この第1の局面による分析方法では、上記のように、被験者から抽出された分析物を保持するための液体を保持可能な液体保持部材を含む分析物抽出カートリッジの液体保持部材に、液体を吸収保持した液体供給部材から所定量の液体を供給するステップと、分析物抽出カートリッジを分析装置に装着するステップと、分析物抽出カートリッジを装着した分析装置を被験者にセットするステップと、液体保持部材に供給された液体に、被験者から分析物を抽出するステップとを備えることによって、分析物抽出カートリッジの保存状態(カートリッジ使用前の液体保持部材の液体保持量)にかかわらず、液体保持部材に液体が供給された状態で、被験者から分析物を抽出することができるので、分析物抽出カートリッジの保存期間が従来のものより長くなった。また、液体を吸収保持した液体供給部材を用いて液体保持部材に所定量の液体を供給することによって、容易に、適切な量の液体を液体保持部材に供給することが可能である。
この第2の局面による分析物抽出カートリッジセットでは、上記のように、被験者から分析物を抽出して分析物を分析する分析装置に装着可能であり、被験者から抽出される分析物を保持するための液体を保持可能な液体保持部材を含む分析物抽出カートリッジと、液体を吸収保持可能であり、液体保持部材に所定量の液体を供給するための液体供給部材とを備えることによって、分析物抽出カートリッジの保存状態(カートリッジ使用前の液体保持部材の液体保持量)にかかわらず、液体供給部材から液体保持部材に液体を供給して分析物抽出カートリッジを使用することができるので、分析物抽出カートリッジの保存期間が従来のものより長くなった。また、液体を吸収保持可能な液体供給部材を用いて液体保持部材に所定量の液体を供給することにより、容易に、適切な量の液体を液体保持部材に供給することが可能である。
この場合、好ましくは、分析物抽出カートリッジと液体供給部材とは、分析物抽出カートリッジの液体保持部材と液体供給部材とが分離部材を挟んで対向するように保持手段に保持されている。このように構成すれば、液体保持部材と液体供給部材との間の分離部材を取り除くだけで、容易に、液体保持部材と液体供給部材とを接触させることができる。
上記保持手段が分離部材を含む構成において、好ましくは、保持手段は、液体供給部材を収容する収容手段をさらに含み、分離部材は、収容手段および分析物抽出カートリッジに離脱可能に接合されており、分析物抽出カートリッジと液体供給部材とは、分離部材が収容手段および分析物抽出カートリッジから離脱されることによって、液体保持部材と液体供給部材とが接触するように保持手段に保持されている。このように構成すれば、分離部材を収容手段および分析物抽出カートリッジから離脱させるだけで、液体保持部材と液体供給部材とを接触させることができるので、容易に、液体供給部材が保持する液体を液体保持部材に供給することができる。
この場合、好ましくは、収容手段は、第1の内面を有し、分離部材は、収容手段の第1の内面と接合されている第1の面と、分析物抽出カートリッジと接合されている第2の面とを有する。このように構成すれば、収容手段の第1の内面と分離部材の第1の面とにより、液体供給部材を収容するための密閉された領域を形成することができるとともに、液体保持部材を含む分析物抽出カートリッジと第2の面とにより、密閉された領域を形成することができる。これにより、液体供給部材および分析物抽出カートリッジの液体保持部材を密閉状態で保持することができる。
上記分離部材が第1の面と第2の面とを有する構成において、好ましくは、分離部材の第1の面は、収容手段の第1の内面に離脱可能に接合される第1接合部を含み、分離部材の第2の面は、分析物抽出カートリッジの一方面に離脱可能に接合される第2接合部と、分析物抽出カートリッジの他方面に離脱可能に接合される第3接合部とを含む。このように構成すれば、分析物抽出カートリッジの一方面が第2接合部と接合されるとともに、分析物抽出カートリッジの他方面が第3接合部と接合されるので、容易に、分析物抽出カートリッジの両面を密閉することができる。
上記収容手段が第1の内面を有する構成において、好ましくは、液体供給部材は、収容手段の第1の内面に接着されており、収容手段は、その一部が分離部材の離脱後も分析物抽出カートリッジと接合されている。このように構成すれば、分離部材が分析物抽出カートリッジから離脱された後も液体供給部材が収容手段から外れることがないので、液体供給部材の取り扱いが容易である。また、収容手段の一部を分離部材の分離後も分析物抽出カートリッジと接合することによって、液体供給部材を収容手段の第1の内面の液体保持部材の対応する位置に予め接着しておけば、容易に、液体供給部材を分析物抽出カートリッジの液体保持部材と対向するように配置することができる。その結果、分離部材の離脱後に収容手段の第1の内面と反対の面を分析物抽出カートリッジ側に押圧することにより、容易に、液体供給部材に保持される液体を液体保持部材に供給することができる。さらに、収容手段の第1の内面に液体供給部材を接着することにより、収容手段の第1の内面と反対の面を指やピンセットなどにより分析物抽出カートリッジ側に押圧することによって、液体供給部材に保持される液体を液体保持部材に供給することができる。これにより、指やピンセットなどが収容手段の第1の内面側の液体供給部材および液体保持部材に供給される液体に触れるのを防止することができるので、液体供給部材および液体保持部材に供給される液体が汚染されるのを防止することができる。
上記保持手段が収容手段を含む構成において、好ましくは、収容手段は、液体供給部材を収容する収容部と、分析物抽出カートリッジに離脱可能に接合されるカートリッジ接合部とを含む。このように構成すれば、カートリッジ接合部により、収容手段が分析物抽出カートリッジに対して離脱可能に接合されているので、液体供給部材から分析物抽出カートリッジの液体保持部材に液体を供給した後に、収容手段を液体供給部材とともに分析物抽出カートリッジから離脱させることができる。
上記分離部材が収容手段および分析物抽出カートリッジに離脱可能に接合されている構成において、好ましくは、分析物抽出カートリッジは、分析物抽出カートリッジから分離部材を離脱する際に把持されるカートリッジ側把持部を含む。このように構成すれば、分離部材を離脱する際に分析物抽出カートリッジのカートリッジ把持部を把持することができるので、容易に、分離部材を分析物抽出カートリッジから離脱させることができる。
上記分離部材が収容手段および分析物抽出カートリッジに離脱可能に接合されている構成において、好ましくは、分離部材は、収容手段に離脱可能に接合される第1接合部と、分析物抽出カートリッジの液体保持部材に液体供給部材が接触しないように分離する分離部と、分析物抽出カートリッジの一方面に離脱可能に接合される第2接合部と、分析物抽出カートリッジの他方面に離脱可能に接合される第3接合部とを含む。このように構成すれば、第1接合部、第2接合部および第3接合部により、収容手段の液体供給部材と分析物抽出カートリッジの液体保持部材とを密閉状態で保持することができ、かつ、分離部により、液体供給部材と液体保持部材とが接触しないように分離することができる。
上記分離部材が第1接合部〜第3接合部を含む構成において、好ましくは、分離部材は、第1接合部と、第3接合部と、分離部を構成する第1分離部とを有する第1接合部材と、第2接合部と、分離部を構成するとともに、第1接合部材の第1分離部と接合される第2分離部とを有する第2接合部材とを含み、第1接合部、第2接合部および第3接合部は、分離部材の離脱方向に力が加えられることにより、分離部材の離脱方向と反対側の接合端部に剥離方向に引っ張り力が加わることによって、分離部材の離脱方向と反対側の接合端部から順次剥離される。このように構成すれば、分離部材に一方向(離脱方向)の力を加えるだけで、第1接合部、第2接合部および第3接合部の離脱方向と反対側の接合端部から剥離方向に引っ張り力が加わるので、容易に、第1接合部、第2接合部および第3接合部を分析物抽出カートリッジから離脱させることができる。
上記分離部材が収容手段および分析物抽出カートリッジに離脱可能に接合されている構成において、好ましくは、分離部材は、少なくとも分析物抽出カートリッジから分離部材を離脱する際に把持される分離部材側把持部をさらに含む。このように構成すれば、分離部材側把持部を把持することができるので、容易に、分離部材に離脱方向の力を加えることができる。
上記保持手段が分離部材を含む構成において、好ましくは、分離部材は、ポリエチレンを含有するフィルム状部材を含み、分析物抽出カートリッジは、分離部材が離脱可能に接合され、ポリエチレンとポリプロピレンとを含有するカートリッジ本体を含む。このように構成すれば、カートリッジ本体をポリエチレンにより形成した場合と異なり、分離部材と分析物抽出カートリッジとの低い溶着温度、および、分離部材と分析物抽出カートリッジとの間の剥離しやすい適度な接合強度を維持しながら、分析物抽出カートリッジの曲げ強度を向上させることができる。
上記保持手段が分離部材を含む構成において、好ましくは、収容手段は、ポリエチレンを含有するフィルム状部材を含み、分析物抽出カートリッジは、収容手段が離脱可能に接合され、ポリエチレンとポリプロピレンとを含有するカートリッジ本体を含む。このように構成すれば、カートリッジ本体をポリエチレンにより形成した場合と異なり、収容手段と分析物抽出カートリッジとの低い溶着温度、および、収容手段と分析物抽出カートリッジとの間の剥離しやすい適度な接合強度を維持しながら、分析物抽出カートリッジの曲げ強度を向上させることができる。
上記第2の局面による分析物抽出カートリッジセットにおいて、好ましくは、液体保持部材は、多孔質構造を有するシート状部材である。このように構成すれば、シート状部材が多孔質構造を有することによって、シート状部材に形成された複数の孔に液体供給部材から供給される液体を容易に保持することができる。
上記第2の局面による分析物抽出カートリッジセットにおいて、好ましくは、液体供給部材により吸収保持される液体は、純水または生理食塩水である。このように構成すれば、被験者の皮膚に接触する液体が純水または生理食塩水であるので、人体に悪影響を与える恐れがない。
上記第2の局面による分析物抽出カートリッジセットにおいて、好ましくは、分析物抽出カートリッジが装着される分析装置は、被験者の皮膚に電場を付与するための電源を含み、分析物抽出カートリッジは、電源に接続可能な電極を含む。このように構成すれば、分析装置の電源に接続された電極を介して、被験者の皮膚に電場を付与することができるので、被験者の皮膚から抽出される分析物を分析物抽出カートリッジの電極に向かって移動させることができる。これにより、被験者から分析物をより効率良く抽出することができる。
この場合、好ましくは、分析物抽出カートリッジは、単一のカートリッジからなり、分析物抽出カートリッジの電極は、分析装置の電源の陽極側に接続される陽極と、分析装置の電源の陰極側に接続される陰極とを有する。このように構成すれば、陽極に向かって移動する分析物と、陰極に向かって移動する分析物との両方を1つの分析物抽出カートリッジに収集することができるので、陽極および陰極に向かって移動する分析物を各々の電極に対応して設けられた2つの分析物抽出カートリッジに収集する場合に比べて、分析物を効率良く収集することができる。また、陽極および陰極が別々の分析物抽出カートリッジに設けられている場合と比べて、被験者による操作を簡略化することができる。
上記第2の局面による分析物抽出カートリッジセットにおいて、好ましくは、液体保持部材は、液体供給部材から液体を供給されるまでは、乾燥している。このように構成すれば、分析物抽出カートリッジの保存中に、液体保持部材に含まれる水分によって、分析物抽出カートリッジが劣化してしまうことを防止することができるので、分析物抽出カートリッジの保存期間をより長くすることができる。
上記第2の局面による分析物抽出カートリッジセットにおいて、好ましくは、液体供給部材は、吸収保持している液体のうち、一部の液体を液体保持部材に供給する。このように構成すれば、液体供給部材が吸収した液体が多少蒸発したとしても、液体供給部材は、液体保持部材に十分な量の液体を供給することができる。
この第3の局面による分析物抽出カートリッジセットでは、上記のように、液体保持部材を含む分析物抽出カートリッジと、分析物抽出カートリッジの表面に離脱可能に接合された第1フィルム状部材と、液体を吸収保持可能であり、液体保持部材に所定量の液体を供給するための液体供給部材と、分析物抽出カートリッジの表面に対向する内面を有し、液体供給部材を保持するための液体供給部材保持部材と、液体供給部材保持部材の内面に離脱可能に接合され、液体供給部材保持部材との間に液体供給部材を保持するための空間を形成する第2フィルム状部材とを設けることによって、分析物抽出カートリッジの保存状態(分析物抽出カートリッジの使用前の液体保持部材の液体保持量)にかかわらず、分析物抽出カートリッジの使用前に、液体供給部材保持部材と第2フィルム状部材とにより形成された空間に保持されていた液体供給部材から液体保持部材に液体を供給することにより、分析物抽出カートリッジを使用することができるので、分析物抽出カートリッジの保存期間を長くすることができる。また、液体供給部材により液体保持部材に所定量の液体を供給することができるので、容易に、適切な量の液体を液体保持部材に供給することができる。また、第1フィルム状部材の端部および第2フィルム状部材の端部に接続された接続部材を設け、接続部材に対し一方向へ力が加わることにより、第1フィルム状部材の端部および第2フィルム状部材の端部に対し一方向へ引っ張り力が加わり、それぞれ、分析物抽出カートリッジの表面および液体供給部材保持部材の内面から離脱するように構成することによって、第1フィルム状部材および第2フィルム状部材を、それぞれ、分析物抽出カートリッジの表面および液体供給部材保持部材の内面から離脱させた際に、液体供給部材保持部材に保持される液体供給部材と、分析物抽出カートリッジに設けられた液体保持部材とが対向する状態で露出されるので、容易に、液体供給部材から液体保持部材に液体を供給することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による抽出カートリッジが装着される血糖値測定装置を被験者の手首に装着した状態を示した斜視図である。図2〜図4は、図1に示した血糖値測定装置の内部構造を示した図である。図5は、図3に示した血糖値測定装置を被験者の手首に装着した状態を示した拡大図である。図6は、図2に示した血糖値測定装置に装着される抽出カートリッジの構造を示した平面図である。図7は、図1に示した血糖値測定装置の検知部の構成を示した概略図である。図8〜図11は、第1実施形態による抽出カートリッジセットを示した斜視図である。図12は、前処理に用いるマイクロニードルを示した斜視図である。図13は、図12に示したマイクロニードルによる前処理が施された皮膚の状態を示した断面図である。まず、図1〜図7、図12および図13を参照して、第1実施形態による抽出カートリッジ2が装着された血糖値測定装置100の全体構成について説明する。
第1実施形態による血糖値測定装置100は、生体から生化学成分の一つであるグルコースを抽出するとともに、抽出されたグルコースを分析することにより血糖値を算出する装置である。この血糖値測定装置100は、図1に示すように、バンド部材110を用いて被験者の手首120に装着されるように構成されている。バンド部材110には、所定の位置に開口を有する固定具(図示せず)が取り付けられている。被験者は、固定具の開口を介して、被験者の手首120の抽出部位にニードルローラ130(図12参照)を用いて前処理を施す。
ニードルローラ130は、図12に示すように、アーム131と、アーム131に回転可能に支持される複数のローラ132とにより構成されている。このローラ132の外周面には、所定の間隔を隔てて複数の微小な針133が形成されている。この針133は、皮下組織まで達することはないが、角質層を含む表皮を貫通可能な程度の突出量(約0.3mm)を有している。このニードルローラ130を用いると、図13に示すように、皮膚に、表皮を貫通し、真皮までは到達するが、皮下組織までは到達しない微細な抽出孔121を形成することができるので、これらの複数の抽出孔121を介して生体から体液を抽出することが可能である。これにより、図1に示した血糖値測定装置100を用いて生体からグルコースを抽出する際に、被験者が感じる痛みを軽減することが可能である。なお、第1実施形態では、ニードルローラ130として、たとえば、Top−Rol社製のダーマローラを使用する。
血糖値測定装置100は、図2および図3に示すように、装置本体としての分析ユニット1と、分析ユニット1に着脱可能に保持される抽出カートリッジ2とを備えている。分析ユニット1は、図2および図3に示すように、制御部11と、表示部12(図1参照)と、直流方式の定電圧電源13(図3参照)と、定電圧電源13から流される電流を測定し、その測定結果を制御部11に出力する電流計14(図3参照)と、2つの係合フック15とを含んでいる。また、分析ユニット1には、図7に示した検知部3を構成する単色光源31、レンズ32、レンズ33および受光素子34が設けられている。制御部11は、CPU、ROM、RAMなどから構成され、グルコース量を算出した後、その算出したグルコース量から血糖値を算出するための機能を有している。また、表示部12は、制御部11により算出されたグルコース量および血糖値を表示するために設けられている。
また、定電圧電源13は、図3および図5に示すように、後述する抽出カートリッジ2の陽極24の端子部24cと陰極25の端子部25cとに接続されている。この定電圧電源13から0.8Vの電圧が陽極24および陰極25の間に印加される。また、2つの係合フック15は、図2および図4に示すように、抽出カートリッジ2を分析ユニット1に固定するために設けられている。また、分析ユニット1に設けられた検知部3を構成する単色光源31およびレンズ32は、図3および図7に示すように、後述するセンサ部材26に分析用の光を供給するための機能を有している。センサ部材26内を通過した光は、レンズ33を介して受光素子34に入射するように構成されている。
また、抽出カートリッジ2は、図2および図4に示すように、抽出カートリッジ2に形成された2つの取付孔21に上記した分析ユニット1の係合フック15を各々係合させることによって分析ユニット1に着脱可能に固定されている。この抽出カートリッジ2は、血糖値の測定毎に交換して使用可能なように構成されている。
ここで、第1実施形態では、抽出カートリッジ2は、図5および図6に示すように、アクリル製の樹脂からなるカートリッジ本体22と、純水を保持する媒体として機能するメッシュシート23と、陽極24および陰極25と、グルコースを検知するため検知部3(図7参照)を構成するセンサ部材26と、両面テープ27と、実質的に絶縁体の電極シート28とを含んでいる。カートリッジ本体22には、図6に示すように、四角形状の凹状の段差部22aが設けられている。また、段差部22aの中央部には、図5に示すように、カートリッジ本体22の下面にまで達する貫通孔22bが形成されている。また、段差部22aの貫通孔22bを挟んで対向する位置には、それぞれ、円形状の凹部22cが形成されている。この2つの凹部22cには、後述する陽極24および陰極25の端子部24cおよび25cが各々嵌め込まれる。貫通孔22bの内部には、メッシュシート23と、活性炭電極24bおよび25bと、作用部24dおよび25dとが保持されている。また、電極シート28は、凹状の段差部22aに嵌め込まれるとともに、作用部24dおよび25dと、センサ部材26との間に配置されている。この電極シート28には、約9mm×約3mmの大きさの開口部28aが形成されている。センサ部材26の計測面26aは、上記電極シート28の開口部28aを介してメッシュシート23側に露出している。
また、第1実施形態では、図5に示すように、メッシュシート23は、活性炭電極24bおよび25bの下面に接触するとともに、約20μmの厚みを有する両面テープ27により、カートリッジ本体22の下面側から固定されている。この両面テープ27は、皮膚の測定箇所(抽出部位)を規定する開口部27aを有しており、カートリッジ本体22の下面全体に渡って貼り付けられている。メッシュシート23は、グルコースの抽出時には純水を含んだ状態になる。また、メッシュシート23は、両面テープ27の開口部27aを介して被験者の手首120の皮膚の盛り上がりにより上方に向けて押し上げられることにより、センサ部材26の下面に接触するように構成されている。第1実施形態において使用されるメッシュシート23は、ナイロン製で、約10mmの長さ、約4mmの幅、および、約50μmの厚みを有している。なお、メッシュシート23の厚みは、好ましくは約1μm以上約1mm(1000μm)以下であり、より好ましくは、約30μm以上約1mm(1000μm)以下である。このように、約30μm以上の厚みを有するメッシュシート23を用いれば、測定時の皮膚からの押圧力などによりメッシュシート23が破損するのを容易に抑制することができる。
また、約1mm(1000μm)以下の厚みを有するメッシュシート23を用いることによって、約1mm(1000μm)より大きい厚みを有するメッシュシート23を用いる場合に比べて、被験者の皮膚から抽出されたグルコースがセンサ部材26の計測面26aに到達するまでの時間を短縮することができるので、グルコースの抽出を開始してからセンサ部材26がグルコースを検出するまでの時間を短縮することが可能になる。これにより、グルコースや血糖値の測定時間を短縮することが可能である。このメッシュシート23は、可撓性を有する一方、実質的に伸縮性を有さず、厚みがほとんど変化しないように構成されている。また、メッシュシート23は、約30μmの太さのナイロン繊維を編み込んで形成されており、縦横それぞれ約33μmの正方形状の網目構造を有している。すなわち、メッシュシート23は、網目を構成する多数の孔を有する多孔質構造を有している。なお、被験者の手首120の皮膚と、陽極24および陰極25との間の距離は、メッシュシート23の厚みとほぼ一致し、第1実施形態では、約50μmである。
陽極24および陰極25は、図5および図7に示すように、それぞれ、塩化銀(AgCl)からなる集電極24aおよび25aと、多孔質導電物質としての活性炭からなる活性炭電極24bおよび25bとにより構成されている。集電極24aおよび25aは、カートリッジ本体22の段差部22aに形成された2つの凹部22cに各々嵌め込まれた円形状の端子部24cおよび25cと、端子部24cおよび25cに各々接続された作用部24dおよび25dとにより構成されている。また、活性炭電極24bおよび25bは、集電極24aおよび25aの作用部24dおよび25dの下方に各々貼り付けられており、約1000m2/g〜約3000m2/gの比表面積を有している。陽極24の端子部24cおよび陰極25の端子部25cは、分析ユニット1に設けられた直流方式の定電圧電源13に接続されている。
また、センサ部材26は、図5に示すように、電極シート28の上面に配置されている。このセンサ部材26は、下面側にグルコースの分析を行う計測面26aを有している。この計測面26aには、グルコースが反応することに起因して発色する発色色素と、所定の酵素とを含む混合ゲルが塗布され、その混合ゲルを乾燥させる処理が施されている。
具体的には、センサ部材26の計測面26aには、グルコースに対する触媒としての酸化酵素であるグルコースオキシダーゼ(GOD)と、グルコースがGODを触媒として反応することによって生成される過酸化水素(H2O2)に対する触媒としての酸化還元酵素であるペルオキシダーゼ(POD)と、H2O2がPODを触媒として反応することによって生成されるO*(活性酸素)と反応して発色する発色色素とをゲルに混合した混合ゲルが塗布され、その混合ゲルを乾燥させる処理が施されている。
また、センサ部材26は、図7に示すように、ガラス製の基板26bと、基板26bの下方に取り付けられた第1光導波路層26cと、第1光導波路層26cの下方の中央部に取り付けられた第2光導波路層26dと、第2光導波路層26dを挟むように第1光導波路層26cの下方に形成された保護膜26eと、保護膜26eの外側を覆う遮光層26fとにより構成されている。第1光導波路層26cは、基板26bより高い屈折率を有している。また、第2光導波路層26dは、側方が傾斜した台形状を有するとともに、第1光導波路層26cより高い屈折率を有している。センサ部材26の計測面26aは、第2光導波路層26dのうちの保護膜26eから露出した部分であり、図5に示すように、測定時にはメッシュシート23の上面と接触する。このセンサ部材26と、上記した分析ユニット1の単色光源31、レンズ32、レンズ33および受光素子34とにより、第1実施形態の検知部3が構成されている。
次に、図3、図4、図6および図8〜図11を参照して、上記した血糖値測定装置100に装着される未使用の抽出カートリッジ2を収容した抽出カートリッジセット200の構成について説明する。
第1実施形態による抽出カートリッジセット200は、血糖値測定装置100に装着される前の未使用の抽出カートリッジ2を乾燥した状態で収容するとともに、血糖値測定装置100に装着する際には、抽出カートリッジ2のメッシュシート23に所定量の純水を含ませることが可能なように構成されている。第1実施形態による抽出カートリッジセット200は、図8および図9に示すように、支持部材40と、上述した抽出カートリッジ2(図9参照)と、乾燥剤50(図9参照)と、液体供給部材60(図9参照)と、分離部材70とを備えている。
支持部材40は、可撓性を有するシート状に形成されている。この支持部材40は、PET(ポリエチレンテレフタレート)と、アルミ箔と、ポリエチレンとをこの順番に積層した3層構造を有している。また、支持部材40は、ポリエチレン層が内側になるようにU字状に折り曲げられている。また、支持部材40は、カートリッジ支持部41と、カートリッジ支持部41と対向して配置される液体供給部材支持部42と、カートリッジ支持部41および液体供給部材支持部42を連結する折り曲げ部43とから構成されている。また、カートリッジ支持部41の2つの角部41aと液体供給部材支持部42の2つの角部42aとは、図8に示すように、角部41aおよび42aの表面を構成するポリエチレン層が熱により溶着されることにより固定されている。これにより、支持部材40は、実質的に袋のような形状に構成されるので、カートリッジ支持部41、液体供給部材支持部42および折り曲げ部43により囲まれる領域内に抽出カートリッジ2および液体供給部材60を保持(収容)することが可能になる。なお、カートリッジ支持部41の角部41aと液体供給部材支持部42の角部42aとの固定状態は、容易に解除することが可能な溶着力で溶着されている。
抽出カートリッジ2は、図9に示すように、支持部材40のカートリッジ支持部41の内面側に一対の弱粘着性の両面テープ81により容易に離脱可能なように接着されている。また、抽出カートリッジ2は、メッシュシート23の皮膚に配置される側の面が液体供給部材60側(図9の上向き)になるように配置されている。
乾燥剤50は、抽出カートリッジ2と所定の間隔を隔てた位置に配置されており、支持部材40のカートリッジ支持部41の内面側に接着剤82により強固に固定されている。乾燥剤50は、抽出カートリッジ2のメッシュシート23(図6参照)が空気中の水分などを吸収して湿った状態になるのを抑制するために設けられている。
液体供給部材60は、不織布である脱脂綿(カット綿)からなり、約15mmの長さ、約15mmの幅、および、約50μmの厚みを有する。また、液体供給部材60は、所定量(第1実施形態では、約150μl)の純水を吸収保持している。なお、第1実施形態で使用する純水は、18.3MΩ・cmの電気抵抗率(比抵抗)を有しており、実質的に絶縁体(非導電性物質)である。この液体供給部材60は、図9に示すように、支持部材40のカートリッジ支持部41に取り付けられた抽出カートリッジ2のメッシュシート23と対向するように、支持部材40の液体供給部材支持部42の内面側に接着剤83により強固に固定されている。上記のように、抽出カートリッジ2のセンサ部材26の計測面26a側に配置された電極シート28の開口部28a(約9mm×約3mm)よりも大きい面積の液体供給部材60(約15mm×約15mm)を用いることによって、抽出カートリッジ2と液体供給部材60との接触時に互いの位置が多少ずれたとしても、確実に液体供給部材60から抽出カートリッジ2のメッシュシート23に純水を供給することが可能である。なお、第1実施形態では、液体供給部材60が吸収している純水(約150μl)のうち約1%の純水(約1.5μl)が、液体供給部材60から抽出カートリッジ2のメッシュシート23に供給される。このように、液体供給部材60が吸収保持している純水のうちの一部をメッシュシート23に供給することによって、液体供給部材60が吸収保持している純水が多少蒸発したとしても、適切な量の純水をメッシュシート23に供給することができるため、抽出カートリッジ2の保存期間を長くすることができる。
分離部材70は、上記した支持部材40と同様、可撓性を有するシート状に形成されており、PET(ポリエチレンテレフタレート)層(内表面)と、アルミ箔と、ポリエチレン層(外表面)とからなる3層構造を有している。この分離部材70は、図8および図9に示すように、U字状の支持部材40のカートリッジ支持部41、液体供給部材支持部42および折り曲げ部43により囲まれる領域内に収容されている。また、分離部材70のポリエチレン層からなる外表面の所定部分が、支持部材40のポリエチレン層からなる内表面の所定部分に対して熱による溶着により取り付けられている。分離部材70は、図9に示すように、支持部材40のカートリッジ支持部41に対向して配置されるカートリッジ収容部71と、支持部材40の液体供給部材支持部42に対向して配置される液体供給部材収容部72と、カートリッジ収容部71および液体供給部材収容部72に挟まれて配置される挟持部73とを含んでいる。カートリッジ収容部71および液体供給部材収容部72は、図10に示すように、挟持部73の所定の辺73aから2つに分離して延びるように、挟持部73に一体的に形成されている。
カートリッジ収容部71は、図9、図10および図11に示すように、支持部材40のカートリッジ支持部41との間に抽出カートリッジ2および乾燥剤50を収容可能な凹部71aを有している。このカートリッジ収容部71の凹部71aは、平面的に見て五角形のホームベース形状を有している。また、カートリッジ収容部71の凹部71aの周囲は、図11に示すように、外表面を構成するポリエチレン層が熱により支持部材40の内表面を構成するポリエチレン層に溶着されることにより支持部材40のカートリッジ支持部41の内面側に固定されている。これにより、支持部材40のカートリッジ支持部41および分離部材70のカートリッジ収容部71の凹部71aにより形成される外部から密閉された空間内に、抽出カートリッジ2および乾燥剤50を保持することが可能になる。その結果、支持部材40および分離部材70により形成される空間内に抽出カートリッジ2を乾燥した状態で保存することが可能である。また、カートリッジ収容部71の凹部71aをホームベース形状に形成することにより、凹部71aを四角形状に形成する場合と異なり、カートリッジ収容部71の凹部71aの角部71bを起点として分離部材70が支持部材40から剥離されるので、小さい力で、容易に分離部材70を支持部材40から取り外すことが可能である。
液体供給部材収容部72は、支持部材40の液体供給部材支持部42との間に純水を含んだ状態の液体供給部材60を収容可能な凹部72aを有している。この液体供給部材収容部72の凹部72aは、平面的に見て五角形のホームベース形状を有している。また、液体供給部材収容部72の凹部72aの周囲は、外表面を構成するポリエチレン層が熱により支持部材40の内表面を構成するポリエチレン層に溶着されることにより支持部材40の液体供給部材支持部42の内面側に固定されている。これにより、支持部材40の液体供給部材支持部42および分離部材70の液体供給部材収容部72の凹部72aより形成される外部から密閉された空間内に、純水を含んだ液体供給部材60を保持することが可能になる。また、液体供給部材収容部72の凹部72aをホームベース形状に形成することにより、凹部72aを四角形状に形成する場合と異なり、液体供給部材収容部72の凹部72aの角部72bを起点として分離部材70が支持部材40から剥離されるので、小さい力で、容易に分離部材70を支持部材40から取り外すことが可能である。
挟持部73は、分離部材70を支持部材40から取り外す際に被験者によって挟持されるために設けられている。この挟持部73は、図9に示すように、支持部材40の折り曲げ部43と対向する位置から所定の長さだけ外部に向かって突出している。この挟持部73の突出した部分を被験者が挟持して矢印C方向に引っ張ることによって、その引っ張り力が挟持部73を介してカートリッジ収容部71および液体供給部材収容部72に伝達されるので、カートリッジ収容部71および液体供給部材収容部72を、各々の凹部71aおよび72aの角部71bおよび72bを起点として支持部材40のカートリッジ支持部41および液体供給部材支持部42から徐々に剥離させることが可能である。
図14は、図1に示した血糖値測定装置を使用した血糖値測定の動作手順を示したフローチャートである。図15〜図19は、図8に示した第1実施形態による抽出カートリッジセットから抽出カートリッジを取り出す際の動作を説明するための図である。図20は、抽出カートリッジセットの液体供給部材に吸収保持されている純水量と、液体供給部材から抽出カートリッジのメッシュシートに転写(供給)された純水量との関係を示した相関図である。図21〜図24は、図1に示した血糖値測定装置を用いたグルコースの抽出原理を説明するための模式図である。次に、図1、図5、図6、図9および図12〜図24を参照して、血糖値測定装置100を用いた血糖値測定の動作手順を説明する。
まず、図14に示したステップS1において、被験者の手首120にバンド部材110を装着する。このとき、測定箇所(抽出部位)がバンド部材110の固定具の開口(図示せず)内に位置するようにバンド部材110を装着する。
ここで、第1実施形態では、ステップS2において、被験者は、未使用の抽出カートリッジ2を抽出カートリッジセット200から取り出す。具体的には、被験者は、図8および図9に示した抽出カートリッジセット200の支持部材40のカートリッジ支持部41の外面側と液体供給部材支持部42の外面側とを、2つの指を用いて矢印A方向および矢印B方向から挟み込むことにより抽出カートリッジセット200を保持する。この抽出カートリッジセット200には、未使用の乾燥した抽出カートリッジ2と、所定量(約150μl)の純水を吸収保持している液体供給部材60とが互いに接触しない状態で収容されている。そして、被験者は、抽出カートリッジセット200の支持部材40から外部に突出した分離部材70の挟持部73を、指を用いて挟持するとともに矢印C方向に引っ張る。これにより、図15および図16に示すように、分離部材70の挟持部73が矢印C方向に移動される。この挟持部73の矢印C方向への移動に伴って、分離部材70のカートリッジ収容部71および液体供給部材収容部72が、カートリッジ収容部71の凹部71aの角部71bと、液体供給部材収容部72の凹部72aの角部72bとを起点として、支持部材40のカートリッジ支持部41および液体供給部材支持部42から徐々に剥離される。
そして、図17に示すように、乾燥した抽出カートリッジ2と純水を吸収保持している液体供給部材60との間から分離部材70が取り除かれるとともに、支持部材40のカートリッジ支持部41および液体供給部材支持部42が被験者の指により矢印A方向および矢印B方向から押圧される。これにより、乾燥した抽出カートリッジ2のメッシュシート23と純水を吸収保持している液体供給部材60とが接触して、液体供給部材60に吸収保持されている純水(約150μl)のうちの約1%(約1.5μl)が抽出カートリッジ2のメッシュシート23(図6参照)に転写(供給)される。
ここで、図20を参照して、第1実施形態による転写(供給)方法を用いた場合の転写精度(転写率)および再現性について行った実験について説明する。図20では、横軸に、カット綿からなる液体供給部材60に吸収保持されている純水量(μl)が取られており、縦軸に、液体供給部材60からナイロン製のメッシュシート23に転写された純水量(μl)が取られている。この実験では、75μl、150μlおよび200μlの純水を吸収保持した3種類の液体供給部材60について、それぞれ3回ずつ、メッシュシート23と接触させることにより液体供給部材60からメッシュシート23への純水の転写を行った。そして、液体供給部材60からメッシュシート23への純水の転写量を各々測定した。その結果、図20に示すように、液体供給部材60に吸収保持されている純水量が75μlの場合には、液体供給部材60からメッシュシート23に転写された純水量の平均値は、約0.40μlであった。また、液体供給部材60に吸収保持されている純水量が150μlの場合には、液体供給部材60からメッシュシート23に転写された純水量の平均値は、約1.40μlであった。また、液体供給部材60に吸収保持されている純水量が200μlの場合には、液体供給部材60からメッシュシート23に転写された純水量の平均値は、約1.90μlであった。
これにより、液体供給部材60に吸収保持されている純水量が75μlの場合には、液体供給部材60からメッシュシート23への純水の転写量の平均値(約0.40μl)は、液体供給部材60に吸収保持されている純水量(75μl)の約0.5%程度であることが判明した。また、液体供給部材60に吸収保持されている純水量が150μlの場合には、液体供給部材60からメッシュシート23への純水の転写量の平均値(約1.40μl)は、液体供給部材60に吸収保持されている純水量(150μl)の約1.0%程度であることが判明した。また、液体供給部材60に吸収保持されている純水量が200μlの場合には、液体供給部材60からメッシュシート23への純水の転写量の平均値(約1.90μl)は、液体供給部材60に吸収保持されている純水量(200μl)の約1.0%程度であることが判明した。この結果、液体供給部材60に吸収保持されている純水の量が多い(150μlおよび200μl)場合には、液体供給部材60に吸収保持されている純水の量が少ない(75μl)場合(約0.5%の転写率)に比べて、液体供給部材60からメッシュシート23への純水の転写率(液体供給部材60に含まれる純水量に対する転写量の割合)が大きくなる(約1.0%の転写率)ことがわかった。これは、液体供給部材60に吸収保持されている純水の量が少ないと、純水が液体供給部材60から外部に移動しにくくなるためであると考えられる。
また、液体供給部材60に吸収保持されている純水量が150μlの場合と200μlの場合とで、液体供給部材60からメッシュシート23への純水の転写率にほとんど差が生じないことがわかった。これにより、液体供給部材60に吸収保持されている純水量が比較的多い(約150μl)場合には、カット綿(脱脂綿)からなる液体供給部材60からナイロン製のメッシュシート23への純水の転写率が約1.0%で安定する傾向にあることがわかった。また、転写量の再現性としてのCV(変動係数:実質的なデータのばらつきを評価する尺度)値は、約10%程度であった。このことから、カット綿(脱脂綿)からなる液体供給部材60からナイロン製のメッシュシート23への純水の転写の再現性も十分に高いことが判明した。
上記のように、液体供給部材60から純水をメッシュシート23に転写した後、支持部材40のカートリッジ支持部41の2つの角部41aと液体供給部材支持部42の2つの角部42aとの固定状態を解除して、支持部材40の液体供給部材支持部42を折り曲げ部43を支点として図17に示す矢印D方向に回動させることによって、図18および図19に示す状態にする。そして、所定量(約1.5μl)の純水を含んだメッシュシート23を含む抽出カートリッジ2をカートリッジ支持部41に片面が取り付けられた一対の両面テープ81から取り外す。
そして、ステップS3において、抽出カートリッジ2の一対の取付孔21に血糖値測定装置100の一対の係合フック15を係合させることにより、血糖値測定装置100に所定量(約1.5μl)の純水を含んだメッシュシート23を含む未使用の抽出カートリッジ2を取り付ける。そして、ステップS4において、図13に示すように、ニードルローラ130(図12参照)を用いて抽出部位の皮膚に複数の微細な抽出孔121を形成することにより、前処理を行う。このニードルローラ130を用いた前処理により皮膚に形成された抽出孔121には、図21に示すように、皮膚の真皮中にもともと溜まっていたグルコースを含む体液が徐々に滲み出してくる。そして、ステップS5において、血糖値測定装置100をバンド部材110の固定具に取り付ける。これにより、抽出カートリッジ2の下面側が被験者の皮膚に接触した状態で、血糖値測定装置100が被験者の手首120に装着される。具体的には、図5に示すように、手首120の測定箇所(抽出部位)がバンド部材110(図1参照)の締め付けにより盛り上がることにより、メッシュシート23と皮膚とが接触するとともに、メッシュシート23の中央部が上方向に移動してセンサ部材26の下面(計測面26a)に接触した状態になる。
このとき、図22に示すように、メッシュシート23に含まれる純水が皮膚に形成された抽出孔121の内部に入っていく。そして、図23に示すように、皮膚の抽出孔121に滲み出た体液とメッシュシート23からの純水とが混ざり合うことにより、抽出孔121内部の体液がメッシュシート23に保持されている純水中に拡散される。これにより、抽出孔121の内部の浸透圧が皮膚の真皮の浸透圧に比べて低くなるので、再び、真皮から体液が抽出孔121に滲み出す。その結果、抽出カートリッジ2の陽極24および陰極25に定電圧電源13から電圧を印加する前に、皮膚に形成された抽出孔121を介して滲み出てきた体液がメッシュシート23に保持されている純水中にある程度拡散された状態になる。この状態で、図14のステップS6において、血糖値測定装置100の測定開始スイッチ(図示せず)を押すことによって、定電圧電源13により定電圧(0.8V)を陽極24および陰極25に約3分間印加する。これにより、抽出孔121に存在する電荷を帯びたイオン成分が陽極24および陰極25に向かって積極的に移動するので、図24に示すように、生体から検知部3によって検知可能な量のグルコースを含む体液がメッシュシート23に保持された純水中に収集される。
ここで、抽出カートリッジ2の陽極24および陰極25に電圧を印加することによるメッシュシート23に保持された純水への体液の収集のメカニズムについて説明する。定電圧電源13により陽極24および陰極25に電圧が印加されると、陽極24側の集電極24aは、正(+)の電荷を帯びるとともに、陰極25側の集電極25aは、負(−)の電荷を帯びる。陽極24の集電極24aおよび陰極25の集電極25aの下方に各々貼り付けられた活性炭電極24bおよび25bは、分極性を有している。このため、陽極24側の活性炭電極24b内の下部は、正(+)に帯電し、陰極25側の活性炭電極25b内の下部は、負(−)に帯電する。これにより、抽出孔121内部に抽出されている体液に含まれるナトリウムイオン(Na+)および塩化物イオン(Cl−)が、それぞれ、活性炭電極25bおよび活性炭電極24bに向かってメッシュシート23に保持された純水中を移動する。この体液中のナトリウムイオン(Na+)および塩化物イオン(Cl−)の活性炭電極25bおよび24bへの移動に伴って、体液中のグルコースなどの生化学成分が、メッシュシート23に保持された純水中に移動する。そして、グルコースなどの生化学成分は、センサ部材26の計測面26aに到達する。
ステップS6と並行して、ステップS7において、センサ部材26を用いてグルコース量を測定する。このステップS7でのグルコース量の算出は、定電圧電源13が陽極24および陰極25に定電圧を印加している間に、所定時間ごと(例えば1秒ごと)に継続して行われる。
具体的には、第1実施形態のセンサ部材26の計測面26aに塗布された混合ゲル中の酸化酵素であるグルコースオキシダーゼ(GOD)が触媒として作用することにより、計測面26aに到達したグルコースから過酸化水素(H2O2)およびグルコン酸が生成される。次に、センサ部材26の計測面26aに塗布されている混合ゲル中の酸化還元酵素であるペルオキシダーゼ(POD)が触媒として作用することにより、過酸化水素(H2O2)から活性酸素(O*)および水(H2O)が生成される。そして、センサ部材26の計測面26aに塗布されている混合ゲル中の発色色素が、生成された活性酸素(O*)と反応することにより発色する。
これにより、純水を含んだメッシュシート23に接しているセンサ部材26の第2光導波路層26d(図7参照)内を全反射しながら通過する光は、生体から抽出されたグルコースの量に応じて発色する発色色素により吸収された後、受光素子34に到達する。この受光素子34から出力される信号に基づいて、制御部11がグルコース量を算出する。なお、純水に含有される発色色素としては、たとえば、N,N−ビス(2−ヒドロキシ−3−サルフォプロピル)トリジンジカリウム塩、および、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジリデンなどを用いることができる。そして、ステップS8において、制御部11により、ステップS7で1秒ごとに算出したグルコース量から以下の式(1)の解析法に基づいて血糖値を算出するとともに、算出された単位時間当たりのグルコース抽出量および血糖値を表示部12(図1参照)に表示する。
BG = C/P
= C/(A×I+B) ・・・(1)
なお、上記式(1)において、「BG」は、算出血糖値を表し、「C」は、ステップS7で得られる1秒ごとのグルコース量から算出される単位時間当たりのグルコース抽出量を表し、「P」は、抽出部位のグルコース透過率(グルコースの通しやすさ)を表し、「I」は、電圧の印加中に電流計14により測定された平均電流値を表している。また、「A」および「B」は、予め実験により決定された定数である。そして、図14のステップS9において、バンド部材110の固定具から血糖値測定装置100を取り外す。
そして、ステップS10において、抽出カートリッジ2の一対の取付孔21と、血糖値測定装置100の一対の係合フック15との係合状態を解除することにより、血糖値測定装置100から使用済の抽出カートリッジ2を取り外す。この使用済の抽出カートリッジ2は、破棄してもよいし、適切な処理を施して再利用してもよい。その後、ステップS11において、被験者の手首120からバンド部材110を取り外す。これにより、血糖値測定装置100を用いた血糖値測定が終了する。
第1実施形態では、上記のように、所定量(約150μl)の純水を吸収しているとともに、抽出カートリッジ2の乾燥したナイロン製のメッシュシート23と接触することによってメッシュシート23に純水を供給する脱脂綿(カット綿)からなる液体供給部材60を設けることによって、抽出カートリッジ2の保存状態(カートリッジ使用前のメッシュシート23の液体(純水)保持量)にかかわらず、液体供給部材60からメッシュシート23に純水を供給することができるので、抽出カートリッジ2の保存期間が従来のものより長くなった。また、所定量の純水を吸収した液体供給部材60を用いてメッシュシート23に純水を供給することによって、簡単な操作で、一定量の純水をメッシュシート23に供給することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、所定量(約150μl)の純水を吸収しているとともに、抽出カートリッジ2の乾燥したナイロン製のメッシュシート23と接触することによってメッシュシート23に純水を供給する脱脂綿(カット綿)からなる液体供給部材60を設けることによって、脱脂綿(カット綿)からなる液体供給部材60は、接触により供給する純水の量がほぼ一定であるので、極めて微量(第1実施形態では、約1.5μl)の純水をメッシュシート23に供給する場合にも、メッシュシート23への純水の供給量を正確に制御することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、抽出カートリッジ2と液体供給部材60とを収容する支持部材40と、支持部材40に収容された抽出カートリッジ2のメッシュシート23と液体供給部材60とが接触しないように分離する分離部材70とを設けることによって、抽出カートリッジ2と液体供給部材60とは、分離部材70で分離した状態で保存されているので、容易に抽出カートリッジ2を保存することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、支持部材40から分離部材70を離脱することにより抽出カートリッジ2のメッシュシート23と液体供給部材60とを接触させるように抽出カートリッジセット200を構成することによって、簡単な操作でメッシュシート23に純水を供給することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、抽出カートリッジ2のメッシュシート23と液体供給部材60とを直接接触させることによりメッシュシート23に純水を供給するように構成することによって、純水が手や外部の部材に接触して汚染されるのを抑制することができるので、正確なグルコースの分析を行うことができる。
また、第1実施形態では、上記のように、メッシュシート23を、抽出カートリッジ2の保存中には乾燥しているように構成することによって、センサ部材26に含まれる酵素(グルコースオキシダーゼ(GOD)およびペルオキシダーゼ(POD))が、水分と接触することに起因して、短時間で劣化してしまうのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、抽出カートリッジ2のメッシュシート23と液体供給部材60とが接触しないように分離する分離部材70を設けることによって、分離部材70により抽出カートリッジ2のメッシュシート23と液体供給部材60とを接触しないように分離した状態で、支持部材40により抽出カートリッジ2のメッシュシート23を収容することができるので、容易に、メッシュシート23を乾燥した状態で保存することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、抽出カートリッジ2のメッシュシート23と液体供給部材60とが分離部材70を挟んで対向するように、抽出カートリッジ2と液体供給部材60とを支持部材40内に配置して収容することによって、抽出カートリッジ2のメッシュシート23と液体供給部材60との間の分離部材70を取り除くだけで、容易に、メッシュシート23と液体供給部材60とを接触させることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、支持部材40を、可撓性を有する材料により構成することによって、支持部材40から分離部材70を離脱させる際に、指などを用いて支持部材40のメッシュシート23と液体供給部材60とが収容されている部分を押圧して撓み変形させることにより、メッシュシート23と液体供給部材60とを接触させることができるので、容易に、液体供給部材60が保持する純水をメッシュシート23に供給することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、分離部材70の挟持部73が、抽出カートリッジ2を収容するためのカートリッジ収容部71と液体供給部材60を収容するための液体供給部材収容部72とに挟まれた状態で支持部材40に収容されることによって、挟持部73を被験者が挟持して引っ張ることによって、挟持部73に一体的に形成されたカートリッジ収容部71および液体供給部材収容部72の両方に被験者による引っ張り力を伝達することができるので、カートリッジ収容部71および液体供給部材収容部72の両方を支持部材40から離脱させることができる。これにより、容易に、抽出カートリッジ2と液体供給部材60とを接触させることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、多孔質構造を有するメッシュシート23を用いることによって、容易に、複数の孔に液体供給部材60から供給される純水を保持することができる。また、ナイロン製のメッシュシート23を用いることによって、メッシュシート23が被験者の皮膚に対して押圧されたときに、メッシュシート23の厚みが変化するのを抑制することができるので、容易に、測定時の皮膚とセンサ部材26との距離を一定に保つことができる。
また、第1実施形態では、上記のように、単一の抽出カートリッジ2が、血糖値測定装置100の定電圧電源13の陽極側に接続される陽極24と、血糖値測定装置100の定電圧電源13の陰極側に接続される陰極25とを有するように構成することによって、陽極24に向かって移動するグルコースと、陰極25に向かって移動するグルコースとの両方を1つの抽出カートリッジ2に収集することができるので、陽極24および陰極25に向かって移動するグルコースを陽極24および陰極25に対応して設けられた2つの抽出カートリッジに収集する場合に比べて、被験者の操作を簡略化することができる。
(第2実施形態)
図26〜図28は、本発明の第2実施形態による抽出カートリッジセットを示した図である。図29は、第2実施形態による抽出カートリッジセットの分離部材を示した斜視図である。図30〜図44は、第2実施形態による抽出カートリッジセットの構造および動作を説明するための図である。図45は、第2実施形態によるカートリッジ本体の材料に対するIMXフィルムの溶着特性を示した図である。図26〜図45を参照して、この第2実施形態では、上記第1実施形態の抽出カートリッジセットとは異なる構造の抽出カートリッジセットを用いる場合について説明する。なお、第2実施形態の抽出カートリッジセット200a以外の構造は、上記第1実施形態とほぼ同様である。
この第2実施形態による抽出カートリッジセット200aは、上記第1実施形態の抽出カートリッジセット200と同様、血糖値測定装置100に装着される未使用の抽出カートリッジ150のメッシュシート23(図27参照)やセンサ部材26などを乾燥した状態で保持するとともに、血糖値測定装置100に装着する際には、抽出カートリッジ150のメッシュシート23に所定量の純水を含ませることが可能なように構成されている。この第2実施形態による抽出カートリッジセット200aは、図27に示すように、乾燥剤50と、上述した抽出カートリッジ150と、純水を吸収保持している液体供給部材160と、分離部材170と、収容部材180とを備えている。
抽出カートリッジ150は、図6に示した第1実施形態による抽出カートリッジ2と同様の構成を有するとともに、さらに把持部151aが設けられている。すなわち、抽出カートリッジ150は、図27に示すように、カートリッジ本体151と、取付孔21と、メッシュシート23と、活性炭電極25bと、作用部25dと、センサ部材26と、両面テープ27と、電極シート28とを含んでいる。また、カートリッジ本体151には、抽出カートリッジ150から分離部材170を取り外す際に被験者によって把持される把持部151aが側方に突出するように一体的に設けられている。この把持部151aは、カートリッジ本体151よりも小さい厚みを有する。また、カートリッジ本体151の把持部151aには、収容部材180が溶着により取り付けられている。また、カートリッジ本体151の一方表面151bは、分離部材170が接合される平面的に見て六角形状の接合領域151d(図43参照)を有し、カートリッジ本体151の他方表面151cは、分離部材170が接合される平面的に見て六角形状の接合領域151e(図30参照)を有する。また、カートリッジ本体151の他方表面151cには、乾燥剤50がセンサ部材26と所定の間隔を隔てて離脱可能に取り付けられている。
ここで、第2実施形態では、カートリッジ本体151は、PE(ポリエチレン)と、PP(ポリプロピレン)とが含有された樹脂により形成されている。なお、カートリッジ本体151のPE(ポリエチレン)とPP(ポリプロピレン)との含有比率(重量比率)は、好ましくは、PE:PP=1:2〜2:1の範囲であり、より好ましくは、PE:PP=1:1である。
また、第2実施形態では、分離部材170および収容部材180は、可撓性を有するシート状に形成されている。この分離部材170および収容部材180は、たとえば、下記の構成を有するジェイフィルム社製のIMXフィルムからなる。すなわち、分離部材170および収容部材180は、PET(ポリエチレンテレフタレート)と、アルミ箔と、PE(ポリエチレン)含有層とをこの順番に積層した3層構造を有している。この場合、PE含有層が接合(融着)側になる。また、PETおよびアルミ箔と、アルミ箔およびPE含有層とは、それぞれ、PE(ポリエチレン)からなる接着層により接着されている。
ここで、第2実施形態では、分離部材170は、図29に示すように、2つの接合部材171および接合部材172を互いに溶着させることにより構成されている。また、接合部材171は、接合面171aと、分離部171bと、接合面171cと、把持部171dとを有している。接合面171aおよび171cは、それぞれ、平面的に見て六角形状の接合部171eおよび171fを有している。また、接合部材171の接合面171aは、接合部171eにより、平面的に見て六角形状に収容部材180(図28参照)と接合されることにより液体供給部材収容部190を形成する。また、図29に示す接合部材171の接合面171cは、接合部171fにより、平面的に見て六角形状にカートリッジ本体151の他方表面151cの接合領域151e(図30参照)に接合される。また、接合部材171の把持部171dは、分離部材170を抽出カートリッジ150から取り外す際に被験者によって把持されるために設けられている。
また、図29に示すように、接合部材172は、接合面172aと、分離部171bと接合する分離部172bとを有している。接合面172aは、平面的に見て六角形状の接合部172cを有している。また、接合部材172の接合面172aは、接合部172cにより、平面的に見て六角形状にカートリッジ本体151の一方表面151bの接合領域151d(図43参照)に接合される。また、分離部材170の接合面171cの接合部171fおよび接合面172aの接合部172cが、それぞれ、カートリッジ本体151の他方表面151cの接合領域151eおよび一方表面151bの接合領域151dに接合されることにより、カートリッジ本体151の一方表面151bおよび他方表面151cの両面が分離部材170の接合面172aおよび171cにより密閉されるように構成されている。これにより、抽出カートリッジ150のメッシュシート23が分離部材170およびカートリッジ本体151により形成される密閉された領域に収納(保持)されている。
また、分離部材170の接合面171cの接合部171fのカートリッジ本体151の他方表面151cの接合領域151eに対する接合、および、分離部材170の接合面172aの接合部172cのカートリッジ本体151の一方表面151bの接合領域151dに対する接合は、接合面171cの接合部171fおよび接合面172aの接合部172cのPE(ポリエチレン)含有層からなる外表面が、それぞれ、PE(ポリエチレン)を含有するカートリッジ本体151の他方表面151cの接合領域151eおよび一方表面151bの接合領域151dに対して熱により溶着されることにより行われている。なお、この溶着は、約100℃〜約180℃(たとえば、約140℃)の熱を約0.1sec〜約10sec(たとえば、約4sec)加えることにより行われる。
また、図29に示した分離部171bと分離部172bとは、分離部171bのPE(ポリエチレン)含有層からなる外表面が分離部172bのPE(ポリエチレン)含有層からなる外表面に対して熱による溶着により接合されている。この分離部171bと分離部172bとの接合強度は、接合面171cとカートリッジ本体151の他方表面151cとの接合強度、接合面172aとカートリッジ本体151の一方表面151bとの接合強度、および、接合面171aと収容部材180との接合強度よりも大きい。この場合、分離部171bと分離部172bとの接合強度を大きくするために、約100℃〜約180℃(たとえば、約140℃)の熱を約0.1sec〜約10sec(たとえば、約4sec)加える工程を複数回(たとえば、2回)繰り返すことにより接合が行われる。
また、第2実施形態では、収容部材180は、図28および図43に示すように、接合部材171の接合面171a(図28参照)と接合される収容部材接合面180aと、カートリッジ本体151の把持部151aの一方表面151fに接合される収容部材取付部180bとを含む。収容部材接合面180aは、平面的に見て六角形状の収容部材接合部180cを有している。また、収容部材180の収容部材接合面180aには、図44に示すように、液体供給部材160が接着剤161により強固に固定されている。
また、分離部材170の接合部材171の接合面171aと、収容部材180の収容部材接合面180aとは、接合面171aのPE(ポリエチレン)含有層からなる外表面が収容部材接合面180aの収容部材接合部180cのPE(ポリエチレン)含有層からなる外表面に対して熱による溶着により接合されている。なお、この溶着は、約100℃〜約180℃(たとえば、約140℃)の熱を約0.1sec〜約10sec(たとえば、約4sec)加えることにより行われる。
また、収容部材180の収容部材取付部180bと、カートリッジ本体151の把持部151aとは、収容部材取付部180bのPE(ポリエチレン)含有層からなる外表面が、PE(ポリエチレン)を含有するカートリッジ本体151の把持部151aの一方表面151fに対して熱による溶着により接合されている。なお、この溶着は、図43および図44に示すように、把持部151aの一方表面151fの全体に約100℃〜約180℃(たとえば、約140℃)の熱を約0.1sec〜約10sec(たとえば、約4sec)加えることにより行われる。
液体供給部材収容部190は、分離部材170の接合面171aの接合部171eが収容部材180の収容部材接合面180aの収容部材接合部180cに平面的に見て六角形状に接合されることにより、袋状の密閉された領域に構成される。これにより、液体供給部材収容部190は、液体供給部材160を密閉状態で収納(保持)する機能を有している。
次に、図26、図28〜図40および図43を参照して、抽出カートリッジセット200aから分離部材170を取り外す際の動作について説明する。
まず、図26および図28に示すように、抽出カートリッジセット200aのカートリッジ本体151の把持部151aを把持した状態で、分離部材170の把持部171dを把持するとともに、矢印D方向(離脱方向)に引っ張る。これにより、図30および図31に示すように、分離部材170の接合面171cは、接合面171cの矢印D方向(離脱方向)と反対側の接合端部にE1方向(剥離方向)の引っ張り力が加わることによって、接合面171cの矢印D方向(離脱方向)と反対側の接合端部から順次剥離される。このとき、分離部材170の接合面171cとカートリッジ本体151の他方表面151cとは、接合部171fおよび接合領域151eにより、六角形状に接合されているので、四角形状に接合されている場合と異なり、接合部171fの接合角部710fおよび接合領域151eの接合角部510eを起点として、接合面171cの接合部171fが他方表面151cの接合領域151cから剥離される。これにより、小さい力で、容易に、接合面171cを他方表面151cから離脱させることが可能である。
そして、図32および図33に示すように、分離部材170の接合面171cがカートリッジ本体151の他方表面151cから剥離した後も、カートリッジ本体151の把持部151aを把持した状態で、分離部材170の把持部171d(図26参照)を把持するとともに、矢印D方向(離脱方向)に引っ張る。このとき、分離部材170の接合部材171の把持部171dに加えられる矢印D方向(剥離方向)の引っ張り力は、接合部材171の分離部171bと接合部材172の分離部172bとが接合されていることにより、接合部材171のみならず、接合部材172にも伝達される。これにより、図34に示すように、分離部材170の接合部材172の接合面172aは、接合面172aの矢印D方向(離脱方向)と反対側の接合端部にE2方向(剥離方向)の引っ張り力が加わることによって、接合面172aの矢印D方向(離脱方向)と反対側の接合端部から順次剥離される。同様に、分離部材170の接合部材171の接合面171aは、接合面171aの矢印D方向(離脱方向)と反対側の接合端部にE3方向(剥離方向)の引っ張り力が加わることによって、接合面171aの矢印D方向(離脱方向)と反対側の接合端部から順次剥離される。
このとき、分離部材170の接合面172aとカートリッジ本体151の一方表面151bとは、接合部172c(図29参照)および接合領域151d(図43参照)により、六角形状に接合されているので、四角形状に接合されている場合と異なり、接合部172cの接合角部720c(図29参照)および接合領域151dの接合角部510d(図43参照)を起点として、接合面172aの接合部172cが一方表面151bの接合領域151dから剥離される。これにより、小さい力で、容易に、接合面172aを一方表面151bから離脱させることが可能である。同様に、分離部材170の接合面171aと収容部材180の収容部材接合面180aとは、接合部171e(図29参照)および収容部材接合部180c(図43参照)により、六角形状に接合されているので、四角形状に接合されている場合と異なり、接合部171eの接合角部(図示せず)および収容部材接合部180cの接合角部800c(図43参照)を起点として、接合面171aの接合部171eが収容部材接合面180aの収容部材接合部180cから剥離される。これにより、小さい力で、容易に、接合面171aを収容部材接合面180aから離脱させることが可能である。
そして、図35〜図40に示すように、分離部材170の接合面172aおよび接合面171aをカートリッジ本体151の一方表面151bおよび収容部材180の収容部材接合面180aから順次剥離することにより、分離部材170が抽出カートリッジ150から離脱される。このようにして、抽出カートリッジセット200aから分離部材170が取り外される。
上記のようにして、抽出カートリッジセット200aから分離部材170が取り外れた後の動作としては、図41および図42に示すように、被験者の指により収容部材180の液体供給部材160が装着されている面とは反対側の面を押圧することによって、純水を吸収保持している液体供給部材160を矢印F方向に押圧する。これにより、抽出カートリッジ150の乾燥したメッシュシート23(図43参照)と純水を吸収保持している液体供給部材160とが接触して、液体供給部材160に吸収保持されている純水が抽出カートリッジ150のメッシュシート23に転写(供給)される。その後、図43に示すように、収容部材180を矢印G方向に引っ張ることにより、収容部材180が抽出カートリッジ150から取り外される。
第2実施形態では、上記のように、分離部材170を、収容部材180および抽出カートリッジ150に離脱可能に接合し、分離部材170が収容部材180および抽出カートリッジ150から離脱することにより、メッシュシート23と液体供給部材160とが接触するように構成することによって、分離部材170を収容部材180および抽出カートリッジ150から離脱させるだけで、メッシュシート23と液体供給部材160とを接触させることができる。これにより、容易に、液体供給部材160が保持する液体をメッシュシート23に供給することができる。
また、第2実施形態では、収容部材180に収容部材接合面180aを設けるとともに、分離部材170に、収容部材180の収容部材接合面180aと接合されている接合面171aと、抽出カートリッジ150のカートリッジ本体151と接合されている接合面172aおよび171cとを設けることによって、収容部材180の収容部材接合面180aと分離部材170の接合面171aとにより、液体供給部材160を収容するための密閉された領域を形成することができるとともに、メッシュシート23を含む抽出カートリッジ150のカートリッジ本体151と接合面172aおよび接合面171cとにより、密閉された領域を形成することができる。これにより、液体供給部材160および抽出カートリッジ150のメッシュシート23を密閉状態で保持することができる。
また、第2実施形態では、液体供給部材160を、収容部材180の収容部材接合面180aに接着するとともに、収容部材180を、収容部材取付部180bが分離部材170の離脱後も抽出カートリッジ150と接合するように構成することによって、分離部材170が抽出カートリッジ150から離脱された後も液体供給部材160が収容部材180から外れることがないので、液体供給部材160の取り扱いが容易である。また、収容部材180の収容部材取付部180bを分離部材170の分離後も抽出カートリッジ150の把持部151aと接合するとともに、液体供給部材160を収容部材180の収容部材接合面180aのメッシュシート23の対応する位置に接着することによって、容易に、液体供給部材160を抽出カートリッジ150のメッシュシート23と対向するように配置することができる。その結果、分離部材170の離脱後に収容部材180の収容部材接合面180aと反対の面を矢印F方向(図42参照)に押圧することにより、容易に、液体供給部材160に保持される液体をメッシュシート23に供給することができる。さらに、収容部材180の収容部材接合面180aに液体供給部材160を接着することにより、収容部材180の収容部材接合面180aと反対の面を指により矢印F方向(図42参照)に押圧することによって、液体供給部材160に保持される液体をメッシュシート23に供給することができる。これにより、指が収容部材180の収容部材接合面180a側の液体供給部材160およびメッシュシート23に供給される液体に触れるのを防止することができるので、液体供給部材160およびメッシュシート23に供給される液体が汚染されるのを防止することができる。
また、第2実施形態では、収容部材180を、液体供給部材160が取り付けられる収容部材接合面180aと、抽出カートリッジ150のカートリッジ本体151に離脱可能に接合される収容部材取付部180bとを含むように構成することによって、収容部材取付部180bにより、収容部材180が抽出カートリッジ150のカートリッジ本体151に対して離脱可能に接合されているので、液体供給部材160から抽出カートリッジ150のメッシュシート23に液体を供給した後に、収容部材180を液体供給部材160とともに抽出カートリッジ150のカートリッジ本体151から離脱させることができる。
また、第2実施形態では、抽出カートリッジ150を、抽出カートリッジ150から分離部材170を離脱する際に把持される把持部151aを含むように構成することによって、分離部材170を離脱する際に、抽出カートリッジ150の把持部151aを把持することができるので、容易に、分離部材170を抽出カートリッジ150から離脱させることができる。
また、第2実施形態では、分離部材170を、収容部材180の収容部材接合面180aに離脱可能に接合される接合部171eと、抽出カートリッジ150のメッシュシート23と液体供給部材160とが接触しないように分離する分離部171bおよび172bと、カートリッジ本体151の一方表面151bに離脱可能に接合される接合部172cと、カートリッジ本体151の他方表面151cに離脱可能に接合される接合部171fとを含むように構成することによって、接合部171e、接合部172cおよび接合部171fにより、収容部材180の液体供給部材160と抽出カートリッジ150のメッシュシート23とを密閉状態で保持することができ、かつ、分離部171bおよび172bにより、液体供給部材160とメッシュシート23とが接触しないように分離することができる。
また、第2実施形態では、接合部171e、接合部172cおよび接合部171fを、分離部材170の離脱方向(矢印D方向)に力が加えられることにより、分離部材170の離脱方向(矢印D方向)と反対側の接合端部に剥離方向(E3、E2およびE1方向)に引っ張り力が加わることにより、分離部材170の離脱方向(矢印D方向)と反対側の接合端部から順次剥離するように構成することによって、分離部材170に離脱方向(矢印D方向)の力を加えるだけで、容易に、接合部171e、接合部172cおよび接合部171fを抽出カートリッジ150から離脱させることができる。
また、第2実施形態では、分離部材170を、少なくとも抽出カートリッジ150から分離部材170を離脱する際に把持される把持部171dを含むように構成することによって、把持部171dを把持することにより、容易に、分離部材170に離脱方向(矢印D方向)の力を加えることができる。
また、第2実施形態では、分離部材170を、PE(ポリエチレン)含有層を有するIMXフィルムを含み、抽出カートリッジ150を、分離部材170が離脱可能に接合され、PE(ポリエチレン)とPP(ポリプロピレン)とを含有するカートリッジ本体151を含むように構成することによって、カートリッジ本体151をPE(ポリエチレン)のみにより形成した場合と異なり、分離部材170とカートリッジ本体151との低い溶着温度、および、分離部材170とカートリッジ本体151との間の剥離しやすい適度な接合強度を維持しながら、カートリッジ本体151の曲げ強度を向上させることができる。
また、第2実施形態では、収容部材180を、PE(ポリエチレン)含有層を有するIMXフィルムを含み、抽出カートリッジ150を、収容部材180が離脱可能に接合され、PE(ポリエチレン)とPP(ポリプロピレン)とを含有するカートリッジ本体151を含むように構成することによって、カートリッジ本体151をPE(ポリエチレン)のみにより形成した場合と異なり、収容部材180とカートリッジ本体151との低い溶着温度、および、収容部材180とカートリッジ本体151との間の剥離しやすい適度な接合強度を維持しながら、カートリッジ本体151の曲げ強度を向上させることができる。
次に、上記第2実施形態の効果を確認するために行った比較実験について以下に説明する。なお、この比較実験では、カートリッジ本体151の材料にPE(ポリエチレン)とPP(ポリプロピレン)とを1:1の比率で混合した第2実施形態以外に、カートリッジ本体の材料にPE(ポリエチレン)のみを用いた比較例1、カートリッジ本体の材料にPP(ポリプロピレン)のみを用いた比較例2、および、カートリッジ本体の材料にPS(ポリスチレン)のみを用いた比較例3についても、溶着温度、接合強度、曲げ強度およびバリア性について調べた。その結果を図45に示す。図45を参照して、溶着温度は、カートリッジ本体の材料にIMXフィルムを溶着させるのに必要な温度である。また、接合強度は、カートリッジ本体の材料に溶着されたIMXフィルムを剥離する際に必要な力の大きさである。また、曲げ強度は、カートリッジ本体の材料の曲げに対する機械的な強度である。また、バリア性は、60℃の温度条件下で一週間放置された際に、カートリッジ本体の材料とカートリッジ本体の材料に溶着されたIMXフィルムとにより形成された密閉された領域の内部に配置された水分が減少した重量である。
図45を参照して、第2実施形態によるカートリッジ本体151では、IMXフィルムを溶着させるのに必要な温度が100℃であった。また、比較例1によるカートリッジ本体では、IMXフィルムを溶着させるのに必要な温度が100℃であり、比較例2および3によるカートリッジ本体では、IMXフィルムを溶着させるのに必要な温度が160℃であった。この結果から、PE(ポリエチレン)とPP(ポリプロピレン)とからなる第2実施形態によるカートリッジ本体151では、PP(ポリプロピレン)単体からなる比較例2およびPS(ポリスチレン)単体からなる比較例3によるカートリッジ本体よりも低い溶着温度で、かつ、PE(ポリエチレン)単体からなる比較例1によるカートリッジ本体と同等の溶着温度(100℃)を得ることができることが判明した。
また、第2実施形態によるカートリッジ本体151では、溶着されたIMXフィルムを剥離する際に必要な力の大きさが100gであった。また、比較例1によるカートリッジ本体では、溶着されたIMXフィルムを剥離する際に必要な力の大きさが100gであり、比較例2および3によるカートリッジ本体では、溶着されたIMXフィルムを剥離する際に必要な力の大きさが700gであった。この結果から、PEとPPとからなる第2実施形態によるカートリッジ本体151では、PP単体からなる比較例2およびPS単体からなる比較例3によるカートリッジ本体よりも小さい剥離力で、かつ、PE単体からなる比較例1によるカートリッジ本体の場合と同等の剥離力(100g)で、IMXフィルムを剥離することができることが判明した。
また、第2実施形態によるカートリッジ本体151では、曲げ強度が300Kg/cm2であった。また、比較例1によるカートリッジ本体では、曲げ強度が100Kg/cm2であり、比較例2によるカートリッジ本体では、曲げ強度が500Kg/cm2であり、比較例3によるカートリッジ本体では、曲げ強度が800Kg/cm2であった。この結果から、PEとPPとからなる第2実施形態によるカートリッジ本体151では、PP単体からなる比較例2およびPS単体からなる比較例3によるカートリッジ本体よりも曲げ強度が小さく、一方、PE単体からなる比較例1によるカートリッジ本体よりも曲げ強度が大きいことが判明した。
また、第2実施形態によるカートリッジ本体151では、60℃の温度条件下で一週間放置された際に、カートリッジ本体151とカートリッジ本体151に溶着されたIMXフィルムとにより形成された密閉された領域の内部に配置された水分が1mg減少した。また、比較例1および2によるカートリッジ本体では、60℃の温度条件下で一週間放置された際に、カートリッジ本体とカートリッジ本体に溶着されたIMXフィルムとにより形成された密閉された領域の内部に配置された水分が1mg減少し、比較例3によるカートリッジ本体では、60℃の温度条件下で一週間放置された際に、カートリッジ本体とカートリッジ本体に溶着されたIMXフィルムとにより形成された密閉された領域の内部に配置された水分が15mg減少することが判明した。この結果から、PEとPPとからなる第2実施形態によるカートリッジ本体151では、PS単体からなる比較例3によるカートリッジ本体の場合よりもカートリッジ本体とカートリッジ本体に溶着されたIMXフィルムとにより形成された領域に水分が浸入しにくく、かつ、PE単体からなる比較例1およびPP単体からなる比較例2によるカートリッジ本体の場合と同等の水分の浸入しにくさ(バリア性)で、カートリッジ本体とカートリッジ本体に溶着されたIMXフィルムとにより密閉された領域を形成することができることが判明した。
以上の結果から、図45に示すように、PE(ポリエチレン)とPP(ポリプロピレン)とを1:1の比率で混合したカートリッジ本体151は、PE(ポリエチレン)単体からなる比較例1によるカートリッジ本体と同等のカートリッジ本体151とIMXフィルムとの低い溶着温度(100℃)、カートリッジ本体151とIMXフィルムとの間の剥離しやすい適度な接合強度(100g)、および、バリア性を維持しながら、PE単体からなる比較例1によるカートリッジ本体よりもカートリッジ本体151の曲げ強度を向上させることができることが判明した。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、液体供給部材として、不織布の一種である脱脂綿(カット綿)を用いる例を示したが、本発明はこれに限らず、メッシュシート(液体保持部材)に接触することにより、供給する液体の量を正確に制御可能な材料であれば、脱脂綿(カット綿)以外の不織布からなる液体供給部材や不織布以外の材料からなる液体供給部材を用いてもよく、例えばスポンジ、紙、濾紙、およびゲルなどを用いてもよい。
また、上記実施形態では、液体供給部材には予め純水が吸収保持されているが、本発明はこれに限らず、抽出カートリッジの使用時に液体供給部材に純水を吸収させ、純水を吸収保持した液体供給部材をメッシュシートに接触させることによって、メッシュシートに純水を供給してもよい。
また、上記実施形態では、液体供給部材がメッシュシートと直接接触することによってメッシュシートに純水を供給しているが、本発明はこれに限らず、液体供給部材とメッシュシートとが直接接触することなく、乾燥した脱脂綿などの媒体部材を介して、メッシュシートに純水を供給してもよい。
また、上記実施形態では、抽出カートリッジの使用前は、メッシュシートは乾燥しているが、本発明はこれに限らず、メッシュシートに予め所定量の液体を保持させておいてもよい。この場合、メッシュシートに保持されている液体が蒸発してしまったとしても、抽出カートリッジの使用時に液体供給部材から液体を供給(補給)することによって、メッシュシートには所定量の液体が保持されることとなる。
また、上記実施形態では、液体供給部材からメッシュシートに純水を供給した後に抽出カートリッジを血糖値測定装置に装着しているが、本発明はこれに限らず、抽出カートリッジを血糖値測定装置に装着した後に液体供給部材からメッシュシートに純水を供給するようにしてもよい。
また、上記第1実施形態では、抽出カートリッジと液体供給部材(脱脂綿)とを同一の支持部材内に収容する例について示したが、本発明はこれに限らず、抽出カートリッジを収容する支持部材と、液体供給部材(脱脂綿)を収容する支持部材とを個別に設けてもよい。
また、上記第1実施形態では、可撓性を有するシート状の支持部材に抽出カートリッジおよび液体供給部材(脱脂綿)を収容する例について示したが、本発明はこれに限らず、可撓性を有さない箱のような部材に抽出カートリッジおよび液体供給部材(脱脂綿)を収容してもよい。
また、上記第1実施形態では、可撓性を有するシート状の分離部材を用いる例について示したが、本発明はこれに限らず、分離部材として可撓性を有さない板状の部材などを用いてもよい。また、分離部材は、支持部材から離脱可能に構成されていなくてもよい。
また、上記第1実施形態では、分離部材の挟持部を挟持して引っ張ることにより分離部材を支持部材から離脱させる例について説明したが、本発明はこれに限らず、分離部材の支持部材から突出した部分に被験者の指を挿入可能な孔を形成するとともに、分離部材の孔に指を挿入して引っ張ることにより分離部材を支持部材から離脱させてもよい。また、分離部材に指を挿入して引っ張るためのリング状の部材を別途取り付けてもよい。このように構成すれば、一本の指を用いて支持部材から分離部材を取り外すことが可能である。
また、上記第1実施形態では、カートリッジ収容部の凹部と液体供給部材収容部の凹部とを直線状のホームベース形状に形成することにより、カートリッジ収容部および液体供給部材収容部の各々の凹部の角部を起点として分離部材が支持部材から剥離される例について示したが、本発明はこれ限らず、分離部材が支持部材から剥離される起点となるカートリッジ収容部の凹部の部分と液体供給部材収容部の凹部の部分とを円弧状に形成してもよい。また、カートリッジ収容部の凹部と液体供給部材収容部の凹部とを円形状や四角形状に形成してもよい。
また、上記第1実施形態では、グルコースを検知するセンサ部材として、光学センサを用いたが、本発明はこれに限らず、グルコースを検知するセンサ部材として、上記特許文献1(国際特許番号WO96/00110号)に記載のセンサ電極アセンブリなどの電気的なセンサを用いてもよい。
また、上記第1実施形態では、図2に示すように、抽出カートリッジ2が、血糖値測定装置100の定電圧電源13の陽極側に接続される陽極24と、血糖値測定装置100の定電圧電源13の陰極側に接続される陰極25とを有するように構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、図25に示す変形例のように、抽出カートリッジ2が、血糖値測定装置100の定電圧電源13の陰極側に接続される2つの陰極125を有するように構成してもよい。このとき、血糖値測定装置100の定電圧電源13の陽極側に電気的に接続される陽極端子124を別途設けるとともに、その陽極端子部124を被験者の皮膚の別の部位にセットする。なお、この場合、純水に代えて生理食塩水などの導電性液体を使用することが好ましい。
また、上記第1実施形態では、定電圧電源により抽出カートリッジの電極に電圧を印加する例について示したが、本発明はこれに限らず、定電圧電源に代えて定電流電源を用いてもよいし、定電圧電源を用いることなく、自然抽出、超音波抽出、陰圧による抽出などにより生体からグルコースを抽出してもよい。
また、上記第1実施形態では、本発明の液体保持部材としてナイロン製の網目構造を有するメッシュシートを用いる例について示したが、本発明はこれに限らず、本発明の液体保持部材としてナイロン以外の紙および樹脂などの絶縁材料により形成されたメッシュシートを用いてもよい。また、本発明の液体保持部材として、レーザなどを用いて孔を空けることにより形成された多孔質構造のシート状部材を用いてもよい。
また、上記第1実施形態では、直流方式の定電圧電源を使用して陽極および陰極に電圧を印加する例について説明したが、本発明はこれに限らず、交流方式の定電圧電源を使用して陽極および陰極に電圧を印加するようにしてもよい。
また、上記第1実施形態では、本発明を、生体からグルコースを抽出して血糖値を算出する血糖値測定装置に適用する例について説明したが、本発明はこれに限らず、生体からグルコース以外の他の分析物を抽出する分析物抽出装置に本発明を適用してもよい。本発明を適用可能な分析物抽出装置が抽出する分析物としては、たとえば、生化学成分や被験者に投与された薬剤などが挙げられる。生化学成分としては、生化学成分の一種であるたんぱく質の、アルブミン、グロブリンおよび酵素などが挙げられる。また、たんぱく質以外の生化学成分として、クレアチニン、クレアチン、尿酸、アミノ酸、フルクトース、ガラクトース、ペントース、グリコーゲン、乳酸、ピルビン酸およびケトン体などが挙げられる。また、薬剤としては、ジギタリス製剤、テオフィリン、不整脈用剤、抗てんかん剤、アミノ酸糖体抗生物質、グリコペプチド系抗生物質、抗血栓剤および免疫抑制剤などが挙げられる。
また、上記第1実施形態の血糖値測定装置において、または、生体からグルコース以外の他の分析物を抽出する分析物抽出装置に本発明を適用した場合において、HPLC(High Performance Liquid Chromatography)法等の他の測定法を用いてたんぱく質またはたんぱく質以外の生化学成分および薬剤を分析するように検知部および制御部を構成してもよい。
また、上記第2実施形態では、直方体に形成された乾燥剤を用いる例を示したが、本発明はこれに限らず、シート状の乾燥剤を用いるようにしてもよい。
また、上記第2実施形態では、乾燥剤をカートリッジ本体のセンサ部材側の他方表面と分離部材の接合面との間に配置する例を示したが、本発明はこれに限らず、乾燥剤をカートリッジ本体のメッシュシート側の一方表面と分離部材の接合面との間に配置するようにしてもよい。
また、上記第2実施形態では、収容部材を抽出カートリッジのカートリッジ本体から取り外してから血糖値測定装置に装着するようにしたが、本発明はこれに限らず、抽出カートリッジを血糖値測定装置に装着する際、または装着後に、抽出カートリッジのカートリッジ本体から収容部材を取り外すようにしてもよい。
また、上記第2実施形態では、収容部材をカートリッジ本体の把持部から取り外す例を示したが、本発明はこれに限らず、カートリッジ本体から把持部を取り外すことにより、把持部とともに収容部材をカートリッジ本体から取り外すようにしてもよい。
また、上記第2実施形態では、2つの接合部材を接合することにより、分離部材に収容部材と接合する接合部と、カートリッジ本体に接合する接合部とを設けるようにしたが、本発明はこれに限らず、1つの部材により、分離部材に収容部材と接合する接合部と、カートリッジ本体に接合する接合部とを設けるようにしてもよい。具体的には、PET(ポリエチレンテレフタレート)と、アルミ箔と、PE(ポリエチレン)含有層と、アルミ箔と、PET(ポリエチレンテレフタレート)とをこの順番に積層した5層構造を有するシートを形成するとともに、そのシートを所定の位置までPETと、アルミ箔と、PE含有層とを有するシートと、PE含有層と、アルミ箔と、PETとを有するシートとの2枚のシートに剥離することにより、収容部材と接合する接合部と、カートリッジ本体に接合する接合部とを形成するようにしてもよい。
また、上記第2実施形態では、分離部材の接合部と、カートリッジ本体の接合領域および収容部材の収容部材接合部とを平面的に見て六角形状にすることにより、接合角部を起点として接合部が剥離される例を示したが、本発明はこれに限らず、分離部材の接合部と、カートリッジ本体の接合領域および収容部材の収容部材接合部とを平面的に見て楕円形状にするとともに、楕円の引き剥がし方向と反対側の端部を起点として接合部が剥離されるようにしてもよい。