JP4994714B2 - 新規なテルロンおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は新規なテルロン、その製造方法、および該テルロンの酸化剤としての用途に関する。
有機カルコゲン化合物(ただし、本明細書において「カルコゲン」とは酸素を除く第16属元素の総称である。)は特異な反応性を持つ重要な化合物群であり、それらの酸化物であるスルホキシド、スルホン、セレノキシド、セレノン等は広く有機合成に利用されているが(非特許文献1及び2)、相当する有機テルル酸化物であるテルロキシド、テルロン等の合成や反応性に関する報告は非常に限られている(非特許文献3)。
特に、テルロンの合成法に関する文献は2報のみであり(非特許文献4及び5)、これらの文献には、相当するテルリドまたはテルロキシドを過ヨウ素酸ナトリウムまたは次亜塩素酸ナトリウムで酸化することによって該テルロンを合成したことが記載されている。しかし、これらの文献に記載されている生成物のスペクトルデータは極めて不十分であり、該生成物が本当に得られていたのか疑問が持たれる。事実、本発明者らが追試実験を行ったところ、テルロンのオリゴマーであるテルロキサンと考えられる化合物のみが得られ、テルロンを単離することはできなかった。また、これらの文献に記載されているテルロンの置換基は4−置換フェニル基のみであり、2,6−置換フェニル基など嵩高い芳香族置換基については検討されていない。したがって、テルロンを合成、単離し、その構造決定を行った例は現在のところ見い出されていない。
一方、有機カルコゲン酸化物の酸化剤としての利用に関してはジメチルスルホキシドを用いるアルコールの酸化(Swern酸化)が知られているが、実験操作が煩雑、活性化剤を必要とする、副生物が悪臭を持つ等、改良すべき点が残されている(非特許文献6)。
一般にアルコールの酸化はクロム、マンガン等の重金属を用いて行うことが多いため、操作が容易で有害な廃棄物を排出しない有機酸化剤の開発が望まれている。本発明者らは、嵩高い芳香族置換基を持つテルロキシドを用いてアルコールを効率よく酸化できることを見出したが、反応に高温を要する、基質に制限があるなどの点でさらなる改善の余地があった(非特許文献7)。
S.Patai and J.M.Stirling, ed., "The Chemistry ofSulfones and sulfoxides", John Wiley(1988) D.Liotta, "Organoselenium Chemistry", John Wiley(1987) S.V.Ley, C.A.Meerholz, D.H.R.Barton, Tetrahedron1981, 37, 213-223 L.Engman, M.P.Cava, Chem.Commun. 1982, 164-165 J.M.Khurana, B.M.Kandpa1, Y.K.Chauhan, Phosphorus Sulfur Silicon 2003, 178, 1369-1375 A.H.Haines, "Methods for the Oxidation of Organic Compounds", Academic Press (1988) M.Oba, M.Endo, K.Nishiyama, A.Ouchi, W.Ando, Chem.Commun. 2004, 1672-1673
本発明は、新規なテルロン、特には、穏和な条件下、簡便な操作で使用可能な汎用性の高い酸化剤として有用なテルロンおよびその製造方法を提供することを目的としている。
さらに本発明は、前記テルロンを用いた、カルボニル化合物の新規な製造方法を提供することを目的としている。
本発明のテルロンは下記一般式(1)で表される。
Figure 0004994714
(式(1)において、複数個あるR1は、それぞれ独立に炭素原子数が1〜6のアルキル基またはフェニル基であり、該フェニル基の2位、4位および6位の水素原子は、それぞれ独立に炭素原子数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよく、
複数個あるR2は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数が1〜6のアルキル基またはフェニル基であり、該フェニル基の2位、4位および6位の水素原子は、それぞれ独立に炭素原子数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよい。)
本発明のテルロンの製造方法は、下記一般式(2)で表されるテルリド化合物と酸化剤とを反応させることを特徴としている。
Figure 0004994714
(式(2)において、R1およびR2は、それぞれ前記式(1)におけるR1およびR2と同様である。)
前記酸化剤としては、分子酸素を含有するガスが好ましい。
本発明のカルボニル化合物の製造方法は、前記テルロンとアルコールとを反応させることを特徴としている。
前記テルロンと前記アルコール(ただし、α,β−不飽和アルコールを除く。)とを100〜200℃で反応させると、α,β−不飽和カルボニル化合物を製造することができる。
本発明のα,β−不飽和カルボニル化合物の製造方法は、前記テルロンとカルボニル化合物(ただし、α,β−不飽和カルボニル化合物を除く。)とを100〜200℃で反応させることを特徴としている。
本発明の新規なテルロンは、酸化剤として高い反応性を示す化合物であり、それを用いて、種々のアルコールを相当するカルボニル化合物(該アルコール中のC−OH結合がC=O結合に変換されてなるカルボニル化合物)に酸化することができる。また、この酸化の際に反応温度を制御することにより、カルボニル化合物としてα,β−不飽和カルボニル化合物を製造することもできる。
以下、本発明のテルロン等をさらに詳細に説明する。
[新規なテルロン、およびその製造方法]
本発明のテルロンは下記一般式(1)で表される。
Figure 0004994714
式(1)において、複数個あるR1は、それぞれ独立に炭素原子数が1〜6のアルキル基またはフェニル基であり、該フェニル基の2位、4位および6位の水素原子は、それぞれ独立に炭素原子数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよく、
複数個あるR2は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数が1〜6のアルキル基またはフェニル基であり、該フェニル基の2位、4位および6位の水素原子は、それぞれ独立に炭素原子数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよい。
本発明のテルロンの分子構造は、NMR(1H、13Cおよび125Te)、IR、MSスペクトルおよび元素分析、ならびに、必要に応じてさらに単結晶X線構造解析により、決定することができる。
上記一般式(1)で表される本発明のテルロンは、下記一般式(2)で表されるテルリド化合物と酸化剤とを反応させることによって製造される。
Figure 0004994714
式(2)において、R1およびR2は、それぞれ前記式(1)におけるR1およびR2と同様である。
前記酸化剤としては、次亜塩素酸ナトリウム、過ヨウ素酸ナトリウム、分子酸素を含有
するガスなどを用いることができ、中でも分子酸素を含有するガスが好ましい。この分子酸素を含有するガス(以下「分子酸素含有ガス」ともいう。)としては、(純)酸素ガス、空気などが挙げられる。
以下、酸化剤として、分子酸素含有ガスを用いる場合についてさらに詳しく説明する。
上記一般式(2)で表されるテルリド化合物と酸化剤(分子酸素含有ガス)との反応(以下「反応(I)」ともいう。)は、不活性有機溶媒中で行うことが好ましい。より具体的には、不活性溶媒中に前記式(2)で表されるテルリド化合物を溶解させテルリド化合物溶液を調製し、この溶液中に、分子酸素含有ガスを供給することにより行うことが好ましい。分子酸素含有ガスの供給方法としては、テルリド化合物溶液中に分子酸素含有ガスを吹き込む、テルリド化合物溶液を分子酸素含有ガス雰囲気下で攪拌するなどの方法が挙げられる。
前記不活性有機溶媒としては、好ましくは塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭素原子数が5〜8の炭化水素;クロロベンゼン;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール;ジメチルホルムアミド(DMF);アセトニトリル;ジエチルエーテル;テトラヒドロフラン(THF);ピリジン等が挙げられる。
上記反応(I)は、光増感剤の共存下で行うことが好ましく、この光増感剤としては、好ましくはローズベンガル、メチレンブルー、テトラフェニルポルフィリン(TPP)、ヘマトポルフィリン、フラーレン等が挙げられる。この光増感剤は、触媒量を使用すればよい。
上記反応(I)は、光照射しながら行うことが好ましい。照射する光の波長は、前記光増感剤を励起させ、励起した光増感剤の作用により前記分子酸素含有ガス(酸化剤)から一重項酸素を発生させることのできる波長であれば良く、光照射にはハロゲンランプ、タングステンランプ、水銀灯等を用いることができる。
一重項酸素の発生には光増感法以外にも化学的方法(例えば、亜リン酸トリフェニル−オゾン付加体の熱分解)、マイクロ波放電等を用いても良い。
反応温度は、通常−80〜100℃、好ましくは-20〜20℃であり、反応圧力は、通常0.1〜0.5MPa、好ましくは0.1〜0.2MPaであり、反応時間は通常1〜24時間、好ましくは1〜4時間である。
なお、前記一般式(2)で表されるテルリドは、下記一般式(3)で表されるハロゲン化アリールを、Grignard試薬または有機リチウム試薬に変換した後、金属テルルと反応させて下記一般式(4)で表されるジテルリドとした後、銅を作用させることにより製造することができる。
Figure 0004994714
(式(3)において、Xは臭素またはヨウ素を示し、R1およびR2は、それぞれ前記式(1)におけるR1およびR2と同様である。)
Figure 0004994714
(式(4)において、R1およびR2は、それぞれ前記式(1)におけるR1およびR2と同様である。)
また、前記一般式(2)で表されるテルリドは、上記Grignard試薬または有機リチウム試薬を、別途合成した前記一般式(4)で表されるジテルリドと反応させることによって製造することもできる。
[テルロンの酸化剤としての用途]
本発明のテルロンは酸化剤として高い反応性を示す。
たとえば、本発明のテルロンとアルコールとを反応させると、該アルコールから誘導されたカルボニル化合物(該アルコール中のC−OH結合がC=O結合に変換されてなるカルボニル化合物)を製造することができる。この反応の一例を以下に示す。
Figure 0004994714
(Raは1価の炭化水素基である。)
このアルコールの酸化反応は、不活性有機溶媒中で行うことが好ましく、この不活性有機溶媒としては、上記の不活性有機溶媒が挙げられる。
このアルコールの酸化反応は、通常、反応温度:室温〜200℃、反応圧力:0.1〜0.2MPa、反応時間:1〜24時間の条件下で行われる。特に、反応温度を100〜200℃とすると、カルボニル化合物としてα,β−不飽和カルボニル化合物を合成することができる。
また、本発明のテルロンとカルボニル化合物(ただし、α,β−不飽和カルボニル化合物を除く。)とを反応させると、該カルボニル化合物からα,β−不飽和カルボニル化合物を製造することができる。この反応の一例を以下に示す。
Figure 0004994714
(Rbは1価の炭化水素基である。)
このカルボニル化合物の酸化反応は、通常、反応温度:100〜200℃、反応圧力:0.1〜0.2MPa、反応時間:1〜24時間の条件下で行われる。
アルコールと混合するだけで該アルコールから誘導されるカルボニル化合物を与える酸化剤は、重金属化合物を除くと従来ほとんど例がなく、さらには、アルコールからα,β−不飽和カルボニル化合物を合成した例は従来なかった。
[実施例]
以下、実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明する。
[測定方法]
以下の方法により各種測定を行なった。
<融点>
Yamato Melting Point Apparatus Model MP-21を用いて測定した。
<NMRスペクトル>
室温でVarian Mercury Plus 400型核磁気共鳴装置を用いて測定した。
測定周波数および基準物質は以下のとおりである。
1H NMR・・・400 MHz、残留クロロホルム(7.26 ppm)
13C NMR・・・100 MHz、重クロロホルム(77 ppm)または重ベンゼン(128 ppm)
125Te NMR・・・126 MHz、ジメチルテルリド(0 ppm)
<MSスペクトル>
直接導入法を用い、JEOL JMX-AX-500質量分析計で測定した。
<IRスペクトル>
KBrディスク法を用い、室温で日本分光IR Report-100型赤外分光光度計を用いて測定した。
[合成例1]
ビス(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)テルリドの合成
Figure 0004994714
マグネシウム(2.43g、100mmol)とTHF(70ml)との混合物に触媒量のヨウ素を加え、アルゴン雰囲気下、室温で激しく攪拌しながら1-ブロモ-2,4,6-トリイソプロピルベンゼン(28.28g、100mmol)を滴下した。反応混合物をマグネシウムが消失するまで加熱したのち室温に戻し、粉末状のテルル(12.68g、100mmol)を加え4時間還流した。反応混合物をクラッシュアイスと濃塩酸との混合物に加えて一晩攪拌したのち不純物をハイフロスーパーセルを用いて濾別し、ベンゼン(2×100ml)で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄したのち無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。残渣をエタノール(100ml)に溶解し、水酸化ナトリウム(3〜5粒)を加えて一晩攪拌した。析出した暗赤色結晶のビス(2,4,6−トリイソプロピルフェニル)ジテルリド(19.8g, 29.9mmol, 60%)をトルエン(80ml)に溶解し、銅粉末(3.8g、60mmol)を加えて一晩還流した。不溶物をハイフロスーパーセルを用いて濾別したのち溶媒を留去すると、ビス(2,4,6−トリイソプロピルフェニル)テルリド(15.3g, 28.7mmol, 58%)が淡黄色粉末として得られた。
この目的物質の構造は、下記のとおり、融点、NMRおよびMSにより確認した。
融点48-50℃(文献値80℃(P.H.Laur, S.M.Saberi-Niaki, M.Scheiter, C.Hu, U.Englert, Y.Wang, J.Fleischhauer, Phosph. Sulf. Silicon 2005, 180, 1035-1044))。
1H NMR(CDC13) δ 0.99(d, 24H), 1.19(s,12H), 2.82(m,2H), 3.55(m,4H), 6.90(s,4H)。
13C NMR(C6D6) δ 24.13, 24.52, 34.32, 39.80, 121.86, 122.79, 149.79, 154.24。
MS(EI) m/z 537[M+]。
ビス(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)テルロン
Figure 0004994714
合成例1で得られたビス(2,4,6−トリイソプロピルフェニル)テルリド(1.04g, 1.95mmol)と、光増感剤としての触媒量のテトラフェニルポルフィン(TPP)との塩化メチレン溶
液(200ml)を、空気雰囲気下で、氷冷しながらナス型フラスコ中で激しく攪拌すると同時に、この溶液に対してハロゲンランプ(500W)を用いて2時間光照射を行った。
溶媒を留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)で精製したところ、ビス(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)テルロンが64%(709.4mg)の収率で無色結晶として得られた。なお、ビス(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)テルロンの他に、ビス(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)テルロキシドが33%生成した。
この目的物質の構造は、下記のとおり、融点、NMR、MS、IR、および元素分析により確認した。
融点108-110℃。
1H NMR(CDC13) δ 1.12(d,J=7Hz,24H), 1.21(d,J=7Hz,12H), 2.88(sept,J=7Hz,2H), 4.09(sept,J=7Hz,4H), 7.14(s,4H)。
13C NMR(CDC13) δ 23.85, 24.55, 33,03, 34.52, 125.08, 138.12(JTe-C=81HZ), 152.48, 155.17。
125Te NMR(CDC13) δ 1326。
MS(EI) m/z 552[(M-O)+]。
IR(KBr)νmax 3455(O-H), 2955(C-H), 825(Te-O), 800(Te-O)cm-1.
Anal. Calcd for C30H46O2Te・H2O: C 61.67, H 8.28. Found: C 61.82, H 8.39。
ビス(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)テルロンを用いる4-プロモベンジルアルコールの酸化
Figure 0004994714
ビス(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)テルロン(294mg, 0.500mmo1)および4-ブロモベンジルアルコール(77.6mg, 0.41mmol)のヘキサン溶液(25m1)を、室温で24時間攪拌した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析したところ、4-ブロモベンズアルデヒドが73%の収率で生成していることが明らかとなった。
ビス(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)テルロンを用いる1-ドデカノールの酸化
Figure 0004994714
ビス(2,4,6一トリイソプロピルフェニル)テルロン(298mg, 0.510mmol)および1-ドデカノール(39.5mg, 0.21mmo1)のヘキサン溶液(10ml)を3時間還流した(ヘキサン沸点=68.7℃)。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析したところ、ドデカナールが99%の収率で生成していることが明らかとなった。
ビス(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)テルロンを用いる1-ドデカノールの酸化
Figure 0004994714
ビス(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)テルロン(380mg, 0.600mmol)および1-ドデカノール(58.4mg, 0.300mmo1)のクロロベンゼン溶液(15m1)を3時間還流した(クロロベンゼン沸点=132℃)。反応混合物をNMRで分析したところ、ドデカナール(14%)と共にtrans-2-ドデセナールが51%の収率で生成していることが明らかとなった。
ビス(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)テルロンを用いる1−ドデカナールの酸化
Figure 0004994714
ビス(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)テルロン(244mg, 0.430mmol)および1-ドテカナール(35.5mg, 0.193mmol)のクロロベンゼン溶液(2ml)を2時間還流した(クロロベンゼン沸点=132℃)。反応混合物をNMRで分析したところtrans-2-ドデセナールが65%の収率で生成していることが明らかとなった。
ビス(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)テルロンを用いる1-フェニルエタノールの酸化
Figure 0004994714
ビス(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)テルロン(230mg, 0.397mmol)および1-フェニルエタノール(24.2mg, 0.198mmo1)のオクタン溶液(2m1)を1時間還流した(オクタン沸点=126℃)。反応混合物をNMRで分析したところ、アセトフェノンが定量的に生成していることが明らかとなった。
ビス(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)テルロンを用いる3-フェニルプロパノールの酸化
Figure 0004994714
ビス(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)テルロン(243mg, 0.418mmol)および3-フェニルプロパノール(28.5mg, 0.209mmo1)のオクタン溶液(2m1)を1時間還流した(ヘキサン沸点=68.7℃)。反応混合物をNMRで分析したところ、3-フェニルプロパナールが定量的に生成していることが明らかとなった。
ビス(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)テルロンを用いる3-フェニルプロパノールの酸化
Figure 0004994714
ビス(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)テルロン(231mg, 0.397mmol)および3-フェニルプロパノール(27.0mg, 0.198mmo1)のオクタン溶液(2m1)を2時間還流した(オクタン沸点=126℃)。反応混合物をNMRで分析したところ、trans-桂皮アルデヒドが84%の収率で生成していることが明らかとなった。
本発明によれば、新規なテルロンを合成することができる。本発明のテルロンは、酸化剤として高い反応性を示し、この性質を利用すると、種々のアルコールからカルボニル化合物へと酸化することができる。また、この酸化の際に反応温度を制御することにより、カルボニル化合物としてα,β−不飽和カルボニル化合物を製造することもできる。
本発明のテルロンは、相当するテルリドを分子酸素で酸化して合成できるため、本発明によれば、有機テルル化合物を酸素キャリヤーとするクリーンな酸素酸化システムの構築が可能である。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表されるテルロン。
    Figure 0004994714
    (式(1)において、複数個あるR1は、それぞれ独立に炭素原子数が1〜6のアルキル基またはフェニル基であり、該フェニル基の2位、4位および6位の水素原子は、それぞれ独立に炭素原子数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよく、
    複数個あるR2は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数が1〜6のアルキル基またはフェニル基であり、該フェニル基の2位、4位および6位の水素原子は、それぞれ独立に炭素原子数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよい。)
  2. 下記一般式(2)で表されるテルリド化合物と酸化剤とを反応させることを特徴とする請求項1に記載のテルロンの製造方法。
    Figure 0004994714
    (式(2)において、R1およびR2は、それぞれ前記式(1)におけるR1およびR2と同様である。)
  3. 前記酸化剤が、分子酸素を含有するガスであることを特徴とする請求項2に記載のテルロンの製造方法。
  4. 請求項1に記載のテルロンとアルコールとを反応させることを特徴とするカルボニル化合物の製造方法。
  5. 請求項1に記載のテルロンとアルコール(ただし、α,β−不飽和アルコールを除く。)とを100〜200℃で反応させてα,β−不飽和カルボニル化合物を製造することを特徴とする請求項4に記載のカルボニル化合物の製造方法。
  6. 請求項1に記載のテルロンとカルボニル化合物(ただし、α,β−不飽和カルボニル化合物を除く。)とを100〜200℃で反応させることを特徴とするα,β−不飽和カルボニル化合物の製造方法。
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