JP4987039B2 - エンボス加工缶体の製造方法 - Google Patents

エンボス加工缶体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4987039B2
JP4987039B2 JP2009162986A JP2009162986A JP4987039B2 JP 4987039 B2 JP4987039 B2 JP 4987039B2 JP 2009162986 A JP2009162986 A JP 2009162986A JP 2009162986 A JP2009162986 A JP 2009162986A JP 4987039 B2 JP4987039 B2 JP 4987039B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tube expansion
metal cylinder
roll
tube
expansion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009162986A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011016157A (ja
Inventor
明彦 渋谷
由喜夫 林
Original Assignee
明和金属工業株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 明和金属工業株式会社 filed Critical 明和金属工業株式会社
Priority to JP2009162986A priority Critical patent/JP4987039B2/ja
Publication of JP2011016157A publication Critical patent/JP2011016157A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4987039B2 publication Critical patent/JP4987039B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Containers Having Bodies Formed In One Piece (AREA)
  • Shaping Metal By Deep-Drawing, Or The Like (AREA)

Description

本発明は、缶胴の外周面に凸部を有するエンボス加工缶体の製造方法に関するものである。
金属缶において、缶胴の外周面の文字や絵柄などを浮き彫りにし、デザインを際だたせることが行われている。缶胴の内周面を押し上げて浮かすことによって外周面に凸部を形成する方法が採られ、従って内周面は凹むことになる。一般にエンボス加工と呼ばれる。
エンボス加工においては、表面に凸部を形成したインナーロールと、表面に凹部を形成したアウターロールとを準備し、缶胴の内部にインナーロールが、外部にアウターロールが配置されるように缶胴を配置し、インナーロールにアウターロールを押し付けながら両ロールを回転する。インナーロールの凸部とアウターロールの凹部とが金型の役割を果たし、これら凸部と凹部の形状に合わせ、缶胴表面にエンボス加工が施される。
缶胴の外周面に印刷を施し、印刷された文字や絵柄等の模様にあわせて凸部を形成することが行われる。この場合、缶胴外周に印刷された模様部分と、エンボス加工による凸部とを正確に位置合わせすることが必要である。
外周面に印刷された模様等と凸部を形成する金型との位置合わせについて、手作業で行う場合には、印刷された模様を目視で確認しながら低速で位置合わせを行うことになる。あるいは、高速で流れてくる金属円筒を、2段から3段階でのサーボモーターによる位置決めを行い、インナーロールとアウターロールを使用してエンボス加工が施される。
特許文献1においては、前記印刷された模様とは別に設けられた位置決めマークを検出することによって缶胴の位置合わせを行い、その後、缶胴の内部にインナーロールを挿入するとともに缶胴の外部にアウターロールを配置し、アウターロールを缶胴に押し付け、インナーロールとアウターロールを回転させて、模様と位置合わせして凸部のエンボス加工を施す方法が開示されている。
金属製の缶、例えばペール缶については、金属板を円筒状に巻いて継目部を溶接することによって側面部を形成し、さらに側面部と底部を接合することによって缶を形成する。金属製の缶には、側面部が軸方向において底部に向かうほど先細りになるテーパータイプと、側面部が円筒形のままのストレートタイプとがある。テーパータイプについては、まず金属板を円筒状にまき継目部を溶接して金属円筒を形成した上で、この金属円筒を拡管することにより、形状をテーパー形状とする。ストレートタイプについても、金属円筒とした上で拡管して直径を大きくした上で側面部とすることがある。
金属円筒を拡管する方法として、エキスパンド方式が知られている。拡管前の金属円筒の内側にエキスパンド型を配置して、エキスパンド型にて金属円筒を内側から外側に向けて押圧することにより、金属円筒が拡管され、最終形状に成形される。テーパータイプあるいはストレートタイプのいずれも、エキスパンド方式で拡管成形することができる(特許文献2)。
特開2003−340539号公報 特開2007−203357号公報
缶体へのエンボス加工に際し、外周面の印刷模様とエンボス加工金型との位置合わせを行うことが不要となれば、容易にエンボス加工を実施できるので好ましい。
また、缶体としては、缶胴が円筒形である缶体の他、缶胴が円錐台形状の缶体が存在する。テーパータイプのペール缶などがこれに該当する。このような、缶胴が円錐台形状の缶体についても、缶胴にエンボス加工を施すことが要求されている。
本発明は、エンボス加工に際して金型と印刷模様との位置合わせを必要とせず、また缶胴が円錐台形状の缶体についても缶胴にエンボス加工を施すことのできるエンボス加工缶体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、金属円筒を拡管して径の大きい円筒形状とし、あるいは円錐形状にするに際し、エキスパンド方式を用いるのではなく、拡管治具に円周状に配置した拡管ロールが金属円筒の内周に接して相対回転しつつ拡管を行う方法を見出した。
さらに、エンボス加工缶体の缶胴となる金属円筒について、エンボス加工で凸部となる部分の内周面に固形物付着層を設け、次いで上記拡管治具の拡管ロールを金属円筒の内周面に接触させることにより金属円筒を拡管すると、拡管後に、固形物付着層が付着した部分が外周側に張り出して凸部が形成されることを見出した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、その要旨とするところは以下のとおりである。
(1)缶胴の外周面に凸部を有するエンボス加工缶体の製造方法であって、複数の拡管ロールを配置した拡管治具を準備し、拡管ロールは拡管治具の中心軸周りに円周状に配置され、缶胴となる金属円筒の前記凸部に該当する部分の内周面に固形物付着層を設け、次いで前記拡管治具の拡管ロールを前記金属円筒の内周面に接触させることにより金属円筒を拡管し、該拡管中において、前記複数の拡管ロールはその外周面が前記金属円筒の内周面に接触し、金属円筒の中心軸と拡管治具の中心軸が一致し、拡管ロールが自身の中心軸周りに回転し、拡管ロールの拡管治具中心軸周りの回転速度と金属円筒の回転速度との間に相対速度を有することを特徴とする、エンボス加工缶体の製造方法。
(2)前記金属円筒となる金属平板の、金属円筒の外周となる面に印刷を施し、金属円筒の内周となる面に前記固形物付着層を設け、次いで該金属平板を円筒状に巻き回して接触部を溶接することにより金属円筒とすることを特徴とする上記(1)に記載のエンボス加工缶体の製造方法。
(3)固形物付着層は樹脂付着層であり、該樹脂付着層は、樹脂インキを塗布し、あるいは樹脂フィルムを貼付することによって設けることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のエンボス加工缶体の製造方法。
(4)拡管治具は、センターコーンとその外周に配置された拡管ロール群とを有し、
センターコーンは、外径が軸方向に変化する円錐状であり、センターコーンの外径が小さい側の端部を先端と称し、
拡管ロール群は、センターコーンの外周を取り巻くように複数配置された拡管ロールを有し、各拡管ロールがセンターコーンと同芯に回転するに際しては連動して回転し、各拡管ロールの外周がセンターコーンの外周と接触するように配置され、拡管ロール群が金属円筒と接する面は、その外径が軸方向に変化する円錐状であり、
金属円筒の内周を拡管ロールの外周に接触させ、金属円筒とセンターコーンとの間に回転速度の差を設けつつ金属円筒に対してセンターコーンを軸方向に移動させ、移動方向はセンターコーンの先端を先頭として前進させる方向であることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のエンボス加工缶体の製造方法。
(5)拡管治具は、軸方向に外径が変化するテーパー軸と、テーパー軸の周囲に円周方向に配置された複数のセグメントを有し、セグメントの外周側に拡管ロールを有し、セグメントの内周側にはテーパー部が形成され、
テーパー軸の外周とセグメント内周側のテーパー部とが接触し、各拡管ロールの外周が金属円筒の内周と接触するように配置され、
セグメント群とテーパー軸とは軸方向に相対的に移動可能であり、セグメント群とテーパー軸とを軸方向に相対的に移動させてセグメント群をテーパー軸の軸中心から遠ざける方向に移動させ、該セグメント群とテーパー軸との相対移動に際し、金属円筒とセグメント群はテーパー軸の軸周りに相対的に異なった回転速度とすることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のエンボス加工缶体の製造方法。
本発明は、エンボス加工缶体の缶胴となる金属円筒について、エンボス加工で凸部となる部分の内周面に固形物付着層を設け、次いで拡管治具の拡管ロールを金属円筒の内周面に接触させることにより金属円筒を拡管することにより、缶胴の外周面に凸部を有するエンボス加工缶体を製造することができる。即ち、缶体へのエンボス加工に際し、外周面の印刷模様とエンボス加工金型との位置合わせを行うことが不要となり、容易にエンボス加工を実施できる。また缶胴が円錐台形状の缶体についても缶胴にエンボス加工を施すことが可能となる。
エンボス加工後の缶胴を示す図であり、(a)はテーパータイプ、(c)はストレートタイプ、(b)(d)はそれぞれB−B、D−D矢視断面図である。 拡管前の金属円筒を示す図であり、(b)はB−B矢視断面図である。 金属円筒の素材となる金属平板を示す斜視図であり、(a)は外周面となる面、(b)は内周面となる面を示す。 拡管治具を用いて金属円筒を拡管してテーパータイプの缶胴を形成する状況を示す図であり、(a)は拡管前、(b)は拡管中、(c)は拡管終了時を示す。 拡管治具を用いて金属円筒を拡管してストレートタイプの缶胴を形成する状況を示す図であり、(a)は拡管前、(c)は拡管終了時、(b)(d)はそれぞれB−B矢視断面図、D−D矢視断面図を示す。 拡管中における金属円筒と拡管ロールの回転関係を示す図である。 第1の実施の形態の拡管治具を示す図であり、(a)は正面図、(b)はB−B矢視断面図、(c)はC−C矢視断面図、(d)はD−D矢視断面図である。 第1の実施の形態の拡管治具を用いて金属円筒を拡管する状況を示す図であり、(a)は拡管前、(b)は拡管中、(c)は拡管終了時を示す。 第1の実施の形態の拡管治具を用いて金属円筒を拡管する状況を示す図であり、(a)は拡管前、(b)は拡管終了時を示す。 第2の実施の形態の拡管治具(拡管前)を示す図であり、(a)はA−A矢視断面図、(b)は正面断面図である。 第2の実施の形態の拡管治具(拡管終了時)を示す図であり、(a)はA−A矢視断面図、(b)は正面断面図である。 第2の実施の形態の拡管治具を用いて金属円筒を拡管する状況を示す図であり、(a)は拡管前、(b)は拡管終了時、(c)は拡管後の金属円筒の形状を示す。 第2の実施の形態の拡管治具を用いて金属円筒を拡管する状況を示す図であり、(a)は拡管前、(b)は拡管終了時、(c)は拡管後の金属円筒の形状を示す。
本発明は、図1に示すような缶体の缶胴61に、凸部63からなるエンボス加工を施すことを目的とする。缶胴61としては、図1(a)(b)に示すテーパータイプ、図1(c)(d)に示すストレートタイプのいずれも可能である。図1においては、缶胴の外表面における凸部63に対応する部位に印刷による模様62が描かれているが、もちろん外表面に模様を描いていない場合も可能である。
本発明の缶胴の外周面に凸部を有するエンボス加工缶体の製造方法においては、図4、図5に示すように、複数の拡管ロール4を配置した拡管治具1を準備し、この拡管治具1を用いて金属円筒10を拡管することにより、缶体の缶胴を形成する。缶胴が円錐台形状のテーパータイプ、缶胴が円筒形状のストレートタイプのいずれをも形成することができる。そして、拡管治具を用いた拡管に先立ち、図2に示すように、缶胴となる金属円筒10の凸部に該当する部分の内周面に固形物付着層64を設け、次いで図4、図5に示すように拡管治具1の拡管ロール4を金属円筒10の内周面に接触させ、金属円筒10に接する拡管ロール位置の拡管治具中心軸からの距離を順次増大することにより金属円筒を拡管する。
まず、本発明で用いる拡管治具1について説明する。
複数の拡管ロール4は、図4、図6に示すように拡管治具1の中心軸周りに円周状に配置される。拡管中において、複数の拡管ロール4はその外周面が金属円筒10の内周面に接触し、このとき金属円筒10の中心軸と拡管治具1の中心軸が一致する。拡管ロール4が、図6に示すように自身の中心軸周りに回転する。この回転を拡管ロールの「自転20」と称する。複数の拡管ロール4がいずれも自転し、拡管ロール4が金属円筒10に接する位置における拡管ロール4の周速度は、各拡管ロールで同一とする。拡管ロール4の自転により、拡管ロール4に接する金属円筒10はそれに連動するので、拡管ロール4の拡管治具中心軸周りの回転速度と金属円筒の回転速度との間に相対速度を有することとなる。
金属円筒10の拡管に際しては、拡管治具1の拡管ロール4を金属円筒10の内周面に接触させ、金属円筒10に接する拡管ロール位置の拡管治具中心軸からの距離を順次増大することにより金属円筒10を拡管する。
缶胴がストレートタイプの場合、図5に示すように、複数の拡管ロール4の中心軸は相互に平行に配置する。これにより、拡管ロールが金属円筒と接する面は円筒形となり、拡管前の金属円筒は円筒形を保持したままで拡管される。
缶胴がテーパータイプの場合、図4に示すように、複数の拡管ロール4の中心軸は、テーパーの短径側において拡管治具1の中心軸に近く、テーパーの長径側において拡管治具1の中心軸から遠くなるように配置する。これにより、拡管ロール4が金属円筒10と接する面は円錐台形状となり、拡管前の金属円筒は順次拡管されて最終的に円錐台形状となる。
拡管治具において、拡管ロールの中心軸(自転中心軸)が、拡管治具の中心軸から順次遠ざかるように移動することにより、金属円筒に接する拡管ロール位置の拡管治具中心軸からの距離を順次増大させることができる。缶胴がテーパータイプであってもストレートタイプであっても適用可能である。
缶胴がテーパータイプである場合は、拡管ロールの中心軸と拡管治具の中心軸の距離を一定とし、図4に示すように拡管治具1と金属円筒10とを双方の中心軸方向に相対移動する形態とすることができる。拡管のはじめには拡管治具が金属円筒の外側に配置され(図4(a))、拡管治具の短径側が金属円筒に向かっている。次いで、拡管治具をその中心軸方向に移動し、順次拡管治具を金属円筒の中に挿入することにより、金属円筒が拡管ロールによって拡管される(図4(b)(c))。
次に、上記拡管治具を用いて缶胴にエンボス加工を施す方法について説明する。
エンボス加工缶体の缶胴となる金属円筒10について、拡管治具による拡管に先立ち、エンボス加工で凸部となる部分の内周面に固形物付着層64を設ける(図2)。固形物付着層64の形状は凸部の形状に等しい形状とし、固形物付着層64の厚さは凸部の突出量に等しい厚さとする。
本発明において通常は、拡管治具による金属円筒の拡管変形量が小さくないので、固形物付着層を形成する固形物についても、拡管に応じて変形可能な材質であることが要求される。固形物付着層が樹脂付着層であると好ましい。可塑性を有する樹脂を用いることにより、拡管治具によって金属円筒が拡管される際に、樹脂付着層も金属円筒の変形に応じて変形することが可能となる。一方、拡管治具による金属円筒の拡管変形量が極めて僅かである場合には、固形物付着層として例えば紙のような材質を用いることも可能である。
樹脂付着層とする場合、樹脂としては天然樹脂と合成樹脂のいずれを用いても良い。天然樹脂であれば、比較的分子量の小さい(数百から千くらいまで)多糖類やゴム質で、塗料、ワニス、印刷インキとして供給される。合成樹脂は、プラスチックと呼ぶこともでき、加温した状態で粘い流動性を示し、所定の形に成形できる有機高分子物質である。
樹脂付着層を形成する材料として、インキを用いることができる。インキは、顔料とビヒクルから構成される。本発明においては顔料を含有していなくて良い。ビヒクルは、塗膜構成成分と添加剤および溶剤の三成分からなった液状成分である。塗膜構成要素としては乾性油、加工乾性油、合成樹脂、天然樹脂、セルロース誘導体が用いられ、添加剤としては可塑剤、乾燥剤(硬化剤)、顔料分散剤、乳化剤、増粘剤、皮張り防止剤、殺虫・殺菌剤などがある。溶剤としては炭化水素系、アルコール系、エステル系、ケトン系、セルソルブ系、水系などがある。
樹脂付着層を形成する材料として、インキ以外の塗料その他の樹脂を用いても良い。塗料の塗膜形成成分であるビヒクルに樹脂が用いられている。樹脂付着層を形成することが目的であり色彩は問わないので、顔料を含まない透明塗料を用いることができる。塗料を塗装して固化した状態において、本発明の樹脂付着層として好適な粘度と可塑性を保持することができる。常温で乾燥・固化する塗料、あるいは塗装後に加熱して固化する塗料を用いることができる。
また、塗料のように液体状態の樹脂を塗布するのではなく、フィルム状態の樹脂を貼付することとしてもよい。予め、金属円筒に形成する凸部と同じ形状にフィルムを切り出しておき、このフィルムを金属に貼付する。フィルムと金属との接着には接着剤を使用することもできるが、熱ラミ系(ポリオレフィン系多層フィルム等)を用いることもできる。
金属円筒の内周面に形成する固形物付着層の厚さを一定厚さとすれば、エンボス加工における凸部の張り出し量を一定張り出し量とすることができる。また、固形物付着層の厚さを付着場所に応じて変化させることにより、凸部の張り出し量が変化するようなエンボス加工を行うことができる。固形物付着層の材料としてインキを用いる場合、インキを場所に応じて2度盛り、3度盛りすることにより、固形物付着層の厚さを変化させることができる。
本発明で用いる拡管前の金属円筒は好ましくは、金属平板を円筒状に曲げ、接触部を溶接することにより形成される。この場合、金属円筒への上記固形物付着層64の付着は、金属円筒を形成した後に付着することとしても良いが、好ましくは図3に示すように、金属円筒を形成する前の金属平板65の段階で付着する。
本発明を適用する多くの場合、缶胴の外周面には印刷が施され、エンボス加工の凸部は印刷模様と対応して施される。本発明において、金属円筒を形成する前の金属平板の段階で固形物付着層を付着する場合においては、図3に示すように、金属円筒となる金属平板65の、金属円筒の外周となる面に印刷(模様62)を施し(図3(a))、金属円筒の内周となる面に固形物付着層64を設け(図3(b))、次いで金属板を円筒状に巻き回して接触部を溶接することにより、図2に示すような金属円筒10とすると好ましい。金属板が金属平板である時期に、金属円筒の外周となる面の印刷及び内周となる面の固形物付着層形成を行うので、印刷の模様と固形物付着層の付着位置とを正確に位置合わせすることが可能となる。大きな金属素材板に多数の金属平板用の印刷を並べて行い、反対面側には印刷の模様に対応して固形物付着層を形成し、その後にこの大きな金属素材板から各金属円筒用の金属平板65を切り出し、それを円筒状に丸めて接触部を溶接することにより、拡管前の金属円筒10とすることができる。
以上のように、内周面に固形物付着層64を形成した金属円筒10を準備し、前述の拡管治具1を用いて金属円筒10を拡管する。拡管に際し、金属円筒10の表面のうちで固形物付着層64が形成された部分は、それ以外の部分に比較して拡管代が大きくなるので、拡管終了後において固形物付着層64が形成された部分が外側に膨らみ、凸部63を形成することとなる。拡管後において、固形物付着層64を形成した部分と形成していない部分との間の缶胴外表面の段差は、ほぼ固形物付着層の厚さに一致した段差となる。
拡管を終了した後、拡管治具1を取り外すことによりエンボス加工が終了する。さらに缶胴の一方の端部に缶底を固定することにより、缶体が形成される。
金属円筒の拡管方法としては、前述のとおり、従来はエキスパンド方式が用いられていた。エキスパンド方式では、拡管に際し、隣り合ったエキスパンド型の間に空隙が生じる。金属円筒にエンボス加工を施すに際し、金属円筒の内周面に本発明と同様に固形物付着層を形成し、拡管方法のみエキスパンド方式を採用した場合には、拡管によってエキスパンド型同士の間に空隙が生じ、この空隙部分については、たとえ固形物付着層があったとしても外周面に十分な凸部を形成することができない。本発明のように拡管ロールを用いて拡管する場合にはじめて、良好なエンボス加工が可能となる。
次に、本発明で用いる拡管治具の具体的態様について、第1の具体的態様、第2の具体的態様に分けて説明する。
まず、第1の具体的態様について図7〜9に基づいて説明する。第1の具体的態様は、テーパータイプの缶胴を形成する場合に好適に用いることができる。
第1の具体的態様におけるエンボス加工缶体の製造方法において、拡管治具1は、センターコーン2とその外周に配置された拡管ロール群5とを有し、センターコーン2は、外径が軸方向に変化する円錐状であり、センターコーン2の外径が小さい側の端部を先端20と称し、拡管ロール群5は、センターコーン2の外周を取り巻くように複数配置された拡管ロール4を有し、各拡管ロール4がセンターコーン2と同芯に回転するに際しては連動して回転し、各拡管ロール4の外周がセンターコーン2の外周と接触するように配置され、拡管ロール群5が金属円筒10と接する面は、その外径が軸方向に変化する円錐状であり、金属円筒10の内周を拡管ロール4の外周に接触させ、金属円筒10とセンターコーン2との間に回転速度の差を設けつつ金属円筒10に対してセンターコーン2を軸方向に移動させ、移動方向はセンターコーンの先端20を先頭として前進させる方向である。以下、具体的に説明する。
本発明において、拡管治具1と必要に応じて金属円筒を保持する保持具7とを有し、拡管治具1は、センターコーン2とその外周に配置された拡管ロール群5とを有する。金属円筒10はセンターコーン中心軸周りに回転しあるいは回転しないように配置される。センターコーン2は、外径がセンターコーン軸方向に変化する円錐状である。センターコーン2はその中心軸周りに回転しあるいは回転しないように配置される。実施の形態によっては保持具7を要しない。
拡管ロール群5は、センターコーン2の外周を取り巻くように複数配置された拡管ロール4を有する。各拡管ロール4の外周は、金属円筒10の内周及びセンターコーン2の外周と接触するように配置される。拡管ロール群5は、センターコーン周りに回転(公転)するように配置しあるいは回転しないように配置する。拡管ロール群5をセンターコーン周りに回転するように配置する場合には、各拡管ロール4がセンターコーン中心軸周りに回転するに際しては拡管ロール相互に連動して回転するように配置する。各拡管ロール4は、拡管ロール4自身の中心軸の周りに自由回転(自転)するように配置される。拡管ロール群5の拡管ロール軸方向の一方の端又は両端に拡管ロール支持板6を設け、2つの拡管ロール支持板6によって各拡管ロール4が支持される。2つの拡管ロール支持板6は相互に連結することができる。2つの拡管ロール支持板6を相互に連結するために、拡管ロール相互の間に支持柱8を配設することができる。
拡管ロール4の数は、8〜15とすると好ましい。拡管ロール4の数が多いほど、拡管時の金属円筒10の変形が均一化するが、拡管ロール4の数が多くなるほど拡管ロール4の直径を小さくすることが必要となる。また、拡管ロール4の数が多くかつ細くなるほど、拡管ロール支持板6の支持柱8として細いものを多数配設することが必要となる。拡管ロール4の数が上記好適な範囲であれば、これらの問題が発生することがない。拡管ロール4の数は、12〜15とするとさらに好ましい。
金属円筒10、センターコーン2、拡管ロール群5の3者うち、ひとつはセンターコーン中心軸周りに自由に回転し得るように設けられる。残りふたつについては、拡管に際し、一方を回転駆動で他方を非回転(固定)、あるいは両方を回転駆動する。残りふたつの両方を回転駆動する場合、両者の回転速度を異ならせる。
例えば、金属円筒10を非回転、センターコーン2を回転駆動、拡管ロール群5を自由回転とすることができる(図6(a))。あるいは、金属円筒10を非回転、センターコーン2を自由回転、拡管ロール群5を回転駆動とすることができる。また、金属円筒10を回転駆動、センターコーン2を非回転、拡管ロール群5を自由回転とすることができる。また、金属円筒10を自由回転、センターコーン2を回転駆動、拡管ロール群5を非回転とすることができる。また、金属円筒10を自由回転、センターコーン2を非回転、拡管ロール群5を回転駆動とすることができる。また、金属円筒10を自由回転、センターコーン2と拡管ロール群5の両方を回転駆動とし、両者の回転速度を異ならせることができる。その他、あらゆる組み合わせが可能である。
拡管に際し、金属円筒10に対してセンターコーン2を軸方向に移動させる。図7、8に示す例では、センターコーン2と拡管ロール群5が軸方向に一体で動くように設けられ、金属円筒10は、拡管に際して軸方向に固定するとともに軸周りにも回転しない。拡管ロール群5が自由回転状態であり、センターコーン2が回転駆動される。
拡管前に、図8(a)に示すように、センターコーン2と拡管ロール群5からなる拡管治具1は金属円筒10の軸方向一方の端部側に位置し、センターコーン2をセンターコーン回転方向21に回転しつつ、移動方向22に移動を開始して金属円筒内に挿入する。これにより、金属円筒10に対してセンターコーン2を軸方向に移動することとなる。移動方向はセンターコーンの先端20を先頭として前進させる方向である。金属円筒10は、拡管治具1が存在するのと反対側の軸方向端部で保持具7に保持されている。センターコーン2を回転駆動しつつ、拡管治具1を金属円筒内に挿入すると、外形が円錐形状となっている拡管治具1に金属円筒10が押し広げられ、図8(b)に示すように、順次拡管が進行する。
図8(c)に示すように、拡管治具1の軸方向の移動が完了すると、拡管治具1による金属円筒10の拡管が完了し、拡管治具1のテーパー形状にそったテーパーを有する拡管後製品を得ることができる。このとき、金属円筒は図1(a)(b)のような形状に拡管されている。
拡管に際し、金属円筒10とセンターコーン2との間に、センターコーン中心軸まわりの回転速度の差を設けている結果として、金属円筒10と拡管ロール群5それぞれの回転速度にも差が生じる。従って、拡管に際し、金属円筒10と各拡管ロール4が接している位置については、金属円筒10の一定の箇所に固定されるのではなく、常に位置が変化することになる。そのため、金属円筒10は、周方向に伸びの量が不均一になることがなく、周方向いずれの部位も同じように伸びていく。その結果、金属円筒10の周方向平均伸びがその材料の伸び限界にいたるまで拡管を継続することができる
また、金属円筒10と拡管ロール4とは周方向にスリップを生じないように接触しているので、金属円筒10の内面に擦り傷が発生することはない。さらに、拡管ロール4が金属円筒10に接する位置については、周方向に常に変動しているので、金属円筒10が多角形形状に変形されることがない。
図8に示す例では、金属円筒10に対してセンターコーン2を軸方向に移動させるに際し、金属円筒10を軸方向に固定し、センターコーン2を軸方向に移動させた。これに対し、センターコーン2を軸方向に固定し、金属円筒10を軸方向に移動させることとしてもよい。
本発明において、図9に示すように、拡管ロール群5に対してセンターコーン2が軸方向に移動する形態を採用することができる。拡管ロール群5に対してセンターコーン2を軸方向に移動させるので、拡管ロール群5とセンターコーン2の間は軸方向の位置変化が発生する。センターコーン2は外形が軸方向に変化する円錐状であり、各拡管ロール4の外周がセンターコーン2の外周と接触するように配置されているので、拡管ロール群5とセンターコーン2の間の軸方向位置変化に伴い、各拡管ロール4はセンターコーン中心軸から半径方向に移動可能であることが必要である。図9に示す例では、拡管ロール4はその両端に配置した拡管ロール支持板6の軸受9によって支持される。そして、拡管ロール4の軸受9は、拡管ロール支持板6に移動可能に支持されており、移動方向はセンターコーン中心軸から放射状の方向である。図9(a)はセンターコーン2が拡管開始前の位置に配置され、拡管ロール4は最も軸芯に近い位置に配置されている。図9(b)はセンターコーン2が拡管終了時の位置に配置され、拡管ロール4は軸芯から最も遠い位置に配置されている。
拡管開始時において、図9(a)に示すように、金属円筒10が拡管ロール群5の外側に配置され、センターコーン2はその大部分あるいは全部が金属円筒10の一方の端部の外側に配置されている。拡管ロール4の外周がセンターコーン2の外周に接し、拡管ロール群5における拡管ロール4の半径方向配置位置は最も中心軸に近い位置となっている。拡管を開始すると、センターコーン2はセンターコーン回転方向21に回転し、センターコーン2が徐々に金属円筒10の内部に挿入するように移動方向22に移動し、それに伴って拡管ロール4の半径方向配置位置は中心軸から半径方向に外方に広がっていく。金属円筒10は、拡管開始時には一方の端部のみで拡管ロール4に接しており、拡管の進行に伴って拡管ロール4が外方に広がるに従い、拡管される。図9(b)に示すように、センターコーン2が金属円筒10の内部に最も深く挿入されたところで拡管が終了する。図9(b)においては、拡管開始時のセンターコーン2aと拡管ロール4aを2点鎖線で示し、拡管終了時のセンターコーン2bと拡管ロール4bを実線で示している。
次に、第2の具体的態様について図10〜図13に基づいて説明する。第2の具体的態様は、ストレートタイプとテーパータイプのいずれの拡管をも行うことが可能であるが、ストレートタイプの缶胴を形成する場合に好適に用いることができる。
第2の具体的態様におけるエンボス加工缶体の製造方法において、拡管治具1は、軸方向に外径が変化するテーパー軸31と、テーパー軸31の周囲に円周方向に配置された複数のセグメント33を有し、セグメント33の外周側に拡管ロール4を有し、セグメント33の内周側にはテーパー部36が形成され、テーパー軸31の外周とセグメント内周側のテーパー部36とが接触し、各拡管ロール4の外周が金属円筒10の内周と接触するように配置され、セグメント群32とテーパー軸31とは軸方向に相対的に移動可能であり、セグメント群32とテーパー軸31とを軸方向に相対的に移動させてセグメント群32をテーパー軸31の軸中心から遠ざける方向に移動させ、セグメント群32とテーパー軸31との相対移動に際し、金属円筒10とセグメント群32はテーパー軸31の軸周りに相対的に異なった回転速度とする。
まず第1に、ストレートタイプを例にとって、図10〜12に基づいて説明する。図10、図12(a)は拡管開始前の状況を示し、図11、図12(b)は拡管終了時の状況を示す。図12(c)は拡管終了後の金属管の断面形状を示している。
本発明の拡管治具1は、軸方向に外径が変化するテーパー軸31と、テーパー軸31の周囲に円周方向に配置された複数のセグメント33を有する。図10〜12に示す例では、8個のセグメント33がテーパー軸31のまわりに放射状に並べられている。テーパー軸外径の変化勾配は一定である。
セグメント33の外周側に拡管ロール4を有し、各拡管ロール4の外周が金属円筒10の内周と接触するように配置される。ストレートタイプの拡管を行う場合、拡管ロールはロール軸方向に径が一定の形状であり、拡管ロール4の回転軸はテーパー軸31の中心軸と平行に配置される。
セグメント33の内周側にはテーパー部36が形成され、テーパー部36においては、テーパー軸31の軸方向にテーパー軸中心からの距離が一定の勾配で変化する。セグメント33のテーパー部36の変化勾配とテーパー軸31の外径の変化勾配は等しく、テーパー軸31の外周とセグメント内周側のテーパー部36とが接触する。
セグメント群32とテーパー軸31とは軸方向に相対的に移動可能である。セグメント群32を固定してテーパー軸31を軸方向に移動し、あるいはテーパー軸31を固定してセグメント群32を軸方向に移動させることができる。図10〜12に示す例では、セグメントケース35に配置されたテーパー軸移動装置39により、テーパー軸31が移動する。セグメント群32のテーパー部36とテーパー軸31とが同じ勾配をもって接しているので、セグメント群32とテーパー軸31とを軸方向に相対的に移動することによって、セグメント群32をテーパー軸31の軸中心から遠ざけ、あるいは逆に近づけることができる。拡管に際しては、セグメント群32をテーパー軸31の軸中心から遠ざける方向に移動させる。図10〜12に示す例では、テーパー軸31が移動方向22に移動する。これにより、セグメントの外周に配置された拡管ロール4がテーパー軸31の軸中心から遠ざかる方向で広がるので、拡管ロール4によって金属円筒10が押し広げられ、拡管が進行する。図12において、(a)は拡管開始前、(b)は拡管終了時を示す。(b)の一点鎖線は拡管開始時の拡管ロールとテーパー軸の位置を示している。図12(b)の一点鎖線(拡管開始前)と実線(拡管終了時)の位置の比較により、テーパー軸31の移動の状況と、拡管ロール4がテーパー軸の軸中心から遠ざかる状況が明らかである。
本発明においては、セグメント群32とテーパー軸31との相対移動に際し、金属円筒10とセグメント群32(及びセグメント33に設置された拡管ロール4)はテーパー軸31の軸周りに相対的に異なった回転速度を有することを特徴とする。図6に基づいて具体的に説明する。拡管ロール群がテーパー軸まわりに移動する移動を、以下拡管ロール群の「公転」ともいう。拡管ロールが自分の回転軸まわりに回転する運動を、以下拡管ロールの「自転」ともいう。
図6(a)に示すように、拡管ロール4をテーパー軸の軸周りに回転(公転51)させ、金属円筒10はテーパー軸の軸まわりに回転しないこととすることができる。あるいは、図6(b)に示すように、金属円筒10をテーパー軸の軸周りに金属円筒回転方向23に回転させ、セグメント群はテーパー軸の軸まわりに回転(公転)しないこととすることができる。さらに図6(c)に示すように、セグメント群を公転51させるとともに、金属円筒をテーパー軸の軸周りに金属円筒回転方向23に回転させ、両者を異なった回転速度で回転させることとしてもよい。図6(a)〜(c)のいずれの場合も、拡管ロール4が自転50している。
セグメント群32とテーパー軸31との相対移動に際し、拡管ロール4によって金属円筒10が押し広げられているので、金属円筒10はセグメント群の拡管ロール4と接している。そして、拡管ロール4はセグメント33に設置されているので、金属円筒とセグメント群がテーパー軸の軸周りに相対的に異なった回転速度であれば、金属円筒10と拡管ロール群34もテーパー軸31の軸周りに相対的に異なった回転速度を有することとなる。即ち、金属円筒10に固定した座標で見たときに、拡管ロール群34は金属円筒10の軸まわりに移動する。
拡管ロール4の自転50については、金属円筒10の回転速度と拡管ロール群34の公転51速度との回転速度差に伴い、受動的に自転させることができる。この場合、セグメント群32と金属円筒10の一方又は両方を回転制御し、回転制御しない側をテーパー軸31まわりに回転しないよう固定しておいて、拡管ロール4は自由回転するようにセグメント33に配置されている。拡管ロール4はその外周が金属円筒10の内周と接しているので、拡管ロール4の公転速度と金属円筒10の回転速度の差に応じて、拡管ロール4は自転することとなる。本発明において、図10〜12に示す態様のように、金属円筒10を保持する保持具7を有していれば、この保持具7を固定することによって金属円筒10を回転しないように固定することができ、逆に保持具7をテーパー軸周りに回転することによって金属円筒10をテーパー軸まわりに回転させることができる。
金属円筒10を保持具7で保持する本発明の実施の形態においては、金属円筒10のうち保持具7で保持された部分については一般的に拡管することが困難である。ところで、金属円筒10を拡管する態様として、準備した金属円筒(その直径は軸方向で一定)のうち、軸方向の一方の端又は両方の端については拡管せず、端部を除いた部分のみを拡管する場合がある。図12(c)は一方の端部のみを拡管しない例である。両方の端部を拡管しないこともできる。いわゆるネックインタイプの円筒を形成する場合にこのような拡管を適用することができる。図12に示すように、少なくとも金属円筒10の一方の端部を拡管しない態様においては、その拡管しない端部を保持具7で保持することが可能となる。一方、両方の端部を拡管しない態様では、両方の端部を保持具7で保持すると好ましい。
金属円筒10を保持する保持具7として、金属円筒10の外周と接する部分が弾性体で形成されているものを用いれば、保持具7と接する金属円筒部分が拡管されるとしても、拡管中に金属円筒10を保持することが可能となる。保持具7を金属製の外筒とその内部に収納される弾性体であるゴムで形成してもよい。これにより、本発明の拡管装置を用いて拡管を行い、金属円筒の軸方向全体を一様に拡管することができる。
本発明においては、拡管ロールを回転駆動し、拡管ロール4を能動的に自転させることとしても良い。この場合、セグメント群32とテーパー軸31との相対移動に際し、すべての拡管ロール4を同一の回転速度で同一の回転方向に回転させる。そして、金属円筒10とセグメント群32の一方を、テーパー軸まわりに自由回転可能にしておく。例えば、セグメント33をテーパー軸まわりに回転しない固定配置とし、即ち拡管ロール4は公転しないように配置し、金属円筒10を保持具で保持せずに拡管ロール4に接して自由に回転可能にしておけばよい。
本発明においては、拡管に際し、金属円筒と拡管ロールとの間に、拡管ロール中心軸まわりの回転速度の差を設けている結果として、金属円筒10において各拡管ロール4が接している位置については、金属円筒10の一定の箇所に固定されるのではなく、常に位置が変化することになる。そのため、金属円筒は、周方向に伸びの量が不均一になることがなく、周方向いずれの部位も同じように伸びていく。その結果、金属円筒の周方向平均伸びがその材料の伸び限界にいたるまで拡管を継続することができる。
また、金属円筒と拡管ロールとは周方向にスリップを生じないように接触しているので、金属円筒の内面に擦り傷が発生することはない。さらに、拡管ロールが金属円筒に接する位置については、周方向に常に変動しているので、金属円筒が多角形形状に変形されることがない。
さらに詳細に第2の具体的態様の説明を行う。
拡管ロール4の数は、8〜15とすると好ましい。拡管ロール4の数が多いほど、拡管時の金属円筒10の変形が均一化するが、拡管ロール4の数が多くなるほど拡管ロール4の直径を小さくすることが必要となる。拡管ロール4は両端を支持されており、拡管時に金属円筒から受けるたわみ力を拡管ロール自身の剛性で受け止める必要があり、拡管ロールの直径をあまり小さくすることができない。また、拡管ロール4の数が多くかつ細くなるほど、セグメントも細いものを多数配設することが必要となる。拡管ロール4の数が上記好適な範囲であれば、これらの問題が発生することがない。拡管ロール4の数は、8〜12とするとさらに好ましい。
図10〜11に示すように、セグメント33はセグメントケース35に組み立てられる。セグメントケース内において、セグメント33は放射状に摺動可能に取り付けられている。また、セグメント33をテーパー軸に押し付ける力を付与するため、弾性体リング12が配置される。弾性体リング12として、ゴム製のリングを用いることができる。セグメント回転装置38によってセグメントケース35を回転駆動することにより、セグメント33をテーパー軸31のまわりに回転させることができる。また、テーパー軸31をセグメントケース内に配置し、セグメントケース35に取り付けたテーパー軸移動装置39によってテーパー軸31を移動することにより、セグメント33とテーパー軸31とを相対的に移動させることができる。
次に、拡管後の金属形状が円錐状であるテーパータイプの拡管を行う場合について、図13に基づいて説明を行う。
テーパータイプの拡管を行う場合、本発明の拡管ロール4の軸をテーパー軸31に対して平行から傾いた角度とする。そして、拡管ロール群34が金属円筒10と接する部分で形成される仮想面は円錐状であり、その円錐の径はテーパー軸31の軸方向に変化する。仮想面の円錐形状は、拡管後の金属円筒10の円錐形状と等しい形状とする。図13(a)は拡管前の状況を示す。拡管前で円錐形状となっていない金属円筒10が保持具7に保持されている。拡管ロールの前記仮想面の直径が最も大きい部分において、拡管ロール4と金属円筒10が接している。この状態から、図13に示す例では保持具7に保持された金属円筒10は回転させず、セグメント33をテーパー軸中心周りに回転させ、順次テーパー軸31を移動して拡管ロール4を放射状に位置変化させる。拡管ロール4はセグメント33ともに公転し、拡管ロール4は回転しない金属円筒10に接しているので、受動的に自転する。図13(b)の状態で拡管が終了し、図13(c)に示すような円錐形状を有するテーパータイプの金属円筒が完成する。
缶胴がテーパー角度15.5°の円錐形状であり、缶胴の短径側直径が80mmである缶体にエンボス加工を施すに際し、本発明を適用した。
缶胴を形成する金属板素材は、材質として溶接可能なメッキ鋼板を用い、通常の内外面の印刷、塗装を施した後に、内周面の意図する位置に透明インキを塗布して固形物付着層とし、加熱、乾燥を行った。
印刷を完了した金属素材板から、金属平板65を切り出し(図3)、丸めて継ぎ目をマッシュルーム溶接することにより、直径が80mm、長さが80mmの金属円筒10とする(図2)。次いで以下のように、この金属円筒10を拡管してテーパー角度が15.5°の円錐形状とする。
拡管治具1として図7に示すものを用いた。拡管ロール4の数は15、センターコーン2として一体のものを用い、センターコーン2のテーパー角度が12.33°、拡管ロール4のテーパー角度が1.6°である。センターコーン2、拡管ロール4の長さは約70mmである。拡管に際しては保持具7で金属円筒10を保持し、保持具7で保持した金属円筒10が非回転、拡管ロール群5が自由回転、センターコーン2を回転駆動とした。センターコーン軸3が回転駆動装置30に接続されている。拡管ロール群5の外周側外径(直径)は、センターコーン先端側の部位Aで80mm、部位Aから70mm離れた部位Bで99.1mmである。
拡管前の金属円筒10を保持具7に保持し、図7に示す拡管治具1を用いて拡管を行った。センターコーン2の回転速度を20rpmとし、保持具7を固定してセンターコーン2を送り速度4〜5mm/secで金属円筒内に挿入し、拡管を行った。金属円筒10(非回転)に対する拡管ロール群5の相対回転速度は10rpmとなる。
拡管後において、内周面に固形物付着層を形成した部分は外周側に張り出して凸部が形成され、良好なエンボス加工面とすることができた。
缶胴が直径96mmのネックイン形状(図1(c)(d))である缶体にエンボス加工を施すに際し、本発明を適用した。缶胴を形成する素材としての金属素材板、その金属素材板から切り出す金属平板65については、上記実施例1と同様である。そしてこの金属平板を丸めて溶接を行った上で、直径が80mm、長さが80mmである拡管前の金属円筒10とした(図2)。この金属円筒10の一方の端部を除く部分を拡管して、拡管後の直径が96mmであるネックイン形状(図1(c)(d))とする。
まず、金属素材板に印刷を施す。缶胴の外周面となる面に通常の印刷を施す。次に、缶胴の内周面となる面に、固形物付着層を設ける。固形物付着層の材質として熱ラミ系フィルムを用い、180〜230℃×0.5〜1.5秒の熱板圧着を施し固形物付着層を得た。
印刷と固形物付着層の形成を完了した金属素材板から、金属平板65を切り出し(図3)、丸めて継ぎ目をマッシュルーム溶接することにより、直径が80mm、長さが80mmの金属円筒とする(図2(a)(b))。次いで以下のように、直径96mmのネックイン形状とする(図1(c)(d))。
拡管装置として図10〜12に示すものを用いた。拡管ロール4の数は8、拡管ロール直径はφ20mm、テーパー軸のテーパー角度(図12の角度ψ)が5°である。拡管ロール4の長さは約70mmである。拡管に際しては保持具7で金属円筒10の一端を保持し、保持具7で保持した金属円筒10が非回転、拡管ロール群5が自由に自転し、セグメント33をセグメント回転装置38により回転駆動とした。テーパー軸31はセグメントケース35に設置されたテーパー軸移動装置39により移動する。
拡管前の金属円筒10を保持具7に保持し、図10〜12に示す拡管装置を用いて拡管を行った。セグメント駆動装置8の回転速度を20pmとし、テーパー軸31の軸方向送り速度は、拡管ロール群34の外径(仮想面の直径)が4mm/secの割合で増大するように定めた。
拡管後において、内周面に固形物付着層を形成した部分は外周側に張り出して凸部が形成され、良好なエンボス加工面とすることができた。
1 拡管治具
2 センターコーン
3 センターコーン軸
4 拡管ロール
5 拡管ロール群
6 拡管ロール支持板
7 保持具
8 支持柱
9 軸受
10 金属円筒
12 弾性体リング
15 弾性リング
16 駆動モーター
17 自在継手
18 回転駆動伝達装置
19 受けローラー
20 先端
21 センターコーン回転方向
22 移動方向
23 金属円筒回転方向
25 突起
26 凹部
30 回転駆動装置
31 テーパー軸
32 セグメント群
33 セグメント
34 拡管ロール群
35 セグメントケース
36 テーパー部
38 セグメント回転装置
39 テーパー軸移動装置
40 セグメント
50 自転
51 公転
54 拡管ロール回転駆動装置
61 缶胴
62 模様
63 凸部
64 固形物付着層
65 金属平板

Claims (5)

  1. 缶胴の外周面に凸部を有するエンボス加工缶体の製造方法であって、複数の拡管ロールを配置した拡管治具を準備し、拡管ロールは拡管治具の中心軸周りに円周状に配置され、缶胴となる金属円筒の前記凸部に該当する部分の内周面に固形物付着層を設け、次いで前記拡管治具の拡管ロールを前記金属円筒の内周面に接触させることにより金属円筒を拡管し、該拡管中において、前記複数の拡管ロールはその外周面が前記金属円筒の内周面に接触し、金属円筒の中心軸と拡管治具の中心軸が一致し、拡管ロールが自身の中心軸周りに回転し、拡管ロールの拡管治具中心軸周りの回転速度と金属円筒の回転速度との間に相対速度を有することを特徴とする、エンボス加工缶体の製造方法。
  2. 前記金属円筒となる金属平板の、金属円筒の外周となる面に印刷を施し、金属円筒の内周となる面に前記固形物付着層を設け、次いで該金属平板を円筒状に巻き回して接触部を溶接することにより金属円筒とすることを特徴とする請求項1に記載のエンボス加工缶体の製造方法。
  3. 前記固形物付着層は樹脂付着層であり、該樹脂付着層は、樹脂インキを塗布し、あるいは樹脂フィルムを貼付することによって設けることを特徴とする請求項1又は2に記載のエンボス加工缶体の製造方法。
  4. 前記拡管治具は、センターコーンとその外周に配置された拡管ロール群とを有し、
    センターコーンは、外径が軸方向に変化する円錐状であり、センターコーンの外径が小さい側の端部を先端と称し、
    拡管ロール群は、センターコーンの外周を取り巻くように複数配置された拡管ロールを有し、各拡管ロールがセンターコーンと同芯に回転するに際しては連動して回転し、各拡管ロールの外周がセンターコーンの外周と接触するように配置され、拡管ロール群が金属円筒と接する面は、その外径が軸方向に変化する円錐状であり、
    金属円筒の内周を拡管ロールの外周に接触させ、金属円筒とセンターコーンとの間に回転速度の差を設けつつ金属円筒に対してセンターコーンを軸方向に移動させ、移動方向はセンターコーンの先端を先頭として前進させる方向であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエンボス加工缶体の製造方法。
  5. 前記拡管治具は、軸方向に外径が変化するテーパー軸と、テーパー軸の周囲に円周方向に配置された複数のセグメントを有し、セグメントの外周側に拡管ロールを有し、セグメントの内周側にはテーパー部が形成され、
    テーパー軸の外周とセグメント内周側のテーパー部とが接触し、各拡管ロールの外周が金属円筒の内周と接触するように配置され、
    セグメント群とテーパー軸とは軸方向に相対的に移動可能であり、セグメント群とテーパー軸とを軸方向に相対的に移動させてセグメント群をテーパー軸の軸中心から遠ざける方向に移動させ、該セグメント群とテーパー軸との相対移動に際し、金属円筒とセグメント群はテーパー軸の軸周りに相対的に異なった回転速度とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエンボス加工缶体の製造方法。
JP2009162986A 2009-07-09 2009-07-09 エンボス加工缶体の製造方法 Active JP4987039B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009162986A JP4987039B2 (ja) 2009-07-09 2009-07-09 エンボス加工缶体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009162986A JP4987039B2 (ja) 2009-07-09 2009-07-09 エンボス加工缶体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011016157A JP2011016157A (ja) 2011-01-27
JP4987039B2 true JP4987039B2 (ja) 2012-07-25

Family

ID=43594360

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009162986A Active JP4987039B2 (ja) 2009-07-09 2009-07-09 エンボス加工缶体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4987039B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106561938B (zh) * 2016-11-09 2023-04-21 华南理工大学 一种压花球糖关键成型装置
CN118268470B (zh) * 2024-05-30 2024-09-06 佛山高谱机械科技有限公司 一种管材扩张式内径滚压胀形装置及其滚压胀形方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58167037A (ja) * 1982-03-29 1983-10-03 Agency Of Ind Science & Technol 管端加工用工具
JPS59148138U (ja) * 1983-03-19 1984-10-03 カルソニックカンセイ株式会社 パイプ端部の加工機
JP2004034045A (ja) * 2002-06-28 2004-02-05 Daiwa Can Co Ltd 凹凸部の有る缶胴用成形分割型

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011016157A (ja) 2011-01-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2639053B1 (en) Tire surface printing method
CN110312579B (zh) 旋压成型的方法和设备
JP6250224B2 (ja) それぞれ中空体に印刷を行う複数の印刷部を備える装置
JP4987039B2 (ja) エンボス加工缶体の製造方法
CN102712155A (zh) 轮胎制造装置
KR20090122889A (ko) 공작물 제조 방법
US9102135B2 (en) Plate attachment device and method for attaching/detaching printing plate
JP2010036245A (ja) 金属円筒の拡管装置及び拡管方法
JP2017519670A (ja) 中空体に印刷を行う装置
US20140174637A1 (en) Tool for positioning a strip for producing a tire blank
US4680016A (en) Apparatus and method for rimming containers
JP2012096273A (ja) 潤滑油供給機能付き拡管装置
JP5465596B2 (ja) 円環状部材成型方法及び円環状部材成型装置
US12091271B2 (en) Sleeve, winding device, and method for repeated, successive winding of webs to form reels of material
CN113967800B (zh) 一种基于激光开槽和热滚压的筒件加强筋的加工工艺
KR20150027074A (ko) 베이스 타이어에 트레드 링을 장착하기 위한 장치 및 갱생 타이어의 제조 방법
JP2006076217A (ja) タイヤ用円環状部材の成形方法及び成形装置
JP2019051671A (ja) ビードコア被覆方法及びビードコア被覆装置
KR102390773B1 (ko) 인쇄용 판의 성형 방법 및 인쇄용 판의 원통상 성형 장치
EP2781460B1 (en) Resin-label-mounting device and resin-label-mounting method
CN111331890B (zh) 环保轮胎的制造装置及环保轮胎的制造方法
WO2014119120A1 (ja) 鍛造装置および鍛造方法
US20030152869A1 (en) Method for producing a printing plate, in partcular for letterpress printing and a printing plate for letterpress printing
FI72062B (fi) Foerfarande och anordning foer formning av en aenddel i en cylindrisk metallburkmantel
SU1306469A3 (ru) Способ изготовлени деталей покрышки и устройство дл его осуществлени

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111004

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20111004

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120305

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20120328

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120424

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120424

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4987039

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150511

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150511

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250