JP4988556B2 - 乾燥方法 - Google Patents

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Description

本発明は、生物学的サンプルおよび他の不安定なサンプルの高粘性液体としての保存に関する。その高粘性液体は、安定化剤の溶液中に活性薬剤を溶解/懸濁することにより保存サンプルを調製し、その保存サンプルから凍結または気泡形成することなしに溶媒を蒸発させ、それを乾燥させて高粘性液体を形成させることにより、形成される。その安定化剤は、ガラス形成性ポリオールと、この方法において形成される高粘性液体の流動速度を低減させる第2成分とを含む。本発明の態様は、活性薬剤の保存方法、活性薬剤を含有する高粘性液体、高粘性液体を含有するワクチン、およびそのワクチンの製造方法を包含する。
不安定なサンプル、特に生物学的サンプルの安定性、およびそれゆえ保存寿命を延長させる必要性が存在する。伝統的に、これは物質の溶液を作製し、そのサンプルを凍結させる場合の凍結乾燥法を用いて達成されてきた。第1の乾燥段階において、大部分の水を、減圧条件下で氷からの昇華により除去し、多孔性の「ケーキ」を形成させる。通常、この後、圧力および温度を変え、水を固体の「ケーキ」から蒸発させる第2の乾燥段階を行う。得られる凍結乾燥サンプルは、液体製剤と比較して改良された安定性を有する。しかしながら、凍結乾燥法は、長期間を要し、費用がかさみ、製造方法における速度制限工程となり得る。
凍結乾燥はまた、いくつかの活性薬剤の活性または抗原性の喪失を生じ得る。生ウイルスなどの特定の生物材料については、凍結乾燥工程において活性の有意な喪失が生じ得る(Pikal(1994) ACS Symposium 567:120-133)。多くの凍結乾燥された物質は、周囲温度では依然として不安定である(Carpenterら(1994) ACS Symposium 567; 134-147)。
凍結工程により引き起こされる損傷は、ポリオールなどの安定化剤の使用により、ある程度まで回避することができる。凍結乾燥工程におけるさらなる改良はまた、該工程におけるサンプルの凍結回避および沸騰による水の除去により為されてきた(WO96/40077;US6306345)。この方法は、保存しようとするサンプルと共に好適な溶媒中にガラス-マトリックス形成材料の混合物を調製し、該混合物からバルク溶媒を蒸発させてシロップを取得し、シロップの沸騰を引き起こすのに十分な圧力および温度にシロップを曝露し、そして残渣の溶媒を除去することを含む。これと同様の方法を、発泡乾燥技術と呼ぶ。そのような技術では、「沸騰」段階における気泡の形成および破裂に起因するストレスに、保存しようとするサンプルを曝露することになる。特に、不安定な物質を保存しようとする場合、これは活性の喪失をもたらし得る。
同様の方法がUS5,766,520に記載されており、この方法は水を部分的に除去して粘性液体を形成させ、さらに、そのシロップを、減圧工程にかけて「沸騰」させ、さらに、100℃よりかなり低い温度で乾燥させることを含む。この方法は依然として、従来の凍結乾燥の問題のいくつかを欠点として有する。この方法を大きな凍結乾燥装置中で実行する場合、サンプルは貯蔵庫中のその位置に依存して異なる速度で乾燥し、これは乾燥工程において、異なる量の活性を喪失した異なるサンプルをもたらす。これは、バッチ内の一貫性の欠如をもたらす。
トレハロースは、その安定化特性が好ましいポリオールである。トレハロースは、最初はいくつかの植物および動物における乾燥による損傷の防止と関連することが見出された、天然の、不活性な、非還元性で非毒性の、ガラス形成性ジサッカリドである。トレハロースは、1つには、比較的高いガラス転移温度(無水状態で約120℃)を有するために、乾燥およびその後の保存中の、タンパク質、ウイルスおよび食品などの種々の物質の変性を防止するのに有用である(US4891319;US5149653;US5026566)。トレハロースはまた、酵素を安定化させる(ArgallおよびSmith(1993) Biochem. Mol. Biol. Int. 30;491)。トレハロースは、生体化合物に対して水分をさらに放出することができる無水トレハロースをも形成しうる(Cryo-letters 16; 181-186 (1995))。トレハロースおよび種々の安定化性ポリオールはまた、サンプルが凍結乾燥工程において活性を喪失する傾向がある場合には特に、凍結乾燥されたサンプルの保存を改良するのに有用であることが見出されている。凍結乾燥技術において有用な他の糖としては、スクロースおよびラクトースが挙げられる。
本発明は、活性薬剤がごく慣用された乾燥工程において不安定であり活性を喪失する傾向がある場合に特に有用な、該活性薬剤の温和な保存方法を提供する。この方法は、活性薬剤を、安定化剤の溶液中に溶解/懸濁することにより保存サンプルを調製する工程;該保存サンプルが凍結したり発泡して気泡を形成したりすることなく該サンプルが蒸発により溶媒を放出するような温度および圧力条件に、該保存サンプルを供する工程;ならびに該保存サンプルが乾燥して高粘性液体を形成するまで溶媒を除去する工程を含む。2種の成分、すなわちガラス形成性ポリオールと高粘性液体の流動速度を低減させる第2成分とを、安定化剤と共に使用することにより、得られる高粘性液体はバイアル瓶の底から離れにくくなる。これは結果として、表面上の優れた外観、そして高粘性液体が移動する場合に生じうる再構成の問題の回避をもたらす。さらに、バイアル瓶の底から高粘性液体が離れれば、例えばその栓と接触した際に、高粘性液体の結晶化を生じる可能性がある。
詳細な説明
本発明の方法は活性薬剤の保存に使用されるものであり、その方法は、下記工程:
a) 安定化剤の溶液中に活性薬剤を溶解/懸濁することにより、保存サンプルを調製する工程;
b) 凍結したり発泡して気泡を形成したりすることなく該保存サンプルが蒸発により溶媒を放出するような温度および圧力条件に該保存サンプルを供して、粘性液体を形成させる工程;および
c) 粘性液体が乾燥して高粘性液体を形成するような温度および圧力条件に該保存サンプルをさらに供する工程、
を含むが、ここでその安定化剤はガラス形成性ポリオールと第2成分とを含むものであって、該第2成分は、その第2成分の不在下でガラス形成性ポリオールを含む安定化剤を用いて得られる高粘性液体と比較して、工程c)において形成される高粘性液体の流動速度を低減するものである。
本発明の方法は、長期保存に耐えることができ、その間、活性薬剤の活性および/または抗原性および/または免疫原性が維持されるような形態の活性薬剤を生産する。好ましくは、この活性薬剤は、4℃、20℃または37℃で保存した場合、少なくとも3、6、9、12、24ヶ月の期間にわたって、元の活性、抗原性および/または免疫原性の少なくとも40、50、60、70、好ましくは80、90、95%を保持する。抗原性または免疫原性は、以下に記載する標準的なアッセイにより測定することができる。
この方法は、溶液中に保存した場合に、または凍結するかもしくは発泡して気泡を形成する状態に曝露される場合に、急速に活性を喪失する不安定な産物の保存寿命を延長させるのに特に有用である。
不安定な産物は、溶液中での保存後および/または凍結後および/または気泡形成の際の発泡に伴うようなストレスに供された後に、活性喪失および/または抗原性喪失および/または免疫原性喪失を生じやすい。
それは特に、ガラス形成性ポリオールがより低濃度(例えば、3〜15% w/v)であることが有利であり、また乾燥工程がより短い(4、6、8、10または12時間未満)ことが好ましい場合の使用に適用可能である。
粘性液体は、溶媒の大部分がサンプルから失われた最終時点での、第1の溶媒除去段階の生成物として定義される。この時点は、蒸発の速度が遅くなり、サンプルの温度がバルク蒸発の吸熱効果が失われる保存温度に戻るため、認識することができる。
高粘性液体は、第1の乾燥段階の終了時点で生成された粘性液体を、第1の乾燥段階の終了後のさらなる期間、減圧下に曝した後に生成される。高粘性液体は、好ましくはKarl Fischerの電量湿度分析装置(Eur. J. Pharm. Biopharm.(2000) 50; 277-284)により測定される、15、12、10、8、5、4、3、2または1%(w/w)以下の溶媒含量を有する。Berghof法はまた、相対湿度の測定にも使用できる。この方法は、Karl Fischerに類似しているが気流ではなく窒素流下で行われる。溶媒含量の好ましい範囲は1〜3%、3〜5%、5〜10%、または10〜15%(w/w)である。高粘性液体は、活性薬剤が4℃で少なくとも3、6、9、12または24ヶ月間、安定状態で保存され、この期間にわたって、活性薬剤がその活性および/または抗原性および/または免疫原性の少なくとも40、50、60、好ましくは70、80、90、95%を保持できるようにするだけの十分に低い溶媒含量を有する。高粘性液体は、固形の外観を有するが、ゴムまたはガラス、好ましくはガラスであり、2、4、または6日間、好ましくは1、2、3または4週間、より好ましくは2、4、6、8、10または12ヶ月間かけて、非常にゆっくりと流動することができるのが好ましい。極端にゆっくりとした流動は、高粘性液体を含む容器を倒置させ、高粘性液体の流動が観察されるまで室温で静置することにより測定することができる。好ましい実施形態においては、高粘性液体は、倒置状態で、2、4または6日後、好ましくは1、2、3、または4週間後、より好ましくは2、4、6、8、10または12ヶ月後でも流動が認められないであろう。高粘性液体は、明澄透明の外観を有するのが好ましい。
保存サンプルの調製
保存サンプルは、安定化剤の溶液中に活性薬剤を溶解/懸濁することにより作製される。安定化剤は、ガラス形成性ポリオールを含有する。好ましくはその安定化性ポリオールは、変性、凝集、または他の手段による活性の実質的損失を生じずに活性薬剤を保存することを可能にする。好ましくは、そのガラス形成性ポリオールは、グルコース、マルツロース、イソマルツロース、ラクツロース、スクロース、マルトース、ラクトース、イソマルトース、マルチトール、ラクチトール、パラチニット、トレハロース、ラフィノース、スタキオース、メレジトースおよびデキストランのような、炭水化物またはその誘導体である。
本発明で使用される安定化剤は、第2成分を含有する。その第2成分は、安定化剤がガラス形成性ポリオール単独からなる場合に生成される高粘性液体の流動速度と比較して、本発明の方法により形成される高粘性液体の流動速度を低減させる。
その第2成分は、好ましくは糖であり、より好ましくは直鎖成分を含む糖である。
第2成分は、好ましくは、ガラス形成性ポリオールと比べてより少ない水分収着等温線を示す糖である。そのような糖の例、および水分収着等温線の定義については、Fakes et al (2000) PDA J. Pharm. Sci. Technol. 54; 144-149を参照されたい。そのような糖は、高粘性液体の溶媒含量を減少させ、それゆえ流動速度を減少させることにより、機能する。
好ましくは、第2成分は、マンニトール、ラフィノース、ラクチトール、ソルビトール、ラクトースおよびラクトビオン酸またはそれらの混合物からなる群より選択される糖を含む。
ガラス形成性ポリオールと第2成分の好ましい組み合わせとしては、スクロースとマンニトール、スクロースとマンニトールおよびラクトースの混合物、スクロースとラフィノース、トレハロースとマンニトール、トレハロースとマンニトールおよびラクトースの混合物、トレハロースとラフィノース、マルトースとマンニトール、マルトースとマンニトールおよびラクトースの混合物、マルトースとラフィノースが挙げられる。
安定化剤中のガラス形成性ポリオールと第2成分の相対量は、高粘性液体の流動速度を決定する上での要因である。第2成分の量が増加すれば、得られる高粘性液体の流動速度は低くなる。しかしある種の第2成分を高濃度で含めると、乾燥サンプルの結晶化が生じ、これは不安定な活性薬剤の活性に悪影響を及ぼす可能性がある。好ましくは、安定化剤中のガラス形成性ポリオールと第2成分の比(w/w)は6:1〜1:1、より好ましくはそれは4:1〜2:1、あるいは2:1および1:1である。
細菌性多糖は安定化剤と免疫原の両方として機能できることから、それは本発明の方法における安定化剤の一部を有利に構成しうる。
アミノ酸は安定化剤として機能することができ、またガラス形成性ポリオールと組み合わせて用いることができる。好ましいアミノ酸としては、グリシン、アラニン、アルギニン、リジンおよびグルタミンが挙げられるが、任意のアミノ酸、またはアミノ酸の組合せ、ペプチド、加水分解タンパク質、または血清アルブミンなどのタンパク質が、安定化剤の一部として機能しうる。
本発明の方法において用いられる安定化剤の濃度は、1%〜50%(重量/体積)であってよいが、好ましくは1〜5%、5〜10%、15〜20%、20〜25%または25〜50%、最も好ましくは15%または10%(w/v)以下である。必要とされる安定化剤の量は、存在する塩の量に比例する。従って、2%〜10%の安定化剤のレベルが好ましいが、高い塩含量(100 mM、200 mM、300 mM、400 mMまたは500 mMを上回る)を示すサンプルを乾燥させるには、10%〜25%というより高い濃度が必要であろう。
保存サンプルは、本発明の高粘性液体中での結晶形成を阻害することができる成分を含むのが好ましい。塩、ならびにアミノ酸およびフェノールレッドなどの他の分子が、結晶形成を阻害する。
容器
異なる混合物、ならびに種々の容器の形状および大きさを、同時に処理することができる。理想的には、用いる容器の大きさは、最初の混合物を含有し、その形成される固体の体積を収容するのに十分なものである。通常、これはガラス形成性材料の質量、容器の表面積、およびガラス形成の条件により決定される。ガラス形成性材料の質量は、実際には容器の単位表面積あたりの最小量に変換される粘性シロップを与えるのに十分な量でなければならない。この比率は、混合物間、および用いる容器の間で様々であるが、本明細書で説明する手順に従えば、当業者は経験的に容易に決定することができる。Wheaton成型バイアルおよびチューブカットバイアルなどの任意のバイアルを用いることができる。
本発明の方法は、溶媒をはじく内部表面、好ましくは撥水内部表面を有する容器を用いるのが好ましい。これは、例えばシリコーン処理などにより、疎水性組成物で内部表面をコーティングすることによって達成される。シリコーン処理は、当業者には周知の方法により達成される。一つの方法においては、容器の内部をシリコーンの乳濁液ですすいだ後、高温、典型的には350℃にてオーブンを通して処理(硬化)することにより、その容器をシリコーン処理する。あるいは、撥水内部表面は、容器が撥水性組成物から構成されることにより達成される。
容器の撥水内部表面は、水が容器の側面に集まりにくいため、前記方法の乾燥生成物の再構成を容易にする。
本発明では特異な形態を用いることができるが、2種以上のガラスマトリックス形成材料、2種以上の添加剤、および2種以上の物質が存在してもよい。これらの成分の有効量は、当業者により容易に決定することができる。
溶液
安定化剤および活性薬剤を混合する溶媒は、水性溶媒、有機溶媒、またはその両方の混合物であってもよい。ガラスマトリックス形成性材料を溶解するのに十分な水性溶媒および疎水性物質を溶解するのに十分な有機溶媒を用いて、疎水性物質を含有するガラスを形成させることができる。
溶媒の選択は、ガラスマトリックス形成に関して選択される材料の性質、ならびに任意の添加剤および/または含有させようとする物質の性質に、依存するであろう。溶媒は、ガラスマトリックス形成性材料ならびに任意の添加剤および/または物質の十分な可溶化を行うための性質および十分な体積のものであるべきである。前記物質が親水性材料である場合、液体は、有害な溶媒相互作用による活性喪失の可能性を回避するために、水性であるのが好ましい。好ましくは、この水性溶媒としては、限定されるものではないが、水および生物学的緩衝溶液などの、当業界で公知の任意の好適な水性溶媒が挙げられる。この水性溶媒は、5〜98体積%、より好ましくは80〜98体積%、最も好ましくは85〜98体積%の量で存在するのが好ましい。
溶媒の体積は様々であってよく、ガラスマトリックス形成性材料および組み入れようとする物質ならびに任意の添加剤に依存するであろう。必要とされる最小の体積は、種々の成分を可溶化するのに必要な量である。しかしながら、物質の均一分散懸濁液を用いることもできる。特定の実施形態における成分の好適な量は、本明細書にて提示する実施例に照らして、当業者であれば容易に決定することができる。
種々の添加剤を、保存サンプルに導入することができる。好ましい添加剤はメイラード反応の阻害剤である。好ましくは、前記物質および/またはガラスマトリックス形成性材料がカルボニルおよびアミノ、イミノまたはグアニジノ基を含む場合、前記組成物はさらに、該組成物中のアミノ基と反応性カルボニル基の縮合を実質的に阻止するのに有効な量の、少なくとも1種の生理学的に許容し得るメイラード反応の阻害剤を含む。メイラード反応の阻害剤は当業界で公知の任意のものであってよい。この阻害剤は、アミノ基と反応性カルボニル基の縮合を阻止するか、または実質的に阻止するのに十分な量で存在する。典型的には、アミノ基は前記物質上に存在し、カルボニル基はガラスマトリックス形成性材料上に存在するか、またはその逆である。しかしながら、アミノ基およびカルボニル基は前記物質または炭水化物の分子内のものであってもよい。
メイラード反応に対して阻害作用を示し、従って本明細書に記載の組成物において有用である種々のクラスの化合物が公知である。これらの化合物は、一般的には、メイラード反応の競合的または非競合的な阻害剤である。競合的阻害剤としては、限定するものではないが、アミノ酸残基(DおよびLの両方)、アミノ酸残基の組合せおよびペプチドが挙げられる。特に好ましいものは、リジン、アルギニン、ヒスチジンおよびトリプトファンである。リジンおよびアルギニンが最も有効である。多くの公知の非競合的阻害剤が存在する。これらのものとしては、限定するものではないが、アミノグアニジンおよびその誘導体ならびにアンフォテリシンBが挙げられる。EP-A-0 433 679はまた、4-ヒドロキシ-5,8-ジオキソキノリン誘導体を含む好適なメイラード阻害剤を記載している。
本発明の方法の乾燥生成物のより容易な視覚化を可能にするために、保存サンプル中に着色剤を含有させるのが有利である。これは、高粘性液体が使用前に完全に再構成されることを確実にするために、再構成の際に特に重要である。この着色剤は中性のpHでその色を維持し、患者への注射に適合性であるのが好ましい。最も好ましくは、着色剤はフェノールレッドである。
蒸発による溶媒の喪失(蒸発乾燥-工程b)
本発明の方法は、保存サンプルが凍結または発泡して気泡を形成することなく蒸発により該保存サンプルが溶媒を放出するような圧力および温度条件に、該保存サンプルを供することを含む。
保存サンプル内の温度は、時には、蒸発工程の吸熱性のために、サンプルの外部の温度とは異なるであろう。温度に対する言及は、保存サンプルの外部の条件、例えば、大きな工業用凍結乾燥装置を用いる場合は、貯蔵温度に対するものである。これは通常、凍結乾燥装置の温度設定に対応する。
必要に応じて、保存サンプルを脱気する予備工程が、本発明の方法中に存在する。圧力を、少なくとも5分間にわたり、200 ミリバール(mbar)以下、好ましくは200〜35 mbarに低下させた後、圧力をさらに低下させる。
本発明の好ましい実施形態は、温度条件を制御しながら圧力を低下させることにより、蒸発乾燥を達成する。温度設定を、0℃を上回る温度、好ましくは5℃〜37℃、4℃〜10℃、10℃〜15℃、15℃〜25℃、15℃〜20℃、20℃〜25℃、25℃〜30℃、30℃〜37℃または37℃〜45℃の温度に維持しながら、圧力を、30、25、20、好ましくは15、12、最も好ましくは10、8、7、6、5、4、3、2または1 mbar以下に調整する。これらの条件を、少なくとも1、2、3、4、5、8、10、12、16または24時間、好ましくは2〜4時間、4〜6時間、6〜8時間、8〜12時間、または12〜18時間、維持する。特に好ましい実施形態においては、温度設定を15℃にしてサンプルの凍結を防止する場合、圧力を2 mbarを上回る温度で維持する。好ましい実施形態においては、温度を20℃で維持し、圧力を5〜10 mbar、より好ましくは6〜9 mbar、最も好ましくは約8 mbarに設定する。より高い温度設定を用いる場合、サンプルを凍結させずにわずかにより低い圧力が可能であり、より低い温度設定を用いる場合、凍結を防止するために、圧力をより高いレベルに維持するべきである。サンプルの温度が、サンプルの外部の温度とほぼ同じになるように蒸発速度を遅くするような十分な時間にわたり、この条件を維持するのが好ましい。
保存サンプルが凍結したり発泡/沸騰して気泡を形成したりせず、溶媒を放出して粘性液体または高粘性液体を形成するのが好ましい。
高粘性液体を形成させるための溶媒の除去
本発明の方法のそれに続く段階は、保存サンプルが乾燥して高粘性液体を形成するまで溶媒を除去することを含む。第2の乾燥段階では、サンプルは凍結も発泡して気泡を形成することもない。高粘性液体を、好ましくはKarl Fischerの電量湿度分析装置を用いる測定値で、15、12、10、より好ましくは8、5、4、3、2または1%(w/w)以下の溶媒含量を有する材料と定義する。高粘性液体は、活性薬剤が4℃で少なくとも3、6、9、12または24ヶ月間、安定状態で保存され、かつこの期間にわたって、活性薬剤がその活性および/または抗原性および/または免疫原性の少なくとも40、50、60、好ましくは70、80、90、95%を保持できるような十分に低い溶媒含量を有する。好ましくは、高粘性液体は固形のおよび/または明澄な外観を有するが、脆弱な有機ガラスまたは中間的なゴム状態であり、2、4、または6日間、好ましくは2、3または4週間、より好ましくは2、4、6、8、10または12ヶ月間かけて非常にゆっくりと流動できる。極端にゆっくりとした流動を、高粘性液体を含む容器を倒置し、高粘性液体の流動が観察されるまで室温または4℃で静置することにより測定することができる。好ましい実施形態においては、高粘性液体は、倒置された状態で、2、4または6日後、好ましくは2、3または4週間後、より好ましくは2、4、6、8、10または12ヶ月後でも流動が認められないであろう。
本発明の一実施形態においては、これは、圧力および温度条件を、第1の蒸発乾燥段階において適用された条件で維持することにより達成される。例えば、0℃より高い温度、好ましくは5〜37℃、5〜10℃、10〜15℃、15〜20℃、20〜25℃、25〜30℃、または30〜37℃の温度で温度設定を維持しながら、30、25、20、好ましくは15、12、最も好ましくは10、8、7、6、5、4、3、2もしくは1 mbarまたはそれを下回るように圧力を維持する。15℃の温度設定については、5〜10 mbar、好ましくは6〜9 mBar、最も好ましくは約8 mbarの圧力を、4〜24時間、好ましくは1〜4、4〜8、8〜12または12〜16時間、維持する。これらの温度および圧力条件を、1、2、3、4、5、6、8、10、12、18時間以上維持して、好ましくはKarl Fischerの電量湿度分析装置により測定される15、12、好ましくは10、8、5、4、3、2または1%(w/w)以下の溶媒含量を有する高粘性液体を取得する。
本発明の別の実施形態は、溶媒除去の際の温度設定を、その処理過程においてより早期に維持したものよりも高い温度設定に増加させる。これにより、本発明の方法をより短い時間で完了させられるようなより速い速度で溶媒がサンプルから除かれるようにする。例えば、圧力を30、25、20、好ましくは15、12、最も好ましくは10、8、7、6、5、4、3、2または1 mbar以下に維持しながら、温度設定を、0℃より高い温度に、より好ましくは20℃より高い温度に、好ましくは5〜37℃、5〜10℃、10〜20℃、20〜30℃、より好ましくは30〜40℃、より好ましくは40〜50℃、最も好ましくは50〜60℃に増加させる。これらの温度および圧力条件を、少なくとも1、2、3、4、5、6、8、10、12または18時間以上にわたって維持して、好ましくはKarl Fischerの電量湿度分析装置により測定される15、12、10、8、5、4、3、2または1%(w/w)以下の溶媒含量を有する固体を取得する。この実施形態は、活性薬剤が、成功裏に実行されるこの方法に用いられる温度で熱安定性であることを必要とする。
本発明の好ましい実施形態は、溶媒除去(工程c)における圧力設定を、本処理過程のより早期(工程b)において用いるよりも低い圧力設定まで下げる。これにより、より速い速度でサンプルから溶媒を除去することによって、本発明の方法をより短い時間で完了することができるようにする。また、それにより、失われる溶媒の割合をより高くすることもできる。例えば、0℃以上、好ましくは10〜20℃、20〜30℃、30〜35℃、または40℃以上に温度を維持しながら、圧力設定を、7、6、好ましくは5、4、3、より好ましくは2、1.5、1、最も好ましくは0.8、0.5、0.2、0.1、0.05、0.02、0.01、または0.005 mbar以下に設定する。これらの温度および圧力条件を、1、2、3、4、5、6、8、10、12または18時間以上に渡り維持して、好ましくはKarl Fischerの電量湿度分析装置(Eur. J. Pharm. Biopharm.(2000) 50; 277-284)により決定される15、12、好ましくは10、8、5、4、3、2または1%(w/w)以下の溶媒含量を有する固体を取得する。
好ましくは、工程b)およびc)[または工程b)のみ]を、18時間以下、好ましくは16、12、10時間、最も好ましくは8、6、5または4時間以下の時間で完了させるべきである。
活性薬剤
本発明の方法は、任意の活性薬剤を保存するのに有用であるが、他の保存方法において活性および/または抗原性および/または免疫原性を失う不安定な活性薬剤の場合に特に有用である。
本発明の方法を用いて保存しようとする活性薬剤は、細胞、細胞成分組成物、細菌、外膜ベシクル調製物、およびウイルス、ウイルス成分またはウイルス様粒子からなる群より選択される生物学的システムを含んでもよい。また、分子、例えば、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、ポリ核酸、オリゴヌクレオチド、多糖、オリゴ糖、多糖-タンパク質コンジュゲート、オリゴ糖-タンパク質コンジュゲートを含んでもよい。
本発明の方法を用いて保存することができる活性薬剤の例としては、限定されるものではないが、抗炎症剤、鎮痛剤、トランキライザー、抗不安剤、鎮痙剤、抗鬱剤、抗精神病剤、トランキライザー、抗不安剤、麻酔拮抗剤、抗パーキンソン病剤、コリン作動薬、化学療法剤、免疫抑制剤、抗ウイルス剤、抗微生物剤、食欲抑制剤、抗コリン剤、抗メトリクス剤(antimetrics)、抗ヒスタミン剤、抗片頭痛薬、冠血管拡張剤、脳血管拡張剤もしくは末梢血管拡張剤、ホルモン剤、避妊剤、抗血栓剤、利尿剤、抗高血圧剤、心血管薬、オピオイドなどの薬学的有効性のある物質などの任意の生物活性物質が挙げられる。
好適な薬剤には、治療剤および予防剤も包含される。これらには、限定されるものではないが、任意の治療上有効な生物学的修飾物質が包含される。そのような物質としては、限定されるものではないが、細胞成分組成物、細胞、細菌、外膜ベシクル調製物、ウイルス、ならびに、限定されるものではないが、脂質、有機物、タンパク質およびペプチド(合成および天然)、ペプチドミメティックス、ホルモン(ペプチド、ステロイドおよびコルチコステロイド)、DおよびLアミノ酸ポリマー、オリゴ糖、多糖、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、およびDNAおよびRNAなどの核酸、タンパク質核酸ハイブリッド、小分子および生理学的に活性なそれらの類似体などの分子が挙げられる。さらに、それらの修飾物質は、天然の起源から得てもよいし、または組換え手段もしくは合成手段により作製してもよく、類似体、アゴニストおよび相同体を包含する。
本明細書で用いる「タンパク質」とは、ペプチドおよびポリペプチドも指す。そのようなタンパク質としては、限定されるものではないが、酵素、生物薬剤、成長ホルモン、増殖因子、インスリン、抗体、モノクローナルおよびポリクローナルならびにそのフラグメント、インターフェロン、インターロイキンならびにサイトカインが挙げられる。
本明細書に記載の方法により調製される治療用の核酸ベースの薬剤も、本発明に包含される。本明細書で用いる「核酸」としては、限定されるものではないが、DNA、RNA、およびそれらの生理学的に活性な類似体などの当業界で公知の治療上有効な核酸が挙げられる。このヌクレオチドは遺伝子をコードしていてもよいし、限定されるものではないが、プラスミド、レトロウイルスおよびアデノ随伴ウイルスなどの組換えDNAの分野で公知の任意のベクターであってもよい。
さらに、予防活性を有する物質およびその担体の保存も本発明に包含される。好ましい組成物としては、ワクチンなどの免疫原が挙げられる。ワクチンは経口投与用のものであってもよいし、再構成後に注射するためのものであってもよい。好適なワクチンとしては、限定されるものではないが、生ワクチンおよび弱毒化ワクチン、抗原をコードするヌクレオチドベクター、生細菌および弱毒化細菌、タンパク質、多糖、オリゴ糖および/またはリポ多糖抗原、抗原+アジュバントならびに抗原および/または担体に結合したハプテンが挙げられる。特に好ましいのは、ジフテリア、破傷風、百日咳、ボツリヌス、コレラ、デング熱、A、B、CおよびE型肝炎、b型インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae b)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、B群連鎖球菌、A群連鎖球菌、ヘルペスウイルス、ヘリコバクターピロリ(Helicobacterium pylori)、インフルエンザ、日本脳炎、A、B、C、Y、W型髄膜炎菌、麻疹、流行性耳下腺炎、パピローマウイルス、肺炎球菌、ポリオウイルス、不活化ポリオウイルス(IPV、好ましくはワクチン分野で標準的な1、2および3型を含むもの、最も好ましくはSalkポリオワクチン)、風疹、ロタウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、赤痢菌、結核、水痘帯状疱疹ウイルス、黄熱病およびそれらの組合せに対して有効なワクチンである。ワクチンの抗原成分を、病原体から誘導されたタンパク質の1または2以上の部分を含む組換えペプチドまたは融合タンパク質を製造するための分子生物学的技術により製造することもできる。例えば、抗原とコレラ毒素のBサブユニットを含む融合タンパク質は、該抗原に対する免疫応答を誘導することが示された(Sanchesら(1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 481-485)。ワクチンは単回投与組成物への含有に特に好適である。これらは、周囲条件下で無期限に安定であり、接種直前に滅菌された希釈液に再溶解することができる。
好ましい実施形態において、活性薬剤は、血清群A、C、W-135およびYの髄膜炎菌のうち1種以上から誘導された莢膜多糖を含む。さらに好ましい実施形態は、肺炎球菌から誘導された莢膜多糖を含む。肺炎球菌莢膜多糖抗原は、好ましくは血清型1、2、3、4、5、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23Fおよび33F(最も好ましくは血清型1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19Fおよび23F)から選択される。さらに好ましい実施形態は、b型インフルエンザ菌のPRP莢膜多糖を含む。さらに好ましい実施形態は、黄色ブドウ球菌の5型、8型、336、またはPNAG(好ましくは脱アセチル化PNAG)莢膜多糖を含む。さらに好ましい実施形態は、表皮ブドウ球菌のI型、II型、III型またはPNAG(好ましくは脱アセチル化PNAG)莢膜多糖を含む。さらに好ましい実施形態は、B群連鎖球菌のIa型、Ic型、II型またはIII型莢膜多糖を含む。さらに好ましい実施形態は、A群連鎖球菌の莢膜多糖を含み、好ましくはさらに少なくとも1種のMタンパク質およびより好ましくは複数の型のMタンパク質を含む。
本発明の一実施形態においては、細菌性多糖は、全長の、精製された天然多糖である。本発明の別の実施形態においては、この多糖は、より扱いやすくするためより小さいサイズとなるように、2〜20倍、好ましくは2〜5倍、5〜10倍、10〜15倍または15〜20倍のサイズである。さらなる実施形態においては、オリゴ糖を用いる。典型的には、オリゴ糖は2〜20個の反復単位を含む。
多糖およびオリゴ糖は、コンジュゲート化しなくてもよいし、以下に記載のようにコンジュゲート化してもよい。
2種以上の上記活性薬剤の組合せを、本発明の保存方法を用いて保存することができる。ワクチンの一部または全部を、本発明の保存方法を用いて保存することができる。
本発明の方法を用いて保存しようとする好ましい活性薬剤は、IPV(ポリオウイルス株の不活化混合物)を含む。IPV、特に3型成分は、凍結乾燥または発泡乾燥およびそれに続く再構成後の抗原の損失によって示される通り、従来の凍結乾燥技術および発泡乾燥技術に対して壊れやすい。
IPVは、不活化されたポリオウイルス(好ましくはワクチン分野で標準的な1、2および3型を含み、最も好ましくはSalkポリオワクチンである)と定義される。IPVのワクチン用量は、20〜80、好ましくは40または80 D-抗原ユニットの1型(Mahoney)、4〜16、好ましくは8または16 D-抗原ユニットの2型(MEF-1)、および20〜64、好ましくは32または64 D-抗原ユニットの3型(Saukett)を含む。
本発明の方法により乾燥する場合、1、2、および3型のポリオウイルスのうち1、2、または3種全部の抗原性が保持されるのが好ましい。1型、2型、3型、1型および2型、1型および3型、2型および3型、または1型、2型および3型の抗原性が、乾燥工程に供していない参照サンプルの抗原性の少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または98%のレベルで保持されるのがより好ましい。これを、1、2および/もしくは3型ポリオウイルスに対するポリクローナルおよび/またはモノクローナル抗体を用いるELISAによるなどの任意の好適な方法により、水溶液中での高粘性液体の再構成後に測定することができる。
本発明の方法により乾燥する場合、1、2、および3型のポリオウイルスのうち1、2、または3種全ての免疫原性が保持されるのが好ましい。1型;2型;3型;1型および2型;1型および3型;2型および3型;または1型、2型および3型の免疫原性が、乾燥工程に供していない参照サンプルの免疫原性の少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または98%のレベルで保持されるのがより好ましい。これを、任意の好適な方法により、水溶液中での高粘性液体の再構成後に測定することができる。好ましい方法においては、高粘性液体を水溶液中で再構成し、動物、好ましくはラットに接種する。好適な時間の後、接種された動物から抗血清を収集し、血清変換を調べる。好ましくは、未乾燥の参照サンプルと比較して、少なくとも0.4、0.5、0.6、0.7、0.8または0.9の相対効力を達成する。
好ましくは、IPVを、1種以上のb型インフルエンザ菌(Hib)のPRP多糖もしくはオリゴ糖ならびに/または髄膜炎菌のA、C、Wおよび/もしくはY型多糖もしくはオリゴ糖ならびに/または肺炎球菌の多糖もしくはオリゴ糖と組み合わせる。最も好ましくは、活性薬剤は、IPVおよびHib;IPVおよびMenC;IPV、HibおよびMenC;HibおよびMenC;IPVならびにMenAおよびC;HibならびにMenAおよびC;IPV、Hib、MenAおよびC;Hib、MenCおよびY;IPV、Hib、MenCおよびY;IPVおよびMenW;またはIPV、HibおよびMenWを含む。
上記の詳述した活性薬剤は、以下に記載の1種以上の肺炎球菌莢膜多糖を含んでもよい。
多糖を用いる上記の組成物において、オリゴ糖を用いることもできる(以下に定義する)。
これらの組成物はアジュバント化することができるが(以下に記載)、これらは好ましくはアジュバント化しないか、好ましくはアルミニウム塩を含有しない。
前記多糖またはオリゴ糖を、T-ヘルパーエピトープを含むペプチドまたは担体タンパク質とコンジュゲート化するのが好ましい(以下に記載)。
追加成分
本発明の方法により乾燥された好ましい組合せを、さらなる抗原と組み合わせて組合せワクチンとしてもよい。そのさらなる抗原は乾燥させてもよいし、好ましくはその乾燥成分(高粘性液体)を再構成するのに用いることができる液体製剤であってもよい。本発明の活性薬剤と組み合わせるのに好ましいさらなる抗原としては、1種以上のジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、全細胞百日咳(Pw)、非細胞性百日咳(Pa)(以下に記載)、B型肝炎表面抗原、A型肝炎ウイルス、b型インフルエンザ菌多糖、髄膜炎菌多糖、髄膜炎菌血清型Bタンパク質、肺炎球菌多糖、肺炎球菌タンパク質または以下に列挙する抗原のいずれかが挙げられる。細菌性多糖を、以下に記載するように破傷風トキソイド、破傷風トキソイド断片C、ジフテリアトキソイド、CRM197、ニューモリシン、プロテインD(US6342224)などの担体タンパク質とコンジュゲート化することができる。
本発明の方法を用いて保存される活性薬剤を、髄膜炎菌、b型インフルエンザ菌、肺炎連鎖球菌、A群連鎖球菌、B群連鎖球菌、黄色ブドウ球菌または表皮ブドウ球菌のうち1種以上から得られた莢膜多糖と共に製剤化することができる。好ましい実施形態においては、さらなる抗原は血清群A、C、W-135およびYの髄膜炎菌のうち1種以上から得られた莢膜多糖を含む。さらに好ましい実施形態では、さらなる抗原は肺炎連鎖球菌から誘導された莢膜多糖を含む。肺炎球菌の莢膜多糖抗原は、好ましくは血清型1、2、3、4、5、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23Fおよび33F(最も好ましくは血清型1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19Fおよび23F)から選択される。さらに好ましい実施形態では、さらなる抗原は、b型インフルエンザ菌のPRP莢膜多糖、または黄色ブドウ球菌の5型、8型、336またはPNAG(好ましくは脱アセチル化PNAG)莢膜多糖、または表皮ブドウ球菌のI型、II型、III型またはPIA莢膜多糖、またはB群連鎖球菌のIa型、Ic型、II型またはIII型莢膜多糖を含む。さらなる実施形態では、さらなる抗原は、A群連鎖球菌の莢膜多糖を含み、好ましくはさらに少なくとも1種のMタンパク質およびより好ましくは複数の型のMタンパク質を含む。
本発明の一実施形態においては、細菌性多糖は全長の、精製された天然多糖である。本発明の代替的な実施形態においては、この多糖は、より扱いやすくするためより小さいサイズとなるように、2〜20倍、好ましくは2〜5倍、5〜10倍、10〜15倍または15〜20倍のサイズである。好ましい実施形態においては、オリゴ糖を用いる。典型的には、オリゴ糖は2〜20個の反復単位を含む。
そのような莢膜多糖は、コンジュゲート化しなくてもよいし、破傷風トキソイド、破傷風トキソイド断片C、ジフテリアトキソイド、CRM197、ニューモリシン、プロテインD(US6342224)などの担体タンパク質にコンジュゲート化してもよい。破傷風毒素、ジフテリア毒素およびニューモリシンは、遺伝的突然変異および/または好ましくは化学的処理により解毒する。
多糖コンジュゲートを、公知の任意のカップリング技術により調製することができる。例えば、多糖を、チオエーテル結合を介してカップリングすることができる。このコンジュゲーション方法は、1-シアノ-4-ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート(CDAP)を用いて前記多糖を活性化させて、シアン酸エステルを形成させることによるものである。かくして、活性化された多糖を、担体タンパク質上のアミノ基と、直接カップリングさせるか、またはスペーサー基を介してカップリングさせることができる。好ましくは、シアン酸エステルを、ヘキサンジアミンとカップリングさせ、アミノ誘導体化された多糖を、チオエーテル結合の形成を伴うヘテロ結合化学を用いて担体タンパク質にコンジュゲートさせる。そのようなコンジュゲートは、PCT出願公開WO93/15760(Uniformed Services University)に記載されている。
前記コンジュゲートを、US 4365170(Jennings)およびUS 4673574(Anderson)に記載の直接還元アミノ化法により調製することもできる。他の方法がEP-0-161-188、EP-208375およびEP-0-477508に記載されている。
さらなる方法は、カルボジイミド縮合(Chu C.ら、Infect. Immunity, 1983, 245-256)による、タンパク質担体への、アジピン酸ヒドラジド(ADH)を用いて誘導体化したシアノゲンブロミド活性化多糖のカップリングを含む。
好ましい肺炎球菌タンパク質抗原は、肺炎球菌の外膜上に露出された肺炎球菌タンパク質(肺炎球菌の生活環の少なくとも一部の間は宿主の免疫系により認識され得る)、または肺炎球菌により分泌もしくは放出されるタンパク質である。最も好ましくは、前記タンパク質は、毒素、アドヘシン、2成分シグナル伝達因子、もしくは肺炎連鎖球菌のリポタンパク質、またはそれらの断片である。特に好ましいタンパク質としては、限定されるものではないが、ニューモリシン(好ましくは、化学的処理もしくは突然変異により解毒される) [Mitchellら、Nucleic Acids Res. 1990 Jul 11; 18(13):4010 「1型および2型肺炎連鎖球菌由来ニューモリシンの遺伝子およびタンパク質の比較」、Mitchellら、Biochim Biophys Acta 1989 Jan 23; 1007(1): 67-72 「大腸菌におけるニューモリシン遺伝子の発現:迅速な精製および生物学的特性」、WO96/05859 (A. Cyanamid)、WO90/06951 (Patonら)、WO99/03884 (NAVA)];PspAおよびその膜貫通欠失変異体 (US5804193-Brilesら);PspCおよびその膜貫通欠失変異体 (WO97/09994-Brilesら);PsaAおよびその膜貫通欠失変異体 (Berry & Paton, Infect Immun 1996 Dec; 64(12): 5255-62 「PsaAの配列異種性、肺炎連鎖球菌のビルレンスにとって必須である37キロダルトンの推定アドヘシン」;肺炎球菌コリン結合タンパク質およびその膜貫通欠失変異体 (WO97/41151;WO99/51266);CbpAおよび膜貫通欠失変異体(WO 97/41151; WO99/51266);グリセルアルデヒド-3-リン酸-デヒドロゲナーゼ(Infect. Immun. 1996, 64:3544);HSP70 (WO96/40928);PcpA (Sanchez-Beatoら、FEMS Microbiol Lett 1998, 164:207-14);M様タンパク質(EP0837130)ならびにアドヘシン18627(EP0834568)が挙げられる。さらに好ましい肺炎球菌タンパク質抗原は、WO98/18931に開示されたものであり、特に、WO98/18930およびPCT/US99/30390で選択されたものである。
本発明の高粘性液体と共に製剤化するのに好ましい髄膜炎菌タンパク質としては、TbpA (WO93/06861; EP586266; WO92/03467; US5912336)、TbpB (WO93/06861; EP586266)、Hsf (WO99/31132)、NspA (WO96/29412)、Hap (PCT/EP99/02766)、PorA、PorB、OMP85(D15としても知られる)(WO00/23595)、PilQ (PCT/EP99/03603)、PldA (PCT/EP99/06718)、FrpB (WO96/31618、配列番号38を参照)、FrpAもしくはFrpCまたはその両方の少なくとも30、50、100、500、750アミノ酸に共通する保存された部分(WO92/01460)、LbpAおよび/またはLbpB (PCT/EP98/05117; Schryversら、Med. Microbiol. 1999, 32:1117)、FhaB (WO98/02547)、HasR (PCT/EP99/05989)、lipo02 (PCT/EP99/08315)、MltA (WO99/57280)ならびにctrA (PCT/EP00/00135)が挙げられる。髄膜炎菌タンパク質を、外膜調製物の一部として、精製されたタンパク質として添加するのが好ましい。
本発明の高粘性液体を、ジフテリア菌、破傷風菌および百日咳菌(Bordetella pertussis)感染のうち1つ以上に対する防御を提供する抗原と共に製剤化するのが好ましい。百日咳菌成分は、PT、FHAおよび69kDaパータクチンに由来する少なくとも1種の抗原(好ましくは、2種または3種全部)を含む死滅させた全細胞百日咳菌(Pw)または非細胞性百日咳菌(Pa)であってもよい。特定の他の非細胞性ワクチンもFim2およびFim3などの凝集原を含み、これらのワクチンも本発明における使用が意図される。典型的には、ジフテリア菌および破傷風菌に対する防御を提供する抗原は、ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドである。これらのトキソイドは、化学的に不活化された毒素(例えば、ホルムアルデヒドにより処理したもの)または1個以上の点突然変異の導入により不活化された毒素である。
あるいは、本発明の高粘性液体を、一方の容器に入れた高粘性液体ガラスおよび他方の容器に入れた液体DTPaまたはDTPwを有するキットとして、提供することができる。そのようなキットは、例えば、乾燥された成分と液体成分とを、同じシリンジ中であるが異なるチャンバー中に含有させて有する2室シリンジを含んでもよい。乾燥された成分は、次いで、単一ワクチンとして注射する直前に、液体ワクチンと合わせて再構成する。かくして、例えば、本発明の高粘性液体組成物を、液体DTPaまたはDTPwワクチンと共に再構成し(好ましくは即席で)、単一のワクチンとして投与する。典型的には、DTPaまたはDTPwワクチンには、水酸化アルミニウムを、少なくとも部分的にアジュバント添加する(例えば、GlaxoSmithKline Biologicals s.a.のInfanrix(登録商標)およびTritanrix(登録商標)ワクチン)。
本発明の高粘性液体は、必要に応じて、不定型インフルエンザ菌、RSVに対して宿主を保護することができる1種以上の抗原、および/またはインフルエンザウイルスに対して宿主を保護することができる1種以上の抗原と共に製剤化してもよい。
好ましい不定型インフルエンザ菌タンパク質抗原としては、Fimbrinタンパク質 (US5766608)およびそれに由来するペプチドを含む融合タンパク質(例えば、LB1 Fusion) (US5843464-Ohio State Research Foundation)、OMP26、P6、プロテインD、TbpA、TbpB、Hia、Hmw1、Hmw2、Hap、およびD15が挙げられる。
好ましいインフルエンザウイルス抗原としては、卵もしくはMDCK細胞中で増殖させた全ウイルス、生ウイルスもしくは不活化ウイルス、分割インフルエンザウイルス、またはベロ細胞もしくは全インフルエンザ・ビロソーム(R. Gluck, Vaccine, 1992, 10, 915-920により記載)、またはHA、NP、NA、もしくはMタンパク質、もしくはその組合せなどのその精製タンパク質もしくは組換えタンパク質が挙げられる。
好ましいRSV(呼吸器合胞体ウイルス)抗原としては、F糖タンパク質、G糖タンパク質、HNタンパク質、Mタンパク質またはその誘導体が挙げられる。本発明の抗原性組成物は、単一種の細菌に由来する1種以上の莢膜多糖を含んでもよいことが理解されるべきである。抗原性組成物はまた、1種以上の種の細菌に由来する莢膜多糖を含んでもよい。
免疫原性組成物およびワクチン
本発明のさらなる態様は、本発明の高粘性液体と製薬上許容し得る賦形剤を含む免疫原性組成物またはワクチンを含む。
好ましくは、この免疫原性組成物またはワクチンは免疫原に対する免疫応答を増強するのに十分な量のアジュバントを含む。好適なアジュバントとしては、限定されるものではないが、アルミニウム塩、スクアレン混合物(SAF-1)、ムラミルペプチド、サポニン誘導体、マイコバクテリア細胞壁調製物、モノホスホリルリピドA、ミコール酸誘導体、非イオン性ブロックコポリマー界面活性剤、Quil A、コレラ毒素Bサブユニット、ポルホスファゼン(polphosphazene)およびその誘導体、ならびにTakahashiら(1990)、Nature 344: 873-875により記載されたものなどの免疫賦活性複合体(ISCOM)が挙げられる。獣医学的使用、および動物における抗体産生についても、フロイントアジュバントのマイトジェン成分を用いることができる。
全ての免疫原性組成物またはワクチンに関して、前記免疫原の免疫学的に有効な量を、実験的に決定しなければならない。考慮すべき因子としては、免疫原性、免疫原をアジュバントもしくは担体タンパク質もしくは他の担体と複合体化させるか、または共有結合させるか否か、投与経路および投与すべき免疫投与量の値などが挙げられる。そのような因子はワクチン分野で公知であり、過度な実験を行うことなくそのような決定を行うことは十分に免疫学の当業者の技能の範囲内にある。
活性薬剤を、本発明の高粘性液体またはワクチン中、様々な濃度で存在させることができる。典型的には、前記物質の最低濃度は、その意図される用途を達成するのに必要な量であり、一方、最高濃度は、溶液で維持されるかまたは最初の混合物内で均質に懸濁される最大量である。例えば、治療剤の最小量は、治療上有効な単回用量を提供するものであるのが好ましい。生物活性を有する物質については、最低濃度は再構成に際して生物活性にとって必要な量であり、最大濃度は均質な懸濁を維持することができない時点のものである。単回投与単位の場合、その量は単回の治療用途のものである。一般的には、各用量は1〜100μg、好ましくは5〜50μg、最も好ましくは5〜25μgのタンパク質抗原を含むことが予想される。細菌性多糖の好ましい用量は、10〜20μg、10〜5μg、5〜2.5μgまたは2.5〜1μgである。前記物質の好ましい量は、物質間で様々であるが、当業者であれば容易に決定できる。
活性薬剤を含む高粘性液体
本発明の別の態様は、活性薬剤、およびガラス形成性ポリオールと高粘性液体の流動速度を低減する第2成分とを含む安定化剤を含有する、高粘性液体である。そのような高粘性液体は、好ましくは、本発明の方法を用いて得られるか、または得られたものである。活性薬剤は、本発明の方法を用いる乾燥およびそれに続く再構成の後でもその活性および/または抗原性および/または免疫原性を維持するのが好ましい。活性薬剤の活性、抗原性もしくは免疫原性の少なくとも40、50、60、70、80、90、または95%が保持されるのが好ましい。これを、例えば、上記のような任意の好適な方法により決定することができる。
好ましくは、ガラス形成性ポリオールは、グルコース、マルツロース、イソマルツロース、ラクツロース、スクロース、マルトース、ラクトース、イソマルトース、マルチトール、ラクチトール、パラチニット、トレハロース、ラフィノース、スタキオース、メレジトースおよびデキストランをはじめとする炭水化物またはその誘導体であり、より好ましくはトレハロース、スクロース、ソルビトール、ラフィノース、マンニトール、ラクトース、ラクチトール、またはパラチニットであり、最も好ましくはスクロース、ソルビトール、ラクトース、またはトレハロースであり、最も好ましくはスクロース、マルトースまたはトレハロースである。
本発明の高粘性液体中に存在する安定化剤は、第2成分を含有する。その第2成分は、安定化剤がガラス形成性ポリオール単独からなる場合に生成される高粘性液体の流動速度と比較して、本発明の方法により形成される高粘性液体の流動速度を低減させる。
その第2成分は、好ましくは糖であり、より好ましくは直鎖成分を含む糖である。
第2成分は、好ましくは、ガラス形成性ポリオールと比べてより少ない水分収着等温線を示す糖である。そのような糖は、高粘性液体の溶媒含量を減少させ、それゆえ流動速度を減少させることにより、機能する。
好ましくは、第2成分は、マンニトール、ラフィノース、ラクチトール、ソルビトール、ラクトースおよびラクトビオン酸またはそれらの混合物からなる群より選択される。
ガラス形成性ポリオールと第2成分の好ましい組み合わせとしては、スクロースとマンニトール、スクロースとマンニトールおよびラクトースの混合物、スクロースとラフィノース、トレハロースとマンニトール、トレハロースとマンニトールおよびラクトースの混合物、トレハロースとラフィノース、マルトースとマンニトール、マルトースとマンニトールおよびラクトースの混合物、マルトースとラフィノースが挙げられる。
本発明の高粘性液体中のガラス形成性ポリオールと第2成分の相対量は、その流動速度を決定する上での要因である。第2成分の量が増加すれば、得られる高粘性液体の流動速度は低くなる。しかしある種の第2成分を高濃度で含めると、結晶化が生じて、不安定な活性薬剤の活性に悪影響を及ぼす可能性がある。好ましくは、安定化剤中のガラス形成性ポリオールと第2成分の比(w/w)は6:1〜1:1、より好ましくはそれは4:1〜2:1、あるいは2:1および1:1である。
本発明の高粘性液体は、上記の活性薬剤のうち任意のものを含んでよい。高粘性液体により保存された活性薬剤は、生物学的システム、例えば、細胞、細胞成分(subcellular)組成物、細菌、外膜ベシクル調製物およびウイルスを含んでもよい。あるいは、またはさらに、それは分子、例えば、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、ポリ核酸、オリゴヌクレオチド、多糖、オリゴ糖、多糖-タンパク質コンジュゲート、オリゴ糖-タンパク質コンジュゲートを含んでもよい。また、それは上記活性薬剤の2種以上を含む組合せを含んでもよい。
好ましい実施形態は、好ましくは本発明の方法により得られたかまたは得られる、活性薬剤がワクチンもしくはワクチン成分であるか、またはこれらを含む高粘性液体を、包含する。ワクチンの好ましい成分は上述されており、IPV、より好ましくはIPVと細菌性多糖、好ましくはb型インフルエンザ菌ならびにA、C、WおよびY型髄膜炎菌に由来する多糖またはオリゴ糖を含む。
好ましいワクチン成分としては、IPV(ポリオウイルス株の不活化混合物)が挙げられる。IPVを、Hib PRP多糖ならびに/またはA、C、Wおよび/もしくはY型髄膜炎菌多糖および/または肺炎球菌多糖(上記)のうち1つ以上と組み合わせることが好ましく、より好ましくはIPVおよびHib;IPVおよびMenC;IPV、HibおよびMenC;HibおよびMenC;IPVおよびMenAおよびC;HibおよびMenAおよびC;IPV、Hib、MenAおよびC;Hib、MenCおよびY;またはIPV、Hib、MenCおよびYである。
多糖を用いる上記組成物においては、オリゴ糖を用いることもできる(上記で定義する通り)。
これらの組成物をアジュバント化できるが(上記のとおり)、これらをアジュバント化しないか、またはアルミニウム塩を含まないようにするのが好ましい。
前記多糖またはオリゴ糖を、T-ヘルパーエピトープを含むペプチドまたは担体タンパク質もコンジュゲート化するのが好ましい(上記のとおり)。
本発明の高粘性液体は、必要に応じて乾燥されているか、または好ましくは乾燥された成分を再構成するのに用いることができる液体製剤である他の抗原と組み合わせて、組合せワクチンとするのが好ましい。本発明の容器の内容物と組み合わせるのに好ましい抗原としては、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、全細胞百日咳(Pw)、非細胞性百日咳(Pa)(上記のとおり)、B型肝炎表面抗原、肺炎球菌多糖、肺炎球菌タンパク質、髄膜炎菌多糖、髄膜炎菌タンパク質のうちの1種以上が挙げられる。細菌性多糖を、上記のような破傷風トキソイド、破傷風トキソイド断片C、ジフテリアトキソイド、CRM197、ニューモリシン、プロテインD(US6342224)などの担体タンパク質にコンジュゲートしてもよい。
本発明のさらなる態様は、高粘性液体を水溶液中で再構成する工程を含むワクチンの製造方法である。好ましい実施形態においては、前記水溶液はジフテリアトキソイド、破傷風トキソイドおよび百日咳(非細胞性または全細胞性)抗原を含み、必要に応じて、さらにB型肝炎表面抗原を含む。DTPワクチンに、必要に応じてアルミニウム塩、好ましくは水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムを加えて少なくとも部分的にアジュバント化する。
本発明の別の実施形態は、第1の容器に保持された本発明の高粘性液体と、第2の容器中の液体DTP(非細胞性または全細胞性)を含むワクチンとを含むキットである。上記のような2室シリンジを用いることができる。
本特許明細書内で引用された全ての参考文献または特許出願は、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
以下の実施例は、別途詳細に記載する点以外は、当業者には周知であり日常的である標準的な技術を用いて行う。実施例は例示的なものであり、本発明を限定するものではない。
実施例1. 凍結条件の確立
サンプルを、水にスクロースを溶解させて1%、5%、10%および20%溶液を得ることにより作製した。保存温度を1℃以内で調節することができ、コンデンサーの最終的な温度が-85℃であり、圧力をブリード弁により調節し、6個の熱電対を利用して生成物の温度を測定することができるHeto Drywinner 8-85凍結乾燥装置中に、サンプルを入れた。保存温度の設定を、処理過程を通じて15℃に維持した。圧力を、最初は200 mBarに低下させ、このレベルで10分間維持した後、圧力をさらに50 mBar、5 mBar、2.5 mBar、0.75 mBar、0.4 mBarおよび0.2 mBarに低下させた。各圧力レベルを20分間維持して、温度を平衡化させ、サンプルの温度を、熱電対を用いて読み取った。熱電対を、異なるスクロース濃度のサンプルに付着させた。表1に記録された温度はその温度の平均値である。
結果
全てのサンプルは、存在するスクロースの濃度にかかわらず、1.66〜1.11 mbarで凍結した。様々な圧力において測定された温度は、3点曲線から予測されるものと非常に近かった。すなわちスクロースの存在は、様々な圧力でのサンプルの温度に対して大きな効果は示さない。
サンプルの凍結を回避するためには、15℃の保存温度について、圧力を2 mBarより高く維持するべきである。より低い温度では、圧力をより高いレベルに維持するべきであり、一方、より高い温度を使用すれば、サンプルが凍結することなく圧力をさらに低下させることができる。
Figure 0004988556
実施例2. 凍結または気泡形成をすることなく乾燥する方法
5%、10%、15%および25%のスクロースを含む保存サンプルを作製し、バイアルに添加した。サンプルを、処理過程を通じて15℃の温度設定で凍結乾燥装置に入れた。圧力を、最初は200 mBarに低下させてこのレベルで10分間維持し、脱気した後、圧力をさらに低下させた。圧力を2〜3時間にわたってさらに8 mbarに低下させ、その間、サンプルの内側の熱電対は、サンプルの温度が蒸発冷却によって4℃に低下したことを示していた。2〜3時間後、サンプルの温度は15℃に戻ったが、これは、これらの温度および圧力条件下での蒸発がほぼ完了したことを示している。サンプル内の活性薬剤ができる限りストレスに曝されないようにするため、本処理過程のこの段階において、サンプルを沸騰させて気泡を形成させたり凍結させたりはしなかった。サンプルは粘性液体の外観を有する。
サンプルのさらなる乾燥を、保存温度の設定を15℃に保持しながら圧力をさらに0.1 mbarに低下させることにより、達成した。これらの条件をさらに10〜16時間維持した。この段階の間、蒸発速度が遅かったため、サンプル温度は15℃を保持した。さらなる乾燥が起こり、得られたサンプルは固体の外観を示した。サンプルを横倒しで置いた場合、サンプルの内容物は、数日間かけて、非常にゆっくりと流動し、サンプルが高粘性液体ガラスであることを示した。図1は、高粘性液体の外観を示す。
実施例3. 凍結または気泡形成をすることなく乾燥した後のIPV免疫原性の保持性
そのようなサンプルは、気泡形成を伴う発泡または凍結と関連したストレスに供しなかった。この方法が、IPVを乾燥するのに用いられた場合に高いレベルで抗原保持をもたらすかどうかを判定するために、実験を行った。
安定化剤として10%スクロースまたは10%トレハロースを含む水溶液中にIPVを再懸濁する3つの別々の実験を行った。サンプルをシリコーン処理したバイアルに入れ、これをHeto Drywinner 8-85凍結乾燥装置に入れて温度を15℃に設定した。圧力を、最初は35 ミリバール(mBar)に低下させて、サンプルを脱気した。10分後、圧力をさらに8 mBarに低下させ、このレベルで2時間保持した。この期間中、温度設定を15℃に保持し、サンプル内の温度をモニターした。水がサンプルから蒸発するにつれて温度は4℃まで低下したが、蒸発速度が遅いため、2時間の最後に向けて、温度は15℃に戻った。これらの条件下では、発泡も気泡形成も起こらなかった。次いで、圧力をさらに0.1 mbarに低下させ、これらの条件を、最初の2つの実験については、さらに16時間以上にわたって維持し、3つ目の実験については10時間以上にわたって維持した。
サンプルを水中で再構成させ、ELISAを用いて、3種のポリオウイルス株の抗原性の保持を評価した。3型IPVに対するモノクローナル抗体をELISAにおいて用いて、凍結させなかった参照サンプルと比較して、再構成された凍結乾燥サンプルにおける抗原保持の程度を評価した。結果を、乾燥手順を行わなかったサンプルについて得られた読み取り値の%として示す。
結果
乾燥されたサンプルは固体の外観を示していたが、容器を倒置した場合に、乾燥されたサンプルは数日間をかけて流動することができたので、それらは高粘性液体/ガラスの形態であると考えられた。
Figure 0004988556
3型IPV抗原保持のこれらのレベルは、同じELISA方式で3型に対するモノクローナル抗体を用いる場合に通常は非常に低い値が認められた以下に示す凍結乾燥の結果よりも、はるかに優れている。
Figure 0004988556
実施例4. 高粘性液体/ガラスとして保存される乾燥されたIPVの長期保存安定性
実施例3に記載の方法を用いて乾燥されたサンプルを、4℃にて9ヶ月間保存した。サンプルを150 mM NaClを含む水中で再構成し、ELISAを用いて、3種のポリオウイルス株の抗原性の保持を評価した。各株に対して1つずつの、3種のモノクローナル抗体を別々のELISAにおいて用いて、再構成された保存サンプルにおける抗原保持の程度を評価した。保存前の同じバッチに由来する再構成サンプルについて、同様のELISAを行った。全ての結果を、乾燥していない参照サンプルと比較した。結果を、乾燥手順を行っていないサンプルについて得られた読み取り値の%として示す。
結果
Figure 0004988556
従って、実施例3に記載の方法により乾燥されたIPVは、抗原性を喪失せずに4℃で少なくとも9ヶ月間保存される。
実施例5. 乾燥して高粘性液体を形成し再構成した後のIPVと、乾燥されていないIPVのin vivoにおける免疫原性の比較
10匹のWistarラットの群に、実施例2に開示された方法を用いて、10%スクロースの存在下で乾燥して高粘性液体を形成させ、再構成させたIPVを、種々の希釈度で接種した。10匹のWistarラットのさらなる群に、同じ方法で調製したが乾燥していないIPVの参照サンプルを接種した。
21日後、全てのラットから血清を取得し、1型、2型および3型ポリオウイルスを用いる別々の免疫沈降アッセイにおいてその血清を試験した。
結果を、a) 各IPV希釈物に対する応答ラット数、b) 免疫沈降アッセイにより評価した、50%のラットの血清変換を確保するのに必要な用量であるED50、およびc) 乾燥していない参照IPVと比較した、乾燥して再構成したIPVの相対効力、を含む表5に示す。
Figure 0004988556
JLEO17/05は、乾燥されて高粘性液体を形成し続いて再構成されたIPVバッチである。JLE097は乾燥していない参照である。
表5は、IPVの各希釈物を接種した反応個体数が、乾燥され再構成されたIPVの2つのバッチと乾燥していない参照サンプルとの間でよく似ていることを示す。全体的には、1型IPVが最良の免疫応答を引き出し、2型がわずかに少ないラットにおいて免疫応答を引き出した。3型は最も弱い免疫応答を引き出した。
乾燥させて高粘性液体を形成させる工程は、in vivoで免疫沈降抗体を惹起するIPVの能力を損なわない。1.0の相対効力(RP)読み取り値は、サンプルが参照サンプルと同等の応答を惹起することを示している。乾燥されたサンプルは共に、3つ全ての型のポリオウイルスについて1.0に近いRP読み取り値をもたらすが、これは本乾燥工程が、免疫応答を惹起するサンプルの能力に影響を及ぼさないことを示している。
実施例6. 安定化剤としてスクロースまたはトレハロースを用いて高粘性液体を形成するように乾燥させることの、in vivoにおける免疫沈降性免疫応答を惹起するIPVの能力に対する影響
10匹のWistarラットの群に、実施例2に記載のように10%スクロースまたは10%トレハロースの存在下で乾燥させた後で再構成させたIPVを、接種した。さらに10匹のWistarラットの群に、参照サンプルとして、乾燥していない等量のIPVを接種した。
21日後、全てのラットから血清を回収し、実施例5に記載のように免疫中和アッセイを用いて、1型、2型および3型ポリオウイルスの各々に対して生じた免疫中和抗体の量を評価した。
その免疫応答を、乾燥していない参照サンプルにより惹起された免疫応答と比較することにより、各サンプルについて相対効力を算出した。
結果を表6に示す。
Figure 0004988556
サンプル中に残存する水の量は、Karl Fischerの電量湿度分析装置により測定したところ、スクロースを安定化剤として用いた場合は約5%の残存湿度であり、安定化剤としてトレハロースを用いた場合の約10%と比較して低かった。
スクロースおよびトレハロースは共に、再構成されたIPVが異なる型のポリオウイルスの大部分について1.0に達する相対効力読み取り値を与えたように、乾燥工程においてIPVを安定化させるのに有効であった。この相対効力は、比較的容易にその免疫原性を喪失する3型ポリオウイルスについて特に良好であった。
実施例7. Karl Fischerによる湿度の測定
分析はKarl Fischerの滴定測定装置(Aqua 30.00 - Elektrochemie Halle)で行った。サンプルの質量を測り、80℃に設定したオーブンに入れた。サンプルは、窒素ガスでフラッシュした後、ヒドラナル試薬(Riedel de Hahn)に添加して、電量分析により分析を行った。
実施例8: Berghof法を用いた湿度の測定
サンプルは、Satorius WDS400を用いて120℃に設定したオーブンで60分を要する稼動により解析する。
実施例9: 高粘性液体としてHib-IPVを保存するためのスクロースとマンニトールの混合物の使用
Hib/IPVを含有するサンプルを、10%スクロース;9%スクロースおよび1%マンニトール;8%スクロースおよび2%マンニトール;7%スクロースおよび3%マンニトール;6%スクロースおよび4%マンニトール;または5%スクロースおよび5%マンニトールを含有する溶液中に懸濁した。それらのサンプルを凍結乾燥機内に置き、実施例2の方法を用いて乾燥させて高粘性液体を形成させた。簡単に説明すると、それらサンプルを200 mBar未満で10分間脱気し、8 mBarで4時間にわたり一次乾燥に供し、次いで0.1 mBarで1、2または3時間にわたり二次乾燥に供した。
サンプルを結晶/非晶質組成物について視覚的に検査し、またその流動速度は、高粘性液体を含む管を倒置し、流動が観察されるまでに必要な時間をモニタリングすることにより25℃で評価した。
結果
乾燥サイクルが終了した後、サンプルを視覚的に検査した。5%スクロース/5%マンニトールのサンプルは結晶化していたが、他のサンプルは全て非晶質ガラスであった。
流動を、その管の倒置後、1時間にわたりモニタリングした。10%スクロースを有する保存溶液から作製されたサンプルは、8分後、バイアル壁の側面を流れ落ち始め、30分後にバイアルの栓をした端部へと移動した。9%スクロースおよび1%マンニトールを有する保存溶液から作製されたサンプルは、20分後、バイアル壁の側面を流れ落ち始め、45分後にバイアルの栓をした端部へと移動した。8%スクロースおよび2%マンニトールを有する保存溶液から作製されたサンプルは、45分後、バイアル壁の側面を流れ落ち始めた。7%スクロースおよび3%マンニトールを有する保存溶液から作製されたサンプルは、51分後、バイアル壁の側面を流れ落ち始めた。6%スクロースおよび4%マンニトール、または5%スクロースおよび5%マンニトールを有する保存溶液から作製されたサンプルは、一時間を超えた後に流動が観察されなかった。
10%スクロースを含有する保存溶液から作製されたサンプルを、ハロブチルの栓と接触させて、該サンプルの結晶化を観察した(図2)。
本サンプルの水分含量は、Berghof WDS400装置を用いて120℃に設定した温度で60分間で調べた。結果を表7に示す。
Figure 0004988556
図1は、倒置したバイアル中の高粘性液体の写真である。 図2は、バイアルの栓側の端部へと流動した後の高粘性液体の写真である。Aは、栓の周りの高粘性液体を示す。Bは、高粘性液体の終局的な結晶化を示す。

Claims (16)

  1. 下記工程:
    a) 安定化剤の溶液中に活性薬剤を溶解/懸濁することにより、保存サンプルを調製する工程、および
    b) 該保存サンプルを、該保存サンプルが凍結することまたは発泡して気泡を形成することなく蒸発により溶媒を放出するように0℃を上回る温度条件および30 mbarを下回る圧力条件に供して、粘性液体を形成させる工程、および
    c) 前記保存サンプルを、前記粘性液体が乾燥して倒置状態で2日後でも流動状態が認めらず、かつ溶媒含量が15%(w/w)以下である高粘性液体を形成するように0℃を上回る温度条件および30 mbarを下回る圧力条件にさらに供する工程、
    を含み、ここで安定化剤が、グルコース、マルツロース、イソマルツロース、ラクツロース、スクロース、マルトース、ラクトース、イソマルトース、マルチトール、ラクチトール、パラチニット、トレハロース、ラフィノース、スタキオース、メレジトース、およびデキストランから成る群から選択されるガラス形成性ポリオールと、工程c)において形成される高粘性液体の流動速度を低減するマンニトール、ラフィノース、ラクチトール、ソルビトール、およびラクトビオン酸から成る群から選択される第2成分とを含むものである、活性薬剤の保存方法。
  2. 安定化剤が、ガラス形成性ポリオールとしてスクロースまたはトレハロースを含む、請求項1に記載の方法。
  3. ガラス形成性ポリオールの第2成分に対する重量比(w/w)が6:1〜1:1である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 工程b)において圧力を30 mbar以下に低下させる、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  5. 工程b)における保存サンプルの外部の温度が5℃〜37℃である、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  6. 工程c)における保存サンプルの外部の温度が5℃〜37℃である、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  7. 活性薬剤がIPV(不活化ポリオウイルス)を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  8. 活性薬剤がHib(b型インフルエンザ菌)の多糖またはオリゴ糖を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  9. 活性薬剤がC型髄膜炎菌の多糖またはオリゴ糖を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  10. 活性薬剤がワクチンを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  11. 安定化剤および活性薬剤を含む倒置状態で2日後でも流動状態が認めらず、かつ溶媒含量が15%(w/w)以下である高粘性液体であって、該安定化剤がグルコース、マルツロース、イソマルツロース、ラクツロース、スクロース、マルトース、ラクトース、イソマルトース、マルチトール、ラクチトール、パラチニット、トレハロース、ラフィノース、スタキオース、メレジトース、およびデキストランから成る群から選択されるガラス形成性ポリオールと該高粘性液体の流動速度を低減させるマンニトール、ラフィノース、ラクチトール、ソルビトール、およびラクトビオン酸から成る群から選択される第2成分とを含み、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法によって得られるものであり、該活性薬剤の抗原性または活性が維持されている、前記高粘性液体。
  12. 請求項11に記載の高粘性液体と、製薬上許容し得る賦形剤とを含む、免疫原性組成物またはワクチン。
  13. 請求項11に記載の高粘性液体を水溶液中で再構成する工程を含む、ワクチンの製造方法。
  14. 前記水溶液が、ジフテリア(Diphtheria)抗原、破傷風(Tetanus)抗原および百日咳(Pertussis)抗原(無細胞または全細胞)を含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記DTPワクチンが、水酸化アルミニウムを用いて少なくとも部分的にアジュバント化されている、請求項14に記載の方法。
  16. 第1の容器中に保持された請求項11に記載の高粘性液体と、第2の容器中の液体ワクチン成分とを含むキット。
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