JP4999879B2 - 太陽光発電システム、太陽電池モジュールの不良検出方法 - Google Patents

太陽光発電システム、太陽電池モジュールの不良検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、太陽光発電システム、及び、太陽電池モジュールの不良検出方法に関する。
太陽電池を利用した太陽光発電装置は、所定電力(電圧、電流)を得るために太陽電池セルを複数接続した太陽電池モジュールを、さらに複数配設した太陽電池アレイから構成される。そして、この太陽電池アレイで発電された電力を送電ケーブルへ送電する。
ここで、複数の太陽電池モジュールを直列に接続してストリングとし、そのストリングを複数並列に接続して太陽電池アレイ(太陽光発電システム)を構成する場合がある。このストリング毎に送電ケーブルの電線が接続される。そして、送電ケーブルの電線が接続箱で並列接続された後、太陽電池アレイで発電された直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナに入力される。パワーコンディショナにより変換出力された交流電力は、任意の供給先に供給される。例えば、一般の交流負荷に供給されたり、系統連系により電力会社へ売電される。
上述のように、太陽電池モジュールを複数直列に接続したものをストリングとし、そのストリングを並列に接続して構成された太陽光発電システムを公共施設や工場に設置する場合、太陽電池モジュールの総数が数千に及ぶことがある。
このような大型の太陽光発電システムでは、いずれかの太陽電池モジュールが故障した場合、電力発生総量の変化により、故障の有無は知ることができる。しかし、いずれの太陽電池モジュールが故障したかを直ちに判別することはできず、故障した太陽電池モジュールを探し出すのに時間と労力を費やすこととなり、正常な発電量への迅速な回復が困難であった。
このような問題を解決するため、太陽電池モジュール自体に自己診断機能を備えさせ、故障自己診断や、早期回復のための保守作業が実施できるようにした太陽電池診断システムが提案されている(例えば特許文献1)。
また、太陽電池モジュールそれぞれに個別識別情報と温度や出力電力を測定する機能とその測定データ及び個別識別情報を送信する機能とを持たせ、各太陽電池モジュールから送信される個別識別情報及び測定データに基づいて、故障した太陽電池モジュールを検出可能とする太陽光発電装置も提案されている(例えば特許文献2)。
特開平8−64653号公報 特開2004−221479号公報
しかしながら、上述の特許文献1の太陽電池診断システムでは、太陽電池モジュール自体に高度な診断回路を設ける必要があり、構造が複雑化するといった問題が生じる。
また、上述の特許文献2の太陽光発電装置では、太陽電池モジュールにあらかじめ個別識別情報を持たせ、個別識別情報と実際の設置場所とを対応させるため、太陽電池モジュール設置時に、その対応関係情報を記憶させておく必要がある。そのため、施工性が悪く、太陽電池モジュールを交換した場合などのメンテナンスも複雑化するといった問題が生じる。
この発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、個々の太陽電池モジュールの状態を容易にかつ迅速に判別することができる太陽光発電システム、及び、太陽電池モジュールの不良検出方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の太陽光発電システムは、相互に直列に段を成して結合された複数の太陽電池モジュールと、前記各段の太陽電池モジュールが発電した電力を伝送する送電ケーブルと、前記各段の太陽電池モジュールに対応して配置され、対応する前記太陽電池モジュールが発電した電力により動作する周波数信号出力回路と、第2段以降の前記太陽電池モジュールに対応して配置される分周器と、前記送電ケーブルに出力された周波数信号を検出することにより、発電していない太陽電池モジュールを検出する不良検出器と、を備え、最終段以外の前記太陽電池モジュールに対応して配置される前記周波数信号出力回路は、所定の周波数の周波数信号を次段の前記太陽電池モジュールが接続された前記送電ケーブルに出力し、第2段以降で且つ最終段以外の前記太陽電池モジュールに対応して配置される前記分周器は、前記送電ケーブルに出力された前記周波数信号を受けて、所定の分周比で分周し、分周した周波数信号を次段の太陽電池モジュールに接続された前記送電ケーブルに出力し、最終段の前記太陽電池モジュールに対応して配置される前記周波数信号出力回路は、所定の周波数の周波数信号を前記不良検出器が接続された前記送電ケーブルに出力し、最終段の前記太陽電池モジュールに対応して配置される前記分周器は、前記送電ケーブルに出力された前記周波数信号を受けて、所定の分周比で分周し、分周した周波数信号を前記不良検出器が接続された前記送電ケーブルに出力する、ことを特徴とする。
本発明によれば、太陽電池モジュールの状態を容易にかつ迅速に判別できるようになる。
この発明の実施の形態1に示す太陽光発電システムの回路図である。 不良検出器の構成例を示す図である。 参考例における太陽光発電システムの回路図である。 参考例における太陽光発電システムの変形例の回路図である。
実施の形態1.
まず、この発明の実施の形態1における太陽光発電システム10について説明する。図1はこの発明の実施の形態1における太陽光発電システム10の回路図である。図1に示すように、太陽光発電システム10は、太陽電池モジュール1A、1B、1Cと、パワーコンディショナ2と、不良検出器3と、送電ケーブル4と、交流信号重畳器5A、5B、5Cと、分周器6B、6Cと、交流信号カットコイル7と、から構成される。
太陽電池モジュール1A、1B、1Cは、太陽電池素子8と、バイパスダイオード9と、から構成される。太陽電池素子8とバイパスダイオード9とは、太陽電池モジュール1A、1B、1C内で並列に接続される。太陽電池素子8は、太陽光を受けて発電を行う。バイパスダイオード9は、太陽電池素子8が故障するなどの原因で発電できなくなったときに、太陽電池8をバイパスし、太陽電池モジュール1(1A、1B、1C)に入力される電流を迂回して流す。
送電ケーブル4は、太陽電池モジュール1A、1B、1Cが発電する電力をパワーコンディショナ2に伝送する。
この実施の形態において、交流信号重畳器5A、5B、5Cは本発明の周波数信号出力回路を構成する。交流信号重畳器5A、5B、5Cは、それぞれ太陽電池モジュール1A、1B、1Cが発電する電力で動作するように、それぞれの電源端子が、太陽電池モジュール1A、1B、1Cの両端(陰極及び陽極)に接続されている。交流信号重畳器5A、5B、5Cは、次段の太陽電池モジュールまたはパワーコンディショナ2に接続される送電ケーブル4上に互いに同一の周波数(例えば50Hz)の交流信号を出力することにより、送電ケーブル4で伝送される電力に交流信号を重畳させる。
即ち、交流信号重畳器5Aは、太陽電池モジュール1Aが発電する電力で動作し、太陽電池モジュール1Aと太陽電池モジュール1Bとの間の送電ケーブル4上の点(ノード)A’に、所定の周波数の交流信号を重畳させる。交流信号重畳器5Bは、太陽電池モジュール1Bが発電する電力で動作し、太陽電池モジュール1Bと太陽電池モジュール1Cとの間の送電ケーブル4上の点B’に、交流信号重畳器5Aと同一の周波数の交流信号を重畳させる。交流信号重畳器5Cは、太陽電池モジュール1Cが発電する電力で動作し、太陽電池モジュール1Cとパワーコンディショナ2との間の送電ケーブル4上の点C’に、交流信号重畳器5A及び交流信号重畳器5Bと同一の周波数の交流信号を重畳させる。
分周器6B、6Cは第1段の太陽電池モジュール1A以外、即ち、第2段以降の太陽電池モジュール1B、1Cに対応して設けられる。分周器6B、6Cは、入力された交流信号を所定の分周比(この実施の形態では1/2)で分周する。即ち、分周器6Bは、前段の交流信号重畳器5Aが出力した交流信号を所定の分周比で分周する。分周器6Cは、前段の交流信号重畳器5Bが出力した交流信号及び前段の分周器6Bが分周した交流信号を所定の分周比で分周する。具体的には、分周器6Bは交流信号重畳器5Aが出力した交流信号を1/2に分周し、分周器6Cは分周器6Bが分周した交流信号と交流信号重畳器5Bが出力した交流信号とを1/2に分周する。この実施の形態においては、交流信号重畳器5A、5B、5C及び分周器6B、6Cが、本発明の信号重畳部を構成する。
また、分周器6B、6Cは、全ての太陽電池モジュール1A、1B、1Cが発電する総和の電力で動作するように接続される。具体的には、分周器6Bのプラス(+)の電源端子が太陽電池モジュール1Cの陽極側の送電ケーブル4に接続される。分周器6Cのプラス(+)の電源端子が太陽電池モジュール1Cの陽極側の送電ケーブル4に接続される。また、分周器6B、6Cのマイナス(−)の電源端子は接地される。即ち、全ての太陽電池モジュール1A、1B、1Cが故障などで発電できなくならない限り分周を行うことができるように接続されている。
パワーコンディショナ2は、太陽電池モジュール1A、1B、1Cが発電した直流電力を送電ケーブル4を介して受け付けて、所定周波数(例えば、商用電源周波数)の交流電力に変換する。そして、パワーコンディショナ2は、変換した交流電力を任意の供給先(例えば、一般の交流負荷や電力会社)に提供する。このようにパワーコンディショナ2により、太陽電池モジュール1A、1B、1Cが発電した直流電力を交流電力に変換することで、電力を様々な用途に使用可能となる。
不良検出器3は、送電ケーブル4の最後段の太陽電池モジュール1Cとパワーコンディショナ2との間に接続され、送電ケーブル4の送電電力に重畳されている交流信号の周波数成分を検出する。そして、検出した周波数成分に基づいて、各太陽電池モジュール1A、1B、1Cが正常に動作しているか否かを判別する。
不良検出器3は、例えば、図2に示すように、50Hz検出回路31と、25Hz検出回路32と、12.5Hz検出回路33と、制御部34と、報知器35と、カップリングコンデンサCCと、から構成される。各検出回路31〜33は、バンドパスフィルタBP(BP1、BP2、BP3)と、振幅検出器AD(AD1、AD2、AD3)と、コンパレータCP(CP1、CP2、CP3)と、から構成されている。
バンドパスフィルタBPは、それぞれ、目的周波数を中心周波数とする通過帯域を有する。即ち、バンドパスフィルタBP1は、50Hzを中心周波数とする通過帯域を有する。バンドパスフィルタBP2は、25Hzを中心周波数とする通過帯域を有する。バンドパスフィルタBP3は、12.5Hzを中心周波数とする通過帯域を有する。
振幅検出回路ADは、ダイオードD(D1、D2、D3)と、コンデンサC(C1、C2、C3)と、抵抗器R(R1、R2、R3)から構成され、バンドパスフィルタBPを通過した交流信号のピーク電圧(エンベロープ)でコンデンサCを充電する。
コンパレータCPは、コンデンサCの充電電圧を反転入力端子(−)に受け、所定の基準電圧Vrefを非反転入力端子(+)に受け、両入力電圧を比較し、比較結果に相当するレベルの信号を制御部34に出力する。
例えば、入力信号に50Hz、25Hz、12.5Hzの交流信号が混在している場合には、50Hzの交流信号がバンドパスフィルタBP1を通過し、振幅検出回路AD1が、50Hzの交流信号のピーク電圧でコンデンサC1を充電する。コンパレータCP1は、コンデンサC1の充電電圧を反転入力端子(−)に受け、その充電電圧を非反転入力端子(+)に印加される基準電圧Vrefと比較する。基準電圧Vrefは、通常状態(対応する太陽電池モジュールが発電している状態)では、コンデンサCの充電電圧よりも小さくなるような値に設定されている。従って、コンパレータCP1は、上記通常状態では制御部34にローレベルの信号を出力する(ローレベルを維持する)。また、25Hzの交流信号がバンドパスフィルタBP2を通過し、振幅検出回路AD2が、25Hzの交流信号のピーク電圧でコンデンサC2を充電する。コンパレータCP2は、コンデンサC2の充電電圧を反転入力端子(−)に受け、その充電電圧を非反転入力端子(+)に印加される基準電圧Vrefと比較する。上記通常状態では、充電電圧が基準電圧Vrefより大きく、コンパレータCP2は、制御部34にローレベル信号を出力する。また、12.5Hzの交流信号がバンドパスフィルタBP3を通過し、振幅検出回路AD3が、12.5Hzの交流信号のピーク電圧でコンデンサC3を充電する。コンパレータCP3は、コンデンサC3の充電電圧を反転入力端子(−)に受け、その充電電圧を非反転入力端子(+)に印加される基準電圧Vrefと比較する。上記通常状態では、充電電圧が基準電圧Vrefより大きく、コンパレータCP3は、制御部34にローレベル信号を出力する。
一方、対応する周波数の信号の入力が停止すると、コンデンサCの充電電荷が抵抗器Rを介して放電され、充電電圧が低下し、コンパレータCPの反転入力端子(−)の入力電圧が低下する。このため、コンパレータCPの判定入力端子(−)の入力電圧が非反転入力端子(+)に印加される基準電圧Vref以下となり、コンパレータCPはハイレベルの信号を制御部34に出力する。
制御部34は、コンパレータCP1〜CP3からの入力信号を読取可能な形式にエンコードするエンコーダや、CPU(Central Processing Unit)などから構成され、コンパレータCP1〜CP3からの入力信号に応じた処理を実行する。例えば、制御部34は、いずれかのコンパレータCP1〜CP3からハイレベルの信号が出力されると、ハイレベルの信号を出力したコンパレータCP1〜CP3に対応する周波数を特定する。そして、その周波数の交流信号を出力する源となる交流信号重畳器5に電力を提供する太陽電池モジュールの動作が停止していると判別する。即ち、制御部34は、検出できない周波数に対応する太陽電子モジュールを発電を行っていない不良太陽電池モジュールとして検出する。
制御部34は、動作を停止している(故障している)太陽電池モジュールがあると判別した場合に、その太陽電池モジュールを特定する情報を報知器35により報知または表示するなど任意の動作を行う。
カップリングコンデンサCCは、送電ケーブル4からの直流電力を遮断するコンデンサである。
図1の交流信号カットコイル7は、交流信号を遮断する。交流信号カットコイル7は、各太陽電池モジュール1A、1B、1Cに交流信号が入り込まないようにするため、各太陽電池モジュール1A、1B、1Cの陽極側及び陰極側に接続される。
次に、上記構成を有する太陽光発電システム10の動作について説明する。ここでも、交流信号重畳器5A、5B、5Cが出力する交流信号の周波数を50Hz、分周器6B、6Cの分周比を1/2として説明する。
全ての太陽電池モジュール1A、1B、1Cが正常に動作している場合は、全ての太陽電池モジュール1A、1B、1Cの太陽電池素子8による電力が送電ケーブル4に供給される。そして、交流信号重畳器5Aは、太陽電池モジュール1Aから電力が供給され動作する。交流信号重畳器5Bは、太陽電池モジュール1Bから電力が供給され動作する。交流信号重畳器5Cは、太陽電池モジュール1Cから電力が供給され動作する。また、分周器6B、6Cは、全ての太陽電池モジュール1A、1B、1Cにより発電され、分周器6B、6Cのプラス(+)の電源端子から供給される電力により動作する。全ての太陽電池モジュール1A、1B、1Cが発電する電力(直流電力)は、パワーコンディショナ2に入力され、所定周波数の交流電力に変換される。
このとき、送電ケーブル4上の点A’には、交流信号重畳器5Aによって50Hzの交流信号が重畳される。点A’に重畳された50Hzの交流信号は分周器6Bによって1/2に分周され、送電ケーブル4上の点B’では1/2の25Hzとなる。また、点B’には交流信号重畳器5Bによって50Hzの交流信号が重畳されるので、送電ケーブル4上の点B’には50Hz及び25Hzの交流信号が混在することになる。
点B’に混在する50Hz及び25Hzの交流信号は分周器6Cによってそれぞれ1/2に分周され、送電ケーブル4上の点C’では1/2の25Hz及び12.5Hzとなる。そして、点C’には交流信号重畳器5Cによって50Hzの交流信号が重畳されるので、送電ケーブル4上の点C’には50Hz、25Hz、及び12.5Hzの交流信号が混在することになる。
不良検出器3は、これらの混在した交流信号に含まれる周波数成分を検出する。ここでは、50Hz、25Hz、及び12.5Hzの交流信号が検出されるので、不良検出器3は、全ての太陽電池モジュール1A、1B、1Cが正常に動作していると判別する。
次に、例えば、太陽電池モジュール1Bが故障して発電していない場合について説明する。この場合、太陽電池モジュール1A、1Cの太陽電池素子8による電力が送電ケーブル4に供給され、太陽電池モジュール1B内では、バイパスダイオード9を電流が流れる。交流信号重畳器5Bは、太陽電池モジュール1Bから電力が供給されないため動作しない。交流信号重畳器5Aは、太陽電池モジュール1Aから電力が供給され動作する。交流信号重畳器5Cは、太陽電池モジュール1Cから電力が供給され動作する。また、分周器6B、6Cは、太陽電池モジュール1A、1Cによる電力により動作する。太陽電池モジュール1A、1Cによる電力(直流電力)は、パワーコンディショナ2に入力され、所定周波数の交流電力に変換される。
このとき、送電ケーブル4上の点A’には、交流信号重畳器5Aによって50Hzの交流信号が重畳される。点A’に重畳された50Hzの交流信号は分周器6Bによって1/2に分周され、送電ケーブル4上の点B’では1/2の25Hzとなる。このとき、交流信号重畳器5Bは動作しないため、送電ケーブル4上の点B’には25Hzの交流信号のみが存在することになる。
点B’に存在する25Hzの交流信号は分周器6Cによってさらに1/2に分周され、送電ケーブル4上の点C’では1/2の12.5Hzとなる。そして、点C’には交流信号重畳器5Cによって50Hzの交流信号が重畳されるので、送電ケーブル4上の点C’には50Hz及び12.5Hzの交流信号が混在することになる。
不良検出器3は、これらの混在した交流信号の各周波数成分を検出する。ここでは、50Hz及び12.5Hzの2つの周波数成分が検出されることとなる。不良検出器3は、25Hzの周波数が検出できなかったので、2段目の太陽電池モジュール1Bが正常に動作していないと判別する。
このように、全ての太陽電池モジュール1A、1B、1Cの状態(正常(発電中):故障(非発電中))に対応して、送電ケーブル4上の点C’での交流信号成分は下記の表1の通り一意に定まる。従って、点C’での交流信号を検出し、各周波数成分(ここでは50Hz、25Hz及び12.5Hzの3種類の成分)を抽出し、いずれの周波数成分が検出されたか否かを判別することで、正常に動作していない(故障している)太陽電池モジュール1を特定することができる。
Figure 0004999879
○:正常
×:故障
なお、この実施の形態1では、太陽電池モジュール1が3つ結合された例について説明したが、この数は複数であれば任意である。例えば、太陽電池モジュール1がN個(N段)結合された場合(Nは2以上の整数)、交流信号重畳器5は太陽電池モジュール1に対応してN個設けられ、対応する太陽電池モジュール1が発電する電力により動作するように、交流信号重畳器5それぞれの電源端子は、対応する太陽電池モジュールの両端(陰極及び陽極)に接続されている。N個の交流信号重畳器5が重畳させる交流信号の周波数は全て同一である。また、分周器6は2段以降の太陽電池モジュールに対応して設けられる。そして、分周器6の陽極(+)が最終段の太陽電池モジュール1の陽極側の送電ケーブル4に接続される。分周器6の陰極(−)は接地される。このような構成において、最終段以外の交流信号重畳器5は、所定の周波数の交流信号を次段の分周器6に出力し、第2段の分周器6は、第1段の交流信号重畳器5が出力する交流信号を分周して次段(第3段)の分周器6に出力し、第3段以降で最終段以外の分周器6は、前段の交流信号重畳器5及び分周器6が出力する交流信号を受けて、所定の分周比で分周して次段の分周器6に出力し、最終段の交流信号重畳器5は、所定の周波数の周波数信号を不良検出器3に出力し、最終段の分周器6は、前段の交流信号重畳器5及び分周器6が出力する交流信号を受けて、分周して不良検出器3に出力する。この場合の分周器6の分周比は1/2でもよいし、各太陽電池モジュール1に対応する周波数を不良検出器3に入力できれば任意の分周比であってもよい。
また、実施の形態1において、各交流信号重畳器5が出力する交流信号、及び、各分周器6が分周した交流信号を伝送するための経路を送電ケーブル4とは別に設けて、その経路を伝送する交流信号を不良検出器3で検出するようにしてもよい。例えば、最終段以外の各交流信号重畳器5の出力端子を次段の分周器6の入力端子に接続する(図1の例では交流信号重畳器5Aの出力端子を送電ケーブル4に接続せず分周器6Bの入力端子に接続し、交流信号重畳器5Bの出力端子を送電ケーブル4に接続せず分周器6Cの入力端子に接続する)ようにしてもよい。
また、実施の形態1では、分周器6は、第1段以外の太陽電池モジュール1B、1Cに対応して設けられるものとして説明したが、第1段の太陽電池モジュール1Aに対応して設けられてもよい。例えば、太陽電池モジュール1、交流信号重畳器5、及び、分周器6をまとめて一つのモジュールとする場合などには、第1段の太陽電池モジュール1Aに対応する分周器6が設けられる。
参考例
続いて、この発明に関する参考例における太陽光発電システム20について説明する。図3はこの参考例における太陽光発電システム20の回路図である。図3に示すように、太陽光発電システム20は、太陽電池モジュール1A、1B、1Cと、パワーコンディショナ2と、不良検出器3と、送電ケーブル4と、交流信号重畳器5D、5E、5Fと、交流信号カットコイル7と、キャパシタ11E、11Fと、から構成される。太陽電池モジュール1A、1B、1Cは、上記実施の形態1と同様に、太陽電池素子8と、バイパスダイオード9と、から構成される。また、パワーコンディショナ2、不良検出器3、送電ケーブル4、交流信号カットコイル7など、上記実施の形態1と同様の構成には同じ番号を付す。
この参考例において、交流信号重畳器5D、5E、5Fは、周波数信号出力回路を構成する。交流信号重畳器5D、5E、5Fは、図3に示すように、それぞれ太陽電池モジュール1A、1B、1Cが発電する電力で動作するように、それぞれの電源端子が、太陽電池モジュール1A、1B、1Cの両端(陰極及び陽極)に接続される。交流信号重畳器5D、5E、5Fは、次段の太陽電池モジュールに接続される送電ケーブル4上に互いに異なる周波数(例えば50Hz、25Hz、12.5Hz)の交流信号を重畳させる。
即ち、交流信号重畳器5Dは、太陽電池モジュール1Aが発電する電力で動作し、太陽電池モジュール1Aと太陽電池モジュール1Bとの間の送電ケーブル4上の点A’に、所定の周波数の交流信号を重畳させる。交流信号重畳器5Eは、太陽電池モジュール1Bが発電する電力で動作し、太陽電池モジュール1Bと太陽電池モジュール1Cとの間の送電ケーブル4上の点B’に、交流信号重畳器5Dと異なる周波数の交流信号を重畳させる。交流信号重畳器5Fは、太陽電池モジュール1Cが発電する電力で動作し、太陽電池モジュール1Cとパワーコンディショナ2との間の送電ケーブル4上の点C’に、交流信号重畳器5D及び交流信号重畳器5Eと異なる周波数の交流信号を重畳させる。この実施の形態においては、交流信号重畳器5D、5E、5Fが、信号重畳部を構成する。
キャパシタ11E及び11Fは、送電ケーブル4上の直流電力を遮断するとともに、交流信号重畳器5D及び5Eが送電ケーブル4上に重畳させが交流信号を通過させるためのフィルタとして機能する。キャパシタ11Eは、交流信号重畳器5Eのプラス(+)の電源端子とマイナス(−)の電源端子との間に接続される。キャパシタ11Fは、交流信号重畳器5Fのプラス(+)の電源端子とマイナス(−)の電源端子との間に接続される。
次に、太陽光発電システム20の動作について説明する。ここでは、各交流信号重畳器5が重畳させる交流信号の周波数を、交流信号重畳器5D:50Hz、交流信号重畳器5E:25Hz、交流信号重畳器5F:12.5Hzであるものとして説明する。
全ての太陽電池モジュール1A、1B、1Cが正常に動作している場合は、全ての太陽電池モジュール1A、1B、1Cの太陽電池素子8による電力が送電ケーブル4に供給される。全ての太陽電池モジュール1A、1B、1Cが発電する電力(直流電力)は、パワーコンディショナ2に入力され、所定周波数の交流電力に変換される。
このとき、送電ケーブル4上の点A’には、太陽電池モジュール1Aから電力が供給される交流信号重畳器5Dによって50Hzの交流信号が重畳される。点A’に重畳された50Hzの交流信号は、キャパシタ11Eを通って送電ケーブル4上の点B’に伝送される。また、点B’には太陽電池モジュール1Bから電力が供給される交流信号重畳器5Eによって25Hzの交流信号が重畳される。従って、送電ケーブル4上の点B’には50Hz及び25Hzの交流信号が混在することになる。
点B’に混在する50Hz及び25Hzの交流信号は、キャパシタ11Fを通って送電ケーブル4上の点C’に伝送される。そして、点C’には太陽電池モジュール1Cから電力が供給される交流信号重畳器5Fによって12.5Hzの交流信号が重畳される。従って、送電ケーブル4上の点C’には50Hz、25Hz、及び12.5Hzの交流信号が混在することになる。
不良検出器3は、50Hz、25Hz及び12.5Hzの交流信号を検出するので、全ての太陽電池モジュール1A、1B、1Cが正常に動作していると判別する。
次に、例えば、太陽電池モジュール1Bが故障して発電していない場合について説明する。この場合、太陽電池モジュール1A、1Cの太陽電池素子8による電力が送電ケーブル4に供給され、太陽電池モジュール1B内では、バイパスダイオード9を電流が通過する。交流信号重畳器5Eは、太陽電池モジュール1Bから電力が供給されないため動作しない。交流信号重畳器5Dは、太陽電池モジュール1Aから電力が供給され動作する。交流信号重畳器5Fは、太陽電池モジュール1Cから電力が供給され動作する。太陽電池モジュール1A、Cによる電力(直流電力)は、パワーコンディショナ2に入力され、所定周波数の交流電力に変換される。
このとき、送電ケーブル4上の点A’には、交流信号重畳器5Dによって50Hzの交流信号が重畳される。点A’に重畳された50Hzの交流信号は、キャパシタ11Eを通って送電ケーブル4上の点B’に伝送される。このとき、交流信号重畳器5Eは動作しないため、送電ケーブル4上の点B’には50Hzの交流信号のみが存在することになる。
点B’に存在する50Hzの交流信号は、キャパシタ11Fを通って送電ケーブル4上の点C’に伝送される。そして、点C’には交流信号重畳器5Fによって12.5Hzの交流信号が重畳される。従って、送電ケーブル4上の点C’には50Hz及び12.5Hzの交流信号が混在することになる。
不良検出器3は、50Hz及び12.5Hzの2つの周波数成分を検出し、25Hzの周波数成分を検出できなかったと判別する。不良検出器3は、25Hzの周波数信号に対応する2段目の太陽電池モジュール1Bが正常に動作していないと判別する。
このように、全ての太陽電池モジュール1A、1B、1Cの状態に対応して、送電ケーブル4上の点C’での交流信号成分は下記の表2の通り一意に定まる。従って、点C’での交流信号成分を検出し、各周波数成分(ここでは50Hz、25Hz及び12.5Hzの3種類の成分)を抽出し、いずれの周波数成分が検出されたか否かを判別することで、正常に動作していない(故障している)太陽電池モジュール1を特定することができる。
Figure 0004999879
○:正常
×:故障
なお、この参考例において、図4に示すように、交流信号重畳器5D、5Eの出力を、太陽電池モジュール1Cの陽極側の送電ケーブル4に接続し、キャパシタ11E及び11Fを除去して、送電ケーブル4上の点C’に交流信号を出力するようにしてもよい。このように配線することで、交流信号重畳器5D、5Eが出力する交流信号を不良検出器3に接続される送電ケーブル4に伝送することができる。
また、この参考例では、太陽電池モジュール1が3つ結合された例について説明したが、この数は複数であれば任意である。太陽電池モジュール1がN個結合された構成の場合(Nは2以上の整数)、交流信号重畳器5は太陽電池モジュール1に対応してN個設けられ、対応する太陽電池モジュール1が発電する電力により動作する。また、第2段以降の太陽電池モジュール1に対応してキャパシタ11も設けられる。N個の交流信号重畳器5は、互いに異なる周波数の交流信号を、対応する太陽電池モジュール1の陽極側の送電ケーブル4、または図4の変形例においては、最終段の太陽電池モジュール1の陽極側の送電ケーブル4に重畳させる。
また、この参考例では、キャパシタ11は、第1段以外の交流信号重畳器5E、5Fに対応して設けられていたが、第1段の交流信号重畳器5Dに対応して設けられてもよい。例えば、太陽電池モジュール1、交流信号重畳器5、キャパシタ11をまとめて一つのモジュールとする場合などには、第1段の交流信号重畳器5Dに対応するキャパシタ11が設けられる。
以上詳述したように、本発明の太陽光発電システム10によれば、太陽電池モジュールを特定するための情報を予め入力する必要なく、施工時の手間を大幅に省略しながら、正常に動作していない太陽電池モジュールの有無の検出及びその特定が可能となる。
また、一部の太陽電池モジュールが故障して交換した際にも、上記実施の形態では特別な設定をする必要がないので、メンテナンスの手間も大幅に省略可能となる。また、交流信号発振器5と分周器6とを送電ケーブル4を介して接続しているので、結線が容易である。
なお、上述した実施の形態において、太陽電池モジュールの数や設定した数値は一例である。設定した数値は、太陽電池モジュールの数等に応じて適切に設定する必要があることはいうまでもない。
記実施の形態では、周波数信号出力回路は、交流信号を出力する交流信号重畳器5(5A、5B、5C、5D、5E、5F)であったが、交流信号に直流信号(バイアス)を足した周波数信号を出力する回路であってもよい。
また、上記実施の形態では、不良検出器3は、送電ケーブル4の最後段の太陽電池モジュール1Cとパワーコンディショナ2との間に接続されるものとして説明したが、不良検出器3は、パワーコンディショナ2に内蔵されていてもよい。
また、上記実施の形態では、太陽電池モジュール1と交流信号重畳器5とを別体の構成としたが、太陽電池モジュール1の配列及び接続を容易化するため、太陽電池モジュール1に交流信号重畳器5を予め組み込み或いは両者を結合してモジュール化する等してもよい。さらに、一部のモジュールについて、分周器6を組み込んでもよい。
また、上記実施の形態では、初段の太陽電池モジュール1Aの陰極側にも交流信号カットコイル7を設けていたが、交流信号重畳器5や分周器6からの交流信号は入り込まないため、太陽電池モジュール1Aの陰極側の交流信号カットコイル7は設けなくてもよい。
また、上述した周波数、回路構成などは一例であり、適宜変更可能である。
また、本発明の太陽電池モジュールの不良検出方法を、太陽電池以外の発電装置などの不良検出に適用してもよい。
1A〜1C 太陽電池モジュール
2 パワーコンディショナ
3 不良検出器
4 送電ケーブル
5A〜5F 交流信号重畳器(信号重畳部、周波数信号出力回路)
6B、6C 分周器(信号重畳部)
7 交流信号カットコイル
8 太陽電池素子
9 バイパスダイオード
10、20 太陽光発電システム
11E、11F キャパシタ

Claims (6)

  1. 相互に直列に段を成して結合された複数の太陽電池モジュールと、
    前記各段の太陽電池モジュールが発電した電力を伝送する送電ケーブルと、
    前記各段の太陽電池モジュールに対応して配置され、対応する前記太陽電池モジュールが発電した電力により動作する周波数信号出力回路と、
    第2段以降の前記太陽電池モジュールに対応して配置される分周器と、
    前記送電ケーブルに出力された周波数信号を検出することにより、発電していない太陽電池モジュールを検出する不良検出器と、を備え
    最終段以外の前記太陽電池モジュールに対応して配置される前記周波数信号出力回路は、所定の周波数の周波数信号を次段の前記太陽電池モジュールが接続された前記送電ケーブルに出力し、
    第2段以降で且つ最終段以外の前記太陽電池モジュールに対応して配置される前記分周器は、前記送電ケーブルに出力された前記周波数信号を受けて、所定の分周比で分周し、分周した周波数信号を次段の太陽電池モジュールに接続された前記送電ケーブルに出力し、
    最終段の前記太陽電池モジュールに対応して配置される前記周波数信号出力回路は、所定の周波数の周波数信号を前記不良検出器が接続された前記送電ケーブルに出力し、
    最終段の前記太陽電池モジュールに対応して配置される前記分周器は、前記送電ケーブルに出力された前記周波数信号を受けて、所定の分周比で分周し、分周した周波数信号を前記不良検出器が接続された前記送電ケーブルに出力する、
    ことを特徴とする太陽光発電システム。
  2. 前記分周器は、それぞれ前記複数の太陽電池モジュールが発電する総和の電力で動作するように接続されている
    ことを特徴とする請求項に記載の太陽光発電システム。
  3. 前記送電ケーブルに接続され、前記太陽電池モジュールが発電した直流電力を所定周波数の交流電力に変換するパワーコンディショナをさらに備える
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽光発電システム。
  4. 相互に直列に段を成して結合された複数の太陽電池モジュール
    前記各段の太陽電池モジュールが発電した電力を伝送する送電ケーブルと、
    前記各段の太陽電池モジュールに対応して配置され、対応する前記太陽電池モジュールが発電した電力により動作する周波数信号出力回路と、
    第2段以降の前記太陽電池モジュールに対応して配置される分周器と、
    発電していない太陽電池モジュールを検出する不良検出器と、を備える太陽光発電システムによる太陽電池モジュールの不良検出方法であって、
    最終段以外の前記太陽電池モジュールに対応して配置される前記周波数信号出力回路が、所定の周波数の周波数信号を次段の前記太陽電池モジュールが接続された送電ケーブルに出力し、
    第2段以降で且つ最終段以外の前記太陽電池モジュールに対応して配置される前記分周器が、前記送電ケーブルに出力された前記周波数信号を受けて、所定の分周比で分周し、分周した周波数信号を次段の太陽電池モジュールに接続された前記送電ケーブルに出力し、
    最終段の前記太陽電池モジュールに対応して配置される前記周波数信号出力回路が、所定の周波数の周波数信号を前記不良検出器が接続された前記送電ケーブルに出力し、
    最終段の前記太陽電池モジュールに対応して配置される前記分周器が、前記送電ケーブルに出力された前記周波数信号を受けて、所定の分周比で分周し、分周した周波数信号を前記不良検出器が接続された前記送電ケーブルに出力し、
    前記不良検出器が、前記送電ケーブルに出力された前記各周波数信号を検出することにより、発電していない太陽電池モジュールを特定する、
    ことを特徴とする太陽電池モジュールの不良検出方法。
  5. 前記分周器は、それぞれ前記複数の太陽電池モジュールが発電する総和の電力で動作するように接続されている、
    ことを特徴とする請求項4に記載の太陽電池モジュールの不良検出方法。
  6. 前記太陽光発電システムは、前記送電ケーブルに接続されるパワーコンディショナをさらに備え、
    前記パワーコンディショナが、前記太陽電池モジュールが発電した直流電力を所定周波数の交流電力に変換する、
    ことを特徴とする請求項4又は5に記載の太陽電池モジュールの不良検出方法。
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