JP4986505B2 - 糖尿病性血管障害および呼吸障害予防および/または治療剤 - Google Patents

糖尿病性血管障害および呼吸障害予防および/または治療剤 Download PDF

Info

Publication number
JP4986505B2
JP4986505B2 JP2006145134A JP2006145134A JP4986505B2 JP 4986505 B2 JP4986505 B2 JP 4986505B2 JP 2006145134 A JP2006145134 A JP 2006145134A JP 2006145134 A JP2006145134 A JP 2006145134A JP 4986505 B2 JP4986505 B2 JP 4986505B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cyclohexenone
cyclohexen
methyl
group
diabetic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006145134A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007230991A (ja
JP2007230991A5 (ja
Inventor
慶祐 佐藤
源顕 斎藤
リュー バン
昌司 山田
啓仁 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Meiji Co Ltd
Original Assignee
Meiji Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Meiji Co Ltd filed Critical Meiji Co Ltd
Priority to JP2006145134A priority Critical patent/JP4986505B2/ja
Publication of JP2007230991A publication Critical patent/JP2007230991A/ja
Publication of JP2007230991A5 publication Critical patent/JP2007230991A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4986505B2 publication Critical patent/JP4986505B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)

Description

本発明は、糖尿病による血管あるいは気管平滑筋の機能異常を予防および/または治療するための非ペプチド性低分子化合物に関する。
糖尿病では、インスリン作用の低下のため摂取したブドウ糖が筋肉などの細胞に取込まれ難く,細胞内でエネルギー不足をきたしている。また、ブドウ糖などの糖質だけでなく,インスリン作用の低下は蛋白質や脂質の利用まで障害される。これらの結果、高血糖、高脂血症となり、それらにより血管や神経が障害され種々の合併症を誘発する(鎌田 勝雄、"糖尿病性血管障害とLDLコレステロール"、[online]、掲載日不明(平成11年11月6日(土)「文部省ハイテク・リサーチ・センター整備事業」星薬科大学ハイテク・リサーチ・シンポジウムにて発表の旨記載)、星薬科大学ハイテクリサーチセンター、[平成17年2月10日検索]、<http://polaris.hoshi.ac.jp/hitec/symp99/kamata.html>)。
足の潰よう・壊そなど糖尿病の足病変が増加し,長期の入院や足切断,QOLの低下など大きな問題となっている。足病変形成には,糖尿病の合併症としての神経障害や血管障害に加えて,持続的な高血糖状態による免疫力の低下が関係している(非特許文献1)。
糖尿病による血管障害には,糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症・糖尿病性神経障害などの細小血管障害と脳血管障害・虚血性心疾患・糖尿病性壊疽などの大血管障害がある (内海 真、"糖尿病教室 糖尿病合併症"、[online]、掲載日不明、内海内科クリニック、[平成17年2月10日検索]、<http://www.furano.ne.jp/utsumi/dm/complications.htm>)。また,糖尿病患者では,頚動脈肥厚度は高値であり,これに関連する危険因子は年齢・高血圧・脂質異常などである(非特許文献2)。
また,実験的糖尿病ラットでは,気管平滑筋の機能が低下している事が報告されており(非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5)、糖尿病による呼吸困難が懸念される。
γ−アミノ酪酸(GABA)、GABA受容体作動薬および拮抗薬の気管収縮に及ぼす作用を、ストレプトゾトシン糖尿病ラットと正常ラットで調べた。電気刺激による気管収縮がGABAとGABAβ受容体作動薬で阻止され、GABAの収縮阻止作用が正常ラットで有意に強かったことから、GABAの作用機序としてGABAβ受容体を介するアセチルコリン放出の阻害が考えられ、糖尿病はGABAの気管収縮阻止作用を減弱させることを確認した(非特許文献3)。
ストレプトゾトシン65mg/kgを静脈内投与6週間後のラットから摘出気管標本を作成し、対照動物の標本と比較した。ホスホジエステラーゼ(PDE)III阻害薬のアムリノン、PDEIV阻害薬のロリプラムおよび非選択的PDE阻害薬のテオフィリンは、カルバコール(10-6mol/l)で収縮させた標本を濃度依存的に弛緩させた。対照動物標本では、ロリプラムの作用が最も低濃度で現われた。糖尿病ラット標本では、アムリノンに対する反応性が対照動物に比べて高かったが、テオフィリンとロリプラムに対する反応性には有意な差は認められなかった(非特許文献4)。
ストレプトゾトシン誘発糖尿病ラットの摘出気管筋のアセチルコリン収縮及び電気刺激収縮に対する一酸化窒素(NO)の作用を検討した。アセチルコリン収縮に対し、NOシンターゼ阻害剤NG-ニトロ-L-アルギニン-メチルエステル(L-NAME)は影響しなかった。糖尿病ラットでは電気刺激収縮は高進した。この反応において、正常ラットではL-NAMEは増強作用を示したが、糖尿病ラットでは影響しなかった。内因性のNO産生あるいは遊離反応が糖尿病ラットでは損なわれていると考えられた(非特許文献5)。
小山一憲、糖尿病の足病変-糖尿病足壊そを防ぐために-、感染防止、14(4)、pp.1-8(2004) 西沢良記、糖尿病患者における血管障害、診療と新薬、41(5)、pp.372(2004) Ozdem SS, Sadan G, Usta C, Tasatargil A.、Effect of experimental diabetes on GABA-mediated inhibition of neurally induced contractions in rat isolated trachea:role of nitric oxide.、Clin Exp Pharmacol Physiol、27(4),pp. 299-305(2000) Usta C, Sadan G., Comparison of the Effects of Selective III, IV and Nonselective Phosphodiesterase Inhibitors on Isolated Tracheal Preparations in Streptozotocin-Diabetic Rats., Pharmacology, 60(1), pp.9-12(2000) Ozdem SS, Sadan G, Usta C, Tasatargil A., The effect of experimental diabetes on cholinergic neurotransmission in rat trachea: role of nitric oxide., Eur J Pharmacol, 387(3), pp.321-327(2000) 特開2000−297034 特開2002−241270 特開2002−241271
本発明の課題は、糖尿病による血管あるいは気管平滑筋の機能異常を予防および/または治療する非ペプチド性低分子化合物を提供することである。
シクロヘキセノン長鎖アルコールはこれまでに神経細胞の生存及び神経突起の伸展を促進する神経栄養作用を有することが既に報告されている(Gonzalez de Aguilar JL, Girlanda-Junges C, Coowar D, Duportail G, Loeffler JP, Luu B., Neurotrophic activity of 2,4,4-trimethyl-3-(15-hydroxypentadecyl)-2-cyclohexen-1-one in cultured central nervous system neurons.、Brain Res., 920(1-2), pp.65-73(2001)、特開2000-297034)。さらに、該化合物が糖尿病性の神経障害(特開2002-241270)、および排尿障害治療剤(特開2002-241271)として有用であることも明らかにされている。
今回,本発明者等は、式(1)で表されるシクロヘキセノン長鎖アルコール化合物が糖尿病による血管あるいは気管平滑筋の機能異常を改善する事を見出し,本発明を完成させた。
すなわち本発明は、以下の糖尿病性の血管障害および糖尿病性の呼吸障害からなる群から選択される少なくとも一つの障害の予防剤および/または治療剤の提供を課題とする。
〔1〕次の一般式(1)
Figure 0004986505
〔式中、R1、R2及びR3はそれぞれ水素原子又はメチル基を示し、Xは炭素数10〜28の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン又はアルケニレン基を示す〕
で表されるシクロヘキセノン長鎖アルコール化合物を有効成分として含有する、糖尿病性の血管障害および糖尿病性の呼吸障害のいずれか、または両方の予防および/または治療剤。
〔2〕R1がメチル基であり、Xが炭素数10〜28の直鎖状のアルキレン基である、〔1〕に記載の予防および/または治療剤。
〔3〕R2がメチル基である、〔2〕に記載の予防および/または治療剤。
〔4〕R3がメチル基である、〔2〕または〔3〕に記載の予防および/または治療剤。
〔5〕R1およびR2が水素原子である、〔1〕に記載の予防および/または治療剤。
〔6〕シクロヘキセノン長鎖アルコール化合物が、下記の化合物からなる群から選択されたいずれかの化合物である、〔1〕に記載の予防および/または治療剤;
3−(10−ヒドロキシデシル)−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(10−ヒドロキシデシル)−2−シクロヘキセノン);
3−(11−ヒドロキシウンデシル)−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(11−ヒドロキシウンデシル)−2−シクロヘキセノン);
3−(12−ヒドロキシドデシル)−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(12−ヒドロキシドデシル)−2−シクロヘキセノン);
3−(13−ヒドロキシトリデシル)−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(13−ヒドロキシトリデシル)−2−シクロヘキセノン);
3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−2−シクロヘキセノン);
3−(10−ヒドロキシデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(10−ヒドロキシデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセノン);
3−(11−ヒドロキシウンデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(11−ヒドロキシウンデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセノン);
3−(12−ヒドロキシドデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(12−ヒドロキシドデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセノン);
3−(13−ヒドロキシトリデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(13−ヒドロキシトリデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセノン);
3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセノン);
4,4−ジメチル−3−(10−ヒドロキシデシル)−2−シクロヘキセン−1−オン(4,4−ジメチル−3−(10−ヒドロキシデシル)−2−シクロヘキセノン);
3−(11−ヒドロキシウンデシル)−4,4−ジメチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(11−ヒドロキシウンデシル)−4,4−ジメチル−2−シクロヘキセノン);
3−(12−ヒドロキシドデシル)−4,4−ジメチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(12−ヒドロキシドデシル)−4,4−ジメチル−2−シクロヘキセノン);
3−(13−ヒドロキシトリデシル)−4,4−ジメチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(13−ヒドロキシトリデシル)−4,4−ジメチル−2−シクロヘキセノン);
3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−4,4−ジメチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−4,4−ジメチル−2−シクロヘキセノン);
3−(10−ヒドロキシデシル)−2−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(10−ヒドロキシデシル)−2−メチル−2−シクロヘキセノン)
3−(11−ヒドロキシウンデシル)−2−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(11−ヒドロキシウンデシル)−2−メチル−2−シクロヘキセノン);
3−(12−ヒドロキシドデシル)−2−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(12−ヒドロキシドデシル)−2−メチル−2−シクロヘキセノン)(TL;
3−(13−ヒドロキシトリデシル)−2−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(13−ヒドロキシトリデシル)−2−メチル−2−シクロヘキセノン);
3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−2−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−2−メチル−2−シクロヘキセノン);
3−(12−ヒドロキシドデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3-(12-ヒドロキシドデシル)-2,4,4,-トリメチル-2-シクロヘキセノン)
3−(13−ヒドロキシトリデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(13−ヒドロキシドデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセノン);
3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセノン);
3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセノン)、および
3−(16−ヒドロキシヘキサデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(16−ヒドロキシヘキサデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセノン)。
〔7〕障害が、糖尿病性の血管障害である〔1〕に記載の予防および/または治療剤。
〔8〕障害が、糖尿病性の呼吸障害である〔1〕に記載の予防および/または治療剤。
〔9〕糖尿病性の呼吸障害が、睡眠時無呼吸症候群である〔8〕に記載の予防および/または治療剤。
あるいは本発明は、前記一般式(1)で表されるシクロヘキセノン長鎖アルコール化合物の、糖尿病性の血管障害および糖尿病性の呼吸障害のいずれか、または両方の予防および/または治療剤の製造における使用に関する。または、本発明は、前記一般式(1)で表されるシクロヘキセノン長鎖アルコール化合物の、糖尿病性の血管障害および糖尿病性の呼吸障害のいずれか、または両方の予防および/または治療における使用に関する。更に本発明は、次の要素iおよびiiを含む、医薬パッケージを提供する。
i:前記一般式(1)で表されるシクロヘキセノン長鎖アルコール化合物と薬学的に許容される担体を含む医薬組成物、および
ii:当該医薬組成物が糖尿病性の血管障害および糖尿病性の呼吸障害からなる群から選択された少なくとも1つの障害の、予防および治療のいずれか、または両方に使用できることを記載した指示書。
本発明における指示書には、治療の対象に加え、医薬組成物の製造日や、保存条件を記載することができる。更に、これらの情報は、医薬組成物に直接表示することもできる。具体的には、医薬組成物が充填された容器に直接印刷したり、あるいはラベルを貼ることによって、必要な情報を表示することができる。すなわち本発明は、糖尿病性の血管障害および糖尿病性の呼吸障害からなる群から選択された少なくとも1つの障害の、予防および治療のいずれか、または両方に使用できることが表示された、前記一般式(1)で表されるシクロヘキセノン長鎖アルコール化合物と薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。
該化合物(1)は、糖尿病モデル動物で血管あるいは気管平滑筋の機能異常を改善した事より、糖尿病性血管障害および呼吸障害の予防および/または治療薬として有用である。
上記一般式(1)中、Xは炭素数10〜28の直鎖状又は分岐状のアルキレン又はアルケニレン基である。分岐状のアルキレンまたはアルケニレン基の場合の側鎖としては、炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。当該側鎖アルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec- ブチル基、tert- ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert- ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、およびデシル基などからなる群から選択することができる。これらの側鎖アルキル基のうち、特にメチル基が好ましい。
本発明において、直鎖状のアルケニレン基は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有するアルケン構造を含む。またアルキレン基またはアルケニレン基は、3および7位のいずれか、または両方の側鎖に置換を含むことができる。すなわち前記一般式のXが直鎖状のアルキレン基あるいは直鎖状のアルケニレン基の場合、3および7位のいずれか、または両方に側鎖を含むことができる。
本発明において、Xは、炭素数10〜28の直鎖状アルキレン基が好ましく、炭素数10〜18の直鎖状アルキレン基が特に好ましい。また、R1、R2、およびR3は、それぞれ水素原子またはメチル基を示す。R1、R2、およびR3の少なくとも1個がメチル基である場合がより好ましい。更に、R1、R2、およびR3の全てがメチル基である化合物は、本発明における、より好ましい化合物である。また、別の態様において、R1およびR2が共に水素原子である場合も好ましい。前記一般式(1)で示される化合物には、各種の異性体が存在し得る。これらの異性体は本発明に含まれる。
前記一般式(1)で示される化合物を得るための方法は公知である。例えば特開2000-297034記載の製法に従って製造することができる。より具体的には、例えば次の製法Aまたは製法Bに従って前記一般式(1)で示される化合物を製造することができる。
Figure 0004986505
〔式中、R1 a、R2 a及びR3 aは水素原子又はメチル基を示す。R1 a、R2 a及びR3 aの少なくとも1個はメチル基を示す。Phはフェニル基を示し、X、R1、R2及びR3は前記と同じである。〕
すなわち、シクロヘキセノン(2)又はメチル置換2−シクロヘキセン−1−オン(3)にベンゼンスルフィン酸塩を酸の存在下に反応させて化合物(4)とする。これにエチレングリコールを反応させてケタール体(5)を得、更にω−ハロゲノアルカノール又はω−ハロゲノアルケノールを反応させて化合物(6)とする。得られた化合物(6)を酸処理して保護基を脱離させることにより化合物(1)が得られる。
ここで原料として用いられるメチル置換2−シクロヘキセン−1−オン(3)は、メチル置換シクロヘキサノンにブチルリチウムの存在下トリアルキルシリルハライドを反応させた後、パラジウム系触媒の存在下に酸化することにより得られる。
まず、シクロヘキセノン(2)又はメチル置換2−シクロヘキセン−1−オン(3)とベンゼンスルフィン酸塩、例えばベンゼンスルフィン酸ナトリウムとの反応は、塩酸、硫酸、リン酸等の酸の存在下、0〜100℃の温度で5〜40時間行うのが好ましい。
化合物(4)とエチレングリコールとの反応は、無水パラトルエンスルホン酸などの縮合剤の存在下50〜120℃の温度で1〜10時間行うのが好ましい。
ケタール体(5)に反応させるω−ハロゲノアルカノール又はω−ハロゲノアルケノールとしては、ω−ブロモアルカノール又はω−ブロモアルケノールが好ましい。ケタール体(5)とω−ハロゲノアルカノール又はω−ハロゲノアルケノールとの反応は、ブチルリチウム等の金属化合物の存在下、低温条件で行うのが好ましい。
得られた化合物(6)のフェニルスルホニル基及びケタール保護基は、例えばパラトルエンスルホン酸等の酸を反応させることにより脱離させることができる。
Figure 0004986505
〔式中、X1は炭素数9〜27のアルキレン又はアルケニレン基を示す。Acはアシル基を示す。R1、R2、R3及びPhは前記と同じである。〕
すなわち、化合物(7)にω−ブロモアルコールを反応させて化合物(9)とし、次いでフェニルスルホニル基を脱離させて化合物(10)を得る。化合物(7)は、例えば、Synthesis, 1996, Nov. に準じて得ることができる。得られた化合物(10)のヒドロキシ基を保護して化合物(11)とした後、酸化して化合物(12)とする。更に化合物(12)のヒドロキシ保護基を脱離させることにより化合物(1a)が得られる。
化合物(7)と化合物(8)との反応は、ブチルリチウム等の金属化合物の存在下、低温条件で行うのが好ましい。化合物(9)からフェニルスルホニル基を脱離せしめるには、例えばナトリウムアマルガムの存在下リン酸塩等を反応させることにより行われる。化合物(10)のヒドロキシ保護基としては、アセチル基等が好ましく、保護反応は例えば化合物(10)に無水酢酸を反応させることにより行われる。化合物(11)の酸化反応は三塩化ルテニウム等の金属化合物の存在下、t−ブチルヒドロパーオキサイド等のアルキルヒドロパーオキサイドを反応させることにより行われる。化合物(12)の保護基の脱離反応は、炭酸カリウム等の塩基の存在下に加水分解するのが好ましい。
本発明は、前記一般式(1)で表されるシクロヘキセノン長鎖アルコール化合物を有効成分として含有する、糖尿病性の血管障害および糖尿病性の呼吸障害のいずれか、または両方の予防剤を提供する。また本発明は、前記一般式(1)で表されるシクロヘキセノン長鎖アルコール化合物を投与する工程を含む、糖尿病性の血管障害および糖尿病性の呼吸障害のいずれか、または両方の予防方法に関する。
また本発明は、前記一般式(1)で表されるシクロヘキセノン長鎖アルコール化合物を有効成分として含有する、糖尿病性の血管障害および糖尿病性の呼吸障害のいずれか、または両方の治療剤を提供する。あるいは本発明は、前記一般式(1)で表されるシクロヘキセノン長鎖アルコール化合物を投与する工程を含む、糖尿病性の血管障害および糖尿病性の呼吸障害のいずれか、または両方の治療方法に関する。
本発明において、治療は予防を含む。糖尿病のような慢性疾患の患者においては、病態が継続している。したがって、治療目的として投与された薬剤の効果は、投与前から継続している病態に対しては治療効果を与える。同時に、投与の後に生じる病態に対しては予防的に作用する。すなわち本発明は、前記一般式(1)で表されるシクロヘキセノン長鎖アルコール化合物を有効成分として含有する、糖尿病性の血管障害および糖尿病性の呼吸障害のいずれか、または両方の予防および治療剤を提供する。あるいは本発明は、前記一般式(1)で表されるシクロヘキセノン長鎖アルコール化合物を投与する工程を含む、糖尿病性の血管障害および糖尿病性の呼吸障害のいずれか、または両方の予防および治療方法に関する。
あるいは本発明は、前記一般式(1)で表されるシクロヘキセノン長鎖アルコール化合物の、糖尿病性の血管障害および糖尿病性の呼吸障害のいずれか、または両方を治療するための医薬組成物の製造における使用に関する。さらに本発明は、前記一般式(1)で表されるシクロヘキセノン長鎖アルコール化合物の、糖尿病性の血管障害および糖尿病性の呼吸障害のいずれか、または両方の治療における使用に関する。
また本発明は、前記一般式(1)で表されるシクロヘキセノン長鎖アルコール化合物の、糖尿病性の血管障害および糖尿病性の呼吸障害のいずれか、または両方を予防するための医薬組成物の製造における使用に関する。さらに本発明は、前記一般式(1)で表されるシクロヘキセノン長鎖アルコール化合物の、糖尿病性の血管障害および糖尿病性の呼吸障害のいずれか、または両方の予防における使用に関する。あるいは本発明は、前記一般式(1)で表されるシクロヘキセノン長鎖アルコール化合物の、糖尿病性の血管障害および糖尿病性の呼吸障害のいずれか、または両方を予防および治療するための医薬組成物の製造における使用に関する。さらに本発明は、前記一般式(1)で表されるシクロヘキセノン長鎖アルコール化合物の、糖尿病性の血管障害および糖尿病性の呼吸障害のいずれか、または両方の予防および治療における使用に関する。
糖尿病性の血管障害は、一般に、微小血管障害と大血管障害に分類される。本発明における糖尿病性の血管障害には、微小血管障害と大血管障害が含まれる。これらの血管障害によってもたらされる糖尿病の合併症には、以下のような疾患がある。したがって、本発明は以下のような糖尿病の合併症の予防および/または治療に有用である。
−血流障害に伴う合併症
−血液レオロジーの変化、メイラード反応生成物の蓄積
−眼障害
:糖尿病性網膜症、虚血性視神経症
−心・血管障害
:虚血性心疾患(心筋梗塞、冠動脈硬化症、狭心症)、糖尿病性心筋症
−脳血管障害
:脳梗塞、痴呆
−末梢血管障害による皮膚病変
:前脛骨部色素斑、糖尿病性水疱、播種状環状肉芽腫、リポイド類壊死症
−糖尿病性壊疽・潰瘍、動脈硬化症による皮膚病変
−虚血による糖尿病性骨症
たとえば微小血管障害は、微小血管(毛細血管)の病変を含む病態である。糖尿病の代表的な合併症である、糖尿病性の網膜症は、微小血管障害によってもたらされる病態である。したがって本発明は、糖尿病性の網膜症の予防および治療に有用である。一方、大血管障害は、動脈硬化性の血管障害である。網膜症と並ぶ糖尿病の合併症である、足の潰瘍や壊疽などの足病変には、大血管障害が密接に関連している。したがって本発明は、糖尿病に合併する足病変の予防および治療に有用である。
また本発明における糖尿病性の呼吸障害には、糖尿病患者の睡眠時無呼吸症候群が含まれる。糖尿病患者は、しばしば睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome; 以下SASと省略する)を併発することが知られている。実際、SASと診断された患者には、高い頻度で糖尿病患者が見られる。たとえば若年性糖尿病患者にはしばしばSASが存在することが報告されている(Ann. Neurol. 17. 391-395, 1985)。SASには、気道の形状などの器質的な原因に加え、肥満、あるいは高血圧などの関与も指摘されている。糖尿病患者におけるSASは、糖尿病性の自律神経障害に起因する気道狭窄が病因の一つと考えられている。
現在のところ、SASのもっとも有効な治療方法として、経鼻持続陽圧呼吸 (nasal continuous positive airway pressure: nasal CPAP)療法 が知られている。nasal CPAP療法とは、専用の装置によって上気道を常に陽圧に保つことにより無呼吸の発生を防ぐ治療方法である。nasal CPAP療法の治療効果は高いが、患者は装置を装着して睡眠しなければならない。したがって、薬物投与によるSASの治療が実現できれば有用である。
前記一般式(1)で表されるシクロヘキセノン長鎖アルコール化合物は、気道平滑筋に作用し、その収縮を抑制する。したがって、当該化合物の投与によって、SASなどの糖尿病性の呼吸障害を予防あるいは治療することができる。すなわち本発明は、前記一般式(1)で表されるシクロヘキセノン長鎖アルコール化合物を有効成分として含有する、糖尿病性のSASの予防および/または治療剤を含む。
更に、SASが、インスリン抵抗性の糖尿病(II型糖尿病)をもたらしている可能性が示唆されている。したがって、SASの改善によるII型糖尿病の治療効果が期待できる。実際、SASの重症化にともなって耐糖性が低下することが示されている。またSASのnasal CPAP療法による治療によって、II型糖尿病患者のインスリンに対する反応性が改善された報告もある(J. Clin. Endocrinol. Metab.79/6:1681-1685,1994)。したがって、本発明に基づく糖尿病性の呼吸障害の治療によって、SASが改善され、II型糖尿病患者におけるインスリン反応性が改善される効果が期待できる。
すなわち本発明に基づいて、糖尿病性の睡眠時無呼吸症候群患者に前記一般式(1)の構造を有するシクロヘキセノン長鎖アルコール化合物を投与する工程を含む、糖尿病性の睡眠時無呼吸症候群の治療方法が提供される。
平滑筋の収縮には、神経終末から放出された神経伝達物質の刺激のみならず、筋肉から収縮蛋白質へのシグナル伝達、並びに細胞へのカルシウムの流入などのメカニズムも関与する(高柳一成編、薬理学マニュアル、南山堂発行、pp.23, 1989年)。坂井らは、糖尿病ラットにおける異常収縮には平滑筋におけるカルシウムの挙動およびホスファチジルイノシトールのターンオーバーが関与することを報告している(Sakai Y et al., Eur J Pharmacol, 162/3, 475-481, 1989)。本発明における化合物(1)は、これらのメカニズムに作用して、平滑筋の異常収縮を抑制することで、血管、あるいは気道の狭窄を防いでいる可能性も予測される。
化合物(1)は、経口投与又は非経口投与(筋肉内、皮下、静脈内、坐薬など)のいずれでも投与できる。
経口用製剤を調製する場合、賦形剤、さらに必要に応じて、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤などを加えた後、常法により、錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、カプセル剤、溶液剤、シロップ剤、エリキシル剤、油性又は水性の懸濁液剤などとする。賦形剤としては、例えば、乳糖、コーンスターチ、白糖、ブドウ糖、ソルビット、結晶セルロースなどが挙げられる。結合剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、エチルセルロース、メチルセルロース、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、シェラック、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、デンプン、寒天、ゼラチン末、結晶セルロース、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸カルシウム、デキストラン、ペクチンなどが挙げられる。滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ、硬化植物油などが挙げられる。着色剤としては、医薬品に添加することが許可されているものが使用できる。矯味矯臭剤としては、ココア末、ハッカ脳、芳香酸、ハッカ油、竜脳、桂皮末、メントール、ペパーミント油、カンフルなどが使用できる。これらの錠剤や、顆粒剤には、糖衣、ゼラチン衣、その他必要により適宜コーティングしてもよい。
注射剤を調製する場合、必要により、pH調整剤、緩衝剤、安定化剤、保存剤などを添加し、常法により、皮下、筋肉内、静脈内注射剤とする。注射剤は、溶液を容器に収納後、凍結乾燥などによって、固形製剤として、用時調製の製剤としてもよい。また、一投与量を容器に収納してもよく、また、多投与量を同一の容器に収納してもよい。
本発明の化合物の医薬としての投与量は、ヒトの場合、成人1日当たり通常0.01〜1000mg、好ましくは、0.1〜500mgの範囲で、1日量を1日1回、あるいは2〜4回に分けて投与する。以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明する。
製造例1:
(1)ベンゼンスルフィニック酸ナトリウム10.25gをシクロヘキセノン5ml と水30ml の溶液に加えた。この溶液に1N塩酸60ml を滴下した。室温で24時間撹拌後、析出晶をろ過し、水、イソプロパノール、冷エーテルで洗浄した。イソプロパノールで再結晶し、白色結晶の3−(フェニルスルホニル)−シクロヘキサン−1−オンを5.74g(融点83〜85℃)を得た。(収率97%)
(2)3−(フェニルスルホニル)−シクロヘキサン−1−オン5.3gをベンゼン60ml に溶解した液に1,2−エタンジオール0.3ml と無水パラトルエンスルホン酸0.2gを加えた。反応液を4時間加熱還流させた。反応後、2M炭酸水素ナトリウム水を加え、酢酸エチルで3回抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去後、エーテルで再結晶し、白色結晶の1,1−(エチレンジオキシ)−3−(フェニルスルフォニル)−シクロヘキサン6.1g(融点93〜95℃)を得た。(収率97%)
(3)1,1−(エチレンジオキシ)−3−(フェニルスルフォニル)−シクロヘキサン565mgとトリフェニルメタン4mg の5ml THF (tetrahydro furan)溶液にアルゴン気流下、−78℃でn−ブチルリチウム2ml の溶液を滴下した。10分撹拌後、室温で1時間反応させた。HMPT(hexamethyl phosphoric triamide)1ml を加え、再び−78℃に冷却し、10−ブロモ−1−デカノール159mg の2ml THF溶液を滴下した。−20℃で2時間反応後、飽和の塩化アンモニウム液に反応液を注いだ。エーテルで溶液を抽出し、有機相を水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去後、ヘキサン−酢酸エチル(AcOEt)でのシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色オイルの1,1−(エチレンジオキシ)−3−(10−ヒドロキシデシル)−3−(フェニルスルホニル)−シクロヘキサン265mg を得た。(収率:90%)
(4)1,1−(エチレンジオキシ)−3−(10−ヒドロキシデシル)−3−(フェニルスルホニル)−シクロヘキサン193mg のクロロホルム3ml及びアセトン0.6ml の溶液にパラトルエンスルホン酸20mg を加えた。混合液を24時間50℃で反応させた。飽和炭酸水素ナトリウム水10ml を加え、ジクロルメタンで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去後、ヘキサン- 酢酸エチルでのシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色オイルの3−(10−ヒドロキシデシル)−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(10−ヒドロキシデシル)−2−シクロヘキセノン)86mg を得た。(収率:77%)
製造例1と同様にして次の化合物を得た。
製造例2:3−(11−ヒドロキシウンデシル)−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(11−ヒドロキシウンデシル)−2−シクロヘキセノン)(融点34〜35℃)。
製造例3:3−(12−ヒドロキシドデシル)−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(12−ヒドロキシドデシル)−2−シクロヘキセノン)(融点35〜36℃)。
製造例4:3−(13−ヒドロキシトリデシル)−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(13−ヒドロキシトリデシル)−2−シクロヘキセノン)(融点42〜43℃)。
製造例5:3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−2−シクロヘキセノン)(融点44〜45℃)。
製造例6:
(1)N,N−ジイソプロピルアミン7ml の20mlTHF溶液に−78℃にて、1.4Mのn−ブチルリチウム液35.4ml を滴下した。溶液を0℃で30分撹拌した。4−メチルシクロヘキサン−1−オン4ml の10mlTHF液に−78℃にて、先のLDA(lithium diisopropylamide)溶液を滴下した。−78℃で1時間撹拌後、トリメチルシリルクロライド6.5ml を滴下した。室温で1時間撹拌後、溶液を炭酸水素ナトリウム水に注ぎ、エーテルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去後、減圧蒸留によって精製し、4−メチル−1−(トリメチルシリルオキシ)−1−シクロヘキセン(薄層クロマトグラフィー/TLC:(ヘキサン-AcOEt:8-2)Rf=0.8 )5.83gを得た。(収率:96%)
(2)4−メチル−1−(トリメチルシリルオキシ)−1−シクロヘキセン3.53gの70ml DMSO(dimethylsulfoxide)溶液に酢酸パラジウムを触媒量加え、6時間酸素を導入し撹拌した。0℃で水を加え、セライトろ過後、エーテルで抽出した。有機相について溶媒を減圧留去し、残渣をヘキサン- 水に溶解しヘキサンで抽出した。ヘキサン相を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥する。減圧下溶媒を留去し、4−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(TLC:(ヘキサン-AcOEt:8-2)Rf=0.35 )のオイルを得た。(収率72%)
(3)ベンゼンスルフィニック酸ナトリウム3.0gを4−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン1.52gと水9ml の溶液に加えた。この溶液に1N塩酸18ml を滴下した。室温で24時間撹拌後、析出晶をろ過し、水、イソプロパノール、冷エーテルで洗浄した。イソプロパノールで再結晶し、白色結晶の4−メチル−3−(フェニルスルホニル)−シクロヘキサン−1−オン(融点71〜74℃)を得た。(収率72%)
(4)4−メチル−3−(フェニルスルホニル)−シクロヘキサン−1−オン2.45gをベンゼン40ml に溶解した液に1,2−エタンジオール0.7ml と無水パラトルエンスルホン酸0.2gを加えた。反応液を4時間加熱還流させた。反応後、2M炭酸水素ナトリウム水を加え、酢酸エチルで3回抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去後、エーテルで再結晶し、白色結晶の1,1−(エチレンジオキシ)−4−メチル−3−(フェニルスルフォニル)−シクロヘキサン(融点105〜106℃)を得た。(収率97%)
(5)1,1−(エチレンジオキシ)−4−メチル−3−(フェニルスルフォニル)−シクロヘキサン560mg とトリフェニルメタン4mg の5ml THF溶液にアルゴン気流下、−78℃でn−ブチルリチウム1.8ml の溶液を滴下した。10分撹拌後、室温で1時間反応させた。HMPT1ml を加え、再び−78℃に冷却し、10−ブロモ−1−デカノール166mg の2mlTHF溶液を滴下した。−20℃で2時間反応後、飽和の塩化アンモニウム液に反応液を注いだ。エーテルで溶液を抽出し、有機相を水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去後、ヘキサン- 酢酸エチルでのシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色オイルの1,1−(エチレンジオキシ)−3−(10−ヒドロキシデシル)−4−メチル−3−(フェニルスルホニル)−シクロヘキサン(TLC:(ヘキサン-AcOEt:6-4)Rf=0.14 )を得た。(収率:97%)
(6)1,1−(エチレンジオキシ)−3−(10−ヒドロキシデシル)−4−メチル−3−(フェニルスルホニル)−シクロヘキサン235mg のクロロホルム20ml 及びアセトン4ml の溶液にパラトルエンスルホン酸20mg を加えた。混合液を24時間50℃で反応させた。飽和炭酸水素ナトリウム水10ml を加え、ジクロルメタンで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去後、ヘキサン−酢酸エチルでのシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色オイルの3−(10−ヒドロキシデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(10−ヒドロキシデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセノン)(TLC:(ヘキサン-AcOEt:6-4)Rf=0.2 )を得た。(収率:75%)
製造例6と同様にして次の化合物を得た。
製造例7:3−(11−ヒドロキシウンデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(11−ヒドロキシウンデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセノン)(TLC:(ヘキサン-AcOEt:6-4)Rf=0.21)。
製造例8:3−(12−ヒドロキシドデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(12−ヒドロキシドデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセノン)(TLC:(ヘキサン-AcOEt:6-4)Rf=0.22)。
製造例9:3−(13−ヒドロキシトリデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(13−ヒドロキシトリデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセノン)(TLC:(ヘキサン-AcOEt:6-4)Rf=0.25)。
製造例10:3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセノン)(TLC:(ヘキサン-AcOEt:6-4)Rf=0.3)。
製造例11:
(1) ベンゼンスルフィニック酸ナトリウム5.98gを4,4−ジメチル−2−シクロヘキセン−1−オン3ml と水30ml の溶液に加えた。この溶液に1N塩酸40ml を滴下した。室温で24時間撹拌後、析出晶をろ過し、水、イソプロパノール、冷エーテルで洗浄した。イソプロパノールで再結晶し、白色結晶の4,4−ジメチル−3−(フェニルスルホニル)−シクロヘキサン−1−オン(融点84〜86℃)を得た。(収率89%)
(2)4,4−ジメチル−3−(フェニルスルホニル)−シクロヘキサン−1−オン4.4gをベンゼン45ml に溶解した液に1,2−エタンジオール1.1ml と無水パラトルエンスルホン酸0.3gを加えた。反応液を4時間加熱還流させた。反応後、2M炭酸水素ナトリウム水を加え、酢酸エチルで3回抽出する。有機相を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去後、エーテルで再結晶し、白色結晶の4,4−ジメチル−1,1−(エチレンジオキシ)−3−(フェニルスルフォニル)−シクロヘキサン(融点113〜115℃)を得た。(収率84%)
(3)4,4−ジメチル−1,1−(エチレンジオキシ)−3−(フェニルスルフォニル)−シクロヘキサン930mg とトリフェニルメタン4mg の5mlTHF溶液にアルゴン気流下、−78℃でn−ブチルリチウム2.93ml の溶液を滴下した。10分撹拌後、室温で1時間反応した。HMPT1ml を加え、再び−78℃に冷却し、10−ブロモ−1−デカノール236mg の2ml THF溶液を滴下した。−20℃で2時間反応後、飽和の塩化アンモニウム液に反応液を注いだ。エーテルで溶液を抽出し、有機相を水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去後、ヘキサン−酢酸エチルでのシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色オイルの4,4−ジメチル−1,1−(エチレンジオキシ)−3−(10−ヒドロキシデシル)−3−(フェニルスルホニル)−シクロヘキサン(TLC:(ヘキサン-AcOEt:6-4)Rf=0.15 )を得た。(収率:94%)
(4)4,4−ジメチル−1,1−(エチレンジオキシ)−3−(10−ヒドロキシデシル)−3−(フェニルスルホニル)−シクロヘキサン400mgのクロロホルム30ml 及びアセトン6ml の溶液にパラトルエンスルホン酸20mg を加えた。混合液を24時間50℃で反応させた。飽和炭酸水素ナトリウム水10ml を加え、ジクロルメタンで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去後、ヘキサン−酢酸エチルでのシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色オイルの4,4−ジメチル−3−(10−ヒドロキシデシル)−2−シクロヘキセン−1−オン(4,4−ジメチル−3−(10−ヒドロキシデシル)−2−シクロヘキセノン)(TLC:(ヘキサン-AcOEt:6-4)Rf=0.25 )を得た。(収率:78%)
製造例11と同様にして次の化合物を得た。
製造例12:3−(11−ヒドロキシウンデシル)−4,4−ジメチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(11−ヒドロキシウンデシル)−4,4−ジメチル−2−シクロヘキセノン)(TLC:(ヘキサン-AcOEt:6-4)Rf=0.25)。
製造例13:3−(12−ヒドロキシドデシル)−4,4−ジメチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(12−ヒドロキシドデシル)−4,4−ジメチル−2−シクロヘキセノン)(TLC:(ヘキサン-AcOEt:6-4)Rf=0.27)。
製造例14:3−(13−ヒドロキシトリデシル)−4,4−ジメチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(13−ヒドロキシトリデシル)−4,4−ジメチル−2−シクロヘキセノン)(TLC:(ヘキサン-AcOEt:6-4)Rf=0.3)。
製造例15:3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−4,4−ジメチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−4,4−ジメチル−2−シクロヘキセノン)(TLC:(ヘキサン-AcOEt:6-4)Rf=0.3)。
製造例16:
(1)ベンゼンスルフィニック酸ナトリウム2.9gを2−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン1.5gと水8ml の溶液に加えた。この溶液に1N塩酸16ml を滴下した。室温で24時間撹拌後、析出晶をろ過し、水、イソプロパノール、冷エーテルで洗浄した。イソプロパノールで再結晶し、白色結晶の2−メチル−3−(フェニルスルホニル)−シクロヘキサン−1−オン(TLC:(ヘキサン-AcOEt:6-4)Rf=0.25 )を得た。(収率93%)
(2)2−メチル−3−(フェニルスルホニル)−シクロヘキサン−1−オン1.4gをベンゼン20ml に溶解した液に1,2−エタンジオール0.41ml と無水パラトルエンスルホン酸0.1gを加えた。反応液を4時間加熱還流させた。反応後、2M炭酸水素ナトリウム水を加え、酢酸エチルで3回抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去後、エーテルで再結晶し、白色結晶の1,1−(エチレンジオキシ)−2−メチル−3−(フェニルスルフォニル)−シクロヘキサン(融点76〜77℃)を得た。(収率95%)
(3)1,1−(エチレンジオキシ)−2−メチル−3−(フェニルスルフォニル)−シクロヘキサン304mg とトリフェニルメタン4mg の5ml THF溶液にアルゴン気流下、−78℃でn−ブチルリチウム1.02ml の溶液を滴下した。10分撹拌後、室温で1時間反応させた。HMPT1ml を加え、再び−78℃に冷却し、10−ブロモ−1−デカノール90mg の2mlTHF溶液を滴下した。−20℃で2時間反応後、飽和の塩化アンモニウム液に反応液を注いだ。エーテルで溶液を抽出し、有機相を水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去後、ヘキサン−酢酸エチルでのシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色オイルの1,1−(エチレンジオキシ)−3−(10−ヒドロキシデシル)−2−メチル−3−(フェニルスルホニル)−シクロヘキサン(TLC:(ヘキサン-AcOEt:6-4)Rf=0.2 )を得た。(収率:92%)
(4)1,1−(エチレンジオキシ)−3−(10−ヒドロキシデシル)−2−メチル−3−(フェニルスルホニル)−シクロヘキサン388mg のクロロホルム30ml 及びアセトン6ml の溶液にパラトルエンスルホン酸20mg を加えた。混合液を24時間50℃で反応させた。飽和炭酸水素ナトリウム水10ml を加え、ジクロルメタンで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去後、ヘキサン−酢酸エチルでのシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色オイルの3−(10−ヒドロキシデシル)−2−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(10−ヒドロキシデシル)−2−メチル−2−シクロヘキセノン)(TLC:(ヘキサン-AcOEt:6-4)Rf=0.2 )を得た。(収率:45%)
製造例16と同様にして次の化合物を得た。
製造例17:3−(11−ヒドロキシウンデシル)−2−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(11−ヒドロキシウンデシル)−2−メチル−2−シクロヘキセノン)(TLC:(ヘキサン-AcOEt:6-4)Rf=0.24)。
製造例18:3−(12−ヒドロキシドデシル)−2−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(12−ヒドロキシドデシル)−2−メチル−2−シクロヘキセノン)(TLC:(ヘキサン-AcOEt:6-4)Rf=0.26)。
製造例19:3−(13−ヒドロキシトリデシル)−2−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(13−ヒドロキシトリデシル)−2−メチル−2−シクロヘキセノン)(TLC:(ヘキサン-AcOEt:6-4)Rf=0.28)。
製造例20:3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−2−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−2−メチル−2−シクロヘキセノン)(TLC:(ヘキサン-AcOEt:6-4)Rf=0.3)。
製造例21:
(1)1−フェニルスルホニルメチル−2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン1g及びトリフェニルメタン4mg を含む乾燥THF(8ml )の溶液にアルゴンガス雰囲気下−78℃でn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.4M)4ml を加えた。10分間攪拌後、室温で攪拌しヘキサメチルリン酸トリアミド1.5mlを加えた。この温度で1時間30分後混合物を−78℃に冷却し、11−ブロモウンデカノール439mgをゆっくり加えた。混合物を−20℃で3時間攪拌し、飽和アンモニウムクロリド溶液40ml に加えた。得られた溶液をエーテルで抽出し、有機相を食塩水で洗浄後硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に溶媒留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、白色固体として1−(12−ヒドロキシドデシル−1−フェニルスルホニル)−2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン(TLC:(ヘキサン-AcOEt:6-4)Rf=0.43 )を622mg得た。
(2)1−(12−ヒドロキシドデシル−1−フェニルスルホニル)−2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン579mg を含む乾燥エタノール溶液25ml に、アルゴンガス雰囲気下0℃でNa2HPO4 366mg 及び水銀ナトリウムアマルガム4gを加えた。混合物を室温で1時間攪拌した後5%HCl で冷却し、エーテルで抽出し、水で洗浄した。次に硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に溶媒を留去し、残渣について常法に従い水酸基をアセチル化することにより、無色オイルとして1−(12−アセトキシドデシル)−2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン353mg(TLC:(ヘキサン-AcOEt:5-5)Rf=0.75 )を得た。
(3)1−(12−アセトキシドデシル)−2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン321mg を含むシクロヘキサン溶液6ml に、水0.8ml 、ルテニウムトリクロリドヒドラート1.3mg 及び70%tBuOOH 1.26ml を加えた。溶液を室温で6時間攪拌し、セライトで濾過し、濾液を10% Na2SO3 溶液に加えた。溶液をエーテル抽出し、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後減圧下に溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色オイルとして3−(12−アセトキシドデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン227mg(TLC:(ヘキサン-AcOEt:3-7)Rf=0.68 )を得た。
(4)3−(12−アセトキシドデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン132mg を含む乾燥メタノール溶液(8ml )に水3滴及びK2CO3 74mg を加えた。室温で2時間30分攪拌した後、5%HCl でpH を7に調整し、エーテル抽出し硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下に溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色オイルとして3−(12−ヒドロキシドデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3-(12-ヒドロキシドデシル)-2,4,4,-トリメチル-2-シクロヘキセノン)(TLC:(ヘキサン-AcOEt:7-3)Rf=0.2)94mgを得た。
製造例21と同様にして次の化合物を得た。
製造例22:3−(13−ヒドロキシトリデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(13−ヒドロキシトリデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセノン)(TLC:(ヘキサン-AcOEt:7-3)Rf=0.2)。
製造例23:3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセノン)(TLC:(ヘキサン-AcOEt:7-3)Rf=0.25)。
製造例24:3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセノン)(TLC:(ヘキサン-AcOEt:7-3)Rf=0.29)。
製造例25:3−(16−ヒドロキシヘキサデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(16−ヒドロキシヘキサデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセノン)(TLC:(ヘキサン-AcOEt:7-3)Rf=0.26)。
[実施例1] (ストレプトゾトシン誘発性糖尿病ラットの気管支平滑筋における神経障害予防効果)
[試験方法]
8週齢の雄性SDラットを4群に分け、うち3群にストレプトゾトシン(以降、STZともいう)50mg/kgを腹腔内投与し糖尿病を誘発させた。この糖尿病モデルのうち、2群を被検物投与群として、2 mg/kgまたは 8mg/kgの製造例24で合成した化合物3-(15-ヒドロキシペンタデシル)-2,4,4-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン(以下「化合物24」とする)を4週間1日1回連続腹腔内投与した。糖尿病モデルに「化合物24」を投与しなかったものを対照群、STZおよび「化合物24」投与をしなかったものを無処置群とした。
投与開始から4週間後、気管を摘出し,標本を作製した(粘膜上皮(+)標本)。さらに粘膜上皮を除いた標本を作製し、粘膜上皮(-)標本とした。オルガンバス内に懸垂し、カルバコール(CAS Registry No.:51-83-2)の累積投与に対する収縮反応を観察した。カルバコールの累積濃度は10-8.0〜10-4.5Mとしてそれぞれ筋収縮力を測定し、最大筋収縮力(Emax(g/mg tissue))および、50%筋収縮濃度(ED50(M))を求めた。
[結果]
結果を図1、表1、表2に示す。粘膜上皮(+)標本、粘膜上皮(-)標本いずれにおいても、カルバコール誘発性気管平滑筋収縮を引き起こした場合、対照群は無処置群に比較しEmaxが増大したが、「化合物24」の投与により濃度依存的にその増大が抑えられる傾向がみられた。また、ED50についても、対照群は無処置群に比較し減少したが、「化合物24」の投与により投与量依存的にその減少が抑えられた。以上の結果から、「化合物24」は気管平滑筋収縮の改善傾向を示した。
Figure 0004986505
表1はSTZ誘発糖尿病モデルラットの気管平滑筋の粘膜上皮(+)標本にカルバコールを作用させた時の最大筋収縮力(Emax(g/mg tissue))および、50%筋収縮濃度(ED50(M))を示す。平均値±標準偏差(n=6)を表す。
Figure 0004986505
表2はSTZ誘発糖尿病モデルラットの気管平滑筋の粘膜上皮(-)標本にカルバコールを作用させた時の最大筋収縮力(Emax(g/mg tissue))および、50%筋収縮濃度(ED50(M))を示す。平均値±標準偏差(n=6)を表す。
[実施例2] (ストレプトゾトシン誘発性糖尿病ラットの血管平滑筋における神経障害予防効果)
[試験方法]
8週齢の雄性SDラットを4群に分け、うち3群にストレプトゾトシン(以降、STZともいう)50mg/kgを腹腔内投与し糖尿病を誘発させた。この糖尿病モデルのうち、2群を被検物投与群として,製造例24で合成した「化合物24」(2 mg/kgまたは 8mg/kg)を4週間1日1回連続腹腔内投与した。糖尿病モデルに「化合物24」投与しなかったものを対照群、STZおよび「化合物24」投与をしなかったものを無処置群とした。
投与開始から4週間後、胸部大動脈を摘出し,長さ約2mmのリング標本を作製した(内皮(+)標本)。さらに血管内皮を除いた標本を作製し、内皮(-)標本とした。オルガンバス内にそれぞれ懸垂し、トロンボキサンA2誘導体である9,11-dideoxy-9α,11α-methanoepoxy-prosta-5Z,13E-dien-1-oic acid(CAS Registry No.: 56985-40-1、以降U-46619ともいう)の累積投与に対する収縮反応を観察した。U-46619の累積濃度は10-9.0〜10-6.5Mとしてそれぞれ筋収縮力を測定し、最大筋収縮力(Emax(g/mg tissue))および、50%筋収縮濃度(ED50(M))を求めた。
[結果]
結果を図2、表3、表4に示す。内皮(+)標本、内皮(-)標本いずれにおいても、U-46619誘発性血管平滑筋収縮を引き起こした場合、対照群は無処置群に比較しEmaxが増大したが,「化合物24」の投与により投与量依存的にその増大が抑えられた。この傾向は内皮(-)標本の方がより顕著であり、対照群は無処置群に比較して有意なEmax増大がみられた。さらに、「化合物24」を2mg/kg、8mg/kg投与した群においては対照群に比較し、有意なEmax増大の抑制が観察された。また、内皮(+)標本においても「化合物24」を8mg/kg投与した群は、対照群に比較して有意なEmax増大の抑制が観察された。一方、ED50は、群間に差異はみられなかった。以上の結果から、「化合物24」に血管平滑筋収縮を抑制する作用が見出された。
Figure 0004986505
表3はSTZ誘発糖尿病モデルラットの血管平滑筋の内皮(+)標本にU-46619を作用させた時の最大筋収縮力(Emax(g/mg tissue))および、50%筋収縮濃度(ED50(M))を示す。平均値±標準偏差(n=6)を表す。*:p<0.05(vs.対照群、student’s t-test)。
Figure 0004986505
表4はSTZ誘発糖尿病モデルラットの血管平滑筋の内皮(-)標本にU-46619を作用させた時の最大筋収縮力(Emax(g/mg tissue))および、50%筋収縮濃度(ED50(M))を示す。平均値±標準偏差(n=6)を表す。*:p<0.05(vs.対照群、student’s t-test)、#:p<0.05(vs.無処置群、student’s t-test)。
STZ誘発糖尿病モデルラットの気管支平滑筋にカルバコールを作用させた時の筋収縮力(Contractile force(g/mg tissue))を示す図である。無処置群、「化合物24」 8mg/kg投与群(「化合物24」:8mg/kg)、「化合物24」 2mg/kg投与群(「化合物24」:2mg/kg)、および対照群(Normal)の平均値±標準偏差(n=6)である。左図は粘膜上皮(+)標本(TR/E(+))、右図は粘膜上皮(-)標本(TR/E(-))の結果である。 STZ誘発糖尿病モデルラットの血管平滑筋にU-46619を作用させた時の筋収縮力(Contractile force(g/mg tissue))を示す図である。無処置群、「化合物24」 8mg/kg投与群(「化合物24」:8mg/kg)、「化合物24」 2mg/kg投与群(「化合物24」:2mg/kg)、対照群の平均値±標準偏差(n=6)である。左図は内皮(+)標本(Aor/E(+))、右図は内皮(-)標本(Aor/E(-))の結果である。

Claims (7)

  1. 次の一般式(1)
    Figure 0004986505
    〔式中、R1、R2及びR3はそれぞれ水素原子又はメチル基を示し、Xは炭素数10〜28の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン又はアルケニレン基を示す〕
    で表されるシクロヘキセノン長鎖アルコール化合物を有効成分として含有する糖尿病性の呼吸障害予防および/または治療剤。
  2. 1がメチル基であり、Xが炭素数10〜28の直鎖状のアルキレン基である、請求項1に記載の予防および/または治療剤。
  3. 2がメチル基である、請求項2に記載の予防および/または治療剤。
  4. 3がメチル基である、請求項2または3に記載の予防および/または治療剤。
  5. 1およびR2が水素原子である、請求項1に記載の予防および/または治療剤。
  6. シクロヘキセノン長鎖アルコール化合物が、下記の化合物からなる群から選択されたいずれかの化合物である、請求項1に記載の予防および/または治療剤;
    3−(10−ヒドロキシデシル)−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(10−ヒドロキシデシル)−2−シクロヘキセノン);
    3−(11−ヒドロキシウンデシル)−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(11−ヒドロキシウンデシル)−2−シクロヘキセノン);
    3−(12−ヒドロキシドデシル)−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(12−ヒドロキシドデシル)−2−シクロヘキセノン);
    3−(13−ヒドロキシトリデシル)−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(13−ヒドロキシトリデシル)−2−シクロヘキセノン);
    3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−2−シクロヘキセノン);
    3−(10−ヒドロキシデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(10−ヒドロキシデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセノン);
    3−(11−ヒドロキシウンデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(11−ヒドロキシウンデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセノン);
    3−(12−ヒドロキシドデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(12−ヒドロキシドデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセノン);
    3−(13−ヒドロキシトリデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(13−ヒドロキシトリデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセノン);
    3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセノン);
    4,4−ジメチル−3−(10−ヒドロキシデシル)−2−シクロヘキセン−1−オン(4,4−ジメチル−3−(10−ヒドロキシデシル)−2−シクロヘキセノン);
    3−(11−ヒドロキシウンデシル)−4,4−ジメチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(11−ヒドロキシウンデシル)−4,4−ジメチル−2−シクロヘキセノン);
    3−(12−ヒドロキシドデシル)−4,4−ジメチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(12−ヒドロキシドデシル)−4,4−ジメチル−2−シクロヘキセノン);
    3−(13−ヒドロキシトリデシル)−4,4−ジメチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(13−ヒドロキシトリデシル)−4,4−ジメチル−2−シクロヘキセノン);
    3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−4,4−ジメチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−4,4−ジメチル−2−シクロヘキセノン);
    3−(10−ヒドロキシデシル)−2−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(10−ヒドロキシデシル)−2−メチル−2−シクロヘキセノン)
    3−(11−ヒドロキシウンデシル)−2−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(11−ヒドロキシウンデシル)−2−メチル−2−シクロヘキセノン);
    3−(12−ヒドロキシドデシル)−2−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(12−ヒドロキシドデシル)−2−メチル−2−シクロヘキセノン)(TL;
    3−(13−ヒドロキシトリデシル)−2−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(13−ヒドロキシトリデシル)−2−メチル−2−シクロヘキセノン);
    3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−2−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−2−メチル−2−シクロヘキセノン);
    3−(12−ヒドロキシドデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3-(12-ヒドロキシドデシル)-2,4,4,-トリメチル-2-シクロヘキセノン)
    3−(13−ヒドロキシトリデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(13−ヒドロキシドデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセノン);
    3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセノン);
    3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセノン)、および
    3−(16−ヒドロキシヘキサデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン(3−(16−ヒドロキシヘキサデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセノン)。
  7. 糖尿病性の呼吸障害が、睡眠時無呼吸症候群である請求項1〜6のいずれかに記載の予防および/または治療剤。
JP2006145134A 2005-05-26 2006-05-25 糖尿病性血管障害および呼吸障害予防および/または治療剤 Expired - Fee Related JP4986505B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006145134A JP4986505B2 (ja) 2005-05-26 2006-05-25 糖尿病性血管障害および呼吸障害予防および/または治療剤

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005153990 2005-05-26
JP2005153990 2005-05-26
JP2007517718 2005-11-24
JP2007517718 2005-11-24
JP2006145134A JP4986505B2 (ja) 2005-05-26 2006-05-25 糖尿病性血管障害および呼吸障害予防および/または治療剤

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2007230991A JP2007230991A (ja) 2007-09-13
JP2007230991A5 JP2007230991A5 (ja) 2009-04-23
JP4986505B2 true JP4986505B2 (ja) 2012-07-25

Family

ID=38551939

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006145134A Expired - Fee Related JP4986505B2 (ja) 2005-05-26 2006-05-25 糖尿病性血管障害および呼吸障害予防および/または治療剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4986505B2 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4861560B2 (ja) * 2001-02-19 2012-01-25 株式会社明治 糖尿病合併症治療剤
DE602005027246D1 (de) * 2004-11-25 2011-05-12 Meiji Dairies Corp Mittel zur linderung von niereninsuffizienz

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007230991A (ja) 2007-09-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US12083090B2 (en) Methods of using low-dose doxepin for the improvement of sleep
US20090042971A1 (en) Method of using low-dose doxepin for the improvement of sleep
US20090042972A1 (en) Methods of using low-dose doxepin for the improvement of sleep
JP2001515058A5 (ja)
JP4469441B2 (ja) 神経変性疾患の予防又は治療薬
JP3836684B2 (ja) 排尿障害治療剤
EP1839653B9 (en) Therapeutic agent for sensory disorders
JP4986505B2 (ja) 糖尿病性血管障害および呼吸障害予防および/または治療剤
CA2609595C (en) Preventive and/or therapeutic agents for diabetic vascular disorders and respiratory disorders
ES2355891T3 (es) Derivado de ciclohexanona para el tratamiento de la neuropatía diabética.
JP2002068973A (ja) 幹細胞分化誘導促進剤
CA2447716A1 (en) Preventive or remedy for diseases caused by cerebrovascular disturbances
JP2001247461A (ja) 糖尿病予防・改善剤

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090309

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090309

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120126

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120308

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120416

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120424

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150511

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150511

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313114

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150511

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees