JP4966471B2 - 冷却水系のオートサイクル制御 - Google Patents

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Description

【0001】
技術分野
本発明は、蛍光ポリマーの消費量を測定することにより冷却水系を制御する方法に関するものである。
【0002】
背景技術
冷却水系は、冷却水、熱交換器、ポンプ、および本系に水を移動させるために必要な全ての管を有する。冷却水系の制御は、有害なスケール、腐食、汚染、あるいは微生物学的制御状態の問題なく可能な最高濃縮サイクルにおいて、冷却水系を作動するという要求につりあうことに基づいている。
【0003】
濃縮サイクルは、ある特定種において、
冷却塔中の特定種の量
補給水中の特定種の量として定義される。
【0004】
例えば、当該特定種がカルシウムイオン(以下、“Ca+2”か“Ca+3”であるかは文脈による)であるとき、補給水中の150ppmのCa+2を含んだ500ppmのCa+2において、冷却水系が作動するならば、当該冷却水系は3.3濃縮サイクルで作動する。冷却水系の操作において、ブローダウン(blowdown)中の水の不必要な損失および処理化合物の不必要な過剰供給を避けるために、濃縮サイクルの最大値に達することが好ましい。ここで、処理化合物は、処理ポリマーに限定されない。スケールおよび腐食のような好ましくないことが発生すると、冷却水系の最高の濃縮サイクルは制限される。このような好ましくないことは、上記の問題に寄与する特定種の量が、冷却塔中である量に達したときに起こる。
【0005】
冷却水系中の濃縮サイクルを制御するための公知の方法が現在いくつかある。濃縮サイクルを制御するために、当該系への補給水として知られる(1つ以上の水源からの)“新鮮な”水の流量を制御する方法、および、ブローダウン(blowdown)として知られる系外への主要流量を制御する方法が典型的に実施されている。補給水の流量を制御するために、ポンプあるいはバルブが冷却塔中への補給水の流量を制御し、かつ、水量コントローラーが、冷却塔の貯水槽あるいは“汚水溜め”内で典型的に使用されている。当該水量コントローラーは、補給水のポンプあるいはバルブに結合し、汚水溜め中の水が水量コントローラーの設定値以下に下がったときに、補給水のポンプあるいはバルブが作動する。
【0006】
導電率はブローダウン(blowdown)制御の典型的な方法である。本発明の出願目的に従って、水中に存在するイオン性種によって水中に存在する電気導電率を、水の電気導電率測定として、導電率の定義とする。導電率はブローダウン(blowdown)のブリードを制御するために使うことができる。これは、水中に存在するイオン性種の全量を概算するために導電率が容易に使われ、バルブあるいはポンプが開き、貯水槽の水の導電率がある設定値を超えたらブローダウン(blowdown)が始まるように、簡単なコントローラーが設置されるからである。存在するイオン性種の量の間接的な測定とまったく同様に、冷却水系を制御するために導電率が役立つかどうかには限界がある。したがって、導電率はスケール発生傾向あるいは実際のスケールに関する情報を与えることができず、導電率を使用すると、“壊滅的な失敗”の原因になる可能性がある。ここで、“壊滅的な失敗”とは、スケールが冷却水系の過剰なサイクルを招き、さらにスケールが起こることをいう。
【0007】
代わりに、タイマーは、水中の特定種を実際に全く測定することなく、ブローダウン(blowdown)のブリードを制御できる。さらに上記の制御機構において、補給水の流量メーターとブローダウンとを用いることができ、マイクロプロッセッサーコントローラーも使用すると、全冷却水の量の釣り合いに機能する。
【0008】
これらの公知の制御機構における問題点は、ブローダウン(blowdown)が導電率によって制御され、補給が水量メーターによって制御されるとき、普段の補給水の組成が変化するならば、あるいは、普段の補給水源と明らかに異なる代わりの補給水源があるならば、水量コントローラーおよび導電率は、本系中で起こる全ての出来事の原因を説明できない。これらの場合、冷却水系は典型的に技士によって制御され、この技士は、処理化合物と水との最適でない使用によって余計な好ましくない支出の原因となる導電率設定値に対して保守的である。
【0009】
多くの冷却水系は、スケール、腐食、汚染、および微生物学的成長等の好ましくない出来事を制御するために、処理製品を用いる。これらの処理製品は、ポリマーと他の物質とを有し、冷却水系の技術における通常の能力の人々に知られている。冷却水制御系は、ブリード機構あるいは供給機構のどちらかに基づいて、処理製品を供給するように設置される。このブリード機構あるいは供給機構では、処理製品を供給する化合物供給ポンプあるいはバルブがブローダウン(blowdown)の作用によって引き起こされる。または、代わりに、冷却水制御系が、“供給スケジュール”あるいは補給水ラインの流量メーターを用いたタイマーに基づいて処理製品を供給し、ポンプでくみ上げられた補給水のある量に基づいて処理製品のくみあげのきっかけとなる。これらの制御方法の限界は、これらの系全てが処理製品の濃度を直接オンラインで測定しないことである。したがって、機械的な問題、例えば、ポンプ故障、ドラム枯渇、あるいは高い、低い、または未知のブローダウン(blowdown)が起きた場合、系の体積が変化した場合、もしくは、補給水の品質が変化した場合、正常な処理製品の濃度が維持されなくなる。この問題がよく起こるので、系中の処理製品の量が低くなりすぎないように、典型的に冷却水系が過剰供給され、製品の1回分の投与量中で高い流動性を示すか、あるいは、処理製品が供給不足になるかのどちらかである。処理製品の過剰供給も供給不足も、コスト的にも効率的にも不利であり好ましくない。
【0010】
公知の制御機構のひとつに、供給される処理製品の活性成分に公知の比例割合で、不活性蛍光化合物を冷却水系に添加して、不活性蛍光化合物の蛍光シグナルを検出する蛍光光度計を使用するものがある。これはTRASAR(登録商標)として工業的に適用可能である。TRASAR(登録商標)は、Nalco Chemical Company One Nalco Center, Naperville IL 60563 (630) 305-1000)の登録商標である。所望の量の処理製品が冷却塔(および制御ブローダウン(blowdown))に存在するかどうかを決定する際に、当該不活性蛍光化合物の蛍光シグナルは利用される。
【0011】
多くの現在の冷却塔は、不活性蛍光トレーサーを用いて、系中の処理製品の量を制御し、さらに、導電率コントローラーを用いて、水中の導電率を測定している。
【0012】
不活性トレーサーと導電率とを両方用いる冷却塔は、当該塔を制御するために、典型的に以下のタイプの情報を利用する。例えば、典型的な補給水を伴う冷却塔は、150ppmのCa+2、75ppmのMg+2、および100ppmの“Mアルカリ”を含み、導電率が600μS/cm(ここで導電率は、センチメーターあたりのマイクロジーメンスの単位で表されている)であり、500ppmのCa+2で作動するように設定されている。許容できる量の範囲内で操作するために、この冷却水系の濃縮サイクルは3.3である(500を150で割って求めた)。500ppmのCa+2で作動するということは、導電率設定値が3.3回かけることの600、あるいは1980μS/cmであることと一致する。当該導電率がこの設定値を超えたとき、“濃縮”冷却水(ここで“濃縮”とは、イオンが許容範囲以上の量で存在する水の系をいう)の部分が自動的にブローダウン(blowdown)、“新鮮な”補給水(ここで“新鮮な”とは、“濃縮”冷却水よりもスケールイオンの量が少ないことをいう)に入れ替わる系である。これにより、導電率と硬度(Ca+2およびMg+2)イオンとが希釈によって減少する。希釈により、系中の不活性トレーサー化合物の量も減少する。系中の不活性トレーサーの量が減少すると、当該不活性トレーサーから発生する蛍光シグナルが減衰する。トレーサーから発生する蛍光シグナルが減衰するとき、トレーサー制御系が処理製品と不活性トレーサー化合物との新鮮な混合物を供給するように設定され、ブローダウン(blowdown)によって損失した蛍光の減衰を補完する。
【0013】
冷却水系に製品を供給する公知の制御方法には、他のトレーサー技術が利用されているものを必要とする。これは、蛍光部分を伴って“標識”ポリマーを含む処理製品の使用を必要とする。これらの標識処理ポリマーは、不活性でなく、むしろ、設計された処理の性能関連条件がどんな条件であっても、処理する機能を果たすため、消費される。したがって、標識処理ポリマーの蛍光シグナルを測定することにより、標識処理ポリマーの消費量を決定することが可能である。標識処理ポリマーの消費量を知ることにより、標識処理ポリマーを含んだ新しい処理製品を供給制御するための情報を利用することができる。
【0014】
本分野の最近の文献は、1999年10月18〜20日に開催された60th Annual Meeting of the International Water Conferenceで発表された、題名“高サイクル冷却塔操作:障害と解決(High Cycle Cooling Tower Operation: Hurdles and Solutions)”、Hootsら著、388〜397ページである。
【0015】
冷却水系の新しい制御方法および制御技術は、常に好ましい。
【0016】
発明の概要
本発明は、a)調整した比率の不活性トレーサーおよび標識処理ポリマーを有する処理製品を冷却水系に添加する工程と、
b)多数の蛍光光度計を準備する工程と、
c)前記不活性トレーサーの蛍光シグナルと冷却水系中の水の前記標識処理ポリマーの蛍光シグナルとを測定するために、前記多数の蛍光光度計を用いる工程と、
d)前記標識処理ポリマーの前記冷却水系中に存在する量を決定するために、工程c)で測定された蛍光シグナルを用いる工程と、
e)前記標識処理ポリマーの消費量を決定するために、前記標識処理ポリマーの残存する量と、前記標識処理ポリマーの本系への仕込み量とを比較する工程と、f)i)補給水の冷却水系への流量と、
ii)不活性トレーサーおよび標識処理ポリマーを有する処理製品の流量と、
iii)冷却水系からのブローダウン(blowdown)流量の頻度および量と、
iv)冷却塔を流れる水の全流量と、
v)冷却塔中の水の全体積と、
vi)補給水の組成と、
をパラメーターとして、そのうちの一部あるいは全てのパラメーターを、
α)標識処理製品の必須の量を伴う冷却水系を供給するために、不活性トレーサーと標識処理ポリマーとを有する処理製品の最少流量が十分であり、
β)合計流量によって制御を行う時に、流量がバランスを保っている
という条件付で、前記標識処理ポリマーの消費量と結合させて制御を行うという条件付で、前記冷却水系の濃縮サイクルを制御するために、前記標識処理ポリマーの前記消費量を利用する工程と
を有することを特徴とする冷却水系制御のためのオートサイクル法である。
【0017】
発明の詳細な説明
本特許出願の目的に従って、以下、文言の定義を示す。
【0018】
“オートサイクル”とは、標識処理ポリマーの消費量に基づいて、冷却水系中の濃縮サイクルを自動制御するための方法をいう。
【0019】
“濃縮サイクル”とは、補給水における種の量と比較した、塔の水における種の量をいう。“濃縮サイクル分裂”とは、沈殿しない種の濃度を測定することによって通常決定され、いくつかの過程(沈殿)により消費され得る、補給水中に存在する種に関する冷却塔の理論的サイクルと、補給水中に存在し、消費され得る当該種の実際のサイクルとの間の差をいう。実際面では、カルシウム(沈殿イオン)サイクルとマグネシウム(やや沈殿しにくいイオン)サイクルとを比較することにより、これを行うことができる。したがって、当該“濃縮サイクル分裂”は、冷却水系中のスケールの相対的な測定量の目安を与える。
【0020】
“消費量”は一般的に、仕込みの標識処理ポリマーの量と、残存する標識処理ポリマーの量との間の差をいう。
【0021】
“不活性”とは、冷却水系中の他の化合物、あるいは、冶金学的合金、微生物学的活性、殺生物剤の濃度、熱交換、または全熱量のような系の他のパラメーターによって、不活性蛍光トレーサーが感知できるほどは影響を受けない、またははっきりとは影響を受けないことをいう。“感知できるほどは影響を受けない、またははっきりとは影響を受けないこと”の意味することを定量化するために、この文言は、不活性蛍光化合物の蛍光シグナルが、冷却水系中で通常直面する条件下において10%だけ変化することを意味する。冷却水系で通常直面する条件とは、工業用水系の技術の通常の能力を持った人々が知っている条件である。
【0022】
“PCT”とは、パイロット冷却塔をいう。
【0023】
“処理活性物”とは、冷却水系に加える所望の機能を果たす処理化合物のすべての成分をいう。
【0024】
“標識処理ポリマー”とは、蛍光部分を有する“標識”ポリマーをいい、ここで、上記ポリマーは冷却水中のスケール抑制剤あるいは腐食抑制剤としての機能を有することができる。
【0025】
図1は、蛍光ポリマーの消費量を利用した制御の概念図である。この図中のデータは、不活性トレーサー製品の蛍光シグナルと標識処理ポリマーの蛍光シグナルとを測定することにより、得られたものである。これら2つのシグナルの差は、当該標識処理ポリマーの消費量を表す。標識処理ポリマーの消費量が、冷却水系の濃縮サイクルを制御するために利用されることができることがわかった。
【0026】
本発明の方法に用いられる標識処理ポリマーは、米国特許5,128,419号、5,171,450号、5,216,086号、5,260,386号、および5,986,030号、あるいは、米国特許出願09/396,681号、題名“水溶性蛍光ポリマー(FLUORESCENT WATER-SOLUBLE POLYMERS)”、1999年8月31日出願、出願中、米国特許出願09/465,146号、題名“工業用水系にて使用される蛍光モノマーおよび蛍光ポリマー(FLUORESCENT MONOMERS AND POLYMERS CONTAINING SAME FOR USE IN INDUSTRIAL WATER SYSTEMS)”、1999年12月16日出願、出願中、および米国特許出願09/560,881号(米国特許第6,645,428号)、題名“工業用水系で使用される蛍光モノマーおよび標識処理ポリマー(FLUORESCENT MONOMERS AND TAGGED TREATMENT POLYMERS CONTAINING SAME FOR USE IN INDUSTRIAL WATER SYSTEMS)”、2000年4月27日出願、出願中、において、記載され請求されているポリマーを含むグループから選択した。この段落に記載された全ての特許および特許出願を参考文献としてここに挙げる。
【0027】
好ましい標識処理ポリマーは以下のグループから選択される。
59.95モル%アクリル酸/19.95モル%アクリルアミド/20モル%N−(スルホメチル)アクリルアミド/0.1モル%8−(4−ビニルベンジルオキシ)−1,3,6−ピレントリスルホン酸、三ナトリウム塩;
59.95モル%アクリル酸/19.95モル%アクリルアミド/20モル%N−(スルホメチル)アクリルアミド/0.1モル%8−(3−ビニルベンジルオキシ)−1,3,6−ピレントリスルホン酸、三ナトリウム塩;
59.9モル%アクリル酸/19.9モル%アクリルアミド/20モル%N−(スルホメチル)アクリルアミド/0.2モル%4−メトキシ−N−(3−N´,N´−ジメチルアミノプロピル)塩化ナフタルイミドビニルベンジル第4級塩;59.96モル%アクリル酸/19.96モル%アクリルアミド/20モル%N−(スルホメチル)アクリルアミド/0.08モル%4−メトキシ−N−(3−N´,N´−ジメチルアミノプロピル)ナフタルイミド 2−ヒドロキシ−3−アリルオキシ第4級プロピル塩。
【0028】
冷却水系中において、標識処理ポリマーの消費量に基づいて濃縮サイクルを制御する能力を、PCTの操作によって証明される。この塔の制御は、図2に示すような機構によって与えられる。図2において、冷却塔1は標識処理ポリマーの消費量によって直接制御される。標識処理ポリマーは、処理製品21の一部である。当該処理製品は、標識処理ポリマーを他の成分と同様に含み、かつ、標識処理ポリマーと同量でないことが知られている。処理製品21は、製品供給ポンプ14を通して、冷却塔1へポンプでくみ上げられる。補給水は、補給ポンプ18を通して冷却塔1へ添加される。冷却塔1からのブローダウン(blowdown)は、ブローダウン(blowdown)ポンプによって制御される。
【0029】
この制御機構においては、サンプリング流出2が2つの蛍光光度計を通って流れる。最初の蛍光光度計4は、不活性蛍光トレーサーの蛍光シグナルを測定する。不活性蛍光トレーサーは本発明の方法において用いられるのに適しており、技術上の通常の能力を持った人々に知られている。このように適した不活性蛍光トレーサーの一例は、PTSAであり、これは1,3,6,8−ピレンテトラスルホン酸四ナトリウム塩である。2番目の蛍光光度計6は、上述した標識処理ポリマーのグループより選択された標識処理ポリマーの蛍光シグナルを測定する。これらの蛍光シグナルは、コントローラー9に送られる。このコントローラー9は、シグナルライン8を通ったブローダウン(blowdown)ポンプ24と、シグナルライン10を通った製品供給ポンプ14と、シグナルライン12を通った補給ポンプ18と連絡し、これらを制御することができる。本発明の方法を実施する際に、コントローラー9はブローダウン(blowdown)ポンプ24と補給ポンプ18との両方を制御し、これらのポンプのうち1つだけを制御する必要がある。図2中の冷却塔の説明の目的のために、補給ポンプ18へのシグナルライン12を使用しない。
【0030】
本発明の方法を実施する際に、使用に適した蛍光光度計およびコントローラーは、米国特許出願09/563,086号(米国特許第6,369,894号)、題名“モジュール式の蛍光光度計および1つ以上の発蛍光団を検出方法(MODULAR FLUOROMETER AND METHOD OF USING SAME TO DETECT ONE OR MORE FLUOROPHORES)”、2000年5月1日出願、出願中、に記載され請求されている。この米国特許出願をここで参考文献として挙げる。
【0031】
標準技術毎に、ポンプ14を使用する処理製品21の供給量は、不活性蛍光トレーサーの蛍光シグナル(濃度に転換される)によって制御される。
【0032】
ある制御可能な機構において、ブローダウン(blowdown)ポンプ16が作動するのは、標識処理ポリマーの消費率%が、以下の式によって設定される量以下まで下がったときである。
消費率%= (A−B)/A
ここで、Aは不活性トレーサーの蛍光シグナルによって測定される冷却水系に供給される処理製品の量であり、Bは標識処理ポリマーの蛍光シグナルによって測定される冷却水系の水中の標識処理ポリマーの量である。
【0033】
本発明の方法を実施する場合、冷却水系の適度な運転に必要な標識処理ポリマーが必須の量存在する冷却水系を供給するために、供給される標識処理ポリマーを有する処理製品の量は十分な量が必要である。当該冷却水系の適度な運転に必要な標識処理ポリマーの量は、冷却水系の技術において通常の能力を持った人々に知られている。処理製品の供給量の制御は、標識処理ポリマーの消費量の測定値を処理製品の供給量に直接関連付けて成し遂げられる(消費量を計算するために、処理製品中に存在する不活性トレーサーと標識処理ポリマーとの蛍光シグナルを使用する)。
【0034】
さらに、本発明の方法を実施する際には、結合する流量によって制御が成し遂げられるときに、流量がバランスを保っていなければならないことがわかった。例えば、ブローダウン(blowdown)の流量を伴う標識処理ポリマーと不活性トレーサーとを有する処理製品の流量を結合することによって、オートサイクル制御が成し遂げられるならば、供給される処理製品のポンプ量は、ブローダウン(blowdown)ポンプ量とバランスを保つ必要がある。これらのポンプ量がバランスを保っていないと、冷却塔が最大サイクルと最小サイクルとの2つの極限で操作される。これは好ましくないことである。
【0035】
ポンプ以外の設備が流量を制御するために使用されるならば、この設備を、当該流量がバランスを保つように操作しなければならない。
【0036】
ポンプ量中のバランスを達成する方法の1つとして、PID(PIDは“比例積分導関数”を表す)制御を伴うポンプを用いる方法がある。ポンプ量のバランスを保つ他の方法は、コンピューター演算法とソフトウェアとを利用して、PID制御ポンプのように働くポンプをコンフィギュレーションするものである。2つの異なる演算法は進歩し、標識処理ポリマーの消費量に基づいて冷却水系を制御するために利用される。両方の演算法は、使用者が設定した有限の制御間隔以上に、処理製品ポンプ任務サイクルを制御する。両方の演算法のデータにおいて、制御間隔よりかなり高い頻度で、アナログデータを得られる。また、両方の演算法において、ポンプ任務サイクルの最大値は、制御間隔よりも低いあるいは同等である。このような各制御間隔において、ポンプ状態が止まっている必要がある。
【0037】
最初の制御演算法は、ある増加量によるポンプ任務サイクルを増加する、あるいは、消費量条件の根拠として各制御間隔における基礎値に目盛りをセットし直すことに基づく。この演算法において、2つのアナログ入力シグナルAとBとを、使用者が設定した間隔でモニターを用いて監視する。上述したように、Aは不活性トレーサーの蛍光シグナルによって測定される冷却水系に供給される処理製品)の量であり、Bは標識処理ポリマーの蛍光シグナルによって測定される冷却水系の水中の標識処理ポリマーの量である。
【0038】
1つの継電器(継電器0)は、製品供給ポンプに動力を供給するために用いられ、チャンネルAからの応答によって、各間隔で直接制御される。Aが使用者の設定した上限設定値を超えた場合は、継電器0をトグルでオフにする。Aが使用者の設定した下限設定値を下回った場合は、継電器0をトグルでオンにする。その他の点では継電器0の状態は不変である。
【0039】
計算操作(Op)をチャンネルAとBとに適用し、活性成分の消費量を決定する。計算操作は、A−B(消費量)、(A−B)/A(消費率%)、またはB/A(系中に残存する標識処理ポリマーの系中に供給された標識処理ポリマーに対する割合)である可能性がある。Opの値は、使用者が設定した間隔の値以上に記憶され、線形最小二乗復帰分析を各間隔での時間の関数としたそのデータに適用する。この復帰分析は、傾きdOp/dtへ帰属する。
【0040】
後述するように、2つめの継電器(継電器1)をdOp/dtの値に基づいて制御する。ほとんどの場合、継電器1の主目的は、ブローダウン(blowdown)ポンプあるいはバルブのソレノイドに動力を与えることである。しかしながら、酸供給ポンプに電圧を加えることや補給水ポンプあるいはバルブのソレノイドに電圧を加えることのためにも、継電器1は用いられる。
【0041】
データが使用者の設定した有限の制御間隔において調査される。Aがその下限設定値よりも低いならば、次の制御間隔までさらに後の過程を行わず、継電器1をオフのままにしておく。
【0042】
Opが使用者の設定した操作設定値よりも小さい、あるいは、dOp/dtが0以下であるならば、継電器1のポンプ任務サイクルを0に設定し、次の制御間隔までさらに後の過程が起きないようにする。
【0043】
Aがその上限値よりも大きく、Opが使用者の設定した操作設定値よりも大きく、dOp/dtが0よりも大きいならば、継電器1のポンプ任務サイクルが増加し、継電器1はその増加によって電圧が加えられる。
【0044】
2番目の制御演算法は、Op応答に基づいて比例する継電器1のポンプ任務サイクルの設定に基づく。継電器0を再度使用し、製品供給ポンプに動力を与える一方で、検電器0をブローダウン(blowdown)ポンプあるいはバルブのソレノイドに電圧を加えるために用いる。
【0045】
演算法1として、上記に定義した2つのアナログ入力シグナルAとBとを、使用者が設定した間隔においてモニターを用いて監視する。チャンネルAからの応答によって、継電器0を各間隔で直接制御する。Aが使用者の設定した上限設定値を越えたならば、継電器0をトグルでオフにする。Aが使用者の下限設定値を下回ったならば、継電器0をトグルでオンにする。その他の点では継電器0の状態は不変である。
【0046】
データは使用者が設定した有限の制御間隔においても調査される。Aが下限設定値よりも小さければ、次の制御間隔までさらに後の過程が起きない。
【0047】
Aが下限設定値よりも大きければ、使用者の設定した2つの操作設定値の間での比例応答(K)を、チャンネルAとBとに計算操作(Op)を適用することによって決定する。計算操作は上記と同じである(すなわち、A−B、(A−B)/A、あるいはB/A)。Opが上限操作設定値を超えるならば、Kを1に設定する。Opが下限操作設定値を下回るならば、Kを0に設定する。
【0048】
各間隔において、使用者の設定した最大間隔時間Kと等しい時間周期で、継電器1に電圧を加える。使用者が設定した最大間隔は、決定した間隔を超えてはならない。
【0049】
ポリマー消費率%制御の主要な利点の1つは、導電率制御と比較して、補給水の組成が変化しても、制御を維持することが可能であることである。世界の一部地域では補給水の組成が非常に変化し、補給水が変化したときであっても制御できることが、現在使用できる導電率制御法よりも非常に大きな利点である。
【0050】
以下の実施例は、本発明の実証をしようとするものであり、本発明の実施方法および使用方法を当該技術分野における通常の能力を持った人へ教示するためのものである。これらの実施例は、本発明の方法に限定されるものではない。
【0051】
実施例
実施例1
図2に示すのと同様にコンフィギュレーションが行われたPCTを、処理製品供給流量250ppm、標識ポリマー消費率15%において、制御した。処理製品ポンプ(ポンプ14、継電器0)とブローダウン(blowdown)ポンプ(ポンプ24、継電器1)とを制御するために、コントローラーを設置した。PCT中で使用される水は、測定できるバックグラウンド蛍光が見られなかった。
【0052】
図3は、補給水アップセット中のポリマー消費率%と導電率とを示す。経過時間(“ET”)が150時間のとき、補給水源が変化する。最初の補給水源は、150ppmのCa(CaCOとして)、75ppmのMg(CaCoとして)、110ppmの全アルカリ(CaCOとして)、および72ppm硫酸塩(SOとして)を含み、導電率が約670μS/cmである。2番目の補給水源は、300ppmのCa(CaCOとして)、150ppmのMg(CaCoとして)、110ppmの全アルカリ(CaCOとして)、および249ppm硫酸塩(SOとして)を含み、導電率が約1190μS/cmである。2番目の補給水源は、硬度と硫酸塩とを大量に含むため、高い導電率として表れる。しかしながら、この2番目の補給水源のスケール(主にCaCO)を形成する傾向は、最初の補給水源よりも実際に小さい。これは、硫酸塩の量が増加するためである。(本実験の条件において、硫酸カルシウムは溶解し、硫酸カルシウムの沈殿物を形成しない。)コントローラーは、ポリマー消費量を維持し、塔を高い濃縮サイクルで循環させるため、導電率の増加として表れる。濃縮サイクル分裂(硬度の差を調整した後)は、両方の補給水源と同じであり、これは、冷却水系を制御していることを表し、スケールに関しても維持されていることを示す。
【0053】
比較として、処理製品供給量を250ppmに制御するが、ブローダウン(blowdwon)を導電率で制御したコンフィギュレーションを行う塔において、同様な補給水アップセットを行った。これは、冷却水系を制御する公知の方法である。この塔を導電率で制御するので、ブローダウン(blowdown)の量が塔の制御とスケールの制御とを維持するために必要な量よりもかなり多くなる。このアップセット中に、導電率が制御されるので、2番目の補給水源がスケール形成減少の傾向を示すため、ポリマー消費率%が減少する。
【0054】
消費量制御と導電率制御(比較例)との条件下での、補給水アップセット中のブローダウン(blowdown)量、補給水量および必要な処理製品の比較を下記表1に示す。
【0055】
【表1】
Figure 0004966471
【0056】
冷却塔の操作は両方の例において維持されるが、消費量制御でのブローダウン(blowdown)、補給水、および処理製品の量は、導電率制御と比較するとかなり少ない。したがって、制御に基づくオートサイクル消費とは、より少量のブローダウン(blowdown)を伴うスケールの制御を維持することを意味し、より少量のブローダウン(blowdown)とは冷却水系の技士のための節約、言い換えれば、水のコストと処理製品のコストとを節約することを意味する。これは、消費量を制御することにより、操作性能に逆効果を与えずに、非常に効率的な操作を行うことができることを意味する。
【0057】
ここに記述されている好ましい実施形態がさまざまに変化あるいは部分的変更されることは、当該技術分野の能力を持った人々には明白である。このような変化や部分的変更は、本発明の意図および範囲から離れず、かつ、付帯の効果を縮小させずに、行うことができる。したがって、このような変化および部分的変更は、添付した請求項によって保護される。
【0058】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、蛍光ポリマーの消費量を利用した制御の概念図である。
【図2】 図2は、蛍光標識ポリマーの消費量を利用した冷却水系制御の概略図である。
【図3】 図3は、補給水アップセット中の消費量制御を利用したパイロット冷却塔の制御図である。

Claims (1)

  1. a)調整した比率の不活性トレーサーおよび標識処理ポリマーを有する処理製品を冷却水系に添加する工程と、
    b)1つ以上の蛍光光度計を準備する工程と、
    c)前記不活性トレーサーの蛍光シグナルと冷却水系中の水の前記標識処理ポリマーの蛍光シグナルとを測定するために、前記1つ以上の蛍光光度計を用いる工程と、
    d)前記標識処理ポリマーの前記冷却水系中に存在する量を決定するために、工程c)で測定された蛍光シグナルを用いる工程と、
    e)前記標識処理ポリマーの消費量を決定するために、前記標識処理ポリマーの残存する量と、前記標識処理ポリマーの本系への仕込み量とを比較する工程と、
    f)i)補給水の冷却水系への流量と、
    ii)不活性トレーサーおよび標識処理ポリマーを有する処理製品の流量と、
    iii)冷却水系からのブローダウン(blowdown)流量の頻度および量と、
    iv)冷却塔を流れる水の全流量と、
    v)冷却塔中の水の全体積と、
    vi)α)不活性トレーサーと標識処理ポリマーとを有する処理製品の最少流量が、標識処理製品の必須の量を冷却水系に供給するために十分であり、
    β)流量を関連付けることによって制御を行う時に、流量がバランスを保っている、
    という条件下での、前記標識処理ポリマーの消費量に対する補給水の組成と、
    前記i)〜vi)の全てのパラメーターを関連付けることによって制御を行うという条件付きで、前記冷却水系の濃縮サイクルを制御するために、前記標識処理ポリマーの前記消費量を利用する工程と
    を有することを特徴とする冷却水系制御のためのオートサイクル法。
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