JP4886521B2 - 免疫応答修飾活性の試験管内評価方法 - Google Patents

免疫応答修飾活性の試験管内評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、樹状細胞の分化誘導活性を利用した、特定物質が有するアジュバントとしての免疫応答修飾活性の評価方法、およびその活性のスクリーニング方法に関する。
近年、環境要因と免疫応答のインターフェイスとして樹状細胞(Dendritic cells:DC)が重要な役割を演じていることが、明らかとなりつつある。 樹状細胞とは、造血幹細胞起源の単球から分化した細胞で、マクロファージ、B細胞と共に主要な抗原提示細胞(antigen-presenting cells:APC)として知られている。 樹状細胞は、ナイーブT細胞に抗原を提示して、該ナイーブT細胞の一次応答を誘導できる唯一のプロフェッショナル抗原提示細胞(professional APC)として機能しており、特にヘルパーT細胞(Th細胞)への分化誘導には、樹状細胞による抗原提示が必須とされている。 樹状細胞による抗原提示は、食作用により取り込まれたタンパク質抗原がペプチドへと断片化され、該ペプチド(抗原ペプチド)がMHCクラスI分子、MHCクラスII分子と結合し、該樹状細胞表面に輸送されることにより行われる。
一方、上記のような抗原提示に関与するタンパク質抗原とは異なり、抗原非特異的に樹状細胞の抗原提示機能を増加させ、免疫応答を増強するタンパク質抗原以外の活性物質も知られている。このような物質をアジュバントと呼ぶ。 図1に、アジュバントによる樹状細胞の分化誘導と、それに続くナイーブT細胞の分化誘導の概要を模式的に例示する。
アジュバントは、未熟樹状細胞(immature DC:iDC)(105)表面上の特定のToll-like receptor(TLR)(104)と結合する。そのシグナルが細胞内に伝達されることにより当該未熟樹状細胞は活性化され、成熟樹状細胞(mature DC:mDC)へと分化する(例えば、非特許文献1参照)。 成熟樹状細胞にはいくつかのタイプが知られており、それぞれがナイーブCD4T細胞(109)に対して異なる分化誘導活性を有している。一般にTh1(T helper 1)細胞(110)を誘導する成熟樹状細胞をDC1(106)、Th2(T helper 2)細胞(111)を誘導する成熟樹状細胞をDC2(107)、Tr(T regulatory)細胞(112)を誘導する成熟樹状細胞をDCr(108)と呼ぶ。そして、未熟樹状細胞をDC1に分化させる活性を有するアジュバントをTh1アジュバント(101)、DC2に分化させる活性を有するアジュバントをTh2アジュバント(102)、DCrに分化させる活性を有するアジュバントをTrアジュバント(103)と言う。 Th1アジュバントとしては、主として細菌によって産生されるコレラ毒(choleratoxin:CT)等が、Th2アジュバントとしては、住血吸虫由来のリン脂質であるフォスファチジルセリン(Phosphatidylserine)等が、Trアジュバントとしては、リソ・フォスファチジルセリン(Lysophosphatidylserine)等が知られている(例えば、非特許文献2参照)。
図2A〜Cに、ヘルパーT細胞の機能に関する概要を模式的に例示する。 図2Aに示すように、Th1細胞(202)とTh2細胞(203)は、互いに異なるサイトカインを産生することで、異なる免疫応答反応を制御している。すなわち、Th1細胞がインターフェロンγ(以下、「IFN−γ」とする)、リンホトキシン(以下、「TNF−β」とする)等のサイトカイン(204)を産生し、主として細胞内寄生性微生物やウィルスに対する感染防御を制御するのに対して、Th2細胞は、インターロイキン4(以下、「IL−4」とする)、インターロイキン5(以下、「IL−5」とする)、インターロイキン6(以下、「IL−6」とする)、インターロイキン10(以下、「IL−10」とする)、インターロイキン13(以下、「IL−13」とする)等のサイトカイン(205)を産生し、細胞外寄生性微生物に対する感染防御や、アレルゲンに対する防御機能を制御している。 Th1細胞及びTh2細胞は、それぞれが産生するサイトカインによってお互いの機能を制御しており、相互のバランスによって免疫応答反応が制御されている(例えば、非特許文献3参照)。
Th1細胞の機能及びTh2細胞の機能の平衡状態(Th1/Th2バランス)が崩れることによって多くの免疫疾患が生じことが知られており、例えば、図2Bに示すようなTh1細胞の過剰活性化によって生じる疾患としては、関節リウマチやインスリン依存性糖尿病などの自己免疫疾患が知られており、図2Cに示すようなTh2細胞の過剰活性化によって生じる疾患としては、喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患が知られている。 したがって、アジュバントが、ナイーブCD4T細胞をTh1細胞とTh2細胞のいずれに分化誘導する活性を有するか、すなわちTh1アジュバント活性とTh2アジュバント活性のいずれを有するかは、免疫応答反応において、さらには免疫疾患の治療においても重要となってくる。
我々の生活を取り巻く環境物質や化学物質等の特定物質の中には、アジュバントとしての免疫応答修飾活性を有するものが多数存在する。実際、それらの特定物質のうちいくつかに関しては、花粉症、気管支喘息、アトピー性皮膚炎等のアレルギー疾患の原因因子であることが知られており、現在でも人間の健康的な生活を脅かしている。したがって、特定物質が有する免疫応答修飾活性(アジュバント活性)を評価すること、特にTh1アジュバント活性又はTh2アジュバント活性のいずれを有するか(以下、「Th1/Th2アジュバント活性」ということがある)を評価することは、前記特定物質の人体に与える影響を予測する上でも重要であり、また前記特定物質を含む工業製品等の安全性や、前記特定物質を含む薬剤等の有効性を確認する上でも極めて重要である。
従来、このような特定物質が有する免疫応答修飾活性を評価する方法としては、マウスやウサギ等の実験動物に、評価対象である特定物質を直接接種してその動向を調べるという方法、具体的には、投与された実験動物の体内で産生されるサイトカインの種類や量、抗体産生量等を指標として、免疫応答の増強を調べるという方法が一般的である。 しかしながら、従来の実験動物を用いた方法では、結果を得るまでに2ヶ月という長時間を要する点、また一検体で一つの特定物質しか評価できないため、多数の特定物質を同時に評価することはコスト面においても効率面においても不利である点、さらに、得られた結果が必ずしもヒトに対する活性と一致乃至相関しない点等の様々な問題点があった。 また、近年、動物保護法等の法的規制が国際的に広がる中で、実験動物を用いた方法に替わる評価方法が望まれている。
したがって、環境物質や化学物質等の様々な特定物質が有する免疫応答修飾活性を、実験動物を用いることなく評価することができ、さらに、短期間で効率よく正確に、かつ安価に評価することができる方法が求められているのが現状である。
Takeda K, Akira S. Toll receptors and pathogen resistance. Cell Microbiol 2003;5:143-153. van der Kleij D, Latz E, Brouwers JF, Kruize YC, Schmitz M, Kurt-Jones EA, Espevik T, de Jong EC, Kapsenberg ML, Golenbock DT, Tielens AG, Yazdanbakhsh M. A novel host-parasite lipid cross-talk. J Biol Chem. 2002;277(50):48122-48129. 久保允人著 「Th1反応とTh2反応による感染防御と疾患」小安重夫偏,免疫学がわかる2000.pp74-80.羊土社
本発明は、従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、環境物質や化学物質等の特定物質が有する免疫応答修飾活性、特にTh1/Th2アジュバント活性を、in vitroで、短期間で効率よく正確に、かつ安価に評価することができる方法を提供することを目的とする。
また、in vitroにおける評価方法において、従来困難とされてきた有機溶媒に溶解する難水溶性物質、及び前記特定物質が含有する難水溶性成分(以下、難水溶性物質、及び前記特定物質が含有する難水溶性成分をまとめて「難水溶性物質」とする)を細胞培養系に容易に導入することを可能とする方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、前記特定物質が有する免疫応答修飾活性を、前記特定物質で刺激して得た成熟樹状細胞のタイプを判定することにより評価できること、特に、前記特定物質のTh1/Th2アジュバント活性を、前記特定物質で刺激して得た成熟樹状細胞が発現する特定のNotchリガンドのmRNA量比で評価できること、及び前記成熟樹状細胞の細胞内cAMP濃度を指標として評価できることを知見した。
本発明は、本発明者による前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 未熟樹状細胞を特定物質で刺激し、該刺激により前記未熟樹状細胞から分化誘導された成熟樹状細胞を解析することにより、前記特定物質が有する免疫応答修飾活性を評価することを特徴とする免疫応答修飾活性評価方法である。
<2> 未熟樹状細胞が、単球、幹細胞、及び培養細胞のいずれかを分化誘導する未熟樹状細胞分化誘導ステップにより調製され、刺激が、前記未熟樹状細胞に特定物質を加えて培養する成熟樹状細胞分化誘導ステップにより行われ、解析が、成熟樹状細胞解析ステップにより行われる前記<1>に記載の免疫応答修飾活性評価方法である。
<3> 成熟樹状細胞の解析が、前記成熟樹状細胞が産生する液性因子を測定することにより行われる前記<1>に記載の免疫応答修飾活性評価方法である。
<4> 成熟樹状細胞解析ステップが、成熟樹状細胞によって産生される液性因子を測定する液性因子測定ステップである前記<2>から<3>のいずれかに記載の免疫応答修飾活性評価方法である。
<5> 成熟樹状細胞の解析が、前記成熟樹状細胞の表面抗原を測定することにより行われる前記<1>に記載の免疫応答修飾活性評価方法である。
<6> 成熟樹状細胞解析ステップが、成熟樹状細胞の表面抗原の発現を測定する表面抗原測定ステップである前記<2>及び<5>のいずれかに記載の免疫応答修飾活性評価方法である。
<7> 成熟樹状細胞の解析が、前記成熟樹状細胞のNotchリガンド発現プロファイルを解析することにより行われる前記<1>及び<5>のいずれかに記載の免疫応答修飾活性評価方法である。
<8> 成熟樹状細胞の解析が、成熟樹状細胞におけるデルタ1遺伝子発現量及びデルタ4遺伝子発現量の比を解析する前記<1>及び<7>のいずれかに記載の免疫応答修飾活性評価方法である。
<9> 成熟樹状細胞解析ステップが、成熟樹状細胞のデルタ1遺伝子及びデルタ4遺伝子の発現量を定量し、前記デルタ1遺伝子と前記デルタ4遺伝子の発現量比を求めるデルタ1/デルタ4遺伝子発現量比測定ステップである前記<2>、及び<5>から<8>のいずれかに記載の免疫応答修飾活性評価方法である。
<10> 成熟樹状細胞の解析が、前記成熟樹状細胞の細胞内cAMP濃度を測定することにより行われる前記<1>に記載の免疫応答修飾活性評価方法である。
<11> 成熟樹状細胞解析ステップが、成熟樹状細胞内のcAMP濃度を測定するcAMP濃度測定ステップである前記<2>及び<10>のいずれかに記載の免疫応答修飾活性評価方法である。
<12> 成熟樹状細胞の解析が、前記成熟樹状細胞のナイーブCD4+T細胞に対する分化誘導活性を評価することにより行われる前記<1>に記載の免疫応答修飾活性評価方法である。
<13> 成熟樹状細胞解析ステップが、ナイーブCD4+T細胞から成熟樹状細胞によって分化誘導されたTh細胞のタイプを判定するTh細胞分化判定ステップを含む前記<2>及び<12>に記載の免疫応答修飾活性評価方法である。
<14> Th細胞分化判定ステップが、Th細胞が産生するサイトカイン、及びTh細胞表面に発現したケモカインレセプターのいずれかを測定することにより行われる前記<13>に記載の免疫応答修飾活性評価方法である。
<15> 成熟樹状細胞解析ステップが、ナイーブCD4+T細胞から成熟樹状細胞により分化誘導されたTh細胞のMLR誘導による増殖応答の強さを測定するMLR誘導活性評価ステップを含む前記<2>及び<12>に記載の免疫応答修飾活性評価方法である。
<16> 単球、幹細胞、及び培養細胞のいずれかが、ヒト由来である前記<2>に記載の免疫応答修飾活性評価方法である。
<17> 単球が、末梢血、臍帯血、骨髄液、及び組織のいずれかの由来である前記<2>に記載の免疫応答修飾活性評価方法である。
<18> 培養細胞が、ヒト骨髄性赤白血病細胞由来KG−1株である前記<1>から<17>のいずれかに記載の免疫応答修飾活性評価方法である。
<19> 液性因子が、インターロイキン10、インターロイキン12p40、インターロイキン12p70、インターロイキン18、インターロイキン23、MDC、TARC、CCL1、CCL2、及びTGF−βから選択される少なくとも1種である前記<3>から<4>のいずれかに記載の免疫応答修飾活性評価方法である。
<20> 前記ナイーブCD4+T細胞調製ステップで調製されるナイーブCD4+T細胞が、アロナイーブCD4+T細胞、またはゼノナイーブCD4+T細胞である前記<12>から<15>のいずれかに記載の免疫応答修飾活性評価方法である。
<21> 特定物質が難水溶性物質であり、前記難水溶性物質を有機溶媒中に溶解又は抽出した難水溶性物質溶液を調製し、該難水溶性物質溶液から前記難水溶性物質を含む画分を回収してなる難水溶性物質溶離液を調製し、該難水溶性物質溶離液の有機溶媒を揮発させた後、該揮発を行った容器に未熟樹状細胞を添加することにより、前記未熟樹状細胞を前記特定物質で刺激する前記<1>から<20>のいずれかに記載の免疫応答修飾活性評価方法である。
<22> 有機溶媒の風乾により、特定物質の殺菌を行う前記<21>に記載の免疫応答修飾活性評価方法である。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、環境物質や化学物質等の特定物質が有する免疫応答修飾活性、特にTh1/Th2アジュバント活性を、in vitroで、短期間で効率よく正確に、かつ安価に評価することができる方法を提供することができる。また、in vitroにおける評価方法において、従来困難とされてきた難水溶性物質を細胞培養系に容易に導入する方法を提供することができる。
図1は、樹状細胞の分化とヘルパーT細胞の分化誘導の説明図である。 図2Aは、ヘルパーT細胞(Th1細胞及びTh2細胞)の機能の概略を示す説明図である。 図2Bは、図2Aに示すヘルパーT細胞の機能において、Th1細胞の過剰活性化状態を示す模式図である。 図2Cは、図2Aに示すヘルパーT細胞の機能において、Th2細胞の過剰活性化状態を示す模式図である。 図3は、本発明の免疫応答修飾活性評価方法を示す概念図である。 図4は、成熟樹状細胞分化誘導ステップを模式的に例示した概念図である。 図5は、成熟樹状細胞分化誘導ステップにおける水溶性物質刺激方法の概念図である。 図6は、成熟樹状細胞分化誘導ステップにおける難水溶性物質刺激方法の概念図である。 図7は、揮発殺菌処理方法の概念図である。 図8は、成熟樹状細胞分化誘導ステップにおける不溶固形物質刺激方法の概念図である。 図9Aは、成熟樹状細胞のデルタ1/デルタ4遺伝子発現量比を測定する本発明の第1の実施形態の一例を示す概念図である。 図9Bは、成熟樹状細胞の細胞内cAMP濃度を測定する本発明の第2の実施形態の一例を示す概念図である。 図9Cは、成熟樹状細胞の液性因子を測定する本発明の実施形態の一例を示す概念図である。 図9Dは、成熟樹状細胞の表面抗原を測定する本発明の実施形態の一例を示す概念図である。 図10は、成熟樹状細胞によりナイーブCD4T細胞から誘導されたTh細胞のタイプを判定する本発明の第3の実施形態の概念図である。 図11は、PBMCsからのナイーブCD4T細胞分離方法の一例を示す説明図である。 図12は、成熟樹状細胞によりナイーブCD4T細胞から誘導されたTh細胞のMLR誘導活性を評価する本発明の第4の実施形態の概念図である。 図13は、本発明の免疫応答修飾活性の試験管内評価方法の概念図である。 図14は、参考例1において、ビスフェノールA及びp−ノニルフェノールの免疫応答修飾活性を、Th細胞が産生するサイトカインを測定して評価した結果を示すグラフである。 図15は、実施例2において、Th細胞に発現したケモカインレセプターの発現量比を測定して特定物質の免疫応答修飾活性を評価した結果を示すグラフである。 図16は、参考例3において、Th細胞が産生したサイトカインを測定して特定物質の免疫応答修飾活性を評価した結果を示すグラフである。 図17は、実施例4において、KG−1株由来成熟樹状細胞中に発現したNotchリガンド遺伝子の発現を示す電気泳動写真であり、図17中、1はLPS、2はPGE、3はPGE+TNF−α、4はforskolin、5はforskolin+TNF−α、6はTNF−α、7は無刺激の結果をそれぞれ表す。 図18は、実施例5において、成熟樹状細胞中に発現するデルタ1遺伝子、デルタ4遺伝子の発現を示す電気泳動写真であり、左が刺激から1時間後の結果、右が刺激から3時間後の結果を示す。図18中、1はLPS、2はPGE、3はPGE+TNF−α、4はTNF−α、5は無刺激の結果をそれぞれ表す。 図19Aは、実施例6において、ヒト単球由来成熟樹状細胞中に発現したデルタ1遺伝子の発現量を示すグラフである。 図19Bは、実施例6において、ヒト単球由来成熟樹状細胞中に発現したデルタ3遺伝子の発現量を示すグラフである。 図19Cは、実施例6において、ヒト単球由来成熟樹状細胞中に発現したデルタ4遺伝子の発現量を示すグラフである。 図19Dは、実施例6において、ヒト単球由来成熟樹状細胞中に発現したJagged1遺伝子の発現量を示すグラフである。 図19Eは、実施例6において、ヒト単球由来成熟樹状細胞中に発現したJagged2遺伝子の発現量を示すグラフである。 図20は、実施例6において、ヒト単球由来成熟樹状細胞中に発現したNotchリガンド遺伝子の発現を示す電気泳動写真であり、図20中、1はLPS、2はPGE、3はPGE+TNF−α、4はTNF−α、5はforskolin、6は無刺激の結果をそれぞれ表す。 図21は、実施例7において、ヒト単球由来成熟樹状細胞の細胞内cAMP量を測定した結果を示すグラフである。 図22は、実施例8において、KG−1株由来成熟樹状細胞の細胞内cAMP量を測定した結果を示すグラフである。 図23は、参考例9において、Th細胞のMLR誘導による増殖応答の強さの測定結果を示すグラフである。
(免疫応答修飾活性評価方法)
本発明の免疫応答修飾活性評価方法は、未熟樹状細胞を特定物質で刺激し、該刺激により前記未熟樹状細胞から分化誘導された成熟樹状細胞を解析することにより、前記特定物質が有する免疫応答修飾活性を評価することを含み、必要に応じて適宜選択したその他の処理等を含む。
前記成熟樹状細胞を解析する実施形態としては、例えば、前記成熟樹状細胞が産生する液性因子を測定する実施形態、前記成熟樹状細胞の表面抗原を測定する実施形態、前記成熟樹状細胞の細胞内cAMP濃度を測定する実施形態、及び前記成熟樹状細胞のナイーブCD4T細胞に対する分化誘導活性を評価する実施形態などが挙げられる。 前記成熟樹状細胞の表面抗原を測定する実施形態としては、前記表面抗原を、タンパク質レベルで測定する態様、及びmRNAレベルで測定する態様が挙げられる。mRNAレベルで測定する態様においては、例えば、Notchリガンド発現プロファイルを解析する実施形態、特に、デルタ1/デルタ4遺伝子発現量比を測定する実施形態が好ましい。 また、前記ナイーブCD4T細胞に対する分化誘導活性を評価するする実施形態としては、例えば、前記成熟樹状細胞によって分化誘導されたTh細胞のタイプを判定する実施形態、及び前記成熟樹状細胞により分化誘導されたTh細胞のMLR(Mixed Lymphocyte Reaction)誘導による増殖応答の強さを測定する実施形態が挙げられる。
これらの中でも、(1)前記成熟樹状細胞のデルタ1/デルタ4遺伝子発現量比を測定する実施形態(以下、「第1の実施形態」ということがある)、(2)前記成熟樹状細胞の細胞内cAMP濃度を測定する実施形態(以下、「第2の実施形態」ということがある)、(3)ナイーブCD4T細胞から成熟樹状細胞によって分化誘導されたTh細胞のタイプを判定するする実施形態(以下、「第3の実施形態」ということがある)、及び(4)成熟樹状細胞により分化誘導されたTh細胞のMLR(Mixed Lymphocyte Reaction)誘導による増殖応答の強さを測定する実施形態(以下、「第4の実施形態」ということがある)が好ましい。
前記免疫応答修飾活性評価方法は、少なくとも成熟樹状細胞分化誘導ステップ、及び成熟樹状細胞分化判定ステップを含み、必要に応じて適宜選択した他のステップを含む。
例えば、図3に模式的に示すような、未熟樹状細胞分化誘導ステップ(S301)と、成熟樹状細胞分化誘導ステップ(S302)と、成熟樹状細胞分化判定ステップ(S303)と、からなることが好ましい。すなわち、前記未熟樹状細胞は、単球、幹細胞、及び培養細胞のいずれかを分化誘導する前記未熟樹状細胞分化誘導ステップ(S301)により調製されることが好ましく、前記刺激は、前記未熟樹状細胞に特定物質を加えて培養する前記成熟樹状細胞分化誘導ステップ(S302)により行われることが好ましく、前記解析が、前記成熟樹状細胞解析ステップ(S303)により行われることが好ましい。
前記成熟樹状細胞解析ステップは、前記成熟樹状細胞を解析する実施形態に応じて適宜選択され、例えば、(1)前記成熟樹状細胞のデルタ1/デルタ4遺伝子発現量比を測定する第1の実施形態においては、「デルタ1/デルタ4遺伝子発現量比測定ステップ」であり、(2)前記成熟樹状細胞の細胞内cAMP濃度を測定する第2の実施形態においては「cAMP濃度測定ステップ」である。また、他の実施形態として、前記成熟樹状細胞が産生する液性因子を測定する実施形態においては「液性因子測定ステップ」であり、前記成熟樹状細胞の表面抗原を測定する実施形態においては「表面抗原測定ステップ」である。 さらに、前記成熟樹状細胞のナイーブCD4T細胞に対する分化誘導活性を評価する実施形態の場合、前記成熟樹状細胞解析ステップは、(3)ナイーブCD4T細胞から前記成熟樹状細胞によって分化誘導されたTh細胞のタイプを判定する第3の実施形態においては「Th細胞分化判定ステップ」を少なくとも含み、(4)前記成熟樹状細胞により分化誘導されたTh細胞のMLR誘導による増殖応答の強さを測定する第4の実施形態においては「MLR誘導活性評価ステップ」を少なくとも含む。
ここで、本発明における前記特定物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、環境ホルモン、排気ガス、及びトナー等に含まれる微粒子、細菌等の微小生物、ダニ等の動物、花粉等の植物体の一部、ハウスダスト等の環境物質、並びに工業製品、建築用材品、医薬品、飲食品、化粧品、家電製品、及び衣料品等に含まれる化学物質などが挙げられる。
なお、本発明の実施において行われる細胞の培養は、無菌的条件下、または滅菌された条件下等の細菌等によって培養液が汚染されない条件下で行われるものとする。 なお、前記培養の方法としては、以下に記載された特定の方法、プロトコル、動物種、細胞株、および試薬に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において変化し、種々なる態様で実施し得る。
以下、本発明の免疫応答修飾活性評価方法を、各ステップの説明を通じて明らかにする。
<未熟樹状細胞分化誘導ステップ> 前記未熟樹状細胞は、前記未熟樹状細胞分化誘導ステップにより調製されることが好ましい。 前記未熟樹状細胞分化誘導ステップは、単球、幹細胞、及び培養細胞のいずれかを未熟樹状細胞に分化誘導するステップである。 前記単球、前記幹細胞、及び前記培養細胞としては、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができるが、ある生物種の免疫応答修飾活性を評価するにあたっては、同一の生物種由来のものを使用することが好ましい。例えば、ヒトの免疫応答修飾活性評価を行う場合には、ヒト由来の単球、ヒト由来の幹細胞、及びヒト由来の培養細胞のいずれかを使用することが好ましい。 前記単球としては、例えば、末梢血、臍帯血、骨髄液、及び組織のいずれかの由来であるものが好ましい。 前記培養細胞としては、例えば、ヒト骨髄性赤白血病細胞由来KG−1株が好ましい。
A.単球を未熟樹状細胞に分化誘導する方法(I)単球の調製方法 前記未熟樹状細胞分化誘導ステップで用いる単球としては、末梢血、臍帯血、骨髄液、及びその他の組織から調製される単球が挙げられる。前記単球を調製する方法の一例を、以下に説明する。
(i)末梢血からの単球の調製方法 前記末梢血からの単球の調製方法としては、健常個体から末梢血をヘパリンを添加して採取し、前記末梢血からFicoll−Paque等を用いた密度勾配遠心法により単核球層を回収し、末梢血単核球(Peripheral Blood Mononuclear Cells:以下、「PBMCs」とする)を分離し、次いで、前記PBMCsからCD14細胞を分離する方法が挙げられる。なお、前記PBMCsは3×10個以上あることが好ましい。
前記CD14細胞を分離する方法としては、特に制限はなく、公知の方法から適宜選択することができ、例えば、Kalinski P,Hilkens CM,Snijders A,Snijdewint FG, and Kapsenberg ML. IL-12-deficient dendritic cells, generated in the presence of prostaglandin E2, promote type 2 cytokine production in maturing human naive T helper cells. J Immunol 1997 159: 28-35.等の文献に記載された方法により行うことができる。 また、市販のCD14細胞分離キット等を用い、抗体標識されたCD14細胞を分離してもよく、前記CD14細胞分離キットとしては、例えば、MACS Microbeads(Miltenyi Biotec GmbH,Bergisch Gladbach, Germany)等が挙げられる。 上記の方法により得られる細胞試料には、前記CD14細胞以外の細胞が多少混入していてもよいが、混入しないことが好ましい。
(ii)臍帯血からの単球の調製方法 前記臍帯血からの単球の調製方法としては、健常個体の正常分娩後に摘出した胎盤からヘパリンを添加して臍帯血を採取し、前記臍帯血から単核球を分離し、前記単核球からCD14細胞を分離する方法であれば特に制限はなく、前記臍帯血から単核球を分離し、前記単核球からCD14細胞を分離する方法としては、例えば、特開2002−69001号公報に記載の方法、前記(i)と同様の方法等が挙げられる。
(iii)骨髄液からの単球の調製方法 前記骨髄液からの単球の調製方法としては、健常個体より骨髄液を採取し、前記骨髄液から単核球を分離し、前記単核球からCD14細胞を分離する方法であれば特に制限はなく、前記骨髄液から単核球を分離し、前記単核球からCD14細胞を分離する方法としては、例えば、前記(i)と同様の方法等が挙げられる。
(iv)組織からの単球の調製方法 前記組織としては、特に制限はなく、例えば、脾臓、リンパ節、扁桃、及び肝臓などが挙げられる。 前記組織からの単球の調製法としては、健常個体より特定臓器又は特定器官の組織の一部を採取し、前記組織を無菌的に組織破砕器(tissue grinder)などの適当な器具を用いて単一細胞化した後、破砕液中の細胞破壊物片(debris)を濾過除去し、遠心分離によって主として単一細胞からなる細胞群を得て、前記細胞群から単核球を分離し、前記単核球よりCD14細胞を分離する方法が挙げられる。前記細胞群から単核球を分離し、前記単核球よりCD14細胞を分離する方法としては、例えば、前記(i)と同様の方法等が挙げられる。
(II)調製した単球を未熟樹状細胞に分化誘導する方法 前記単球を未熟樹状細胞に分化誘導する方法としては、前記単球を顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(以下、「GM−CSF」とする)、及びIL−4を介した刺激により未熟樹状細胞に分化誘導する方法が挙げられ、例えば、米国特許第6,479,286号明細書、及びSallusto F and Lanzavecchia A. Efficient presentation of soluble antigen by cultured human dendritic cells is maintained by granulocyte/macrophage colony-stimulating factor plus interleukin 4 and downregulated by tumor necrosis factor alpha. J Exp Med. 1994;179:1109-1118.等の文献に記載した方法が挙げられるが、将来的に開発されることが予測されるこれと同様の結果を示す他の方法であってもよい。
前記単球を未熟樹状細胞に分化誘導する際に用いられる培地としては、通常細胞培養液にGM−CSF及びIL−4を添加したもの(以下、「成熟樹状細胞分化誘導液」という)が好ましい。 前記通常細胞培養液としては、例えば、イスコフ培地(以下、「IMDM」とする)、ダルベッコ改変イーグル培地(以下、「DMEM」とする)、RPMI−1640培地等の培地に、牛胎児血清(fetal calf serum:FCS、Fetal bovine serum:FBS)等の滅菌処理済、非働化済10%血清を添加したものが挙げられる。 前記通常細胞培養液添加するGM−CSF及びIL−4の添加量としては、50〜100ng/mLが好ましく、それぞれ同濃度で添加されることがより好ましい。
なお、前記未熟樹状細胞分化誘導ステップのみならず、本発明の免疫応答修飾活性評価方法における他のステップで使用される全ての培地は、フェノールレッドを含まない培地が好ましい。フェノールレッドにはエストロゲン様の活性が見られるためである。
前記単球は、前記成熟樹状細胞分化誘導液を用い、37℃、5%CO濃度の条件下で5〜7日間培養することにより、未熟樹状細胞へと分化する。培養中には、培地の交換を適宜行ってもよい。
前記GM−CSFは、ヒト、またはヒト以外の生物種の組換えタンパク質、あるいはそれらの生体から生成したものであってもよいが、ヒト由来の単球の分化に関してはヒト由来のGM−CSFを使用するのが好ましい。同様に、他の各生物種の単球に関しては、それと同一の生物種由来のものを使用するのが好ましい。
前記IL−4は、ヒト、またはヒト以外の生物種の組換えタンパク質、あるいはそれらの生体から生成したものであってもよい。ヒト由来の単球の分化に関してはヒト由来のIL−4を使用するのが好ましい。同様に、他の各生物種の単球に関しては、それと同一の生物種由来のものを使用するのが好ましい。
B.幹細胞を未熟樹状細胞に分化誘導する方法
前記幹細胞を未熟樹状細胞に分化誘導する方法としては、例えば、ES細胞を、M−CSF産生能の欠損したフィーダー細胞、またはそれと同程度の機能を有するフィーダー培地と共に前記通常細胞培養液中で5日程度培養し、GM−CSF等のサイトカインを当該培養液中に添加してさらに5日程度培養した後、培養液中の処理済ES細胞を回収し、さらに5〜14日程度培養する方法が挙げられる。この間、適当な培地の交換を適宜行うことが好ましい。
前記M−CSF産生能の欠損したフィーダー細胞としては、例えば、マウスOP90であってもよい。
C.培養細胞を未熟樹状細胞に分化誘導する方法 前記培養細胞としてヒト骨髄性赤白血病細胞由来KG−1細胞(以下、単に「KG−1細胞」という)を、未熟樹状細胞に分化誘導する方法について説明する。
前記KG−1細胞を未熟樹状細胞に分化誘導する方法としては、例えば、前記KG−1細胞を、サイトカイン、フォルボールエステル等の分化誘導成分を添加した培地で培養する方法が挙げられる。前記分化誘導成分としては、例えば、GM−CSF、腫瘍壊死因子α(以下、「TNF−α」とする)、フォルボールエステル、カルシウムイオノフォア等が挙げられ、これらは単独、又は適宜組合せて添加することができる(例えば、St Louis DC, Woodcock JB, Fransozo G, Blair PJ, Carlson LM, Murillo M, Wells MR, Williams AJ, Smoot DS, Kaushal S, Grimes JL, Harlan DM, Chute JP, June CH, Siebenlist U and Lee KP. Evidence for distinct intracellular signaling pathways in CD34+ progenitor to dendritic cell differentiation from a human cell line model.J Immunol. 1999;162:3237-48.参照)。
前記KG−1細胞を未熟樹状細胞に分化誘導する培地としては、例えば、IMDM、DMEM、RPMI−1640等の培地に、滅菌処理済、非働化済のFCS等の血清を10〜20%程度含む通常細胞培養液に、200U/mL程度のGM−CSF及び10ng/mL程度のTNF−αを添加したものであってもよい。また、前記通常細胞培養液に10ng/mL程度のフォルボールエステルであるフォルボール12−ミリスチン酸13−酢酸(以下、「PMA」とする)を単独で、又はそれに100ng/mL程度のカルシウムイオノフォアであるイオノマイシン、若しくは10ng/mL程度のTNF−αを添加したものであってもよい。また、これらの培地にさらに100mM L−glutamineを加えてもよい。 前記培地をKG−1未熟樹状細胞分化誘導液として、前記KG−1細胞を37℃、5%CO濃度下で5〜7日間程度培養し、前記KG−1細胞を未熟樹状細胞へと分化させる。この培養期間中に、前記KG−1未熟樹状細胞分化誘導液の交換を適宜行ってもよい。
<成熟樹状細胞分化誘導ステップ> 前記成熟樹状細胞分化誘導ステップは、前記未熟樹状細胞分化誘導ステップで得られた前記未熟樹状細胞に、評価対象である前記特定物質を加えて培養し、前記特定物質の刺激によって前記未熟樹状細胞を前記成熟樹状細胞に分化誘導させるステップである。
前記特定物質は、水に容易に溶解する水溶性物質である場合と、有機溶媒に溶解する難水溶性物質である場合と、前記いずれにも容易に溶解しない不溶性固形物質である場合とがある。 このような前記特定物質の態様に応じた刺激方法の選択を模式的に例示した概念図を図4に示す。まず、前記特定物質がいずれの性質を持ち得るものかを判断し、その判断に沿って次のステップを選択する。未熟樹状細胞分化誘導ステップで得られる未熟樹状細胞を水溶性物質によって刺激する方法を水溶性物質刺激方法(S401)、難水溶性物質によって刺激する方法を難水溶性物質刺激方法(S402)、不溶性固形物質によって刺激する方法を不溶性固形物質刺激方法(S403)、とする。
A.水溶性物質刺激方法 図5に水溶性物質刺激方法を模式的に例示する。 前記水溶性物質刺激方法は、水溶性物質溶解ステップ(S501)と、水溶性物質分画精製ステップ(S502)と、水溶性物質刺激ステップ(S503)と、からなる。
(I)水溶性物質溶解ステップ 前記水溶性物質溶解ステップとは、評価対象である水溶性物質を水溶液中に溶解し、水溶性物質溶解液を調製するステップである。
前記水溶性物質溶解ステップでは、まず、評価対象である水溶性物質に水等を加えて撹拌して、前記水溶性物質を十分に溶解したものを水溶性物質溶解液とする。水溶性物質の溶解する分量に関しては、例えば、水溶性物質約10mgに対して水を約1mL加えて溶解したものであってもよいが、この量比に限られるものではなく、評価対象である水溶性物質が未熟樹状細胞を刺激するに足りる濃度で溶解していればよい。続いて、水溶性物質溶解液より不溶物を除去したものを水溶性物質溶解液上清とする。
前記水溶性物質溶解ステップで用いる水は、超純水が好ましいが、RO水(逆浸透水)、蒸留水のいずれであってもよい。
前記不溶物の除去は、遠心分離によって行ってもよいし、濾過で行ってもよい。遠心分離によって不溶物を沈殿させる場合の遠心条件は、例えば8000G、5分程度で行ってもよいが、この条件に限られたものではなく、不溶解物が十分に沈殿されていれば、いずれの条件で行ってもよい。
(II)水溶性物質分画精製ステップ 前記水溶性物質分画精製ステップとは、前記水溶性物質溶解ステップで得られた水溶性物質溶解液、あるいは水溶性物質溶解液上清から評価対象である特定の水溶性物質を含む画分を分画精製するステップである。
前記水溶性物質分画精製ステップにおいて、前記溶解液あるいは前記溶解液上清から評価対象である水溶性物質を含む分画を分画精製する方法は、適当なカラムを用いたHPLC法、カラム分離法のいずれを用いてもよい。当該ステップで得られた評価対象である特定の水溶性物質を含む画分を水溶性物質溶離液とする。
(III)水溶性物質刺激ステップ 前記水溶性物質刺激ステップとは、前記水溶性物質溶解ステップで得られた水溶性物質溶解液、水溶性物質溶解液上清、又は水溶性物質溶離液を、前記未熟樹状細胞調製ステップで得られた未熟樹状細胞に加えて培養し、評価対象である水溶性物質の刺激によって成熟樹状細胞を分化誘導させるステップである。
前記水溶性物質溶解液、前記水溶性物質溶解液上清、又は前記水溶性物質溶離液において、しばしばそれらに含まれる評価対象である水溶性物質の濃度が明らかでない場合がある。係る場合には、当該水溶性物質の濃度に差異をもたせた試料を調製し、それらが未熟樹状細胞に及ぼす分化誘導活性の濃度(量)依存性を検することにより、当該水溶性物質の有する免疫応答修飾活性の判断が可能となる。したがって、水溶性物質溶解液、水溶性物質溶解液上清、又は水溶性物質溶離液は、評価対象である水溶性物質の濃度の不明、明白にかかわらず、それらの溶解に用いた水溶液により2種以上の希釈率で段階的に希釈したものを調製し、以降のステップにおいてそれぞれ同様の処理を行うことが好ましい。この希釈率の組み合わせは、例えば1倍希釈(原液)と10倍希釈と100倍希釈であってもよいし、10倍希釈と100倍希釈と1000倍希釈であってもよい。 これ以降、「水溶性物質溶解液」、「水溶性物質溶解液上清」、及び「水溶性物質溶離液」とは、それぞれの溶解に用いた水溶液により希釈したものを含める。
前記水溶性物質溶解液、前記水溶性物質溶解液上清、又は前記水溶性物質溶離液は、細胞培養系に導入する前に、濾過等によって滅菌処理をしておく。
前記成熟樹状細胞分化誘導ステップにおいて未熟樹状細胞を成熟樹状細胞に分化誘導させる培養には、前記未熟樹状細胞分化誘導ステップにおける前記通常細胞培養液を用いる。前記通常細胞培養液に、前記水溶性物質溶解ステップで得られた前記水溶性物質溶解液、前記水溶性物質溶解液上清、又は前記水溶性物質溶離液と、前記未熟樹状細胞分化誘導ステップで得られた未熟樹状細胞とを混合した前記成熟樹状細胞分化誘導液(S504)中で、37℃、5%CO濃度下で1〜3日間程度培養する。このとき、前記通常細胞培養液と、前記未熟樹状細胞分化誘導ステップで得られた未熟樹状細胞のみからなり、前記水溶性物質溶解ステップで得られた水溶性物質溶解液、水溶性物質溶解液上清、及び水溶性物質溶離液のいずれも加えない成熟樹状細胞分化対照液(S505)を同時に調製し、前記成熟樹状細胞分化誘導液と同条件で培養する。
前記通常細胞培養液と、評価対象である水溶性物質を含む前記水溶性物質溶解液、前記水溶性物質溶解液上清、及び前記水溶性物質溶離液と、前記未熟樹状細胞分化誘導ステップで得られた未熟樹状細胞との混合の順序は特に決まっていない。
前記未熟樹状細胞分化誘導ステップで得られた未熟樹状細胞の細胞数は、前記通常細胞培養液300μLに対して、1×10個程度が好ましい。
B.難水溶性物質刺激方法 図6に難水溶性物質刺激方法を模式的に例示する。 前記難水溶性物質刺激方法は、難水溶性物質溶解ステップ(S601)と、難水溶性物質分画精製ステップ(S602)と、難水溶性物質調製ステップ(S603)と、難水溶性物質刺激ステップ(S604)と、からなる。
(I)難水溶性物質溶解ステップ
前記難水溶性物質溶解ステップとは、評価対象である特定物質のうち難水溶性物質を有機溶媒に溶解又は抽出するステップである。
前記難水溶性物質の溶解又は抽出に用いる前記有機溶媒としては、例えば、ヘキサンとメタノールとを3:7で混合した混合液でもよいが、これに限られるものではなく、ヘキサン、メタノール、エーテル、アセトニトリル等の主として揮発性の有機溶媒を単独で、あるいはそれらを適当な比率で混合したものであってもよい。
前記難水溶性物質溶解ステップでは、まず、評価対象である前記難水溶性物質に前記有機溶媒を加え、前記有機溶媒中に十分に溶解したもの又は抽出したものを難水溶性物質溶解液とする。溶解する時間、又は抽出する時間は、評価対象である前記難水溶性物質の性質や用いる有機溶媒の種類によって適宜変化させることが好ましい。また、それぞれの分量に関しては、例えば、難水溶性物質約10mgに対して有機溶媒約1mLを加えて溶解、あるいは抽出してもよいが、この量比に限られるものではなく、評価対象である難水溶性物質が未熟樹状細胞を刺激するに足りる濃度で溶解又は抽出されればよい。
(II)難水溶性物質分画精製ステップ 前記難水溶性物質分画精製ステップとは、前記難水溶性物質溶解ステップで得られた難水溶性物質溶解液から特定の難水溶性物質を含む画分を分画精製するステップである。
前記難水溶性物質溶解ステップで得られた前記難水溶性物質溶解液からの特定の前記難水溶性物質の分画精製はHPLCを用いる方法であってもよい。また薄層クロマトグラフィーを用いる方法であってもよい。経時的に溶出される画分のうちUV検出器等で適当なピークを示す画分を回収し、難水溶性物質を含む難水溶性物質溶離液とする。
前記難水溶性物質溶解液、または前記難水溶性物質溶離液は、前記水溶性物質分画精製ステップにおける前記水溶性物質溶解液等の場合と同様に、評価対象である難水溶性物質の濃度の不明、明白にかかわらず、その溶解に用いた有機溶媒によって2種以上の希釈率で段階的に希釈したものを調製し、以降のステップにおいてそれぞれ同様の処理を行うことが好ましい。この希釈率の組み合わせは、例えば1倍希釈(原液)と10倍希釈と100倍希釈であってもよいし、10倍希釈と100倍希釈と1000倍希釈であってもよい。これ以降、「難水溶性物質溶解液」や「難水溶性物質溶離液」とは、それぞれの溶解に用いた有機溶媒により希釈したものを含める。
(III)難水溶性物質調製ステップ 難水溶性物質調製ステップと、後述の難水溶性物質刺激ステップを模式的に示す説明図を図7に示す。 前記難水溶性物質調製ステップとは、前記難水溶性物質を細胞に対して刺激可能な状態に調製するステップである。これは前記難水溶性物質溶解ステップ得られた評価対象である前記難水溶性物質を含む前記難水溶性物質溶解液中の、または前記難水溶性物質分画精製ステップで得られた評価対象である前記難水溶性物質を含む難水溶性物質溶離液中の、有機溶媒を風乾させ、難水溶性物質を殺菌処理すると共に細胞培養系への導入を可能にすることで達成される。このステップにおける難水溶性物質調製方法を揮発殺菌処理方法とする。
前記難水溶性物質調製ステップにおいて、有機溶媒の風乾は、前記難水溶性物質抽出ステップ得られた評価対象である前記難水溶性物質溶解液、または前記難水溶性物質分画精製ステップで得られた評価対象である前記難水溶性物質を含む溶離液を、無菌処理が施された市販の容器に適当な量を移した後、その容器上で行う(701)。このとき当該難水溶性物質の溶解に用いた有機溶媒のみをmockとして同時に同条件で調製しておく。また、使用する前記市販の容器は、当該溶解に用いた有機溶媒によって影響を受けない材質で作られたものを使用する。
前記難水溶性物質調製ステップにおいて、有機溶媒の風乾は、無菌室、またはクリーンベンチ等の無菌的環境下において送風装置、またはクリーンオーブン等によって積極的に乾燥させてもよいし、同様の環境下で自然乾燥させてもよい(702)。
前記難水溶性物質調製ステップにおける揮発殺菌処理方法の具体例を以下に示す。 HPLCで得られた前記難水溶性物質溶離液(1倍)、及び該難水溶性物質溶離液を、前記難水溶性物質の溶解に用いたヘキサン:メタノールの3:7混合液を用いて10倍、100倍に希釈したものをそれぞれ調製した。1倍、10倍、及び100倍の前記難水溶性物質溶離液、および対照画分であるmockとして前記ヘキサン:メタノールの3:7混合液のみを、それぞれ4mL丸底プレートに50μL程度ずつ加える。各プレート上の有機溶媒は、クリーンベンチ内で送風装置を稼動させて放置することにより完全に風乾される。これによって、当該難水溶性物質溶離液中に含まれる難水溶性物質が乾燥殺菌されると共に再結晶化する。得られた前記難水溶性物質を備えた各プレートに、後述する難水溶性物質刺激ステップにおいて前記未熟樹状細胞を培養液とともに添加することにより、前記難水溶性物質が細胞培養系へ導入される。
(4)難水溶性物質刺激ステップ 前記難水溶性物質刺激ステップとは、前記難水溶性物質調製ステップで得られた難水溶性物質(703)に、前記未熟樹状細胞調製ステップで得られた未熟樹状細胞を培養液とともに加えて(704)培養し、難水溶性物質の刺激によって成熟樹状細胞を分化誘導させるステップである。
前記成熟樹状細胞分化誘導ステップにおいて、未熟樹状細胞を成熟樹状細胞に分化誘導させる培地としては、前記未熟樹状細胞分化誘導ステップにおける前記通常細胞培養液を用いる。
風乾によって得られた評価対象である前記難水溶性物質と、当該通常細胞培養液と、前記未熟樹状細胞分化誘導ステップで得られた未熟樹状細胞とを混合し、これを成熟樹状細胞分化誘導液(S605)として、37℃、5%CO濃度下で1〜3日間程度培養する。このとき当該溶解に用いた有機溶媒のみを風乾して得られたmockと、当該通常細胞培養液と、前記未熟樹状細胞分化誘導ステップで得られた未熟樹状細胞とからなる成熟樹状細胞分化対照液(S606)を同時に調製し、成熟樹状細胞分化誘導液と同条件で培養する。
風乾によって得られた評価対象である前記難水溶性物質又はmockと、前記通常細胞培養液と、前記未熟樹状細胞分化誘導ステップで得られた未熟樹状細胞との混合の順序は、特に決まったものではないが、当該難水溶性物質または当該mockに、当該通常細胞培養液および当該未熟樹状細胞を直接加えてもよい。
C.不溶性固形物質刺激方法 図8に不溶固形物質刺激方法を模式的に例示する。 前記不溶固形物質刺激方法は、不溶固形物質調製ステップ(S801)と、不溶固形物質刺激ステップ(S802)と、からなる。
(I)不溶固形物質調製ステップ 前記不溶固形物質調製ステップとは、評価対象である前記特定物質のうち不溶固形物質を熱処理によって殺菌処理すると同時に、該不溶性固形物質を細胞培養系に導入し、未熟樹状細胞に対して刺激可能な状態に調製するステップである。
前記不溶固形物質は、乳酸菌等の細菌、トナーや排気ガス等に含まれる微粒子等の水や有機溶媒に容易に溶解しない物質をいう。評価対象である当該不溶固形物質の粒子サイズが直径10μm以上ある場合は、乳鉢、グラインダー等を用いて更に細かい粒子サイズになるまで粉砕する。細胞培養系に導入する際の粒子サイズは直径1μm以下であることが好ましい。
前記不溶固形物質は、細胞培養系に導入する前に滅菌処理をしておく。滅菌は100℃で30分程度熱処理であってもよいし、紫外線、放射線等の照射によって行ってもよい。
(II)不溶固形物質刺激ステップ 前記不溶固形物質刺激ステップとは、前記不溶固形物質調製ステップで得られた前記不溶固形物質に、前記未熟樹状細胞調製ステップで得られた前記未熟樹状細胞を加えて培養し、前記不溶固形物質の刺激によって前記未熟樹状細胞を成熟樹状細胞へ分化誘導させるステップである。
前記成熟樹状細胞分化誘導ステップにおいて未熟樹状細胞を成熟樹状細胞に分化誘導させる培養には、前記未熟樹状細胞分化誘導ステップにおける通常細胞培養液を用いる。熱処理によって得られる評価対象である不溶固形物質と、前記通常細胞培養液と、前記未熟樹状細胞分化誘導ステップで得られた未熟樹状細胞とを混合し、これを成熟樹状細胞分化誘導液(S803)として、37℃、5%CO濃度下で1〜3日間培養する。このとき、前記通常細胞培養液と、前記未熟樹状細胞分化誘導ステップで得られた未熟樹状細胞のみからなり、熱処理によって得られる評価対象である前記不溶固形物質を加えない成熟樹状細胞分化対照液(S804)を同時に調製し、成熟樹状細胞分化誘導液と同条件で培養する。
熱処理によって得られる評価対象である前記不溶固形物質と、前記通常細胞培養液と、前記未熟樹状細胞分化誘導ステップで得られた未熟樹状細胞の混合の順序は、特に決まったものではない。
前記成熟樹状細胞分化誘導培養液と前記成熟樹状細胞分化誘導対照液には、樹状細胞の成熟活性因子としてTNF−αを10〜50ng/mL添加してもよい(例えば、米国特許第6,479,286号明細書、及びSallusto F and Lanzavecchia A. Efficient presentation of soluble antigen by cultured human dendritic cells is maintained by granulocyte/macrophage colony-stimulating factor plus interleukin 4 and downregulated by tumor necrosis factor alpha. J Exp Med. 1994;179:1109-1118.参照)。ただし、TNF−αの濃度はこの範囲に限定されるものではなく、TNF−αが未熟樹状細胞の活性化に寄与するに足りる濃度であればよい。
前記TNF−αは、ヒト、またはヒト以外の組み換えタンパク質、あるいは生体から生成したものであってもよい。
<成熟樹状細胞解析ステップ>
前記成熟樹状細胞解析ステップは、前記成熟樹状細胞分化誘導ステップにより得られた成熟樹状細胞を解析するステップである。
ここで、前記成熟樹状細胞分化誘導ステップにおいて、少なくとも前記特定物質による刺激を受けた未熟樹状細胞を、本発明において「成熟樹状細胞」という。
前記成熟樹状細胞の分化の質とは、前記成熟樹状細胞分化誘導液中に含まれる前記成熟樹状細胞のサブセットの比率を意味し、具体的には、DC1、DC2、及びDCrの比率を意味する。 例えば、DC1の特性がみられる前記成熟樹状細胞の比率が高い場合、前記特定物質の免疫応答修飾活性は、Th1アジュバント活性として評価され、一方DC2の特性がみられる前記成熟樹状細胞の比率が高い場合、前記特定物質の免疫応答修飾活性は、Th2アジュバント活性として評価される。
このように、Th1/Th2アジュバント活性は、前記成熟樹状細胞解析ステップにおいて、前記成熟樹状細胞の分化の質、すなわちDC1、DC2、及びDCrのいずれのサブセットに分化したか(Th1/Th2の傾き)により評価され、その活性の強さは、前記成熟樹状細胞のサブセットの比率の偏り(Th1/Th2の傾きの強さ)、又は前記成熟樹状細胞のMLR誘導活性の強さ(MLR誘導によるTh細胞の増殖応答の強さ)を測定することにより評価される。
前記特定細胞の免疫応答修飾活性は、前記成熟樹状細胞の分化の質に基づき、前記特定細胞の刺激による前記未熟樹状細胞の分化誘導活性として評価される。
前記成熟樹状細胞解析ステップとしては、例えば、液性因子測定ステップ、表面抗原測定ステップ、デルタ1/デルタ4遺伝子発現量比測定ステップ、及びcAMP濃度測定ステップ等が挙げられ、これらの中でも、デルタ1/デルタ4遺伝子発現量比測定ステップ、及びcAMP濃度測定ステップが好ましい。 また、前記成熟樹状細胞のナイーブCD4T細胞に対する分化誘導活性を評価する実施形態の場合、例えば、Th細胞分化判定ステップを少なくとも含むステップ、及びMLR誘導活性評価ステップを少なくとも含むステップ等が挙げられる。
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態は、前記成熟樹状細胞の解析が、前記成熟樹状細胞のNotchリガンド発現プロファイルを解析することにより行われ、特に、前記Notchリガンドとして、デルタ1遺伝子及びデルタ4遺伝子の発現量を定量し、前記デルタ1遺伝子と前記デルタ4遺伝子の発現量比を求めることにより行われる。
図9Aに本発明の第1の実施形態を模式的に例示する。 本実施形態は、図3に示した前記免疫応答修飾活性評価方法における前記成熟樹状細胞分化判定ステップ(S303)が、デルタ1/デルタ4遺伝子発現量比測定ステップである実施形態であって、前記未熟樹状細胞分化誘導ステップ(S311)と、前記成熟樹状細胞分化誘導ステップ(S312)と、前記デルタ1/デルタ4遺伝子発現量比測定ステップ(S313)とからなる。 なお、前記成熟樹状細胞分化誘導ステップ(S312)における培養時間としては、前記未熟樹状細胞に前記特定物質の刺激を加えてから1時間以上であればよく、例えば、1〜6時間が好ましい。このようにして得られた、少なくとも成熟刺激を受けた未熟樹状細胞を、本実施形態において成熟樹状細胞という。
<<デルタ1/デルタ4遺伝子発現量比測定ステップ>> 前記デルタ1/デルタ4遺伝子発現量比測定ステップは、前記成熟樹状細胞中のデルタ1遺伝子及びデルタ4遺伝子の発現量を定量し、前記デルタ1遺伝子と前記デルタ4遺伝子の発現量比を求めるステップであり、該発現量比に基づき、前記成熟樹状細胞の分化の質(サブセット)を判定し、前記特定細胞の免疫応答修飾活性が評価される。
ここで、デルタ1遺伝子及びデルタ4遺伝子の発現とは、転写レベルにおける発現、及び翻訳レベルにおける発現を含み、例えば、mRNAレベルの発現量をRT−PCR等の方法で定量することにより、前記デルタ1遺伝子及びデルタ4遺伝子の転写レベルにおける発現を評価することができ、タンパク質レベルの発現量をWestern blotting法等の方法で定量することにより、前記デルタ1遺伝子及びデルタ4遺伝子の翻訳レベルにおける発現を評価することができる。
以下、前記成熟樹状細胞内のデルタ1遺伝子及びデルタ4遺伝子を、mRNAレベルで発現量を定量する方法について説明する。 前記成熟樹状細胞中のデルタ1のmRNA量及びデルタ4のmRNA量を定量する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、RT−PCR法等により増幅した遺伝子量を定量する方法、リアルタイムRT−PCR法、蛍光物質及び放射性同位元素等を標識とした定量的RT−PCR法、cDNAマイクロアレイを用いる方法、Northern blot法等が挙げられる。なお、前記RT−PCR法により増幅された遺伝子を定量する方法としては、内部標準となる遺伝子量に対する相対値として評価する方法、検量線を設定することによって絶対的定量を行う方法等が挙げられる。
前記デルタ1遺伝子発現量と、前記デルタ4遺伝子発現量との関係において、前記デルタ1遺伝子と前記デルタ4遺伝子の発現量比に基づき、前記成熟樹状細胞の分化の質(サブセット)が判定され、該成熟樹状細胞の分化の質に基づき、前記特定物質の免疫応答修飾活性を評価することができる。 例えば、前記成熟樹状細胞分化誘導液中の前記樹状細胞の(デルタ1遺伝子発現量)/(デルタ4遺伝子発現量)の値が、前記成熟樹状細胞分化対照液中の前記成熟樹状細胞よりも大きいとき、好ましくは(デルタ1遺伝子発現量)/(デルタ4遺伝子発現量)の値が10以上であるとき、前記成熟樹状細胞の分化の質(サブセット)はDC2であると判定され、前記特定物質がTh2アジュバント活性を有すると評価することができる。
〔第2の実施形態〕 本発明の第2の実施形態は、前記成熟樹状細胞の解析が、前記成熟樹状細胞の細胞内cAMP濃度を測定することにより行われる。
図9Bに本発明の第2の実施形態を模式的に例示する。 本実施形態は、図3に示した本発明の免疫応答修飾活性評価方法における前記成熟樹状細胞分化判定ステップ(S303)が、cAMP濃度測定ステップである実施形態であって、前記未熟樹状細胞分化誘導ステップ(S321)と、前記成熟樹状細胞分化誘導ステップ(S322)と、前記cAMP濃度測定ステップ(S323)とからなる。 なお、前記成熟樹状細胞分化誘導ステップ(S322)における培養時間としては、前記未熟樹状細胞に前記特定物質の刺激を加えてから5分以上であればよく、例えば、5〜15分間が好ましい。このようにして得られた、少なくとも成熟刺激を受けた未熟樹状細胞を、本実施形態において成熟樹状細胞という。
<<cAMP濃度測定ステップ>> 前記cAMP濃度測定ステップは、前記成熟樹状細胞分化誘導ステップにより得られた前記成熟樹状細胞の細胞内cAMP濃度を測定するステップであり、該細胞内cAMP濃度に基づき、前記成熟樹状細胞の分化の質(サブセット)を判定し、前記特定細胞の免疫応答修飾活性が評価される。 例えば、培養後の前記成熟樹状細胞分化誘導液中、及び前記成熟樹状細胞分化対照液中に含まれる前記成熟細胞のcAMP濃度をそれぞれ測定し、比較することにより行われる。 該cAMP濃度測定ステップにより得られた結果に基づき、前記成熟樹状細胞の分化の質(サブセット)を判定し、前記特定細胞の免疫応答修飾活性が評価される。
前記細胞内cAMP濃度の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、cAMP感受性蛍光色素を用い、該蛍光色素の蛍光強度を測定する方法等が挙げられ、CatchPointTM Cyclic-AMP Fluorescent Assay Kit(Molecular Devices社製)等の市販のキットを使用してもよい。
前記細胞内cAMP濃度は、前記成熟樹状細胞分化誘導液由来の樹状細胞と成熟樹状細胞分化対照液由来の樹状細胞との測定結果を両者で比較し、それらの発現量の差異(変化)によって評価することができる。 例えば、前記成熟樹状細胞分化誘導液中の前記樹状細胞内のcAMP濃度が、前記成熟樹状細胞分化対照液中(無刺激)の前記成熟樹状内のcAMP濃度よりも高いとき、好ましくは5倍以上であるとき、前記成熟樹状細胞の分化の質(サブセット)はDC2であると判定され、前記特定物質がTh2アジュバント活性を有すると評価することができる。
〔その他の実施形態〕 本発明のその他の実施形態の例として、前記成熟樹状細胞が産生する液性因子を測定する実施形態、及び前記成熟樹状細胞の表面抗原を測定する実施形態における前記成熟樹状細胞解析ステップを説明する。
図9Cに、前記成熟樹状細胞が産生する液性因子を測定する実施形態を模式的に例示する。
本実施形態は、図3に示した本発明の免疫応答修飾活性評価方法における前記成熟樹状細胞分化判定ステップ(S303)が、液性因子測定ステップである実施形態であって、前記未熟樹状細胞分化誘導ステップ(S331)と、前記成熟樹状細胞分化誘導ステップ(S332)と、前記液性因子測定ステップ(S333)とからなる。
<<液性因子測定ステップ>> 前記液性因子測定ステップは、前記成熟樹状細胞分化誘導ステップにより得られた前記成熟樹状細胞によって産生される液性因子を測定するステップであり、例えば、培養後の前記成熟樹状細胞分化誘導液、および前記成熟樹状細胞分化対照液中に含まれる液性因子をそれぞれ測定し、比較することにより行われる。 該液性因子測定ステップにより得られた結果に基づき、前記成熟樹状細胞の分化の質(サブセット)を判定し、前記特定細胞の免疫応答修飾活性が評価される。 ここで、前記液性因子の測定とは、前記液性因子の検出、同定、及び定量の少なくともいずれかを行うことをいう。
前記液性因子は、前記成熟樹状細胞分化誘導ステップにおいて培養後の前記成熟樹状細胞分化誘導液、および前記成熟樹状細胞分化対照液中に含まれるものである。 前記液性因子の測定対象としては、前記成熟樹状細胞分化誘導液、及び前記成熟樹状細胞分化対照液をそのまま使用してもよく、遠心分離、又は濾過することにより前記成熟樹状細胞分化誘導液、および前記成熟樹状細胞分化対照液から前記成熟樹状細胞や不溶物を除いた溶液を使用してもよく、さらには前記成熟樹状細胞自体であってもよい。
前記成熟樹状細胞分化誘導液、及び前記成熟樹状細胞分化対照液中に含まれる前記液性因子の測定方法としては、目的の液性因子を特異的に定量可能な方法である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ELISA法による定量、SDS−PAGEによる分画後、Western blotting法により検出して定量する方法、Bio-Plex(BIO-RAD社製)を用いた方法等が挙げられる。
また、前記成熟樹状細胞中の前記液性因子mRNA量の発現量を、RT−PCR等により測定する方法であってもよい。
前記液性因子測定ステップにおいて測定される液性因子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、成熟樹状細胞が種々のサブセットで特異的に産生する液性因子、種々のサブセットによって産生能が異なる液性因子が好ましく、例えば、DC1が産生するIL−12p70、IL−23等、DC2が産生するIL−12p40、IL−18、MDC、TARC、CCL1、CCL2等、DCrが産生するTGF−β等、並びにDC2及びDCrが産生するIL−10等が挙げられる。
前記液性因子測定ステップにより得られた結果に基づき、既知の成熟樹状細胞サブセットと前記液性因子産生能との関係から、前記成熟樹状細胞の分化の質(サブセット)を判定し、該成熟樹状細胞の分化の質に基づき、前記特定物質の免疫応答修飾活性を評価することができる。
図9Dに、前記成熟樹状細胞の表面抗原を測定する実施形態を模式的に例示する。 本実施形態は、図3に示した本発明の免疫応答修飾活性評価方法における前記成熟樹状細胞分化判定ステップ(S303)が、表面抗原測定ステップである実施形態であって、前記未熟樹状細胞分化誘導ステップ(S341)と、前記成熟樹状細胞分化誘導ステップ(S342)と、前記表面抗原測定ステップ(S343)とからなる。
<<表面抗原測定ステップ>> 前記表面抗原測定ステップは、前記成熟樹状細胞分化誘導ステップにより得られた前記成熟樹状細胞の細胞表面に発現した表面抗原をタンパク質レベルで測定するステップであり、例えば、培養後の前記成熟樹状細胞分化誘導液中、及び前記成熟樹状細胞分化対照液中に含まれる前記成熟細胞の表面抗原をそれぞれ測定し、比較することにより行われる。該表面抗原測定ステップにより得られた結果に基づき、前記成熟樹状細胞の分化の質(サブセット)を判定し、前記特定細胞の免疫応答修飾活性が評価される。 ここで、前記表面抗原の測定とは、前記表面抗原の検出、同定、及び定量の少なくともいずれかを行うことをいう。
前記表面抗原の測定方法としては、例えば、前記成熟樹状細胞分化誘導ステップ後に回収され、洗浄された成熟樹状細胞分化誘導液由来と、成熟樹状細胞分化対照液由来の、それぞれの樹状細胞に対して目的とする一以上の前記表面抗原を特異的に認識する蛍光抗体によって抗体染色をする方法が挙げられる。蛍光抗体はFITC(fluorescein isothiocyanate)やPE(Phycoerythrin)等で標識された市販の適当な表面抗原抗体を使用してもよい。
抗体染色した前記各樹状細胞における細胞表面上の表面抗原の発現量をフロー・サイトメトリー(flow cytometry:以下FCMという)解析法によって解析する。FCM解析法は、FACS(Becton Dickinson社製)等の市販の機器を用いて行ってもよい。
前記表面抗原等測定ステップにおいて、回収した樹状細胞中の死細胞を除去するため、Propidium iodide(以下、「PI」とする)等を添加して、PI細胞等を事前にゲーティング処理した後、前記FCM解析法による解析に用いてもよい。
前記表面抗原測定ステップにおいて測定される前記表面抗原としては、成熟樹状細胞が種々のサブセットで特異的に発現する表面抗原、及び種々のサブセットによって発現比率が異なる表面抗原であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CD80、CD83、CD86、HLA−DR、OX40L等が挙げられ、前記第2の実施形態において測定されるNocthリガンド(Jagged、Delta(デルタ))も好適に挙げられる。
前記成熟樹状細胞分化誘導ステップ後の成熟樹状細胞分化誘導液と成熟樹状細胞分化対照液のそれぞれに含まれる樹状細胞を遠心分離によってそれぞれ別個に回収する。遠心分離の条件は400Gで10分程度が好ましいが、この条件に限られたものではなく、樹状細胞が損傷無く十分量回収できる条件であれば、いずれの条件であってもよい。
前記成熟樹状細胞分化誘導ステップ後に回収された樹状細胞は、PBSバッファー等で十分に洗浄する。洗浄に用いるバッファーは培養液そのものであってもよい。
また、前記表面抗原測定ステップは、前記成熟樹状細胞中の前記表面抗原遺伝子(mRNA)の発現を検出し、該表面抗原遺伝子の発現量を測定する方法であってもよい。 前記表面抗原遺伝子の発現を検出し、該表面抗原遺伝子の発現量を測定する方法としては、特に制限はなく、公知の方法から適宜選択することができ、例えば、RT−PCR法等により増幅した前記表面抗原遺伝子量を定量する方法、リアルタイムRT−PCR法、蛍光物質及び放射性同位元素等を標識とした定量的RT−PCR法、cDNAマイクロアレイを用いる方法、Northern blot法等が挙げられる。なお、前記RT−PCR法により増幅された前記表面抗原遺伝子を定量する方法としては、内部標準となる遺伝子量に対する相対値として評価する方法、検量線を設定することによって絶対的定量を行う方法等が挙げられる。
前記表面抗原の発現は、前記成熟樹状細胞分化誘導液由来の樹状細胞と成熟樹状細胞分化対照液由来の樹状細胞との測定結果を両者で比較し、それらの発現量の差異(変化)によって評価することができる。 前記表面抗原等測定ステップにおいて得られた結果に基づき、前記成熟樹状細胞分化誘導液由来の成熟樹状細胞の分化の質(サブセット)が判定され、該成熟樹状細胞の分化の質に基づき、前記特定物質の免疫応答修飾活性を評価することができる。
〔第3の実施形態〕 本発明の第3の実施形態は、前記成熟樹状細胞の解析が、前記成熟樹状細胞によってナイーブCD4T細胞から分化誘導されたTh細胞のタイプを判定することにより行われ、具体的には、Th細胞が産生するサイトカイン、及びTh細胞表面に発現したケモカインレセプターのいずれかを測定することによりTh細胞のタイプを判定する。 なお、前記Th細胞のタイプの判定は、前記Th細胞の培養上清を使用してサイトカインを測定し、前記Th細胞自体をケモカインレセプターの発現を測定することができる。
図10に本発明の第3の実施形態を模式的に例示する。 本実施形態は、図3に示した本発明の免疫応答修飾活性評価方法における前記成熟樹状細胞分化判定ステップ(S303)が、前記成熟樹状細胞によって分化誘導されたTh細胞の分化を判定するステップを含む実施形態であり、前記未熟樹状細胞分化誘導ステップ(S1001)と、前記成熟樹状細胞分化誘導ステップ(S1002)と、前記ナイーブCD4T細胞調製ステップ(S1003)、Th細胞分化ステップ(S1004)、Th細胞サイトカイン産生ステップ(S1005)、及びTh細胞分化判定ステップ(S1006)からなる前記成熟樹状細胞分化判定ステップ(S1007)とからなる。
<<ナイーブCD4T細胞調製ステップ>> ナイーブCD4T細胞調製ステップとは、ナイーブCD4T細胞を調製するステップである。
前記ナイーブCD4T細胞調製ステップで用いるPBMCsは、ヒト由来のものが好ましいが、ヒト以外の哺乳動物由来のものであってもよい。例えばブタ由来であるゼノPBMCsであってもよい。これらのPBMCsは、前記実施形態1で示す方法と同様の方法で末梢血液から分離されたものであってもよい。
前記ナイーブCD4T細胞調製ステップで用いるヒト由来のPBMCsは、HLA−DRタイピングによってアロ(同種異型)PBMCsであることを事前に確認したものであってもよい。前記HLA−DRタイピングは、HLA−DRB1に関して行うことが好ましい。また、前記HLA−DRタイピングは、市販のHLA−DR遺伝子型タイピング試薬を用いて確認したものであってもよい。
図11にネガティブ選択法の一例を示す。 前記ナイーブCD4T細胞調製ステップにおいて、PBMCsからナイーブCD4T細胞(1103)を分離する方法は、当該ネガティブ選択法を用いてもよい。 前記ネガティブ選択法は、まず、PBMCs(1101)より抗体非標識CD4T細胞を分離する。MACS Microbeads(Miltenyi Biotec GmbH,Bergisch Gladbach, Germany)の抗CD8、抗CD14、抗CD16、抗CD19、抗CD36、抗CD123、抗TCRγ/δ、抗CD235a等の抗体マイクロビーズカクテル(1102)からなる市販のCD4T細胞分離キット等を用いて分離してもよい。続いて、分離した前記抗体非標識CD4T細胞よりCD45ROT細胞を分離する。前記CD45ROT細胞(1105)は、MACS Microbeads(Miltenyi Biotec GmbH,Bergisch Gladbach, Germany)のCD45ROT細胞分離キット等(1104)を用いて前記CD45ROT細胞を除去することによって分離してもよい。この方法により、最終的に得られた抗体非標識CD4CD45ROT細胞を、ナイーブCD4T細胞とすることができる。 また、Kalinski P, Schuitemaker JH, Hilkens CM and Kapsenberg ML. Prostaglandin E2 induces the final maturation of IL-12-deficient CD1a+CD83+ dendritic cells: the levels of IL-12 are determined during the final dendritic cell maturation and are resistant to further modulation. J Immunol. 1998;161:2804-2809.に記載の方法により前記CD4CD45ROT細胞を分離してもよい。 なお、上記の方法により最終的に得られる細胞試料には、前記ナイーブCD4 CD45ROT細胞以外の細胞が多少混入していてもよいが、混入しないことが好ましい。
<<Th細胞分化ステップ>> 前記Th細胞分化ステップとは、前記成熟樹状細胞分化誘導ステップ後に得られる樹状細胞と前記ナイーブCD4T細胞調製ステップで得られるナイーブCD4T細胞との共培養によって、ナイーブCD4T細胞に混合リンパ球培養反応(MLR)を誘導させると共に、分化圧を加えるステップである。
Th細胞分化ステップにおける樹状細胞は、当該Th細胞分化ステップの共培養において用いられる培地(例えば、IMDM、DMEM、RPMI−1640培地等)で共培養前に十分に洗浄されたものが好ましい。
Th細胞分化ステップにおける樹状細胞とナイーブCD4T細胞の共培養は、一般的な培養細胞培養条件下で行ってよい。例えば、IMDM、DMEM、RPMI−1640培地などの市販の適当な培地に、10%FCS、またはFBSを添加した通常培養液を用いて、37℃、5%CO濃度下で培養してもよい。前記成熟樹状細胞とナイーブCD4T細胞との共培養の期間は、6〜8日間程度が好ましい。具体的には、前記非特許文献2に記載の方法等により共培養することができる。
<<Th細胞サイトカイン産生ステップ>> 前記Th細胞サイトカイン産生ステップとは、前記Th細胞分化ステップにおいて分化したTh細胞にシグナル1(CD3、及びカルシウムイオノフォア等を介した刺激)およびシグナル2(CD28、及びフォルボルエステルアセテート等を介した刺激)を惹起させることにより、当該Th細胞にサイトカインを産生させるステップである。
前記Th細胞サイトカイン産生ステップでは、前記Th細胞分化ステップにおいてMLR誘導により増殖したTh細胞を用いる。当該Th細胞は、サイトカイン産生刺激を与える前にTh細胞サイトカイン産生ステップにおいて用いられる培地(例えば、IMDM、DMEM、RPMI−1640培地等)で十分に洗浄されることが好ましい。 前記サイトカイン産生刺激は、当該Th細胞において前記シグナル1及び前記シグナル2の少なくともいずれかを惹起させる刺激であればよい。例えば、抗CD3モノクローナル抗体(以下anti−CD3mAbとする)と抗CD28モノクローナル抗体(以下anti−CD28mAbとする)を用いて、それぞれシグナル1とシグナル2を惹起させてもよい。通常培養液に両シグナルを惹起させるための刺激を加えた培養液をサイトカイン産生培養液とする。これに対して、当該刺激を加えない以外は前記サイトカイン産生培養液と同一組成の培養液をサイトカイン産生対照液とする。当該Th細胞に、前記サイトカイン産生培養液、および前記サイトカイン産生対照液をそれぞれ別個に加え、37℃、5%CO濃度下で16時間培養する。このとき、それぞれの前記培養液を用いて、同一条件の下で重複した試験を行ってもよい。
<<Th細胞分化判定ステップ>> Th細胞分化判定ステップとは、(A)前記Th細胞サイトカイン産生ステップにおいて産生されたサイトカイン、及び(B)前記Th細胞サイトカイン産生ステップを経たTh細胞のケモカインレセプターの発現の少なくともいずれかを測定することで、当該Th細胞の分化の質を判定するステップである。
(A)サイトカイン測定 前記Th細胞サイトカイン産生ステップにおいて、Th1細胞が産生するサイトカインとしては、例えば、IFN−γ、TNF−β等が挙げられ、Th2細胞が産生するサイトカインとしては、例えば、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−13等が挙げられ、Tr細胞が産生するサイトカインとしては、例えば、IL−10、TGF−β等が挙げられる。
前記Th細胞分化判定ステップにおいて測定されるサイトカインとしては、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−13、IFN−γ、TNF−α、TNF−β、TGF−β、及びGM−CSFの少なくともいずれかが好ましいが、これらに限定されるものではなく、分化したTh細胞が産生する他のサイトカインであってもよい。
前記サイトカインは、前記Th細胞サイトカイン産生ステップにおいて培養後のサイトカイン産生培養液中に、また、場合によってはサイトカイン産生対照液中に含まれるものである。サイトカインの測定には、サイトカイン産生培養液、およびサイトカイン産生対照液中をそのまま使用してもよいし、サイトカイン産生培養液、およびサイトカイン産生対照液の遠心分離や、あるいは濾過によって得られる上清を使用してもよい。
前記Th細胞分化判定ステップにおいてサイトカイン産生培養液中、また、場合によってはサイトカイン産生対照液中に含まれる前記サイトカインの測定は、当該ステップで測定する各サイトカインを特異的に認識する抗体を利用したELISA法によって行ってもよい。または、SDS−PAGEによって分画後、それぞれの因子を特異的に認識する抗体を利用したWestern blotting法によって検出して定量してもよい。または、BIO-RAD社のBio-Plexもしくはそれと類似の分析システムを有する他社製品によって定量してもよい。
前記Th細胞分化判定ステップにおいて、Th細胞の分化の質の判定は、前記サイトカイン産生培養液中で、また、場合によってはサイトカイン産生対照液中で、Th1細胞、Th2細胞、Tr細胞等によって産生されるサイトカインの測定結果を比較対照し、各々の培養液中のサイトカイン量の差異(変化)によって判定される。 また、前記Th1細胞が産生するサイトカイン量と、前記Th2細胞が産生するサイトカイン量との比から、判定される。
(B)ケモカインレセプター測定 前記Th細胞サイトカイン産生ステップにおける刺激によって、Th1細胞が発現するケモカインレセプターとしては、例えば、CXCR3、CCR5等が挙げられ、Th2細胞が発現するケモカインレセプターとしては、例えば、CCR4、CRTH2、CCR8等が挙げられる。
前記Th細胞分化判定ステップにおいて測定されるサイトカインとしては、CXCR3、CCR5、CCR4、CRTH2、及びCCR8の少なくともいずれかが好ましいが、これらに限定されるものではなく、分化したTh細胞が発現する他の1種以上のケモカインレセプターであってもよい。
前記ケモカインレセプターの測定方法としては、例えば、前記成熟樹状細胞の表面抗原を測定する実施形態における測定方法と同様の方法が挙げられる。
前記Th細胞分化判定ステップにおいて、Th細胞の分化の質の判定は、例えば、前記Th1細胞が発現するケモカインレセプターと、前記Th2細胞が発現するケモカインレセプターとの発現量比から、判定される。
〔第4の実施形態〕 本発明の第4の実施形態は、前記成熟樹状細胞の解析が、前記成熟樹状細胞により分化誘導されたTh細胞のMLR誘導による増殖応答の強さを測定することにより行われる。前記Th細胞のMLR誘導による増殖応答の強さから、前記成熟樹状細胞のMLR誘導活性の強さが評価される。
図12に本発明の第4の実施形態を模式的に例示する。 本実施形態は、図3に示した本発明の免疫応答修飾活性評価方法における前記成熟樹状細胞分化判定ステップ(S303)が、前記成熟樹状細胞によって分化誘導されたTh細胞のMLR誘導による増殖応答の強さを測定するステップを含む実施形態であり、前記未熟樹状細胞分化誘導ステップ(S1301)と、前記成熟樹状細胞分化誘導ステップ(S1302)と、前記ナイーブCD4T細胞調製ステップ(S1303)、Th細胞分化ステップ(S1304)、及びMLR誘導活性評価ステップ(S1305)からなる前記成熟樹状細胞分化判定ステップ(S1006)とからなる。
なお、前記ナイーブCD4T細胞調製ステップ(S1303)は、前記本発明の第5の実施形態における前記ナイーブCD4T細胞調製ステップと同様である。
<<Th細胞分化ステップ>> 前記Th細胞分化ステップ(S1304)は、以下に説明する以外の操作は、前記本発明の第3の実施形態における前記Th細胞分化ステップと同様である。 前記Th細胞分化ステップにおける樹状細胞とナイーブCD4T細胞の共培養を行う際に、共培養を行う試料と同一条件で樹状細胞のみを含まない試料を対照実験として同時に調製し、同一条件下で培養する。共培養を行う試料とその対照実験試料をそれぞれMLR誘導試料とMLR誘導対照試料とする。Th細胞分化ステップにおいて、MLR誘導試料とMLR誘導対照サンプルはそれぞれ重複実験を同一条件の下で行ってもよい。
<<MLR誘導活性評価ステップ>> 前記MLR誘導活性評価ステップで増殖応答を評価するためには、細胞に放射性同位体と取り込ませた後、シンチレーション・カウンターで測定してもよい。この場合は、前記Th細胞分化ステップにおいて、MLR誘導試料とMLR誘導対照試料を37℃、5%CO濃度下で5〜6日間培養した後、培養液にトリチウム−チミジン(以下、「3H−チミジン」とする)を添加する。続いて、3H−チミジンをナイーブCD4T細胞、あるいはTh細胞に取り込ませるために、それまでと同一の条件でさらに培養する。添加後の培養期間は4時間〜1日程度が好ましい。続いて、それぞれの試料中の細胞を遠心によって回収し、細胞内に取り込まれた3H−チミジン以外の3H−チミジンを除くため、バッファー等で十分に洗浄する。洗浄に用いるバッファーはPBSバッファーであってもよいし、また培養液そのものであってもよい。
前記洗浄後の各試料中の細胞における3H−チミジンの取り込みは、例えば適当なシンチレータを試料に加え、液体シンチレーション・カウンターを用いて測定してもよい。
MLR誘導活性評価ステップにおいて、Th細胞の増殖応答の判定は、前記MLR誘導試料中の細胞とMLR誘導対照試料中の細胞のトリチウム強度とを比較することによって、MLR誘導による増殖応答の強さ(細胞数の一次微分値)を算出することにより、特定物質の免疫応答修飾活性を判定する。
判定はMLR誘導試料とMLR誘導対照試料における、それぞれの重複実験の平均から算出してもよい。 前記MLR誘導による増殖応答の強さから評価された前記成熟樹状細胞のMLR誘導活性に基づき、前記特定物質の免疫応答修飾活性の強さが評価される。
以上の方法により、前記特定物質の免疫応答修飾活性を評価することができる。
前記特定物質の評価方法として、前記成熟樹状細胞解析ステップを選択する概念図を図13に示す。
(1)特定物質が有する免疫応答修飾活性を当該特定物質の刺激による未熟樹状細胞の分化誘導活性として評価する免疫応答修飾活性評価方法。(2)(a)単球等を未熟樹状細胞に分化誘導する未熟樹状細胞分化誘導ステップと、(b)未熟樹状細胞分化誘導ステップによって得られる未熟樹状細胞に、評価対象である特定物質を加えて培養し、当該特定物質の刺激によって成熟樹状細胞を分化誘導させる成熟樹状細胞分化誘導ステップと、(c)成熟樹状細胞分化誘導ステップ後に成熟樹状細胞によって産生される液性因子の変化を測定し、当該成熟樹状細胞の分化の質を判定する成熟樹状細胞分化判定ステップと、からなる前記(1)に記載の免疫応答修飾活性評価方法。(3)(a)単球等を未熟樹状細胞に分化誘導する未熟樹状細胞分化誘導ステップと、(b)未熟樹状細胞分化誘導ステップによって得られる未熟樹状細胞に、評価対象である特定物質を加えて培養し、当該特定物質の刺激によって成熟樹状細胞を分化誘導させる成熟樹状細胞分化誘導ステップと、(c)成熟樹状細胞分化誘導ステップ後に得られる樹状細胞の表面抗原等の発現の変化を測定し、当該成熟樹状細胞の分化の質を判定する表面抗原等測定ステップと、からなる前記(1)に記載の免疫応答修飾活性評価方法。(4)(a)単球等を未熟樹状細胞に分化誘導する未熟樹状細胞分化誘導ステップと、(b)未熟樹状細胞分化誘導ステップによって得られる未熟樹状細胞に、評価対象である特定物質を加えて培養し、当該特定物質の刺激によって成熟樹状細胞を分化誘導させる成熟樹状細胞分化誘導ステップと、(c)ナイーブCD4+T細胞を調製するナイーブCD4+T細胞調製ステップと、(d)成熟樹状細胞分化誘導ステップ後に得られる樹状細胞とナイーブCD4+T細胞調製ステップで得られたナイーブCD4+T細胞との共培養によって、ナイーブCD4+T細胞に混合リンパ球培養反応(MLR)を誘導させると共に分化圧を加えるTh細胞分化ステップと、(e)Th細胞分化ステップにおいて分化したTh細胞に、シグナル1(CD3またはカルシウムイオノフォア等を介した刺激)およびシグナル2(CD28またはフォルボルエステル等を介した刺激)を惹起させることにより、当該Th細胞にサイトカインを産生させるTh細胞サイトカイン産生ステップと、(f)Th細胞サイトカイン産生ステップにおいて産生されるサイトカインの変化を測定することで当該Th細胞の分化の質を判定するTh細胞分化判定ステップと、からなる前記(1)に記載の免疫応答修飾活性評価方法。(5)(a)単球等を未熟樹状細胞に分化誘導する未熟樹状細胞分化誘導ステップと、(b)未熟樹状細胞分化誘導ステップによって得られる未熟樹状細胞に、評価対象である特定物質を加えて培養し、当該特定物質の刺激によって成熟樹状細胞を分化誘導させる成熟樹状細胞分化誘導ステップと、(c)ナイーブCD4+T細胞を調製するナイーブCD4+T細胞調製ステップと、(d)成熟樹状細胞分化誘導ステップ後に得られる樹状細胞とナイーブCD4+T細胞調製ステップで得られたナイーブCD4+T細胞との共培養によって、ナイーブCD4+T細胞に混合リンパ球培養反応(MLR)を誘導させると共に分化圧を加えるTh細胞分化ステップと、(e)Th細胞分化ステップ後における当該Th細胞の増殖応答を評価するMLR誘導活性評価ステップと、からなる前記(1)に記載の免疫応答修飾活性評価方法。
(6)前記単球等は、ヒトに由来する前記(1)から(5)のいずれか一に記載の免疫応答修飾活性評価方法。(7)前記単球等は、末梢血単核球から得られる単球、または臍帯血から得られる単球、または骨髄から得られる単球、または組織から得られる単球、または幹細胞、または培養細胞のいずれかである前記(1)から(6)のいずれか一に記載の免疫応答修飾活性評価方法。(8)前記未熟樹状細胞分化誘導ステップにおいて培養細胞KG−1株を未熟樹状細胞に分化誘導する前記(1)から(6)のいずれか一に記載の免疫応答修飾活性評価方法。(9)前記成熟樹状細胞分化判定ステップにおいて測定される液性因子は、インターロイキン10、インターロイキン12p40、インターロイキン12p70、インターロイキン18、MDC、TARC、CCL-2、TGF-βのいずれか一以上である前記(2)、または(6)から(8)のいずれか一に記載の免疫応答修飾活性評価方法。(10)前記ナイーブCD4+T細胞調製ステップで調製されるナイーブCD4+T細胞は、アロナイーブCD4+T細胞、またはゼノナイーブCD4+T細胞である前記(4)から(9)に記載の免疫応答修飾活性評価方法。
(11)前記特定物質のうち難水溶性物質で未熟樹状細胞を刺激する方法は、難水溶性物質を特定の有機溶媒中に溶解、または抽出する難水溶性物質溶解ステップと、難水溶性物質溶解ステップで得られた溶解液から難水溶性物質を分画精製する難水溶性物質分画精製ステップと、難水溶性物質溶解ステップ得られた評価対象である難水溶性物質を含む溶解液中の、または難水溶性物質分画精製ステップで得られた評価対象である特定の難水溶性物質を含む溶離液中の有機溶媒を風乾させて難水溶性物質を未熟樹状細胞に対して刺激可能な状態に調製する難水溶性物質調製ステップと、難水溶性物質調製ステップで得られた難水溶性物質に、前記未熟樹状細胞調製ステップで得られた未熟樹状細胞を加えて培養し、難水溶性物質の刺激によって成熟樹状細胞を分化誘導させる難水溶性物質刺激ステップと、からなる前記(1)から(10)に記載の免疫応答修飾活性評価方法。(12)前記有機溶媒は、風乾によって難水溶性物質を殺菌処理する効果を有するものである前記(1)から(11)に記載の免疫応答修飾活性評価方法。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。また、細胞培養に用いる細胞、試薬、器具、装置、実験室等は原則滅菌されている。
参考例1)
ヒトPBMCsより抗MACS CD14Tcell isolation kit(Miltenyi Biotec社製)を用いて単球を分離した。続いて、IL−4及びGM−CSFをそれぞれ終濃度50ng/mLで、またTNF−αを10ng/mLで添加した10%FCS/RPMI−1640を2×10cellsの当該単球に2mL加えて、未熟樹状細胞分化誘導液として37℃、5%CO濃度下で培養を開始した。この開始時を0時とした。
2日後、IL−4とGM−CSFをそれぞれ終濃度50ng/mLでさらに追加した。
6日後、まず、前記特定物質として、難水溶性物質2種類、すなわちビスフェノールA(以下、「BPA」とする)と、p-ノニルフェノール(以下、「p-n-phenol」とする)をそれぞれ約10mgで別個に、ヘキサンとメタノールを3:7で混合した混合液(以下ここではヘキサン・メタノール混合液とする)約1mLで溶解した。続いて、当該二種類の溶解液をそれぞれHPLCで分画・精製し、OD205で高い吸光活性の見られるHPLC分画を回収した。回収した分画をヘキサン・メタノール混合液で0.01μM、0.1μM、1μMの各濃度になるように段階的に希釈した。それらを4mL丸底プレートのウェルにそれぞれtriplicateで分注し、また難水溶性物質を含まないヘキサン・メタノール混合液のみのmockの対応分画も同条件で分注した。さらに、揮発殺菌処理を行うため、ヘキサン・メタノール混合液が完全に風乾されるまでクリーンベンチ内に放置した。
前記各プレート上の有機溶媒は、クリーンベンチ内で送風装置を稼動させて放置することにより完全に風乾された。これによって、当該難水溶性物質溶離液中に含まれる難水溶性物質が乾燥殺菌されると共に再結晶化したサンプルプレートを得た。
得られた難水溶性物質を以下の方法により細胞培養系へ導入した。
同6日後、前記難水溶性物質の調製と並行して、前記未熟樹状細胞分化誘導液中の樹状細胞を350G、10分間の遠心によって回収した。得られた樹状細胞をRPMI−1640で3回洗浄した後、10%FCS/RPMI−1640で1×10cells/300μLになるように再懸濁した。 この再懸濁液を、風乾後の前記各サンプルプレートのウェルにそれぞれ300μLずつ加え、再び37℃、5%CO濃度下で培養をした。
8日後、まず、HLA−DRタイピング済みのヒト・アロPBMCsからMACS CD4T cell isolation kit (Miltenyi Biotec社製)を用いてアロCD4T細胞を分離した。続いて、前記アロCD4T細胞からMACS CD45 cell isolation kit (Miltenyi Biotec社製)を用いてCD45RO細胞を除去し、アロナイーブCD4T細胞を回収した。このとき6日目の各サンプルプレートからELISA用に培養上清を200μL回収した。mockを含めた各サンプルの入ったウェルを3mLのRPMI−1460で3回洗浄した。その後10%FCS/RPMI−1640で2.5×10cells/mLに調整した前記アロナイーブCD4T細胞を200μL加え、37℃、5%CO濃度下で培養をした。共培養開始時の樹状細胞とアロナイーブCD4T細胞の細胞数比は、それぞれ1:5であった。
15日後、まず、MLR増殖CD4T細胞を前記丸底プレートのまま400G、3分間遠心した。ウェル中の培養液を廃棄した後、3mLのRPMI−1640で3回洗浄した。続いて、anti-CD3mAb(clone HIT3a)とanti-CD28mAbとをそれぞれ1μg/mL含んだ10%FCS/RPMI−1640を加えて細胞を十分に懸濁し、それぞれ96穴平底プレートにtriplicateで分配した。
anti-CD3mAb(clone HIT3a)とanti-CD28mAbとを添加して16時間後、上清を回収した後、ELISAによって上清中に含まれるTh1に特異的なサイトカインであるIFN−γ、及びTh2に特異的なサイトカインであるIL−4の量を測定し、IFN−γとIL−4との比率(IL−4/IFN−γ値)を求めた。結果を図12に示す。
図12の結果から、コントロールであるmockのIL−4/IFN−γ値に対して、BPAとp-n-phenolのIL−4/IFN−γ値はいずれも濃度依存的に増加したことから、BPAとp-n-phenolによって刺激された未熟樹状細胞は、いずれもTh2細胞を誘導する成熟樹状細胞(DC2)に誘導されたことがわかった。すなわち、BPAとp-n-phenolは、Th2アジュバント活性を有すると評価できる。
(実施例2)
前記特定物質として、フォルスコリン(forskolin)、プロスタグランジンE2(PGE)とTNF−α、リポ多糖(LPS)を用いて刺激を行った以外は、参考例1と同様にして未熟樹状細胞を分化誘導し、得られた成熟樹状細胞を用いてアロナイーブCD4T細胞を活性化させ、分化させた。
前記MLR増殖CD4T細胞にanti−CD3mAb(clone HIT3a)とanti−CD28mAbとを添加して16時間後、FACSを用いてTh1細胞に特異的なケモカインレセプターであるCXCR3、及びTh2細胞に特異的なケモカインレセプターであるCCR4の発現を測定し、CXCR3のMFI値とCCR4のMFI値との比率(CCR4のMFI値/CXCR3のMFI値、以下「CCR4/CXCR値」という)を求めた。なお、コントロールとして無刺激のTh細胞の値を1とした。結果を図15に示す。
図15の結果から、LPSのCCR4/CXCR3値はコントロール(図15中「no stim」)よりも有意に小さく、LPSによって刺激された未熟樹状細胞は、いずれもTh1細胞を誘導する成熟樹状細胞(DC1)に誘導され、LPSはTh1アジュバント活性を有することがわかった。 一方、forskolin、及びPGEとTNF−αの組合せのCCR4/CXCR3値はコントロールよりも大きく、forskolin、及びPGEとTNF−αの組合せによって刺激された未熟樹状細胞は、いずれもTh2細胞を誘導する成熟樹状細胞(DC2)に誘導され、forskolin、及びPGEとTNF−αの組合せは、Th2アジュバント活性を有することがわかった。
参考例3)
前記特定物質として、フォルスコリン(forskolin)、及びリポ多糖(LPS)を用いた以外は実施例2と同様にしてアロナイーブCD4T細胞を活性化させ、分化させ、前記MLR増殖CD4T細胞にanti−CD3mAb(clone HIT3a)とanti−CD28mAbとを添加して16時間後の培養上清を回収した。ELISAによって前記培養上清中に含まれるTh1に特異的なサイトカインであるIFN−γ、及びTh2に特異的なサイトカインであるIL−4及びIL−5の量を測定し、IFN−γとIL−4との比率(IL−4/IFN−γ値)、及びIFN−γとIL−5との比率(IL−4/IFN−γ値)を求めた。結果を図16に示す。
図16の結果から、LPSのIL−4/IFN−γ値及びIL−5/IFN−γ値は、いずれも1未満であり、コントロールであるmock(図16中の「no stim」)の値に対して有意に小さく、LPSによって刺激された未熟樹状細胞は、いずれもTh1細胞を誘導する成熟樹状細胞(DC1)に誘導されたことがわかり、LPSはTh1アジュバント活性を有すると評価された。 一方、forskolinのIL−4/IFN−γ値及びIL−5/IFN−γ値はいずれも1を超え、コントロール(図16中の「no stim」)の値に対して有意に大きく、forskolinによって刺激された未熟樹状細胞は、いずれもTh2細胞を誘導する成熟樹状細胞(DC2)に誘導されたことがわかり、forskolinは、Th2アジュバント活性を有すると評価された。
(実施例4)
KG−1細胞5×10個を、PMAを10ng/mL単独、又はPMA10ng/mLとイオノマイシン(ionomycin)100ng/mLを添加した20%FBS含有IMDM培地1mL中で48時間培養し、DC様細胞(未熟樹状細胞)に誘導した。
得られたDC様細胞を、IMDM培地で洗浄後、前記特定物質としてLPS 3μg/mL、PGE 10μM、PGE 10μM及びTNF−α 2.5ng/mL、forskolin 10μM、forskolin 10μM及びTNF−α 2.5ng/mLを用いて参考例1と同様にして刺激し、成熟樹状細胞に分化誘導した。
刺激開始から6時間後に、前記成熟樹状細胞からtotalRNAを回収し、Jagged1、Jagged2デルタ1、デルタ2、デルタ3、デルタ4、及び内部標準としてβ−actinのプライマーを用い、RT−PCRを行った。
得られたサンプルをアガロースゲルで電気泳動し、各バンドを検出し、定量した。定量は、電気泳動したPCR産物のバンド強度を、画像解析ソフト(ImageJ、National Institutes of Health (NIH))で解析することにより行った。
結果を図17に示す。また、PMAのみで処理して誘導されたDC様細胞(未熟樹状細胞)から分化誘導された成熟樹状細胞のNotchリガンド遺伝子発現量を表1に示す。
表1の結果から、Th2アジュバントであるPGE及びforskolinのデルタ1遺伝子発現量/デルタ4遺伝子発現量比の値が有意に大きく、Th1アジュバントであるLPSのデルタ1遺伝子発現量/デルタ4遺伝子発現量比の値が有意に小さいことがわかり、デルタ1遺伝子発現量/デルタ4遺伝子発現量比が、前記特定物質のTh1/Th2アジュバント活性を示すマーカーとして有効であることが明らかとなった。
また、図17から、前記KG−1細胞をPMAのみで処理して誘導されたDC様細胞(未熟樹状細胞)において、前記特定物質の刺激により分化誘導された成熟樹状細胞でNotchリガンド遺伝子発現の変化が認められることがわかった。一方、PMAとionomycinの組合せで処理することにより誘導されたDC様細胞(未熟樹状細胞)では、成熟樹状細胞においてJagged1以外のNotchリガンド遺伝子の発現は認められず、また、Jagged1の発現量の差異もみられなかった。このことから、PMA単独によって誘導されるKG−1細胞由来樹状細胞を用いて、本発明の方法により前記特定物質の免疫応答修飾活性が評価できることがわかった。
(実施例5)
KG−1細胞5×10個を、PMAを10ng/mLを添加した20%FBS含有IMDM培地1mL中で48時間培養し、DC様細胞に誘導し、前記特定物質としてLPS 3μg/mL、PGE 10μM、PGE 10μM及びTNF−α 2.5ng/mLを用いてそれぞれ1時間、又は3時間刺激を行った以外は、参考例1と同様にしてデルタ1遺伝子発現量/デルタ4遺伝子発現量比を求めた。結果を図18、及び表2に示す。

図18及び表2の結果から、1時間の刺激によりPGEのデルタ1遺伝子発現量/デルタ4遺伝子発現量比の値が有意に大きいことから、Th2アジュバントであることが評価でき、LPSのデルタ1遺伝子発現量/デルタ4遺伝子発現量比の値が有意に小さいことから、Th1アジュバントであることが評価でき、本発明の方法によれば、極めて短時間で前記特定物質のTh1/Th2アジュバント活性が評価できることがわかった。
(実施例6)
ヒトPBMCsから分離した単球を用いて、参考例1と同様にして未熟樹状細胞を誘導した後、前記特定物質としてLPS 3μg/mL、PGE 10μM、PGE 10μM及びTNF−α 2.5ng/mL、及びforskolin 10μMを用いて参考例1と同様にして刺激し、成熟樹状細胞を得た。
刺激開始から6時間後に前記成熟樹状細胞からtotalRNAを回収し、実施例4と同様にしてJagged1、Jagged2、デルタ1、デルタ2、デルタ3、デルタ4、及び内部標準としてβ−actinのプライマーを用いてRT−PCRを行い、Notchリガンド遺伝子発現を解析し、さらに、デルタ1遺伝子発現量/デルタ4遺伝子発現量比を求めた。Notchリガンド発現プロファイル解析の結果を図19A〜Eに、デルタ1遺伝子発現量/デルタ4遺伝子発現量の解析結果を図20及び表3に示す。
図19A〜Eの結果から、PGE及びforskolinは、デルタ4の誘導を伴わず、デルタ1の発現上昇をもたらすことがわかった。このことから、実施例4及び5においても明らかなとおり、デルタ1遺伝子発現量/デルタ4遺伝子発現量比が、前記特定物質のTh1/Th2アジュバント活性を示すマーカーとして有効であり、特にTh2アジュバント活性を示すマーカーとして好適であることがわかった。
また、図20及び表3の結果から、PGE及びforskolinのデルタ1遺伝子発現量/デルタ4遺伝子発現量比の値が有意に大きく、Th2アジュバントであることが評価でき、LPSのデルタ1遺伝子発現量/デルタ4遺伝子発現量比の値が有意に小さいことから、Th1アジュバントであることが評価できた。本発明の方法によれば、短時間で効率よく、ヒト単球由来の樹状細胞を用いて、前記特定物質のTh1/Th2アジュバント活性が評価できることがわかった。
(実施例7)
ヒトPBMCsから分離した単球を用いて、参考例1と同様にして未熟樹状細胞を誘導した後、該未熟樹状細胞にIBMX(PDE阻害剤)を500μM、1mMの濃度でそれぞれ添加して10分静置し、次いで、前記特定物質としてLPS 3μg/mL、forskolinを10μM/mL、30μM/mL、100μM/mLの各濃度で用いた以外は参考例1と同様にして刺激し、成熟樹状細胞を得た。
刺激開始から10分後に前記成熟樹状細胞の細胞内cAMP濃度を、CatchPoint Cyclic−AMP Fluorescent Assay Kit(Molecular Devices社製)を用い、FlexStation(Molecular Devices社製)により測定した。結果を図21に示す。
図21から、Th2アジュバントであるforskolin100μMで刺激したときの細胞内cAMP濃度が有意に高く、Th1アジュバントであるLPSの細胞内cAMP濃度が無刺激のものと同等乃至、無刺激のものより低いことがわかり、細胞内cAMP濃度が、前記特定物質のTh1/Th2アジュバント活性を示すマーカーとして有効であることが明らかとなった。
(実施例8)
KG−1細胞5×10個を、PMAを10ng/mL添加した20%FBS含有IMDM培地1mL中、及びPMAを添加しない20%FBS含有IMDM培地1mL中で48時間培養し、DC様細胞(未熟樹状細胞)に誘導した。
得られたDC様細胞(未熟樹状細胞)を、IMDM培地で洗浄後、IBMX(PDE阻害剤)を1mMの濃度で添加して10分静置し、次いで、前記特定物質としてLPS及びforskolinを、10μM/mL、30μM/mL、100μM/mLの各濃度で用いた以外は参考例1と同様にして刺激し、成熟樹状細胞を得た。結果を図22に示す。
図22から、Th2アジュバントであるforskolinで刺激したときの細胞内cAMP濃度が有意に高く、Th1アジュバントであるLPSの細胞内cAMP濃度が無刺激のものと同様に極めて低いことがわかり、細胞内cAMP濃度が、KG−1細胞由来の未熟樹状細胞を用いた解析においても、前記特定物質のTh1/Th2アジュバント活性を示すマーカーとして有効であることが明らかとなった。
参考例9)
前記未熟樹状細胞を誘導するための単球のドナーと、HLA−DRが共通していないドナーのPBMCsから、CD4Tcell isolation kit II、及びCD45RO MicroBeads(Miltenyi Biotec社製)を用いて、参考例1と同様にしてCD4CD45RO細胞をネガティブ選択法により調製し、これをアロナイーブTh細胞として用いた。 96穴丸底プレートの1wellにつき、参考例1と同様にしてBPA、p−n−phenolでそれぞれ刺激して誘導して得た成熟樹状細胞(1×10cells)と、前記アロナイーブTh細胞(5.0×10cells)を共培養した。 5日後に1μCi/wellの[3H]−thymidineを添加し、さらに8時間後に前記[3H]−thymidineの取り込みを定量し、増殖応答を評価した。なお、陽性コントロールの刺激として、LPS(1μg/mL)を用いた。結果を図23に示す。
図23から、前記特定物質としてBPA及びp-n-phenolの刺激により得られた成熟樹状細胞から分化誘導されたTh細胞の増殖応答の強さは、これらの特定物質の濃度依存的に増加した。このことから、前記特定物質が、前記成熟樹状細胞のMLR誘導活性を促進する機能的修飾を付与することが明らかとなり、Th細胞のMLR誘導による増殖応答の強さ(MLR誘導活性)から、前記成熟樹状細胞のMLR誘導活性が評価でき、その結果から、前記特定物質のTh1/Th2アジュバント活性(強度)が評価可能であることがわかった。
本発明の免疫応答修飾活性の試験管内評価方法は、未熟樹状細胞を特定物質で刺激し、該刺激により前記未熟樹状細胞から分化誘導された成熟樹状細胞を解析することにより、前記特定物質が有する免疫応答修飾活性、特にTh1/Th2アジュバント活性を、in vitroで、短期間で効率よく正確に、かつ安価に評価することができ、また、in vitroにおける評価方法において、従来困難とされてきた難水溶性物質を細胞培養系に容易に導入する免疫応答修飾活性を評価することができるため、ヒトに対してアジュバントとしての免疫応答修飾活性を持ち得る環境ホルモン、排気ガス、及びトナー等に含まれる微粒子、細菌等の微小生物、ダニ等の動物、花粉等の植物体の一部、ハウスダスト等の環境物質、並びに工業製品、建築用材品、医薬品、飲食品、化粧品、家電製品、及び衣料品等の安全性を効率的に評価する方法として有用である。さらに、一連の作業をシステム化し、ルーチンにすることにより、さらに効率的に評価することができる。

Claims (10)

  1. 特定物質としての難水溶性物質を有機溶媒中に溶解又は抽出した難水溶性物質溶液を調製し、該難水溶性物質溶液から前記難水溶性物質を含む画分を回収してなる難水溶性物質溶離液を調製し、前記難水溶性物質溶離液を容器に添加し、該容器内で前記有機溶媒を風乾させて揮発させることにより前記特定物質の殺菌を行い、前記揮発を行った容器に未熟樹状細胞を添加することにより、前記未熟樹状細胞を前記特定物質で刺激し、該刺激により前記未熟樹状細胞から成熟樹状細胞を分化誘導する成熟樹状細胞分化誘導ステップと、
    前記成熟樹状細胞を解析することにより、前記特定物質が有する免疫応答修飾活性を評価する成熟樹状細胞解析ステップと、を含み、
    前記成熟樹状細胞解析ステップが、下記(i)から(iii)のいずれかであることを特徴とする免疫応答修飾活性評価方法。
    (i)前記成熟樹状細胞におけるデルタ1遺伝子発現量及びデルタ4遺伝子発現量の比を解析することにより行われるデルタ1/デルタ4遺伝子発現量比測定ステップ。
    (ii)前記特定物質で刺激された成熟樹状細胞内のcAMP濃度、及び前記特定物質で刺激されていない成熟樹状細胞のcAMP濃度を測定し、
    前記特定物質で刺激された成熟樹状細胞内のcAMP濃度が前記特定物質で刺激されていない成熟樹状細胞のcAMP濃度よりも5倍以上高いときは、前記特定物質で刺激された成熟樹状細胞のサブセットの比率は、DC2が高いと判定し、前記特定物質がTh2アジュバント活性を有すると評価し、
    前記特定物質で刺激された成熟樹状細胞内のcAMP濃度が前記特定物質で刺激されていない成熟樹状細胞のcAMP濃度と同等又は低いときは、前記特定物質で刺激された成熟樹状細胞のサブセットの比率は、DC1が高いと判定し、前記特定物質がTh1アジュバント活性を有すると評価するcAMP濃度測定ステップ。
    (iii)ナイーブCD4T細胞から前記成熟樹状細胞によって分化誘導されたTh細胞のタイプを前記Th細胞表面に発現したケモカインレセプターを測定することにより判定され、Th1細胞が発現するケモカインレセプターが、CXCR3及びCCR5の少なくともいずれかであり、Th2細胞が発現するケモカインレセプターが、CCR4、CRTH2、及びCCR8の少なくともいずれかであるTh細胞分化判定ステップ。
  2. 未熟樹状細胞が、単球、幹細胞、及び培養細胞のいずれかを分化誘導する未熟樹状細胞分化誘導ステップにより調製され、成熟樹状細胞分化誘導ステップが、前記未熟樹状細胞に特定物質を加えて培養することにより行われる請求項1に記載の免疫応答修飾活性評価方法。
  3. デルタ1/デルタ4遺伝子発現量比測定ステップが、成熟樹状細胞のデルタ1遺伝子及びデルタ4遺伝子の発現量を定量し、前記デルタ1遺伝子と前記デルタ4遺伝子の発現量比を求めることにより行われる請求項1から2のいずれかに記載の免疫応答修飾活性評価方法。
  4. 成熟樹状細胞解析ステップが、ナイーブCD4 T細胞から成熟樹状細胞により分化誘導されたTh細胞のMLR誘導による増殖応答の強さを測定するMLR誘導活性評価ステップを含む請求項1から3のいずれかに記載の免疫応答修飾活性評価方法。
  5. 単球、幹細胞、及び培養細胞のいずれかが、ヒト由来である請求項2から4のいずれかに記載の免疫応答修飾活性評価方法。
  6. 単球が、末梢血、臍帯血、骨髄液、及び組織のいずれかの由来である請求項2から5のいずれかに記載の免疫応答修飾活性評価方法。
  7. 培養細胞が、ヒト骨髄性白血病細胞由来KG−1株である請求項2から5のいずれかに記載の免疫応答修飾活性評価方法。
  8. ナイーブCD4 T細胞が、アロナイーブCD4 T細胞、またはゼノナイーブCD4 T細胞である請求項1から7のいずれかに記載の免疫応答修飾活性評価方法。
  9. 免疫応答修飾活性の評価が、未熟樹状細胞をDC1に分化させるTh1アジュバント活性及び未熟樹状細胞をDC2に分化させるTh2アジュバント活性のいずれを有するかの評価である請求項1から8のいずれかに記載の免疫応答修飾活性評価方法。
  10. DC1の特性がみられる成熟樹状細胞の比率が高い場合、特定物質の免疫応答修飾活性をTh1アジュバント活性として評価し、DC2の特性がみられる成熟樹状細胞の比率が高い場合、前記特定物質の免疫応答修飾活性をTh2アジュバント活性として評価する請求項9に記載の免疫応答修飾活性評価方法。
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