JP4957146B2 - 車両用設計支援システム - Google Patents

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本発明は、車両の設計諸元の値を決定するための車両用設計支援システムに関する。
前記のような車両の設計諸元のうち特に乗降性や居住性に影響する設計諸元の値を決定する方法としては、従来、モックアップや試作車等を作成して各種乗員に乗降動作等を行わせることによりその値を決定する方法が用いられている。これは、前記乗降性等が乗員の使用感といった感覚に基づくため、いわゆるCAD等による設計が困難であるためである。しかしながら、この方法では、多様化する車両タイプに応じて膨大な数のモックアップ等を作成せねばならず時間やコストがかかってしまうという問題がある。これに対して、例えば特許文献1には、乗員が車両用ドアを開閉操作する際の操作性をシミュレーションにより評価する評価装置が開示されている。そして、この評価装置によれば、モックアップや試作車等を用いることなく車両用ドアの操作性を容易に評価することができるため、開発時間およびコストを削減することができるという効果がある。
特開2004−5118号公報
しかしながら、前記特許文献1のシミュレーション装置は車両用ドアの操作性のみを評価する装置である。そして、当該装置は手および腕の回転動作のみに基づいて車両用ドアの開閉操作の操作性を演算するものであるので、この装置を乗員の上半身の位置が大きく変化する車両乗降時の乗降性の評価に適用することはできない。従って、乗降性については、前記のように従来のモックアップ等を用いて実際に乗降動作を行ったときの乗員の官能評価あるいは乗降動作時の乗員の筋電図等の測定結果に基づく評価を行わざるを得ないため、開発時間やコストを十分に削減することができないという問題がある。
本発明は、かかる事情に鑑み、車両乗降時の乗降性の評価を容易に行うことができる車両用設計支援システムの提供を目的とする。
上記課題を解決するための請求項1に係る発明は、乗員の車両乗降時の動作を評価することで車両用ドア部周辺の設計諸元の値を決定する車両用設計支援システムであって、前記設計諸元の値を記憶する設計諸元記憶手段と、乗員の上半身に関する人体特性データを記憶する人体特性データ記憶手段と、前記設計諸元の値および前記人体特性データに応じて乗員の車両乗降時の動作軌跡を出力する動作軌跡出力手段と、前記記憶された人体特性データと前記動作軌跡出力手段から出力される動作軌跡とに基づいて車両乗降時の乗員の上半身の関節トルクを算出する関節トルク演算手段と、当該関節トルク演算手段で算出される前記関節トルクに基づいて前記車両乗降時の乗員の負担感を推定する負担感推定手段とを備え、前記人体特性データ記憶手段には、前記人体特性データとして頭部重量や胸部重量等の前記乗員の上半身の体格に関するデータが記憶されており、前記関節トルク演算手段は、乗員の上半身を、頭部と胸部と腰部とが剛体で近似されてこれら頭部と胸部とが頚関節で連結されるとともに胸部と腰部とが腰関節で連結された剛体リンクモデルとしてモデル化し、前記関節トルクとして、前記頭部の並進運動と前記頸関節の回転運動とにより当該頸関節に付与される頸トルクと、前記頭部と胸部の並進運動と前記腰関節の回転運動とにより当該頸関節に付与される腰トルクとを算出し、これら頸トルクと腰トルクとを、それぞれ前記動作軌跡に基づいて算出した乗員の頭部および胸部の各並進加速度を用いて算出することを特徴とするものである(請求項1)。
本発明によれば、乗員の車両乗降時の動作軌跡に基づいて乗員の上半身の関節トルクが算出され、この関節トルクに基づいて車両乗降時の負担感が推定されるので、この負担感を評価することで、上半身の位置が大きく変化する車両乗降時の乗降性を精度よく評価することができる。また、車両のドア部周辺の設計諸元の値および乗員の人体特性データに応じて大きく変化する車両乗降時の動作軌跡が、この設計諸元の値と人体特性データとに基づいて出力されるので、この車両乗降時の動作軌跡を精度よく出力することができるとともに、前記設計諸元の値と人体特性データの値を変更するだけで多岐にわたる動作軌跡を容易に出力することができる。また、前記関節トルクが人体特性データに基づいて算出されるので、この人体特性データを変更するだけで多岐にわたる乗員の人体特性データに対する前記負担感ひいては乗降性を推定することが可能になる。すなわち、本発明によれば、車両乗降時の負担感を容易に推定することができるので、従来のようにモックアップ等を作成することなく車両の乗降性の評価およびこの評価結果に基づく設計諸元の値の決定を容易に行うことができ、開発時間およびコストの削減を図ることができる。
このようにすれば、乗員の上半身の体格に応じて精度よく関節トルクを算出することができるとともに、様々な体格を有する乗員を考慮した最適な設計諸元の値を決定することができる。
このように乗降時に主に負担がかかる頚関節と腰関節の関節トルクを演算し、この関節トルクに基づいて負担感を推定するようにすれば、複雑な演算を行うことなく容易にかつ精度よく負担感を推定することが可能になる。また、このようにすれば、乗降動作の動作軌跡に応じて関節トルクをより正確にかつ容易に算出することが可能になる。
また本発明において、前記負担感推定手段で推定される負担感が予め定めた許容範囲内であるかどうかを判定するとともに、この判定結果に基づいて前記設計諸元の値の許容範囲を算出する設計諸元許容範囲演算手段を備えるのが好ましい(請求項)。
このようにすれば、車両乗降時の負担感ひいては乗降性が許容範囲におさまるような設計諸元の値を容易に決定することが可能になる。
また本発明において、前記設計諸元の値を変化させた際の前記負担感推定手段で推定される負担感の変化率を演算し、当該負担感の変化率が予め定めた許容範囲内であるかどうかを判定するとともに、この判定結果に基づいて前記設計諸元の値の許容範囲を算出する設計諸元許容範囲演算手段を備えるのが好ましい(請求項)。
このようにすれば、負担感の変化率が許容範囲におさまるような設計諸元の値を容易に算出することができるので、例えば負担感が急激に増加するような値を除外することができ、より確実に乗降性を確保可能な設計諸元の値を決定することができる。
また本発明において、前記設計諸元記憶手段に記憶される前記設計諸元が、車両の設計諸元としてのフロアの高さ、シートの高さ、シートの車幅方向の位置、ルーフレールの高さ、フロントピラーの位置、当該フロントピラーの傾斜角、センターピラーの位置および当該センターピラーの傾斜角、サイドシルの高さ、当該サイドシルの車幅方向の厚みおよび当該サイドシルの車幅方向の位置のうち少なくとも一つであるのが好ましい(請求項)。
このように前記設計諸元として、乗降性に大きく影響するフロアの高さ、シートの高さ、シートの水平方向の位置、ループレールの高さ、フロントピラーの位置、当該フロントピラーの傾斜角、センターピラーの位置および当該センターピラーの傾斜角、サイドシルの高さ、当該サイドシルの車幅方向の厚みおよび当該サイドシルの車幅方向の位置を設定し、これら設計諸元の値を乗降性を確保可能な最適な値に設定すれば、乗降性をより確実に確保可能な車両を構築することが可能になる。
また本発明において、前記負担感推定手段が、前記車両用ドアの開放角度に応じて、前記設計諸元の値に対する前記車両乗降時の乗員の負担感を推定するのが好ましい(請求項)。
このようにすれば、車両の周囲状態に応じて変わるドアの開放角度に応じた乗降動作時の負担感を推定することが可能になる。
以上説明したように、本発明によれば、乗降性の評価を精度よく、かつ容易に行うことができ、ドア部周辺の設計諸元の値を容易に決定することのできる車両用設計支援システムを提供することができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照して説明する。
まず本車両用設計支援システム10の概要について説明する。
本車両用設計支援システム10は、乗員の車両乗降時の動作軌跡に基づいて乗降時の負担感を演算推定し乗降性を評価するとともに、この評価結果に基づいて車両用ドア部周辺の設計諸元の各値を決定するシステムである。
ここで、前記車両乗降時の動作とは、図5の上方に示すように車両外部から車両内部に入ってシートに着座する乗車動作と、前記着座状態から再び車両外部に出る降車動作とを言う。そして、この乗降動作は、その動作の種類に応じて図5に示すように6つの段階に分類することができる。前記乗降動作は、内足を車内に入れる内足入れ段階a1と、シートに着座する着座段階a2と、車外に残っている外足を車内に入れる外足入れ段階a3とに分類できる。一方、降車動作は、シートに着座した状態から外足を車外に出す外足出し段階a4と、シートから立ち上がる起立段階a5と、車内に残っている内足を車外に出す内足出し段階a6とに分類できる。
また、予め行った実験等により、乗員が車両乗降時に負担と感じるのは、車両のルーフをよけるために頚や腰を曲げる動作を行う場合や、その曲げた姿勢を維持せねばならない場合であることが明らかとなった。すなわち、乗降時の負担感とは主に上半身の筋活動に起因して生じるものであり、前記乗降時の負担感として上半身にかかる負担感を評価すれば乗降性の評価が可能であることが分かった。
ここで、本車両用設計支援システム10では、乗員の上半身が、図4に示すように、頚部と腰部にジョイントを有する剛体リンクとしてモデル化されている。この剛体リンクモデルでは、上半身の頭部M1と胸部M2と腰部M3とがそれぞれ剛体で近似されており、この頭部M1と胸部M2とが頚部ジョイント(頚関節)J1で連結されるとともに胸部M2と腰部M3とが腰部ジョイント(腰関節)J2で連結されている。そして、この頚関節J1と腰関節J2とが、伸展・屈曲、回旋、側屈可能なボールジョイントとして取り扱われている。また、上肢の質量は胸部M2に含まれるものとして取り扱われている。そして、前記実験等により、この頚関節J1にかかる関節トルクTと腰関節J2にかかる関節トルクTとがそれぞれ前記乗降時の上半身の筋活動ひいては前記乗降時の負担感と高い相関があることが判明したので、本車両用設計支援システム10では、この頚関節J1の関節トルクTと腰関節J2の関節トルクTとから前記乗降時の負担感を演算推定し、車両の乗降性を評価している。本車両用設計支援システム10の具体的構成について以下に述べる。
図1は本発明にかかる車両用設計支援システム10の概略ブロック図である。
この車両用設計支援システム10は、図示しないコンピュータ上で駆動されるシステムである。すなわち、この車両用設計支援システム10は、コンピュータに接続されるキーボードやマウス等の操作に基づいてコンピュータ内のCPUで各種の演算が実行され、その演算結果が前記コンピュータに接続されるディスプレイ等に出力されるように構成されている。
この車両用設計支援システム10は、図1に示すように設計諸元記憶手段11、人体特性データ記憶手段12、動作軌跡出力手段13、関節トルク演算手段14、負担感推定手段15、設計諸元許容範囲演算手段16を備えている。
前記設計諸元記憶手段11には、本車両用設計支援システム10でその値を決定することができる複数の設計諸元Dnに関して、それぞれ具体的な値が多数記憶されている。そして、前記コンピュータに接続されたキーボードやマウス等の操作に応じて、各設計諸元Dnにこの設計諸元記憶手段11に記憶された値のうち特定の値がそれぞれ割り当てられる。
前記設計諸元Dnとは、ドア部周辺の設計諸元であり、具体的には、図2および図3に示すフロア高さD1、シート高さD2、シート位置D3、ルーフレール高さD4、フロントピラー位置D5、フロントピラー傾斜角D6、センターピラー位置D7、センターピラー傾斜角D8である(設計諸元Dnのnとは設計諸元の種類を表す変数であり、nを指定することで特定の設計諸元を指定することができるようになっている)。ここで、フロア高さD1、シート高さD2、ルーフレール高さD4とはそれぞれのパーツの地面からの高さである。また、前記シート位置D3とは、シートの車幅方向の位置でありドアからシートまでの車幅方向の距離である。また、フロントピラー位置D5およびセンターピラー位置D7とは、それぞれのパーツの車両前後方向の位置であり例えば車両前端部から各パーツまでの車両前後方向の距離である。また、フロントピラー傾斜角D6およびセンターピラー傾斜角D8は、それぞれのパーツの側面視における傾斜角である。これら設計諸元Dnはいずれも車両の乗降性に大きく寄与するものである。例えば、ルーフレール高さD1が低くなれば、車両の乗降時に乗員は頚をより大きく曲げねばならないので、負担感が増し乗降性が低下することになる。
前記人体特性データ記憶手段12には、乗員の種々の人体特性データに関して、それぞれ具体的な値が多数記憶されている。そして、前記コンピュータに接続されたキーボードやマウス等の操作に応じて、各人体特性データにこの人体特性データ記憶手段12に記憶された値のうち特定の値が割り当てられる。
前記人体特性データとは、具体的には、年齢、身長および上半身の人体特性データである、座高、頭部M1の重量m、胸部M2の重量m、頭部M1の慣性モーメントI、胸部M2の慣性モーメントI等といった主に乗員の体格に関するデータである。ここで、この人体特性データ記憶手段12には、前記慣性モーメントI,Iとして、図6に示すような車体前後方向をx軸、鉛直方向をz軸、このx軸およびz軸に垂直な方向(紙面に垂直な方向)をy軸とした直交座標系における、各x、y、z軸周りの慣性モーメントの値がそれぞれ記憶されている。これらの人体特性データはそれぞれ関連付けられて記憶されており、例えば年齢に所定の値が割り当てられた場合には、身長や座高といった人体特性データの値に所定範囲内の値が割り当てられるように構成されている。
前記動作軌跡出力手段13は、前記設計諸元記憶手段11から出力された各設計諸元Dnの値および人体特性データ記憶手段12から出力された各人体特性データに基づいて、乗員の車両乗降時の動作軌跡を出力するものである。具体的には、この動作軌跡出力手段13からは、乗降動作中の各時間における、頭部M1の重心位置、胸部M2の重心位置、頚関節J1の中心位置および腰関節J2の中心位置が出力される。さらに、この動作軌跡出力手段13からは、これらの各位置が、前記のような直交座標系における各x、y、z軸成分毎に出力される。
この動作軌跡出力手段13の出力例を図5に示す。この図は、乗降動作時における乗員の頭部M1および胸部M2の鉛直方向(前記z軸方向)の動作軌跡を示したものである。すなわち、この図は、頭部M1の重心位置および胸部M2の重心位置の時間変化を示している。この図において、横軸は時間を表し、縦軸は各重心位置を表している。また、図中の実線で示したものが頭部M1の動作軌跡であり、破線で示したものが胸部M2の動作軌跡である。
前記動作軌跡出力手段13から出力される動作軌跡としては、乗降動作時の各位置を実際に測定した測定結果をこの動作軌跡出力手段13に予め記憶させたものを用いればよい。すなわち、異なる人体特性データを有する複数の乗員に設計諸元Dnの値が異なる複数の車両に対して乗降動作を行わせ、その動作軌跡を測定しておく。そして、この測定結果を人体特性データおよび設計諸元Dnの値毎に整理したものを動作軌跡出力手段13に記憶させておき、前記設計諸元記憶手段11から出力される設計諸元Dnや人体特性データ記憶手段12から出力される人体特性データの各値に応じて記憶された測定結果のうち最も近い条件のものを出力するようにすればよい。
また、特定の人体特性データを有する乗員が特定の設計諸元Dnを有する車両に対して乗降動作を行ったときの動作軌跡を測定し、この測定結果のみを基準動作軌跡として前記動作軌跡出力手段13に記憶させるようにしてもよい。そして、前記設計諸元記憶手段11から出力される設計諸元Dnや人体特性データ記憶手段12から出力される人体特性データの各値に応じてこの基準動作軌跡を補正することで、種々の設計諸元Dnおよび人体特性データに応じた動作軌跡を出力するようにしてもよい。
また、前記動作軌跡出力手段13から出力される動作軌跡としては、前記設計諸元記憶手段11から出力される設計諸元Dnや人体特性データ記憶手段12から出力される人体特性データの各値に応じて、乗降動作をシミュレーション(模擬演算)し、その演算結果を用いるようにしてもよい。
前記関節トルク演算手段14は、前記動作軌跡出力手段13の出力結果である動作軌跡および前記人体特性データの各値に基づいて、乗降動作時の各関節にかかる関節トルクを算出するものである。特に、この関節トルク演算手段14では、前記のように車両乗降時の負担感との相関が高いと認められた頚関節J1にかかる頚関節トルクTと腰関節J2にかかる腰関節トルクTとを演算している。
前記のように本車両用設計支援システム10では、上半身を、頭部M1、胸部M2、腰部M3の3剛体がそれぞれ頚関節J1および腰関節J2で連結された剛体リンクモデルで表している。従って、この頚関節J1および腰関節J2にかかる前記関節トルクT,Tは、各剛体の並進加速度αから求められる関節間力とその重心回りの回転運動方程式から算出することができる。
頚関節J1にかかる頚関節トルクTの算出方法を図6を用いて説明する。ここでは、前記のようなx、y、z軸の直交座標系におけるy軸周りの頚関節トルクT1yの算出方法について説明する。
まず、前記動作軌跡出力手段13から出力される頭部M1のx軸およびz軸方向の動作軌跡に基づき、頭部M1のx軸方向の並進加速度α1xとz軸方向の並進加速度α1zとを算出する。そして、人体特性データから出力される頭部重量mおよび重力加速度gを用いて、頚関節J1にかかるx軸およびz軸方向の関節間力f1xおよびf1zを以下の式(1)および式(2)のように算出する。
1x=mα1x ・・・(1)
1z=mα1z−m ・・・(2)
次に、前記動作軌跡出力手段13から出力される頭部M1および頚関節J1のx軸およびz軸方向の動作軌跡に基づき、図4に示すような頭部M1と頚関節J1との距離であるモーメントアーム長さrのうちのx軸,z軸方向のモーメントアーム長さr1x,r1z(図6参照)と、頭部M1のy軸周りの角加速度θ"1yとを算出する。そして、前記式(1),(2)より算出された頚関節J1にかかるx軸およびz軸方向の関節間力f1xおよびf1zと人体特性データから出力される頭部M1のy軸周りの慣性モーメントI1yとを用いて、頚関節J1のy軸周りの頚関節トルクT1yを以下の式(3)のように算出する。
1y=−f1z1x+f1x1z+I1yθ"1y ・・・(3)
同様にして、頚関節J1のx軸周りの頚関節トルクT1xを、動作軌跡出力手段13から出力される頭部M1のy軸およびz軸方向の動作軌跡等を用いて算出する。さらに、頚関節J1のz軸周りの頚関節トルクT1zを、動作軌跡出力手段13から出力される頭部M1のx軸およびy軸方向の動作軌跡等を用いて算出する。そして、これら各軸成分の頚関節トルクT1x,T1y,T1zを以下の式(4)ように合成することで、頚関節トルクTを算出する。
Figure 0004957146
次に、腰関節トルクTの算出方法について図7を用いて説明する。ここでは、前記と同様にy軸周りの腰関節トルクT2yの算出方法について説明する。
まず、前記動作軌跡出力手段13から出力される胸部M2のx軸およびz軸方向の動作軌跡に基づき、胸部M2のx軸方向の並進加速度α2xとz軸方向の並進加速度α2zとを算出する。そして、人体特性データから出力される胸部重量mと重力加速度gと前記頚関節J1にかかる関節間力f1xおよびf1zとを用いて、腰関節J2にかかるx軸およびz軸方向の関節間力f2xおよびf2zを以下の式(5)および式(6)のように算出する。
2x=mα2x−f1x ・・・(5)
2z=−f1z−mg+mα2z ・・・(6)
次に、前記動作軌跡出力手段13から出力される頚関節J1および腰関節J2のx軸およびz軸方向の動作軌跡に基づき、頚関節J1と腰関節J2との距離であるモーメントアーム長さrのうちのx軸,z軸方向の距離であるモーメントアーム長さr2x,r2zと、胸部M2のy軸周りの角加速度θ"2yとを算出する。そして、前記頚関節J1にかかる関節間力f1xおよびf1zと、前記腰関節J2にかかる関節間力f2xおよびf2zと、人体特性データから出力される胸部M2のy軸周りの慣性モーメントI2yとを用いて、腰関節J2のy軸周りの腰関節トルクT2yを以下の式(7)ように算出する。
2y=−f2z2x/2+f2x2z/2−f1z2x/2+f1x2z/2+I2yθ"2y+T1y ・・・(7)
同様にして、腰関節J2のx軸周りの腰関節トルクT2xを、動作軌跡出力手段13から出力される胸部M2のy軸およびz軸方向の動作軌跡等を用いて算出する。さらに、腰関節J2のz軸周りの腰関節トルクT2zを、動作軌跡出力手段13から出力される胸部M2のx軸およびy軸方向の動作軌跡等を用いて算出する。そして、これら各軸成分の腰関節トルクT2x,T2y,T2zを以下の式(8)ように合成することで、腰関節トルクTを算出する。
Figure 0004957146
このようにして算出された頚関節トルクT、腰関節トルクTの演算結果例を図8に示す。この図は、図5に示す乗降動作時の動作軌跡を用いて各トルクT,Tを演算したものである。図中実線で示したものが腰関節トルクTであり、破線で示したものが頚関節トルクTである。ここで、この乗降動作時の頚関節トルクTの変化は、乗降動作時の乗員の僧帽筋および胸鎖乳突筋の筋電位の変化の測定結果とよい一致を示すことが確認されている。また、腰関節トルクTの変化は、乗員の体幹起立筋と腹直筋の筋電位の変化の測定結果とよい一致を示すことが確認されている。すなわち、前記のように乗降動作時の筋活動と前記頚関節トルクTと腰関節トルクTとの間に高い相関があることが確認されている。従って、本車両用設計支援システム10では、これら関節トルクT,Tに基づいて乗降動作時の負担感を前記負担感推定手段15にて算出している。
この負担感推定手段15では、前記のように関節トルク演算手段14で算出された頚関節トルクTと腰関節トルクTとに基づいて、車両乗降時の乗員の負担感を演算している。具体的には、頚関節トルクTを時間積分することで頚部負担感Wを算出し、腰関節トルクTを時間積分することで腰部負担感Wを算出している。ここで、図8に示すように、頚関節トルクTと腰関節トルクTとは、前記乗降動作のうち着座段階a2と起立段階a5とで大きな値をとる一方他の段階では小さな値をとることが判明した。すなわち、乗降動作では、ルーフ等をよけてシートに着座あるいはシートから起立せねばならない前記着座段階a2と起立段階a5時に主に負担がかかっているといえる。従って、乗降動作時の負担感の評価としてはこの着座段階a2と起立段階a5の負担感を評価すればよい。そこで、本実施形態では、着座段階a2に頚部にかかる負担感である頚部着座時負担感W1dと、起立段階a5に頚部にかかる負担感である頚部起立時負担感W1uと、着座段階a2に腰部にかかる負担感である腰部着座時負担感W2dと、起立段階a5に腰部にかかる負担感である腰部起立時負担感W2uとを算出している。着座段階a2での各負担感である頚部着座時負担感W1dおよび腰部着座時負担感W2dは、以下の式(9)および式(10)のように各関節トルクTと腰関節トルクTとを着座段階a2の開始時間t2から終了時間t3までのそれぞれ時間積分して算出する。
Figure 0004957146
一方、起立段階a5での各部位の負担感である頚部起立時負担感W1uおよび腰部起立時負担感W2uは、以下の式(11)および式(12)のように各関節トルクTと腰関節トルクTとを起立段階a5の開始時間t6から終了時間t7までを時間積分して算出する。
Figure 0004957146
ここで、前記各演算はコンピュータ上で行われる。従って、前記動作軌跡出力手段13から出力される動作軌跡は刻み時間△t毎の離散系データであり、この動作軌跡に基づいて算出される前記各関節トルクT,T等も△t毎の離散系データとなる。そのため、前記各負担感W1u,W1d,W2u,W2dは、実際にはそれぞれ以下の式(13)および式(14)のような演算により求められる。この式において、jとは前記動作軌跡および各関節トルクT,Tのデータ番号であり、所定の時間tに対してj=t/△t(整数化されたもの)で表されるものである。例えばT(j)とは時間t=j×△tにおけるTの値である。また、j2、j3、j6、j7とは前記t2、t3、t6、t7に相当するデータ番号である。また、以下の式においてiとは、部位の番号であり、i=1が頭部M1、i=2が胸部M2を示すものである。△tは適宜設定可能である。
Figure 0004957146
このようにして算出された負担感W1d,W1u,W2d,W2uは、前記設計諸元許容範囲演算手段16に出力される。
設計諸元許容範囲演算手段16は、前記算出された負担感W1d,W1u,W2d,W2uに基づいて設計諸元Dnの各許容範囲を決定するものである。
この設計諸元許容範囲演算手段16では次のようにして設計諸元Dnの許容範囲が決定される。まず、特定の設計諸元Dnについて、その値を種々に変化させたときの各負担感W1d,W1u,W2d,W2uをそれぞれ算出しておく。次に、算出された各負担感と予め実験等から求めておいた各負担感の上限値とをそれぞれ比較する。具体的には、頚部着座時負担感W1dとその上限値W1dMAX、頚部起立時負担感W1uとその上限値W1uMAX、腰部着座時負担感W2dとその上限値W2dMAX、腰部起立時負担感W2uとその上限値W2dMAXとをそれぞれ比較する。そして、各負担感がいずれもそれぞれの上限値以下となるような設計諸元Dnの値を選択する。特に、前記各負担感がいずれもその上限値以下となるような設計諸元Dnの値うち、いずれかの負担感がその上限値に最も近くなるときの設計諸元Dnの値を設計諸元Dnの限界値Dnlmとして設定し、設計諸元Dnの許容範囲をDnlm以下あるいは以上の範囲に決定する。前記各負担感の上限値はいずれも乗降動作時に乗員が負担をあまり感じないような値に設定されている。従って、設計諸元Dnの値がこの設計諸元限界値Dnlm以下あるいは以上となるように設計諸元Dnの値を決定すれば、乗降動作時に乗員に与える負担感を抑制することが可能となる。
設計諸元Dnの値を種々に変化させたときの各負担感W1d,W1u,W2d,W2uの演算結果例を図9および図10に示す。図9は設計諸元Dnのうちルーフレール高さD1の値を変更したときの頚部負担感Wの演算結果例を示しており、図10は前記のようにルーフレール高さD1の値を変更したときの腰部負担感Wの演算結果例を示している。また、図9、図10において横軸がルーフレール高さD1であり縦軸が各負担感である。そして、図中実線で示されたものがそれぞれ着座時の負担感W1d,W2dであり、破線で示されたものがそれぞれ起立時の負担感W1u,W2uである。
この図9および図10には、前記各負担感の上限値W1dMAX、W1uMAX、W2dMAX、W2uMAXの値をそれぞれ合わせて表示している。図9に示すように、前記頚部着座時負担感W1dがその上限値W1dMAXとなる設計諸元D1の値はD1lm1dであり、頚部起立時負担感W1uがその上限値W1uMAXとなる設計諸元D1の値はD1lm1uである。一方図10に示すように、前記腰部着座時負担感W2dがその上限値W2dMAXとなる設計諸元D1の値はD1lm2dであり、腰部起立時負担感W2uがその上限値W2uMAXとなる設計諸元D1の値はD1lm2uである。そして、これらの設計諸元D1の値のうち最も小さい値をとるのがD1lm1dであるので、前記設計諸元D1の限界値D1lmはD1lm1dとなる。すなわち、設計諸元D1であるルーフレールの高さがこのD1lm=D1lmld以下となるように設計すれば、頚部着座時負担感W1d、頚部起立時負担感W1u、腰部着座時負担感W2d、腰部起立時負担感W2uが全てそれぞれの上限値以下となるので、乗降動作時の全期間にわたって乗員の負担感を抑制することが可能になる。
また、設計諸元Dnの許容範囲を決定する他の方法としては、前記特定の設計諸元Dnについてその値を種々に変化させたときの、設計諸元Dnの値の変化に対する各負担感W1d,W1u,W2d,W2uの変化率dW1d,dW1u,dW2d,dW2uを用いて算出する方法を用いてもよい。この方法では、特定の設計諸元Dnの値を順に変化させていき、そのときの各負担感の変化率dW1d,dW1u,dW2d,dW2uを算出する。そして、これら負担感の変化率と予め設定したそれぞれの上限値とを比較する。そして、各負担感の変化率がいずれも予め定めた上限値以下となる設計諸元Dnのうち、いずれかの負担感の変化率がその上限値に最も近くなるときの設計諸元Dnの値を設計諸元の限界値Dnlm2として設定し、設計諸元Dnの許容範囲をDnlm2以下に決定すればよい。このようにすれば、設計諸元Dnの値として、乗降動作時の負担感が急激に変化するような範囲を除外することができるので、より安定して負担感を抑制可能な設計諸元Dnの値を求めることが可能になる。
なお、図5、図8、図9および図10は、ドアが所定角度開いた状態で乗員が乗降動作を行う場合について説明したが、実際には、ドア部周囲の状況に応じてドアの開放角度は異なる。そして、ドア部周辺に障害物がなければドアを大きく開放して容易に乗降することができるが、ドア部周辺に障害物があるとト゛アを大きく開放することができないため、乗降動作が困難になり乗降動作時の負担感が増してしまう。すなわち、ドアの開放角度によっても、乗降動作時の負担感は変化する。そこで、本車両用設計支援システム10では、ドアの開放角度を各種変更して、各開放角度における各設計諸元Dnの値に対する負担感を推定できるようにしている。
次に、本車両用設計支援システム10の動作をフローチャートを用いて説明する。
まず、前記各負担感W1d,W1u,W2d,W2uを算出するまでの流れを図11のフローチャートを用いて説明する。この図11では、例として着座時の頚部着座時負担感W1dと腰部着座時負担感W2dとを算出する方法について示している。
まず、設計諸元Dnの各値を設計諸元記憶手段11から読み込む(ステップS1)。次に、人体特性データ記憶手段12から各部位の重量mおよび各部位の各軸周りの慣性モーメントIix,Iiy,Iiz等を読み込む(ステップS2)。次に、初期化を行う(ステップS3)。ここでは、前記のように着座時の負担感を算出するので、初期のデータ番号jとして着座開始時間を表すj2を代入する。
次に、動作軌跡出力手段13から前記設計諸元Dnの値および人体特性データに応じた動作軌跡を出力する(ステップS4)。そして、この動作軌跡に基づいて、j番目すなわちt=j×△t時間での各部位のx、y、z軸方向の並進加速度αix(j),αiz(j),αiy(j)を算出する(ステップS5)。また前記動作軌跡に基づいて、前記j番目の各部位のx,y,z軸周りの角加速度θ"ix(j),θ"iy(j),θ"iz(j)を算出する(ステップS6)。さらに、前記動作軌跡に基づいて、前記j番目の各部位と各関節との距離であるモーメントアーム長さrix(j),riy(j),riz(j)を算出する(ステップS7)。
そして、前記人体特性データ記憶手段から読み込んだ各部位の重量mおよび慣性モーメントIix,Iiy,Iiz、前記並進加速度αix(j),αiz(j),αiy(j)、角加速度θ"ix(j),θ"iy(j),θ"iz(j)、モーメントアーム長さrix(j),riy(j),riz(j)および重力加速度gとを用いて、前記式(1)〜(8)に基づきj番目の関節トルクTid(j)を演算する(ステップS8)。その後、この関節トルクTid(j)と刻み時間△tとの積をj−1番目までの負担感W(j−1)に足して、j番目までの負担感Wid(j)を演算する(ステップS9)。次に、jが着座終了時間を表すj3であるかどうかを判定し(ステップS10)、NOの場合は、jに1を足して前記ステップS5〜ステップS9までを繰り返しj番目までの負担感Widを演算する(ステップS11)。一方、前記ステップS10でYESと判定された場合、すなわちj=j3となり着座開始時間t2から着座終了時間t3までの負担感Widの演算が終了したと判定されれば、負担感Widを出力して演算を終了する(ステップS12)。
ここで、前記iは部位を表す番号であって、i=1とした場合には頚部着座時負担感W1dが算出され、i=2とした場合には胸部着座時負担感W2dが算出される。また、起立時負担感Wiuを算出する場合には、ステップS3において初期jにj2の代わりに起立開始時間を表すj6を代入するとともに、ステップS10においてj3の代わりに起立終了時間を表すj7を代入すればよい。
次に、以上のように算出された各負担感Wiu,Widを用いて設計諸元Dnの許容範囲を決定するまでの動作を図12を用いて説明する。この図12では、例として着座段階a2における頚部負担感W1dおよび腰部負担感W2dに対する前記設計諸元限界値Dnlmidを算出する方法について示す。
まず、設計諸元Dnに対してkmax個の値Xn(k)を設計諸元記憶手段11に用意しておく(ステップS21)。次に、初期化を行う(ステップS22)。そして、設計諸元Dnに前記設計諸元記憶手段11に記憶された値Xnのうちk番目値Xn(k)を割り当てる(ステップS23)。そして、この設計諸元DnがXn(k)の値をとるときの負担感Wid(k)を図11に示したように算出する(ステップS24)。次に、算出された負担感Wid(k)が予め設定された着座時負担感の上限値WidMAXより小さいかどうか、また、この負担感Wid(k)が後述する負担感限界値Widmaxよりも大きいかどうかを判定する(ステップS25)。この判定結果がYESの場合、すなわち前記負担感Wid(k)が上限値WidMAXよりも小さく、かつ負担感限界値Widmaxよりも大きければ、算出された負担感Wid(k)を負担感限界値Widmaxとして新たに記憶する(ステップS26)。すなわち、この負担感限界値Widmaxは、上限値WidMAXよりも小さく、かつ最も上限値WidMAXに近い負担感として順次更新される値である。また、このときの設計諸元Dnの値Xn(k)を着座段階a2における設計諸元限界値Dnlmidとして記憶する(ステップS27)。一方、前記ステップS25での判定結果がNOの場合には、そのままステップS28に進む。
次に、現在のkがkの最大値kmax以下であるかどうかを判定する(ステップS28)。すなわち、設計諸元Dnに対して予め用意した全ての値についての演算が終了したかどうかを判定する。判定結果がNOの場合には、kに1を足しこんでステップS23に戻る(ステップS29)。そして設計諸元Dnに新たな値を入力して(ステップS23)、前記ステップS24〜ステップS28までを繰り返す。一方、ステップS28における判定結果がYESの場合、すなわち、設計諸元Dnに対して予め用意した全ての値についての演算が終了した場合には、前記着座段階a2における設計諸元限界値Dnlmidを設計諸元Dnの着座時限界値として出力する(ステップ30)。ここで、前述のように、iは部位を表す番号であって、i=1とした場合には頚部着座時負担感W1dに対する限界値Dnlm1dが算出され、i=2の場合には胸部着座時負担感W2dに対する限界値Dnlm2dが算出される。
以上の演算を起立段階a5での各負担感W1uおよびW2uに対して行う。そして、算出された設計諸元Dnの限界値のうち最も小さいものあるいは、最も大きいものを最終的に設計諸元Dnの限界値として算出する。
このように、本車両用設計支援システム10では、設計諸元Dnの値に応じた負担感を算出し、この負担感に基づいて設計諸元Dnの最適範囲を決定する。
以上のように、本車両用設計支援システム10によれば、動作軌跡出力手段13から出力される車両乗降時の動作軌跡に基づいて関節トルクTを算出しているので、車両乗降時の関節トルクTを上半身の動きに応じて精度よく算出することができる。また、この関節トルクTに基づいて車両乗降時の負担感Wを算出しているので、容易に車両乗降時の負担感Wを得ることができる。また、前記動作軌跡および関節トルクTは、車両の設計諸元Dnの値および人体特性データに基づいて算出されるので、これらの各値を変更するだけで、多岐にわたる設計諸元Dnの値および人体特性データにおける負担感Wを簡単に算出することができる。そして、このように各設計諸元Dnにおける乗降時の負担感Wを簡単に算出できるので、算出された負担感Wに基づいて乗降性を評価することで、乗降性を確保可能な設計諸元Dnの値を容易に決定することができる。すなわち、本車両用設計支援システム10を用いれば、従来のように車両やモックアップを試作することなく、乗降性を確保可能な設計諸元Dnの値を決定することが可能になる。
また、前記関節トルクTは、乗員の頭部重量mや胸部重量mといった上半身の体格に関する人体特性データに基づいて算出されるので、乗員の上半身の体格に応じた関節トルクTを容易にかつ精度よく求めることができる。また、この頭部重量mや胸部重量m等を変更するだけで、種々の体格を有する種々の乗員に対する乗降性を簡単に評価することが可能になる。
また、乗員の上半身を頭部M1、胸部M2および腰部M3と、各部位を連結する頚関節J1および腰関節J2とからなるモデルとすることで、各関節トルクTを容易にかつ精度よく求めることができる。
また、本車両用設計支援システム10に、前記関節トルクTに基づいて演算される負担感Wに応じて設計諸元Dnの許容範囲を算出する設計諸元許容範囲演算手段16を設けておけば、乗降性を確保できる設計諸元Dnの許容範囲を容易に算出することが可能になる。
特に、負担感Wの許容範囲に基づいて設計諸元Dnの許容範囲を算出するようにすれば、乗降性をより確実に確保可能な設計諸元Dnの値を決定することができる。
また、設計諸元Dnの値の変化に対する負担感Wの変化率に基づいて設計諸元Dnの許容範囲を算出するようにすれば、設計諸元Dnの値として各負担感が設計諸元Dnの値の変化によって急激に増加するような範囲を除くことができるので、より確実に乗降性を確保できる範囲にのみ設計諸元Dnの値を設定することが可能になる。
また、前記のように前記設計諸元Dnを、フロアの高さD1、シートの高さD2、シートの水平方向の位置D3、ルーフレールの高さD4、フロントピラーの位置D5、当該フロントピラーの傾斜角D6、センターピラーの位置D7および当該センターピラーの傾斜角D8のうち少なくとも一つとしておけば、これら乗降性に影響のある設計諸元Dnを本車両用設計支援システム10で容易に決定することができるので、乗降性を確保しつつ、デザイン性を有する車両を構築することが可能になる。なお、設計諸元Dnとしては、前記以外に、図2および図3に示すように、ドア開口下端部を形成するサイドシル50の高さD9や当該サイドシル50の車幅方向の厚みD10や当該サイドシル50の車幅方向の位置D11を含めることとしてもよく、さらに、これらの設計諸元Dnの複数の組み合わせに対して負担感を求めるようにしてもよい。
ここで、前記実施形態では、設計諸元許容範囲演算手段16において、頚部着座時負担感W1d、頚部起立時負担感W1u、腰部着座時負担感W2d、腰部起立時負担感W2uとをそれぞれ個別に上限値と比較した場合について示したが、それぞれの和を所定の上限値と比較するようにしてもよい。
また、各負担感W1d,W1u,W2d,W2uを上限値と比較した場合にのみ示したが、下限値が存在する場合には、各負担感と上限値および下限値とをそれぞれ比較して負担感がこの上下限値内となる設計諸元Dnの値を許容範囲として求めてもよい。
また、同様に、各負担感W1d,W1u,W2d,W2uの変化率に基づいて設計諸元Dnの許容範囲を求める場合にも、各変化率の和と上限値とを比較することで設計諸元Dnの許容範囲を算出してもよいし、各変化率と上下限値等とを比較することで設計諸元Dnの許容範囲を算出するようにしてもよい。
また、前記のように関節トルクTから算出した負担感Wとその上下限値とを比較するとともに、各時間における関節トルクTとその上下限値との比較を行うことで、設計諸元Dnの許容範囲を決定するように構成してもよい。すなわち、車両乗降時に関節トルクTが瞬間的に増加するような場合を除外するよう構成し、乗降動作全体にわたって安定した乗降性が確保できるようにしてもよい。また、前記関節トルクTの上下限値を、関節の特性である弾性抵抗や粘性抵抗に基づいて算出するようにしてもよい。
また、前記実施形態では、設計諸元許容範囲演算手段16において、乗降動作のうち着座段階a2と起立段階a5とに着目して、関節トルクTをこれらの段階でのみ積分して負担感を算出する場合について示したが、乗降動作全体で関節トルクTを積分し、その積分値を前記負担感として各種評価を行なってもよい。
また、前記実施形態では、関節トルクT等の算出において直交座標系で演算した場合について示したが、演算が容易となるような座標系に座標変換して各種の演算を行うようにしてもよい。
本発明の実施形態にかかる車両用設計支援システムの概略ブロック図である。 図1に示す車両用設計支援システムの設計諸元を示す車両の概略正面図である。 図1に示す車両用設計支援システムの設計諸元を示す車両の概略側面図である。 図1に示す車両用設計支援システムで用いる人体の上半身モデルを示す概略図である。 図1に示す車両用設計支援システムで出力される乗降動作の動作軌跡の一例を示すグラフである。 図1に示す車両用設計支援システムで用いる人体の上半身モデルを示す概略図である。 図1に示す車両用設計支援システムで用いる人体の上半身モデルを示す概略図である。 図1に示す車両用設計支援システムで算出される関節トルクの演算結果例を示すグラフである。 図1に示す車両用設計支援システムで算出される負担感の演算結果例を示すグラフである。 図1に示す車両用設計支援システムで算出される負担感の演算結果例を示すグラフである。 図1に示す車両用設計支援システムの動作例を示すフローチャートである。 図1に示す車両用設計支援システムの動作例を示すフローチャートである。
符号の説明
10 車両用設計支援システム
11 設計諸元記憶手段
12 人体特性データ記憶手段
13 動作軌跡出力手段
14 関節トルク演算手段
15 負担感推定手段
16 設計諸元許容範囲演算手段
50 サイドシル
Dn 設計諸元
D1 フロア高さ
D2 シート高さ
D3 シート位置
D4 ルーフレール高さ
D5 フロントピラー位置
D6 フロントピラー傾斜角
D7 センターピラー位置
D8 センターピラー傾斜角
D9 サイドシル高さ
D10 サイドシルの厚み
D11 サイドシル位置
I 慣性モーメント
J1 頚関節
J2 腰関節
頭部重量
胸部重量
M1 頭部
M2 胸部
頚関節トルク
腰関節トルク
頚部負担感
腰部負担感
α 並進加速度
θ" 角加速度

Claims (5)

  1. 乗員の車両乗降時の動作を評価することで車両用ドア部周辺の設計諸元の値を決定する車両用設計支援システムであって、
    前記設計諸元の値を記憶する設計諸元記憶手段と、
    乗員の上半身に関する人体特性データを記憶する人体特性データ記憶手段と、
    前記設計諸元の値および前記人体特性データに応じて乗員の車両乗降時の動作軌跡を出力する動作軌跡出力手段と、
    前記記憶された人体特性データと前記動作軌跡出力手段から出力される動作軌跡とに基づいて車両乗降時の乗員の上半身の関節トルクを算出する関節トルク演算手段と、
    当該関節トルク演算手段で算出される前記関節トルクに基づいて前記車両乗降時の乗員の負担感を推定する負担感推定手段とを備え
    前記人体特性データ記憶手段には、前記人体特性データとして頭部重量や胸部重量等の前記乗員の上半身の体格に関するデータが記憶されており、
    前記関節トルク演算手段は、乗員の上半身を、頭部と胸部と腰部とが剛体で近似されてこれら頭部と胸部とが頚関節で連結されるとともに胸部と腰部とが腰関節で連結された剛体リンクモデルとしてモデル化し、前記関節トルクとして、前記頭部の並進運動と前記頸関節の回転運動とにより当該頸関節に付与される頸トルクと、前記頭部と胸部の並進運動と前記腰関節の回転運動とにより当該頸関節に付与される腰トルクとを算出し、これら頸トルクと腰トルクとを、それぞれ前記動作軌跡に基づいて算出した乗員の頭部および胸部の各並進加速度を用いて算出することを特徴とする車両用設計支援システム。
  2. 請求項1に記載の車両用設計支援システムにおいて、
    前記負担感推定手段で推定される負担感が予め定めた許容範囲内であるかどうかを判定するとともに、この判定結果に基づいて前記設計諸元の値の許容範囲を算出する設計諸元許容範囲演算手段を備えることを特徴とする車両用設計支援システム。
  3. 請求項1または2に記載の車両用設計支援システムにおいて、
    前記設計諸元の値を変化させた際の前記負担感推定手段で推定される負担感の変化率を演算し、当該負担感の変化率が予め定めた許容範囲内であるかどうかを判定するとともに、この判定結果に基づいて前記設計諸元の値の許容範囲を算出する設計諸元許容範囲演算手段を備えることを特徴とする車両用設計支援システム。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の車両用設計支援システムにおいて、
    前記設計諸元記憶手段に記憶される前記設計諸元が、車両の設計諸元としてのフロアの高さ、シートの高さ、シートの車幅方向の位置、ルーフレールの高さ、フロントピラーの位置、当該フロントピラーの傾斜角、センターピラーの位置および当該センターピラーの傾斜角、サイドシルの高さ、当該サイドシルの車幅方向の厚みおよび当該サイドシルの車幅方向の位置のうち少なくとも一つであることを特徴とする車両用設計支援システム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の車両用設計支援システムにおいて、
    前記負担感推定手段が、前記車両用ドアの開放角度に応じて、前記設計諸元の値に対す
    る前記車両乗降時の乗員の負担感を推定することを特徴とする車両用設計支援システム。
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