JP4944054B2 - プライボンディング装置、及び衛生用紙の製造方法 - Google Patents

プライボンディング装置、及び衛生用紙の製造方法 Download PDF

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本発明は、複数枚のシートを重ねて剥がれないように型押しによるプライボンディング加工を行うプライボンディング装置、及びプライ剥がれの発生しにくい衛生用紙の製造方法に関する。
家庭やオフィス等で使用されるティシュペーパー等の衛生用紙は、一般には、複数枚のシートが一組とされて、箱等に収容されて販売される。また、衛生用紙であるロール状ペーパー製品には、トイレットペーパー、キッチンペーパー、ペーパータオル等、様々な種類があるが、一般に、1枚(1プライと言う)、2枚重ね(2プライと言う)、又は3枚重ね(3プライと言う)のシートを所定巻き長さで巻き取って形成され、通常は、複数個のロール状ペーパーが袋詰めされ店頭にて陳列販売される。
2プライや3プライの場合、重ね合わされたシートが剥がれないように、長手方向に沿って両端に、型押しによるプライボンディング加工が施されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
特開2003−180550号公報 特開2005−152078号公報 特開2006−271458号公報 特開2005−40620号公報 特開2007−143659号公報
しかしながら、型押しが弱すぎると、衛生用紙の使用時に、プライ剥がれが生じ、シートがばらばらになるという問題が発生していた。一方、接合強度を高めるために、型押しの圧力を高めると、シートに穴が開いて品質が低下するという問題があった。
また、従来は、シートを接合するためにクリンパホイールを2枚一組で加圧して、型押しを行っていた(図6参照)。このため、2枚のクリンパホイールの加圧方向(平行度)や加圧力を調整することが難しく、プライ剥がれや穴あきが頻繁に発生したり、必要以上の圧力を掛けるためにクリンパホイールが早期に劣化したりするという問題もあった。
本発明の課題は、プライ剥がれや穴あきの発生を抑制し、良好な型押しを施すことのできるプライボンディング装置、及びプライ剥がれの発生しにくい衛生用紙の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、プライボンディング装置が、複数のクリンパホイールを個別にレシービングロール側に加圧する加圧手段を備え、加圧手段が、シリンダの内部の第一室と第二室をそれぞれ別個に加圧してその圧力差を一定にすることによりクリンパホイールを加圧するように構成することにより、上記課題を解決しうることを見出した。すなわち、本発明により以下のプライボンディング装置、及びプライ剥がれの発生しにくい衛生用紙の製造方法が提供される。
[1] 回転可能なレシービングロールに対向配置され、外周面に凸部を有して回転可能に支持され、前記レシービングロールの外周面との間に、複数枚のシートを重ねた状態で走行させることにより、複数枚のシートを型押しにより接合するクリンパホイールと、複数の前記クリンパホイールを個別に前記レシービングロール側に加圧する加圧手段と、を備え、前記加圧手段は、前記クリンパホイールに連接されたピストンロッドを有するピストンと、前記ピストンを収納し、内部にて前記ピストンが摺動するシリンダと、前記シリンダの内部の前記ピストンによって隔たれた第一室と第二室を、それぞれ別個に加圧する第一加圧手段及び第二加圧手段と、前記第一室と前記第二室との圧力を、それぞれ別個に測定する第一圧力測定手段及び第二圧力測定手段と、前記第一圧力測定手段と前記第二圧力測定手段とによって測定される圧力の圧力差を一定に維持することによって、前記クリンパホイールの前記レシービングロール側への加圧力を維持する加圧維持手段と、を含むプライボンディング装置。
[2] 前記クリンパホイールは、前記シートを型押しすることにより、衛生用紙の幅方向の両端部を接合する位置に配置されている前記[1]に記載のプライボンディング装置。
[3] 前記加圧手段は、空気圧、油圧、水圧のいずれかにより前記ピストンを加圧する前記[1]または[2]に記載のプライボンディング装置。
[4] ピストンに連接され、外周面に凸部を有して回転可能に支持されたクリンパホイールを、前記ピストンが収容されるシリンダ内部の前記ピストンによって隔たれた第一室と第二室をそれぞれ別個に加圧し、前記第一室内と前記第二室内の圧力差を一定に維持することにより前記ピストンにて対向配置された回転可能なレシービングロール側に加圧し、前記クリンパホイールと前記レシービングロールとの間に、複数枚のシートを重ねた状態で走行させることにより、複数枚のシートを型押しにより接合する衛生用紙の製造方法。
本発明のプライボンディング装置は、複数のクリンパホイールを個別にレシービングロール側に加圧する加圧手段を備え、加圧手段は、シリンダの内部の第一室と第二室をそれぞれ別個に測定する第一圧力測定手段及び第二圧力測定手段と、加圧維持手段等を含む。このため、加圧維持手段によって、第一圧力測定手段と第二圧力測定手段との圧力差を一定に維持するように制御して、クリンパホイールの加圧力を一定に維持することができる。このような構成により、クリンパホイールの微調整が可能となり、過剰な加圧をクリンパホイールにしなくともプライボンディング加工を施し、プライ剥がれを防止することができ、クリンパホイールの寿命を向上させることができる。また、本発明の衛生用紙の製造方法によれば、プライ剥がれの発生しにくいプライボンディング加工を施すことができる。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
図1に示すように、本発明のプライボンディング装置1は、回転可能なレシービングロール21に対向配置されて回転可能に支持され、複数枚のシートを型押しにより接合するためのクリンパホイール2と、複数のクリンパホイール2を個別にレシービングロール21側に加圧する加圧手段と、を備える。複数枚のシート15が型押しされることによりプライボンディング加工が施され、接合される。プライボンディング加工とは、シート同士を密着させる処理をいい、例えば、エンボスの付与により行う。
クリンパホイール2は、外周面に多数の凸部2tを有している。クリンパホイール2の凸部2tは、複数枚のシートを接合するために型押しするためのものであり、外周面の凸部2tの形状は、特に限定されないが、線状、円形状、四角形状、メッシュ状等が挙げられる。また、クリンパホイール2は、単一の円盤形状として形成されている。
本発明のプライボンディング装置1は、クリンパホイール2が、幅方向に切断する前のシート15を型押しするために、シート(衛生用紙)15の幅方向のそれぞれのシート幅の両端部を接合する位置に、複数並べて配置されている(図4参照)。
加圧手段は、クリンパホイール2に連接されたピストンロッド3を有するピストン4と、ピストン4を収納し、内部にてピストン4が摺動するシリンダ5を含む。また、加圧手段は、シリンダ5内の、ピストン4によって隔たれた第一室5aと第二室5bを、それぞれ別個に加圧する第一加圧手段7a及び第二加圧手段7bと、第一室と第二室との圧力を、それぞれ別個に測定する第一圧力測定手段8a及び第二圧力測定手段8bとを含む。さらに、加圧手段は、第一圧力測定手段8aと第二圧力測定手段8bとの圧力差を一定に維持することによって、クリンパホイール2のレシービングロール21側への加圧力を維持する加圧維持手段9と、を含む。
図2にプライボンディング装置1の加圧手段を説明するための模式図を示す。第一加圧手段7a、第二加圧手段7bとしては、具体的には、空気圧縮機10、減圧弁11、バルブ12、スピードコントローラー13等が備えられている。空気圧縮機10とシリンダ5との経路上の減圧弁11により、減圧することができる。また、バルブ12の開閉により、シリンダ5側へ空気を送ることができる。さらに、スピードコントローラー13により、空気の流量の急激な変化を抑えることができる。そして、空気圧縮機10にて圧縮された空気によってシリンダ5内の、ピストン4によって隔たれた第一室5aと第二室5bに空気を供給しシリンダ内を加圧することができる。なお、加圧手段としては、空気圧以外に、油圧、水圧等を利用することも可能である。
第一圧力測定手段8a、第二圧力測定手段8bとしては、具体的には、圧力計が備えられており、第一室5aと第二室5bの空気圧を個別に測定することができる。
加圧維持手段9は、信号入出力部を有し、第一加圧手段7a、第一圧力測定手段8a、及び第二加圧手段7b、第二圧力測定手段8bと接続されている。そして、第一圧力測定手段8a、第二圧力測定手段8bによって測定された第一室5aと第二室5bの空気圧は、加圧維持手段9に入力される。また、加圧維持手段9は、例えば、コンピュータによって構成された制御部を有する制御装置であり、第一室5a及び第二室5bの空気圧の差が所定の圧力差となるように、第一加圧手段7a及び第二加圧手段7bを制御する。油圧、水圧等を利用した場合にも、同様に制御することが可能である。また、加圧維持手段9は、上記のように自動制御とすることができるが、圧力計の測定値を基に手動制御で行うことも可能である。
図2に示すようにプライボンディング装置1は、シリンダ5内にてピストン4が摺動するように構成されているが、シリンダ5の内壁とピストン4との間には、パッキンの劣化等に伴いわずかな隙間が存在するようになる(図2は、誇張して描かれている)。第一加圧手段7a、第一圧力測定手段8aのみを備え、第二加圧手段7b、第二圧力測定手段8bを備えない場合は、第一室5aから第二室5bへの漏れに関係なく、第一加圧手段7aによってピストン4を加圧することになる。このような場合、押し付けの圧力が不均一になりやすく、圧力が十分にかからない場合もある。圧力が十分にかからない場合、シートの型押しによるプライボンディング加工が不十分となり、プライ剥がれが起こりやすくなる。一方、圧力をかけすぎると、クリンパホイール2の寿命を縮めることになる。
本発明のプライボンディング装置1は、第一室5aを加圧する第一加圧手段7a、測定する第一圧力測定手段8aに加え、第二室5bを加圧する第二加圧手段7b、測定する第二圧力測定手段8bを備え、さらに、第一室5a及び第二室5bの空気圧の差を一定の圧力差となるように、第一加圧手段7a及び第二加圧手段7bを制御する加圧維持手段9を備える。このため、第一室5aと第二室5bとの空気圧の差を一定の範囲内に維持することにより、クリンパホイール2の加圧の微調整が可能である。この微調整によって、シート15を十分に型押ししてプライボンディング加工し、プライ剥がれを防止することができ、また、クリンパホイール2を過剰に加圧しないため、クリンパホイール2の寿命を延ばすことができる。
一方、従来は、図6に示すように、2枚のクリンパホイール2が連結してピストン4に接続されていた。このため、2枚のクリンパホイール2の平行度を調整することが難しく、一方の加圧が不足して、プライ剥がれが頻繁に発生していた。或いは、プライ剥がれを防止するために加圧力を強くすると、クリンパホイール2の寿命を縮めることになっていた。本発明のプライボンディング装置1は、図1に示すように、クリンパホール2を個別に加圧し、また、シリンダ5内の第一室5aと第二室5bとをそれぞれ圧力測定して、その圧力差が所定の範囲内になるように加圧するため、プライ剥がれを防止しつつ、クリンパホイール2の寿命を延ばすことができる。
図3及び図4を用いて本発明のプライボンディング装置1を使用した衛生用紙の製造方法を説明する。図3に示すように、1プライの原紙ロール23から繰り出されたシート15が、例えば2枚重ねられて搬送される。2枚重ねられたシート15は、本発明のプライボンディング装置1のクリンパホイール2とレシービングロール21との間を通過するように構成されている。そして、前述のように、シリンダ5内の第一室5aと第二室5bをそれぞれ別個に加圧し、第一室5a内と第二室5b内の圧力差を一定に維持して、クリンパホイール2をレシービングロール21側に加圧し、クリンパホイール2とレシービングロール21との間に、2枚(複数枚)のシート15を重ねた状態で走行させることにより、2枚(複数枚)のシート15を接合する。つまり、図4に示すように、クリンパホイール2とレシービングロール21との間をシート15が通過すると、これらによって型押しされて、シート幅の両端にエンボス17が形成されて、プライボンディングされ、重ねられたシート15のプライ剥がれが防止される。次に、切断装置25とロール26との間を通過することにより、所定のシート幅に切断されて切れ目18が形成され、その後、図5Aに示すようなプライボンディング加工を施したティシュペーパー19を製造することができる。または、同様にして、巻き取ることにより、図5Bに示すようなロール状ペーパー16を製造することもできる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(従来例)
図6に示すプライボンディング装置1によって2プライのティシュペーパーを作製した。プライ剥がれを防止するためには、プライボンディング加工におけるクリンパホイール2の圧力は、約70kg/cm(線圧)とする必要があった。また、シリンダ5内の加圧力は、0.05MPaきざみで制御可能であった。このため、クリンパホイール2の寿命は、約1年程度であった。また、プライボンディング加工の合格率(プライ剥がれが発生しない割合)は、約60%だった。
(実施例)
図1に示すプライボンディング装置1によって、2プライのティシュペーパーを作製した。プライボンディング加工におけるクリンパホイールの加圧力が20〜23kg/cm(線圧)となるように、第一室5aを1.20MPa、第二室5bを1.10MPa(差圧0.10MPa)に圧力調整し、十分にプライ剥がれを防止することができた。この加圧方式を採用することにより、第一室5aと第二室5bとの圧力差を、0.01MPa刻みの細かい精度で調整することが可能となり、従来より大幅に低い加圧力でも安定したプライボンディング加工が可能になったため、クリンパホイール2の寿命を約7倍(7年程度)とすることができた。また、プライボンディング加工の合格率も、95%以上となった。
以上のように、クリンパホイール2を個別に制御し、シリンダ5内のピストン4によって隔たれた第一室5aと第二室5bとの圧力差を一定の範囲としつつ加圧することにより、プライ剥がれを防止し、クリンパホイール2の寿命を延ばすことができた。
本発明のプライボンディング装置は、2プライ以上の衛生用紙(例えば、ティシュペーパー、トイレットペーパー、キッチンペーパー、ペーパータオル等)のシートの剥がれ(プライ剥がれ)を防止するためにプライボンディング加工を行うためのプライボンディング装置として使用することができる。
本発明のプライボンディング装置を示す模式図である。 加圧手段を説明するための模式図である。 衛生用紙の製造方法を説明するための模式図である。 衛生用紙の製造工程におけるエンボスと切断を説明するための模式図である。 本発明のプライボンディング装置を用いて製造されたティシュペーパーの一実施形態を示す斜視図である。 本発明のプライボンディング装置を用いて製造されたロール状ペーパーの一実施形態を示す斜視図である。 従来のプライボンディング装置を示す模式図である。
符号の説明
1:プライボンディング装置、2:クリンパホイール、2t:凸部、3:ピストンロッド、4:ピストン、5:シリンダ、5a:第一室、5b:第二室、7a:第一加圧手段、7b:第二加圧手段、8a:第一圧力測定手段、8b:第二圧力測定手段、9:加圧維持手段、10:空気圧縮機、11:減圧弁、12:バルブ、13:スピードコントローラー、15:シート、16:ロール状ペーパー、17:エンボス、18:切れ目、19:ティシュペーパー、21:レシービングロール、23:原紙ロール、25:切断装置、26:ロール。

Claims (4)

  1. 回転可能なレシービングロールに対向配置され、外周面に凸部を有して回転可能に支持され、前記レシービングロールの外周面との間に、複数枚のシートを重ねた状態で走行させることにより、複数枚のシートを型押しにより接合するクリンパホイールと、
    複数の前記クリンパホイールを個別に前記レシービングロール側に加圧する加圧手段と、を備え、
    前記加圧手段は、前記クリンパホイールに連接されたピストンロッドを有するピストンと、
    前記ピストンを収納し、内部にて前記ピストンが摺動するシリンダと、
    前記シリンダの内部の前記ピストンによって隔たれた第一室と第二室を、それぞれ別個に加圧する第一加圧手段及び第二加圧手段と、
    前記第一室と前記第二室との圧力を、それぞれ別個に測定する第一圧力測定手段及び第二圧力測定手段と、
    前記第一圧力測定手段と前記第二圧力測定手段とによって測定される圧力の圧力差を一定に維持することによって、前記クリンパホイールの前記レシービングロール側への加圧力を維持する加圧維持手段と、を含むプライボンディング装置。
  2. 前記クリンパホイールは、前記シートを型押しすることにより、衛生用紙の幅方向の両端部を接合する位置に配置されている請求項1に記載のプライボンディング装置。
  3. 前記加圧手段は、空気圧、油圧、水圧のいずれかにより前記ピストンを加圧する請求項1または2に記載のプライボンディング装置。
  4. ピストンに連接され、外周面に凸部を有して回転可能に支持されたクリンパホイールを、前記ピストンが収容されるシリンダ内部の前記ピストンによって隔たれた第一室と第二室をそれぞれ別個に加圧し、前記第一室内と前記第二室内の圧力差を一定に維持することにより前記ピストンにて対向配置された回転可能なレシービングロール側に加圧し、前記クリンパホイールと前記レシービングロールとの間に、複数枚のシートを重ねた状態で走行させることにより、複数枚のシートを型押しにより接合する衛生用紙の製造方法。
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