発明の概要
本発明はCAB分子、CEAを目標としたADEPT構築及びその診断と治療に関する。
第一の特徴として、本発明は修飾されたアミノ酸配列を含むCAB分子を対象とする。ある実施の形態においては、CAB分子は配列番号1に規定された非修飾配列を持つ。ある実施の形態においてCAB分子は、配列番号1に規定するアミノ酸配列から修飾されるアミノ酸配列を持ち、修飾は、図1に示すように、配列番号1に示す位置100,102,104,105,107,163,165,166,184及び226よりなる群から選定される少なくとも一つの位置でなされる。好ましい実施の形態においては、CAB分子は100,184及び226.の位置で修飾されているものを含む。ある好ましい実施形態においては、CAB分子は100,102,104,105,107,163,165,166,184及び226において修飾されているものを含む。ある好ましい実施の形態においては、CAB分子は100,102,104,105,107,163,165,166及び226の位置での修飾を含む。
ある好ましい実施の形態においては、修飾は少なくとも図1に示すように、配列番号1に示される位置T100L、T102L,P104A,T105I,F107N,S163A,S165Y,Y166A,S184D及びS226Dよりなる群から選定されるうちの少なくとも一つである。ある好ましい実施の形態においては、CAB分子はCAB1.6分子を含み、CAB1.6分子はT100L,S184D及びS226Dの修飾含む。ある好ましい実施の形態においては、CAB分子はCAB1.7分子を含み、CAB1.7分子はT100L,T102L,P104A,Y105I,F107N,S163A,S165Y,Y166A,S184D及びS226Dの修飾を含む。ある好ましい実施の形態においては、CAB分子はCAB1.13分子を含み、CAB1.13分子はT100L,T102L,P104A,Y105I,F107N,S163A,S165Y,Y166A及び、S226Dの修飾を含む。
ある好ましい実施の形態においては、図25に示すように、CAB分子はCAB分子1.2 (配列番号1)、CAB分子1.6(配列番号5)、CAB分子1.7(配列番号6)又はCAB分子1.13のscFV部分を含む。
ある好ましい実施の形態においては、CAB分子はさらにベータラクタマーゼ(beta-lactamase)分子を含む。ある好ましい実施の形態においては、CAB分子は、配列番号2に規定するアミノ酸配列から修飾されていない、又は修飾されたアミノ酸配列を含んでおり、修飾は、図2に示される様に、配列番号2の位置番号3,13,16,37,100,102,104,105,107,146,163,165,166,181,184,226,265及び568よりなる群から選定される少なくとも一つの位置でなされる。ある好ましい実施の形態においては、修飾は3,13,16,37,100,146,181,184及び226でなされる。ある好ましい実施の形態においては、修飾は3,13,16,37,100,102,104,105,107,146,163,165,166,181,184及び226でなされる。
ある好ましい実施の形態においては、修飾は265及び568でなされる。ある好ましい実施の形態においては、修飾は3,13,16,37,100,102,104,105,107,146,163,165,166,181,184,
26,265及び568でなされる。ある好ましい実施の形態においては、修飾は3,13,16,37,100,102,104,105,107,146,163,165,166,181,226,265及び568でなされる。
ある好ましい実施の形態においては、CAB分子は、図2に示されるように、配列番号2の位置番号K3Q,R13K,T16G,L37V,T100L,T102L,P104A,Y105I,F107N,M146V,S163A,S165Y,Y166A,W181V,S184D,S226D,K265A及びS568Aよりなる群から選択される少なくとも一つの修飾を含む修飾を持つ。ある好ましい実施の形態においては、CAB分子は、K265A及びS568Aの修飾を含むCAB1.2i分子を含む。ある好ましい実施の形態においては、CAB分子は、K3Q,R13K,T16G,L37V,T100L,M146V,W181V,S184D及びS226Dの修飾を含むCAB1.6分子含む。ある好ましい実施の形態においては、CAB分子は、K3Q,R13K,T16G,L37V,T100L,M146V,W181V,S184D,S226D,K265A,及びS568A を含むCAB1.6i分子を含む。
ある好ましい実施の形態においては、CAB分子は、K3Q,R13K,T16G,L37V,T100L,T102L,P104A,Y105I,F107N,M146V,S163A,S165Y,Y166A,W181V,S184D及びS226Dを含むCAB1.7分子を含む。
ある好ましい実施の形態においては、CAB分子は、K3Q,R13K,T16G,L37V,T100L,T102L,P104A,Y105I,F107N,M146V,S163A,S165Y,Y166A,W181V,S184D,S226D,K265A及びS568Aを含むCAB1.7i分子を含む。
ある好ましい実施の形態においては、CAB分子は、K3Q,R13K,T16G,L37V,T100L,T102L,P104A,Y105I,F107N,M146A,S163A,S165Y,Y166A,W181V及びS226Dを含むCAB1.13分子を含む。
ある好ましい実施の形態においては、CAB分子は、K3Q,R13K,T16G,L37V,T100L,T102L,P104A,Y105I,F107N,M146V,S163A,S165Y,Y166A,W181V,S226D,K265A及びS568Aを含むCAB1.13i分子を含む。
ある好ましい実施の形態においては、CAB分子は、図25に示す様にCAB1.2分子(配列番号2)、又はCAB1.2iを含み、図25に示す様にCAB1.6分子(配列番号7)、CAB1.6i分子(配列番号8)、CAB1.7分子(配列番号9)、CAB1.7i分子(配列番号10)、CAB1.13,又はCAB1.13iを含む。
第二の特徴として、本発明は、本明細書に規定するCAB分子をコードする核酸を対象とする。第三の特徴として本発明は、本明細書に記載する様に、患者にCAB分子を投与することを含みそれを必要とする患者の治療及び、CAB分子の基質であるプロドラッグを対象とする。第四の特徴として、本発明は、CAB分子を含む製剤の組成物を対象とする。
発明の詳細な説明
特に異なる記載のない限り、ここで用いる全ての技術及び科学用語は、本発明の属する分野の当業者により通常理解されるものと同様の意味に解する。本明細書に記載のされたものと類似又は同等の方法及び材料が本発明の実施、または試験において用いることができる場合にも、本明細書においてはより好ましい方法及び材料について記載するものである。本発明の目的を実現するために、以下に記載の用語は、以下の意味で用いられる。
「CAB」分子(“CAB”molecule)は、CEA標的又はミクロ標的と結合し、非修飾又は修飾配列を持ち、その非修飾配列は、配列番号1又は配列番号2に規定するアミノ酸配列を含む標的因子を言う。配列番号1は、図1に示す本発明のCAB分子の非修飾CDR部分のアミノ酸配列を規定する。配列番号2は図2に示すBLAを含むCAB分子を規定し、位置番号は図1及び2に示す各配列番号1及び配列番号2についていうものである。各CABの呼称は、本明細書に記載の発明の、修飾の特定の組合せを指定する番号が後に付されている。例えば、上記のように、また本明細書の他の部分の記載についても同様であるが、AB1.6は次のT100L,S184D及びS226Dの修飾を持つCAB分子をいう。ここで位置番号は、配列番号1に関するものである;又はCAB分子は次の変異を持つ:K3Q,R13K,T16G,L37V,T100L,M146V,W181V,S184D及びS226Dであり、ここで位置番号は、配列番号2に関するものである。また、例えば、CAB1.7iは次の修飾を持つCAB分子を指す。K3Q,R13K,T16G,L37V,T100L,T102L,P104A,Y105I,F107N,M146V,S163A,S165Y,Y166A,W181V,S184D,S226D,K265A及びS568A,であり、ここで位置番号は、図2に示す配列番号2に関するものである。
「標的因子」(targeted agent)は、対象のミクロ標的に選択的に結合する化学物質(chemical entity)である。標的因子の例として抗体、ペプチド及び抑制剤がある。関心のあるものとして、望ましい触媒活性を持ち、高度の親和性及び選択性を持って一又は二以上の標的構造に結合することのできる標的となる酵素がある。標的酵素は標的に結合している間は少なくとも活性を保持している。
「結合部分」(binding moiety)は、ミクロ標的に結合している標的因子(又は、例えば、CAB分子の様なADEPT構築)の部分をいう。結合部分は、連続しているか否かを問わずCABの一つより多い領域を含みうる。
「活性部分」(active moiety)は因子に機能性(functionality)を与える標的因子(又は、例えば、CAB分子の様なADEPT構築)の部分をいう。活性部分は、連続しているか否かを問わず、例えば、CAB分子の一つより多い領域を含みうる。特に、活性部分はベータラクタマーゼであっても良い。
「タンパク質」(protein)の用語は、「ペプチド」(peptide)及び「ポリペプチド」(polypeptide)と相互に同義に用いることができ、ペプチド結合により結合した2以上のアミノ酸残基を含む分子を指す。
「細胞」(cell)、「細胞株」(cell line)及び「細胞培養」(cell culture)は相互に同義に用いることができ、そして全てのその種の表現は子孫をも含む。「形質転換体」(transformant)又は「形質転換された細胞」(transformed cells)は、移転の数に関わらず第一次形質転換細胞(primary transformed cell)及びその細胞に由来する培養物を含む。意図的なもしくは不本意な変異により、子孫の全ては必ずしもそのDNAの内容が厳密には同一でないかも知れない。もともと形質転換された細胞中でスクリーニングされたものと同じ機能を持つ変異による子孫は、形質転換体の定義に含まれる。同細胞は原核細胞または真核細胞であっても良い。
本明細書に記載の「オリゴヌクレオチド」(oligonucleotide)は、二つまたはそれ以上のでデオキシリボヌクレオチド(deoxyribonucleotide)又はリボヌクレオチド(ribonucleotide)よりなる分子を指す。厳密なサイズは、更にオリゴヌクレオチドの最終的な機能又はその使用に関係する多くの要因による。オリゴヌクレオチドは、例えば、適当な配列のクローニング及び制限(cloning and restriction)を含むどの様な適当な方法、及び以下の方法による直接の化学合成により作ることができる;すなわち、Narang et
al.、のフォスフォトリエステル法.1979,Meth.68: 90-99;Brown et al.,のリン酸 ジエステル法1979,Meth.Enzymol.
68:109-151;Beaucage et al.,のジエチルフォスフォアミダイト(diethylphosphoramidite)法、1981、Tetrahedron Lett.22:1859-1862;米国特許番号4,458,066の固体支持法(solid support method)であり、これらは引用により本明細書に記載に組み入れられる。合成法についてはGoodchild,1990,Bioconjugate Chemistry 1(3):165-187,に検討されており、これは引用により本明細書に記載に組み入れられる。
本明細書で用いる「プライマ」(primer)は、プライマの伸長が開始される条件におかれた合成開始点として作用することの可能なオリゴヌクレオチドを指す。核酸鎖に相補的なプライマ伸長法製品の合成は必須の4つの異なるヌクレオシド 三リン酸塩(nucleoside triphosphate)及び適温の適当な緩衝液中のDNAポリメラーゼの存在により開始される。
「緩衝剤」(buffer)は、緩衝液(buffer)、(二価の金属イオンのような)共同因子(cofactor)、及び(適当なイオン力)を与える塩を含み、望ましいpHに調整されているものをいう。
遺伝子配列の非コード鎖にハイブリッドするプライマ(非コード鎖のサブ配列に同等する)は、ここで「上流」(upstream)又は「前方」(forward)プライマという。遺伝子配列のコード鎖にハイブリッドするプライマ(非コード鎖のサブ配列に同等する)は、本明細書で「下流」(downstream)又は「逆」(reverse)プライマという。
類似の側鎖を持つアミノ酸残基のファミリーは、その技術分野において定義されている。これらのファミリーは塩基の側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性の側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極側鎖(uncharged polar side chain)(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、チロシン)、無極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、システイン、グリシン)、ベータ枝分かれ側鎖(トレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を持つアミノ酸を含む。標準の三文字又は一字のアミノ酸の簡略形が用いられる。同等の代替物も本クレームの範囲に含まれることもある。
本発明のペプチド、ポリペプチド及びタンパク質には一又は二以上の非古典型アミノ酸を含むことができる。非古典型アミノ酸は、これに限定されるものではないが、通常のアミノ酸のD−異性体、α-アミノイソブチル酸(α-amino isobutyric acid)、4-アミノブチル酸(4-aminobutyric acid、(4−Abu))、2-アミノブチル酸(2-aminobutyric acid、(2−Abu))、6-アミノヘキサン酸(6-amino hexanoic acid (Ahx))、2-アミノイソブチル酸(2-amino isobutyric acid、(2-Aib))、3-アミノ プロピオン酸(3-amino propionoic acid)、オルニチン(ornithine)、ノルロイシン(norleucine)、ノルバリン(norvaline)、ヒドロオキシプロリン(hydroxyproline)、サルコシン(sarcosine)、シトルリン(citrulline)、システイン酸(cysteic acid)、t−ブチルグリシン(t-butylglycine)、t−ブチルアラニン(t-butylalanine)、フェニルグリシン(phenylglycine)、シクロヘキサアラニンcyclohexylalanine、β−アラニン(β-alanine),フルオロアミノ酸(fluoro-amino acid)、及びβーメチルアミノ酸(β-methyl amino acid)、Cα−メチル アミノ酸(Cα-methyl amino acid)、Nα−メチルアミノ酸 (Nα-methyl amino aci)の様なデザイナーアミノ酸、及び一般的なアミノ酸類似体(amino acid analog)を含む。
「Ab」または「抗体」(antibody)は、ポリクローナル及びモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、免疫グロブリン、又は抗体、又は標的抗原に結合する抗体の機能断片を指す。そのような機能を持つものには、完全抗体分子、及びFv, 単鎖Fv, 相補性決定領域(CDR)、VL(軽鎖可変領域)、VH(重鎖可変領域)及びこれ等の何れかの組み合わせ、又は標的抗原に結合することの可能な免疫グロブリンペプチドの他の機能部分のいずれの部分をも含む。実施例では、その構築は、次の順序を持つ:vL-(GGGGS)6-vH。しかし、この例に止まるものではなく、他の全ての順序のvL及びvHは本発明の範囲に含まれことが意図されている。
「プロドラッグ」(prodrug)は、一または二以上の酵素による触媒のステップを経て、プロドラッグとの関係において増大した薬理活性を持つ活性化合物に転換される化合物を指す。プロドラッグは未発達の部分(pro-part)あるいは不活性の一部、及び薬剤(drug)あるいは活性のある薬剤、又は検出可能な部分を含みうる。任意選択的に、プロドラッグは又リンカーも含む。例えば、プロドラッグは活性のある薬剤を放出するために酵素により切断されうる。代わりに、酵素が検出可能な小部分を放出するためにプロドラッグを変えることもありうる。より特異の例として、標的酵素によるプロドラッグの切断により、活性を持つ薬剤を標的酵素に結合する標的の近くに放出する。「未発達の部分」(pro-part)及び「不活性な一部」(inactive moiety)とはプロドラッグが転換された後のプロドラッグの不活性な部分を指す。例えば、もしプロドラッグが、ペプチドにより活性のある薬剤に結合されたPEG分子を含む場合、未発達な部分はペプチドリンカーの一部を持つ又は持たないPEGの小部分(moiety)である。
ここで用いる「GC-Mel」は、例えば、Senter et al., 米国特許番号5,773,435に開示されたプロドラッグ、グルタリル セファロスポリン メルファラン(glutaryl−cephalosporin-melphalan)を指し、本特許は、その全ての図面を含み引用により本明細書に組み入れられる。
「薬剤」(drug)、「活性を持つ薬剤」(active drug)及び「検出可能な小部分」(detectable moiety)はプロドラッグの活性を持つ小部分を指す。標的酵素によりプロドラッグが切断された後に、活性を持つ薬剤は標的の腫瘍、細胞、病原菌、又は他の病気の因子に治療的に作用する。検出可能な小部分は診断上のツールとしての役目をし、そのような検出可能な小部分は本特許請求の範囲に含まれるものである。活性を持つ薬剤は、細胞を殺し、又は細胞の増殖を阻止することのできるどのような化学物であっても良い。
「Mel」はメルファラン(Melphalan)を指す。Melの構造はその技術分野で周知であり、米国特許番号5,774,435にも記載されている。
「%配列相同性」(% sequence homology)は、「%相同性」(% homology),「%配列 同一性」(% sequence identity)及び「%同一性」(% identity)と相互交換的に用いられ、配列アラインメント プログラム(sequence alignment program)を用いてアラインメントした場合の2以上のペプチド配列間のアミノ酸配列の同一性のレベルを指す。例えば、本明細書で用いる80%の相同性は、ある定義されたアルゴリズムにより決まる80%同一配列と同じ意味であり、したがって、ある配列の相同物はその配列のある長さに亘り80%以上の同一配列を持つ。同一配列レベルの典型的な例として,これに限定されるものではないが、ある配列と60,70,80,85,90,95,98,又は99%又はそれ以上の同一配列を持つものを含む。
二つの配列間の同一性を決めるために用いられる典型的なコンピュータプログラムには、これの限定されるものではないが、BLASTプログラムの組、例えば、BLASTN, BLASTX及びTBLASTX, BLASTP及びTBLASTNを含み、これらは何れもその分野で周知なものである。又、Altschul et al., 1990, J. Mol. Biol 215: 403-10 及び Altschul et al., 1997, Nucleic Acids Res.25:
3389-3402を参照願いたい。配列検索は、ジーンバンクタンパク質配列(GeneBank Protein Sequence)及び他の公的データベースにあるアミノ酸配列と比較してあるアミノ酸配列を評価する場合には、通常BLASTPプログラムを用いて行う。BLASTXプログラムは、ジーンバンク タンパク質配列及び他の公的データベースにあるアミノ酸配列と対比した全てのリーディングフレームに翻訳された核酸配列を検索する場合に好まれる。BLASTP 及びBLASTXは共に、オープンギャップペナルティ11.0のディフォールトパラメータ及び延長ギャップ(extended gap)ペナルティ1.0により作動され、そしてBLOSUM-62マトリクスを用いる。Altschul, et al., 1997を参照願いたい。
二つ以上の配列間の「%同一性」を決定するための選択配列(selected sequence)の好ましいアラインメントは,例えば、オープンギャップペナルティ10.0、のディフォールトパラメータ、及び延長ギャップペナルティ0.1及びBLOSUM 30類似マトリクスを含むディフォールトパラメータで作動させ、Mac 6.5版のCLUSTAL-Wプログラムを用いて行われる。
第一の特徴として、本発明は修飾されたアミノ酸配列を含むCAB分子を対象とする。ある実施の形態では、CAB分子は配列番号1に規定の非修飾配列をもつ。ある実施の形態では、CAB分子は配列番号1に規定されるアミノ酸配列から修飾されたアミノ酸配列を持ち、その修飾は、図1に示す配列番号1の位置番号により示す100,102,104,105,107,163,165,166,184及び226よりなる群から選択される少なくとも一つの位置である。好ましい実施の形態においては、CAB分子は位置100,184及び226において修飾されている。好ましい実施の形態においては、CAB分子は100,102,104,105,107,163,165,166,184及び226位置において修飾されている。好ましい実施の形態においては、CAB分子は100,102,104,105,107,163,165,166及び226位置において修飾されている。
好ましい実施の形態においては、図1に示す配列番号に示す位置番号1によるT100L,T102L,P104A,Y105I,F107N,S163A,S165Y,Y166A,S184D及びS226Dよりなる群から選択される少なくとも一つ位置において修飾されている。好ましい実施の形態においては、CAB分子はCAB1.6分子を含み、CAB1.6分子はT100L,S184D及びS226Dで修飾されている。好ましい実施の形態においては、CAB分子はCAB1.7分子を含み、CAB1.7分子はT100L,T102L,P104A,Y105I,F107N,
S163A,S165Y,Y166A,S184D及びS226Dで修飾されている。好ましい実施の形態においては、CAB分子はCAB1.13分子を含み、CAB1.3分子はT100L,T102L,P104A,Y105I,F107N,S163A,S165Y,Y166A及びS226Dで修飾されている。
好ましい実施の形態においては、図25に示す様にCAB分子はCAB1.2(配列番号1)、CAB1.6(配列番号5)、CAB1.7(配列番号6)、又はCAB1.13のscFV部分を含む。
好ましい実施の形態においては、CAB分子はさらにベータラクタマーゼ分子を含む。好ましい実施の形態においては、CAB分子は配列番号2に規定のアミノ酸配列からの非修飾又は修飾されたアミノ酸配列を持ち、修飾は図2に示す配列番号2に示す位置番号による、3,13,16,37,100,102,104,105,107,146,163,165,166,181,184,226,
265及び568よりなる群から選択される少なくとも一つの位置である。
好ましい実施の形態においては、修飾は3,13,16,37,100,146,181,184及び226の位置である。好ましい実施の形態においては、修飾は3,13,16,37,100,102,104,105,107,146,163,165,166,181,184及び226の位置である。好ましい実施の形態においては、修飾は265及び568の位置である。好ましい実施の形態においては、修飾は3,13,16,37,100,102,104,105,107,146,163,165,166,181,184,226,265及び568の位置である。好ましい実施の形態においては、修飾は3,13,16,37,100,102,104,105,107,146,163,165,166,181,226,265及び568の位置である。
好ましい実施の形態においては、CAB分子はさらにベータラクタマーゼ分子を含む。
好ましい実施の形態においては、CAB分子は配列番号2に規定のアミノ酸配列から修飾されたアミノ酸配列を持ち、修飾は、図2に示す配列番号2の位置番号による、3,13,16,37,100,102,104,105,107,146,163,165,166,181,184,226,265及び568よりなる群から選択される少なくとも一つの位置でなされる。
好ましい実施の形態においては、修飾は3,13,16,37,100,146,181,184及び226の位置である。
好ましい実施の形態においては、修飾は3,13,16,37,100,102,104,105,107,146,163,165,166,181,184及び226の位置である。
好ましい実施の形態においては、修飾は265及び568の位置である。
好ましい実施の形態においては、修飾は3,13,16,37,100,102,104,105,107,146,163,165,166,181,184,226,265及び568の位置である。
好ましい実施の形態においては、CAB分子は、その修飾が図2に示す配列番号2に示す位置番号によるK3Q,R13K,T16G,L37V,T100L,T102L,P104A,Y105I,F107N,M146V,S163A,S165Y,Y166A,W181V,S184D,S226D,K265A及びS568Aよりなる群から選択される少なくとも一つの修飾を含む修飾を持つ。好ましい実施の形態においては、CAB分子はCAB1.2i分子を含み、CAB1.2i分子はK265A及びS568Aの修飾を持つ。
好ましい実施の形態においては、CAB分子はCAB1.6分子を含み、CAB1.6分子は以下の修飾を持つ。すなわち、K3Q,R13K,T16G,L37V,T100L,M146V,W181V,S184D及びS226Dである。
好ましい実施の形態においては、CAB分子はCAB1.6i分子を含み、CAB1.6i分子は以下の修飾を持つ。すなわち、K3Q,R13K,T16G,L37V,M146V,W181V,S184D,S226D,K265A及びS568Aである。
好ましい実施の形態においては、CAB分子はCAB1.7分子を含み、CAB1.7分子は以下の修飾を持つ。すなわち、K3Q,R13K,T16G,L37V,T100L,T102L,P104A,Y105I,F107N,M146V,S163A,S165Y,Y166A,W181V,S184D,及びS226Dである。
好ましい実施の形態においては、CAB分子はCAB1.7i分子を含み、CAB1.7i分子は以下の修飾を持つ。すなわち、K3Q,R13K,T16G,L37V,T100L,T102L,P104A,Y105I,F107N,M146V,S163A,S165Y,Y166A,W181V,S184D,S226D,K265A.及びS568Aである。
好ましい実施の形態においては、CAB分子はCAB1.13分子を含み、CAB1.13分子は以下の修飾を持つ。すなわち、K3Q,R13K,T16G,L37V,T100L,T102L,P104A,Y105I,F107N,M146V,S163A,S165Y,Y166A,W181V及びS226Dである。
好ましい実施の形態においては、CAB分子はCAB1.13i分子を含み、CAB1.13i分子は以下の修飾を持つ。すなわち、K3Q,R13K,T16G,L37V,T100L,T102L,P104A,Y105I,F107N,M146V,S163A,S165Y,Y166A,W181V,S226D,K265A及びS568Aである。
好ましい実施の形態においては、CAB分子は図25に示すCAB1.2(配列番号2)又はCAB1.2i、図25に示すCAB1.6(配列番号7)、CAB1.6i(配列番号8)、CAB1.7(配列番号9)、CAB1.7i(配列番号10)、及びCAB1.13を含む。
他の実施の形態においては、CABは、引用によりその全てが本明細書に組み入れられるPCT出願番号US03/18200、出願日2002年6月12日に記載されているMDTAである。本発明のいくつかのCAB分子は、非標的よりも標的上にあるミクロ標的をより好んで結合することが示された。結合の差は、標的と非標的の間の違い、例えば、pHの差、酸素圧、溶質又は非分析物(例えば、乳酸,糖又は他の有機又は無機分子)の濃度、温度、光又はイオン強度などの差に起因する。本発明のCAB分子の持つ優先的結合性は、望ましい条件の組み合わせのモノマー及び/またはオリゴマ−とミクロ標的を結合するのに用いられ、インビトロ、エクスビボ、その場での(in situ),又はインビボ(例えば、対象中の標的組織(target tissue))の標的を同定し、標的細胞又は組織を殺し、標的組織において又はその近傍でプロドラッグを活性製剤に変換することに用いることができる。
又、表面触媒、例えば、標的ラッカーゼとして用いることもできる。他の使用法には、例えば、標的を決めた組成物の生成(例えば、グルコースからのH2O2の生成)及び標的を決めた組成物の破壊(例えば、特定の組織から代謝産物又はシグナル分子の破壊)を含む。
ある実施の形態においては、CABは例えば、2002年6月12日に出願されたPCT出願に記載されているように、親和性成熟法(affinity maturation method)を用いて選定され、作り又は修飾される。当該出願は引用によりその全てが本明細書に組み入れられる。
他の実施の形態においては、CABは例えば、2002年6月12日に出願された米国特許出願番号10/170,387に記載されている様にループ接合(loop-grafting)法を用いて選定し、作り又は修飾される。当該出願は引用によりその全てが本明細書に組み入れられる。
他の実施の形態においては、CABは例えば、2002年6月12日に出願された米国特許、出願番号10/170,729に記載されている多機能ポリペプチドである。当該出願は引用によりその全てが本明細書に組み入れられる。
他の実施の形態においては、本発明のCABはその技術分野で良く知られている方法に限らず、例えば、米国特許 特許番号4,975,278に開示されている診断、または治療に応用される。当該特許は引用によりその全てが本明細書に組み入れられる。
ある実施の形態においては、CAB分子は更に活性を持つ部分を含む。活性部分は活性を持つ分子、又は分子の一部でありうる。活性はどの様な活性であっても良い。活性部分が持つ活性のタイプの例には、検知可能な活性、酵素的活性、治療的活性、診断的活性、有毒活性、又は結合活性を含んでもよい。活性部分はCABの目立たない部分であっても良く、例えば、結合部分に融合し、又は接合する酵素であっても良く、又はCABの必須の部分であり、例えば、CABをミクロ標的に結合することによりミクロ標的又は標的の活動を活性化し、又は抑制するものであっても良い。又CABは以下で検討する、及び同時係属する米国特許出願番号 10/022,073及び10/022,097において検討しているタイプの標的酵素であり得る。両出願は引用によりその全てが本明細書に記載の明細書に組み入れられる。
他の実施の形態においては、活性部分は酵素活性を示し、例えば、それは酵素、又は酵素の活性断片又は酵素の誘導体である。特に興味のあるのは、治療の場面でプロドラッグを活性化するために用いることができる酵素である。多くの異なる触媒作用の様式を持つ酵素がプロドラッグを活性化するために用いられた。Melton & Knox、Enzyme-prodrug strategies for cancer therapy (1999)及びBagshawe et al., Curr Opin Immunol 11:
579(1999)を参照願いたい。本発明のCABを生成するために使用できる酵素のタイプの例として、これに限定されるものではないが、プロテアーゼ、カルボオキシペプチダーゼ、βラクタマーゼ、アスパラギナーゼ、オキシダーゼ、ヒドラーゼ、リアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、アルドラーゼ、フォスフォターゼ、キナーゼ、トランスフェラーゼ、ポリメラーゼ、ヌクレアーゼ、ヌクレオチダーゼ、ラッカーゼ、レダクターゼ等がある。例えば、2001年9月12日出願の同時係属の米国出願、出願番号09/954,385を参照願いたい。本出願は引用によりその全てが本明細書に組み入れられる。したがって、本発明のCABは、例えば、プロテアーゼ、カルボオキシペプチダーゼ、βラクタマーゼ、アスパラギナーゼ、オキシダーゼ、ヒドラーゼ、リアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、アルドラーゼ、フォスフォターゼ、キナーゼ、トランスフェラーゼ、ポリメラーゼ、ヌクレアーゼ、ヌクレオチダーゼ、ラッカーゼ、又はレダクターゼ等の活性を示す。使用可能な酵素の例として、以下に検討するようにプロドラッグを活性化することができる酵素であり、そしてこれらは、例えば、グルコースから得られる過酸化水素のように、代謝産物から毒物を生み出すことのできるものである。Christofidou-Solomidou et al,2000, Am Jphysiol Lung Cell Mol Physiol 278: L794を参照.願いたい。
ある実施の形態においては、本発明は更にβラクタマーゼ(BLA)を含むCABを提供する。他の実施の形態においては、BLAは同時係属する米国特許出願番号 10/022,073及び10/022,097において記載される標的酵素である。両出願は引用によりその全てが本明細書に組み入れられる。
BLA酵素は、グラム陰性及びグラム陽性の両バクテリア中に広く分布する。 BLA配列は良く知られている。BLA配列の代表的な例が図3に示される。BLA酵素はその特異性において種々異なるが、しかしこれらはβラクタマーゼを加水分解し、置換されたβアミノ酸を作り出す点で共通している。この様に、BLA酵素は、βラクタマーゼを含む抗生物質に対する抵抗性を与える。BLA酵素は哺乳類にとっては内生的でないため、これらは抑制剤、酵素基質又は内生酵素システム(endogenous enzyme system)(プロテアーゼと異なり)等による干渉が最小限であり、したがって、治療のための投与に特に適している。更に、BLA酵素は、そのサイズが小さく(E. cloacaeのBLAは39kDのモノマーであり、E.coli のBLAは30kDのモノマーである)また彼らの基質に対して高い特異活性を持ち、37℃で最適な活性を持つため、本発明の治療法に適している。Melton et al., Enzyme-Prodrug Strategies for Cancer Therapy, Kluwer Academic/Plenum Publishers, New York (1999)を参照願いたい。
本発明のCABを生成するのに用いることのできる特定のBLAの例には、これに限定されるものではないが、クラスA, B, C 又はD β−ラクタマーゼ、β−ガラクトシダーゼ (Benito et al., FEMS Microbiol. Lett. 123: 107 (1994)を参照)、フィブロネクチン、グルコオキシダーゼ、グルタチオーネ(glitathione)S-トランスフェラーゼ、(Napolitano et al.,Chem. Biol. 3: 359 (1996)を参照)、及び組織プラスミノゲン活性化剤(Smith et al., J. Biol. Chem. 270: 30486 (1995)参照)を含む。β−ラクタマーゼはその配列に基づき4つのクラスに分けられる(Thomson et al., 2000, Microbes and Infection 2: 1225-35を参照)。セリンβ−ラクタマーゼはさらに3つのサブクラスに分けられる:A(ペニシリナーゼ、penicillinases)、C(セファロスポリナーゼ、cephalosporinases) 及び D (オクサシルナーゼ、oxacillnases)である。クラスB β−ラクタマーゼは亜鉛を含む、又は金属β−ラクタマーゼである。どのクラスのBLAでも本発明のCABを生成するために用いることができる。
本発明のある実施の形態においては、BLAは、米国特許出願番号 10/022,097に記載のアッセイによって、ニトロセフィン(nitrocefin)に対する比活性(specific activity)が約0.01U/pmolより大きいことを示す。他の実施の形態においては、比活性は約0.1U/pmolより大きい。他の実施の形態においては、比活性は約1U/pmolより大きい。これらの比活性はBLAがミクロ標的に結合したときの比活性であるのが望ましい。ある実施の形態においては、CAB中のBLA酵素は配列番号3に規定のアミノ酸配列を含む。他の実施の形態においては、CAB中のBLA酵素は図2に記載の配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、又は99%、又はそれ以上同一である。
ある好ましい実施の形態においては、CABはCAB1.6,CAB1.6i,CAB1.7,又はCAB1.7iである。
CAB、又は一または二以上の結合部分に結合された標的は、分子がそれをCEAに結合させる如何なる物質又は組成物であっても良い。ある実施の形態においては、標的は表面である。ある実施の形態においては、表面は生物的な表面である。他の実施の形態においては、生物的表面は器官の表面である。他の実施の形態においては、生物的表面は組織の表面である。他の実施の形態においては、生物的表面は細胞の表面である。
他の実施の形態においては、生物的表面は病気の器官、組織又は細胞の表面である。他の実施の形態においては、生物的表面は正常な又は健康な器官、組織又は細胞の表面である。他の実施の形態においては、表面は組織の間質腔(interstitial)中のマクロ分子である。他の実施の形態においては、生物的表面はビールス又は病原体の表面である。他の実施の形態においては、表面は非生物表面である。他の実施の形態においては、非生物的表面は医療機器の表面である。他の実施の形態においては、医療機器は治療用機器である。他の実施の形態においては、治療機器は移植された治療機器である。他の実施の形態においては、医療機器は診断用の機器である。他の実施の形態においては、診断用機器はウエル(well)、又はトレイである。
細胞又は組織の源泉(source)には,ヒト、他の全ての動物、細菌、糸状菌、ビールス及び植物を含む。組織は複雑な標的であり、単細胞タイプ、各細胞のタイプの集合、又は一般にある特定種の細胞の集合であるものを言う。組織は操作されていないか、又は修飾されていることもある。ヒトの一般組織のクラスには、これに限定されるものではないが、上皮細胞組織、結合組織、神経組織及び筋肉組織を含む。
他の実施の形態においては、標的はCEAを発現させ、又はCEAを自らに結合させ、又はCEAをその近辺に配置させる癌に関連した標的である。癌に関連した標的は、本発明の組成物が、被験者の以下に述べる様な癌又は癌に関連した状態の診断、探知又は処置の一部として、結合するどのような標的であっても良い。例えば、癌性細胞、組織又は器官、癌性細胞、組織又は器官に関連する分子、細胞、組織又は器官(例えば、被験者、又は被験者から採取された生検(biopsy)に投与された腫瘍と結合する診断、又は治療用分子(tumor-bound diagnostic or therapeutic molecule)又は癌性組織に関連している血管系のような健康な組織)である。
第二の特徴として、本発明は本明細書に記載のCAB分子をコードする核酸を対象とする。核酸は、例えば、DNA又はRNAであってよい。本発明はまたCABの全部又は一部を含むポリペプチドをコードする核酸を含むプラスミドを提供する。プラスミドは、例えば、宿主細胞又は生物体又はインビトロでポリペプチドの発現を許す発現プラスミドであっても良い。発現ベクターは、例えば、細菌細胞中でポリペプチドの発現を許すこともありうる。細菌細胞は、例えば、大腸菌(E.coli)細胞でありうる。
遺伝子コードは冗長性を持つため、通常DNA配列の多くはどのアミノ酸配列をもコードし、この意味では同等である。
以下に記すように、発現ベクターにおいて用いられる一つ又は他の同等なDNA配列は、その発現ベクターが挿入される宿主細胞の好ましいコドンの使用法に基づき選択されるのが望ましい。本発明は望ましいCABをコードする全てのDNA配列を含むことを意図している。
操作可能な発現クローンは、コード配列を、発現ベクターにおいて適当な制御配列と操作可能にリンクすることにより使用され、また構築される。ベクターは宿主細胞で自律的に複製するよう、又は宿主細胞の染色体DNAに組み入れられるようにデザインされうる。結果のクローンは適当な宿主を形質転換するために用いられ、形質転換された宿主はコード配列を発現させるために適当な条件の下で培養される。ある場合にはCABの回収及び生成は必ずしも必要ではないが、発現したCABはその後培養体、又は細胞から分離される。
コード配列及び適当な制御配列を含む適当なクローンの構築は、その分野でよく理解されている標準的な結紮及び制限技術を用いて行う。一般的には、分離したプラスミド、DNA配列又は合成されたオリゴヌクレオチドは望ましい形に切断され、修飾されそして再結紮される。適当な制限部位が、通常は得られないとしても、発現クローンの構築を促進するためにコード配列の端に追加されうる。
部位特異のDNA切断は、通常その分野で理解され、また商業的に入手可能な制限酵素のメーカーの示す条件下で、適当な制限酵素を使って処理して行う(Amersham (Arlington Heights, IL), Roche Molecular Biochemicals (Indianapolis, IN), 及び New England Biolabs (Beverly, MA)の製品カタログを参照)。特定な酵素に対し適切な温度で、1時間又は2時間培養するのが普通である。各培養後にフェノールおよびクロロフォルムを用いてタンパク質を抽出により除去する。この抽出は更にエーテルによる抽出、及びエタノールにより、少量の水分からDNAの回収を引き続き行うこともできる。もし望むならば、切断した断片のサイズ分離を、ポリアクリルアミド(polyacrylamide)ゲル、又は寒天ゲル電気泳動法の標準的技術を用いて行うこともできるMaxam et al., 1980, Methods in Enzymology 65: 499-560を参照)。
結紮は、例えば、以下の標準の条件と温度で15−30μl容量中で行うことができる:20 mM Tris-Cl, pH 7.5, 10 mM MgCl2, 10 mM DTT, 33μg/ml BSA, 10-50 mM NaCl, 及び、40 uM ATP 及び0.01-0. 02 (Weiss) 単位 T4 DNA リガーゼ0℃(相補的1本鎖末端で断片を結紮するため)又は1mM ATP 及び 0.3-0. 6 単位T4 DNA リガーゼ14℃(平滑末端(blunt end)結紮のため)。
相補的末端で断片を分子間結紮することは、通常33-100μg/mlの全DNA 濃度で実施する(5-100 nM 全末端濃度)。分子間平滑末端結紮(通常、任意的であるが、リンカーに対して20−30倍の余剰モル濃度を用いる)は、末端濃度で1μMで行う。
プラスミド構築のための正しい結紮がなされたか否かはその技術分野で知られた適当な方法を用いて確認することができる。例えば、プラスミド構築のための正しい結紮がなされたか否かは、まず、大腸菌株 DG101 (ATCC 47043)又はDG116 (ATCC 53606) の様な適当な宿主を、結紮混合物により形質転換することにより確認することができる。旨く形質転換された細胞は、その技術分野で理解されている様に、プラスミド構築の種類により、アンピシリン、テトラマイシン、又は他の耐性を持つ抗生物質または感応性を持つものにより、又は他のマーカーを用いて選択される。
形質転換細胞からのプラスミドは、その後Clewell et al., 1969, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 62: 1159に開示される方法により生成され、また任意選択的にクロラムフェニコール増幅により得ることもできる(Clewell, 1972, J. Bacteriol. 110:667を参照)。
代案として、プラスミドDNAはBethesda Research Laboratories の刊行物Focus 5 (2)の11ページに記載の”Base-Acid”(「塩基―酸」)抽出法を用いて作ることもでき、ステップ12から17の手順を、DNAのCsCl/エチジューム臭化物 超遠心分離法(CsCl/ethidium bromide ultracentrifugation)により代替させることにより、非常に純粋なプラスミドDNAを得ることができる。
代案として、商業的に入手可能なプラスミドDNA分離キット、例えば、HISPEED(商標), QIAFILTER(商標)及びQUIAGEN(著作権)プラスミドDNA分離キット(Quiagen, Valencia CA)を販売者プロトコールに従い用いることができる。分離されたDNAは、例えば、制限酵素分解により分析され、及び/又はSanger et 1977, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74: 5463, のジデオキシ法(dideoxy method) により、これはさらにMessing et al.,1981, Nuc. Acids Res. 9: 309に記載があるが, 又は, Methods in Enzymology 65: 499. 1980に記載されているMaxam et al.,の方法により配列決定される。
制御配列、発現ベクター及び形質転換法は遺伝子を発現させるために用いられる宿主細胞のタイプに依る。通常、原核細胞、イースト、昆虫及び哺乳類の細胞が宿主として使用される。原核宿主は普通組み換えタンパク質を生産するのに最も効果的であり、また都合が良いため、タンパク質の発現において好まれる。
組み換えタンパク質を発現させるのに最も使用される原核生物は大腸菌である。しかし、大腸菌以外の細菌株も、例えば、バチルス スブチリス (Bacillus subtilis)、種々のシュードモナス (Pseudomonas) 及びサルモネラ (Salmonella),及び他の微生物株の様なバチリ(bacilli)を使用することができる。その様な原核システムでは、複製部位及び宿主に由来する制御配列を含む、又は宿主に適合する種類を持つプラスミド ベクターが通常使用される。
大半の細菌性プロモータの制御の下での構築体の発現に、Genetic Stock Center の番号GCSC #6135の大腸菌から得られる大腸菌K12株MM294を宿主として使用することができる。制御配列PLNRBS 又はPLT7RBSを持つ発現ベクターに、大腸菌K12株MC1000ラムダ リソゲン(lambda lysogen), N7N53cI857 SusP80, ATCC39531を用いることができる。1987年4月7日にATCC (ATCC 53606)で寄託された大腸菌DG116、及び1985年3月29日にATCC (ATCC 53075)で寄託された大腸菌KB2も又有用な宿主細胞である。ファージ組替体M13には、ファージによる感染を受ける大腸菌株、例えば、K12株DG98 (ATCC 39768)が使用される。DG98株は1984年7月13日にATCC寄託された。
例えば、大腸菌はBolivar et al.,1977, Gene 2: 95に記載のように、通常pBR322の誘導体を用いて形質転換される。プラスミドpBR322はアンピシリン及びテトラサイクリン耐性の遺伝子を持つ。これ等の薬剤抵抗マーカーは所望するベクターを構築する際に保持し、または破壊することができ、そのため所望する組替体の存在を検知するのを助ける。通常使用される原核制御配列、例えば、時にはリボソーム結合部位配列と共にオペレータを持つ転写開始プロモータは、β−ラクタマーゼ(β-lactamase) (penicillinase) 及びラクトース(lactose) (lac) プロモータシステム、(Chang et al.,1977, Nature 198: 1056を参照), トリプトファン(tryptophan) (trp) プロモータシステム、(Goeddel et al., 1980, Nuc. Acids Res. 8: 4057を参照)、及び ラムダ由来の(lambda-derived )PL プロモータ(Shimatake et al., 1981, Nature 292: 128を参照)、及び遺伝子Nリボソーム結合部位(NRBS)を含む。簡易制御システムカセットは、1987年12月8日に発行された米国特許番号4,711,845に記載されている。このカセットは、NRBSに動作可能にリンクされたPLプロモータを含み、NRBSはさらに、NRBS配列の6塩基ペアー3’内で切断を許す少なくとも一つの制限部位を持つ第3のDNA配列の上流に位置している。1986年10月8日に公開された欧州特許公開公報番号196,864のChang et al.,によるフォフフォターゼA (phosphatase A (phoA))も有用である。しかし、原核生物に適用されるどの様なプロモータシステムでも、本発明の発現ベクターの構築に用いることができる。
細菌に加えて、イーストの様な真核微生物もまた組み換え宿主細胞として用いることができる。他の多くの株も普通に入手可能だが、実験室株サッカロマイセス セレビシア(Saccharomyces cerevisiae)、パンイーストが最も多く使用される。二つの微小な複製開始点(origin of replication)を用いるベクターが普通であるが(Broach, 1983, Meth. Enz. 101: 307を参照)、イースト発現に適した他のプラスミドが知られている(例えば、Stinchcomb et al.,1979, Nature 282: 39; Tschempe et al., Gene 10: 157; 及び Clarke et al., 1983, Meth. Enz. 101: 300を参照)。イーストベクターの制御配列は糖分解酵素(glycolytic enzyme)の合成のためのプロモータを含む(Hess et al.,1968, J. Adv. Enzyme Reg. 7:149 ; Holland et al.,1978, Biotechnology 17: 4900; 及び Holland et al., 1981, J. Biol. Chem. 256: 1385を参照)。この技術分野で知られている他のプロモータには3−フォスフォグリセラート キナーゼ(3- phosphoglycerate kinase) (Hitzeman et al.,1980, J. Biol. Chem. 255: 2073を参照)のプロモータ、及び他の糖分解酵素のためのプロモータ、例えば、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ(glyceraldehyde 3-phosphate dehydrogenase), へクソキナーゼ(hexokinase)、ピルビン酸デカルボキシラーゼ(pyruvate decarboxylase),ジカルボキシラーゼ(decarboxylase)、リン酸フルクトキナーゼ(phosphofructokinase)、グルコース6−リン酸イソメラーゼ(glucose-6-phosphate isomerase), 3リン酸グリセラート ムターゼ (3-phosphate glycerate mutase)、ピルビン酸キナーゼ(pyruvate kinase)、 トリオースリン酸イソメラーゼ(triosephosphate isomerase)、グルコースリン酸イソメラーゼ(phosphoglucose isomerase)及びグルコキナーゼ(glucokinase)を含む。さらに、成長条件により制御されるという追加の転写の利益を持つプロモータには、アルコール デヒドロゲナーゼ2 (alcohol dehydrogenase 2)、アイソシトクローム C(isocytochrome C)、酸フォスハターゼ(acid phosphatase)、窒素代謝に関連する分解酵素及びマルトース及びガラクトースの利用に役割を持つ酵素のプロモータ領域がある。
ターミネータ配列は又、コード配列の3’末端にある場合は発現を増大させるために用いられる。その様なターミネータはイースト菌由来の遺伝子のコード配列に続く3’非翻訳領域にある。イースト菌と適合可能なプロモータ、複製開始点、及び他の制御配列を含むいかなるベクターでもイースト菌発現ベクターの構築のための使用に適している。
コード配列は又、多細胞生物体に由来する真核宿主細胞培養体で発現させることができる(Tissue Culture, Academic Press, Cruz and Patterson, editors (1973)を参照)。有用な宿主細胞株には、COS-7, COS-A2, CV-1, マウス骨髄腫N51のようなマウス細胞、VERO, HeLa 細胞及び中国ハムスター卵巣(Chinese hamster ovary (CHO))を含む。その様な細胞の発現ベクターは、通常、例えば、サルビールス40 (SV40)の初期及び後期プロモータの様な、哺乳類の細胞と適合可能なプロモータ、及び制御配列(Fiers et al., 1978, Nature 273: 113を参照)、又はポリヨーマ(polyoma)、アデノウィルス2(adenovirus 2)、牛の乳頭腫 (bovine papilloma virus (BPV)), 又はトリ肉ウィルス(avian sarcoma viruses)、又は免疫グロブリンプロモータ及び熱ショック(heat shock)プロモータに由来する他のウィルスプロモータを含む。
発現の適正化のためにはエンハンサー領域は重要である;これ等は通常プロモータ領域の上流にある配列である。複製開始点は、もし必要ならばウィルス源から得られる。しかし染色体への組込みは真核生物でDNA複製する場合の通常のメカニズムである。
植物細胞は又宿主細胞として用いることができ、例えば、ノパリン シンターゼ(nopaline synthase)プロモータ、及びポリアデニル化シグナル配列の様な植物細胞に適合可能な制御配列(Depicker et al.,1982, J. Mol. Appl. Gen. 1: 561を参照)も使用することができる。バキュロウィルス(baculovirus)ベクターが提供する制御システムを使用する昆虫細胞を用いる発現システムについても記載されている(Miller et al., in Genetic Engineering (1986), Setlow et al., eds., Plenum Publishing, Vol. 8, pp. 277-97を参照)。昆虫細胞をベースとする発現はスポドプテラ フルギペイダ(Spodoptera frugipeida)において完成されうる。このシステムは組み換え酵素をも生産することもできる。
使用される宿主細胞にも依るが、形質転換はその様な細胞に適した標準の技術を用いて行われる。Cohen, 1972, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 69: 2110に記す様に, 塩化カルシウムを用いるカルシウム処理は、原核生物又は、他の実質的な細胞壁バリアーを持つ細胞に用いられる。アグロバクテリウム ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)(Shaw et al.,1983, Gene 23: 315を参照)による感染はある植物細胞に用いられる。哺乳類細胞にはGraham et al., 1978, Virology 52: 546のリン酸カルシウム沈殿法が望ましい。イースト菌への形質転換はVan Solingen et al., 1977, J. Bact. 130: 946, 及びHsiao et al., 1979, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 76: 3829に記載の方法により行う。
例えば、コード化されるタンパク質のアミノ酸配列を修飾することなく、宿主細胞のコドンとより適合が可能な配列を提供するために、本発明のCABの全て又は一部を含むポリペプチドをコードするDNAの配列を修飾することが望ましい。最初の5から6のコドンをその様に修飾することにより発現効率を高めることができる。発現効率を高めるために修飾されたが、同じアミノ酸配列をコードするDNA配列は同等と考えられ本発明に含まれると解される。
部位特異的なプライマ指向の種々の突然変異法が利用可能であり、その技術分野で良く知られている(Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, 1989,第2版、15.51章「オリゴヌクレオチド介在突然変異」(Oligonucleotide-mediated mutagenesis)を参照、本文献は引用により本明細書に組み入れられる)。ポリメラーゼ チェイン リアクション(PCR)は部位特異の突然変異を起こすのに使用される。その分野での現在の標準的な他の技術として、所望する突然変異種をコードする合成オリゴヌクレオチドが、pBSM13+誘導体の様な、変異を起こさせるプライマの拡張性生物の構築のためのテンプレートとしての役割をする、一本鎖ベクターに含まれる相補的核酸配列の合成の方向付けをするプライマとして用いられるものがある。変異を起こしたDNAは宿主細菌に形質転換され、形質転換された細菌の培養体はプレートされ(plated)、同定される。修飾されたベクターの同定には、選定された形質転換細胞のDNAのニトロセルロース フィルター又は他の膜への移転、及び修飾された配列と完全に同じものとのハイブリッドを許すが、元の変異していない鎖とはハイブリッドをさせない温度で、キナーゼ化(kinased)された合成変異プライマによるハイブリッド化の「上昇」(lift)を伴う。プローブ(probe)とハイブリッドするDNAを含む形質転換細胞はその後培養され(DNAの配列は通常配列分析により確認される)、修飾DNAの保存庫としての役割をする。
ポリペプチドが組み換え宿主細胞で発現されると、ポリペプチドを精製することが望ましい。種々の精製手順を用いることができる。
他の実施の形態においては、CABをコードする核酸は、本明細書に開示されている何れのアミノ酸をもコードする核酸に相補的な核酸に高度に厳格な条件下でハイブリッドする。高度に厳格な条件には次のようなものがある。例えば、0.5 M NaHPO4, 7%ドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecyl sulfate (SDS))、 1 mM EDTA 65℃ 及びlxSSC/0. 1 % SDS 68℃で洗浄 (Ausubel et al., eds., 1989, Current Protocols in Molecular Biology, Vol. I, Green Publishing Associates, Inc., 及びJohn Wiley & Sons, New York, at p. 2.10.3を参照)する。他の高度に厳格な条件としては、例えば、Current Protocols in Molecular Biology, pages 2.10. 1-16 及びMolecular Cloning : A Laboratory Manual, 第2版, Sambrook et al., (eds.), Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989, pages 9.47-57に記載がある。他の実施の形態においては、中程度に厳格な条件が用いられる。中程度に厳格な条件は、例えば、0.2xSSC/0.1%, SDS 42℃ (Ausubel et al., 1989, 上記)がある。他の中程度に厳格な条件としては、例えば、
Current Protocols in Molecular Biology, Vol. I, Ausubel et al., (eds. ),Green Publishing Associates, Inc.,及びJohn Wiley & Sons, Inc., 1989, pages 2.10.1-16及びMolecular Cloning : A Laboratory Manual, 第2版, Sambrook et al. Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989, pages 9: 47-57に記載がある。
第3の特徴として、本発明は治療を必要としている被験者の治療法を提供する。その治療は被験者にCAB及びCABの基質であるプロドラッグを投与することを含む。他の実施の形態においては、本発明は被験者にCABを投与することにより被験者を治療の方法を提供し、更にその方法はBLA及び、BLAにより活性薬剤に転換されるプロドラッグを含む。この実施の形態における適当なプロドラッグの例には、例えば、Melton et al., Enzyme-Prodrug Strategies for Cancer Therapy, Kluwer Academic/Plenum Publishers, New York (1999), Bagshawe et al., Current Opinion in Immunology 11: 579-83 (1999) 及びKerr et al., Bioconjugate Chem. 9: 255-59 (1998)に記載がある。他の実施の形態においては、CABは特にCAB1. 6, CAB1. 7, 又はCAB1.7iである。
酵素/プロドラッグ/活性薬剤の組み合わせは、例えば、Bagshawe et al., Current Opinions in Immunology, 11: 579-83 (1999); Wilman, “Prodrugs In Cancer Thermotherapy” 14, pp. 375-82 (615th Meeting, Belfast 1986) 及びV. J. Stella et al.,"Prodrugs : A Chemical Approach To Targeted Drug Delivery” “Directed Drug Delivery” R. Borchardt et al.,(ed), pp. 247-67 (Humana Press 1985) に記載がある。ある実施の形態においては、プロドラッグはペプチドである。プロドラッグとしてのペプチドの例については、Trouet et al., Proc Natl Acad Sci USA 79: 626 (1982), 及びUmemoto et al., Int J Cancer 43: 677(1989)に記載がある。これ等の,及び他の報告によると、ペプチドは血液中で十分安定的である。ペプチド由来のプロドラッグの他の有利な点は、そのアミノ酸配列が活性薬剤に半減期、組織分布及び低い毒性の様な薬剤に適した病理学上の特性を与えるように選択することができる点である。ペプチド由来のプロドラッグに関する報告の殆どは、例えば、リソソーム酵素(lysosomal enzyme)によるプロドラッグの活性化の様に比較的非特異的な活性化についてのものである。
プロドラッグは、一つ以上のステップで活性薬剤に転換することができるものである。例えば、プロドラッグはCABにより活性薬剤の先駆体に転換することができる。先駆体は例えば、一または二以上の追加CABの触媒活性により、被験者に投与された一または二以上の他の酵素に触媒活性により、被験者に自然に存在する、又は被験者の標的部位に存在する一または二以上の酵素(例えば、プロテアーゼ、フォスフォターゼ、キナーゼ、又はポリメラーゼ)により、被験者に投与された薬剤により、又は酵素的触媒でない化学的プロセスによって(例えば、酸化、加水分解、異性体化(isomerization)、又はエピマー化epimerization))活性薬剤に転換することができる。
現存する薬剤によるプログラムに従い生成されたプロドラッグの研究の殆どは問題のあるものである。特に、対癌薬剤は通常非常に低い治療指数しか示さないことが特徴的である。これ等の薬剤を、その毒性を低下させ、そして患部組織で選択的に活性化するプロドラッグに転換することにより、薬剤の治療指数は極めて大きく改善された(例えば、Melton et al., Enzyme-prodrug strategies for cancer therapy (1999), 及びNiculescu-Duvaz et al., Anticancer Drug Des 14: 517 (1999)を参照)。
タンパク質の操作及び方向付けられた発展により酵素の基質特異性を変える多くの方法を記した資料が存在する。この様に当業者は、自然発生的な酵素にとっては貧弱な基質である構造さえも受け入れることが出来る様に酵素の特異性を進化させることができる。それゆえ、そうでなければ薬剤がプロドラッグ戦略に影響を受けない様な場合でも、プロドラッグをデザインすることができる。
標的とする薬剤に結合された毒素を使った多くの調査検討がなされた(通常、抗体、又は抗体の断片)(Torchilin, Eur J Pharm Sci 11 Suppl 2: S81 (2000) 及び Frankel et al., Clin Cancer Res 6: 326 (2000)を参照)。これに対する代案としてはこれらの毒素をプロドラッグに転換し、そして選択的にこれを病気の組織に解放することである。
本発明のプロドラッグは、これに限定されるものではないが、以下を含む。すなわち、結合させる酵素により、より活性を持つ細胞毒の無い薬剤に転換され得るオールスタチン(aurstatins)、カンプトシン (camptothecins) 、リン酸含有プロドラッグ(phosphate-containing prodrugs) 、チオリン酸含有プロドラッグ(thiophosphate-containing prodrugs)、硫酸塩含有プロドラッグ (sulfate- containing prodrugs) 、ペプチド含有プロドラッグ(peptide-containing prodrugs)、 D-アミノ酸修飾プロドラッグ(D-amino acid-modified prodrugs)、グリコシル化プロドラッグ (glycosylated prodrugs)、β―ラクタム含有プロドラッグ (β-lactame-containing prodrugs) 、任意的に置換されたフェノキシアセトアミド含有プロドラッグ (phenoxyacetamide-containing prodrugs) 又は任意的に置換されたフェニールアセトアミド含有プロドラッグ(phenylacetamide-containing prodrugs)、5−フオロシトシン(5-fluorocytosine) 及び他の5−フルオロウリジンプロドラッグ (5-fluorouridine prodrug)を含む。本発明においてプロドラッグ形式に誘導されうる細胞毒性をもつ薬剤の例として、これに限定されるものではないが、エトポシド(etoposide)、テンポシド (temposide),アドリアマイシン(adriamycin), ダウノマイシン(daunomycin),アミノプテリン(aminopterin),ダクチンマイシン(dactinomycin),カルミノマイシン(carminomycin)マイトマイシン(mitomycins),cis-プラチナ(cis-platinum), cis-プラチナ アナログ(cis-platinum analogues) ブレオマイシン(bleomycins), エスペラマイシン(esperamicins) (米国特許番号4,675,187を参照),5−フルオロウラシル(5-fluorouracil),メルファラン(melphalan),他の関連するナイトロジェンマスタード(nitrogen mustards) 及びそれらの誘導体である (米国特許番号4,975,278を参照)。
本発明のある実施の形態においては、CABはエピトポドフィル-ロトキシン グルコシド(epipodophyl-lotoxin glucosides)の4リン酸誘導体を活性を持つ抗癌剤に転換するアルカリ性フォスファターゼ(alkaline phosphatase (AP))を含む。そのような誘導体には、エトポシド4リン酸(etoposide-4'-phosphate),エトポシド4チオリン酸 (etoposide-4'-thiophosphate) 及びテニポシド4リン酸 (teniposide-4'-phosphate)を含む。本発明の他の実施形態には、リン酸塩の小部分がグルコシドの他の水酸基に置かれているこれらのグルコシドのリン酸塩誘導体を含む。しかし、他の実施の形態においては、本発明のプロドラッグとして用いられるリン酸塩の誘導体は、エトポシド4−リン酸塩(etoposide -4'-phosphate), 又はエトポシド4−チオリン酸(etoposide-4'-thiophosphate)である。標的となるAPはプロドラッグから、リン酸基を取り除いて、活性を持つ対腫瘍剤を放出する。この実施の形態におけるマイトマイシン リン酸塩(mitomycin phosphate)プロドラッグは、マイトマイシンC(mitomycin C) 又は ポルフィロマイシン(porfiromycin)、または薬剤として受け入れられるそれらの塩のN7-C1-8アルカリ リン酸塩誘導体であることもある。N7は親薬剤のマイトサン(mitosane)核の7の位置に付着した窒素原子を差す。他の実施の形態では、使用される誘導体は、7-(2’-アミノエチルリン酸)マイトマイシン(7-2’aminoethylphosphate (mitomycin)(MOP))である。代案として、MOP化合物は9-メトキシ-7-[[(フォスフォキシ)エチル]アミノ]マイトサン 2ナトリウム 塩(9-methoxy-7-[[(phonooxy) ethyl] amino] mitosane disodium salt)と呼ばれることもある。本発明の他の実施の形態では、プロドラッグとして、N7−アルキル マイトマイシン フォスフォロチオエイト(N7-alkyl mytomycin phosphorothioates)を使用することを含むことがある。
更に、他の実施の形態においては、CABは新しいアドリアマイシンプロドラッグを活性のある対腫瘍薬剤アドリアマイシンに変換するペニシリン アミダーゼ酵素を含む。他の実施の形態においては、ペニシリン アミダーゼはフェノキシアセチルアミド結合 (phenoxyacetyl amide bonds)を加水分解するフルサリウム オキスポルム(Fusarium oxysporum)から分離されたペニシリンVアミダーゼ(PVA)である。使用されるプロドラッグは、効力を持つ抗腫瘍剤又はアドリアマイシンを放出するアミダーゼにより加水分解される、N-(p-ヒドロオキシ-フェノオキシアセチル)アドリアマイシン(N-p-hydroxy-pheno-xyacetyl) adriamycin)(APO))であっても良い。
本発明はまた、例えば、本質的に同様な方法で誘導化されうるアドリアマイシンプロドラッグ、N-(p-ヒドロオキシフェノオキシアセチル)アドリアマイシン(N- (p-hydroxyphenoxyacetyl) adriamycin)、又は他の関連するアドリアマイシンプロドラッグの使用を含む。例えば、N-(p-フェノオキシアセチル)アドリアマイシンを使用することは、又本発明の範囲内である。更に、本発明のアドリアマイシン プロドラッグには、アドリアマイシンの他のN-(ヒドロオキシフェノオキシアセチル)誘導体、例えば、本明細書に記載のヒドロオキシ基以外の他のフェニル環に置換基を含むN-フェノキシアセチル誘導体のみならず、フェニル環の異なる位置に置換基を持つものを含むと了解される。
更に、本発明の実施の形態においては、同様に誘導化されたプロドラッグに加えて、CABの一部としてペニシリンGアミダーゼのような他のアミダーゼの使用を含んでいる。そのため、特定のアミダーゼはそのプロドラッグを活性を持つ抗腫瘍剤の形に加水分解することができる。例えば、CABが更にペニシリンGアミダーゼを含んでいる場合には、プロドラッグはフェニルアセチル アミド基(phenylacetyl amide group)(APOのフェノキシアセチルアミド基(phenoxyacetylamide group)に対するものとして)を含んでいるものである。その理由はペニシリンGアミダーゼはこのタイプのアミド結合を加水分解するからである(A.L: Margokin et al., Biochem, Biophys Acta. 616, pp 283-89 (1980)を参照)。この様に、本発明の他のプロドラッグにはN-(p-ヒドロオキシフェニルアセチル アドリアマイシン(N-(p-hydroxy phenylacetyl adriamycin)、フェニルアセチル アドリアマイシン(phenylacetyl adriamycin)及び、任意選択的に他のアドリアマイシンの他の置換フェニルアセチル誘導体を含む。
本発明は、親薬剤のアミノ基をフェノキシ酢酸(phenoxyacetic acid)、フェニル酢酸(phenylacetic acid)又は他の関連する酸のカルボキシル基により反応させて得られるプロドラッグのいずれをも含むと了解されるべきである。
この様に、実質的に本明細書に記載のアドリアマイシンプロドラッグと同様の方法によりに誘導化され、又作用することのできるアドリアマイシン以外のアントラサイクリン(anthracyclines)のプロドラッグは、本発明の範囲に属する。例えば、本発明に従い製造され用いられる他のプロドラッグには、ヒドロオキシフェノオキシアセチルアミド(hydroxyphenoxyacetylamide) 誘導体、ヒドロオキシフェニルアセチルアミド(hydroxyphenyl acetylamide) 誘導体、フェノオキシアセチルアミド(phenoxyacetylamide)誘導体、及びダウノマイシン(daunomycin)、カルミノマイシン(carminomycin)の様なアントラサイクリン(anthracyclines)のフェニルアセチルアミド (phenylacetyl-amide)誘導体を含む。メルファラン(melphalan)、マイトマイシン(mitomycin)、アミノプテリン(aminopterin)、ブレオマイシン(bleomycin)及びダクチノマイシン(dactinomycin)の様なアミノを含む他の薬剤はまた本明細書に記載の様に本発明のプロドラッグを生産するために修飾することができる。
本発明の他の実施の形態は、サイトシン デミナーゼ(cutosine deaminase(CD))酵素を含むCAB形式のデミナーゼ酵素は、抗腫瘍活性を欠く化合物である5−フルロサイトシン(5-fluoro-cytosine、(5−FC))を抗腫瘍性を持つ薬剤である5−フルロウラシル(5-fluorouracil (5-FU))に転換することを促進する。
本発明の方法の他の実施の形態においては、幾つかのプロドラッグ及び単一のCABを用いる組合せ化学療法の方法を提供する。この実施の形態においては、多くのプロドラッグが使用されるが、それらは全て同じCABの基質である。この様に、特定のCABは多くのプロドラッグを細胞傷害性(cytotoxic)のある形に変え、腫瘍部位において抗腫瘍活性を増大させることとなる。
医薬用ペプチド、タンパク質又は小細胞の血液循環半減期を延長することがしばしば求められる。通常短い半減期―分単位か時間まで―では治療効果を上げるため、投与回数のみならず、投与量を増やすことが求められる。しかし、しばしば投与量が余りに多いため最初の投与のピークで副作用が生じることがある。そのような治療薬の半減期を伸ばすことにより、投与の量を減らし、より少ない回数で済み、そのためより安全な投与で済むことなり、費用も安い。これまで研究者は、タンパク質をPEGに共有結合させて融合させることによりタンパク質の半減期を延ばした(米国特許番号5,711,944, ヒトの血清アルブミン、米国特許番号5,766,883又はFc断片、WO00/24782を参照)。更に、ヒトの血清アルブミンを薬剤の非特異的標的とすることがインビボでの化学結合により達成された(米国特許番号5,843,440を参照)。更に、癌の薬剤においては、浸透性及び滞留性の増大により高分子量薬剤を腫瘍に局地化することが可能であるとの提案なされている。この様に、薬剤をタンパク質又は他の高分子量のポリマーにリンクさせることにより薬剤の治療指数の向上が可能となる。
本発明の他の実施の形態においては、被験者の治療法において被験者にβラクタマーゼ活性及び持つCAB及びプロドラッグを投与することを含む方法を提供する。他の実施の形態においては、CABはCEA発現細胞、組織、腫瘍、又は器官を標的に置く。他の実施の形態においては、プロドラッグはCABにより活性を持つ薬剤に転換される。他の実施の形態においては、活性薬剤はアルキル化剤である。他の実施の形態においては、プロドラッグは抗がんナイトロジェンマスタード(nitrogen mustard)プロドラッグである。他の実施の形態においては、活性薬剤はメルファランである。他の実施の形態においては、プロドラッグはグルタリル-C-Mel(glutaryl-C-Mel)又はグルタリル-C-Mel-L- Phe-NH2(glutaryl-C-Mel-L-Phe-NH2) (例えば、Senter et al, 米国特許番号5,773,435,及びKerr et al., Bioconjugate Chem. 9:255-59(1998)を参照)。本特許は、そのすべての図面を含み引用により本明細書に組み入れられる)。他の実施の形態においては、プロドラッグはC-Melである(Kerr et al., Bioconjugate Chem. 9:255-59(1998)を参照)。他の実施の形態においては、プロドラッグはビンカ−セファロスポリン(vinca-cephalosporin)又はドクソルビシン セファロスポリン(doxorubicin cephalosporin)である(Bagshawe et al., Current Opinion in Immunology, 11: 579-83 (1999)を参照)。本発明において使用可能な他のプロドラッグ/酵素の組合せには、これに限定されるものではないが、米国特許番号4,975,278 及び Melton et al., Enzyme-Prodrug Strategies for Cancer Therapy Kluwer Academic/Plenum Publishers, New York (1999)に記載のものがある。
第四の特徴として、本発明はCAB分子を含む薬剤組成物を対象とする。CAB、それらをコードする核酸、及びある実施の形態においては、本明細書に記載のプロドラッグは投与に適した薬剤の組成物に組み入れることができる。
そのような組成物は、通常、活性を持った組成物、及び薬剤として受け入れられるキャリアーを含む。
ここで用いる用語「薬剤として受け入れられるキャリアー」(pharmaceutically acceptable carrier)は薬剤の投与に適合する、全ての溶媒、拡散剤、被覆剤、抗細菌及び抗真菌剤、等張及び吸収遅延剤などを含む。薬剤として活性を持つ基質としてのその様な媒体及び試薬の使用についてはその分野でよく知られている。通常の媒体又は試薬が活性を持つ化合物と適合可能でない場合を除き、それらを組成物に使用することが試みられる。補助的活性をもつ化合物も組成物中に含めることができる。
本発明の方法には、対象とするCAB、プロドラッグ又は核酸の発現又は活性を調節するための薬剤組成物の生成方法を含む。そのような方法は、対象とする活性化合物の発現又は活性を調整する試薬により、薬剤として受け入れられるキャリアーを調整することを含む。そのような組成物は更に追加的な活性試薬を含む。この様に、本発明は更に、対象とするCAB、プロドラッグ又は核酸及び一又は二以上の追加的活性を持つ化合物の発現又は活性を調節する試薬を用いて、薬剤として受け入れられるキャリアーを調整することにより薬剤組成物を生成する方法を含む。
本発明の薬剤組成物はその投与の方法と適合可能な様に調整される。投与の方法の例には、例えば、静脈、皮内、皮下、経口(例えば、吸入による)、経皮性(局所の)経粘膜及び直腸のような非経口的投与を含む。非経口的、皮内又は皮下への適用のための溶液、懸濁液は以下の組成を含む:
注射のための水、塩水、不揮発性油、ポリエチレン グリコール、グリセリン、プロピレン グリコール、又は他の合成溶媒の様な滅菌希釈液、;ベンジル アルコール、メチル パラベンの様な抗菌剤、;アスコルビン酸又は二亜硫酸ナトリウムの様な抗酸化剤;エチレンジアミンテトラ酢酸のようなキレート剤; 酢酸塩、クエン酸塩、リン酸塩の様な緩衝剤; 及び塩化ナトリウム、デキストローズの様な張力調整剤のための試薬である。
pHは、塩酸又は過酸化ナトリウムのような酸または塩基で調整することが出来る。非経口的薬剤は、ガラス又はプラスチックでできているアンプル、使い捨て注射針、又は複数回投与ビンに封入することができる。
注射用に用いるのに適当な薬剤組成物には、殺菌された水性液(可水性)又は拡散液、及び殺菌された注射液、又は拡散液の即時調整のための殺菌された粉末を含む。静脈投与のための適当なキャリアーには生理食塩水、静菌性の水、Cremophor EL (商標) (BASF; Parsippany, NJ) 又はリン酸緩衝液(phosphate buffered saline (PBS))を含む。全ての場合において、組成物は殺菌されており、注射針により容易に吸い込みが可能な程度に流動性がなければならない。製造中、及び保存時に安定的な条件におかれ、細菌及び真菌のような微生物に汚染されないように保存されなければならない。キャリアーは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレン グリコール、及びポリエチレン グリコール液等)及びこれらの適当な混合物を含む溶媒又は拡散媒体であっても良い。
流動性は、例えば、レシチンなどの被覆剤を用いて、拡散の際に必要な粒子サイズを保つよう維持され、及び界面活性剤の使用により適当に保つことが出来る。微生物の活動は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロザール(thimerosal)等の種々の対細菌、対真菌剤を用いることによりを防ぐことが出来る。多くの場合、組成物中に、例えば、糖; マニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム等のポリアルコールの様な等張剤を含むのが好ましい。注射用の組成物の吸収を長引かせるためには組成中に吸収を遅らせる試薬、例えば、モノステアリン酸アルミニウム(alminum monostearate)及びゼラチンを含ませることが出来る。
殺菌した注射液は活性のある化合物を適当な溶媒に必要な量を、必要に応じて、上に記した一又は複数の成分の組合せと共に適当な溶媒に入れることで作り得る。通常、分散は、活性を持つ化合物を基本の分散媒体と上に記したものの中から選んだ必要な他の成分を含む殺菌された賦形剤に組み込むことで作る。殺菌された注射液の生成のための殺菌粉末の場合には、好ましい生成方法は、上記成分の粉末プラス事前に殺菌されたフィルターを通したこれらの溶液から得られる所望の追加的成分を作り出す真空乾燥及びフリーズドライ法である。
経口組成物は、通常、不活性希釈剤又は食用に適するキャリアーを含む。これらはゼラチンカプセル又は錠剤に圧縮して封入することが出来る。経口的治療での投与では、活性を持つ化合物は賦形剤と共に用いることができ、錠剤、トローチ又はカプセルの形で使用することができる。
経口組成物は又、流体キャリアーに含まれるその化合物が経口的に使用され、口内で濯ぎ、吐き出され又は飲み込まれる口内洗浄剤としての流体キャリアーを用いて作ることも出来る。
薬剤として適合可能な結合剤、及び/又は補助剤は組成物の一部として含んでも良い。錠剤、ピル、カプセル、トローチ等は以下のいずれの成分又は同様な性質の化合物を含んでも良い:微結晶性セルロース、ガム トラガカント(gum tragacanth)又はゼラチンのような結合剤、でんぷん、ラクトースのような賦形剤、アルギン酸、プリモゲル(Primogel)、コーンスターチのような分解試薬、ステアリン酸マグネシウム, 又はステロート(Sterotes)のような潤滑剤; コロイド状シリコン ジオキサイドの様な流動促進剤;蔗糖、又はサッカリンのような甘味料; 又はペパーミント、メチル サリチル酸塩又はオレンジ香味料のような香味添加剤である。
吸入投与のためには、化合物は二酸化炭素又は噴霧器のようなガス加圧容器、又は適当な噴射剤を含む容器からエアロゾルスプレーの形で噴出される。
系統だった投与は、又経粘膜的又は経皮的方法によることも出来る。経粘膜的、又は経皮的投与では、浸透すべき障壁に適した浸透剤が製剤に用いられる。その様な浸透剤として通常知られているものには、例えば、経粘膜的投与には、洗浄剤、胆汁塩、及びフシジン酸(fusidic acid)の誘導体を含む。経粘膜的投与は鼻腔スプレー、又は座薬の使用により行うことが出来る。経皮的方法による投与では、活性を持つ化合物は通常その分野で知られている軟膏、ゲル又はクリームに製剤される。
化合物は、直腸での配出のための座薬(例えば、ココアバター、及び他のグリセリドの様な通常の座薬基剤を用い)又は滞留かん腸の形で準備されうる。
ある実施の形態においては、活性化合物は、インプラント及びミクロカプセル配出システムを含み、注入制御薬剤(controlled release formulation)の様に体内から化合物が急速に排除されるのを防止するキャリアーを用いて生成される。
生体分解性のある、生体適合性のあるポリマー、例えば、エチレンビニル酢酸(ethylene vinyl acetate)、ポリアンヒドライド(polyanhydrides)、ポリグルコル酸(polyglycolic acid)、コラーゲン、ポリオルトエステル(polyorthoesters)及びポリ乳酸(polylactic acid)を使用することができる。これらの製剤を調整する方法は当業者にとって明らかであろう。これらの材料は又、Alza Corporation 及び Nova Pharmaceuticals,Incから購入可能である。リポソーム懸濁液(ビールス抗原に対するモノクローン抗体で感染細胞を標的とするリポソームを含む)もまた薬剤として受け入れられるキャリアーとして用いることが出来る。例えば、米国特許番号4,522,811に記載のようにこれらはその分野の当業者に知られた方法により準備することが出来る。
投与の容易さ、及び投薬量の均一さにおいて経口又は非経口組成物の単位投薬量を決めることが特に有益である。本明細書で用いられる投与量単位の形式は、治療を受ける被験者にとり単一の投薬量として適している物理的な個々の単位(discrete unit)を指す。各単位は、必要な薬剤キャリアーと共に、所望する治療効果を生み出すように計算された事前に決められた量の活性化合物を含む。本発明の単位投薬量の形式の仕様は、活性化合物の独自の特徴及び達成すべき特定の治療効果、及び個体の治療に用いる活性化合物が固有に持っている化合する場合の制限により、決められ、また直接それに依存する。
通常、被験者に用いられるCABの量は多くの要因、例えば、投与のルート、CABの活性、対象とされる被験者の細胞、組織又は器官に対して特に目標とされるべき程度、非特異的に結合するCABを被験者から除くに要する時間、望まれる治療効果、被験者の体重、年齢、一般的健康状態、性別、食事量、CABに対する被験者の免疫反応、他に使用されている薬剤又は行われている治療、病気の程度、これまで、又はこれからの予期される治療のコースに依る。
プロドラッグが投与される適用例で、治療上有効な投与量に影響を与える他の要因には、例えば、すでに投与されたプロドラッグの量、プロドラッグの活性及び、それに対応する活性薬剤及び副作用又はプロドラッグ及び活性薬剤の毒性を含む。
CABの質量/被験者の体重の範囲の例には、例えば、約0.001から30mg/kg体重、約0.01から25mg/kg体重、約0.1から20mg/kg体重、約1から10mg/kg体重、2から9mg/kg体重、3から8mg/kg体重、4から7mg/kg体重、又は5から6mg/kg体重を含む。
ある特別な例では、被験者は約0.1から20mg/kg体重の範囲のCABで、1週に一度で約1週間から10週間、好ましくは2週間から8週間、好ましくは約3週間から7週間、好ましくは約4,5,又は6週間治療されるのが良い。又特定の治療の期間に亙り、CABの効果的投与量は増量され又は減量され、そして治療は、所望の効果が達成できるまで、又は他の理由により治療が中止されるまで、その内容に変更を加え又は変更なしに継続されるのが好ましい。投与量を変えることによるその得られる結果は、本明細書に記載の診断アッセイ結果から明らかとなるであろう。
本発明のある実施の形態においては、プロドラッグもまた被験者に投与される。プロドラッグの適当な投与量は、通常の技術を持った医者、動物医及び研究者の知識の範囲における多くの要因に依存すると理解される。プロドラッグの投与量は、例えば、CABの効果的な投与に影響を与える要因として上記したものと同じ要因に依存するであろう。模範的な投与は、被験者、又はサンプルのkg当たり体重に対してミリグラム、又はミクログラム量のプロドラッグを含む(例えば、kg当たり約1ミクログラムからkg当たり約500ミリグラム、kg当たり約100ミクログラムからkg当たり約5ミリグラム、kg当たり約1ミクログラムからkg当たり約50ミクログラム)。更にプロドラッグの適当な投与量は、所望される治療効果に関するプロドラッグの有効性に依存することを理解する必要がある。動物(例えば、ヒト)に一又は二以上のプロドラッグが投与された場合、医者、動物医又は研究者は、例えば、まず最初は比較的低い投与量を処方し、ついで適当な反応が得られるまで次第に投与量を増やすようにするのが良いかもしれない。
好ましくは、CABが被験者に投与され、そしてプロドラッグが処方されるのが良い。より好ましくは、CABの投与とプロドラッグの投与の間の時間は、CABがその標的部位に結合しその部位に蓄積するのを許すに十分であり、そして被験者の身体の非標的部分から非結合のCABを除去するに十分な時間であるのが望ましい。最も好ましくは、被験者の身体での、標的結合CABと非結合CABの比率が、プロドラッグが投与された際に、最高もしくはそれに近いのが良い。CABを投与してこれに到達するに必要な時間は、クリアリング(clearing)時間と呼ばれる。クリアリング時間は、例えば、検知可能なCAB(例えば、放射線でラベルした、又は蛍光色でラベルしたCAB)を被験者に投与し、同時に標的部位及び非標的部位の酵素の量を、時間間隔を決めて測定することにより決定し、又は実験的に概算算出することが出来る。あるプロドラッグでは、特にその対応活性薬剤が高度に毒性を持つものである場合は被験者の体内システムでの非結合CABのレベルがある閾値以下であることを確認することはより重要である。これは又上に述べたように、実験的にも確かめることが出来る。
ある実施の形態においては、プロドラッグの投与は体系的に行われる。他の実施の形態においては、プロドラッグの投与は結合標的に対し、又はその近隣に対してなされる。製剤組成物はコンテナー、パック、引き抜き容器又はキットに、投与のための説明書と共に含ませることが出来る。
実施例
実施例1: scFvの安定化
pME27.1の構築
プラスミドpME27.1は、pelB リーダ、CAB1-scFV及びBLA の小部分をコードするBgl I‐EcorR V断片を発現ベクターpME25 (図6を参照)に挿入することにより生成された。CAB1-scFVをコードするための挿入断片は、Boehm,M.K.,A.L.Corper,T.Wan,M.K.Sohi,B.Sutton,J.D.Thornton,P.A.Keep,K.A.Chester,R.H.Begent及びS.J.Perkins(2000)Biochem J 346 Pt 2,519-28, 抗(癌胎児性抗原)一本鎖Fv抗体MFE-23の結晶構造(Crystal structure of the antigen single-chain Fv antibody MFE-23)及び分子間接触に基づく抗原結合モデル(a model for antigen binding based on intermolecular contacts)に記載されているscFv MFE-23の配列にもとづくAptagen (Herndon, VA)により合成された。合成遺伝子(pPCR-GMEl) 及び pME25を含むプラスミドはBgll及びEcoRVにより消化され、ゲル精製されそしてTakaraリガーゼにより結紮された。結紮はTOP10(Invitrogen, Carlsbad, CA) 電気的に有能な細胞(electrocompetent cells)に転換され、5mg/lクロラムフェニコール(chloramphenicol)及び0.1mg/lセフォタキシム(cefotaximeを含むLA媒体に塗布された。
プラスミドpME27.1の概観図は図6Aに示す。重鎖及び軽鎖領域を示すCAB1配列は図6Bに示す。アミノ酸配列は又、リンカー及びBLAと共に図6Dに示す。
突然変異のための変異株の選択
CAB1-scFVのVH及びVL配列は、刊行されたヒトの抗体頻度分析と比較された。(Boris Steipe (1998))配列データ分析(Sequence Date Analysis, ドイツでのみ入手可能、Bioanalytik eds. H. Zorbas 及び F. Lottspeich, Spektrum Akademischer Verlag. S. 233-241を参照)。著者は、Kabatデータベースで発見されるヒトの抗体の可変部の配列をアラインさせ、そして各位置における各アミノ酸の発生頻度を計算した。これらのアラインメント(alignment)は図8に示す。特に図8Aはヒトの重鎖配列でのアラインメントの5つの最も豊富なアミノ酸の観察頻度のアラインメントを示す。図8Bはヒトの軽鎖配列でのアラインメントの5つの最も豊富なアミノ酸の観察頻度のアラインメントを示す。我々はこれらの頻度をCAB1の実際のアミノ酸配列と比べ、そして以下の基準を満たす33の位置を同定した:
・ その位置は、Kabatの分類による定義のCDRの一部ではない。
・ CAB1-scFVに見出されたアミノ酸の位置は、ヒトの抗体との相同性は10%以下である。
・ その位置はscFvの軽鎖における最後の6アミノ酸の一つではない。
得た33の位置は組み合わせ変異(combinatorial mutagenesis)に選ばれた。
突然変異のオリゴヌクレオチドは、33の位置のそれぞれに対して合成されたため、標的の位置はCAB1-scFVのアミノ酸から、ヒトの抗体の相同位置における最も豊富なアミノ酸に変えられるであろう。図6BはCAB1-scFVの配列CDR及び組み合わせ変異に選択された変異体を示す。
ライブラリーNA05の構築
(Construction of Library NA05)
表1は、組合わせライブラリーNA05を生成するのに用いられた33変異オリゴヌクレオチドの配列をリストする。
QuikChange 多部位特異的突然誘発法変異キット(multi site-directed mutagenesis kit (QCMS; Stratagene Catalog # 200514))が、33変異プライマを用いた組合わせライブラリーNA05の構築に用いられた。プライマは、テンプレートプラスミドpME27.1に基づき、対象とするコドンのそれぞれの側面に位置する17の塩基を持つようにデザインされた。対象となるコドンは、大腸菌使用表を用いて、適当なコンセンサス アミノ酸(consensus amino acid)をコードする様に変えられた。プライマは全て、テンプレートDNAの同じ鎖にアニールされるようにデザインされた(すなわち、この場合プライマは全て前方(forward)プライマである)。QCMS反応は、使用されるプライマの濃度を除いては、QCMSマニュアルに記載の通りに実施された;QCMSマニュアルには、反応では各50ngプライマを用いることが推奨されているが、ここでは各3ngのプライマを用いた。他のプライマ量も使用しても良い。特に反応では、50-100ng テンプレートプラスミド (pME27.1 ;5178bp), 1μlのプライマ混合 (各0.3μM プライマを含み、全てのプライマを合計した10μMのストックプライマ), 1μl dNTPs (QCMS キット), 2.5μl 10xQCMS 反応緩衝液, 18.5μl脱イオン水及び1μl酵素ブレンド(QCMSキット)、全容量で25μlを含む。熱サイクルプログラムは、1サイクル95℃で1分間、続いて95℃で1分を、55℃で1分を30サイクル、そして65℃で10分間行った。DpnI 消化は1μl DpnI (QCMS キットに含まれる)を加え、37℃で2時培養し、さらに1μlDpnI を加えて37℃で更に2時間培養した。1μlの反応は、50μlのInvitrogenのTOP10の電気的有能な細胞に転換された。電気穿孔の後に250μlのSOCが加えられ、続いて37℃で振動培養が1時間行われた。その後、活性BLAクローン選択のために、10−50μlの形質転換ミックスが5pmクロラムフェニコール(chloramphenicol (CMP))と共に、又は5ppm CMP 及び0.lppmセフォタキシム(cefotaxime (CTX))と共にLAプレートに塗布された。CMP+CTXプレートから得られた活性BLAはスクリーニングのために用いられ、CMPプレートからのランダムライブラリークローンはライブラリーの質をアセスするために配列が決定された。
16のランダム選択されたクローンが配列決定された。このクローンは1から7の異なる組合せを含んでいた。
改良発現のスクリーニング
TOP10/pME27.1はLB媒体中で37℃で培養され、手を付けていない融合タンパク質の濃度は一日後にピークに達し、融合タンパク質の殆んどは3日の培養の後に宿主プロテアーゼにより分解された。分解は,主にCAB1融合タンパク質のscFv部分で起きるように思われる。それは3日後には培養体はきわめて大量の遊離BLAを含んでいるためであり、これはWesternブロッティング(blotting)又はニトロセフィン(nitrocefin) (Oxoid, New York)活性アッセイにより探知することができる。この様に、37℃で3日以上の培養において、宿主プロテアーゼによる分解に抵抗したCAB1-scFVの変異体を検知することの出来るライブラリーNA05をスクリーニングした。
ライブラリーNA05は5mg/lクロラムフェニコール(chloramphenicol)及び0.1mg/l セフォタキシム(cefotaxime)(Sigma)を含むLA媒体を含む寒天プレートに塗布された。910コロニーが、5mg/lクロラムフェニコール(chloramphenicol)及び0.1mg/lセフォタキシム(cefotaxime)を含む100ul/ウエルのLA媒体を含む計10個の96−ウエルに移された。各プレートの4個のウエルはコントロールとしてTOP10/pME27.1で植菌され、プレート毎に一つのウエルが何もせずに残された。プレートは37℃で一夜成長された。次の日に培養は移転打刻ツールを用いて100μlの同じ培養体を含む新しいプレート(生産プレート)を植菌するのに用いられ、−70℃で保存されていたマスタープレートにグリセロールが加えられた。生産プレートは加湿されたシェイカーで37℃の温度で3日間培養された。各ウエル当たり100μlのBPER (Pierce, Rockford, IL) が細胞からタンパク質を放出させるため生産プレートに加えられた。生産プレートはPBST(0.125% Tween-20を含むPBS)で100倍に薄められ、そしてBLA活性は20ul希釈溶解物を180ulのニトロセフィン アッセイ緩衝液に移して測定され(0.125% オクトグルコピラノシド(octylglucopyranoside (Sigma) を含む50mM PBS 緩衝液中の0.1mg/ml ニトロセフィン(nitrocephin)を含む)、BLA活性はSpectramax plus plate reader (Molecular Devices, Sunnyvale, CA)を用いて490nmと決定された。
CEA(癌胎児性抗原(carcinoembryonic antigen, Biodesign Saco, Maine)は以下の手順を用いて測定された:98ウエル皿はウエル毎に100ulの各50mM炭酸塩緩衝液中に5μg/mlCEA、 pH9.6の炭酸塩を含む液で一夜被覆された。プレートはPBSTで洗浄され、300ulのカゼイン(casein)(Pierce, Rockford, IL)で1−2時間ブロックされた。100-1000倍に希釈された生産プレートの100ulサンプルがCEA被覆プレートに加えられ、プレートは室温で2時間培養された。続いて、プレートはPBSTにより4度洗浄され、そして200ulニトロセフィン(nitrocephin)アッセイ緩衝液が加えられ、BLA活性が上記の通りに測定された。
CEA結合アッセイにより決定されたBLA活性、及び溶解物プレートでの全BLA活性が比較され、変異体が同定された。変異体は高いレベルの全BLA活性及び高いレベルのCEA結合活性を示した。
勝者 (winner) は同様なプロトコールを用いて4つの複製であることが確認された。勝者は5mg/lクロラムフェニコール(chloramphenicol)及び0.1mg/lセフォタキシム(cefotaxime)を含む2mlのLB中で3日間培養された。タンパク質がBPER試薬を用いて細胞から放出された。結合アッセイが上に記す通りに実行されたが、溶解培養液の異なる希釈液が各変異体について試験された。図7Aは結合曲線をしめす。培養上清は又SDSポリアクリルアミド電気泳動法(SDS polyacrylamide electrophoresis)により分析された。図7BはNA05からの7つの変異体のエレクトロフェログラム(electropherogram)を示す。融合タンパク質の帯において変異体NA05.6はラベルをつけてある。表2は6個の変異体のランクを示す。データは標準化し、実行指標は計算値である。このデータは、NA05.6は融合構築体pME27.1と比べて、きわめて多量の融合タンパク質を作り出すことを示している。
ライブラリーNA06の構築
(Construction of NA06)
クローンNA05.6が最良の変異体として選ばれ、第2ラウンドの組み合わせ変異のためのテンプレートとして用いられた;クローンNA05.6はCAB1.1と名付けられた。
以下の変異種すなわち、K3Q,L37V,E42G,E136Q,M146V,F170Y,A194D,A234Gを持つ組合せ変異体を作り出すために、NA05ライブラリーを作るために用いられたと同じ変異体プライマのサブセットが用いられた。変異種はNA05ライブラリーの他の勝者において同定された。変異種S14Pをコードするプライマは、その配列がNA05.6(CAB1.1)に存在する変異種R13K及びT16Gと重なっているため用いなかった。組合せライブラリーは、上記に記載のようにQuikChange Multisiteを用いて構築され、NA06と呼ばれた。テンプレートはpNA05.6であり、1μlのプライマーミックス(各プライマー1.25μMを含む全プライマを組み合わせた10μM原液株)を使用した。
ライブラリーNA06のスクリーニング
スクリーニングは以下の修飾を含み、上記のように行われた:291の変異体のスクリーニングを3つの96ウエルプレートで行った。10μlサンプルを溶解物プレートからとり0.005%Tween-20及び10mM塩化カルシウムを含むpH7.0の50mMイミダゾール緩衝液(imidazole buffer)中の180μlの10μgサーモリシン(thermolysin)(Sigma)に加えられた。この混合物はNA05.6(CAB1.1)の不安定な変異体を加水分解するために,37℃で1時間培養された。このプロテアーゼにより処理されたサンプルを、上記した様にCEA結合アッセイを行うために用いた。
有望な変異体は上述の様に2ml媒体で培養され、サーモリシン処理の後サンプルの結合曲線を得た。図7Cは選択されたクローンの結合曲線を示す。多くの変異体が親であるNA05.6(CAB1.1)よりもサーモリシン培養の後により多くの結合活性を保持している。
表3はNA05.6(CAB1.1)よりもプロテアーゼに対する抵抗力の極めて大きい6変異体を示す。
6変異体は全てL37Vの変異種を持つ: この変異種は同じライブラリーから無作為に選ばれたクローンではまれであった。さらに試験をした結果、NA06.6変異体は全BLA活性が最高レベルを示し、全ての変異体の中で最高のプロテアーゼ抵抗力を示した。NA06.6が選定されCAB1.2と命名された。
実施例2:pH依存結合性を持つscFVの生成
突然変異の位置の選択
NA06.6(CAB1.2)のscFV部分の3次元構造がソフトパッケッジMOE(Chemical Computing Group, Montreal, Canada) 及びディフォールトパラメータを使って、クローン同族体の刊行された結晶構造MFE-23 (Boehm,M.K.,A.L.Corper,T.Wan,M.K.Sohi,B.J.Sutton,J.D.Throntin,P.A.Keep,K.A.Chester,R.H.Begent,及びS.J.Perkins(2000)Biochem J 346 Pt 2,519-28,抗(癌胎児性抗原)一本鎖Fv抗体MFE-23(Crystal structure of the anti-(carcinoemryonic antigen)single-chain Fv antibody MFE-23)及び分子間接触に基づく抗原結合モデル))に基づいてモデル化された。前記構造の空間充填モデルが視覚により検査された。CDRの側鎖は次のようにランク付けされた:0=埋没、1=部分的に露出、及び2=完全露出。CDR3への側鎖の距離は次のようにランク付けされた:0=側鎖配列CDR3の中、1=側鎖はCDR3から1アミノ酸離れており、及び2=側鎖はCDR3から2アミノ酸離れている。数は僅かであるが、CDRの側面に位置する残基は、その距離及び露出基準が合致すれば含めた。
このランキングに基づき、以下の側鎖を突然変異の標的とした。
a) 露出=2、及び距離=2又はそれ以下
b) 露出=1、及び距離2未満
CDR中の40位置がこの基準にマッチした。
図10は突然変異に選ばれたCDR及び残基を示す。
表4は突然変異に選ばれた40の部位の基準及び位置を示す。
ライブラリーNA08の構築
40の選択された位置が無作為にアスパラギン酸塩(aspartate)又はヒスチジン(histidine)により置換されている組合せライブラリーが構築された。ヒスチジン側鎖と炭化水素基間のイオン相互作用が、IgG分子及びFc受容体の間の相互作用のpH依存度の構造的基礎を作り出すことが報じられていたことより、置換基が選択された(Vaughn D. E. 及び P. J. Bjorkman (1998) Structure 6,63-73., 新生児のFc受容体によるpH依存性抗体の構造的基礎(Structural basis of pH-dependent antibody binding by the neonatal Fc receptorを参照)。
QuikChange 多部位特異的突然変異誘発法キット(multi site-directed mutagenesis kit (QCMS; Stratagene Catalog # 200514))が、40の突然変異プライマを使用してNA08組合せライブラリーを構築するために用いられた。プライマは、テンプレートプラスミドNA06.6(CAB1.2)に基づき、対象とするコドンの各側面に17塩基を持つようにデザインされた。対象とするコドンはアスパラギン酸塩(aspartate)又はヒスチジン(histidine)をコードする縮重コドン(degenerate codon) SATに換えられた。プライマは全てテンプレートDNAの同一鎖にアニールするようにデザインされた(即ち、この場合全てのプライマはフォワードプライマである)。QCMS反応は、使用されたプライマの濃度が異なる以外は、QCMSマニュアルどおりに行われた;マニュアルでは、反応においては各プライマは50−100ngを使用することを推奨しているが、結果的に低い親テンプレートの背景となるため、このライブラリーにおいて使用された各プライマの量は極めて少ないものであった。特に、全部で0.4μMのプライマが用いられた。最終反応における個々の縮重プライマ濃度は0.01μM(約2.5ng)であった。
QCMS反応は50−100ngテンプレートプラスミド(NA06.6, 5178bp)、1μlのプライマ混合物(上記の様に、所望のプライマ濃度を与えるために全プライマの10μMストック)、1μldNTPs(QCMS キット)、2.5μl 10xQCMS反応緩衝剤、18.5μl脱イオン水、及び1μl酵素ブレンド(QCMS キット)、を全25μl容量中に含む。熱サイクル(thermocycling)プログラムは1サイクル95℃で1分間、続いて55℃で1分、及び65℃を10分を30サイクル行った。DpnI 消化が1μl DpnI(QCMS キットに含まれる)を加えて行い、37℃で2時間培養し、0.5μl DpnIを加え、そしてさらに37℃で2時間培養した。各反応液の内1μlがInvitrogenの50μlのTOP10の電気的有能な細胞(electrocompetent cells)に転換された。電気穿孔の後に250μlのSOCが加えられ、続いて37℃で1時間振動培養した。その後、10から50μlの形質転換ミックスが、活性BLAクローンを選択するため5ppmクロラムフェニコール(chloramphenicol (CMP))を含むLAプレート、又は5ppm CMP 及び0.l ppm セフォタキシム(cefotaxime (CTX))を含むLAプレートに塗布された。両タイプのプレートで得られたコロニーの数は同等であった(10μl形質転換ミックスが塗布されたCMPプレートで652、CMP+CTXプレートで596コロニー)。CMP+CTXプレートの活性BLAクローンはスクリーニングに用いられ、CMPプレートの無作為ライブラリークローンはライブラリーの質をアセスするために配列が決められた。
反応のために用いたプライマを表4に示す。
変異体の配列化
変異体は5ppmのCMPを含むLA培養液5mL中で37℃で一夜振動培養された。ミニプレップ(Miniprep)DNAはQuiagen キットを使い生成され、各クローン中のBLA遺伝子は、M13逆プライマ(reverse primer)及びnsa 154fプライマを用いて配列が決められた。
M13逆プライマ:CAGGAAACAGCTATGAC
nsa 154fプライマ:GGACCACGGTCACCGTCTCCTC
pH依存結合のスクリーニング
ライブラリーNA08は 5mg/lクロラムフェニコール(chloramphenicol)及び 0.lmg/l セフォタキシム(cefotaxime)(Sigma)を含むLA媒体を含む寒天プレートに塗布された。552コロニーが、5mg/lクロラムフェニコール及び0.lmg/lセフォタキシムを含む各ウエル100ulのLA媒体を含む合計6個の96ウエルプレートに移された。比較のため各プレートの4つのウエルは、TOP10/NA06.0が植菌された。プレートは37℃で一夜成長させた。次の日に、培養体は移転刻印ツール(transfer stamping tool)を用い100μlの同じ媒体を含む新しいプレート(生産プレート)に植菌され、そしてグリセロールが−70℃で保管されていたマスタープレートに加えられた。生産プレートは加湿されたシェーカーで37℃で2日間培養された。細胞からタンパク質を放出するために、各ウエルごとに100μlのBPER(Pierce, Rockford, IL)が生産プレートに加えられた。
生産プレートはPBST(0.125% Tween-20を含むPBS) 中で100倍に薄められ、上記の様にBLA活性が測定された。
CEAとの結合(癌胎児性抗原、Biodesign Intl. , Saco, Maine)が、次の手順により測定された:96ウエルは各ウエル毎に100μlのpH9.6の50mM炭酸塩緩衝液中に5μg/mlCEAを含む液で一夜コートされた。プレートはPBSTで洗浄され、300ulカゼイン(Pierce, Rockford, IL)で1−2時間ブロックされた。生産プレートから取った100−1000倍に希釈された100ulのサンプルが、CEAにコートされたプレートに加えられ、プレートは室温で2時間培養された。その後に、プレートはPBSTにより4度洗浄され、200ulのニトロセフィン アッセイ緩衝液(nitrocefin assay buffer)が加えられ、BLA活性が上記のように測定された。CEA結合はpH 6.5 の50mMリン酸塩緩衝液、及びこれと別にpH 7.4 の50mMリン酸塩緩衝液中で測定された。
BLA活性はPH6.5及びpH7.4のCEA結合アッセイにより決められ、溶解プレートの全BLA活性が比較され、CEAに対してpH6.5で良好な結合を示すが、pH7.4では極めて弱い結合しか示さない変異体が同定された。PH6.5の場合とpH7.4の場合の結合の比較を図9に示す。
勝者は、5mg/lクロラムフェニコール及び0.lmg/lセフォタキシム(Sigma)を含む5mlのLB媒体で2日間37℃で培養することで確認された。次に培養体は遠心分離され、そして融合タンパク質を放出させるために、ペレットが375ulのBPER試薬中で懸濁された。BLA活性は上記の通りに決定された。一単位の活性とは1分当たり一mODの吸光度の増加をもたらすBLAの量と定義された。サンプルは全BLA活性の全量をベースに希釈され、各ウエルに種々のサンプル希釈液を加える以外、CEA結合アッセイは上記に記載通りに実施された。
CEAに対する変異体の親和性を反映する各サンプルの結合曲線を得ることができる。図11は対象とする幾つかの変異体のpH7.4及びpH6.5で測定したCEA結合曲線を示す。5つの全ての変異体はCEA結合のpH依存性が増大することを示している。親NA06.6はpH7.4の場合に比べて、pH6.5では僅かに結合が良いが、幾つかの変異体ではpH7.4の場合に比べて、pH6.5ではより強固な結合を示している。pH7.4ではCEAに非常に弱い結合しか示さないNA08.15変異体は、pH6.5では極めて強い結合をしめす。この変異体はCAB1.4と命名された。
以下の表5は結合力が最大の結合力を持つ変異体の変異を示す。
実施例3:CAB1.6を生成するCAB1.4の突然変異
CAB1.4の重鎖のCDR3の位置T100のコドンは飽和突然変異誘発
(saturation mutagenesis)に晒される。部位飽和突然変異誘発のための以下の相補的オリゴ:
ME239F: ATTATTGTAATGAGGGGNNSCCGACTGGGCCGTACTA
ME239R: TAGTACGGCCCAGTCCGSNNCCCCTCATTACAATAAT
は縮重コドン(NNS)が、CAB1.4と相同である17の塩基ペアにより両側面を接するように配されており、T100と調和するようにデザインされていた。オリゴペアは、製造者の提案するプロトコールに従い、CAB1.4 DNAをテンプレートとして用いるQuikChange (Stratagene)反応を実施するのに使用された。PCRサイクル後、反応混合物はDpnIにより消化され、及び1ulがInvitrogen TOP10電気的に有能な細胞の50ulを形質転換されるのに用いられた。選定マーカーを運搬し、突然変異の後にも活性を持つBLAを生産するクローンを選択するために、形質転換体(transformation)がLA + 5ppm CMP + 0.lppm CTXプレートに塗布された。プレートは、その後クローンをスクリーニングするために用いられた。スクリーニングの後に、T100L変異種(ACT-CTC)を持つクローンME184.1(=CAB1.6)が更に最適化されるために選定された。
実施例4:SW149.5を生成するCAB1.6の突然変異
通常のQuikChange突然変異プロトコール(Stratagene)により、プラスミドpME184.1をテンプレートとして用い、10の個々の部位飽和ミニライブラリーが、CAB1.6分子のH3 CDR(G99, P101−Y109)のアミノ酸残基のために作り出された。親和性を向上させるためスクリーニングした後、ミニライブラリーSW129からのクローンpSW129.5及びミニライブラリーSW134からのクローンpSW134.1が分離された。以下に記す様に、クローンpSW129.5はプライマME270F及びME270RからのT102L変異種を補充採用した。以下に記す様に、クローンpSW134.1はプライマME275F及びME275RからF107N変異種を補充採用した。クローンpSW129.5は更なる突然変異のためのテンプレートとし、又以下に述べる様にクローンpSW149.5を分離するために用いられた。
P104 及びY105の位置での幾つかの変異は又このスクリーニングで同定された。クローンpSW134.1のF107N変異種のみならず、これらの変異種をpSW129.5バックボーンに組み合わせるために、pSW129.5をテンプレートとして用いてプライマSW133F 及びSW133Rにより、限定されたランダムライブラリーが作り出された。そして、改善された発現及び親和性に基づきクローンpSW149.5が選択された。
上に述べた様に、以下のプライマが用いられた:
実施例5;CAB1.7を生成するSW149.5の突然変異
H2, L1及びL2 CDRsのアミノ酸残基の幾つかの限定的ランダム化は、幾つかの縮重プライマを用いて達成された。限定的ランダム化の標的とされた残基は:H2 CDR 中のD57, T58, P62 及び Q65; LI CDR中のS163, S165 及び S166、;L2 CDR中のS186及びS190 であった。これ等の変異体のスクリーニングにより、CEAに対する親和性をさらに向上させるタンパク質中の位置を同定することができた。ライブラリー SW155は、製造者推奨のQuikChange 多部位突然変異キット(multisite mutagenesis kit)(Stratagene)を使い、プライマSW134FP, SW135FP, SW136FP, SW137FP 及び SW138FPを用いて作り出された。結果のライブラリーはスクリーニングされ、最上の変異体、クローンpSW155. 17が選定されたが、CEAに対する結合力が極めて改善されていた。このクローンはCAB1.7と命名された。
ライブラリーSW155を生成するために以下のプライマが用いられた。
実施例6:CAB1.6i及びCAB1.7iの生成
図12はCAB1.6i及びCAB1.7iの発展及び変異種のプロセスへの取り込みを表す。
種々のCAB1変異体の標的結合特性を比較するために、上で述べた様に5mg/lクロラムフェニコール(chloramphenicol)を含むLB媒体中で25℃で3日間、対応する発現プラスミドを含む5mlのTOP10F培養体を成長させた。培養体は遠心分離され、残りの浮遊物は取り除かれた。細胞ペレットは500μLのB-PER試薬で再懸濁された。これを30分間培養した。各サンプル中のラクタマーゼ濃度が、上記の様にニトロセフィン(nitrocephin)を基質として用いて決定された。CEAでコートされたミクロタイタープレートへのサンプルの結合が、上記の様に、pH6.5 及び pH7.4の50mMリン酸塩緩衝液で調査検討された。結合曲線は図13に示す。
同様な実験により、変異体のLS174T細胞への結合が測定された。LS174T細胞は70% DMEM, 30% F12, 非必須アミノ酸、L-Glut, 及びピルビン酸ナトリウム(Sodium Pyruvate) (これ等は全てMediatech社製)を含む媒体中でウエル当たり1x105細胞で96ウエル ポリスチレンプレートに塗布され移植された。
プレートは加湿されたCO2培養基板で37℃で20時間培養された。細胞はその後4%フォルムアルデヒドを含むPBSで固定化された(Polyscience Warrington, PA)。プレートはPBSTで洗浄され、全ての反応基を抑えるために1mg/ml NaBH4 (Sigma)が各ウエルに加えられた。プレートは再度PBSTで洗浄された。CAB分子への結合が、CEA抗原に対する結合と同様に継続した。
図14はCAB1. 2, CAB1. 4, CAB1. 6, 及び CAB1.7 のLS174 T細胞に対する結合曲線を示す。CAB 1.7は、pH6.5において、同じpHでのCAB1.2の結合曲線と近似する結合親和性を持つ。対照的に、pH7.4における結合曲線は際立った違いを示す。pH7.4においてCAB1.7はCAB1.2に比べて腫瘍細胞に対する結合力が際立って弱い。驚くべきことには、CAB1.7の結合曲線は飽和水準に達するが、それはまたpHに依存する。このことより飽和点においてはpH7.4の場合に比べて pH6.5においてはより多くのCAB1.7分子が腫瘍細胞に結合することができることを示唆している。
実施例7:BLAのエピトープ除去
免疫分析(immune assay)が,記載のように(1998年4月15日出願の米国特許出願番号09/060,872)ベータラクタマーゼの配列で実施された。ヒトの人口に基づくCD4+T細胞ペプチドエピトープ決定因子の同定(Journal of Immunological Methods, 281: 95-108)。69の地域の提供者の末梢血細胞サンプルが用いられた。4つのCD4+T細胞エピトープが同定された。各ペプチドエピトープ配列に対し、必須残基(critical residue) テストが行われた。必須残基テストは、機能的及び構造的制限によりガイドされた特定アミノ酸の修飾に限られず、ペプチド配列のアラニンスキャン(alanin scan)の双方を含む。背景濃度(background level)まで増殖のレベルを下げたペプチドエピトーム配列が選定され、ベータラクタマーゼ酵素配列のDNA構築体に組み込まれた。修飾された酵素タンパク質変異体が発現され、精製され、そしてインビトロでヒトの末梢血細胞を用いて細胞増殖を誘発する能力が試験された。インビトロで細胞増殖を誘発するレベルが最低である変異体が選定されCAB1.6及びCAB1.7に含められた。
実施例8:CAB1.6i及びCAB1.7iの構築
以下に述べる様に、プラスミドpME184.1 (CAB1. 6)及びpSW155. 17 (CAB1.7)中のBLA遺伝子がエピトープを除去するK265A及びS568Aを含む脱免疫(de-immunized)BLA遺伝子を導入するために変異された。製造者推奨のQuikChange 多部位突然変異キット(multisite mutagenesis kit )(Stratagene)を使用して、プライマHR016F及びHR017F変異種をプラスミドpME184.1 (CAB1. 6)に組込み、その結果プラスミドpSW175.3(CAB1.6i)となった。プラスミドpSW169.3 (CAB1.7i)の構築のために、プラスミドpSW155. 17中のBLA遺伝子の0.9-kb Nrul 断片が、双方の変異種を含むプラスミドpCD1.1からの他の0.9-kb Nrul 断片と交換された。
次のプライマが用いられた。
HR016F (Phosp)GATTACCCCGCTGATGGCGGCCCAGTCTGTTCCAG
HR017F(Phosp)CTACTGGCGGGTTTGGCGCGTACGTGGCCTTTATTCCTG
実施例9:T1918腫瘍を持つ無胸腺マウスのCAB1.11i及びCAB1.13iの薬物動態解析及び組織分布
調査検討案は表6に概要を示す。50匹のメスハツカネズミ、体重18−22g、生後約6−8週間、Taconic Labsより入手したものに腫瘍由来のT918細胞が、DMEM 媒体の懸濁液中に5x107細胞/mL濃度で皮下注射により移植された。ハツカネズミはイソフラン(isoflourane)吸入により麻酔され、細胞が、100ul細胞懸濁液(約5x106細胞/1匹)の皮下注射により移植された。
腫瘍の移植後、ハツカネズミは最低毎日観察され、死に掛けている又は苦しんでいるハツカネズミは安楽死させられた。腫瘍は週2回測定された。
腫瘍が凡そ250mm3に達すると、39匹のネズミが、腫瘍の大きさ、成長率に基づき選定され、ランダムに4グループに分けられた。グループ1の3匹のネズミには何も投与せず、各グループ2−4の12匹には、CAB1.11i又はCAB1.13i(1mg/kg)の1回のIVボーラス(bolus)静脈注射を行った。CAB1.11i及びCAB1.13iは夫々0.05mg/mL及び/又は0.2mg/mL分量をPBSを用いて60分以内に注射した。1匹当たり約100uLが尾の血管より投与された。
ネズミの体重が投与日に測定され、投与量は全てのネズミの平均体重に基づいて決められた。ネズミは加熱ランプ及び加熱パッドで温められそしてレストレーナ(restrainer)に入れられた。尾は70%のアルコールで消毒し、一定量が尾の血管からボーラス静脈注射により投与された。投与後の6,12,24及び48時間後に各グループから3匹がイソフレンにより麻酔され、血液が心臓の穴からEDTAに集められた。血液サンプルは収集された後20分以内に遠心分離され、血漿分画(plasma fraction)が集められ、−70℃の冷凍室で冷凍された。
各グループから3匹のネズミがCABを投与後6,12,24及び48時間後に安楽死させられ、血漿、腫瘍、肝臓、及び腎臓が取り出され、CAB濃度が分析された。全てのネズミの肝臓、腎臓及び腫瘍が集められ、洗浄され、吸着され、重量を計られて液体窒素で瞬間冷凍された。コントロールグループの血液及び組織サンプルは治療開始前(at baseline)にのみ集められた。組織サンプルは15ug/mL アプロチニン(aprotinin) (2mL緩衝液: gram tissue)を含むPBS中氷上で均質化された。ホモジネート(homogenate)はB-PER(1:1)と混合され、遠心分離された。組織の上清(supernatant)及び血漿サンプル中のCAB濃度は、上記のニトロセフィン(nitrocefin)アッセイによりBLA活性を測定することにより決定された。
結果は図16に示す。
実施例10:LS174T SCIDモデル中におけるCAB1.2の24時間後に投与されたC-Mel又はグルタリル(glutaryl)C-Melの抗腫瘍活性
メスのCB17−SCIDハツカネズミ(生後7−9週間、Taconic Labsより入手)に血清を含まないDMEMで懸濁した2x10
6 LS174T細胞を、100ミクロリッター(Medimmune ACUC protocol # ACF037)皮下注射した。平均の皮下(SC)腫瘍の容量が約100−150mm
3である時、ネズミはランダムに治療グループに分けられた。検知可能な腫瘍を持たない、又は過度に大きな腫瘍(300mm
3容量より大きい)持つものは除外された。ネズミは調査検討案(表7)に従いCAB1.2及び/又はプロドラッグを与えられた。
1. 投薬液の生成
C-Melは次の通りに製剤される:DMSOにー70℃で冷凍保存されていた100mg/mLのC-Mel原液が解凍され、直ちに1.0Mの重炭酸ナトリウムに加えられた。C-Mel とNaHCO3の比率は3.5 :1(容量比)であり、そして攪拌され、5%の水性蔗糖液で最終濃度15mg/mlに希釈され、0.2ミクロンフィルターを通しろ過殺菌され、使用されるまで氷浴中に置かれた。
グルタール(Glutaryl)-C-Melは次の通りに製剤される:薬剤が計量され1.0M NaHCO3の3.0当量に溶解する。溶液は攪拌して良く混合し、5%の水性蔗糖液で最終濃度30mg/mlに希釈された。液は更に、PBSで20mg/mlに希釈され、投与されるまでアイスパック上に置かれた。
腫瘍を持つ動物に対しPBS中で製剤された100ミクロリットルCAB1.2を1mg/kgの割合で、尾の血管を通してシングルIVボ゛ーラス注射により与えた。CAB1.2を投与24時間後に、それらの動物は、調査検討案に従いC-Mel又はグルタリル-C-Melを75mg/kg又は150mg/kgの割合でシングルIVボーラス注射された。毒性は毎日の観察により及び週に1度体重測定によりモニターされた。腫瘍の容量測定は週2度行われた。平均腫瘍容量が2000mm3を超える治療グループは安楽死させられ、腫瘍が過度に大きい及び/又は壊死状態の個々の動物は安楽死させられた。
治療グループで、対象が6匹以下になった場合は、腫瘍の再成長に対して完全な反応を達成する個々の動物をモニターする場合を除き、それらのグループは安楽死させられた。データが収集され、全ての治療グループに平均腫瘍容量が+−SEMが決められ分析のためプロットされた(ポスト腫瘍挑戦日以降の日数対腫瘍容量)。
図17は腫瘍反応を示し、x軸は日単位の時間を示し、y軸はmm3で測定した腫瘍の容量である。
図18は毒性対生存関係を示す。x軸は日単位の時間を示し、y軸は生存ハツカネズミの整数値である。
図19は毒性対体重の関係を示す。x軸は日単位の時間を示し、y軸は体重のパーセントを示す。
実施例11:T-LS-174-T腫瘍を持つ無胸腺マウスのCAB1.2投与に続くグルタール(Glutaryl)-C-Mel-L-Phe-NH2効果及び毒性
表8は調査検討案の概要を示す。Taconic Labsより入手した40匹の体重18-22gのメスのNcrマウスに、TLS174T細胞に由来する腫瘍を2x10
7細胞/mLのDMEM懸濁液の皮下注射により移植した。動物はイソフラレン吸入により麻酔をかけ、細胞は100uL細胞懸濁液の皮下注射により移植された(約2x10
6細胞/マウス)。
原液が、ねじ込み蓋のついた滅菌ポリスチレンチューブ中でグルタール-C-Mel-L-Phe-NH2をDMSOに100mg/mL濃度になるまで溶解して準備した。原液はろ過殺菌したNaHC03(1M)により、重炭酸塩と薬剤のモル比が3:1になるまで希釈し、ボルテックスミキサーにより十分混合した。溶液は5%(w/v)の殺菌蔗糖により10mg/mLにまで希釈され、10%DMSO濃度とされた。原液は希釈後24時間以内に準備され、準備後60分以内に投与された。
腫瘍が約250mm
3以上になったとき、腫瘍サイズ及び成長率に基づいて20匹の動物が選定され4つのグループに分けられた。各5匹のネズミは何も投与せず、又はCAB1.2i(1mg/kg)を投与しその後CAB投与後24時間後にグルタール(Glutaryl)-C-Mel-L-Phe-NH2(50又は100mg/kg)を一回量投与したもの、又はCABを与えた後24時間及び48時間後にグルタール(Glutaryl)-C-Mel-L-Phe-NH2(100mg/kg)を2回量与えた。CABは、表9に示す様に0.2mg/mL濃度に、グルタール(Glutaryl)-C-Mel-L-Phe-NH2は10mg/mLに調剤された。
全ての試験品は希釈後及び製剤後60分以内に注射された。1匹あたり約100ul(CAB1.2i)又は200uL(グルタール(Glutaryl)-C-Mel-L-Phe-NH2)が尾の血管から投与された。腫瘍が約250mm3以上になったとき、動物はグループに分けられた。ネズミは投与の日(第一日目)に体重が測定され、そして投与量は全動物の平均体重に基づいて決められた。ネズミは熱ランプ及びヒートパッドで温められ、そしてリテーナに入れられた。尾は70%アルコールで消毒され、薬剤は尾の血管からボーラス静脈注射により投与された。
次に8日目及び、スケジュールによりその中間日(4又は5日目)に体重が側定された。動物は、かごの脇から中毒の兆候及び症状を示すか観察された。死に掛けた、又は苦しんでいるネズミは処分され検視された。死亡が確認された動物は2時間以内に検視が行われた。8日目に全ての動物はCO2吸入により安楽死させ、検視がなされた。全ての動物の異常組織、或いは器官のみならず、腎臓、腫瘍が病理組織を確定するために検視時にフォルマリンにより処理された。
腫瘍は45日に亙り週2回測定された。平均腫瘍容量が2000mm3を超える治療グループは安楽死させ、また腫瘍が過度に大きい及び/又は壊死状態の個々の動物は安楽死させた。45日目に全ての残っていた動物はCO22吸入により安楽死させた。
実施例12: SCIDハツカネズミにおけるヒトの結腸直腸モデルLS184T中のCAB1.2の抗腫瘍活性
メスのCB17-SCIDハツカネズミ(生後8−10週間、Taconic Labsより入手)が血漿を含まないDMEM中に懸濁された2x106LS184T細胞を含む100ミクロリットル容量を皮下注射された(Medimmune ACUC protocol # ACF)。平均腫瘍容量が約100−150mm3なったときに、動物はランダムに治療グループに配分された。検知可能な腫瘍のない動物、又は過度に大きな腫瘍(300mm3を越える)動物は除かれた。この調査検討においては、CAB1.2及びLS174T細胞に十分結合しないp97特異ADEPT構築(P97ADEPT)がポスト腫瘍細胞移植の8日、14日及び21日目に投与され、その後C-Melが投与された。
腫瘍を持つ動物が、PBS中のCAB1.2を皮内注射され(IV)、PBS中100ミクロリットル容量の注射により1又は2.5mg/kgの投与を受けた。DMSO中に100mg/mlのー70℃冷凍液として保存されたC-Melが新たに製剤され(15mg/ml、0.1M重炭酸ソーダ:PBSの比が5:4)そして、平均体重ベースに基づき一回量150mg/kgが、プロドラッグ治療を受けている全ての治療グループに、200ミクロリットル容量の注射により尾の血管よりIVボーラス注射された。メルファランが新たに製剤され(20%DMSO/PBS中2mg/ml)注射容量200ミクロリットルで腹腔内注射された。治療グループは下記の表10にリストされている。簡潔に言えば、CAB1.2を2.5mg/kg投与された動物は、CAB1.2の治療18又は36時間後にC-Melが投与された。CAB1.2を1mg/kg投与された動物はCAB1.2の治療の後24時間後にC-Melが投与された。コントロールグループは以下の通りである:治療なし、CAB1.2のみを2.5mg/kg、10mg/kgメルファラン、C-Melのみ、2.5mg/kg P97ADEPTそれに続き18時間後にC-Mel, 1.5mg/kg βラクタマーゼ(BLA、1.5mg/kg、これは使用された2.5mg/kg CAB1.2 BLAと同モル量である)、続いて18時間後C-Melを投与。治療は1週間に一度を3サイクル行った。腫瘍のサイズ(単位はミリ)測定が週2度行われ、腫瘍測定者は治療グループについて知らされなかった。
動物は一般的外観について毎日モニターされ、動物の体重が週に1度、腫瘍サイズが週に2度測定された。全ての治療グループのデータが集められ、腫瘍の平均容量の+−SEMが決められ、分析のためプロットされた(ポスト腫瘍チャレンジ(post tumor challenge)対腫瘍容量)。
調査検討の結果の有効性を図21−23に示す。ネズミが初めてCAB1.2タンパク質の接種を受けた8日目に、治療グループの平均腫瘍容量は約177mm3であった。この調査検討段階での腫瘍が倍になる時間は24−26時間であり、C-Melが18−36時間後に投与された場合、CAB1.2及びP97ADEPT治療グループの腫瘍の容量は殆ど2倍の315mm3となっていた。通常CAB1.2プラスM-CelをCAB1.2の投与後18、24、又は36時間後に受けた治療グループは未治療グループ、メルファラン、C-Mel,BLA又はCAB1.2コントロールグループに比べて大きく腫瘍の成長抑制を示した。
ポスト腫瘍チャレンジの24日目に18、24又は36時間後にC-Melが投与されたCAB1.2治療グループの腫瘍成長抑制率は、治療を受けていないグループの夫々70、75及び68%であった(p<0.05,両側T検定(two-tailed T-Test、各別々の分析に対し不等分散を仮定する)。15から34日を通じて、P97ADEPTを与えた18時間後にC-Melが投与された場合には、同様の腫瘍成長抑制率が認められた(24日目に非治療コントロールに対して〜63%の成長抑制、p<0.05)。これはBLA融合タンパク質の非特異的腫瘍内滞留があることを示唆する。その後、CAB1.2/C-Mel治療グループとP97ADEPT/C-Mel治療グループの腫瘍成長抑制率の分離があった。特に44日目に24時間CAB1.2/C-Mel治療グループとP97ADEPT/C-Mel治療グループを比べた場合、平均腫瘍容量に3倍の違いがあったが、これは大きな意味を持っている(各611mm3+−176対1871mm3+−379,p<0.05)。C-Mel治療グループを比較の基準に用いて、44日目に、24時間CAB1.2/C-Mel治療グループと18時間P97ADEPT/C-Mel治療グループは夫々89%と68%の腫瘍成長抑制率を示した(p<0.05対C-Mel治療グループ)。CAB1.2/C-Mel18時間及び36時間治療グループの残りの動物は、CAB1.2/C-Mel24時間治療グループとも一致する結果を示した(各々87及び89%の抑制効果)。24時間CAB1.2/C-Mel治療グループで測定可能な腫瘍の塊が明らかに完全に後退した動物が2匹あった(16日目及び44日目に判明)。34日目にBLA/C-Mel治療グループは抗腫瘍活性が極めて大きかった(65%腫瘍成長抑制対非治療コントロールp<0.05)。調査検討は44日目に終えた。
体重の減少(図21)、及び動物の死亡(図22)による治療に関連した毒性は、CAB1.2プラスC-Mel治療を受けているグループを含み各治療グループにおいて見られた。最初のC-Melが投与された日である9日目に、各個々の治療グループの平均体重が、各治療グループ内での腫瘍を持つ動物の体重ロスを決める際の基準値体重として用いられた。第3ラウンドのCAB1.2/C-Mel治療を終えたときに、CAB1.2の後18時間にC-Melを受けた治療グループは16日目に13%、24日目に21%の体重ロスを示した。治療中の手続の誤りにより14日目に動物1匹が死んだ。毒性に関係した死亡は次の通りである;27日目に2匹死に、30日目及び34日目に各3匹が死に、18時間CAB1.2/C-Mel治療グループの調査検討では全部で8/9の毒性関連の死亡であった。ポストCAB1.2の36時間後にC-Melを受けた治療グループは16日目に8%の体重減、24日目に20%の体重減であった。12日目に腫瘍部位に過度の壊死のある動物を1匹処分した。毒性関連の死亡は次の通りである;16日目に1匹が、27日目に2匹が、30、34及び37日目に各1匹が死んでいるのが発見され、36時間CAB1.2/C-Mel治療グループの調査検討で毒性関連で計6/9の死亡であった。
ポストCAB1.2の24時間後にC-Melを受けた治療グループは、16日目に12%の体重減、24日目に19.7%の体重減であった。毒性関連の死亡は次の通りである;30、34及び37日目に各1匹が死んでいるのが発見され、24時間CAB1.2/C-Mel治療グループの調査検討での毒性関連死亡は計3/10であった。
メルファラン治療グループは16日目に11%の体重減、24日目に12.5%の体重減であった。毒性関連の死亡は次の通りである;24、34及び37日目に各1匹が死んでいるのが発見され、メルファラン単独の治療グループの調査検討での毒性関連死亡は計3/10であった。BLA/C-Mel治療グループは24日目に16.7%の体重減が認められたが、上記以外の治療グループでは積極的治療グループに比べて重大な毒性の影響は見られなかった。
C-Melと組み合わせてCAB1.2を用いた場合、LS174T腫瘍モデルにおいて、個々の動物において80−90%以上の腫瘍成長抑制、及び幾らか腫瘍の後退が見られるという、著しい腫瘍成長抑制活性があった。積極的に投与するという計画に従った場合に治療グループの幾つかで毒性が生ずるということは予想されないことではなかった。3サイクルの治療は、体重減が非常に大きく、また動物が死亡する等毒性があった。しかし、特に1mg/kgのCAB1.2の投与を受けたCAB1.2/C-Mel24時間治療グループでは、2サイクル療法による受容できる毒性であることが示された。最大許容量(MTD)のメルファランが与えられた場合、動物の30%が死亡する結果となったが、これは24時間CAB1.2/C-Mel治療グループにおける死亡数と同様である。しかし、メルファランは、34日目における抑制率が34対86%である様に、24時間CAB1.2/C-Mel治療グループに比べはるかにその効果は劣る(CAB1.2/C-Mel18につき、p<0.05、p=メルファラン対非治療コントロールでは重要でない)。また、メルファラン治療グループでは腫瘍の後退が発生しなかった。これに対し24時間CAB1.2/C-Mel治療グループでは2/10の動物において明白な腫瘍の塊が完全に縮小した。この調査検討では、腫瘍での反応をさらに改善することなくしては、動物を過度に死亡させることなくメルファランのMTD量の投与量及びその回数をこれ以上増やすことはできない。P97ADEPT/C-Mel及びBLA/C-Mel治療グループはまた、極めて高い抗腫瘍活性を持っており、このことはC-Mel投与後18時間段階でのこの分子の非特異的腫瘍保持力を持つことを示唆するが、この調査検討の継続期間中において、24時間CAB1.2/C-Mel治療グループ程には効果はなかった。
図20はCAB1.2/プロドラッグの組合せを投与した後のコントロールと比較した動物の体重への影響を示す。x軸は日数を示し、y軸はグラムで計った治療グループの体重を示す。
図21はコントロールと比較したCAB1.2/プロドラッグの組合せの生存動物をプロットしたものである。x軸は日数を示し、y軸は生存動物数を示す。
図22はコントロールと比較したCAB1.2/プロドラッグの組合せの有効性を示す。x軸は日数を示し、y軸はmm3で測定した腫瘍の容量を示す。動物は実施例に記載の様に8,14及び21日目にCAB1.2及びコントロールを受けた。グループ3の1匹の動物は16日目、44日目に完全な反応があった(CAB1.2/24時間C-Mel)。これ等の動物の腫瘍容量値は、平均腫瘍容量計算において0mm3とした。
グループは次の通りである:
グループ1: CAB1.2/C-Mel(2.5mg/kg,18時間);
グループ2: CAB1.2/C-Mel(2.5mg/kg,36時間);
グループ3: CAB1.2/C-Mel(1mg/kg,24時間);
グループ4: 非治療コントロール;
グループ5: CAB1.2のみ(2.5mg/kg);
グループ6: GCR9885のみ;
グループ7: メルファラン(10mg/kg);
グループ8: P97ADEPT/C-Mel(2.5mg/kg,18時間);
グループ9: BLA/C-Mel(1.5mg/kg,18時間);
実施例13 無胸腺ネズミにおける腫瘍由来のヒトのT-LS174T結腸直腸腫瘍モデルでのCAB1.13i及びCAB1.11iの抗腫瘍活性
CAB1.13i及びCAB1.11iに続いて、腫瘍に由来するT-LS174T腫瘍を持つメスの無胸腺ネズミにグルタリルC-Melの投与の有効性を比較する調査検討を行った。
PBSを用いて、CAB1.11iは0.05mg/mL及び0.2mg/mLに、CAB1.13は0.2mg/mLに希釈された。薬剤は希釈後60分以内に投与された。グルタリルC-Melは重量が量られ3当量(3eq)の1.0 M
aHC03に溶解された。溶液はボルテックスでよく混合され、5%蔗糖水溶液で最終濃度30mg/mLにまで希釈された。溶液は更にPBSで20mg/mLにまで希釈され、投与までアイスパック上に保持された。
調査検討案は表11に示す。70匹のメスのネズミが腫瘍由来のT-LS174T細胞を、DMEM中2x107細胞/mL含む懸濁液の皮下注射により移植された。動物はイソフラレン吸入により麻酔をかけられ、細胞は100uL細胞の懸濁液(1匹当たり約2x106細胞)の皮下注射により移植された。
腫瘍が約250mm3以上に達したときに、腫瘍のサイズ、及び成長率をベースに50の動物が選ばれ、5グループに分けられた。各10匹のネズミは薬剤は何も与えず、又はCAB1.11i(1又は2.5mg/kg)、又はCAB1.13i(1mg/kg)を与えて、CAB投与24時間後にグルタリルC-Mel(150mg/kg)を投与した。CABは、0.05mg/mL及び/又は0.2mg/mLに製剤され、グルタリルC-Melは30mg/mLに製剤された。試験用品は全て希釈及び製剤後60分以内に注射された。ネズミ1匹当たり100uLが尾の血管から投与された。
1ポストCAB24時間投与
腫瘍の移植後、動物は最低限毎日観察され,死に掛けている又は苦しんでいる動物は安楽死させられた。腫瘍は週二度測定され、体重は毎週記録された。
腫瘍が250mm3以上になったとき、動物はグループに入れられた。ネズミは薬剤投与の日に体重が測られ、投与量は全ての動物の平均体重に基づいて決められた。ネズミは熱ランプ及びヒートパッドにより温められ、レストレーナに入れられた。尾は70%アルコールで消毒され、薬剤が尾の血管を通してボ゛ーラス静脈注射された。
平均腫瘍容量が2000mm3を超える腫瘍グループは安楽死させられ、又腫瘍容量が過度に大きく、及び/又は壊死状態の個々の動物は安楽死させられた。
調査対象が6匹以下になった場合は、腫瘍の再成長に対し完全な反応を示す個々の動物をモニターする場合を除き、治療グループの動物は安楽死させられた。死に掛けている、又は苦しんでいるネズミは処分された。
45日目に、残りのネズミはCO2の吸入により安楽死させられ、検視を受けた。異常な組織又は器官は組織病理検査のためフォルマリンにより固定された。全ての動物から腫瘍が集められ組織病理検査のためフォルマリンに入れられた。
体重及び平均腫瘍容量+−SDが全ての治療グループにつき計算され、分析のためプロットされた(パーセントの体重減少、及びポスト腫瘍チャレンジの日数対腫瘍容量)。
結果を図23に示す。
実施例14:Ropo2 抗体の構築
BLA、Ropo2に特異の抗体が、記載の通りに構築された。BLAはPBS緩衝液で懸濁され(1 mg/ml)、等容量のComplete Freund's Adjuvant(全容量0.6ml)と混合されて乳状にされ、初期の免疫付与のために背面部3−4箇所に皮下注射された。続く免疫接種は、ウサギ1匹あたり200ugの一回投与量のIncomplete Freund's Adjuvantを用いて行われた。回収のため関節の動脈より出血させ、血液は凝固に任せ、血清が遠心分離により集められた。血清は−20℃で保存された。
実施例15:標的抗原の分布及び結合特異性を評価のための腫瘍パネルIHC
この調査検討で用いられた冷凍組織サンプルはArdais’ BIGR Library (Ardais)より入手した。Genencorはウサギの多クローン性 抗−BLA抗体、Ropo2のみならず、CABを準備をした。IHC分析が用いられ、ポジティブコンロトールとして、サイトケラチン抗体 (Dako
Cytomation) が使用された。表12を参照願いたい。
冷凍サンプル温度−80℃までの間で除去され、−20℃で2時間置かれた。低温保持装置は20℃に設定され、切り取りサンプルは5μmの厚さに切られた。切断片は切断の間、Plus Slidesに置かれ、ドライアイス上の顕微鏡用スライドボックスに保存された。切断片は室温で30分間空気で乾燥された。切断片はアセトン中に室温で10分置かれた。断片はWash Buffer(Dako Cytomation,Code#044312、lot#044312)により、室温中で2-3回x5分洗浄された。IHCはDakoの自動染色器(autostainer)で行われた。抗体は抗体希釈液(Dako Cytomation, Code#S0809,Lot#123113)で希釈され以下の濃度にされた:CAB抗体0.2μg/ml及びRopo2抗体0.1μg/ml。
サンプルは約200μlまでのペロキシダーゼ阻害剤で室温で5分間培養された。抗体は洗浄緩衝液で2回5分洗浄された。サンプルは約200μlまでのタンパク質阻害剤で10分間培養された(Dako Cytomation, Code# X0909,Lot# 103183)。200μlまでのCAB抗体が室温で30分間加えられた。サンプルは洗浄緩衝液で2回x5分洗浄された。約200μlまでのDetection Systemの二次抗体が加えられ、30分間培養された。サンプルは洗浄緩衝液で2回x5分洗浄された。約200μlまでのRopo2抗体が加えられ、室温で30分間培養された。サンプルはWash Bufferで2回5分洗浄された。サンプルは200μlまでのChromagen(DAB+Detection Systemで提供(Envision+System,HRP(DAB)Rabbit)-Dako Cytomation,Code#K4011,Lot#11367))中で5分培養された。サンプルは蒸留水で5分間洗浄された。サンプルは、青の核染色を行うHematoxylin(Richard Allen,Code#7211,Lot#35053)で30秒間対比染色した。サンプルは5分間洗浄された。サンプルは青色染色試薬Bluing Reagent(Richard Allen,Code#7301,Lot#19540)に浸された。サンプルは蒸留水で5分間洗浄された。サンプルは95%エタノールで2回x2分間、及び100%エタノールで2回x2分間脱水され、キシレンで洗われた。サンプルはMedium(Richard Allen,Code#4111,Lot#18071)に置かれ、カバースリップが加えられた。
このIHC調査検討では、4つのCAB抗体、CAB1.2i15-merリンカー,CAB1.2i30-merリンカー,CAB1.l1i and Cab 1.14iが5個の肺、3つの結腸、及び5個の膵臓腫瘍サンプルからなる組織板(tissue panel)において比較し分析された。
図26は本調査検討の結果の全てを示す。第一欄はケース診断の詳細を示す、第二欄は元の組織、及び発見部位、第4欄は抗ヒトサイトケラチン(cytokeratin)AE1/AE3による染色を示し、第5欄から第8欄までは4つの抗体CAB1.2i15-merリンカー,CAB1.2i 30-merリンカー,CAB1.1li及びCab1.14iに対する染色を示す。
4つの抗体は、試験した全ての腫瘍サンプル中で強固な免疫染色(immuno-staining)(強度2−3+)を示し,それらの染色パターンは同一ではないが非常に類似していた。サンプルは、一つを除いて(CI000005496-FF5)存在する腫瘍の75%より大きい染色度を示した。最小の、薄い染色度(1-2+)が、これは冷凍された組織断片に時々見られるものだが、線維芽細胞及びたまに発生する混合炎症細胞を含み、間質細胞(stromal cell)にも観察された。壊死細胞及び肺胞マクロファージ(肺組織サンプルに見られた)は常に染色で陽性を示した。
サンプルに存在する隣接した正常の組織は、大半が陰性であり、正常な肺、又は膵臓組織には陽性の染色は無かった。サンプルCI00000008475、肝臓に転移した結腸癌のケースでは、正常な肝臓組織は薄い染色が見られたが抗体の内の3つ(CAB1.2i15-merリンカー,CAB1.li及びCAB1.2i 30-merリンカー)を持つ類同領域(sinusoidal region)に限られていた。第4の抗体(Cab1.14i)は、より強い、正常な肺の柔組織の90%に亙り染色が広がっていた。
試験をした4つの抗原の染色特性を比べると、唯一の最小の変化のみが観測された。試験をした4つの抗体中、Cab1.14iが幾らか背景染色(background staining)が多い様に思われた。
組織の抗原が適正に維持されているかを確認するために選定されたサンプルに、使用されたサイトケラチン抗体を使用したが上皮細胞に強い陽性の染色を示した。
「非一次抗体」コントロールでは染色は見られなかった。
実施例16:腫瘍由来のTLS174T腫瘍を持つメスの無胸腺ネズミにおける、CAB1.2i15-merリンカー,CAB1.2i30-merリンカー,Cab1.14i及びCAB1.1li及びそれに続くGC-Melの投与の場合の抗腫瘍活性
製剤(Formulation)
投薬液が投薬の日に、投与前の60分内に準備された。それぞれの製剤液のアリコートが取れら分析前にー70℃で保存された。CABはタンパク質濃度及びBLA活性が分析された。GC-Mel及びMelはその化合物の濃度が分析された。
GC-Melの生成
バルク薬剤が量られ、3.0当量の0.1M NaHCO3に溶解された。液はボルテクスにより良く混合され、上記の様に5%水性蔗糖液により最終濃度30mg/mLに希釈された。動物は100uLの製剤液の投与を受けた。
Melの生成
バルク薬剤が量られ、20%DMSOの酸性にしたPBS(pH4.0)中で溶解され、最終濃度2mg/mLにされた。動物は100uLの製剤液の投与を受けた。
種類・株・年・数・ソース
150匹のメスのNCR無胸腺ネズミ、体重18−22g、生後約6−8週間、Taconic Labsより入手したネズミにヒトのTLS174T結腸直腸腫瘍が移植された。100匹の動物が腫瘍サイズ及び成長率を基に製剤投与のために選定された。
調査検討案
調査検討案は表13に概括されている。ネズミは(検討日0)TLS174T細胞を移植され、腫瘍が250mm
3以上になったときに腫瘍サイズ及び成長率を基に100匹が選定され、同じような平均腫瘍サイズを持つ10グループに分けられた。各10匹のネズミが、CAB1.2i,15-mer,Cab1.14i、又はCAB1.1li(1又は0.25mg/kg)又はCAB1.2i30-mer(0.25mg/ml),及びそれに続きCAB投与24時間後にGC-Mel(150mg/kg)が投与された。各10匹のネズミは賦形剤(vehicle)、Mel(10mg/kg)又はGC-Mel(150mg/kg)が投与された。
15匹の動物が、20mMクエン酸ナトリウムと150mMのNACl、pH6.0を1:10の比率でPBSにより投与し、5匹は20%DMSOを含む酸性のPBS(pH4.0)を投与した。
2.CAB投与24時間後のポストGC-Mel投与
腫瘍移植
150匹のメスのネズミに、DMEM懸濁液の皮下注射により2x107の細胞/1匹の割でTLS174T細胞を移植した。動物はイソフロラン吸入により麻酔し、細胞は100uL細胞懸濁液(約2x106の細胞/1匹)による皮下注射で移植した。移植の日を検討日0とした。
投与量、観察及びサンプル収集
腫瘍の移植後、動物は最低毎日観察され死にかけている、又は苦しんでいるネズミは安楽死させた。腫瘍は週2回測定し、体重は毎週記録した。
腫瘍の大きさが250mm3以上になったものは、グループに分けられた。ネズミは投与の日に体重が計られ、薬剤の量は全ての動物の平均体重に基づくものであった。ネズミは熱ランプ及びヒートパッドにより温められ、レストレーナに置かれた。尾は70%のアルコールで消毒し、薬剤は尾の血管からボーラス静脈注射により投与された。
平均腫瘍容量が1500mm3を超えている治療グループ、及び個々の動物で腫瘍が過度に大きい及び/又は壊死しているものは安楽死させた。治療グループで、検討対象中6匹以下になった場合、腫瘍の再成長のために完全な反応を達成した個々の動物をモニターする場合以外は安楽死させた。
45日目に、残りのネズミはCO2吸入により安楽死させ、検視した。異常な組織又は器官は組織病理検査のためにフォルマリンで固定された。腫瘍は全ての動物から回収され細胞組織病理のためにフォルマリンに入れられた。
結果は図27に示す。CAB、及びそれに続くプロドラッグの投与により腫瘍の容量が縮少しているのが分かる。しかし、同じグループが幾らか体重を減少させた。
実施例17: TLS174T異種移植を受けたNCRヌードマウスに於ける、CAB1.14i又はCAB1.2i,15-mer投与に続き24時間間隔でCG-Mel投与した薬物動態及び細胞組織分布
製剤
薬剤液が投与の日に生成され、製剤後2時間以内に用いられた。薬剤の濃度は全てのネズミの平均体重に基づき、及びネズミ1匹あたり100μLとなるように調剤された。
種類・株・年令・数・源
NCR無胸腺ネズミ、生後約8−10週間、Taconic Labsより入手したネズミにヒトの結腸直腸腫瘍TLS174Tが移植された。TLS174Tはネズミを通したLS174Tから得られた細胞株である。LS174T細胞株はもともとATCCより購入したものである。TLS174Tは、絶えずマイコプラズマに感染していないことをテストされている。126の動物が腫瘍のサイズ及び成長率を基に薬剤投与の対象として選定された。
調査検討案
調査検討案は図14に概要を示す。動物は何も投与されないもの、静脈注射でCAB1.14i(1mg/kg)又はCAB1.2i,15-mer(1mg/kg)投与されたものである。CAB投与24、48,72又は96時間後に、動物はGC-Mel(100mg/kg)の1回分のボーラス注射を受けた。血漿、腫瘍、肝臓及び腎臓がCG-Mel投与後60分に亙りCG-Mel濃度分析のために集められた。
1投与の時間、ポストCAB1.2i15-mer又はCAB1.14i投与
2CG-Mel投与後の収集
腫瘍移植
ネズミはDMEM懸濁液による皮下注射で、2x10
7の細胞/mLのTLS174T細胞が移植された。動物はイソフルラン吸入により麻酔され、細胞が100uL細胞懸濁液による皮下注射により移植された(約2x10
6細胞/1匹)。
薬剤投与、観察及びサンプル収集
腫瘍の移植後、動物は最低毎日観察され、死に掛けている又は苦しんでいる動物は安楽死させられた。腫瘍は週2回測定され、体重は毎週記録された。
腫瘍の大きさが約200-400mm3になったものは、グループに分けられた。ネズミは投与の日に体重が量られ、薬剤の量は全ての動物の平均体重に基づくものであった。ネズミは熱ランプ及びヒートパッドにより温められ、レストレーナに置かれた。薬剤は尾の血管からボーラス静脈注射により投与された。
ネズミ全てサンプル収集の際に、イソフルラン吸入により麻酔された。血液は心臓への穿刺孔から収集し、EDTAを含む管に入れ氷上に置かれた。管は13,000rpmで2分間遠心分離された。血漿の断片は、あらかじめラベルを付けたミクロフュージ管に取り除かれ、ドライアイス上に置かれた。全ての血漿は分析に先立ち−70℃で保存された。
血漿サンプルは、LC/MS/MSにより血漿のCG-Mel濃度アッセイがされた。結果は図28−30に示す。本明細書に記載の発明の好ましい実施の形態より、当業者であれば、開示された実施の形態から種々の改変が可能と思われるが、このような改変は本発明の範囲に含まれると解される。
その技術分野の当業者であれば、本発明に固有のものに限らず、本発明を、本明細書に記載の目的を実施するために容易に改変されうることを、直ちに理解し、本明細書に記載の目的と利益を達成するであろう。本明細書に記載の分子錯体、方法、手続き、治療、分子、特定化合物は好ましい実施の形態の代表例であり、本発明の範囲を限定するものと解してはならない。本発明の範囲及び精神から離れることなく種々の置換、修飾を加えることは当業者にとって容易なことである。
本明細書に記載の全ての特許、刊行物はこの発明が関係する技術分野の当業者の水準を示すものである。全ての特許、及び刊行物は、それらの各刊行物が明示的に特定して、又個別に参照により本明細書に組み入れられると同様に、此処に参照により組み入れられる。特に、弁護士/弁理士整理番号839以下(例えば、839−2P)は、その図面を含めて、その全てが参照により本明細書に組み入れられる。
本明細書に説明により記載された発明は、特にそこで記載されていない要素、限定が含まれていない場合においても適切に実施しうると考える。用いられた用語、及び表現は記載のために用いられるもので、限定の意味に解してはならない。そのようは用語及び表現は、その特徴を持つ同等物及びその部分を除外するものではない、しかし、本発明の特許請求の範囲内において種々の修飾が可能であることを認識すべきである。このように、本発明は、好ましい実施の形態及び任意選択された特徴により特に開示されたものであるが、本明細書に開示された概念の、修飾及び変形は当業者により実施が可能であり、したがって、そのような修飾及び変形は特許請求の範囲に記載された、本発明の範囲内であると解される。
本発明は、広く又一般的な表現により記載されている。一般的な開示に含まれるより狭い範囲の種類、亜属のグループの夫々もまた本発明の部分を構成する。したがって、これは、排除された材料が特に本明細書に記載されているか否かを問わず、その属からあるものを除外するという条件又は否定的限定を持つ本発明の一般的な記載についても同様に適用される。