JP4943358B2 - 粉粒体処理システム及び粉粒体処理方法 - Google Patents

粉粒体処理システム及び粉粒体処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、粗大物が混入した粉粒状の処理対象物を洗浄して該処理対象物に混入する障害物質を除去する粉粒体処理システム及び粉粒体処理方法に関する。
金属類、ガラ類(石やガラス片等)さらには有機質材(ゴム、プラスチック、紙、繊維、木片等)といった粗大物が混入した灰や土壌等の粉粒体を資源化して再利用する場合、粗大物を分離除去するとともに資源化に障害となる様々な水溶性成分や重金属等の障害物質を除去する必要がある。
例えば、一般に都市ゴミ焼却施設等で発生した焼却灰等の焼却残渣をセメント原料として再利用する場合には、焼却残渣から金属類、ガラ類、有機質材等の粗大物を分離除去するとともに、焼却灰に付着した塩分等を除去する必要がある。
また、雑多な廃棄物が不法投棄された汚染土壌を浄化して再利用する場合には、土壌を掘削して金属類、ガラ類、有機質材等の粗大物を分離除去するとともに、土砂に付着した重金属等の有害成分を除去する必要がある。
従来からこのような処理対象物に対しては、磁選機や振動篩で粗大物を除去した後に、粉粒体を水で洗浄する方法が採用されていたが、処理対象物の含水量が多いと金属類に粉粒体が付着するために磁選機で良好に選別できず、振動篩の篩目が有機質材で閉塞されるために頻繁にメンテナンスが必要になるといった問題があり、また、選別された粗大物に付着した粉粒体を別工程で洗浄しなければならず、設備が増えるばかりか、洗浄のための水量が増し、洗浄装置の後段に大型の排水処理設備を設置しなければならないという問題があった。
そこで、特許文献1には、都市ごみ焼却灰中からステンレス等の異物と、含まれる塩素分とを同時に除去することを目的として、水槽内の水中に保持された都市ごみ焼却灰を上下に躍動させて、この都市ごみ焼却灰中の塩素分を水洗すると同時に、比重の差を利用した比重選別により、この都市ごみ焼却灰のうち、比較的比重の小さい灰成分を分離する一方、比較的比重の大きな金属類成分を除去する都市ごみ焼却灰の塩素及び金属類等の除去方法が提案されている。
また、特許文献2には、焼却灰から粗粒子と微粒子を速やかに分離し、微粒子には充分に時間と適当な攪拌を与えて脱塩作用を完結させる灰の洗浄処理方法として、2段以上の複数の機械式湿式分級機を直列に設置し、前段の分級機に焼却灰を入れ後段の分級機に洗浄水を加えて洗浄脱水作用と粒子分級作用をしながら、焼却灰は前段から後段へ水は後段から前段へ向流的に接触移動させ、粗粒の焼却灰は後段から系外に取り出し、微粒の焼却灰を含んだ洗浄液は前段から取り出し、その後、洗浄液と微粒とを分離させ脱塩された焼却灰と含塩洗浄液を得る灰の洗浄処理方法が提案されている。
特開平11−90408号公報 特開2003−80199号公報
しかし、特許文献1に記載されたような比重選別方法を採用する場合、様々な粒径分布を有する焼却灰や土壌では、粒径によって塩類や重金属等の障害物質の汚染濃度が異なるため、同一の水槽内で均一に洗浄するのは極めて困難である。
一方、特許文献2に記載された洗浄処理方法では、洗浄のための水量が増し、洗浄装置の後段に大型の排水処理設備を設置しなければならないという問題が解消されるものではない。
本発明は上述した問題点に鑑み、設備を簡素化して洗浄水量を低減しながらも、処理対象物を効率的に分級洗浄することができる粉粒体処理システム及び粉粒体処理方法を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明による粉粒体処理システムの第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、洗浄水が充填されたU字管形状の脈動洗浄槽と、前記脈動洗浄槽の他方の開口部から洗浄水を脈動させる脈動発生装置と、脈動する上層の洗浄水を排水する溢流堰とを備え、前記脈動洗浄槽に投入された粉粒体を洗浄しながら沈降速度差によって微粒物と微粒物より粒径が大きい中粒物とに分級し、相対的に汚染度の高い微粒物を前記溢流堰から搬出するとともに、相対的に汚染度の低い中粒物を沈降させ、沈降した中粒物を水切り状態で搬出する搬出部を備えたジグ選別装置で構成されている湿式選別手段と、前記微粒物を再洗浄する第一の再洗浄手段と、前記中粒物を再洗浄する第二の再洗浄手段と、前記第一の再洗浄手段から排出された相対的に汚染度の高い洗浄排水を前記湿式選別手段へ返送する第一の循環経路と、前記第一の循環経路と縁切りされ、前記第二の再洗浄手段から排出された相対的に汚染度の低い洗浄排水を前記第二の再洗浄手段へ返送する第二の循環経路を備え、それぞれの循環経路を介して返送された洗浄排水を洗浄水として再利用する点にある。
脈動洗浄槽に投入された粉粒体は、上下に脈動する洗浄水の脈動により洗浄されながら分散し、粒径の大きな中粒物の沈降速度よりも遅い粒径の小さな微粒物との間で二層に分離する。上層の微粒物が溢流堰から洗浄水の一部とともに流出し、粒径の大きな中粒物画槽内に沈降することにより分級される。
このような湿式選別手段により分級された障害物質の含有量の多い微粒物が第一の再洗浄手段により再洗浄され、微粒物よりも障害物質の含有量が少なく、湿式選別手段から水切りされた中粒物が第二の再洗浄手段により再洗浄される。このとき、第一の再洗浄手段から排出された障害物質の濃度が高い洗浄排水が第一の循環経路を介して湿式選別手段へ返送されて洗浄水として再利用され、第二の再洗浄手段から排出された障害物質の濃度が比較的低い洗浄排水が第二の循環経路を介して第二の再洗浄手段へ返送されて洗浄水として再利用されるので、第二の循環経路では障害物質の濃度が比較的低い洗浄排水で障害物質の含有量が少ない中粒物が洗浄されるようになり、洗浄排水を効率的に再利用し洗浄効果を高めることが可能となる。
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、前記第二の循環経路に新たな洗浄水を供給し、前記第二の再洗浄手段から排出された洗浄排水の一部を貯留槽に貯留し、前記貯留槽に貯留された貯留水を前記第一の循環経路に供給する洗浄水供給経路を設けている点にある。
第二の再洗浄工程における相対的に汚染濃度の低い再洗浄水の一部が、貯留槽を介して湿式選別工程に戻されて、相対的に汚染濃度の高い第一の再洗浄工程における再洗浄水として有効に利用され、相対的に汚染濃度が低い洗浄水が循環される第二の循環経路にクリーンな洗浄水が追加供給されるようになる。
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第二特徴構成に加えて、前記第二の再洗浄手段に混入した微粒物を、前記洗浄水供給経路を介して前記湿式選別手段に戻す点にある。
第二の再洗浄手段からの洗浄排水には湿式選別手段で十分に分離されなかった微粒物が含まれており、このような微粒物は第二循環経路を経て、再度、湿式選別手段で分級されるようになる。
発明による粉粒体処理方法の第一の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、充填された洗浄水が上下に脈動する脈動洗浄槽に投入された粉粒体を洗浄しながら、沈降速度差によって粉粒体を相対的に汚染度の高い微粒物と微粒物より粒径が大きい相対的に汚染度の低い中粒物とに分級する分級工程を含む湿式選別工程と、前記微粒物を再洗浄する第一の再洗浄工程と、洗浄水が水切りされた前記中粒物を再洗浄する第二の再洗浄工程と、前記第一の再洗浄工程で排出された相対的に汚染度の高い洗浄排水を前記湿式選別工程の洗浄水として返送するとともに、前記第一の再洗浄工程とは縁切りした状態で前記第二の再洗浄工程で排出された相対的に汚染度の低い洗浄排水を前記第二の再洗浄工程の洗浄水として返送し、それぞれの洗浄排水を洗浄水として再利用する点にある。
同第二の特徴構成は、同請求項に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、前記第二の再洗浄工程で新たな洗浄水を供給し、前記第二の再洗浄工程で排出された洗浄排水の一部を貯留槽に貯留し、当該貯留槽に貯留された貯留水を前記湿式選別工程に供給する点にある。
同第三の特徴構成は、同請求項に記載した通り、上述の第特徴構成に加えて、前記第二の再洗浄工程に混入した微粒物を、前記第二の再洗浄工程で排出された洗浄排水の一部とともに前記湿式選別工程に戻す点にある。
以上説明した通り、本発明によれば、設備を簡素化して洗浄水量を低減しながらも、処理対象物である粉粒体から水溶性成分や重金属等の障害物質を効率的に除去することができる粉粒体処理システム及び粉粒体処理方法を提供することができるようになった。
以下に、粗大物が混入した粉粒状の処理対象物を洗浄して該処理対象物に混入する障害物質を除去する粉粒体処理システム及び粉粒体処理方法を、図面に基づいて説明する。ここでは、金属類、ガラ類(石やガラス片等)さらには有機質材(ゴム、プラスチック、紙、繊維、木片等)といった粗大物が混入した焼却灰を処理対象物とする場合を説明する。
焼却灰はその粒径により塩素含有量が異なり、粒径が小さいほど塩素含有量が多く、本粉粒体処理システムでは、塩素含有量に基づいて粒径2mm以上の粗粒物(以下、「粗粒灰」とも記す。)と、粒径0.15mm〜2mmの細粒物(以下、「細粒灰」とも記す。)と、0.15mmより小径の微粒物(以下、「微粒灰」とも記す。)に分級し、夫々において洗浄条件を変えることで効率的に脱塩素処理が行なわれる。
図4に示すように、粉粒体処理システム1は、処理対象物を洗浄しながら粗大物と粉粒体とに選別するとともに粉粒体を微粒物と微粒物より粒径が大きい中粒物に分級する湿式選別手段2と、湿式選別手段2で分級された微粒物を再洗浄する第一の再洗浄手段4と、湿式選別手段2で分級された中粒物を再洗浄する第二の再洗浄手段6を備えている。
さらに、第一の再洗浄手段4から排出された洗浄排水を前記湿式選別手段2へ返送する第一の循環経路8と、第二の再洗浄手段6から排出された洗浄排水を第二の再洗浄手段へ返送する第二の循環経路9を備え、それぞれの循環経路を介して返送された洗浄排水を洗浄水として再利用するように構成されている。
図1から図3に示すように、湿式選別手段2は、洗浄水が充填され底部が傾斜した平面視矩形の洗浄水槽20と、一方の上部開口が洗浄水槽20と連通し、他方の開口に脈動発生装置30が設けられたU字管形状の脈動洗浄槽21と、脈動洗浄槽21の一方の開口及び洗浄水槽20の傾斜底部に沿って配置され、プーリー22a,22b,22cによって回転支持された網目状の搬送面を備えたコンベアベルト22と、コンベアベルト22の回転方向に沿って複数設けられ、コンベアベルト22の回転方向とは逆方向に向けて水流を形成する水噴射ノズル23a、23b、23c、23dを備えたジグ選別装置で構成されている。
脈動発生装置30は、脈動洗浄槽21の他方の開口の水面近傍からベローズ37、ロッド32を介してプランジャ31を上下動させるために連結されたエキセントリックシーブ33を備え、エキセントリックシーブ33の回転軸を回転駆動するモータ34を備えている。
インバータ装置によりモータ34の回転数が調整され、モータ34の回転に伴なってベローズ37が伸縮作動されることにより、脈動洗浄槽21を介して洗浄水槽20内の水が上下方向に脈動する。
脈動発生装置30は、上下動するプランジャ31のストローク長を調整するストローク長調整機構(図示せず)を備え、脈動する液面の高さを変更することができる。
前記ストローク長調整機構としては、プランジャ31の取付け位置を上下方向に調整する機構、ロッド32の長さを調整する機構、ロッド32のエキセントリックシーブ33に取付ける位置を直径方向に調整する機構を用いることができる。
脈動洗浄槽21は、コンベアベルト22の延出方向に沿って三分割され、夫々に異なる偏心位置で回転軸35が取付けられたエキセントリックシーブ33が配され、位相が異なる脈動が付与される。
ベルトコンベア装置36によって湿式選別手段2に搬送された処理対象物は、振動フィーダ24により洗浄水槽20に投入され、脈動洗浄槽21による洗浄水の上下方向の脈動により分散されて、灰に混入した粗大物のうち比重の大きな金属類、ガラ類(石やガラス片等)は洗浄水によって付着した灰が除去された後にコンベアベルト22によって粗大物搬出口25から排出され、比重の小さな有機質材(ゴム、プラスチック、紙、繊維、木片等)は水面に浮上して水噴射ノズル23a、23b、23c、23dによる水流に従って溢流堰26から排水樋27に流出する。即ち、湿式選別手段2では、粗大物が、比重差によって粗大物を比重の大きい粗大物と比重の小さい粗大物に選別される比重選別工程が実行される。
また、洗浄水槽20に投入された灰は、脈動洗浄槽21による洗浄水の上下方向の脈動により分散され、沈降速度が大きく上方向の脈流に抗して沈降する中粒灰(粗粒灰と細粒灰)は水槽内に沈降し、沈降速度の小さい微粒灰は水噴射ノズル23a、23b、23c、23dによる水流に従って洗浄水中を浮遊して溢流堰26から排水樋27に流出する。即ち、湿式選別手段2では、粉粒体である灰が、沈降速度差によって微粒灰と微粒灰より粒径が大きい中粒灰とに分級される分級工程が実行される。
このような比重選別工程及び分級工程の過程で、粗大物や粉粒体に付着した塩分等の障害物質が洗浄除去される。つまり、図5(a)に示すように、粉粒体処理システムは、処理対象物を洗浄しながら粗大物と粉粒体とに選別するとともに粉粒体を二以上の群に分級する。また、図5(b)に示すように、湿式選別手段は、比重差によって粗大物を比重の大きい粗大物と比重の小さい粗大物に選別し、沈降速度差によって粉粒体を微粒物と微粒物より粒径が大きい中粒物とに分級する。
粗大物搬出口25から排出された金属類、ガラ類は、磁選機等の金属回収部10によって金属とガラ類に分離して回収され、排水樋27に流出した溢流水は、水切りスクリーン28によって有機質材が除去された後に微粒灰とともに第一の再洗浄手段4に送られる。この時、水切りスクリーン28部では、洗浄水を噴霧して有機質材を洗浄してもよい。
脈動洗浄槽21の底部に形成した開口から洗浄水槽20の底部に沈降した中粒灰は、側部または底部に複数の小径の開口を形成したバケット29aが無限軌道に沿って複数並設されたバケットコンベア機構29によって水切りされながら槽外に搬出され、第二の再洗浄手段6によってさらに洗浄処理される。
第一の再洗浄手段4は、水切りスクリーン28を経た溢流水が必要に応じて設けた中継槽40に蓄積され、攪拌ポンプにより濃度を均一に攪拌され、溢流水に含まれる微粒灰がポンプにより濃縮装置42としてのシックナーに送られて濃縮される。尚、濃縮装置42として、湿式サイクロン、ベルト濃縮機、遠心濃縮機等の公知の装置を用いることもできる。また、中継槽40には硫酸バンド等の凝集剤、pH調整剤、キレート剤等の薬品41を添加してもよい。
前記濃縮された微粒灰は、シックナーの底部から引き抜かれ、中継槽43に送られて給水槽101から供給される新たな洗浄水で攪拌洗浄され、その後、脱水洗浄装置44で脱水洗浄されセメント原料に供される。尚、中継槽43を設けることなく、シックナーで濃縮された微粒灰を直接脱水洗浄装置44へ送り、洗浄水を注入しながら脱水してもよい。このような脱水洗浄装置44として、フィルタプレス、遠心分離脱水機、ベルト式脱水機等を用いることができる。洗浄水の供給量は、シックナーの上澄み液の塩分濃度に応じて調整され、塩分濃度が高ければ洗浄水の供給量が増加される。
尚、濃縮装置42を設けず、微粒灰を中継槽40から直接脱水洗浄装置44へ送ってもよい。
脱水洗浄装置44からの洗浄排水は中継槽45に排水され、最終的に貯留槽46に貯水される。
貯留槽46には高さが異なる二枚の堰で三室に区分され、高い方の堰を溢れた排水が最終の貯留槽47に貯水され、水処理装置で浄化処理された後に系外に排水される。
濃縮装置42及び脱水洗浄装置44によって分離され貯留槽46に貯水された洗浄排水はポンプによって第一の循環経路8を介して湿式選別手段2へ返送され、水噴射ノズル23a、23b、23c、23dを介して洗浄水槽20に再洗浄水として利用される。
また、濃縮装置42によって分離された洗浄排水は、障害物質の濃度が高いので、優先的に系外へ排出するため、貯留槽46を介さず貯留槽47へ送り、洗浄水が不足した場合のみ貯留槽46へ送り再洗浄水として利用する構成であってもよい。
尚、第一の循環経路8から供給される再洗浄水を、水噴射ノズル23a、23b、23c、23dを介して供給するルートとは別に、脈動洗浄槽21のプランジャ31の下部に設けた注水部21aから供給するルートを備え、各ルートを介した再洗浄水の供給比率を調整するように構成してもよい。注水部21aから供給する比率を調整し、脈動洗浄槽21の上昇流の速度を調整することによって、粉粒体の沈降速度を制御して分級する粒径を設定することができる。
微粒灰の塩分含有量は、中粒灰の塩分含有量よりも多く、第一の再洗浄手段4からの洗浄排水の塩分含有量は第二の再洗浄手段6の洗浄排水よりも高いため、第二の再洗浄手段6とは分離して湿式選別手段2へ返送するのである。
このようにして、湿式選別手段2及び第一の再洗浄手段4では、塩分濃度が高い洗浄排水で洗浄処理されるが、濃縮装置42を経ることにより脱水洗浄装置44に供給される新たな洗浄水(リンス水)の量は極めて僅かに抑えることができる。
第二の再洗浄手段6は、バケットコンベア機構29によって槽外に搬出された中粒灰を粗粒灰と細粒灰に分級する分級装置61と、分級装置61で分級された細粒物を再洗浄する洗浄装置62を備えている。分級装置61は湿式の振動篩装置で構成され、バケットコンベア機構29からシュート60を介して落下供給される。尚、分級装置61として、スクリーン装置を用いることができる。
シュート60及び分級装置61には、第二の循環経路9を介して循環供給された塩分濃度が低い洗浄排水が噴霧供給されるとともに、分級装置61の下流側では給水槽101から新たな洗浄水が噴霧供給され、分級された粗粒灰はそのまま水切りしてセメント原料として供される。粒径が大きな粗粒灰には付着塩類が僅かであるため、それほど洗浄する必要が無いのである。
洗浄装置62は、分級装置61を経た細粒物及び洗浄排水を貯留する中継槽63と、中継槽63で再度攪拌洗浄された細粒灰を固液分離する固液分離機64としての湿式サイクロンと、湿式サイクロンで固液分離された細粒灰を洗浄する洗浄槽65を備えている。
灰沈降槽で沈降した細粒灰は、灰掻揚げコンベア66で搬出されながら給水槽101から供給される新たな洗浄水(リンス水)で濯がれて水切りされた後にセメント材料として供される。尚、洗浄槽65の溢流水は中継槽63に循環供給される。
湿式サイクロンで分離された洗浄排水は、洗浄水として上述したシュート60及び分級装置61に循環供給され、余剰の洗浄排水が貯留槽100に貯水された後に、湿式選別手段2の洗浄水として供給される。湿式サイクロンで分離された洗浄排水には湿式選別手段2で十分に分離されなかった微粒灰が含まれており、このような微粒灰は第二循環経路9を経て、再度、湿式選別手段2で分級される。尚、固液分離機64は湿式サイクロンに限られるものではなく、公知の脱水機、沈殿槽等により細粒灰と洗浄排水を分離する構成であってもよい。
第二の循環経路9は、洗浄槽65からの洗浄排水を中継槽63へ返送する循環経路91と、固液分離機64の排水を分級装置61へ返送する循環経路92を備えている。
つまり、本発明による粉粒体処理システムは、図5(c)に示すように、微粒物を再洗浄する第一の再洗浄手段と、中粒物を再洗浄する第二の再洗浄手段と、第一の再洗浄手段から排出された洗浄排水を湿式選別手段へ返送する第一の循環経路と、第二の再洗浄手段から排出された洗浄排水を第二の再洗浄手段へ返送する第二の循環経路を備え、それぞれの循環経路を介して返送された洗浄排水を洗浄水として再利用する。
また、図5(d)に示すように、第一の再洗浄手段は、微粒物を濃縮する濃縮装置と、濃縮装置によって濃縮された微粒物を洗浄脱水する洗浄脱水装置を備え、濃縮装置によって分離された分離液を第一の循環経路を介して湿式選別手段へ返送する。
さらに、図6(a)に示すように、第二の再洗浄手段は、中粒物を粗粒物と細粒物に分級する分級装置と、分級された細粒物を再洗浄する洗浄装置を備えている。
また、図6(b)に示すように、洗浄装置は、細粒物の中継槽と、再洗浄された細粒物を固液分離する固液分離機と、固液分離された細粒物を洗浄する洗浄槽とを備え、第二の循環経路は洗浄槽からの洗浄排水を中継槽へ返送する循環経路と、固液分離機の排水を前記分級装置へ返送する循環経路を備えている。
本実施形態では、中継槽63と固液分離機64が一段で構成される場合を示しているが、中継槽63と固液分離機を二段以上の複数段直列に配置するものであってもよく、その場合には、図7に示すように、第二の循環経路は後段の固液分離機の排水を前段の固液分離機の直前の中継槽へ移送する循環経路と、洗浄槽の排水を洗浄槽の直前の中継槽へ移送する循環経路と、一段目の固液分離機の排水を分級装置へ返送する循環経路を備えていることが好ましい。
以上説明したように、本発明による粉粒体処理システムでは、粗大物が混入した粒状の処理対象物を洗浄して該処理対象物に混入する障害物質を除去するために、湿式選別工程により処理対象物を洗浄しながら粗大物と粉粒体とに選別するとともに粉粒体を二以上の群に分級する粉粒体処理方法が実行され、湿式選別工程は、比重差によって粗大物を比重の大きい粗大物と比重の小さい粗大物に選別する比重選別工程と、沈降速度差によって粉粒体を微粒物と微粒物より粒径が大きい中粒物とに分級する分級工程が実行される。
また、微粒物を再洗浄する第一の再洗浄工程と、中粒物を再洗浄する第二の再洗浄工程と、第一の再洗浄工程で排出された洗浄排水を湿式選別工程の洗浄水として返送するとともに、第二の再洗浄工程で排出された洗浄排水を第二の再洗浄工程の洗浄水として返送し、それぞれの洗浄排水を洗浄水として再利用される。
そして、第二の再洗浄工程における再洗浄水の一部が湿式選別工程に戻されて、第一の再洗浄工程における再洗浄水として有効に利用される。従って、設備を簡素化して洗浄水量を低減しながらも、処理対象物に混在する粗大物を洗浄分離除去し、洗浄排水の循環経路を二系統に分離することで、粉粒体から水溶性成分や重金属等の障害物質を効率的に除去することができるようになる。
以上説明した実施形態では、金属類、ガラ類、さらには有機質材といった粗大物が混入した焼却灰を処理対象物とする粉粒体処理システム及び粉粒体処理システムを説明したが、本発明による粉粒体処理システム及び粉粒体処理システムの処理対象物は焼却灰に限るものではなく、不法投棄された埋立土壌等、重金属類等により汚染された土壌であって、上述したような粗大物が混入した土壌の粉粒体を資源化して再利用する場合にも適用が可能である。この場合、本発明により土砂から重金属類の汚染物質が洗浄除去される。
また、上述した実施形態では、湿式選別手段がジグ選別装置で構成されるものを説明したが、このような湿式選別手段に限るものではなく、図8及び図9に示すような湿式選別手段であってもよい。
詳述すると、湿式選別手段は、傾斜壁面71に沿ってメッシュコンベア72が配置された洗浄水槽7を、メッシュコンベア72の下端部から垂直方向に延出するように配置されたバースクリーン73によって紙面右方の選別槽7aと、紙面左方の分級槽7bに領域分離されている。
選別槽7aではメッシュコンベア72側の上方から投入される処理対象物のうち比重の大きな粗大物をメッシュコンベア72で槽外に選別排出するとともに、バースクリーン73で捕捉された比重の小さな粗大物を槽外に掻上げ排出する掻上げレーキ76が無限軌道に沿って配置された掻上げ装置75により槽外に選別排出する。
掻上げレーキ76は、スプロケット75aに巻回された無端チェーン75bのリンクプレートに取付けたサポートを介してチェーン75bに取付けられ、掻上げレーキ76の端部がバースクリーン73の開口部を貫通して延び、ゴムや樹脂等の比重の小さな粗大物を掻き上げるように構成されている。
メッシュコンベア72の上方には比重の小さな粗大物がメッシュコンベア72で排出されないように、メッシュスクリーン74が水面から突出するように配置されている。
メッシュコンベア72には、裏面から搬送面上に向けて散気する散気ノズル77が設けられ、投入された処理対象物のうち粉粒体は散気により沈降しない程度に攪拌されながら洗浄される。このような散気により、洗浄水槽7に充填された洗浄水の上層では紙面右から左に向けて水が流れるように調整されている。
バースクリーン73を通過した粉粒体は分級槽7bで微粒物と中粒物に分級される。つまり、沈降速度の小さい微粒物は溢流部79から上澄水とともに排出され、沈降速度の大きい中粒物は沈殿して洗浄水槽7の底部に設けた引抜部78から排出される。
メッシュコンベア72及び掻上げ装置75の上方から選別された粗大物に洗浄水が供給されて洗浄されるとともに、溢流部79から溢流した洗浄水が追加供給される。
このような湿式選別手段により、比重差によって粗大物が比重の大きい粗大物と比重の小さい粗大物に選別され、沈降速度差によって粉粒体が微粒物と微粒物より粒径が大きい中粒物とに分級されるようになる。
以上説明した粉粒体処理システムの構成要素となる湿式選別手段、第一の再洗浄手段、第二の再洗浄手段等の具体的構成は実施形態の記載に限定されるものではなく、本発明による作用効果を奏する範囲において適宜変更設計可能であることはいうまでもない。
本発明による粉粒体処理システムに用いられる湿式選別手段の説明図 同湿式選別手段の平面図 同湿式選別手段の要部の説明図 本発明による粉粒体処理システムの説明図 本発明による粉粒体処理システムのブロック説明図 本発明による粉粒体処理システムのブロック説明図 本発明による粉粒体処理システムのブロック説明図 別実施形態の湿式選別手段の説明図 別実施形態の湿式選別手段の要部の説明図
1:粉粒体処理システム
2:湿式選別手段
4:第一の再洗浄手段
6:第二の再洗浄手段
8:第一の循環経路
9:第二の循環経路
20:洗浄水槽
21:脈動洗浄槽
22:コンベアベルト
23a、23b、23c、23d:水噴射ノズル
30:脈動発生装置
40:中継槽
42:濃縮装置(シックナー)
43:中継槽
44:脱水洗浄装置
46,47:貯留槽
61:分級装置
62:洗浄装置
63:中継槽
64:固液分離機(湿式サイクロン)
65:洗浄槽

Claims (6)

  1. 洗浄水が充填されたU字管形状の脈動洗浄槽と、前記脈動洗浄槽の他方の開口部から洗浄水を脈動させる脈動発生装置と、脈動する上層の洗浄水を排水する溢流堰とを備え、前記脈動洗浄槽に投入された粉粒体を洗浄しながら沈降速度差によって微粒物と微粒物より粒径が大きい中粒物とに分級し、相対的に汚染度の高い微粒物を前記溢流堰から搬出するとともに、相対的に汚染度の低い中粒物を沈降させ、沈降した中粒物を水切り状態で搬出する搬出部を備えたジグ選別装置で構成されている湿式選別手段と、前記微粒物を再洗浄する第一の再洗浄手段と、前記中粒物を再洗浄する第二の再洗浄手段と、前記第一の再洗浄手段から排出された相対的に汚染度の高い洗浄排水を前記湿式選別手段へ返送する第一の循環経路と、前記第一の循環経路と縁切りされ、前記第二の再洗浄手段から排出された相対的に汚染度の低い洗浄排水を前記第二の再洗浄手段へ返送する第二の循環経路を備え、それぞれの循環経路を介して返送された洗浄排水を洗浄水として再利用することを特徴とする粉粒体処理システム。
  2. 前記第二の循環経路に新たな洗浄水を供給し、前記第二の再洗浄手段から排出された洗浄排水の一部を貯留槽に貯留し、前記貯留槽に貯留された貯留水を前記第一の循環経路に供給する洗浄水供給経路を設けていることを特徴とする請求項記載の粉粒体処理システム。
  3. 前記第二の再洗浄手段に混入した微粒物を、前記洗浄水供給経路を介して前記湿式選別手段に戻すことを特徴とする請求項記載の粉粒体処理システム。
  4. 充填された洗浄水が上下に脈動する脈動洗浄槽に投入された粉粒体を洗浄しながら、沈降速度差によって粉粒体を相対的に汚染度の高い微粒物と微粒物より粒径が大きい相対的に汚染度の低い中粒物とに分級する分級工程を含む湿式選別工程と、前記微粒物を再洗浄する第一の再洗浄工程と、洗浄水が水切りされた前記中粒物を再洗浄する第二の再洗浄工程と、前記第一の再洗浄工程で排出された相対的に汚染度の高い洗浄排水を前記湿式選別工程の洗浄水として返送するとともに、前記第一の再洗浄工程とは縁切りした状態で前記第二の再洗浄工程で排出された相対的に汚染度の低い洗浄排水を前記第二の再洗浄工程の洗浄水として返送し、それぞれの洗浄排水を洗浄水として再利用することを特徴とする粉粒体処理方法。
  5. 前記第二の再洗浄工程で新たな洗浄水を供給し、前記第二の再洗浄工程で排出された洗浄排水の一部を貯留槽に貯留し、当該貯留槽に貯留された貯留水を前記湿式選別工程に供給することを特徴とする請求項記載の粉粒体処理方法。
  6. 前記第二の再洗浄工程に混入した微粒物を、前記第二の再洗浄工程で排出された洗浄排水の一部とともに前記湿式選別工程に戻すことを特徴とする請求項記載の粉粒体処理方法。
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