JP4891155B2 - 静電チャック装置 - Google Patents
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Description
静電チャック装置は吸着用電極となる導電性の支持部材とそれを被覆する誘電性の材料が主要部分となり、ガラス基板等の被吸着体を吸着させるものである。その原理は、静電チャック装置内の吸着用電極に電圧を印加することにより、被吸着体と支持部材の間に電位差を生じさせることによって、誘電層の間に静電気的な吸着力を発生させることによる。これによって、被吸着体は導電性の支持部材に対しほぼ平坦に支持される。
また、被吸着体にガラス等の透明な薄膜体を使用することがある場合、静電チャック装置上に該薄膜体が存在しない時においても、被吸着体が存在しているか否かを目視によって確認せざるを得ないものであった。
また、被吸着体が絶縁体(ガラス・フィルム等)であっても被吸着体の吸着状態を確認することができる静電チャック装置を提供することも目的とする。
基板上に、第1の接着層、第1の絶縁層、第2の接着層および第2の絶縁層が順次積層されてなることが好ましい。
前記吸着用電極を2つ以上有することが好ましい。
前記計測用電極を2つ以上有することが好ましい。
図1、図2および図3は、本実施形態の静電チャック装置を電極の延存方向に対して垂直方向に切断した時の断面図である。
例えば、図1に示すように前記吸着用電極が第1の絶縁層の面の第2の接着層側に設けられていてもよいし、第1の接着層側に設けられていてもよい。また、図1に示すように前記計測用電極が第1の絶縁層の面の第2の接着層側に設けられていてもよいし、第1の接着層側に設けられていてもよい。加えて、請求項3のように前記吸着用電極が第1および第2の接着層中に設けられていてもよいし、前記計測用電極が第1および第2の接着層中に設けられていてもよい。第1および第2の接着層だけでなく、第3の接着層、第4の接着層を形成して、それらの層中に前記吸着用電極および前記計測用電極を形成させてもよい。同様に、第1および第2の絶縁層だけでなく、第3の絶縁層、第4の絶縁層を形成させることもできる。
また、本発明は、前記吸着用電極と計測用電極が、絶縁層の異なる面上に分設されていてもよい。分設されているとは、絶縁層の片面に前記吸着用電極が形成され、前記絶縁層のもう一方の面に前記計測用電極が形成されるものをいう。
厚さ方向において重なるとは、吸着用電極の延存方向に対して垂直方向に切断した静電チャック装置の断面において、吸着用電極が延存する面の垂直面に、計測用電極の延存面が少なくとも一部分存在することをいう。
すなわち、前記吸着用電極は電圧の印加を行うことによって被吸着体を吸着するためのものであり、その個数は1つ以上有するものであればよいのであって、図4に示すように1つであっても、図5および図6に示すように複数であってもよく、特に制限されるものではない。図5および図6に示す複数の吸着用電極を有する場合、同一極性の電圧を印加するだけではなく、極性の異なる電圧を印加することもできる。
前記計測用電極が1つである場合、その静電容量は計測用電極50と基板10間を測定することにより、被吸着体の吸着状態を確認することができる。
前記計測用電極が2つ以上である場合、その静電容量は計測用電極間を測定することにより、被吸着体の吸着状態を確認することができる。
また、吸着用電極と計測用電極が厚さ方向において重なる場合、その静電容量は計測用電極間を測定することが好ましい。
計測用電極が構成する第2の電極パターンは、基板と前記計測用電極間または前記計測用電極間の静電容量を好適に測定することができればよいのであって、その長さは特に制限されるものではないが、前記第2の電極パターンの全長を長くすることによって静電容量の値が大きくなるため、センサとしての感度が増大する。したがって、前記第2の電極パターンは蛇行させて全長を長くすることが好ましい。また、図4、図5および図6に示すように、計測用電極が構成する第2の電極パターンは、吸着用電極が構成する第1の電極パターンの間隙に存在することが好ましく、第2の電極パターンは櫛歯状に存在することが好ましい。
吸着用電極に異なる電圧が印加される場合、隣接する吸着用電極および/または計測用電極の間隔は2mm以下であることが好ましい。電極間隔が2mm超では、電極間に十分な静電力が発生せず、吸着力が不十分となる恐れがある。
なお、吸着用電極および計測用電極を同一の接着層に設ける場合において、計測用電極の幅を広げると、吸着用電極が構成する第1の電極パターンの相対的な面積が小さくなることから、被吸着体に対する吸着力が減少するため、計測用電極の幅は吸着用電極よりも狭くすることが好ましい。
<電極>
吸着用電極および計測用電極としては、具体的には、銅、アルミニウム、金、銀、白金、クロム、ニッケル、タングステン等やこれらの金属から選択される2種以上の金属からなる薄膜が好ましい。このような金属の薄膜は、蒸着、メッキ、スパッタリング等により成膜されたものや、導電性ペーストを塗布乾燥して成膜されたもの、具体的には、銅箔等の金属箔が挙げられる。
基板は特に限定されないが、アルミニウムやステンレス等の金属基板、セラミックス、プラスチック等を使用することができる。
本発明を構成する接着層は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、スチレン系ブロック共重合体、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、アミン化合物、ビスマレイミド化合物等から選択される1種または2種以上の樹脂を主成分とする。
接着層を2以上設ける場合、当該接着層は同じものを用いてもよいし、異なるものを用いてもよい。
半硬化状態にすることにより、特に加工使用条件、例えば硬化時間の短縮、導体パターンの埋め込み等でフロー性や発泡をおさえることができる。半硬化状態のコントロール方法は限定しないが、エージング等でコントロールすることが好ましい。
乾燥後の接着層の厚さは、3〜400μm、好ましくは5〜100μmである。
接着層を形成させたフィルムの保管時には、必要に応じて剥離性フィルムを貼着し、使用時には剥がして用いる。また、接着層を単層で使用する場合は支持体を剥離性フィルムとすることが望ましく、支持体側も剥がして用いる。
本発明を構成する絶縁層は、絶縁性を有する材料であればいかなるものでもよいのであって、絶縁性有機フィルムでもセラミックス層であってもよい。
絶縁層を2以上設ける場合、当該絶縁層は同じものを用いてもよいし、異なるものを用いてもよい。
以下、本発明を実施例により説明する。
さらに、第1の絶縁層30であるポリイミドフィルム上に、第1の接着層20として乾燥および加熱により半硬化させた絶縁性接着シートを積層し、アルミ製の基板10を貼着させ、熱処理により接着させた。なお、乾燥後の第1の接着層20の絶縁性接着剤シートの厚さは20μmであった。
また、第1の接着層20および第2の接着層21には下記組成からなる接着層を混合溶解させたものを、有機フィルム上に塗布し、乾燥および加熱することで得た。
・アクリロニトリル−ブタジエンゴム(日本ゼオン社製 商品名:ニッポール1001) 100重量部
・高純度エポキシ樹脂(油化シェル社製 商品名:エピコートYL979) 50重量部
・クレゾール型フェノール樹脂(昭和高分子社製 商品名:CKM2400) 50重量部
・2−エチルメチルイミダゾール(和光純薬工業社製) 5重量部
上記の方法によって、図1および図4に示す静電チャック装置を作成した。
実施例1〜3で得られた静電チャック装置、被吸着体として厚さ0.7mmのガラス(コーニング社製 商品名:Corning1737)を用いて、静電容量を測定した。静電容量の測定には、デジタルLCRメータ(AMREL社製 製品名:AR−470D)を使用した。
実施例1は、吸着用電極40に+3kVを印加し、計測用電極50と基板10との間の静電容量の変化を測定した。
実施例2は、吸着用電極40に+3kVを印加し、吸着用電極41に−3kVを印加した後、吸着用電極41と基板10間の静電容量の変化を測定した。
実施例3は、吸着用電極40に+3kVを印加し、吸着用電極41に−3kVを印加した後、計測用電極50および計測用電極51間の静電容量の変化を測定した。
なお、静電容量の変化は以下の5つの時点において測定した。
1.初期状態:静電チャック装置にガラスを載せず、電圧を印加していない状態
2.電圧印加:静電チャック装置に何も載せないで電圧を印加した状態
3.被吸着体接触:電圧を印加していない状態で静電チャックの上にガラスが載っている状態
4.被吸着体吸着:静電チャック装置にガラスが載っている状態で電圧を印加した状態(ガラスが吸着している状態)
5.被吸着体脱離:印加電圧を解除してガラスを除いた状態
表1より、初期状態および被吸着体接触時の静電容量を比べると、被吸着体接触時において静電容量が相対的に上昇しているため、静電チャック装置に被吸着体が存在しているか否かを確認することができる。
また、被吸着体接触時と被吸着体吸着時の静電容量を比べると、被吸着体吸着時において静電容量が相対的に上昇しているため、静電チャック装置に被吸着体が吸着されているか否かを確認することができる。
また、実施例1および実施例2に示すように、計測用電極を1つ以上有する静電チャック装置であるため、基板と計測用電極間の静電容量を測定することができ、被吸着体が導体、半導体および絶縁体のいずれであっても、これらの吸着状態を確認することができる。
加えて、実施例3に示すように、計測用電極を2つ以上有する静電チャック装置であるため、前記計測用電極間の静電容量を測定することにより、被吸着体が導体、半導体および絶縁体のいずれであっても、これらの吸着状態を確認することができる。
本発明の静電チャック装置によれば静電容量の測定を連続的に行うことができるため、静電チャック装置と被吸着体間の吸着状態をモニタリングすることができる。
20 第1の接着層
21 第2の接着層
30 第1の絶縁層
31 第2の絶縁層
40、41 吸着用電極
50、51 計測用電極
Claims (4)
- 基板上に、1以上の接着層と1以上の絶縁層とが交互に、かつ最表面が絶縁層となるように順次積層されてなる静電チャック装置であって、前記絶縁層の面に吸着用電極と計測用電極が同一面上に併設され、前記計測用電極が構成する電極パターンが、吸着用電極が構成する電極パターンの間隙に存在することを特徴とする静電チャック装置。
- 基板上に、第1の接着層、第1の絶縁層、第2の接着層および第2の絶縁層が順次積層されてなることを特徴とする請求項1に記載の静電チャック装置。
- 前記吸着用電極を2つ以上有することを特徴とする請求項1に記載の静電チャック装置。
- 前記計測用電極を2つ以上有することを特徴とする請求項1に記載の静電チャック装置。
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