JP4899618B2 - 二本鎖核酸検出方法、ハイブリダイゼーション検出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インターカレーターを用いて二本鎖核酸を検出する反応系に関する技術分野に属し、二本鎖核酸に対するインターカレーターの飽和相互作用量よりも過剰な量であり、かつ、インターカレーターが濃度消光を引き起こさない量インターカレーターを反応場に投入する二本鎖核酸検出方法などに関する。
遺伝子解析などの分野において、二本鎖核酸やハイブリダイゼーションなどを、蛍光物質を用いて検出する技術が実用化されている。近年、それらの技術の一つとして、インターカレーターを用いる方法が注目されている。
インターカレーターは、二本鎖核酸部分に特異的に結合する蛍光物質である。例えば、インターカレーターを二本鎖核酸部分に結合させた後、インターカレーターから発せられる蛍光を測定することにより、二本鎖核酸部分を検出できる。そこで、インターカレーターは、例えば、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法により増幅した二本鎖核酸の検出、DNAチップなどにおけるハイブリダイゼーションの検出などへの応用が検討され、それらの領域などにおいて、一部、実用化されている。
インターカレーターなどの蛍光物質に関して、サンプル中における蛍光物質の濃度が比較的低い場合、蛍光強度と濃度が比例することが知られている。一方、蛍光物質の濃度が高い場合、濃度消光が引き起こされ、蛍光強度が逆に減少すると一般的に考えられている。そのため、インターカレーターを用いて二本鎖核酸などを検出する場合も、比較的低濃度のインターカレーターが用いられている。
なお、本発明に関わる先行文献として、例えば、特許文献1には、蛍光インターカレーター及び相補鎖核酸断片の検出方法が、非特許文献1には、インターカレーターの一つであるSYBR Green I(商標、米モレキュラー プローブス社製)の構造、機能などに関する研究結果が、それぞれ開示されている。
特開2001−289848号公報 Zipper H. et al "Investigations on DNA intercalation and surface binding by SYBR Green I, its structure determination and methodological implications."Nucleic Acids Research, 2004, Vol.32, No.12 e103, Published online July 12, 2004
一般的に、インターカレーターは、濃度消光が引き起こされないように、二本鎖核酸とインターカレーターの飽和相互作用量と同等かそれ以下の濃度で用いられている。一方、蛍光強度に基づいて二本鎖核酸を定量的に検出する際におけるインターカレーターの投入濃度の詳細な検討などは、ほとんど行われていない。
そこで、本発明は、二本鎖核酸を定量的に検出する際における、インターカレーターの濃度と蛍光強度の関係などについて検討し、それらの知見に基づいて、インターカレーターを用いて二本鎖核酸を検出する場合における検出精度・定量性などを向上させることを主な目的とする。
本発明者らは、二本鎖核酸中、AT塩基対が連続して存在する部位に加えて、GC塩基対が一つ又は連続して存在する部位にも相互作用するインターカレーターの場合、一般的なインターカレーターの添加量よりも過剰な量を添加しても、所定量までは濃度消光を起こさないこと、及び、従来のインターカレーターにおける添加量よりも過剰な量を添加することにより、蛍光強度を増加できることを新規に見出した。
そこで、本発明では、インターカレーターを用いる二本鎖核酸検出方法であって、二本鎖核酸に対するインターカレーターの飽和相互作用量よりも過剰な量であり、かつ、前記インターカレーターが濃度消光を引き起こさない量のインターカレーターを反応場に投入する二本鎖核酸検出方法を提供する。
この方法により、従来のように比較的低濃度でインターカレーターを用いた場合よりも、蛍光強度を増加させることができるため、二本鎖核酸の検出精度及び定量性を向上できる。従って、本発明は、例えば、二本鎖核酸の定量的な検出、検出表面に固定された検出用のプローブと標的核酸とのハイブリダイゼーションの検出などにも有効である。
本発明において、従来の添加量よりも過剰なインターカレーターを添加しても、所定量までは濃度消光を起こさない理由は、次の通りであると推測する。
二本鎖核酸中、AT塩基対が連続して存在する部位に加えて、GC塩基対が一つ又は連続して存在する部位にも相互作用するインターカレーターの場合、二本鎖核酸とインターカレーターの相互作用が飽和状態になると、二本鎖核酸のGC塩基対に結合したインターカレーターに他のインターカレーターが重合的に結合する。そのため、余剰のインターカレーターを反応場に投入しても、反応溶液中のインターカレーターは濃度消光する量にまで達しにくくなる。また、二本鎖核酸には、相互作用したインターカレーター以外に、インターカレーター同士で結合したものも結合するため、蛍光強度も増強される。
なお、一般的なインターカレーター(主に、AT塩基対が連続して存在する部位に相互作用するインターカレーター)の場合、GC塩基対に存在するプロトンが二本鎖核酸の副溝に突出し、その部位が立体障害を引き起こすため、GC塩基対が存在する部位では、二本鎖核酸とインターカレーターとの相互作用が起こりにくい。従って、二本鎖核酸中、GC塩基対が存在する部位では、二本鎖核酸とインターカレーターの相互作用が少ないため、その部位におけるインターカレーター同士の重合も起こりにくく、比較的低濃度で濃度消光が起きると推測する。
以下、本発明に係る技術用語について説明する。
「核酸」は、プリンまたはピリミジン塩基と糖がグリコシド結合したヌクレオシドのリン酸エステルの重合体(ヌクレオチド鎖)を意味し、核酸プローブを含むオリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、プリンヌクレオチドとピリミジンヌクレオチオドが重合したDNA(全長あるいはその断片)、逆転写により得られるcDNA(cDNAプローブ)、RNA、ポリアミドヌクレオチド誘導体(PNA)などを広く含む。
「二本鎖核酸」は相補的な核酸同士がハイブリダイズした核酸を全て包含する。例えば、検出用プローブと標的核酸とのハイブリダイゼーションにより形成された二本鎖核酸又は二本鎖核酸部分なども、本発明に係る二本鎖核酸に包含される。ここで、「プローブ核酸」は、標的核酸を検出するための検出子として機能する核酸(ヌクレオチド鎖)であり、検出表面などに固定されて存在する。「標的核酸」は、全長又は一部に、検出用の核酸プローブの塩基配列と相補的な配列を有する核酸であり、ハイブリダイゼーションを検出する際などに、反応場に滴下又は供給される。
「GC塩基対」は、相補的な塩基配列を有する二本のヌクレオチドのハイブリダイゼーションにより形成された二本鎖核酸のうち、一方のヌクレオチドのG(グアニン)又はC(シトシン)と、他方のヌクレオチドのC(シトシン)又はG(グアニン)が相補的に水素結合する部位である。なお、「AT塩基対」は、同様に、一方のヌクレオチドのA(アデニン又はT(チミン)と、他方のヌクレオチドのT(チミン)又はA(アデニン)が相補的に水素結合する部位である。
「インターカレーター」は、二本鎖核酸の所定部位に結合して蛍光を発する物質である。
「相互作用」は、2つの物質が相互に結合することである。
「ハイブリダイゼーション」は、核酸(ヌクレオチド鎖)間の相補結合であり、高分子−高分子、高分子−低分子、低分子−低分子の特異的な結合、DNA−DNA、DNA−RNA、RNA−RNA間の特異的な結合、などを広く含む。
「検出表面」は、固相基板などの表面のうち、ハイブリダイゼーションなどの反応場に臨む部分である。
本発明により、蛍光強度を増加させることができ、二本鎖核酸又はハイブリダイゼーションの検出精度及び定量性を向上できる。
<二本鎖核酸検出方法について>
本発明に係る二本鎖核酸検出方法について、以下説明する。
本発明では、二本鎖核酸に対するインターカレーターの飽和相互作用量よりも過剰な量であり、かつ、インターカレーターが濃度消光を引き起こさない量のインターカレーターを反応場に投入し、二本鎖核酸を検出する。
インターカレーターには、二本鎖核酸中、AT塩基対が連続して存在する部位に加えて、GC塩基対が一つ又は連続して存在する部位にも相互作用するものを用いる。例えば、POPO−1、TOTO−3、SYBR Green I、PicoGreen(以上、米モレキュラー プローブス社製)、Hoechst33258などが好適である。
二本鎖核酸に対するインターカレーターの飽和相互作用量(投入するインターカレーター量の下限)は、例えば、以下の手順で取得できる。
インターカレート反応に関して、インターカレーター濃度及び発生熱量(又は蛍光強度など)をプロットすると、ほぼシグモイド型の曲線となる。この曲線においてプラトー状態になり始めた時点のインターカレーター濃度を、投入量の下限として設定する。
具体的には次の通りである。まず、適当な濃度の二本鎖核酸に対して、徐々にインターカレーターを滴下などし、濃度ごとに、発生する熱量又は蛍光強度などを測定する。次に、縦軸に発生する熱量(又は蛍光強度など)を、横軸にインターカレーターの総滴下量(濃度)を、それぞれプロットする。その際、片対数プロット(横軸を対数にしたプロット)にしてもよい。次に、そのプロットより、シグモイド関数式(近似式)を取得する。次に、その関数式に、二本鎖核酸の各濃度を代入し、その縦軸の最大値を取得する。そして、その最大値における二本鎖核酸の濃度を、投入量の下限として設定する。
一方、インターカレーターが濃度消光を引き起こさない量(投入するインターカレーター量の上限)は、例えば、蛍光光度計などによる蛍光スペクトル測定により、実際に蛍光強度が減少する濃度を取得してもよいし、可視・紫外線吸収スペクトル(以下、「UVスペクトル」とする。)の変化を測定することにより取得してもよい。
なお、濃度消光は、反応場の反応溶液中におけるインターカレーター同士のスタッキングにより生じる。インターカレーターのスタッキングは、例えば、UVスペクトルにおいて、スペクトルの乱れなどとして検出できる。
<ハイブリダイゼーション検出方法について>
本発明に係る二本鎖核酸検出方法は、所定の検出表面を用いたハイブリダイゼーション検出などにも適用できる。
例えば、所定の検出表面に検出用の核酸プローブを固定し、その検出表面に臨む反応場に、標的核酸を含む試料を滴下又は供給する。そして、検出用の核酸プローブと標的核酸とのハイブリダイゼーションにより形成された二本鎖核酸部分を、インターカレーターを用いて検出する。
その際、二本鎖核酸とインターカレーターの相互作用量よりも過剰な量であり、かつ、インターカレーターが濃度消光を引き起こさない量のインターカレーターを検出表面に臨む反応場に投入することにより、ハイブリダイゼーションの検出精度及び定量性を向上できる。
なお、用いる検出表面は、DNAチップやセンサーチップなど、公知のものを用いることができる。また、検出表面への核酸プローブの固定手段、アッセイ手順なども、公知のものを採用できる。
実施例1では、二本鎖核酸に各濃度のインターカレーターを加えた場合における蛍光強度の変化を検証した。
はじめに、二本鎖核酸の調製を行った。まず、配列番号1に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド、及び、その相補鎖のオリゴヌクレオチド(配列番号2に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド)をそれぞれ準備した。本実施例では、両オリゴヌクレオチドの合成をつくばオリゴサービス株式会社に受託した。次に、0.1Mリン酸バッファー(NaCl 200mM含有、pH7.4)に両オリゴヌクレオチドを各100nMになるように溶解した。次に、その溶液を95℃に加熱後0℃に冷却して両ヌクレオチドのアニーリングを行い、二本鎖核酸を調製した。
続いて、その二本鎖核酸の溶液にインターカレーターを添加した。本実施例では、インターカレーターとして、「SYBR Green I(米モレキュラー プローブス社製、以下同じ)」を用いた。SYBR Green Iの添加量を、それぞれ、最終濃度で0.196μM、0.245μM、0.280μM、0.392μM、0.784μM、1.96μM、2.18μM、2.45μM、2.80μM、3.27μM、3.92μM、4.90μM、6.53μM、9.80μM、19.6μMにした。SYBR Green Iを各量添加後、その溶液を25℃、10分間、インキュベートした。
続いて、蛍光光度計により蛍光スペクトルを測定した。二本鎖核酸とSYBR Green Iを添加した溶液を装置の試料室に入れ、励起波長を497nmに設定し、25℃条件下で蛍光強度を測定した。
結果を表1及び図1、図2に示す。
表1は蛍光光度計による測定結果を示す。
表中、「SYBR Green I濃度」はSYBR Green Iの最終濃度(インターカレーターの添加量)を、「SYBR Green I/dsDNA」はSYBR Green Iの最終濃度を二本鎖核酸の最終濃度で除した値(モル比)を、それぞれ表す。「SYBR Green Iの希釈率」は、SYBR Green Iの最終濃度を原液の濃度で除した値である。なお、この計算は、希釈前のSYBR Green Iの濃度を19.6mMとして行った(非特許文献1参照)。
表中、「蛍光のピークの高さ」は、SYBR Green Iを各濃度添加した場合における蛍光スペクトルのうち、ピーク時の蛍光強度(蛍光強度の最大値)を表す。「蛍光ピーク波長」は、ピーク時における蛍光波長を表す。
図1は、SYBR Green Iを各濃度添加した場合における蛍光スペクトルである。
図1中、横軸は蛍光波長(Wavelength)を、縦軸は蛍光強度(Fluorescence)を、それぞれ表す。図1中、各スペクトルは、それぞれ、SYBR Green Iを各濃度(10種類の濃度)添加した場合における蛍光スペクトルである。
図2は、SYBR Green Iの添加量と蛍光ピークの高さとの関係を示すグラフである。
図2中、横軸はSYBR Green Iの添加量(最終濃度)を、縦軸は蛍光強度(Fluorescence)を、それぞれ表す。
表1、及び、図1、図2に示す通り、SYBR Green Iの添加量が1.96μM〜4.90μMの場合、蛍光強度が最も高かった。一方、SYBR Green Iの添加量がそれより少ない場合(例えば、図1、図2中、添加量が0.392μM及び0.784μMの場合のスペクトルを参照)、及び、SYBR Green Iの添加量がそれより多い場合(例えば、図1、図2中、添加量が9.8μM及び19.6μMの場合のスペクトルを参照)、蛍光強度はピークよりも低かった。
その他、図1などに示す通り、SYBR Green Iの添加量の増加とともに、蛍光ピーク波長が長波長側にシフトした。
一般的なインターカレーター(主に、AT塩基対が連続して存在する部位に相互作用するインターカレーター)の場合、インターカレーターを過剰に添加すると、インターカレーター同士がスタッキングして濃度消光を引き起こすことが知られている。一方、SYBR Green Iは、二本鎖核酸中、AT塩基対が連続して存在する部位に加えて、GC塩基対が一つ又は連続して存在する部位にも相互作用することが知られている。
これらの事項を勘案すると、本実験結果は、二本鎖核酸中、AT塩基対が連続して存在する部位に加えて、GC塩基対が一つ又は連続して存在する部位にも相互作用するインターカレーターの場合、従来の添加量(SYBR Green Iの場合、1.96μM)よりも過剰なインターカレーターを添加しても、所定量までは濃度消光を起こさないこと、及び、従来の添加量よりも過剰なインターカレーターを添加することにより、蛍光強度を増加できることを示唆する。
即ち、本実験結果は、二本鎖核酸中、AT塩基対が連続して存在する部位に加えて、GC塩基対が一つ又は連続して存在する部位にも相互作用するインターカレーターの場合、従来よりも過剰な量のインターカレーターを反応場に添加することにより、二本鎖核酸の検出精度及び定量性を向上できることを示唆する。
実施例2では、二本鎖核酸とインターカレーターとの相互作用を、ITC(Isothermal Titration Calorimetry;等温適定カロリメトリー、以下同じ)により、熱力学的に検証した。
物質間の反応などの際には、熱の発生又は吸収がおこる。その熱量を測定することにより、物質間の反応の結合定数(K)、反応の結合比(n)、エンタルピー変化(ΔH)、エントロピー変化(ΔS)などに関する知見を得られる。そこで、ITCにより、二本鎖核酸とインターカレーターとの相互作用に関する熱学的プロファイルを取得し、その内容を検証した。
本実施例では、ITC装置には「VP−ITC(米MicroCal社製)」を、同装置の制御及びデータ解析には「Origin ver7.0(米MicroCal社製)」を用いた。
手順の概要を以下に示す。
まず、実施例1と同様の相補的なオリゴヌクレオチドを用いて、同様の手順により、二本鎖核酸を調製した。
次に、0.1Mリン酸バッファー(NaCl 200mM含有、pH7.4)に二本鎖核酸9μMを入れ、その中にDMSOを濃度が8.75%になるように混合し、その溶液を、ITC装置の試料室に入れた。
次に、0.1Mリン酸バッファー(NaCl 200mM含有、pH7.4)にインターカレーターを1.75mMになるように溶解した後、シリンジを用いて、そのインターカレーター溶液を6分ごとに6μLずつ、ITC装置の試料室に滴下した。インターカレーターには、実施例1などと同様、「SYBR Green I」を用いた。
そして、そのSYBR Green I溶液を滴下しながら、ITC装置を用いて熱量(反応熱)の変化を測定した。本実施例では、ITCによる測定を、25℃、300rpmの撹拌条件下で実施した。
また、対照として、希釈熱の測定を行った。0.1Mリン酸バッファー(NaCl 200mM含有、pH7.4)にDMSOを濃度が8.75%になるように混合し、その対照溶液を、インターカレーター溶液の代わりに、ITC装置の試料室に滴下した。そして、インターカレーター溶液を滴下した場合における熱量(反応熱)から、その対照溶液を滴下した場合における熱量(希釈熱)を除した値をデータ解析などに用いた。
結果を図3に示す。
図3は、ITCによる測定結果を表すグラフである。このグラフは、インターカレーター溶液を滴下した場合における熱量(反応熱)から、その対照溶液を滴下した場合における熱量(希釈熱)を除した値、即ち、二本鎖核酸とインターカレーターとの相互作用における熱量を表す。グラフの横軸は滴下した総インターカレーター量(Molar Ratio;試料室中における二本鎖核酸(定量)とインターカレーターのモル比)を、縦軸は滴下したインターカレーター1mol当たりに換算した熱量(kcal/mole of injectant)を、それぞれ表す。
図3中、矢印は、それぞれの地点におけるSYBR Green Iの添加量を原液に対する希釈率で示している。なお、希釈率の算定は、実施例1と同様、希釈前のSYBR Green Iの濃度を19.6mMとして行った。
図3中、「Model:TwoSites」はITCにより得られた測定結果について、two site model(2相モデル)を用いて解析を行ったことを示し、「N1」、「K1」、「ΔH1」、「ΔS1」は第一の結合サイトにおける解析値を、「N2」、「K2」、「ΔH2」、「ΔS2」は第二の結合サイトにおける解析値を、それぞれ示す。
ここで、「N1」及び「N2」は二本鎖核酸に存在する各結合サイトにおけるインターカレーターの結合数を、「K1」及び「K2」は二本鎖核酸とインターカレーターとの相互作用における結合定数Kを、「ΔH1」及び「ΔH2」はエンタルピー変化(kcal/mol)を、「ΔS1」及び「ΔS2」はエントロピー変化(kcal/mol)を、それぞれ表す。
また、この解析結果は、二本鎖核酸に存在する各結合サイトのうち、二本鎖核酸とインターカレーターとの相互作用比が、第一の結合サイトでは1:約6.55、第二の結合サイトでは1:約11.7、合計では、1:約18.25であること、即ち、二本鎖核酸1モルに対し、両結合サイトを合わせ、インターカレーターの結合量は約18.25モルであることを示す。
図3に示す通り、SYBR Green Iを10,000希釈(1.96μM)よりも過剰に添加した場合に、グラフの曲線がプラトー状態に達した。従って、本実験結果は、SYBR Green Iを用いた場合、二本鎖核酸の鎖長が20merの時における飽和相互作用量(添加量の下限)が1.96μMであることを示唆する。
実施例3では、二本鎖核酸に各濃度のインターカレーターを加えた場合におけるUVスペクトルの変化を検証した。
はじめに、二本鎖核酸の調製を行った。実施例1と同様の相補的なオリゴヌクレオチドを用いて、同様の手順により、二本鎖核酸を調製した。
続いて、その二本鎖核酸の溶液にインターカレーターを各濃度添加した。本実施例では、実施例1などと同様、インターカレーターとして、「SYBR Green I(米モレキュラー プローブス社製、以下同じ)」を用いた。SYBR Green Iの添加量を、それぞれ、最終濃度で1.96μM、2.13μM、2.45μM、2.80μM、3.27μM、3.92μM、4.90μM、6.53μM、9.80μM、19.6μMになるようにした。SYBR Green I添加後、その溶液を25℃、10分間、インキュベートした。
続いて、UVスペクトルを測定した。二本鎖核酸とSYBR Green Iを添加した溶液をUVスペクトル測定装置の試料室に入れ、25℃条件下でUVスペクトルを測定した。
結果を図4に示す。
図4は、SYBR Green Iを各濃度添加した場合におけるUVスペクトルである。
図4中、横軸は測定波長(Wavelength)を、縦軸は吸光度(Absorption)をそれぞれ表す。図4中、各スペクトルは、それぞれ、SYBR Green Iを各濃度(10種類の濃度)添加した場合におけるUVスペクトルである。
図4では、SYBR Green Iの添加量を1.96μM〜4.9μMにした場合、スペクトルの乱れはほとんど生じなかったのに対し、SYBR Green Iの添加量を6.53μM以上にした場合、スペクトルに大幅な乱れが生じた。
このスペクトルの乱れは、SYBR Green Iの添加量を6.53μM以上にした場合、インターカレーター同士のスタッキングが生じ、それにより濃度消光が引き起こされるためであると推測する。
従って、本実験結果は、SYBR Green Iを用いた場合、二本鎖核酸の鎖長が20merの時における濃度消光を引き起こさない上限の添加量が4.9μMであることを示唆する。
従って、実施例1から実施例3の結果を勘案すると、SYBR Green Iの好適な投入量は、二本鎖核酸1mer当たりに換算すると、「数1」に示す式の通りになる。
本発明は、遺伝子解析などの分野、例えば、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法により増幅した二本鎖核酸の検出、DNAチップなどにおけるハイブリダイゼーションの検出などに利用できる。
実施例1において、SYBR Green Iを各濃度添加した場合における蛍光スペクトル。 実施例1において、SYBR Green Iの添加量と蛍光ピークの高さとの関係を示すグラフ。 実施例2において、ITCによる測定結果を表すグラフ。 実施例3において、SYBR Green Iを各濃度添加した場合におけるUVスペクトル。

Claims (2)

  1. インターカレーターとしてSYBR(登録商標)Green I(商品名)を用いる二本鎖核酸検出方法であって、
    リン酸バッファー存在下、前記二本鎖核酸1mer当たり0.109μM以上0.140μM以下の前記SYBR(登録商標)Green I(商品名)を反応場に投入する二本鎖核酸検出方法。
  2. インターカレーターとしてSYBR(登録商標)Green I(商品名)を用いて、検出表面に固定された検出用の核酸プローブと標的核酸とのハイブリダイゼーションを検出するハイブリダイゼーション検出方法であって、
    リン酸バッファー存在下、前記二本鎖核酸1mer当たり0.109μM以上0.140μM以下の前記SYBR(登録商標)Green I(商品名)を前記検出表面に臨む反応場に投入するハイブリダイゼーション検出方法。
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