JP4904181B2 - 磁場応答性の分子性素子と磁場測定方法並びに磁場測定装置 - Google Patents

磁場応答性の分子性素子と磁場測定方法並びに磁場測定装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4904181B2
JP4904181B2 JP2007069482A JP2007069482A JP4904181B2 JP 4904181 B2 JP4904181 B2 JP 4904181B2 JP 2007069482 A JP2007069482 A JP 2007069482A JP 2007069482 A JP2007069482 A JP 2007069482A JP 4904181 B2 JP4904181 B2 JP 4904181B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic field
intensity
zero
resistance
responsive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007069482A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008235373A (ja
Inventor
忠昭 生駒
公憲 前田
バリー ヘンベスト ケビン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Science and Technology Agency
National Institute of Japan Science and Technology Agency
Original Assignee
Japan Science and Technology Agency
National Institute of Japan Science and Technology Agency
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Science and Technology Agency, National Institute of Japan Science and Technology Agency filed Critical Japan Science and Technology Agency
Priority to JP2007069482A priority Critical patent/JP4904181B2/ja
Publication of JP2008235373A publication Critical patent/JP2008235373A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4904181B2 publication Critical patent/JP4904181B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Hall/Mr Elements (AREA)
  • Measuring Magnetic Variables (AREA)

Description

本発明は、遮光状態あるいは光が照射されることで生じた電子正孔対の再結合・消滅による抵抗および発光の強度が照射する光の強度によって変化し且つ外部から磁場を印加することによっても変化する分子性素子と、それを利用した磁場測定方法および磁場測定装置に関するものである。
電極あるいは光注入により固体内部に電子と正孔の対を生じ、その電子正孔対が再結合・消滅することで抵抗値が変化したり蛍光を発したりする分子性固体が従来より知られている。また、そうした抵抗や発光強度が照射する光の強度によって変化することも知られている。
ただ、このような分子性固体において、電子正孔対再結合の結果である発光に係わる電子正孔対再結合収量に対しての磁場の効果は知られていなかった。そこで、本発明者らは、この電子正孔対再結合収量に対する磁場の効果を検討し、外部磁場の印加による再結合の増加を、光導電性のポリ(N−ビニルカルバゾール):PVCzとこれにドープした1,2,4,5−テトラシアノベンゼン:TCNBとの薄膜からなる分子性固体の場合として報告している(非特許文献1−2)。
このような磁場の効果から、本発明者らは、新しい方式の磁場測定が可能ではないかとの考えのもとに更なる検討を進めてきた。
従来、磁場測定装置のセンサー材料には、金属、超伝導体、無機半導体、磁性酸化物、等が用いられ、方式としてはコイル、半導体ホール素子、プロトン核磁気共鳴(NMR)、磁気抵抗効果(MR)、超伝導磁束量子干渉(SQUID)、等を利用したものが知られている。
しかしながら、従来の磁場測定装置あるいはセンサーにはそれぞれ一長一短があり、総じて微弱磁場、低磁場に対する高い感度と早い応答性を兼ね備えたものは少ない。しかも、直流磁場と変調磁場の両方が測定でき、且つコンパクトで取り扱いの手軽さまで具備した装置となると極めて稀と言わなければならない。
例えば、コイル方式は電磁誘導を利用しているために、構造が簡単で安価に入手でき取り扱いも簡便という利点があるが、反面、原理的に交流磁場の測定にしか使えず直流磁場の測定は困難という欠点がある。
半導体ホール素子方式は現在最も普及しているタイプで、磁場の向きまで判別できるという優れた点を有するものの、その一方で特に弱い磁場に対する感度が低く、さらに測定値が温度変化の影響を受けやすいという欠点がある。
プロトン核磁気共鳴方式は高い精度で磁場を検出できるが、磁場強度全般に亘って感度が低く、使い勝手がいいとは言えないという欠点がある。
磁気抵抗効果方式も測定精度は高いが、特に低磁場に対する感度に難があり低磁場測定に不向きという欠点がある。
超伝導磁束量子干渉方式は逆に最も高い感度を誇るが、いかんせん極低温でしか作動せず、通常の室温付近での測定には使えないという欠点がある。
J.AM.CHEM.SOC.2003,125,4722−4723 J.Phys.Chem.B.2005,109,8707−8717
そこで、以上のとおりの背景から、本発明は、発明者らのこれまでの分子性固体の場合の磁場効果の検討を踏まえて、例えば以上のような従来の磁場測定装置あるいはセンサーの場合の問題点、特に、従来では、微弱磁場、低磁場における高い感度と早い応答性の実現が不得手であるという問題を解消することのできる新しい技術手段を提供することを課題としている。
本発明者は、上記課題の解決のために鋭意検討を進め。その過程において、任意に設定した強度の照射光の下で、電子正孔対再結合の結果である発光強度が外部から印加される磁場によって従来は知られていなかったパターンで変化する分子性素子を見出し、これらの分子性素子をセンサー部分に用いることで高性能な、特に、微弱磁場、低磁場における高い感度と早い応答性の磁場測定、そして直流磁場に対しても変調磁場(交流磁場を含む)に対しても磁場測定が可能になるとの知見を見出した。本発明は、この新規な知見に基づいて完成されている。
すなわち、本発明が提供するものは、直流磁場および変調磁場のいずれに対しても広い磁場強度範囲に亘る測定が可能で、とりわけ従来の測定方法ないし測定装置が不得手としている微弱磁場、低磁場における高い感度と早い応答性の兼備という差別性を有し、しかもコンパクトで取り扱いの簡便な磁場測定方法および磁場測定装置と、それらの基になる磁場応答性分子性素子である。
そして本発明は、本件発明者が発見した磁場応答性分子性素子をセンサー部分に用い、その特性(グラフ上に磁場の強さBをX軸、対磁場蛍光強度変化率RをY軸にとってプロットした曲線の表す性質)を指導原理とすることで、上記欠点を一挙に解決する新しい測定方法および測定装置を提供するものである。
より詳しくは、本発明は、以下のことを特徴としている。
すなわち、本発明は、任意に設定した強度の照射光の下で光励起により、再結合蛍光強度あるいは抵抗が磁場の印加によって変化する素子であって、印加磁場の強さ:Bを下げていくとゼロでない有限の強さの磁場Baで対磁場蛍光強度変化率:Rあるいは抵抗変化率:R’が極小値あるいは極大値Rm,R’mとなり、さらに下げると逆にR,R’が上昇あるいは減少してゼロ磁場でゼロとなる性質を有する磁場応答性の分子性素子を提供し、これを磁場測定のセンサー部分に用いることにより上記課題を解決するものである。
ここで、上記のR,R’は次式で表わされ、たとえば百分率(%)で表示されることになる。
RまたはR’=〔Φ(B)−Φ(0)〕/Φ(0)
ここで、Φ(B)は、磁場の強さ:Bの時の蛍光発光強度あるいは抵抗を示し、Φ(0)は、ゼロ磁場の時の蛍光発光強度あるいは抵抗を示す。
さらに、本発明では、Baが±0.5mT付近でRが±0.03%以上の極小値あるいは極大値Rmをとり、且つゼロ磁場でゼロとなる磁場応答性の分子性素子であることにより上記課題がより良く解決される。
特に変調磁場の場合は、周波数が1Hz以上1000Hz以下、変調幅が±0.5mT以下の変調磁場に対して、Baが±0.5mT付近でRが±0.03%以上の極小値あるいは極大値Rmをとり、且つゼロ磁場でゼロとなる磁場応答性の分子性素子であることにより、こうした周波数と変調幅の磁場に対する上記課題の解決が容易になる。
さらに、照射光強度が変化してもBa値およびRm値が実質的に変化しない磁場応答性分子性素子を用いることにより、上記課題の解決が際立ったものになる。すなわち、照射する光の設定強度を適宜選択することで再結合蛍光強度あるいは抵抗値を比例的に増減させ、以って測定する磁場の強さBのレンジを任意に切り換えられるようにできるからである。
磁場が無い状態に近い微弱磁場(B≒0)の測定は本来最も困難なものである。しかし、Rm値が不変であることによって、照射光の強度を変化することで、再結合蛍光あるいは抵抗を比例して変化させることができ、その分、測定が容易になることは言うまでもない。さらに本発明の最も根源的な優位性は、Rm値がゼロでない有限の値であることによる。従来の磁場測定装置の中にも何等かのバイアスによって測定すべき磁場の見かけの強度を高めることが可能な装置が考えられよう。しかし、いくらバイアスを掛けて増幅してもゼロは相変わらずゼロのままである。換言すれば、そうした従来装置においても本発明の“極大値Rm”に相当する新機軸がない限り微弱な磁場の測定が困難であることに変わりはないのである。
そして、検知手段としてのセンサー部分を形成する磁場応答性分子性素子については、本発明では、芳香族低分子集合体あるいは芳香族高分子と電子受容体として働く芳香族化合物とから構成することが考慮される。さらには、本発明では、この場合の芳香族高分子は、カルバゾール、イミダゾール、チアゾール、チオフェン、オキサゾール、ピリジン、ピラゾール等の、ヘテロ原子を有する炭素環または複素環化合物の高分子であり、電子受容体としての芳香族化合物は、シアノ基、アルコキシ基、カルボニル基、あるいはキノン構造等の、電子吸引性基を有する炭素環または複素環化合物であることが好適に考慮される。
例えば、芳香族高分子がポリN−ビニルカルバゾル(PVCz)で、電子受容体が1,2,4,5−テトラシアノベンゼン(TCNB)であり、PVCzに対してTCNBを0.1〜10mol%ドープして成る分子性素子である。
また、芳香族高分子がポリN−ビニルカルバゾル(PVCz)で、電子受容体が1,3−ジシアノベンゼン(DCNB)であり、PVCzに対してDCNBを0.1〜10mol%ドープして成る分子性素子である。
同様に、芳香族高分子がポリN−ビニルカルバゾル(PVCz)で、電子受容体がテレフタル酸ジメチル(DMTP)であり、PVCzに対してDMTPを0.1〜10mol%ドープして成る分子性素子である。
さらには、芳香族高分子がポリN−ビニルカルバゾル(PVCz)で、電子受容体がフラーレン(C60)であり、PVCzに対してC60を0.1〜10mol%ドープして成る分子性素子である。
また、これらの磁場応答性の分子性素子として薄膜に成形したものを用いることで、センサー部分のデザインの自由度が高まり、それによって装置全体の小型化・軽量化の容易さ、および特殊形状化要求への対応性の高さ等の優位性が生まれる。
本発明における磁場の測定方法では、このような磁場応答性の分子性素子を用い、また、磁場の測定装置では、このような磁場応答性の分子性素子が検知手段の少くとも一部を構成するものとしている。
本発明は上記の通りの磁場応答性の分子性素子であること、そしてこれを磁場の測定に用いるものであることから、直流磁場、変調磁場を問わず広い磁場強度範囲の測定が可能であることは言うに及ばず、特に微弱磁場、低磁場において、1)高い感度を有し、2)速い応答時間で、3)有機薄膜の特性を生かしたデザイン自由性があり、4)磁場の方向を問わず、5)室温付近で作動する磁場測定センサーと装置を提供することを可能にする。
しかも、本発明の磁場応答性の分子性素子は、原材料の入手が容易で価格も比較的安い上、製造方法もそれほど難しくなく、しかも薄膜化も既存の良く知られた方法がそのまま使えるので、リーゾナブルな単価で製作することが可能である。また既述の通りデザインの自由度が高いことから測定装置全体の小型化・軽量化・特殊形状化も容易である。よって、以上の利点を総合することで、高性能かつ汎用性に富み、小型で持ち運びに便利で安価な磁場測定装置の提供を可能にするものである。
本発明の磁場応答性の分子性素子については、大別すると、(I)光励起により伝導性を示し、電荷再結合蛍光や電気抵抗が磁場の印加によっても変化する素子と、(II)電気抵抗が磁場の印加によって変化する素子とに区分される。ただ、この区分であっても、その構成において共通しているものであってもよい。
本発明の磁場応答性の分子性素子の特徴的な性質について上記(I)群の光分性素子の場合について説明すると、まず、対磁場再結合蛍光強度変化率Rあるいは抵抗変化率R’の特性曲線の例を図1に示すことができる。特性曲線はゼロ磁場の位置の縦軸に対して左右対称である。
すなわち、たとえばこの図1においては、予め設定した方向の磁場の強さをプラス、その反対向きの磁場の強さをマイナスで表している。
横軸:磁場の強さB(単位mT)を、
縦軸:対磁場抵抗あるいは再結合蛍光強度の変化率:R(単位%)を示している。
また、符号は次のことを示している。
Ba:Rがゼロ磁場以外で極値をとる磁場
Rm:磁場BaにおけるRの極大値あるいは極小値
:Rが0となるゼロ磁場以外の磁場
Bb:本発明で有意義な特性曲線を得られる磁場の上限。
この図1に例示したように、本発明の磁場応答性の分子性素子では、たとえば任意に設定した強度の照射光の下で、印加磁場の強さ:Bをゼロ磁場に向って下げて行くと、ゼロでない有限の強さの磁場Baで対磁場蛍光強度変化率:Rが極性値あるいは極大値Rmとなり、さらに下げると逆にRは上昇あるいは減少して、ゼロ磁場でゼロとなる。
このような性質は、好適には、微弱磁場、低磁場の検知、測定を可能とするものとして、
<1>Baが±0.5mT付近でRが±0.03%以上の極小値あるいは極大値Rmとなること、
<2>このことは、周波数1Hz以上1000Hz以下、変調幅±0.5mT以下の変調磁場に対して発現されること、
<3>照射する光の強度が変化しても、Ba値およびRm値がほとんど、つまり実質的に変化しない、
こととして考慮される。
本発明の磁場測定の方法では、上記の分子性素子を用いて測定することになるが、そのための装置では、磁場の検知手段の少くとも一部が、この分子性素子を具有しているものとする。
磁場の装置は、たとえば次に述べる部分から構成される。
外部照射光受光部、外部照射光強度計測部、内部照射光受光部、内部照射光光源および強度調節部、R特性曲線メモリー部、蛍光発光強度計測部、演算部、表示部である。たとえば図2および図3は、その構成概要を例示した縦断面図および全体斜視図(上側部分を取り外した状態を示す)である。ここでは照射光受部が、磁場応答性の分子性素子の薄膜を有する磁場検地部を構成している。
そして、本発明による磁場測定のシーケンスはたとえば以下の通りである。
1)外部照射光受光部で外部照射光を受光し、その強度を計測する。使用される磁場応答性分子性素子は可視領域の光によって励起されるので、自然光(太陽光)をはじめ人の目に感じられる光は全て計測され、外部照射光の強度としてカウントされる。
2)測定しようとする磁場が非常に微弱であることが想定される場合には、内部照射光光源を点燈してその強度を調節し、外部照射光強度との合計を適当な値(ここでは仮に外部照射光強度のN倍とする)になるように設定する。
3)この状態で発光強度を計測する。
4)得られた発光強度あるいは抵抗と予めR特性曲線メモリー部にデータとして記憶されているゼロ磁場下での同照射光強度に対する発光強度から対磁場変化率の値Rを演算部で算出する。
5)得られた値をR特性曲線に当てはめて見掛けの磁場強さBsを割り出す。
6)求める磁場の強さBは、このBsの1/N倍である。(B=Bs/N)
ただ、ここで測定しようとする磁場の強さが図1のBsの第一象限に示すように、0以上BR以下の場合、算出されるR値に対して二つのBs値が考えられることになる。すなわち、R値が0<R<Rmの範囲にある場合には、Bs値は0<Bs<Baの範囲にあることと、Ba<Bs<BRの範囲にあることが想定される。このため、このままではBs値はどちらの範囲にあるのか特定することができない。
しかし、この問題は次のようにして解消される。一般に磁場は広範囲にわたって磁力線が完全に一定密度でしかも平行に走っていることはほとんど無く、磁場発生源近くは強く、離れるに従って相対的に弱くなるのが普通である。
そこで、0<R<RmのR値が得られた場合には、たとえば、正性磁気抵抗効果を示す分子性素子では、磁場発生源から遠く離れる方向に移動して再度測定し、この時R値が増加すればBsは0<Bs<Baの範囲にあり、逆に減少すればBa<Bs<BRの範囲にあることになる。こうして一つのR値に対して必ず一つのBs値を決定することができる。
あるいは、大きさがBa以下の大きさの微弱な交流磁場を人為に検知部に印加し、位相検波を行う。位相検波は図1のR特性曲線における傾き成分に対応することから、位相検波された信号の符号から、Bsが0<Bs<Baの範囲にあるかBa<Bs<BRの範囲に存在するかを識別することができる。
本発明の磁場測定装置は特に微弱磁場に対して感度が高いので、とりたてて2つの場所を移動して測定しなくても、もっとずっと短い距離があればよく、たとえば2つの素子を装置の両端に設けて一方を磁場源側に向け、他方を反対側に向けて同時測定することでも可能である。
なお、上記の例示説明では、対磁場蛍光強度変化率Rの場合について説明しているが、対磁場抵抗変化率R’の場合についても、抵抗値の測定手段、R’特性曲線メモリー部等を備えたものに構成すればよいことが容易に理解される。
また、本発明における磁場応答性の分子性素子については、従来公知の方法をはじめとして各種の方法によって製造することができる。たとえば光導電性のPVCz等の高分子に対して電子受容体としてのTCNB等をドープしたものは、これを溶媒溶解してスピンコーティングやキャスティング法等による薄膜化したものとして製造することができる。
たとえば、PVCz(ポリN−ビニルカルバゾール)に対しては、0.1〜10mol%の範囲の、TCNB(1,2,4,5−テトラシアノベンゼン)、DCNB(1,3−ジシアノベンゼン)、DMTP(テレフタル酸ジメチル)、C60(フラーレン)等をドープして薄膜することができる。
もちろん、薄膜形態ではなしに、バルク(塊)状、シート状、ファイバー状、その他各種の形態への注型、延伸、圧縮等の各種方法で成形したものであってもよい。
そこで以下に実施例を示し、さらに詳しく説明する。
もちろん、以下の例に発明が限定されることはない。
芳香族高分子であるポリN−ビニルカルバゾル(PVCz)に電子受容体である1,2,4,5−テトラシアノベンゼン(TCNB)を2mol%ドープした素子を薄膜化して磁場応答性の分子性素子を製造した。すなわち、PVCz(Aldrich)とTCNB(東京化成)とを用い、スピンコーティング法により膜厚5μmのTCNBドープ(2mol%)PVCz薄膜を石英ガラス基板上に形成した。
この薄膜状の分子性素子については、Xeランプ光(白色系)の420nmより長波長の光を照射光とし蛍光の検出波長を510nmとして、室温で、100〜400Hzの変調磁場を用いて位相検波を行った。
図4は、ゼロ磁場近傍で位相検波された蛍光強度の変化を示している。全般的には、負磁場領域では負の値、正磁場領域では正の値が観測されたが。±0.5mT以内の領域では逆位相の信号が現われていることが確認された。
この図4の一次微分形を一階積分することで、磁場効果は、ゼロ磁場近傍において、図1に示した対磁場蛍光強度変化率Rの曲線を得る。そして、次の数値が確認された。
Ba≒0.5mT、 Bb≒10mT、 Rm≒−0.1%
また、芳香族高分子であるPVCzに電子受容体である1,3−ジシアノベンゼン(DCNB)を数mol%ドープした分子性素子の場合、
芳香族高分子であるPVCzに電子受容体であるテレフタル酸ジメチル(DMTP)を数mol%ドープした分子性素子の場合、
そして、芳香族高分子であるPVCzに電子受容体であるフラーレン(C60)を数mol%ドープした分子性素子の場合の各々についても、上記と同条件でほぼ同様の結果が得られた。
また、上記4種類の試料を用いた実験で、直流磁場に対してもほとんど同様の結果を得、さらに対磁場蛍光強度変化率Rの曲線は直流磁場に対しても変調磁場に対しても照射光強度のかなり広い範囲にわたって不変であるという結果も得られている。
微弱磁場、低磁場を検出できる装置ないしセンサーは、IT産業、医療分野、環境関連分野、等で要求が高まっている。IT分野においては、非接触で携帯電話やIC磁気カードなどの情報を読み取る高感度センサーが求められている。また医療現場では、例えば生体の免疫診断に血液などから抽出した低濃度試料の抗原・抗体反応の結果を検出するために磁気ビーズを用いる方法が注目され、バイオ微弱磁気センサーを中核とした迅速診断システムの構築が急がれている。さらに、近年、家庭用電子機器や高圧送電線等からの意図しない漏洩磁場と健康障害の因果関係が疑われており、これらの解明のためや、加えて生活空間における簡便な環境センサーとしての磁場測定装置の需要も高まりつつある。本発明はこうした種々の微弱磁場、低磁場の検出用としての応用が期待される。
繰り返しになるが、本発明の応用可能分野を列記すると次のようになる。
・高圧送電線から漏出している交流磁場の検出用
・電子レンジ等の生活用品から出ている電磁波の検出用
・血液における酵素抗体反応と磁気ビーズを用いた各種疾病診断等に必要な微弱磁場検出のための磁気センサー用
・体内埋め込み型医療機器における磁場検出用
・低レベル磁気情報の非接触型ヘッド用(紙幣、カード、磁気コード、等)
・地磁気検出型方位計
本発明の磁場応答性の分子性素子における対磁場抵抗あるいは再結合蛍光強度変化率R(%)と磁場強度との関係を示した図である。 磁場測定装置の構成概要を示した縦断面図である。 磁場測定装置の構成概要を示した分解斜視図である。 実施例での蛍光強度変化の磁場強度の依存性を示した図である。

Claims (14)

  1. 光励起により伝導性を示し、電荷再結合蛍光や電気抵抗が磁場の印加によっても変化する素子であって、任意に設定した強度の照射光の下で印加磁場の強さ:Bを下げていくとゼロでない有限の強さの磁場Baで次式で表わされる対磁場蛍光強度変化率:Rが極小値あるいは極大値Rmとなり、さらに下げると逆にRが上昇あるいは減少してゼロ磁場でゼロとなる性質を有することを特徴とする磁場応答性の分子性素子。
    R=〔Φ(B)−Φ(0)〕/Φ(0)
    〔Φ(B)は、予め設定した強度の照射光の下で、磁場の強さ:Bの時の蛍光発光強度あるいは抵抗を示し、
    Φ(0)は、同じ照射光の下で、ゼロ磁場の時の蛍光発光強度あるいは抵抗を示す。〕
  2. 電気抵抗が磁場の印加によって変化する素子であって、印加磁場の強さ:Bを下げていくとゼロでない有限の強さの磁場Baで次式で表わされる対磁場抵抗変化率:R’が極小値あるいは極大値R’mとなり、さらに磁場を下げると逆にR’が上昇してあるいは減少しゼロ磁場でゼロとなる性質を有することを特徴とする磁場応答性の分子性素子。
    R’=〔Φ(B)−Φ(0)〕/Φ(0)
    〔Φ(B)は、磁場の強さ:Bの時の抵抗を示し、
    Φ(0)は、同条件下における、ゼロ磁場の時の抵抗を示す。〕
  3. Baが±0.5mT(ミリテスラ)付近でRが±0.03%以上の極小値あるいは極大値RmまたはR’mをとり、且つゼロ磁場でゼロとなることを特徴とする請求項1または2に記載の磁場応答性の分子性素子。
  4. 周波数1Hz以上1000Hz以下、変調幅±0.5mT以下の変調磁場に対して、Baが±0.5mT付近でRまたはR’が±0.03%以上の極小値あるいは極大値RmまたはR’mをとり、且つゼロ磁場でゼロとなることを特徴とする請求項1または2に記載の磁場応答性の分子性素子。
  5. 照射する光の強度が変化しても、Ba値およびRm値がほとんど変化しないことを特徴とする請求項1に記載の磁場応答性の分子性素子。
  6. 分子性素子が、芳香族高分子と電子受容体としての芳香族化合物とからなり、芳香族高分子がポリN−ビニルカルバゾル(PVCz)で、電子受容体としての芳香族化合物が1,2,4,5−テトラシアノベンゼン(TCNB)であり、PVCzに対してTCNBを0.1〜10mol%ドープして成る素子であることを特徴とする請求項1に記載の磁場応答性の分子性素子。
  7. 分子性素子が、芳香族高分子と電子受容体としての芳香族化合物とからなり、芳香族高分子がポリN−ビニルカルバゾル(PVCz)で、電子受容体としての芳香族化合物が1,3−ジシアノベンゼン(DCNB)であり、PVCzに対してDCNBを0.1〜10mol%ドープして成る素子であることを特徴とする請求項1に記載の磁場応答性の分子性素子。
  8. 分子性素子が、芳香族高分子と電子受容体としての芳香族化合物とからなり、芳香族高分子がポリN−ビニルカルバゾル(PVCz)で、電子受容体としての芳香族化合物がテレフタル酸ジメチル(DMTP)であり、PVCzに対してDMTPを0.1〜10mol%ドープして成る素子であることを特徴とする請求項1に記載の磁場応答性の分子性素子。
  9. 分子性素子が、芳香族高分子と電子受容体としての芳香族化合物とからなり、芳香族高分子がポリN−ビニルカルバゾル(PVCz)で、電子受容体としての芳香族化合物がフラーレン(C60)であり、PVCzに対してC60を0.1〜10mol%ドープして成る素子であることを特徴とする請求項1に記載の磁場応答性の分子性素子。
  10. 素子が薄膜であることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の磁場応答性の分子性素子。
  11. 遮光状態あるいは光照射状態で、抵抗が磁場の印加によって変化する請求項1から10のいずれかに記載の磁場応答性の分子性素子によって磁場を測定することを特徴とする磁場測定方法。
  12. 照射する光の強度が変化してもBa値およびRm値がほとんど変化しない磁場応答性の分子性素子により、照射する光の設定強度を適宜選択することで抵抗や再結合発光強度を比例的に増減させ、以って測定する磁場の強さBのレンジを任意に切り換えられるようにすることを特徴とする請求項11に記載の磁場測定方法。
  13. 遮光状態あるいは光照射状態で、抵抗が磁場の印加によっても変化する請求項1から10のいずれかに記載の磁場応答性の分子性素子を磁場の検知手段の少くとも一部として備えていることを特徴とする磁場測定装置。
  14. 照射する光の強度が変化してもBa値およびRm値がほとんど変化しない磁場応答性の分子性素子を磁場の検知手段の少くとも一部として備え、照射する光の設定強度を適宜選択することで抵抗や再結合発光強度を比例的に増減させ、以って測定する磁場の強さBのレンジを任意に切り換えられるようにしたことを特徴とする請求項13に記載の磁場測定装置。
JP2007069482A 2007-03-16 2007-03-16 磁場応答性の分子性素子と磁場測定方法並びに磁場測定装置 Expired - Fee Related JP4904181B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007069482A JP4904181B2 (ja) 2007-03-16 2007-03-16 磁場応答性の分子性素子と磁場測定方法並びに磁場測定装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007069482A JP4904181B2 (ja) 2007-03-16 2007-03-16 磁場応答性の分子性素子と磁場測定方法並びに磁場測定装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008235373A JP2008235373A (ja) 2008-10-02
JP4904181B2 true JP4904181B2 (ja) 2012-03-28

Family

ID=39907868

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007069482A Expired - Fee Related JP4904181B2 (ja) 2007-03-16 2007-03-16 磁場応答性の分子性素子と磁場測定方法並びに磁場測定装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4904181B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11698399B2 (en) 2017-10-30 2023-07-11 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Electric conductivity-measuring material, electric conductivity-measuring film, electric conductivity-measuring device, and electric conductivity-measuring method, as well as electric resistivity-measuring material, electric resistivity-measuring film, electric resistivity-measuring device, and electric resistivity-measuring method
SE542345C2 (en) * 2018-08-03 2020-04-14 Redsense Medical Ab Device for measuring a property of a measurement object by luminescence
CN110129736B (zh) * 2019-04-30 2021-07-13 南开大学 一种Fe/C60颗粒薄膜霍尔效应材料及制备方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1138457A (ja) * 1997-07-23 1999-02-12 Mitsubishi Electric Corp 有機フォトリフラクティブ材料
JP2000147710A (ja) * 1998-09-07 2000-05-26 Mitsubishi Chemicals Corp 光メモリ素子
JP4936638B2 (ja) * 2004-02-06 2012-05-23 独立行政法人科学技術振興機構 電荷移動錯体分子による発光源、及びその製造方法
JP2005277203A (ja) * 2004-03-25 2005-10-06 Mitsubishi Chemicals Corp 有機電界効果トランジスタ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008235373A (ja) 2008-10-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Baker et al. Robust absolute magnetometry with organic thin-film devices
Weaver et al. Frequency distribution of the nanoparticle magnetization in the presence of a static as well as a harmonic magnetic field
Patel et al. Subnanotesla magnetometry with a fiber-coupled diamond sensor
KR20150083072A (ko) 미세 자기 측정 검출 시스템 및 자성 재료들의 자기 시그너처를 검출하기 위한 방법
CN109212440B (zh) 一种基于固态自旋的磁场测量方法及装置和磁场测量系统
CN106842079B (zh) 基于电场调控磁性的磁场传感器噪声斩波抑制测量方法
KR101012763B1 (ko) 원자자력계를 이용한 초고감도 투자율 검출장치 및 그이용방법
Wells et al. Temperature dependence in magnetic particle imaging
Gangopadhyay et al. Faraday rotation measurements on thin films of regioregular alkyl-substituted polythiophene derivatives
JP4904181B2 (ja) 磁場応答性の分子性素子と磁場測定方法並びに磁場測定装置
CN112379315B (zh) 一种适用于磁电耦合传感器的微弱直流磁场测量方法
Lu et al. Responsivity and noise of a wire-bonded CMOS micro-fluxgate sensor
Mizoguchi et al. Highly sensitive third-harmonic detection method of magnetic nanoparticles using an AC susceptibility measurement system for liquid-phase assay
Langguth et al. Drexhage’s experiment for sound
Solyom et al. Probing a spin transfer controlled magnetic nanowire with a single nitrogen-vacancy spin in bulk diamond
Vetoshko et al. Epitaxial yttrium iron garnet film as an active medium of an even-harmonic magnetic field transducer
Bhattacharya et al. A theoretical study on magnetic properties of bis-TEMPO diradicals with possible application
Pannetier-Lecoeur et al. Low noise magnetoresistive sensors for current measurement and compasses
Kuźmiński et al. Magnetic field meter based on giant magnetoimpedance effect
Sun et al. A novel measurement method of complex magnetic permeability of ferrites materials and analysis of its influencing factors
Wang et al. A high-frequency EPR characterization of the S= 2 linear tri-atomic chain in Cr3 (dpa) 4Cl2· CH2Cl2
RU2654967C1 (ru) Способ измерения характеристик магнитного поля
CN109655771A (zh) 交流磁化率测量装置及其测量方法
Nie et al. Manipulation of spin polarization using NV ensemble in diamond for precision displacement detection with an adjustable sensitivity
RU2526293C1 (ru) Дифференциальный датчик постоянного магнитного поля

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100114

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110916

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110927

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111118

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111213

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120106

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150113

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees
S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350