本件発明は、内燃機関に使用されるオイルリング本体の製造方法に関し、具体的には2ピース形オイルリングの外周摺動領域に面取り加工を施すために用いるリング状スペーサの形状に関する。
近年、世界中の国々で地球環境の保全や改善が取り上げられ、環境負荷低減を目指した動きが活発になっている。これに伴い、自動車用エンジンにおいても性能向上が求められ、環境問題の解決へ携わる業界や企業によって様々な手法で対応が試みている。自動車に係わる環境問題への対応は、二酸化炭素の排出削減に対して推進されてきた。この二酸化炭素は、「大気汚染」や「地球温暖化」をもたらす地球温暖化ガスの構成成分の一つであり、削減が求められている。排出される二酸化炭素を抑制するために、自動車には軽量化等による燃費向上や排気ガスの浄化等が求められており、内燃機関として用いられるオイルリングにも、摩擦力の低減とエンジンオイル消費量の低減との双方を満足するものが求められている。そのため、摩擦力低減のためにオイルリングの低張力化やオイル消費改善のためにオイルリングの薄幅化が図られている。
ここで、簡単にオイルリングについて説明しておく。一般的にオイルリングには、2ピース形オイルリングと3ピース形オイルリングと呼ばれるそれぞれ構造の異なるオイルリングが存在している。しかし、3ピース形オイルリングは構造が2ピース形オイルリングと比して複雑であるためにシリンダ軸方向の幅を薄幅化しにくいため、最近では2ピース形オイルリングが主に使用されるようになっている。オイルリングを薄幅化させることで、ピストンの高さも抑えることができ、ピストン自体の軽量化にも効果があると共に、オイルリングの張力を減少させることが可能となるためピストン摺動運動時の摩擦損失の低減化も図ることができるようになる。
2ピース形の組合せオイルリングにおけるオイルリング本体は、オイルリング本体の上側部分及び下側部分を構成する第1レール部及び第2レール部と、これらレール部と連結するウエブとからなり、ピストンの往復動作の際に、当該オイルリング本体が備える第1レール部及び第2レール部の各々の外周摺動面は、シリンダライナの内周壁面と油膜を介して接触しながらピストン軸方向に摺動運動する。従来のオイルリング本体は、シリンダ内壁面との摩擦を減少させることと、摺動面におけるオイル掻き性能との両方を満足させることは困難であり、仮に当該オイル掻き性能を重視した場合、オイルが流入し難くまた油膜が厚くならないよう、摺動面エッジ部を鋭角に仕上げ、且つ、シリンダ軸方向の断面でみてシリンダ内壁面との接触面が油膜を形成し難い直線状部分の占める割合を多くとる形状にしなければならず、その結果、オイルリング角部の当たりによってシリンダ内壁面に対する摩擦力の低減を図ることができなかった。
ここで、特許文献1には、フリクションの低減を図れ、オイル掻き能力も良好である組合せオイルリングが開示されている。具体的には、上下レール7,8を有するオイルリング5と、これを半径方向外方に押圧するエキスパンダ6とを有する組合せオイルリング4において、オイルリング5の上レール7の外周面11を、軸方向幅0.05〜0.3mmの平坦面11aと、平坦面11aの上端から上レール上面12につながる曲面11bと、平坦面11aの下端から上レール下面13につながる曲面11cとで形成し、下レール8も同じように形成するオイルリングが提案されている。
また、特許文献2には、オイル消費を増大させることなく、摩擦力低減機能に優れたオイルリングが開示されている。具体的には、軸方向の上下に一対のレール部および合口を備えた円環状のオイルリング本体10と、オイルリング本体10の内周側に組み合わせられるコイルエキスパンダ20とを有するオイルリング1であって、一対のレール部12の外周摺動面fの半径方向に切断した断面形状は、中央に0.05mm以上の略直線領域f1と、直線領域f1の両側に形成された曲線領域f2とを有するオイルリングが提案されている。
特開2004−197818号公報
特開2005−113684号公報
しかし、上記特許文献1のオイルリングは、上レールの外周面が、シリンダ軸方向幅0.05〜0.3mmの平坦面と、平坦面の上端から上レール上面につながる曲面とから形成され、下レールの外周面が、シリンダ軸方向幅0.05〜0.3mmの平坦面と、平坦面の下端から下レール下面につながる曲面とから形成されていることを特徴としている。更に、当該曲面の半径方向落差は25〜75μmであることが好ましいとされているために、当該平坦面の面積をこれ以上大きくすることができない。仮に、当該平坦部のシリンダ軸方向幅を大きくすると、オイルリングのシリンダ軸方向幅が大きくなりすぎてしまい、シリンダ内壁面における余分なオイルを掻き取る機能を十分に発揮することができなくなる。
また、上記特許文献2のオイルリングは、シリンダ軸方向上下に形成された一対のレール部および合口を有する円環状のオイルリング本体と、該オイルリング本体の内周側に組み合わせられるコイルエキスパンダとを含むオイルリングであって、前記一対のレール部の外周摺動面は、中央に幅が0.05mm以上の略平坦な平坦領域と、前記平坦領域の両側に延在される曲面領域とを有する。また、特許文献2のオイルリングは、平坦領域が外周摺動面の33%以上90%未満の範囲を占めるものであるとされており、更に、バレル処理等により、コーナー部にR処理を施すものが好ましいとされている。しかし、オイルリングの摺動面を形成するにあたり、オイルリング本体の外径よりも小径のリング状スペーサを交互に重ねて処理しているため、オイルリングをセットする際の安定性及び作業性が悪くなることに加え、コーナー部に形成されるR形状にバラツキを生じやすく、十分な平坦領域を得ることが困難となる。
以上のことから、内燃機関用オイルリングにおいては、従来よりオイル消費量を増大させることなく、且つ、シリンダライナ内壁面に対する摩擦力を低減させることができる2ピース形オイルリングの製造方法が望まれていた。
そこで、本件発明者等は、2ピース形のオイルリングにおいてレール部摺動面が油膜を形成しやすい形状について鋭意研究した結果、オイルリング本体の製造方法として、オイルリング本体の摺動方向に対するレール部の摺動面の端部に面取り加工を施す際に、形状に特徴を有するリング状スペーサを用いて、オイルリング本体と当該リング状スペーサとを交互に配列して面取り加工を施すことで、曲面の形状を最適となる寸法に安定して形成することが可能となることを見出した。この製造方法によって得られるオイルリングによれば、オイルシール機能と摩擦力低減機能とを共に向上させることができる。
本件発明のオイルリング本体の製造方法は、シリンダライナ内周壁と摺動する第1レール及び第2レールと、当該第1レール及び第2レールがシリンダライナの内周壁より掻き落としたオイルをピストン裏面へ流下させるための複数のオイル戻し孔を備えるウェブとから構成されるオイルリング本体の製造方法であって、当該オイルリング本体と、このオイルリング本体と同一径のリング状スペーサとを交互に配し、シリンダ軸方向からみて、当該オイルリング本体を構成する第1レール及び第2レールと当該リング状スペーサとを密着させて、その外周が略真円となるように治具の回転軸に整列固定させる配列ステップと、当該オイルリング本体を構成する第1レール及び第2レールと当該リング状スペーサの外周面に研磨部材を押圧した状態で、オイルリング本体と当該リング状スペーサとを交互に整列固定した当該回転軸を駆動させ、当該第1レール及び第2レールのシリンダライナ内壁面と接触する外周摺動面の接触領域の円周端部を面取り加工するR加工ステップとを備えることを特徴としている。
そして、本件発明のオイルリング本体の製造方法は、前記リング状スペーサの外周部は、オイルリング本体と当該リング状スペーサとを交互に配して密着させて整列固定させたときに、当該オイルリング本体の備える第1レールとの間に空隙としての第1空間領域及び第2レールとの間に空隙としての第2空間領域を形成できるようリング状スペーサの中心部厚さよりも薄い厚さとした薄層外周縁端部を備えるものであることが好ましい。
また、本件発明のオイルリング本体の製造方法は、前記リング状スペーサは、その中心部厚さをA、前記リング状スペーサの薄層外周縁端部の厚さをBとしたとき、B/A≧2の関係を備えるものであることが好ましい。
また、本件発明のオイルリング本体の製造方法は、当該オイルリング本体を構成する第1レール及び第2レールの外周面の研磨部材との接触領域の治具の回転軸方向の長さをX、第1空間領域及び第2空間領域の治具の回転軸方向の最大長さをYとしたとき、Y/X=1〜4の範囲であることが好ましい。
また、本件発明のオイルリング本体の製造方法は、前記第1空間領域及び第2空間領域の治具の回転軸の径方向最大深さをZとしたとき、前記Xとの関係がZ/X≧1であることが好ましい。
また、本件発明のオイルリング本体の製造方法は、前記研磨部材は、バフ、弾性砥石、若しくは、硬質粒子としてアルミナ粒子又は炭化珪素粒子を分散させた部材であることが好ましい。
また、本件発明のオイルリング本体の製造方法は、前記R加工ステップにおいて、前記研磨部材を回転させるものであることが好ましい。
また、本件発明のオイルリング本体の製造方法は、前記R加工ステップにおいて、オイルリング本体とリング状スペーサとを整列固定させた密着体を維持し、当該密着体を当該回転軸方向にスライド移動又は揺動させるものであることが好ましい。
本件発明のオイルリング本体の製造方法では、当該オイルリング本体と、このオイルリング本体と同一径のリング状スペーサとを交互に配し、シリンダ軸方向からみて、当該オイルリング本体を構成する第1レール及び第2レールと当該リング状スペーサとを密着させて、その外周が略真円となるように治具の回転軸に整列固定させる配列ステップと、当該オイルリング本体を構成する第1レール及び第2レールと当該リング状スペーサの外周面に研磨部材を押圧した状態で、オイルリング本体と当該リング状スペーサとを交互に整列固定した当該回転軸を駆動させ、当該第1レール及び第2レールのシリンダライナ内壁面と接触する外周摺動面の接触領域の円周端部を面取り加工するR加工ステップとを備えるように設定したものである。
また、本件発明のオイルリング本体の製造方法において、リング状スペーサは、その中心部厚さをA、前記リング状スペーサの薄層外周縁端部の厚さをBとしたとき、B/A≧2の関係を備え、当該オイルリング本体を構成する第1レール及び第2レールの外周面の研磨部材との接触領域の治具の回転軸方向の長さをX、第1空間領域及び第2空間領域の治具の回転軸方向の最大長さをYとしたとき、Y/X=1〜4の範囲で、前記第1空間領域及び第2空間領域の治具の回転軸の径方向最大深さをZとしたとき、前記Xとの関係がZ/X≧1となるように設定している。
オイルリング本体の製造方法を、上述の設定条件を具備したものとすることにより、オイルリング摺動面にオイルを導入し易くなり、且つ、非常に薄い油膜を形成することが可能となるため、オイル導入部においても摺動油圧が発生し易くなる。その結果、オイルリングとシリンダライナ内壁面との摩擦力を低減することが可能となる。また、オイルリング本体のシリンダ内壁面との摺動領域を最適となる領域に安定して形成することが可能となるため、レール部に形成される面取り部のオイル導入性向上作用が、レール部のシリンダライナとの接触領域の高面圧化を低減させ、結果としてオイル消費を増大させることなく摩擦力を低減させることができる。
次に本件発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1及び図2には、本件発明の実施の形態に係る2ピース形オイルリング本体が備えるレール部の外周摺動面をシリンダ軸方向で切断したときの断面図を示す。図1には、本件発明に係るオイルリング1の断面図を示し、図2には、図1におけるa部を拡大したものを示している。
図1に示すように、本実施の形態に係るオイルリング1は、シリンダ軸方向の断面でみてウエブ4と当該ウエブを挟んだ両側の第1レール部5と第2レール部6とで構成されるオイルリング本体2と、当該オイルリング本体2の内周側に配置されるコイルエキスパンダ3とからなる。オイルリング本体2が備える第1レール部5及び第2レール部6の外周摺動領域は、図2において「D」で示した領域である。図2には、図1におけるa部を拡大したものである。本件発明のオイルリング本体2に構成されるレール部5,6は、その外周摺動領域Dに、シリンダ軸方向断面でみたときに中央付近の略直線部分Xと、当該略直線部分の両側に形成される曲線部分(D1,D2領域)とが形成される。図1及び図2に示すように、オイルリング本体2の第1レール部5及び第2レール部6の外周摺動領域Dに、シリンダ軸方向断面でみたときに略直線部分Xと曲線部分(D1,D2領域)とを形成することにより、オイル消費を増大させずにシリンダ内壁面との間の摩擦力を低減させる効果を効果的に得ることができる。また、内燃機関の使用の条件によっては、第1レール部と第2レール部とで当該外周摺動領域の曲線部分(D1,D2領域)の長さをそれぞれ変えることにより、更にオイル消費量及びシリンダ内壁面に対する摩擦力の低減化を図ることができることとなる。
図3は、本件発明の実施の形態に係るオイルリング本体の製造方法の一例を示したものである。なお、図3には、オイルリング本体2とリング状スペーサ11とをそれぞれ交互に配し、シリンダ軸方向からみて、当該オイルリング本体を構成する第1レール及び第2レールと当該リング状スペーサとを密着させて、その外周が略真円となるように治具21の回転軸22に整列固定させたときのオイルリング本体及びリング状スペーサの断面及び外観の両方の状態を示している。図3より、オイルリング本体加工装置20は、オイルリング本体セット用の治具21を含み、当該治具21の一端側は回転装置23に接続され、その他端側が軸受け24によって支持され、回転装置23により当該治具21が回転させられる構造となっている。
オイルリング本体セット用の治具21に、複数のオイルリング本体2と当該オイルリング本体と同一径のリング状スペーサ11とを交互に配置して、オイルリング本体2の外周がオイルリングセット用の治具21の回転軸L方向からみて略真円となるように絞った状態に合口部を拘束して固定する。このとき、オイルリング本体2とリング状スペーサ11とを同一径とすることで、治具21に複数配置されているオイルリング本体の外周面を全て同一曲面上に整列固定することができる。また、複数のオイルリング本体について、R加工を同時に施すことができる。そして、図2に示すような、オイルリング本体が備える第1レール部及び第2レール部の外周摺動領域のシリンダ軸方向の断面でみて両端部に、曲線部分(D1,D2領域)を形成するには、リング状スペーサ11と交互に密着させて配置したオイルリング本体2を回転装置23により回転させ、当該オイルリング本体の外周摺動面にバフまたは弾性砥石30を当接させて一定の圧力を加えた状態で、オイルリング本体セット用の治具21の軸方向Lに平行に移動あるいは揺動させることで形成することができる。
なお、図3において、バフまたは弾性砥石30をオイルリング本体2の外周摺動面に当接させた状態を示したが、これらをオイルリング本体セット用の治具21の回転軸Lと直交又は平行となる軸に固定して回転させることで、オイルリング本体の外周摺動領域にR加工を施すこともできる。また、この場合にも、バフまたは弾性砥石30を、当該治具軸方向に移動あるいは揺動させてR加工することができる。更に、バフや弾性砥石の代わりにアルミナや炭化ケイ素を硬質粒子として分散させたものを研磨材として用いることもできる。
オイルリング本体が備える第1レール及び第2レールの外周摺動領域の形状について、シリンダ軸方向断面でみて曲線部分の形状、あるいは、当該曲線部分のシリンダ軸方向長さD1,D2は、R加工時間、弾性砥石の硬さや押圧力等を変えることにより任意に設定することが可能である。更に、オイルリング本体セット用の治具21を回転軸L方向に移動させながら、当該治具に配列されたオイルリング本体2を揺動させれば、短時間で第1レール部及び第2レール部の外周摺動領域にR加工を施すことができる。
また、図4及び図5には、本件発明に係るオイルリング本体の製造方法で用いるリング状スペーサの形状についての一例を示している。図4に示すリング状スペーサの形状は治具回転軸L方向断面でみて凸形状であり、図5に示すリング状スペーサの形状は治具回転軸L方向断面でみて突出部がR形状となっている。ここでは、リング状スペーサの形状を治具回転軸L方向断面でみて凸形状及び突出部がR形状のものを示したが、これらの形状に限定されるものではない。図4及び図5において、例えば、オイルリング本体2を整列固定する場合において、第1レール部5と第2レール部6との間の距離S1と、リング状スペーサ11の突出部Pを挟んだ両側の空隙幅Y1とY2との長さを等しくすることで、各レールの外周摺動部の形状を対称形状にR加工することができる。当該第1レール及び第2レールの外周摺動面の形状を任意に設定することが可能となることで、オイル消費量の削減と燃費低下防止の双方の目的を同時に達成させることができることとなる。
また、リング状スペーサ11の形状を変更することで、オイルリング本体2の第1レール部5及び第2レール部6の外周摺動部の形状を非対称形状にR加工することもできる。具体的には、当該オイルリング本体の備える第1レール部との間に空隙として形成される第1空間領域と、第2レール部との間に空隙として形成される第2空間領域との治具回転軸方向の当該レール部外周側長さY1、Y2の長さを変更することにより、第1レール及び第2レールの外周摺動領域の形状について、シリンダ軸方向断面でみて曲線部分の形状を任意に設定することができる。
本件発明に係るオイルリング本体の製造方法に用いられるリング状スペーサの形状は、治具回転軸L方向断面でみて、その中心部厚さをA、前記リング状スペーサの薄層外周縁端部の厚さをBとしたとき、B/A≧2の関係を備えるものであることが好ましい。B/Aが2未満となると、オイルリング本体の備える第1レール部との間に空隙として形成される第1空間領域と、第2レール部との間に空隙として形成される第2空間領域の治具回転軸L方向の長さが短くなり、当該第1レール部及び第2レール部の端に形成される曲面形状の曲率半径rがシリンダ軸方向断面でみて小さくなるため、オイルリングのシリンダ内壁面に対する摩擦力が増大してしまう。
また、本件発明に係るオイルリング本体の製造方法に用いられるリング状スペーサの形状は、当該オイルリング本体を構成する第1レール及び第2レールの外周面の研磨部材との接触領域の治具の回転軸方向の長さをX、前記第1空間領域及び第2空間領域の治具の回転軸方向の最大長さをYとしたとき、Y/X=1〜4の範囲であることが好ましい。ここで、Y/Xが1未満の場合は、オイルリング本体の備える第1レール部との間に空隙として形成される第1空間領域と、第2レール部との間に空隙として形成される第2空間領域との治具回転軸L方向の長さが短くなり、当該第1レール部及び第2レール部の端に形成される曲面形状の曲率半径rがシリンダ軸方向断面でみて小さくなるため、オイルリングのシリンダ内壁面に対する摩擦力が増大してしまう。また、Y/Xが4を超える場合には、リング状スペーサの治具回転軸L方向厚さが厚くなり、治具にオイルリング本体を配置可能な数量が減小するため、オイルリング本体の加工工数が増大してしまう。
また、本件発明に係るオイルリング本体の製造方法に用いられるリング状スペーサの形状は、前記第1空間領域及び第2空間領域の治具の回転軸の径方向最大深さをZとしたとき、前記Xとの関係がZ/X≧1であることが好ましい。ここで、Z/Xが1未満の場合は、オイルリング本体の備える第1レール部との間に空隙として形成される第1空間領域と、第2レール部との間に空隙として形成される第2空間領域の深さが浅くなり、当該第1レール部及び第2レール部の端に形成される曲面形状の曲率半径rがシリンダ軸方向断面でみて小さくなるため、オイルリングのシリンダ内壁面に対する摩擦力が増大してしまう。
上述したように、リング状スペーサの形状を設定することで、オイル消費量の削減と燃費低下防止の双方の目的を同時に達成させることができるオイルリング本体を得ることができる。
以下、実施例及び比較例を示して本件発明を具体的に説明していく。なお、本件発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例において、本件発明に係るオイルリング本体の製造方法で用いるリング状スペーサのオイルリング本体を配列した状態における寸法は、以下に示す通りである。なお、当該オイルリング本体は、軸方向高さh1が2.0mm、径方向厚さa1が2.75mmの寸法のものをトータルで40〜50個用いた。また、オイルリング本体が備える第1レール部と第2レール部とは同一形状であり、オイルリング本体の備える第1レール部との間に空隙として形成される第1空間領域と、第2レール部との間に空隙として形成される第2空間領域とも同一空間領域のものとした。これら寸法及び数量に関しては以下に述べる比較例1〜比較例5についても同じ寸法、数量のものとした。
リング状スペーサの中心部厚さA :0.82mm
リング状スペーサの薄層外周縁端部の厚さB :2.02mm
レール部の治具回転軸方向の長さX :0.183mm〜0.193mm
空間領域の治具の回転軸方向の最大長さY1 :0.60mm
空間領域の深さZ :0.40mm
以下の試験で用いるオイルリング本体を製造するにあたり、当該オイルリング本体と同一径のリング状スペーサとをオイルリング本体セット用治具に交互に配列して当該オイルリング本体の外周が略真円になるように絞った状態に当該治具を用いて両端を拘束して固定した。このとき、治具に整列固定したオイルリング本体の配置は、第1空間領域と第2空間領域の当該治具の回転軸方向最大長さをそれぞれ変えるためにリング状スペーサの形状が異なるものを用意した。そして、当該治具に整列固定したオイルリング本体を回転装置により、300rpmで回転させ、オイルリング本体及びリング状スペーサの外周摺動面に対して弾性砥石を1500rpmで回転させながら50Nの荷重で押圧した状態で研磨加工を施し、オイルリング本体を構成する第1レール部及び第2レール部の摺動面の摺動方向両端側にR加工を施した。
このように、リング状スペーサの形状が異なるものを用いることで、R加工を施すにあたり、当該リング状スペーサの形状がオイルリング本体の外周摺動領域の形状にどのような影響を及ぼすかについて確認を行った。以下に、この確認をした結果を示す。オイルリングのレール部の外周摺動領域における、シリンダ軸方向断面でみて曲線部分のシリンダ軸方向長さとオイルリング本体の備える第1レール部との間に空隙として形成される第1空間領域と、第2レール部との間に空隙として形成される第2空間領域のシリンダ軸方向長さとの関係を確認するための試験を実施し、得られた結果を図6に示す。
図6には、本件発明に係るオイルリング本体のR加工ステップにおいて、実施例は、リング状スペーサの形状が、当該オイルリング本体と同一径で、且つ、治具回転軸L方向断面でみたときに凸形状となり、その中心部厚さをA、前記リング状スペーサの薄層外周縁端部の厚さをBとしたときにB/Aが2.46となるものを使用した。また、実施例のリング状スペーサは、R加工を施した後のオイルリング本体とリング状スペーサとを治具に整列固定した状態において、オイルリング本体を構成する第1レール及び第2レールの外周面の研磨部材との接触領域の治具の回転軸方向の長さをX、第1空間領域及び第2空間領域の治具の回転軸方向の最大長さをYとしたときにY/Xが3.11〜3.28となり、オイルリング本体とリング状スペーサとの間に形成される第1空間領域及び第2空間領域の治具の回転軸の径方向最大深さをZとしたときに、Z/Xが2.07〜2.19となった。なお、図6には、後述する比較例1〜比較例5についても合わせて記載している。ここで、スペーサの形状とオイルリング本体の外周摺動面のR部長さの関係を確認するにあたり、全てのオイルリング本体は同一形状のものを使用した。
図6は、R加工処理の際に、上述したリング状スペーサの形状及び寸法がオイルリング本体の外周摺動面の形状にどのような影響を及ぼすのかについて確認した結果を示している。この図6に示す結果より、実施例に示すオイルリング本体と同一径であって、上述した形状のリング状スペーサを使用した場合は、R加工処理でオイルリング本体のレール部摺動面に形成されるR形状部のシリンダ軸方向長さ(図2に示すD1、D2)が平均4μmとなり、また、バラツキも3μm〜5μmの範囲内で殆ど生じないことが分かった。
比較例
[比較例1]
オイルリング本体のR加工処理の際に、上述したリング状スペーサの形状及び寸法がオイルリング本体の外周摺動面の形状にどのような影響を及ぼすのかの確認において、リング状スペーサを使用しない場合を比較例1とした。なお、比較例1において、本件発明に係るオイルリング本体の製造方法で用いるリング状スペーサのオイルリング本体を配列した状態における寸法は、以下に示す通りである。
レール部の治具回転軸方向の長さX :0.191mm〜0.214mm
図6は、R加工処理の際に、リング状スペーサの形状及び寸法がオイルリング本体の外周摺動面の形状にどのような影響を及ぼすのかについて確認した結果を示している。この図6に示す結果より、リング状スペーサを使用しない比較例1は、R加工処理でオイルリング本体のレール部摺動面に形成されるR形状部のシリンダ軸方向長さ(図2に示すD1、D2)が平均2μmとなり、また、バラツキも1μm〜3μmの範囲内で殆ど生じないことが分かった。
[比較例2]
オイルリング本体のR加工処理の際に、上述したリング状スペーサの形状及び寸法がオイルリング本体の外周摺動面の形状にどのような影響を及ぼすのかについて確認した結果、比較例2は、リング状スペーサの形状が、当該オイルリング本体より小さな径のものを使用した。なお、比較例2において、本件発明に係るオイルリング本体の製造方法で用いるリング状スペーサのオイルリング本体を配列した状態における寸法は、以下に示す通りである。
リング状スペーサの薄層外周縁端部の厚さB :2.02mm
レール部の治具回転軸方向の長さX :0.147mm〜0.172mm
空間領域の深さZ :0.40mm
図6には、本件発明に係るオイルリング本体のR加工ステップにおいて、比較例2は、リング状スペーサの形状が、当該オイルリング本体より小さい径で、且つ、治具回転軸L方向断面でみて、リング径方向高さがオイルリング本体より0.4mm低く突出部がなく、前記リング状スペーサの薄層外周縁端部の厚さBが2.02mmのものを使用した。また、R加工を施した後のオイルリング本体とリング状スペーサとを治具に整列固定した状態において、オイルリング本体を構成する第1レール及び第2レールの外周面の研磨部材との接触領域の治具の回転軸方向の長さをX、オイルリング本体とリング状スペーサとの間に形成される第1空間領域及び第2空間領域の治具の回転軸の径方向最大深さをZとしたときに、Z/Xが2.33〜2.72となった。
図6は、R加工処理の際に、リング状スペーサの形状及び寸法がオイルリング本体の外周摺動面の形状にどのような影響を及ぼすのかについて確認した結果を示している。この図6に示す結果より、比較例2は、当該R加工処理でオイルリング本体のレール部摺動領域に形成されるR形状部のシリンダ軸方向長さ(図2に示すD1、D2)が平均14μmとなり、また、7μm〜20μmの範囲内でバラツキが生じることが分かった。
[比較例3]
オイルリング本体のR加工処理の際に、上述したリング状スペーサの形状及び寸法がオイルリング本体の外周摺動面の形状にどのような影響を及ぼすのかについて確認した結果、比較例3は、リング状スペーサの形状が、当該オイルリング本体と同一径で、且つ、治具回転軸L方向断面でみて凸形状のものを使用した。なお、比較例3において、本件発明に係るオイルリング本体の製造方法で用いるリング状スペーサのオイルリング本体を配列した状態における寸法は、以下に示す通りである。
リング状スペーサの中心部厚さA :1.02mm
リング状スペーサの薄層外周縁端部の厚さB :2.82mm
レール部の治具回転軸方向の長さX :0.165mm〜0.197mm
空間領域の治具の回転軸方向の最大長さY1 :0.9mm
空間領域の深さZ :0.4mm
図6には、本件発明に係るオイルリング本体のR加工ステップにおいて、比較例3は、リング状スペーサの形状が、当該オイルリング本体と同一径で、且つ、治具回転軸L方向断面でみて、その中心部厚さをA、前記リング状スペーサの薄層外周縁端部の厚さをBとしたときにB/Aが2.76となるものを使用した。また、比較例3のリング状スペーサは、R加工を施した後のオイルリング本体とリング状スペーサとを治具に整列固定した状態において、オイルリング本体を構成する第1レール及び第2レールの外周面の研磨部材との接触領域の治具の回転軸方向の長さをX、第1空間領域及び第2空間領域の治具の回転軸方向の最大長さをYとしたときにY/Xが4.57〜5.45となり、オイルリング本体とリング状スペーサとの間に形成される第1空間領域及び第2空間領域の治具の回転軸の径方向最大深さをZとしたときに、Z/Xが2.54〜3.03となった。
図6は、R加工処理の際に、リング状スペーサの形状及び寸法がオイルリング本体の外周摺動面の形状にどのような影響を及ぼすのかについて確認した結果を示している。この図6に示す結果より、比較例3は、当該R加工処理でオイルリング本体のレール部摺動領域に形成されるR形状部のシリンダ軸方向長さ(図2に示すD1、D2)が平均10μmとなり、また、7μm〜12μmの範囲内でバラツキが生じ、オイルリング本体を形成する第1レール及び第2レールの外周面にR加工処理を施してもオイル導入性向上に伴うシリンダライナに対する摩擦力の低減効果が安定して得られないことが分かった。
[比較例4]
オイルリング本体のR加工処理の際に、上述したリング状スペーサの形状及び寸法がオイルリング本体の外周摺動面の形状にどのような影響を及ぼすのかについて確認した結果、比較例4は、リング状スペーサの形状が、当該オイルリング本体と同一径で、且つ、治具回転軸L方向断面でみて凸形状のものを使用した。なお、比較例4において、本件発明に係るオイルリング本体の製造方法で用いるリング状スペーサのオイルリング本体を配列した状態における寸法は、以下に示す通りである。
リング状スペーサの中心部厚さA :0.62mm
リング状スペーサの薄層外周縁端部の厚さB :1.22mm
レール部の治具回転軸方向の長さX :0.184mm〜0.201mm
空間領域の治具の回転軸方向の最大長さY1 :0.3mm
空間領域の深さZ :0.4mm
図6には、本件発明に係るオイルリング本体のR加工ステップにおいて、比較例4は、リング状スペーサの形状が、当該オイルリング本体と同一径で、且つ、治具回転軸L方向断面でみて、その中心部厚さをA、前記リング状スペーサの薄層外周縁端部の厚さをBとしたときにB/Aが1.97となるものを使用した。また、比較例4のリング状スペーサは、R加工を施した後のオイルリング本体とリング状スペーサとを整列固定した状態において、オイルリング本体を構成する第1レール及び第2レールの外周面の研磨部材との接触領域の治具の回転軸方向の長さをX、第1空間領域及び第2空間領域の治具の回転軸方向の最大長さをYとしたときにY/Xが1.49〜1.96となり、オイルリング本体とリング状スペーサとの間に形成される第1空間領域及び第2空間領域の治具の回転軸の径方向最大深さをZとしたときに、Z/Xが1.99〜2.17となった。
図6は、R加工処理の際に、リング状スペーサの形状及び寸法がオイルリング本体の外周摺動面の形状にどのような影響を及ぼすのかについて確認した結果を示している。この図6に示す結果より、比較例4は、当該R加工処理でオイルリング本体のレール部摺動領域に形成されるR形状部のシリンダ軸方向長さ(図2に示すD1、D2)が平均3μmとなり、また、1μm〜5μmの範囲内でバラツキも殆ど生じないことが分かった。
[比較例5]
オイルリング本体のR加工処理の際に、上述したリング状スペーサの形状及び寸法がオイルリング本体の外周摺動面の形状にどのような影響を及ぼすのかについて確認した結果、比較例5は、図5に示す如くリング状スペーサの形状が、当該オイルリング本体と同一径で、且つ、治具回転軸L方向断面でみて突出部の形状がR形状のものを使用した。なお、比較例5において、本件発明に係るオイルリング本体の製造方法で用いるリング状スペーサのオイルリング本体を配列した状態における寸法は、以下に示す通りである。
リング状スペーサの薄層外周縁端部の厚さB :3.50mm
レール部の治具回転軸方向の長さX :0.144mm〜0.196mm
空間領域の治具の回転軸方向の最大長さY1 :1.75mm
空間領域の深さZ :0.4mm
図6には、本件発明に係るオイルリング本体のR加工ステップにおいて、比較例5は、リング状スペーサの形状が、当該オイルリング本体と同一径で、且つ、治具回転軸L方向断面でみて、その中心部厚さをA、前記リング状スペーサの薄層外周縁端部の厚さをBとしたときにB/Aが2以上となるものを使用した。また、比較例5のリング状スペーサは、R加工を施した後のオイルリング本体とリング状スペーサとを整列固定した状態において、オイルリング本体を構成する第1レール及び第2レールの外周面の研磨部材との接触領域の治具の回転軸方向の長さをX、第1空間領域及び第2空間領域の治具の回転軸方向の最大長さをYとしたときにY/Xが8.93〜12.15となり、オイルリング本体とリング状スペーサとの間に形成される第1空間領域及び第2空間領域の治具の回転軸の径方向最大深さをZとしたときに、Z/Xが2.04〜2.78となった。
図6は、R加工処理の際に、リング状スペーサの形状及び寸法がオイルリング本体の外周摺動面の形状にどのような影響を及ぼすのかについて確認した結果を示している。この図6に示す結果より、比較例5は、当該R加工処理でオイルリング本体のレール部摺動領域に形成されるR形状部のシリンダ軸方向長さ(図2に示すD1、D2)が平均7μmとなり、また、3μm〜10μmの範囲内で若干のバラツキが生じていることが分かった。
[実施例と比較例との対比]
以上の実施例及び比較例で得られたデータに基づき、以下に実施例と比較例1〜比較例5とを対比した結果を述べる。オイルリング本体にR加工を施す際にリング状スペーサを使用しない比較例1は、実施例と比してオイルリング本体のレール部摺動面に形成されるR形状部のシリンダ軸方向長さ(図2に示すD1、D2)が短く、当該レール部摺動面に形成されるR形状部の曲率半径rは小さなものしか得られないことが分かった。また、第1空間領域及び第2空間領域の治具回転軸L方向長さ(Y1、Y2)が短い比較例4も、オイルリング本体のレール部摺動面に形成されるR形状部のシリンダ軸方向平均長さ(図2に示すD1、D2)が短く、当該レール部摺動面に形成されるR形状部の曲率半径rはバラツキの範囲内において小さくなる場合があることが分かった。そして、第1空間領域及び第2空間領域の治具回転軸L方向長さ(Y1、Y2)が長いリング状スペーサを使用した比較例2、比較例3、比較例5は、実施例と比してオイルリング本体のレール部摺動面に形成されるR形状部のシリンダ軸方向平均長さ(図2に示すD1、D2)が長く、且つ、当該レール部摺動面に形成されるR形状部の形状のバラツキが大きくなることが分かった。
また、リング状スペーサの形状が、当該オイルリング本体と同一径で、且つ、治具回転軸L方向断面でみて、その中心部厚さをA、前記リング状スペーサの薄層外周縁端部の厚さをBとしたときに、比較例3はB/Aが2以上であったが実施例に比してR形状部の曲率半径rは大きくなり、オイルリング本体を構成する第1レール及び第2レールの外周面の研磨部材との接触領域となるシリンダ軸方向断面でみたときの略直線部分Xが短くなり、オイルリングのシリンダライナ内壁面に対する面圧が大きくなってしまうため好ましくない。一方、比較例4は、B/Aが2未満となりR形状部の曲率半径rが実施例と比べて小さく、R加工をを施した効果が得られないため好ましくない。
また、オイルリング本体と同一径のリング状スペーサを使用して、オイルリング本体を構成する第1レール及び第2レールの外周面の研磨部材との接触領域の治具の回転軸方向の長さをX、第1空間領域及び第2空間領域の治具の回転軸方向の最大長さをYとしたときにY/Xが4を超える比較例2、比較例3、比較例5は、オイルリング本体のレール部摺動面に形成されるR形状部の曲率半径rが、実施例と比べて大きいことが分かった。しかし、Y/Xが4を超える条件となるリング状スペーサを用いると、オイルリング本体セット用治具に整列固定できるオイルリング本体の数量が減ってしまうため、R加工を施す際の工数が増大して経済的ではない。
また、オイルリング本体とリング状スペーサとの整列固定時において、オイルリング本体とリング状スペーサとの間に形成される第1空間領域及び第2空間領域の治具の回転軸の径方向最大深さをZとしたときに、Z/Xが1未満に相当する比較例1のR形状部の曲率半径rは、実施例と比べて小さく、R加工を施した効果が得られないため好ましくない。
本件発明に係る内燃機関用オイルリングは、あらゆる内燃機関に適用可能なものであり、このオイルリングを用いることで、オイル消費量を確実に削減することができると共に燃費の低減を防ぐことができるため、資源の有効利用、環境負荷を低減化するという観点から好ましい。
本件発明に係るオイルリング本体及び当該オイルリングの内周に配置されるコイルエキスパンダのシリンダ軸方向からみた断面図である。
図1におけるA部の軸方向及び半径方向に等倍したときの拡大図である。
本件発明に係るオイルリング本体の外周摺動面のR加工を施す際に用いられるオイルリング本体加工装置の断面構成図である。
本件発明の整列固定ステップにおける、オイルリング本体とリング状スペーサの配置例及びリング状スペーサの形状が治具の回転軸方向の断面でみて凸形状の場合を示す模式図である。
本件発明の配列ステップにおける、オイルリング本体とリング状スペーサの配置例及びリング状スペーサの形状が治具の回転軸方向の断面でみてR形状の場合を示す模式図である。
本件発明の配列ステップにおけるリング状スペーサの形状とR加工ステップにおけるオイルリング本体の備える第1レール部又は第2レール部のシリンダ軸方向R部長さとの関係を示すグラフである。
符号の説明
1 2ピースオイルリング
2 オイルリング本体
3 レール部
4 ウエブ
5 第1レール部
6 第2レール部
11 リング状スペーサ
20 加工装置
21 固定治具
22 セット治具
23 回転装置
24 軸受け
30 バフまたは弾性砥石
A リング状スペーサの中心部厚さ
B リング状スペーサの薄層外周縁端部の厚さ
D 外周摺動領域
X レール部の治具回転軸方向の長さ
Y 空間領域の治具の回転軸方向の最大長さ
Z 空間領域の深さ
T 荷重
a1 オイルリング本体幅
h1 オイルリング本体高さ