JP4928376B2 - 収音装置、収音方法、その方法を用いた収音プログラム、および記録媒体 - Google Patents

収音装置、収音方法、その方法を用いた収音プログラム、および記録媒体 Download PDF

Info

Publication number
JP4928376B2
JP4928376B2 JP2007187594A JP2007187594A JP4928376B2 JP 4928376 B2 JP4928376 B2 JP 4928376B2 JP 2007187594 A JP2007187594 A JP 2007187594A JP 2007187594 A JP2007187594 A JP 2007187594A JP 4928376 B2 JP4928376 B2 JP 4928376B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
signal
sound
unit
sound collection
signal amount
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007187594A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009025490A (ja
Inventor
裕輔 日岡
和則 小林
賢一 古家
章俊 片岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP2007187594A priority Critical patent/JP4928376B2/ja
Publication of JP2009025490A publication Critical patent/JP2009025490A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4928376B2 publication Critical patent/JP4928376B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Obtaining Desirable Characteristics In Audible-Bandwidth Transducers (AREA)
  • Circuit For Audible Band Transducer (AREA)

Description

本発明は音声通話や機器の操作などハンズフリー方式で音声を収音する収音装置、収音方法、その方法を用いた収音プログラム、および記録媒体に関し、特にとらえたい音声を発する所望音源以外の雑音源が多数存在する場合に大きく関係する。
多数の背景雑音が存在する環境でのハンズフリーマイクを想定し、特定位置にある所望音源を強調する手法として、複数のビームフォーマー出力から所望音パワーを推定し、強調する方法が提案されている(非特許文献1)。この方法では、推定信号パワー|S(ω,l)|、推定左方向雑音パワー|N(ω,l)|、推定正面方向雑音パワー|N(ω,l)|、推定右方向雑音パワー|N(ω,l)|を用いて利得係数R(ω,l)を計算する。
Figure 0004928376
そして、利得係数R(ω,l)を処理対象の信号に乗算することにより、周波数領域ごとに雑音成分が抑圧された信号を得る。
日岡裕輔、小林和則、古家賢一、片岡章俊、"小型マイクロホンアレー対を用いた特定位置にある音源の強調"、日本音響学会2006年春季研究発表会講演論文集、pp.621-622、2006.
非特許文献1の技術では、利得係数R(ω,l)は0から1の間で変動する値であり、十分な雑音抑圧効果が得られない場合があった。本発明の収音装置は、この課題を解決するためになされたもので、雑音の抑圧性能を向上させることを目的とする。
本発明の収音装置は、6つ以上の収音部、処理対象信号生成部、パワースペクトル推定部、利得係数算出部、乗算部を備える。各収音部は、複数のマイクロホンを搭載して構成されるマイクロホンアレーの出力信号を利用して、それぞれ異なる領域の音を収音する。ここで、「それぞれ異なる」とは、一致しないことを言い、重複する部分があってもよい。処理対象信号生成部は、あらかじめ定めた1つ以上のマイクロホンまたは収音部からの信号から、処理対象信号を生成する。パワースペクトル推定部は、各収音部で得られた各収音信号の信号量から、所望音源の信号量と、その他の音源の信号量とを周波数ごとに推定する。利得係数算出部は、所望音源の信号量、所望音源の信号量を含む全ての音源の信号量、処理対象信号から周波数ごとに利得係数を求める。乗算部は、利得係数算出部で算出した利得係数を前記処理対象信号に乗算する。
例えば、利得係数算出部は、処理対象信号をY(ω,l)、パワースペクトル推定部が推定した所望音源の信号量をS(ω,l)、その他の音源の信号量をN(ω,l)とするときに、利得係数R(ω,l)を
Figure 0004928376
とすればよい。
本発明の収音装置によれば、利得係数を処理対象信号も考慮して求める。よって、処理対象信号を考慮しない利得係数と、考慮した利得係数の双方の長所を生かした利得係数を求めることができる。したがって、雑音の抑圧特性を向上できる。
図1に本発明の利用状況の一例を示す。2つの小規模マイクロホンアレー3L、3Rをある程度(例えばマイクロホンアレー3L、3Rと所望音源1までの距離と同程度の距離)離れた異なる位置に配置し、それぞれマイクロホンで受音された信号に対して以下で説明する処理を行なう。以下に説明する処理を行なうことにより所望音源1の音が強調されて収音され、背景雑音源2の音は抑圧される。
本発明について説明する前に、まず、未公開の特許出願(特願2006−52502)で示された技術を説明する。図2に特願2006−52502の収音装置の全体の構成を示す。この図2を用いて収音装置の概要を説明する。マイクロホンアレー3Lの各マイクロホンで生成された各受音信号は、この例では第1収音部4−1と第3収音部4−3に入力される。更に、マイクロホンアレー3Rの各マイクロホンで生成された各受音信号はこの例では第2収音部4−2と第4収音部4−4に入力される。マイクロホンアレー3Lと3Rの中央に位置するマイクロホンの信号が第5収音部4−5と第6収音部4−6に入力される。なお、両マイクロホンアレー3Lと3Rに搭載されるマイクロホンの数は必ずしも同数である必要はない。
第1収音部4−1〜第4収音部4−4は図4に示すように各マイクロホンの受音信号x〜xが入力されるM個のフィルタ処理部41と、これらM個のフィルタ処理部41の各出力信号を加算する加算部42とによって構成される。各フィルタ処理部41は例えばFIRフィルタ等で構成され、デジタル処理により収音信号に含まれる周波数成分毎に分析処理を行いマイクロホンアレー3Lと3Rの指向特性を設定する。このような技術は例えば大賀寿郎、山崎芳男、金田豊共著「音響システムとデジタル処理」平成7年3月25日社団法人電子情報通信学会発行に記載されており、周知の技術により実現することができる。
ここでは第1収音部4−1の指向特性及び第2収音部4−2の指向特性はマイクロホンアレー3L及び3Rのほぼ中央位置から図3に示す所望音源1の位置を含む角度領域ΘLとΘRを収音範囲とする特性に設定する。第3収音部4−3と第4収音部4−4の指向特性はマイクロホンアレー3Lと3Rのほぼ中央位置から図3に示す所望音源1の位置を含まない角度領域ΘL ̄とΘR ̄とを収音範囲とする特性に設定する。さらに、第5収音部4−5の指向性はマイクロホンアレー3Lと3Rのほぼ中間位置から所望音源1の位置を含む角度領域ΘCを収音範囲とする特性に設定する。第6収音部4−6の指向性はマイクロホンアレー3Lと3Rのほぼ中間位置から所望音源1の位置を含まない角度領域Θ ̄Cの角度範囲を収音範囲とする特性に設定する。
第1乃至第6収音部4−1〜4−6の指向特性で収音された収音信号は周波数領域変換部5で周波数領域の信号に変換される。周波数領域への変換は入力された信号を短い時間長(例えばサンプリング周波数16000Hzの場合は256サンプル程度)のフレームに分解し、それぞれのフレームにおいて離散フーリエ変換を行なう。離散フーリエ変換は例えばFFT等と呼ばれている高速フーリエ変換等を用いることができる。周波数領域に変換された信号は複数の周波数領域成分に分割される。
周波数領域の信号に変換された収音信号は加算部6とパワースペクトル推定部7(ただし、特願2006−52502明細書中では「音源信号成分推定部」と記載している。)とに入力される。加算部6へは第1収音部4−1と第2収音部4−2の出力信号を入力する。加算部6では周波数領域へ変換された各周波数領域の信号を同一周波数領域成分ごとに加算する。
パワースペクトル推定部7へは第1収音部4−1から第6収音部4−6の全ての出力信号を入力し、周波数領域ごとに各音源の信号量を推定する。各音源の信号量が推定できると、所望音源1の信号量対その他の音源の信号量との比つまりSN比を求めることができる。このSN比を周波数領域ごとに求め、このSN比を利得係数として乗算部9で加算部6から与えられる所望音源1の信号を主成分とする信号に各周波数領域毎に乗算することにより、所望音源1の信号を主成分とする信号に含まれる背景雑音成分を抑制することができる。乗算部9の乗算結果は逆周波数領域変換部10で時間領域信号に変換され、雑音除去後の信号として出力される。以上は特願2006−52502の発明の概要である。
以下では各部の構成及び動作を詳細に説明する。図4は第1収音部〜第4収音部4−1〜4−4の構成を示している。ここでは第1収音部4−1を例示して説明するが、同様の処理が第2収音部4−2、第3収音部4−3、第4収音部4−4でも行われる。これら第1収音部4−1〜4−4は所望音源1の位置を挟んでその両側の方向から所望音源位置を含む角度領域を収音範囲とする収音特性及び所望音源位置を含まない角度領域を収音範囲とする収音特性に設定されることからサイドビームフォーマーとして機能する。第1収音部4−1に入力された信号xLmL(n)(m=1,2,…,M)はフィルタ処理部41に入力される。フィルタ処理部41ではあらかじめ与えられた(決定方法は後述する)フィルタ係数wLmL(n)と入力信号xLmL(n)を、式(1)に示す畳み込み演算に代入して得られる信号x'LmL(n)を出力する。
Figure 0004928376
各フィルタ処理部41の出力信号は加算部42に入力される。加算部42では入力信号を式(2)のように加算し、第1収音部4−1の出力信号ySL(n)を得る。
Figure 0004928376
ここでフィルタ係数wLmL(n)は、第1収音部の指向特性DLSPB(ω,θ)が式(3)に示す特性を持つように、例えば最小二乗法などを利用して設計される。第2収音部、第3収音部、第4収音部についても同様に、式(4)から式(6)のそれぞれの条件を満たすように設計される。Θ、Θ ̄はそれぞれ、所望信号の周辺方向(例えば所望信号方向から±10°程度の範囲内の方向)、それ以外の方向、を示すものとする。また、式(3)〜(6)に示すD・・・・(ω,θ)は各収音部の指向特性を表わしている。
Figure 0004928376
第1収音部4−1はマイクロホンアレー3Lから見たときに、所望音源1の方向で発せられる音のみを強調して収音する。第3収音部はマイクロホンアレー3Lから見て、所望音源の方向以外で発せられる音のみを強調して収音する。第2収音部4−2はマイクロホンアレー3Rから見て、所望音源1の方向で発せられる音のみを強調して収音する。第4収音部4−4はマイクロホンアレー3Rから見て、所望音源1の方向以外で発せられる音のみを強調して収音する。
図5は正面ビームフォーマーとして機能する第5収音部4−5と第6収音部4−6における処理の流れを示している。正面ビームフォーマーにはマイクロホンアレー3Lの中心に配置されたマイクロホンで受音された信号xL(ML/2)(n)と、マイクロホンアレー3Rの中心に配置されたマイクロホンで受音された信号xR(MR/2)(n)が入力され、それぞれフィルタ処理部51と52に入力される。フィルタ処理部51と52では入力された信号xL(ML/2)(n)とxR(MR/2)(n)に、式(7)と式(8)に示すようなあらかじめ与えられたフィルタ係数wC(ML/2)(n)、wC(MR/2)(n)を畳み込んだ出力x’L(ML/2)(n)、x’R(MR/2)(n)を出力する。
Figure 0004928376
ここでフィルタ係数wC(ML/2)(n)、wC(MR/2)(n)は位相特性が同じものが望ましく、例えば単一インパルス信号
Figure 0004928376
が用いられる。第5収音部4−5ではフィルタ処理部51と52の出力信号x’L(ML/2)(n)とx’R(MR/2)(n)を加算部53に入力する。加算部53では入力された信号を式(10)のように加算して、信号ySC(n)を出力する。これにより第5収音部4−5では、マイクロホンアレー3Lとマイクロホンアレー3Rの間の中間点から見て、所望音源1の方向で発せられる音のみを強調して収音する。
SC(n)=x’L(ML/2)(n)+x’R(MR/2)(n) (10)
第6収音部4−6ではフィルタ処理部51と52の出力信号x’L(ML/2)(n)とx’R(MR/2)(n)を減算部54に入力する。減算部54では入力された信号を式(11)のように減算して、信号yNC(n)を出力する。したがって第6収音部4−6では、マイクロホンアレー3Lとマイクロホンアレー3Rの間の中間点から見て、所望音源1の方向以外で発せられる音のみを強調して収音する。
NC(n)=x’L(ML/2)(n)−x’R(MR/2)(n) (11)
図6はパワースペクトル推定部7における処理の流れを示している。パワースペクトル推定部7に入力される周波数成分YSL(ω,l)、YNL(ω,l)、YSC(ω,l)、YNC(ω,l)、YSR(ω,l)、YNR(ω,l)はそれぞれパワー演算部61に入力され、信号のパワー値|YSL(ω,l)|、|YNL(ω,l)|、|YSC(ω,l)|、|YNC(ω,l)|、|YSR(ω,l)|、|YNR(ω,l)|が出力され、ベクトル化部62に入力される。ベクトル化部62では、入力された第1乃至第6収音部4−1〜4−6の各出力信号のパワー値を式(12)のようにベクトル形式でまとめた、パワーベクトルY(ω,l)を出力する。
Figure 0004928376
パワーベクトルY(ω,l)は乗算部63に入力される。乗算部63のもう一方の入力であるパワー推定行列Tは、擬似逆行列演算部64の出力信号である。擬似逆行列演算部64には式(19)により定義されるゲイン行列Tが入力され、その擬似逆行列Tを出力する。
Figure 0004928376
ゲイン逆行列Tの各要素は、第5収音部4−5と第6収音部4−6及び第1収音部4−1〜第4収音部4−4に設定されるΘx方向またはΘx ̄方向に対する指向特性のゲインであり、例えば式(14)から式(17)に示すような指向特性の周波数および方向に関する平均値を用いる。
Figure 0004928376
αは所望音の周辺方向に対する第1、第2、第5収音部4−1、4−2、4−5に設定する指向特性の平均値である。βは所望信号の周辺方向に対する第1、第2、第5の収音部4−1、4−2、4−5に設定する指向特性の平均値である。γは所望信号の周辺方向に対する、第3、第4、第6収音部4−3、4−4、4−6に設定する指向特性の平均値である。δは所望信号の周辺方向以外に対する、第3、第4、第6収音部4−3、4−4、4−6に設定する指向特性の平均値である。尚、(14)〜(17)式中添字xはR、C、Lの何れかを表わす。
乗算部9は式(18)に示すように入力されたビームフォーマー出力パワーベクトルとパワー推定行列の乗算を周波数成分ごとに行い、推定信号パワーベクトルXopt(ω,l)を出力する。
opt(ω,l)=TY(ω,l) (18)
図7は利得係数算出部8における処理の流れを示している。図6に示したパワースペクトル推定部7より入力された推定信号パワーベクトルXopt(ω,l)はベクトル要素抽出部81に入力される。ベクトル要素抽出部81では式(19)に示すように、入力された推定信号パワーベクトルの第1成分を推定信号パワー|S(ω,l)|、第2成分を推定左方向雑音パワー|N(ω,l)|、第3成分を推定正面方向雑音パワー|N(ω,l)|、第4成分を推定右方向雑音パワー|N(ω,l)|としてそれぞれ出力し、それらはSN比推定部82に入力される。
Figure 0004928376
SN比推定部82では式(20)を用いて推定SN比ESNR(ω,l)を計算する。
Figure 0004928376
SN比推定部82の出力である推定SN比ESNR(ω,l)が利得係数R(ω,l)として出力される。
利得係数R(ω,l)は周波数領域毎に算出される。従って雑音の混入量が少ない周波数領域では利得係数R(ω,l)は「1」に近い値となり、所望信号成分はそのまま出力される。また雑音の混入量が多い周波数領域では利得係数R(ω,l)は「0」に近い値となり、その周波数領域の信号成分は大きく減衰され、雑音量を抑制する。このように周波数領域ごとに利得係数R(ω,l)を加算部6から与えられる所望信号を主成分とする信号Y(ω,l)に乗算することにより、周波数領域ごとに雑音成分が抑圧され、逆周波数領域変換部10で時間領域に変換された信号のSN比を向上することができる。
[第1実施形態]
図8に、本発明の第1実施形態の収音装置全体の構成例を示す。図2に示した特願2006−52502の収音装置全体の構成とは、利得係数算出部130と処理対象信号生成部140が異なる。図9は、第1実施形態の収音装置の処理フローを示す図である。
第1及び第2収音部4−1、4−2は、複数のマイクロホンを搭載して構成されるマイクロホンアレーの出力信号を利用して互いに異なる位置から所望音源位置を含む角度領域の音ySL(n)、ySR(n)を収音する(S4−1、S4−2)。第3及び第4収音部4−3、4−4は、マイクロホンアレーの出力信号を利用して互いに異なる位置から前記所望音源位置を含まない角度領域の音yNL(n)、yNR(n)を収音する(S4−3、S4−4)。第5収音部4−5は、互いに異なる位置の中間点から所望音源位置を含む角度領域の音ySC(n)を収音する(S4−5)。第6収音部4−6は、中間点から所望音源位置を含まない角度領域の音yNC(n)を収音する(S4−6)。周波数領域変換部5は、各収音部4−1〜4−6で収音された信号ySL(n)、ySR(n)、yNL(n)、yNR(n)、ySC(n)、yNC(n)を、周波数領域の信号YSL(ω,l)、YSR(ω,l)、YNL(ω,l)、YNR(ω,l)、YSC(ω,l)、YNC(ω,l)に変換する。なお、周波数領域変換部5は、各収音部4−1〜6内に備えてもよい。処理対象信号生成部140は、周波数領域に変換された第1収音部4−1からの信号YSL(ω,l)と第2収音部4−2からの信号YSR(ω,l)の平均を、処理対象信号Y(ω,l)とする(S140)。パワースペクトル推定部7は、周波数領域に変換された各収音部4−1〜4−6で得られた各収音信号YSL(ω,l)、YSR(ω,l)、YNL(ω,l)、YNR(ω,l)、YSC(ω,l)、YNC(ω,l)から、所望音源の信号量とその他の音源の信号量Xopt(ω,l)とを、周波数ごとに推定する(S7)。利得係数算出部130は、所望音源の信号量とその他の音源の信号量Xopt(ω,l)と処理対象信号Y(ω,l)から、周波数ごとに利得係数R(ω,l)を求める(S130)。乗算部9は、利得係数算出部130で算出した利得係数R(ω,l)を処理対象信号Y(ω,l)に乗算する(S9)。逆周波数領域変換部10は、利得係数が乗算された処理対象信号R(ω,l)Y(ω,l)を時間領域に変換する。なお、逆周波数領域変換部10は乗算部9内に備えてもよい。
次に、図2の収音装置と異なる構成部の詳細を説明する。図10は、処理対象信号生成部140の機能構成例を示す図である。処理対象信号生成部140は、加算部141と除算部142から構成される。加算部141は、周波数領域の第1収音部4−1からの信号YSL(ω,l)と第2収音部4−2からの信号YSR(ω,l)とを加算する。除算部142は、加算された信号を2で割り、平均値を処理対象信号Y(ω,l)として出力する。図2の収音装置では、加算部6によって周波数領域の第1収音部4−1からの信号YSL(ω,l)と第2収音部4−2からの信号YSR(ω,l)とを加算して、処理対象信号Y(ω,l)としていた。違いは、2で割るか否かである。この違いによって生じる差は、信号全体のボリュームだけであり、波形が同じなので、信号処理の観点からは等価である。つまり、2以外の値で除算しても、等価な処理である。
図11に利得係数算出部130の機能構成例を示す。利得係数算出部130は、ベクトル要素抽出部81、第1ゲイン算出部131、第2ゲイン算出部132、ゲイン乗算部133から構成される。式(19)で示したように、ベクトル要素抽出部81は、入力された推定信号パワーベクトルの第1成分を推定信号パワー|S(ω,l)|、第2成分を推定左方向雑音パワー|N(ω,l)|、第3成分を推定正面方向雑音パワー|N(ω,l)|、第4成分を推定右方向雑音パワー|N(ω,l)|としてそれぞれ出力する。第1ゲイン算出部131は、推定信号パワー|S(ω,l)|と処理対象信号Y(ω,l)から、第1ゲイン係数G(ω,l)を次式のように計算し、出力する。
Figure 0004928376
第2ゲイン算出部132は、推定信号パワー|S(ω,l)|、推定左方向雑音パワー|N(ω,l)|、推定正面方向雑音パワー|N(ω,l)|、推定右方向雑音パワー|N(ω,l)|から、第2ゲイン係数GSNR(ω,l)を次式のように計算し、出力する。
Figure 0004928376
なお、|N(ω,l)|+|N(ω,l)|+|N(ω,l)|を所望音源以外の音源からの信号量のパワー|N(ω,l)|とすれば、式(22)は次式のようにも表現できる。
Figure 0004928376
ゲイン乗算部133は、次式のように第1ゲイン係数G(ω,l)と第2ゲイン係数GSNR(ω,l)との積を利得係数R(ω,l)として出力する。
R(ω,l)=G(ω,l)・GSNR(ω,l) (24)
その他の構成部の処理は、図2の収音装置と同じである。
次に、本発明の雑音を抑圧する原理を説明する。第1ゲイン係数G(ω,l)と処理対象信号Y(ω,l)との積は、推定信号パワー|S(ω,l)|と同じ振幅のパワースペクトルを持つ信号となる。推定信号パワー|S(ω,l)|は、原理的には所望音源のパワーと同一である。したがって、第1ゲイン係数G(ω,l)を処理対象信号Y(ω,l)に乗算する処理によって、雑音成分の抑圧が期待できる。しかし、実際には残響やマイクロホンの感度誤差など様々な外乱があり、誤差を多く含むので、十分な雑音の抑圧特性が得られるとは限らない。一方、特願2006−52502の利得係数算出部8の出力である利得係数や第2ゲイン係数GSNR(ω,l)は、算出過程で雑音の推定パワーも用いているので、推定信号パワー|S(ω,l)|に雑音が多く含まれている場合でも、雑音の推定パワー|N(ω,l)|が正確であれば、雑音成分を抑圧できる。しかし、これらのゲイン係数は、範囲が0〜1に正規化されているので、雑音抑圧性能が緩やかであり、雑音抑圧効果は高くはない。このように、第1ゲイン係数も、特願2006−52502の利得係数や第2ゲイン係数も、長所と短所がある。第1実施形態の収音装置は、双方の利得係数を乗算することで、双方の長所を生かした利得係数を求めることができる。したがって、雑音の抑圧特性を向上できる。
[第2実施形態]
図12に、本発明の第2実施形態の収音装置全体の構成例を示す。第1実施形態(図8)とは、各収音部4’−1〜4’−6、処理対象信号生成部140’、パワースペクトル推定部7’、利得係数算出部130’が異なる。以下では、第1実施形態と異なる構成部について説明する。第2実施形態の収音装置の処理フローは、図9に示す。
図13は、各収音部4’−1〜4’−6の設定を説明するための音源位置の領域を示す図である。また、図14は、第1収音部4’−1の機能構成例を示す図である。マイクロホンアレー3Lには、信号xLmL(n)(m=1,2,…,M)が入力される。フィルタ処理部41’では、あらかじめ定められた(決定方法は後述する)フィルタ係数wLmL(n)と入力信号xLmL(n)を、式(25)に示す畳み込み演算に代入して得られる信号x'LmL(n)を出力する。
Figure 0004928376
各フィルタ処理部41’の出力信号は、加算部42’に入力される。加算部42’では入力信号を次式のように加算し、第1収音部4’−1の出力信号yLL(n)を得る。
Figure 0004928376
ここでフィルタ係数wLmL(n)は、第1収音部4’−1の指向特性DLSB(ω,θ)が式(27)に示す特性を持つように、例えば最小二乗法などを利用して設計される。第3収音部、第5収音部についても同様に、式(28)、式(29)のそれぞれの条件を満たすように設計される。ΘL1〜ΘL3は、それぞれ図13に示すマイクロホンアレー3Lから見た角度領域を示している。
Figure 0004928376
つまり、第1収音部4’−1は、角度領域ΘL1の音を抑圧して収音する(S4’−1)。第3収音部4’−3は、角度領域ΘL2の音を抑圧して収音する(S4’−3)。第5収音部4’−5は、角度領域ΘL3の音を抑圧して収音する(S4’−5)。
同様に、式(30)から式(32)に示すように、マイクロホンアレー3Rの第2収音部4’−2は、角度領域ΘR1の音を抑圧して収音する(S4’−2)。第4収音部4’−4は、角度領域ΘR2の音を抑圧して収音する(S4’−4)。第6収音部4’−6は、角度領域ΘR3の音を抑圧して収音する(S4’−6)。
Figure 0004928376
図15は、処理対象信号生成部140’の機能構成例を示す図である。処理対象信号生成部140’は、加算部141’と除算部142’から構成される。加算部141’は、周波数領域の第1収音部4−1’からの信号YLL(ω,l)、第2収音部4−2’からの信号YLR(ω,l)、第5収音部4−5’からの信号YRL(ω,l)、第6収音部4−6’からの信号YRR(ω,l)を次式のように加算し、加算結果Y’(ω,l)を出力する。
Figure 0004928376
除算部142’は、加算された信号Y’(ω,l)を次式のように4で割り、平均値を処理対象信号Y(ω,l)として出力する(S140’)。
(ω,l)=Y’(ω,l)/4 (34)
なお、第1実施形態で説明したように、除算部142’で割る数をいくつにしても、波形が同じなので、信号処理の観点からは等価である。つまり、4以外の値で除算しても、等価な処理である。
図16に、パワースペクトル推定部7’の機能構成例を示す。パワースペクトル推定部7’は、パワー演算部61’、ベクトル化部62’、乗算部63’、擬似逆行列演算部64’から構成される。パワー演算部61’は、各収音部からの周波数領域の信号YLL(ω,l)、YCL(ω,l)、YRL(ω,l)、YLR(ω,l)、YCR(ω,l)、YRR(ω,l)から、パワー値|YLL(ω,l)|、|YCL(ω,l)|、|YRL(ω,l)|、|YLR(ω,l)|、|YCR(ω,l)|、|YRR(ω,l)|を計算し、出力する。ベクトル化部62’は、パワー値を式(35)のようにベクトル形式でまとめた、パワーベクトルY(ω,l)を出力する。
Figure 0004928376
そして、パワーベクトルY(ω,l)は乗算部63’に入力される。乗算部63’のもう一方の入力であるパワー推定行列Tは、擬似逆行列演算部64’の出力信号である。擬似逆行列演算部64’には式(36)により定義されるゲイン行列Tが入力され、その擬似逆行列Tを出力する。
Figure 0004928376
ゲイン逆行列T(ω)の各要素は、各収音部4’−1〜4’−6のΘ方向、Θ方向、Θ方向に対する指向特性のゲインであり、例えば式(37)から式(39)に示すような指向特性の方向に関する平均値を用いる。
Figure 0004928376
α(ω)は、周波数ωにおける第1収音部4’−1と第2収音部4’−2の角度領域Θの方向に対する指向特性の平均値である。β(ω)は、周波数ωにおける第3収音部4’−3と第4収音部4’−4の角度領域Θの方向に対する指向特性の平均値である。γ(ω)は、周波数ωにおける第5収音部4’−5と第6収音部4’−6の角度領域Θの方向に対する指向特性の平均値である。ここで、xには、L1、L2、L3、R1、R2、R3のいずれかが入る。乗算部63’は、式(40)に示すように残響が減算された信号Y’(ω,l)に擬似逆行列Tを乗算し、推定信号パワーベクトルXopt(ω,l)を出力する(S7’)。
opt(ω,l)=TY(ω,l) (40)
図17に利得係数算出部130’の機能構成例を示す。利得係数算出部130’は、ベクトル要素抽出部81’、第1ゲイン算出部131、第2ゲイン算出部132’、ゲイン乗算部133から構成される。ベクトル要素抽出部81’は、入力された推定信号パワーベクトルXopt(ω,l)を、推定信号パワー|S(ω,l)|、推定左側方雑音パワー|NLL(ω,l)|、推定左方向雑音パワー|N(ω,l)|、推定正面方向雑音パワー|N(ω,l)|、推定右方向雑音パワー|N(ω,l)|、推定右側方雑音パワー|NRR(ω,l)|としてそれぞれ出力する。第1ゲイン算出部131は、推定信号パワー|S(ω,l)|と処理対象信号Y(ω,l)から、第1ゲイン係数G(ω,l)を次式のように計算し、出力する。
Figure 0004928376
第2ゲイン算出部132’は、推定信号パワー|S(ω,l)|、推定左側方雑音パワー|NLL(ω,l)|、推定左方向雑音パワー|N(ω,l)|、推定正面方向雑音パワー|N(ω,l)|、推定右方向雑音パワー|N(ω,l)|、推定右側方雑音パワー|NRR(ω,l)|から、第2ゲイン係数GSNR(ω,l)を次式のように計算し、出力する。
Figure 0004928376
なお、|NLL(ω,l)|+|N(ω,l)|+|N(ω,l)|+|N(ω,l)|+|NRR(ω,l)|を所望音源以外の音源からの信号量のパワー|N(ω,l)|とすれば、式(42)は次式のようにも表現できる。
Figure 0004928376
ゲイン乗算部133は、次式のように第1ゲイン係数G(ω,l)と第2ゲイン係数GSNR(ω,l)との積を利得係数R(ω,l)として出力する(S130’)。
R(ω,l)=G(ω,l)・GSNR(ω,l) (44)
その他の構成部の処理は、第1実施形態の収音装置と同じである。
以上のような構成なので、第2実施形態の収音装置も、第1実施形態と同じように雑音の抑圧特性を向上できる。
[変形例]
第2実施形態(図12)のパワースペクトル推定部の別の構成例(変形例)を図18に示す。パワースペクトル推定部7”は、パワー演算部61’、ベクトル化部62’、非負拘束最小二乗部63”から構成される。パワー演算部61’とベクトル化部62’は、第2実施形態のパワースペクトル推定部(図16)と同じである。非負拘束最小二乗部63”は、入力されたパワーベクトルY(ω,l)とゲイン行列Tが、式(46)に示すように推定信号パワーベクトルXopt(ω,l)が非負であるという拘束条件の下で、式(45)に示すように、Y(ω,l)とT・Xopt(ω,l)の二乗誤差が最小になる推定信号パワーベクトルXopt(ω,l)を求め、出力する。
‖Y(ω,l)−T・Xopt(ω,l)‖ (45)
subject to Xopt(ω,l)≧0 (46)
なお、この解を算出する方法としては、例えば、C. L. Lawson and R. J. Hanson, “Solving Least Squares Problems,” Prentice-Hall, 1974.に記載のNon-negative Least Square法が利用できる。Xopt(ω,l)の各成分は、信号のパワーなので必ず非負値をとるはずであるが、特願2006−52502や第1実施形態、第2実施形態の処理では、現実にはありえない負値が成分となることもあり得る。このような成分が含まれることは、雑音抑圧性能の低下の原因となる。本変形例の処理では、推定信号パワーベクトルXopt(ω,l)の各成分は、必ず非負値となるので、雑音抑圧特性を向上できる。
[第3実施形態]
図19に、本発明の第3実施形態の収音装置全体の構成例を示す。第2実施形態(図12)とは、パワースペクトル推定部110、残響スペクトル推定部120が異なる。また、図20に第3実施形態の収音装置全体の処理フローの例を示す。パワースペクトルの推定結果から残響スペクトルを推定し、フィードバック(減算)する点が、第1実施形態や第2実施形態と異なる。以下では、第2実施形態と異なる構成部について説明する。
図21に、パワースペクトル推定部110の機能構成例を示す。パワースペクトル推定部110は、パワー演算部61’、ベクトル化部62’、減算部111、乗算部63’、擬似逆行列演算部64’から構成される。パワー演算部61’、ベクトル化部62’は、第2実施形態のパワースペクトル推定部7’(図16)と同じである。ベクトル化部62’は、パワー値を式(35)のようにベクトル形式でまとめた、パワーベクトルY(ω,l)を出力する。
減算部111は、ベクトル化された信号Y(ω,l)から、推定した残響音の信号量Z est(ω,l)を次式のように減算し、その結果Y’(ω,l)を乗算部63’に入力する。
Y’(ω,l)=Y(ω,l)−Z est(ω,l) (47)
乗算部63’、擬似逆行列演算部64’も第2実施形態のパワースペクトル推定部7’(図16)と同じである。擬似逆行列演算部64’には式(36)により定義されるゲイン行列Tが入力され、その擬似逆行列Tを出力する。乗算部63’は、式(48)に示すように残響が減算された信号Y’(ω,l)に擬似逆行列Tを乗算し、推定信号パワーベクトルXopt(ω,l)を出力する。
opt(ω,l)=TY’(ω,l) (48)
図22に、残響スペクトル推定部120の機能構成例を示す。残響スペクトル推定部120は、ゲイン行列乗算部125と重み付き加算部126から構成される。ゲイン行列乗算部125は、所望音源の信号量とその他の音源の信号量Xopt(ω,l)を、収音部ごとの信号量Zest(ω,l)に変換する。ゲイン行列T’は、残響成分に対する各収音部の指向特性のゲインで、例えば次式とすればよい。
Figure 0004928376
ただし、
Figure 0004928376
である。重み付き加算部126は、収音部ごとの信号量Zest(ω,l)を記録し、複数の過去の収音部ごとの信号量を重み付き加算する。具体的には、過去のN個のフレームの収音部ごとの信号量Zest(ω,l)の重み付き加算を行うのであれば、N個の遅延部121〜121とN個の重み乗算部122〜122とN−1個の加算部123〜123N−1とを備えればよい。第1遅延部121は、収音部ごとの信号量Zest(ω,l)を記録し、1フレーム分遅延させる。第1重み乗算部122は、重みρを第1遅延部121の出力(1フレーム前の収音部ごとの信号量Zest(ω,l))に乗算する。第n遅延部121は、n−1フレーム前の収音部ごとの信号量Zest(ω,l)を記録し、1フレーム分遅延させる。第n重み乗算部122は、重みρを第n遅延部121の出力(nフレーム前の収音部ごとの信号量Zest(ω,l))に乗算する。第n加算部123は、第n+1加算部123n+1の出力に、第n重み乗算部122の出力を加算する。第1加算部123は、第2加算部123の出力に、第1重み乗算部122の出力を加算して、残響音の信号量Z est(ω,l)を出力する。このように処理することで、nフレーム前の収音部ごとの信号量Zest(ω,l)に重みρを付与した重み付き加算ができる。ここで、重みρは残響成分の時間によるパワー減衰を表すパラメータであり、例えば、残響時間T60からは、次式のように与えられる。
Figure 0004928376
ただし、Lは1フレームのサンプル数、Fはサンプリング周波数である。
その他の構成部の処理は、第2実施形態の収音装置と同じである。したがって、第3実施形態の収音装置も、第1実施形態、第2実施形態と同じように雑音の抑圧特性を向上できる。さらに、第3実施形態の収音装置の場合、以下に示すような効果もある。図23は雑音発生のモデルを示す図である。図24は、各フレームでのパワースペクトルへの残響の影響を示す図である。残響音は、ある時刻0(ここでは時間フレームで考える)で発せられた直接音に対して、その伝達経路の距離に応じた時間だけ遅れて、また一定の減衰率によってその大きさが減じられてマイクロホンに到達する。例えば、図23に示す例では、時刻0に発せられた直接音と同じ音が時刻1〜3のフレームに残響として影響を与えている。このため、図24に示すように、あるフレームlにおける推定パワースペクトルには、過去のフレームに含まれる直接音の成分が残響として重畳されている。このときの減衰率が残響スペクトル推定部120の重みρに対応する。重みρは部屋の音響特性から決定され、例えば部屋の音響特性を示す1つの尺度である残響時間T60を用いて、式(56)によって理論的に計算することが可能である。本発明の収音装置では、過去の直接音の成分は、過去の収音部ごとの信号量Zest(ω,l)として求めることができる。そこで、ゲイン行列乗算部125で収音部ごとの信号量Zest(ω,l)に変換し、重み付き加算部126で収音部ごとの信号量Zest(ω,l)を記録し、複数の過去の収音部ごとの信号量を重み付き加算する。このように残響音の信号量Z est(ω,l)を求め、パワースペクトル推定部110では、ベクトル化された信号Y(ω,l)から、推定した残響音の信号量Z est(ω,l)を減算する。したがって、第3実施形態の収音装置は、残響による影響も低減できる。
[実験例]
次に第3実施形態の収音装置での実験結果を示す。図25は実験環境を示す図である。それぞれのマイクロホンアレーには、4つのマイクロホンが直線状に4cmの等間隔で配置されている。座標の単位はメートルであり、(0.4,0)と(−0.4,0)にそれぞれの中心が位置している。所望音源(対象話者の位置)が(0,0.5)にある。そして、3つの異なる背景雑音源(その他の話者の位置)が(−1.6,2.5)、(1.6,1.0)、(0.0,2.5)に配置されている。
図26は、信号対雑音比が高い入力信号に含まれる所望信号と雑音信号のスペクトル形状と、第3実施形態の収音装置で求められた第1ゲイン係数G(ω,l)と利得係数R(ω,l)の例を示す図である。図27は、信号対雑音比が低い入力信号に含まれる所望信号と雑音信号のスペクトル形状と、第3実施形態の収音装置で求められた第1ゲイン係数G(ω,l)と利得係数R(ω,l)の例を示す図である。図26Aと図27Aが、入力信号に含まれる所望信号と雑音信号のスペクトル形状を示している。図26Bと図27Bが、第3実施形態の収音装置で求められた第1ゲイン係数G(ω,l)を示している。図26Cと図27Cが、第3実施形態の収音装置で求められた利得係数R(ω,l)を示している。図26Aの信号では、周波数が2000Hzと4000Hzの付近(図中に点線で示す周波数)で、所望信号に対して雑音信号が優勢である。すなわち、乗算される利得係数は、2000Hzと4000Hz付近では0に近くなることが望ましい。図26Bの第1ゲイン係数G(ω,l)においては、該当する周波数においても係数が大きいが、図26Cの利得係数R(ω,l)では、該当する周波数における係数が小さい。このことから、本発明により求められる複数のゲイン係数の乗算からなる利得係数が、雑音抑圧効果において優れていることが分かる。同様に図27Aでは、雑音信号が全帯域において優勢であるため、乗算される利得係数は全帯域にわたって0に近いことが望ましい。図27Bと図27Cより、本発明による利得係数の方が、係数の値の大きな帯域が少なく、雑音抑圧効果が高いことが分かる。
図28は、背景雑音の抑圧量を、残響の強さが異なる2つの実験環境で測定した結果を示している。実験環境1が残響時間250msの場合(一般的な寝室と同程度の残響)、実験環境2が残響時間500ms(一般的な会議室と同程度の残響)の結果である。以上より、本発明の収音装置は、特願2006−52502の収音装置よりも雑音抑圧の性能が良いことが分かる。
図29に、コンピュータの機能構成例を示す。なお、本発明の収音装置は、コンピュータ2000の記録部2020に、本発明の各構成部としてコンピュータ2000を動作させるプログラムを読み込ませ、処理部2010、入力部2030、出力部2040などを動作させることで実現できる。また、コンピュータに読み込ませる方法としては、プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録しておき、記録媒体からコンピュータに読み込ませる方法、サーバ等に記録されたプログラムを、電気通信回線等を通じてコンピュータに読み込ませる方法などがある。
本発明の利用状況の一例を示す図。 特願2006−52502の収音装置の全体の構成を示す図。 第1〜第6収音部4−1〜4−6の指向性を説明するための平面図。 第1〜第4収音部4−1〜4−4の構成を説明するためのブロック図。 第5収音部4−5と第6収音部4−6の構成を示す図。 パワースペクトル推定部7の構成を示す図。 利得係数算出部8の構成を示す図。 第1実施形態の収音装置全体の構成例を示す図。 第1実施形態および第2実施形態の収音装置の処理フローを示す図。 処理対象信号生成部140の機能構成例を示す図。 利得係数算出部130の機能構成例を示す図。 第2実施形態の収音装置全体の構成例を示す図。 各収音部4’−1〜4’−6の設定を説明するための音源位置の領域を示す図。 第1収音部4’−1の機能構成例を示す図。 処理対象信号生成部140’の機能構成例を示す図。 パワースペクトル推定部7’の機能構成例を示す。 利得係数算出部130’の機能構成例を示す図。 第2実施形態のパワースペクトル推定部の変形構成例を示す図。 第3実施形態の収音装置全体の構成例を示す図。 第3実施形態の収音装置全体の処理フローの例を示す図。 パワースペクトル推定部110の機能構成例を示す図。 残響スペクトル推定部120の機能構成例を示す図。 雑音発生のモデルを示す図。 各フレームでのパワースペクトルへの残響の影響を示す図。 実験環境を示す図。 信号対雑音比が高い入力信号に含まれる所望信号と雑音信号のスペクトル形状と、第3実施形態の収音装置で求められた第1ゲイン係数G(ω,l)と利得係数R(ω,l)の例を示す図。 信号対雑音比が低い入力信号に含まれる所望信号と雑音信号のスペクトル形状と、第3実施形態の収音装置で求められた第1ゲイン係数G(ω,l)と利得係数R(ω,l)の例を示す図。 背景雑音の抑圧量を、残響の強さが異なる2つの実験環境で測定した結果を示す図。 コンピュータの機能構成例を示す図。

Claims (10)

  1. 複数のマイクロホンを搭載して構成されるマイクロホンアレーの出力信号を利用して、それぞれ異なる領域の音を収音する6つ以上の収音部と、
    あらかじめ定めた1つ以上の前記マイクロホンまたは前記収音部からの信号から、処理対象信号を生成する処理対象信号生成部と、
    前記各収音部で得られた各収音信号の信号量から、所望音源の信号量と、その他の音源の信号量とを周波数ごとに推定するパワースペクトル推定部と、
    前記所望音源の信号量と前記処理対象信号を用いた係数であって前記処理対象信号から所望音源のパワーに応じた量を得る係数と前記所望音源の信号量と所望音源の信号量を含む全ての音源の信号量を用いた係数であって、雑音成分を抑圧する、正規化された係数と、を乗算した利得係数を、周波数ごとに求める利得係数算出部と、
    前記利得係数算出部で算出した利得係数を前記処理対象信号に乗算する乗算部と、
    を備える収音装置。
  2. 請求項1記載の収音装置であって、
    前記処理対象信号をY(ω,l)、前記パワースペクトル推定部が推定した所望音源の信号量をS(ω,l)、その他の音源の信号量をN(ω,l)とするときに、
    前記利得係数算出部は、
    利得係数R(ω,l)を
    Figure 0004928376

    とする
    ことを特徴とする収音装置。
  3. 請求項1または2記載の収音装置であって、
    前記パワースペクトル推定部は、
    前記各収音部で得られた各収音信号の信号のパワーベクトルをY(ω,l)、推定信号パワーベクトルをXopt(ω,l)とするときに
    あらかじめ定められたゲイン行列Tを用いて、
    opt(ω,l)の各成分が非負である、かつ、
    ‖Y(ω,l)−T・Xopt(ω,l)‖が最小である
    ことを満足する推定信号パワーベクトルをXopt(ω,l)を求める
    ことを特徴とする収音装置。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の収音装置であって、
    前記パワースペクトル推定部が推定した所望音源の信号量とその他の音源の信号量から、残響音の信号量を周波数ごとに求める残響スペクトル推定部も備え、
    前記パワースペクトル推定部は、
    前記各収音部で得られた各収音信号と残響音の信号量から、残響信号を除去した所望音源の信号量と、その他の音源の信号量とを周波数ごとに推定する
    ことを特徴とする収音装置。
  5. 複数のマイクロホンを搭載して構成されるマイクロホンアレーの出力信号を利用して、それぞれ異なる6つ以上の領域の音を収音する収音ステップと、
    あらかじめ定めた1つ以上の前記マイクロホンからの信号または前記収音ステップで収音した信号から、処理対象信号を生成する処理対象信号生成ステップと、
    前記各収音ステップで得た各収音信号の信号量から、所望音源の信号量と、その他の音源の信号量とを周波数ごとに推定するパワースペクトル推定ステップと、
    前記所望音源の信号量と前記処理対象信号を用いた係数であって前記処理対象信号から所望音源のパワーに応じた量を得る係数と前記所望音源の信号量と所望音源の信号量を含む全ての音源の信号量を用いた係数であって、雑音成分を抑圧する、正規化された係数と、を乗算した利得係数を、周波数ごとに求める利得係数算出ステップと、
    前記利得係数算出ステップで算出した利得係数を前記処理対象信号に乗算する乗算ステップと、
    を有する収音方法。
  6. 請求項5記載の収音方法であって、
    前記処理対象信号をY(ω,l)、前記パワースペクトル推定部が推定した所望音源の信号量をS(ω,l)、その他の音源の信号量をN(ω,l)とするときに、
    前記利得係数算出ステップは、
    利得係数R(ω,l)を
    Figure 0004928376

    とする
    ことを特徴とする収音方法。
  7. 請求項5または6記載の収音方法であって、
    前記パワースペクトル推定ステップは、
    前記各収音ステップで得た各収音信号の信号のパワーベクトルをY(ω,l)、推定信号パワーベクトルをXopt(ω,l)とするときに
    あらかじめ定められたゲイン行列Tを用いて、
    opt(ω,l)の各成分が非負である、かつ、
    ‖Y(ω,l)−T・Xopt(ω,l)‖が最小である
    ことを満足する推定信号パワーベクトルをXopt(ω,l)を求める
    ことを特徴とする収音方法。
  8. 請求項5から7のいずれかに記載の収音方法であって、
    前記パワースペクトル推定ステップが推定した所望音源の信号量とその他の音源の信号量から、残響音の信号量を周波数ごとに求める残響スペクトル推定ステップも備え、
    前記パワースペクトル推定ステップは、
    前記各収音ステップで得られた各収音信号と残響音の信号量から、残響信号を除去した所望音源の信号量と、その他の音源の信号量とを周波数ごとに推定する
    ことを特徴とする収音方法。
  9. 請求項1から4のいずれかに記載の収音装置として、コンピュータを動作させる収音プログラム。
  10. 請求項9記載の収音プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
JP2007187594A 2007-07-18 2007-07-18 収音装置、収音方法、その方法を用いた収音プログラム、および記録媒体 Expired - Fee Related JP4928376B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007187594A JP4928376B2 (ja) 2007-07-18 2007-07-18 収音装置、収音方法、その方法を用いた収音プログラム、および記録媒体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007187594A JP4928376B2 (ja) 2007-07-18 2007-07-18 収音装置、収音方法、その方法を用いた収音プログラム、および記録媒体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009025490A JP2009025490A (ja) 2009-02-05
JP4928376B2 true JP4928376B2 (ja) 2012-05-09

Family

ID=40397357

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007187594A Expired - Fee Related JP4928376B2 (ja) 2007-07-18 2007-07-18 収音装置、収音方法、その方法を用いた収音プログラム、および記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4928376B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5678445B2 (ja) * 2010-03-16 2015-03-04 ソニー株式会社 音声処理装置、音声処理方法およびプログラム
WO2015159731A1 (ja) * 2014-04-16 2015-10-22 ソニー株式会社 音場再現装置および方法、並びにプログラム
JP6131989B2 (ja) * 2015-07-07 2017-05-24 沖電気工業株式会社 収音装置、プログラム及び方法
JP6879144B2 (ja) * 2017-09-22 2021-06-02 沖電気工業株式会社 機器制御装置、機器制御プログラム、機器制御方法、対話装置、及びコミュニケーションシステム

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4116600B2 (ja) * 2004-08-24 2008-07-09 日本電信電話株式会社 収音方法、収音装置、収音プログラム、およびこれを記録した記録媒体
JP4423300B2 (ja) * 2004-10-28 2010-03-03 富士通株式会社 雑音抑圧装置
US8189806B2 (en) * 2005-11-01 2012-05-29 Panasonic Corporation Sound collection apparatus
JP4724054B2 (ja) * 2006-06-15 2011-07-13 日本電信電話株式会社 特定方向収音装置、特定方向収音プログラム、記録媒体
JP4886616B2 (ja) * 2007-06-25 2012-02-29 日本電信電話株式会社 収音装置、収音方法、その方法を用いた収音プログラム、および記録媒体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009025490A (ja) 2009-02-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4724054B2 (ja) 特定方向収音装置、特定方向収音プログラム、記録媒体
JP5079761B2 (ja) 直間比推定装置、音源距離測定装置、雑音除去装置、各装置の方法と、装置プログラム
WO2012014451A1 (ja) 多入力雑音抑圧装置、多入力雑音抑圧方法、プログラムおよび集積回路
JP5530741B2 (ja) 残響抑圧装置及び残響抑圧方法
JP5060465B2 (ja) 収音装置、収音方法、収音プログラム、記録媒体
JP5785674B2 (ja) デュアルマイクに基づく音声残響低減方法及びその装置
EP1899954A1 (en) System and method for extracting acoustic signals from signals emitted by a plurality of sources
JP4928376B2 (ja) 収音装置、収音方法、その方法を用いた収音プログラム、および記録媒体
JP4473829B2 (ja) 収音装置、プログラム及びこれを記録した記録媒体
JP4886616B2 (ja) 収音装置、収音方法、その方法を用いた収音プログラム、および記録媒体
JP4928382B2 (ja) 特定方向収音装置、特定方向収音方法、特定方向収音プログラム、記録媒体
JP5294603B2 (ja) 音響信号推定装置、音響信号合成装置、音響信号推定合成装置、音響信号推定方法、音響信号合成方法、音響信号推定合成方法、これらの方法を用いたプログラム、及び記録媒体
JP4787727B2 (ja) 音声収音装置、その方法、そのプログラム、およびその記録媒体
JP2011119898A (ja) 音声取得装置、音声取得方法、音声取得プログラム
JP2015019185A (ja) 音声スイッチ装置、音声スイッチ方法、及びそのプログラム
JP5635024B2 (ja) 音響信号強調装置、遠近判定装置、それらの方法、及びプログラム
JP2004078021A (ja) 収音方法、収音装置、および収音プログラム
JP5937451B2 (ja) エコー消去装置、エコー消去方法及びプログラム
JP5698166B2 (ja) 音源距離推定装置、直間比推定装置、雑音除去装置、それらの方法、及びプログラム
JP5105336B2 (ja) 音源分離装置、プログラム及び方法
JP5826712B2 (ja) マルチチャネルエコー消去装置、マルチチャネルエコー消去方法、およびプログラム
JP2005062096A (ja) 話者位置検出方法、装置、プログラム、および記録媒体
JP5683140B2 (ja) 耐雑音直間比推定装置、干渉雑音除去装置、遠近判定装置、音源距離測定装置と、各装置の方法と、装置プログラム
JP5713933B2 (ja) 音源距離測定装置、音響直間比推定装置、雑音除去装置、それらの方法、及びプログラム
JP6263890B2 (ja) 音声信号処理装置及びプログラム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090729

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20110810

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111115

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120105

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120131

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120210

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150217

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4928376

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees