JP4964066B2 - 熱交換器のスケール対策法 - Google Patents

熱交換器のスケール対策法 Download PDF

Info

Publication number
JP4964066B2
JP4964066B2 JP2007231699A JP2007231699A JP4964066B2 JP 4964066 B2 JP4964066 B2 JP 4964066B2 JP 2007231699 A JP2007231699 A JP 2007231699A JP 2007231699 A JP2007231699 A JP 2007231699A JP 4964066 B2 JP4964066 B2 JP 4964066B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
scale
heat exchanger
bacteria
cooling water
manganese
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007231699A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009063239A (ja
Inventor
秀史 大松
稔 濱田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Chubu Electric Power Co Inc
Original Assignee
Chubu Electric Power Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Chubu Electric Power Co Inc filed Critical Chubu Electric Power Co Inc
Priority to JP2007231699A priority Critical patent/JP4964066B2/ja
Publication of JP2009063239A publication Critical patent/JP2009063239A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4964066B2 publication Critical patent/JP4964066B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Treatment Of Water By Oxidation Or Reduction (AREA)

Description

本発明は、海水等の熱交換器の伝熱管の冷却水の通過側の伝熱面におけるスケール発生を抑止する熱交換器のスケール対策法に関する。特に、冷却水として海水を使用する復水器に好適なスケール対策法に係る発明である。
以下の説明で、配合単位を示す「部」及び「%」は、特に断らない限り、質量単位を意味する。
復水器は、発電所の蒸気タービンを回した後の蒸気を海水で冷やして水に戻す(復水する)装置である。
火力・原子力発電所における一般的な復水器は、一基あたり、長さ20m前後、口径約25mmの細管(伝熱管)が多数本(例えば、一基あたり2万本前後)、密に並べられたもので、各細管に海水(冷却水)を通しながら、細管隙間を、タービンからの蒸気を流して復水する。
そして、復水器を所定時間運転すると、細管内のスケール付着に起因して伝熱効率が低下し、復水効率が低下する。
このため定期的に細管内を洗浄する必要がある。その細管洗浄は、過酷な作業条件下で行う必要があるとともに、非常に手間がかかった。このため、可及的に手作業部分を少なくするために、例えば、多数のスポンジボール(グラニュレートボール)を強制循環させたり(特許文献1参照)、ロボットに行わせたりするにようになってきている。
しかし、そのような復水器の洗浄中は、発電用タービンの蒸気を止める必要があり、可及的にスケール除去のための間隔が長いことが望ましい。
このためには、スケール堆積速度を抑止することが考えられるが、本発明者らが知る限り、復水器に関しては、スケール堆積速度を抑止する技術的思想は、寡聞にして知らない。
なお、本発明の特許性に影響を与えるものではないが、本発明と同様、復水器(熱交換器)の海水(冷却媒体)内の海水を45℃以上に加熱して、復水器(熱交換器)を洗浄する技術が特許文献2・3等に記載されている。
また、特許文献2の段落0004には、「蒸気が供給されるタービンと、タービンから排出された蒸気を冷却媒体により冷却する復水器とを備える火力プラントにおける復水器の浄化方法であって、タービンへの駆動用の蒸気の供給を停止し、復水器の冷却室に冷却媒体を溜めた状態で、タービンにシール用の蒸気を供給するとともに、冷却室の真空度を調整することによって、冷却室に溜めた冷却媒体の温度を上昇させる、火力プラントにおける復水器の浄化方法」(請求項1参照)において、「冷却室に溜めた冷却媒体の温度を45℃以上に上昇させる。これにより、例えば、復水器の冷却媒体として海水を用いる場合に、復水器に付着した海生生物を確実に除去することができ、あるいは復水器に海生生物が付着することまたは海生生物が成長するのを確実に防止することができる。」(段落0004)と記載されている。
特許文献3の段落0043には、「海生物が海水温度が50℃付近で死滅する点に着目して、定期的に既設熱交換器の二つの熱交換媒体である被冷却液と、海水の両流路区域から切り離して、別に設けた温水タンクで温められた約50℃以上の温水を海水流路区域に約2時間循環させて海生物を死滅させることを定期的に行い、かつ熱交換器を定期的に分解し大きなゴミを水洗除去することによって付着物が熱交換器の熱交換板に付着するのを防止するものである。」と記載されている。
しかし、特許文献2・3のいずれにおいても、復水器(熱交換器)の復水器細管内(海水流路区域)に付着してできる海生生物自体の付着除去ないし成長防止を予定しており、本発明におけるマンガン細菌による化学的反応によるスケール発生の抑止を予定していない。
すなわち、海水取り入れ口のスクリーン(ストレーナ、レーキ)により除去されず、復水器の細管内に海水とともに卵、胞子等が流入付着して成長する海生生物を除去することを目的とするものである。
このことは、特許文献2段落0007における記載「復水器には、藻、サンカクフジツボ、ムラサキイガイ、カキ等の海生生物が付着する可能性が高い。」および特許文献3段落0003の記載「板状熱交換器において冷却用媒体として海水を使用する場合に熱交換板に付着する海生物例えば夏季にはムラサキ貝、フジツボ等が表面に多数付着して、それらによる流動抵抗のため海水が熱交換板を流れ難くなり熱交換性能が低下し冷却能力が大きく低下する。」等から支持される。
さらに、スケールが富マンガンスケールの場合、熱貫流率の回復が非常に悪いことが非特許文献1第116頁に記載されている。
すなわち、非特許文献1には、「スポンジボール洗浄を定期的に実施していた6年使用管について、ナイロンブラシ洗浄を行った後でも13.4mg/cm2、の付着物があり、管の除去率は80%以下である。この管にさらに硬質ナイロンブラシ洗浄を3回実施しても付着物のうちの半分以下しか除去できない。グラニュアルボールを400個通過させても付着物の除去率は80%である。」と記載されている。
なお、復水器の細管のスケール付着量と熱貫流率とは比例関係にあり、管材が例えばアルミ黄銅の場合、復水器細管内に10mg/cm2のMn分を主成分とする付着物が付くと熱貫流率は約30%低下することを、本発明者らは確認している。
特開平09−68399号公報 特開2003−302194号公報 特開平09−229590号公報 永田公二他「住友軽金属技法 30巻」住友軽金属工業株式会社技術研究所、1989、p197〜205
本発明は、上記先行技術文献等に開示若しくは示唆されていない、新規な構成の熱交換器のスケール対策法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記海水流通域である細管内におけるスケールが富マンガンスケールであることに着目し、該富マンガンスケールの発生がマンガン酸化細菌に起因することを知見して、下記構成の熱交換器のスケール対策法に想到した。
熱交換器の伝熱管の冷却水通過側の伝熱面におけるスケール発生を抑止する熱交換器のスケール対策法であって、
スケールが富マンガンスケールである場合において、
(1)伝熱管内の冷却水を、マンガン酸化細菌が死滅可能な最低温度×時間に加熱維持するマンガン酸化細菌の殺菌処理を、該殺菌処理後、マンガン酸化細菌の酸化能回復期間経過毎に行うことを特徴とする、又は、
(2)伝熱管内の冷却水の一時加熱熱処理を、44〜49℃の温度で1h以上の条件で、且つ、常態冷却水の温度が20℃のとき10d経過毎に、同30℃のとき3d経過毎の範囲で間欠的に行うことを特徴とする。
本発明は、熱交換器における富マンガンスケールの原因が、マンガン酸化細菌に由来するとの知見に基づくもので、マンガン酸化細菌の加熱殺菌処理後、マンガン酸化細菌が酸化能回復直前・直後に加熱殺菌処理を繰り返すことにより、富マンガンスケールの堆積を大きく抑止でき、結果的に熱貫流率の低下を抑止できる。
すなわち、本発明の方法は、富マンガンスケールの発生をほとんど抑止できるとともに、特許文献2・3に記載の「冷却水に溜めた冷却媒体の温度を45℃以上に上昇させる火力プラントにおける復水器の浄化方法」を含み、結果的に付着した海生生物(種として卵・胞子)の除去乃至生長抑止も期待できる。
ちなみに、特許文献2段落0015では、浄化処理(加熱処理乃至死滅処理)は、海水温の高い(例えば、20℃以上)とき1回/月、海水温の低い(例えば20℃未満)のとき2回/月、と記載され、特許文献3段落0008では、浄化処理(温水洗浄)は、2回/月と記載されている。この洗浄回数は、本発明の洗浄回数10〜3日毎から大きく外れている。
また、昇温維持時間は、特許文献2では明記されておらず、特許文献において「50℃×2h」と記載されているのみである。
以下、本発明の望ましい形態について説明する。
熱交換器の伝熱管の冷却水の通過側の伝熱面に発生するスケール発生を抑止する熱交換器のスケール対策法である。
ここでは、熱交換器として、復水器を例に採り説明する。
火力発電所における復水器を備えた蒸気タービンプラント(火力電力プラント)の全体概略図を図1に、本発明を適用する復水器の構成を図2にそれぞれ示す(特許文献2の図1・2から引用)。
そして、参考のために、それらを説明した同文献段落0002を下記に引用する。
「火力発電プラントは、ボイラ10、タービン(例えば、蒸気タービン)20、発電機30、復水器40、脱気器50、給水加熱器60等を備えている。タービン20と発電機30は、回転軸によって連結されている。図1に示す火力発電プラントでは、タービン20は、高圧タービン21、中圧タービン22、低圧タービン23を有している。ボイラ10は、水を加熱して発生させた蒸気を高圧タービン21に供給する。高圧タービン21から排出された蒸気は、ボイラ10で再加熱された後、中圧タービン22に供給される。中圧タービン22から排出された蒸気は、低圧タービン23に供給される。低圧タービン23から排出された蒸気は、復水器40に供給され、復水器40内で冷却媒体により冷却される。復水器40から排出された水は、脱気器50で非凝固ガスが除去された後、給水過熱器60を介してボイラ10に戻される。発電機30は、タービン20により駆動されて電力を発生し、発生した電力を電力系統等に供給する。通常、火力発電プラントは海岸に設置され、復水器40の冷却媒体として海水が用いられる。復水器には、入口室と、出口室と、入口室と出口室との間に連通して配設された複数の細管とを有する冷却室が設けられている。海水は、取水口から入口弁41(図2参照)を介して復水器40の冷却室の入口室に流入する。入口室に流入した海水は、複数の細管を介して出口室に流れる。この細管によって、低圧タービン23から排出された蒸気と海水との間の熱交換が行われる。さらに、出口室内の海水は、出口弁42(図2参照)を介して放水口から流出する。」
本実施形態において、冷却水の取水箇所は通常、海とするが、河川、湖沼等の淡水の場合も本発明は、適用できる。なお、海水の平均的な溶解マンガン(Mn2+)量、0.01ppb、溶解鉄量は0.04ppbとされているのに対し、河川の平均的な溶解マンガン量は、20ppbとされている。
そして、マンガン酸化細菌(以下、「Mn酸化細菌」と表記する。)が死滅可能な最低温度×時間に加熱維持するマンガン酸化細菌の殺菌処理を、該殺菌処理後、Mn酸化細菌の酸化能回復期間経過毎に行うことを基本的特徴とする。ここで、Mn酸化細菌の酸化能回復期間経過毎とは、Mn酸化細菌の酸化能が回復する直前(1〜1.5d前)又は直後(1〜1.5d後)という意味である。
Mn酸化細菌の酸化能が回復するより1〜1.5dより前に加熱処理をすることは、エネルギー的に無駄であり、また、酸化能が回復して2〜3dも経過してしまうと、マンガンスケールが発生を十分に抑止できない。
構成的に表現すると、伝熱管内の冷却水の一時加熱処理を、44〜 49℃(望ましくは44〜46℃)×1h以上(望ましくは8h以内)の条件で、常態冷却水温度(取水温度)20℃のとき10d経過毎に、同30℃のとき3d経過毎の範囲で間欠的に行うことを特徴とする構成となる。
加熱処理温度が低すぎると、Mn酸化細菌を死滅させることが困難となり、逆に高すぎると、エネルギーコストが嵩むとともに、復水器の本来の機能を発揮させるまでの時間がかかり、タービン乃至復水器を長時間運転休止する必要があり望ましくない。
また、加熱処理時間が短すぎては、Mn酸化細菌を完全に死滅させることが困難となり、逆に長すぎると、上記同様、エネルギーコストが嵩むとともに、復水器の本来の機能を発揮させるまでの時間がかかり、タービンを長時間運転休止する必要があり望ましくない。
なお、上記復水器の加熱処理の方法は、特に限定されないが、特許文献2段落0008に記載の下記方法により行うことが熱効率上望ましい(図2参照:特許文献2の図2を引用する。)
「例えば、低圧タービン23に蒸気を供給し、低圧タービン23から排出される蒸気を復水器40に供給する場合、復水器40の真空度(真空値)を調整する(例えば、真空値を低下させる)ことにより、低圧タービン23から排出される蒸気の温度を上昇させることができる。すなわち、排気室(図2に示すように、低圧タービン23から蒸気が排出される位置)内の温度は飽和蒸気温度付近に維持されるため、復水器40の真空度を低下させれば復水器40内の温度が上昇する。ここで、復水器40の真空度は、例えば、真空調整弁47によって調整することができる。したがって、この方法を用いる場合には特別な装置を設ける必要がない。」
以下、上記本発明に想到する過程で順次行った実験例(実施例)について説明する。なお、使用培地は下記1/2TZ培地自体又は1/2TZ培地をベースとするものを使用した。
すなわち、一般細菌(雑菌)中からMn酸化細菌を計数・分離する場合、又は、Mn酸化細菌のMn酸化能力を測定する場合などは、任意の量(50mg/L〜50g/L)のMnを加えた培地を用いた(1/2TZ-Mn培地)。さらに、これらの培地に、寒天を添加し、平板培地(寒天1.5%添加)及び半流動培地(寒天0.3%添加)も使用した。
実験で使用した培地の一覧を表1に示す。
Figure 0004964066
生菌数(Mn酸化細菌)の計数測定は、下記コロニー計数法を主として用いたが、適宜、DAPI染色による直接計数法又は660nmにおける培地の吸光度測定による相対計数法(吸光度法)を用いた。
1) 1/2TZ培地:ポリペプトン2.5g、酵母エキス0.5g、N-(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)4.77gを80%海水1Lに溶解し、pHを7.5に調整し、オートクレーブして滅菌処理して調製したもの(液体培地)である。
2)コロニー計数法(平板計数法ともいう。):Mn酸化細菌株を1/2TZ-Mn平板培地または1/2TZ平板培地上に接種し、20℃×2週間培養後、培地上に出現したコロニー数を計数する。なお、細菌数を示す単位「CFU」は、「Colony Forming Unit」の略号である。
また、接種は、検体(試料)を白金耳で平板培地上に塗末することにより行う。
3)相対計数法(吸光度法):培養液中で細菌が増殖するにつれ、細菌自体が懸濁物となり、培地の吸光度(濁り)が増すことを利用して、菌数を測定する。コロニー計数法に比べ、定量性に劣るものの、迅速性、簡便性に優れ、特に培養液中の細菌数の経時変化を追跡する際に多く使用される。
測定波長として、660nmを選択したのは、微生物用の培地には短波長に吸収を示すものが多いため、一般的に660nmの波長がよく用いられ、またMn酸化細菌の増殖を波長660nmで測定した先例(例えば、金井他(2006).自然環境中のマンガン酸化細菌の特性とその影響予測に関する一考察.地質調査研究報告、第57巻、第1/2号、p1-15)があったためである。
4)直接計数法(蛍光法ともいう。):検体(試料)6mLを、DAPI(4' 6-diamidino-2-phenylindole dihydrochloride)により染色を行い、落射蛍光顕微鏡下にて観察、DAPIに染色されたものを直接計数する。
(1)実態調査
火力発電所(知多第二火力)の復水器細管の付着物及び取水口付近の海水、海底泥を採取した。なお、復水器細管の付着物は、グラニュレートボールを通過させて採取した。
こうして採取した復水器細管の付着物には、付着物にはMnO2が27.6%、Fe23が30.1%含まれ、強熱減量は24.5%であった。MnO2が復水器細管のスケールの主成分の一つであることが確認できた。
上記で採取した検体中のMn酸化細菌数の計数については、上記1/2TZ-Mn平板培地を用いて、コロニー計数法により計数した。
ただし、検体中にはMn酸化細菌と一般細菌(雑菌)が混在するため、平板培地上には両者のコロニーが形成される。これらを区別するためにベンジジン試薬(3,3'、5,5'−テトラメチルベンジジン2塩酸塩水化物を2mMになるように10%酢酸溶液に溶解したもの。)をコロニーに滴下し、青く発色したコロニーのみを計数することでMn酸化細菌を計数した。これは、硫酸マンガンに含まれるMn2+が、Mn酸化細菌の働きによりMn4+に酸化されると検出試薬に含まれるベンジジンと反応し、青色に呈色する性質を利用するものである。その結果、復水器細管から採取した試料からは、海底泥の約50倍、海水中の約1000倍の2.6×107CFU/mLの菌が検出された。
(2)マンガン酸化細菌の単離・選定
上記、Mn酸化細菌計数で用いた平板培地(オリジナル)から、予めレプリカ法にてコロニーを複写した平板培地(コピー)を作成、先述のベンジジン試薬により、オリジナル培地でMn酸化細菌と確認されたコロニーと同じ位置のコロニーを白金耳で釣菌し、新しい1/2TZ-Mn平板培地に移すことにより、Mn酸化細菌を単離した。その結果、採取した試料より計28株(海底泥:11株、復水器:17株)のMn酸化細菌の単離に成功した。
さらに、これら保存株28株から、増殖が良好であり、ベンジジンで強く発色するものを2株(D16株、D21株)選定し、以降の試験に供した。
(3)酸化能力の評価試験
1)試験方法
単離したMn酸化細菌の酸化能力を把握するため、1/2TZ-Mn液体培地(初期Mn濃度50mg/L)60mLに、D-16株又はD-21株を全菌数で2.8×106〜1.2×107cells/mLの範囲で加え、16日間振とう培養し、その間のMn酸化速度を求めた。なお、その際に、Mn酸化速度に与えるpH、温度、溶存酸素量(DO)、鉄(Fe)濃度の影響を調べるため、表2に示す試験区を設けた。
Figure 0004964066
温度設定は恒温槽で行い、マンガン濃度及び鉄濃度の調節は、硫酸マンガン溶液及び第一鉄溶液をろ過滅菌したものを、培地に添加することにより行った。
培養中の溶解性マンガン濃度の分析は、4・8・12および16日後とし、培養液を経時的に6mLずつ採取して、No.5Cのろ紙でろ過したろ液をホルムアルドキシム法にて分析した。同時に、Mn酸化細菌数も、直接計数法により測定した。
2)結果及び考察
マンガン酸化率を次式で求め、D21株についての結果を図3〜5に示す。なお、同時にD16株について20℃で行った結果を図6に示す。
マンガン酸化率(%)= 100×(Cb―Cs)/Cb
(但し、Cb:マンガンイオン無添加の対照区のマンガンイオン濃度、Cs:試料のマンガンイオン濃度)
マンガン酸化には誘導期がみられた。
1次反応速度定数(k)を下記式に基づいて求め、温度毎に、溶存酸素濃度を横軸にとってプロットすると、図6〜9が得られた。
k=2.303logC/C0×1/t
(ただし、C:マンガンイオン濃度(mg/L)、t:時間(d))
1次反応速度定数は20℃で最大を示した。溶存酸素が低下すると酸化速度は減少する。pHが海水のpHである8より低下する酸化速度は減少することが分かる。また、鉄イオンの添加の影響は見られなかった。
なお、具体的結果は示さないが、全菌数は4日後には109cells/mLをこえたが、その後はゆるやかな減衰に転じた。
(4)Mn酸化細菌滅菌試験
加熱滅菌の効果を観察するため、培地として1/2TZ液体培地と、滅菌海水の2つを用意し、それぞれ10mLずつ試験管に入れ、試験区とした。ここに、20℃にて3日間前培養したMn酸化細菌D-21株を全菌数で107cells/mLとなるように加え、それらを、温度30・45・60℃条件下に曝露し、0h、8h、24h、48hそれぞれ各時間経過後に1mLずつ採取し、1/2TZ平板培地によるコロニー法にてMn酸化細菌数の変化を観察した。
その結果、45℃以上の温度に少なくとも×8h曝露すれば、Mn酸化細菌が死滅することを確認した(図10〜11)。
なお、同様にして、D16株又はD21株30℃、40℃に維持した恒温槽にセットして、1h維持したが、図13に示す如く、滅菌できなかった。
(5)加熱滅菌の頻度確認試験
1)試験方法:
加熱殺菌処理を行う最適頻度を調べるため、加熱滅菌直後の復水器を再現し、その後のMn酸化細菌数及びMn酸化能力の回復速度を調べた。すなわち、D-21株を、無菌の1/2TZ-Mn液体培地60mL中に海水中と同じ菌数(約2.4×104cells/mL)となるように加え、20℃又は30℃条件下にて、16日間培養、その間における菌数の増加を直接計数法(蛍光法)で毎日観察すると同時に、Mn酸化量の増加も観察した。
2)結果及び考察
その結果、菌数は20℃でも30℃でも1日で回復するものの(図14)、酸化能の回復は菌数より遅れ、20℃で7日、30℃で4日かかることが分かった(図15)。すなわち、本発明の加熱滅菌処理を、冬期においては1週間前後、夏期においては4日前後の頻度で行えば、復水器細管内へのMnスケールの付着を防止できることが確認できた。
火力発電所の発電用蒸気タービンの概略プラント図である。 本発明を適用する昇温機構を備えた復水器の構成図である。 復水器から単離したMn酸化細菌(D-21株)の10℃におけるマンガン酸化能を示すグラフ図である。 同じく20℃におけるマンガン酸化能を示すグラフ図である。 同じく30℃におけるマンガン酸化能を示すグラフ図である。 復水器から単離したMn酸化細菌(D-16株)の20℃におけるマンガン酸化能を示すグラフ図である。 Mn酸化細菌によるMnイオンの10℃における酸化反応速度定数を、図3の結果から求めたグラフ図である。 同じく20℃酸化反応速度定数を、図4及び図6の結果から求めたグラフ図である。 同じく30℃酸化反応速度定数を、図5の結果から求めたグラフ図である。 Mn酸化細菌数と各温度における熱処理曝露時間との関係を示す富栄養区培地におけるグラフ図である。 同じく貧栄養区培地におけるグラフ図である。 Mn酸化細菌を45℃に維持した場合の熱処理曝露時間と滅菌の相対関係を示すグラフ図。 Mn酸化細菌を常温、30℃及び40℃に1h保持した場合の滅菌状態を示すグラフ図である。 加熱滅菌処理後の復水器細管内に相当する培地における細菌数の回復傾向を示すグラフ図である。 同じくMn酸化細菌の酸化能回復傾向を示すグラフ図である。
符号の説明
20 タービン
40 復水器
46 真空ポンプ
47 真空調整弁

Claims (5)

  1. 熱交換器の伝熱管の冷却水の通過側の伝熱面におけるスケール発生を抑止する熱交換器のスケール対策法であって、
    前記スケールが富マンガンスケールである場合において、
    前記伝熱管内の前記冷却水を、マンガン酸化細菌が死滅可能な最低温度×時間に加熱維持するマンガン酸化細菌の殺菌処理を、該殺菌処理後、マンガン酸化細菌の酸化能回復期間経過毎に行うことを特徴とする熱交換器のスケール対策法。
  2. 熱交換器の伝熱管の冷却水の通過側の伝熱面に発生するスケール発生を抑止する熱交換器のスケール対策法であって、
    前記スケールが富マンガンスケールである場合において、
    前記伝熱管内の前記冷却水の一時加熱を、44〜49℃×1h以上の条件で、且つ、常態冷却水温度20℃のとき10d経過毎に、同30℃のとき3d経過毎に間欠的に行うことを特徴とする熱交換器のスケール対策法。
  3. 熱交換器の伝熱管の冷却水通過側の伝熱面に発生するスケール発生を抑止する熱交換器のスケール対策法であって、
    前記スケールが金属酸化細菌に起因する難溶性金属酸化物を含む場合において、
    前記伝熱管の、前記冷却水を前記金属酸化細菌が死滅可能な最低温度まで昇温させて、前記金属酸化細菌の殺菌処理を、該殺菌処理後、金属酸化細菌の酸化能回復期間経過毎に行うことを特徴とする熱交換器のスケール対策法。
  4. 前記冷却水が海水であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の熱交換器のスケール対策法。
  5. 前記熱交換器が復水器であることを特徴とする請求項4記載の熱交換器のスケール対策法。

JP2007231699A 2007-09-06 2007-09-06 熱交換器のスケール対策法 Expired - Fee Related JP4964066B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007231699A JP4964066B2 (ja) 2007-09-06 2007-09-06 熱交換器のスケール対策法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007231699A JP4964066B2 (ja) 2007-09-06 2007-09-06 熱交換器のスケール対策法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009063239A JP2009063239A (ja) 2009-03-26
JP4964066B2 true JP4964066B2 (ja) 2012-06-27

Family

ID=40557966

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007231699A Expired - Fee Related JP4964066B2 (ja) 2007-09-06 2007-09-06 熱交換器のスケール対策法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4964066B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5703456B2 (ja) * 2013-04-01 2015-04-22 株式会社片山化学工業研究所 海水中でのマンガンスケール形成阻害剤およびマンガンスケールの障害防止方法
WO2018092694A1 (ja) * 2016-11-18 2018-05-24 住友金属鉱山株式会社 マンガンの除去方法
JP6897345B2 (ja) * 2016-11-18 2021-06-30 住友金属鉱山株式会社 マンガンの除去方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07117355B2 (ja) * 1991-03-06 1995-12-18 中部電力株式会社 銅合金部材の汚れの管理方法
JPH07294190A (ja) * 1994-04-27 1995-11-10 Toshiba Corp 海洋生息物除去装置
JPH09229590A (ja) * 1996-02-19 1997-09-05 Alpha Rabaru Kk 熱交換器付着物防止方法および装置
JPH10253271A (ja) * 1997-03-10 1998-09-25 Toshiba Corp 発電プラントの冷却水系統

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009063239A (ja) 2009-03-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Brock et al. Presence of thermophilic bacteria in laundry and domestic hot-water heaters
Flemming et al. Antifouling strategies in technical systems—a short review
Nogueira et al. Microbiological quality of drinking water of urban and rural communities, Brazil
CN103058336B (zh) 一种循环冷却水直流电解处理工艺及设备
Tison et al. Legionella incidence and density in potable drinking water supplies
CN103319007B (zh) 一种中水回用于循环冷却水的方法
Meyer-Reil Bacterial growth rates and biomass production
JP4964066B2 (ja) 熱交換器のスケール対策法
Jain Microbial colonization of the surface of stainless steel coupons in a deionized water system
RU2272793C2 (ru) Способ очистки сточных вод, средство и смешанная бактериальная популяция (варианты) для его осуществления
Thomas et al. Laboratory observations of biocide efficiency against Legionella in model cooling tower systems
Benbouzid‐Rollet et al. Monitoring of a Vibrio natriegens and Desulfovibrio vulgaris marine aerobic biofilm on a stainless steel surface in a laboratory tubular flow system
Lin et al. Occurrence of cop-like copper resistance genes among bacteria isolated from a water distribution system
Almeida et al. Thermophilic and mesophilic bacteria in biofilms associated with corrosion in a heat exchanger
Rao et al. Studies on the response of iron oxidising and slime forming bacteria to chlorination in a laboratory model cooling tower
Obiri-Danso et al. The effect of the time of sampling on the compliance of bathing water in NW England with the EU Directive on bathing water quality
Nebot et al. Marine biofouling in heat exchangers
Rao Microbiologically influenced corrosion: basics & case studies
Kitzman et al. Chemical vs. non-chemical cooling water treatments–a side-by-side comparison
Ellis Legionellosis: A concise review
EP0969085B1 (en) Pilot drain system for rapid biofilm formation
Garnett et al. Legionella: an unwelcome pollutant
Bagde et al. Influence of physico‐chemical factors on the coliform bacteria in a closed‐lake water system
KR200255340Y1 (ko) 냉각수의여과및살균장치
Filer et al. ORP provides versatile water treatment

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100901

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120227

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120306

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120327

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150406

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees