本発明は、GaN系半導体発光素子、並びに、係るGaN系半導体発光素子が組み込まれた発光装置、画像表示装置、面状光源装置、及び、液晶表示装置組立体に関する。
窒化ガリウム(GaN)系化合物半導体から成る活性層を備えた発光素子(GaN系半導体発光素子)においては、活性層の混晶組成や厚さによってバンドギャップエネルギーを制御することにより、紫外から赤外までの広い範囲に亙る発光波長を実現し得る。そして、既に、種々の色を発光するGaN系半導体発光素子が市販されており、画像表示装置や照明装置、検査装置、消毒用光源等、幅広い用途に用いられている。また、青紫色を発光する半導体レーザや発光ダイオード(LED)も開発されており、大容量光ディスクの書込みや読取り用のピックアップとして使用されている。
一般に、GaN系半導体発光素子は、駆動電流(動作電流)が増加すると、発光波長が短波長側にシフトすることが知られており、例えば、駆動電流を20mAから100mAへと増加させた場合、青色の発光領域においては−3nm、緑色の発光領域においては−19nmもの発光波長のシフトが報告されている(例えば、日亜化学工業株式会社製品仕様書NSPB500Sや日亜化学工業株式会社製品仕様書NSPG500S参照)。
そして、このような駆動電流(動作電流)の増加に起因した発光波長のシフトといった現象は、特に、可視光以上の発光波長を有するIn原子を含有するGaN系化合物半導体から成る活性層に共通する問題であり、活性層を構成する井戸層内でのIn原子によるキャリアの局在(例えば、Y. Kawakami, et al., J. Phys. Condens. Matter 13 (2001) pp. 6993 参照)や、格子不整合に起因する内部電界効果(S. F. Chichibu, Materials Science and Engineering B59 (1999) pp.298 参照)が関与していると考えられている。
GaN系半導体発光素子の製造時、化合物半導体層の結晶成長時における温度や原料ガス濃度分布等の設計値とのずれ、使用環境等に起因して、GaN系半導体発光素子間で発光波長が敏感に変化したり、ばらつきが生じる虞がある。そのため、高い精度にて所望の発光波長を有する発光ダイオードを量産することが困難な場合がある。
これに対して、このようなGaN系半導体発光素子間の発光波長を制御する試みもなされており、例えば、特開2002−237619には、電流値を変化させることによって発光波長が変化する発光ダイオードに、複数のピーク電流値を有するパルス電流を供給することで複数の色を発光させる、発光ダイオードの発光色制御方法が開示されている。これにより、この発光ダイオードの発光色制御方法においては、発光源を1箇所として小型化を図ることができると共に、容易に発光色を制御することができるとされている。
また、例えば、特開2003−22052には、同時に駆動される複数の発光素子を駆動する発光素子の駆動回路が開示されている。この発光素子の駆動回路は、複数の発光素子間の発光波長のばらつきを当該発光素子に供給する電流を制御することによって補正する発光波長補正手段と、複数の発光素子間の輝度のばらつきを補正する発光輝度補正手段とを備えている。これにより、この発光素子の駆動回路においては、製造上のばらつきから均一な発光が困難である発光素子であっても、発光素子間のばらつきを有効に補正することができるとされている。
ところで、GaN系半導体発光素子においては、高効率化のために、井戸層と障壁層とから成る多重量子井戸構造を有する活性層に関して様々な技術が提唱されており、例えば、特表2003−520453には、少なくとも2つの発光活性層、及び、少なくとも1つのバリア層を有する多重量子井戸構造の活性層において、発光活性層あるいはバリア層がチャーピングされた半導体発光素子が開示されている。ここで、チャーピングとは、類似した複数の層の厚さ及び/又は組成が一様とならないように、又は、非対称となるように、これらの層を形成することを意味する。そして、このような構成にすることで、多重量子井戸構造を有するLEDにおける各井戸層の光出力又は光生成効率を高めている。
より具体的には、この特許出願公表公報の段落番号[0031]には、第1の例として、LED30における活性層48〜56の厚さのみがチャーピングされており、活性領域36における活性層48,50,52,54及び56は、それぞれ、200,300,400,500及び600オングストロームの厚さを有するように構成されることが開示されている。また、この特許出願公表公報の段落番号[0032]には、第3の例として、バリア層58〜64の厚さのみがチャーピングされており、バリア層は、ほぼ10オングストロームからほぼ500オングストローム以上の間に亙る厚さを有し、n型の下部封層34により近いところに位置するバリア層が、n型の下部封層34から離れたところに位置するバリア層よりも厚くなるように構成されていることが開示されている。
特開2002−237619
特開2003−22052
特表2003−520453
日亜化学工業株式会社製品仕様書NSPB500S
日亜化学工業株式会社製品仕様書NSPG500S
Y. Kawakami, et al., J. Phys. Condens. Matter 13 (2001) pp. 6993
S. F. Chichibu, Materials Science and Engineering B59 (1999) pp.298
日経エレクトロニクス 2004年12月20日第889号の第128ページ
ところで、例えば、青色の発光波長を有するGaN系半導体発光素子(発光ダイオード)と、緑色の発光波長を有するGaN系半導体発光素子(発光ダイオード)と、赤色の発光波長を有するAlInGaP系の化合物半導体発光ダイオードとを、各サブピクセルに対応させて配列して構成される画像表示装置において、各発光ダイオードの発光波長のばらつきに起因して表示映像にざらつきが生じる場合がある。係る画像表示装置においては、ピクセル(画素)間の色度座標や輝度の調整が行われるものの、上述したように、発光素子の発光波長そのものがばらつき、あるいは又、発光波長がシフトし、所望の発光波長とは異なる発光波長となっている場合、調整後の色再現範囲が狭くなってしまうといった問題がある。
また、GaN系半導体発光素子と色変換材料とから成る発光装置(例えば、紫外又は青色発光ダイオードと蛍光体粒子とを組み合わせて白色を発光する発光装置)においては、色変換材料を励起するGaN系半導体発光素子における発光波長そのものがばらつき、あるいは又、発光波長のシフトによって、色変換材料の励起効率が変化してしまい、色合いが均一な発光装置を製造することが困難な場合がある。
更には、GaN系半導体発光素子を用いたバックライトを備えた液晶表示装置が提案されているが、係る液晶表示装置においても、GaN系半導体発光素子における発光波長そのものがばらつき、あるいは又、発光波長のシフトによって、色再現範囲が狭くなったり、変化するといった問題が生じる虞がある。
また、上述の特許出願公表公報には、バリア層の組成を段階的に変えた計算例が示されているのみで、非対称性とその効果は、具体的には示されていない。更には、上述の特許出願公表公報、あるいは、上述した文献には、動作電流密度の増加に伴い、意図的に発光波長を大きくシフトさせるための技術は、何ら、開示されていない。
従って、本発明の目的は、発光効率を低減させること無く、動作電流密度の増加に伴い発光波長を大きくシフトさせ得る構造を有するGaN系半導体発光素子、並びに、係るGaN系半導体発光素子が組み込まれた発光装置、画像表示装置、面状光源装置、及び、液晶表示装置組立体を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明のGaN系半導体発光素子は、
(A)n型の導電型を有する第1GaN系化合物半導体層、
(B)井戸層、及び、井戸層と井戸層とを隔てる障壁層から成る多重量子井戸構造を有する活性層、及び、
(C)p型の導電型を有する第2GaN系化合物半導体層、
を備えたGaN系半導体発光素子であって、
活性層における第1GaN系化合物半導体層側の井戸層密度をd1、第2GaN系化合物半導体層側の井戸層密度をd2としたとき、d1>d2を満足するように活性層における井戸層が配置されていることを特徴とする。
上記の目的を達成するための本発明の発光装置は、GaN系半導体発光素子と、該GaN系半導体発光素子からの射出光が入射し、GaN系半導体発光素子からの射出光の有する波長と異なる波長を有する光を射出する色変換材料とから成る発光装置であって、
GaN系半導体発光素子は、
(A)n型の導電型を有する第1GaN系化合物半導体層、
(B)井戸層、及び、井戸層と井戸層とを隔てる障壁層から成る多重量子井戸構造を有する活性層、及び、
(C)p型の導電型を有する第2GaN系化合物半導体層、
を備えており、
活性層における第1GaN系化合物半導体層側の井戸層密度をd1、第2GaN系化合物半導体層側の井戸層密度をd2としたとき、d1>d2を満足するように活性層における井戸層が配置されていることを特徴とする。
ここで、本発明の発光装置にあっては、GaN系半導体発光素子からの射出光として、可視光、紫外線、可視光と紫外線の組合せを挙げることができる。
本発明の発光装置にあっては、GaN系半導体発光素子からの射出光は青色であり、色変換材料からの射出光は、黄色、緑色、及び、赤色から成る群から選択された少なくとも1種類の光である構成とすることができる。ここで、GaN系半導体発光素子からの青色の射出光によって励起され、赤色を射出する色変換材料として、具体的には、赤色発光蛍光体粒子、より具体的には、(ME:Eu)S[但し、「ME」は、Ca、Sr及びBaから成る群から選択された少なくとも1種類の原子を意味し、以下においても同様である]、(M:Sm)x(Si,Al)12(O,N)16[但し、「M」は、Li、Mg及びCaから成る群から選択された少なくとも1種類の原子を意味し、以下においても同様である]、ME2Si5N8:Eu、(Ca:Eu)SiN2、(Ca:Eu)AlSiN3を挙げることができる。また、GaN系半導体発光素子からの青色の射出光によって励起され、緑色を射出する色変換材料として、具体的には、緑色発光蛍光体粒子、より具体的には、(ME:Eu)Ga2S4、(M:RE)x(Si,Al)12(O,N)16[但し、「RE」は、Tb及びYbを意味する]、(M:Tb)x(Si,Al)12(O,N)16、(M:Yb)x(Si,Al)12(O,N)16、Si6-ZAlZOZN8-Z:Euを挙げることができる。更には、GaN系半導体発光素子からの青色の射出光によって励起され、黄色を射出する色変換材料として、具体的には、黄色発光蛍光体粒子、より具体的には、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体粒子を挙げることができる。尚、色変換材料は、1種類であってもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。更には、色変換材料を2種類以上を混合して用いることで、黄色、緑色、赤色以外の色の射出光が色変換材料混合品から射出される構成とすることもできる。具体的には、例えば、シアン色を発光する構成としてもよく、この場合には、緑色発光蛍光体粒子(例えば、LaPO4:Ce,Tb、BaMgAl10O17:Eu,Mn、Zn2SiO4:Mn、MgAl11O19:Ce,Tb、Y2SiO5:Ce,Tb、MgAl11O19:CE,Tb,Mn)と青色発光蛍光体粒子(例えば、BaMgAl10O17:Eu、BaMg2Al16O27:Eu、Sr2P2O7:Eu、Sr5(PO4)3Cl:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)5(PO4)3Cl:Eu、CaWO4、CaWO4:Pb)とを混合したものを用いればよい。
あるいは又、GaN系半導体発光素子からの射出光である紫外線によって励起され、赤色を射出する色変換材料として、具体的には、赤色発光蛍光体粒子、より具体的には、Y2O3:Eu、YVO4:Eu、Y(P,V)O4:Eu、3.5MgO・0.5MgF2・Ge2:Mn、CaSiO3:Pb,Mn、Mg6AsO11:Mn、(Sr,Mg)3(PO4)3:Sn、La2O2S:Eu、Y2O2S:Euを挙げることができる。また、GaN系半導体発光素子からの射出光である紫外線によって励起され、緑色を射出する色変換材料として、具体的には、緑色発光蛍光体粒子、より具体的には、LaPO4:Ce,Tb、BaMgAl10O17:Eu,Mn、Zn2SiO4:Mn、MgAl11O19:Ce,Tb、Y2SiO5:Ce,Tb、MgAl11O19:CE,Tb,Mn、Si6-ZAlZOZN8-Z:Euを挙げることができる。更には、GaN系半導体発光素子からの射出光である紫外線によって励起され、青色を射出する色変換材料として、具体的には、青色発光蛍光体粒子、より具体的には、BaMgAl10O17:Eu、BaMg2Al16O27:Eu、Sr2P2O7:Eu、Sr5(PO4)3Cl:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)5(PO4)3Cl:Eu、CaWO4、CaWO4:Pbを挙げることができる。更には、GaN系半導体発光素子からの射出光である紫外線によって励起され、黄色を射出する色変換材料として、具体的には、黄色発光蛍光体粒子、より具体的には、YAG系蛍光体粒子を挙げることができる。尚、色変換材料は、1種類であってもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。更には、色変換材料を2種類以上を混合して用いることで、黄色、緑色、赤色以外の色の射出光が色変換材料混合品から射出される構成とすることもできる。具体的には、シアン色を発光する構成としてもよく、この場合には、上記の緑色発光蛍光体粒子と青色発光蛍光体粒子を混合したものを用いればよい。
但し、色変換材料は、蛍光粒子に限定されず、例えば、ナノメートルサイズのCdSe/ZnSやナノメートルサイズのシリコンといった量子効果を用いた多色・高効率の発光粒子を挙げることもできるし、半導体材料に添加された希土類原子は殻内遷移により鋭く発光することが知られており、このような技術を適用した発光粒子を挙げることもできる。
上記の好ましい構成を含む本発明の発光装置にあっては、GaN系半導体発光素子からの射出光と、色変換材料からの射出光(例えば、黄色;赤色及び緑色;黄色及び赤色;緑色、黄色及び赤色)とが混色されて、白色を射出する構成とすることができるが、これに限定するものではなく、可変色照明やディスプレイ応用も可能である。
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る画像表示装置は、画像を表示するためのGaN系半導体発光素子を備えた画像表示装置であって、
該GaN系半導体発光素子は、
(A)n型の導電型を有する第1GaN系化合物半導体層、
(B)井戸層、及び、井戸層と井戸層とを隔てる障壁層から成る多重量子井戸構造を有する活性層、及び、
(C)p型の導電型を有する第2GaN系化合物半導体層、
を備えており、
活性層における第1GaN系化合物半導体層側の井戸層密度をd1、第2GaN系化合物半導体層側の井戸層密度をd2としたとき、d1>d2を満足するように活性層における井戸層が配置されていることを特徴とする。
ここで、本発明の第1の態様に係る画像表示装置として、例えば、以下に説明する構成、構造の画像表示装置を挙げることができる。尚、特に断りの無い限り、画像表示装置あるいは発光素子パネルを構成するGaN系半導体発光素子の数は、画像表示装置に要求される仕様に基づき、決定すればよい。また、画像表示装置に要求される仕様に基づき、ライト・バルブを更に備えている構成とすることができる。
(1)第1Aの態様に係る画像表示装置・・・
(α)GaN系半導体発光素子が2次元マトリクス状に配列された発光素子パネル、
を備え、
GaN系半導体発光素子のそれぞれの発光/非発光状態を制御することで、GaN系半導体発光素子の発光状態を直接的に視認させることで画像を表示する、パッシブマトリックスタイプあるいはアクティブマトリックスタイプの直視型の画像表示装置。
(2)第1Bの態様に係る画像表示装置・・・
(α)GaN系半導体発光素子が2次元マトリクス状に配列された発光素子パネル、
を備え、
GaN系半導体発光素子のそれぞれの発光/非発光状態を制御し、スクリーンに投影することで画像を表示する、パッシブマトリックスタイプあるいはアクティブマトリックスタイプのプロジェクション型の画像表示装置。
(3)第1Cの態様に係る画像表示装置・・・
(α)赤色を発光する半導体発光素子(例えば、AlGaInP系半導体発光素子やGaN系半導体発光素子。以下においても同様)が2次元マトリクス状に配列された赤色発光素子パネル、
(β)緑色を発光するGaN系半導体発光素子が2次元マトリクス状に配列された緑色発光素子パネル、及び、
(γ)青色を発光するGaN系半導体発光素子が2次元マトリクス状に配列された青色発光素子パネル、並びに、
(δ)赤色発光素子パネル、緑色発光素子パネル及び青色発光素子パネルから射出された光を1本の光路に纏めるための手段(例えば、ダイクロイック・プリズムであり、以下の説明においても同様である)、
を備え、
赤色発光半導体発光素子、緑色発光GaN系半導体発光素子及び青色発光GaN系半導体発光素子のそれぞれの発光/非発光状態を制御するカラー表示の画像表示装置(直視型あるいはプロジェクション型)。
(4)第1Dの態様に係る画像表示装置・・・
(α)GaN系半導体発光素子、及び、
(β)GaN系半導体発光素子から射出された射出光の通過/非通過を制御するための一種のライト・バルブである光通過制御装置[例えば、液晶表示装置やデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)であり、以下の説明においても同様である]、
を備え、
光通過制御装置によってGaN系半導体発光素子から射出された射出光の通過/非通過を制御することで画像を表示する画像表示装置(直視型あるいはプロジェクション型)。尚、GaN系半導体発光素子の数は、画像表示装置に要求される仕様に基づき、決定すればよく、1又は複数とすることができる。また、GaN系半導体発光素子から射出された射出光を光通過制御装置へと案内するための手段(光案内部材)として、導光部材、マイクロレンズアレイ、ミラーや反射板、集光レンズを例示することができる。
(5)第1Eの態様に係る画像表示装置・・・
(α)GaN系半導体発光素子が2次元マトリクス状に配列された発光素子パネル、及び、
(β)GaN系半導体発光素子から射出された射出光の通過/非通過を制御するための光通過制御装置(ライト・バルブ)、
を備え、
光通過制御装置によってGaN系半導体発光素子から射出された射出光の通過/非通過を制御することで画像を表示する画像表示装置(直視型あるいはプロジェクション型)。
(6)第1Fの態様に係る画像表示装置・・・
(α)赤色を発光する半導体発光素子が2次元マトリクス状に配列された赤色発光素子パネル、及び、赤色発光素子パネルから射出された射出光の通過/非通過を制御するための赤色光通過制御装置(ライト・バルブ)、
(β)緑色を発光するGaN系半導体発光素子が2次元マトリクス状に配列された緑色発光素子パネル、及び、緑色発光素子パネルから射出された射出光の通過/非通過を制御するための緑色光通過制御装置(ライト・バルブ)、
(γ)青色を発光するGaN系半導体発光素子が2次元マトリクス状に配列された青色発光素子パネル、及び、青色発光素子パネルから射出された射出光の通過/非通過を制御するための青色光通過制御装置(ライト・バルブ)、並びに、
(δ)赤色光通過制御装置、緑色光通過制御装置及び青色光通過制御装置を通過した光を1本の光路に纏めるための手段、
を備え、
光通過制御装置によってこれらの発光素子パネルから射出された射出光の通過/非通過を制御することで画像を表示するカラー表示の画像表示装置(直視型あるいはプロジェクション型)。
(7)第1Gの態様に係る画像表示装置・・・
(α)赤色を発光する半導体発光素子、
(β)緑色を発光するGaN系半導体発光素子、及び、
(γ)青色を発光するGaN系半導体発光素子、並びに、
(δ)赤色発光半導体発光素子、緑色発光GaN系半導体発光素子及び青色発光GaN系半導体発光素子のそれぞれから射出された光を1本の光路に纏めるための手段、更には、
(ε)1本の光路に纏めるための手段から射出された光の通過/非通過を制御するための光通過制御装置(ライト・バルブ)、
を備え、
光通過制御装置によってこれらの発光素子から射出された射出光の通過/非通過を制御することで画像を表示する、フィールドシーケンシャル方式のカラー表示の画像表示装置(直視型あるいはプロジェクション型)。
(8)第1Hの態様に係る画像表示装置・・・
(α)赤色を発光する半導体発光素子が2次元マトリクス状に配列された赤色発光素子パネル、
(β)緑色を発光するGaN系半導体発光素子が2次元マトリクス状に配列された緑色発光素子パネル、及び、
(γ)青色を発光するGaN系半導体発光素子が2次元マトリクス状に配列された青色発光素子パネル、並びに、
(δ)赤色発光素子パネル、緑色発光素子パネル及び青色発光素子パネルのそれぞれから射出された光を1本の光路に纏めるための手段、更には、
(ε)1本の光路に纏めるための手段から射出された光の通過/非通過を制御するための光通過制御装置(ライト・バルブ)、
を備え、
光通過制御装置によってこれらの発光素子パネルから射出された射出光の通過/非通過を制御することで画像を表示する、フィールドシーケンシャル方式のカラー表示の画像表示装置(直視型あるいはプロジェクション型)。
また、上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る画像表示装置は、青色を発光する第1発光素子、緑色を発光する第2発光素子、及び、赤色を発光する第3発光素子から構成された、カラー画像を表示するための発光素子ユニットが、2次元マトリクス状に配列されて成る画像表示装置であって、
第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子の内の少なくとも1つの発光素子を構成するGaN系半導体発光素子は、
(A)n型の導電型を有する第1GaN系化合物半導体層、
(B)井戸層、及び、井戸層と井戸層とを隔てる障壁層から成る多重量子井戸構造を有する活性層、及び、
(C)p型の導電型を有する第2GaN系化合物半導体層、
を備えており、
活性層における第1GaN系化合物半導体層側の井戸層密度をd1、第2GaN系化合物半導体層側の井戸層密度をd2としたとき、d1>d2を満足するように活性層における井戸層が配置されていることを特徴とする。
ここで、本発明の第2の態様に係る画像表示装置として、例えば、以下に説明する構成、構造の画像表示装置を挙げることができる。尚、発光素子ユニットの数は、画像表示装置に要求される仕様に基づき、決定すればよい。また、画像表示装置に要求される仕様に基づき、ライト・バルブを更に備えている構成とすることができる。
(1)第2Aの態様に係る画像表示装置・・・
第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子のそれぞれの発光/非発光状態を制御することで、各発光素子の発光状態を直接的に視認させることで画像を表示する、パッシブマトリックスタイプあるいはアクティブマトリックスタイプの直視型、カラー表示の画像表示装置。
(2)第2Bの態様に係る画像表示装置・・・
第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子のそれぞれの発光/非発光状態を制御し、スクリーンに投影することで画像を表示する、パッシブマトリックスタイプあるいはアクティブマトリックスタイプのプロジェクション型、カラー表示の画像表示装置。
(3)第2Cの態様に係る画像表示装置・・・
2次元マトリクス状に配列された発光素子ユニットからの射出光の通過/非通過を制御するための光通過制御装置(ライト・バルブ)を備え、発光素子ユニットにおける第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子のそれぞれの発光/非発光状態を時分割制御し、更に、光通過制御装置によって第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子から射出された射出光の通過/非通過を制御することで画像を表示する、フィールドシーケンシャル方式のカラー表示の画像表示装置(直視型あるいはプロジェクション型)。
上記の目的を達成するための本発明の面状光源装置は、透過型あるいは半透過型の液晶表示装置を背面から照射する面状光源装置であって、
面状光源装置に備えられた光源としてのGaN系半導体発光素子は、
(A)n型の導電型を有する第1GaN系化合物半導体層、
(B)井戸層、及び、井戸層と井戸層とを隔てる障壁層から成る多重量子井戸構造を有する活性層、及び、
(C)p型の導電型を有する第2GaN系化合物半導体層、
を備えており、
活性層における第1GaN系化合物半導体層側の井戸層密度をd1、第2GaN系化合物半導体層側の井戸層密度をd2としたとき、d1>d2を満足するように活性層における井戸層が配置されていることを特徴とする。
上記の目的を達成するための本発明の液晶表示装置組立体は、透過型あるいは半透過型の液晶表示装置、及び、該液晶表示装置を背面から照射する面状光源装置を備えた液晶表示装置組立体であって、
面状光源装置に備えられた光源としてのGaN系半導体発光素子は、
(A)n型の導電型を有する第1GaN系化合物半導体層、
(B)井戸層、及び、井戸層と井戸層とを隔てる障壁層から成る多重量子井戸構造を有する活性層、及び、
(C)p型の導電型を有する第2GaN系化合物半導体層、
を備えており、
活性層における第1GaN系化合物半導体層側の井戸層密度をd1、第2GaN系化合物半導体層側の井戸層密度をd2としたとき、d1>d2を満足するように活性層における井戸層が配置されていることを特徴とする。
本発明の面状光源装置にあっては、また、本発明の液晶表示装置組立体における面状光源装置にあっては、光源は、青色を発光する第1発光素子、緑色を発光する第2発光素子、及び、赤色を発光する第3発光素子を備え、GaN系半導体発光素子は、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子の内の少なくとも1つ(1種類)の発光素子を構成する態様とすることができるが、これに限定するものではなく、面状光源装置における光源を1又は複数の本発明の発光装置から構成することもできる。また、第1発光素子、第2発光素子、及び、第3発光素子は、それぞれ、1つであってもよいし、複数であってもよい。
本発明の第2の態様に係る画像表示装置、本発明の面状光源装置、あるいは、本発明の液晶表示装置組立体において、光源を第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子から構成する場合、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子の内の少なくとも1つ(1種類)の発光素子はGaN系半導体発光素子によって構成される。云い換えれば、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子の内のいずれか1種類の発光素子はGaN系半導体発光素子から構成され、残りの2種類の発光素子は他の構成の半導体発光素子から構成されていてもよいし、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子の内のいずれか2種類の発光素子はGaN系半導体発光素子から構成され、残りの1種類の発光素子は他の構成の半導体発光素子から構成されていてもよいし、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子の全ての発光素子がGaN系半導体発光素子から構成されていてもよい。尚、他の構成の半導体発光素子として、赤色を発光するAlGaInP系半導体発光素子を挙げることができる。
本発明の面状光源装置、あるいは、本発明の液晶表示装置組立体における面状光源装置は、2種類の面状光源装置(バックライト)、即ち、例えば実開昭63−187120や特開2002−277870に開示された直下型の面状光源装置、並びに、例えば特開2002−131552に開示されたエッジライト型(サイドライト型とも呼ばれる)の面状光源装置とすることができる。尚、GaN系半導体発光素子の数は本質的に任意であり、面状光源装置に要求される仕様に基づき決定すればよい。
ここで、直下型の面状光源装置にあっては、液晶表示装置に対向して、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子が配置され、液晶表示装置と第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子との間には、拡散板、拡散シート、プリズムシート、偏光変換シートといった光学機能シート群や、反射シートが配置されている。
直下型の面状光源装置にあっては、より具体的には、赤色(例えば、波長640nm)を発光する半導体発光素子、緑色(例えば、波長530nm)を発光するGaN系半導体発光素子、及び、青色(例えば、波長450nm)を発光するGaN系半導体発光素子が、筐体内に配置、配列されている構成とすることができるが、これに限定するものではない。ここで、複数の赤色を発光する半導体発光素子、複数の緑色を発光するGaN系半導体発光素子、及び、複数の青色を発光するGaN系半導体発光素子が、筐体内に配置、配列されている場合、これらの発光素子の配列状態として、赤色発光の半導体発光素子、緑色発光のGaN系半導体発光素子及び青色発光のGaN系半導体発光素子を1組とした発光素子列を液晶表示装置の画面水平方向に複数、連ねて発光素子列アレイを形成し、この発光素子列アレイを液晶表示装置の画面垂直方向に複数本、並べる配列を例示することができる。尚、発光素子列として、(1つの赤色発光の半導体発光素子,1つの緑色発光のGaN系半導体発光素子,1つの青色発光のGaN系半導体発光素子)、(1つの赤色発光の半導体発光素子,2つの緑色発光のGaN系半導体発光素子,1つの青色発光のGaN系半導体発光素子)、(2つの赤色発光の半導体発光素子,2つの緑色発光のGaN系半導体発光素子,1つの青色発光のGaN系半導体発光素子)等の複数個の組合せを挙げることができる。尚、赤色、緑色、青色以外の第4番目の色を発光する発光素子を更に備えていてもよい。また、GaN系半導体発光素子には、例えば、日経エレクトロニクス 2004年12月20日第889号の第128ページに掲載されたような光取出しレンズが取り付けられていてもよい。
一方、エッジライト型の面状光源装置にあっては、液晶表示装置に対向して導光板が配置され、導光板の側面(次に述べる第1側面)にGaN系半導体発光素子が配置される。導光板は、第1面(底面)、この第1面と対向した第2面(頂面)、第1側面、第2側面、第1側面と対向した第3側面、及び、第2側面と対向した第4側面を有する。導光板のより具体的な形状として、全体として、楔状の切頭四角錐形状を挙げることができ、この場合、切頭四角錐の2つの対向する側面が第1面及び第2面に相当し、切頭四角錐の底面が第1側面に相当する。そして、第1面(底面)の表面部には凸部及び/又は凹部が設けられていることが望ましい。導光板の第1側面から光が入射され、第2面(頂面)から液晶表示装置に向けて光が射出される。ここで、導光板の第2面は、平滑としてもよいし(即ち、鏡面としてもよいし)、拡散効果のあるブラストシボを設けてもよい(即ち、微細な凹凸面とすることもできる)。
導光板の第1面(底面)には、凸部及び/又は凹部が設けられていることが望ましい。即ち、導光板の第1面には、凸部が設けられ、あるいは又、凹部が設けられ、あるいは又、凹凸部が設けられていることが望ましい。凹凸部が設けられている場合、凹部と凸部とが連続していてもよいし、不連続であってもよい。導光板の第1面に設けられた凸部及び/又は凹部は、導光板への光入射方向と所定の角度を成す方向に沿って延びる連続した凸部及び/又は凹部である構成とすることができる。このような構成にあっては、導光板への光入射方向であって第1面と垂直な仮想平面で導光板を切断したときの連続した凸形状あるいは凹形状の断面形状として、三角形;正方形、長方形、台形を含む任意の四角形;任意の多角形;円形、楕円形、放物線、双曲線、カテナリー等を含む任意の滑らかな曲線を例示することができる。尚、導光板への光入射方向と所定の角度を成す方向とは、導光板への光入射方向を0度としたとき、60度〜120度の方向を意味する。以下においても同様である。あるいは又、導光板の第1面に設けられた凸部及び/又は凹部は、導光板への光入射方向と所定の角度を成す方向に沿って延びる不連続の凸部及び/又は凹部である構成とすることができる。このような構成にあっては、不連続の凸形状あるいは凹形状の形状として、角錐、円錐、円柱、三角柱や四角柱を含む多角柱、球の一部、回転楕円体の一部、回転放物線体の一部、回転双曲線体の一部といった各種の滑らかな曲面を例示することができる。尚、導光板において、場合によっては、第1面の周縁部には凸部や凹部が形成されていなくともよい。更には、光源から射出され、導光板に入射した光が導光板の第1面に形成された凸部あるいは凹部に衝突して散乱されるが、導光板の第1面に設けられた凸部あるいは凹部の高さや深さ、ピッチ、形状を、一定としてもよいし、光源から離れるに従い変化させてもよい。後者の場合、例えば凸部あるいは凹部のピッチを光源から離れるに従い細かくしてもよい。ここで、凸部のピッチ、あるいは、凹部のピッチとは、導光板への光入射方向に沿った凸部のピッチ、あるいは、凹部のピッチを意味する。
導光板を備えた面状光源装置にあっては、導光板の第1面に対向して反射部材を配置することが望ましい。導光板の第2面に対向して液晶表示装置が配置されている。光源から射出された光は、導光板の第1側面(例えば、切頭四角錐の底面に相当する面)から導光板に入射し、第1面の凸部あるいは凹部に衝突して散乱され、第1面から射出し、反射部材にて反射され、第1面に再び入射し、第2面から射出され、液晶表示装置を照射する。液晶表示装置と導光板の第2面との間に、例えば、拡散シートやプリズムシートを配置してもよい。また、光源から射出された光を直接、導光板に導いてもよいし、間接的に導光板に導いてもよい。後者の場合、例えば、光ファイバーを用いればよい。
導光板は、光源が射出する光を余り吸収することの無い材料から導光板を作製することが好ましい。具体的には、導光板を構成する材料として、例えば、ガラスや、プラスチック材料(例えば、PMMA、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、非晶性のポリプロピレン系樹脂、AS樹脂を含むスチレン系樹脂)を挙げることができる。
例えば、透過型のカラー液晶表示装置は、例えば、透明第1電極を備えたフロント・パネル、透明第2電極を備えたリア・パネル、及び、フロント・パネルとリア・パネルとの間に配された液晶材料から成る。
ここで、フロント・パネルは、より具体的には、例えば、ガラス基板やシリコン基板から成る第1の基板と、第1の基板の内面に設けられた透明第1電極(共通電極とも呼ばれ、例えば、ITOから成る)と、第1の基板の外面に設けられた偏光フィルムとから構成されている。更には、フロント・パネルは、第1の基板の内面に、アクリル樹脂やエポキシ樹脂から成るオーバーコート層によって被覆されたカラーフィルターが設けられ、オーバーコート層上に透明第1電極が形成された構成を有している。透明第1電極上には配向膜が形成されている。カラーフィルターの配置パターンとして、デルタ配列、ストライプ配列、ダイアゴナル配列、レクタングル配列を挙げることができる。一方、リア・パネルは、より具体的には、例えば、ガラス基板やシリコン基板から成る第2の基板と、第2の基板の内面に形成されたスイッチング素子と、スイッチング素子によって導通/非導通が制御される透明第2電極(画素電極とも呼ばれ、例えば、ITOから成る)と、第2の基板の外面に設けられた偏光フィルムとから構成されている。透明第2電極を含む全面には配向膜が形成されている。これらの透過型のカラー液晶表示装置を構成する各種の部材や液晶材料は、周知の部材、材料から構成することができる。尚、スイッチング素子として、単結晶シリコン半導体基板に形成されたMOS型FETや薄膜トランジスタ(TFT)といった3端子素子や、MIM素子、バリスタ素子、ダイオード等の2端子素子を例示することができる。
以上に説明した好ましい形態、構成を含む本発明のGaN系半導体発光素子、発光装置、第1の態様あるいは第2の態様に係る画像表示装置、面状光源装置、あるいは、液晶表示装置組立体(以下、これらを総称して、単に、本発明と呼ぶ場合がある)において、井戸層密度を異ならせるために、井戸層の厚さを一定とし、障壁層の厚さを異ならせる(具体的には、活性層における第1GaN系化合物半導体層側の障壁層の厚さを、第2GaN系化合物半導体層側の障壁層の厚さよりも薄くする)構成とすることが好ましいが、これに限定されるものではなく、障壁層の厚さを一定とし、井戸層の厚さを異ならせる(具体的には、活性層における第1GaN系化合物半導体層側の井戸層の厚さを、第2GaN系化合物半導体層側の井戸層の厚さよりも厚くする)構成としてもよいし、井戸層の厚さ及び障壁層の厚さの両方を異ならせる構成としてもよい。
本発明において、井戸層密度d1及び井戸層密度d2を、以下のように定義する。即ち、総厚t0の活性層を厚さ方向に2つに分割したとき、第1GaN系化合物半導体層側の活性層の領域である活性層第1領域AR1の厚さをt1、第2GaN系化合物半導体層側の活性層の領域である活性層第2領域AR2の厚さをt2(但し、t0=t1+t2)とする。また、活性層第1領域AR1に含まれる井戸層の数をWL1(正数であり、整数には限定されない)、活性層第2領域AR2に含まれる井戸層の数をWL2(正数であり、整数には限定されず、井戸層の総数WL=WL1+WL2)とする。尚、活性層第1領域AR1と活性層第2領域AR2に跨って1つ井戸層(厚さtIF)が存在する場合には、活性層第1領域AR1内のみに含まれる井戸層の数をWL’1、活性層第2領域AR2内のみに含まれる井戸層の数をWL’2とし、活性層第1領域AR1と活性層第2領域AR2に跨った井戸層における活性層第1領域AR1に含まれる厚さを厚さtIF-1、活性層第2領域AR2に含まれる厚さを厚さtIF-2(tIF=tIF-1+tIF-2)としたとき、
WL1=WL’1+ΔWL1
WL2=WL’2+ΔWL2
である。但し、
ΔWL1+ΔWL2=1
であり、
WL=WL1+WL2
=WL’1+WL’2+1
ΔWL1=tIF-1/tIF
ΔWL2=tIF-2/tIF
である。
そして、井戸層密度d1及び井戸層密度d2は、以下の式(1−1)、式(1−2)から求めることができる。但し、k≡(t0/WL)である。
d1=(WL1/WL)/(t1/t0)
=k(WL1/t1) (1−1)
d2=(WL2/WL)/(t2/t0)
=k(WL2/t2) (1−2)
ここで、本発明においては、活性層の総厚をt0とし、活性層における第1GaN系化合物半導体層側界面から厚さ(2t0/3)までの活性層第1領域AR1内の井戸層密度をd1、第2GaN系化合物半導体層側界面から厚さ(t0/3)までの活性層第2領域AR2内の井戸層密度をd2としたとき、d1>d2を満足するように活性層における井戸層が配置されている構成とすることができ、あるいは又、活性層の総厚をt0とし、活性層における第1GaN系化合物半導体層側界面から厚さ(t0/2)までの活性層第1領域AR1内の井戸層密度をd1、第2GaN系化合物半導体層側界面から厚さ(t0/2)までの活性層第2領域AR2内の井戸層密度をd2としたとき、d1>d2を満足するように活性層における井戸層が配置されている構成とすることができ、あるいは又、活性層の総厚をt0とし、活性層における第1GaN系化合物半導体層側界面から厚さ(t0/3)までの活性層第1領域AR1内の井戸層密度をd1、第2GaN系化合物半導体層側界面から厚さ(2t0/3)までの活性層第2領域AR2内の井戸層密度をd2としたとき、d1>d2を満足するように活性層における井戸層が配置されている構成とすることができる。
以上に説明した種々の好ましい形態、構成を含む本発明においては、d2/d1≦0.8、好ましくは、d2/d1≦0.5を満足するように活性層における井戸層が配置されていることが望ましい。
更には、以上に説明した種々の好ましい形態、構成を含む本発明においては、活性層にはインジウム原子が含まれている形態、より具体的には、AlxGa1-x-yInyN(但し、x≧0,y>0,0<x+y≦1)とすることができる。また、第1GaN系化合物半導体層、第2GaN系化合物半導体層として、GaN層、AlGaN層、InGaN層、AlInGaN層を挙げることができる。更には、これらの化合物半導体層にホウ素(B)原子やタリウム(Tl)原子、ヒ素(As)原子、リン(P)原子、アンチモン(Sb)原子が含まれていてもよい。
更には、以上に説明した種々の好ましい形態、構成を含む本発明において、活性層における井戸層の数(WL)は、2以上、好ましくは4以上であることが、一層確実に、発光効率を犠牲にすることなく、動作電流密度の増加に伴い発光波長を大きくシフトさせるといった観点から、好ましい。
また、以上に説明した種々の好ましい形態、構成を含む本発明においては、発光波長(発光波長にピークが存在する場合には、発光ピーク波長。以下の説明においても同様)をλとしたとき、370nm≦λ≦650nmとすることができ、あるいは又、430nm≦λ≦550nmとすることができ、あるいは又、430nm≦λ≦480nmとすることができ、あるいは又、500nm≦λ≦550nmとすることができる。尚、発光波長のシフト量を、以下の説明においては、Δλで表し、Δλのマイナスの値は、短波長側への波長シフトを意味する。
一般に、半導体発光素子は、特性測定時の発熱や温度変化によっても発光波長に変化が生じる。従って、本発明においては、ほぼ室温(25゜C)での特性を対象とする。GaN系半導体発光素子自身の発熱が少ない場合には、直流電流での駆動でも問題は生じないが、発熱が大きい場合、パルス電流で駆動する等、GaN系半導体発光素子自身の温度(接合領域の温度)が室温から大幅に変化しないような測定方法を採用する必要がある。
また、発光波長に関しては、スペクトルにおけるパワーピークの波長を対象とする。人間の視感特性等を考慮したスペクトルや、通常色合いを表現するために用いるドミナント波長(主波長)ではない。更には、測定条件によっては、薄膜干渉等によって活性層から発せられた光が多数回反射することで、見掛け上、周期的な変動をもったスペクトルとして観測される場合があるが、これらの周期的な変動分を取り除いた、活性層で生じた光を反映したスペクトルを対象とする。
更には、以上に説明した種々の好ましい形態、構成を含む本発明においては、GaN系半導体発光素子の動作電流密度を30A/cm2以上とする構成とすることができ、あるいは又、GaN系半導体発光素子の動作電流密度を50A/cm2以上とする構成とすることができ、あるいは又、GaN系半導体発光素子の動作電流密度を100A/cm2以上とする構成とすることができる。
尚、GaN系半導体発光素子の動作電流密度とは、動作電流値を活性層面積(接合領域面積)で除した値である。即ち、市販のGaN系半導体発光素子は、種々のパッケージ形態を有するだけでなく、用途や光量によってGaN系半導体発光素子の大きさも異なる。また、GaN系半導体発光素子の大きさに応じて標準的な駆動電流(動作電流)が異なる等、特性の電流値依存性を直接比較することは困難である。本発明においては、一般化のために、駆動電流の値それ自体ではなく、このような駆動電流値を活性層面積(接合領域面積)で除した動作電流密度(単位:アンペア/cm2)で表現する。
また、以上に説明した種々の好ましい形態、構成を含む本発明においては、GaN系半導体発光素子は、
(D)第1GaN系化合物半導体層と活性層との間に形成されたIn原子を含有する下地層、及び、
(E)活性層と第2GaN系化合物半導体層との間に形成され、p型ドーパントを含有する超格子構造層、
を更に備えている構成とすることができる。このような構成にすることで、発光効率の一層の向上と動作電圧の一層の低下を図りつつ、高い動作電流密度における一層安定したGaN系半導体発光素子の動作を達成することができる。
尚、このような構成にあっては、活性層と超格子構造層との間には、アンドープGaN系化合物半導体層が形成され、該アンドープGaN系化合物半導体層の厚さは100nm以下であることが好ましい。また、超格子構造層の総厚は5nm以上であることが望ましく、超格子構造層における超格子構造の周期は、2原子層以上、20nm以下であることが好ましい。また、超格子構造層が含有するp型ドーパントの濃度は、1×1018/cm3乃至4×1020/cm3であることが望ましい。あるいは又、下地層の厚さは20nm以上であることが好ましく、下地層と活性層との間には、アンドープGaN系化合物半導体層が形成され、該アンドープGaN系化合物半導体層の厚さは50nm以下であることが望ましい。更には、下地層及び活性層はInを含有し、下地層におけるIn組成割合は0.005以上であり、且つ、活性層におけるIn組成割合よりも低い構成とすることもでき、また、下地層は、1×1016/cm3乃至1×1021/cm3のn型ドーパントを含有する構成とすることもできる。
以上に説明した種々の好ましい形態、構成を含む本発明において、第1GaN系化合物半導体層、活性層、第2GaN系化合物半導体層等の種々のGaN系化合物半導体層の形成方法として、有機金属化学的気相成長法(MOCVD法)やMBE法、ハロゲンが輸送あるいは反応に寄与するハイドライド気相成長法等を挙げることができる。
MOCVD法における有機ガリウム源ガスとして、トリメチルガリウム(TMG)ガスやトリエチルガリウム(TEG)ガスを挙げることができるし、窒素源ガスとして、アンモニアガスやヒドラジンガスを挙げることができる。また、n型の導電型を有する第1GaN系化合物半導体層の形成においては、例えば、n型不純物(n型ドーパント)としてケイ素(Si)を添加すればよいし、p型の導電型を有する第2GaN系化合物半導体層の形成においては、例えば、p型不純物(p型ドーパント)としてマグネシウム(Mg)を添加すればよい。また、GaN系化合物半導体層の構成原子としてアルミニウム(Al)あるいはインジウム(In)が含まれる場合、Al源としてトリメチルアルミニウム(TMA)ガスを用いればよいし、In源としてトリメチルインジウム(TMI)ガスを用いればよい。更には、Si源としてモノシランガス(SiH4ガス)を用いればよいし、Mg源としてシクロペンタジエニルマグネシウムガスやメチルシクロペンタジエニルマグネシウム、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を用いればよい。尚、n型不純物(n型ドーパント)として、Si以外に、Ge、Se、Sn、C、Tiを挙げることができるし、p型不純物(p型ドーパント)として、Mg以外に、Zn、Cd、Be、Ca、Ba、Oを挙げることができる。
p型の導電型を有する第2GaN系化合物半導体層に接続されたp型電極は、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、金(Au)及び銀(Ag)から成る群から選択された少なくとも1種類の金属を含む、単層構成又は多層構成を有していることが好ましく、あるいは又、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料を用いることもできるが、中でも、光を高い効率で反射させることができる銀(Ag)やAg/Ni、Ag/Ni/Ptを用いることが好ましい。一方、n型の導電型を有する第1GaN系化合物半導体層に接続されたn型電極は、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、タングステン(W)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)、錫(Sn)及びインジウム(In)から成る群から選択された少なくとも1種類の金属を含む、単層構成又は多層構成を有することが望ましく、例えば、Ti/Au、Ti/Al、Ti/Pt/Auを例示することができる。n型電極やp型電極は、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法等のPVD法にて形成することができる。
n型電極やp型電極上に、外部の電極あるいは回路と電気的に接続するために、パッド電極を設けてもよい。パッド電極は、Ti(チタン)、アルミニウム(Al)、Pt(白金)、Au(金)、Ni(ニッケル)から成る群から選択された少なくとも1種類の金属を含む、単層構成又は多層構成を有することが望ましい。あるいは又、パッド電極を、Ti/Pt/Auの多層構成、Ti/Auの多層構成に例示される多層構成とすることもできる。
以上に説明した好ましい形態、構成を含む本発明においてGaN系半導体発光素子の組立品は、フェイスアップ構造を有していてもよいし、フリップチップ構造を有していてもよい。
本発明にあっては、GaN系半導体発光素子の発光波長の制御を、駆動電流のピーク電流値で行う方法を採用することができる。また、本発明にあっては、GaN系半導体発光素子の発光量の制御を、駆動電流のパルス幅制御で行うことができ、あるいは又、駆動電流のパルス密度制御で行うことができ、あるいは又、これらの組合せで行うことができる。
具体的には、例えば、1種類のGaN系半導体発光素子において、或る発光波長λ1を得るときの駆動電流のピーク電流値をI1、駆動電流のパルス幅をP1、発光波長λ2(≠λ1)を得るときの駆動電流のピーク電流値をI2(≠I1)、駆動電流のパルス幅をP2とし、GaN系半導体発光素子のピーク電流値I1での駆動、及び、それに引き続く、ピーク電流値I2での駆動を総合して1パルス周期TPと呼び、GaN系半導体発光素子、あるいは、係るGaN系半導体発光素子が組み込まれた発光装置、画像表示装置、面状光源装置、液晶表示装置組立体におけるGaN系半導体発光素子の動作の1動作周期をTOPとするとき、
(1)駆動電流のピーク電流値I1、ピーク電流値I2を制御することによって、GaN系半導体発光素子からの射出光の発光波長λを制御することができ、
(2)駆動電流のパルス幅P1、パルス幅P2を制御することによって(駆動電流のパルス幅制御)、GaN系半導体発光素子からの射出光の全体としての発光色[2種類の波長の異なる発光色(即ち、2種類の光)、あるいは、これらが混色された発光色(即ち、1種類の光)、あるいは、1種類の発光色と2種類の波長の異なる発光色が混色された発光色との組合せ(即ち、2種類の光)、あるいは、2種類の波長の異なる発光色と係る2種類の発光色が混色された発光色との組合せ(即ち、3種類の光)]を制御することができ、更には、
(3)GaN系半導体発光素子の1パルス周期TPの長さ(パルス幅)を制御することによって(駆動電流のパルス幅制御)、GaN系半導体発光素子からの射出光の発光量(明るさ、輝度)を制御することができ、及び/又は、
(3’)GaN系半導体発光素子の動作の1動作周期TOP中における1パルス周期TPの数(パルス密度)を制御することによって(駆動電流のパルス密度制御)、GaN系半導体発光素子からの射出光の発光量(明るさ、輝度)を制御することができる。尚、以上の説明においては、2種類の発光波長λ1,λ2としたが、3種類以上の発光波長にも適用することができることは云うまでもない。
尚、上述したGaN系半導体発光素子の発光波長及び発光量の同時制御は、例えば、
(a)GaN系半導体発光素子にパルス駆動電流を供給するパルス駆動電流供給手段、及び、
(b)パルス駆動電流のパルス幅及びパルス密度を設定するパルス駆動電流設定手段、
を備えるGaN系半導体発光素子の駆動回路によって達成することができる。尚、このGaN系半導体発光素子の駆動回路は、井戸層密度に特徴を有する本発明のGaN系半導体発光素子に対して適用することができるだけでなく、従来のGaN系半導体発光素子に対して適用することもできる。
本発明のGaN系半導体発光素子として、具体的には、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)を例示することができる。尚、GaN系化合物半導体層の積層構造が発光ダイオード構造あるいはレーザ構造を有する限り、その構造、構成にも特に制約は無い。また、本発明のGaN系半導体発光素子の適用分野として、上述した発光装置、画像表示装置、面状光源装置、カラー液晶表示装置組立体を含む液晶表示装置組立体だけでなく、自動車、電車、船舶、航空機等の輸送手段における灯具や灯火(例えば、ヘッドライト、テールライト、ハイマウントストップライト、スモールライト、ターンシグナルランプ、フォグライト、室内灯、メーターパネル用ライト、各種のボタンに内蔵された光源、行き先表示灯、非常灯、非常口誘導灯等)、建築物における各種の灯具や灯火(外灯、室内灯、照明具、非常灯、非常口誘導灯等)、街路灯、信号機や看板、機械、装置等における各種の表示灯具、トンネルや地下通路等における照明具や採光部、生物顕微鏡等の各種検査装置における特殊照明、光を用いた殺菌装置、光触媒と組合せた消臭・殺菌装置、写真や半導体リソグラフィーにおける露光装置、光を変調して空間若しくは光ファイバーや導波路を経由して情報を伝達する装置を挙げることができる。
本発明にあっては、活性層における第1GaN系化合物半導体層側の井戸層密度をd1、第2GaN系化合物半導体層側の井戸層密度をd2としたとき、d1>d2を満足するように活性層における井戸層が配置されており、発光効率を低減させること無く、動作電流密度の増加に伴い発光波長を大きくシフトさせることができる。本発明者の実験によれば、GaN系半導体発光素子においては、電流密度の増加と共に、発光に寄与する井戸層が次第に第2GaN系化合物半導体層側の井戸層へと移行していくことが分かった。よって、低い電流密度において発光に寄与する位置に井戸層をより多く配分すれば、発光に関与する井戸層1つ当たりのキャリア濃度をより少なくすることができ、高い電流密度において発光に寄与する位置に井戸層を少なく配分すれば、発光に関与する井戸層1つ当たりのキャリア濃度をより高くすることができる。つまり、同じ動作電流密度の変化幅であっても、均等に井戸層を配分した場合よりも、発光に関与する井戸層1つ当たりのキャリア密度の変化幅をより大きくすることができる。GaN系半導体発光素子における波長シフトの主な要因は、局在発光中心のバンドフィリングとピエゾ電界によるクーロン遮蔽効果であり、これらはキャリア濃度に敏感に左右される。つまり、GaN系半導体発光素子において本発明のような構造を採用することで、同じ動作電流密度の変化幅であっても、活性層内に均等に井戸層を配分した場合よりも、発光に関与する井戸層1つ当たりのキャリア密度の変化幅をより大きくすることができ、それによって、波長シフトをより大きくすることができる。
従って、動作電流密度(あるいは、駆動電流)の制御に基づき、発光波長の調整、制御を行うことができるし、多色発光させる場合において少ない電流ピークの変化幅で大きな波長シフトを実現することができる。特に、ディスプレイ分野においては、GaN系半導体発光素子の大きな発光波長ばらつきを駆動電流に基づき容易に補正することができ、所望の発光波長からのずれが大きく、従来では使用できなかったGaN系半導体発光素子を利用できるようになるため、実効的な歩留りが増加し、これは、GaN系半導体発光素子の製造コスト低減に役立つ。更には、従来と同じように3原色(RGB)表示用に3種類の発光素子を用意するだけで4種類以上の色の表示が可能となる。例えば、明るさを優先する場合や従来の映像ソースを表示する際にはRGBの3原色、色再現範囲を広げたい場合には3原色に加えて1種類以上の色を表示することができ、両者は、駆動電流波形等により容易に切り替えることができる。また、使用するGaN系半導体発光素子はいずれの表示の場合も無駄にならず、部品点数の低減とコスト削減に役立つ。
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
実施例1は、本発明のGaN系半導体発光素子、より具体的には、発光ダイオード(LED)に関する。層構成を概念的に図1に示し、模式的な断面図を図2の(A)に示すように、実施例1のGaN系半導体発光素子1は、サファイアから成る基板10上に、バッファ層11(厚さ30nm);アンドープのGaN層12(厚さ1μm);n型の導電型を有する第1GaN系化合物半導体層13(厚さ3μm);アンドープGaN層14(厚さ5nm);井戸層、及び、井戸層と井戸層とを隔てる障壁層から成る多重量子井戸構造を有する活性層15(井戸層及び障壁層の図示は省略);アンドープGaN層16(厚さ10nm);p型の導電型を有する第2GaN系化合物半導体層17(厚さ20nm);MgドープのGaN層(コンタクト層)18(厚さ100nm)が、順次、積層された構成、構造を有する。尚、図面にあっては、バッファ層11、アンドープのGaN層12、アンドープGaN層14、アンドープGaN層16、MgドープのGaN層18の図示を省略している場合がある。アンドープGaN層14は、その上に結晶成長させられる活性層15の結晶性向上のために設けられており、アンドープGaN層16は、第2GaN系化合物半導体層17中のドーパント(例えば、Mg)が活性層15内に拡散することを防止するために設けられている。
そして、このようなGaN系半導体発光素子1がサブマウント21に固定され、GaN系半導体発光素子1は、サブマウント21に設けられた配線(図示せず)、金線23Aを介して外部電極23Bに電気的に接続され、外部電極23Bは駆動回路26に電気的に接続されている。また、サブマウント21はリフレクターカップ24に取り付けられ、リフレクターカップ24はヒートシンク25に取り付けられている。更には、GaN系半導体発光素子1の上方にはプラスチックレンズ22が配置され、プラスチックレンズ22とGaN系半導体発光素子1との間には、GaN系半導体発光素子1から射出される光に対して透明なエポキシ樹脂(屈折率:例えば1.5)、ゲル状材料[例えば、Nye社の商品名OCK−451(屈折率:1.51)、商品名OCK−433(屈折率:1.46)]、シリコーンゴム、シリコーンオイルコンパウンドといったオイルコンパウンド材料[例えば、東芝シリコーン株式会社の商品名TSK5353(屈折率:1.45)]で例示される光透過媒体層(図示せず)が充填されている。
そして、活性層15における第1GaN系化合物半導体層側の井戸層密度をd1、第2GaN系化合物半導体層側の井戸層密度をd2としたとき、d1>d2を満足するように活性層15における井戸層が配置されている。活性層15を構成する多重量子井戸構造の詳細を、以下の表1に示す。尚、表1中、井戸層の厚さ及び障壁層の厚さの値の右側の括弧内の数字は、活性層15における第1GaN系化合物半導体層側界面(より具体的には、実施例1にあっては、アンドープGaN層14と活性層15との界面)からの積算厚さを示す。
実施例1にあっては、活性層15の総厚をt0とし、活性層15における第1GaN系化合物半導体層側界面(より具体的には、実施例1にあっては、アンドープGaN層14と活性層15との界面)から厚さ(t0/3)までの活性層第1領域AR1内の井戸層密度をd1、第2GaN系化合物半導体層側界面(より具体的には、実施例1にあっては、アンドープGaN層16と活性層15との界面)から厚さ(2t0/3)までの活性層第2領域AR2内の井戸層密度をd2としたとき、d1>d2を満足するように活性層15における井戸層が配置されている。
また、実施例1にあっては、活性層第1領域AR1と活性層第2領域AR2に跨って1つ井戸層(厚さtIF=3nm,第5井戸層)が存在する。従って、活性層第1領域AR1に含まれる井戸層の数をWL1、活性層第2領域AR2に含まれる井戸層の数をWL2(但し、井戸層の総数WL=WL1+WL2)とし、活性層第1領域AR1内のみに含まれる井戸層の数をWL’1、活性層第2領域AR2内のみに含まれる井戸層の数をWL’2とし、活性層第1領域AR1と活性層第2領域AR2に跨った井戸層における活性層第1領域AR1に含まれる厚さを厚さtIF-1、活性層第2領域AR2に含まれる厚さを厚さtIF-2(tIF=tIF-1+tIF-2)としたとき、
ΔWL1=tIF-1/tIF=7/9
ΔWL2=tIF-2/tIF=2/9
であり、
WL1=WL’1+ΔWL1=4+7/9
WL2=WL’2+ΔWL2=5+2/9
である。従って、井戸層密度d1及び井戸層密度d2を式(1−1)、式(1−2)から求めると、以下のとおりとなる。
[実施例1]
d1=(WL1/WL)/(t1/t0)
={(4+7/9)/10}/{(50+1/3)/151}
=1.43
d2=(WL2/WL)/(t2/t0)
={(5+2/9)/10}/{(100+2/3)/151}
=0.78
比較のために、表1に比較例1として示す活性層を有するGaN系半導体発光素子を作製した。
尚、実施例1及び比較例1のGaN系半導体発光素子にあっては、評価のために、また、製造工程の簡略のために、リソグラフィ工程及びエッチング工程に基づき、n型の導電型を有する第1GaN系化合物半導体層13を部分的に露出させ、MgドープのGaN層18上にAg/Niから成るp型電極19Bを形成し、第1GaN系化合物半導体層13の上にTi/Alから成るn型電極19Aを形成し、これらのn型電極19A及びp型電極19Bにプルーブで針立てを行い、駆動電流を供給し、基板10の裏面から放射される光を検出した。この状態を、図5の概念図を示す。また、GaN系半導体発光素子1を上から眺めた模式図を図6の(A)に示し、図6の(A)の矢印B−Bに沿った模式的な断面図(但し、斜線は省略)を図6の(B)に示す。実施例1及び比較例1のGaN系半導体発光素子にあっては、活性層面積(接合領域面積)を6×10-4cm2とした。従って、GaN系半導体発光素子の動作電流密度とは、動作電流値を活性層面積(接合領域面積)である6×10-4cm2で除した値となる。例えば、図6に示すGaN系半導体発光素子1に20mAの駆動電流を流した場合の動作電流密度は33A/cm2と算出される。また、例えば図7に示すようなGaN系半導体発光素子1が直列に接続された状態にあっても、動作電流密度は33A/cm2と算出される。
比較例1における井戸層密度d1及び井戸層密度d2を式(1−1)、式(1−2)から求めると、以下のとおりとなる。
[比較例1]
d1=(WL1/WL)/(t1/t0)
={(3+1/3)/10}/(49/147)
=1.00
d2=(WL2/WL)/(t2/t0)
={(6+2/3)/10}/(98/147)
=1.00
GaN系半導体発光素子の動作電流密度と光出力との関係を測定した結果を、図3に示すが、実施例1のGaN系半導体発光素子1の光出力は、従来のGaN系半導体発光素子である比較例1と同程度である。
更には、GaN系半導体発光素子の動作電流密度と発光ピーク波長の関係を、図4に示す。動作電流密度を0.1A/cm2から300A/cm2へと増加させると、比較例1にあっては、Δλ=−19nmであるのに対して、実施例1にあっては、Δλ=−31nmと、大きな発光波長シフトが実現されている。即ち、例えば、動作電流密度を0.1A/cm2とした場合には緑色(発光波長530nm)の発光が得られ、動作電流密度を10A/cm2とした場合には緑色(発光波長518nm)の発光が得られ、動作電流密度を300A/cm2とした場合には青緑色(発光波長499nm)の発光が得られる。
尚、このようなGaN系半導体発光素子の発光波長の制御は駆動電流のピーク電流値I1,I2で行う方法を採用すればよい。また、GaN系半導体発光素子の発光量の制御は、駆動電流のパルス幅制御で行えばよいし、あるいは又、駆動電流のパルス密度制御で行えばよいし、あるいは又、これらの組合せで行えばよい。以下の実施例にあっても同様とすることができる。
具体的には、図2の(B)に示すように、或る発光波長λ1を得るときの駆動電流のピーク電流値をI1、駆動電流のパルス幅をP1、発光波長λ2(<λ1)を得るときの駆動電流のピーク電流値をI2(<I1)、駆動電流のパルス幅をP2としたとき、
(1)駆動電流のピーク電流値I1,I2を制御することによって、GaN系半導体発光素子からの射出光の発光波長λを制御することができ、
(2)駆動電流のパルス幅P1、パルス幅P2を制御することによって(駆動電流のパルス幅制御)、GaN系半導体発光素子からの射出光の全体としての発光色を制御することができ、更には、
(3)GaN系半導体発光素子の1パルス周期TPの長さ(パルス幅)を制御することによって(駆動電流のパルス幅制御)、GaN系半導体発光素子からの射出光の発光量(明るさ、輝度)を制御することができ、及び/又は、
(3’)GaN系半導体発光素子の動作の1動作周期TOP中における1パルス周期TPの数(パルス密度)を制御することによって(駆動電流のパルス密度制御)、GaN系半導体発光素子からの射出光の発光量(明るさ、輝度)を制御することができる。
後述する実施例2〜実施例7にあっても、GaN系半導体発光素子の発光波長の制御、及び、GaN系半導体発光素子の発光量の制御は、同様の方法で行えばよい。
尚、活性層15の総厚をt0とし、活性層15における第1GaN系化合物半導体層側界面(より具体的には、アンドープGaN層14と活性層15との界面)から厚さ(t0/2)までの活性層第1領域AR1内の井戸層密度をd1、第2GaN系化合物半導体層側界面(より具体的には、アンドープGaN層16と活性層15との界面)から厚さ(t0/2)までの活性層第2領域AR2内の井戸層密度をd2としたとき、d1>d2を満足するように活性層15における井戸層が配置されているとした場合の、井戸層密度d1及び井戸層密度d2を式(1−1)、式(1−2)から求めると、以下のとおりとなる。
[実施例1相当]
d1=(WL1/WL)/(t1/t0)
=(6/10)/{(75+1/2)/151}
=1.20
d2=(WL2/WL)/(t2/t0)
=(4/10)/{(75+1/2)/151}
=0.78
[比較例1相当]
d1=(WL1/WL)/(t1/t0)
=(5/10)/{(73+1/2)/147}
=1.00
d2=(WL2/WL)/(t2/t0)
=(5/10)/{(73+1/2)/147}
=1.00
また、活性層15の総厚をt0とし、活性層15における第1GaN系化合物半導体層側界面(より具体的には、アンドープGaN層14と活性層15との界面)から厚さ(2t0/3)までの活性層第1領域AR1内の井戸層密度をd1、第2GaN系化合物半導体層側界面(より具体的には、アンドープGaN層16と活性層15との界面)から厚さ(t0/3)までの活性層第2領域AR2内の井戸層密度をd2としたとき、d1>d2を満足するように活性層15における井戸層が配置されているとした場合の、井戸層密度d1及び井戸層密度d2を式(1−1)、式(1−2)から求めると、以下のとおりとなる。
[実施例1相当]
d1=(WL1/WL)/(t1/t0)
=(7/10)/{(100+2/3)/151}
=1.05
d2=(WL2/WL)/(t2/t0)
=(3/10)/{(50+1/3)/151}
=0.90
[比較例1相当]
d1=(WL1/WL)/(t1/t0)
={(6+2/3)/10}/(98/147)
=1.00
d2=(WL2/WL)/(t2/t0)
={(3+1/3)/10}/(49/147)
=1.00
以上のとおり、いずれの場合にあっても、実施例1に相当する場合、d1>d2を満足するように活性層15における井戸層が配置されている。
実施例1における駆動回路26は、図2の(A)に示すように、制御部27と、駆動電流の供給源である駆動電流源28と、所定のパルス信号を生成するパルス生成回路29と、ドライバ30とを備えている。ここで、駆動電流源28、パルス生成回路29及びドライバ30が、GaN系半導体発光素子にパルス駆動電流を供給するパルス駆動電流供給手段に相当する。また、制御部27が、パルス駆動電流のパルス幅及びパルス密度を設定するパルス駆動電流設定手段に相当する。
そして、駆動回路26にあっては、制御部27の制御下、駆動電流のピーク電流値I1,I2を駆動電流源28から出力する。併せて、制御部27の制御下、GaN系半導体発光素子1の1パルス周期TPの長さ(パルス幅)を制御し、しかも、GaN系半導体発光素子1の動作の1動作周期TOP中における1パルス周期TPの数(パルス密度)を制御するために、パルス生成回路29からパルス信号を出力する。そして、これらの駆動電流及びパルス信号を受け取ったドライバ30においては、駆動電流源28から送出された駆動電流に対して、パルス生成回路29から送出されたパルス信号に基づいてパルス変調が施され、このパルス駆動電流がGaN系半導体発光素子1に供給される。これによって、GaN系半導体発光素子1の発光波長の制御、及び、GaN系半導体発光素子1の発光量の制御が行われる。
以下、実施例1のGaN系半導体発光素子1の製造方法の概要を説明する。
[工程−100]
先ず、C面を主面とするサファイアを基板10として使用し、水素から成るキャリアガス中、基板温度1050゜Cで10分間の基板クリーニングを行った後、基板温度を500゜Cまで低下させる。そして、MOCVD法に基づき、窒素原料であるアンモニアガスを供給しながら、ガリウム原料であるトリメチルガリウム(Trimethygallium, TMG)ガスの供給を行い、低温GaNから成る厚さ30nmのバッファ層11を基板10の上に結晶成長させた後、TMGガスの供給を中断する。
[工程−110]
次いで、基板温度を1020゜Cまで上昇させた後、再び、TMGガスの供給を開始することで、厚さ1μmのアンドープのGaN層12をバッファ層11上に結晶成長させ、引き続き、シリコン原料であるモノシラン(SiH4)ガスの供給を開始することで、SiドープのGaN(GaN:Si)から成り、n型の導電型を有する厚さ3μmの第1GaN系化合物半導体層13を、アンドープのGaN層12上に結晶成長させる。尚、ドーピング濃度は、約5×1018/cm3である。
[工程−120]
その後、一旦、TMGガスとSiH4ガスの供給を中断し、キャリアガスを水素ガスから窒素ガスに切り替えると共に、基板温度を750゜Cまで低下させる。そして、Ga原料としてトリエチルガリウム(Triethylgallium, TEG)ガス、In原料としてトリメチルインジウム(Trimethylindium, TMI)ガスを使用し、バルブ切り替えによりこれらのガスの供給を行うことで、先ず最初に、厚さ5nmアンドープGaN層14を結晶成長させ、引き続き、InGaNから成る井戸層、及び、GaNから成る障壁層から構成された多重量子井戸構造を有する活性層15を形成する。尚、井戸層におけるIn組成割合は、例えば0.23であり、発光波長λ515nmに相当する。井戸層におけるIn組成割合は、所望とする発光波長に基づき決定すればよい。多重量子井戸構造の詳細は、例えば、表1に示したとおりである。
[工程−130]
多重量子井戸構造の形成完了後、引き続き、アンドープの10nmのGaN層16を成長させながら基板温度を800゜Cまで上昇させ、Al原料としてトリメチルアルミニウム(Trimethylaluminium, TMA)ガス、Mg原料としてビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Biscyclopentadienyl Magnesium, Cp2Mg)ガスの供給を開始することで、MgドープAl組成割合0.20のAlGaN(AlGaN:Mg)から成り、p型の導電型を有する厚さ20nmの第2GaN系化合物半導体層17を結晶成長させる。尚、ドーピング濃度は、約5×1019/cm3である。
[工程−140]
その後、TEGガス、TMAガス、Cp2Mgガスの供給中断と共に、キャリアガスを窒素から水素に切り替え、850゜Cまで基板温度を上昇させ、TMGガスとCp2Mgガスの供給を開始することで、厚さ100nmのMgドープのGaN層(GaN:Mg)18を第2GaN系化合物半導体層17の上に結晶成長させる。尚、ドーピング濃度は、約5×1019/cm3である。その後、TMGガス及びCp2Mgガスの供給中止と共に基板温度を低下させ、基板温度600゜Cでアンモニアガスの供給を中止し、室温まで基板温度を下げて結晶成長を完了させる。
ここで、活性層15の成長後の基板温度TMAXに関しては、発光波長をλnmとしたとき、TMAX<1350−0.75λ(゜C)、好ましくは、TMAX<1250−0.75λ(゜C)を満足している。このような活性層15の成長後の基板温度TMAXを採用することで、特開2002−319702でも述べられているように、活性層15の熱的な劣化を抑制することができる。
こうして結晶成長を完了した後、基板を窒素ガス雰囲気中で800゜C、10分間のアニール処理を行ってp型不純物(p型ドーパント)の活性化を行う。その後、通常のLEDのウェハプロセス、チップ化工程と同様に、フォトリソグラフィ工程やエッチング工程、金属蒸着によるp型電極、n型電極の形成工程を経て、ダイシングによりチップ化を行い、更に、樹脂モールド、パッケージ化を行うことで、砲弾型や面実装型といった種々の発光ダイオードを作製することができる。
実施例2は、実施例1の変形である。実施例2のGaN系半導体発光素子にあっては、第1GaN系化合物半導体層13と活性層15との間(より具体的には、実施例2にあっては、第1GaN系化合物半導体層13とアンドープGaN層14との間)に、In原子を含有する下地層が形成されており、活性層15と第2GaN系化合物半導体層17との間(より具体的には、実施例2にあっては、アンドープGaN層16と第2GaN系化合物半導体層17との間)に、p型ドーパントを含有する超格子構造層が形成されている。このような構成にすることで、発光効率の一層の向上と動作電圧の一層の低下を図りつつ、高い動作電流密度における一層安定したGaN系半導体発光素子の動作を達成することができる。
ここで、下地層は、In組成割合が0.03の厚さ150nmのSiドープInGaN層から成る。ドーピング濃度は5×1018/cm3である。一方、超格子構造層は、厚さ2.4nmのAlGaN層(Mgドーピング)と厚さ1.6nmのGaN層(Mgドーピング)とを5周期積層した超格子構造を有する。尚、AlGaN層におけるAl組成割合は0.15である。また、超格子構造層が含有するp型ドーパントの濃度は、5×1019/cm3である。
以上の点を除き、実施例2のGaN系半導体発光素子は、実施例1のGaN系半導体発光素子と同じ構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。
実施例3は、本発明の発光装置に関する。この実施例3の発光装置は、GaN系半導体発光素子と、このGaN系半導体発光素子からの射出光が入射し、GaN系半導体発光素子からの射出光の有する波長と異なる波長を有する光を射出する色変換材料とから成る。実施例3の発光装置の構造それ自体は、従来の発光装置と同じ構造を有し、色変換材料は、例えば、GaN系半導体発光素子の光射出部上に塗布されている。
ここで、GaN系半導体発光素子(発光ダイオード)の基本的な構成、構造は、実施例1あるいは実施例2において説明したと同じであり、
(A)n型の導電型を有する第1GaN系化合物半導体層13、
(B)井戸層、及び、井戸層と井戸層とを隔てる障壁層から成る多重量子井戸構造を有する活性層15、及び、
(C)p型の導電型を有する第2GaN系化合物半導体層17、
を備えており、
活性層15における第1GaN系化合物半導体層側の井戸層密度をd1、第2GaN系化合物半導体層側の井戸層密度をd2としたとき、d1>d2を満足するように活性層15における井戸層が配置されている。
実施例3にあっては、GaN系半導体発光素子からの射出光は青色であり、色変換材料からの射出光は黄色であり、色変換材料はYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体粒子から成り、GaN系半導体発光素子からの射出光(青色)と、色変換材料からの射出光(黄色)とが混色されて、白色を射出する。
あるいは又、実施例3にあっては、GaN系半導体発光素子からの射出光は青色であり、色変換材料からの射出光は緑色及び赤色から成り、GaN系半導体発光素子からの射出光(青色)と、色変換材料からの射出光(緑色及び赤色)とが混色されて、白色を射出する。ここで、緑色の光を射出する色変換材料は、具体的には、SrGa2S4:EuといったGaN系半導体発光素子から射出された青色の光によって励起される緑色発光蛍光体粒子から成り、赤色の光を射出する色変換材料は、具体的には、CaS:EuといったGaN系半導体発光素子から射出された青色の光によって励起される赤色発光蛍光体粒子から成る。
この実施例3の発光装置におけるGaN系半導体発光素子の駆動は、例えば、実施例1において説明した駆動回路26によって行えばよく、適切なる駆動電流のピーク電流値を設定することで、蛍光体の発光効率が一番高くなるようにGaN系半導体発光素子の発光波長の最適化を図ることができる。そして、この場合、実施例1あるいは実施例2において説明したと同じGaN系半導体発光素子(発光ダイオード)を用いることで、発光波長の大きなシフトを達成することができるので、GaN系半導体発光素子の発光波長を確実に最適化することができる。また、蛍光体の発光効率が一番高くなるような発光波長から大きく逸脱した従来のGaN系半導体発光素子は廃棄するしかなかったが、本発明にあっては、蛍光体の発光効率が一番高くなるような発光波長から大きく逸脱したGaN系半導体発光素子においても、適切なる駆動電流のピーク電流値を設定することで、使用することが可能となるため、実効的な歩留りが増加し、発光装置の製造コスト低減に役立つ。
実施例4は、本発明の第1の態様に係る画像表示装置に関する。実施例4の画像表示装置は、画像を表示するためのGaN系半導体発光素子を備えた画像表示装置であって、このGaN系半導体発光素子(発光ダイオード)の基本的な構成、構造は、実施例1あるいは実施例2において説明したと同じであり、
(A)n型の導電型を有する第1GaN系化合物半導体層13、
(B)井戸層、及び、井戸層と井戸層とを隔てる障壁層から成る多重量子井戸構造を有する活性層15、及び、
(C)p型の導電型を有する第2GaN系化合物半導体層17、
を備えており、
活性層15における第1GaN系化合物半導体層側の井戸層密度をd1、第2GaN系化合物半導体層側の井戸層密度をd2としたとき、d1>d2を満足するように活性層15における井戸層が配置されている。
実施例4の画像表示装置にあっては、画像を表示するためのGaN系半導体発光素子の動作電流密度(あるいは、駆動電流)の制御に基づき、発光波長の調整、制御を行うことができるし、多色発光させる場合において少ない電流ピークの変化幅で大きな波長シフトを実現することができる。また、GaN系半導体発光素子の大きな発光波長ばらつきを駆動電流に基づき容易に補正することができ、所望の発光波長からのずれが大きく、従来では使用できなかったGaN系半導体発光素子を利用できるようになるため、実効的な歩留りが増加し、これは、GaN系半導体発光素子の製造コスト低減に役立つ。更には、従来と同じように3原色(RGB)表示用に3種類の発光素子を用意するだけで4種類以上の色の表示が可能となる。例えば、明るさを優先する場合や従来の映像ソースを表示する際にはRGBの3原色、色再現範囲を広げたい場合には3原色に加えて1種類以上の色を表示することができ、両者は、駆動電流波形等により容易に切り替えることができる。また、使用するGaN系半導体発光素子はいずれの表示の場合も無駄にならず、部品点数の低減とコスト削減に役立つ。
ここで、実施例4の画像表示装置として、例えば、以下に説明する構成、構造の画像表示装置を挙げることができる。尚、特に断りの無い限り、画像表示装置あるいは発光素子パネルを構成するGaN系半導体発光素子の数は、画像表示装置に要求される仕様に基づき、決定すればよい。
[1]第1Aの態様に係る画像表示装置
(α)GaN系半導体発光素子1が2次元マトリクス状に配列された発光素子パネル50、
を備え、
GaN系半導体発光素子1のそれぞれの発光/非発光状態を制御することで、GaN系半導体発光素子1の発光状態を直接的に視認させることで画像を表示する、パッシブマトリックスタイプの直視型の画像表示装置。
このようなパッシブマトリックスタイプの直視型の画像表示装置を構成する発光素子パネル50を含む回路図を図8の(A)に示し、GaN系半導体発光素子1が2次元マトリクス状に配列された発光素子パネルの模式的な断面図を図8の(B)に示すが、各GaN系半導体発光素子1の一方の電極(p型電極あるいはn型電極)はコラム・ドライバ41に接続され、各GaN系半導体発光素子1の他方の電極(n型電極あるいはp型電極)はロウ・ドライバ42に接続されている。各GaN系半導体発光素子1の発光/非発光状態の制御は、例えばロウ・ドライバ42によって行われ、コラム・ドライバ41から各GaN系半導体発光素子1を駆動するための駆動電流が供給される。コラム・ドライバ41の機能の1つは、実施例1における駆動回路26の有する機能と同じである。各GaN系半導体発光素子1の選択、駆動、それ自体は周知の方法とすることができるので、詳細な説明は省略する。
発光素子パネル50は、例えば、プリント配線板から成る支持体51、支持体51に取り付けられたGaN系半導体発光素子1、支持体51上に形成され、GaN系半導体発光素子1の一方の電極(p型電極あるいはn型電極)に電気的に接続され、且つ、コラム・ドライバ41あるいはロウ・ドライバ42に接続されたX方向配線52、GaN系半導体発光素子1の他方の電極(n型電極あるいはp型電極)に電気的に接続され、且つ、ロウ・ドライバ42あるいはコラム・ドライバ41に接続されたY方向配線53、GaN系半導体発光素子1を覆う透明基材54、及び、透明基材54上に設けられたマイクロレンズ55から構成されている。但し、発光素子パネル50は、このような構成に限定されるものではない。
[2]第1Aの態様に係る画像表示装置
(α)GaN系半導体発光素子1が2次元マトリクス状に配列された発光素子パネル、
を備え、
GaN系半導体発光素子1のそれぞれの発光/非発光状態を制御することで、GaN系半導体発光素子1の発光状態を直接的に視認させることで画像を表示する、アクティブマトリックスタイプの直視型の画像表示装置。
このようなアクティブマトリックスタイプの直視型の画像表示装置を構成する発光素子パネルを含む回路図を図9に示すが、各GaN系半導体発光素子1の一方の電極(p型電極あるいはn型電極)はドライバ45に接続され、ドライバ45は、コラム・ドライバ43及びロウ・ドライバ44に接続されている。また、各GaN系半導体発光素子1の他方の電極(n型電極あるいはp型電極)は接地線に接続されている。各GaN系半導体発光素子1の発光/非発光状態の制御は、例えばロウ・ドライバ44によるドライバ45の選択によって行われ、コラム・ドライバ43から各GaN系半導体発光素子1を駆動するための輝度信号がドライバ45に供給される。図示しない電源から所定の電圧がそれぞれのドライバ45に別途供給され、ドライバ45は輝度信号に応じた駆動電流(PDM制御やPWM制御に基づく)をGaN系半導体発光素子1に供給する。コラム・ドライバ43の機能の1つは、実施例1における駆動回路26の有する機能と同じである。各GaN系半導体発光素子1の選択、駆動、それ自体は周知の方法とすることができるので、詳細な説明は省略する。
[3]第1Bの態様に係る画像表示装置
(α)GaN系半導体発光素子1が2次元マトリクス状に配列された発光素子パネル50、
を備え、
GaN系半導体発光素子1のそれぞれの発光/非発光状態を制御し、スクリーンに投影することで画像を表示する、パッシブマトリックスタイプあるいはアクティブマトリックスタイプのプロジェクション型の画像表示装置。
このようなパッシブマトリックスタイプの画像表示装置を構成する発光素子パネルを含む回路図は、図8の(A)に示したと同様であるし、アクティブマトリックスタイプの画像表示装置を構成する発光素子パネルを含む回路図は、図9に示したと同様であるので、詳細な説明は省略する。また、GaN系半導体発光素子1が2次元マトリクス状に配列された発光素子パネル50等の概念図を図10に示すが、発光素子パネル50から射出された光は投影レンズ56を経由して、スクリーンに投影される。発光素子パネル50の構成、構造は、図8の(B)を参照して説明した発光素子パネル50の構成、構造と同じとすることができるので、詳細な説明は省略する。
[4]第1Cの態様に係る画像表示装置
(α)赤色を発光する半導体発光素子(例えばAlGaInP系半導体発光素子やGaN系半導体発光素子)1Rが2次元マトリクス状に配列された赤色発光素子パネル50R、
(β)緑色を発光するGaN系半導体発光素子1Gが2次元マトリクス状に配列された緑色発光素子パネル50G、及び、
(γ)青色を発光するGaN系半導体発光素子1Bが2次元マトリクス状に配列された青色発光素子パネル50B、並びに、
(δ)赤色発光素子パネル50R、緑色発光素子パネル50G及び青色発光素子パネル50Bから射出された光を1本の光路に纏めるための手段(例えば、ダイクロイック・プリズム57)、
を備え、
赤色発光半導体発光素子1R、緑色発光GaN系半導体発光素子1G及び青色発光GaN系半導体発光素子1Bのそれぞれの発光/非発光状態を制御するカラー表示の直視型あるいはプロジェクション型画像表示装置。
このようなパッシブマトリックスタイプの画像表示装置を構成する発光素子パネルを含む回路図は、図8の(A)に示したと同様であるし、アクティブマトリックスタイプの画像表示装置を構成する発光素子パネルを含む回路図は、図9に示したと同様であるので、詳細な説明は省略する。また、GaN系半導体発光素子1R,1G,1Bが2次元マトリクス状に配列された発光素子パネル50R,50G,50B等の概念図を図11に示すが、発光素子パネル50R,50G,50Bから射出された光は、ダイクロイック・プリズム57に入射し、これらの光の光路は1本の光路に纏められ、直視型画像表示装置にあっては、直視され、あるいは又、プロジェクション型画像表示装置にあっては、投影レンズ56を経由して、スクリーンに投影される。発光素子パネル50R,50G,50Bの構成、構造は、図8の(B)を参照して説明した発光素子パネル50の構成、構造と同じとすることができるので、詳細な説明は省略する。
尚、このような画像表示装置にあっては、発光素子パネル50R,50G,50Bを構成する半導体発光素子1R,1G,1Bを、実施例1あるいは実施例2において説明したGaN系半導体発光素子1とすることが望ましいが、場合によっては、例えば、発光素子パネル50Rを構成する半導体発光素子1RをAlInGaP系の化合物半導体発光ダイオードから構成し、発光素子パネル50G,50Bを構成する半導体発光素子1G,1Bを、実施例1あるいは実施例2において説明したGaN系半導体発光素子1とすることもできる。
[5]第1Dの態様に係る画像表示装置
(α)GaN系半導体発光素子101、及び、
(β)GaN系半導体発光素子101から射出された射出光の通過/非通過を制御するための一種のライト・バルブである光通過制御装置(例えば、高温ポリシリコンタイプの薄膜トランジスタを備えた液晶表示装置58。以下においても同様)、
を備え、
光通過制御装置である液晶表示装置58によってGaN系半導体発光素子101から射出された射出光の通過/非通過を制御することで画像を表示する直視型あるいはプロジェクション型画像表示装置。
尚、GaN系半導体発光素子の数は、画像表示装置に要求される仕様に基づき、決定すればよく、1又は複数とすることができる。画像表示装置の概念図を図12に示す例においては、GaN系半導体発光素子101の数は1つであり、GaN系半導体発光素子101はヒートシンク102に取り付けられている。GaN系半導体発光素子101から射出された光は、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂といった透光性物質による導光部材やミラー等の反射体から成る光案内部材59によって案内され、液晶表示装置58に入射する。液晶表示装置58から射出された光は、直視型画像表示装置にあっては、直視され、あるいは又、プロジェクション型画像表示装置にあっては、投影レンズ56を経由して、スクリーンに投影される。GaN系半導体発光素子101は、実施例1あるいは実施例2において説明したGaN系半導体発光素子1とすることができる。
また、赤色を発光する半導体発光素子(例えば、AlGaInP系半導体発光素子やGaN系半導体発光素子)101R、及び、赤色を発光する半導体発光素子101Rから射出された射出光の通過/非通過を制御するための一種のライト・バルブである光通過制御装置(例えば、液晶表示装置58R)、緑色を発光するGaN系半導体発光素子101G、及び、緑色を発光するGaN系半導体発光素子101Gから射出された射出光の通過/非通過を制御するための一種のライト・バルブである光通過制御装置(例えば、液晶表示装置58G)、青色を発光するGaN系半導体発光素子101B、及び、青色を発光するGaN系半導体発光素子101Bから射出された射出光の通過/非通過を制御するための一種のライト・バルブである光通過制御装置(例えば、液晶表示装置58B)、並びに、これらのGaN系半導体発光素子101R,101G,101Bから射出された光を案内する光案内部材59R,59G,59B、及び、1本の光路に纏めるための手段(例えば、ダイクロイック・プリズム57)を備えた画像表示装置とすれば、カラー表示の直視型あるいはプロジェクション型画像表示装置を得ることができる。尚、図13に概念図を示す例は、カラー表示のプロジェクション型画像表示装置である。
尚、このような画像表示装置にあっては、半導体発光素子101R,101G,101Bを、実施例1あるいは実施例2において説明したGaN系半導体発光素子1とすることが望ましいが、場合によっては、例えば、半導体発光素子101RをAlInGaP系の化合物半導体発光ダイオードから構成し、半導体発光素子101G,101Bを、実施例1あるいは実施例2において説明したGaN系半導体発光素子1とすることもできる。
[6]第1Eの態様に係る画像表示装置
(α)GaN系半導体発光素子が2次元マトリクス状に配列された発光素子パネル50、及び、
(β)GaN系半導体発光素子1から射出された射出光の通過/非通過を制御するための光通過制御装置(液晶表示装置58)、
を備え、
光通過制御装置(液晶表示装置58)によってGaN系半導体発光素子1から射出された射出光の通過/非通過を制御することで画像を表示する直視型あるいはプロジェクション型画像表示装置。
発光素子パネル50等の概念図を図14に示すが、発光素子パネル50の構成、構造は、図8の(B)を参照して説明した発光素子パネル50の構成、構造と同じとすることができるので、詳細な説明は省略する。尚、発光素子パネル50から射出された光の通過/非通過、明るさは、液晶表示装置58の作動によって制御されるので、発光素子パネル50を構成するGaN系半導体発光素子1は、常時、点灯されていてもよいし、適切な周期で点灯/非点灯を繰り返してもよい。そして、発光素子パネル50から射出された光は液晶表示装置58に入射し、液晶表示装置58から射出された光は、直視型画像表示装置にあっては、直視され、あるいは又、プロジェクション型画像表示装置にあっては、投影レンズ56を経由して、スクリーンに投影される。
[7]第1Fの態様に係る画像表示装置
(α)赤色を発光する半導体発光素子(例えば、AlGaInP系半導体発光素子やGaN系半導体発光素子)1Rが2次元マトリクス状に配列された赤色発光素子パネル50R、及び、赤色発光素子パネル50Rから射出された射出光の通過/非通過を制御するための赤色光通過制御装置(液晶表示装置58R)、
(β)緑色を発光するGaN系半導体発光素子1Gが2次元マトリクス状に配列された緑色発光素子パネル50G、緑色発光素子パネル50Gから射出された射出光の通過/非通過を制御するための緑色光通過制御装置(液晶表示装置58G)、
(γ)青色を発光するGaN系半導体発光素子1Bが2次元マトリクス状に配列された青色発光素子パネル50B、及び、青色発光素子パネル50Bから射出された射出光の通過/非通過を制御するための青色光通過制御装置(液晶表示装置58B)、並びに、
(δ)赤色光通過制御装置58R、緑色光通過制御装置58G及び青色光通過制御装置58Bを通過した光を1つの光路に纏めるための手段(例えば、ダイクロイック・プリズム57)、
を備え、
光通過制御装置58R,58G,58Bによってこれらの発光素子パネル50R,50G,50Bから射出された射出光の通過/非通過を制御することで画像を表示するカラー表示の直視型あるいはプロジェクション型画像表示装置。
GaN系半導体発光素子1R,1G,1Bが2次元マトリクス状に配列された発光素子パネル50R,50G,50B等の概念図を図15に示すが、発光素子パネル50R,50G,50Bから射出された光は、光通過制御装置58R,58G,58Bによって通過/非通過が制御され、ダイクロイック・プリズム57に入射し、これらの光の光路は1本の光路に纏められ、直視型画像表示装置にあっては、直視され、あるいは又、プロジェクション型画像表示装置にあっては、投影レンズ56を経由して、スクリーンに投影される。発光素子パネル50R,50G,50Bの構成、構造は、図8の(B)を参照して説明した発光素子パネル50の構成、構造と同じとすることができるので、詳細な説明は省略する。
尚、このような画像表示装置にあっては、発光素子パネル50R,50G,50Bを構成する半導体発光素子1R,1G,1Bを、実施例1あるいは実施例2において説明したGaN系半導体発光素子1とすることが望ましいが、場合によっては、例えば、発光素子パネル50Rを構成する半導体発光素子1RをAlInGaP系の化合物半導体発光ダイオードから構成し、発光素子パネル50G,50Bを構成する半導体発光素子1G,1Bを、実施例1あるいは実施例2において説明したGaN系半導体発光素子1とすることもできる。
[8]第1Gの態様に係る画像表示装置
(α)赤色を発光する半導体発光素子(例えば、AlGaInP系半導体発光素子やGaN系半導体発光素子)1R、
(β)緑色を発光するGaN系半導体発光素子1G、及び、
(γ)青色を発光するGaN系半導体発光素子1B、並びに、
(δ)赤色発光半導体発光素子1R、緑色発光GaN系半導体発光素子1G及び青色発光GaN系半導体発光素子1Bのそれぞれから射出された光を1本の光路に纏めるための手段(例えば、ダイクロイック・プリズム57)、更には、
(ε)1本の光路に纏めるための手段(ダイクロイック・プリズム57)から射出された光の通過/非通過を制御するための光通過制御装置(液晶表示装置58)、
を備え、
光通過制御装置58によってこれらの発光素子から射出された射出光の通過/非通過を制御することで画像を表示する、フィールドシーケンシャル方式のカラー表示の画像表示装置(直視型あるいはプロジェクション型)。
半導体発光素子101R,101G,101B等の概念図を図16に示すが、半導体発光素子101R,101G,101Bから射出された光は、ダイクロイック・プリズム57に入射し、これらの光の光路は1本の光路に纏められ、ダイクロイック・プリズム57から射出したこれらの光は光通過制御装置58によって通過/非通過が制御され、直視型画像表示装置にあっては、直視され、あるいは又、プロジェクション型画像表示装置にあっては、投影レンズ56を経由して、スクリーンに投影される。このような画像表示装置にあっては、半導体発光素子101R,101G,101Bを、実施例1あるいは実施例2において説明したGaN系半導体発光素子1とすることが望ましいが、場合によっては、例えば、半導体発光素子101RをAlInGaP系の化合物半導体発光ダイオードから構成し、半導体発光素子101G,101Bを、実施例1あるいは実施例2において説明したGaN系半導体発光素子1とすることもできる。
[9]第1Hの態様に係る画像表示装置
(α)赤色を発光する半導体発光素子(例えば、AlGaInP系半導体発光素子やGaN系半導体発光素子)1Rが2次元マトリクス状に配列された赤色発光素子パネル50R、
(β)緑色を発光するGaN系半導体発光素子1Gが2次元マトリクス状に配列された緑色発光素子パネル50G、及び、
(γ)青色を発光するGaN系半導体発光素子1Bが2次元マトリクス状に配列された青色発光素子パネル50B、並びに、
(δ)赤色発光素子パネル50R、緑色発光素子パネル50G及び青色発光素子パネル50Bのそれぞれから射出された光を1本の光路に纏めるための手段(例えば、ダイクロイック・プリズム57)、更には、
(ε)1本の光路に纏めるための手段(ダイクロイック・プリズム57)から射出された光の通過/非通過を制御するための光通過制御装置(液晶表示装置58)、
を備え、
光通過制御装置58によってこれらの発光素子パネル50R,50G,50Bから射出された射出光の通過/非通過を制御することで画像を表示する、フィールドシーケンシャル方式のカラー表示の画像表示装置(直視型あるいはプロジェクション型)。
GaN系半導体発光素子1R,1G,1Bが2次元マトリクス状に配列された発光素子パネル50R,50G,50B等の概念図を図17に示すが、発光素子パネル50R,50G,50Bから射出された光は、ダイクロイック・プリズム57に入射し、これらの光の光路は1本の光路に纏められ、ダイクロイック・プリズム57から射出したこれらの光は光通過制御装置58によって通過/非通過が制御され、直視型画像表示装置にあっては、直視され、あるいは又、プロジェクション型画像表示装置にあっては、投影レンズ56を経由して、スクリーンに投影される。発光素子パネル50R,50G,50Bの構成、構造は、図8の(B)を参照して説明した発光素子パネル50の構成、構造と同じとすることができるので、詳細な説明は省略する。
尚、このような画像表示装置にあっては、発光素子パネル50R,50G,50Bを構成する半導体発光素子1R,1G,1Bを、実施例1あるいは実施例2において説明したGaN系半導体発光素子1とすることが望ましいが、場合によっては、例えば、発光素子パネル50Rを構成する半導体発光素子1RをAlInGaP系の化合物半導体発光ダイオードから構成し、発光素子パネル50G,50Bを構成する半導体発光素子1G,1Bを、実施例1あるいは実施例2において説明したGaN系半導体発光素子1とすることもできる。
実施例5は、本発明の第2の態様に係る画像表示装置に関する。実施例5の画像表示装置は、青色を発光する第1発光素子、緑色を発光する第2発光素子、及び、赤色を発光する第3発光素子から構成された、カラー画像を表示するための発光素子ユニットUNが、2次元マトリクス状に配列されて成る画像表示装置であって、
第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子の内の少なくとも1つの発光素子を構成するGaN系半導体発光素子(発光ダイオード)の基本的な構成、構造は、実施例1あるいは実施例2において説明したと同じであり、
(A)n型の導電型を有する第1GaN系化合物半導体層13、
(B)井戸層、及び、井戸層と井戸層とを隔てる障壁層から成る多重量子井戸構造を有する活性層15、及び、
(C)p型の導電型を有する第2GaN系化合物半導体層17、
を備えており、
活性層15における第1GaN系化合物半導体層側の井戸層密度をd1、第2GaN系化合物半導体層側の井戸層密度をd2としたとき、d1>d2を満足するように活性層15における井戸層が配置されている。
尚、このような画像表示装置にあっては、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子のいずれかを、実施例1あるいは実施例2において説明したGaN系半導体発光素子1とすればよく、場合によっては、例えば、赤色を発光する発光素子をAlInGaP系の化合物半導体発光ダイオードから構成してもよい。
実施例5の画像表示装置にあっても、画像を表示するためのGaN系半導体発光素子の動作電流密度(あるいは、駆動電流)の制御に基づき、発光波長の調整、制御を行うことができるし、多色発光させる場合において少ない電流ピークの変化幅で大きな波長シフトを実現することができる。また、GaN系半導体発光素子の大きな発光波長ばらつきを駆動電流に基づき容易に補正することができ、所望の発光波長からのずれが大きく、従来では使用できなかったGaN系半導体発光素子を利用できるようになるため、実効的な歩留りが増加し、これは、GaN系半導体発光素子の製造コスト低減に役立つ。更には、従来と同じように3原色(RGB)表示用に3種類の発光素子を用意するだけで4種類以上の色の表示が可能となる。例えば、明るさを優先する場合や従来の映像ソースを表示する際にはRGBの3原色、色再現範囲を広げたい場合には3原色に加えて1種類以上の色を表示することができ、両者は、駆動電流波形等により容易に切り替えることができる。また、使用するGaN系半導体発光素子はいずれの表示の場合も無駄にならず、部品点数の低減とコスト削減に役立つ。
ここで、実施例5の画像表示装置として、例えば、以下に説明する構成、構造の画像表示装置を挙げることができる。尚、発光素子ユニットUNの数は、画像表示装置に要求される仕様に基づき、決定すればよい。
[1]第2Aの態様に係る画像表示装置及び第2Bの態様に係る画像表示装置
第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子のそれぞれの発光/非発光状態を制御することで、各発光素子の発光状態を直接的に視認させることで画像を表示する、パッシブマトリックスタイプあるいはアクティブマトリックスタイプの直視型のカラー表示の画像表示装置、及び、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子のそれぞれの発光/非発光状態を制御し、スクリーンに投影することで画像を表示する、パッシブマトリックスタイプあるいはアクティブマトリックスタイプのプロジェクション型のカラー表示の画像表示装置。
例えば、このようなアクティブマトリックスタイプの直視型のカラー表示の画像表示装置を構成する発光素子パネルを含む回路図を図18に示すが、各GaN系半導体発光素子1(図18においては、赤色を発光する半導体発光素子を「R」で示し、緑色を発光するGaN系半導体発光素子を「G」で示し、青色を発光するGaN系半導体発光素子を「B」で示す)の一方の電極(p型電極あるいはn型電極)はドライバ45に接続され、ドライバ45は、コラム・ドライバ43及びロウ・ドライバ44に接続されている。また、各GaN系半導体発光素子1の他方の電極(n型電極あるいはp型電極)は接地線に接続されている。各GaN系半導体発光素子1の発光/非発光状態の制御は、例えばロウ・ドライバ44によるドライバ45の選択によって行われ、コラム・ドライバ43から各GaN系半導体発光素子1を駆動するための輝度信号がドライバ45に供給される。図示しない電源から所定の電圧がそれぞれのドライバ45に別途供給され、ドライバ45は輝度信号に応じた駆動電流(PDM制御やPWM制御に基づく)をGaN系半導体発光素子1に供給する。コラム・ドライバ43の機能の1つは、実施例1における駆動回路26の有する機能と同じである。赤色を発光する半導体発光素子R、緑色を発光するGaN系半導体発光素子G、青色を発光するGaN系半導体発光素子Bの選択は、ドライバ45によって行われ、これらの赤色を発光する半導体発光素子R、緑色を発光するGaN系半導体発光素子G、青色を発光するGaN系半導体発光素子Bのそれぞれの発光/非発光状態は時分割制御されてもよく、あるいは又、同時に発光されてもよい。各GaN系半導体発光素子1の選択、駆動、それ自体は周知の方法とすることができるので、詳細な説明は省略する。尚、直視型画像表示装置にあっては、直視され、あるいは又、プロジェクション型画像表示装置にあっては、投影レンズを経由して、スクリーンに投影される。
[2]第2Cの態様に係る画像表示装置
2次元マトリクス状に配列された発光素子ユニットからの射出光の通過/非通過を制御するための光通過制御装置(例えば、液晶表示装置)を備え、発光素子ユニットにおける第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子のそれぞれの発光/非発光状態を時分割制御し、更に、光通過制御装置によって第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子から射出された射出光の通過/非通過を制御することで画像を表示する、フィールドシーケンシャル方式のカラー表示の直視型あるいはプロジェクション型画像表示装置。
尚、このような画像表示装置の概念図は図10に示したと同様である。そして、直視型画像表示装置にあっては、直視され、あるいは又、プロジェクション型画像表示装置にあっては、投影レンズを経由して、スクリーンに投影される。
実施例6は、本発明の面状光源装置及び液晶表示装置組立体(具体的には、カラー液晶表示装置組立体)に関する。実施例6の面状光源装置は、透過型あるいは半透過型のカラー液晶表示装置を背面から照射する面状光源装置である。また、実施例6のカラー液晶表示装置組立体は、透過型あるいは半透過型のカラー液晶表示装置、及び、このカラー液晶表示装置を背面から照射する面状光源装置を備えたカラー液晶表示装置組立体である。
そして、面状光源装置に備えられた光源としてのGaN系半導体発光素子(発光ダイオード)の基本的な構成、構造は、実施例1あるいは実施例2において説明したと同じであり、
(A)n型の導電型を有する第1GaN系化合物半導体層13、
(B)井戸層、及び、井戸層と井戸層とを隔てる障壁層から成る多重量子井戸構造を有する活性層15、及び、
(C)p型の導電型を有する第2GaN系化合物半導体層17、
を備えており、
活性層15における第1GaN系化合物半導体層側の井戸層密度をd1、第2GaN系化合物半導体層側の井戸層密度をd2としたとき、d1>d2を満足するように活性層15における井戸層が配置されている。
実施例6の面状光源装置における発光素子の配置、配列状態を図19の(A)に模式的に示し、面状光源装置及びカラー液晶表示装置組立体の模式的な一部断面図を図19の(B)に示し、カラー液晶表示装置の模式的な一部断面図を図20に示す。
実施例6のカラー液晶表示装置組立体200は、より具体的には、
(a)透明第1電極224を備えたフロント・パネル220、
(b)透明第2電極234を備えたリア・パネル230、及び、
(c)フロント・パネル220とリア・パネル230との間に配された液晶材料227、
から成る透過型のカラー液晶表示装置210、並びに、
(d)光源としての半導体発光素子1R,1G,1Bを有する面状光源装置(直下型のバックライト)240、
を備えている。ここで、面状光源装置(直下型のバックライト)240は、リア・パネル230に対向(対面)して配置され、カラー液晶表示装置210をリア・パネル側から照射する。
直下型の面状光源装置240は、外側フレーム243と内側フレーム244とを備えた筐体241から構成されている。そして、透過型のカラー液晶表示装置210の端部は、外側フレーム243と内側フレーム244とによって、スペーサ245A,245Bを介して挟み込まれるように保持されている。また、外側フレーム243と内側フレーム244との間には、ガイド部材246が配置されており、外側フレーム243と内側フレーム244とによって挟み込まれたカラー液晶表示装置210がずれない構造となっている。筐体241の内部であって上部には、拡散板251が、スペーサ245C、ブラケット部材247を介して、内側フレーム244に取り付けられている。また、拡散板251の上には、拡散シート252、プリズムシート253、偏光変換シート254といった光学機能シート群が積層されている。
筐体241の内部であって下部には、反射シート255が備えられている。ここで、この反射シート255は、その反射面が拡散板251と対向するように配置され、筐体241の底面242Aに図示しない取付け用部材を介して取り付けられている。反射シート255は、例えば、シート基材上に、銀反射膜、低屈折率膜、高屈折率膜を順に積層された構造を有する銀増反射膜から構成することができる。反射シート255は、赤色を発光する複数のAlGaInP系半導体発光素子1R、緑色を発光する複数のGaN系半導体発光素子1G、青色を発光する複数のGaN系半導体発光素子1Bから射出された光や、筐体241の側面242Bによって反射された光を反射する。こうして、複数の半導体発光素子1R,1G,1Bから射出された赤色、緑色及び青色が混色され、色純度の高い白色光を照明光として得ることができる。この照明光は、拡散板251、拡散シート252、プリズムシート253、偏光変換シート254といった光学機能シート群を通過し、カラー液晶表示装置210を背面から照射する。
発光素子の配列状態は、例えば、赤色発光のAlGaInP系半導体発光素子1R、緑色発光のGaN系半導体発光素子1G及び青色発光のGaN系半導体発光素子1Bを1組とした発光素子列を水平方向に複数、連ねて発光素子列アレイを形成し、この発光素子列アレイを垂直方向に複数本、並べる配列とすることができる。そして、発光素子列を構成する各発光素子の個数は、例えば、(2つの赤色発光のAlGaInP系半導体発光素子,2つの緑色発光のGaN系半導体発光素子,1つの青色発光のGaN系半導体発光素子)であり、赤色発光のAlGaInP系半導体発光素子、緑色発光のGaN系半導体発光素子、青色発光のGaN系半導体発光素子、緑色発光のGaN系半導体発光素子、赤色発光のAlGaInP系半導体発光素子の順に配列されている。
図20に示すように、カラー液晶表示装置210を構成するフロント・パネル220は、例えば、ガラス基板から成る第1の基板221と、第1の基板221の外面に設けられた偏光フィルム226とから構成されている。第1の基板221の内面には、アクリル樹脂やエポキシ樹脂から成るオーバーコート層223によって被覆されたカラーフィルター222が設けられ、オーバーコート層223上には、透明第1電極(共通電極とも呼ばれ、例えば、ITOから成る)224が形成され、透明第1電極224上には配向膜225が形成されている。一方、リア・パネル230は、より具体的には、例えば、ガラス基板から成る第2の基板231と、第2の基板231の内面に形成されたスイッチング素子(具体的には、薄膜トランジスタ、TFT)232と、スイッチング素子232によって導通/非導通が制御される透明第2電極(画素電極とも呼ばれ、例えば、ITOから成る)234と、第2の基板231の外面に設けられた偏光フィルム236とから構成されている。透明第2電極234を含む全面には配向膜235が形成されている。フロント・パネル220とリア・パネル230とは、それらの外周部で封止材(図示せず)を介して接合されている。尚、スイッチング素子232は、TFTに限定されず、例えば、MIM素子から構成することもできる。また、図面における参照番号237は、スイッチング素子232とスイッチング素子232との間に設けられた絶縁層である。
尚、これらの透過型のカラー液晶表示装置を構成する各種の部材や、液晶材料は、周知の部材、材料から構成することができるので、詳細な説明は省略する。
赤色発光の半導体発光素子1R、緑色発光のGaN系半導体発光素子1G及び青色発光のGaN系半導体発光素子1Bのそれぞれは、図2の(A)に示した構造を有し、駆動回路26に接続されている。そして、実施例1において説明したと同様の方法で駆動される。
ここで、赤色発光のAlGaInP系半導体発光素子1R、緑色発光のGaN系半導体発光素子1G及び青色発光のGaN系半導体発光素子1Bを、図21に模式的に示すパルス電流で駆動したときの色再現範囲(色度図)を図22に示す。図21、図22に示す例にあっては、赤色発光のAlGaInP系半導体発光素子1R、緑色発光のGaN系半導体発光素子1G及び青色発光のGaN系半導体発光素子1Bのそれぞれは、1色を発光している。
また、赤色発光のAlGaInP系半導体発光素子1R、緑色発光のGaN系半導体発光素子1G及び青色発光のGaN系半導体発光素子1Bを、図23に模式的に示すパルス電流で駆動したときの色再現範囲(色度図)を図24に示す。図23、図24に示す例にあっては、赤色発光のAlGaInP系半導体発光素子1R及び青色発光のGaN系半導体発光素子1Bのそれぞれは、1色を発光している。一方、緑色発光のGaN系半導体発光素子1Gは、本来の緑色(発光波長520nm)の発光(図24において、「G−L」で示す)だけでなく、青緑色(発光波長480nm)も発光(図24において、「G−H」で示す)している。尚、緑色の発光及び青緑色の発光は、同時でなく時分割であるが、これらの発光の周期を100ミリ秒以下とすることで、ちらつきを低減することができる。そして、このように、緑色発光のGaN系半導体発光素子1Gを駆動するためのパルス駆動電流のピーク値を適宜設定することにより、図24に示すように、広い色域を実現することができる。
更には、青色発光のGaN系半導体発光素子1Bを、本来の青色(発光波長460nm)の発光だけでなく、青色(発光波長455nm)をも発光させることで、図25に示すように、一層広い色域を実現することができる。
更には、赤色発光のAlGaInP系半導体発光素子1R、緑色発光のGaN系半導体発光素子1G及び青色発光のGaN系半導体発光素子1Bを、図26に模式的に示すパルス電流で駆動したときの色再現範囲(色度図)を図27に示す。図26、図27に示す例にあっては、赤色発光のAlGaInP系半導体発光素子1Rは1色を発光している。一方、緑色発光のGaN系半導体発光素子1Gは、本来の緑色(発光波長520nm)の発光だけでなく、青緑色(発光波長480nm)、及び、エメラルド色(発光波長500nm)も発光している。また、青色発光のGaN系半導体発光素子1Bは、本来の青色(発光波長460nm)の発光だけでなく、青色(発光波長455nm)も発光している。これによって、図27に示すように、更に一層広い色域を実現することができる。
このように多色を用いる場合、従来の技術にあっては、各色に対応する発光ダイオードを必要とするが、実施例6にあっては、3種類の発光ダイオード、即ち、通常の、赤色を発光する発光ダイオード、緑色を発光する発光ダイオード、青色を発光する発光ダイオードだけを用意すればよい。また、多色用に各色の発光ダイオードを個別に用意した場合には、通常の3原色表示のときは使用しないため無駄になるが、実施例6にあっては、3原色表示の場合は3原色用光源として使用するので、無駄にならない。つまり、3原色表示用に3種類の発光ダイオードを用意することで、明るさを優先する場合や従来の映像ソースを表示する際には3原色、色再現範囲を広げたい場合は4色以上を表示することができ、両者は駆動電流波形により容易に切り替えることができる。また、使用する発光ダイオードはいずれの表示の場合も無駄にならず、部品点数の低減とコスト削減に役立つ。尚、赤色発光の半導体発光素子として、AlGaInP系半導体発光素子の他、GaN系半導体発光素子を用いることもできる。実施例7においても同様である。
また、面状光源装置を、複数の領域に分割し、各領域を独立して動的に制御することで、カラー液晶表示装置の輝度に関するダイナミックレンジを広げることが可能である。即ち、画像表示フレーム毎に面状光源装置を複数の領域に分割し、各領域毎に、画像信号に応じて面状光源装置の明るさを変化させる(例えば、各領域に相当する画像の領域の最大輝度に、面状光源装置の該当する領域の輝度を比例させる)ことで、画像の明るい領域にあっては面状光源装置の該当する領域を明るくし、画像の暗い領域にあっては面状光源装置の該当する領域を暗くすることにより、カラー液晶表示装置のコントラスト比を大幅に向上させることができる。更には、平均消費電力も低減できる。この技術においては、面状光源装置の領域間の色むらを低減することが重要である。GaN系半導体発光素子は製造時の発光色ばらつきが生じ易いが、実施例6において使用するGaN系半導体発光素子は、実施例1あるいは実施例2において説明したGaN系半導体発光素子であり、ピーク電流値を変えるだけで、大きく発光波長を変化させることができるため、面状光源装置の領域毎にピーク電流値を調整して発光色ばらつきの補正を行い、駆動電流のパルス幅及び/又はパルス密度によって輝度を調整することができる。これにより、領域毎の発光色ばらつきの少ない面状光源装置を達成することができる。
実施例7は、実施例6の変形である。実施例6にあっては、面状光源装置を直下型とした。一方、実施例7にあっては、面状光源装置をエッジライト型とする。実施例7のカラー液晶表示装置組立体の概念図を図28に示す。尚、実施例7におけるカラー液晶表示装置の模式的な一部断面図は、図20に示した模式的な一部断面図と同様である。
実施例7のカラー液晶表示装置組立体200Aは、
(a)透明第1電極224を備えたフロント・パネル220、
(b)透明第2電極234を備えたリア・パネル230、及び、
(c)フロント・パネル220とリア・パネル230との間に配された液晶材料227、
から成る透過型のカラー液晶表示装置210、並びに、
(d)導光板270及び光源260から成り、カラー液晶表示装置210をリア・パネル側から照射する面状光源装置(エッジライト型のバックライト)250、
を備えている。ここで、導光板270は、リア・パネル230に対向(対面)して配置されている。
光源260は、例えば、赤色発光のAlGaInP系半導体発光素子、緑色発光のGaN系半導体発光素子及び青色発光のGaN系半導体発光素子から構成されている。尚、これらの半導体発光素子は、具体的には図示していない。緑色発光のGaN系半導体発光素子及び青色発光のGaN系半導体発光素子は、実施例1あるいは実施例2において説明したGaN系半導体発光素子と同様とすることができる。また、カラー液晶表示装置210を構成するフロント・パネル220及びリア・パネル230の構成、構造は、図20を参照して説明した実施例6のフロント・パネル220及びリア・パネル230と同様の構成、構造とすることができるので、詳細な説明は省略する。
例えば、ポリカーボネート樹脂から成る導光板270は、第1面(底面)271、この第1面271と対向した第2面(頂面)273、第1側面274、第2側面275、第1側面274と対向した第3側面276、及び、第2側面274と対向した第4側面を有する。導光板270のより具体的な形状は、全体として、楔状の切頭四角錐形状であり、切頭四角錐の2つの対向する側面が第1面271及び第2面273に相当し、切頭四角錐の底面が第1側面274に相当する。そして、第1面271の表面部には凹凸部272が設けられている。導光板270への光入射方向であって第1面271と垂直な仮想平面で導光板270を切断したときの連続した凸凹部の断面形状は、三角形である。即ち、第1面271の表面部に設けられた凹凸部272は、プリズム状である。導光板270の第2面273は、平滑としてもよいし(即ち、鏡面としてもよいし)、拡散効果のあるブラストシボを設けてもよい(即ち、微細な凹凸面とすることもできる)。導光板270の第1面271に対向して反射部材281が配置されている。また、導光板270の第2面273に対向してカラー液晶表示装置210が配置されている。更には、カラー液晶表示装置210と導光板270の第2面273との間には、拡散シート282及びプリズムシート283が配置されている。光源260から射出された光は、導光板270の第1側面274(例えば、切頭四角錐の底面に相当する面)から導光板270に入射し、第1面271の凹凸部272に衝突して散乱され、第1面271から射出し、反射部材281にて反射され、第1面271に再び入射し、第2面273から射出され、拡散シート282及びプリズムシート283を通過して、カラー液晶表示装置210を照射する。
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例において説明したGaN系半導体発光素子、並びに、係るGaN系半導体発光素子が組み込まれた発光装置、画像表示装置、面状光源装置、カラー液晶表示装置組立体の構成、構造は例示であるし、これらを構成する部材、材料等も例示であり、適宜、変更することができる。GaN系半導体発光素子における積層の順序は、逆であってもよい。直視型の画像表示装置にあっては、人の網膜に画像を投影する形式の画像表示装置とすることもできる。
色再現範囲(色度図)の説明に関しては、面状光源装置を例にとり、専ら説明したが、画像表示装置においても、本発明のGaN系半導体発光素子を組み込むことで、同様の色再現範囲の拡大を図ることができる。
また、カラー表示の画像表示装置、面状光源装置、及び、液晶表示装置組立体にあっては、3種類の発光素子で4色以上の色を発光させたが、N種類(但し、N≧4)の発光素子で(N+1)色以上の色を発光させてもよい。
駆動回路26におけるパルス駆動電流設定手段によって、GaN系半導体発光素子からの射出光が入射される光学フィルターの特性に応じて、GaN系半導体発光素子からの射出光の発光波長を調整してもよい。
具体的には、本発明の画像表示装置、面状光源装置あるいはカラー液晶表示装置組立体において、GaN系半導体発光素子から射出される射出光の発光波長のピーク値λPが、例えば、液晶表示装置58に設けられた透過型カラーフィルター、あるいは又、カラー液晶表示装置210に設けられた透過型カラーフィルター222の透過率が最大となる波長λF-MAXと略一致するように、より具体的には、
λF-MAX−20nm≦λP≦λF-MAX+20nm
好ましくは、
λF-MAX−10nm≦λP≦λF-MAX+10nm
となるように、あるいは又、一般的には、所望の波長をλDSとしたとき、
λDS−20nm≦λP≦λDS+20nm
好ましくは、
λDS−10nm≦λP≦λDS+10nm
となるように、駆動回路26の制御によって、GaN系半導体発光素子から射出される射出光の発光波長のピーク値λPを制御してもよい。係る制御も、GaN系半導体発光素子の駆動電流のピーク電流値の制御に基づく。尚、反射型のカラー液晶表示装置組立体にあっては、反射型カラーフィルターの反射率が最大となる波長λF-MAXと読み替えればよい。そして、これによって、光学フィルターの透過ピーク波長又は反射ピーク波長といった分光特性と、GaN系半導体発光素子の発光特性とを一致させることができる。
例えば、青色発光GaN系半導体発光素子1Bの発光ピーク波長(例えば、約455nm)が長波長側に20nmずれた場合には、青色発光GaN系半導体発光素子1Bによって発光された光は、青色光用のカラーフィルターを透過する光成分が減少するのみならず、緑色光用のカラーフィルターも透過してしまう。そのため、画像表示装置においては、緑色のサブピクセルを透過する光に470nm〜490nm程度の光成分が混在することになり、緑色の色純度が低下する。また、緑色発光GaN系半導体発光素子1Gの発光ピーク波長(例えば、約525nm)が短波長側に20nmずれた場合にも、緑色発光GaN系半導体発光素子1Gによって発光された光は、緑色光用のカラーフィルターを透過する光成分が減少するのみならず、青色光用のカラーフィルターも透過してしまう。そのため、画像表示装置においては、青色の色純度が低下する。特に、この緑色の成分は、ごく弱い光であっても、青色に比べて視感度が高いことから影響が大きい。このような現象は、緑色光と赤色光との間においても、同様に生じる。更には、青色発光GaN系半導体発光素子1Bの発光ピーク波長(例えば、約455nm)が短波長側に20nmずれた場合、赤色発光GaN系半導体発光素子1Rの発光ピーク波長(例えば、約625nm)が長波長側に20nmずれた場合、このような波長領域では極端に視感度が低いことから、このような青色発光GaN系半導体発光素子1Bや赤色発光GaN系半導体発光素子1Rを光源として用いることは不適である。
然るに、駆動回路26を用いることで、青色発光GaN系半導体発光素子1B、緑色発光GaN系半導体発光素子1Gや赤色発光GaN系半導体発光素子1Rの発光ピーク波長を容易に変化させることができ、このような問題の発生を確実に回避することが可能となる。そして、これにより、画像表示装置においては、表示画面上で生じる色ムラが大幅に低減し、極めて高い視感効率で広い色再現範囲を実現することができる。しかも、発光波長と発光量とを独立して制御可能であることから、所望の発光波長に設定した後に、所望の白色点及び輝度を容易に実現することができる。
また、AlGaInP系半導体発光素子やGaN系半導体発光素子の温度特性(温度−発光波長の関係)を予め求めておき、面状光源装置あるいはカラー液晶表示装置組立体におけるAlGaInP系半導体発光素子やGaN系半導体発光素子の温度をモニターすることによって、電源投入直後から安定したAlGaInP系半導体発光素子やGaN系半導体発光素子の動作を実現することが可能となる。
尚、以上に説明した駆動回路26は、本発明のGaN系半導体発光素子の駆動だけでなく、従来の構成、構造を有するGaN系半導体発光素子(例えば、比較例1にて説明したGaN系半導体発光素子)の駆動に適用することもできる。
駆動回路として、その他、特開2003−22052に開示された駆動回路を用いることもできる。この駆動回路は、複数のGaN系半導体発光素子間の発光波長のばらつきをGaN系半導体発光素子に供給する電流を制御することで補正する発光波長補正手段と、GaN系半導体発光素子間の輝度のばらつきを補正する発光輝度補正手段を有する。ここで、発光波長補正手段は駆動されるGaN系半導体発光素子毎に設けられたカレントミラー回路を有し、このカレントミラー回路によってGaN系半導体発光素子を流れる電流を調整する構成とすることができる。尚、カレントミラー回路の参照側を流れる電流は、並列接続された複数の能動素子を流れる電流の制御によって制御される。また、発光輝度補正手段は駆動されるGaN系半導体発光素子に電流を供給する定電流回路を有し、この定電流回路のスイッチング素子のオンオフを制御する構成とすることができる。
図1は、実施例1のGaN系半導体発光素子における層構成を概念的に示す図である。
図2の(A)は、実施例1のGaN系半導体発光素子の模式的な断面図であり、図2の(B)は、実施例1のGaN系半導体発光素子を駆動するための駆動電流のパルス波形を模式的に示す図である。
図3は、実施例1及び比較例1のGaN系半導体発光素子の動作電流密度と光出力との関係を測定した結果を示すグラフである。
図4は、実施例1及び比較例1のGaN系半導体発光素子の動作電流密度と発光ピーク波長の関係を示すグラフである。
図5は、GaN系半導体発光素子の評価のために、GaN系半導体発光素子に駆動電流を供給している状態を示す概念図である。
図6の(A)は、GaN系半導体発光素子を上から眺めた模式図であり、図6の(B)は、図6の(A)の矢印B−Bに沿った模式的な断面図(但し、斜線は省略)である。
図7は、直列に接続された2つのGaN系半導体発光素子を上から眺めた模式図である。
図8の(A)は、実施例4におけるパッシブマトリックスタイプの直視型の画像表示装置(第1Aの態様に係る画像表示装置)の回路図であり、図8の(B)は、GaN系半導体発光素子が2次元マトリクス状に配列された発光素子パネルの模式的な断面図である。
図9は、実施例4におけるアクティブマトリックスタイプの直視型の画像表示装置(第1Aの態様に係る画像表示装置)の回路図である。
図10は、GaN系半導体発光素子が2次元マトリクス状に配列された発光素子パネルを備えたプロジェクション型の画像表示装置(第1Bの態様に係る画像表示装置)の概念図である。
図11は、赤色発光素子パネル、緑色発光素子パネル及び青色発光素子パネルを備えたプロジェクション型、カラー表示の画像表示装置(第1Cの態様に係る画像表示装置)の概念図である。
図12は、GaN系半導体発光素子、及び、光通過制御装置を備えたプロジェクション型画像表示装置(第1Dの態様に係る画像表示装置)の概念図である。
図13は、GaN系半導体発光素子、及び、光通過制御装置を3組備えたカラー表示のプロジェクション型画像表示装置(第1Dの態様に係る画像表示装置)の概念図である。
図14は、発光素子パネル、及び、光通過制御装置を備えたプロジェクション型画像表示装置(第1Eの態様に係る画像表示装置)の概念図である。
図15は、GaN系半導体発光素子及び光通過制御装置を3組備えたカラー表示のプロジェクション型画像表示装置(第1Fの態様に係る画像表示装置)の概念図である。
図16は、GaN系半導体発光素子を3組、及び、光通過制御装置を備えたカラー表示のプロジェクション型画像表示装置(第1Gの態様に係る画像表示装置)の概念図である。
図17は、発光素子パネルを3組、及び、光通過制御装置を備えたカラー表示のプロジェクション型画像表示装置(第1Hの態様に係る画像表示装置)の概念図である。
図18は、実施例5におけるアクティブマトリックスタイプの直視型のカラー表示の画像表示装置(第2Aの態様に係る画像表示装置)の回路図である。
図19の(A)は、実施例6の面状光源装置における発光素子の配置、配列状態を模式的に示す図であり、図19の(B)は、面状光源装置及びカラー液晶表示装置組立体の模式的な一部断面図である。
図20は、カラー液晶表示装置の模式的な一部断面図である。
図21は、実施例6の面状光源装置において、赤色発光のAlGaInP系半導体発光素子、緑色発光のGaN系半導体発光素子及び青色発光のGaN系半導体発光素子を駆動するパルス電流を模式的に示す図である。
図22は、図21に示すパルス電流で、赤色発光のAlGaInP系半導体発光素子、緑色発光のGaN系半導体発光素子及び青色発光のGaN系半導体発光素子を駆動したときの色再現範囲を示すグラフ(色度図)である。
図23は、実施例6の面状光源装置において、赤色発光のAlGaInP系半導体発光素子、緑色発光のGaN系半導体発光素子及び青色発光のGaN系半導体発光素子を駆動するパルス電流を模式的に示す図である。
図24は、図23に示すパルス電流で、赤色発光のAlGaInP系半導体発光素子、緑色発光のGaN系半導体発光素子及び青色発光のGaN系半導体発光素子を駆動したときの色再現範囲を示すグラフ(色度図)である。
図25は、実施例6の面状光源装置において、赤色発光のAlGaInP系半導体発光素子によって1色を発光させ、緑色発光のGaN系半導体発光素子によって2色を発光させ、青色発光のGaN系半導体発光素子によって1色を発光させたときの色再現範囲を示すグラフ(色度図)である。
図26は、実施例6の面状光源装置において、赤色発光のAlGaInP系半導体発光素子、緑色発光のGaN系半導体発光素子及び青色発光のGaN系半導体発光素子を駆動するパルス電流を模式的に示す図である。
図27は、図26に示すパルス電流で、赤色発光のAlGaInP系半導体発光素子、緑色発光のGaN系半導体発光素子及び青色発光のGaN系半導体発光素子を駆動したときの色再現範囲を示すグラフ(色度図)である。
図28は、実施例7のカラー液晶表示装置組立体の概念図である。
符号の説明
1,101・・・GaN系半導体発光素子、10・・・基板、11・・・バッファ層、12・・・アンドープのGaN層、13・・・n型の導電型を有する第1GaN系化合物半導体層、14・・・アンドープGaN層、15・・・活性層、16・・・アンドープGaN層、17・・・p型の導電型を有する第2GaN系化合物半導体層、18・・・MgドープのGaN層、19A・・・n型電極、19B・・・p型電極、21・・・サブマウント、22・・・プラスチックレンズ、23A・・・金線、23B・・・外部電極、24・・・リフレクターカップ、25・・・ヒートシンク、26・・・駆動回路、27・・・制御部、28・・・駆動電流源、29・・・パルス生成回路、30・・・ドライバ、41,43・・・コラム・ドライバ、42,44・・・ロウ・ドライバ、45・・・ドライバ、50・・・発光素子パネル、51・・・支持体、52・・・X方向配線、53・・・Y方向配線、54・・・透明基材、55・・・マイクロレンズ、56・・・投影レンズ、57・・・ダイクロイック・プリズム、58・・・液晶表示装置、59・・・光案内部材、102・・・ヒートシンク、200,200A・・・カラー液晶表示装置組立体、210・・・カラー液晶表示装置、220・・・フロント・パネル、221・・・第1の基板、222・・・カラーフィルター、223・・・オーバーコート層、224・・・透明第1電極、225・・・配向膜、226・・・偏光フィルム、227・・・液晶材料、230・・・リア・パネル、231・・・第2の基板、232・・・スイッチング素子、234・・・透明第2電極、235・・・配向膜、236・・・偏光フィルム、240・・・面状光源装置、241・・・筐体、242A・・・筐体の底面、242B・・・筐体の側面、243・・・外側フレーム、244・・・内側フレーム、245A,245B・・・スペーサ、246・・・ガイド部材、247・・・ブラケット部材、251・・・拡散板、252・・・拡散シート、253・・・プリズムシート、254・・・偏光変換シート、255・・・反射シート、250・・・面状光源装置、260・・・光源、270・・・導光板、271・・・導光板の第1面、272・・・第1面における凹凸部、273・・・導光板の第2面、274・・・導光板の第1側面、275・・・導光板の第2側面、276・・・導光板の第3側面、281・・・反射部材、282・・・拡散シート、283・・・プリズムシート