JP4951783B2 - ロボット制御装置及びロボット制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ロボットの動作に何らかの異常が発生した結果、将来的に侵入禁止領域内に位置することが予測された場合に対応を行うロボット制御装置及びロボット制御方法,並びに複数台のロボットが互いに近接した状態で作業する場合の干渉を回避するロボット制御装置及びロボット制御方法に関する。
ロボットの動作領域内に障害物が存在する場合、ロボットがその障害物に接触することを回避するように制御する技術は、従来より提案されている。例えば、特許文献1には、ロボットの動作空間中に定めた特定空間(禁止空間)の位置情報を記憶して、各ロボット要素に取り付けたセンサが出力する位置データに基づきロボットの現在位置を求め、その現在位置が特定空間内であるか否かを判定する技術が開示されている。
また、特許文献2には、2本のアームを備える双腕ロボットにおいて、事前にアーム同士の衝突の可能性を予測し、衝突の可能性がある場合は、衝突を回避するように動作位置を割り付けるようにした方法が開示されている。
特開昭61−51204号公報 特開平11−28686号公報
また、上記のような衝突回避に関連する制御として、ロボットが障害物に接近し過ぎる事態が予測されると、現在の予定軌道を維持したまま停止させる瞬間停止制御や、予定軌道の維持を考慮せずに最短距離若しくは最短時間で停止させる異常停止制御等がある。これらの停止制御では、ロボットが障害物に接近し過ぎた位置で制御を開始すると衝突が回避できないため(図9(b)参照)、マージンを確保するには侵入を禁止するエリア(領域)を予め大きめに設定する必要がある(図9(c)参照)。
しかしながら、侵入禁止エリアを大きく設定することは一方でロボットの動作範囲を狭めることに繋がるため、作業を効率的に行うのに支障を来たし、ロボットを使用して行う生産のサイクルタイムが伸びてしまうという問題がある。
特許文献1,2に開示されている技術は、ロボットが動作を開始する前に障害物との衝突について事前検討し、予め衝突を回避するように制御するものである。したがって、ロボットが動作を開始した以降に、障害物近傍の侵入禁止エリアに接近するような異常が発生した場合は、瞬間停止制御や異常停止制御を従来と全く同様に行うことになり、状況によっては、ロボットが侵入禁止エリアに侵入するのみならず、障害物に接触してしまう可能性も否定できない。そのため、上記のような事態が発生した場合に障害物との衝突を回避するには、結局侵入禁止エリアを広くとるしかなく、安全性と作業効率とのトレードオフを解決することはできない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロボットについて瞬間停止制御や異常停止制御を行う場合の障害物に対する衝突回避をより効率的に行うことができる、また、複数台のロボットが互いに近接した状態で作業する場合の干渉回避を効率的に行い得るロボット制御装置及びロボット制御方法を提供することにある。
請求項1記載のロボット制御装置によれば、ロボットが動作を開始すると、先行指令値計算手段が、軌道指令値計算手段により計算された軌道指令値R(n)に対し更にmサンプル先行する軌道指令値R(n+m)を計算すると、その先行指令値R(n+m)を基準として、瞬時停止位置計算手段は、ロボットを軌道上において最短時間で停止させた場合の瞬時停止位置Is(n+m)を計算し、異常停止位置計算手段は、ロボットにおける1つ以上の可動部の動作を全て最短時間で停止させた場合の仮想的な異常停止位置Es(n+m)を計算する。そして、禁止領域侵入回避手段は、瞬時停止位置Is(n+m)が侵入禁止領域内に位置すると判定した場合はロボットをその時点で停止させ、異常停止位置Es(n+m)が侵入禁止領域内に位置すると判定した場合は、ロボットの動作速度を低下させると共に先行指令値R(n+m)を修正した修正指令値Rr(n+m)を計算する。この場合、距離L2を式:L2=G×(D2/D1)×L1:により計算し、軌道上の位置R(n+m−1)から距離L2だけ隔たるように修正指令値Rr(n+m)を計算する。そして、異常停止位置Ers(n+m)が侵入禁止エリア内になると、Es(n+m)をErs(n+m)に、R(n+m)をRr(n+m)にそれぞれ置き換えてから、異常停止位置Ers(n+m)が侵入禁止領域外となるまで上記の処理を繰り返し実行する。
すなわち、瞬時停止制御並びに異常停止制御は何れも先行指令値R(n+m)を基準として行われるので、先行指令値R(n+m)に基づく瞬時停止位置Is(n+m)や異常停止位置Es(n+m)が侵入禁止領域内に位置すると判定した時点でそれぞれの停止制御を行っても、実際に行われる瞬時停止制御や異常停止制御は現在の軌道指令値に基づいて行われるので、ロボットが侵入禁止領域に到達することは回避される。
したがって、ロボットの動作特性や予定動作内容に合わせて、各ロボット単位で先行指令値R(n+m)を、軌道指令値R(n)に対して侵入禁止領域の近傍で異常が発生しても瞬時停止位置Is(n+m)や異常停止位置Es(n+m)が侵入禁止領域内に侵入しないように先行して設定することで安全対応を行うことができ、侵入禁止領域自体はロボットに関係なく共通して一律に設定できるので、各ロボットに、それぞれの動作特性や予定動作内容に合わせた効率的な作業をさせることが可能となる。
請求項2記載のロボット制御装置によれば、請求項1の技術を、複数台のロボット間の制御に適用したものとなる。すなわち、この場合の禁止領域侵入回避手段は、各ロボットが動作を開始した以降において、各ロボットの何れか1つの先行指令値R(n+m)又は瞬時停止位置Is(n+m)と、その他のロボットの瞬時停止位置Is(n+m)とが2つ以上のロボットの間で干渉を生じると判定した場合は、その干渉を生じる可能性があるロボットの1つ以上をその時点で停止させ、各ロボットの何れか1つの先行指令値R(n+m)又は異常停止位置Es(n+m)と、その他のロボットの異常停止位置Es(n+m)とが2つ以上のロボットの間で干渉を生じると判定した場合は、その干渉を生じる可能性があるロボットの1つ以上について動作速度を低下させると共に先行指令値R(n+m)を修正する。尚、ここで「干渉」とは、2つ以上のロボットがそれぞれ所定の位置に向かって動作する軌道上において衝突が発生することを示す。
すなわち、この場合も、瞬時停止制御並びに異常停止制御は何れも先行指令値R(n+m)を基準として行われるので、1つのロボットの先行指令値や瞬時停止位置Is(n+m),異常停止位置Es(n+m)が他のロボットに干渉すると判定した時点でそれぞれの停止制御を行っても、実際にはロボットが干渉することは回避される。したがって、先行指令値R(n+m)を、軌道指令値R(n)に対してどの程度先行させた時点で求めるかによりマージンを適切に設定できるので、干渉が発生すると判定するための領域を広めに設定する必要がなく、各ロボットに効率的な作業をさせることが可能となる。
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例について図1乃至図6を参照して説明する。図5および図6は、ロボット制御装置を適用したロボットシステム10を示す。図5は、ロボットシステム10の構成を示すブロック図,図6は、ロボットシステム10の電気的構成を示す機能ブロック図である。ロボットシステム10は、ロボット11および制御装置(軌道指令値計算手段,先行指令値計算手段,瞬時停止位置計算手段,異常停止位置計算手段,禁止領域侵入回避手段)12を備えている。ロボット11は、例えば部品の組み立て用あるいは部品の検査用など、任意の構成のロボットである。制御装置12は、周辺機器として操作ペンダントを構成するティーチィングペンダント13およびプログラム入力用のパソコン14などが接続されている。
ロボット11は、例えば六軸の垂直多関節型のロボットとして構成されている。ロボット11は、周知の通り、それぞれアクチュエータであるサーボモータ15などからの駆動力で駆動されるアーム16を有している。アーム16は、先端にエンドエフェクタ17を有している。例えばロボット11で部品の運搬や組み立てなどを行う場合、エンドエフェクタ17としてこれらの部品を保持するためのハンドが用いられる。また、例えばロボット11で部品の検査などを行う場合、エンドエフェクタ17として対象となる部品を撮影するカメラなどが用いられる。このように、エンドエフェクタ17は、ロボット11を適用する工程に応じて任意に選択することができる。サーボモータ15からアーム16のエンドエフェクタ17までの間には、図示しない減速機構やリンクなどの駆動力伝達機構が設けられている。これにより、アーム16の先端に設けられているエンドエフェクタ17は、サーボモータ15からの駆動力によって駆動される。ロボット11と制御装置12との間は、接続ケーブル18によって接続されている。これにより、ロボット11の各軸を駆動するサーボモータ15、および作業を実施するエンドエフェクタ17は、制御装置12によって制御される。
ティーチィングペンダント13は、例えばユーザが携帯あるいは手に所持して操作可能な程度の大きさで、例えば薄型の略矩形箱状に形成されている。ティーチィングペンダント13は、表面部の中央部に例えば液晶ディスプレイからなる表示部21を有している。表示部21には、各種の画面が表示される。表示部21は、タッチパネルで構成されている。また、ティーチィングペンダント13は、表示部21の周囲に各種のキースイッチ22が設けられており、ユーザは、キースイッチ22やタッチパネルによって制御装置12へ種々の指示を入力する。
ティーチィングペンダント13は、ケーブル25を経由して制御装置12に接続され、インターフェイスを経由して制御装置12との間で高速のデータ転送を実行するようになっており、キースイッチ22等より入力された操作信号等はティーチィングペンダント13から制御装置12へ送信される。また、制御装置12は、ティーチィングペンダント13へ制御信号や表示用の信号などと共に駆動用の電力を供給する。
ユーザは、上記のティーチィングペンダント13を用いてロボット11の運転や設定などの各種の機能を実行可能であり、例えばキースイッチ22等を操作することで、予め記憶されている制御プログラムを呼び出して、ロボット11の起動や各種のパラメータの設定などを実行できる。また、ロボット11をマニュアル操作で動作させて各種の教示作業も実行可能であり、表示部21には、例えばメニュー画面、設定入力画面、状況表示画面など必要に応じて所望の画面が表示される。
パソコン14は例えば汎用のノートパソコンなどであり、ユーザは、プログラミングソフトを実行させることでアプリケーションに応じてロボット11の動作手順などを記述した動作プログラムを作成できる。この場合、ユーザは、アプリケーションに応じてパッケージ命令を組み合わせたり修正を加えたりすることで、比較的簡単に動作プログラムを作成できる。このパソコン14は、ケーブル26を経由して制御装置12に接続されており、作成されたロボット11の動作プログラムは、パソコン14から制御装置12へ転送される。
制御装置12は、箱状のフレームの内部に制御部31が組み込まれている。制御部31は、CPU、ROMおよびRAMなどからなるマイクロコンピュータを主体として構成され、予め入力・記憶されたロボット11の動作プログラムや、各種データおよびパラメータ、ティーチィングペンダント13からの操作信号などに基づいて、サーボ制御部32を経由してロボット11の各軸のサーボモータ15を駆動する。これにより、制御装置12は、ロボット11の動作を制御する。
次に、本実施例の作用について図1乃至図4も参照して説明する。図1は、ロボット11におけるアーム16先端部の移動軌跡をモデル的に示すものであり、図2は、制御装置12の主として制御部31による制御内容を、本発明の要旨に係る部分について示すフローチャートである。
図1(a)に示すように、制御装置12は、所定間隔ごとにロボット11の指令値R(n)を、現在位置よりも先立って計算し、その指令値R(n)に移動軌跡を一致させるように制御する。したがって、ロボット11の現在位置は、具体的には図示しないが、図1(a)では1周期(1サンプル)前の指令値R(n−1)よりも更に手前(例えばxサンプル前)となっている。また、ロボット11の動作領域については、図9と同様に、障害物を回避するための侵入禁止エリア(領域)が予め設定されている。
図2において、制御装置12は、先ず現指令値R(n)を計算すると(ステップS1:「軌道計算タイミング待ち」,軌道指令値計算手段)、その現指令値R(n)を基準としてmサンプル先となる指令値R(n+m)を計算する(ステップS2,先行指令値計算手段)。続いて、その指令値R(n+m)を基準として、ロボット11の動作を、現在の軌道を外れないことを条件にして最短時間で停止させた場合の瞬時停止位置Is(n+m)を計算する(ステップS3,瞬時停止位置計算手段)。この場合、アーム16のその時点における動作速度V(n+m)を考慮する。
次に、制御装置12は、ステップS3で求めた瞬時停止位置Is(n+m)が侵入禁止エリア内に入るか否かを判断し(ステップS4)、侵入禁止エリア内に入る場合は(YES)その時点で直ちに瞬時停止を実行する(ステップS8)。この時点で、ロボット11の現在位置は(n−x)であるから、実際の瞬時停止位置Is(n−x)は軌道上のより手前側となり、アーム16が侵入禁止エリア内に入ることは回避される。
一方、ステップS4において、瞬時停止位置Is(n+m)が侵入禁止エリア内に入らない場合は(NO)、指令値R(n+m)を基準として、ロボット11の動作を、現在の軌道を外れても良いことを条件に最短時間で停止させた場合の異常停止位置Es(n+m)を計算する(ステップS5,異常停止位置計算手段,図1(b)参照)。この場合、ロボット11の各可動部を、それぞれ最短時間で停止させることになる。そして、その異常停止位置Es(n+m)が、侵入禁止エリア内に入るか否かを判断し(ステップS6)、侵入禁止エリア内に入らなければ(NO)ステップS7に移行する。全ての軌道生成処理が完了していれば(YES)「エンド」となり、完了していなければ(NO)ステップS1に戻り、上記の処理を繰り返す。
一方、ステップS6において、異常停止位置Es(n+m)が侵入禁止エリア内に入る場合は(YES)、その位置Es(n+m)が侵入禁止エリア外となるように修正した指令値Rr(n+m)を計算する(ステップS9,禁止領域侵入回避手段)。またこの時、修正指令値Rr(n+m)を計算して軌道を修正する時間を確保するため、ロボット11の動作速度を若干低下させる。
図3は、ステップS9の詳細な処理内容を示すもので、図4は、図3のフローチャートに応じて図1(b)をより詳細に示したものである。制御装置12は、距離D1,D2,L1を算出する(ステップS11)。ここで、
D1:Es(n+m),R(n+m)間の直線距離
D2:A,R(n+m)間の直線距離
L1:R(n+m),R(n+m−1)間の軌道上の距離
A:線分Es(n+m)R(n+m)と侵入禁止エリア境界との交点
である。
次に、制御装置12は、距離L2を計算する(ステップS12)。距離L2は、
L2:Rr(n+m),R(n+m−1)間の軌道上の距離
であり、
L2=G×(D2/D1)×L1
で計算される。ただしGは、修正指令値Rr(n+m)を決定するための係数である。
それから、制御装置12は、ロボット11の軌道上の位置R(n+m−1)から距離L2だけ隔たるようにして、修正指令値Rr(n+m)を計算すると(ステップS13)、その修正指令値Rr(n+m)を基準として異常停止位置Ers(n+m)を計算する(ステップS14)。そして、異常停止位置Ers(n+m)が侵入禁止エリア外にあれば(ステップS15:YES)処理を終了し、侵入禁止エリア内となった場合は(NO)
Ers(n+m)→Es(n+m)
Rr(n+m)→R(n+m)
に置き換えてから(ステップS16)ステップS11に戻り、ステップS15で「YES」と判断するまで上記の処理を繰り返し実行する。
以上のように本実施例によれば、ロボット11が動作を開始した以降において、制御装置12は、軌道指令値R(n)に対し更に先行する軌道指令値R(n+m)を計算すると、その先行指令値R(n+m)を基準として、ロボット11を軌道上において最短時間で停止させた場合の瞬時停止位置Is(n+m)を計算し、また、ロボット11における各可動部の動作を全て最短時間で停止させた場合の仮想的な異常停止位置Es(n+m)を計算する。そして、瞬時停止位置Is(n+m)が侵入禁止エリア内に位置すると判定した場合はロボット11をその時点で停止させ、異常停止位置Es(n+m)が侵入禁止エリアに位置すると判定した場合は、ロボット11の動作速度を低下させると共に軌道指令値を修正したRr(n+m)を求めるようにした。
すなわち、瞬時停止制御並びに異常停止制御は何れも先行指令値R(n+m)を基準として行われるので、先行指令値に基づく瞬時停止位置Is(n+m)や異常停止位置Es(n+m)が侵入禁止エリア内に位置すると判定した時点でそれぞれの停止制御を行っても、実際に行われる瞬時停止制御や異常停止制御は現在の軌道指令値R(n)に基づいて行われるので、ロボットが侵入禁止エリアに到達することは回避される。
したがって、ロボットの動作特性や予定動作内容に合わせて、各ロボット単位で先行指令値R(n+m)を、軌道指令値R(n)に対して侵入禁止エリアの近傍で異常が発生しても瞬時停止位置Is(n+m)や異常停止位置Es(n+m)が侵入禁止エリア内に侵入しないように先行して設定することで安全対応を行うことができ、侵入禁止エリア自体はロボットに関係なく共通して一律に設定できるので、各ロボットに、それぞれの動作特性や予定動作内容に合わせた効率的な作業をさせることが可能となる。
(第2実施例)
図7及び図8は本発明の第2実施例を示すものであり、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分について説明する。第2実施例は、第1実施例で1台のロボット11が動作する場合に障害物を回避するための制御内容を、複数台のロボットが互いに近接した状態で動作し、両者のアーム16が干渉する可能性がある場合に、その干渉を回避する制御に適用する。
図7は、全体のシステム構成図であり、2台のロボット11(1),11(2)の構成は、第1実施例と同様であり、制御装置(禁止領域侵入回避手段)41(1),41(2)による制御内容が相違している。また、制御装置41(1),41(2)の間は例えばLAN(Local Area Network)ケーブルなどで接続されており、両者は相互に通信可能となっている。尚、パソコン14については、図示を省略している。
図8は図2相当図であり、制御装置41(1),41(2)による制御内容をそれぞれ(a),(b)に示している。また、図8(b)は、ロボット11が3台以上存在する場合も含め一般化して示しているが、図7の場合は「k=2」となる。そして、図8に示す処理は、基本的には図2に示すステップS1〜S9と同様であり、対応するそれぞれのロボット11(1),11(k)について同様の処理を行うが(夫々のステップ番号にA,Bを付している)、ステップS4’,S6’の処理内容が異なっている。
すなわち、ステップS3A,S3Bを実行すると制御装置41(1),41(2)は通信処理を行い(C1)、互いの先行指令値R1(n+m),R2(n+m)と瞬時停止位置Is1(n+m),Is2(n+m)を取得する。そして、ステップS4’ Aでは、自身が計算した瞬時停止位置Is1(n+m)が、自身の侵入禁止エリア内に入るか否かと共に、他方のロボット11(2)の動作と干渉するか否かを判断する。ここでの「干渉」とは、一方の瞬時停止位置Is1(n+m)が、他方の先行指令値R2(n+m)または瞬時停止位置Is2(n+m)の軌跡と交差するか否かであり、ステップS4’Bでは、一方の瞬時停止位置Is2(n+m)が、他方の先行指令値R1(n+m)または瞬時停止位置Is1(n+m)の軌跡と交差するか否かとなる。この場合、一方のロボット11が、他方のロボット11の動作に応じて動的に変化する侵入禁止エリアに入ることに等しい。
そして、ステップS6’A,S6’Bも同様であり、ステップS5A,S5Bを実行すると制御装置41(1),41(2)は通信処理を行い(C2)、互いの異常停止位置Es1(n+m),Es2(n+m)を取得する。そして、ステップS6’ Aでは、自身が計算した異常停止位置Es1(n+m)が、自身の侵入禁止エリア内に入るか否かと共に、他方のロボット11(2)の動作と干渉するか否かを判断する。ここでの「干渉」は、の異常停止位置Es1(n+m)が、他方の先行指令値R2(n+m)または異常停止位置Es2(n+m)の軌跡と交差するか否かであり、ステップS6’Bでは、異常停止位置Es2(n+m)が、他方の先行指令値R1(n+m)または異常停止位置Es1(n+m)の軌跡と交差するか否かとなる。
以上のように第2実施例によれば、制御装置41(1),41(2)は、各ロボット11(1),11(2)について、一方の先行指令値R(n+m)又は瞬時停止位置Is(n+m)と、他方の瞬時停止位置Is(n+m)と干渉を生じると判定した場合は、その干渉を生じる可能性があるロボット11をその時点で停止させ、一方の先行指令値R(n+m)又は異常停止位置Es(n+m)と、他方の異常停止位置Es(n+m)とが干渉を生じると判定した場合は、その干渉を生じる可能性があるロボット11の動作速度を低下させると共に軌道指令値R(n+m)を修正する。
すなわち、この場合も、第1実施例と同様に、1つのロボット11の先行指令値や瞬時停止位置,異常停止位置が他のロボット11に干渉すると判定した時点でそれぞれの停止制御を行っても、実際にはロボット11が干渉することは回避される。したがって、干渉が発生すると判定するための領域を広めに設定する必要がなく、各ロボット11(1),11(2)に効率的な作業をさせることが可能となる。
本発明は上記し、または図面に記載した実施例にのみ限定されるものではなく、以下のような変形または拡張が可能である。
第2実施例を、3台以上のロボット11(k≧3)が同時に動作する場合について適用しても良い。その場合、それらの何れか2台以上の間について干渉が発生すると判定した場合に、同様に制御すれば良い。
ロボットは、6軸に限ることはない。また、垂直多関節型に限ることもなく、水平多関節型や直角座標型、円筒座標型のロボットなどに適用しても良い。
本発明の第1実施例であり、ロボットアーム先端部の移動軌跡をモデル的に示す図 制御装置の制御内容を、本発明の要旨に係る部分について示すフローチャート ステップS9の詳細な処理内容を示すフローチャート 図1(b)をより詳細に示す図 ロボットシステムの構成を示すブロック図 ロボットシステムの電気的構成を示す機能ブロック図 本発明の第2実施例を示す図5相当図 図2相当図 従来技術を説明する図
符号の説明
図面中、10はロボットシステム、11はロボット、12は制御装置(軌道指令値計算手段,先行指令値計算手段,瞬時停止位置計算手段,異常停止位置計算手段,禁止領域侵入回避手段)、16はアーム、41は制御装置を示す。

Claims (4)

  1. ロボットの軌道指令値R(n)を一定周期毎に順次計算する軌道指令値計算手段と、
    この軌道指令値計算手段により計算された軌道指令値R(n)に対して、更にmサンプル先行する軌道指令値(先行指令値)R(n+m)を計算する先行指令値計算手段と、
    前記先行指令値R(n+m)を基準として、前記ロボットを軌道上において最短時間で停止させた場合の瞬時停止位置Is(n+m)を計算する瞬時停止位置計算手段と、
    前記先行指令値R(n+m)を基準として、前記ロボットにおける1つ以上の可動部の動作を全て最短時間で停止させた場合の仮想的な異常停止位置Es(n+m)を計算する異常停止位置計算手段と、
    前記瞬時停止位置Is(n+m)が予め定められている前記ロボットの侵入禁止領域内に位置すると判定した場合は前記ロボットをその時点で停止させ、前記異常停止位置Es(n+m)が前記侵入禁止領域内に位置すると判定した場合は、前記ロボットの動作速度を低下させると共に前記先行指令値R(n+m)を修正した修正指令値Rr(n+m)を計算する禁止領域侵入回避手段とを備え
    前記禁止領域侵入回避手段は、
    D1:Es(n+m),R(n+m)間の直線距離
    D2:A,R(n+m)間の直線距離
    L1:R(n+m),R(n+m−1)間の軌道上の距離
    L2:Rr(n+m),R(n+m−1)間の軌道上の距離
    A:線分Es(n+m)R(n+m)と侵入禁止領域境界との交点
    G:修正指令値Rr(n+m)を決定するための係数
    とすると、距離L2を次式により計算し、
    L2=G×(D2/D1)×L1
    軌道上の位置R(n+m−1)から距離L2だけ隔たるように修正指令値Rr(n+m)を計算し、前記異常停止位置Ers(n+m)が侵入禁止領域内になると、Ers(n+m)をEs(n+m)に、Rr(n+m)をR(n+m)にそれぞれ置き換えてから、前記異常停止位置Ers(n+m)が侵入禁止領域外となるまで上記の処理を繰り返し実行することを特徴とするロボット制御装置。
  2. 互いの動作領域の一部が重複するように配置されている複数のロボットを制御する制御装置において、
    各ロボットの軌道指令値R(n)を一定周期毎に順次計算する軌道指令値計算手段と、
    この軌道指令値計算手段により計算された軌道指令値R(n)に対して、更にmサンプル先行する軌道指令値(先行指令値)R(n+m)を計算する先行指令値計算手段と、
    前記先行指令値R(n+m)を基準として、前記各ロボットを軌道上において最短時間で停止させた場合の瞬時停止位置Is(n+m)を計算する瞬時停止位置計算手段と、
    前記先行指令値R(n+m)を基準として、前記各ロボットにおける1つ以上の可動部の動作を全て最短時間で停止させた場合の仮想的な異常停止位置Es(n+m)を計算する異常停止位置計算手段と、
    前記各ロボットの何れか1つの先行指令値R(n+m)又は瞬時停止位置Is(n+m)と、その他のロボットの瞬時停止位置Is(n+m)とが2つ以上のロボットの間で干渉を生じると判定した場合は、前記干渉を生じる可能性があるロボットの1つ以上をその時点で停止させ、
    前記各ロボットの何れか1つの先行指令値R(n+m)又は異常停止位置Es(n+m)と、その他のロボットの異常停止位置Es(n+m)とが2つ以上のロボットの間で干渉を生じると判定した場合は、前記干渉を生じる可能性があるロボットの1つ以上について動作速度を低下させると共に前記先行指令値R(n+m)を修正した修正指令値Rr(n+m)を計算する禁止領域侵入回避手段とを備え、
    前記禁止領域侵入回避手段は、
    D1:Es(n+m),R(n+m)間の直線距離
    D2:A,R(n+m)間の直線距離
    L1:R(n+m),R(n+m−1)間の軌道上の距離
    L2:Rr(n+m),R(n+m−1)間の軌道上の距離
    A:線分Es(n+m)R(n+m)と侵入禁止領域境界との交点
    G:修正指令値Rr(n+m)を決定するための係数
    とすると、距離L2を次式により計算し、
    L2=G×(D2/D1)×L1
    軌道上の位置R(n+m−1)から距離L2だけ隔たるように修正指令値Rr(n+m)を計算し、前記異常停止位置Ers(n+m)が侵入禁止領域内になると、Ers(n+m)をEs(n+m)に、Rr(n+m)をR(n+m)にそれぞれ置き換えてから、前記異常停止位置Ers(n+m)が侵入禁止領域外となるまで上記の処理を繰り返し実行することを特徴とするロボット制御装置。
  3. ロボットの軌道指令値を一定周期毎に順次計算するステップと、
    前記軌道指令値R(n)に対して、更にmサンプル先行する軌道指令値(先行指令値)R(n+m)を計算するステップと、
    前記先行指令値R(n+m)を基準として、前記ロボットを軌道上において最短時間で停止させた場合の瞬時停止位置Is(n+m)と、前記ロボットにおける1つ以上の可動部の動作を全て最短時間で停止させた場合の仮想的な異常停止位置Es(n+m)とを計算するステップと、
    前記瞬時停止位置Is(n+m)が予め定められている前記ロボットの侵入禁止領域内に位置すると判定した場合は前記ロボットをその時点で停止させ、前記異常停止位置Es(n+m)が前記侵入禁止領域内に位置すると判定した場合は、前記ロボットの動作速度を低下させると共に前記先行指令値R(n+m)を修正した修正指令値Rr(n+m)を計算するステップとからなり、
    D1:Es(n+m),R(n+m)間の直線距離
    D2:A,R(n+m)間の直線距離
    L1:R(n+m),R(n+m−1)間の軌道上の距離
    L2:Rr(n+m),R(n+m−1)間の軌道上の距離
    A:線分Es(n+m)R(n+m)と侵入禁止領域境界との交点
    G:修正指令値Rr(n+m)を決定するための係数
    とすると、距離L2を次式により計算し、
    L2=G×(D2/D1)×L1
    軌道上の位置R(n+m−1)から距離L2だけ隔たるように修正指令値Rr(n+m)を計算し、
    更に、前記異常停止位置Ers(n+m)が侵入禁止領域内になると、Ers(n+m)をEs(n+m)に、Rr(n+m)をR(n+m)にそれぞれ置き換えてから、前記異常停止位置Ers(n+m)が侵入禁止領域外となるまで上記の処理を繰り返し実行するステップとからなることを特徴とするロボット制御方法。
  4. 互いの動作領域の一部が重複するように配置されている複数のロボットを制御する方法において、
    各ロボットの軌道指令値R(n)を一定周期毎に順次計算するステップと、
    この軌道指令値計算手段により計算された軌道指令値R(n)に対して、更にmサンプル先行する軌道指令値(先行指令値)R(n+m)を計算するステップと、
    前記先行指令値R(n+m)を基準として、前記各ロボットを軌道上において最短時間で停止させた場合の瞬時停止位置Is(n+m)と、前記各ロボットにおける1つ以上の可動部の動作を全て最短時間で停止させた場合の仮想的な異常停止位置Es(n+m)を計算するステップと、
    前記各ロボットの何れか1つの先行指令値R(n+m)又は瞬時停止位置Is(n+m)と、その他のロボットの瞬時停止位置Is(n+m)とが2つ以上のロボットの間で干渉を生じると判定した場合は、前記干渉を生じる可能性があるロボットの1つ以上をその時点で停止させ、前記各ロボットの何れか1つの先行指令値R(n+m)又は異常停止位置Es(n+m)と、その他のロボットの異常停止位置Es(n+m)とが2つ以上のロボットの間で干渉を生じると判定した場合は、前記干渉を生じる可能性があるロボットの1つ以上について動作速度を低下させると共に前記先行指令値R(n+m)を修正した修正指令値Rr(n+m)を計算するステップとからなり、
    D1:Es(n+m),R(n+m)間の直線距離
    D2:A,R(n+m)間の直線距離
    L1:R(n+m),R(n+m−1)間の軌道上の距離
    L2:Rr(n+m),R(n+m−1)間の軌道上の距離
    A:線分Es(n+m)R(n+m)と侵入禁止領域境界との交点
    G:修正指令値Rr(n+m)を決定するための係数
    とすると、距離L2を次式により計算し、
    L2=G×(D2/D1)×L1
    軌道上の位置R(n+m−1)から距離L2だけ隔たるように修正指令値Rr(n+m)を計算し、
    更に、前記異常停止位置Ers(n+m)が侵入禁止領域内になると、Ers(n+m)をEs(n+m)に、Rr(n+m)をR(n+m)にそれぞれ置き換えてから、前記異常停止位置Ers(n+m)が侵入禁止エリア外となるまで上記の処理を繰り返し実行するステップとからなることを特徴とするロボット制御方法。
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