JP4987731B2 - モデルの基本的なフレクサ - Google Patents
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Description
本発明は、多面体シェルが適用される様々な分野の技術及び産業に属する。第一に、本発明は、建築、航空機の構築、造船、及び精密機器の製造に関する。可変的な幾何学形状を有する構造物の設計にも使用可能である。具体的には、一定の幅の薄くて弾性のある多面体シェルに関する。このシェルの中央面は多面体である。様々な応用においても、また、理論的及び実用的計算においても、シェルは、対応する中央面によって表されることが通例である。多面体シェルは、基本的には建築において適用される(非特許文献1、非特許文献2)。また、構造物を設計するのに有限要素法が適用される他の技術分野においても用いられる。多面体シェルの重要性が高まっているということは、下記の空軍の例によって裏付けされる。即ち、米国の航空機F−117Aは、正に多面体形状の胴体を有しており、このことが、決定的な技術上の利点の一つになっている(非特許文献3)。
あらゆるシェル(特に多面体シェル)に対する第一の要求は、実際の状況におけるその安定性である。本発明の対象は他の構造物に繋がる。我々は、小さな負荷の下での幾何学形状の制御された大きな変化を許容する多面体シェルを取り扱っている。技術的応用において、同様の可動構造物は知られていない。本願の例外的な例は、幾何学者に周知である、非リジッドで単純な球形の多面体フレクサ(flexor)及びリジッドで開いている正星型のピラミッドの物理的モデルによって、表される。多面体は、自分自身と交差しないのであれば、単純であると言われることを思い出されたい。A.コーシー(Cauchy)によって定義されたように、連続的な曲げが許容されるのであれば、多面体は非リジッドであると称される。つまり、多面体の面が固い板として動くと、縁の長さは固定されている一方で、二面角は変化し得る。他方、より一般的な感覚としては、曲げは、表面の等積変形として定義される。「フレクサ(flexor)」という概念は、曲げを許容可能な球形の単純な多面体の存在を証明したR.コネリー(Connelly)によって、導入された。一定の幅の薄いシェルによって表される、このようなシェルの物理的モデルは、理論的フレクサと称される。技術文献においては、理論的フレクサの概念に対応する多様な他の概念が存在し、「機構(mechanism)」、「運動学的機構(kinematical mechanism)」(露)、「真の機構(true mechanisum)」(仏)、「精密機構(precise mechanism)」(英)が挙げられる。実際のところ、「機構」という用語は、構造物の破損現象に依存していることが多い。他方、「機構」それ自体の存在は議論されていない。何故ならば、シェルは、その安定性が通常の実験方法によって予言された場合にのみ、適用されるからである。
本願で解決される主たる課題は、設計において使用可能である技術的に基本的なシェルの形状で新しい種類のモデルフレクサを構築することであり、また、連続的及び自由に変形可能な形状を有する多様な構造物を形成することである。その答えは、ヒンジによって接続された薄い弾性の面を構成する4アングルの星型ピラミッドの形状である特定の多面体シェルによって、与えられる。このピラミッドは、ピラミッドのペタルを横切る二つの対称面を有する。上述の幾何学的な性質はピラミッドの形を決定する。本技術分野においては、多様な種類のヒンジが知られており(非特許文献13)、円筒型ヒンジの運動学的チェイン及び運動学的ペアと呼ばれる通常の円筒型ヒンジ、折り畳み型ヒンジ(シェルの物質の薄いベンド)、ベアリングヒンジ、ゴム‐鋼ヒンジ等が挙げられる。それぞれの具体的な場合において、どの種類のヒンジを用いなければならないかは、実験的及び理論的で詳細な分析の後に、専門家によって答えが出される。
本発明の主要な点は、A.V.パガレロフ(Pogorelov)による薄い弾性シェルの幾何学理論(非特許文献9):即ち、技術的構造物の変形特性は、その中央面の対応する曲げの特性によって完全に決まるという理論からの上述の公理を実現する基本的で可動する構造物の形成である。一つの答えは、その中央の多面体の面が図1に示されている4アングルの星型ピラミッドによって、与えられる。基本的な星型ピラミッドのエレメント、ペタル及びセミペタルから構成されるシェルによって表されるより複雑なモデルフレクサは、常に平面境界を有し、図2、3、4に示されている。問題としている4アングルの星型ピラミッドの中央の多面体、並びに、構成されたモデルフレクサの中央面は、A.コーシー(Cauchy)によって定義されているように、境界の面の滑りを伴う、如何なる曲げも許容しない(非特許文献5)。他方、同じ多面体(基本的で構成されている)は、中心エレメント及び凹状の縁の近傍、または、境界の近傍のどちらかの面の裂け目を伴うと、連続的な曲げを許容する。例えば、図1の破線は、一つのペタルの面に対する裂け目の移動する線を示す。多面体のこのような変形は、線形曲げと称され、この概念は幾何学において周知である(非特許文献5)。この曲げは二つのパラメータによって制御される。即ち、位相(phase)及びたるみの振幅(sag amplitude)であり、位相は多面体の元々の頂点からの裂け目のセグメント新しい頂点の一般化されたずれに等しい。位相は符号によって特徴付けられ、「マイナス」は、曲げられた多面体が自分自身との交差を有することを意味する。曲げが生じ始める時、位相は、振幅の二乗に略等しい。力学系の古典的解析理論においては、このような変形は、非リジッドで、ソフトなまたは緩やかな安定性の喪失と称される(非特許文献14のV.アーノルド(Arnold)のモノグラフを参照)。問題としている変形の存在は、中央の多面体の投影図における基本的な三角形の角度に課される特定の関係によって、保証される。どのように中央の多面体がソフトにまたは緩やかに安定性を喪失するかや、どのように多面体の縁が裂けるかといった、制御するパラメータ(ピラミッドのサイズ)の選択に依存するこれら全ての問題は、実験によって明確になり得る。
横方向の小さな負荷の下では、特定の4アングルの星型ピラミッドのシェルによって表される対象としているモデルフレクサは、非リジッドな安定性の喪失を受け、分岐時には、元々の平衡状態に無限小的に近い近接する状態に向かう。ただし、ピラミッドの境界がその平面中を滑るものとする。こうした事実により、L.オイラー(Euler)による静的基準を受けて、問題としているパネルが、“小さな”安定性の喪失を許容する理想的シェルを表すということが確かめられる。位相の緩やかな励起を伴うパネルの臨界を越えた変形の間に、振幅は急速に大きくなり、パネルの空間的構造が本質的な変化を受けるので、パネルは、多面体パネルの集合中において幾何学的に曲げられる。この現象は、本装置のエレメント、ペタル及びセミペタルの多様な応用に直に繋がり、新規モデルフレクサが形成される。特に、対称または非対称なプロファイルのひだ(goffer)を有する溶接された鋼のシルホン(sylphon)における新規薄膜の設計に適用可能である。図3、4に示されるパネルのフレキシブル性は、モデルの基本的フレクサに対するのと同じ物理的状態及び特徴を示す。
面のヒンジ継手を備えた閉じている多面体シェルを考えてみる。これは、対称面を有し、その対称なエレメントは図4に示されるパネルに等しいパネルである。構成しているパネルの中心パネルを全て取り除く。結果として、一つのひだを有するちょうどチューブ状シルホンSである多面体シェルが得られるが、これは、溶接されたシルホンに類似している。フランジのリングをヒンジによってシルホンの境界に接続することによって、技術的なパイプにおける熱応力のレンズ補償器として、産業上適用可能な装置が得られる(非特許文献15)。シルホンSと同一なシルホンの多様なパケットをヒンジによって組み立てると、任意の量のひだを有する一般的なひだの付けられたチューブ状のシェルが得られる。これらをヒンジシルホンと称するのが自然である。ヒンジシルホンを、力の補償の原理を考慮して機能する精密機械における高感度エレメントとして使用可能であることは明らかである(非特許文献16)。ヒンジシルホンは、技術的特徴により、少なくとも溶接されたシルホンに等しいことが期待される。これは、軸の曲げに関して安定であり、ひだの表面が交わることがない。更に、これらの製造並びに数学的解析及びコンピュータ解析は非常に単純である。
物質としては、ステンレス鋼、クロムベースまたはニッケルベースの合金、チタンベースの合金が挙げられる。例えば、4X13鋼、EI702合金、36ХТЮ合金が挙げられる(非特許文献16)。ヒンジの種類は実験的に選択される。mm表示における幾何学的なサイズは以下の通りである。即ち、シルホンSは二本の対称線を有し、a=87、b=36、c=100、r=61.3、g=56であり、s及びfの値は、解決すべき技術的課題に応じて選択され、その軸にそったSの長さは50であり、誤差は0.1mm未満にされる。軸に沿った小さな負荷の下での圧縮/テンションプロセス中のシルホンの理論的な自由なたるみ(仕事のストローク、[16,p.p.98,129])は、略長さの1/4である。この結果は、幅0.25mmのカートンから作成された対応するモデルの助けを借りて、実験的に実証されている。構築する物質から作成されるシルホンSが、略10mmに等しい仕事のストロークを有することを望む本質的な理由が存在する。
モデルフレクサの発見は、臨界を越える大きな固体の変形の力学における新しい現象に繋がる。このことは、カートン、プラスチック、郵送用容器等の幅広い物質から作成されたモデルの助けを借りて、確かめることが可能である。この目的のために、上述の図2に示されるパネルの二つのコピーによって組み立てられる平面状の具体的な閉じている多面体シェルを構築することができる。パラメータの具体的な値は、以下のように決められた。即ち、a=87、b=36、c=100、r=61.3、g=56、s=40、f=32.3である。本願発明者によって1997年に作成された同様のカートンのシェルは、非常に多数の曲げサイクルにさらされたが、良好な状態を保ち続けている。
Claims (1)
- ヒンジ継手を備えた薄くて弾性の面によって形成された4アングルの星型ピラミッドの形状のモデルの基本的なフレクサであり、
フレクサのペタルと交差する二つの対称面を有し、
境界の平面中への中央の多面体の投影図におけるそれぞれの面は、境界に近接する内角と外角の二倍の値がそれぞれπ/2−αとπ/2+αである三角形にマッピングされ、
非リジッドでソフトなまたは緩やかな安定性の喪失によって引き起こされるものであり、境界の平面の滑りと横方向の大きなゆがみとを伴う、多面体のパネルの集合内部での明確で連続的で自由な変形を生じさせるためのものであり、
対応する三角形の第三の角度である角度αのそれぞれは、(0,π/2)の範囲内に存在し、平面中のサイズ及びフレクサの高さは一般的で独立なパラメータであることを特徴とするフレクサ。
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