JP4896516B2 - 組織切片チップとこれを用いた解析データベースの作成方法および細胞または組織の特性診断システム - Google Patents

組織切片チップとこれを用いた解析データベースの作成方法および細胞または組織の特性診断システム Download PDF

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Description

本発明は、組織切片チップとこれを用いた解析データベースの作成方法および細胞または組織の特性診断システムに関するものである。
細胞は、接着、成長、増殖、分化、遺伝子発現等数多くの機能を有し、複雑なネットワークを形成して、多種多様な生理機能(生命現象)を発揮している。このような複雑な生命現象を細胞レベルから解明する、つまり異なる細胞の機能を網羅的に解析するセロミクス研究を遂行するために、様々なアプローチが考えられている。その一つとして、電子顕微鏡や走査プローブ顕微鏡(Scanning Probe Microscope、SPM)等をはじめとする各種の観察手段を用いて、細胞や組織の培養状況を観察して、解析することが知られており、その際に細胞培養チップが利用されている。たとえば、細胞を長期間培養して、細胞の状態や挙動を観察することができる培養チップを具備した観察装置(特許文献1)や、培養環境(たとえば、培養液の温度やpH等の状態)を測定して、培養液の交換を適切なタイミングで行うことにより、細胞や組織の培養環境を最適に保持して、長期間にわたる顕微鏡観察を可能にする細胞培養チップ(特許文献2)等が提案されている。
この特許文献1のような培養チップを具備した観察装置は、細胞や組織の培養過程を観察して、その培養状況に合わせてシグナル物質等の薬剤を投与して、培養している細胞や組織への影響等を観察することに重点をおいたものである。すなわち、細胞や組織の状態や挙動の解析は、培養過程を観察して行っている。また、特許文献2のような細胞培養チップは、長期間にわたって、細胞や組織の培養過程の観察や撮影等の記録を可能としている。
特開2002−153260号公報 特開2004−113092号公報
しかしながら、上記のような特許文献1や特許文献2いずれにおいても、細胞や組織を培養するための足場(培養担体に相当)は、非生体由来の物質(たとえば、ガラスやプラスチック等)から形成された、スライドガラス等の支持体である。つまり、上記のような特許文献1や特許文献2記載の発明では、生体由来である細胞や組織を培養し、単にこれらを観察しているだけであることから、細胞と組織の相互作用を解析することができず、効率よく、かつ、効果的に異なる細胞や組織の機能を網羅的に解析することはできない。言い換えれば、これらの培養担体は、生体内の細胞応答を外挿するのに十分な培養担体ではない。
また、上記のような特許文献1や特許文献2は、上記のとおり、細胞や組織の培養過程や状況変化等の様子を観察するためのものであって、観察が完了した観察結果を解析データ(もしくは画像データ等)として蓄積できないため、この解析データを用いて新たに解析する特性未知の細胞や組織とを照合することができず、効率よく異なる細胞や組織の機能を網羅的に解析することはできない。
そこで、本発明は、以上のとおりの背景から、従来技術の問題点を解決し、細胞と組織の相互作用を解析することができ、また観察が完了した観察結果を解析データとして順次蓄積でき、しかもこの解析データを用いて新たに解析する特性未知の細胞や組織とを照合および解析することができるため、効率よく、かつ、効果的に異なる細胞や組織の機能を網羅的に解析することができる、新しい組織切片チップとこれを用いた解析データベースの作成方法および細胞または組織の特性診断システムを提供する。
本発明は、前記の課題を解決するものとして、以下の解析データベースの作成方法、細胞または組織の特性診断システムを提供する。
<1>生物組織を薄切した特性既知の組織切片からなる切片培養担体が、支持体に付着または付着伸展されているとともに、この支持体に前記切片培養担体の付着および微細構造の位置を計測する標識が付与されている組織切片チップを用いた解析データベース作成方法であって、解析対象の試料となる特性未知の細胞を前記組織切片チップに播種して培養し、この細胞の組織切片チップにおける位置情報を観察手段で観察して位置画像データとして取得してコンピュータに送るとともに、細胞の挙動を観察手段で経時的に観察して挙動画像データとして取得してコンピュータに送り、送られてきた位置画像データと挙動画像データを基に、細胞と組織切片チップの切片培養担体との間の相互作用をコンピュータによって解析して蓄積用解析データとして蓄積することを特徴とする解析データベースの作成方法。
<2>生物組織を薄切した特性未知の組織切片からなる切片培養担体が、支持体に付着または付着伸展されているとともに、この支持体に前記切片培養担体の付着および微細構造の位置を計測する標識が付与されている組織切片チップを用いた解析データベース作成方法であって、特性既知の細胞を前記組織切片チップに播種して培養し、この細胞の組織切片チップにおける位置情報を観察手段で観察して位置画像データとして取得してコンピュータに送るとともに、細胞の挙動を観察手段で経時的に観察して挙動画像データとして取得してコンピュータに送り、送られてきた位置画像データと挙動画像データを基に、細胞と組織切片チップの切片培養担体との間の相互作用をコンピュータによって解析して蓄積用解析データとして蓄積することを特徴とする解析データベースの作成方法。
<3>播種される細胞の挙動が、培養時間に比した接着の度合い、増殖の度合い、分化の度合いおよび形態変化の度合いの少なくとも1つ以上である前記<1>または<2>に記載の解析データベースの作成方法。
<4>播種される細胞が、正常細胞または異常細胞である前記<1>から<3>に記載の解析データベースの作成方法。
<5>前記<1>から<4>いずれかに記載の方法によって作成された解析データベースを用いた細胞または組織の特性診断システムであって、播種された細胞の挙動を観察手段で経時的に観察して挙動画像データとして取得し、この挙動画像データをデータベースにフィードバックするとともに、データベースに蓄積されている特性既知の細胞または組織の解析データとコンピュータで照合し、解析することを特徴とする細胞または組織の特性診断システム
また、第2には、生物が、動物および植物の少なくともいずれかであることを特徴とし、第3には、動物が哺乳類であることを特徴とし、第4には、組織が正常組織または異常組織であることを特徴とする。
第5には、支持体がガラス、プラスチック、ゴムおよび金属から少なくとも1種以上が選ばれることを特徴とし、さらに第6には、標識が目盛であることを特徴とする。
さらにまた、本発明は、第7には、前記組織切片の特性が未知であって、解析対象の試料であることをも特徴とする。
そして、本発明は、第8には、上記第1から第6いずれかの発明(すなわち、特性既知の組織切片より作製した切片培養担体を含有する組織切片チップ)を用いた解析データベース作成方法であって、解析対象の試料となる特性未知の細胞を前記組織切片チップに播種して培養し、この細胞の組織切片チップにおける位置情報を観察手段で観察して位置画像データとして取得してコンピュータに送るとともに、細胞の挙動を観察手段で経時的に観察して挙動画像データとして取得してコンピュータに送り、送られてきた位置画像データと挙動画像データを基に、細胞と組織切片チップの切片培養担体との間の相互作用をコンピュータによって解析して蓄積用解析データとして蓄積することを特徴とする。
第9には、上記第7の発明(すなわち、特性未知の組織切片より作製した切片培養担体を含有する組織切片チップ)を用いた解析データベース作成方法であって、特性既知の細胞を前記組織切片チップに播種して培養し、この細胞の組織切片チップにおける位置情報を観察手段で観察して位置画像データとして取得してコンピュータに送るとともに、細胞の挙動を観察手段で経時的に観察して挙動画像データとして取得してコンピュータに送り、送られてきた位置画像データと挙動画像データを基に、細胞と組織切片チップの切片培養担体との間の相互作用をコンピュータによって解析して蓄積用解析データとして蓄積することをも特徴とする。
また、第10には、播種される細胞の挙動が、培養時間に比した接着の度合い、増殖の度合い、分化の度合いおよび形態変化の度合いの少なくとも1つ以上であることを特徴とし、第11には、播種される細胞が、正常細胞または異常細胞であることを特徴とする。
そして、本発明は、第12には、上記第1から第7いずれかの発明および上記第8から第11いずれかの発明による解析データベースを用いた細胞または組織の特性診断システムであって、播種された細胞の挙動を観察手段で経時的に観察して挙動画像データとして取得し、この挙動画像データをデータベースにフィードバックするとともに、データベースに蓄積されている特性既知の細胞または組織の解析データとコンピュータで照合し、解析することを特徴とする。
以上のとおりの本発明によって、細胞と組織の相互作用を解析することができ、また観察が完了した観察結果を解析データとして順次蓄積でき、しかもこの解析データを用いて新たに解析する特性未知の細胞や組織とを照合および解析することができるため、効率よく、かつ、効果的に異なる細胞や組織の機能を網羅的に解析することができる。
本発明は、上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について詳しく説明する。
本発明は、生物組織もしくはその成分を切片培養担体として具備している組織切片チップである。具体的には、本発明の組織切片チップにおける切片培養担体は、動物細胞や植物細胞等の細胞を培養し、細胞の挙動を誘導する培養担体である。このような切片培養担体は、生物組織を薄切した組織切片を支持体に付着または付着伸展させてなるものである。そして、支持体には、切片またはその成分からなる前記切片培養担体の付着箇所の位置および微細構造の位置を計測する標識を付与させてなることを特徴としている。さらに、切片培養担体と同様に、生物組織の微細構造とその成分を保持した培養担体として、生物組織の切断面を支持体表面に直接接触させて、微細構造とその成分を転写させて作製することも可能である。
本発明で用いられる生物組織を薄切した組織切片(薄切切片)は、凍結切片であっても、パラフィン切片であっても、または樹脂切片であってもよい。そして、薄切切片に生理活性物質を結合できる抗体や核酸プローブの処理を施して、切片上の特定の場所に外来性の生理活性物質を導入することも可能である。生理活性物質としては、タンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、ペプチド、糖質、脂質、糖脂質、核酸、低分子化合物等が挙げられる。これら生理活性物質の作用としては、抗体活性、酵素活性、ホルモン、サイトカイン、細胞接着、増殖、分化、再生、形態形成等が挙げられる。
さらに、薄切切片に酵素の処理など生物学的処理を施したり、もしくは酸やアルカリや界面活性剤の処理など化学的処理を施したりして、薄切切片における生物の構成成分や微細構造を改変したり修飾したりすることも可能である。本発明において、凍結切片は、未固定もしくはホルマリン等で固定した生物の組織を直接、もしくはOCTコンパウンドに包埋した後に液体窒素等で急速冷凍した後、凍結ミクロトームで1〜50μm、好ましくは4〜20μmの厚さに薄切して調製すること等ができる。未固定の凍結切片は、薄切後にホルマリン等で固定することもできる。パラフィン切片は、通常、生物の組織をホルマリン等で固定した後、エタノールで脱水し、キシレン、パラフィンと置換して、パラフィンに包埋した後に、ミクロトームで0.5〜50μm、好ましくは2〜20μmの厚さに薄切して調製する。また、樹脂切片は、通常、生物の組織をホルマリン等で固定した後、エタノールで脱水し、ヒストレジン等の樹脂に包埋した後に、ミクロトームで0.1〜50μm、好ましくは0.5〜10μmの厚さに薄切して調製する。
また、本発明における切片培養担体には、無細胞化の処理を施してもよい。この無細胞化の処理は、薄切する前の生物の組織に施されても、もしくは生物の組織を薄切した切片に施されてもよい。無細胞化の処理には、塩類、アルカリ、界面活性剤、キレート剤、または酵素等を含む溶液が単独もしくは組み合わせて用いられる。塩類としては、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、リン酸カリウム等が挙げられ、アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等が挙げられる。また、界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム、TritonX−100、Tween20および80等が挙げられ、キレート剤としては、EDTA、EGTA等が挙げられる。さらに、酵素としては、トリプシン、コラゲナーゼ、ディスパーゼ、エラスターゼ、パパイン、マトリックスメタロプロテアーゼ等の蛋白分解酵素、ヒアルロニダーゼ等の糖分解酵素、デオキシリボヌクレアーゼ等の核酸分解酵素等が挙げられる。
なお、支持体に付着させる切片培養担体は、単数のみでもよいし、複数でもよい。いずれの場合でも、切片培養担体は、支持体に付与されている標識から切片培養担体の付着箇所および微細構造の位置を読み取れるように、つまり計測できるように付着させる。
また、本発明における切片培養担体として用いる生物組織の生物は、特に制限されるものではないが、動物由来、植物由来の少なくともいずれかであることが好ましい。特に、動物の場合は、哺乳類であることがさらに好ましく、たとえば、ヒト、ウシ、サル、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ラット、マウス、ウサギ等が使用できる。他に例を挙げると、動物としては、たとえば、ニワトリ等の鳥類由来、トカゲ等の爬虫類由来、カエル等の両生類由来、ゼブラフィッシュ等の魚類由来、カイコ等の昆虫由来等が使用できる。さらに、植物としては、たとえば、イネやシロイヌナズナ等が挙げられる。
また、組織についても、生物の由来と同様に特に制限されるものではなく、たとえば、肝臓や心臓、腎臓、皮膚、骨、軟骨、骨髄等を使用することができる。さらに、この組織が、正常組織でも異常組織でもよい。なお、本発明におけるこの異常組織とは、疾病等を罹患した組織、たとえば、ガン化した組織を意味する。
本発明において、支持体に複数の切片培養担体を付着または伸展付着させる際には、その由来等が互いに同種でもよいし、異種でもよい。このように切片培養担体となる組織の由来等は問わないので、数多くの細胞や組織を、特性解析の対象とすることができ、効率よく特性解析することができる。この支持体の材質については、生物組織からなる切片培養担体を、効率よく付着または付着伸展できるのであれば、特に制限されるものではなく、たとえば、ガラス、プラスチック、ゴムおよび金属から少なくとも1種以上が選ばれることが好ましく、さらに、コラーゲンゲル薄膜、繭糸等の天然の糸、または、ナイロン等の合成の糸および/またはその織成体、および生体吸収性材料等も使用することができる。
さらにまた、支持体に予め切片の付着または付着伸展を促進する処理が施されていてもよい。切片の付着または付着伸展を促進する処理としては、支持体へのポリリジン、APS等のコートが挙げられる。また、切片培養担体とする薄切切片にOCTコンパウンド、パラフィン、樹脂等が混入している場合は、水洗、脱パラフィン処理、もしくは、脱樹脂処理を施すこともできる。さらに、切片培養担体とする薄切切片には、エタノール処理、エチレンオキサイドガス処理、およびγ線や紫外線処理等の滅菌処理を施すこともできる。
本発明における支持体に付与される標識は、切片培養担体の支持体における位置情報(付着位置や微細構造の位置)を確実、かつ、正確に計測でき、把握できれば、その手段は特に制限されるものではない。たとえば、蛍光塗料等の微量内因性マーカーや目盛等とすることが考慮できる。特に、目盛については、格子状に設けることで、切片培養担体の位置情報が簡便に把握することができる。すなわち、具体的には、たとえば、縦軸に英字(もしくは数字)を、横軸に数字(もしくは英字)を設定して、格子状とした目盛のマス目内に切片培養担体を支持体に付着させ、マス目の位置情報を、縦軸および横軸の文字から把握することができる。もちろん、この縦軸横軸に設定される文字や記号等は、任意のものでもよい。なお、計測精度としては、マイクロメーターオーダー以下であることが望ましい。
このような構成を有する組織切片チップによって、種々の細胞や組織を特性解析の対象とすることができ、個々の細胞や組織それぞれにおいて、効率よく細胞と組織の相互作用を解析することができる。
図1は、本発明の組織切片チップを用いた、解析データベース作成方法を概略的に例示した模式図である。
本発明は、上記のような組織切片チップを用いた解析データベース作成方法も提供する。具体的には、図1に例示したように、細胞が有する特性を解析するため、前記組織切片チップに付着(または伸展付着)させた切片培養担体上に、特性解析の対象となる試料である細胞(つまり、特性未知の細胞)を播種して培養する。ついで、その位置情報を、顕微鏡等をはじめとする各種の観察手段で観察し、その観察結果を位置画像データとして取得し、観察手段と連結されているコンピュータに送る。この位置画像データを蓄積する工程とともに、特性解析の対象となる細胞の挙動情報、つまり、培養時間(その時間単位は、「日単位」や「時間単位」等、特に制限はされない)に比した接着の度合い、増殖の度合い、分化の度合いおよび形態変化の度合いの少なくとも1つ以上の挙動情報を、顕微鏡等をはじめとする各種の観察手段で経時的に観察し、その観察結果を挙動画像データとして取得し、観察手段と連結されているコンピュータに送る。送られたこの位置画像データと挙動画像データを基に、コンピュータで細胞と組織切片チップの切片培養担体との間の相互作用を解析して、蓄積用解析データとしてコンピュータに蓄積することを特徴としている。
また、特性解析の対象となる試料が組織(特性未知の組織)の場合には、この組織を切片培養担体とした組織切片チップを用意し、特性既知の細胞をこの組織切片チップに播種して培養する。そして、上記の解析対象となる試料が細胞の場合と同様に、細胞の組織切片チップにおける位置情報を観察手段で観察して位置画像データとして取得する。この位置画像データをコンピュータに送るとともに、細胞の挙動を観察手段で経時的に観察して挙動画像データとして取得してコンピュータに送る。そして、送られてきた位置画像データと挙動画像データを基に、細胞と組織切片チップの切片培養担体との間の相互作用をコンピュータによって解析し、蓄積用解析データとして蓄積することを特徴としている。
なお、観察手段としては、たとえば、光学顕微鏡、蛍光顕微鏡、位相差顕微鏡、電子顕微鏡や走査プローブ顕微鏡(Scanning Probe Microscope、SPM)等の各種の顕微鏡はもちろん、CCDカメラ、また写真撮影やビデオ撮影等も可能である。
本発明における特性未知の細胞(特性解析の対象となる細胞)および特性既知の細胞は、両者ともに特に制限されるものではないが、動物由来、植物由来の少なくともいずれかであることが好ましい。動物由来の細胞としては、たとえば、哺乳類由来の細胞、ニワトリ等の鳥類由来の細胞、爬虫類由来の細胞、カエル等の両生類由来の細胞、魚類由来の細胞、カイコ等の昆虫由来の細胞等が使用できる。また、特に動物由来の細胞の場合には、哺乳類由来であることがさらに好ましく、たとえば、ヒト、ウシ、サル、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ラット、マウス、ウサギ等が使用できる。植物由来の細胞としては、たとえば、イネやシロイヌナズナ等が挙げられる。
もちろん、細胞としては、上記のような細胞だけでなく、いかなる動物あるいは植物由来の培養細胞でもよい。そのほかにも、動物の肝臓、心臓、腎臓、皮膚、骨、軟骨、骨髄等やこれら例示した組織から派生して形成された組織等をはじめとする組織由来の細胞でもよく、初代細胞や株化細胞でもよい。さらに、たとえば、動物細胞における初代細胞としては、ニワトリ胚由来細胞(PSG)、ラット初代心筋細胞、ラット初代肝細胞、マウス初代骨髄細胞、ブタ初代肝細胞、ウシ血管内皮細胞、ヒト初代臍帯血細胞、ヒト初代骨髄造血細胞、後根神経節細胞(DRG)等のヒト初代神経細胞等が例示される。さらにまた、株化細胞では、たとえば、チャイニーズハムスター卵巣細胞由来のCHO細胞、ヒト子宮ガン由来のHeLa細胞、ヒト肝ガン由来のHuh7細胞やHepG2細胞等が例示できる。さらに、マウス、ニワトリ、ブタ、ヒト等から得られた胚性幹細胞(ES細胞)や組織幹細胞も例示でき、これらES細胞や組織幹細胞から分化した細胞も例示できる。また、これら細胞にプラスミド導入やウイルス感染等の遺伝子操作により得られた細胞も本発明に用いることができる。もちろん、細胞は、未分化な幹細胞、分化過程にある細胞、終末分化した細胞、および/または脱分化した細胞のいずれに由来してもよく、未分化な幹細胞が特に胚性幹細胞であってもよい。
なお、細胞は、接着性細胞あるいは浮遊性細胞でもよいが、接着性細胞であることが、本発明の効果をより顕著に得ることができるため好ましい。
また、切片培養担体を構成する組織についても、特性未知の組織(特性解析の対象となる組織)および特性既知の組織は、両者ともに細胞と同様に特に制限されるものではなく、たとえば、動物の肝臓、心臓、腎臓、皮膚、骨、軟骨、骨髄等、各種の臓器器官由来のものを使用することができる。さらに、特性解析の対象となる細胞や組織は、正常な細胞(もしくは組織)であってもよいし、ガン等の各種疾病に罹患した異常な細胞(もしくは組織)であってもよい。また、本発明において、切片培養担体を構成する組織は、小動物である場合には、その全身切片も使用することができ、さらには発生や再生の過程にある組織も使用することができる。
そして、切片培養担体を構成する生物組織を薄切した組織切片と、播種される細胞との由来は同じであっても、異なってもよい。なお、由来とは、生物種(哺乳類や鳥類等の動物、イネ等の植物)や、臓器器官(肝臓、心臓、腎臓、皮膚、骨等)、さらに正常細胞(組織)あるいは異常細胞(組織)を意味する。
したがって、たとえば、本発明における切片培養担体と播種される細胞との関係は、同じ生物種同士または異なる生物種同士でもよいし、また同じ臓器器官同士あるいは異なる臓器器官同士でもよい。
また、由来が正常細胞(組織)と異常細胞(組織)を意味する場合、さらに説明すると、たとえば、切片培養担体が正常組織由来であり、播種される細胞が疾病(たとえば、ガン)に罹患した異常細胞である場合においても、ガン細胞と正常組織との相互作用や機能を網羅的に解析することができる。もちろん、<1>切片培養担体と播種される細胞がともに「正常」である場合、<2>切片培養担体と播種される細胞がともに「異常」である場合、<3>切片培養担体が「異常」であり、播種される細胞が「正常」である場合といった、そのほかの組み合わせも可能であり、研究や解析の目的に合わせて、適宜にこの組み合わせを変更することができる。
図2は、本発明の解析データベース作成方法によって作成された解析データベースを用いた、細胞または組織の特性診断システムの流れを概略的に例示した模式図である。
本発明は、図2に例示したように、上記のような組織切片チップおよび解析データベースの作成方法によって作成された解析データベースを用いた細胞または組織の特性診断システムをも提供する。具体的に説明すると、本発明の診断システムは、組織切片チップに播種された特性未知または特性既知の細胞の、培養過程における挙動を観察手段で経時的に観察して挙動画像データとして取得する。次いで、この挙動画像データを特性既知の細胞または組織の解析データが蓄積されているデータベースにフィードバックするとともに、コンピュータによって、自動的にこのデータベースに蓄積されている特性既知の細胞または組織の解析データと照合し、解析することを特徴としている。このとき、データベースに蓄積されている特性既知の細胞または組織の解析データは、上記のようにして解析して得られた解析対象の試料である特性未知細胞または組織の解析データ(特性データ)と類似したものを代表的な解析データとして、コンピュータによって自動選択することで、より精度の高い解析結果を得ることができる。
そして、解析対象となる試料が細胞(つまり、特性未知の細胞)の場合は、特性既知の組織を切片培養担体とし、これに試料である特性未知の細胞を播種する。一方、解析対象となる試料が組織(つまり、特性未知の組織)の場合は、この特性未知の組織を切片培養担体とし、これに特性既知の細胞を播種する。このような特徴を有する診断システムによって、解析対象である特性未知の試料が、細胞であっても組織であっても、ともに効率よく、かつ、効果的にその特性を解析できる。つまり、異なる細胞や組織の機能を網羅的に解析することができる。
なお、特性未知または特性既知いずれの細胞においても、組織切片チップでの培養は、たとえば、組織切片チップそのものを、培養液を充填した容器内にいれて、適宜に温度や湿度等の培養条件を調整して、培養することができる。あるいは、たとえば、支持体に密閉性高く、装脱着可能な容器状の蓋を準備し、これを利用することも考慮できる。
さらに説明すると、切片培養担体を用いる細胞(たとえば、動物細胞)の培養は、たとえば、動物の組織を厚さ6μmに薄切した凍結切片の1または2以上の1枚または2枚以上を付着伸展したスライドグラスに、固定、無細胞化、滅菌、培養液を用いた平衡化等の必要な処理を施した後に、そのスライドグラスを培養シャーレに装入して、動物細胞の懸濁液を播種することで、容易に達成できる。
また、未分化な幹細胞、分化過程にある細胞、終末分化した細胞および/または脱分化した細胞等の培養は、たとえば、細胞懸濁液、細切組織片、受精卵、または三次元再構築した多細胞性凝集塊を播種することで効率よく行うことができる。細胞の培養に用いる培養液は、通常の細胞培養用の培養液であればよく、如何なる組成の基礎培養液であっても、また血清、抗生物質、各種ビタミンやビタミン類等が添加されていても、添加されていなくてもよい。
以上のような本発明によって、細胞と組織の相互作用を解析することができ、また観察が完了した観察結果を解析データとして順次蓄積でき、しかもこの解析データを用いて新たに解析する特性未知の細胞や組織とを照合および解析することができため、効率よく、かつ、効果的に異なる細胞や組織の機能を網羅的に解析することができる。
次に、ラットから採取した各臓器組織より作成した各種の組織切片チップ(切片培養担体)を例に、本発明の構成並びに作用効果について説明する。もちろん、本発明は、上記のとおりの実施形態および以下の実施例に限定されるものではなく、その細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
実施例1:各種臓器からの切片培養担体の解析
本願発明の切片培養担体を診断システム等に展開していくため、ラットインスリノーマ細胞(RIN5F)とヒト肝癌細胞株HepG2の2種類の細胞を利用して、各種臓器に由来する切片培養担体上で培養し、その挙動を評価した。
1. 各種臓器からの切片培養担体の作成
図3は、各種臓器から切片培養担体を作成する概略を例示した模式図である。
本実施例では、SD系ラット(6〜8週齡)を用い、成熟臓器として、大脳、胸腺、心臓、肝臓、膵臓(膵頭および膵尾)、腎臓および精巣を摘出して、切片培養担体を作成した。また、再生臓器として、再生肝(70%の肝切除24時間後の再生状態にある肝臓)を用いて切片培養担体を作成した。
作成手順は:
(1) 上記各種の臓器を摘出して、凍結保存した。
(2) 凍結した臓器を薄切(厚さ5μm)して、カバーグラスに伸展した。
(3) 次いで、温度10℃および湿度40%で、12時間の風乾を行うことで、切片培養担体とした。
(4) これら切片培養担体を、24wellプレートに入れて使用した。
2. 切片培養担体への細胞の播種・培養、解析
切片培養担体へ播種・培養する細胞として、ラットインスリノーマ細胞(RIN5F)および肝癌細胞(HepG2)それぞれを使用し、検討した。
<A> ラットインスリノーマ細胞(RIN5F)における検討
図4に、細胞の播種・培養および解析の概略を模式的に例示した。なお、本実施例においては、コントロールとして、プラスティックおよびカバーグラス(APSカバーグラス)を培養担体として用いた。
(1) まず、上記各種臓器由来の切片培養担体上に、それぞれ培養細胞として、インスリンを分泌するラットインスリノーマ細胞(RIN5F)を2×105 cells/cm2で播種し、培養した。
培養液は、10%ウシ胎児血清、20mM HEPES、100units/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシン含有のRPMI 1640培地 (GIBCO#11875-093)を用いた。
(2) 生細胞を判別するためにカルセイン AM (Molecular Probes#C-3099)による染色を行った。カルセイン AMは細胞膜透過性で、細胞内エステラーゼの作用でカルセインを発現する。
そして、公知のヘマトキシリン・エオシン染色法(HE染色:組織の形態を観察する目的で細胞核、細胞質を染色する方法)を行い観察した。切片培養担体上の単位面積(膵臓のみ0.34mm2、その他の臓器は3.8mm2)あたりのカルセイン陽性細胞の画像を取得し、その面積をNIH 1.63ソフトウェアで測定した。
(3) 具体的には、2日おきに培地交換を行いながら、培養2日後、4日後および6日後の培養上清を回収して、レビスインスリンキット(シバヤギ#AKRIN-010)を用いて、メーカーのプロトコールに従って培養液中のインスリン量を測定した。
<B> ヒト肝癌細胞(HepG2)における検討
図10に、細胞の播種・培養および解析の概略を模式的に例示した。基本的な解析方法、手順は、上記RIN5F細胞と同様である。なお、コントロールとして、プラスティックプレートおよびカバーグラスをそれぞれ培養担体として用いた。
(1) まず、上記各種臓器由来の切片培養担体上に、培養細胞としてヒト肝癌細胞株(HepG2)を4.5×104cells/cm2で播種し、培養した。
(3) また、培養2日後、4日後および6日後における増殖を評価した。具体的には、上記と同様に、カルセイン陽性細胞から細胞面積を算出した。
(4) なお、培養2日後および4日後にて、培養液の交換を行った。培養液は、10%牛胎児血清、20mM HEPES、100units/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシン含有ダルベッコ改変イーグル培地 (GIBCO#11875-093)を用いた。
3. 測定結果
<A> ラットインスリノーマ細胞(RIN5F)の検討結果
上記測定結果を図5〜図8に示した。また、図9(A)(B)にインスリン量測定の概略を例示した。
(1) 図5は、各臓器からの作成した切片培養担体上でのRIN5F細胞の経時形態変化を、HE染色によって観察した結果である。図5に示したとおり、各切片培養担体いずれにおいても、RIN5F細胞は、時間経過とともに細胞形態が異なる、すなわち成長することが確認できた。
具体的には、例えば、大脳や膵臓由来の切片培養担体上では細胞が丸い凝集塊を形成し、肝臓や腎臓由来の切片担体上では細胞が伸展することが観察された。また、胸腺や精巣上では結合組織に特異的に細胞が接着する傾向が見られ、結合組織に接着した細胞がよく増殖していることが観察された。
(2) 図6は、各種臓器由来の切片培養担体に対する、RIN5F細胞の初期接着率を示したグラフ図である。図6に示したとおり、特に、大脳および肝臓由来の切片培養担体において、初期細胞接着率が高いことが確認できた。
(3) 図7は、各種臓器由来の切片培養担体上でのRIN5F細胞の増殖率を示したグラフ図である。図7に示したとおり、各切片培養担体ではRIN5細胞の増殖速度が異なることが確認された。具体的には、例えば、胸腺および再生肝由来の切片培養担体においては、RIN5Fの細胞増殖の抑制が見られたが、その他の切片培養担体においては、速度が異なるものの、細胞増殖が確認された。
(4) 図8は、各種臓器由来の切片培養担体上でのRIN5F細胞のインスリン産生能を示したグラフ図である。図8に示したように、肝臓および膵臓(頭部)を除く、各臓器由来の切片培養担体上では、6日目まで産生能を維持し、特に、4日目以降では再生肝、胸腺および精巣由来の切片培養担体上で、インスリン産生能が増強されることが確認できた。
また、図9(A)(B)に例示した算出手順に沿って、細胞あたりのインスリン産生量は、切片領域上培養のインスリン産生量を切片領域上の総細胞数で割る、すなわち、次式
(式中の「α」はカバーグラス担体上培養でのインスリン産生量、「β」は作成した切片培養担体上培養でのインスリン産生量、「C」は切片領域面積を示す)
で算出することができる。
(5) 以上の結果を、表1にまとめた。
図5〜図8および表1に示したように、多少の程度の差はあるが、総合的に各臓器由来の切片培養担体いずれにおいても、播種した細胞を効率よく、接着、増殖、分化を促進させることが確認できた。
<B> 肝癌細胞(HepG2)の検討結果
測定結果を図11および図12に示した。
(1) 図11は、各種臓器由来の切片培養担体に対する、HepG2細胞の初期接着率を示したグラフ図である。図11に示したとおり、HepG2細胞では、精巣由来の切片培養担体上で最も細胞接着が良好であり、RIN5F細胞とは異なって、胸腺由来の切片担体上でHepG2細胞の初期接着が良好であった。また、RIN5F細胞の接着率が高い膵臓由来の切片担体上ではHepG2細胞の初期接着率は低かった。RIN5F細胞と同様に、HepG2細胞もそれぞれ臓器由来の切片上で初期接着、および形態が異なった。
(2) 図12は、各種臓器由来の切片培養担体上でのHepG2細胞の増殖率を示したグラフ図である。播種後2日、4日および6日目に細胞の増殖について評価したところ、図12に示したとおり、膵臓由来の切片培養担体上ではRIN5F細胞は増殖するのに対し、HepG2細胞はほとんど増殖が見られなかった。また、胸腺由来の切片培養担体上では、RIN5F細胞の増殖は抑制されるが、HepG2細胞は増殖していた。RIN5F細胞と同様に、HepG2細胞もそれぞれ臓器由来の切片上で成長の速度が異なった。
(3) 以上の結果を表2にまとめた。
図11、図12および表2から、HepG2細胞においても、多少の程度の差はあるが、総合的に各臓器由来の切片培養担体において、播種した細胞を効率よく、接着、増殖、分化を促進させることができた。
4. RIN5F細胞とHepG2細胞それぞれの細胞挙動における比較検討
以上の結果から、RIN5F細胞とHepG2細胞は、同じ臓器由来の切片培養担体上であっても、それぞれ異なる挙動を示した。さらに、同一の細胞でも異なる切片培養担体上では、細胞挙動が異なることが示された。
実施例2:肝再生モデルマウスの肝組織由来の切片培養担体における解析
肝再生モデルマウスの肝組織から切片培養担体を作成し、さらに解析を行った。
1. 実験手順
図13は、本実施例の概略を例示した模式図である。
(1) 溶媒としてオリーブオイルを使用した四塩化炭素(CCl4)をマウスの腹腔内に投与して、軽度の肝障害を惹起させ、肝再生モデルマウスを作成した。
(2) この肝再生モデルマウスの再生過程における肝組織より、組織切片チップ(切片培養担体)を作成した。肝組織は、オリーブオイルのみ投与(24 h:肝再生モデルのコントロール)、CCl4投与8時間後(8 h)、投与24時間後(24 h)、投与2日後(2 d)、投与4日後(4 d)、投与8日後(8 d)、投与15日後(15 d)それぞれを使用した。また、コントロールとして、カバーグラスのみからなる担体も用意した。本実施例における切片培養担体の作成手順や条件は、上記実施例1と同様であるが、切片培養担体を伸展する支持体にスライドグラスを用いた。
(3) 次いで、作成した切片培養担体上に、ALB-ES細胞を播種して、培養した。培養条件は、まず、ALB-ES細胞を有血清培養液で培養し、細胞播種2時間後に、無血清培養液に交換して、培養した。
「有血清培養液」は、20% ES細胞用牛胎児血清(GIBCO#16141-079)、抗生物質?抗真菌剤(GIBCO#15204-062)、2-メルカプトエタノール、非必須アミノ酸(GIBCO#11140-050)、核酸混合液およびLIF(CHEMICON#ESG1107)含有の高グルコースダルベッコ改変イーグル培地(GIBCO#11995-065)を用いた。「無血清培養液」は、添加物を含まない高グルコースダルベッコ改変イーグル培地(GIBCO#11995-065)を用いた。また、ALB-ES細胞は、アルブミン遺伝子発現細胞に分化すると、緑色蛍光タンパク質(GFP)陽性を呈することを特徴とした細胞株である。
(4) そして、経時的に観察して、切片培養担体に接着したALB-ES細胞の面積およびGFP陽性を呈したALB-ES細胞の面積をNIH Image 1.63ソフトウェアで測定し、ALB-ES細胞が切片培養担体上でGFP陽性細胞に分化する過程の接着率、増殖性、分化効率を解析した。さらに、GFP陽性細胞の形態学的特徴と、分子生物学的性質を解析した。
2. 実験結果
(1) 細胞播種前の切片培養担体の解析
障害(細胞壊死領域)の解析手段として、HE染色およびHoechst 33342染色を行った(図14(A))。また、肝臓における細胞増殖を増殖細胞核抗原(PCNA)陽性細胞数から、CCl4投与4日後(4 d)の切片培養担体がもっとも高い数値を示した(図14(B))。これらを基に、図14(C)に、障害の進行と、再生の進行状況を例示した。
(2) 切片培養担体上でのALB-ES細胞の接着率
切片培養担体上におけるALB-ES細胞の培養24時間後の接着率について、位相差顕微鏡で観察した。結果は、図15(A)に示したように、CCl4投与4日後(4 d)の切片培養担体において、もっとも顕著に細胞が付着していることが確認できた。
そして、また、培養2時間後のALB-ES細胞の占有面積をNIH Image 1.63で測定したところ、図15(B)でも、CCl4投与4日後(4 d)の切片担体で、もっとも高い初期接着率を示した。
(3) 切片培養担体上でのALB-ES細胞の増殖性
経時的に同一視野の観察像を取得して、各切片培養担体上のALB-ES細胞の面積をNIH Image 1.63で測定した。
その結果、図16に示したように、ここでもCCl4投与4日後(4 d)の切片培養担体において、もっとも安定に増殖することが確認できた。
(4) ALB-ES細胞のGFP陽性細胞への分化効率
ALB-ES細胞を各切片培養担体上に播種し、培養24時間後を蛍光顕微鏡で観察した。
結果、図17(A)(B)に示したように、CCl4投与4日後(4 d)の切片培養担体において、もっとも顕著にGFPを発現した。したがって、ALB-ES細胞の分化効率は、CCl4投与4日後(4 d)の切片培養担体を用いることでもっとも効率よく発揮させることができると判断できた。
(5) CCl4投与4日後(4 d)の切片培養担体の作用効果
以上の結果をまとめると、ALB-ES細胞は、コントロールあるいは障害進行過程の肝組織より作製した切片培養担体上では、培養初期の接着率が低く、GFP陽性細胞も殆ど認められなかった。
しかし、再生進行過程に由来する切片培養担体上では、接着率も分化効率もともに高かった。特に、細胞増殖マーカーであるPCNAの陽性細胞が最も多く存在し、再生が活発に進行していると考えられるCCl4投与4日後(4 d)の肝組織より作製した切片培養担体(CCl4-4d担体)上では、接着したALB-ES細胞は敷石状に伸展して、培養24時間以内に3倍以上に増殖した細胞集団も存在し、約70%がGFP陽性細胞で肝細胞に特徴的に認められる二核細胞も存在した。
さらに、この切片培養担体上で培養したALB-ES細胞は、培養時間の経過とともに未分化細胞に特有のマーカーの発現低下が認められた。
したがって、CCl4-4d担体を利用することで、分化誘導が困難であるES細胞を短時間で効率良く肝細胞様細胞へ分化誘導できることが示された。
実施例3:CCl4-4d切片培養担体における解析
上記実施例2から、CCl4投与4日後(4 d)の切片培養担体(以下、CCl4-4d切片培養担体とする)が、もっとも優れた作用効果を有していることが確認できた。
そこで、CCl4-4d切片培養担体について、以下のとおり、さらに解析を行った。
(1) CCl4-4d切片培養担体上のGFP陽性細胞の経時観察
CCl4-4d切片培養担体上にALB-ES細胞を播種して、培養8時間後、16時間後、24時間後、7日後および13日後で、経時観察を行った。
その結果、図18に示したように、培養16時間目よりGFPが発現しており、時間経過とともにGFPが発現しており、ALB-ES細胞がGFP陽性細胞へと分化することが確認できた。特に、培養後24時間後において、もっとも顕著にGFPが発現することが確認できた。また、GFP陽性細胞は細胞播種後13日経過しても確認された。なお、左側は位相差顕微鏡による観察結果、右側は蛍光顕微鏡による観察結果である。
(2) CCl4-4d切片培養担体上の各GFP陽性細胞コロニーの面積変化(増殖性)
CCl4-4d切片培養担体上における、各GFP陽性細胞コロニーの培養2時間後の面積を、NIH Image 1.63で測定した。
その結果、図19(A)に示したように、CCl4-4d切片培養担体上には、さまざまな大きさのコロニーが存在することが確認された。
また、培養時間2時間後の面積を1とした時の成長率(面積比)についても、図19(B)に示した。図19(B)のとおり、培養時間24時間後において、コロニー番号7がもっとも高い数値を示し、一方、コロニー番号10がもっとも低い数値を示した。
(3) 細胞コロニーの増殖率の差における分化効率の差異
コロニー番号7および10をサンプルとして、増殖率の差における分化効率の差異を検討した。具体的には、位相差顕微鏡による観察と、蛍光顕微鏡による観察を経時的に行った。
その結果を図20および図21に示した。
まず、図20(A)(B)に示したように、コロニー番号7においては、コロニー番号7においては、培養16時間後に接着した細胞の約70%がGFP陽性を呈しており培養時間が経過してもGFP陽性率は保たれていることが分かった。また、図21(A)(B)に示したように、コロニー番号10においても、培養24時間後までには70%以上の接着細胞がGFP陽性を呈しており、GFP陽性率は高値を保っていた。これらの結果より、コロニーの増殖率によらず、CCl4-4d切片培養担体上で培養したALB-ES細胞の分化効率は高いことが分かった。
(4) ALB-ES細胞の分化状態の解析
ALB-ES細胞の分化状態の解析するため、アルカリフォスファターゼ染色(Alkaline Phosphatase Detection Kit:CHEMICON#SCR004を使用)およびES細胞関連遺伝子を公知のRT-PCR法(逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)を行った。
アルカリフォスファターゼの結果、図22(A)に示したように、時間経過とともに、赤色を呈しているアルカリフォスファターゼ陽性細胞が減少しており、ALB-ES細胞の分化が進んでいることが確認できた。
RT-PCR法では、図22(B)に示したように、播種後8時間後を境に、ES細胞特有に発現するERas遺伝子の発現が検出されなくなったが、ハウスキーピング遺伝子であるhypoxanthine guanine phosphoribosyl transferase(HPRT)は検出することができた。
これらの結果から、時間経過とともに、ALB-ES細胞は、切片培養担体上で効率よく分化することが確認できた。
(5) GFP陽性細胞の細胞形態
上記のように、ALB-ES細胞はCCl4-4d切片培養担体上で、短時間で効率良くGFP陽性細胞へ分化することが分かった。そこで、GFP陽性細胞の形態についてヘマトキシリン染色を行ってさらに検討した。
図23(A)(B)にCCl4-4d切片培養担体上で培養したALB-ES細胞の位相差顕微鏡と蛍光顕微鏡で観察した同一視野の低倍率の観察像を示した。また、点線枠で示した領域を高倍率で観察したものが、図23(C)であり、これをヘマトキシリン染色(核染色)したものが図23(D)である。そして、図23(C)(D)中の矢印で示したように、GFP陽性細胞には肝細胞で特徴的に見られる二核細胞が存在した。
以上の実験結果から、本発明の切片培養担体上で培養した細胞は:
<1>初期接着率が高いこと(約30%);
<2>細胞集団の成長が優れていること(培養16時間後までに約4倍);
<3>分化効率が高いこと(培養24時間後までに約70%);
<4>二核細胞も存在すること;および
<5>短時間で分化すること;
から、本発明の切片培養担体上で、例えば、ES細胞を培養することで、短時間で、しかも効率よく、細胞分化を誘導することができる。
したがって、本発明の組織切片チップ(切片培養担体)によって、細胞と組織の相互作用を解析することができ、また観察が完了した観察結果を解析データとして順次蓄積でき、しかもこの解析データを用いて新たに解析する特性未知の細胞や組織とを照合および解析することができるため、効率よく、かつ、効果的に異なる細胞や組織の機能を網羅的に解析することができる。
本発明の組織切片チップを用いた、解析データベース作成方法を概略的に例示した模式図である。 本発明の解析データベース作成方法によって作成された解析データベースを用いた、細胞または組織の特性診断システムの流れを概略的に例示した模式図である。 実施例1の概略を例示した模式図である。 実施例1<A>における細胞の播種・培養および解析の概略を例示した模式図である。 各種臓器由来の切片培養担体上におけるRIN5F細胞の経時形態変化を、HE染色で観察した結果を示した図である。 各種臓器由来の切片培養担体に対する、RIN5F細胞の初期接着率を示したグラフ図である。 各種臓器由来の切片培養担体上でのRIN5F細胞の増殖率を示したグラフ図である。 各種臓器由来の切片培養担体上でのRIN5F細胞のインスリン産生能を示したグラフ図である。 各種切片領域上の培養細胞のインスリン産生能の評価を例示した概略図であり、(A)は細胞あたりのインスリン産生量の算出手順、(B)は切片培養担体上の総細胞数の算出手順を示している。 実施例1<B>における細胞の播種・培養および解析の概略を例示した模式図である。 各種臓器由来の切片培養担体に対する、HepG2細胞の初期接着率を示したグラフ図である。 各種臓器由来の切片培養担体上でのHepG2細胞の増殖率を示したグラフ図である。 実施例2の概略を例示した模式図である。 実施例2における細胞播種前の切片担体の解析結果を例示した図であり、(A)はHE染色およびHoechst 33342染色の結果、(B)はPCNA陽性細胞数とCCl4投与後の経過時間との関係を示したグラフ図、(C)障害の進行と再生の進行状況を例示した模式図である。 実施例2における切片培養担体上でのALB-ES細胞の接着率を示した図であり、(A)は位相差顕微鏡による観察結果を示した図であり、(B)はグラフ図である。 実施例2における切片培養担体上でのALB-ES細胞の増殖性を示したグラフ図である 実施例2における切片培養担体上でのALB-ES細胞のGFP陽性細胞への分化効率を示した図であり、(A)は蛍光顕微鏡による観察結果を示した図であり、(B)はグラフ図である。 実施例3におけるCCl4-4d切片培養担体上のGFP陽性細胞の経時観察結果を示した図であり、左側が位相差顕微鏡による観察結果、右側が蛍光顕微鏡による観察結果である。 実施例3におけるCCl4-4d切片培養担体上の各GFP陽性細胞コロニーの面積変化の結果を示した図であり、(A)は各細胞コロニーの培養2時間後の面積についてのグラフ図、(B)は培養2時間後の面積を1とした時の成長率(面積比)についてのグラフ図である。 実施例3における細胞コロニー番号7の増殖率と分化効率の関係についての解析結果を示した図であり、(A)はグラフ図であり、(B)は位相差顕微鏡と蛍光顕微鏡による観察結果を示した図である。 実施例3における細胞コロニー番号10の増殖率と分化効率の関係についての解析結果を示した図であり、(A)はグラフ図であり、(B)は位相差顕微鏡と蛍光顕微鏡による観察結果を示した図である。 実施例3におけるALB-ES細胞の分化状態の解析結果を示した図であり、(A)はアルカリフォスファターゼ染色の結果であり、(B)はRT-PCR法の結果である。 実施例3におけるGFP陽性細胞の細胞形態の観察結果を示した図であり、(A)は位相差顕微鏡による低倍率での観察結果、(B)は(A)の同一視野での蛍光顕微鏡による観察結果、(C)は(A)中の点線枠部における高倍率での観察結果、(D)は(C)のヘマトキシリン染色(核染色)による観察結果である。

Claims (5)

  1. 生物組織を薄切した特性既知の組織切片からなる切片培養担体が、支持体に付着または付着伸展されているとともに、この支持体に前記切片培養担体の付着および微細構造の位置を計測する標識が付与されている組織切片チップを用いた解析データベース作成方法であって、解析対象の試料となる特性未知の細胞を前記組織切片チップに播種して培養し、この細胞の組織切片チップにおける位置情報を観察手段で観察して位置画像データとして取得してコンピュータに送るとともに、細胞の挙動を観察手段で経時的に観察して挙動画像データとして取得してコンピュータに送り、送られてきた位置画像データと挙動画像データを基に、細胞と組織切片チップの切片培養担体との間の相互作用をコンピュータによって解析して蓄積用解析データとして蓄積することを特徴とする解析データベースの作成方法。
  2. 生物組織を薄切した特性未知の組織切片からなる切片培養担体が、支持体に付着または付着伸展されているとともに、この支持体に前記切片培養担体の付着および微細構造の位置を計測する標識が付与されている組織切片チップを用いた解析データベース作成方法であって、特性既知の細胞を前記組織切片チップに播種して培養し、この細胞の組織切片チップにおける位置情報を観察手段で観察して位置画像データとして取得してコンピュータに送るとともに、細胞の挙動を観察手段で経時的に観察して挙動画像データとして取得してコンピュータに送り、送られてきた位置画像データと挙動画像データを基に、細胞と組織切片チップの切片培養担体との間の相互作用をコンピュータによって解析して蓄積用解析データとして蓄積することを特徴とする解析データベースの作成方法。
  3. 播種される細胞の挙動が、培養時間に比した接着の度合い、増殖の度合い、分化の度合いおよび形態変化の度合いの少なくとも1つ以上である請求項1または2に記載の解析データベースの作成方法。
  4. 播種される細胞が、正常細胞または異常細胞である請求項1から3いずれかに記載の解析データベースの作成方法。
  5. 請求項1から4いずれかに記載の方法によって作成された解析データベースを用いた細胞または組織の特性診断システムであって、播種された細胞の挙動を観察手段で経時的に観察して挙動画像データとして取得し、この挙動画像データをデータベースにフィードバックするとともに、データベースに蓄積されている特性既知の細胞または組織の解析データとコンピュータで照合し、解析することを特徴とする細胞または組織の特性診断システム。
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