次に本発明の一実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。まず、現像剤受入れ装置を有する画像形成装置について説明し、次に現像剤補給容器について説明する。
{画像形成装置}
本実施形態に係る現像剤補給容器が装着される現像剤受入れ装置が搭載された画像形成装置の一例として、電子写真方式を採用した複写機の構成について図1を用いて説明する。
同図において、100は電子写真複写機本体(以下「装置本体100」という)である。また、101は原稿であり、原稿台ガラス102の上に置かれる。そして、画像情報に応じた光像が光学部103の複数のミラーMとレンズLnにより、像担持体としての電子写真感光体104(以下、「感光体ドラム」という)上に結像させることにより静電潜像を形成する。この静電潜像は現像装置201により現像剤を用いて可視化される。
本実施形態では、現像剤としてトナーを使用している。従って、後述する現像剤補給容器には補給用のトナーが収容されている。なお、トナー及びキャリアを含む現像剤を使用する画像形成装置の場合、現像剤補給容器にトナーと共にキャリアを収容させ、これらを補給する構成としても構わない。
105〜108は記録媒体(以下、「シート」という)Sを収容するカセットである。これらカセット105〜108に積載されたシートSのうち、複写機の液晶操作部から操作者(ユーザ)が入力した情報もしくは原稿101のシートサイズを基にから最適なカセットが選択される。ここで、記録媒体としては、シートに限定されずに、例えばOHPシート等適宜使用、選択できる。
そして、給送分離装置105A〜108Aにより搬送された1枚のシートSを、搬送部109を経由してレジストローラ110まで搬送し、感光体ドラム104の回転と、光学部103のスキャンのタイミングを同期させて搬送する。
111,112は転写放電器、分離放電器である。ここで、転写放電器111によって、感光体ドラム104上に形成された現像剤による像をシートSに転写する。そして、分離放電器112によって、現像剤像の転写されたシートSを感光体ドラム104から分離する。
この後、搬送部113により搬送されたシートSは、定着部114において熱と圧によりシート上の現像剤像を定着させた後、片面コピーの場合には、排出反転部115を通過し、排出ローラ116により排出トレイ117へ排出される。また、多重コピーの場合には、排出反転部115のフラッパ118の制御により、再給送搬送部119,120を経由してレジストローラ110まで搬送された後、片面コピーの場合と同様の経路をたどって排出トレイ117へ排出される。
また、両面コピーの場合には、シートSは排出反転部115を通り、一度排出ローラ116により一部が装置外へ排出される。そして、この後、シートSの終端がフラッパ118を通過し、排出ローラ116にまだ挟持されているタイミングでフラッパ118を制御すると共に排出ローラ116を逆回転させることにより、再度装置内へ搬送される。さらにこの後、再給送搬送部119,120を経由してレジストローラ110まで搬送された後、片面コピーの場合と同様の経路をたどって排出トレイ117へ排出される。
上記構成の装置本体100において、感光体ドラム104の周りには現像手段としての現像装置201、クリーニング手段としてのクリーナ部202、帯電手段としての一次帯電器203等の画像形成プロセス機器が設置されている。なお、クリーナ部202は、感光体ドラム104に残留している現像剤を除去するためのものである。また、一次帯電器203は、感光体ドラム104上に所望の静電像を形成するため感光ドラム表面を一様に帯電するためのものである。
(現像装置)
次に現像装置について説明する。現像装置201は原稿101の情報を光学部103により感光体ドラム104に形成された静電潜像を現像剤を用いて現像するものである。そして、この現像装置201へ現像剤を補給するための現像剤補給容器1が装置本体100に操作者によって着脱可能に設けられている。
また、現像装置201は、現像剤補給容器1を取り外し可能に装着する現像剤受入れ装置10と現像器201aとを有しており、更に現像器201aは、現像ローラ201bと、送り部材201cを有している。現像剤補給容器1から補給された現像剤は、送り部材201cにより現像ローラ201bに送られて、この現像ローラ201bにより感光体ドラム104に供給される。なお、現像ローラ201bには、図2に示すように、ローラ上の現像剤コート量を規制する現像ブレード201d、現像器201aとの間の現像剤の漏れを防止するために現像ローラに接触配置された漏れ防止シート201eが設けられている。
また、図1に示すように、複写機の外装カバーの一部である現像剤補給容器の交換用カバー15が設けてある。操作者が現像剤補給容器1を装置本体100に装脱着を行う際は、前記交換用カバー15を開けて、現像剤補給容器1を矢印A方向に挿入して装着し、もしくはA方向と逆方向に引き抜いて脱着する。
{現像剤補給容器}
次に本例における現像剤補給容器1の構成について説明する。図3aは現像剤補給容器の斜視図であり、図3bは現像剤補給容器を充填口から見た図、図3c及び図3dは側面拡大図である。
現像剤補給容器1の現像剤を収容する収容部としての容器本体1aは略円筒形状とされている。そして、この容器本体1aの周面には容器1の長手方向に延びるスリット状の現像剤排出口1bが設けられている。
なお、現像剤排出口1bは、後述するように現像剤補給容器を画像形成装置本体に装着し所定角度回動させた時点(現像剤補給が可能な現像剤補給位置への現像剤補給容器の回動動作が完了した時点)で側方を向く構成とされている。
更に、容器本体1aには、使用前の物流時に内部の現像剤を保護すること、また、現像剤の漏れが無いように、ある程度の剛性が求められ、本例では材質にポリスチレンを用いて射出成型にて成型されている。
また、容器本体1aの外面には、ユーザ(操作者)が現像剤補給容器1の補給操作時に掴む把手部材であるハンドル2が設けられている。このハンドル2は、容器本体1aと同様の理由で、十分な剛性が求められ、容器本体1aと同じ材質を用いて射出成形にて成型されている。
なお、容器本体1aとハンドル2との固定については、機械的な嵌合、ねじ止め、接着、溶着による固定等、補給操作時に外れない十分な強度を確保できれば良い。可能ならば、強度、コストの観点から容器本体1aとハンドル2を一体成型するのが望ましい。
更に、容器本体1aの第1のギア5を設けた側とは反対側(長手方向に)の端面には現像剤充填口1cが設けられており、現像剤充填後、封止部材としてのキャップにより封止される。
(現像剤補給容器の搬送部材)
次に搬送部材4の構成について図4を用いて説明する。図4は現像剤補給容器の内部を横から見た透視図である。
容器本体1aの内部には、容器本体1aに対して相対回転することで容器内の現像剤を撹拌しながら、現像剤排出口1bに向けて下方から上方に現像剤を搬送して現像剤受入れ装置10へ排出するための搬送部材4(排出部材)が設置されている。
この搬送部材4は、図4に示すように、主に撹拌軸4aと撹拌翼4bで構成されている。撹拌軸4aの長手方向一端は容器本体1aに回転自在に設けられ且つ撹拌軸方向への移動が不可となるように設けられている。一方、撹拌軸4aの長手方向他端は第1のギア5と同軸的に連結している。具体的には、容器本体内部において第1のギア5の軸部と撹拌軸4aの他端とを係止することで両者の連結がなされている。
また、第1のギア5の軸部の周りから容器の外へ現像剤が漏れ出してしまうのを防止するため、この軸部の周りにシール部材が設けられている。なお、第1のギア5と撹拌軸4aは、上述のように互いに直結させる構成ではなく、両者をある部材を介して同軸的な駆動連結関係にすることも可能である。
撹拌軸4aは容器内部の現像剤が固まっている場合にも、これを解して現像装置側へと搬送・排出することが可能なだけの剛性を有していることが求められ、本例では撹拌軸の材質としてポリスチレン、ポリアセタール等を用いることが望ましい。
撹拌翼4bは、撹拌軸4aに固定されており、撹拌軸4aの回転に伴い容器内部の現像剤を解して撹拌し現像剤排出口1bに向けて搬送するためのものである。また、撹拌翼4bは、現像剤補給容器内に残留してしまう現像剤の量を低減するべく、動作時、容器内面と摺動するように構成されている。つまり、撹拌翼の撹拌軸からの張り出し長さは容器の内径を考慮して設定されている。
また、撹拌翼は、図4に示すように、その一部をL字状に傾斜するように傾斜部(図4のア)を有し、この傾斜部は現像剤を容器の長手方向に搬送する機能を奏している。つまり、この傾斜部は容器端部側に内包された現像剤を中央側に位置する現像剤排出口1bに向けて搬送する機能を有している。本例では撹拌翼としてポリエステルシートを用いた。
なお、搬送部材4の構成としては、回転することで現像剤を撹拌しながら搬送する機能を果たすことができるのであれば、上述した例に限らず、種々の構成を採用することが可能である。例えば、上述した撹拌翼の材料や形状などを変更したり、または、異なる搬送機構を採用しても何ら構わない。
(現像剤補給容器のシャッタ)
現像剤排出口1bを開閉する容器シャッタ3は、図3aに示すように、現像剤補給容器1の外周面に沿った曲率を有する形状とされている。この容器シャッタ3は、現像剤排出口1bの長手方向の両端側に設けられた2つのガイド部1dと係合している。このガイド部1dは、現像剤排出口1bの開閉時、容器シャッタ3を容器の外周面に沿ってスライド移動するのをガイドする構成とされている。また、このガイド部1dには容器シャッタ3の封鎖位置を規定するためのストッパ部が設けられている。
また、容器シャッタ3はその開封方向先端側の部位が後述する現像剤補給容器1のセット動作時には現像剤受入れ装置10のストッパ部に突き当たることで、それ以上の現像剤補給容器1との連れ回りが阻止され停止される。従って、移動が阻止された状態にある容器シャッタ3に対し現像剤補給容器1が相対回転することにより現像剤排出口1bが容器シャッタ3から露出し開封されることになる。
さらに、容器シャッタ3はその封鎖方向先端側の部位が後述する現像剤補給容器1の取り出し動作時には現像剤受入れ装置10のストッパ部に突き当たることで、それ以上の現像剤補給容器1との連れ回りが阻止され停止される。従って、移動が阻止された状態にある容器シャッタ3に対し現像剤補給容器1が相対回転することにより現像剤排出口1bが容器シャッタ3により遮蔽される位置へ移動し再封されることになる。
なお、現像剤の漏れを防止するために、容器シャッタ3の現像剤排出口1bに対向する面にシール部材を設けることが好ましく、あるいは逆に、容器本体1aの現像剤排出口1b周辺にシール部材を設けても構わない。もちろん、容器シャッタ3と容器本体1aの双方にシール部材を設けても構わない。このようなシール部材は容器シャッタと容器本体外面間において所定量圧縮されるように構成される。
なお、本例では、現像剤排出口1bを開閉可能な容器シャッタ3を設けた構成を用いている。しかし、容器シャッタ3を設けずに、樹脂製のシールフィルムを現像剤排出口1bの周りの容器本体部分に熱溶着などの方法で取り付け完全密封し、現像剤補給時に引き剥がして開封する構成としても構わない。
ただし、この構成の場合には、現像剤補給後、容器交換時に現像剤排出口1bを再封することができず、現像剤飛散による汚れが生じる可能性があるため、本例のように容器シャッタ3を設け現像剤排出口1bを再封できるように構成する方が望ましい。
もちろん、容器の排出口の形状や容器内の現像剤充填量により、現像剤補給前の物流時等で現像剤の漏れが生じる可能性がある場合には、前述したシールフィルムと共に容器シャッタの双方を設け、より強固なシール性能を確保することもできる。なお、この構成の場合、容器シャッタ3にシールフィルムの一部を貼り付け、容器シャッタ3の開封移動に伴いシールフィルムが取り外されるように構成するのが好ましい。
(現像剤補給容器の現像器シャッタ連動機構)
容器本体1aの周面上には、現像剤補給容器1の回転動作に伴い現像器シャッタ11(図5a)を開閉させるための開封突起1e(連動部)と封止突起1f(連動部)が設けられている。
具体的には、後述する現像剤補給容器1のセット動作時に、開封突起1eは現像器シャッタ11を押し下げて現像剤受け入れ口10b(図5b)を開封させる。また、後述する現像剤補給容器の取り出し動作時に、封止突起1fは現像器シャッタ11を押し上げて現像剤受け入れ口10bを再封させる。なお、当然ながら、開封突起1e、封止突起1fが突き当たる現像器シャッタ11の両部位も現像剤補給容器1の回動動作と現像器シャッタ11の開閉移動動作を連動させる機能を果たしている。
この開封突起1eは、現像剤補給容器1を現像剤受入れ装置10に装着した際に、現像器シャッタ11の開封時の移動方向に対して上流側に、封止突起1fは下流側に位置するように構成されている。
(現像剤補給容器の駆動機構)
次に、現像剤受入れ装置10に設けられた駆動部材としての駆動ギア12(図5b)による回転駆動力を搬送部材4へ伝達する現像剤補給容器の駆動機構の構成について図3aを用いて説明する。
本例では後述するように駆動機構は並置された第1のギア5及び第2のギア6よりなるギア列を有しており、それぞれのギアの回転軸は現像剤補給容器の端面に直接的に回転自在に支持されている。
この駆動機構と駆動ギア12は、ユーザ操作により現像剤補給容器1が現像剤受入れ装置10に装着された装着位置にある時点(図7b)では駆動連結せずに周方向に互いに離れた位置(非係合状態)にある。この装着位置にある現像剤補給容器1は現像剤受入れ装置10からの取り外しが許容された状態となっている。
このような構成とすることによって、駆動ギア12やこれと噛合する現像剤補給容器1の駆動伝達手段(後述する第2のギア6)が、現像剤補給容器1の装着時に互いに歯当たりすることによる劣化や破損を抑制することが可能となる。
その後、ユーザ操作により現像剤補給容器1が装着位置から所定角度回動したセット位置へ回動した時点(図8bの状態)で、この駆動機構と駆動ギア12が対面し互いに駆動連結する構成となっている(係合状態)。
さらに、その後、現像剤補給容器1は、セット位置から、現像剤補給が可能な補給位置に向けた回動動作がこの駆動機構を利用して自動的に行われる構成となっている。
本例の駆動機構は、容器本体1aの長手方向一端面に設置された第1のギア5と第2のギア6を有している。
図3aに示すように、第1のギア5は、その回転軸が、搬送部材4と同軸的に且つ搬送部材4と係合した状態で容器本体の端面に軸支されている。第1のギア5の回転中心は、ユーザがハンドル2をもって現像剤補給容器1を所定角度回動させるセット動作時(装着位置→セット位置)の現像剤補給容器1の回動中心とほぼ一致するように取り付けられている。
図3a、図3cに示すように、第2のギア6(駆動伝達部材)は、その回転軸が現像剤補給容器1の回動中心から離れた(偏心した)位置にて、容器本体の端面に回転自在に軸支され、且つ、第1のギア5と駆動連結した状態で設置されている。つまり、第2のギア6の回転中心は現像剤補給容器1の回転中心から偏心した位置となっている。
第1のギア5及び第2のギア6は現像剤受入れ装置10からの駆動を十分に伝達することができれば良く、本例では材質にポリアセタールを用い、射出成型した歯車とされている。本例では第1のギア5は、φ(直径)が40mm、歯数が40、第2のギア6はφ(直径)が20mm、歯数が20とされている。また、駆動ギア12はφ(直径)が17mm、歯数が17とされている。なお、ギア(歯車)の直径、モジュール、歯数等の設定値は、噛合い時に駆動伝達が適正に行われるように適宜設定すれば良く、このような値だけに限られるものではない。
また、第1のギア5の容器本体1aに回転自在に支持されている軸部の周りには容器本体1a内からの現像剤漏れを防止するため、オイルシール(シール部材)が取り付けられている。一方、第2のギア6は容器本体1aの外面にて回転自在に支持されているので、上述したオイルシールは取り付けられていない。
第2のギア6は、現像剤補給容器1の回動中心から偏心した位置に軸支されているので、現像剤補給容器1が装着位置にある時点では駆動ギア12から周方向に離れている(図7b)。
そして、この第2のギア6は、現像剤補給容器1の回動に伴い、現像剤受入れ装置10に設けられた駆動ギア12と駆動連結する構成とされている。つまり、ユーザ操作により現像剤補給容器1がセット位置に到達した時点で、第2のギア6が駆動ギア12と駆動連結(噛合い)開始するように構成されている(図8b)。
本例では、このような構成が満たされるように、第2のギア6の容器本体1aに対する回転方向における位置が設定されている。
その後、現像剤補給容器が補給位置に位置している状態のとき、第2のギア6が駆動ギア12より回転力を受けると、第2のギア6と駆動連結関係にある第1のギア5も回転する。その結果、現像剤受入れ装置によって実質的に回転不可に固定された状態にある容器本体1aに対して、搬送部材4が相対回転し、現像剤の搬送・排出が行われることになる。なお、第2のギア6は、現像剤補給時には、回転する駆動ギア12により、現像剤補給容器1のセット動作時の回動方向と同じ方向へ回動する。
本例では、容器の形状が略円筒状であるので、搬送部材の回転中心と容器本体1aの回転中心は略一致しており、搬送部材4に直結している第1のギア5の回転中心も容器本体1aの回転中心と略一致している。これに対し第2のギア6は第1のギア5と回転中心が異なっており、現像剤補給容器1の回転に伴い、容器本体1aの回転中心に対し公転することで、現像剤受入れ装置10の駆動ギア12と連結する構成になっている。
このように、本例では、第2のギア6は、現像剤補給工程において駆動ギア12から受けた駆動力により現像剤補給容器1に対して相対回転する、即ち、「自転」する構成とされる。さらに、第2のギア6は、現像剤補給容器1のセット工程において駆動ギア12から受けた駆動力により現像剤補給容器1の回転軸線の周りを現像剤補給容器1と共に回転する、即ち、「公転」する構成ともされている。
このような例に対し、搬送部材4の回転中心を容器の回転中心と異ならせる構成であっても構わない。例えば、搬送部材4の回転中心を容器の現像剤排出口寄りに位置させても良い。この場合、第1のギア5も搬送部材4の回転中心と対応して容器本体1aの回転中心と異なる位置にて軸支され、上記の例と同様に、容器の回転に伴い、第2のギア6が容器本体1aの回転中心に対し公転し、現像剤受入れ装置10の駆動ギア12と連結する構成となる。
さらに、搬送部材4の回転中心を容器本体1aの回転中心と異ならせた場合、第1のギア5を設けず、駆動伝達手段を第2のギア6のみにて構成しても良い。具体的には、第2のギア6を搬送部材4と同軸的に設け、そして、第2のギア6の軸部と搬送部材4の軸部を連結させる構成である。なお、この構成の場合、搬送部材4の回転方向が上述した例とは逆方向になり、側方(時計で言うと約3時方向)を向いている現像剤排出口1bに向けて上方から下方へと現像剤を搬送する構成となってしまう。つまり、現像剤の排出性能が低下してしまうおそれがある。
そこで、このような場合、搬送部材4を次のような構成にするのが望ましい。つまり、自らの回転により容器内の現像剤を上方へ持ち上げる高硬度の樹脂板と、この樹脂板により持ち上げた現像剤を下方に位置する現像剤排出口に向けてガイドするガイド突起をこの樹脂板の両面にそれぞれ複数設けた構成とするのが望ましい。この構成の場合、樹脂板の長手方向両端に回転軸が設置されており回転軸の一端側が上述の第2のギア6と直接もしくは間接的に接続される。
なお、このような樹脂板にて構成された搬送部材の場合、容器内の現像剤残量が多くなってしまうおそれがあるので、本実施形態のように第1のギア5、第2のギア6の双方を設ける構成の方がより望ましい。
つまり、後述するように、搬送部材4による現像剤搬送・排出性を考慮して、搬送部材4の回転方向が図7において矢印B方向とは逆方向に設定するのが望ましい。
一方、後述するように、現像剤補給容器1の駆動伝達手段を利用して現像剤補給容器の自動回転を達成するには、図7において、第2のギア6の回転方向が矢印B方向、駆動ギア12の回転方向がB方向とは逆方向に設定するのが望ましい。
本例では、このような2つの機能(現像剤搬送・排出性と現像剤補給容器の自動回転)を満足するために、駆動伝達手段として第1のギア5と第2のギア6の2つのギアを設けているのである。つまり、第1のギア5が、第2のギア6による回転力を搬送部材4の回転方向への回転力へと変換する回転方向変換機構としての機能を果たしているのである。
なお、回転方向変換機構としては、上述した第1のギア5のような構成に限らず、次のような構成でも構わない。
具体的には、第1のギア5の代わりに、駆動伝達ベルトと、搬送部材4と同軸的に回転するように(回転中心が現像剤補給容器の回転中心と一致)プーリ(支持部材)を設ける。このプーリは搬送部材4と直接もしくは間接的に接続された関係にある。そして、第2のギア6の回転軸を容器の長手方向に(図7bにおいて紙面上手前側に)延出させるとともに、この延出された回転軸の部分とプーリ間に駆動伝達ベルトを8の字状に縣回する。
なお、第2のギア6は、ギアの代わりにゴムローラ構成にして、ゴム表面を駆動ギア12のギア歯先に侵入させることで駆動連結するような構成であっても構わない。
(回転抵抗付与手段)
本実施形態の現像剤補給容器1は第2のギア6への駆動伝達により、装着位置からセット位置へ自動回転する。そのために、以下のように負荷付与手段としての回転抵抗付与手段が設けられている。
図6aは第2のギア6の斜視図であり、図6bは第2のギア6の軸支構造を示す断面図である。図6bに示すように、第2のギア6の軸部6aは容器本体1aの端面に突設された突設部1a′に嵌められている。第2のギア6は外側が桶状とされており、その桶部には回転抵抗付与手段としてのシリコンゴム製のリング部材(摺動部材、弾性体)64が所定量圧縮された状態で設置されている。具体的には、このシリコンゴム製のリング部材64は加圧板63(付勢部材)を介してバネ(付勢部材)62により第2のギア6の桶部の底面との間で圧縮された状態となっている。この加圧板63は突設部1a′に固定されている。そして、このバネ62が加圧板63との間で圧縮されるようにキャップ状部材61(付勢部材)が突設部1a′に固定されている。
このように、本例では、第2のギア6がリング部材64と面接触する関係となっており、第2のギア6は容器本体1aに対して回り難い構成とされている。つまり、第2のギア6の容器本体1aに対する回動抵抗は十分に大きな値に設定されている。
一方、第1のギア5の部分にはこのような回転抵抗付与手段は設けられておらず、第1のギア5だけに着目した場合、容器本体1aに対する回転抵抗は十分小さくなっている。
つまり、搬送部材へ回転力を伝達する機能を持つ第1のギア5と第2のギア6は、回転抵抗付与手段により共に容器本体1aに対して回り難い構成とされており、これによって後述する現像剤補給容器の自動回転を達成している。
なお、回転抵抗付与手段としては上述した構成だけに限らず他の周知の構成を採用しても構わない。例えば、シリコンゴムの代わりにウレタンゴムを使用しても構わない。また、シリコンゴムの代わりにエラストマーなどの弾性の樹脂を使用することも可能である。また、撹拌翼4bの剛性を高くしつつその張り出し長さを十分に長くする(撹拌翼と容器内面との摺擦度合いを大きくする)ことにより、これをもって回転抵抗付与手段としても構わない。また、上述した第1のギア5の部分に設置されたオイルシールのような現像剤漏れを防止するシール部材のシール性を強化することによって、これを回転抵抗付与手段としても構わない。
また、回転抵抗付与手段を設置する箇所についても、第2のギア6の部分ではなく、第1のギア5の部分に設置しても良く、駆動伝達手段が現像剤補給容器に対して回転し難くなる構成であれば構わない。例えば、撹拌軸4aの充填口側の端部を軸支する容器の部分(軸受け)に回転抵抗付与手段を設置するなどの手法を採用することも可能である。
このように、後述する現像剤補給容器の自動回転を行うことができるのであれば、回転抵抗付与手段の具体的な構成や設置位置については上述した例だけに限られない。
また、回転抵抗付与手段による第1のギア5、第2のギア6に生じさせる回転抵抗については大き過ぎると、現像剤受入れ装置10の駆動モータにとって搬送部材4を駆動して現像剤搬送・排出するのに要するトルクが大きくなってしまうおそれがある。つまり、本例では、この点も考慮しつつ、現像剤補給容器の自動回転が達成されるように、回転抵抗付与手段による第1のギア5、第2のギア6に生じさせる回転抵抗を設定している。
(容器側位置決め突起)
また、図3a、図3cに示すように、現像剤補給容器1の第1のギア5と第2のギア6が設置された長手方向一端面に位置決め突起(係合部)7が立設されている。この位置決め突起7は、現像剤補給容器1の現像剤受入れ装置10内での位置精度を確保するためのであり、円弧形状の突起が現像剤補給容器1の回転中心の同心円上に長手方向に突出して設けられている。
位置決め突起7は、後述する現像剤受入れ装置10の係合部材としての位置決めガイド13(図5d)と嵌合することで現像剤補給容器1の位置精度を出す構成になっている。このため、実際に位置決めガイド13と相対する位置決め突起7の外周面7aの寸法公差は、位置精度を上げるためにできるだけ厳しく設定されていることが好ましい。
なお本例では、位置決め突起7は同心円上に複数に分割されて設けている。これは現像剤補給容器1の自動回転時に発生する、位置決め突起7と位置決めガイド13の摺動による摩擦抵抗を極力減らすためである。よって、位置決め突起7や位置決めガイド13の材質や形状変更等により摩擦抵抗を自動回転に不具合を及ぼさないレベルまで低下できるのであれば、図3dに示すように、同心円上に設けられた1つの突起であっても何ら構わない。但し、少なくとも第1のギア5と第2のギア6の回転中心を通る線の延長上で、第2のギア6の第1のギア5を挟んだ反対側には、位置決め突起7が設置してある必要がある。その理由に関しては後述する。なお本例では、位置決め突起7は同心円上に3箇所設けている。
(現像剤補給容器の組み立て方法)
本例の現像剤補給容器1は、次のような工程を経て組み立てられる。
まず、容器本体1aを用意する。この容器本体1a内に搬送部材4を固定する。その後、第1のギア5を容器本体1aの一端面に組付けた後、第2のギア6を組付ける。そして、更に容器シャッタ3、ハンドル2を組付ける。その後、充填口1cから現像剤を充填し、最後に封止部材によって充填口を封止する。
なお、現像剤の充填と、第2のギア6、容器シャッタ3、ハンドル2の組立順番は、組立しやすいように適宜変更可能である。
本例では、容器本体1aとしてφ(外径)が60mm、長さが320mmの円筒容器を用いている。この容器の容積は約600ccとなり、上記例では現像剤を300g充填した。
{現像剤受入れ装置}
次に本例における現像剤受入れ装置10の構成について、図5を用いて説明する。現像剤受入れ装置10には、現像剤補給容器1を取り外し可能に装着する装着部(装着スペース)10aと、現像剤補給容器1から排出された現像剤を受け入れる現像剤受け入れ口10bが設けられている。現像剤受け入れ口から補給された現像剤は上述した現像器に供給され画像形成に使用される。
更に、現像剤補給容器1及び装着部10aの周面形状に沿った略半円筒面の形状を有する現像器シャッタ11が設けられている。この現像器シャッタ11は、装着部10aの下縁に設けられたガイド部10cと係合して、現像剤受け入れ口10bを開閉可能に円周方向に沿ってスライド移動することが可能である。
また、図5bに示すように、装着部10aの長手方向の一端には、画像形成装置本体100に設置された駆動モータからの回転駆動力を伝達する駆動部材としての駆動ギア12が設けてある。この駆動ギア12は、現像剤補給容器1の第2のギア6の歯先と干渉し噛合わない場合が生じても、周知のカップリング部材のように第2のギア6から退避するような構成とはされておらず、現像剤受入れ装置10にその位置が固定されている。
また、この駆動ギア12は、後述するように、セット動作時に現像剤補給容器1を自動回転させるための回転力を現像剤補給容器1に付与する機能も果たしている。なお、本例では、駆動ギア12は、図2に示す現像器の送り部材201c、現像ローラ201b、感光体ドラム104を回転駆動するための駆動ギア列とつながっている。
(装置側位置決めガイド)
また、図5に示すように、現像剤受入れ装置10には、現像剤補給容器1の位置決め突起7と嵌合することにより、現像剤補給容器1の現像剤受入れ装置10内での位置精度を確保するための、円弧形状の被係合部である位置決めガイド13が設けられている。
位置決めガイド13は、位置決め突起7と同様に、内周面13a(図5d)の寸法公差は位置精度を上げるためにできるだけ厳しく設定されていることが好ましい。なお本例では、内周面13aと位置決め突起7の外周面7aは嵌めあい嵌合の関係に設定した。
また、位置決めガイド13は、図5eに示すように、内周面13aに半円状のリブ13bを設けて、位置決め突起7と位置決めガイド13との接触面積を減らす構成にしてもよい。このようにすると、位置決め突起7と位置決めガイド13の摺動による摩擦抵抗を極力減らすことができる。
{現像剤補給容器のセット動作}
次に、図7〜図9を参照して、現像剤補給容器のセット動作について説明する。
なお、図7は現像剤補給容器が装着された時点のものであり、図8は現像剤補給容器がセット位置に回動した時点のものである。図9は、現像剤補給容器が補給位置に回動した時点のものである。
また、図7a、図8a、図9aは主に現像剤排出口1bと現像剤受け入れ口10bと現像器シャッタ11との関係を説明するための断面図である。図7b、図8b、図9bは主に各駆動力伝達手段の関係及び位置決め突起7と位置決めガイド13との嵌合関係を説明するための断面図である。図7c、図8c、図9cは主に現像器シャッタ11と容器本体の連動部との関係を説明するための断面図である。
本例の現像剤補給容器1のセット動作は、ユーザにより行われる手動工程と、現像剤受入れ装置により行われる自動工程を併せ持つ構成とされている。
つまり、現像剤補給容器1を現像剤受入れ装置10の装着位置(現像剤補給容器の着脱を許容する位置)への装着動作と、この装着位置からセット位置(第2のギア6と駆動ギア12が噛合う位置)への現像剤補給容器の回動動作が手動工程となる。なお、このセット位置は現像剤補給容器1の開封突起1eが現像器シャッタ11と係合する位置でもある。また、ユーザによる回動操作が所定角度(2〜3°程度)進むと連動部(開封突起)が現像剤受入れ装置10に規制されることにより現像剤補給容器1の取り出しが不可とされる構成となっている。従って、現像剤補給容器1がセット位置や補給位置にあるときは現像剤補給容器1の取り出しが禁止された状態となっている。
一方、このセット位置から補給位置(現像剤補給が可能な位置)への現像剤補給容器1の回動動作が自動工程となる。これらの現像剤補給容器1の回動動作はいずれも同じ所定の回転方向(図7〜図9の矢印B方向)とされている。なお、現像剤補給容器1が補給位置にあるときも、現像剤補給容器1の取り出しが不可となるように規制されている。
また、本例では、装着位置〜セット位置間の現像剤補給容器1の回転角度は60°、セット位置〜補給位置間の現像剤補給容器1の回転角度は12°となっている。
以下、セット動作について具体的に説明する。
(セット動作の装着工程)
まず、ユーザが交換用カバー15を開け、現像剤補給容器1を現像剤受入れ装置10へ図5aの矢印A方向から挿入装着する。
なお、このとき、現像剤補給容器1は現像剤排出口1bが鉛直方向上向き(時計で言うと12時の方向)となるように装着される。これは、後述するように現像剤補給容器1を現像剤受入れ装置10から取り出す際に、内部に残留した現像剤が容器本体周面と容器シャッタ3との間から漏れ出てしまうのを抑制するためである。
なお、ユーザ操作による装着時(取り出し時)の現像剤排出口1bの向きは鉛直方向上向きだけに限らず、鉛直方向略上向きであれば構わない。つまり、現像剤排出口1bの向きは鉛直線を基準に±30°の範囲内(時計で言うと11時〜1時)であれば構わない。なお、現像剤排出口1bの向きとは現像剤補給容器1の回転方向における現像剤排出口1bの中心となる位置と現像剤補給容器1の回転中心を結ぶ直線に沿う方向を指し、この直線と上記鉛直線とのなす角度が±30°の範囲内であれば構わない。
また、このとき、図7bに示すように、現像剤受入れ装置10側の駆動ギア12と現像剤補給容器1側の第2のギア6は、互いに噛合することなく、容器1の回転方向に離れた位置関係となっており、駆動伝達は不可能な状態になっている。
更に、このとき、現像剤補給容器1の位置決め突起7と現像剤受入れ装置10の位置決めガイド13は嵌合している。位置決め突起7の外周面7aと位置決めガイド13の内周面13aは嵌めあい嵌合の関係にあることから、外周面7aの同心円中心(即ち、現像剤補給容器1の回転中心)と位置決めガイド13の内周面13aの同心円中心はほぼ一致している。このため、現像剤補給容器1は現像剤受入れ装置10内での回転中心位置を一定位置に保ちつつ回転することができる。
(セット動作の手動回転工程)
次に、現像剤受入れ装置10の装着位置にある現像剤補給容器1は、ユーザがハンドル2を操作することにより、図7の矢印B方向(搬送部材4の回転方向と逆方向)へ回動する。すると、現像剤補給容器1の回動に伴い、第2のギア6が現像剤補給容器1の回転中心(搬送部材4の回転中心)に対して公転し、現像剤受入れ装置10の駆動ギア12に向かって移動する。そして、このユーザ操作により現像剤補給容器1がセット位置に到達すると、現像剤補給容器1はこれ以上の回転が阻止されて停止する。
つまり、図8cに示すように、現像剤補給容器1の開封突起1eが、ロック部材により移動を阻止された状態にある現像器シャッタ11に突き当たることにより、この現像剤補給容器1のこれ以上の回転が阻止されるのである。即ち、この開封突起1eが現像剤補給容器1の手動回転を停止させる停止部としての機能を果たしている。
また、図8bに示すように、現像剤補給容器1の装着位置からセット位置への回動動作に伴い、第2のギア6は現像剤受入れ装置10の駆動ギア12と噛合することになる。そして、これ以降、駆動ギア12から第2のギア6への駆動伝達が可能な状態となる。
一方、図8aに示すように、現像剤排出口1bと現像剤受け入れ口10bは現像剤補給容器1がセット位置にある時点ではいずれも未開封の状態となっている。つまり、現像剤排出口1bと現像剤受け入れ口10bは容器シャッタ3と現像器シャッタ11によっていずれも閉塞された状態となっている。
(セット動作の自動回転工程)
このように現像剤補給容器1がセット位置に位置した状態においてユーザが交換用カバー15を閉じると、これに連動して駆動ギア12が駆動モータにより回転を開始する。この駆動ギア12の回転に伴い、これと噛合している第2のギア6を介して現像剤補給容器1に回動力(以下、引き込み力とも言う)が作用し、現像剤補給容器1がセット位置から補給位置へ自動的に回動することになる。
このとき駆動ギア12から第2のギア6に駆動が伝達されると、第2のギア6には駆動ギア12から離れる方向(図9bの矢印C方向)に力が働き、それによって現像剤補給容器1も同方向に移動しようとする。しかし、第2のギア6の第1のギア5を挟んだ反対側の位置決め突起7aが位置決めガイド13と嵌合して位置決めされている。このため、現像剤補給容器1は設定範囲内(嵌合ガタ分約数十μmの範囲内)でしか移動しないので、駆動ギア12と第2のギア6との回転中心間距離が広がることを防止可能になる。
従って、現像剤補給容器1の自動回転中に駆動ギア12と第2のギア6のギアの噛み合い量が減って、ギアの歯先破損が発生するようなことはないし、更に、自動回転完了後も安定した駆動伝達が可能となる。また、位置決め突起7b,7cは、第2のギア6が駆動ギア12から離れる方向に対して垂直方向への現像剤補給容器1の移動を防止することができるため、位置決め突起7b,7cも駆動ギア12と第2のギア6のギアの噛み合い量の設定範囲内での保持に作用している。
また、位置決め突起7の機能を現像剤補給容器1の第2のギア6が設置された長手方向一端面近傍の容器本体1a外面(図9d参照)に設けても位置決めは可能である。しかし、駆動ギア12から第2のギア6に離れる方向に働く力に対して現像剤補給容器1の位置を確実に固定させるためには、位置決め突起7は第2のギア6に働く力を極力近接して受ける必要がある。また容器本体1a外面で位置決めをしようとすると、現像剤補給容器1の装着時に現像剤補給容器1の挿入抵抗が高い状態で装着されることになる。従って位置決め突起7は、図9dに示すように、第2のギア6が設置された長手方向一端面に設けてあることが好ましい。
更に位置決め突起7は、軸間距離位置出しの精度を考慮すると、第2のギア6を支持する突設部1a′と共に同部材に設けてあることが好ましい。
なお、位置決め突起7は第2のギア6の第1のギア5を挟んだ反対側に位置しているのであれば、図10に示すような円形状であっても構わない。しかし、突起の剛性や、もし円形状だと前述したように第2のギア6駆動伝達時に現像剤補給容器1に駆動ギア12から離れる方向に力が作用した際に、現像剤補給容器1が図10の矢印A方向へ移動する可能性がある。このため、以上のことを考慮すると、本構成のような円弧形状であることが好ましい。
また位置決め突起7は、トナー補給容器1の物流時やユーザー操作時における第2のギア6の歯先の保護部材としても活用できる。
そして、この現像剤補給容器1のセット位置から補給位置への回動動作に連動して、現像剤排出口1bと現像剤受け入れ口10bが開封されると共に、現像剤排出口1bと現像剤受け入れ口10bの位置が完全に合致した状態となる(図9a)。つまり、この現像剤補給容器1が補給位置に回動した時点で現像剤補給容器1から現像剤受入れ装置10への現像剤補給が可能な状態となる。
具体的には、この現像剤補給容器1のセット位置から補給位置への回動動作に連動して、容器シャッタ3が現像剤受入れ装置10のストッパ部に突き当たりこれ以上の回動が規制されることにより徐々に開封される。そして、現像剤補給容器1が補給位置へ回動した時点で現像剤排出口1bが完全に開封した状態となる。
一方、この現像剤補給容器1のセット位置から補給位置への回動動作(容器シャッタ3の開封動作)に連動して、現像器シャッタ11が現像剤補給容器1の開封突起1eに押し下げられて現像剤受け入れ口10bが徐々に開封される。そして、現像器シャッタ11は、開封移動の終了位置を規定するためのストッパ10e(図9a参照)に突き当たって止まるため、現像剤受け入れ口10bの下端と現像器シャッタ11の上端が精度良く合致する。つまり、現像剤補給容器1が補給位置へ回動した時点で現像剤受け入れ口10bが完全に開封した状態となる。
その結果、この現像剤補給容器1が補給位置に回動した時点で、現像剤排出口1bと現像剤受け入れ口10bが共に開封し、互いが対面し位置が合致した状態となる。
その後、駆動ギア12が回転すると、第2のギア6→第1のギア5→搬送部材4へと回転力が伝達されて、現像剤補給容器1から現像剤受入れ装置10への現像剤補給が行われる。
なお、本例では、上述したタイミングで各種動作が連動して精度良く行われるように、現像剤補給容器1に対する現像剤排出口1b、開封突起1e、第2のギア6などの設置位置(周方向)を調整している。
このように、本例では、現像剤補給容器1の回動動作を行うための駆動系を別途設けること無しに、現像剤補給容器1の最終回動位置、即ち、現像剤補給工程において重要な補給位置を確定、保証するための自動回転を行うことができる。その結果、現像剤補給容器1の構成の簡易化を図りながらも、ユーザビリティ性の向上を図ることができる。
つまり、搬送部材駆動用の第2のギア6を利用して現像剤補給容器1の自動回転を行うことにより、現像剤補給工程において重要な要素となる現像剤補給容器1の最終回動位置を確定、保証することができる。
そして、現像剤補給容器1を回動させるときに、現像剤補給容器1の回動中心と同心円上に形成した位置決め突起7が現像剤受入れ装置10の位置決めガイド13と嵌合して位置決めさた状態で回動する。このため、搬送部材駆動用の第2のギア6と駆動ギア12の軸間距離が常に同一距離に維持される。よって、現像剤補給容器1の装着時に駆動ギア12と歯当たりすることによる第2のギア6の劣化や破損を防止することが可能となる。
もちろん、現像剤受入れ装置10の駆動ギア12にとってもこのような歯当たりによる劣化や破損といった不具合が生じてしまうのを防止することが可能となる。言い換えると、本例の現像剤補給容器1の構成を採用することにより、現像剤受入れ装置10の駆動ギア12の劣化や破損の防止に寄与することができる。
従って、その後の現像剤補給が円滑に行われ、現像剤の補給量不足による画像濃度ムラや画像濃度不足といった画像不良の発生を防止することができる。
{現像剤補給容器の取り出し動作}
次に現像剤補給容器1を交換もしくは何らかの理由で現像剤受入れ装置10から取り出す工程について説明する。
まず、ユーザが交換用カバー15を開ける。そして、ユーザがハンドル2を操作して図7の矢印B方向とは逆方向へ現像剤補給容器1を回動させる。つまり、補給位置にある現像剤補給容器1は、ユーザ操作により、セット位置を経て装着位置に至るまで回動される。
このとき、現像器シャッタ11は現像剤補給容器1の封止突起1fに押し上げられ現像剤受け入れ口10bが閉じられる。これと並行して、現像剤排出口1bも容器シャッタ3により遮蔽される位置へ回動し閉じられる(図8a)。
具体的には、容器シャッタ3が現像剤受入れ装置10のストッパ部に突き当たり移動を阻止されており、この状態で現像剤補給容器1が回動することにより現像剤排出口1bが容器シャッタ3にて再閉鎖されるように構成されている。また、現像器シャッタ11を再封するための現像剤補給容器1の回動は、容器シャッタ3のガイド部1dに設けられたストッパ部が容器シャッタ3と突き当たることでこれ以上の回転が阻止され停止するように構成されている。
また、このような現像剤補給容器1の回動に伴い、第2のギア6は公転し、駆動ギア12との噛合い係合が解かれ駆動ギア12から噛合い不能な、図7cの状態になる。
次に、装着位置にある現像剤補給容器1は、ユーザ操作により、現像剤受入れ装置10から取り出される。
このように、現像剤補給容器1の取り出し動作が終了する。その後、ユーザは用意した新しい現像剤補給容器1を現像剤受入れ装置10の装着部へ装着する。そして、ユーザは上述の現像剤補給容器1のセット動作の手動回転工程までを行い、交換用カバー15を閉じれば済むのである。
なお、現像剤補給容器1の補給位置からセット位置への回動動作をも自動的に行う構成としても良い。
具体的には、現像剤補給容器1が補給位置にあるとき、駆動ギア12をセット動作時とは逆方向に回転させることにより上述の引き込み力とは逆方向の力を現像剤補給容器1に作用させる。
その結果、この力による現像剤補給容器1の回動に伴い現像器シャッタ11が現像剤受け入れ口10bを再封する位置に向けて移動する。そして、このとき、現像剤排出口1bも容器シャッタ3にて再封される。
なお、この例の場合にも、現像剤補給容器1に作用する力(上述の引きこみ力とは逆方向の力)が、容器本体1aの回動抵抗力よりも大きくなるように設定されている。
このように、現像剤補給容器1のセット位置〜補給位置間の回動動作を共に自動的化すればユーザビリティ性をより向上することができる。
本例の現像剤補給容器1を用いて、補給テストを行ったが、現像剤の補給に関する問題は生じず、長期に亘って安定した画像を得ることができた。
なお、前述した実施形態では現像剤補給容器1の回転中心に対して同心円の円弧状の位置決め突起7を例示したが、位置決め突起7の形状はこれに限定する必要はなく、例えば図11及び図12に示すように構成してもよい。
現像剤補給容器1には、図11aに示すように、現像剤補給容器1をセット位置から補給位置へと自動回動させるとき、両ギア6,12の軸間距離が適正な距離範囲を超えて接近しないようにするため現像剤受入れ装置10の係合部材に当接する係合部としての位置決め突起7を有する。この位置決め突起7は、第2のギア6の近傍に設けられ、円弧状の形状を有する軸間距離決め部7dと終了位置決め部7eとから構成される。
一方、現像剤受入れ装置10には、図11bに示すように、現像剤受入れ装置10には、現像剤補給容器1の位置決め突起7と当接する装置側の係合部材としての位置決め突起13が設けられている。この位置決め突起13は、駆動ギア12の近傍に設けられ、円弧状の形状を有する軸間距離決め部13dと終了位置決め部13eとから構成される。
上記構成において、現像剤補給容器1をセット位置から補給位置へ回転させるときに、図12に示すように、位置決め突起7の終了位置決め部7eが位置決め突起13の終了位置決め部13eに当接することにより、現像剤補給が可能な現像剤補給位置への現像剤補給容器1の回動動作の終了位置を規定する。更にこのとき、それぞれの軸間距離決め部7d,13dが当接することで、現像剤補給容器1が現像剤補給位置に向けて回動する際に第2のギア6と駆動ギア12の回転軸間距離(回転中心間距離)が適正な距離範囲を超えて短くなるのを規制する。
このように構成しても第2のギア6と駆動ギア12との回転軸間距離は適正範囲に維持することができる。
また、本例で用いた各部材の材質、成型方法、形状等は、本例に限定されるものではなく、上記効果が得られる範囲内で、自由に変更することができるのは言うまでもない。
また、本例の現像剤補給容器1を装着する現像剤受入れ装置10は、画像形成装置本体に固定されていても、画像形成装置本体に対し容易に着脱可能な画像形成ユニットであっても構わない。なお、画像形成ユニットの例としては、感光体、帯電器、現像器等の画像形成プロセス手段を有するプロセスカートリッジや、現像器を有する現像カートリッジを挙げることができる。