JP4981951B2 - 分散コンピューティングシステム - Google Patents
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Description
このような分散コンピューティングシステムにおいては、当該システムを構成するサーバに障害が発生した場合であっても、提供するサービスを継続することが求められているため、現行系サーバと待機系サーバ群を備える冗長構成が採用されていることが一般的である。
また、上記キャッチアップでは、現行系サーバがキャッチアップの指示を統括することになるため、自律的なキャッチアップをするものではなく、また、キャッチアップ時には、他の全てのサーバの動作を停止し、操作列を同期させてから再始動を行うという静的な処理を行うことができるにすぎないという課題が存在していた。
また、上記情報処理装置の処理状態は、ある一時点における処理状態に操作コマンド列を実行させることにより変化していくものであり、データベースのみならずメモリ上の対象となる状態(例えば排他用資源)をも含む概念である。
本発明の分散コンピューティングシステムS(以下、「本システム」という。)は、複数台のコンピューティングデバイス(情報処理装置)がインターネット及びLAN等の通信ネットワークNを介して接続されていることにより構成されている。以下、説明の便宜上、一台のリーダサーバLと、2台のエージェントサーバA,B(以下、3台のサーバを総称して「各サーバ」という場合がある。)を例とし、処理状態として、データベースDのキャッチアップを行う場合について説明する。
なお、各エージェントサーバA,Bの間でもタスクの遅れが生じることがありうるが、本システムSでは、そのような場合にも各装置が動作して、同様のキャッチアップが可能となっている。
図1及び図2に示すように、本実施形態の分散コンピューティングシステムSは、3台のサーバL,A,Bから構成されている。各サーバL,A,Bは、互いに通信可能に接続され、それらのIPアドレスを把握するクライアントKにネットワークNを介して接続されている。各サーバL,A,Bは、同一のデータベースDL,DA,DB(初期データベース)に格納されているデータに対して、クライアントKからの指示を受け、操作実行手段(図示せず)を介して、演算処理等の操作コマンド(列)を実行することにより所望のタスク(以下、「本件タスク」という。)を行うことができるようになっている。
各サーバL,A,Bは、それぞれ汎用コンピュータであり、CPU(図示せず)、キャッシュメモリM等を備えているが、説明の便宜上は、図2に示すように、そのCPU、記憶装置等のプロセッサ能力、ストレージ能力を合意形成部4L,4A,4Bと実行部5L,5A,5Bに分けることができるように構成されている。
図3に示すように、本システムSでは、各サーバL,A,Bは、キャッチアップシステムを構成するために、通信データ制御手段10、キャッチアップ制御手段30等を備えている。
通信データ制御手段10は、通信手段70であるデータ送信装置80及びデータ受信装置85(パケットデータ受信手段)を介して、各種データの送受信を制御するための手段であり、HB通信制御装置20(但し、HBは「ハートビート」の略である。)を備えている。このHB通信制御装置20は、各種の通信データのうち、自身以外の総てのサーバとの双方向通信を維持するためのハートビート通信を制御する装置であり、さらに、HB通信データ作成装置21、HB通信状態確認装置22及びHB通信データ記憶装置23を備えている。
「発信パケットデータ」は、予め割り当てられている送信元サーバ装置番号(例えば、リーダサーバLの装置番号)及び送信先サーバ装置番号(例えば、エージェントサーバA,Bの装置番号)、送信元サーバの計時機能に基づく送信時刻タイムスタンプ(送信時間データ)(以下、「送信時刻タイムスタンプ」という。)、送信先サーバが、後記HB通信データ記憶装置23に記憶している、発信パケットデータの送信元サーバから一時点前に送られてきた送信時刻タイムスタンプ(以下、「記憶済送信時刻タイムスタンプ」という。)(但し、初回の通信時には存在しないため「0」)(詳細は後記)及び自身が既に処理している最新の操作コマンドの操作通番(以下、「自己最大操作通番」という。)のデータを少なくとも含んでいる(図4(a))。
そして、特段の説明がない場合には、送信先と称した場合は、各種のデータを発信したサーバからみた相手方サーバのことを言い、送信元と称した場合は、各種データを送信した自身のサーバ、或いは、各種データを受信したサーバからみた相手方サーバのことを言うこととする。
エージェントサーバAのHB通信データ記憶装置23Aでは、発信パケットデータの送信元であり、被発信パケットデータの送信先であるリーダサーバLの送信時刻タイムスタンプを記憶済送信時刻タイムスタンプとして、リーダサーバLの装置番号と関連づけて記憶するとともに、当該リーダサーバLの送信元最大操作通番を記憶することができるようになっている。
また、リーダサーバLのHB通信データ記憶装置23Lでは、エージェントサーバA,Bの送信時刻タイムスタンプを記憶済送信時刻タイムスタンプとして、エージェントサーバA,Bの装置番号と関連づけて記憶するとともに、エージェントサーバA,Bの送信元最大操作通番を記憶することができるようになっている。
上記の通り、例えば、リーダサーバLのHB通信データ送信装置81Lは、所定時間間隔(Δt)で、自身以外の各エージェントサーバA,Bに発信パケットデータを送信している。送信先のエージェントサーバA,Bは、障害等が生じて受信不可能な状態になっていない限りは、当該発信パケットデータを受信し続けているとともに、自らも、送信元のリーダサーバLに対して、同一の時間間隔(Δt)で発信パケットデータを送信し続けている(但し、送信開始時刻は一致していなくてもよい)。
すなわち、各サーバは、同一の時間間隔(Δt)で通信を行っているため、予め定められている各サーバ間の通信時間(以下、「サーバ間通信時間」という。)をΔdとすると、通信が確立されている場合には、リーダサーバLが発信パケットデータの送信を行った後、2Δd乃至Δt+2Δdの時間の間に、エージェントサーバA,Bから被発信パケットデータが送信されることになる。
キャッチアップ制御手段30は、各サーバのデータベースD(作業用データベースD’も含む)をキャッチアップさせるための処理を行うための手段であり、キャッチアップ判定装置40及びキャッチアップ統括装置50を備えている。
キャッチアップ判定装置40は、各サーバL,A,Bに関して、キャッチアップが必要か否かを判断するための装置であり、操作通番比較装置41及びキャッチアップ状態判定装置42を備えている。
キャッチアップ統括装置50は、各エージェントサーバA,Bがキャッチアップを行う場合に必要なデータを算出することや、キャッチアップの実行を行わせること、キャッチアップ実行中の自身の処理の中断及び再開等を制御することなどを行う装置である。
このキャッチアップ統括装置50は、キャッチアップデータ要求装置51(キャッチアップデータ要求手段)、抑止要求時間算出装置52、タスク中断時刻設定装置53、キャッチアップデータ返信装置54(キャッチアップデータ返信手段)、キャッチアップ命令装置55を備えている。
キャッチアップデータ要求装置51は、操作通番比較装置41からキャッチアップ要求データの発生要求があった場合に、操作コマンドの進度が先行しているサーバ(例えば、リーダサーバL)に対して、当該データを作成し、データ送信装置80により送信する装置である。
なお、このキャッチアップ要求データは、個々の操作コマンド毎に送信してもよいが、通信処理の負荷を軽減するためには、キャッチアップを行うことが必要な操作コマンドの数(操作コマンド列)毎にまとめて送信することが好適である。
本システムSでは、キャッチアップを実行しているサーバ(以下、「キャッチアップ実行サーバ」という。)のキャッチアップ実行時において、キャッチアップされているサーバ(以下、「被キャッチアップサーバ」という。)が新たな操作コマンドを実行しないように、当該被キャッチアップサーバのタスクの処理を中断させることができるように構成されている。
タスクの処理を中断させるための時間は、操作コマンドの種類及び数により異なってくるが、抑止要求時間算出装置52では、それらを考慮して、必要となるタスクの抑止要求時間を算出するための手段である。
例えば、抑止要求時間として、上記サーバ間通信時間(Δd)、操作コマンドの実行時間(Σn△ln×n)(但し、Σは、(△ln×n)につき1〜nまでの総和をする演算子、Δlnはn番目の操作コマンドの実行時間、nは実行が必要な操作コマンドの数を示す整数値)の和を与えることができる。
なお、上記タスク抑止要求時間は、キャッチアップ終了時には、初期設定値である「0」となるように構成されている。
タスク中断時刻設定装置53は、送信された上記タスク抑止要求時間に対応するように、被キャッチアップサーバに、タスクの中断時刻(以下、「タスク中断時刻」という。)を設定し、当該タスク中断時刻に達するまで、操作コマンドの実行を中断させるための手段である。
本装置では、通常時には、タスク中断時刻は「0」に初期設定されているが、被キャッチアップサーバ(例えば、リーダサーバL)がキャッチアップ要求データを受信すると、当該被キャッチアップサーバの計時機能に基づく現在時刻にタスク抑止要求時間を加算することにより、タスク中断時刻が設定されるようになっている。
これにより、被キャッチアップサーバは、キャッチアップ実行サーバ(例えば、エージェントサーバA)から送信されるキャッチアップ終了データを受信するまで自らの操作コマンドの実行が停止するようになっており、キャッチアップ実行サーバがキャッチアップするまでの間に被キャッチアップサーバのタスクが進行することを抑止することが可能となっている。
キャッチアップデータ返信装置54は、データ受信装置85を介して、送信元のサーバ(キャッチアップ実行サーバ、例えば、エージェントサーバA)からキャッチアップ要求データを受信した場合に、キャッチアップ応答データを作成し、データ送信装置80を介して、当該キャッチアップ要求データの送信元のサーバ(被キャッチアップサーバ)に対して返信するための装置である。
なお、キャッチアップ許可操作通番及び当該キャッチアップ許可操作通番に対応する操作コマンドは、自身のキャッシュメモリMに記録されている当該データを複写することで作成されるように構成されている。
キャッチアップ命令装置55は、データ受信装置85を介して、送信先のサーバ(例えば、リーダサーバL)から返信されたキャッチアップ応答データを受信し、キャッチアップ許可操作通番が昇順となるようにキャッシュメモリMに記録させるとともに、作業用データベースDL’のデータに対して、当該キャッチアップ許可操作通番の小さい順にキャッチアップ操作コマンドを実行させるように命令するための装置である。
本発明を構成する各サーバは、上記装置の他に、通信手段70、データベース複製装置61及びキャッシュメモリ消去装置62を備えている。
なお、消去時刻データは、キャッチアップが可能となる充分な余裕時間を考慮して、予め定められているものである。
図5を参照して、本システムSの動作について説明する。
なお、以下の説明では、各サーバL,A,Bの間で、HB通信が確立していることを前提とする。
リーダサーバLのHB通信データ送信装置81Lは、エージェントサーバAに、発信パケットデータを送信し、エージェントサーバAはHB通信データ受信装置86Aにより、当該被発信パケットデータを受信する。操作通番比較装置41Aは、被発信パケットデータの通信最大操作通番の値と、自己最大操作通番の値とを比較し、通信最大操作通番の値が大きいと判断する(S5)。そして、キャッチアップデータ要求装置51に対して、リーダサーバLに対するキャッチアップ要求データの送信等を要求する。
なお、このとき、抑止時間が初期設定値である「0」にリセットされる。
上記のように、本システムSによれば、各サーバL,A,Bは、自身以外の総てのサーバに対して、HB通信データ送信装置81及びHB通信データ受信装置86により、一定時間間隔で、各サーバL,A,B間において、発信パケットデータ及び被発信パケットデータを送受信している。このように、常時、各サーバのタスクの進行状況を確認しているため、自身のタスクが他のサーバのタスクから遅れたことを即座に認識することができる。そして、発信パケットデータ及び被発信パケットデータを送受信することにより、自身以外の各サーバL,A,Bの操作コマンドの実行状況(タスクの処理状況)を把握することができ、キャッチアップデータ要求装置51により、通信最大操作通番の値が、自己最大操作通番の値より大きいときに、自身のサーバのキャッチアップの必要性を認識し、キャッチアップ操作通番データに対応した操作を、上記データベースDのデータに適用することができる。これらの一連の動作により、データベースDの動的なキャッチアップ処理を、自律的にかつ非常に迅速に行うことができる。
本発明は、Paxos装置Pに使用の有無に関わらず適用可能であるが、上記実施形態にように、Paxos装置Pを使用した場合には、特有の事象が生じ得ることになる。
すなわち、Paxos装置Pにおいては、上記分散コンピューティング用プログラムに従って、過半数以上のサーバにより合意形成された操作コマンドを実行し、本件タスクを行うことができるようになっている。一方、キャッチアップ実行サーバがキャッチアップを行っている場合において、当該キャッチアップ実行サーバと被キャッチアップサーバ(以下、「キャッチアップ関連サーバ」という。)はこの合意形成には関与せず、他のサーバにより合意形成がなされて、本システムSが実行すべき操作コマンドが決定される場合が生じ得る。このときには、キャッチアップ関連サーバの処理とは無関係に、他のサーバのタスクが進行してしまう事態が生じてしまうことになる。この場合において、当該キャッチアップ関連サーバは、他のサーバに対して、タスクの進度が遅れてしまうことが生じ得るが、上記説明と同様な方法によりキャッチアップ関連サーバのキャッチアップが行われることにより対応可能であるため、特段の問題が生じることはない。
上記実施形態では、情報処理装置は、3台のサーバの場合を例として説明したが、複数台のコンピューティングデバイスであれば、その種類や数はこれに限られるものではない。また、複数台の情報処理装置は、インターネットやLAN以外にも、どのような接続手段により接続されているものであってもよい。
また、通信最大操作通番などのキャッチアップに必要となるデータは、発信パケットデータ及び被発信パケットデータ以外の、各サーバ間における通信データに記録させるものであってもよいことは勿論である。
N ネットワーク
K クライアント
L リーダサーバ
A,B エージェントサーバ
P Paxos装置
4L,4A,4B 合意形成部
5L,5A,5B 実行部
DL,DA,DB データベース(初期データベース)
D’ 作業用データベース
M キャッシュメモリ
10 通信データ制御手段
20 HB通信制御装置
21 HB通信データ作成装置
22 HB通信状態確認装置
23 HB通信データ記憶装置
30 キャッチアップ制御手段
40 キャッチアップ判定装置
41 操作通番比較装置(操作通番比較手段)
42 キャッチアップ状態判定装置
50 キャッチアップ統括装置
51 キャッチアップデータ要求装置(キャッチアップデータ要求手段)
52 抑止要求時間算出装置
53 タスク中断時刻設定装置
54 キャッチアップデータ返信装置(キャッチアップデータ返信手段)
55 キャッチアップ命令装置
61 データベース複製装置
62 キャッシュメモリ消去装置
70 通信手段
80 データ送信装置
81 HB通信データ送信装置(発信パケットデータ送信手段)
85 データ受信装置
86 HB通信データ受信装置(被発信パケットデータ受信手段)
Claims (3)
- 各々がネットワークで接続されている複数の情報処理装置から構成され、
前記各情報処理装置は、同一の初期状態であるデータベースと、
操作の順番を示す操作通番と当該操作通番に一対一で対応する操作コマンドに対応して、前記データベースに格納されているデータに対して処理を実行するための操作実行手段と、を備え、
前記各情報処理装置が、Paxosによって過半数以上のサーバにより合意形成された同一の前記操作コマンドを実行することにより同一のタスクを行う分散コンピューティングシステムにおいて、
さらに、前記各情報処理装置は、
前記ネットワークを介して、自身以外の前記各情報処理装置に対して所望の時間間隔で
送信時間データと、自身が処理した最新の前記操作コマンドに対応する操作通番である自己最大操作通番データとを含む発信データを送信するための発信データ送信手段と、
前記ネットワークを介して、前記自身以外の前記各情報処理装置から所望の時間間隔で送信された、
送信時間データと、前記自身以外の各情報処理装置が処理した最新の前記操作コマンドに対応する操作通番である送信元最大操作通番データとを含む被発信データを受信するための被発信データ受信手段と、
自身以外の前記情報処理装置から送信された前記送信元最大操作通番データと、前記被発信データを受信した時点における自己最大操作通番データとを比較する操作通番比較手段と、
前記送信元最大操作通番データが、前記自己最大操作通番データより大きいときに、送信元の前記情報処理装置に対して、処理状態のキャッチアップに必要となるキャッチアップ操作通番データ及び前記キャッチアップ操作通番データに対応するキャッチアップ操作コマンドを有するキャッチアップデータの返信を要求するキャッチアップデータ要求手段と、
前記キャッチアップデータの返信要求をうけ、当該キャッチアップデータを返信するキャッチアップデータ返信手段とを備え、
前記キャッチアップデータを受信した前記情報処理装置は、前記操作実行手段により、前記キャッチアップ操作通番データに対応した操作コマンドを、前記情報処理装置の処理状態に適用することにより、前記送信元の前記情報処理装置の処理状態を複製し、キャッチアップするとともに、
前記キャッチアップを行っている前記情報処理装置は、前記キャッチアップの終了後に、キャッチアップ終了データを前記送信元の前記情報処理装置に送信することができるようになっており、
前記送信元の前記情報処理装置は、当該キャッチアップデータの受信後から前記キャッチアップ終了データを受信する間、自身の処理状態に対する前記操作コマンドの実行を中断するように構成されていることを特徴とする分散コンピューティングシステム。 - 前記キャッチアップ操作通番データと、前記キャッチアップ操作通番データに対応する操作コマンドが、前記情報処理装置のキャッシュメモリに記憶させられるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の分散コンピューティングシステム。
- 前記発信データ送信手段は、一定時間間隔で、前記各情報処理装置との間で、前記発信データを送信していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の分散コンピューティングシステム。
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