1上段に示すように塗りやすさ良好、塗りむらなく塗布面の木目の鮮明さも良好であり、撥水性及び防水性に優れているため醤油、ソース及び食紅水の垂れは布で拭き取ることで図2に示すようにシミ跡は残らなかった。
一方、比較例1においては表1下段に示すように塗りやすさ良好、塗りむらなく塗布面の木目の鮮明さも良好であるものの、撥水性及び防水性が乏しいため布で抜き取っても図2に示すように醤油、ソース及び食紅水の垂れたシミ跡が明確に残った。
実施例2〜4
実施例1と同様に孟宗竹を約1mの長さに切断したものを70本、1週間日陰に保管しておいた孟宗竹の幹の表皮を切削刃で削り取り、さらに削り取った竹切削片を粉砕した竹表皮粉700.0gにTXシンナー(酢酸エチル及び酢酸ブチル混合溶剤)2000mlを加え、一昼夜浸漬し、85℃程度の湯浴下、2時間超音波抽出を行った。その後、抽出液を15分間放置し1号ろ紙にて減圧ろ過した。次いで、ろ液をロータリーエバポレーターにて溶剤を除き、竹表皮抽出物33.06gを得た。次に、所定量の竹表皮抽出物を所定量の亜麻仁油6号(東新油脂製)に加温して溶かし100倍、200倍、500倍希釈した塗料組成物、すなわち1.0重量%、0.5重量%、0.2重量%塗料組成物を得た。
抗菌性試験:50mm×50mm×1mmのステンレス板に1.0重量%、0.5重量%、0.2重量%塗料組成物を塗布し、常温にて7日間養生した試験片を、それぞれ実施例2、実施例3、実施例4とした。各試験片につき、JIS Z 2801(2000)「抗菌加工製品−抗菌試験方法・抗菌効果」5.2プラスチック製品などの試験方法により抗菌性試験を実施した。
比較例2
同様の方法で、亜麻仁油6号のみを塗布した試験片を比較例2として抗菌性試験を実施した。試験片の生菌数測定結果を表2に、抗菌活性化試験結果を表3に示す。
表2及び表3に示すように、抗菌効果は抗菌活性値2.0以上であり、抗菌効果が認められた。特に、実施例2、実施例3及び実施例4ともに強い抗菌効果が認められた。すなわち1.0重量%、0.5重量%および0.2重量%竹表皮抽出物を含む塗料組成物、中でも竹表皮抽出物が500倍に薄められた0.2重量%塗料組成物ですら抗菌効果は抗菌活性値2.0以上であり、強い抗菌効果が認められた。
以下に本発明の塗料組成物の成分比及びその製造方法についての実施例を示す。
実施例5
実施例1で製造した竹表皮抽出物を用いて、下塗り用塗料組成物として、以下の成分比のものを調製した。
0.2重量%竹表皮抽出物を含む亜麻仁油7号(東新油脂製)70.0重量%
イソパラフィン系溶剤 22.0重量%
D−リモネン 7.0重量%
コバルト系乾燥促進剤
(住化エンビロサイエンス社製オクトライフCo8%) 1.0重量%
すなわち、薄め液のイソパラフィン、D−リモネン及び乾燥促進剤中の溶剤は、塗布した後に揮発するので、竹表皮抽出物を、ほぼ500倍に希釈した塗料組成物、0.2重量%竹表皮抽出物を用いれば、塗料組成物中にも0.2重量%竹表皮抽出物を含むことになる。したがって、竹表皮抽出物を亜麻仁油7号(東新油脂)に溶解し0.2重量%としたものを70.0重量%、イソパラフィン22.0重量%、D−リモネン7.0重量%、及びコバルト系乾燥促進剤1.0重量%を加えよくかき混ぜるだけでよい。
実施例6
実施例2で製造した竹表皮抽出物を用いて、上塗り用塗料組成物として、以下の成分比のものを調製した。
0.5重量%竹表皮抽出物を含む亜麻仁油7号(東新油脂製)50.0重量%
イソパラフィン系溶剤(エクソンモービル社製アイソパーG)38.0重量%
D−リモネン 5.0重量%
カルナバワックス 3.0重量%
ロジン 3.0重量%
カルシウム系乾燥促進剤
(住化エンビロサイエンス社製オクトライフCa4%) 1.0重量%
ここでは、薄め液のイソパラフィン、D−リモネン及び乾燥促進剤中の溶剤は、塗布した後に揮発するので、竹表皮抽出物を、ほぼ230倍に希釈した塗料組成物となる。すなわち、0.5重量%竹表皮抽出物を亜麻仁油7号(東新油脂製)に溶解したものを50.0重量%、イソパラフィン38.0重量%、D−リモネン5.0重量%、及びカルシウム系乾燥促進剤1.0重量%を加えよくかき混ぜて、0.44重量%竹表皮抽出物を含む塗料組成物が得られた。
実施例7
実施例5で製造した下塗り用塗料組成物を用いて、下塗り用着色塗料組成物(ダークブラウン)として、顔料としてベンガラを用い、以下の成分比のものを調製した。
ベンガラ(茶) 13.0重量%
ベンガラ(黒) 7.0重量%
下塗り用塗料組成物 80.0重量%
ベンガラを予め少量の下塗り用塗料組成物でよく練り、残りの下塗り用塗料組成物を加えよくかき混ぜる。
上記の配合組成で、下塗り用塗料組成物が竹表皮抽出物を、ほぼ500倍に希釈した塗料組成物、0.2重量%竹表皮抽出物を含む塗料組成物となる。下塗りの場合、顔料のベンガラが残存するので500倍×100/80=625倍、すなわち、0.16重量%竹表皮抽出物を含む塗料組成物となっている。
実施例8
本発明の塗料組成物を用いて木製家具への塗布の一例につき、次の手順で実施した。すなわち、下塗り用塗料組成物または、下塗り用着色塗料組成物を塗布し、5〜10分ほど放置した後に余分な塗料組成物を布で拭き取る。12〜24時間程度乾燥させた後に上塗り用塗料組成物を塗布し、5〜10分ほど放置した後に余分な塗料組成物を拭き取り乾燥させて塗装を完成させた。
本発明の塗料組成物は、竹の幹の表皮抽出物を含有することにより、耐水性、防水性、撥水性、防菌カビ性に優れた環境に優しい安全な自然塗料であり、木材表面、特に竹材、竹集成材、あるいはそれらを使用した家具の塗料として好適である。
竹の幹の表皮の一部を削り取った部分と削り取っていない部分に食紅水を各4滴垂らし、所定時間放置させてふき取ったところ、表皮を削り取った部分は赤色に染まっており、一方、削り取っていない部分は、全く赤色に染まらない状態を示す写真である。 比較例および実施例の醤油、ソース、及び食紅水の残存汚れを示す写真である。
符号の説明
1 竹の幹の表皮の一部を削り取った部分
2 竹の幹の表皮を削り取っていない部分

Claims (8)

  1. 植物性油脂を主成分とし、これに竹の幹の表皮成分の有機溶剤による竹表皮抽出物を添加してなる塗料組成物。
  2. 植物性油脂が亜麻仁油であり、竹表皮抽出物が孟宗竹幹の竹表皮研削粉からの有機溶剤抽出物である請求項1記載の塗料組成物。
  3. 植物性油脂が亜麻仁油であり、竹表皮抽出物が孟宗竹幹の表皮より溶融する樹脂様物質からの有機溶剤抽出物である請求項1記載の塗料組成物。
  4. 竹表皮抽出物の含有量が0.05〜5重量%である請求項1〜3のいずれか記載の塗料組成物。
  5. 竹幹の表皮を研削して竹表皮研削粉とし、これに有機溶剤を加えて竹表皮成分を抽出し、抽出液をろ過し、ろ液から有機溶剤を除去して竹表皮抽出物を粉末で取り出し、該竹表皮抽出物を植物性油脂に混合することを特徴とする塗料組成物の製造方法。
  6. 竹幹の表皮を加熱して該表皮成分を溶融樹脂様物質として分離し、該溶融樹脂様物質を有機溶剤抽出し、次いで該竹表皮抽出物を植物性油脂と混合することを特徴とする塗料組成物の製造方法。
  7. 配合する顔料は予め竹表皮抽出物と練り込んでから植物性油脂に混合する請求項5又は6のいずれか記載の塗料組成物の製造方法。
  8. 竹表皮抽出物の含有量が塗料組成物中に0.05〜5重量%の配合割合で植物性油脂に混合することを特徴とする請求項5〜7のいずれか記載の塗料組成物の製造方法。
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