JP4923677B2 - フィルムスピーカおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電気信号を音波に変換するスピーカに係り、特に、オーディオ信号に応じた駆動電圧が付与される固定電極と、当該固定電極に対向して移動可能でバイアス電圧が付与されるバイアス電極を有するフィルム部材とを備え、このフィルム部材により形成される空間内に存在する空気相が押し出されたり、引き戻されることにより音波が発生されるフィルムスピーカおよびその製造方法に関する。
電気音響変換器となるスピーカとしては、従来より、コンデンサ型のものが知られている。このコンデンサ型スピーカは、板状をなす固定電極に近接させて薄膜状の振動膜を配置したもので、振動膜にバイアス電圧を印加した状態で固定電極に音声電圧を印加することにより、振動膜を振動させて音波として放射するようになされている。
ところで、コンデンサ型のスピーカは、一般的に音の周波数帯域が狭く、普通以下のサイズのものは高音用として用いられるのが通常であった。また、低音域まで周波数帯域を拡げたものもあるが、そのようなスピーカはかなり大型になってしまうばかりでなく、大きな面積を有する振動膜を固定電極に対して一定の距離だけ離間して保持することはかなりの困難を伴った。さらに、振動膜の振動を外部に音波信号として放射するために、固定電極にパンチングメタルと呼ばれる多数の孔が形成された部品を用いなければならないため、製造コストが割高になっていた。
そこで、大型化することなく周波数帯域の全域の周波数特性を向上させることができるスピーカとして、ハイル型と呼ばれるものが提案されるようになった。このハイル型スピーカは、例えば、特許文献1(特公昭55ー42555号公報)に開示されているように、1枚の振動板を蛇行するように折り曲げるとともにその両端部をケーシングに支持し、振動板の両側部に磁石を配置して構成されている。このようなハイル型スピーカにおいては、振動板を蛇行するように曲げているので、大型化することなく振動板の総面積を大きくすることができ、低音域までカバーすることができるという利点がある。
しかしながら、上記のようなハイル型スピーカでは、振動板の両端部のみを支持してその間をフリーにしていることから、振動板の形状を所定の形状に保持するためにはその大きさに限界があった。このため、低音域を充分にカバーすることができなかった。また、振動板の両側部に磁石を配置しているため、磁石同士の距離が長くなり、振動板全体を振動させるような強い磁場を形成する必要があることから、かなり大型の磁石を使用しなければならないという問題もあった。
そこで、特許文献2(特開平8−242498号公報)で開示されるようなスピーカも提案されるようになった。この特許文献2にて開示されたスピーカにあっては、板状の固定電極を互いに平行に離間するように複数配置して電極集合体を構成し、各固定電極同士の中間に、振動膜をその縁部に配置したスペーサを介して挟持する。また、この振動膜にバイアス電圧を印加するとともに、両端部に音声電圧を発生させる音声電圧発生手段の一方の端部と他方の端部とを固定電極に交互に接続する。そして、スペーサに、振動膜が固定電極側へ振れる際に、電極集合体の一側から空気が吐出されると同時に電極集合体の他側から空気が吸引される開口部を設けるようにして、スピーカを構成するようにしている。
さらに、ピエゾフィルムを積層して作ったバイモルフによって、アコ−ディオンのヒダのくぼみを拡張させたり収縮させて、音波を放射するフィルムスピーカが特許文献3(特開2002−27592号公報)で提案されるようになった。
特公昭55ー42555号公報 特開平8−242498号公報 特開2002−27592号公報
しかしながら、上述した特許文献2にて提案されたスピーカにおいては、振動膜(フィルム)とスペーサを順に積み上げていくため、工数がかかり、生産性が悪いという問題を生じた。また、出力アンプの信号端子の一方の端部と他方の端部とを多数の固定電極に交互に接続する必要があるため、生産性も悪いという問題も生じた。また、裏面に設置した固定電極からの駆動しか使わないので効率も十分ではないという問題も生じた。
一方、上述した特許文献3にて提案されたフィルムスピーカにおいては、フィルムの駆動にピエゾフィルムを使うため、電圧と変形量のリニア性(線形性)が充分に良好なものでなく、音質は歪っぽいという問題を生じた。
そこで、本発明は上記の如き問題点を解消するためになされたものであって、構造が簡単・容易で、薄型で、変換効率に優れるとともに、入力に対する応答のリニア性(線形性)も良好で、音の歪が少なく、かつ安価なフィルムスピーカを提供するとともに、この種のスピーカを簡単・容易に製造できる製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のフィルムスピーカにおいては、オーディオ信号に応じた駆動電圧が付与される固定電極と、当該固定電極に対向して移動可能でバイアス電圧が付与されるバイアス電極を有するフィルム部材とを備えている。そして、フィルム部材は折り畳まれて複数の山部と谷部とが形成されているとともに山部および谷部の先端部の上下部は一対の固定枠に接着剤により固定されており、山部を形成する空間内および谷部を形成する空間内の少なくとも一方の空間内の中央部に固定電極が配置されているとともにバイアス電極は導電性薄膜であって、当該導電性薄膜が固定電極に対向するようにフィルム部材の表面および裏面の両方に形成されており、これらの導電性薄膜の極性が異なるようにバイアス電圧が付与されて、固定電極に付与されたオーディオ信号に応じた駆動電圧に基づく当該固定電極とバイアス電極との間のクーロン力によりバイアス電極を有するフィルム部材により形成される空間内に存在する空気が押し出されたり引き戻されることにより空気振動が生じて音波を発生するようになされていることを特徴とする。
このように、駆動電極に付与されたオーディオ信号に応じた駆動電圧に基づく駆動電極とバイアス電極との間のクーロン力により、バイアス電極を有するフィルム部材により形成される空間内に存在する空気が押し出されたり引き戻されることにより空気振動が生じて音波を発生するようになされていると、構造が単純で、変換効率(オーディオ信号を音波に変換する効率)に優れるとともに、入力に対する応答のリニア性(線形性) もよくて、音の歪が少ないフィルムスピーカを得ることが可能となる。また、一枚の薄膜フィルムを折り曲げて作製することが可能となるため、製造が容易で、生産性効率が向上し、薄型で軽量で、かつ安価なフィルムスピーカを作製することが可能となる。
この場合、フィルム部材は可動することが容易な熱可塑性樹脂フィルムあるいは熱硬化性樹脂フィルムなどの樹脂フィルムからなるのが望ましい。また、バイアス電極は導電性薄膜であって、この導電性薄膜フィルム部材の表面および裏面の両方に形成されているとともに、これらの導電性薄膜の極性が異なるようにバイアス電圧が付与されるようにするのが望ましい。
また、固定電極は導電性板状体、絶縁板の表裏両面に形成された導電性板状体あるいは絶縁体の表裏両面に導電性薄膜が被覆された板状体であるのが望ましい。この場合、導電性板状体あるいは絶縁体の表裏両面に被覆された導電性薄膜は銅、アルミニウム、クロム、チタン、金、ニッケル、鉄から選択される金属またはそれらの合金から形成された板状体あるいは薄膜、カーボン、ITO(Indium-Tin-Oxide)から選択される導電性無機材料から形成された板状体あるいは薄膜、微細な金属粉末を分散させた導電性樹脂材料から形成された板状体あるいは薄膜のいずれか1つであるのが望ましい。また、絶縁体の表裏面に形成された導電性薄膜は互いに逆極性となるように接続されていると、変換効率がさらに向上するので望ましい。そして、固定電極およびバイアス電極の少なくとも一方の表面は絶縁膜で被覆されていると、バイアス電極と固定電極との短絡が防止できるので望ましい。
上述のようなフィルムスピーカを作製するに際しては、バイアス電極が形成された薄膜フィルムの表面側および裏面側に円柱状あるいは角柱状の曲げ治具を配置する治具配置工程と、薄膜フィルムの裏面側に配置された曲げ治具と、薄膜フィルムの表面側に配置された曲げ治具とを互に引張するようにして当該薄膜フィルムを折り畳む折り畳み工程と、薄膜フィルムが折り畳たたまれて形成された山部および谷部の少なくとも一方の空間部の中央部に固定電極を配置する固定電極配置工程と、薄膜フィルムの山部および谷部の先端部の上下部を一対の固定枠に接着剤により固定する先端部固定工程とを備えるようにすればよい。この場合、先端部固定工程の後に、曲げ治具除去工程を設けて曲げ治具を取り除くようにしても、あるいは取り除くことなくそのまま曲げ治具を配置するようにしてもよい。
本発明においては、駆動電極に付与されたオーディオ信号に応じた駆動電圧に基づく当該駆動電極とバイアス電極との間のクーロン力により、バイアス電極を有するフィルム部材により形成される空間内に存在する空気が押し出されたり引き戻されることにより空気振動が生じて音波を発生するようになされている。これにより、構造が簡単・容易で、薄型で、変換効率に優れるとともに、入力に対する応答のリニア性(線形性)も良好で、音の歪が少なく、かつ製造が容易で、安価なフィルムスピーカを提供することが可能となる。
以下に、本発明の実施の形態を図1〜図27に基づいて説明するが、本発明はこの実施の形態に何ら限定されるものでなく、本発明の目的を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。なお、図1は本発明の実施例1のフィルムスピーカを模式的に示す断面図であり、図2は実施例1の変形例のフィルムスピーカを模式的に示す断面図である。また、図3は、図1および図2のフィルムスピーカの製造工程の一部を模式的に示す断面図であり、図4は、図1および図2のフィルムスピーカの製造工程の一部を模式的に示す図である。また、図5は、図1のフィルムスピーカの製造工程の一部を模式的に示す図であり、図6は、図2のフィルムスピーカの製造工程の一部を模式的に示す図であり、図7は他の製造法を模式的に示す断面図である。
図8は実施例2のフィルムスピーカを模式的に示す断面図であり、図9は実施例2の変形例のフィルムスピーカを模式的に示す断面図である。図10は実施例3のフィルムスピーカを模式的に示す断面図であり、図11は実施例3の変形例のフィルムスピーカを模式的に示す図である。図12は実施例4のフィルムスピーカを模式的に示す断面図であり、図13は実施例4の変形例のフィルムスピーカを模式的に示す図である。図14は実施例5のフィルムスピーカを模式的に示す断面図であり、図15は実施例5の変形例のフィルムスピーカを模式的に示す図である。図16は実施例6のフィルムスピーカを模式的に示す断面図であり、図17は実施例6の変形例のフィルムスピーカを模式的に示す図である。図18は実施例7のフィルムスピーカを模式的に示す断面図であり、図19は実施例7の変形例のフィルムスピーカを模式的に示す図である。
図20は実施例8のフィルムスピーカを模式的に示す断面図であり、図21は実施例8の変形例のフィルムスピーカを模式的に示す図である。図22は1ユニットによるスピーカアレイを形成して放音させる例を模式的に示す図であり、図23は1ユニットによるスピーカアレイを形成して放音させる例を模式的に示す図である。図24は1ユニットによるスピーカアレイを形成して放音させる例を模式的に示す図である。図25は遅延アレイ方式を用いたスピーカアレイシステムを説明するブロック図である。図26は1枚フィルムに1ユニットのフィルムスピーカの複数個を1列形成して構成されたマルチスピーカおよびその放音例を模式的に示す図である。図27は1枚フィルムに1ユニットのフィルムスピーカの複数個を複数列形成して構成されたマルチスピーカおよびその放音例を模式的に示す図である。
1.実施例1
本実施例1のフィルムスピーカ10は、図1に示すように、つづら折りされて表側に向けて突出する山部A1,A2,A3・・・と裏側に向けて凹む谷部B1,B2,B3・・・とが形成された単極エレクトレット膜からなる樹脂フィルム11と、山部A1,A2,A3・・・(あるいは谷部B1,B2,B3・・・)内の中央部(この場合は、山部A1,A2,A3・・・内の中央部)に配置され、かつこれらの山部A1,A2,A3・・・(あるいは谷部B1,B2,B3・・・)を形成する側壁に相対向して平行になるように配置された複数の固定電極13とを備えている。この場合、複数の固定電極13は直列接続されていて、これにオーディオ信号(Vin)が印加されるようになされているが、複数の固定電極13はそれぞれ並列接続であってもよい。
また、山部A1,A2,A3・・・の先端部となる表側折曲端部11aを固定する表側固定枠15と、谷部B1,B2,B3・・・の先端部となる裏側折曲端部11bを固定する裏側固定枠16とを備えている。この場合、単極エレクトレット膜からなる樹脂フィルム11は折り畳み方向に移動可能なバイアス電極(移動電極)となり、固定電極13はオーディオ信号(Vin)に応じた電圧が印加されて駆動電極となる。また、表側固定枠15と裏側固定枠16とは、図示しない枠体や箱体などにより固定されるようになされている。なお、上述した「表側」とはフィルムスピーカ10が形成された場合の聴取側を意味し、「裏側」はこれの反対側を意味し、以下の記載においても同様である。
この場合、つづら折りされた単極エレクトレット膜からなる樹脂フィルム11の表側折曲端部11aは表側固定枠15に接着剤などにより固定されているとともに、裏側折曲端部11bは裏側固定枠16に接着剤などにより固定されている。そして、表側固定枠15および裏側固定枠16にはこれらの内外で空気が流通できるような空気開口部(図示せず)が設けられている。また、山部A1,A2,A3・・・内の中央部に配置された固定電極13は裏側固定枠16に接着剤などにより固定されている。さらに、表側固定枠15および裏側固定枠16にはパッド(図示せず)が形成されていて、このパッドに固定電極13より延出して形成された配線が接続されている。
ここで、樹脂フィルム(単極エレクトレット膜)11としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、4フッ化エチレン−6フッ化ポリプロピレン(FEP)などの高分子フィルムを用いており、例えばコロナ放電されたイオンを打ち込むことにより、当該フィルムの裏面に電荷が形成されるような単極エレクトレット処理が施されている。この場合は、図1に示すように、当該樹脂フィルム11の裏面にプラス(+)の電荷が形成されているものとする。また、固定電極13は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉄などの金属あるいはそれらの合金、または、カ−ボン、ITO(Indium-Tin-Oxide)などの導電性無機材料からなり、これらが板状に形成されている。
上述のように構成された実施例1のフィルムスピーカ10において、バイアス電極となる単極エレクトリック膜(樹脂フィルム11)は、例えば、図1(a)に示すように、裏面側にプラス(+)の電荷が形成されている。そして、固定電極(駆動電極)13にオーディオ信号(Vin)が印加されて、例えば、図1(b)に示すように、固定電極(駆動電極)13にマイナス(−)の電圧が付与されたとする。すると、山部A1,A2,A3・・・内に配置された固定電極(駆動電極)13と、これに対向する樹脂フィルム(バイアス電極)11との間で互に引き寄せられるようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力f1が作用することとなる。これにより、外部から谷部B1,B2,B3・・・内(図1(b)の白抜き矢印X1方向)に空気が吸引される(引き戻される)こととなる。
また、固定電極(駆動電極)13にオーディオ信号(Vin)が印加されて、例えば、図1(c)に示すように、固定電極(駆動電極)13にプラス(+)の電圧が付与されれたとする。すると、山部A1,A2,A3・・・内に配置された固定電極(駆動電極)13と、これに対向する樹脂フィルム(バイアス電極)11との間で互に反撥するようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力f2が作用する。これにより、谷部B1,B2,B3・・・内に存在する空気が外部(図1(c)の白抜き矢印X2方向)に押し出されることとなる。
そして、固定電極(駆動電極)13に交流電圧からなるオーディオ信号(Vin)が繰り返して印加されると、谷部B1,B2,B3・・・内(あるいは山部A1,A2,A3・・・内)に存在する空気の押し出しと引き戻しが繰り返されて、オーディオ信号(Vin)に応じた音波の波面が形成されることとなる。
このような固定電極(駆動電極)13に対する樹脂フィルム(バイアス電極)11の変位が、樹脂フィルム(バイアス電極)11により形成された谷部B1,B2,B3・・・内(あるいは山部A1,A2,A3・・・内)に存在する空気の出入りを生むこととなって、オーディオ信号(Vin)に応じた空気振動が生み出されることとなる。
〈変形例〉
上述した実施例1においては、固定電極(駆動電極)13を樹脂フィルム(バイアス電極)11で形成された山部A1,A2,A3・・・内のみに配置する例について説明した。ところが、固定電極(駆動電極)13は山部A1,A2,A3・・・内のみに限らず谷部B1,B2,B3・・・内にも配置することが可能である。そこで、本変形例においては、固定電極(駆動電極)13を山部A1,A2,A3・・・内および谷部B1,B2,B3・・・内の両方に配置した例について、図2に基づいて以下に説明する。
本変形例のフィルムスピーカ10aにおいては、図2(なお、図2において、図1と同一符号は同一名称を表している)に示すように、山部A1,A2,A3・・・内に第1固定電極(駆動電極)13が配置されているとともに、谷部B1,B2,B3・・・内にも第2固定電極(駆動電極)14が配置されている点で、上述した実施例1のフィルムスピーカ10と異なるが、その他の点については上述した実施例1のフィルムスピーカ10と同様であるので、その詳細な説明は省略する。この場合、複数の第1固定電極13同士および複数の第2固定電極14同士は直列接続されていて、これらにオーディオ信号(Vin)が印加されるようになされている。なお、複数の第1固定電極13同士および複数の第2固定電極14同士はそれぞれ並列接続であって、これらにオーディオ信号(Vin)が印加されるようにしてもよい。
そして、谷部B1,B2,B3・・・内に配置された第2固定電極(駆動電極)14は、表側固定枠15に接着剤などにより固定されているとともに、この表側固定枠15にはパッド(図示せず)が形成されていて、このパッドに固定電極14より延出して形成された配線(図示せず)が接続されている。なお、複数の固定電極13および複数の固定電極14はそれぞれ直列接続されるように形成されていて、これらにオーディオ信号(Vin)が印加されるようになされている。
上述のように構成された変形例のフィルムスピーカ10aにおいて、バイアス電極となる単極エレクトリック膜(樹脂フィルム11)は、例えば、図2(a)に示すように、裏面側にプラス(+)の電荷が形成されている。そして、第1固定電極(駆動電極)13および第2固定電極(駆動電極)14にオーディオ信号(Vin)が印加されて、例えば、図2(b)に示すように、第1固定電極(駆動電極)13にマイナス(−)の電圧が付与されるとともに、第2固定電極(駆動電極)14にプラス(+)の電圧が付与されたとする。すると、山部A1,A2,A3・・・内に配置された第1固定電極(駆動電極)13と、これに対向する樹脂フィルム(バイアス電極)11との間で互に引き寄せられるようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力(吸引力)f1が作用することとなる。
また、谷部B1,B2,B3・・・内に配置された第2固定電極(駆動電極)14と、これに対向する樹脂フィルム(バイアス電極)11との間で互に反撥するようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力(反撥力)f3が作用する。これにより、外部から谷部B1,B2,B3・・・内(図2(b)の白抜き矢印X1方向)に空気が吸引される(引き戻される)こととなる。この場合、第1固定電極(駆動電極)13と山部A1,A2,A3・・・を形成する樹脂フィルム(バイアス電極)11との間の吸引力f1に、第2固定電極(駆動電極)14と谷部B1,B2,B3・・・を形成する樹脂フィルム(バイアス電極)11との反撥力f3が付加されるので、外部から谷部B1,B2,B3・・・内に吸引される空気量は実施例1よりも多くなる。
また、第1固定電極(駆動電極)13にオーディオ信号(Vin)が印加されて、例えば、図2(c)に示すように、第1固定電極(駆動電極)13にプラス(+)の電圧が付与されるとともに、第2固定電極(駆動電極)14にマイナス(−)の電圧が付与されれたとする。すると、第1固定電極(駆動電極)13と、これに対向する樹脂フィルム(バイアス電極)11との間で互に反撥するようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力(反撥力)f2が作用する。また、第2固定電極(駆動電極)14と、これに対向する樹脂フィルム(バイアス電極)11との間で互に引き寄せられるようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力(吸引力)f4が作用する。
これにより、谷部B1,B2,B3・・・内に存在する空気が外部(図2(c)の白抜き矢印X2方向)に押し出されることとなる。この場合、第1固定電極(駆動電極)13と山部A1,A2,A3・・・を形成する樹脂フィルム(バイアス電極)11との間の吸引力f2に、第2固定電極(駆動電極)14と谷部B1,B2,B3・・・を形成する樹脂フィルム(バイアス電極)11との反撥力f4が付加されるので、谷部B1,B2,B3・・・内から外部に押し出される空気量は実施例1よりも多くなる。
そして、第1固定電極(駆動電極)13および第2固定電極(駆動電極)14に交流電圧からなるオーディオ信号(Vin)が繰り返して印加されると、実施例1と同様に、谷部B1,B2,B3・・・内(あるいは山部A1,A2,A3・・・内)に存在する空気の押し出しと引き戻し(吸引)が繰り返されて、音波の波面が形成されることとなる。
〈製造方法〉
ついで、上述のような構成となる実施例1のフィルムスピーカ10およびその変形例のフィルムスピーカ10aの製造方法を図3〜図6に基づいて、以下に詳細に説明する。まず、図3に示すように、厚みが5〜500μmでポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、4フッ化エチレン−6フッ化ポリプロピレン(FEP)などの高分子フィルムからなり、例えばコロナ放電されたイオンを打ち込むことにより、当該フィルムの裏面に電荷が形成されるような単極エレクトレット処理が施され、当該フィルムの裏面にプラス(+)の電荷が形成された単極エレクトレット膜からなる樹脂フィルム(バイアス電極)11を用意する。
ついで、図4に示すように、樹脂フィルム(バイアス電極)11の表裏面に交互に複数の円柱状の曲げ治具17,18を配置する。この場合、山部A1,A2,A3・・・を形成するために曲げ治具17を樹脂フィルム(バイアス電極)11の裏面に配置し、谷部B1,B2,B3・・・を形成するために曲げ治具18を樹脂フィルム(バイアス電極)11の表面に配置する。ついで、樹脂フィルム(バイアス電極)11の裏面に配置された曲げ治具17を上方に引張するとともに、樹脂フィルム(バイアス電極)11の表面に配置された曲げ治具18を下方に引張して、樹脂フィルム(バイアス電極)11をつづら折り状に折り曲げる。
ついで、つづら折りされた樹脂フィルム(バイアス電極)11の上端部に、空気が流通できるような空気開口部(図示せず)が設けられた表側固定枠15を配置するとともに、下端部に、同様に空気が流通できるような空気開口部(図示せず)が設けられた裏側固定枠16を配置した。この後、樹脂フィルム(バイアス電極)11の表側折曲端部11aを表側固定枠15に接着剤などで固着するとともに、樹脂フィルム(バイアス電極)11の裏側折曲端部11bを裏側固定枠16に接着済などで固着した。ここで、実施例1のフィルムスピーカ10を作製する場合は、図5に示すように、固定電極13が配設された裏側固定枠16,16を用いて、樹脂フィルム(バイアス電極)11がつづら折り状に折り曲げられて形成された山部A1,A2,A3・・・の中央部に各固定電極13が配置されるようにしている。なお、この裏側固定枠16にはパッド(図示せず)が形成されていて、このパッドに固定電極13より延出して形成された配線が接続されている。この場合、曲げ治具17,18を取り外すようにしてもよいし、図5に示すように、曲げ治具17,18を取り外すことなく、そのまま残すようにしてもよい。
また、変形例のフィルムスピーカ10aを作製する場合は、図6に示すように、第1固定電極13が配設された裏側固定枠16,16を用いるとともに、第2固定電極14が配設された表側固定枠15,15を用いる。そして、樹脂フィルム(バイアス電極)11がつづら折り状に折り曲げられて形成された山部A1,A2,A3・・・の中央部に各第1固定電極13が配置されるようにするとともに、谷部B1,B2,B3・・・の中央部に各第2固定電極14が配置されるようにしている。なお、この裏側固定枠16にはパッド(図示せず)が形成されていて、このパッドに第1固定電極13より延出して形成された配線が接続されており、表側固定枠15にはパッド(図示せず)が形成されていて、このパッドに第2固定電極14より延出して形成された配線が接続されている。この場合、曲げ治具17,18を取り外すようにしてもよいし、図6に示すように、曲げ治具17,18を取り外すことなく、そのまま残すようにしてもよい。
上述した製造方法においては、樹脂フィルム(バイアス電極)11をつづら折りにするに際して、樹脂フィルム(バイアス電極)11の表裏面に交互に円柱状の曲げ治具17,18を配置して断面が略半円形の曲げ部が形成されるようにした。ところが、曲げ部の形状は半円形に限られることなく、種々の変形例が考えられる。例えば、図7に示すように、樹脂フィルム(バイアス電極)11の表裏面に交互に角柱状の曲げ治具19a,19bを配置し、曲げ治具19aを上方に引張するとともに、曲げ治具19bを下方に引張して、樹脂フィルム(バイアス電極)11の上端部および下端部を矩形状につづら折りするようにすればよい。この場合も、曲げ治具19a,19bを取り外すようにしてもよいし、取り外すことなく、そのまま残すようにしてもよい。
2.実施例2
上述した実施例1においては、樹脂フィルム11をバイアス電極とするために樹脂フィルム11を単極エレクトレット膜で構成する例について説明したが、単極エレクトレット膜に代えて分極エレクトレット膜(双極エレクトレット膜)を用いて、図8に示すような実施例2のフィルムスピーカ20を構成することができる。
この場合、図8に示すように、つづら折りされて表側に向けて突出する山部A1,A2,A3・・・と裏側に向けて凹む谷部B1,B2,B3・・・とが形成された分極エレクトレット膜からなる樹脂フィルム21と、山部A1,A2,A3・・・(あるいは谷部B1,B2,B3・・・)内の中央部(この場合は、山部A1,A2,A3・・・内の中央部)に配置され、かつ山部A1,A2,A3・・・(あるいは谷部B1,B2,B3・・・)の側壁に相対向して平行になるように配置された複数の固定電極23とを備えている。なお、複数の固定電極23は直列接続されていて、これらにオーディオ信号(Vin)が印加されるようになされているが、複数の固定電極23は並列接続して、これらにオーディオ信号(Vin)が印加されるようにしてもよい。
また、山部A1,A2,A3・・・の先端部となる表側折曲端部21aを固定する表側固定枠25と、谷部B1,B2,B3・・・の先端部となる裏側折曲端部21bを固定する裏側固定枠26とを備えている。そして、分極エレクトレット膜からなる樹脂フィルム21の表側折曲端部21aは表側固定枠25に接着剤などにより固定されているとともに、裏側折曲端部21bは裏側固定枠26に接着剤などにより固定されている。なお、表側固定枠25および裏側固定枠26にはこれらの内外で空気が流通できるような空気開口部(図示せず)が設けられている。また、固定電極23は裏側固定枠26に接着剤などにより固定されている。さらに、表側固定枠25および裏側固定枠26にはパッド(図示せず)が形成されていて、このパッドに固定電極23より延出して形成された配線が接続されている。
ここで、樹脂フィルム(分極エレクトレット膜)21としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、4フッ化エチレン−6フッ化ポリプロピレン(FEP)などの高分子フィルムを用いており、例えばコロナ放電処理することにより、当該フィルムの表裏面に互に極性が異なる電荷が形成されるような分極処理が施されている。この場合、図8に示すように、表面にマイナス(−)の電荷が形成され、裏面にプラス(+)の電荷が形成されているものとする。なお、固定電極23は、実施例1の固定電極13と同様な材質により形成されている。
上述のように構成された実施例2のフィルムスピーカ20において、固定電極(駆動電極)23にオーディオ信号(Vin)が印加されて、例えば、図8(b)に示すように、固定電極(駆動電極)23にマイナス(−)の電圧が付与されたとする。すると、山部A1,A2,A3・・・内に配置された固定電極(駆動電極)23と、これに対向する樹脂フィルム(バイアス電極)21との間で互に引き寄せられるようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力f1が作用することとなる。これにより、外部から谷部B1,B2,B3・・・内(図8(b)の白抜き矢印X1方向)に空気が吸引される(引き戻される)こととなる。
また、固定電極(駆動電極)23にオーディオ信号(Vin)が印加されて、例えば、図8(c)に示すように、固定電極(駆動電極)23にプラス(+)の電圧が付与されれたとする。すると、山部A1,A2,A3・・・内に配置された固定電極(駆動電極)23と、これに対向する樹脂フィルム(バイアス電極)21との間で互に反撥するようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力f2が作用する。これにより、谷部B1,B2,B3・・・内に存在する空気が外部(図8(c)の白抜き矢印X2方向)に押し出されることとなる。
そして、固定電極(駆動電極)23に交流電圧からなるオーディオ信号(Vin)が繰り返して印加されると、谷部B1,B2,B3・・・内(あるいは山部A1,A2,A3・・・内)に存在する空気の押し出しと引き戻しが繰り返されて、上述した実施例1と同様に、オーディオ信号(Vin)に応じた音波の波面が形成されることとなる。
〈変形例〉
上述した実施例2においても、上述した実施例1の変形例と同様に、固定電極(駆動電極)23を山部A1,A2,A3・・・内のみに限らず谷部B1,B2,B3・・・内にも配置することが可能であり、その本変形例を図9(なお、図9において、図8と同一符号は同一名称を表している)に基づいて以下に説明する。本変形例のフィルムスピーカ20aにおいては、山部A1,A2,A3・・・内に第1固定電極(駆動電極)23が配置されているとともに谷部B1,B2,B3・・・内にも第2固定電極(駆動電極)24が配置されている。この場合、谷部B1,B2,B3・・・内に配置された第2固定電極(駆動電極)24は、表側固定枠25に接着剤などにより固定されているとともに、この表側固定枠25にはパッド(図示せず)が形成されていて、このパッドに固定電極24より延出して形成された配線(図示せず)が接続されている。なお、複数の固定電極23および複数の固定電極24は直列接続されていて、これらにオーディオ信号(Vin)が印加されるようになされているが、複数の固定電極23および複数の固定電極24は並列接続して、これらにオーディオ信号(Vin)が印加されるようにしてもよい。
上述のように構成された変形例のフィルムスピーカ20aにおいて、バイアス電極となるエレクトリック膜(樹脂フィルム21)は、例えば、図9(a)に示すように、表面側にマイナス(−)の電荷が形成され、裏面側にプラス(+)の電荷が形成されている。そして、第1固定電極(駆動電極)23および第2固定電極(駆動電極)24にオーディオ信号(Vin)が印加されて、例えば、図9(b)に示すように、第1固定電極(駆動電極)23および第2固定電極(駆動電極)24にマイナス(−)の電圧が付与されたとする。すると、山部A1,A2,A3・・・内に配置された第1固定電極(駆動電極)23と、これに対向する樹脂フィルム(バイアス電極)21との間で互に引き寄せられるようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力(吸引力)f1が作用することとなる。
一方、谷部B1,B2,B3・・・内に配置された第2固定電極(駆動電極)24と、これに対向する樹脂フィルム(バイアス電極)21との間で互に反撥するようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力(反撥力)f3が作用する。これにより、外部から谷部B1,B2,B3・・・内(図9(b)の白抜き矢印X1方向)に空気が吸引される(引き戻される)こととなる。この場合、第1固定電極(駆動電極)23と山部A1,A2,A3・・・を形成する樹脂フィルム(バイアス電極)21との間の吸引力f1に、第2固定電極(駆動電極)24と谷部B1,B2,B3・・・を形成する樹脂フィルム(バイアス電極)21との反撥力f3が付加されるので、外部から谷部B1,B2,B3・・・内に吸引される空気量は実施例2よりも多くなる。
また、第1固定電極(駆動電極)23および第2固定電極(駆動電極)24にオーディオ信号(Vin)が印加されて、例えば、図9(c)に示すように、第1固定電極(駆動電極)23および第2固定電極(駆動電極)24にプラス(+)の電圧が付与されたとする。すると、山部A1,A2,A3・・・内に配置された第1固定電極(駆動電極)23と、これに対向する樹脂フィルム(バイアス電極)21との間で互に反撥するようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力(反撥力)f2が作用する。また、谷部B1,B2,B3・・・内に配置された第2固定電極(駆動電極)24と、これに対向する樹脂フィルム(バイアス電極)21との間で互に引き寄せられるようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力(吸引力)f4が作用する。
これにより、谷部B1,B2,B3・・・内に存在する空気が外部(図9(c)の白抜き矢印X2方向)に押し出されることとなる。この場合、第1固定電極(駆動電極)23と山部A1,A2,A3・・・を形成する樹脂フィルム(バイアス電極)21との間の反撥力f2に、第2固定電極(駆動電極)24と谷部B1,B2,B3・・・を形成する樹脂フィルム(バイアス電極)21との吸引力f4が付加されるので、谷部B1,B2,B3・・・内から外部に押し出される空気量は実施例2よりも多くなる。
そして、第1固定電極(駆動電極)23および第2固定電極(駆動電極)24に交流電圧からなるオーディオ信号(Vin)が繰り返して印加されると、谷部B1,B2,B3・・・内(あるいは山部A1,A2,A3・・・内)に存在する空気の押し出しと引き戻し(吸引)が繰り返されて、音波の波面が形成されることとなる。
なお、上述した実施例2のフィルムスピーカ20および変形例のフィルムスピーカ20aを製造するに際しては、樹脂フィルム21として分極エレクトレット膜を用いたこと以外は、上述した実施例1およびその変形例の製造方法とほぼ同様であるので、その製造方法についての説明は省略する。
3.実施例3
実施例3のフィルムスピーカ30は、図10に示すように、つづら折りされて表側に向けて突出する山部A1,A2,A3・・・と裏側に向けて凹む谷部B1,B2,B3・・・とが形成された樹脂フィルム31と、この樹脂フィルム31の裏面に形成された導電性薄膜32と、山部A1,A2,A3・・・(あるいは谷部B1,B2,B3・・・)内の中央部(この場合は、山部A1,A2,A3・・・内の中央部)に配置され、かつこれらの導電性薄膜32に相対向して平行になるように配置された複数の固定電極33とを備えている。
この場合、樹脂フィルム31の裏面に形成された導電性薄膜32は折り畳み方向に移動可能なバイアス電極となり、固定電極33はオーディオ信号(Vin)に応じた電圧が印加されて駆動電極となる。なお、導電性薄膜32には直流バイアス電源Vが接続されている。また、複数の固定電極33は直列接続されていて、これらにオーディオ信号(Vin)が印加されるようになされているが、これらの複数の固定電極33を並列接続して、これらにオーディオ信号(Vin)が印加されるようにしてもよい。
また、山部A1,A2,A3・・・の先端部となる表側折曲端部31aを固定する表側固定枠35と、谷部B1,B2,B3・・・の先端部となる裏側折曲端部31bを固定する裏側固定枠36とを備えている。そして、表側固定枠35と裏側固定枠36とは、図示しない枠体や箱体などにより固定されるようになされている。この場合、表側折曲端部31aは表側固定枠35に接着剤などにより固定されているとともに、裏側折曲端部31bは裏側固定枠36に接着剤などにより固定されている。なお、表側固定枠35および裏側固定枠36にはこれらの内外で空気が流通できるような空気開口部(図示せず)が設けられている。また、山部A1,A2,A3・・・内の中央部に配置された固定電極33は裏側固定枠36に接着剤などにより固定されているとともに、この裏側固定枠36にはパッド(図示せず)が形成されていて、このパッドに固定電極33より延出して形成された配線が接続されている。
ここで、樹脂フィルム31の材質としては、ポリイミド(カプトン〈登録商標〉)、ナイロン、ポリエステル(マイラー〈登録商標〉)などの熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂からなる樹脂フィルムが使用できる。なお、これらの樹脂フィルムの厚みは5〜500μmであるのが望ましい。これは、厚みが5μm未満であると剛性が低すぎて柔軟なために所定の形状を維持することができなく、かつ強度も低くて破れやすいためである。一方、厚みが500μmを越えるようになると、剛性が高すぎて剛直なために振動板としての変位を生じにくいためである。
導電性薄膜32は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉄などの金属あるいはそれらの合金、または、カーボン、ITO(Indium-Tin-Oxide)などの導電性無機材料、微細な金属粒子を分散させた導電性樹脂などの材料が使用可能である。この場合、これらの導電性薄膜32は、スパッタリング、蒸着、メッキなどの薄膜プロセスで作製した金属薄膜を、エッチングでパターニングする方法や、リソグラフでレジストをパターニングした後、金属をパターンメッキしたり、リフトオフで金属をパターン蒸着する方法や、金属膜と振動板フィルムを積層接着した後、エッチングでパターニングする方法や、印刷技術やインクジェットなどの方法で、導電材料をパターニングしつつコーティングする方法等の様々な方法により形成することが可能である。
また、固定電極33は、実施例1の固定電極13と同様な材質により形成されており、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)などの金属あるいはそれらの合金、または、カ−ボン、ITO(Indium-Tin-Oxide)などの導電性無機材料からなり、これらが板状に形成されている。なお、固定電極33の表面は、図示しない絶縁膜でコーティングするのが望ましい。これは、導電性薄膜32と固定電極33とが直接接触するショートの発生を防止するためである。
上述のように構成された実施例3のフィルムスピーカ30において、例えば、図10(a)に示すように、直流バイアス電源Vからバイアス電極となる導電性薄膜32にプラス(+)の電圧が印加されているものとする。そして、固定電極(駆動電極)33にオーディオ信号(Vin)が印加されて、例えば、図10(b)に示すように、固定電極(駆動電極)33にマイナス(−)の電圧が付与されたとする。すると、山部A1,A2,A3・・・内に配置された固定電極(駆動電極)33と、これに対向する樹脂フィルム31に形成された導電性薄膜32との間で互に引き寄せられるようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力f1が作用することとなる。これにより、外部から谷部B1,B2,B3・・・内(図10(b)の白抜き矢印X1方向)に空気が吸引される(引き戻される)こととなる。
また、固定電極(駆動電極)33にオーディオ信号(Vin)が印加されて、例えば、図10(c)に示すように、固定電極(駆動電極)33にプラス(+)の電圧が付与されれたとする。すると、山部A1,A2,A3・・・内に配置された固定電極(駆動電極)33と、これに対向する樹脂フィルム31に形成された導電性薄膜32との間で互に反撥するようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力f2が作用する。これにより、谷部B1,B2,B3・・・内に存在する空気が外部(図10(c)の白抜き矢印X2方向)に押し出されることとなる。
そして、固定電極(駆動電極)33に交流電圧からなるオーディオ信号(Vin)が繰り返して印加されると、谷部B1,B2,B3・・・内(あるいは山部A1,A2,A3・・・内)に存在する空気の押し出しと引き戻しが繰り返されて、オーディオ信号(Vin)に応じた音波の波面が形成されることとなる。
〈変形例〉
上述した実施例3においても、上述した実施例1の変形例と同様に、固定電極(駆動電極)33を山部A1,A2,A3・・・内のみに限らず谷部B1,B2,B3・・・内にも配置することが可能であり、その本変形例を図11(なお、図11において、図10と同一符号は同一名称を表している)に基づいて以下に説明する。
本変形例のフィルムスピーカ30aにおいては、山部A1,A2,A3・・・内に第1固定電極(駆動電極)33が配置されているとともに、谷部B1,B2,B3・・・内にも第2固定電極(駆動電極)34が配置されている。そして、谷部B1,B2,B3・・・内に配置された第2固定電極(駆動電極)34は、表側固定枠35に接着剤などにより固定されているとともに、この表側固定枠35にはパッド(図示せず)が形成されていて、このパッドに第2固定電極34より延出して形成された配線(図示せず)が接続されている。
この場合、複数の固定電極33同士および複数の固定電極34同士はそれぞれ直列接続されるようになされていて、これらにオーディオ信号(Vin)が印加されるようになされている。なお、複数の固定電極33同士および複数の固定電極34同士をそれぞれ並列接続して、これらにオーディオ信号(Vin)を印加するようにしてもよい。
上述のように構成された変形例のフィルムスピーカ30aにおいて、例えば、図11(a)に示すように、直流バイアス電源Vからバイアス電極となる導電性薄膜32にプラス(+)の電荷が印加されているものとする。そして、第1固定電極(駆動電極)33および第2固定電極(駆動電極)34にオーディオ信号(Vin)が印加されて、例えば、図11(b)に示すように、第1固定電極(駆動電極)33にマイナス(−)の電圧が付与され、第2固定電極(駆動電極)34にプラス(+)の電圧が付与されたとする。
すると、山部A1,A2,A3・・・内に配置された第1固定電極(駆動電極)33と、これに対向する導電性薄膜(バイアス電極)32との間で互に引き寄せられるようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力(吸引力)f1が作用することとなる。また、谷部B1,B2,B3・・・内に配置された第2固定電極(駆動電極)34と、これに対向する導電性薄膜(バイアス電極)32との間で互に反撥するようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力(反撥力)f3が作用する。これにより、外部から谷部B1,B2,B3・・・内(図11(b)の白抜き矢印X1方向)に空気が吸引される(引き戻される)こととなる。この場合、第1固定電極(駆動電極)33と導電性薄膜(バイアス電極)32との間の吸引力f1に、第2固定電極(駆動電極)34と導電性薄膜(バイアス電極)32との反撥力f3が付加されるので、外部から谷部B1,B2,B3・・・内に吸引される空気量は実施例3よりも多くなる。
一方、第1固定電極(駆動電極)33および第2固定電極(駆動電極)34にオーディオ信号(Vin)が印加されて、例えば、図11(c)に示すように、第1固定電極(駆動電極)33にプラス(+)の電圧が付与され、第2固定電極(駆動電極)34にマイナス(−)の電圧が付与されたとする。すると、第1固定電極(駆動電極)33と、これに対向する導電性薄膜(バイアス電極)32との間で互に反撥するようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力(反撥力)f2が作用する。また、第2固定電極(駆動電極)34と、これに対向する導電性薄膜(バイアス電極)32との間で互に引き寄せられるようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力(吸引力)f4が作用する。
これにより、谷部B1,B2,B3・・・内に存在する空気が外部(図11(c)の白抜き矢印X2方向)に押し出されることとなる。この場合、第1固定電極(駆動電極)33と導電性薄膜(バイアス電極)32との間の反撥力f2に、第2固定電極(駆動電極)34と導電性薄膜(バイアス電極)32との吸引力f4が付加されるので、谷部B1,B2,B3・・・内から外部に押し出される空気量は実施例3よりも多くなる。
そして、第1固定電極(駆動電極)33および第2固定電極(駆動電極)34に交流電圧からなるオーディオ信号(Vin)が繰り返して印加されると、谷部B1,B2,B3・・・内(あるいは山部A1,A2,A3・・・内)に存在する空気の押し出しと引き戻し(吸引)が繰り返されて、音波の波面が形成されることとなる。
上述した実施例3のフィルムスピーカ30およびその変形例のフィルムスピーカ30aを製造するに際しては、樹脂フィルム31に導電性薄膜32を形成する工程が異なること以外は、上述した実施例1およびその変形例の製造方法とほぼ同様であるので、その製造方法についての説明は省略する。なお、図10に示す実施例3および図11に示す実施例3の変形例の場合には、バイアス電極として金属フィルム、導電性高分子フィルム、金属フィラー入り高分子フィルムなどの導電性フィルムを使用することができる。
4.実施例4
実施例4のフィルムスピーカ40は、図12に示すように、つづら折りされて表側に向けて突出する山部A1,A2,A3・・・と裏側に向けて凹む谷部B1,B2,B3・・・とが形成された樹脂フィルム41と、この樹脂フィルム41の表面側に形成された第1導電性薄膜42aと、同様に樹脂フィルム41の裏面側に形成された第2導電性薄膜42bと、山部A1,A2,A3・・・(あるいは谷部B1,B2,B3・・・)内の中央部(この場合は、山部A1,A2,A3・・・内の中央部)に配置され、かつこれらの導電性薄膜42a,42bに相対向して平行になるように配置された固定電極43とを備えている。
つづら折りされた樹脂フィルム41および導電性薄膜42a,42bの表側折曲端部41aは表側固定枠45に接着剤などにより固定されているとともに、つづら折りされた樹脂フィルム41および導電性薄膜42a,42bの裏側折曲端部41bは裏側固定枠46に接着剤などにより固定されている。なお、表側固定枠45および裏側固定枠46にはこれらの内外で空気が流通できるような空気開口部(図示せず)が設けられている。また、山部A1,A2,A3・・・内の中央部に配置された固定電極43は裏側固定枠46に接着剤などにより固定されている。そして、表側固定枠45および裏側固定枠46にはパッド(図示せず)が形成されていて、このパッドに固定電極43より延出して形成された配線が接続されている。
この場合、樹脂フィルム41の表面側に形成された第1導電性薄膜42aと裏面側に形成された第2導電性薄膜42bは折り畳み方向に移動可能なバイアス電極となり、固定電極43はオーディオ信号(Vin)に応じた電圧が印加されて駆動電極となる。そして、第1導電性薄膜42aには第1直流バイアス電源V1が接続されており、第2導電性薄膜42bには第2直流バイアス電源V2が接続されている。また、複数の固定電極43は直列接続されていて、これらにオーディオ信号(Vin)が印加されるようになされているが、これらの複数の固定電極43を並列接続して、これらにオーディオ信号(Vin)が印加されるようにしてもよい。
なお、樹脂フィルム41、導電性薄膜42a,42bおよび固定電極43の材質はそれぞれ上述した実施例3の樹脂フィルム31の材質、導電性薄膜32の材質および固定電極33の材質と同様であり、これらの形成方法も上述した実施例3と同様である。
上述のように構成された実施例4のフィルムスピーカ40において、例えば、図12(a)に示すように、第1バイアス電極となる第1導電性薄膜42aに第1直流バイアス電源V1からマイナス(−)の電圧が印加され、第2バイアス電極となる第2導電性薄膜42bに第2直流バイアス電源V2からプラス(+)の電圧が印加されているものとする。そして、固定電極(駆動電極)43にオーディオ信号(Vin)が印加されて、例えば、図12(b)に示すように、固定電極(駆動電極)43にマイナス(−)の電圧が付与されたとする。
すると、固定電極(駆動電極)43と、これに対向する第2導電性薄膜42bとの間で互に引き寄せられるようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力f1が作用することとなる。これにより、外部から谷部B1,B2,B3・・・内(図12(b)の白抜き矢印X1方向)に空気が吸引される(引き戻される)こととなる。また、固定電極(駆動電極)43にオーディオ信号(Vin)が印加されて、例えば、図12(c)に示すように、固定電極(駆動電極)43にプラス(+)の電圧が付与されれたとする。すると、固定電極(駆動電極)43と、これに対向する第2導電性薄膜42bとの間で互に反撥するようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力f2が作用する。これにより、谷部B1,B2,B3・・・内に存在する空気が外部(図12(c)の白抜き矢印X2方向)に押し出されることとなる。
そして、固定電極(駆動電極)43に交流電圧からなるオーディオ信号(Vin)が繰り返して印加されると、谷部B1,B2,B3・・・内(あるいは山部A1,A2,A3・・・内)に存在する空気の押し出しと引き戻しが繰り返されて、オーディオ信号(Vin)に応じた音波の波面が形成されることとなる。
〈変形例〉
上述した実施例4においても、上述した実施例1の変形例と同様に、固定電極(駆動電極)43を山部A1,A2,A3・・・内のみに限らず谷部B1,B2,B3・・・内にも配置することが可能であり、その変形例を図13(なお、図13において、図12と同一符号は同一名称を表している)に基づいて以下に説明する。本変形例のフィルムスピーカ40aにおいては、山部A1,A2,A3・・・内に第1固定電極(駆動電極)43が配置されているとともに、谷部B1,B2,B3・・・内にも第2固定電極(駆動電極)44が配置されている。
そして、谷部B1,B2,B3・・・内に配置された第2固定電極(駆動電極)44は、表側固定枠45に接着剤などにより固定されているとともに、この表側固定枠45にはパッド(図示せず)が形成されていて、このパッドに第2固定電極44より延出して形成された配線(図示せず)が接続されている。この場合、複数の第1固定電極43および複数の第2固定電極44は直列接続されていて、これらにオーディオ信号(Vin)が印加されるようになされている。なお、複数の第1固定電極43および複数の第2固定電極44を並列接続して、これらにオーディオ信号(Vin)が印加されるようにしてもよい。
上述のように構成された本実施例4の変形例のフィルムスピーカ40aにおいて、例えば、図13(a)に示すように、第1バイアス電極となる第1導電性薄膜42aに第1直流バイアス電源V1からマイナス(−)の電圧が印加され、第2バイアス電極となる第2導電性薄膜42bに第2直流バイアス電源V2からプラス(+)の電圧が印加されているものとする。そして、第1固定電極(駆動電極)43および第2固定電極(駆動電極)44にオーディオ信号(Vin)が印加されて、例えば、図13(b)に示すように、第1固定電極(駆動電極)43および第2固定電極(駆動電極)44にマイナス(−)の電圧が付与されたとする。
すると、第1固定電極(駆動電極)43と、これに対向する第2導電性薄膜42bとの間で互に引き寄せられるようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力f1が作用することとなる。一方、第2固定電極(駆動電極)44と、これに対向する第1導電性薄膜42aとの間で互に反撥するようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力(反撥力)f3が作用する。これにより、外部から谷部B1,B2,B3・・・内(図13(b)の白抜き矢印X1方向)に空気が吸引される(引き戻される)こととなる。この場合、第1固定電極(駆動電極)43と第2導電性薄膜42bとの間の吸引力f1に、第2固定電極(駆動電極)44と第1導電性薄膜42aとの反撥力f3が付加されるので、外部から谷部B1,B2,B3・・・内に吸引される空気量は実施例4よりも多くなる。
また、第1固定電極(駆動電極)43および第2固定電極(駆動電極)44にオーディオ信号(Vin)が印加されて、例えば、図13(c)に示すように、第1固定電極(駆動電極)43および第2固定電極(駆動電極)44がプラス(+)の電圧が付与されれたとする。すると、第1固定電極(駆動電極)43と、第2導電性薄膜42bとの間で互に反撥するようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力(反撥力)f2が作用する。また、第2固定電極(駆動電極)44と、これに対向する第1導電性薄膜42aとの間で互に引き寄せられるようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力(吸引力)f4が作用する。
これにより、谷部B1,B2,B3・・・内に存在する空気が外部(図13(c)の白抜き矢印X2方向)に押し出されることとなる。この場合、第1固定電極(駆動電極)43と第2導電性薄膜42bとの間の反撥力f2に、第2固定電極(駆動電極)44と第1導電性薄膜42aとの間の吸引力f4が付加されるので、谷部B1,B2,B3・・・内から外部に押し出される空気量は実施例4よりも多くなる。
そして、第1固定電極(駆動電極)43および第2固定電極(駆動電極)44に交流電圧からなるオーディオ信号(Vin)が繰り返して印加されると、谷部B1,B2,B3・・・内(あるいは山部A1,A2,A3・・・内)に存在する空気の押し出しと引き戻しが繰り返されて、オーディオ信号(Vin)に応じた音波の波面が形成されることとなる。
なお、上述した実施例4のフィルムスピーカ40および変形例のフィルムスピーカ40aを製造するに際しては、樹脂フィルム41の表裏面に導電性薄膜42a,42bを形成する工程が異なること以外は、上述した実施例1およびその変形例の製造方法とほぼ同様であるので、その製造方法についての説明は省略する。
5.実施例5
本実施例5のフィルムスピーカ50は、図14に示すように、つづら折りされて表側に向けて突出する山部A1,A2,A3・・・と裏側に向けて凹む谷部B1,B2,B3・・・とが形成された樹脂フィルム51と、この山部A1,A2,A3・・・(あるいは谷部B1,B2,B3・・・)を形成する側壁の裏面に交互に極性が異なるように貼着された第1単極エレクトリック膜52aと第2単極エレクトリック膜52bとからなるバイアス電極52と、山部A1,A2,A3・・・(あるいは谷部B1,B2,B3・・・)内の中央部(この場合は、山部A1,A2,A3・・・内の中央部)に配置され、かつ第1単極エレクトリック膜52aと第2単極エレクトリック膜52bに相対向して平行になるように配置された、絶縁体53cの両側に第1導電性薄膜53aと第2導電性薄膜53bが形成された固定電極53とを備えている。
また、山部A1,A2,A3・・・の先端部となる表側折曲端部51aを固定する表側固定枠55と、谷部B1,B2,B3・・・の先端部となる裏側折曲端部51bを固定する裏側固定枠56とを備えている。そして、表側折曲端部51aは表側固定枠55に接着剤などにより固定されているとともに、裏側折曲端部51bは裏側固定枠56に接着剤などにより固定されている。なお、表側固定枠55および裏側固定枠56にはこれらの内外で空気が流通できるような空気開口部(図示せず)が設けられている。
また、第1導電性薄膜53aと第2導電性薄膜53bとからなる固定電極53は裏側固定枠56に接着剤などにより固定されているとともに、この裏側固定枠56にはパッド(図示せず)が形成されていて、このパッドに第1導電性薄膜53aと第2導電性薄膜53bより延出して形成された配線が接続されている。また、表側固定枠55と裏側固定枠56とは、図示しない枠体や箱体などにより固定されるようになされている。この場合、複数の第1導電性薄膜53a同士および複数の第2導電性薄膜53b同士は直列接続されていて、これらにオーディオ信号(Vin)が印加されて駆動電極となる。なお、複数の第1導電性薄膜53a同士および複数の第2導電性薄膜53b同士を並列接続して、これらにオーディオ信号(Vin)を印加するようにしてもよい。
ここで、第1単極エレクトリック膜52aおよび第2単極エレクトリック膜52bは、上述した実施例1の単極エレクトリック膜11と同様の材質により構成されており、これに単極エレクトレット処理が施されている。なお、第1単極エレクトリック膜52aと第2単極エレクトリック膜52bは互に極性が異なるように形成されており、例えば、図14に示すように、第1単極エレクトリック膜52aはマイナス(−)の電荷が形成されており、第2単極エレクトリック膜52bはプラス(+)の電荷が形成されているものとする。また、第1導電性薄膜53aと第2導電性薄膜53bは、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)などの金属あるいはそれらの合金、または、カ−ボン、ITO(Indium-Tin-Oxide)などの導電性無機材料から形成されている。この場合、固定電極53は第1金属板と第2金属板との間が絶縁体により隔離された板状体により形成するようにしてもよい。
上述のように構成された実施例5のフィルムスピーカ50において、固定電極(駆動電極)53にオーディオ信号(Vin)が印加されて、例えば、図14(b)に示すように、第1導電性薄膜53aにプラス(+)の電圧が付与されるとともに、第2導電性薄膜53bにマイナス(−)の電圧が付与されたとする。すると、第1導電性薄膜53aとこれに対向する第1単極エレクトリック膜52aとの間、および第2導電性薄膜53bとこれに対向する第2単極エレクトリック膜52bとの間で互に引き寄せられるようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力f1が作用することとなる。これにより、外部から谷部B1,B2,B3・・・内(図14(b)の白抜き矢印X1方向)に空気が吸引される(引き戻される)こととなる。
また、固定電極(駆動電極)53にオーディオ信号(Vin)が印加されて、例えば、図14(c)に示すように、第1導電性薄膜53aにマイナス(−)の電圧が付与されるとともに、第2導電性薄膜53bにプラス(+)の電圧が付与されたとする。すると、第1導電性薄膜53aとこれに対向する第1単極エレクトリック膜52aとの間、および第2導電性薄膜53bとこれに対向する第2単極エレクトリック膜52bとの間で互に反撥するようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力f2が作用する。これにより、谷部B1,B2,B3・・・内に存在する空気が外部(図14(c)の白抜き矢印X2方向)に押し出されることとなる。
そして、固定電極(駆動電極)53の第1導電性薄膜53aおよび第2導電性薄膜53bに交流電圧からなるオーディオ信号(Vin)が繰り返して印加されると、谷部B1,B2,B3・・・内(あるいは山部A1,A2,A3・・・内)に存在する空気の押し出しと引き戻しが繰り返されて、オーディオ信号(Vin)に応じた音波の波面が形成されることとなる。
〈変形例〉
上述した実施例5においても、上述した実施例1の変形例と同様に、固定電極(駆動電極)53を山部A1,A2,A3・・・内のみに限らず谷部B1,B2,B3・・・内にも配置することが可能であり、その変形例を図15(なお、図15において、図14と同一符号は同一名称を表している)に基づいて以下に説明する。本変形例のフィルムスピーカ50aにおいては、山部A1,A2,A3・・・内に第1導電性薄膜53aと第2導電性薄膜53bとからなる第1固定電極(駆動電極)53が配置されているとともに、谷部B1,B2,B3・・・内にも第1導電性薄膜54aと第2導電性薄膜54bとからなる第2固定電極(駆動電極)54が配置されている。なお、第2固定電極(駆動電極)54においても、絶縁体54cの両側に第1導電性薄膜54aと第2導電性薄膜53bとが形成されている。
そして、第1金属板54aと第2金属板54bとからなる第2固定電極(駆動電極)54は、表側固定枠55に接着剤などにより固定されているとともに、この表側固定枠55にはパッド(図示せず)が形成されていて、このパッドに固定電極54の第1導電性薄膜54aおよび第2導電性薄膜54bより延出して形成された配線(図示せず)が接続されている。この場合、複数の第1導電性薄膜53a,54a同士、ならび複数の第2導電性薄膜53b,54b同士は、それぞれ直列接続されるように形成されていて、これらにオーディオ信号(Vin)が印加されるようになされている。なお、複数の第1導電性薄膜53a,54a同士、ならび複数の第2導電性薄膜53b,54b同士を並列接続して、これらにオーディオ信号(Vin)が印加されるようにしてもよい。
上述のように構成された変形例のフィルムスピーカ50aにおいて、第1固定電極53および第2固定電極54にオーディオ信号(Vin)が印加されて、例えば、図15(b)に示すように、第1固定電極53の第1導電性薄膜53aおよび第2固定電極54の第1導電性薄膜54aにプラス(+)の電圧が付与されるとともに、第1固定電極53の第2導電性薄膜53bおよび第2固定電極54の第2導電性薄膜54bにマイナス(−)の電圧が付与されたとする。すると、第1固定電極53の第1導電性薄膜53aとこれに対向する第1単極エレクトリック膜52aとの間、第1固定電極53の第2導電性薄膜53bとこれに対向する第2単極エレクトリック膜52bとの間で互に引き寄せられるようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力(吸引力)f1が作用することとなる。
また、第2固定電極54の第1導電性薄膜54aとこれに対向する第1単極エレクトリック膜52aとの間、第2固定電極54の第2導電性薄膜54bとこれに対向する第2単極エレクトリック膜52bとの間で互に反撥するようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力(反撥力)f3が作用する。これにより、外部から谷部B1,B2,B3・・・内(図15(b)の白抜き矢印X1方向)に空気が吸引される(引き戻される)こととなる。この場合、第1固定電極53(53a,53b)と単極エレクトリック膜52a,52bとの間の吸引力f1に、第2固定電極(駆動電極)54(54a,54b)と単極エレクトリック膜52b,52aとの間の反撥力f3が付加されるので、外部から谷部B1,B2,B3・・・内に吸引される空気量は実施例5よりも多くなる。
また、第1固定電極53および第2固定電極54にオーディオ信号(Vin)が印加されて、例えば、図15(c)に示すように、第1固定電極53の第1導電性薄膜53aおよび第2固定電極54の第1導電性薄膜54aにマイナス(−)の電圧が付与されるとともに、第1固定電極53の第1導電性薄膜53bおよび第2固定電極54の第1導電性薄膜54bにプラス(+)の電圧が付与されたとする。すると、すると、第1固定電極53の第1導電性薄膜53aとこれに対向する第1単極エレクトリック膜52aとの間、第1固定電極53の第1導電性薄膜53bとこれに対向する第2単極エレクトリック膜52bとの間で互に反撥するようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力(反撥力)f2が作用することとなる。
また、第2固定電極54の第1導電性薄膜54aとこれに対向する第1単極エレクトリック膜52aとの間、第2固定電極54の第1導電性薄膜54bとこれに対向する第2単極エレクトリック膜52bとの間で互に引き寄せられるようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力(吸引力)f4が作用する。これにより、谷部B1,B2,B3・・・内に存在する空気が外部(図15(c)の白抜き矢印X2方向)に押し出されることとなる。この場合、第1固定電極53(53a,53b)と単極エレクトリック膜52a,52bとの間の反撥力f2に、第2固定電極(駆動電極)54(54a,54b)と単極エレクトリック膜52b,52aとの間の吸引力f4が付加されるので、外部から谷部B1,B2,B3・・・内に吸引される空気量は実施例5よりも多くなる。
そして、第1導電性薄膜53aと第2導電性薄膜53bとからなる第1固定電極53、および第1導電性薄膜54aと第2導電性薄膜54bとからなる第2固定電極54に交流電圧からなるオーディオ信号(Vin)が繰り返して印加されると、谷部B1,B2,B3・・・内(あるいは山部A1,A2,A3・・・内)に存在する空気の押し出しと引き戻し(吸引)が繰り返されて、音波の波面が形成されることとなる。
なお、本実施例5およびその変形例においては、樹脂フィルム51の裏面に交互に極性が異なる単極エレクトリック膜52a,52bを貼着してバイアス電極を形成する例について説明した。ところが、樹脂フィルム51の裏面に一部に直接イオン打込などによるエレクトレット処理を施して、樹脂フィルム51の裏面に交互に極性が異なる単極エレクトリックを形成して、バイアス電極とするようにしてもよい。
また、上述した実施例5のフィルムスピーカ50および変形例のフィルムスピーカ50aを製造するに際しては、樹脂フィルム51の裏面に交互に極性が異なる単極エレクトリック膜52a,52bを形成する工程と、絶縁体の両側に導電性薄膜53a,53b(54a,54b)を形成した固定電極53(54)を用いること以外は、上述した実施例1およびその変形例の製造方法とほぼ同様であるので、その製造方法についての説明は省略する。
6.実施例6
本実施例6のフィルムスピーカ60は、図16に示すように、つづら折りされて表側に向けて突出する山部A1,A2,A3・・・と裏側に向けて凹む谷部B1,B2,B3・・・とが形成された樹脂フィルム61と、山部A1,A2,A3・・・(あるいは谷部B1,B2,B3・・・)内の中央部(この場合は、山部A1,A2,A3・・・内の中央部)に配置され、かつこれらの山部A1,A2,A3・・・(あるいは谷部B1,B2,B3・・・)の側壁に相対向して平行になるように配置された絶縁体63cの両側に固着された第1金属板63aと第2金属板63bとからなる固定電極63とを備えている。なお、第1金属板63aおよび第2金属板63bと対向するつづら折りされた樹脂フィルム61の表裏面には分極処理により分極エレクトレット62(62a,62b)が形成されている。
また、山部A1,A2,A3・・・の先端部となる表側折曲端部61aを固定する表側固定枠65と、谷部B1,B2,B3・・・の先端部となる裏側折曲端部61bを固定する裏側固定枠66とを備えている。そして、表側折曲端部61aは表側固定枠65に接着剤などにより固定されているとともに、裏側折曲端部61bは裏側固定枠66に接着剤などにより固定されている。なお、表側固定枠65および裏側固定枠66にはこれらの内外で空気が流通できるような空気開口部(図示せず)が設けられている。
山部A1,A2,A3・・・内の中央部に配置された第1金属板63aと第2金属板63bとからなる固定電極63は裏側固定枠66に接着剤などにより固定されているとともに、この裏側固定枠66にはパッド(図示せず)が形成されていて、このパッドに第1金属板63aおよび第2金属板63bより延出して形成された配線が接続されている。また、表側固定枠65と裏側固定枠66とは、図示しない枠体や箱体などにより固定されるようになされている。この場合、複数の第1金属板63a同士および複数の第2金属板63b同士は直列接続されていて、これらにオーディオ信号(Vin)が印加されて駆動電極となる。なお、第1金属板63a同士および複数の第2金属板63b同士を並列接続して、これらにオーディオ信号(Vin)を印加するようにしてもよい。
ここで、樹脂フィルム61としては、上述した実施例1の樹脂フィルム11と同様な材質により形成されており、この樹脂フィルム61の第1金属板63aおよび第2金属板63bと対向する表裏面には、コロナ放電処理により分極処理が施されて分極エレクトレット62(62a,62b)が形成されている。この場合、分極エレクトレット62は互に極性が異なる電荷が交互に形成され、即ち、図16(a)に示すように、第1金属板63aと対向する部分の表面62aにプラス(+)の電荷が、裏面62bにマイナス(−)の電荷が形成され、第2金属板63bと対向する部分の表面62aにマイナス(−)の電荷が、裏面62bにプラス(+)の電荷が形成されている。また、第1金属板63aおよび第2金属板63bは、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、金(Au)、ニッケル(Ni)などの金属あるいはそれらの合金からなり、第1金属板63aと第2金属板63bとの間が絶縁体63cにより隔離されるようにして板状に形成されている。
上述のように構成された実施例6のフィルムスピーカ60において、固定電極(駆動電極)63にオーディオ信号(Vin)が印加されて、例えば、図16(b)に示すように、第1金属板63aにプラス(+)の電圧が付与されるとともに、第2金属板63bにマイナス(−)の電圧が付与されたとする。すると、第1金属板63aとこれに対向する分極エレクトレット62bとの間、および第2金属板63bとこれに対向する分極エレクトレット62aとの間で互に引き寄せられるようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力f1が作用することとなる。これにより、外部から谷部B1,B2,B3・・・内(図16(b)の白抜き矢印X1方向)に空気が吸引される(引き戻される)こととなる。
また、固定電極(駆動電極)63にオーディオ信号(Vin)が印加されて、例えば、図16(c)に示すように、第1金属板63aにマイナス(−)の電圧が付与されるとともに、第2金属板63bにプラス(+)の電圧が付与されたとする。すると、第1金属板63aとこれに対向する分極エレクトレット62bとの間、および第2金属板63bとこれに対向する分極エレクトレット62aとの間で互に反撥するようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力f2が作用する。これにより、谷部B1,B2,B3・・・内に存在する空気が外部(図16(c)の白抜き矢印X2方向)に押し出されることとなる。
そして、固定電極(駆動電極)63の第1金属板63aおよび第2金属板63bに交流電圧からなるオーディオ信号(Vin)が繰り返して印加されると、谷部B1,B2,B3・・・内(あるいは山部A1,A2,A3・・・内)に存在する空気の押し出しと引き戻しが繰り返されて、オーディオ信号(Vin)に応じた音波の波面が形成されることとなる。
〈変形例〉
上述した実施例6においても、固定電極(駆動電極)63を山部A1,A2,A3・・・内のみに限らず谷部B1,B2,B3・・・内にも配置することが可能であり、その変形例を図17(なお、図17において、図16と同一符号は同一名称を表している)に基づいて以下に説明する。本変形例のフィルムスピーカ60aにおいては、山部A1,A2,A3・・・内に絶縁体63cの両側に貼着された第1金属板63aと第2金属板63bとからなる第1固定電極(駆動電極)63が配置されているとともに、谷部B1,B2,B3・・・内にも絶縁体64cの両側に貼着された第1金属板64aと第2金属板64bとからなる第2固定電極(駆動電極)64が配置されている。なお、第2固定電極(駆動電極)64においても、第1金属板64aと第2金属板64bとの間が絶縁体64cにより隔離されるようにして板状に形成されている。
そして、第1金属板64aと第2金属板64bとからなる第2固定電極(駆動電極)64は、表側固定枠65に接着剤などにより固定されているとともに、この表側固定枠65にはパッド(図示せず)が形成されていて、このパッドに固定電極64の第1金属板64aおよび第2金属板64bより延出して形成された配線(図示せず)が接続されている。この場合、複数の第1金属板63a,64b同士および複数の第2金属板63b,64b同士はそれぞれ直列接続されていて、これらにオーディオ信号(Vin)が印加されるようになされている。なお、複数の第1金属板63a,64b同士および複数の第2金属板63b,64b同士をそれぞれ並列接続して、これらにオーディオ信号(Vin)を印加するようにしてもよい。
上述のように構成された変形例のフィルムスピーカ60aにおいて、第1固定電極63および第2固定電極64にオーディオ信号(Vin)が印加されて、例えば、図17(b)に示すように、第1固定電極63の第2金属板63bおよび第2固定電極64の第1金属板64aにマイナス(−)の電圧が付与されるとともに、第1固定電極63の第1金属板63aおよび第2固定電極64の第2金属板64bにプラス(+)の電圧が付与されたとする。すると、第1固定電極63の第1金属板63aとこれに対向する分極エレクトレット62bとの間、第1固定電極63の第2金属板63bとこれに対向する分極エレクトレット62bとの間で互に引き寄せられるようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力(吸引力)f1が作用することとなる。
一方、第2固定電極64の第1金属板64aとこれに対向する分極エレクトレット62aとの間、第2固定電極64の第2金属板64bとこれに対向する分極エレクトレット62aとの間で互に反撥するようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力(反撥力)f3が作用する。これにより、外部から谷部B1,B2,B3・・・内(図17(b)の白抜き矢印X1方向)に空気が吸引される(引き戻される)こととなる。
この場合、第1固定電極63の第1金属板63aおよび第2金属板63bと分極エレクトレット62bとの間の吸引力に、第2固定電極64の第1金属板64aおよび第2金属板64bと分極エレクトレット62aとの間の反撥力f3が付加されるので、外部から谷部B1,B2,B3・・・内に吸引される空気量は実施例6よりも多くなる。
また、第1固定電極63および第2固定電極64にオーディオ信号(Vin)が印加されて、例えば、図17(c)に示すように、第1固定電極63の第2金属板63bおよび第2固定電極64の第1金属板64aにプラス(+)の電圧が付与されるとともに、第1固定電極63の第1金属板63aおよび第2固定電極64の第2金属板64bにマイナス(−)の電圧が付与されたとする。すると、第1固定電極63の第1金属板63aとこれに対向する分極エレクトレット62bとの間、第1固定電極63の第2金属板63bとこれに対向する分極エレクトレット62bとの間で互に反撥するようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力(反撥力)f2が作用する。
一方、第2固定電極64の第1金属板64aとこれに対向する分極エレクトレット62aとの間、第2固定電極64の第2金属板64bとこれに対向する分極エレクトレット62aとの間で互に引き寄せられるようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力(吸引力)f4が作用することとなる。
この場合、第1固定電極63の第1金属板63aおよび第2金属板63bと分極エレクトレット62bとの間の反撥力f2に、第2固定電極64の第1金属板64aおよび第2金属板64bと分極エレクトレット62aとの間の吸引力f4が付加されるので、外部から谷部B1,B2,B3・・・内に吸引される空気量は実施例6よりも多くなる。
そして、第1金属板63aおよび第2金属板63bからなる第1固定電極63と、第1金属板64aおよび第2金属板64bからなる第2固定電極64に交流電圧からなるオーディオ信号(Vin)が繰り返して印加されると、谷部B1,B2,B3・・・内(あるいは山部A1,A2,A3・・・内)に存在する空気の押し出しと引き戻し(吸引)が繰り返されて、音波の波面が形成されることとなる。
なお、本実施例6およびその変形例においては、第1金属板63aおよび第2金属板63bと対向する樹脂フィルム61の表裏面には分極処理により分極エレクトレット62(62a,62b)を形成する例について説明した。ところが、第1金属板63aと対向する樹脂フィルム61の表裏面および第2金属板63bと対向する樹脂フィルム61の表裏面に、それぞれ予め形成された単極エレクトレットを貼着して、バイアス電極とするようにしてもよい。
また、上述した実施例6のフィルムスピーカ60および変形例のフィルムスピーカ60aを製造するに際しては、第1金属板63aと対向する部分および第2金属板63bと対向する部分に分極処理を施して分極エレクトレット62a,62bを形成する工程と、絶縁体63c(64c)の両側に金属板63a,63b(64a,64b)を固着した固定電極63(64)を用いること以外は、上述した実施例1およびその変形例の製造方法とほぼ同様であるので、その製造方法についての説明は省略する。
7.実施例7
実施例7のフィルムスピーカ70は、図18に示すように、つづら折りされて表側に向けて突出する山部A1,A2,A3・・・と裏側に向けて凹む谷部B1,B2,B3・・・とが形成された樹脂フィルム71と、この樹脂フィルム71の裏面に形成された第1金属薄膜72aと第2金属薄膜72bとからなる導電性薄膜(バイアス電極)72と、山部A1,A2,A3・・・(あるいは谷部B1,B2,B3・・・)内の中央部(この場合は、山部A1,A2,A3・・・内の中央部)に配置され、かつこれらの導電性薄膜72に相対向して平行になるように配置された絶縁体73cの両側に固着された第1金属板73aと第2金属板73bとからなる固定電極73とを備えている。
また、山部A1,A2,A3・・・の先端部となる表側折曲端部71aを固定する表側固定枠75と、谷部B1,B2,B3・・・の先端部となる裏側折曲端部71bを固定する裏側固定枠76とを備えている。そして、表側折曲端部71aは表側固定枠75に接着剤などにより固定されているとともに、裏側折曲端部71bは裏側固定枠76に接着剤などにより固定されている。なお、表側固定枠75および裏側固定枠76にはこれらの内外で空気が流通できるような空気開口部(図示せず)が設けられている。
山部A1,A2,A3・・・内の中央部に配置された第1金属板73aと第2金属板73bとからなる固定電極73は裏側固定枠76に接着剤などにより固定されているとともに、この裏側固定枠76にはパッド(図示せず)が形成されていて、このパッドに第1金属板73aおよび第2金属板73bより延出して形成された配線が接続されている。また、表側固定枠75と裏側固定枠76とは、図示しない枠体や箱体などにより固定されるようになされている。この場合、複数の第1金属板73a同士および複数の第2金属板73b同士はそれぞれ直列接続されていて、これらにオーディオ信号(Vin)が印加されるようになされている。なお、複数の第1金属板73a同士および複数の第2金属板73b同士をそれぞれ並列接続して、これらにオーディオ信号(Vin)を印加するようにしてもよい。
ここで、樹脂フィルム71としては、上述した実施例3の樹脂フィルム31と同様な材質により形成されており、第1金属板73aと対向する部分に第1バイアス電極となる第1金属薄膜72aが形成されており、第2金属板73bと対向する部分に第2バイアス電極となる第2金属薄膜72bが形成されている。また、第1金属薄膜72aおよび第2金属薄膜72bは、上述した実施例3の導電性薄膜32と同様な材質により形成されている。そして、これらの導電性薄膜72a,72bは、実施例3の導電性薄膜32と同様な製法により、樹脂フィルム71上に形成することが可能である。なお、複数の第1導電性薄膜72aはそれぞれ直列接続されていて第1直流バイアス電源V1が接続されており、複数の第2導電性薄膜72bはそれぞれ直列接続されていて第2直流バイアス電源V2が接続されている。
また、固定電極73となる第1金属板73aおよび第2金属板73bは、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、金(Au)、ニッケル(Ni)などの金属あるいはそれらの合金からなり、第1金属板73aと第2金属板73bとの間が絶縁体73cにより隔離されるようにして板状に形成されている。そして、第1金属薄膜72aと第1金属板73a(あるいは第2金属薄膜72bと第2金属板73b)とが直接接触するショートの発生を防止するため、第1金属板73aおよび第2金属板73bの表面は絶縁膜でコーティングするのが望ましい。
上述のように構成された実施例7のフィルムスピーカ70において、例えば、図18(a)に示すように、第1バイアス電極となる第1金属薄膜72aに第1直流バイアス電源V1からマイナス(−)の電圧が付与され、第2バイアス電極となる第2金属薄膜72bに第2直流バイアス電源V2からプラス(+)の電圧が印加されているものとする。そして、固定電極(駆動電極)73にオーディオ信号(Vin)が印加されて、例えば、図18(b)に示すように、第1金属板73aにプラス(+)の電圧が付与され、第2金属板73bにマイナス(−)の電圧が付与されたとする。すると、第1金属薄膜72aとこれに対向する第1金属板73aとの間、および第2金属薄膜72bとこれに対向する第2金属板73bとの間で互に引き寄せられるようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力f1が作用することとなる。
これにより、外部から谷部B1,B2,B3・・・内(図18(b)の白抜き矢印X1方向)に空気が吸引される(引き戻される)こととなる。
一方、固定電極(駆動電極)73にオーディオ信号(Vin)が印加されて、例えば、図18(c)に示すように、第1金属板73aにマイナス(−)の電圧が付与され、第2金属板73bにプラス(+)の電圧が付与されたとする。すると、第1金属薄膜72aとこれに対向する第1金属板73aとの間、および第2金属薄膜72bとこれに対向する第2金属板73bとの間で互に反撥するようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力f2が作用する。
これにより、谷部B1,B2,B3・・・内に存在する空気が外部(図18(c)の白抜き矢印X2方向)に押し出されることとなる。
このように、固定電極(駆動電極)73の第1金属板73aおよび第2金属板73bに交流電圧からなるオーディオ信号(Vin)が繰り返して印加されると、谷部B1,B2,B3・・・内(あるいは山部A1,A2,A3・・・内)に存在する空気の押し出しと引き戻しが繰り返されて、オーディオ信号(Vin)に応じた音波の波面が形成されることとなる。
〈変形例〉
上述した実施例7においても、固定電極(駆動電極)73を山部A1,A2,A3・・・内のみに限らず谷部B1,B2,B3・・・内にも配置することが可能であり、その変形例を図19(なお、図19において、図18と同一符号は同一名称を表している)に基づいて以下に説明する。本変形例のフィルムスピーカ70aにおいては、山部A1,A2,A3・・・内に絶縁体73cの両側に固着された第1金属板73aと第2金属板73bとからなる第1固定電極(駆動電極)73が配置されているとともに、谷部B1,B2,B3・・・内にも絶縁体74cの両側に固着された第1金属板74aと第2金属板74bとからなる第2固定電極(駆動電極)74が配置されている。なお、第2固定電極(駆動電極)74においても、第1金属板74aと第2金属板74bとの間が絶縁体74cにより隔離されるようにして板状に形成されている。
そして、第1金属板74aと第2金属板74bとからなる第2固定電極(駆動電極)74は、表側固定枠75に接着剤などにより固定されているとともに、この表側固定枠75にはパッド(図示せず)が形成されていて、このパッドに第1金属板74aおよび第2金属板74bより延出して形成された配線(図示せず)が接続されている。この場合、複数の第1金属板73a,74a同士および複数の第2金属板73b,74b同士はそれぞれ直列接続されていて、これらにオーディオ信号(Vin)が印加されるようになされている。なお、複数の第1金属板73a,74b同士および複数の第2金属板73b,74b同士をそれぞれ並列接続して、これらにオーディオ信号(Vin)を印加するようにしてもよい。
上述のように構成された変形例のフィルムスピーカ70aにおいて、第1固定電極73および第2固定電極74にオーディオ信号(Vin)が印加されて、例えば、図19(b)に示すように、第1固定電極73の第1金属板73aおよび第2固定電極74の第1金属板74aにプラス(+)の電圧が付与されるとともに、第1固定電極73の第2金属板73bおよび第2固定電極74の第2金属板74bにマイナス(−)の電圧が付与されたとする。すると、第1固定電極73の第1金属板73aとこれに対向する第1金属薄膜72aとの間、第2金属板73bとこれに対向する第2金属薄膜72bとの間で互に引き寄せられるようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力(吸引力)f1が作用することとなる。
一方、第2固定電極74の第1金属板74aとこれに対向する第2金属薄膜72bとの間、第2金属板74bとこれに対向する第1金属薄膜72aとの間で互に反撥するようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力(反撥力)f3が作用する。これにより、外部から谷部B1,B2,B3・・・内(図19(b)の白抜き矢印X1方向)に空気が吸引される(引き戻される)こととなる。
この場合、第1固定電極73の第1金属板73aおよび第2金属板73bと第1金属薄膜72aおよび第2金属薄膜72bとの間の吸引力f1に、第2固定電極74の第1金属板74aおよび第2金属板74bと第1金属薄膜72aおよび第2金属薄膜72bとの間の反撥力f3が付加されるので、外部から谷部B1,B2,B3・・・内に吸引される空気量は実施例7よりも多くなる。
また、第1固定電極73および第2固定電極74にオーディオ信号(Vin)が印加されて、例えば、図19(c)に示すように、第1固定電極73の第1金属板73aおよび第2固定電極74の第1金属板74aにマイナス(−)の電圧が付与されるとともに、第1固定電極73の第2金属板73bおよび第2固定電極74の第2金属板74bにプラス(+)の電圧が付与されたとする。すると、第1固定電極73の第1金属板73aとこれに対向する第1金属薄膜72aとの間、第2金属板73bとこれに対向する第2金属薄膜72bとの間で互に反撥するようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力(反撥力)f2が作用する。
一方、第2固定電極74の第1金属板74aとこれに対向する第1金属薄膜72aとの間、第2金属板74bとこれに対向する第2金属薄膜72bとの間で互に引き寄せられるようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力(吸引力)f4が作用することとなる。
この場合、第1固定電極73の第1金属板73aおよび第2金属板73bと第1金属薄膜72aおよび第2金属薄膜72bとの間の反撥力f2に、第2固定電極74の第1金属板74aおよび第2金属板74bと第1金属薄膜72aおよび第2金属薄膜72bとの間の吸引力f4が付加されるので、外部から谷部B1,B2,B3・・・内に吸引される空気量は実施例7よりも多くなる。
そして、第1金属板73aおよび第2金属板73bからなる第1固定電極73と、第1金属板74aおよび第2金属板74bからなる第2固定電極74に交流電圧からなるオーディオ信号(Vin)が繰り返して印加されると、谷部B1,B2,B3・・・内(あるいは山部A1,A2,A3・・・内)に存在する空気の押し出しと引き戻し(吸引)が繰り返されて、音波の波面が形成されることとなる。
なお、上述した実施例7のフィルムスピーカ70および変形例のフィルムスピーカ70aを製造するに際しては、樹脂フィルム71の第1金属板73aに対向する部分に第1金属薄膜72aを、第2金属板73bに対向する部分に第2金属薄膜72bをそれぞれ形成する工程と、絶縁体の両側に第1金属板73a(74a)と第2金属板73b(74b)を形成した固定電極73(74)を用いること以外は、上述した実施例1およびその変形例の製造方法とほぼ同様であるので、その製造方法についての説明は省略する。
8.実施例8
実施例8のフィルムスピーカ80は、図20に示すように、つづら折りされて表側に向けて突出する山部A1,A2,A3・・・と裏側に向けて凹む谷部B1,B2,B3・・・とが形成された樹脂フィルム81と、この樹脂フィルム81を間にして背中合わせとなるように表裏面において交互に極性が異なるように形成された第1バイアス電極となる第1金属薄膜82aと第2バイアス電極となる第2金属薄膜82bとからなるバイアス電極82と、山部A1,A2,A3・・・(あるいは谷部B1,B2,B3・・・)内の中央部(この場合は、山部A1,A2,A3・・・内の中央部)に配置され、かつ第1金属薄膜82aおよび第2金属薄膜82bに相対向して平行になるように配置され、絶縁体83cの両側に固着された第1金属板83aおよび第2金属板83bからなる固定電極83とを備えている。
また、山部A1,A2,A3・・・の先端部となる表側折曲端部81aを固定する表側固定枠85と、谷部B1,B2,B3・・・の先端部となる裏側折曲端部81bを固定する裏側固定枠86とを備えている。そして、表側折曲端部81aは表側固定枠85に接着剤などにより固定されているとともに、裏側折曲端部81bは裏側固定枠86に接着剤などにより固定されている。なお、表側固定枠85および裏側固定枠86にはこれらの内外で空気が流通できるような空気開口部(図示せず)が設けられている。
山部A1,A2,A3・・・内の中央部に配置され、絶縁体83cの両側に固着された第1金属板83aと第2金属板83bとからなる固定電極83は裏側固定枠86に接着剤などにより固定されているとともに、この裏側固定枠86にはパッド(図示せず)が形成されていて、このパッドに第1金属板83aおよび第2金属板83bより延出して形成された配線が接続されている。この場合、複数の第1金属板83a同士および複数の第2金属板83b同士はそれぞれ直列接続されていて、これらにオーディオ信号(Vin)が印加されるようになされている。なお、複数の第1金属板83a同士および複数の第2金属板83b同士をそれぞれ並列接続して、これらにオーディオ信号(Vin)を印加するようにしてもよい。
ここで、樹脂フィルム81としては、上述した実施例3の樹脂フィルム31と同様な材質により形成されている。第1金属板83aと対向する樹脂フィルム81の表裏面に第1バイアス電極となる第1金属薄膜82aと第2バイアス電極となる第2金属薄膜82bが形成されている。また、第2金属板83bと対向する樹脂フィルム81の裏表面に第1バイアス電極となる第1金属薄膜82aと第2バイアス電極となる第2金属薄膜82bが形成されている。この場合、第1金属薄膜82aおよび第2金属薄膜82bは、上述した実施例3の導電性薄膜32と同様な材質により形成されている。そして、これらの導電性薄膜82a,82bは、実施例3の導電性薄膜32と同様な製法により、樹脂フィルム81上に形成することが可能である。第1バイアス電極となる第1金属薄膜82a同士は直列接続されていて第1直流バイアス電源V1に接続され、第2バイアス電極となる第2導電性薄膜82b同士は直列接続されて第2直流バイアス電源V2に接続される。なお、第1金属薄膜82a同士を並列接続して第1直流バイアス電源V1に接続し、第2導電性薄膜82b同士を並列接続して第2直流バイアス電源V2に接続するようにしてもよい。
また、固定電極(駆動電極)83となる第1金属板83aおよび第2金属板83bは、実施例3の固定電極33と同様な材質により形成されており、第1金属板83aと第2金属板83bとの間が絶縁体83cにより隔離されるようにして板状に形成されている。この場合も、第1金属薄膜82aと第2金属板83b(あるいは第2金属薄膜82bと第1金属板83a)とが直接接触するショートの発生を防止するため、第1金属板83aおよび第2金属板83bの表面は絶縁膜でコーティングするのが望ましい。
この場合、固定電極83の複数の第1金属板83a同士および、複数の第2金属板83b同士はそれぞれ直列接続されて、これらにオーディオ信号(Vin)が印加されるようになされている。なお、複数の第1金属板83a同士および複数の第2金属板83b同士を並列接続して、これらにオーディオ信号(Vin)を印加するようにしてもよい。
上述のように構成された実施例8のフィルムスピーカ80において、例えば、図20(a)に示すように、第1直流バイアス電源V1から第1バイアス電極となる第1導電性薄膜82aにプラス(+)の電圧が印加され、第2直流バイアス電源V2から第2バイアス電極となる第2導電性薄膜82bにマイナス(−)の電圧が印加されているものとする。そして、固定電極83の第1金属板83aにプラス(+)の電圧が付与されるとともに、第2金属板83bにマイナス(−)の電圧が付与されたとする。
すると、第1バイアス電極の第1金属薄膜82aとこれに対向する第2金属板83bとの間、および第2バイアス電極の第2金属薄膜82bとこれに対向する第1金属板83aとの間で互に引き寄せられるようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力f1が作用することとなる。これにより、外部から谷部B1,B2,B3・・・内(図20(b)の白抜き矢印X1方向)に空気が吸引される(引き戻される)こととなる。
一方、固定電極(駆動電極)83にオーディオ信号(Vin)が印加されて、例えば、図20(c)に示すように、第1金属板83aにマイナス(−)の電圧が付与され、第2金属板83bにプラス(+)の電圧が付与されたとする。すると、第2バイアス電極の第2金属薄膜82bとこれに対向する第1金属板83aとの間、および第1バイアス電極の第1金属薄膜82aとこれに対向する第2金属板83bとの間で互に反撥するようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力f2が作用する。これにより、谷部B1,B2,B3・・・内に存在する空気が外部(図20(c)の白抜き矢印X2方向)に押し出されることとなる。
このように、固定電極(駆動電極)83の第1金属板83aおよび第2金属板83bに交流電圧からなるオーディオ信号(Vin)が繰り返して印加されると、谷部B1,B2,B3・・・内(あるいは山部A1,A2,A3・・・内)に存在する空気の押し出しと引き戻しが繰り返されて、オーディオ信号(Vin)に応じた音波の波面が形成されることとなる。
〈変形例〉
上述した実施例8においても、固定電極(駆動電極)83を山部A1,A2,A3・・・内のみに限らず谷部B1,B2,B3・・・内にも配置することが可能であり、その変形例を図21(なお、図21において、図20と同一符号は同一名称を表している)に基づいて以下に説明する。本変形例のフィルムスピーカ80aにおいては、山部A1,A2,A3・・・内に絶縁体83cの両側に固着された第1金属板83aと第2金属板83bとからなる第1固定電極(駆動電極)83が配置されているとともに、谷部B1,B2,B3・・・内にも絶縁体84cの両側に固着された第1金属板84aと第2金属板84bとからなる第2固定電極(駆動電極)84が配置されている。なお、第2固定電極(駆動電極)84においても、第1金属板84aと第2金属板84bとの間が絶縁体84cにより隔離されるようにして板状に形成されている。
そして、谷部B1,B2,B3・・・内に配置された第1金属板84aと第2金属板84bとからなる第2固定電極(駆動電極)84は、表側固定枠85に接着剤などにより固定されているとともに、この表側固定枠85にはパッド(図示せず)が形成されていて、このパッドに固定電極84の第1金属板84aおよび第2金属板84bより延出して形成された配線(図示せず)が接続されている。この場合、複数の第1金属板83a,84a同士および複数の第2金属板83b,84b同士はそれぞれ直列接続されていて、これらにオーディオ信号(Vin)が印加されるようになされている。なお、複数の第1金属板83a,84a同士および複数の第2金属板83b,84b同士をそれぞれ並列接続して、これらにオーディオ信号(Vin)を印加するようにしてもよい。
上述のように構成された本実施例8の変形例のフィルムスピーカ80aにおいて、例えば、図21(a)に示すように、第1直流バイアス電源V1から第1バイアス電極となる各第1導電性薄膜82aにプラス(+)の電圧が印加され、第2直流バイアス電源V2から第2バイアス電極となる各第2導電性薄膜82bにマイナス(−)の電圧が印加されているものとする。そして、第1固定電極83の各第1金属板83aおよび第2固定電極84の各第2金属板84bにプラス(+)の電圧が付与され、第1固定電極83の各第2金属板83bおよび第2固定電極84の各第1金属板84aにマイナス(−)の電圧が付与されたとする。
すると、第1固定電極83の第1金属板83aとこれに対向する第2金属薄膜82bとの間、第2金属板83bとこれに対向する第1金属薄膜82aとの間で互に引き寄せられるようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力(吸引力)f1が作用することとなる。一方、第2固定電極84の第1金属板84aとこれに対向する第2金属薄膜82bとの間、第2金属板84bとこれに対向する第1金属薄膜82aとの間で互に反撥するようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力(反撥力)f3が作用する。これにより、外部から谷部B1,B2,B3・・・内(図21(b)の白抜き矢印X1方向)に空気が吸引される(引き戻される)こととなる。
この場合、第1固定電極83の第1金属板83aと第2金属薄膜82bとの間、および第2金属板83bと第1金属薄膜82aとの間の吸引力f1に、第2固定電極84の第1金属板84aと第2金属薄膜82bとの間、および第2金属板84bと第1金属薄膜82aとの間の反撥力f3が付加されるので、外部から谷部B1,B2,B3・・・内に吸引される空気量は実施例8よりも多くなる。
また、第1固定電極83および第2固定電極84にオーディオ信号(Vin)が印加されて、例えば、図21(c)に示すように、第1固定電極83の第1金属板83aおよび第2固定電極84の第2金属板84bにマイナス(−)の電圧が付与されるとともに、第1固定電極83の第2金属板83bおよび第2固定電極84の第1金属板84aにプラス(+)の電圧が付与されたとする。
すると、第1固定電極83の第1金属板83aとこれに対向する第2金属薄膜82bとの間、第2金属板83bとこれに対向する第1金属薄膜82aとの間で互に反撥するようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力(反撥力)f2が作用する。一方、第2固定電極84の第1金属板84aとこれに対向する第2金属薄膜82bとの間、第2金属板84bとこれに対向する第1金属薄膜82aとの間で互に引き寄せられるようなオーディオ信号(Vin)に応じたクーロン力(吸引力)f4が作用することとなる。
この場合、第1固定電極83の第1金属板83aと第2金属薄膜72bとの間および第2金属板83bと第1金属薄膜82aとの間の反撥力f2に、第2固定電極84の第1金属板84aと第2金属薄膜82bとの間および第2金属板84bと第1金属薄膜82aとの間の吸引力f4が付加されるので、谷部B1,B2,B3・・・内から外部に押し出される空気量は実施例8よりも多くなる。
そして、第1金属板83aおよび第2金属板83bからなる第1固定電極83と、第1金属板84aおよび第2金属板84bからなる第2固定電極84に交流電圧からなるオーディオ信号(Vin)が繰り返して印加されると、谷部B1,B2,B3・・・内(あるいは山部A1,A2,A3・・・内)に存在する空気の押し出しと引き戻し(吸引)が繰り返されて、音波の波面が形成されることとなる。
なお、上述した実施例8のフィルムスピーカ80および変形例のフィルムスピーカ80aを製造するに際しては、第1金属板83aと対向する樹脂フィルム81の部分および第2金属板83bと対向する樹脂フィルム81の部分に第1バイアス電極の第1金属薄膜82aおよび第2バイアス電極の第2金属薄膜82bを形成する工程と、絶縁体の両側に第1金属板83a(84a)と第2金属板83b(84b)を形成した固定電極83(84)を用いること以外は、上述した実施例1およびその変形例の製造方法とほぼ同様であるので、その製造方法についての説明は省略する。
9.スピーカアレイ
(1)1ユニットによるスピーカアレイ
上述した各実施例のフィルムスピーカにおいては、各駆動電極を直列接続して構成される1ユニットのフィルムスピーカとする例について説明したが、本発明のフィルムスピーカにおいては、各駆動電極の個々に同一位相あるいは異なる位相のオーディオ信号(Vin)を入力させるようにして1ユニットによるスピーカアレイを形成することが可能である。そこで、上述した実施例1のフィルムスピーカ10の各駆動電極の個々に同一位相あるいは異なる位相のオーディオ信号(Vin)を入力させるようにして1ユニットによるスピーカアレイを形成する例について、以下に説明する。
(第1例)
図22(a)に示すように、各駆動電極A,B,C,D,Eに個々にオーディオ信号(Vin)(Vin)を付与するように接続して1ユニットによるスピーカアレイ10A−1を形成する。そして、これらの各駆動電極A,B,C,D,Eに同位相の信号を付与すると、スピーカアレイ10A−1の各駆動電極A,B,C,D,Eに平行なビーム状の音波が放音されることとなる。これにより、図22(a)の点線で示すような音波の波面が形成され、リスナー(L)は、リスナー(L)の真正面に音源があるかのように聞こえる。
(第2例)
図22(b)に示すように、各駆動電極A,B,C,D,Eに個々にオーディオ信号(Vin)を付与するように接続して1ユニットによるスピーカアレイ10A−2を形成する。そして、これらの各駆動電極A,B,C,D,Eに駆動電極Aから駆動電極Eに向かうほど位相が進んだ信号を付与すると、スピーカアレイ10A−2の駆動電極Aから駆動電極Eに向かうほど位相が進んだビーム状の音波が放音されることとなる。これにより、図22(b)の点線で示すように傾斜した音波の波面が形成され、リスナー(L)はスピーカアレイ10A−2の駆動電極E側に音源があるように聞こえる。
(第3例)
図23(a)に示すように、各駆動電極A,B,C,D,Eに個々にオーディオ信号(Vin)を付与するように接続して1ユニットによるスピーカアレイ10A−3を形成する。そして、これらの各駆動電極A,B,C,D,Eに駆動電極Cから駆動電極Aおよび駆動電極Cから駆動電極Eに向かうほど位相が遅れた信号を付与すると、スピーカアレイ10A−3の駆動電極Cから駆動電極Aおよび駆動電極Cから駆動電極Eに向かうほど位相が遅れたビーム状の音波が放音されることとなる。これにより、図23(a)の点線で示すようにP点を中心とした球状の波面が形成され、リスナー(L)はスピーカアレイ10A−3の後ろのP点に音源があるかのような奥行きのある音に聞こえる。
(第4例)
図23(b)に示すように、各駆動電極A,B,C,D,Eに個々にオーディオ信号(Vin)を付与するように接続して1ユニットによるスピーカアレイ10A−4を形成する。そして、これらの各駆動電極A,B,C,D,Eに駆動電極Cから駆動電極Aおよび駆動電極Cから駆動電極Eに向かうほど位相が進んだ信号を付与すると、スピーカアレイ10A−4の駆動電極Cから駆動電極Aおよび駆動電極Cから駆動電極Eに向かうほど位相が進んだビーム状の音波が放音されることとなる。これにより、図23(b)の点線で示すような球状の音波の波面が形成され、特定のリスナー(L)のみに音をフォーカスして聞かせ、他のリスナーには聞かせないという使い方ができるようになる。
(第5例)
図24(a)に示すように、各駆動電極A,B,C,D,Eに個々にオーディオ信号(Vin)を付与するように接続して1ユニットによるスピーカアレイ10A−5を形成する。そして、これらの各駆動電極A,B,C,D,Eに位相が異なるオーディオ信号(Vin)を付与して、図24(b)の点線で示すような球状の波面が形成されるようにすると、リスナー(L)はスピーカアレイ10A−5の後ろのP点に音源があるかのような奥行きのある音に聞こえる。
(第6例)
図24(b)に示すように、各駆動電極A,C,Eに個々にP群のオーディオ信号(Vin−p)を付与するように接続するとともに、各駆動電極B,Dに個々にQ群のオーディオ信号(Vin−q)を付与するように接続して1ユニットによるスピーカアレイ10A−6を形成する。そして、これらの各駆動電極A,C,Eに位相が異なるP群のオーディオ信号(Vin−p)を付与して、図24(b)の点線で示すような球状の波面が形成されるようにし、これらの各駆動電極B,Dに位相が異なるQ群のオーディオ信号(Vin−q)を付与して、図24(b)の一点鎖線で示すような球状の波面が形成されるようにすると、リスナー(L)はスピーカアレイ10fの後ろのP点およびQ点の異なった位置に音源があるかのような立体的な音場が形成されて聞こえる。
なお、上述のように位相をずらしたオーディオ信号を各駆動電極A,B,C,D,Eに付与するようにするには、例えば、特開2005−197896号公報に開示されているようなスピーカアレイシステム90を用いればよい。具体的には、図25に示すように、指向性制御装置92から与えられる遅延制御情報に従い、各スピーカユニット10A−1(10A−2,10A−3,10A−4,10A−5,10A−6)の各駆動電極A,B,C,D,Eに供給するオーディオ信号の各々に遅延処理を施す遅延回路91を備えるようにする。この場合、指向性制御装置92は、所望する位置に焦点が形成されるように、上記各オーディオ信号に与えるべき遅延量を求め、求めた各遅延量をあらわす遅延制御情報を生成して遅延回路91に供給する。
具体的には、焦点からスピーカユニット10A−1(10A−2,10A−3,10A−4,10A−5,10A−6)までの距離差を補償するように、スピーカユニット10A−1(10A−2,10A−3,10A−4,10A−5,10A−6)の空間座標と焦点の空間座標とに基づき上記各遅延量を算出する。そして、重み付け手段93を、スピーカユニット10A−1(10A−2,10A−3,10A−4,10A−5,10A−6)の各駆動電極A,B,C,D,Eと同数の乗算器93−a,93−b・・・93−eによって構成し、遅延回路91から供給される遅延処理後のオーディオ信号の各々に窓関数係数やゲイン係数等の重み係数による重みを付加する。
増幅手段94は、スピーカユニット10A−1(10A−2,10A−3,10A−4,10A−5,10A−6)の各駆動電極A,B,C,D,Eと同数のアンプ94−a,94−b・・・94−eによって構成し、重み付け手段93によって所定の重みが付加された各オーディオ信号を増幅する。これにより、増幅手段94によって増幅されたオーディオ信号は、スピーカユニット10A−1(10A−2,10A−3,10A−4,10A−5,10A−6)の各駆動電極A,B,C,D,Eに入力され、音波として出力される。各スピーカユニット10A−1(10A−2,10A−3,10A−4,10A−5,10A−6)から出力された音波は、空間上の任意の点(焦点)において同位相となり、該焦点方向の音圧が局所的に高くなる効率の良い指向性(以下、狭指向性)が実現される。このように、遅延アレイ方式を用いたスピーカアレイシステム90によれば、狭指向性を実現することができるとともに、遅延量の変更のみで指向方向を任意に変更等することができる。
(2)1ユニットの複数個を1列になるように接続したスピーカアレイ
上述した各実施例においては、1枚の樹脂フィルムからなる振動板を用いて1ユニットのフィルムスピーカを作製する例について説明した。ところが、1枚の樹脂フィルムからなる振動板を用いて複数ユニットのスピーカ(マルチスピーカ)を作製することが可能である。ついで、マルチスピーカの構成の一例を図26に基づいて説明する。図26に示すマルチスピーカ100においては、1枚の樹脂フィルム101に多数のバイアス電極102と駆動電極103とが形成されている。また、所定の個数(この場合は8個)のバイアス電極102がタ−ミナルxに接続されるように結線され、所定の個数(この場合は8個)の駆動電極103がタ−ミナルyに接続されるように結線されて、ユニットV1〜V7が形成されている。そして、これらのバイアス電極102と駆動電極103とが互に平行に相対向するように折目線(図26に示す点線)で交互に折り曲げられている。
この場合、1枚の樹脂フィルム101に多数のバイアス電極102と駆動電極103とを形成するに際しては、エッチング法、パタ−ニング法、印刷法などを適用して作製するようにすればよい。また、バイアス電極102を結線するに際しては、ユニットV1〜V7毎に結線するようにしてもよいし、あるいは樹脂フィルム101上の1箇所で全部結線して、ひとつの端子にまとめるようにしてもよい。さらに、まとまってひとつの動きをするユニットに対しては、ユニットごとに異なった信号で制御できるようにするのが望ましい。
なお、このようなマルチスピーカの製造方法においては、1枚の樹脂フィルムに多数のバイアス電極102と駆動電極103とからなるユニットV1〜V7を形成すること以外は、上述した実施例1の製造方法とほぼ同様であるので、その製造方法についての説明は省略する。
(3)1ユニットの複数個を複数列になるように接続したスピーカアレイ
また、図27に示すマルチスピーカ200においては、1枚の樹脂フィルム201に多数のバイアス電極202と駆動電極203とが形成されている。この場合、所定の個数(この場合は8個)のバイアス電極202がタ−ミナルxに接続されるように結線され、所定の個数(この場合は8個)の駆動電極203がタ−ミナルyに接続されるように結線されて、ユニットX1〜X6,Y1〜Y6,Z1〜Z6が形成されている。そして、これらのバイアス電極202と駆動電極203とが互に平行に相対向するように折目線(図27に示す点線)で交互に折り曲げられている。
ここで、1枚の樹脂フィルム201に多数のバイアス電極202と駆動電極203とを形成するに際しては、エッチング法、パタ−ニング法、印刷法などを適用して作製するようにすればよい。また、バイアス電極202を結線するに際しては、ユニットX1〜X6,Y1〜Y6,Z1〜Z6毎に結線するようにしてもよいし、あるいは樹脂フィルム201上の1箇所で全部結線して、ひとつの端子にまとめるようにしてもよい。さらに、まとまってひとつの動きをするユニットに対しては、ユニット毎に異なった信号で制御できるようにするのが望ましい。
なお、このようなマルチスピーカの製造方法においては、1枚の樹脂フィルムに多数のバイアス電極202と駆動電極203とからなるユニットX1〜X6,Y1〜Y6,Z1〜Z6を形成すること以外は、上述した実施例1の製造方法とほぼ同様であるので、その製造方法についての説明は省略する。
上述した実施の形態においては、つづら折り状に折り畳まれた薄膜フィルムの山部内および谷部内に板状の固定電極(駆動電極)を配置して平面状のフィルムスピーカを形成する例について説明した。ところが、本発明のフィルムスピーカは平面状のみに限ることなく種々の形状に形成することが可能である。例えば、円筒状、凹面状、球面状などの種々の曲面を有するフィルムスピーカを形成することが可能である。この場合、薄膜フィルムがつづら折り状に折り畳み、つづら折り状に折り畳まれた薄膜フィルムの山部および谷部を、円筒状、凹面状、球面状などの自由な曲面を有する板、枠、梁などで固定するようにすればよい。
本発明の実施例1のフィルムスピーカを模式的に示す断面図であり、図1(a)は非駆動状態を模式的に示す断面図であり、図1(b)は駆動状態で表面側の樹脂フィルム間に空気が引き戻された状態を模式的に示す断面図であり、図1(c)は駆動状態で表面側の樹脂フィルム間に存在する空気が押し出された状態を模式的に示す断面図である。 実施例1の変形例のフィルムスピーカを模式的に示す図であり、図2(a)は非駆動状態を模式的に示す断面図であり、図2(b)は駆動状態で表面側の樹脂フィルム間に空気が引き戻された状態を模式的に示す断面図であり、図2(c)は駆動状態で表面側の樹脂フィルム間に存在する空気が押し出された状態を模式的に示す断面図である。 図1および図2のフィルムスピーカの製造工程の一部を模式的に示す図であり、図3(a)は上面図であり、図3(b)はそのA−A断面を示す断面図である。 図1および図2のフィルムスピーカの製造工程の一部を模式的に示す図であり、図4(a)は上面図であり、図4(b)はそのA−A断面を示す断面図であり、図4(c)はその矢印Bから見た側面図である。 図1のフィルムスピーカの製造工程の一部を模式的に示す図であり、図5(a)は上面図であり、図5(b)はそのA−A断面を示す断面図である。 図2のフィルムスピーカの製造工程の一部を模式的に示す図であり、図6(a)は上面図であり、図6(b)はそのA−A断面を示す断面図である。 他の製造法を模式的に示す図であり、図7(a)は上面図であり、図7(b)は、図7(a)のA−A断面を示す断面図である。 本発明の実施例2のフィルムスピーカを模式的に示す断面図であり、図8(a)は非駆動状態を模式的に示す断面図であり、図8(b)は駆動状態で表面側の樹脂フィルム間に空気が引き戻された状態を模式的に示す断面図であり、図8(c)は駆動状態で表面側の樹脂フィルム間に存在する空気が押し出された状態を模式的に示す断面図である。 実施例2の変形例のフィルムスピーカを模式的に示す図であり、図9(a)は非駆動状態を模式的に示す断面図であり、図9(b)は駆動状態で表面側の樹脂フィルム間に空気が引き戻された状態を模式的に示す断面図であり、図9(c)は駆動状態で表面側の樹脂フィルム間に存在する空気が押し出された状態を模式的に示す断面図である。 実施例3のフィルムスピーカを模式的に示す断面図であり、図10(a)は非駆動状態を模式的に示す断面図であり、図10(b)は駆動状態で表面側の樹脂フィルム間に空気が引き戻された状態を模式的に示す断面図であり、図10(c)は駆動状態で表面側の樹脂フィルム間に存在する空気が押し出された状態を模式的に示す断面図である。 実施例3の変形例のフィルムスピーカを模式的に示す図であり、図11(a)は非駆動状態を模式的に示す断面図であり、図11(b)は駆動状態で表面側の樹脂フィルム間に空気が引き戻された状態を模式的に示す断面図であり、図11(c)は駆動状態で表面側の樹脂フィルム間に存在する空気が押し出された状態を模式的に示す断面図である。 実施例4のフィルムスピーカを模式的に示す断面図であり、図12(a)は非駆動状態を模式的に示す断面図であり、図12(b)は駆動状態で表面側の樹脂フィルム間に空気が引き戻された状態を模式的に示す断面図であり、図12(c)は駆動状態で表面側の樹脂フィルム間に存在する空気が押し出された状態を模式的に示す断面図である。 実施例4の変形例のフィルムスピーカを模式的に示す図であり、図13(a)は非駆動状態を模式的に示す断面図であり、図13(b)は駆動状態で表面側の樹脂フィルム間に空気が引き戻された状態を模式的に示す断面図であり、図13(c)は駆動状態で表面側の樹脂フィルム間に存在する空気が押し出された状態を模式的に示す断面図である。 実施例5のフィルムスピーカを模式的に示す断面図であり、図14(a)は非駆動状態を模式的に示す断面図であり、図14(b)は駆動状態で表面側の樹脂フィルム間に空気が引き戻された状態を模式的に示す断面図であり、図14(c)は駆動状態で表面側の樹脂フィルム間に存在する空気が押し出された状態を模式的に示す断面図である。 実施例5の変形例のフィルムスピーカを模式的に示す図であり、図15(a)は非駆動状態を模式的に示す断面図であり、図15(b)は駆動状態で表面側の樹脂フィルム間に空気が引き戻された状態を模式的に示す断面図であり、図15(c)は駆動状態で表面側の樹脂フィルム間に存在する空気が押し出された状態を模式的に示す断面図である。 実施例6のフィルムスピーカを模式的に示す断面図であり、図16(a)は非駆動状態を模式的に示す断面図であり、図16(b)は駆動状態で表面側の樹脂フィルム間に空気が引き戻された状態を模式的に示す断面図であり、図16(c)は駆動状態で表面側の樹脂フィルム間に存在する空気が押し出された状態を模式的に示す断面図である。 実施例6の変形例のフィルムスピーカを模式的に示す図であり、図17(a)は非駆動状態を模式的に示す断面図であり、図17(b)は駆動状態で表面側の樹脂フィルム間に空気が引き戻された状態を模式的に示す断面図であり、図17(c)は駆動状態で表面側の樹脂フィルム間に存在する空気が押し出された状態を模式的に示す断面図である。 実施例7のフィルムスピーカを模式的に示す断面図であり、図18(a)は非駆動状態を模式的に示す断面図であり、図18(b)は駆動状態で表面側の樹脂フィルム間に空気が引き戻された状態を模式的に示す断面図であり、図18(c)は駆動状態で表面側の樹脂フィルム間に存在する空気が押し出された状態を模式的に示す断面図である。 実施例7の変形例のフィルムスピーカを模式的に示す図であり、図19(a)は非駆動状態を模式的に示す断面図であり、図19(b)は駆動状態で表面側の樹脂フィルム間に空気が引き戻された状態を模式的に示す断面図であり、図19(c)は駆動状態で表面側の樹脂フィルム間に存在する空気が押し出された状態を模式的に示す断面図である。 実施例8のフィルムスピーカを模式的に示す断面図であり、図20(a)は非駆動状態を模式的に示す断面図であり、図20(b)は駆動状態で表面側の樹脂フィルム間に空気が引き戻された状態を模式的に示す断面図であり、図20(c)は駆動状態で表面側の樹脂フィルム間に存在する空気が押し出された状態を模式的に示す断面図である。 実施例8の変形例のフィルムスピーカを模式的に示す図であり、図21(a)は非駆動状態を模式的に示す断面図であり、図21(b)は駆動状態で表面側の樹脂フィルム間に空気が引き戻された状態を模式的に示す断面図であり、図21(c)は駆動状態で表面側の樹脂フィルム間に存在する空気が押し出された状態を模式的に示す断面図である。 1ユニットによるスピーカアレイを形成して放音させる例を模式的に示す図であり、図22(a)は第1例を示し、図22(b)は第2例を示す。 1ユニットによるスピーカアレイを形成して放音させる例を模式的に示す図であり、図23(a)は第3例を示し、図23(b)は第4例を示す。 1ユニットによるスピーカアレイを形成して放音させる例を模式的に示す図であり、図24(a)は第5例を示し、図24(b)は第6例を示す。 遅延アレイ方式を用いたスピーカアレイシステムを説明するブロック図である。 1ユニットの複数個を1列になるように接続したスピーカアレイおよびその放音例を模式的に示す図である。 1ユニットの複数個を複数列になるように接続したスピーカアレイおよびその放音例を模式的に示す図である。
符号の説明
10,10a…フィルムスピーカ、11…樹脂フィルム(単極エレクトレット膜:バイアス電極)、11a…先端部(表側折曲端部)、11b…先端部(裏側折曲端部)、13…固定電極(第1固定電極)、14…第2固定電極、15…表側固定枠、16…裏側固定枠、17,18…曲げ治具、19a,19b…曲げ治具、20…フィルムスピーカ、21…樹脂フィルム(分極エレクトレット膜:バイアス電極)、21a…先端部(表側折曲端部)、21b…先端部(裏側折曲端部)、23…固定電極(第1固定電極)、24…第2固定電極、25…表側固定枠、26…裏側固定枠、30,30a…フィルムスピーカ、31…樹脂フィルム、31a…先端部(表側折曲端部)、31b…先端部(裏側折曲端部)、32…導電性薄膜(バイアス電極)、33…固定電極(第1固定電極)、34…第2固定電極、35…表側固定枠、36…裏側固定枠、40,40a…フィルムスピーカ、41…樹脂フィルム、41a…先端部(表側折曲端部)、41b…先端部(裏側折曲端部)、42a,42b…導電性薄膜(バイアス電極)、43…固定電極(第1固定電極)、44…第2固定電極、45…表側固定枠、46…裏側固定枠、50,50a…フィルムスピーカ、51…樹脂フィルム、51a…先端部(表側折曲端部)、51b…先端部(裏側折曲端部)、52a…第1単極エレクトレット膜、52b…第1単極エレクトレット膜、53…固定電極(第1固定電極)、53a…第1導電性薄膜、53b…第2導電性薄膜、53c…絶縁体、54…第2固定電極、54a…第1導電性薄膜、54b…第2導電性薄膜、54c…絶縁体、55…表側固定枠、56…裏側固定枠、60,60a…フィルムスピーカ、61…樹脂フィルム、61a…先端部(表側折曲端部)、61b…先端部(裏側折曲端部)、62a,62b…導電性薄膜(バイアス電極)、63…固定電極(第1固定電極)、63a…第1金属板、63b…第2金属板、63c…絶縁体、64…第2固定電極、64a…第1金属板、64b…第2金属板、64c…絶縁体、65…表側固定枠、66…裏側固定枠、70,70a…フィルムスピーカ、71…樹脂フィルム、71a…先端部(表側折曲端部)、71b…先端部(裏側折曲端部)、72a,72b…導電性薄膜(バイアス電極)、73…固定電極(第1固定電極)、73a…第1金属板、73b…第2金属板、73c…絶縁体、74…第2固定電極、74a…第1金属板、74b…第2金属板、74c…絶縁体、75…表側固定枠、76…裏側固定枠、80,80a…フィルムスピーカ、81…樹脂フィルム、81a…先端部(表側折曲端部)、81b…先端部(裏側折曲端部)、82a,82b…導電性薄膜(バイアス電極)、83…固定電極(第1固定電極)、83a…第1金属板、83b…第2金属板、83c…絶縁体、84…第2固定電極、84a…第1金属板、84b…第2金属板、84c…絶縁体、85…表側固定枠、86…裏側固定枠、100…マルチスピーカ、101…樹脂フィルム、102…第1固定電極(駆動電極)、103…第2固定電極(駆動電極)、200…マルチスピーカ、201…樹脂フィルム、202…第1固定電極(駆動電極)、203…第2固定電極(駆動電極)、A1,A2,A3…山部、B1,B2,B3,B4…谷部、V1〜V7…ユニット、X1〜X6,Y1〜Y6,Z1〜Z6…ユニット

Claims (7)

  1. オーディオ信号に応じた駆動電圧が付与される固定電極と、当該固定電極に対向して移動可能でバイアス電圧が付与されるバイアス電極を有するフィルム部材とを備えたフィルムスピーカであって、
    前記フィルム部材は折り畳まれて複数の山部と谷部とが形成されているとともに前記山部および谷部の先端部の上下部は一対の固定枠に接着剤により固定されており、
    前記山部を形成する空間内および前記谷部を形成する空間内の少なくとも一方の空間内の中央部に前記固定電極が配置されているとともに
    前記バイアス電極は導電性薄膜であって、当該導電性薄膜が前記固定電極に対向するように前記フィルム部材の表面および裏面の両方に形成されており、これらの導電性薄膜の極性が異なるようにバイアス電圧が付与されて、
    前記固定電極に付与されたオーディオ信号に応じた駆動電圧に基づく当該固定電極と前記バイアス電極との間のクーロン力により前記バイアス電極を有するフィルム部材により形成される空間内に存在する空気が押し出されたり引き戻されることにより空気振動が生じて音波を発生するようになされていることを特徴とするフィルムスピーカ。
  2. 前記導電性薄膜は銅、アルミニウム、クロム、チタン、金、ニッケル、鉄から選択される金属またはそれらの合金から形成された薄膜、カーボン、ITO(Indium-Tin-Oxide)から選択される導電性無機材料から形成された薄膜、微細な金属粉末を分散させた導電性樹脂材料から形成された薄膜のいずれか1つであることを特徴とする請求項に記載のフィルムスピーカ。
  3. 前記固定電極は導電性板状体、絶縁板の表裏両面に形成された導電性板状体あるいは絶縁体の表裏両面に導電性薄膜が被覆された板状体であることを特徴とする請求項1または請求項に記載のフィルムスピーカ。
  4. 前記導電性板状体あるいは前記絶縁体の表裏両面に被覆された導電性薄膜は銅、アルミニウム、クロム、チタン、金、ニッケル、鉄から選択される金属またはそれらの合金から形成された板状体あるいは薄膜、カーボン、ITO(Indium-Tin-Oxide)から選択される導電性無機材料から形成された板状体あるいは薄膜、微細な金属粉末を分散させた導電性樹脂材料から形成された板状体あるいは薄膜のいずれか1つであることを特徴とする請求項に記載のフィルムスピーカ。
  5. 前記固定電極および前記バイアス電極の少なくとも一方の表面は絶縁膜で被覆されていることを特徴とする請求項1から請求項4いずれかに記載のフィルムスピーカ。
  6. オーディオ信号に応じた駆動電圧が付与される固定電極と、当該固定電極に対向して移動可能でバイアス電圧が付与されるバイアス電極を有するフィルム部材とを備えたフィルムスピーカの製造方法であって、
    前記バイアス電極が形成された薄膜フィルムの表面側および裏面側に円柱状あるいは角柱状の曲げ治具を配置する治具配置工程と、
    前記薄膜フィルムの裏面側に配置された前記曲げ治具と、前記薄膜フィルムの表面側に配置された前記曲げ治具とを互に引張するようにして当該薄膜フィルムを折り畳む折り畳み工程と、
    前記薄膜フィルムが折り畳たたまれて形成された山部および谷部の少なくとも一方の空間部の中央部に前記固定電極を配置する固定電極配置工程と、
    前記薄膜フィルムの山部および谷部の先端部の上下部を一対の固定枠に接着剤により固定する先端部固定工程とを備えたことを特徴とするフィルムスピーカの製造方法。
  7. 前記先端部固定工程の後に前記曲げ治具を取り除く曲げ治具除去工程を備えるようにしたことを特徴とする請求項に記載のフィルムスピーカの製造方法。
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