JP4916064B2 - 光学異性体の分離方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体クロマトグラフィーを用いた光学異性体の分離方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
医薬品または医薬中間体として使用される化合物には光学異性体が存在することが多く、これら光学異性体間ではその生理活性や毒性にしばしば大きな差が有ることが広く知られている。そのため、光学純度の高いものを製造することが非常に重要である。
【0003】
一般に、光学異性体の分離精製は、液体クロマトグラフィーを用いて行なうことができる。なお、液体クロマトグラフィーとは、固定相とそれに接して連続的に流れる移動相液により形成される平衡系に多成分混合物からなる試料を該固定相の上流から該移動相液と共に導入し、試料を含む移動相液を固定相と接触させることにより試料中の成分を分離して該固定相の下流より順次流出せしめる分離方法である。この液体クロマトグラフィーを用いた光学異性体の分離方法としては、キラルセレクタと呼ばれる“各光学異性体に対して互いに異なる親和性を有する多糖類、アミノ酸誘導体などの物質”をシリカゲルに担持した固定相を用いる方法が知られており、このような光学異性体分離用のカラムも種々開発されている。また、汎用の分離カラムを用いる液体クロマトグラフィーを用いた光学異性体の分離方法として、キラルセレクタ、特にシクロデキストリン等を添加した移動相液を用いる方法(以下、キラルセレクタ添加法ともいう。)も知られている。例えば1986年発行のジャーナルオブクロマトグラフィー第357巻409頁〜415頁{Journal of Chromatography,357(1986)409-415}には、光学異性体を有するアミノ酸誘導体であるダンシルアミノ酸について、キラルセレクタとしてβ−シクロデキストリンを移動相に添加した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により光学異性体の分離ができることが記載されている。なお、該方法では、移動相液としてアセトニトリルを10〜20容量%含むpH約6〜7の水性溶液を用いている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、光学異性体を上記のような光学異性体分離用カラムや、キラルセレクタを添加した移動相液を用いて液体クロマトグラフィーにより分離する場合には、光学異性体の溶出する順序はキラルセレクタとそれぞれの光学異性体との親和性により自ずと決定されている。例えば、D型異性体に対する親和性がL型異性体よりも大きいキラルセレクタを使用した光学異性体分離用カラムではD型異性体がカラム担体に強く保持されるためにL型異性体が先に溶出することが知られている。また、同様にキラルセレクタを添加した移動相を用いた液体クロマトグラフィー(キラルセレクタ添加法)において、D型異性体に対する親和性がL型異性体よりも大きい入手可能なキラルセレクタを使用した場合には、キラルセレクタに対してより強く相互作用したD型異性体の方が移動相に分配されやすいために先に溶出することが知られている。
【0005】
ところで、試料中に含まれるD型異性体とL型異性体との量比が大きく異なり一方が微量成分となっている場合において、このような試料に含まれる2つの成分を液体クロマトグラフィーにより分離する際には、一般に量の少ない成分を先に、量の多い成分を後に溶出させるのが望ましい。量の多い成分の直後に量の少ない成分が溶出すれば、主成分の巨大なクロマトピークの裾の部分(テーリング部分)に微量成分の小さなピークが重なる形になり、充分な成分分離が行われず分取しても微量成分の成分の高純度化が困難となったり、クロマトピーク面積に基づいて定量を行なう場合にも正確に定量が困難となるのに対し、微量成分を先に溶出させた場合にはこのような問題が起らないからである。
【0006】
そのため、光学異性体の分離において、目的に応じてD型異性体、L型異性体のどちらかを選択して先に溶出させる必要が生じるが、先に溶出させる異性体を変更するためには、光学異性体分離用カラムを使用する場合には別種のキラルセレクタを固定化したカラムに変更する必要があり、また、キラルセレクタを添加した移動相溶液を用いる場合には添加するキラルセレクタの種類を変更する必要がある。しかしながら、光学異性体分離用カラムは高価であり、試料に応じたキラルセレクタを固定化したカラムを多く用意することは現実的ではなく、またカラムの交換には、液体クロマトグラフィーのカラムの洗浄・平衡化といった長時間を要する操作が要となるといった問題がある。更に、両方法に共通の問題として、試料成分の流出順序を逆転させるようなキラルセレクタを見出すこと自体が困難であるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、高価な光学異性体分離用カラムを使用しないキラルセレクタ添加法において、試料の種類に応じて添加するキラルセレクタの種類を変更することなく、試料成分の流出順序を制御し、微量成分を先に流出させることができる光学異性体の分離方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記したように従来のキラルセレクタ添加法では一般にキラルセレクタに対してより強い親和性を有する光学異性体が先に流出するのであるが、本発明者等は、その原因は、キラルセレクタの固定相に対する親和性がフリーな光学異性体の固定相に対する親和性よりも低いため、キラルセレクタと強く相互作用した光学異性体はキラルセレクタと相互作用しない光学異性体に比べて固定相に対する親和性(例えば吸着力)が低くなり、移動相液に分配されやすくなって先に流出するのではないかと考えた。そして、そうであるならば、移動相液の性状を制御してキラルセレクタの固定相に対する親和性をフリーな(キラルセレクタと相互作用していない状態の意である。)光学異性体の固定相に対する親和性よりも高くなるような条件、即ちフリーな光学異性体の保持係数よりもキラルセレクタの保持係数が大きくなる条件を実現できれば、流出順序を逆転させることができるのではないかということを着想した。そして、該着想に基づき鋭意検討を行なった結果、通常移動相液として使用されている水と水溶性有機溶媒の混合物からなる水性溶液中の水性水溶液濃度を低くしていった場合には、上記のような条件を実現させることが可能で、分離された光学異性体の流出順序を変えることができること、さらに移動相液のpHを制御しても同様の効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、第一の本発明は、固定相とそれに接して連続的に流れる水又は水性溶液からなる移動相液により形成される平衡系に、D型光学異性体とL型光学異性体との混合物を含んでなる試料、及び該試料中に含まれるD型光学異性体又はL型光学異性体の何れか一方に対して他方よりも高い親和性を有する物質からなるキラルセレクタを固定相の上流から移動相液と共に導入し、試料およびキラルセレクタを含む移動相液を固定相と接触させることにより前記試料中のD型光学異性体とL型光学異性体とを分離して該固定相の下流より順次流出せしめる液体クロマトグラフィーを用いた光学異性体の分離方法において、前記試料及びキラルセレクタを含む移動相液と固定相との接触を前記キラルセレクタの保持係数が前記試料中に含まれるD型光学異性体の保持係数及びL型光学異性体の保持係数よりも大きくなる条件下で行なうことを特徴とする光学異性体の分離方法である。
【0010】
前記したように、従来のキラルセレクタ添加法においては、キラルセレクタに対する親和性の高い光学異性体が先に流出し、キラルセレクタに対する親和性の低い光学異性体が後から流出するのに対し、上記本発明の分離法方によれば、キラルセレクタに対する親和性が相対的に弱い光学異性体を先に流出させることができる。なお、本発明者等が知る限りの従来のキラルセレクタ添加法におけるキラルセレクタ及び試料の固定相との接触条件は、全て、キラルセレクタの保持係数が前記試料中に含まれるD型光学異性体の保持係数及びL型光学異性体の保持係数よりも小となる条件であり、本発明のような条件下で分離が行なわれた例は知られていない。
【0011】
また、第二の本発明は、固定相とそれに接して連続的に流れる水溶性有機溶媒を含有していてもよい水性溶液又は水からなる移動相液により形成される平衡系に、D型光学異性体とL型光学異性体との混合物であっていずれか一方の含有量が他方の含有量よりも多い混合物を含む試料、及び該試料中に含まれるD型光学異性体又はL型光学異性体の何れか一方に対して他方よりも高い親和性を有する物質からなるキラルセレクタを固定相の上流から移動相液と共に導入し、前記試料及びキラルセレクタを含む移動相液を固定相と接触させることにより試料中のD型光学異性体とL型光学異性体とを分離して該固定相の下流より順次流出せしめる液体クロマトグラフィーを用いた光学異性体の分離方法であって、予め任意に定めた所定の組成の移動相液を用いて分離を行ない最初に流出する光学異性体を確認した後、該分離において最初に流出する光学異性体が前記試料中における主成分である光学異性体が先に流出することが確認された場合において、当該光学異性体がもう一方の光学異性体よりも後に流出するように移動相溶液のpH又は該溶液中に含まれていてもよい水溶性有機溶媒の含有量を調整し、再度分離を行なうことを特徴とする光学異性体の分離方法である。
【0012】
上記本発明の分離方法によれば、一方の光学異性体が微量成分であっても、該微量成分を先に流出させることができるので、より精度の高い分離を行なうことができる。
【0013】
また、第三の本発明は、前記第一又は第二の発明の分離方法で分離された光学異性体を定量することを特徴とする光学異性体の定量方法であり、該方法によれば正確な定量を行なうことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
第一の本発明の分離方法(以下、単に本発明の分離方法ともいう。)では、高価な光学異性体分離用カラムを使用せずに汎用的なカラムを用いることができるキラルセレクタ添加法により、D型光学異性体(以下、単にD体ともいう。)とL型光学異性体(以下、単にL体ともいう。)との混合物を含んでなる試料中のD体とL体とを分離する。ここで、キラルセレクタ添加法とは、液体クロマトグラフィーによる分離法の一種であり、固定相(通常、カラム担体)が充填されたカラム等に連続的に移動相液を流して平衡系を形成した後、該平衡系に、ラセミ体又は光学活性な光学異性体混合混合物等からなる試料、及び試料中に含まれるD体又はL体の何れか一方に対して他方よりも高い親和性を有する物質からなるキラルセレクタを該固定相の上流から移動相液と共に導入し、試料を含む移動相液を固定相と接触させることにより試料中の成分を分離して該固定相の下流より順次流出せしめる分離方法である。
【0015】
本発明の分離方法で使用される固定相(例えば、液体クロマトグラフィーに用いられるカラムに充填されるカラム担体)としては、分離しようとする化合物およびキラルセレクタと相互作用し一定の保持係数を与えるものであれば特に制限なく使用することができが、好適な例としては疎水性化合物で表面を修飾したシリカゲル粒子、疎水性化合物から形成された樹脂などを挙げることができる。具体的には、シリカ、チタニア等の無機微粒子の表面に、オクタデシル基、オクチル基、ブチル基、メチル基、フェニル基、シアノプロピル基等の炭素数1以上の疎水性基を有する化合物を結合させた粒子;シリカ、チタニア等の無機微粒子の表面にポリスチレン、シリコーン、ポリメタクリル酸メチル等の疎水性ポリマーを吸着あるいは結合させた固体;ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル等の疎水性を有する高分子の粒子;ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル等の高分子の微粒子表面にオクタデシル基、オクチル基、ブチル基、メチル基、フェニル基、シアノプロピル基等の炭素数1以上の疎水性基を有する化合物を結合させた粒子などをあげることができる。さらに、これら粒子の表面の疎水性を調整するために、スルホニル基、アミノ基、アンモニウム基等のイオン交換基を有する化合物を結合させて用いることもできる。これらのカラム担体は一般に市販されており容易に入手することができる。
【0016】
本発明の分離方法で使用する移動相液としては分離された光学異性体の流出速度を早くするために水と水性有機溶媒との混合溶液からなる水性溶液を使用するのが好適であるが、水溶性有機溶媒を含まない水又は水溶液を使用することも可能である。但し、移動相液としては、試料中に含まれるD及びL体、並びにキラルセレクタの保持係数の調整が容易であることから、水性有機溶媒及び/又はpH調節剤を含む水性溶液であるのが好適である。
【0017】
ここで、水溶性有機溶媒としては、水に対して混和性を有する液体であれば特に限定されず、アセトニトリル等のニトリル化合物;メタノール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコール、エタノール、ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、オクタノール等の脂肪族アルコール;フェノール等の芳香族アルコール;エチレングリコール、グリセロール、ポリエチレングリコールなどの水溶性高分子などが使用できる。これらの中でも、光学異性体分離後の除去の容易さの点から、沸点の低いアセトニトリル、メタノール、イソプロピルアルコール、エタノール等が好適に使用される。水溶性有機溶媒の水との混合比率は後述するように、キラルセレクタおよびD体、L体の保持係数に大きく影響を及ぼすので、一概に規定することができず、使用するキラルセレクタや試料の種類に応じて適宜決定する必要があるが、一般的な範囲を示せば、水と水溶性有機溶媒倍の合計体積を基準として0〜50容量%である。なお、従来のキラルセレクタ添加法に使用されている移動相液においては、水性有機溶媒の濃度が約10容量%以上のものを用いるのが一般的であり、水溶性有機溶媒濃度が10容量%未満、特に5容量%以下の移動相液を用いることは殆どないのに対し、本発明で使用する移動相液については、測定する試料の溶出時間、分離度が適切にするという観点からは10容量%未満、さらには5容量%以下とすることも有り得る。
【0018】
また、pH調整剤としては、水性溶液のpHを任意の値に調整できるものであれば特に限定されず、リン酸、硫酸、塩酸等の鉱酸類;及びギ酸、酢酸、乳酸、プロピオン酸、クエン酸、マレイン酸、マロン酸などの有機酸類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウムなどのアルカリ性塩類、リン酸水素ナトリウム、リン酸2水素カリウム等の塩類、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸、モルホリンプロパンスルホン酸などのpH緩衝液用有機化合物などが使用できる。これらpH調整剤の濃度は特に制限されないが、一般的には0.01〜100mM、好適には高いpH調整能の得られる0.1〜30mMの範囲で使用される。なお、従来のキラルセレクタ添加法に使用されている移動相液においては、ほぼ中性(pH6〜7.5程度)のものを用いるのが一般的であり、pHが3以下或いは9以上のような強い酸性若しくはアルカリ性を示す移動相液を用いることは殆どないのに対し、本発明で使用する移動相液については、測定する試料の溶出時間、分離度を適切にするという観点からpH3以下、又はpH9以上とすることも有り得る。
【0019】
また、本発明で使用する移動相液にはイオン強度を調整するための塩類、或いは本発明の分離方法を光学純度分析方法に適用する際にD体及びL体の検出を容易にするための“紫外領域、可視領域に吸収スペクトルを有する化合物”等を添加することもできる。このとき、塩類としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムなどが使用でき、“紫外領域、可視領域に吸収スペクトルを有する化合物”としてはトルエンスルホン酸、トルエンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウム、フルオレセイン、フェノールフタレイン、ニールブルー、エオシン、クマリンなどの芳香族を有する有機化合物等が使用できる。
【0020】
本発明の分離方法において分離の対象となる試料は、D体及びL体が混在するものであれば特に限定されず、D型及びL型の光学異性体の存在する化合物のラセミ体、光学純度100%未満の光学活性体、またはこれらを含む溶液若しくは懸濁液を使用することができる。なお、D型及びL型の光学異性体の存在する化合物としては、アラニン、フェニルアラニンなどのアミノ酸類、t−ブトキシカルボニルアラニン、t−ブトキシカルボニルプロリン、N,N−ジアミノナフチルスルホニルフェニルアラニン、N,N−ジアミノナフチルスルホニルロイシンなどのアミノ酸誘導体類などが例として挙げられる。もちろんこれ以外にも生体関連物質や薬物などのように光学異性体を有する化合物は多数あり、分離対象とすることができる。
【0021】
本発明の分離方法においては、従来のキラルセレクタ添加法と同様に、移動相液にキラルセレクタを添加して使用する。該キラルセレクタは、D体及びL体に対してそれぞれ異なる親和性を有する化合物であれば公知の化合物が特に限定なく使用できる。一般に、光学活性な化合物や内部にキラルな裂溝や空間を有するホスト化合物(内部に他の化合物やイオン等を包摂して包接化合物を形成し得る化合物)は、D型異性体とL型異性体とに対する親和性が異なるので、このような化合物がキラルセレクタとして好適に使用できる。
【0022】
本発明において好適に使用できるキラルセレクタとしては、多糖類及びその誘導体、アミノ酸の天然光学活性化合物及びその誘導体、アルブミン等のタンパクが挙げられ、これら化合物を具体的に例示すれば次のような化合物が挙げられる。即ち、多糖類としては、α―シクロデキストリン、β―シクロデキストリン、γ―シクロデキストリン等が例示される。また、多糖類誘導体としては、ヘプタキス(2、6−O−ジメチル)−β―シクロデキストリン、ヘプタキス(2、3、6−O−トリメチル)−β―シクロデキストリン、ヘプタキス(2、6−O−ヒドロキシプロピル)−β―シクロデキストリン、ヘプタキス(2、3、6−O−ヒドロキシプロピル)―β―シクロデキストリン、ヘプタキス(2、6−O−メチルー3−O−アセチル)−β―シクロデキストリン、ヘキサキス(2、6−O−ジメチル)−β―シクロデキストリン、ヘキサキス(2、3、6−O−トリメチル)−β―シクロデキストリン、ヘキサキス(2、6−O−ヒドロキシプロピル)−β―シクロデキストリン、ヘキサキス(2、3、6−O−ヒドロキシプロピル)―β―シクロデキストリン、ヘキサキス(2、6−O−メチルー3−O−アセチル)−β―シクロデキストリン、オクタキス(2、6−O−ジメチル)−β―シクロデキストリン、オクタキス(2、3、6−O−トリメチル)−β―シクロデキストリン、オクタキス(2、6−O−ヒドロキシプロピル)−β―シクロデキストリン、オクタキス(2、3、6−O−ヒドロキシプロピル)―β―シクロデキストリン、オクタキス(2、6−O−メチルー3−O−アセチル)−β―シクロデキストリン等のシクロデキストリン誘導体が例示される。また、アミノ酸の天然光学活性化合物としては、フェニルアラニン、トリプトファン、ロイシン等が、さらにこれらの誘導体としてはN−(tert−ブトキシカルボニル)−L−トリプトファン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−D−トリプトファン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−フェニルアラニン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−D−フェニルアラニン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−ロイシン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−D−ロイシン等が例示される。タンパクの例としてはウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン等が挙げられる。なお、これら化合物は単独で用いても2種類以上を併用してもかまわない。
【0023】
本発明においては、上記キラルセレクタの中でも分離能が高いことから、各種シクロデキストリン又はその誘導体を用いるのが好適である。また、シクロデキストリン誘導体としては、入手の容易さ、水に対する溶解度、分離能の点から、シクロデキストリンの水酸基あるいは水素原子の一部がヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、トリフルオロアセチル基、アセチル基で置換されたシクロデキストリンを用いるのが好適である。
【0024】
本発明で使用するキラルセレクタの量は、該キラルセレクタが親和性を有するD体若しくはL体の量に対して十分な量となるように、使用する試料、さらには該試料に含まれる光学異性体の総量及びその光学純度等に応じて適宜決定すればよいが、十分な分離効果が得られ、且つ過剰使用および粘度上昇による操作性低下を防止するという観点から、移動相液中の濃度で1mM〜100mMの範囲で使用するのが好適である。
【0025】
本発明の分離方法においては、従来のキラルセレクタ添加法と同様に、平衡状態にある固定相の上流から試料及びキラルセレクタを移動相液と共に導入し、試料およびキラルセレクタを含む移動相液を固定相と接触させて試料中のD体とL体とを分離して固定相の下流より順次流出せしめる。このとき試料及びキラルセレクタを移動相液と共に導入する方法は、固定相と接触する前に試料に含まれるD体又はL体がキラルセレクタと充分に接触し、充分な相互作用が発揮させる方法であれば特に限定されず、例えばキラルセレクタと試料とを充分に混合した後に固定相の上流に位置する該移動相流路の所定の位置からジリンジ等を用いて所定量の注入する方法等も採用できるが、分離の確実性の観点から、予め所定濃度となるようにキラルセレクタを溶解させた移動相液を常時流通させておき、固定相の上流に位置する該移動相液流路の所定の位置から、ジリンジ等を用いて所定量の試料を注入するのが好適である。
【0026】
本発明の分離方法においては、上記のようにして導入した試料およびキラルセレクタを含む移動相液を固定相と接触させて分離を行なう際に、系内の環境を前記キラルセレクタの保持係数が前記試料中に含まれるD型光学異性体の保持係数及びL型光学異性体の保持係数よりも大きくなるようにしておくことが必須である。このような条件にすることにより、分離された光学異性体の流出順序を従来のキラルセレクタ添加法における流出順序と逆にすることができる。
【0027】
ここで、保持係数(retention coefficient、以下RCと略す。)とは、固定相に対する親和性の指標となるものであり、キラルセレクタを含まない移動相液を用いて、対象となる物質(この場合には、キラルセレクタ、D体、及びL体である)のクロマトグラフィー分析を行った際に、試料注入から検出器に至るまでの時間{t(分)}が、移動相液が同じ距離移動する時間{t0(分)}に比べてどれくらい遅くなるのかを示すもので、下記式で定義される値である。
【0028】
RC = (t−t0)/t0
系内におけるキラルセレクタの保持係数(RCk)をD体の保持係数(RCD)及びL体の保持係数(RCL)よりも大きくする方法は特に限定されないが、好適な方法としては、(1)移動相液の水溶性有機溶媒濃度を調整する方法、(2)移動相液のpHを調整する方法、又は(3)予め各種キラルセレクタの保持係数を調べておき、使用する試料ごとにRCkと>RCD and RCLとなるキラルセレクタを選定し、使用する方法を挙げることができる。RCkとRCD及びRCLとの間の相対的な関係を制御するので、上記(1)〜(3)の何れを採用するのが効果的であるかは、用いるキラルセレクタ及びD体及びL体の組合わせによって異なり、系に応じて好適な方法を適宜選択すればよいが、どのような系においても適用可能であるという観点からは、(1)又は(2)の方法を採用するのが好適である。なお、選択に際しては以下の事項を参考にするのが好適である。
【0029】
即ち、その理由は今のところ定かではないが、オクタキス(2、6−ヒドロキシルプロピル)−β−シクロデキストリン、オクタキス(2、3、6−ヒドロキシルプロピル)−β−シクロデキストリン等のアルキル基で修飾したシクロデキストリン類をキラルセレクタとして使用した場合には、移動相液中の水溶性有機溶媒濃度を0~10%と通常の移動相液よりも低くすることによりRCkを大きくすることができるので、このようなキラルセレクタを用いる場合には(1)方法を採用するのが好適である。
【0030】
また、分離しようとする光学異性体あるいはキラルセレクタのどちらかがイオン性を有する場合には、上記(2)の方法が有用である。例えば分離しようとする光学異性体がカルボキシル基を有する化合物である場合には、移動相液のpHがpKa値以上ではイオン性を有し、pKa値以下ではイオン性を有しない。そのため移動相液のpHにより移動相に対する分配率が変化し、その結果として保持係数も変化する。そのためpKa値以上のpHを使用した時に、分離しようとする光学異性体よりもキラルセレクタの保持係数を大きくすることができる。例えば、N-tert-ブトキシカルボニルアラニンを、キラルセレクタとしてオクタキス(2、6−ヒドロキシプロピル)−β―シクロデキストリンを用いて本発明の方法により光学異性体の分離を行う場合には、N-tert-ブトキシカルボニルアラニンのpKa値すなわち4よりも大きなpHの時に、N-tert-ブトキシカルボニルアラニンの水溶性は増し保持係数が著しく小さくなる。その結果としてキラルセレクタの保持係数が分離しようとする光学異性体よりも大きくすることができる。なお、移動相液のpHの調節は前記したpH調節剤を用いて行なうことができる。
【0031】
また、本発明により、RCkとRCD及びRCLとの間の相対的な関係を制御することにより分離された光学異性体の流出順序が制御できることが明らかとなったので、予め一般的な移動相液を用いた液体クロマトグラフィー分析を行ない、被分離物である光学異性体の保持係数及び各種キラルセレクタの保持係数を測定しておき、その大小関係からRCkと>RCD and RCLとなるキラルセレクタ選定し、これを使用することにより前記条件を満足させることもできる。因みに、置換基を導入して化学的に修飾することによりキラルセレクタの保持係数を変えることができ、一般的に保持係数が大きなキラルセレクタとしてはオクタキス(2−ヒドロキシオクチル)−β―シクロデキストリンなどアルキル部分の炭素数が4以上のシクロデキストリンを挙げることができる。なお、この方法は、最も確実な方法ではあるが、多種類のキラルセレクタについて予め保持係数の測定を行なっておく必要があるばかりでなく、条件を満足し得るキラルセレクタが見つかったとしても価格や入手の困難性の点で使用できない場合もある。
【0032】
本発明の分離方法は、一般に市販されている液体クロマトグラフを用いて行うことができ、その操作方法もRCkと>RCD and RCLとなるように調整された移動相液又はキラルセレクタを用いる他は通常の液体クロマトグラフィーと特に変わる点はない。例えば検出器を用いて、分離された各成分の流出時間(或いは保持時間)を測定しておき、これを参考に流出液を分取することにより、分離された各光学異性体を回収することができる。このとき、分離回収された光学異性体は、一般に夾雑物(分離に用いたキラルセレクタや各種塩類等)を含む溶液又は懸濁液の形で得られることが多いが、これら溶液等から光学純度の向上した分離対象化合物を単離することも勿論可能である。このような単離方法としては、種々の方法を用いることができるが、一例をあげれば、減圧留去により液体成分を除去し、その後、目的の光学異性体は溶解するが他の夾雑物は溶解しない溶媒を添加して目的物のみを溶解させ、ろ過等により分離した後、溶媒を除去する方法が挙げられる。
【0033】
本発明の分離方法を採用することにより、結果として分離された光学異性体の流出順序を任意に制御することが可能になったので、試料中に含まれるD型異性体とL型異性体との量比が大きく異なり一方が微量成分で他方が主成分となっている試料の分離において、予め任意に定めた所定の組成の移動相液を用いて上記のような分離を行ない最初に流出する光学異性体を確認したときに最初に流出する光学異性体が前記試料中における主成分であった場合であっても、移動相溶液のpH又は該溶液中に含まれていてもよい水溶性有機溶媒の含有量を調整して流出順序を逆転させ、微量成分が先に流出するようにして再度分離操作を行なうことにより、即ち、第二の本発明の分離方法を採用することにより、微量成分についても高純度品を得ることが可能となる。なお、このとき、最初の流出順序確認工程において、主成分がキラルセレクタとの親和性が高い光学異性体で先に流出する場合、再分離操作は(第一の)本発明の分離方法により行われることになる。本分離方法は、例えば微量成分の濃度が両光学異性体の総モル数を基準として30モル%以下、特に10モル%以下、更には5モル%以下であるような試料に対して特に有用である。
【0034】
また、第一又は第二の本発明の分離方法をにより分離を行った後に検出器によりそれぞれの光学異性体のUV吸収等を測定し、クロマトピークを得、そのピーク面積より光学純度を定量することもできる。この場合にも、上記と同様に一方の光学異性体が微量成分で他方の光学異性体が主成分である試料について各成分の定量を行なう場合、微量成分を先に流出させることにより、微量成分のピークが主成分のピークのテーリング部分と重なるのを防止することが出来、正確な定量を行なうことが可能となり、例えば試料の光学純度を決定する場合にも正確な光学純度の決定が可能となる。
【0035】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0036】
実施例1
キラルセレクタとしてオクタキス−(2、6−ヒドロキシプロピル)−β−シクロデキストリン(ワッカー製)11.35gを10mMリン酸緩衝液1000mlに溶解してシクロデキストリン濃度が10mM、pH7.5とした溶液に対して、アセトニトリル(和光純薬工業社製)を1容量%混合した水性溶液を調製した。この溶液を移動相とし、疎水性物質としてシリカゲル粒子表面にオクタデシル基を化学結合した固定相が充填された分離カラムInertsil (GLサイエンス社製)を用い、N-(tert−ブトキシカルボニル)−DL−アラニン{(D体/L体)モル比=1/2}を該分離カラムに注入して高速液体クロマトグラフィーを行なった。なお、上記キラルセレクタはD体に対して強い親和性を有することが知られている。
【0037】
測定の結果、2つのよく分離したクロマトピークが得られた。それぞれの流出時間は16.8分および19.7分であった。D体のみ、L体のみを試料として同条件で測定をおこなったところL体が16.8分、D体が19.7分で溶出していることが分かった。よって2つの光学異性体は分離されており、かつL体が先、D体が後に溶出していることが判明した。また、移動相として用いた水性溶液からキラルセレクタを除いた溶液を移動相とし、上記分離カラムを用いて高速液体クロマトグラフィーを行なってN-(tert−ブトキシカルボニル)−DL−アラニン及びキラルセレクタの保持係数を求めたところ、それぞれ(RCD,L=)7.4、及び(RCk=)32であった。
【0038】
なお、本実施例で用いた高速液体クロマトグラフィーの構成と条件は、以下の通りである。
【0039】
ポンプ:Waters社製600E
インジェクター:Waters社製U6K
カラムオーブン:島津製作所社製CTO10A
検出器:Waters社製991J
移動相流速:1ml/min
カラム温度:30℃
カラムサイズ:内径4.6mm、長さ250mm
検出波長: 210nm。
【0040】
実施例2
10mMリン酸緩衝液(pH7.5)の代わりに0.1%リン酸を、さらにアセトニトリルの濃度を10容量%とした他は同様にして調製したpH2の移動相液を用い、他は同様にして分離を行なったところ、2つのよく分離したクロマトピークが得られた。それぞれの流出時間は28.1分および30.5分であった。D体のみ、L体のみを試料として同条件で測定を行ないピークの帰属を行なったところL体が先、D体が後に溶出していることが確認された。また、実施例1と同様にして光学異性体及びキラルセレクタの保持係数を求めたところ、それぞれ(RCD,L=)15、及び(RCk=)18であった。
【0041】
比較例1
アセトニトリル濃度を10容量%とした以外は実施例1と同一条件で分離を行った。その結果、流出時間が7.0分及び7.5分のところに2つのクロマトピークが得られたが、各ピークの帰属を行なったところ、7.0分のピークはD体によるもの7.5のピークはL体によるものであることが分かった。実施例1と同様にして光学異性体及びキラルセレクタの保持係数を求めたところ、それぞれ(RCD,L=)2.6、及び(RCk=)0.9であった。
【0042】
実施例3
N-(tert−ブトキシカルボニル)−DL−アラニンのかわりにN-(tert−ブトキシカルボニル)−DL−アスパラギンを用いたほかは実施例1と同様にして本発明の分離方法による高速液体クロマトグラフィーを行った。
【0043】
測定の結果、2つのよく分離したクロマトピークが得られた。それぞれの流出時間は4.0分および5.1分であった。D体のみ、L体のみを試料として同条件で測定をおこなったところL体が4.0分、D体が5.1分で溶出していることが分かった。よって2つの光学異性体は分離されており、かつL体が先、D体が後に溶出していることが判明した。また、移動相として用いた水性溶液からキラルセレクタを除いた溶液を移動相とし、上記分離カラムを用いて高速液体クロマトグラフィーを行なってN-(tert−ブトキシカルボニル)−DL−アスパラギン及びキラルセレクタの保持係数を求めたところ、それぞれ(RCD,L=)1.1、及び(RCk=)32であった。
【0044】
実施例4
10mMリン酸緩衝液(pH7.5)の代わりに0.1%リン酸を、さらにアセトニトリルの濃度を10容量%とした他は同様にして調製したpH2の移動相液を用い、他は同様にして分離を行なったところ、2つのよく分離したクロマトピークが得られた。それぞれの流出時間は9.1分および11.0分であった。D体のみ、L体のみを試料として同条件で測定を行ないピークの帰属を行なったところL体が先、D体が後に溶出していることが確認された。また、実施例1と同様にして光学異性体及びキラルセレクタの保持係数を求めたところ、それぞれ(RCD,L=)3.5、及び(RCk=)18であった。
【0045】
比較例2
アセトニトリル濃度を10容量%とした以外は実施例3と同一条件で分離を行った。その結果、流出時間が4.2分及び4.4分のところに2つのクロマトピークが得られたが、各ピークの帰属を行なったところ、4.2分のピークはD体によるもの4.4のピークはL体によるものであることが分かった。実施例1と同様にして光学異性体及びキラルセレクタの保持係数を求めたところ、それぞれ(RCD,L=)1.1、及び(RCk=)0.9であった。
【0046】
【発明の効果】
本発明の分離法方によれば、D型光学異性体とL型光学異性体が混在した試料から、キラルセレクタ添加法を用いてD型光学異性体とL型光学異性体とを分離する際に、従来とは異なる順序で分離された光学異性体を流出させることができる。そのため、何れかの光学異性体が微量成分として存在し、従来の方法を用いて分離した時に微量成分のクロマトピークが主成分のクロマトピークのテーリング部分と重なってしまい正確な分離や定量が不可能であった試料についても、本発明の分離方法を採用して微量成分を先に流出させることにより、ピークの重なりを防止しより正確な分離や定量を行うことが可能となる。
【0047】
したがって、本発明の分離方法は、光学活性の低い化合物から光学分割により光学純度の高い化合物体を製造する際の光学分割法として好適に採用できるばかりでなく、光学純度の定量方法としても好適に採用できる。さらに、従来の光学分割法を採用して光学純度の高い化合物を製造する際の工程管理にも応用できる。
Claims (4)
- 固定相とそれに接して連続的に流れる水又は水性溶液からなる移動相液により形成される平衡系に、D型光学異性体とL型光学異性体との混合物を含んでなる試料、及び該試料中に含まれるD型光学異性体又はL型光学異性体の何れか一方に対して他方よりも高い親和性を有する物質からなるキラルセレクタを固定相の上流から移動相液と共に導入し、試料およびキラルセレクタを含む移動相液を固定相と接触させることにより前記試料中のD型光学異性体とL型光学異性体とを分離して該固定相の下流より順次流出せしめる液体クロマトグラフィーを用いた光学異性体の分離方法において、前記試料及びキラルセレクタを含む移動相液と固定相との接触を前記キラルセレクタの保持係数が前記試料中に含まれるD型光学異性体の保持係数及びL型光学異性体の保持係数よりも大きくなる条件下で行なうことを特徴とする光学異性体の分離方法。
- 前記試料及びキラルセレクタを含む移動相液と固定相との接触を前記キラルセレクタの保持係数が前記試料中に含まれるD型光学異性体の保持係数及びL型光学異性体の保持係数よりも大きくする方法が、移動相液として水溶性有機溶媒を含む水性溶液を用い、該水性溶液中の水溶性有機溶媒濃度を調整する方法、又は移動相液のpHを調整する方法であることを特徴とする請求項1記載の分離方法。
- 固定相とそれに接して連続的に流れる水溶性有機溶媒を含有していてもよい水性溶液又は水からなる移動相液により形成される平衡系に、D型光学異性体とL型光学異性体との混合物であっていずれか一方の含有量が他方の含有量よりも多い混合物を含む試料、及び該試料中に含まれるD型光学異性体又はL型光学異性体の何れか一方に対して他方よりも高い親和性を有する物質からなるキラルセレクタを固定相の上流から移動相液と共に導入し、前記試料及びキラルセレクタを含む移動相液を固定相と接触させることにより試料中のD型光学異性体とL型光学異性体とを分離して該固定相の下流より順次流出せしめる液体クロマトグラフィーを用いた光学異性体の分離方法であって、予め任意に定めた所定の組成の移動相液を用いて分離を行ない最初に流出する光学異性体を確認した後、該分離において最初に流出する光学異性体が前記試料中における主成分である光学異性体が先に流出することが確認された場合において、当該光学異性体がもう一方の光学異性体よりも後に流出するように移動相溶液のpH又は該移動相液中に含まれていてもよい水溶性有機溶媒の含有量を調整し、再度分離を行なうことを特徴とする光学異性体の分離方法。
- 請求項1乃至3の何れかに記載の分離方法で分離された光学異性体を定量することを特徴とする光学異性体の定量方法。
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