JP4983441B2 - 短絡判定装置、短絡判定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、変圧器の巻線間短絡の有無を判定する短絡判定装置、短絡判定方法に関する。
変電所等の配電施設から家庭や工場に電力を配電する架空配電線路には柱上変圧器が設けられ、柱上変圧器は高圧配電線路に印加された交流6.6kVの高圧電力を、家庭や工場で利用可能な100Vや200Vの低圧電力に変成(変圧)する。かかる柱上変圧器が故障した場合、異常電圧や異常電流が生じ、保護回路によって電力の供給が切断される。
上記柱上変圧器における故障のうち、断線や一次側と二次側との絶縁破壊は、巻線の導通の有無や巻線間の絶縁抵抗値の大きさ、耐電圧試験等で比較的容易に判定することができるが、巻線間の短絡(レアショート:layer short、ターンショート:turn short)状態は、微少な電気的特性の変化を抽出する必要があり、また、個々の変圧器によってその特性も様々なので、故障の有無の判断が困難であった。
そこで、変圧器の二次側に200〜600Hzの周波数範囲の交流電圧を印加し、その励磁電流と所定の固定閾値とを比較して巻線間短絡の有無を判定する技術が知られている(例えば、特許文献1)。これは、巻線間に短絡が生じると励磁電流が大きくなるといった特性を利用し、特に200〜600Hzの周波数範囲において所定閾値より励磁電流が小さい変圧器を正常な変圧器と、所定閾値より大きい変圧器を巻線間が短絡している変圧器と判定する技術である。
図11は、このような変圧器の巻線間短絡を判定する従来からのトランスチェッカ10の外観を示した外観図である。かかるトランスチェッカ10の操作盤12には、ロータリースイッチ14が設けられ、そのロータリースイッチ14により、巻線間短絡、断線、絶縁抵抗のいずれの試験を行うかが選択される。
ここで、巻線間短絡試験が選択された場合、変圧器接続端子16を通じて試験対象となる変圧器に400Hz、実効値10Vの交流電圧が印加され、その励磁電流が0.5A(実効値)以上の値を示した場合、巻線間が短絡しているとして巻線間短絡表示灯18が点灯する。また、断線が選択された場合、変圧器に12Vの直流電圧が印加され、その電気抵抗が500Ω以上であれば断線と判断され、断線表示灯20が点灯する。絶縁抵抗試験が選択された場合、変圧器に500Vの直流電圧が印加され、一次側と二次側間および対地間の抵抗がメータ表示部(メガー)22に表示される。このような試験は試験開始スイッチ24をトリガにして処理が開始される。また、外部電源入力端子26は、外部の商用電源に接続され、トランスチェッカ10内部回路の電力、および、トランスチェッカ10を携帯するために設けられた二次電池の電力を受電する。
図12は、かかるトランスチェッカ10を用いて実際の試験を行う様子を示した説明図である。ここでは、トランスチェッカ10の変圧器接続端子16を変圧器30の二次側32に接続し、その端子間の励磁電流を測定する。これは、無負荷損試験方法を応用したものである。例えば、当該巻線間短絡試験を行った場合、単相30kVA以上の変圧器における1ターン短絡および2ターン短絡で励磁電流が0.5Aの閾値を超え、短絡と判定され、正常な100kVAは0.5Aに達しなかった。このように従来のトランスチェッカ10では、閾値0.5Aを境にして変圧器の故障の有無を検出することができる。
電力の配電設備において高圧カットアウトヒューズを溶断させる柱上変圧器の故障は、大半が巻線間短絡を伴う。従って、その初期判定において、異常な変圧器を正常と、または正常な変圧器を異常と誤判定すると、後の故障箇所の特定に影響し、現場作業における安全性、効率性に問題を来してしまう。従って、上述したようなトランスチェッカ10による初期判定は非常に重要な役割を担っている。
また、大量、多種の撤去済み変圧器を再利用するにあたり、その健全性を容易かつ的確に判定する必要がある。従って、トランスチェッカ10による撤去品の良否判別も初期判定同様、非常に重要な役割を担っている。
特許117509号
一方、近年では、消費電力量の増加により100kVAを超える容量の変圧器の開発が為されている。また、配電効率の向上を図るべく三相3線、三相4線、三相4線等の変圧器も随時開発されている。さらには、従来品と等しい容量においても、励磁電流を低減した変圧器の制作が可能となった。
そこで、本願発明者らは、従来の変圧器に上述したような新たな変圧器も加えて、その特性を改めて評価し、より確実に巻線間短絡を判定可能な新たな測定原理や判定基準を見出し、本発明の完成に至った。
本発明の目的は、従来の固定された閾値判定に代わる簡単な判定処理で変圧器の巻線間短絡を迅速かつ確実に判定可能な、短絡判定装置、短絡判定方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、変圧器の巻線間短絡の有無を判定する短絡判定装置であって、変圧器の巻線に周波数の異なる交流電圧を順次印加する交流電源と、周波数の異なる交流電圧に対する変圧器の励磁電流を測定する電流測定部と、電流測定部で測定された励磁電流値の近似曲線を1階微分する1階微分計算部と、1階微分計算部による微分値が、正の場合巻線間短絡無し、負の場合巻線間短絡有りと判定する短絡判定部と、短絡判定部の判定結果を報知する判定報知部と、を備えることを特徴とする、短絡判定装置が提供される。
変圧器は、巻線間が短絡している場合としていない場合とで、周波数を掃引して交流電圧をかけた場合の励磁電流の軌跡が相異する。所定周波数範囲における励磁電流の軌跡は、周波数が上がるに従って、短絡している場合に漸減し、正常な場合に漸増する。従って、上記複数の周波数による交流電圧に対する複数の励磁電流値の近似曲線を励磁電流の軌跡とみなし、その近似曲線を1階微分することで、曲線が増加傾向にあるか減少傾向にあるかを判定でき、巻線間短絡を1階微分処理といった容易な処理によって迅速かつ確実に判定することができる。
励磁電流の測定周波数範囲は、300〜2000Hzであってもよい。上述した励磁電流の傾向は、300〜2000Hzの周波数帯域で特に顕著である。従って、300〜2000Hzの周波数範囲内で選択された複数の点または選択された領域において1階微分計算部を用いることで、迅速かつ確実な故障判定が可能となる。
上記課題を解決するために、本発明の他の観点によれば、変圧器の巻線間短絡の有無を判定する短絡判定装置であって、変圧器の巻線に周波数の異なる交流電圧を順次印加する交流電源と、周波数の異なる交流電圧に対する変圧器の励磁電流を測定する電流測定部と、電流測定部で測定された励磁電流値の近似曲線を2階微分する2階微分計算部と、2階微分計算部による微分値が、正の場合短絡無し、負の場合短絡有りと判定する短絡判定部と、短絡判定部の判定結果を報知する判定報知部と、を備えることを特徴とする、短絡判定装置が提供される。
変圧器は、上述したように、巻線間が短絡している場合としていない場合とで、周波数を掃引して交流電圧をかけた場合の励磁電流の軌跡が相異する。かかる軌跡は、上述した励磁電流の漸増漸減に加えて、その接線が漸増または漸減している。即ち、所定周波数範囲における励磁電流の接線は、周波数が上がるに従って、短絡している場合に漸減し、正常な場合に漸増する。従って、上記複数の周波数による交流電圧に対する複数の励磁電流値の近似曲線を励磁電流の軌跡とみなし、その近似曲線を2階微分する、即ち1階微分した接線の推移をさらに微分することで、曲線の接線が増加傾向にあるか減少傾向にあるかを判定でき、巻線間短絡を2階微分処理といった容易な処理によって迅速かつ確実に判定することができる。
励磁電流の測定周波数範囲は、交流2000Hz以下であってもよい。上述した励磁電流の傾向は、交流2000Hz以下の周波数帯域で特に顕著である。従って、交流2000Hz以下の範囲内で選択された3以上の点または選択された領域において2階微分計算部を用いることで、迅速かつ確実な故障判定が可能となる。また、上述した1階微分する場合と比較して、その周波数範囲を、0Hzまで拡げることができ、商用周波数50/60Hzも利用できるので、短絡判定装置を製作する場合の汎用性が高くなり、ひいては回路規模の縮小化やコストの削減を図ることが可能となる。
上記課題を解決するために、本発明のさらに他の観点によれば、変圧器の巻線間短絡の有無を判定する短絡判定方法であって、変圧器の巻線に周波数の異なる交流電圧を順次印加し、周波数の異なる交流電圧に対する変圧器の励磁電流を測定し、測定された励磁電流値の近似曲線を1階微分し、微分値が、正の場合短絡無し、負の場合短絡有りと判定することを特徴とする、短絡判定方法が提供される。また、測定された励磁電流値の近似曲線を1階微分する代わりに近似曲線を2階微分する短絡判定方法も提供される。
上述した、短絡判定装置の技術的思想に基づく構成要素やその説明は、当該短絡判定方法にも適用可能である。
以上説明したように本発明の短絡判定装置によれば、従来の固定された閾値判定に代わる1階または2階の微分処理で、大型や小型の変圧器であっても、巻線間短絡を迅速かつ確実に判定することが可能となる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
本実施形態の短絡判定装置の判定対象となる柱上変圧器の各巻線は、印加する交流電圧の周波数に応じて励磁電流が変化し、その軌跡の再現性も高い。従って、交流電圧の周波数を掃引して得られた励磁電流の周波数応答によってその柱上変圧器が正常であるか異常を来しているかを推測することができる。
本実施形態では、従来の変圧器に上述したような新たな変圧器も加えて、その特性を改めて評価し、従来の固定された閾値判定に代わる簡単な判定処理で変圧器の巻線間短絡をより迅速かつ確実に判定可能とすることを目的としている。以下、本実施形態を遂行する短絡判定装置の構成を具体的に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、短絡判定装置100の概略的な機能構成を示した機能ブロック図である。かかる短絡判定装置100は、交流電源110と、電流測定部112と、1階微分計算部114と、短絡判定部116と、判定報知部118とを含んで構成される。
上記交流電源110は、交流または直流の外部電力または内部電池の電力を受電し、短絡判定装置100内の各構成要素に図1中点線で示す動作電力を供給すると共に、判定対象となる変圧器130の例えば二次側の巻線に、基準電圧としての交流電圧を印加する。かかる交流電圧の周波数は、制御信号に応じて変化させることができる。従って、交流電源110は、周波数の異なる交流電圧を順次巻線に印加することが可能である。
また、印加する交流電圧の周波数は、300〜2000Hzの範囲から選択された周波数であってもよい。後述する励磁電流の軌跡の傾向は、300〜2000Hzの周波数帯域で特に顕著である。従って、300〜2000Hzの範囲内で選択された複数の点または選択された領域による本実施形態の処理を実行することで、迅速かつ確実な故障判定が可能となる。
上記電流測定部112は、交流電流計で構成され変圧器130の励磁電流を測定する。このとき、交流電源110からは異なる複数の周波数で交流電圧が印加されているので、励磁電流はその周波数毎に取得される。そして、測定結果は所定の記憶部に格納される。
上記1階微分計算部114は、電流測定部112で測定された励磁電流値に基づいて、周波数対励磁電流の近似曲線を生成し、その近似曲線を1階微分計算する。この近似曲線の微分を、演算装置を用いて行う場合、周波数に対する励磁電流の例えば2次や3次の近似関数を求め、周波数による微分値を導出する。かかる微分計算は、その詳細な数値を求めなくとも正か負かが分かればよい。
図2は、1階微分計算部114による微分計算を説明した説明図である。図2(a)を参照すると、判定の対象となる変圧器130は、巻線間が短絡している場合(図2(a)中、破線で示す。)と短絡していない正常な場合(図2(a)中、実線で示す。)とで、周波数を掃引して交流電圧をかけた場合の励磁電流の軌跡が相異する。所定周波数範囲における励磁電流は、周波数が上がるに連れ、短絡している場合に漸減し、正常な場合に漸増する。従って、上記励磁電流の軌跡(複数の周波数による交流電圧に対する複数の励磁電流値の近似曲線でもよい)を1階微分することで、図2(b)のdI/dfを求めることができ、励磁電流の軌跡が増加傾向にあるか減少傾向にあるかを判定できる。従って、巻線間が短絡しているかどうかを1階微分処理といった容易な処理によって導出することが可能となる。
また、上記では、1階微分計算部114が測定された励磁電流の軌跡または励磁電流値に基づいて生成された近似曲線によりdI/dfを求める構成を述べたが、高性能の処理装置が短絡判定装置100に設けられていない場合、以下の簡易的な計算方法を用いてもよい。即ち、少なくとも300〜2000Hzの範囲内の2点の励磁電流をとって、その励磁電流値が周波数の増加に対して増加傾向にあるかないかを判定する計算方法である。このような2点の測定点を通る直線の傾斜の正負のみによっても巻線間短絡を判定することができる。
上記短絡判定部116は、1階微分計算部114による微分値が、正の場合短絡無し、負の場合短絡有りと判定する。
上記判定報知部118は、液晶表示器やLED等の表示器やブザーやスピーカ等の再生器で構成され、短絡判定部116の判定結果を報知する。例えば、上記微分値が負の場合には短絡判定部116は短絡有り、即ち、変圧器の不良を示すので、その警告として表示灯を点灯させ、ユーザにその旨報知する。
上述した短絡判定装置100の外装は、既存のトランスチェッカ10の外観を維持してもよいし、新たにコンパクトな設計を行ってもよい。ここで、その筐体の形状を限定していないのは、いかようにも形成することが可能であるからである。
上述した短絡判定装置100によって、従来の固定された閾値判定に代わる1階または2階の微分処理で、大型や小型の変圧器であっても、巻線間短絡を迅速かつ確実に判定することが可能となる。
(短絡判定方法)
続いて、上述した短絡判定装置100を用いて短絡判定を行う短絡判定方法を説明する。
図3は、短絡判定方法の処理手順を示したフローチャートである。まず、判定対象の変圧器130の2次側の巻線と短絡判定装置100とを結線し(S200)、交流電源110から変圧器の巻線に、300〜2000Hzの範囲内で周波数の異なる交流電圧を順次印加する(S202)。かかる印加は、周波数を連続的に掃引(スイープ)することで為されてもよい。
そして、短絡判定装置100の電流測定部112が、周波数の異なる交流電圧に対する変圧器130の励磁電流を順次測定し(S204)、1階微分計算部114が、電流測定部112で測定された励磁電流値の軌跡または近似曲線を1階微分する(S206)。そして、短絡判定部116は、1階微分計算部114による微分値が正であるか負であるか判定し(S208)、微分値が正であれば、判定報知部118が、短絡していないことを報知し(S210)、微分値が負であれば、短絡有りを報知する(S212)。以上のような手順により変圧器130の巻線間短絡を迅速かつ確実に判定することが可能となる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、励磁電流を1階微分するのみといった簡易的な処理による短絡判定を述べた。本実施形態では、かかる1階微分に新たな処理を加えることでさらに確実に短絡判定を行うことができる。第2の実施形態では、そのような追加処理を述べ、その作用効果を説明する。
図4は、短絡判定装置300の概略的な機能構成を示した機能ブロック図である。かかる短絡判定装置300は、交流電源110と、電流測定部112と、2階微分計算部314と、短絡判定部116と、判定報知部118とを含んで構成される。
第1の実施形態で既に説明した交流電源110と、電流測定部112と、短絡判定部116と、判定報知部118とは、第2の実施形態における構成要素と実質的に等しいのでその説明を省略し、ここでは、構成が相異する2階微分計算部314を主として説明する。
上記2階微分計算部314は、電流測定部112で測定された励磁電流値に基づいて、周波数対励磁電流の近似曲線を生成し、その近似曲線を2階微分計算する。かかる微分計算も、その詳細な数値を求めなくとも正か負かが分かればよい。
図5は、2階微分計算部314による微分計算を説明した説明図である。図5(a)を参照すると、判定の対象となる変圧器130は、巻線間が短絡している場合(図5(a)中、破線で示す。)と短絡していない正常な場合(図5(a)中、実線で示す。)とで、周波数を掃引して交流電圧をかけた場合の励磁電流の軌跡が相異する。所定周波数範囲における励磁電流は、周波数が上がるに連れ、短絡している場合に漸減し、正常な場合に漸増する。従って、上記励磁電流の軌跡(複数の周波数による交流電圧に対する複数の励磁電流値の近似曲線でもよい)を1階微分することで、図5(b)のようなdI/dfを求めることができ、曲線が増加傾向にあるか減少傾向にあるかを判定できる。
当該励磁電流の軌跡は、励磁電流の漸増漸減に加えて、その接線も漸増または漸減している。従って、所定周波数範囲における励磁電流の接線は、図5(c)に示すように周波数が上がるに連れ、短絡している場合に漸減し、正常な場合に漸増する。即ち、励磁電流の軌跡を2階微分する(1階微分した接線の推移をさらに微分する)ことで、励磁電流の軌跡を示す曲線の接線が増加傾向にあるか減少傾向にあるかを判定でき、巻線間短絡を2階微分処理といった容易な処理によって迅速かつ確実に判定することができる。
また、ここでは、2階微分計算部314が測定された励磁電流の軌跡または励磁電流値に基づいて生成された近似曲線によりd2I/df2を求める構成を述べたが、高性能の処理装置が短絡判定装置300に設けられていない場合、以下の簡易的な計算方法を用いてもよい。即ち、少なくとも交流2000Hz以下の範囲の3点の励磁電流をとって、最初の2点を結ぶ直線の傾斜と次の2点を結ぶ直線の傾斜とが周波数の増加に対して増加傾向にあるかないかを判定する計算方法である。このような3点の測定点による傾斜の増減のみによっても巻線間短絡を判定することができる。
また、同様に3点の励磁電流をとり、最小周波数における励磁電流(1点目)と最大周波数における励磁電流(3点目)とを結ぶ直線の周波数xに関する一次関数f(x)を導出し、さらに、この関数f(x)に中間周波数を代入した結果A’と中間周波数における励磁電流A(2点目)とを比較して、その大小関係(A’>A:正常、A’<A:故障)や差の符号(A’−A>0:正常、A’−A<0:故障)によっても故障の有無を判定できる。その他、これに類する様々な簡略計算法が本実施形態に採用可能なことは当業者にとって自明である。
図6は、上述した3点の測定点による短絡判定を示した説明図である。例えば、50Hz、300Hz、1000Hzの3点の励磁電流を計測し、50Hzの励磁電流から300Hzの励磁電流への直線の傾きと、300Hzの励磁電流から1000Hzの励磁電流への直線の傾きとを比較し、その傾きの増減を計算する。傾きが正の方向に増加している場合、変圧器は正常であり、減少している場合は異常である。
また、第2の実施形態における、交流電源110の印加電圧の周波数範囲、即ち、電流測定部112の測定周波数範囲は、交流2000Hz以下の範囲から選択された周波数を用いている。上述した励磁電流の傾向は、交流2000Hz以下の周波数帯域で特に顕著である。従って、交流2000Hz以下の範囲内で選択された複数の点または選択された領域において2階微分計算部314を用いることで、迅速かつ確実な故障判定が可能となる。また、上述した1階微分する場合(300〜2000Hz)と比較して、その周波数範囲を、0Hzまで拡げることができ、商用周波数50/60Hzも利用できるので、短絡判定装置300を製作する場合の汎用性が高くなり、ひいては回路規模の縮小化やコストの削減を図ることが可能となる。
以上、説明した短絡判定装置300によっても、第1の実施形態の短絡判定装置100同様、大型や小型の変圧器であっても、巻線間短絡を迅速かつ確実に判定することが可能となる。
また、第1の実施形態の1階微分計算部114と、第2の実施形態における2階微分計算部314とは、上述したようにそれぞれ単独で利用することもできるが、単体の短絡判定装置に並行して設けられてもよい。かかる構成により、1つの交流電源110を用いて複数の周波数の点における励磁電流を測定するだけで、1階微分と2階微分を同時に遂行でき、測定時間を維持したまま、2つの判定による精度および確実性に優れた短絡判定を遂行できる。
さらに、第1の実施形態における短絡判定方法同様に、短絡判定装置300を用いて変圧器の巻線間短絡の有無を判定する短絡判定方法も提供される。かかる短絡判定装置300を用いた短絡判定方法は、測定された励磁電流値の近似曲線を1階微分する代わりに2階微分する。その他の処理の流れは第1の実施形態における図3のフローチャートと実質的に等しいのでここではその詳細な説明を省略する。
(実施例)
本実施形態における短絡判定装置は、上述したように、従来の変圧器への適用は勿論、開発された新たな変圧器や今後開発されるであろう変圧器においても有効である。かかる実施例では、新たな変圧器としての大容量や小容量の変圧器を試作し、その特性を評価して本実施形態の有効性を説明する。
図7は、大容量の変圧器における励磁電流の周波数特性を示した説明図である。図7では測定対象として三相4線の50kVAおよび125kVA共用の変圧器を挙げている。ここでは、試験装置の都合上、特に50〜1000Hzの周波数掃引によって励磁電流の特性推移を検証している。
例えば、図7の300〜1000Hzにおいて、正常な変圧器は励磁電流値が漸増し、異常(1t短絡)な変圧器は漸減している。従って、1階微分計算部114が計算した励磁電流の微分値に基づいて、短絡判定部116は、正常な変圧器および異常な変圧器を判定することが可能となる。
また、図7の50〜1000Hzにおいて、正常な変圧器はその励磁電流値の推移の2階微分値が漸増し、異常(1t短絡)な変圧器の2階微分値は漸減している。従って、2階微分計算部314が計算した励磁電流の2階微分値に基づいて、短絡判定部116は、正常な変圧器および異常な変圧器を判定することが可能となる。
図8は、小容量の変圧器における励磁電流の周波数特性を示した説明図である。図8では測定対象として三相10kVAの変圧器を挙げている。ここでも、図7同様、試験装置の都合上、特に50〜1000Hzの周波数掃引によって励磁電流の特性推移を検証している。
図8を参照すると、図7に示した大容量の変圧器の場合と同様、300〜1000Hzにおいて、正常な変圧器は励磁電流値が漸増し、異常(1t短絡)な変圧器は漸減している。また、50〜1000Hzにおいて、正常な変圧器はその励磁電流値の推移の2階微分値が漸増し、異常(1t短絡)な変圧器の2階微分値は漸減している。従って、短絡判定部116は、1階微分および2階微分のいずれの結果をもってしても正常な変圧器および異常な変圧器を判定することが可能となる。
続いて、今後利用される可能性の高い複数の変圧器の測定をシミュレートした結果を示す。
図9は、30kVA未満の新型変圧器を含む小型変圧器の誤判定回数を示す説明図であり、図10は、101kVA以上の大型変圧器の誤判定回数を示す説明図である。図9、図10を参照すると、既存の10〜100kVAの変圧器は元より、新型の単相30kVA未満、三相3線、三相4線といった変圧器や中型150kVA以上、PMT(Pad Mounted Transformer)といった変圧器においても全ての測定で正しい短絡の有無判定が為されている。ここで、「三相3線」は、図9に表示した容量の1/√3の巻線を2台V結線した変圧器であり、例えば三相3線10kVAは5.77kVA×2台と考えることができる。「三相4線」も同様の結線が為される。
このように、本実施形態の短絡判定装置によれば、従来の固定された閾値判定に代わる1階または2階の微分処理で、大型や小型の変圧器であっても、巻線間短絡を迅速かつ確実に判定することができ、変圧器の容量、製造メーカ、型式等の変圧器個々の特性によらない汎用性に富んだ短絡判定が可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
また、上述した実施形態においては、単相または三相の変圧器を単相試験する例を挙げて説明したが、測定対象となる相は複数とすることができ、例えば、スター型やデルタ型の3相変圧器の3相全てを同時に測定することが可能である。
また、本実施形態の適用周波数範囲を第1の実施形態では300〜2000Hz、第2の実施形態では交流2000Hz以下と定めているが、かかる周波数範囲はあらゆる変圧器が等しい特性を有する範囲として定めたものであり、汎用性を重視した範囲となっている。従って、個別の変圧器に対して本願の概念を適用し、それぞれに周波数を設定することも本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
本発明は、変圧器の巻線間短絡の有無を判定する短絡判定装置、短絡判定方法に利用することができる。
短絡判定装置の概略的な機能構成を示した機能ブロック図である。 1階微分計算部による微分計算を説明した説明図である。 短絡判定方法の処理手順を示したフローチャートである。 短絡判定装置の概略的な機能構成を示した機能ブロック図である。 2階微分計算部による微分計算を説明した説明図である。 3点の測定点による短絡判定を示した説明図である。 大容量の変圧器における励磁電流の周波数特性を示した説明図である。 小容量の変圧器における励磁電流の周波数特性を示した説明図である。 小型変圧器の誤判定回数を示す説明図である。 大型変圧器の誤判定回数を示す説明図である。 変圧器の巻線間短絡を判定する従来からのトランスチェッカの外観を示した外観図である。 トランスチェッカを用いて実際の試験を行う様子を示した説明図である。
符号の説明
100、300 …短絡判定装置
110 …交流電源
112 …電流測定部
114 …1階微分計算部
116 …短絡判定部
118 …判定報知部
130 …変圧器
314 …2階微分計算部

Claims (6)

  1. 変圧器の巻線間短絡の有無を判定する短絡判定装置であって、
    前記変圧器の巻線に周波数の異なる交流電圧を順次印加する交流電源と、
    前記周波数の異なる交流電圧に対する前記変圧器の励磁電流を測定する電流測定部と、
    前記電流測定部で測定された励磁電流値の近似曲線を1階微分する1階微分計算部と、
    前記1階微分計算部による微分値が、正の場合短絡無し、負の場合短絡有りと判定する短絡判定部と、
    前記短絡判定部の判定結果を報知する判定報知部と、
    を備えることを特徴とする、短絡判定装置。
  2. 前記励磁電流の測定周波数範囲は、300〜2000Hzであることを特徴とする、請求項1に記載の短絡判定装置。
  3. 変圧器の巻線間短絡の有無を判定する短絡判定装置であって、
    前記変圧器の巻線に周波数の異なる交流電圧を順次印加する交流電源と、
    前記周波数の異なる交流電圧に対する前記変圧器の励磁電流を測定する電流測定部と、
    前記電流測定部で測定された励磁電流値の近似曲線を2階微分する2階微分計算部と、
    前記2階微分計算部による微分値が、正の場合短絡無し、負の場合短絡有りと判定する短絡判定部と、
    前記短絡判定部の判定結果を報知する判定報知部と、
    を備えることを特徴とする、短絡判定装置。
  4. 前記励磁電流の測定周波数範囲は、交流2000Hz以下であることを特徴とする、請求項3に記載の短絡判定装置。
  5. 変圧器の巻線間短絡の有無を判定する短絡判定方法であって、
    前記変圧器の巻線に周波数の異なる交流電圧を順次印加し、
    前記周波数の異なる交流電圧に対する前記変圧器の励磁電流を測定し、
    前記測定された励磁電流値の近似曲線を1階微分し、
    前記微分値が、正の場合短絡無し、負の場合短絡有りと判定することを特徴とする、短絡判定方法。
  6. 変圧器の巻線間短絡の有無を判定する短絡判定方法であって、
    前記変圧器の巻線に周波数の異なる交流電圧を順次印加し、
    前記周波数の異なる交流電圧に対する前記変圧器の励磁電流を測定し、
    前記測定された励磁電流値の近似曲線を2階微分し、
    前記微分値が、正の場合短絡無し、負の場合短絡有りと判定することを特徴とする、短絡判定方法。
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