JP4893952B2 - 放射計 - Google Patents
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図1は本発明の放射計の構成を示しており、球(ファイバー配設体)の周面に放射状に一方の端部を配設された光ファイバーが集束されて一列に並設され、所定角度でグレーティングに対向し、同様にグレーティングにある角度での対向位置に2次元CCDアレイを配設した構成である。好ましくは、光ファイバーを配設した球を覆う球状且つ中空の被覆体(ファイバーケース)を備え、この被覆体の周面に内部の球周面に配設された光ファイバーの端部それぞれに対して32分の開口角となる穴(ファイバーホール)を設けた構成であることが望ましい。
本発明に係る放射計は、複数の光ファイバーと、当該光ファイバーの一方の端部を放射状に外表面に2次元配置した球状のファイバーケースと、各光ファイバーの他方の端部からの光信号を信号処理系に適した信号にする光検出器とを備え、前記光ファイバーの一方の端部は、ファイバーケースの半球の中心位置から当該光ファイバーの一方の端部が配設されたファイバーケースの半球外表面上の位置への方向を向いて配置され、前記ファイバーケースには、前記光ファイバーの一方の端部毎に当該光ファイバーの一方の端部の向きに略円形状の孔となり且つ入射した外光を孔の周面で反射させないファイバーホールが形成されてなり、所定の計測地点における計測で、前記光検出器からの信号により得られる光ファイバーごとの放射量から地面方向を特定し、さらに鉛直下方向又は鉛直上方向を特定するものである。
本発明に係る放射計は必要に応じて、前記光ファイバーの他方の端部を一次元に並設させ、当該並設させた光ファイバーの他方の端部からの出射光を連続分光させる分光器を備えるものである。
分光器がグレーティングからなる場合において、このグレーティングの刻み間隔を調整することで分光における中心波長を可変とする連続分光方法を行うことができ、つまりは、その方法を実現できる放射計を提供することができる。
本発明に係る放射計は必要に応じて、前記光検出器からの出力信号により求められた分光放射輝度から、太陽直達、散乱、周縁光、水蒸気量、オゾン全量、全大気・水蒸気・オゾン・空気分子・エアロゾルの光学的厚さ、エアロゾル複素屈折率、粒径分布、気温・湿度・気圧の鉛直分布の少なくとも1つを算出する演算部と、演算部からの算出結果を受け取って表示する表示部を備えるものである。
イメージセンサは構成する実施形態では、2次元CCDアレイを例として記載しており、その他に、CMOSセンサアレイ、赤外線センサアレイを用いることもできる。なお、ライナアレイを並列してエリアアレイを構成してもよい。
これら前記の発明の概要は、本発明に必須となる特徴を列挙したものではなく、これら複数の特徴のサブコンビネーションも発明となり得る。
本発明の第1の実施形態に係る放射計について図に基づき説明する。
[1.構成]
本実施形態に係る放射計は、図4に示すように、ファイバーボール10、ファイバー管20、リモコン把持部30からなる。
ファイバーボール10は、図5(a)に示すように、所定厚みを有する中空の例えば樹脂成形で作られる球体であるファイバーケース12と、このファイバーケース12に収納される光ファイバー11からなる。ファイバーボール10の周面には円錐台形の穴であるファイバーホール12aが放射状に無数に形成されている。ファイバーホール12aは所定厚みの中空の球体を樹脂成形した後に、ファイバーボール10の周面から円錐台形を切り抜き加工して円錐台形のファイバーホール12aを形成してもよいし、樹脂成形(圧縮成形、ブロー成形、真空形成)時にファイバーホール12aも形成される金型を使用して樹脂成形のみでファイバーケース12を形成してもよい。
ファイバーケース12の周面及びファイバーホール12a部分は黒色に着色されており、ファイバーホール12a内に入射した外光がファイバーホール12aの周面でできる限り反射しないようにしている。
リモコン把持部30は、図4、図7及び図8に示すように、ON/OFF表示ランプ31、計測中ランプ32、気泡管水平器33、ON/OFFボタン34、計測開始/停止ボタン35、メモリカード用開口36、USB用開口37、把持部ケース38、グレーティング41、2次元CCDアレイ42、計測処理用基板50、マイクロコンピュータ51、EEPROM52、二次電池53、USBインタフェース54及びメモリカードインタフェース55からなる。
図7は本実施形態の計測時の光ファイバーからの光路説明図である。ファイバーホール12aから取り込まれた外光は対応する光ファイバー11に取り込まれ、光ファイバー11のコアを通って、グレーティング41に入射される。グレーティング41に入射された光はグレーティング41の表面で反射され、回折格子の原理に基づきスペクトルを反射方向に配設された2次元CCDアレイ42にて取得する。
2次元CCD42では光ファイバー11毎のグレーティング41からの反射光を計測する。つまり、図7の水平方向の一列が一の光ファイバーの放射量を計測することになる。
観測対象により次の箇条書きのように観測波長が異なる。
・水蒸気:
720,810,940[nm]→相対湿度プロファイル,936[nm]:水蒸気
・酸素:
762[nm],1070[nm]→気圧
・オゾン:
440−740[nm](600[nm])、305,312,320[nm]
・二酸化炭素:
780−1240[nm](690[nm])→気温プロファイル
・大気光学的厚さ
368,500,670,772,862,1020[nm]
このように観測対象により観測波長が異なるため、例えば、304ないし1072[nm]を1[nm]間隔に分光し、計768チャンネル用意する構成とする。そうすると、4096[個:光ファイバー数]×768[チャンネル]エレメント数の2次元CCDが必要となる。この例によれば、植生等を観測対象物とした場合に、可視から近赤外波長域の分光反射が有効となる。
図9は本実施形態に係る放射計による観測概要図である。本発明の放射計により、直達光、スカイライト散乱光、上向き放射ラジアンス及び周縁光を略同時に受光部を動かすことなく計測することができる。
使用者は放射量を計測したい地点で、図4に示すように、リモコン把持部30のボタンなどが配設されている方向を鉛直上方向にしてON/OFFボタン34を押下する。リモコン把持部30の所定側を鉛直上方向にするのは、ファイバー管20がリモコン把持部30の先頭面からリモコン把持部30の延出方向に形成され(水平部20a)、途中でリモコン把持部30の延出方向に対して略直角に曲折し(垂直部20b)、先端部分がファイバーボール10に取り込まれ、予め定められたファイバーボール10の天頂10aが鉛直上方向を向くようになるからである。前記ファイバー管20が水平部20a及び垂直部20bから構成されることで、ファイバーボール10の検出面に対して、ファイバー管20の影がかからないようにしている。また、使用者は、把持部ケース38の水平部20aの延出方向が所定方位に向くようにしている。使用者のON/OFFボタン34の押下により、ON/OFF表示ランプ31が点灯する。
このように略全球面に対して光ファイバー11の端部を外向きに配設し、光ファイバー11への入射光をグレーティング41を介して光ファイバー11毎に2次元CCDアレイ42で計測するので、検出部であるファイバーボール10自体を計測時に機械的に動かすことなく色々な方向の放射量を計測することができる。
[変形例]
前記第1の実施形態に係る放射計は一例であり、本発明の原理を逸脱しない範囲での変更例をとることができる。例えば、前記第1の実施形態では、ファイバー管20及びリモコン把持部30を具備する構成となっているが、これらの構成要素を具備せずにファイバーボール10の中心部分に、計測処理用基板50を内設し、ボタン、ランプ等をファイバーボール10の周面のファイバーホール12aが形成されていない箇所に設けた構成をとることもできる。
気泡管水平器33を具備しなくてもよい構成も可能であるのは、前記第1の実施形態と同様である。
図10は本実施形態に係るシリンドリカルレンズを適用した構成例である。
前記第1の実施形態においては、光ファイバー11のグレーティング41側の端部とグレーティング41の間の光ファーバー11からの入射光の光路上に拡散防止用シリンドリカルレンズ61を配設することもでき、光ファイバー11からの入射光が光ファイバー11の配設方向11aに広がることを防止している。拡散防止用シリンドリカルレンズ61の曲面形成方向61aが光ファイバー11の配列方向11aと同方向となるように、拡散防止用シリンドリカルレンズ61を配設している。
図11は本実施形態に係る可動スリットを適用した構成例である。
前記第1の実施形態においては、全ての光ファイバー11からの外光の入射光がグレーティング41に入射して反射され、2次元CCDアレイ42に到達して該当部位の電荷が転送される構成であったが、図11に示すように、光ファイバー11とグレーティング41の光路上にスリット71aが位置し、且つ、光ファイバー11の配列方向に移動可能に構成されるスリット板71を具備させる。
スリット板71は、周知のスライド機構と接続し、このスライド機構と可動子が接続する小型モータ72を介して光ファイバー11の配列方向に移動可能に構成される。なお、ここでは、モータを一例として示したが、空気シリンダ、ソレノイドなどのアクチュエータをモータの代替技術として使用してもよい。
前記[シリンドリカルレンズ(円柱レンズ)]の拡散防止用シリンドリカルレンズ61及び/又は平行光用シリンドリカルレンズ62をスリット板71の前後にさらに具備させた構成であってもよい。
前記各実施形態においては、把持部ケース38の水平部20aの延出方向が所定方位(例えば、北)に向くようにして計測したが、デジタル方位計(デジタルコンパス)又はGPSレシーバからなる方位取得手段を把持部ケース38に内設し、計測時にその方位取得手段から計測時方位を取得して計測値と共に記録する構成であってもよい。また、記録する場合には所定方位を基準として計測値を並び替えて記録時には常に同じ方位にデータが並ぶように情報処理して記録することもできるし、各光ファイバー11毎の計測値に対して方位を属性として関連付けて記録することもできる。
前記各実施形態においては、気泡管水平器33を用いてファイバーボール10の天頂10aが鉛直上方向を向くようにしているが、ファイバーボール10の天頂10aの天頂角(天頂方向となす角度であって、地平線の方向が90度。)を求める鉛直上方向取得手段(例えば、鉛直器、自動天頂鉛直器、レーザ鉛直器)を具備し、前説[方位取得手段内蔵型]と同様に計測時に鉛直上方向取得手段により天頂角を取得し、同様に記録する構成であってもよい。
前記各実施形態においては、グレーティングを用いたが、プリズム又はグリズムを使用してもよい。
前記各実施形態においては、イメージセンサとして2次元CCDを用いたが、CMOSセンサアレイ、赤外線センサアレイといった任意の2次元イメージセンサを用いることができる。
本発明の放射計により、直達光、散乱光、周縁光の波長毎の放射量を計測することができ、計測した放射量から周知技術・慣用技術のアルゴリズム(サウンダの原理など)を用いて、各種の観測値(オゾン全量、全大気・水蒸気・オゾン・空気分子・エアロゾルの光学的厚さ、エアロゾル複素屈折率、粒径分布、気温・湿度・気圧の鉛直分布)を推定することができ、さらに、グラフ化することもできる。例えば、図12ないし図14のエアロゾル複素屈折率と粒径分布に関するグラフを求めることができ、所定波長域(例えば、500[nm]周辺)の放射量を用いて、複素屈折率の実部、虚部及びユンゲパラメータを求めてグラフ化したものである。図15は植生の双方向反射率特性を求めてグラフ化したものであり、図15(a)が森林について、図15(b)が草地についてである。なお、一点鎖線が枯れている森林又は草地に関するものであり、二点鎖線が生い茂っている森林又は草地に関するものである。
10a 天頂
11 光ファイバー
11a 配列方向
12 ファイバーケース
12a ファイバーホール
12b ファイバー先端保持孔
20 ファイバー管
20a 水平部
20b 垂直部
30 リモコン把持部
31 ON/OFF表示ランプ
32 計測中ランプ
33 気泡管水平器
33a 標線
33b 気泡
34 ON/OFFボタン
35 計測開始/停止ボタン
36 メモリカード用開口
37 USB用開口
38 把持部ケース
41 グレーティング
42 2次元CCDアレイ
50 計測処理用基板
51 マイクロコンピュータ
52 EEPROM
53 二次電池
54 USBインタフェース
55 メモリカードインタフェース
61 拡散防止用シリンドリカルレンズ
61a 曲面形成方向
62 平行光用シリンドリカルレンズ
62a 曲面形成方向
71 スリット板
71a スリット
72 小型モータ
73 リニアエンコーダ
Claims (5)
- 複数の光ファイバーと、
当該光ファイバーの一方の端部を放射状に外表面に2次元配置した球状のファイバーケースと、
各光ファイバーの他方の端部からの光信号を信号処理系に適した信号にする光検出器とを備え、
前記光ファイバーの一方の端部は、ファイバーケースの半球の中心位置から当該光ファイバーの一方の端部が配設されたファイバーケースの半球外表面上の位置への方向を向いて配置され、
前記ファイバーケースには、前記光ファイバーの一方の端部毎に当該光ファイバーの一方の端部の向きに略円形状の孔となり且つ入射した外光を孔の周面で反射させないファイバーホールが形成されてなり、
所定の計測地点における計測で、前記光検出器からの信号により得られる光ファイバーごとの放射量から地面方向を特定し、さらに鉛直下方向又は鉛直上方向を特定することを
特徴とする放射計。 - 前記光ファイバーの他方の端部を一次元に並設させ、
当該並設させた光ファイバーの他方の端部からの出射光を連続分光させる分光器を備える
前記請求項1に記載の放射計。 - 前記ファイバーホールは、光ファイバーの一方の端部面の中心点から見てファイバーホールの径が太陽視直径となるように形成する
前記請求項1又は2に記載の放射計。 - 前記光検出器からの出力信号により求められた分光放射輝度から、太陽直達、散乱、周縁光、水蒸気量、オゾン全量、全大気・水蒸気・オゾン・空気分子・エアロゾルの光学的厚さ、エアロゾル複素屈折率、粒径分布、気温・湿度・気圧の鉛直分布の少なくとも1つを算出する演算部と、
演算部からの算出結果を受け取って表示する表示部を備える
前記請求項1ないし3のいずれかに記載の放射計。 - 前記ファイバーケースが、中空の表面に複数の穴であるファイバーホールが形成され、当該複数のファイバーホール以外から外光を取り込まないようにした黒色の球状体とされ、
前記光ファイバーが、前記ファイバーケースの表面のファイバーホール毎に一方の端部を固定されると共に、他方の端部を集束させて配列され、
前記光ファイバーの他方の端部に対して、所定角度で配設している光学的なスペクトル取得手段と、
当該スペクトル取得手段からの取得したスペクトルの出力方向に対向している、前記光検出器としてのイメージセンサとを備え、
ファイバーケースの表面に形成されたファイバーホールから取り込まれた外光を一方の端部を固定された光ファイバーが受け、
当該光ファイバーの内部を通過して他方の端部から出力されたスペクトルをイメージセンサが計測することを特徴とする
前記請求項1に記載の放射計。
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