JP4914368B2 - Gaba−ステロイド拮抗剤およびcns疾患の治療のためのその使用 - Google Patents

Gaba−ステロイド拮抗剤およびcns疾患の治療のためのその使用 Download PDF

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Description

本発明は,中枢神経系(CNS)のGABA−ステロイド関連および/または誘導性疾患の治療,緩和または予防に関し,特に,この目的のための特定のステロイド化合物,前記治療用の医薬品の製造のためのこれらの使用,ならびにこれらの使用を伴う治療方法に関する。
発明の背景
性およびストレスホルモンであるプレグネノロン,プロゲステロン,デスオキシコルチコステロン,コルチゾンおよびコルチゾル(プレグナノロンとしても知られる)の代謝産物;ならびにテストステロン,アントロステンジオンおよびデヒドロエピアンドロステロンの代謝産物はすべて種々の研究の対象であり,哺乳動物の神経学的シグナル系におけるこれらの役割が少なくとも部分的に解明されてきた。
本発明において興味の対象であるCNS症状および疾患を誘導するステロイドはすべて,3アルファ−ヒドロキシ基,5アルファまたは5ベータプレグナンステロイド体,および,17,20または21位にケトンまたはヒドロキシ基を含む点において,構造的類似性を有する。
3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナン−20−オン/オールまたは3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−アンドロスタン−17−オン/オールを含むステロイドは,ガンマ−アミノ酪酸(A)レセプター(GABA−A)の重要な特異的増強剤であることが示されている。これらは,GABA−Aレセプターに結合し,GABA−Aレセプターの開放頻度および開放時間に関して,GABAの効果を増強することにより作用する。この効果は,ベンゾジアゼピンおよびバルビチュレートの両方の効果と類似する。しかし,前記ステロイド化合物は,これらの両方の化合物とは別の結合部位を有する。そのようなGABA増強性ステロイドの例およびthe Chemical Abstracts Registry/Chicago Academy of Science(CAS)にしたがうその番号を表1に示す。
ステロイドの命名法は,完全には一致しておらず,したがって,本明細書の全体をとおしてthe International Union of Pureand Applied Chemistry(IUPAC)により開発された命名法を使用する。
これらのステロイドのいくつかは,高い薬理学的用量で感覚脱失を誘導する能力を有することが示されている。これらはまた,抗てんかん薬として,または催眠剤としても用いることができる。これらの化合物のいくつかはまた,動物実験において抗不安効果を有することが示されている。しかし,これらの効果を得るためには,高濃度または高用量が必要である。さらに,これらは急性の効果として現れる。
上述したように,これらの直接CNS効果に関しては,これらの化合物はベンゾジアゼピンおよびバルビチュレートに類似する。しかし,これらはまた,ベンゾジアゼピンおよびバルビチュレートに通常付随する効果と類似する有害な効果も有する。内因性3アルファ−ヒドロキシ−プレグナン−20−オン−ステロイドまたは3アルファ−ヒドロキシ−アンドロスタン−ステロイドの有害な効果が,これらのステロイドにより誘導される負のCNS効果の基礎である。3アルファ−ヒドロキシ−プレグナン−ステロイドおよび3アルファ−ヒドロキシ−アンドロスタン−ステロイドは内因的に産生され,ステロイドホルモンの代謝産物であって,これらのいくつかは生命に必須であるため,これらの産生は容易に遮断することはできない。これらのステロイドは,月経周期の黄体期の間,すなわち,成熟した卵胞から卵子が放出された後,妊娠の間,およびストレスの間の数日間から数週間のうちに大量に産生される。これらは脳内でも産生される。
3アルファ−ヒドロキシ−ステロイドにより引き起こされる疾病
内因的に産生される3アルファ−ヒドロキシ−5アルファステロイドまたは3アルファ−ヒドロキシ−5ベータステロイドがGABA−Aレセプターに及ぼす作用により引き起こされる疾患は,よく特徴決定され理解されている。また,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドが,曝露後にそれ自身および別の類似の物質に対する耐性を誘導しうること,および3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドの離脱に際して禁断症状が起こることもよく知られている。まとめると,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドが上述の3つの可能なメカニズム,すなわち,a)直接作用,b)耐性誘導,およびc)脱離症状を介してCNS疾患を引き起こすことは一般に知られている。これらのメカニズムを以下に詳細に説明する。
a)直接作用
3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドがCNS機能の阻害を直接引き起こしうることは確立されている。3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドの直接作用により引き起こされる症状の例としては,鎮静,疲労感,記憶障害,学習障害,運動機能の障害,粗相,食欲増進および大食症,緊張などの負の気分,月経前不快疾患における主要な症状である被刺激性および抑うつ,月経前症候群および小発作てんかんの悪化が挙げられる。この直接作用の例はまた,以下のように分けることができる:鎮静および麻酔効果;運動機能の障害;認識機能,記憶および学習に及ぼす効果;小発作てんかんの悪化;月経前症状;気分変化;実験動物における不安の誘発;過食症および食欲増進;大食症など。
b)耐性
連続的かつ長期の3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドへの曝露は,GABA−Aレセプター系の機能不全を引き起こす。耐性が発現し,この耐性は最終的に,ストレス過敏症,集中困難症,および衝動調節の喪失および抑うつにつながるプロセスの初期段階である。また,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドの作用は,薬剤依存性を高める因子であることが見いだされている。これは,多くの研究の焦点であった。これまで,以下のテーマが研究の主な主題であった:大量の3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータステロイドの長期分泌後のGABA機能のダウンレギュレーションおよび低下;PMSにおけるベンゾジアゼピンおよび3アルファ−ヒドロキシ−5ベータステロイド感受性の低下;および依存性誘発。
c)禁断症状
3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドへの連続的であるがより短い曝露は,曝露が終了したときに脱離症状をもたらす。この現象は,例えば,自然には,月経の間に卵巣の黄体による3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドの産生が中断したときに生ずる。この離脱現象はまた,出産後(分娩後)に胎盤による3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドの産生が中断したときにも生ずる。同じ現象はまた,ストレスが終止した間,例えば,週末に業務上のストレスが中断したときにも認められる。ストレスに対する応答として,副腎が3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドを産生していたのである。この産生が中断すると,禁断症状が起こりうる。
この離脱現象により影響される状態の例は,患者が大脳皮質中にてんかん性病巣を有するてんかんであり,この場合には,月経の間の離脱期間に悪化する。この現象は"月経てんかん"と称されている。他の例は,月経関連片頭痛,ストレス関連片頭痛,および分娩後気分変化である。同様の症状および状態は,例えば,経口避妊薬,閉経後ホルモン補充療法,炎症性疾患のステロイド治療において用いられるようなステロイドホルモンによる治療の間,およびアナボリック/アンドロゲン性ステロイドの摂取の間に誘発される。メカニズムは,直接的効果,耐性発現および離脱の誘導におけるものと類似している。
ガンマ−アミノ酪酸(GABA)過剰刺激により引き起こされる疾患
GABAそれ自体による高刺激は,ある状況下では学習および記憶機能を阻害することが知られている。GABAの過剰産生は,短期学習および記憶機能を低下させる。これは,特に老齢者においては臨床的に重要である。そのような状況下においては,GABAの効果の拮抗作用は有益でありえ,記憶障害の治療に有用である可能性がある。しかし,GABA拮抗作用が強すぎると,例えば,けいれんを引き起こし,これは患者にとって危険でありうる。したがって,GABA−ステロイド誘導性状態を選択的にブロックする特異的拮抗剤,およびGABA−AレセプターにおけるGABAにより活性化されるクロライド流出にも影響を与えるが本質的にGABA−Aレセプターを完全にブロックすることができない拮抗剤を見いだすことに興味がもたれる。
本発明者らは,驚くべきことに,主としてGABAそれ自体の効果に対して拮抗作用を有する物質および主としてGABAがGABA−Aレセプターに及ぼすステロイド作用に影響を与える物質を見いだした。これらの効果の間を区別することが重要である。これは,GABA−ステロイド作用の拮抗作用は,GABAそれ自体の効果の直接的な部分拮抗作用以外の状況で示されるためである。
現在,アルツハイマー病(AD)および軽度認識障害(MCI)の治療はほとんど実現されておらず,予防的または治癒的な治療法は存在しない。GABA−ステロイド,ベンゾジアゼピンおよびアルコール等のGABA−Aレセプター作動剤が記憶喪失作用を有すること,および脳領域のGABA−Aレセプターが最もADにより影響されるという事実から,GABA−AレセプターはADおよびMCIにおける可能性のある治療標的として注目されてきた。記憶喪失性のGABA−Aレセプター作動剤とは対照的に,逆作動剤ないし拮抗剤は,GABA−Aレセプターの機能を低下させるであろう。GABA−ステロイド拮抗剤およびGABA拮抗剤は,動物モデルにおいて学習および記憶の能力を改善することが示されている。残念ながら,非選択的であり全体をブロッキングするリガンドもまた,けいれんを誘発する。すなわち,部分的かつ選択的ブロッカーが求められている(Maubach,K.,GABA−A receptor subtype selective cognition enhancers,Curr.Drug Targets CNS Neurol Disord.,2003(2)233−239)。現在市販されている認識強化剤は,効果が低く顕著な副作用を有しており,新規物質が求められている。これが本発明の主題である。
従来技術
本発明者らの知る限りでは,GABA−ステロイド作用を選択的に阻害するか,またはGABA−Aレセプターに及ぼすGABA作用を主として阻害するステロイド物質はこれまでに開示されていない。従来技術は,すべてのGABA−ステロイド効果に及ぼす一般的作用を述べているのみである。
PrinceおよびSimmons(Neuropharmacology,vol.32,no.1,pp.59−63,1993)は,雄ラットの全脳の膜画分を用いるモデルを使用している。全脳ホモジネートのこの画分において,著者らはステロイド効果およびGABA−Aレセプターのコンフォメーションの変化のモデルとして,ベンゾジアゼピン,3H−フルニトラゼパムの結合を用いた。この実験は,GABA−Aレセプターのアロステリック調節を示すものであると示唆されている。しかし,GABA刺激の際のフルニトラゼパム(FNZ)結合の変化とクロライド流の変化との間の相関は不明確であり,結合の変化はGABAレセプターを通るクロライド流の変化の証拠とすることはできず,GABA−Aレセプター機能の変化の証拠ともすることができない。クロライド流の変化は重要な効果である。
中心となる疑問,すなわち,FNZ結合の変化と神経興奮性との間に相関が存在するかという疑問は,さらに不明確であり,FNZ−結合の結果のみからではそのような結論を導くことができない。FNZ結合特性の変化または結合特性のそのような変化がないことは,神経活性またはGABA−A媒介性クロライド流の変化または変化がないことを示唆していない。
GABA−Aレセプターがいくつかのサブユニットを含に,これらを多様に組み合わせることができることもよく知られている。興味深いことに,ある種の組み合わせはステロイド認識部位を欠失している。また,けいれん誘発物質であるTBPS(t−ブチルビシクロ−ホスホロチオネート)の結合に及ぼすステロイドの影響は,異なる脳領域では異なっていることも知られている。さらに,雌ラットにおいてTBPSの結合は発情周期によって異なることも知られており,このことは,効果が卵巣ホルモン産生に関連して変化することを示す。発情周期に関連するこれらの変化は,もちろん,PrinceおよびSimmons(上掲)の実験で用いられたような雄ラットでは知られていない。
米国特許5,232,917(Bolgerら)および米国特許5,939,545(Upasaniら)は,多数の3アルファ−ヒドロキシステロイドを開示する。これらの特許は両方ともGABA−Aレセプターの作動性調節に関する。すなわち,これらの特許は両方とも,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドのベンゾジアゼピン様効果に焦点をあてている。GABA−Aレセプターの調節剤であるすべてのステロイドは,1つの3アルファ−ヒドロキシ構造という共通の特徴を有する。これらの文献において言及されている3ベータ−ヒドロキシステロイドは,単に,3アルファ−ヒドロキシ−ステロイドが特異的であることを示すために対照として用いられているにすぎない。3ベータ−ヒドロキシ構造のみを有するステロイドがGABA−Aレセプター調節効果を有していると示されたことはこれまでにない。有効なGABA−Aレセプター調節効果が認められたすべての場合において,ステロイドは3アルファ−ヒドロキシ基を有するものである。
WO99/45931(Backstrom&Wang)は,1つの特定のステロイド,すなわち,3ベータ−ヒドロキシ−5アルファ−プレグナン−20−オンの拮抗効果を開示するが,他の3ベータ−ヒドロキシ−ステロイドについては何も述べていない。
3ベータ−OH−5アルファ−プレグナン−20−オンの3アルファ−OH−5アルファ/ベータ−プレグナン−20−オンに対する拮抗効果は,最初にWangらにより開示された(Wang M.D.,Backstrom T.and Landgren S.(2000)The inhibitory effects of allopregnanolone and pregnanolone on the population spike,evoked in the rat hippocampal CA1 stratum pyramidale in vitro,can be blocked selectively by epiallopregnanolone.Acta Physiol Scand 169,333−341)。この論文においては,3ベータ−OH−5アルファ−プレグナン−20−オンが2つの3アルファ−OH−5アルファ/ベータ−ステロイドに及ぼす用量依存的な拮抗効果が示されている。
WO03/059357(Backstromら)は,CNS疾患の治療におけるプレグナンステロイドの使用を開示する。この特許は,GABA−ステロイド効果またはGABAそれ自体に対する作用を選択的に阻害する可能性については言及していない。
3ベータ ステロイドがGABAそれ自身の効果に対する影響も有しうることは,Wangらに開示されている(Mingde Wang,Yejun He,Lawrence N.Eisenman,Christopher Fields,Chun−Min Zeng,Jose Mathews,Ann Benz,Tao Fu,Erik Zorumski,Joe Henry Steinbach,Douglas F.Covey,Charles F.Zorumski,and Steven Mennerick.3beta−Hydroxypregnane Steroid Are Pregnenolone Sulfate−like GABAA Receptor Antagonists.The Journal of Neuroscience,May 1,2002,22(9):3366−3375)。この文献においては,著者らは,GABAによりGABA−Aレセプターの最大刺激が与えられると,ある種の3ベータ−ヒドロキシプレグナンステロイドがGABAそれ自身の効果を阻害しうることを示す。しかし,ある種の3ベータ−ヒドロキシステロイドが主としてGABAにより開閉されるクロライド流出に及ぼすGABA−ステロイドの効果を阻害すること,および他のステロイドもまたGABAそれ自体の効果を阻害することは発見していない。
GABA阻害効果の低い3アルファ−ヒドロキシ−プレグナン−ステロイド作用の特異的拮抗剤を見いだすこと,および,その化合物が生理学的に安全であり,医薬としての使用に適しており,さらに生理学的に許容しうる投与量で適用しうる,GABA作用の部分的拮抗剤を見いだすことが,課題として残っている。
したがって,本発明の1つの目的は,GABA−ステロイド拮抗作用およびGABAそれ自体に対する部分的拮抗作用の特異的ブロッカーを同定し,ステロイド関連および/またはステロイド誘導性CNS疾患の治療,緩和または予防のための新規医薬品および方法を利用可能とすることである。
さらなる目的,これに関連した解決法およびその利点は,説明,実施例および特許請求の範囲を熟知することにより,当業者には明らかとなるであろう。
発明の概要
本発明者らは,驚くべきことに,3ベータ位にヒドロキシ基の形で水素ドナーを有し,さらに20位にヒドロキシ基を有するステロイド化合物が,3アルファ−ヒドロキシ−プレグナン−ステロイド作用の有効なブロッカーとして機能するが,GABAそれ自体に対しては最少の活性しか有しないことを見いだした。したがって,これらは,ステロイド関連またはステロイド誘導性CNS疾患を予防および/または治療するための治療用物質として有用である。
さらに,本発明者らは,驚くべきことに,3位に,または3,20および21位にアセテート基を有するプレグナンステロイドが,GABA媒介性クロライド流出に及ぼすGABAそれ自体の効果を部分的に阻害しうることを見いだした。したがって,これらは,例えば,アルツハイマー病の場合におけるようにGABAの機能それ自体が過剰刺激されている疾患を予防および/または治療するための治療用物質として有用である。
本発明者らは,ステロイド関連またはステロイド誘導性CNS疾患の予防および/または治療において使用するための,およびこの目的のために医薬品を製造するための,GABA作用に対して低い拮抗作用を示すが3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイド(GABA−ステロイド)作用に対して有意な効果を有する4種類の化合物を提供する。これらの化合物は,5アルファ−プレグナン−3ベータ,20ベータ−ジオール,5ベータ−プレグナン−3ベータ,20アルファ−ジオール,5アルファ−プレグナン−3ベータ,20アルファ−ジオール,5ベータ−プレグナン−3ベータ,20ベータ−ジオール(表2を参照)である。
さらに,本発明者らは,GABAによる過剰刺激により引き起こされる疾患およびこのことにより誘導されるCNS疾患の予防および/または治療に用いるための,およびこの目的のための医薬品の製造に用いるための,GABA作用に対して部分的拮抗作用を有する10種類の化合物を提供する。これらの化合物は,5アルファ−プレグナン−3ベータ−オール−20−オン アセテート;5ベータ−プレグナン−3ベータ−オール−20−オン;5ベータ−プレグナン−3ベータ,21−ジオール−20−オン;5アルファ−プレグナン−3ベータ,20ベータ−ジオール 3−アセテート;5ベータ−プレグナン−3ベータ,20ベータ−ジオール 3−アセテート;5アルファ−プレグナン−3ベータ,20アルファ−ジオール 3−アセテート;5アルファ−プレグナン−3ベータ,20ベータ−ジオール ジアセテート;5ベータ−プレグナン−3ベータ,20アルファ−ジオール ジアセテート;5ベータ−プレグナン−3ベータ,20ベータ−ジオール ジアセテート;5ベータ−プレグナン−3ベータ,21−ジオール−20−オン 21−アセテートである(表3を参照)。
本発明の1つの観点は,3アルファ−ヒドロキシ−プレグナン−ステロイド作用およびGABA−作用に対するブロッキング物質としての上述の化合物の治療用途である。さらに,これらの物質は,添付の特許請求の範囲に記載されるように,多くの特定のステロイド関連またはステロイド誘導性CNS疾患の治療用の医薬品の製造の用途,および治療方法の用途が示唆される。
図面の簡単な説明
表および図面を参照して,以下の説明および実施例において,本発明をさらに詳細に説明する。
図1は,Xenopuslavies卵母細胞で発現させた組換えGABA−Aレセプター(アルファ1,ベータ2,ガンマ2L)における,最大GABA媒介性クロライド流出(30μMGABA)の阻害と,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ−プレグナン−20−オンにより亢進されるGABA媒介性クロライド流出との相関を示す。データ点のラベルは製品番号で示されており,この番号に対応する正式名称は表2および3に示される。黒×3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ−プレグナン−20−オン(3μM)により亢進されたGABA(3μM)応答を阻害するステロイド拮抗剤を強調する。黒丸は,直接GABA応答(30μM)と3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ−プレグナン−20−オンにより亢進されるGABA応答との両方を阻害するステロイド拮抗剤を強調する。
図2は,Xenopurs lavies卵母細胞で発現させた組換えGABA−Aレセプター(アルファ1,ベータ2,ガンマ2L)における,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ−プレグナン−20−オンにより亢進されるGABA媒介性クロライド流出の阻害と,雄ラット大脳皮質からの皮質ミクロ嚢包(micros sacs)における,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ−プレグナン−20−オンにより亢進されるGABA媒介性クロライド取り込みの阻害との間の相関を示す。データ点は製品名で示され,正式名称は表2および3に示される。
発明の説明
本発明を説明する前に,本発明は添付の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されるため,本明細書において使用される用語は特定の態様を記述する目的でのみ用いられ,限定を意図するものではないことが理解される。
特に,本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる場合,単数形"a","an",および"the"は,文脈が明らかにそうではないことを示していない限り,複数の指示対象も含むことに注意しなければならない。
以下の説明においては,"ステロイド関連疾患"などにおける,"ステロイド関連"および"ステロイドにより誘導される"との用語は,ステロイドが中枢神経系に対して作用する次の3つの可能なメカニズムを包含することを意味する:a)直接作用,b)耐性誘導(tolerance induction),およびc)離脱症状(withdrawal effect)。そのような疾患の例は上に記載されているが,これらはそれぞれのメカニズムを説明することを意味しており,本発明を限定するものと解釈すべきではない。
"ブロッキング"との用語は,この場合には3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドがGABA−Aレセプターに作用することが妨げられるという効果を定義することを意味する。"ブロッキング"とは,作用がなお生じているがより低い程度でまたはより遅い速度で称することを示唆する"調節"または"抑制"または同様の用語が意味する効果とは全く異なる効果であることが理解される。
"拮抗剤"との用語は,別の物質(作動剤)がその効果を誘発することを妨害する物質を意味する。本明細書において,拮抗剤およびブロッカーとの用語は同様に用いられる。
"医薬組成物"との用語は,その最も広い意味で用いられ,少なくとも1つの活性な物質,および任意に担体,アジュバント,構成要素等を含む,すべての薬学的に適用しうる組成物を包含する。"医薬組成物"との用語はまた,誘導体またはプロドラッグ,例えば,薬学的に許容しうる塩,サルフェートおよびエステルの形の活性物質を含む組成物を包含する。種々の投与経路用の医薬組成物の製造は,製剤化学の技術者の能力の範囲内である。
"投与"および"投与のモード",ならびに"投与の経路"との用語もまたその最も広い意味で用いられる。本発明の医薬組成物は,多くの方法により投与することができ,これは治療すべき状態には局部,局所または全身投与モードのいずれが最も適しているかによって決まる。これらの種々の投与モードには,例えば,局所(例えば皮膚上),局部(例えば目に,および種々の粘膜(例えば膣および直腸デリバリー)),経口または非経口および肺(例えば上気道および下気道)が含まれる。
そのような組成物および処方剤の製造は,一般に製薬および処方剤の技術分野の当業者に知られており,本発明の組成物の処方に適用することができる。
本発明者らは,驚くべきことに,薬学的に適切でありかつ実用的に適用可能な投与量の,3ベータ位に水素ドナーを,20位にヒドロキシ基を有するステロイドが,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドの作用をインビトロで阻害することができるが,GABAそれ自身による効果に対して非常に低い拮抗効果を有することを示した。すなわち,これらは3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドの負の効果の発現をブロックするが,GABAそれ自身の作用にはほとんど影響を有しない。本発明では,CNS疾患の発症における3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドの作用のメカニズムと,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドとの相互作用における,3ベータ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナンまたは3ベータ−サルフェート−5アルファ/デルタ5−プレグナン/プレグネンステロイドの作用のメカニズムとの両方の問題を扱う。これらの化合物の例は表2に示される。
さらに,本発明者らは,驚くべきことに,薬学的に適切でありかつ実用的に適用可能な投与量の,3位に,および/または3,20および21位にアセテート基を有するステロイドが,GABA媒介性クロライド流出に及ぼすGABAそれ自身の効果を部分的に阻害しうることを示した。したがって,これらのステロイドは,アルツハイマー病におけるようにGABA機能それ自体が過剰刺激されている疾患を予防および/または治療するための治療物質として有用である。そのような化合物の例は表3に示される。
本発明は,3ベータ位に水素ドナーを,特にヒドロキシ基またはサルフェート基を有し,さらに20位にヒドロキシ基を有するすべてのステロイドに関する。本明細書においては,その例は表2に記載される3ベータ−ヒドロキシ−プレグナン−20−オールのステロイドである。本発明者らは,これらのステロイドは拮抗剤であり,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナン−ステロイドの効果に拮抗することができるが,中枢神経系(CNS)におけるGABAそれ自身の効果に対してはほとんど影響しないことを見いだした。驚くべきことに,3アルファ−ヒドロキシ−プレグナン−ステロイドと表2に記載される3ベータ−ヒドロキシ−プレグナン−ステロイドで同時に処理すると,3アルファ−ヒドロキシ−プレグナン−ステロイドにより誘導される,Xenopus lavies卵母細胞で組換え的に発現させたGABA−Aレセプターを通るクロライド流出が阻害されるが,GABA単独により誘導されるクロライド流出にはほとんど影響がない。
本発明の1つの利点は,3ベータ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナン20−オール−ステロイド,特に,5アルファ−プレグナン−3ベータ,20ベータ−ジオール,5ベータ−プレグナン−3ベータ,20アルファ−ジオール,5アルファ−プレグナン−3ベータ,20アルファ−ジオール,5ベータ−プレグナン−3ベータ,20ベータ−ジオールが,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナン−ステロイドのGABA−Aレセプター調節効果と有効に拮抗するが,GABA−AレセプターのGABA活性化には低い程度の影響しか与えないことである。特に有利な点は,このブロッキングが薬学的にかつ生理学的に適切な濃度で達成されるという点である。
すなわち,本発明の背後にある新たなかつ驚くべき知見は,薬学的および生理学的に許容しうる量の3ベータ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナン−20−オール−ステロイドを投与することにより,GABA効果に対してほとんどまたは全く影響を及ぼさずに,GABAにより活性化される,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナン−ステロイドによる電流の上昇を選択的にブロックすることが可能であるということである。
本発明における別の新たなかつ驚くべき知見は,3,20および21位にアセテート基を有する3ベータ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナン−ステロイド,特に,5アルファ−プレグナン−3ベータ−オール−20−オン アセテート;5アルファ−プレグナン−3ベータ,20ベータ−ジオール 3−アセテート;5ベータ−プレグナン−3ベータ,20ベータ−ジオール 3−アセテート;5アルファ−プレグナン−3ベータ,20アルファ−ジオール 3−アセテート;5アルファ−プレグナン−3ベータ,20ベータ−ジオール ジアセテート;5ベータ−プレグナン−3ベータ,20アルファ−ジオール ジアセテート;5ベータ−プレグナン−3ベータ,20ベータ−ジオール ジアセテート;5ベータ−プレグナン−3ベータ,21−ジオール−20−オン 21−アセテート;およびある種の3ベータ−5ベータ−ステロイド,特に,5ベータ−プレグナン−3ベータ−オール−20−オン,および5ベータ−プレグナン−3ベータ,21−ジオール−20−オンが,GABA−Aレセプターにおける直接的GABA応答を部分的に阻害しうるということである。特に有利な点は,このブロッキングは薬学的にかつ生理学的に適切な濃度で達成されることである。
GABA−Aレセプターはクロライドチャネルであり,GABA−Aレセプターはチャネルを通るクロライドの流入を変化させることによりその作用を発揮する。GABA−Aレセプターが開き大量のクロライドが細胞内に流入すると,脳における神経活性が低下することは当該技術分野においてよく知られている。流入するクロライドの量とGABA−Aレセプター活性薬剤の臨床的効果との間には相関があることもよく知られている。
ベンゾジアゼピン,バルビチュレート,およびアルコール(ある程度)は,このメカニズムによりその作用を発揮する。しかし,これはまた,これらの薬剤の有害な効果の原因でもある。GABA−Aレセプターに伴う問題点は,これが脳のほとんどの部位でその作用を有することである。したがって,GABA作用の完全なブロッカーは危険であり,精神異常の症状およびけいれんを引き起こしうる。3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナン−ステロイド作用と拮抗すべき場合には,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナン−ステロイド効果と特異的に拮抗し,GABAそれ自体の効果には拮抗しない物質を使用することが望まれるであろう。しかし,疾患の原因がGABAそれ自体の作用によるGABA系の一般的過剰活性化である状況では,GABA自体の効果に対して作用するより一般的な拮抗剤が好ましい。しかしながら,これらの一般的拮抗剤がGABA−Aレセプターを完全にブロックすると,これらは危険である。したがって,本発明により記載されるような部分的拮抗剤が好ましい。
上で説明したように,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナン−ステロイドに関連する多くの症状および状態が存在しており,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナン−ステロイド効果をブロッキングすることは,これらの状態の治療となりうる。本発明者らは,本発明によりそのようなブロッキングのための物質および方法を利用可能とするものである。
さらに,GABA−A系の一般的過剰刺激に関連する状態が存在しており,GABA効果の部分的ブロッカーはそのような状態の治療となりうる。本発明者らは,本発明により,GABA効果のそのような部分的ブロッキングのための物質および方法を利用可能とするものである。
PrinceおよびSimmons(上掲)により報告された実験においては,間接的リガンド結合アッセイが用いられた。しかし,FNZ結合を単独で研究することによっては,インビボでの神経活性において同じ効果が見られると推測することはできない。また,PrinceおよびSimmonsは,論文ではこのことを主張していない。彼らは,ステロイドの結合部位への影響およびこれらの部位が同じであるか否かについて議論しているのみである。これは新たな議論ではなく,ステロイド結合部位がいくつかある可能性はそれ以前の刊行物において示されている。彼らが引き出した唯一の結論および,彼らの実験設計およびモデルを用いて引き出すことが可能な結論は,ステロイドはFNZの結合を異なるように変化させ,FNZ結合に対してある種の相互作用を有するということである。PrinceおよびSimmonsの結果からは,神経活性または臨床的な意味に及ぼす影響についての結論を引き出すことはできない。
本発明者らは,驚くべきことに,薬学的に適切かつ使用可能な用量の3ベータ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナン−20−オール−ステロイド,特に5アルファ−プレグナン−3ベータ,20ベータ−ジオール,5ベータ−プレグナン−3ベータ,20アルファ−ジオール,5アルファ−プレグナン−3ベータ,20アルファ−ジオール;および,5ベータ−プレグナン−3ベータ,20ベータ−ジオールは,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドの作用の選択的ブロッカーであり,したがって,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドの負の効果の発症をブロックするが,GABA阻害に対しては極めて小さい影響しか有しないことを見いだした。本発明者らはまた,驚くべきことに,薬学的に適切かつ実用的に使用可能な用量の,3,20または21位にアセテート基を有する3ベータ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナン−ステロイド,特に5アルファ−プレグナン−3ベータ−オール−20−オン アセテート;5アルファ−プレグナン−3ベータ,20ベータ−ジオール 3−アセテート;5ベータ−プレグナン−3ベータ,20ベータ−ジオール 3−アセテート;5アルファ−プレグナン−3ベータ,20アルファ−ジオール 3−アセテート;5アルファ−プレグナン−3ベータ,20ベータ−ジオール ジアセテート;5ベータ−プレグナン−3ベータ,20アルファ−ジオール ジアセテート;5ベータ−プレグナン−3ベータ,20ベータ−ジオール ジアセテート;5ベータ−プレグナン−3ベータ,21−ジオール−20−オン 21−アセテート,およびいくつかの3ベータ−5ベータ−ステロイド,特に5ベータ−プレグナン−3ベータ−オール−20−オン,および5ベータ−プレグナン−3ベータ,21−ジオール−20−オンはGABA効果の部分的ブロッカーであることを見いだした。
本発明者らは,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドおよびGABAそれ自体に起因する疾患の背後にある作用の両方のメカニズムを決定した。当該技術分野においては,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドが,3つの可能なメカニズム,すなわち,a)直接作用,b)耐性誘導,およびc)離脱症状によりCNS疾患を引き起こすことはよく確立されている。さらに,GABAによる広範囲の過剰刺激が,最終的にはGABA−A系の機能を破壊すること,および低下する機能には,アルツハイマー病において生ずることが知られているような,記憶および学習能力が含まれることもよく確立されている。
先に開示されている発明と比較すると,例えば,Bolgerらの米国特許5,232,917およびUpasaniらの米国特許5,939,545は,特許においてもその対応する科学文献(Lan N.C,Gee K.W.,Bolger M.B.&Chen J.S.(1991),Differential responses of expressed recombinant human gamma−aminobutyric acid Areceptors to neurosteroids.Journalof Neurochemistry.57(5):1818−1821)においても,3ベータ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナン−ステロイドがGABA−Aレセプターの調節剤であるとは開示していない。
したがって,本発明の一般的観点として,本発明者らは,3アルファ−ヒドロキシ−プレグナン−ステロイドがGABA−Aレセプターに及ぼす作用をブロッキングしうるが,GABAの効果をブロッキングしない化学化合物,ならびにGABA作用の部分的拮抗剤を利用可能とするものである。
本発明の別の観点は,3アルファ−ヒドロキシ−プレグナン−ステロイドがヒトGABA−Aレセプターに及ぼす作用をブロッキングしうる化合物,またはGABA効果の部分的ブロッカーを含む医薬組成物である。好ましくは前記化合物(表2,3)は,適切でありかつ薬学的に許容しうる塩,最も好ましくはナトリウム塩の形で存在する。
本発明の別の観点は,ヒト患者においてステロイド関連CNS疾患を治療および/または予防するための一般的方法であり,この方法では,3アルファ−ヒドロキシ−プレグナン−ステロイドがヒトGABA−Aレセプターに及ぼす作用をブロッキングしうる少なくとも1つの化合物を前記患者に投与する。好ましくは,前記化合物は,3ベータ位にヒドロキシ基および硫酸基から選択される基の形で水素ドナーを有し,20位にヒドロキシ基を有する。最も好ましくは,前記化合物は表2に記載される物質から選択される。さらに,ヒト患者においてGABA−Aレセプターの一般的過剰刺激に関連するCNS疾患を治療および/または予防する一般的方法が開示される。この方法では,GABAのヒトGABA−Aレセプターに対する作用を部分的にブロッキングしうる少なくとも1つの化合物を前記患者に投与する。最も好ましい化合物は,表3に挙げられる化合物中に見いだされる。好ましくは前記化合物は,適切かつ薬学的に許容しうる塩,最も好ましくはナトリウム塩の形で用いられる。
本発明にしたがえば,前記少なくとも1つの化合物は,以下の投与経路の1つにより投与される:静脈内,経鼻,経直腸,経膣,経皮および経口。1つの好ましい態様にしたがえば,前記少なくとも1つのステロイドは静脈内投与される。別の好ましい態様にしたがえば,前記少なくとも1つのステロイドは経鼻投与される。
特に,経鼻投与は,患者による自己投与が容易であり可能であるという利点をもつため,有望な代替法である。自己投与は,患者が自身の状態の主観的な評価にしたがうか,または治療している医師により処方されるスケジュールにしたがって,投与量または投薬頻度を調節することができるという利点を有する。"治療している医師により処方されるスケジュール"との用語は,患者が独力でまたは質問票または範囲または目盛りの助けを借りて,または適切な次回の投与量を示すアルゴリズムまたはコンピュータプログラムを用いて,自身の状態の主観的評価を行うという選択肢も含む。
クリーム,ゲル,および軟膏として処方された物質,または徐放接着薬剤パッチの形の物質を用いる経皮投与は,投与の別の可能な形であり,同様に自己治療に適している。上述した自己投与の利点は,経皮投与にもあてはまり,さらなる利点として,所望または必要な場合に,容易に,例えば薬剤パッチを除去することにより,投与を中断することができる点がある。
これらのまたは他の投与経路のいずれにおいても,組成物の処方物は,選択された経路に適切な化学形の有効な薬物を慣用的に用いられ当業者によく知られる適切なアジュバントおよびベヒクルと一緒に含むよう,通常の薬理学的方法にしたがって,適合させるか調節することができる。
経口投与用に慣用的に用いられているアジュバントおよびベヒクルは,例えば,賦形剤または懸濁剤,例えば,二酸化チタン,無水ラクトース,シリカ,コロイド状シリカ,メチルセルロール,ステアリン酸マグネシウム,微晶質セルロース等である。
静脈内投与用に慣用的に用いられているアジュバントおよびベヒクルは,例えば,注射用滅菌水(WFI),滅菌バッファ(例えば,溶液をpH7.4に緩衝化する),アルブミン溶液,脂質溶液等である。
経皮投与用に慣用的に用いられているアジュバントおよびベヒクルは,例えば,ワセリン,液体パラフィン,グリセロール,水等である。
投与量は,当然ながら,投与モード,治療すべき特定の状態,または望まれる効果,患者の性別,年齢,体重および健康状態,ならびに治療する医師により評価される他の因子により様々である。本発明にしたがえば,前記少なくとも1つのステロイドを静脈内に投与する場合,適切な範囲は,約0.2−200mg/kg体重,好ましくは0.2−2;2−10,10−20;20−40;40−80;80−120;120−160;および160−200mg/kg体重である。動物における予備的研究は,静脈内投与の好ましい範囲は約20−100mg/kg体重であることを示す。
他の投与モードについての対応する投与範囲は,当業者が容易に計算することができ,必要であれば日常的な動物実験または前臨床もしくは臨床試験により確認することができる。
本発明の1つの態様は,ステロイド関連またはステロイド誘導性CNS疾患,特に月経前症候群を治療するための方法であり,この方法では,本発明にしたがう少なくとも1つの物質を投与することにより,耐性発現を予防し,GABA−Aレセプターのダウンレギュレーションを予防する。この治療は,GABA−A系の感受性を保存し,黄体期の間により感受性の低い状態が発現することを阻害する。ラットにおいて,慢性プロゲステロン治療の間にGABA−Aレセプターが変化することが示されている。本発明にしたがう,3ベータ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナン−ステロイドまたは3ベータ−サルフェート−5アルファ/デルタ5−プレグナン/プレグネン−ステロイドを用いる治療は,耐性の発現を防ぐように,したがって,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドの投与を中止したときの脱離症状を妨害するように設計される。
耐性の発現は,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ−プレグナン−20−オンまたはベンゾジアゼピン等の,GABA−Aにより亢進される,内因的に産生される物質に対する感受性を低下させるであろう。月経周期の黄体期の終期におけるように薬剤が急速に除去されると,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ−プレグナン−ステロイドの離脱後にリバウンド効果が生ずる。そのような状況は,ヒトにおいて,月経の間のステロイドの産生の終了および離脱の直後の片頭痛およびてんかん性発作の増加に見いだされる。
したがって,本発明の別の態様は,本発明にしたがう少なくとも1つの物質を投与することにより,耐性の発達および/または禁断症状を治療または予防する方法である。
本発明はさらに,上述したように,ヒト患者においてステロイド関連またはステロイド誘導性気分障害を治療および/または予防する方法に関する。この方法にしたがえば,少なくとも1つの3ベータ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナン−20−オール−ステロイドを前記患者に投与する。好ましくは,前記ステロイド化合物は,表2に記載されるステロイドから選択される。最も好ましくは,前記化合物は,適切かつ薬学的に許容しうる塩,最も好ましくはナトリウム塩の形で用いられる。
投与の適当な経路としては,例えば以下のものが挙げられる:静脈内,経鼻,経直腸,膣内,経皮および経口。
しかし,多くのCNS疾患の治療のため,および抗感覚脱失薬(anti−anesthetic)として用いるためには,有効化合物を静脈内に投与することが好ましい。
静脈内投与において,本発明にしたがう適当な投与量は,約0.2−約200mg/kg体重,好ましくは0.2−2;2−10,10−20;20−40;40−80;80−120;120−160;および160−200mg/kg体重,および最も好ましくは約20−約100mg/kgの範囲である。
上述したように,組成物の処方物は,通常の薬理学的方法にしたがって適合させ調節することができる。さらに,投与量は本来,投与のモード,治療すべき特定の状態または望まれる効果,患者の性別,年齢,体重および健康状態により様々であり,治療する医師により評価される他の因子によっても異なる。
さらに,本発明は,ヒト患者において,ステロイド関連性またはステロイド誘導性CNS疾患を治療および/または予防する方法を包含する。本発明の方法にしたがえば,1またはそれ以上の3ベータ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナン−20−オール−ステロイド(表2を参照)を薬学的にかつ生理学的に許容しうる投与量で前記患者に投与する。好ましくは前記ステロイド化合物は,表2のステロイドから選択される。最も好ましくは,前記化合物は,適切かつ薬学的に許容しうる塩,最も好ましくはナトリウム塩の形で用いられる。
3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドの直接作用により引き起こされる症状および状態の例は,鎮静,疲労感,記憶障害,学習障害,運動機能の障害,不器用(clumsiness),食欲増進および嗜好の変化,緊張などの陰性気分,および月経前症候群および小発作てんかんの悪化の主要な症状である過敏および抑うつである。
3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドへの長期(長期間)の曝露後の耐性の発達により引き起こされる状態および症状は,例えば,ストレス過敏症,集中困難症,ストレスまたは月経周期連鎖集中困難症,睡眠疾患,疲労感,衝動調節の喪失および抑うつである。3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドはまた薬剤依存性を強化する。本発明にしたがえば,少なくとも1つの3ベータ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナン−20−オール−ステロイドを患者に投与することにより,これらの状態または症状を予防,軽減または治療することができる。好ましくは前記ステロイド化合物は表2に記載されるステロイドから選択される。最も好ましくは前記化合物は,適切かつ薬学的に許容しうる塩,最も好ましくはナトリウム塩の形で用いられる。
3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドへの連続的ではあるがより短い曝露は,曝露が終了したときに脱離症状を与える。この現象は月経の間に,卵巣の黄体による3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドの産生が中断されるときに生ずる。この離脱現象はまた出産後(分娩後)に,胎盤による3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイド産生が中断されるときにも生ずる。同じ現象は,ストレスの期間が終了し,ストレスの間に副腎により産生された3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドが中断されたときにも認められる。この離脱/禁断現象により影響される状態の例は,患者が大脳皮質にてんかん性病巣を有し,月経中の離脱時期に悪化する部分てんかんである。この現象は"月経てんかん"と称される。別の例は月経関連片頭痛およびストレス関連片頭痛および分娩後の気分変化である。禁断症状は先に発達した耐性の徴候である。
ステロイド関連性であるかまたはステロイド誘導性であると考えられる疾患の例としては,てんかん,月経周期依存性てんかん,抑うつ,ストレス関連抑うつ,片頭痛,疲労感,特にストレス関連疲労感,月経前症候群,月経前不快疾患,月経周期連鎖気分変化,月経周期連鎖記憶変化,ストレス関連記憶変化,月経周期連鎖集中困難症,月経周期連鎖睡眠疾患および疲労感などが挙げられる。肥満症および食欲増進,ならびにある形態の平衡感覚障害,アルコールおよび物質乱用もまた,ステロイド関連性またはステロイド誘導性であることが強く示唆されている。したがって,本発明は,これらの状態を治療,緩和または予防するための物質および方法を提供する。
多数の女性を悩ます問題に向けた本発明の1つの好ましい態様は,ヒト患者における閉経後療法の副作用を治療および/または予防する方法である。この方法にしたがえば,少なくとも1つの3ベータ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナン−20−オール−ステロイドを前記患者に投与する。好ましくは,前記ステロイド化合物は,表2に記載されるステロイドから選択される。最も好ましくは,前記化合物は,適切かつ薬学的に許容しうる塩,最も好ましくはナトリウム塩の形で使用する。
本発明の別の好ましい態様は,ヒト患者における経口避妊薬の副作用の治療および/または予防であり,この治療では,少なくとも1つの3ベータ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナン−20−オール−ステロイドを前記患者に投与する。好ましくは,前記ステロイド化合物は,表2に記載されるステロイドから選択される。最も好ましくは,前記化合物は,適切かつ薬学的に許容しうる塩,最も好ましくはナトリウム塩の形で使用する。
本発明においては,上で例示した3ベータ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナン−ステロイドまたは3ベータ−サルフェート−5アルファ/デルタ5−プレグナン/プレグネン−ステロイドの少なくとも1つの有効な組成物は,患者が服用する経口避妊薬とともに投与することが好ましい。経鼻および経皮投与もまた適切な投与経路である。
したがって,本発明の1つの特定の態様は,経口避妊薬および治療上適当な用量のヒトGABA−Aレセプターに及ぼす3アルファ−ヒドロキシ−プレグナン−ステロイドの作用をブロックしうる少なくとも1つの化学化合物を含む医薬組成物であり,ここで,前記化合物は,3ベータ位にヒドロキシおよびサルフェート基から選択される基の形で水素ドナーを有し,20位にヒドロキシ基を有する。好ましくは,前記化合物は,表2のステロイドから選択される。最も好ましくは前記化合物は,適切かつ薬学的に許容しうる塩,最も好ましくはナトリウム塩の形で使用する。
さらに,上述の態様の範囲内で,3アルファ−ヒドロキシ−プレグナン−ステロイドがヒトGABA−Aレセプターに及ぼす作用をブロックしうる化学化合物の投与量は,好ましくはストレスまたは月経周期の間の内因性ステロイドのレベルに適応させる。本発明にしたがえば,ヒトGABA−Aレセプターに及ぼす3アルファ−ヒドロキシ−プレグナン−ステロイドの作用をブロックしうる化学化合物は,経口避妊薬の副作用を軽減させるかまたは除くために,または内因性ステロイドの周期的変化の望ましくない影響を軽減させるかまたは除くために,経口避妊薬中に含ませることができる。
一般に,本発明は,本明細書に記載される3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナン−ステロイド−関連または−誘導性疾患の任意の1つ,特に以下の疾患:てんかん,月経周期依存性てんかん,抑うつ,ストレス関連抑うつ,片頭痛,疲労感,特にストレス関連疲労感,月経前症候群,月経前不快疾患,月経周期連鎖気分変化,月経周期連鎖記憶変化,ストレス関連記憶変化,月経周期連鎖集中困難症,月経周期連鎖睡眠疾患および疲労感の1つまたはいくつかを治療または予防するための医薬品の製造において,3ベータ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナン−20−オール−ステロイド,特に表2に記載されるステロイドを,単独でまたは組み合わせて使用することを包含する。好ましくは,前記化合物は,適当な薬学的に許容しうる塩,最も好ましくはナトリウム塩の形で使用する。
本発明の別の好ましい態様は,3,20および21位にアセテート基(単数または複数)を有する3ベータ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナン−ステロイド,およびある種の3ベータ−ヒドロキシ−5ベータ−プレグナン−ステロイドを使用することにより,ガンマ−アミノ酪酸(GABA)過剰刺激により引き起こされる疾患を治療および/または予防する方法である。
GABAそれ自体によるGABA−Aレセプターの高い刺激は,ある状況では,学習および記憶機能を阻害することが知られている。GABA−Aレセプター系の過剰刺激は,短期学習および記憶機能を悪化させるであろう。これは,特に老齢者では臨床的に重要である。そのような状況では,GABAの効果の拮抗作用は有益であり,記憶障害の治療として用いることができる。しかし,GABA拮抗作用が強すぎれば,危険であり,けいれんを引き起こすであろう。したがって,GABA−AレセプターのGABA誘導性変化と部分的に拮抗するが,GABA−Aレセプターを完全にはブロックしない拮抗剤が好ましい。さらに,本発明は,ヒト患者において,GABA−Aレセプター系の一般的過剰刺激により誘導されるCNS疾患を治療および/または予防する方法を包含する。この方法にしたがえば,3,20および21位にアセテート基(単数または複数)を有する1またはそれ以上の3ベータ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナン−ステロイド,およびある種の3ベータ−ヒドロキシ−5ベータ−プレグナン−ステロイド(表3を参照)を薬学的におよび生理学的に許容しうる用量で前記患者に投与する。好ましくは前記ステロイド化合物は,表3に挙げられるステロイド:5アルファ−プレグナン−3ベータ−オール−20−オン アセテート;5アルファ−プレグナン−3ベータ,20ベータ−ジオール 3−アセテート;5ベータ−プレグナン−3ベータ,20ベータ−ジオール 3−アセテート;5アルファ−プレグナン−3ベータ,20アルファ−ジオール 3−アセテート;5アルファ−プレグナン−3ベータ,20ベータ−ジオール ジアセテート;5ベータ−プレグナン−3ベータ,20アルファ−ジオール ジアセテート;5ベータ−プレグナン−3ベータ,20ベータ−ジオール ジアセテート;5ベータ−プレグナン−3ベータ,21−ジオール−20−オン 21−アセテート,5ベータ−プレグナン−3ベータ−オール−20−オン,および5ベータ−プレグナン−3ベータ,21−ジオール−20−オンから選択される。最も好ましくは,前記化合物は,適当な薬学的に許容しうる塩,最も好ましくはナトリウム塩の形で使用する。特に有利な点は,このブロッキングが薬学的および生理学的に適当な濃度で達成されることである。
GABA−A系の過剰刺激に関連するかまたはこれにより誘導されると考えられる疾患の例としては,アルツハイマー病(AD)および軽度認識障害(MCI),特に老齢者の疾患が挙げられる。したがって,本発明は,これらの状態を治療,緩和または予防するための物質および方法を提供する。
本発明は,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナン−ステロイドにより亢進されるGABA媒介性クロライド流出のブロッキングに対する効果と,GABAそれ自身の効果の応答に対するブロッキング効果との別々の効果における特異性を確認するために行われたインビトロ実験に基づく。Xenopus laevis卵母細胞の表面で発現させた組換えGABA−Aレセプターにおけるインビトロ試験からの結果を,本発明者らにより行われた,雄ラットからの皮質組織を用いる試験で確認した。
電圧固定法を用いた,Xenopus laevis卵母細胞で発現させた組換えGABA−Aレセプター(アルファ1,ベータ2,ガンマ2L)におけるクロライド流出の実験
本発明においてステロイドを試験するために用いたGABA−Aレセプターは,Xenopus laevisの卵母細胞で組換え的に発現させた。卵母細胞は,卵母細胞中に注入されたmRNAから蛋白質を表面膜に発現させる大きな能力を有する。レセプターは3つの異なるタイプの5つの蛋白質を含み,今回の実験条件ではレセプターサブタイプであるアルファ1,ベータ2,ガンマ2LのmRNAを発現させた。GABA−Aレセプターのこれらのサブタイプは中枢神経系で最も一般的なものである。これらのGABA−Aレセプターは2つのアルファ1蛋白質,2つのベータ2および1つのガンマ蛋白質を含む。48時間インキュベートした後,GABA−Aレセプターは膜中にマウントされ,インビトロでインサイチューにおけるレセプターと同様に振る舞う。したがって,当業者には,このモデル系は,GABA−Aレセプター活性薬剤の優れたインビトロの試験系であると考えられている。クロライドチャネルを通るクロライドの流出は,GABA−Aレセプターに及ぼすGABA活性の結果であり,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナン−ステロイド等のGABA−Aレセプター調節剤は,GABAの有効性を増強することができる。レセプターを通るクロライドの流出は,電圧固定法を用いて,流出により誘導される電流として測定される。作動剤および拮抗剤の用量応答曲線を作成することができ,電流は,種々の投与量の作動剤と拮抗剤との間の相互作用の後に得られるGABA−Aレセプター活性化に依存する。データを正確な電流(この実験では2μA)に対して正規化することにより,異なる卵母細胞からの結果を比較することができ,電流の変化を特定の投与量(この実験では10μM)に対して正規化することにより,異なる試験物質を比較することができる。3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ−プレグナン−20−オンにより誘導されるGABA媒介性クロライド流出の亢進を1に設定する。これはGABA−Aレセプターを発現する卵母細胞をインビトロの浴中で3μMGABA+3μM3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ−プレグナン−20−オンで表面潅流(superfusing)することにより得られる。クロライド流出は,GABA−Aレセプターを通るクロライドの流出により誘導される電流として測定した。GABA誘導性クロライド流出を1に設定し,これはGABA−Aレセプターを発現する卵母細胞をインビトロで30μMGABAで表面潅流することにより得た。試験したUC−ステロイドが3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ−プレグナン−20−オン誘導性のGABA媒介性クロライド流出の亢進に及ぼす阻害効果を,同じUC−ステロイドがGABAによるGABA−Aレセプターの活性化に及ぼす阻害効果と比較した。結果を図1および表4に示す。図1では,低いGABA拮抗作用を有するUC−ステロイドはXで強調表示されており,部分的GABA拮抗作用を有するUC−ステロイドは黒丸(・)で強調表示されている。
図1は,Xenopus laevis卵母細胞において発現させた組換えGABA−Aレセプター(アルファ1,ベータ2,ガンマ2L)における,最大GABA媒介性クロライド流出(30μMGABA)の阻害(X軸)と,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ−プレグナン−20−オンにより亢進されるGABA媒介性クロライド流出の阻害(Y軸)との間の関係を示す。図において,結果は30MGABAまたは3μMGABA+3μM3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ−プレグナン−20−オンにより活性化された対照電流に対して正規化されている。ステロイド拮抗剤の非存在下における対照電流を0とした。各ステロイド拮抗剤は10μMで試験した。黒×印(X)は低いGABA阻害を示すが3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ−プレグナン−20−オンにより亢進されるGABA媒介性応答を有意に阻害するステロイドを強調表示している。黒丸(・)は,直接GABA応答(30μM)および3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ−プレグナン−20−オンにより亢進されるGABA応答の両方を阻害するステロイド拮抗剤を強調表示している。データ点のラベルは製品番号により示されており,種々の物質の正式名称の番号は表2および表3に示される。
表4は,試験したUC−ステロイドが,3μMのGABA+3μMの3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ−プレグナン−20−オンにより刺激されたクロライド流出,ならびに30μMのGABAにより刺激されたクロライド流出に及ぼす拮抗効果をまとめたものである。拮抗作用について試験した物質は,3ベータ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナン−20−ヒドロキシ−ステロイドおよび3,20および21位にアセテート基を有する3ベータ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナン−ステロイド,および表2および3に示されるいくつかの3ベータ−ヒドロキシ−5ベータ−プレグナン−ステロイドである。ステロイドのうちのいくつか(5アルファアルファ−プレグナン−3ベータ−オール−20−オン,UC1010;5アルファ−プレグナン−3ベータ,20ベータ−ジオール,UC1011;5アルファ−プレグナン−3ベータ−オール−20−オン アセテート,UC1012;5ベータ−プレグナン−3ベータ,20アルファ−ジオール,UC1013;5ベータ−プレグナン−3ベータ−OL−20−オン,UC1014;5ベータ−プレグナン−3ベータ,21−ジオール−20−オン,UC1015)は,先にWO99/45931およびWO03/059357に開示されており,ここでは完全の目的のために含めた。WO03/059357に開示されるステロイドのいくつかは,追加の効果を有することが発見された。すなわち,いくつか(5アルファ−プレグナン−3ベータ,20ベータ−ジオール,UC1011;5ベータ−プレグナン−3ベータ,20アルファ−ジオール,UC1013)はGABAそれ自体に対してより低い拮抗作用を有し,一方,別のいくつか(5アルファ−プレグナン−3ベータ−オール−20−オン アセテート,UC1012;5ベータ−プレグナン−3ベータ−オール−20−オン,UC1014;5ベータ−プレグナン−3ベータ,21−ジオール−20−オン,UC1015)はGABA効果に対して部分的な拮抗作用を有することが発見された。
3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ−プレグナン−20−オン阻害についての実験は,3μMGABA+3μM3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ−プレグナン−20−オンの存在下で行った。GABA拮抗作用についての実験は,100μMGABAの投与量で行った。記録された電流を2μアンペアの刺激に対して正規化し,表に示される平均の効果は,それぞれ3μM3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ−プレグナン−20−オンおよび100μMGABAに対する正規化−1である。記録された細胞の数:n=3−10
皮質組織ホモジネート実験
アフリカツメガエル卵母細胞モデルにおいて調べたステロイドのいくつかを(図2を参照),クロライド取り込みのGABA−Aレセプターモデルにおいて3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナン−ステロイドの効果を阻害する能力について試験した。クロライド取り込み実験で用いたGABA−Aレセプターはラット皮質組織から回収した。これは,GABA−Aレセプター効果を測定するための脳の代表的な部分である。2つの手法の結果が非常に類似しているため,このモデルにおいて得られた結果が高等哺乳動物およびヒト患者において確認しうることを,高い信頼性をもって推定することができる。
これらの実験では,成熟雄ラットからの皮質組織をバッファ中でホモジナイズした。この方法の結果,小さいベシクルの懸濁液が形成され,前記ベシクルはGABA−Aレセプターをその表面に有する。放射活性クロライドをこの懸濁液に加えると,ある量がベシクル中に入る。この量は,GABA−Aレセプターがどの程度開いているかに関連する。レセプターを開く薬剤は,薬剤の投与量と相関してベヒクル中のクロライドの量を増加させる。同様に,GABA−Aレセプターを閉じる薬剤は,ベヒクル中に移動するクロライドの量を減少させる。ベヒクルの外側にある標識クロライドを洗い流し,内部のクロライドと分離した。その後,ベヒクル内の放射性標識したクロライドの量を液体シンチレータで測定し,曲線を求めた。各実験において,増加する用量のGABAの対照を用いて組織サンプルが正しく作動していることを確認した。第2の対照を用いて,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ−プレグナノ−20−オン+10μMのGABAによる完全用量応答曲線を作成した。
図2は,Xenopus laevis卵母細胞で発現させた組換えGABA−Aレセプター(アルファ1,ベータ2,ガンマ2L)における,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ−プレグナン−20−オンにより亢進されるGABA媒介性クロライド流出の阻害と,雄ラット大脳皮質からの皮質微小嚢における,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ−プレグナン−20−オンにより亢進されるGABA媒介性クロライド取り込みの阻害との間の相関を示す。X軸およびY軸のデータは,別々の物質による阻害効果を示すため,正規化した値−1として示される。卵母細胞のデータについては,3μMGABA+3μM3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ−プレグナン−20−オンを0と設定した。各ステロイドは10μMで試験した。クロライド取り込みアッセイにおけるデータは,10μMGABA+1μM3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ−プレグナン−20−オンの効果を0と設定し,この値に対して正規化した。各ステロイドは30μMで試験した。各点のラベルは製品番号であり,種々の物質の完全な名称は表2および3に示される。相関の回帰線から,卵母細胞における正規化−1の3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ−プレグナン−20−オン阻害=−0.04+0.96*が得られた。
皮質微小嚢におけるクロライド取り込みの正規化−1
ピアソンの相関係数r=0.90;p<0.002
UC−ステロイドの阻害特性を示す2つの異なる方法は,非常によく相関した結果を与えた。この結果は,実際にステロイド効果の相違が存在することを示す。
本発明においてステロイドを試験するために用いたGABA−Aレセプターは,Xenopus laeviesの卵母細胞で組換え的に発現させた。卵母細胞は,卵母細胞中に注入されたmRNAから膜に蛋白質を発現させる高い能力を有する。レセプターは3つの異なる蛋白質を含み,今回はレセプターサブタイプアルファ1,ベータ2,ガンマ2LのmRNAを発現させた。GABA−Aレセプターのこれらのサブタイプは中枢神経系において最も一般的なものである。これらのGABA−Aレセプターは,インビトロでインシトゥーにおけるレセプターと同様に振る舞い,したがって,当業者にはGABA−Aレセプター活性薬剤についての優れたインビトロ試験系であると考えられている。クロライドチャネルを通るクロライドの流出は,GABA−Aレセプターに対するGABA活性の結果であり,GABAの有効性は,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナン−ステロイド等のGABA−Aレセプター調節剤により増強することができる。レセプターを介したクロライドの流出により生じた電流を電圧固定法で測定する。用量応答曲線を作成し,データを正確な電流(今回の実験では2μA)に対して正規化することにより,種々の卵母細胞からの結果を比較することができ,特定の投与量(今回の場合は10μM)に対して正規化することにより,種々の試験物質を比較することができる。試験したUC−ステロイドによる,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ−プレグナン−20−オンにより誘導されるGABA媒介性クロライド流出の亢進に及ぼす阻害効果を,同じUC−ステロイドがGABA−AレセプターのGABA活性化に及ぼす阻害効果と比較する。結果は,図1において別のラベルで示される。アフリカツメガエル卵母細胞モデルにおいて調べたステロイドのいくつか(図2を参照)は,クロライド取り込みのGABA−Aレセプターモデルにおいて3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−プレグナン−ステロイドの効果を阻害することも示された。クロライド取り込み実験に用いたGABA−Aレセプターは,ラットのGABA−Aレセプターの効果の測定に関して脳の代表的な部分である皮質組織から取得した。このモデルで得られる結果を高等哺乳動物およびヒト患者において確認しうることを,高い信頼性をもって推測することができる。
本発明者らが現在知る最良のモードを構成する好ましい態様に関して本発明を説明してきたが,特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱することなく,当業者に明らかな種々の変更および改変をなしうることが理解されるべきである。
図1は,組換えGABA−Aレセプターにおける,最大GABA媒介性クロライド流出の阻害と,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ−プレグナン−20−オンにより亢進されるGABA媒介性クロライド流出との相関を示す。 図2は,組換えGABA−Aレセプターにおける,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ−プレグナン−20−オンにより亢進されるGABA媒介性クロライド流出の阻害と,雄ラット大脳皮質からの皮質ミクロ嚢包における,3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ−プレグナン−20−オンにより亢進されるGABA媒介性クロライド取り込みの阻害との間の相関を示す。

Claims (8)

  1. 3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドの作用により引き起こされるCNS疾患の予防,治療および/または緩和するための医薬組成物であって,5アルファ−プレグナン−3ベータ,20アルファ−ジオールおよび5ベータ−プレグナン−3ベータ,20ベータ−ジオールから選択される物質を含む医薬組成物。
  2. 3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドの作用により引き起こされるCNS疾患が,てんかん,月経周期依存性てんかん,抑うつ,ストレス関連抑うつ,片頭痛,疲労感,特にストレス関連疲労感,月経前症候群,月経前不快疾患,月経周期連鎖気分変化,月経周期連鎖記憶変化,ストレス関連記憶変化,月経周期連鎖集中困難症,月経周期連鎖睡眠疾患および疲労感からなる群から選択される,請求項1記載の医薬組成物。
  3. 3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドの作用により引き起こされるCNS疾患が,ストレス過敏症,集中困難症,ストレスまたは月経周期連鎖集中困難症,睡眠疾患,疲労感,衝動調節の喪失および抑うつからなる群から選択される,請求項1記載の医薬組成物。
  4. 3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドの作用により引き起こされるCNS疾患が,鎮静,疲労感,記憶障害,学習障害,運動機能の障害,不器用(clumsiness),食欲増進および大食症,緊張などの陰性気分,過敏および抑うつからなる群から選択される,請求項1記載の医薬組成物。
  5. 3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドの作用により引き起こされるCNS疾患が,閉経後療法の副作用である,請求項1記載の医薬組成物。
  6. 3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドの作用により引き起こされるCNS疾患が,経口避妊薬の副作用である,請求項1記載の医薬組成物。
  7. 3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドの作用により引き起こされるCNS疾患が,気分障害である,請求項1記載の医薬組成物。
  8. 3アルファ−ヒドロキシ−5アルファ/ベータ−ステロイドの作用により引き起こされるCNS疾患が,肥満症である,請求項1記載の医薬組成物。
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