JP4952276B2 - 分散データ管理システムおよび方法 - Google Patents
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まず、経路表処理手段204は、データを登録もしくは取得する際に、経路表格納手段205に格納された経路表を用いて、当該データのIDと最も近いIDを持つノードが自ノードであるか否かを判断する。
当該データのIDと最も近いIDを持つノードが自ノードでない場合、通信処理手段203は、当該データの登録のメッセージもしくは取得のメッセージを、当該データのIDと可能な限り近いIDを持つ別のノードに転送する。以降のノードにおいても同様の転送を繰り返すことにより、当該データのIDと最も近いIDを持つノードにメッセージが到達する。
第1の問題点は、ネットワークがある程度の大きさを超えると、ホップ数による遅延が無視できないほど大きくなることである。例えば、ネットワークに参加しているノード数を1000000ノード、すなわちN=1000000とすると、ホップ数の平均値は、log(100000)/log(2)/2=9.96となる。仮に、1ホップにかかるネットワーク遅延が100ミリ秒とすると、合計で1秒近い遅延になり、用途によっては許容できない場合がある。すなわち、遅延がホップ数に比例しているため、大規模なネットワークではホップ数の増加によりデータ取得にかかる遅延が大きくなるという問題がある。
本発明の他の目的は、分散ハッシュ表技術を用いた分散データ管理システムにおいて、データ取得の要求がなくとも、将来のデータ処理を予測してデータを配信することができる分散データ管理システムおよび方法を提供することにある。
データ処理予測手段は、データ処理要求の履歴をデータ処理要求履歴格納手段に格納し、データ処理要求履歴格納手段に格納されたデータ処理要求の履歴をもとに、将来のデータ処理を予測する。例えば、データ取得の分布が時間に対して一様であると仮定すると、あるデータXに対する単位時間あたりの取得要求数をもとにデータXに対する将来の取得要求数を予測することができる。この予測に基づき、データXに対する将来の取得要求にかかるコスト(メッセージ数やメッセージ量)がデータXを事前に配信するためにかかるコストより多いと判断される場合は、データ事前配信手段によりデータXはすべてのまたは一部のノードに事前に配信される。このような構成を採用し、データ処理を予測し、必要に応じてデータを事前に配信することで、データ取得にかかる遅延を軽減することができ、本発明の目的を達成することができる。また、データ処理を予測し、必要に応じてデータを事前に配信することで、データ取得要求に関わらずデータを配信することができ、本発明の他の目的を達成することができる。
また、本発明の分散データ管理システムの1構成例において、前記データ処理予測手段は、特定のノードのグループを事前配信範囲として、この事前配信範囲についてのみ前記データ処理パターンを予測し、前記データ事前配信手段は、前記ノードのグループに対してのみデータを事前に配信するものである。
また、本発明の分散データ管理システムの1構成例において、前記データ処理予測手段は、他ノードにおける過去から現在までのデータ取得頻度と将来のデータ取得頻度とが線形の関係にあると仮定して、将来のデータ取得頻度を前記データ処理パターンとして予測するものである。
また、本発明の分散データ管理システムの1構成例において、前記データ処理予測手段は、データ登録時点から現在までの時間をT1とし、現在からデータの有効期限までの時間をT2とし、データ登録時点から現在までのデータ取得回数をKとしたときに、将来のデータ取得回数の予測値をK×T2/T1とするものである。
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る分散データ管理システムにおけるノードの構成を示すブロック図である。本実施の形態の分散データ管理システムを適用するピアツーピアネットワークの構成は図4に示したとおりであるので、ネットワークを100、ノードを200とする。図1では、1つのノード200についてのみ記載しているが、図4に示したように、同様の構成のノード200が複数存在することは言うまでもない。
データ処理手段202は、通信処理手段203からデータ処理要求を受けたときに、このデータ処理要求をデータ処理予測手段206へ出力すると共に、データ処理要求に応じてデータ処理を実行し、必要であればデータ処理の結果を通信処理手段203を通じて要求元のノード200もしくはクライアント(不図示)に返送する。
経路表格納手段205は、経路表処理手段204により管理される経路表を記憶している。経路表は、分散ハッシュ表技術を用いて構築される。
事前配信されたデータを受信したノード200では、データ事前配信手段208が受信したデータをデータ格納手段201に格納する。
なお、データ取得頻度とデータ取得回数は前記参考情報として同等の意味を有するが、データ取得の数を明確な期間を定めずに求めた場合はデータ取得頻度とし、ある特定の期間について求めた場合はデータ取得回数とする。
まず、ノード200の通信処理手段203は、ネットワーク100を介して別のノード200もしくはクライアントからメッセージを受信する(ステップA1)。メッセージを受信した通信処理手段203は、このメッセージに含まれる要求の種類に応じて要求を振り分ける。すなわち、メッセージに含まれる要求がデータ処理要求の場合はデータ処理手段202に出力し、経路表更新要求の場合は経路表処理手段204に出力する(ステップA2)。
続いて、データ処理予測手段206は、データ処理要求履歴格納手段207に格納されているデータ処理要求の履歴を参照して、あるデータについて過去から現在までのデータ取得パターン(データ取得回数又はデータ取得頻度)を履歴から求め、このデータについての将来のデータ取得パターンを予測し、事前配信しない場合のデータ取得にかかるコスト(メッセージ数やメッセージ量)がデータ事前配信にかかるコストを上回ると判断した場合には、データ事前配信手段208に当該データの事前配信を指示する(ステップA5)。
事前配信されたデータを受信したノード200では、データ事前配信手段208が受信したデータを自ノードのデータ格納手段201に格納する。
次に、本発明の第2の発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。図3は本発明の第2の実施の形態に係る分散データ管理システムにおけるノードの構成を示すブロック図であり、図1と同一の構成には同一の符号を付してある。
本実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態の構成と比較して、経路表格納手段205とデータ事前配信手段208aとが接続している点で異なる。
第1の実施の形態では、データ事前配信手段208が事前配信のための情報を管理している必要があるが、本実施の形態では、データ事前配信手段208aが経路表格納手段205に格納されている経路表の情報を用いることにより、データ事前配信手段208aが別途配信のための情報を管理する必要がなくなるという効果がある。
次に、具体的な例を用いて本発明を実施するための最良の形態の動作を説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態をより具体的に説明するものである。本実施の形態では、分散ハッシュ表技術の例としてChordシステムを想定し、データを事前配信する技術としては二分木の構造をもったアプリケーションレイヤマルチキャストを想定している。分散ハッシュ表技術の他の例としては、KademliaやPastryなどが知られている。データの事前配信の技術としては、アプリケーションレイヤマルチキャストだけでなく、IPマルチキャストも利用することができる。
本実施の形態においては、通常のChordシステムと異なり、事前に配信されたデータを取得すること、および履歴を記録することの2つの理由により、データ処理要求が常にデータ処理手段202に出力されるようにする。
Claims (6)
- ピアツーピアネットワークにおける分散データ管理システムにおいて、
ネットワークに接続される各ノードは、
他ノードと前記ネットワークを介して通信する通信処理手段と、
データを記憶するデータ格納手段と、
前記通信処理手段が受信したデータ処理要求に応じて、前記データ格納手段に格納されたデータを処理するデータ処理手段と、
前記データ処理要求の履歴を記憶するデータ処理要求履歴格納手段と、
前記データ処理要求の履歴を基に他ノードのデータ処理パターンを予測して、このノードにデータを事前に配信するか否かを判断するデータ処理予測手段と、
このデータ処理予測手段から配信の指示を受けたときに、指示されたデータを前記他ノードに配信するデータ事前配信手段と、
経路表を記憶する経路表格納手段と、
この経路表格納手段に格納された経路表の情報に基づいて、前記通信処理手段が受信したメッセージの転送先を決定する経路表処理手段とを備え、
前記経路表は、分散ハッシュ表技術を用いて構築され、
前記データ処理予測手段は、前記データ処理要求の履歴を基に過去から現在までの前記データ処理パターンを求め、このデータ処理パターンから将来のデータ処理パターンを予測して、事前配信しない場合のデータ取得にかかるコストがデータ事前配信にかかるコストを上回ると判断した場合に、データの事前配信を決定することを特徴とする分散データ管理システム。 - 請求項1記載の分散データ管理システムにおいて、
前記データ事前配信手段は、前記経路表格納手段に格納された経路表の情報を用いてデータを事前に配信することを特徴とする分散データ管理システム。 - 請求項1又は2記載の分散データ管理システムにおいて、
前記データ処理予測手段は、特定のノードのグループを事前配信範囲として、この事前配信範囲についてのみ前記データ処理パターンを予測し、
前記データ事前配信手段は、前記ノードのグループに対してのみデータを事前に配信することを特徴とする分散データ管理システム。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の分散データ管理システムにおいて、
前記データ処理予測手段は、他ノードにおける過去から現在までのデータ取得頻度と将来のデータ取得頻度とが線形の関係にあると仮定して、将来のデータ取得頻度を前記データ処理パターンとして予測することを特徴とする分散データ管理システム。 - 請求項4記載の分散データ管理システムにおいて、
前記データ処理予測手段は、データ登録時点から現在までの時間をT1とし、現在からデータの有効期限までの時間をT2とし、データ登録時点から現在までのデータ取得回数をKとしたときに、将来のデータ取得回数の予測値をK×T2/T1とすることを特徴とする分散データ管理システム。 - ピアツーピアネットワークにおける分散データ管理方法において、
ネットワークに接続される各ノードは、
自ノードの通信処理手段が受信したデータ処理要求に応じて、自ノードのデータ格納手段に格納されたデータを処理するデータ処理手順と、
前記データ処理要求の履歴を記憶するデータ処理要求履歴格納手順と、
前記データ処理要求の履歴を基に他のノードのデータ処理パターンを予測して、このノードにデータを事前に配信するか否かを判断するデータ処理予測手順と、
このデータ処理予測手順で事前配信が決定されたデータを前記他のノードに配信するデータ事前配信手順と、
経路表格納手段に格納された経路表の情報に基づいて、前記通信処理手段が受信したメッセージの転送先を決定する経路表処理手順とを実行し、
前記経路表は、分散ハッシュ表技術を用いて構築され、
前記データ処理予測手順は、前記データ処理要求の履歴を基に過去から現在までの前記データ処理パターンを求め、このデータ処理パターンから将来のデータ処理パターンを予測して、事前配信しない場合のデータ取得にかかるコストがデータ事前配信にかかるコストを上回ると判断した場合に、データの事前配信を決定することを特徴とする分散データ管理方法。
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