次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。各図面において同一の構成または機能を有する構成要素および相当部分には、同一の符号を付し、その説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、基板プレートに黄金比プレートと白銀比プレートとを設置して使用する構図検討プレートの一態様を説明する。
図1Aから1Fは、本発明に係る実施の形態1の構図検討プレート1aの一例を示す図であり、図1Aは基板プレート2a、図1Bは基板プレート2aのA1−A1断面図、図1Cは黄金比プレート3a、図1Dは白銀比プレート4aをそれぞれ示し、図1Eは基板プレート2aへ黄金比プレート3aと白銀比プレート4aとを嵌め込んだ構成検討プレート、図1Fは図1Eに示す構成検図プレート1aのA2−A2断面図を示す図である。図1Aから1Fに示すように本実施の形態の構図検討プレート1aは、基板プレート2a、黄金比プレート3a、白銀比プレート4aとから構成される。以降の説明では、黄金比プレート3aと白銀比プレート4aのいずれかあるいは両方を示すときに「スケールプレート」ともいう。基板プレート2aは、透明なプレートに凹部21aを有し、凹部21aは黄金比プレート3aと白銀比プレート4aとを嵌め込むことができる大きさであり、図1Aから1Fでは凹部21は上面視で円形となっている。凹部21aに形成される窪みの深さは、少なくとも二枚のスケールプレートを嵌め込むことができる深さ、すなわちプレート二枚分の厚さがあることが好ましい。
黄金比プレート3a並びに白銀比プレート4aは、ポリカーボネート、アクリル等の合成樹脂の透明なプレートに黄金比及び/又は白銀比のスケールをそれぞれ描いたものである。このスケールは、黄金比(又は白銀比)の間隔で配置されたポイントを、線分で結合させたもので、スケールには、これらのポイント及び線分が透明なプレート上で、肉眼で識別できるように描かれる。例えば、罫書き針で凹凸を付ける、又は、インク等により描くことによりスケールを作ることができる。図1Aから1Fでは黄金比プレート3aと白銀比プレート4aとは円形であり、凹部21aの円形の窪みに嵌め込まれる。本実施の形態ではスケールプレートの形状は凹部21aに嵌め込むことができる形状であることが必要である。図1Aから1Fの例では、円形の他、凹部21aの内周より小さい多角形(例えば12角形、8角形など)であってもかまわない。また、黄金比プレート3aと白銀比プレート4aとを凹部21aに嵌め込んだときに二つのスケールが中心で重なるようにそれぞれのプレートにスケールを描くようにする。このような位置関係については後述する。
次に、スケールプレートに描く黄金比と白銀比のスケールの描き方について説明する。図2A及び2Bは、スケールの比率を説明する図であり、図2Aは黄金比のスケール、図2Bは白銀比のスケールを示したものである。図2Aに示すように、点A、B、C、Dが直線上に、AB:AC:AD=0.618:1:1.6168となるように配置されている。即ち、黄金比によって、AB:AC:ADが0.618x:x:1.6168x(xは任意の正の数)となっている。ここで、ADを一辺とする正方形を描けば、点A及びDからそれぞれ鉛直上向きに隣合う辺がそれぞれADと同じ長さだけ伸びる。それぞれの線分における長さの比から、点B、C、Dに相当する点をB’、C’、D’とすると、やはり、AB’:AC’:AD’=0.618:1:1.6168となる。一方、他の一辺でも、点c、B、Aに相当する点をC’’、B’’、A’’とすると、やはり、DC’’:DB’’:DA’’=0.618:1:1.6168となる。スケールプレートに描かれる線分は、これらの点A、B、C、D、B’、C’、D’、A’’、B’’、C’’を結んだ直線である。
また、図2Bに示すように、点E、F、G、Hが直線上に、EF:EG:EH=0.414:1:1.414となるように配置されている。即ち、白銀比によって、EF:EG:EHが0.414x:x:1.414(xは任意の正の数)となっている。ここで、EHを一辺とする正方形を描けば、点E及びHからそれぞれ鉛直上向きに隣合う辺がそれぞれEHと同じ長さだけ伸びる。それぞれの線分における長さの比から、点F、G、Hに相当する点をF’、G’、H’とすると、やはり、EF’:EG’:EH’=0.414:1:1.414となる。一方、他の一辺でも、点G、F、Eに相当する点をG’’、F’’、E’’とすると、やはり、HG’’:HF’’:HE’’=0.414:1:1.414となる。スケールプレートに描かれる線分は、これらの点E、F、G、H、F’、G’、H’、E’’、F’’、G’’を結んだ直線である。以上のような比率で各ポイントを直線で接続してスケールを作成する。また、各スケールプレートの中心がわかり易いように対角線を描くことが好ましい。
また、黄金比と白銀比とを重ねる場合、黄金比と白銀比との中心が重なるようにする。また、構図を検討する際には、対角線を一致させて、二つのスケールプレートを用いると、矩形あるいは三角形のスケールが同じ方向に重なるため、両方の比を用いて構図を検討する場合には検討しやすい。従って、本実施の形態では、基板プレート2aの凹部21aに二つのスケールプレートを嵌め込んで重ねたときに、黄金比及び白銀比の中心が重なるように黄金比プレート3a及び白銀比プレート4aに黄金比及び白銀比をそれぞれ描く。黄金比及び白銀比のスケールは、対角線の中心を会わせて重ね、対角線を一致されて矩形あるいは三角形の形状が同じ方向に描かれるように重ね合わせる。このように、スケールプレートに描かれている黄金比と白銀比それぞれのスケールの対角線を重ね合わせることによって二つのスケールを合成する。
次に、利用者が本実施の形態の構図検討プレート1aを用いる場合の手順について説明する。利用者は、まず基板プレート2aの凹部21aに所望のスケールプレートを嵌め込む。黄金比プレート3aあるいは白銀比プレート4aのいずれか一方を用いて構図を検討したい場合はいずれか一方を嵌め込み、両方合わせたスケールで構図を検討したい場合は、両方を嵌め込んで使用する。凹部21aに嵌め込んだスケールプレートは、凹部内で回転可能になっており、構図を検討する対象物に合わせてスケールを回転させることができる。黄金比プレート3aと白銀比プレート4aの重ね方は上述したとおりである。
利用者は、黄金比のスケールで対象物を検討したい場合、黄金比プレート3a嵌め込んだ基板プレート2aを対象物へ翳し、白銀比のスケールで対象物を検討したい場合、白銀比のスケール4aを嵌め込んだ基板プレート2aを対象物へ翳す。さらに、黄金比及び白銀比を合わせたスケールで対象物を検討したい場合、黄金比プレート10及び白銀比プレート20を嵌め込んだ基板プレート2aを対象物に翳す。
図3Aから3Fは、スケールプレートを操作しやすいように工夫した基板プレートの一例を示す図である。図3Aは凹部22aに穴23aを空けた基板プレート2aの上面図である。図3Bは図3Aに示す基板プレート2aのA3−A3断面図である。図3Cは段差のある穴24aを空けた基板プレート2aの上面図である。図3Dは図3Cに示す基板プレート2aのA4−A4断面図である。図3Eは正多角形の凹部25aを設けた基板プレート2の上面図である。図3Fは図3Eに示す基板プレート2aのA5−A5断面図である。
図3A及び3Bに示すように、二つのスケールプレートを凹部22aに嵌め込んだときに二つのスケールプレートそれぞれを回転させやすいように、凹部22aの一部分に穴を空け、予め凹部22aに嵌め込んだスケールプレートを穴23aから指で容易に押さえられるようにする。これによって、二つのスケールプレートのそれぞれを容易に回転させることができる。穴23aは、凹部22a内の黄金比及び/又は白銀比のスケールを描く線に影響のない(スケールを描く線と穴の位置が重ならない)位置に空けることが好ましい。また、この穴を利用すれば、凹部22aに嵌め込んだスケールプレートを取り出しやすくすることができる。例えば、穴にピンを挿入し、引っかけて取り出すことができる。
また、図3C、3Dに示すように凹部22aに代えてプレートを載せることができる段差を設けた穴24aを空けることもできる。穴24aは、基板プレート2aを貫通するスケールプレートの大きさより小さい穴を設け、さらに、スケールプレートが嵌め込めるような段差(ステップ)を周辺に含む凹部を形成し、スケールプレートを形成された段差に載せるようにすることができる。この段差を有する穴24aにより、スケールプレートは基板プレート2aの両側から操作が容易なものとなる。
さらに、図3E、3Fに示すように凹部の形状を正多角形にすることもできる。凹部25aは正多角形であり、図3Eでは正12角形の例を示しているが、正16角形、正8角形、正6角形、正方形その他の正多角形であってもよい。また、黄金比プレート3a及び白銀比プレート4aを凹部25aに挿入可能な形状(例えば、同一形状であってやや小さく隙間バメで挿入可能な形状)として凹部25aに嵌め込めるようにする。そして、黄金比プレート3a及び白銀比プレート4aを嵌め込む際に、いわゆる回転位置(又は回転角度)を調節し、二つのプレートの対角線が重なるように嵌め込む。これにより、二つのスケールプレートを対角線が重なるように嵌め込むことができる。また、図3Eに示す基板プレート2aは、図3Aに示すような穴23aを設けてもよい。
また、所望の角度をつけてスケールプレートを設置することができるように、上記基板プレート2aの凹部22a、25aや穴24a並びにスケールプレートは、平面視で円形あるいは正多角形としたが、これに限らない。例えば、プレートの回転位置(角度)を細かく調整する必要のない場合には、長方形などであってもよい。
また、例えば、凹部22aの周を正多角形(四角形以上の多角形)にし、スケールプレートを凹部22aの周と同じの正多角形にし、スケールプレートを回転させたい場合に、多角形の角度の単位で回転させるようにすることもできる。このようにした場合、回転したい角度を予め選択してスケールプレートを嵌め込むことになる。しかしながら、円形の凹部21aの場合に比べると、スケールプレートを一旦嵌め込めば、スケールプレートの回転位置がずれ難いというメリットがある。従って、特に二つ以上のスケールプレートが用いられる場合、円形であれば、それぞれのプレートに移動の自由度があり、二つのスケールの回転位置がずれ易くなるところ、これを効果的に防止することができる。
このように、本実施の形態によれば、所望のスケールを基板プレートに嵌め込むことによって、黄金比又は白銀比のいずれか一方、あるいは黄金比及び白銀比の両方のスケールを用いて構図を検討することができる。特に、両方のスケールを同時に用いることが極めて容易となる。即ち、二つの異なるスケールを重ねて用いることが容易になり、黄金比、白銀比、黄金比及び白銀比の組合せ等に基づいて構図を容易に検討することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、基板プレートにいずれか一方のスケールが描いてある場合について説明する。
図4Aから4Eは、本発明に係る実施の形態2の構図検討プレート1bの一例を示す図である。図4Aは、基板プレート2bの平面図である。図4Bは基板プレート2bのB1−B1断面図である。図4Cは白銀比プレート4bの平面図である。図4Dは基板プレート2bに白銀比プレート4bが嵌め込まれた構図検討プレートの平面図である。図4Eは図4Dに示す構図検討プレート1bのB2−B2断面図である。図4Aから4Eに示すように本実施の形態の構図検討プレート1bは、基板プレート2b及び白銀比プレート4bから構成される。基板プレート2bは、透明なプレートに凹部21bを備える。凹部21bは白銀比プレート4bを嵌め込むことができる大きさ及び形状を有する。図4Aでは、この凹部は平面視で円形を呈する。窪みの深さは、少なくとも一枚のスケールプレートを嵌め込むことができる深さを有することが好ましい。例えば、嵌め込まれるプレートの一枚分の厚さと実質的に同じ若しくはより深いことが好ましい。このように、円形の凹部21bに白銀比プレート4b(及び/又は黄金比プレート)を嵌め込んだ場合、白銀比プレート4bはこの円形の凹部21bの縁(又は外周)に沿って回転することができる。従って、白銀比プレート4bを回転させながら、構図を検討する場合であっても、白銀比の中心が基板プレート2bの例えば中心に対してずれることがない。そのため、構図検討をより容易に行うことができる。更に、白銀比プレート4b及び基板プレート2bの互いの中心位置を固定するために、それぞれの中心となる中央部に中心固定用の留め金等を配置する必要もない。この中心に置かれる留め金は通常金属製であり、透明ではない。従って、この場合この留め金が構図を検討する絵画や写真等の中心部若しくはその近くに配置されることになるので、対象物が見え難くなりがちである。本実施例の構図検討プレートは、このような問題を効果的に防ぐことができる。
白銀比プレート4bは、透明なプレートに白銀比のスケールを描いたものである。図4Cに示される白銀比プレート4bは、その外形が平面視で円形である。従って、凹部21bの円形の窪みに容易に嵌め込むことができる。凹部21bの形状のその他の特徴は、上記実施の形態1と同様である。従って、凹部21bは、平面視で多角形(4角形以上の多角形)であってもよい。例えば、白銀比プレート4bを、黄金比スケールが描かれる基板プレート2bの凹部21bに嵌め込む場合、これらの描かれる黄金比及び白銀比のスケールがそれぞれの中心で重なる(例えば、中心を共通化する)ように、凹部21bの形状と白銀比プレート4bの形状を決定することが望ましい。さらに、これらのスケールを描く位置を十分考慮することが好ましい。凹部21b内での白銀比プレート4bの回転中心と、白銀比スケールの中心がずれていた場合、回転によって、白銀比スケールの中心は、基板プレート2bに描かれた黄金比スケールの中心からずれていくからである。
白銀比プレート4bを基板プレート2bに嵌め込む場合は、基板プレート2bに描かれている黄金比スケールと白銀比スケールの重なり方に留意することが好ましい。白銀比プレート4bを凹部21bに嵌め込んだ場合に、基板プレート2bに描かれている黄金比のスケール及び白銀比プレート4bの白銀比のスケールの対角線がそれぞれ重なるようにすると両スケールを含めて対象物の構図を検討しやすいからである。
また、図3A、3B示すように凹部21bに貫通孔を設けることによって、同様に白銀比プレート4bを操作しやすくできる。さらに、図3E、3Fに示すように凹部21bの平面視の形状を正多角形へ変更することも可能である。これによる効果も上記実施の形態1と同様である。
このように、本実施の形態によれば、所望のスケールを基板プレートに嵌め込むことによって、黄金比又は白銀比のいずれか一方、あるいは黄金比及び白銀比の両方を用いて構図を検討することが容易になる。特に二つのスケールを重ねて用いる手順が容易になり、黄金比、白銀比、黄金比及び白銀比の組み合わせを用いて検討することが容易になる。また、上記実施の形態1に比べ、構図検討プレート1bを構成するプレートが少なくなるため、生産性が向上する。また、黄金比又は白銀比のいずれかを通常使用するスケールとして、基板プレートに直接描く場合は、嵌め込みスケール無しで検討後、さらに、他方のスケールを描いたプレートを嵌め込んで使用することができ、構図の検討がより容易となる。
なお、上記実施の形態では、基板プレート2bに黄金比が書かれている場合を説明したが、基板プレート2bは、白銀比が描かれている場合であってもよい。この場合、構図検討プレート1bは、白銀比プレート4bに代えて黄金比プレートを備えることになる。各構成要素の特徴や使用方法等については上記と同様であるため説明を省略する。
(実施の形態3)
本実施の形態では、基板プレートもしくはスケールプレートに角度を示す目盛を有する構図検討プレートの一態様を説明する。
図5A及び5Bは、実施の形態3の基板プレート2cの一例を示す図であり、図5Aは凹部21cの外側に角度を示す目盛5をつけた基板プレート2cを示す図であり、図5Bは基板プレート2cの凹部21cの内側に目盛5をつけた基板プレート2cを嵌め込んだもの示す図である。図5A及び5Bに示す基板プレート2cは、図1Aに示す基板プレート2aと同様の形状のものを用いることができる。構図検討プレートの基本的な構成は図1示す構成と同様である。また、目盛5は、図3Aに示す基板プレート2aにつけることも可能である。このように、本実施の形態は図1、図3Aに示す構図検討プレートに適用することができる。図5A及び5Bでは、基板プレート2cの円形の凹部21cの周の一部分に沿うように目盛5がつけられているが、凹部21cの周全体に沿って目盛5をつけてもよい。
基板プレート2cのように目盛5を設けることによりスケールプレートの回転角度が分かりやすくなる。従って、15度、30度等のように角度を決めて回転をさせることができる。
また、図6は、実施の形態3のスケールプレート6の一例を示す図であり、目盛5をつけた多角形のスケールプレート6の一例を示す図である。図6に示す目盛5は、分度器等の目盛を利用しており、目盛を示す線の長さを変えて目盛を分かりやすくしている。図6では正12角形のスケールプレートを示しているがこれに限られることはなく、その他の正多角形へ適用することも可能であるし、円形のスケールプレートに適用することも可能である。なお、図6に示すスケールプレートには黄金比または白銀比のスケールを描いてないものを示しているが、このスケールプレートには、中心位置を合わせて、図2A及び2Bに描かれる黄金比及び/又は白銀比のスケールを描いてもよい。また、目盛5をスケールプレート6の一部分につけた例を示しているが全体につけてもかまわない。
図5A又は5Bの基板プレート2c並びに図6のスケールプレート6の使用方法は基本的に図1の構図検討プレート1aと同様であるが、目盛を用いてプレートの傾きを把握できる点が異なる。構図を検討する場合、各スケールを複数種類の角度で傾けて(スケールプレートを回転させて)構図に合うスケールの位置を探しながら構図を検討する。このような場合、どのくらいの角度を傾けるとよいか、経験則で判断できる場合や、候補になる傾きの角度がある場合がある。このような場合に、本実施例ではスケールプレートを回す角度を容易に把握できるので、構図を検討する手順が容易になる。
また、図3E及び3Fに示した凹部とスケールプレートの形状が多角形の場合、例えば12以上の多角形にする等して、外周の一辺の長さを短くすることができる。このとき、クリアランスを十分とれば、多角形の外周の一辺の単位で、回転の易難が生じるので、スケールプレートの回転が一辺単位となり、手動の位置決めがより容易となる。また、所定の角度の回転を容易に達成することができる。ここで、所定の角度は、一辺両端とスケールプレート中心とを結んだ三角形の頂点に形成される角度であり、多角形の角度の数で360度を割った値となる。
(実施の形態4)
実施の形態4では、基板プレート以外の連結手段で二つのプレートを連結する一態様を説明する。
図7Aから7Cは、実施の形態4の構図検討プレート1dの一例を示す図である。図7A及び7Bに示す構図検討プレート1dは、黄金比のスケールが描かれた黄金比プレート3dと、白銀比が描かれた白銀比プレート4dと、黄金比プレート3d及び白銀比プレート4dを重ね合わせて連結する連結手段としての締め具7dとを備える。黄金比プレート3dや白銀比プレート4dは、例えば、ポリカーボネートやアクリル等の合成樹脂の透明なプレートに、それぞれ黄金比や白銀比のスケールを描いたものである。ポリカーボネートは、強度が高く、傷つきにくいため、より好ましい。透明なプレートの形状は、正方形の形状であり、正方形の外周に沿ってスケールが描かれてない余白部分があり、余白部分に連結手段の締め具7dが取り付けられている。図7Aは、二つのプレートを別々に用いる状態を示すものであり、二つのプレートが締め具7を起点にそれぞれのプレートが回転して離れた状態になり、黄金比と白銀比それぞれのスケールが見える状態である。図7Bは、二つのプレートを重ね合わせた状態であり、黄金比と白銀比のスケールが重なって見える状態である。図7Cは、締め具7dの一例を示している。
プレートの形状は、必ずしも正方形である必要はなく、黄金比または白銀比の正方形の外周を持つスケールが描けるものであればよく、正方形以外の多角形であってもよいし、円、楕円等のプレート内に正方形のスケールを描いてもかまわない。あるいは、相似形でないプレートであってもよい。プレートの形状・大きさは、スケールが描かれている領域の外側に占め具を取り付ける領域や、対象物にプレートをかざす時に手で挟む(持つ)領域が確保されることが好ましい。
締め具7dは、黄金比プレート3dと白銀比プレート4dそれぞれへ形成した穴に通して二つのプレートを回転自在に止めるものである。図7Cには、内径の異なる円筒形に蓋部分が取り付けられものを穴に通し、相互に挟み込んで二つのプレートを止めるものを一例として示している。これに限らず、プレートに形成した穴よりやや小さい外形を有する円筒形のものを挿通させ、円筒形の両端部を外側に開いてフランジ状にして穴から抜け出さないようにしたものであってもよい。締め具7dは、少なくとも二つのプレートを繋ぎ、それぞれのプレートが回転自在になる状態を維持するものであればよい。
図7A及び7Bに示す構成検討プレートでは、締め具7dによって、二つのプレートを分離しないように繋ぎ、正方形の四辺か一致するように重ねることにより、黄金比と白銀比のスケールが重なり合う。また、それぞれのスケールを描いたプレートが独立していることにより、黄金比のみ利用したい場合や白銀比のみを利用したい場合はそれぞれが描かれたスケールを用いることが可能になる。
黄金比プレート3d及び白銀比プレート4dにスケールを描く場合、二つのスケールプレートを重ね合わせたときに黄金比と白銀比のスケールプレートが、それぞれの中心位置で重なるように、これらのスケールを描くことが好ましい。特に、対角線が交わる中心だけでなく、対角線自身がそれぞれ重なり合うようにすることがより好ましい。また、スケールプレートが正多角形や円形の場合、スケールプレートの外周に目盛をつけることによってスケールの傾きを把握することが容易になる点も上記各実施の形態と同様である。
また、プレートに持ち手部分(把持部分)を備えていてもよい。図8A及び8Bは、持ち手部分を有する構図検討プレートの一例を示す図である。図8A及び8Bに示す構図検討プレート1eは、黄金比のスケールが描かれた黄金比プレート3eと、白銀比が描かれた白銀比プレート4eと、締め具7eを備える。図8Aは、二つのプレートを別々に用いる状態を示すものである。二つのプレートが締め具7eを起点にそれぞれ回転して互いに離れた状態になると、黄金比及び白銀比のスケールが別々に見ることができる状態となる。図8Bは、二つのプレートを重ね合わせた状態であり、黄金比と白銀比のスケールが重なって見える状態である。
黄金比プレート3eと白銀比プレート4eは、プレートの外周の一部分が突出して、持ちやすい形状になっている持ち手部31e、41eを備える。持ち手部31e、41eの一部分に穴が形成され、締め具7eが黄金比プレート3eと白銀比プレート4eとを連結している。締め具7eは、図7と同様である。持ち手部31e、41eの形状は手のひらに握りやすい形状、あるいは指で挟みやすい形状とし、二つのプレートを重ねたときにずれにくくする。
また、プレートを対象物に翳すときに持ちやすくなり、また、プレートがぶれることを抑える。また、持ち手部31e、41eを備え、締め具7eが持ち手部31e、41eの端部に配置されていることにより、一方のプレートを使用する場合に、一方のプレートのみの持ち手部31e、41eを挟むことが可能になり持ちやすくなる。特に、図8A及び8Bでは、プレートの一部を持つ場合に、締め具7eや他方のプレートが重なる部分を持つことになり、他方のプレートが手のひらにかかることなどにより持ちにくい場合も発生していたが、この点が改善される。
このように、手の指または手のひらによって持ち手部31e、41eを挟むため、持ちやすく、さらに、二つのプレートを重ねたときに二つのプレートがずれにくく、対象物に合わせる動作も容易になり、プレートがぶれにくくなる。
次に、スケールプレートに凹凸を設けることにより、二つのスケールプレートを連結する場合を説明する。図9Aから9Eは、スケールプレートに凹凸を設けて連結する構図検討プレート1fの一例を示す図である。図9Aは黄金比プレート3fの正面図である。図9Bは図9Aに示す黄金比プレート3fの側面図である。図9Cは白銀比プレート4fの正面図である。図9Dは図9Cに示す白銀比プレート4fの側面図である。図9Eは黄金比プレート3fと白銀比プレート4fとを連結した状態の構図検討プレート1fを示す図である。図9Eに示す構図検討プレート1fは、黄金比のスケールが描かれた黄金比プレート3fと、白銀比が描かれた白銀比プレート4fと、連結手段として凸部32f、42fと、穴33f、43fを、それぞれ黄金比プレート3fと白銀比プレート4fに形成されている。二つのプレートを別々に用いる場合は、図9A及び9Bに示すスケールシートを別々に持って使用する。二つのスケールを重ねて使用する場合は、図9Eに示すように二つのプレートを重ね合わせて使用する。図9Eに示すように、図9Aに示す黄金比プレート3fと図9Cに示す白銀比プレート4fとを、凸部32fと穴43f、穴33fと凸部42fとを嵌め込んで黄金比プレート3fと白銀比プレート4fとを重ねて固定する。
尚、図9Aから9Eではそれぞれのプレートに凸部と穴が形成されている場合を示しているが、一方のプレートに凸部のみを形成し、他方のプレートに穴のみを形成してもよい。また、形成する凸部と穴の組み合わせの数は、少なくとも1以上であればよく、翳して見ることができる限りは特に限定されない。
また、凸部は、穴の深さより深くすると取り外す際に凸部の先端を押さえることができるため外しやすくなる。また、凸部と穴のサイズ関係は、簡単に外れない程度の中間バメが好ましい。穴の代わりに凸部を嵌め込む窪み(凹部)を形成してもよい。
凸部、穴は、プレートの合成樹脂を加工する際に形成する。また、プレートがばらばらになったり紛失したりするのを防ぐために両プレートに穴を開け、その穴に1本の紐を通して付けてもよい。
このように、凸部と穴とにより二つのプレートを固定するため、重ね合わせたプレートがずれることを防止できる。また、二つのプレートを重ね合わせて対象物を検討する際に、プレートを持ち替えるたびにずれることを防止できる。特に、二つのプレートを重ねた状態で検討する時間が長い場合に有効である。
なお、図9Aから9Eに示す凸部と穴との組み合わせを図1に示す構図検討プレート1aの黄金比プレート3aと白銀比プレート4aに適用することも可能であり、特に円形のスケールプレートの場合には二つのスケールプレートを重ね合わせる操作が容易になり、重ね合わせたあとのずれが生じにくくなる。
次に、スケールプレートを溝に嵌め込んで連結する場合を説明する。図10A及び10Bは、溝を有するプレート把持部により二つのスケールプレートを連結する構図検討プレートの一例を示す図である。図10Aは矩形のスケールプレートを嵌め込むプレート把持部8gを示す図である。図10Bは正8角形のスケールプレートを嵌め込むプレート把持部8hを備える構図検討プレートを示す図である。
図10A及びBに示す構図検討プレート1g、1hは、黄金比のスケールが描かれた黄金比プレート3g、3hと、白銀比が描かれた白銀比プレート4g、4hと、連結手段としてプレート受け部81g、81hと持ち手部82g、82hとからなるプレート把持部8g、8hを備える。把持部8g、8hにおいて、プレート受け部81g、81hは、プレートを溝に嵌め込み二つのスケールプレートを連結し、持ち手部82g、82hは、プレート受け部81g、81hを支え、利用者がプレートを所望の位置に移動させるために持つ部分である。プレート受け部81g、81hはスケールプレートを嵌め込むことができればよいが、スケールプレートの形状に合わせた溝を有することが好ましく、スケールプレートを安定して連結することができる。
プレート受け部81g、81hは、溝へスケールプレートを嵌め込むが、溝の大きさ(太さ)を調整することにより嵌め込むスケールプレートの数を調整することが可能である。また、プレート把持部8g、8hは、クリップや洗濯バサミなど複数のスケールプレートを挟んで固定できる手段で代用することも可能である。
図8Aから図10Bでは、黄金比プレートと白銀比プレートは基本的に矩形の場合を用いて説明したが、多角形、円形その他の形状であっても良いことは図7A〜7Cのところで説明した通りである。
(実施の形態5)
上記各実施の形態では、黄金比プレート、白銀比プレートともにスケールを全部描いた場合を示していたが、黄金比、白銀比の各スケールの一部分を用いて構図を検討することもできる、あるいは一部分のスケールを用いて構図を検討した方が判りやすい場合もある。このような場合に対応するため、スケールの一部分を描く一態様を説明する。
図11Aから11Iは、本実施の形態のスケールプレートの一例を示す図である。図11Aは矩形を抽出した黄金比のスケールを示す図である。図11Bは矩形を取り除いた黄金比のスケールを示す図である。図11Cは、4本の線分を抽出した黄金比のスケールを示す図である。図11Dは矩形を抽出した白銀比のスケールを示す図である。図11Eは矩形を取り除いた白銀比のスケールを示す図である。図11Fは4本の線分を抽出した白銀比のスケールを示す図である。図11Gは矩形を抽出した黄金比と白銀比のスケールを重ねたものを示す図である。図11Hは矩形を取り除いた黄金比と白銀比のスケールを重ねたものを示す図である。図11Iは4本の線分を抽出した黄金比と白銀比のスケールを重ねたものを示す図である。
上記各実施形態のスケールプレートは、各図で示したものに代えて図11Aから11Iに示したスケールプレートを用いることができる。また、図11Aと11Dを重ねたイメージは図11Gとなる。また、図11Bと11Eを重ねたイメージは図11Hとなる。また、図11Cと11Fを重ねたイメージは図11Iとなる。
また、図11Aから11Iに示したものの他にも、矩形あるいは三角形の線を点線や一点鎖線など直線以外の線に変えてもよいし、矩形あるいは三角形の線の色を変えて目立つようにしてもよい。矩形や三角形のスケールに限ることなく、構図を検討する場合に特に注目したいスケールの線について色を変えたりしてもよい。
スケールプレートの線は、一般に、いわゆる罫書き線のように、表面に傷をつけて、その表面の反射率の違い、又は、凹凸から生じる影等により描くことができる。また、いわゆるペンキ等の塗料により描いてもよい。また、スケールプレートの線に着色する方法としては、スケールを描くときに異なる色を用いる場合、スケールをプレートに描く場合にプレートに溝を形成してスケールを描き、形成した溝に着色物を挿入する場合などが考えられる。プレートに溝を形成する場合は、プレートにニードルなどによって溝を形成し、着色物として色鉛筆やクレヨンなど利用者が身近に入手可能なものを用いることもできる。また溝に入れ込んだ着色物は洗い流すことによって取り除くことも可能であり、着色を自在に実施することもできる。このように構図を検討する用途に応じて着色を変更することもできる。
(構図検討の実施例)
具体的に黄金比、白銀比あるいは両方のスケールを絵画に当てた例を示す。
図12Aから12Fは、黄金比のスケールを用いて構図の変更を検討する一例を示す図である。図12A、12C、12Eは変更前の構図を示す図である。図12B、12D、12Fは変更後の構図を示す図である。図12Aでは左側の指(絵の人物の右手の人差し指)の先端はスケールに描かれた線上から外れた位置に配置されている。一方、図12Bでは左側の指の先端は、スケールに描かれた線上となる位置に配置されている。この両者の絵を比べれば、図12Bの方が構図的により高い安定性となることがわかる。従って、このような配置の変更により構図の安定が増すことがわかる。図12C及び12Dにおいて、黄金比のスケールを45度回転させて同様に検討する。このスケールの合わせ方では、帽子の記章に種々の線が交わる交点を合わせ、そのまま鉛直に鼻筋を通している。このような合わせ方をするのは、帽子の記章がこの絵の注目点となるからである。図12Cを見れば、絵の人物が指さしている人差し指の先端が、向ってすぐ左隣の種々の線が交わる交点から外れていることがわかる。このようにもう一つの注目点となる人差し指の先端が、黄金比のスケールの種々の線が交わる交点からずれているため、構図的に必ずしも好ましくないことが分かる。一方、図12Dでは、同様に黄金比のスケールを合わせると、絵の人物が指さしている人差し指の先端が、スケールにおける種々の線が交わる交点にぴったりと合致する。このため、図12Dの絵の方が、構図的に安定性が高い。従って、こちらの構図の方が、より好ましいものであることが分かる。更に、図12E及び12Fにおいて、白銀比のスケールを用いて同様に構図を検討する。黄金比と同様な合わせ方をした場合、帽子の記章と、絵の人物が指さしている人差し指の先端の両方が、同時に種々の線が交わる交点に位置することがない。従って、白銀比のスケールで評価した場合、いずれの構図も好ましいとはいえない。即ち、白銀比的には、これらの絵は必ずしも好ましいものでは無いことがわかる。このように、白銀比を好ましいとする美的感覚において、いずれの絵の構図も好ましくなく、黄金比を好ましいとする美的感覚とのコントラストを明示的に示すことができるのである。従って、文化や歴史等様々な要因で形成されると考えられている美的感覚の差を、民族の違い、文化の違い等に起因する「なんとなく」という曖昧な表現ではなく、明確な差異としてとらえることが可能なのである。このような比較は、黄金比及び白銀比の両スケールを同時、若しくは、交互にチェック可能な本発明の実施例のようなものによって初めて容易にできることがわかる。
図13Aから13Dは、天空の風神を描くような絵を示す図と、これに黄金比のスケール、白銀比のスケールをそれぞれ当てたそれぞれの図と、両方のスケールを当てた一例を示す図である。図13Aはスケールを当てる前の状態を示す基図である。図13Bは標準位置から45度回転させた黄金比のスケールを当てた状態を示す図である。図13Cは同様に45度回転させた白銀比のスケールを当てた状態を示す図である。図13Dは標準位置の黄金比スケールと白銀比スケールとを重ねて当てた状態を示す図である。図13Aに示す基図では、円形状の部分に風神が描かれており、図13Bに示すように黄金比のスケールの中心部の上方の種々の線が交わる交点を、この風神の頭部中心に当てると、その下方の種々の線が交わる交点が、この風神の手の風の吹き出し部に当てはまっている。また、図13Cに示すように白銀比のスケールの中心部を、この風神の顎部に当てると、その上方の2本の直交線とその直交線を対称に分ける線が交わる交点が、この風神の円形状の部分の外周にほぼ当てはまり、その下方の同様な交点が、この風神の手の風の吹き出し部に当てはまっている。図13Dに示すように黄金比スケールと白銀比スケールとの中心を重ねるとともに、それぞれの長さが異なる対角線をほぼ相似形に重ねたスケールを標準位置でその中心部を基図のほぼ中心である風神の左目に当てると、そのスケールの矩形枠内に風神の周りに描かれた雲状のものが当てはまっていることがわかる。また、その他の部分についても黄金比あるいは白銀比スケールの線に沿って描かれていることが見受けられ、調和の取れた構図となっていると判断できる。従って、このような絵は、黄金比を好ましいとする美的感覚であっても、白銀比を好ましいとする美的感覚であっても好ましいとされる構図を有していることがわかる。
また、図14Aから図17Cは、人物画および風景画の基図と、黄金比のスケール、白銀比のスケールそれぞれを当てた状態を示す図である。図14Aは、人物画にスケールを当てる前の状態を示す基図である。図14Bは基図に標準位置から45度回転させた黄金比のスケールを当てた状態を示す図である。図14Cは同様に白銀比のスケールを当てた状態を示す図である。図15Aは、風景画にスケールを当てる前の状態を示す基図である。図15Bは基図の一つの位置に標準位置の黄金比のスケールを当てた状態を示す図である。図15Cは基図の他の位置に標準位置から45度回転させた黄金比のスケールを当てた状態を示す図である。図15Dは基図の一つの位置に標準位置の白銀比のスケールを当てた状態を示す図である。図15Eは基図の他の位置に標準位置から45度回転させた白銀比のスケールを当てた状態を示す図である。図16Aは、僧侶のような人物画にスケールを当てる前の状態を示す基図である。図16Bは基図に標準位置から45度回転させた黄金比のスケールを当てた状態を示す図である。図16Cは基図に標準位置から45度回転させた白銀比のスケールを当てた状態を示す図である。図17Aは、二人の人物画にスケールを当てる前の状態を示す基図である。図17Bは基図を鏡面対称の位置に置き換えた図に、標準位置の黄金比のスケールを当てた状態を示す図である。図17Cは同様な図に同様な白銀比のスケールを当てた状態を示す図である。
図14Bでは、基図に黄金比のスケールの中心部を基図のほぼ中心である胸部に当てると、スケールの上方の種々の線が交わる交点がほぼ顎部に当たり、その上方の正方形の頂点を形成する2辺に沿うように頭部が配置され、該頂点の上方に位置する二等辺三角形の頂角をなす2辺の内側に顔部が配置される。図14Cでは、基図に白銀比のスケールの中心点を図14Bと同様に胸部に当てると、スケールの上方の正方形の頂点を形成する2辺に沿うように頭部が配置される。従って、この人物画では、黄金比を好ましいとする美的感覚おいて好ましいとされる構図を有していることがわかる。一方、白銀比での美的感覚おいて好ましいとされる情報は少ない。
図15Aにおいて、波間に浮かぶ富士を描いた風景画であるが、この波と富士との配置が好ましいか否かを検討する。ここで、この基図に黄金比ないしは白銀比のスケールをあてがう際にそれぞれのスケールがあてがわれる位置を異ならせている。図15Bでは、黄金比のスケールの中心点を基図の波部の中央から左よりの部分に当てた状態が示されている。該スケールの種々の線が交わる交点を結んで形成される正方形の各頂点のうち、2つは画面の左端に位置し、1つは波部のほぼ中央に位置し、1つは波部の切れ目に位置している。そして、スケールの1つの矩形の頂点の位置に富士山が位置している。図15Cでは、黄金比のスケールを基図の中央より右側で、富士山より右上方の空の部分に当てた状態が示されている。該スケールの水平方向の頂角を結ぶ水平線に沿う矩形の各頂点のうち、2つは画面の右端に位置し、種々の線が交わる交点の1つは、富士山の裾の右端に位置している。
図15Dでは、白銀比のスケールの中心点を基図の波部の中央から左よりの部分に当てた状態が示されている。該スケールの中央部に形成される正方形の各頂点のうち、2つは画面の左端に位置している。図15Eでは、白銀比のスケールを基図の中央より右側で、富士山より右上方の空の部分に当てた状態が示されている。該スケールの水平方向の頂角を結ぶ水平線に沿う矩形の各頂点のうち、2つは画面の右端に位置している。この図15D、15Eによる白銀比のスケールを用いたこの基図の配置の検討では、富士山と波との顕著な関係は見出せない。
図16Bでは、黄金比のスケールの中心点を人物の顎部に当てた状態が示されており、該スケールの種々の線が交わる交点が人物の重心と思われる腹部に当てられており、一方、図16Cでは、白銀比のスケールの同様な状態が示されており、該スケールの上方に頂角を有する三角形の内部にその2辺にほぼ沿って座った状態の人物が配置されている。しかしながら、これら黄金比および白銀比のスケールと人物画との間には著しく顕著な関係は見出せない。
図17Bでは、黄金比のスケールの中心点を一方の人物が乗っている像の後脚部に当てた状態が示されており、図17Cでは、白銀比のスケールを同様に当てた状態が示されている。図17Bおよび17Cにおいては、基図と黄金比および白銀比のスケールとのそれぞれの間には顕著な関係は見出せない。
以上、述べてきたように、本発明の実施例である構図検討プレートを用いれば、絵画のような絵や写真の構図について、善し悪しを、それぞれ異なる美的感覚を考慮しつつ、判断することができる。しかも、この構図検討プレートは、透かして見ることができる構成となっているため、その絵の大小にかかわらず、この構図検討プレートを持った手を眼から離してみたり、近づけてみたりすることにより、検討することができる。更に、単に印刷されたものの上の絵や写真だけでなく、自然界に存在する風景、建物、人物等を透かして見ることにより、その構図を検討することができる。従って、カメラのファインダー等に取り付けることにより、好ましい構図となったものについて、シャッターを押し写真とすることができるだけでなく、少しずつ構図にずれを持たせ、それぞれ構図の違いを具体的なスケールを基準として評価することも可能となる。