JP4944924B2 - 信号量子化装置、方法、プログラム及びその記録媒体、信号量子化システム - Google Patents
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Iを任意の正の整数とし、閾値θiがθ1<θ2<…<θi<θi+1<…<θIとなるように予め定められており、閾値によって区切られた各区間に、区間を代表する離散値である代表値が予め定められているとする。例えば、区間(−∞,θ1],(θ1,θ2],…,(θi,θi+1],…,(θI,∞)にはそれぞれ代表値x0∈(−∞,θ1],x1∈(θ1,θ2],…,xi∈(θi,θi+1],…,xI∈(θI,∞)が定められているとする。
非特許文献1において、閾値θi及び代表値xi等の量子化パラメータを最適化することにより、量子化の性能を高くする技術が知られている。
〔参考文献1〕S.Mizutani, J.Muramatsu, K.Arai, P.Davis, “Noise-assisted quantization”, International Symposium on Nonlinear Theory and Its Applications (NOLTA 2006), pp.843-846, 2006.
図1にこの発明による信号量子化装置の機能ブロックを例示し、図4にこの発明による信号量子化方法のフローチャートを例示する。図1に例示するように、信号量子化装置は、ノイズ付加部1、量子化部2、評価量計算部3、記憶部4及び最適ノイズ強度決定部5を含む。
ノイズ付加部1は、少なくとも2種類以上の強度のノイズのそれぞれを入力されるアナログ信号に加える(ステップS1)。ノイズが加えられたアナログ信号は、量子化部2に送られる。
ここで、ノイズの強度とは、ノイズがある確率分布に従って発生するとして、その確率分布の広がりの大きさのことをいう。例えば、確率分布に分散σ2、標準偏差σが定義されている場合には、分散σ2、標準偏差σがノイズの強度となる。
この実施形態では、ノイズは正規分布N(0,σ2)に従って発生するものとし、ノイズの強度として標準偏差σを用いることにする。ノイズ付加部1は、まず予め定められた0に近い標準偏差σ1を選択して、正規分布N(0,σ1 2)に従ってノイズを発生させ、入力されるアナログ信号に発生させたノイズを加える。
後述する量子化部2の標本化において、各正規分布N(0,σi 2)に従って発生するノイズが加えられたサンプルが10個から10万個程度得られる時間の長さだけ、各正規分布N(0,σi 2)に従って発生するノイズがそれぞれアナログ信号に加えられる。
Iを任意の正の整数とし、閾値θiがθ1<θ2<…<θi<θi+1<…<θIとなるように予め定められており、閾値によって区切られた各区間に、区間を代表する離散値である代表値が予め定められているとする。例えば、区間(−∞,θ1],(θ1,θ2],…,(θi,θi+1],…,(θI,∞)にはそれぞれ代表値x0∈(−∞,θ1],x1∈(θ1,θ2],…,xi∈(θi,θi+1],…,xI∈(θI,∞)が定められているとする。
<ステップS3>
評価量計算部3は、所定の強度のノイズが加えられたアナログ信号についての、量子化部2における量子化の性能の高さを表す評価量を計算する(ステップS3)。計算された評価量は、記憶部4に記憶される。
記憶部4には、各強度のノイズが加えられたアナログ信号についての評価量が記憶される。
(1/J)・Σj=1 J|x(sj)−xi(sj)| …(1)
最適ノイズ強度決定部5は、記憶部4から読み込んだ評価量を比較して、量子化の性能を高くするノイズの強度を決定する(ステップS4)。最適ノイズ強度決定部5は、図2に例示するように、比較部51、決定部52を含む。
このように、閾値θi及び代表値xiを変更することができない信号量子化器においても、閾値θi及び代表値xiが最適化されていない場合には、入力されるアナログ信号に適切な強度のノイズを付加することにより、量子化の性能を高くすることができる。
比較部51(図2)において、第一評価量の方が第二評価量よりも高いと判定された場合には、ノイズ付加部1が、第二評価量に対応するノイズの強度よりも一段階低いノイズの強度と第二評価量に対応するノイズの強度よりも一段階高いノイズの強度とを含む範囲で、先にノイズの強度を増加させていったときの変化幅Δよりも細かい変化幅Δ’(Δ’<Δ)で順次強度が高いノイズを付加して、ステップS1からステップS4と同様の処理を行うステップA1(図F2)からステップA4の処理を繰り返すことにより、最適なノイズの強度の範囲の絞り込みを行ってもよい。ステップA1からステップA4はそれぞれステップS1からステップS4と同様であるため説明を省略する。
ノイズ付加部1は、予め定められたノイズの強度の範囲においてノイズの強度をランダムに順次所定の数K(Kは任意の自然数)だけ選択して、入力されるアナログ信号に各選択された強度のノイズを付加してもよい。この場合の量子化部2及び評価量計算部3の処理は上記と同様であるため説明を省略する。
図3に例示するように、ノイズ付加部1をノイズ付加装置10として、信号量子化装置の外部に配置しても良い。信号量子化装置からノイズ付加部1を除いたものを信号量子化装置11とする。信号量子化装置11は、ノイズ付加部1がノイズ付加装置10として外部に配置されている以外は、上述の信号量子化装置と同様である。信号量子化システムは、ノイズ付加装置10と信号量子化装置11とを含む。
入力されるアナログ信号は一様分布U[−1/2,1/2]に従うとし、付加されるノイズは正規分布N(0,σ2)に従うとする。また、閾値θ1=0.25,閾値θ2=0.5,閾値θ3=0.75、区間(−∞,0.25]の代表値は0.125、区間(0.25,0.5の代表値は0.375、区間(0.5,0.75]の代表値は0.625、区間(0.75,∞]の代表値は0.875とそれぞれ定められているとする。
この場合の、コンピュータを用いてシミュレーションしたノイズの強度σと評価量である平均二乗誤差との関係を図6に示す。
{0.1,0.139969}→{0.2,0.139215}→{0.3,0.136665}→{0.4,0.136316}→{0.5,0.141758}
σ=0.5のときに、第一評価量=0.141758>第二評価量=0.136316となり、この場合この発明により、第二評価量に対応するノイズの強度0.4よりも一段階低いノイズの強度0.3と、第二評価量に対応するノイズの強度0.4よりも一段階高いノイズの強度0.5との間に、すなわち区間(0.3,0.5)に最適なノイズの強度があると判断することができる。ここで、図6をみると、区間(0.3,0.5)に最適なノイズの強度があることが確認できる。
上記の実施形態では、ノイズ付加部1は、平均値が0である正規分布N(0,σ2)に従ってノイズを発生させたが、平均値が0以外の正規分布N(a,σ2)に従ってノイズを発生させて、入力されるアナログ信号に加えてもよい。aは任意の実数である。上記の例では、正規分布N(0,σ2)に従ってノイズを発生させたが、正規分布N(0,σ2)以外の確率分布に従ってノイズを発生させてもよい。例えば、ノイズの確率分布として、一様分布、コーシー分布等の分布を用いることができる。
(1/J)・Σj=1 J|x(sj)−xi(sj)|n …(2)
〔参考文献2〕坂和正敏(著),「非線形システムの最適化」,森北出版,1986年5月
これらの変形例は適宜組み合わせることが可能である。
また、上述の各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。
2 量子化部
3 評価量計算部
4 記憶部
5 最適ノイズ強度決定部
10 ノイズ付加装置
11 信号量子化装置
51 比較部
52 決定部
53 比較選択部
Claims (9)
- 入力されるアナログ信号に少なくとも2種類以上の強度のノイズのそれぞれを加えるノイズ付加部と、
各上記ノイズが加えられたアナログ信号を量子化する量子化部と、
各上記ノイズが加えられたアナログ信号についての上記量子化の性能の高さを表す評価量を計算する評価量計算部と、
上記評価量を比較して、上記量子化の性能を高くするノイズの強度を決定する最適ノイズ強度決定部と、
を含む信号量子化装置。 - 請求項1に記載の信号量子化装置において、
上記ノイズ付加部は、順次強度が高い又は低いノイズを付加する部であり、
上記最適ノイズ強度決定部は、ある強度のノイズが加えられたアナログ信号についての評価量(第一評価量とする。)と、その強度よりも一段階低い又は高い強度のノイズが加えられたアナログ信号についての評価量(第二評価量とする。)とを比較して、上記第一評価量の方が高ければ又は低ければ、上記第二評価量に対応するノイズの強度よりも一段階低い又は高いノイズの強度と上記第二評価量に対応するノイズの強度よりも一段階高い又は低いノイズの強度との間のノイズの強度を最適なノイズの強度として決定する部である、
ことを特徴とする信号量子化装置。 - 請求項2に記載の信号量子化装置において、
上記最適ノイズ強度決定部において第一評価量の方が高い又は低いと判断された場合には、上記ノイズ付加部は、上記第二評価量に対応するノイズの強度よりも一段階低い又は高いノイズの強度と上記第二評価量に対応するノイズの強度よりも一段階高い又は低いノイズの強度とを含む範囲で、先に付加したときよりも細かい幅で順次強度が高い又は低いノイズを付加し、
上記最適ノイズ強度決定部は、新たに求まった第一評価量の方が新たに求まった第二評価量よりも高ければ又は低ければ、その新たに求まった第二評価量に対応するノイズの強度よりも一段階低い又は高いノイズの強度とその新たに求まった第二評価量に対応するノイズの強度よりも一段階高い又は低いノイズの強度との間のノイズの強度を最適なノイズの強度として決定する部である、
ことを特徴とする信号量子化装置。 - 請求項1に記載の信号量子化装置において、
上記ノイズ付加部は、予め定められた範囲においてノイズの強度をランダムに順次所定の数K(Kは任意の自然数)だけ選択して、入力されるアナログ信号に各選択された強度のノイズを付加する部である、
ことを特徴とする信号量子化装置。 - 請求項4に記載の信号量子化装置において、
上記最適ノイズ強度決定部は、kを2以上の整数として、k回目に選択された強度のノイズが加えられたアナログ信号についての評価量(以下、第k評価量とする。)と、1回目に選択された強度のノイズが加えられたアナログ信号についての評価量又は前回選択された評価量とを比較して、上記量子化の性能を高くする評価量を上記比較した評価量のどちらかから選択する作業をK−1回繰り返して、最後に選択された評価量に対応する強度を最適なノイズの強度として決定する部である、
ことを特徴とする信号量子化装置。 - アナログ信号に少なくとも2種類以上の強度のノイズのそれぞれを加えるノイズ付加装置と、
各上記ノイズが加えられたアナログ信号を量子化する量子化部と、各上記ノイズが加えられたアナログ信号についての上記量子化の性能の高さを表す評価量を計算する評価量計算部と、上記評価量を比較して、上記量子化の性能を高くするノイズの強度を決定する最適ノイズ強度決定部とを含む信号量子化装置と、
を含む信号量子化システム。 - 入力されるアナログ信号に少なくとも2種類以上の強度のノイズのそれぞれを加えるノイズ付加ステップと、
各上記ノイズが加えられたアナログ信号を量子化する量子化ステップと、
各上記ノイズが加えられたアナログ信号についての上記量子化の性能の高さを表す評価量を計算する評価量計算ステップと、
上記評価量を比較して、上記量子化の性能を高くするノイズの強度を決定する最適ノイズ強度決定ステップと、
を含む信号量子化方法。 - 請求項1から5の何れかに記載の信号量子化装置の各部としてコンピュータを機能させるための信号量子化プログラム。
- 請求項8に記載の信号量子化プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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