JP4883411B2 - 蛍光強度解析法 - Google Patents

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Description

本発明は、蛋白質中に存在する複数個の蛍光基が蛋白質の蛍光強度にそれぞれ寄与する割合を解析する方法に関する。
蛋白質を構成しているアミノ酸の中には、トリプトファン、チロシンのように蛍光を発するものが存在する。また、蛋白質に蛍光を発する物質を共有結合もしくは非共有結合で付加させることによって、トリプトファンやチロシン以外の蛍光基を蛋白質中に導入することができる。本出願においては、これらの蛍光性物質を総称して蛋白質中の蛍光基と呼ぶ。
蛋白質中には、このように複数種類の蛍光基がそれぞれ1つもしくは複数個ずつ存在しうるが、蛍光基の励起波長を選択したりすることにより、ある1種類の蛍光基のみに由来する蛍光強度を測定できることが公知である。例えば、蛋白質中にトリプトファンとチロシンという2種類の蛍光基が存在している場合、トリプトファンのみを選択的に励起できる波長(295 nm など)を用いて蛋白質を励起させることによって、蛋白質中のトリプトファンに由来する蛍光強度を測定することができる。
蛋白質中に同じ種類の蛍光基が複数個存在している場合、それらは全て同じ蛍光強度を持っているわけではない。蛍光基が存在する環境に応じて蛍光強度が変化するため、通常、蛋白質中に存在する複数個の蛍光基はそれぞれ異なった蛍光強度を持っている。このことは、逆に、各蛍光基が蛋白質全体の蛍光強度に及ぼす寄与度を求めることにより、各蛍光基の環境についての情報が得られることを意味する。
こうした特徴を利用して、各蛍光基の蛍光強度変化をプローブとして、蛋白質の機能的運動やフォールディングに伴う蛍光基の局所的な環境変化を測定し、蛋白質の活性や構造変化を調べることができる。また、この方法を蛋白質製剤等の薬剤開発などに応用することも可能である。例えば、蛋白質製剤の候補となる蛋白質の機能や活性等を、蛍光強度を用いてモニターし、蛍光基周辺の局所的な環境変化を明らかにすることにより、蛋白質製剤の作用を明らかにできる。また、薬剤の結合に伴うターゲット蛋白質の構造変化を蛍光強度でモニターし、蛍光基周辺の局所的な環境変化を明らかにすることにより薬剤の作用を明らかにできる。蛍光強度の測定は簡便な測定方法であるため、こうした方法を使用することにより、薬剤開発におけるスループットが上がるなどの効果が期待される。したがって、各蛍光基が蛋白質全体の蛍光強度に及ぼす寄与度を求める方法、言い換えれば、蛍光強度を蛍光基ごとに分配する方法を開発することは、生化学的研究や薬剤開発などにおいて重要である。
蛍光強度を蛍光基ごとに分配するための従来の方法は、例えば下記の文献に記載されている。(非特許文献1−8)
Harris, D. L. & Hudson, B. S. (1990). Photophysics of tryptophan in bacteriophage T4 lysozymes. Biochemistry 29, 5276-5285. Loewenthal, R., Sancho, J. & Fersht, A. R. (1991). Fluorescence spectrum of barnase: contributions of three tryptophan residues and a histidine-related pH dependence. Biochemistry 30, 6775-6779. Locke, B. C., MacInnis, J. M., Qian, S., Gordon, J. I., Li, E., Fleming, G. R. & Yang, N. C. (1992). Fluorescence studies of rat cellular retinol binding protein II produced in Escherichia coli: an analysis of four tryptophan substitution mutants. Biochemistry 31, 2376-2383. Eftink, M. R., Ramsay, G. D., Burns, L., Maki, A. H., Mann, C.J., Matthews, C. R. & Ghiron, C. A. (1993). Luminescence studies with trp repressor and its single-tryptophan mutants. Biochemistry 32, 9189-198 Clark, P. L., Weston, B. F. & Gierasch, L. M. (1998). Probing the folding pathway of a β-clam protein with single-tryptophan constructs. Fold. Des. 3, 401-412. Demchenko, A. P., Gallay, J., Vincent, M. & Apell, H. J. (1998). Fluorescence heterogeneity of tryptophans in Na,K-ATPase: evidences for temperature-dependent energy transfer. Biophys. Chem. 72, 265-283. Ercelen, S., Kazan, D., Erarslan, A. & Demchenko, A. P. (2001). On the excited-state energy transfer between tryptophan residues in proteins: the case of penicillin acylase. Biophys. Chem. 90, 203-217. Martensson, L. G., Jonasson, P., Freskgard, P. O., Svensson, M., Carlsson, U. & Jonsson, B. H. (1995). Contribution of individual tryptophan residues to the fluorescence spectrum of native and denatured forms of human carbonic anhydrase II. Biochemistry 34, 1011-1021.
これらの文献では、蛍光基としてトリプトファンに着目し、複数のトリプトファンが存在する蛋白質において、蛋白質のトリプトファン由来の蛍光強度に対して各トリプトファンが寄与する割合を測定することを目的として、トリプトファンを1つずつ別のアミノ酸(チロシン、フェニルアラニン、ロイシンなど)に置換した変異型蛋白質を、トリプトファンの数だけ作成し、変異型蛋白質と野生型蛋白質の蛍光スペクトルの差を求めることにより、各トリプトファンの蛍光強度寄与度を算出することを試みている。
しかし、同一の蛍光基が蛋白質中に複数個存在している場合には、蛍光基間の蛍光共鳴エネルギー移動が存在する。すなわち、ある一つの蛍光基は、他の蛍光基の蛍光強度に影響を与える。それゆえ、トリプトファンを別のアミノ酸に置換して欠損させてしまうと、そのトリプトファンが他のトリプトファンとの間で起こしている蛍光共鳴エネルギー移動を破壊してしまい、その結果、野生型蛋白質において個々のトリプトファンが持つ蛍光寄与度を正確に求めることはできなくなってしまう。したがって、トリプトファンを他のアミノ酸に置換せずに、個々のトリプトファンの蛍光強度寄与度を解析する方法を開発することが課題となっている。
こうした問題は、蛋白質中のトリプトファンの場合に限ったことではなく、あらゆる蛍光基の場合にも同様である。したがって、蛍光基を蛋白質から除去することなく、蛋白質に存在する複数個の蛍光基が蛋白質の蛍光強度に寄与する割合を解析する方法を開発することが課題になっている。
したがって、本発明は、蛍光基を蛋白質から除去することなく、蛋白質に存在する複数個の蛍光基Dが蛋白質の蛍光強度にそれぞれ寄与する割合を解析する方法を開発すること、特に、アクセプター蛍光体Aを蛋白質に導入した変異型蛋白質を作製し、蛍光基Dに由来する変異型蛋白質の蛍光強度のデータを用いて、蛋白質に存在する複数個の蛍光基Dが蛋白質の蛍光強度にそれぞれ寄与する割合を求める方法を開発すること、を目的とする。
Figure 0004883411
(1)アクセプター蛍光体Aを蛋白質に導入した変異型蛋白質M個を用いて得られる、蛍光基Dに由来するj番目(j = 1 〜 M)の変異型蛋白質の蛍光強度FDAのデータ、および、アクセプター蛍光体Aが存在しない場合の蛍光基Dに由来する蛋白質の蛍光強度FDのデータを次の式(3)’に代入して、j番目の変異型蛋白質の全蛍光基Dからアクセプター蛍光体Aへの有効蛍光共鳴エネルギー移動効率Eeff,jを求める。
Figure 0004883411
(2)得られたEeff,j及び下記のデータを用いて次の式(9a)という連立一次方程式を解くことにより、fiを求める。
Figure 0004883411
R0は蛍光基Dとそのアクセプター蛍光体Aのフェルスター距離;
ri,jはi番目の蛍光基Dとj番目のアクセプター蛍光体A導入部位との距離である。
上記のFDA等のデータとしては、実測値の他に、既に公知となっているデータを用いることができる。
本発明によれば、蛍光基を蛋白質から除去することなく、蛋白質に存在する複数個の蛍光基が蛋白質の蛍光強度にそれぞれ寄与する割合を解析することができる。特に、蛋白質に存在するトリプトファン、チロシン、その他の蛍光基が蛋白質の蛍光強度に寄与する割合を、蛍光基間のエネルギー移動が存在する場合にも測定可能である。近年、強い蛍光を発し、かつ、強い光を照射しても分解されにくい蛍光基であるAlexa Fluor色素等を蛋白質に共有結合的にラベルし、その蛍光を指標にして蛋白質の機能やフォールディングに伴う運動をモニターする技術が開発されてきている。こうした蛍光基が複数個ラベルされたときの各蛍光基の蛍光強度を定量することは、今後必要な技術である。
生化学、分子生物学、生物物理学、蛋白質科学等の分野では、各蛍光基の蛍光強度変化をプローブとして、蛋白質の機能的運動やフォールディングに伴う蛍光基の局所的な環境変化を測定し、蛋白質の活性や構造変化を調べる研究がなされているが、本発明はこうした研究において効果を発揮する。また、この方法を蛋白質製剤等の薬剤開発などに応用することが可能である。例えば、蛋白質製剤の候補となる蛋白質の機能や活性等を、蛍光強度を用いてモニターし、蛍光基周辺の局所的な環境変化を明らかにすることにより、蛋白質製剤の作用を明らかにできる。また、薬剤の結合に伴うターゲット蛋白質の構造変化を蛍光強度でモニターし、蛍光基周辺の局所的な環境変化を明らかにすることにより薬剤の作用を明らかにできる。蛍光強度の測定は簡便な測定方法であるため、こうした方法を使用することにより、薬剤開発におけるスループットが上がるなどの効果が期待される。
本発明は解析方法についての発明であり、アクセプター蛍光体が存在する場合と存在しない場合の蛍光強度のデータ、蛋白質の三次元立体構造のデータ、蛍光基とアクセプター蛍光体のフェルスター距離のデータを入力すれば、個々の蛍光基の蛍光寄与度を出力するソフトウェアを作成する上で有用である。また、この方法に基づいて蛍光寄与度を求めることのできる実験キットを開発することも可能である。
Figure 0004883411
同一の蛍光基Dが蛋白質中に複数(N個)存在するとき、蛋白質の蛍光強度FDは、次の式(1)で表される、個々の蛍光基Dの蛍光強度FD,i (i = 1 〜 N)の和として記述できる:
Figure 0004883411
ここでFD,iは、蛍光基間の蛍光共鳴エネルギー移動によって蛍光強度が増加もしくは減少したあとの蛍光強度を表す。
次に、これらの蛍光基が蛍光を発する波長域に吸収を持ち、この波長域よりも長波長域において蛍光を発することのできるアクセプター蛍光体(蛍光受容体)Aを1つだけ、蛋白質に部位特異的に結合させた変異型蛋白質を考える。蛍光基Dに由来する変異型蛋白質の蛍光強度FDAは、アクセプター蛍光体A存在下での個々の蛍光基Dの蛍光強度FDA,i (i = 1 〜 N)の和として記述できる:
Figure 0004883411
ここでFDA,iも、蛍光基間の蛍光共鳴エネルギー移動によって蛍光強度が増加もしくは減少したあとの蛍光強度を表す。
このとき、全蛍光基Dからアクセプター蛍光体Aへの有効蛍光共鳴エネルギー移動効率Eeff 、および、仮想的な1つの蛍光基Dとアクセプター蛍光体Aとの有効距離reff は、次式(3)のように求められる:
Figure 0004883411
ここで、R0は蛍光共鳴エネルギー移動効率が50%となる距離(フェルスター距離)であり、次式(4)により求められることが知られている。
Figure 0004883411
Figure 0004883411
一方、実在するi番目の蛍光基Dからアクセプター蛍光体Aへの蛍光共鳴エネルギー移動効率Eiは、次式(5)で表される。
Figure 0004883411
ここで、ri はアクセプター蛍光体Aとi番目の蛍光基Dとの距離である。この距離はX線結晶構造解析やNMR分光法などから得られた蛋白質の三次元立体構造より求めることができる。近年、蛋白質の三次元立体構造が数多く決定され、それらはProtein Data Bank (http://www.rcsb.org/pdb/)に登録され公開されていることから、本発明においてこれらの蛋白質の三次元立体構造の情報を利用することができる。
式(3)と式(5)を式(2)に代入してFDA と FDA,iを消去することにより、
Figure 0004883411
ここでfi は、蛋白質の蛍光強度に対するi番目の蛍光基Dの寄与の割合を表す。すなわち、Eeff はfiの線形結合で表すことができる。
上記の議論は、アクセプター蛍光体Aが蛋白質中の異なった場所に導入された変異型蛋白質すべてに対して成立する。これら変異型蛋白質の数をMとすると、
Figure 0004883411
Eeff,j と reff,j は、それぞれj番目の変異型蛋白質のEeff と reff であり、ri,j はi番目の蛍光基Dとj番目のアクセプター蛍光体A導入部位との距離である。式(9b)の行列表示は、
Figure 0004883411
である。ここで、g は (M, 1)行列、A は(M, N)行列、f は (N, 1)行列である。gi あるいはgは、アクセプター蛍光体Aを含まない蛋白質の蛍光強度FDのデータと、アクセプター蛍光体Aを含む変異型蛋白質の蛍光強度FDAのデータ(M個)から求めることができる。
蛍光強度としては、蛍光基Dの蛍光スペクトルのピーク波長付近の蛍光強度を用いるか、あるいは、蛍光基Dの蛍光スペクトルの積分値を用いればよい。Ai,j あるいは A は蛋白質の三次元立体構造のデータから求めることができる。fi あるいはf のみが未知の変数である。したがって、式(9)あるいは式(10)は、N個の変数を持ったM個の方程式からなる連立一次方程式に対応する。
Figure 0004883411
しかし、この場合に得られる解は、式(7)を常に満たすとは限らない。式(7)を満たすことを保障するために、次式を式(9b)に代入する:
Figure 0004883411
Figure 0004883411
Figure 0004883411
Figure 0004883411
Figure 0004883411
となる。
Figure 0004883411
トリプトファンを蛍光基Dとした場合のアクセプター蛍光体としては、AEDANS(5-2-((iodoacetyl)amino)ethyl)amino)-naphthalene-1-sulfonic acid)、ANS(8-anilino-1-naphthalene sulfonate)、DPH(1,6-diphenyl 1,3,5-hexatriene)、Ru(III)(NH3)5、TNB(thionitrobenzoate)、アントロイル基、アントロイルオキシ基、ジニトロベンゼンスルホニル基、ダンシル基、ニトロチロシン、ニトロベンゼンスルホニル基、ニトロベンゾイル基、ピレン、ヘム、などが知られており、それらのアクセプター蛍光体とトリプトファンのフェルスター距離R0も公知である(非特許文献9)。
この他に、蛍光基Dとアクセプター蛍光体Aとしては次のようなものがある(非特許文献9、10)。
Wu, P. & Brand, L. (1994) Resonance energy transfer: Methods and applications. Anal. Biochem. 218, 1-13. Invitrogen社のホームページ:http://probes.invitrogen.com/handbook/sections/0103.html
蛍光基D: AEDANS、Alexa350、Alexa405、Alexa430、Alexa488、Alexa500、Alexa514、Alexa532、Alexa546、Alexa555、Alexa568、Alexa594、Alexa610、ANAI(2-anthracene N-acetylimidazole)、BODIPY FL、BPE(B-phycoerythrin)、CF(carboxyfluorescein succinimidyl ester)、CPM(7-diethylamino-3-(4'-maleimidylphenyl)-4-methylcoumarin)、Cy3(carboxymethyl indocyanine-3)、DANZ(dansylaziridine)、DMSM(N-(2,5-dimethoxystiben-4-yl) maleimide)、ε-A(1,N6-ethenoadenosine)、FITC(fluorescein-5-isothiocyanate)、Fluorescein、FMA(fluorescein mercuric acetate)、FNAI(fluorescein N-acetylimidazole)、IAANS(2-((4'-iodoacetamido)anilino)naphthalene-6-sulfonic acid)、IAF(5-iodoacetamidofluorescein)、IANBD(N-((2-(iodoacetoxy)ethyl)-Nmethyl)amino-7-nitrobenz-2-oxa1,3,diazole)、IPM(3(4-isothiocyanatophenyl)7-diethyl-4-amino-4-methylcoumarin)、ISA(4-(iodoacetamido)salicylic acid)、LY(Lucifer yellow)、mBBR(monobromobimane)、MNA((2-methoxy-1-naphthyl)-methyl)、NAA(2-naphthoxyacetic acid)、NBD(7-nitro-2,1,3-benzoxadiazol-4-yl)、NCP(N-cyclohexyl-N'-(1-pyrenyl)carbodiimide)、PM(N-(1-pyrene)-maleimide)、Proflavin、ナフタレン、ピレン、チロシン、など。
アクセプター蛍光体A: Alexa488、Alexa546、Alexa555、Alexa568、Alexa594、Alexa633、Alexa635、Alexa647、Alexa660、Alexa680、Alexa700、Alexa750、Bimane、BODIPY FL、Coumarin、Cy5(carboxymethyl indocyanine-5)、Cy5.5、Cy7、DABM(4-dimethylaminophenylazo-phenyl-4'-maleimide)、DACM(7-(dimethylamino)coumarin-4-yl)-acetyl)、DDPM(N-(4-dimethylamino-3-5-dinitrophenyl)maleimide)、diI-C18(1,1'-dioctadecyl-3,3,3'3'-tetramethyl-indocarbocyanine)、DiO-C14(3,3'-ditetradecyloxacarbocyanine)、DMAMS(dimethylamino-4-maleimidostilbene)、DNP(2,4-dinitrophenyl)、EIA(5-(iodoacetetamido)eosin)、EITC(eosin-5-isothiocyanate)、EM(eosin maleimide)、ENAI(eosin N-acetylimidazole)、ErITC(erythrosin-5'-isothiocyanate)、ETSC(eosin thiosemicarbazide)、F2DNB(1,5-difluoro-2,4'dinitrobenzene)、F2DPS(4,4'-difluro-3,3'dinitropheylsulfone)、FITC、Fluorescein、FM(fluorescein-5-maleimide)、FMA、FNAI、FTS(fluorescein thiosemicarbazide)、IANBD、IAF、IPM、LRH(lissaminerho-2,1,3-benzoxadiazol-4-yl)、LY、NBD、ODR(octadecylrhodamine)、QSY7、QSY9、SRH(sulfurhodamine)、TMR(tetramethylrhodamine)、TNP(trinitrophenyl)、TNP-ATP(2',3'-O-(2,4,6-trinitrophenyl) adenosine 5'-triphosphate)、TR(Texas red)、ダンシル基、トリプトファン、など。
蛍光基Dとアクセプター蛍光体Aの組み合わせとしては、次のようなものが公知であり、そのフェルスター距離も公知である(蛍光基Dとアクセプター蛍光体AのペアをD - A と表記する)(非特許文献9、10): AEDANS - DABM、AEDANS - DDPM、AEDANS - DiO-C14、AEDANS - FITC、AEDANS - Fluorescein、AEDANS - IAF、AEDANS - IANBD、AEDANS - TNP、AEDANS - TNP-ATP、Alexa350 - Alexa488、Alexa488 - Alexa546、Alexa488 - Alexa555、Alexa488 - Alexa568、Alexa488 - Alexa594、Alexa488 - Alexa647、Alexa546 - Alexa568、Alexa546 - Alexa594、Alexa546 - Alexa647、Alexa555 - Alexa594、Alexa555 - Alexa647、Alexa568 - Alexa647、Alexa594 - Alexa647、BPE - Cy5、CF - TR、CPM - Fluorescein、CPM - FM、CPM - FTS、CPM - TNP-ATP、DANZ - DABM、DANZ - IAF、DNSM - LY、eA - DDPM、eA - F2DNB、eA - F2DPS、eA - IANBD、eA - NBD、eA - TNP-ATP、FITC - EITC、FITC - EM、FITC - ENAI、FITC - ErITC、FITC - ETSC、FITC - TMR、FITC - TNP-ATP、Fluorescein - QSY7、Fluorescein - QSY9、Fluorescein - TMR、FMA - FMA、FNAI - EITC、IAF - diI-C18、IAF - EIA、IAF - ErITC、IAF - TMR、IAF - TMR、IANBD - DDPM、IPM - FNAI、ISA - TNP、LY - EM、LY - TNP-ATP、mBBR - DABM、mBBR - FITC、MNA - DACM、NAA - DNP、NBD - LRH、NBD - SRH、NCP - CPM、PM - DMAMS、PM - NBD、Proflavin - ETSC、Pyrene - Coumarin、ダンシル基 - ODR、ナフタレン - ダンシル基、など。
ただし、本発明の技術的範囲は、上記の蛍光基、アクセプター蛍光体に限定されるものではない。
次に、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
[実施例1: 蛍光基としてトリプトファンとチロシンの両方を含む蛋白質のトリプトファン蛍光強度]
大腸菌由来の蛋白質であるジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR, EC 1.5.1.3)には、蛍光基として5つのトリプトファン(Trp22、Trp30、Trp47、Trp74、Trp133)、および、4つのチロシンが存在している。ここでは、5つのトリプトファンの蛍光強度を求めることを考える。トリプトファンのアクセプター蛍光体としては、AEDANS(5-(((acetylamino)ethyl)amino)naphthalene-1-sulfonic acid)、ダンシル基、TNB、ピレンなどが知られており、それらのアクセプター蛍光体とトリプトファンのフェルスター距離R0も公知である(非特許文献11)。ここでは、アクセプター蛍光体としてAEDANSを用いた例を記載する。AEDANSとトリプトファンのフェルスター距離は22 Åである(非特許文献11)。
Lakowicz, J. R. (2006). Principles of Fluorescence Spectroscopy, 3rd edition, Springer.
AEDANSをDHFRに導入する際には、非特許文献12で作成されたシステイン残基の存在しない変異型DHFR(C85A/C152Sの二重アミノ酸置換を持つ変異体。AS-DHFRと呼ぶ)をテンプレートとして用い、次の手順で、蛋白質工学的手法によって1つのシステインをAS-DHFR中に部位特異的に導入し、AEDANSをシステインの側鎖に共有結合させた。
まず、Stratagene社製のQuikChange部位特異的変異導入キットを使用して、AS-DHFRの遺伝子をもったプラスミドに変異を導入し、1つのシステインを持った変異型DHFRの遺伝子を作成した。このプラスミドを大腸菌JM109に形質転換した後、非特許文献13の方法で1システイン含有変異蛋白質を発現・精製した。具体的には、まず2×YT培地中に大腸菌を植菌し、37℃で一晩培養することにより、変異型DHFRを大量発現させた。次に、この大腸菌を遠心分離機で集菌し、フレンチプレスで破砕したあと、破砕液の上清をMTXアガロース親和性カラム(Sigma社製)に流すことにより、変異型DHFRを精製した。精製された変異型DHFRをバッファ(10 mM リン酸カリウム、0.2 mM EDTA、1 mM ジチオスレイトール(DTT)、pH 7.0)に対して透析したあと、DEAE-Toyopearl 650Mイオン交換カラム(東ソー株式会社製)に流して更に精製することにより、高度精製された1システイン含有変異型DHFRを得た。
次に、この蛋白質にMolecular Probes社製のヨードAEDANSを、販売元から供給されたプロトコールおよび非特許文献14に記載の方法を一部修正して共有結合させた。簡単に記述すると、まず、ヨードAEDANSでの修飾の前に、100 μM の蛋白質を10 mM リン酸カリウム(pH 7.8)、0.2 mM EDTA、1 mM DTT、4.5 M 尿素の溶液に入れ、室温で45分放置し、蛋白質を還元させた。そのあと、この溶液を10 mM リン酸カリウム(pH 7.8)、0.2 mM EDTA、4.5 M 尿素で平衡化してあるPD-10カラム(GE Healthcare社製)に通して、DTTを除去した。変異蛋白質(〜60 μM)への蛍光ラベル導入は、10 mM リン酸化カリウム(pH 7.8)、0.2 mM EDTA、4.5 M 尿素と、蛋白質の20倍量のヨードAEDANSを含む溶液中で行った。ラベル化反応は、室温の暗い場所で12時間放置して行わせた。ラベル化された蛋白質は、測定用緩衝液で平衡化してあるPD-10カラムに2回通して精製した。分光学的測定により、変異型DHFR1分子につきAEDANSが1個の割合で結合していることがわかった。
Iwakura, M., Jones, B. E., Luo, J. & Matthews, C. R. (1995). A strategy for testing the suitability of cysteine replacements in dihydrofolate reductase from Escherichia coli. J. Biochem.(Tokyo), 117, 480-488. Arai, M. & Iwakura, M. (2005). Probing the interactions between the folding elements early in the folding of Escherichia coli dihydrofolate reductase by systematic sequence perturbation analysis. J. Mol. Biol. 347, 337-353. Magg, C. & Schmid, F. X. (2004) Rapid collapse precedes the fast two-state folding of the cold shock protein. J. Mol. Biol. 335, 1309-1323.
本発明の解析方法を適用するためには、AEDANSを1つ導入した変異型DHFR4個以上についての蛍光強度のデータが必要となる。また、AEDANS導入部位は、4箇所以上の異なった部位でなければならない。変異型蛋白質のデータ数が多くなるほど、得られる結果の精度が上がる。DHFR中の10箇所(Asn37, Arg52, Gln65, Asp87, Pro105, Gln108, Glu120, Asp127, Gln146, Arg159)に、上記の手順によりそれぞれAEDANSを1つ導入した変異型DHFRを作製した。
図1は、DHFRの1システイン含有変異体にAEDANSを結合させた場合と、結合させていない場合の蛍光スペクトルである。チロシンの蛍光を除去するために、励起波長を295 nmに設定し、トリプトファンのみの蛍光スペクトルが測定された。これらは全て同じ蛋白質濃度、同じ装置条件、同じ測定条件で測定されたものである。蛋白質濃度は2 μM、セル長は10 mm、使用装置はAviv社製のATF 105 蛍光分光器、励起側と発光側のバンド幅はともに2 nmである。
アクセプター蛍光体が結合していない蛋白質のトリプトファン由来蛍光強度FDとしては、AEDANSを結合させていない1システイン含有変異型DHFRの蛍光スペクトルのピーク波長(336 nm 付近)における蛍光強度を採用した。また、アクセプター蛍光体が結合した蛋白質のトリプトファン由来蛍光強度FDAとしては、AEDANSを結合させた1システイン含有変異型DHFRの蛍光スペクトルのピーク波長(FDの場合と同じ波長)における蛍光強度を採用した。これらの値を式(3)’に代入することにより、10個の変異型DHFRの有効蛍光共鳴エネルギー移動効率Eeff,jが得られた(表1参照)。
Figure 0004883411
FDとFDAを測定する波長を320 〜 380 nm の範囲で変化させても、Eeff,jの値は変化しなかった。
トリプトファンとアクセプター蛍光体の距離ri (i = 1 〜 N)は、トリプトファンのCβ原子からAEDANSを導入した部位のCβ原子までの距離として求めた。DHFRの構造としては、Protein Data Bank に登録されているDHFRの12個のX線結晶構造(PDB コード: 1rx1, 1rx2, 1rx3, 1rx4, 1rx5, 1rx6, 1ra9, 4dfr (A 分子), 4dfr (B 分子), 5dfr, 6dfr, 7dfr)を使用し、それらについての距離データを平均した。
表1のデータ(Eeff,j)、結晶構造から得られた距離データ(ri,j)、および公知のフェルスター距離(R0)についての情報を式(9a)に代入して連立一次方程式を解くことにより、DHFRのトリプトファン由来蛍光強度に対する個々のトリプトファンの寄与の割合を計算した。その結果を表2に示す。
また、DHFRのトリプトファン蛍光の量子収率を公知の方法で求め、式(16)〜(17)の計算を行い、DHFRの各トリプトファン蛍光の量子収率を計算した。その結果も表2に示してある。
Figure 0004883411
[実施例2: 蛍光基としてチロシンのみを含む蛋白質のチロシン蛍光強度]
蛋白質の中には、トリプトファンを持たず、蛍光基としてチロシンのみを持つものが存在する。枯草菌由来の蛋白質であるSpo0F(125個のアミノ酸からなる)はトリプトファンを持たないが、4つのチロシン(Tyr13、Tyr28、Tyr84、Tyr118)を持つ。チロシンのアクセプター蛍光体として、実施例1の場合と同様にAEDANSを用いることができる。AEDANSの導入は、実施例1と同様である。Spo0F中の3箇所以上にAEDANSを1つずつ導入した変異型Spo0Fを3個以上作成する。励起波長を280 nm に設定してSpo0Fのチロシン由来蛍光スペクトルを測定する。AEDANSが結合していない1システイン含有変異型Spo0Fの蛍光スペクトルのピーク波長付近(310 nm 付近)での蛍光強度をFDとして用い、AEDANSが結合している1システイン含有変異型Spo0Fの蛍光スペクトルのピーク波長付近(FDの場合と同じ波長)での蛍光強度をFDAとして用いる。式(3)’から、3個以上の変異型Spo0Fの有効蛍光共鳴エネルギー移動効率Eeff,jを求める。Protein Data Bank に登録されているSpo0FのX線結晶構造(PDBコード: 1NAT)あるいはNMR構造(PDBコード: 2FSP)から、AEDANS導入部位とチロシンの距離を求める。式(4)からフェルスター距離R0を求める。
以上のデータは公知の方法で得ることができる。これらのデータをもとにして、本発明の解析方法を用いることにより、Spo0Fのチロシン由来蛍光強度に対する4つのチロシンの寄与度を求めることができる。
[実施例3: 蛍光基としてトリプトファンのみを含む蛋白質のトリプトファン蛍光強度]
蛋白質の中には、チロシンを持たず、蛍光基としてトリプトファンのみを持つものが存在しうる。公知の蛋白質工学的手法を用いることにより、そのような蛋白質を作成することも可能である。ストレプトコッカス由来の蛋白質であるProtein AのBドメインには1つのチロシン(Tyr15)存在するが、これをトリプトファンに置換したY15W変異体が報告されている(非特許文献15)。
Sato, S., Religa, T. L., Daggett, V. & Fersht, A. R. (2004). Testing protein-folding simulations by experiment: B domain of protein A. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 101, 6952-6956.
このY15W変異型Protein Aにもう一つのトリプトファンを公知の蛋白質工学的手法で導入すれば、蛍光基として2個のトリプトファンのみを持つ変異型Protein A(AW2と名づける)になる。実施例1と同様にして、アクセプター蛍光体であるAEDANSを導入した変異型AW2を1個以上作成し、そのトリプトファン由来蛍光強度FDAと、AEDANSを含まないAW2のトリプトファン由来蛍光強度FDを測定する。チロシンが存在していないので、励起波長として280 nmを用いても、トリプトファンのみに由来する蛍光強度を測定できる。トリプトファン導入部位とAEDANS導入部位の距離は、Protein Data Bank に登録されているNMR構造(PDBコード: 1SS1)から得られる。トリプトファンとAEDANSのフェルスター距離は22 Åであることが公知である(非特許文献11)。
以上のデータは公知の方法で得ることができる。これらのデータをもとにして、本発明の解析方法を用いることにより、AW2のトリプトファン由来蛍光強度に対する2つのトリプトファンの寄与度を求めることができる。
[実施例4: 蛍光基としてトリプトファンとチロシンの両方を含む蛋白質のチロシン蛍光強度]
実施例1で用いたDHFRには、5つのトリプトファン(Trp22、Trp30、Trp47、Trp74、Trp133)と4つのチロシン(Tyr100、Tyr111、Tyr128、Tyr151)が存在している。トリプトファンとチロシンのアクセプター蛍光体としてAEDANSを採用し、実施例1と同じ方法でAEDANSをDHFRに導入する。AEDANSを結合させていない1システイン含有変異型DHFRと、AEDANSを結合させた1システイン含有変異型DHFRをそれぞれ3個以上作成する。
チロシンの吸収スペクトルはトリプトファンの吸収スペクトルの範囲内にあるため、近紫外領域においては、チロシンのみを選択的に励起する波長は存在しない。そこで励起波長を280 nmに設定し、トリプトファンとチロシンの両方の寄与が存在している蛍光スペクトルを測定する。また、励起波長を295 nm に設定し、トリプトファンのみに由来する蛍光スペクトルを測定する。さらに、AEDANSを結合させていない1システイン含有変異型DHFR の280 nm と295 nm における吸光度A280およびA295を測定する。
非特許文献16などの公知の方法により、280 nm における蛋白質の吸光係数ε280から、トリプトファンの寄与ε280 Trpとチロシンの寄与ε280 Tyrを分離できる。280 nm で励起した蛍光スペクトルから、トリプトファンの寄与を取り除くために、(280 nm で励起した蛍光スペクトル)―(295 nm で励起した蛍光スペクトル)×(A280/A295)×(ε280 Trp280) を計算する。これにより、280 nm で励起したときのチロシンのみの蛍光スペクトルが得られる。
AEDANSを結合させていない1システイン含有変異型DHFRとAEDANSを結合させた1システイン含有変異型DHFRそれぞれ3個以上について測定した全ての蛍光スペクトルに対して、この操作を行い、チロシンのみに由来する蛍光スペクトルを求める。ピーク波長付近(310 nm 付近)での蛍光強度を、それぞれFDおよびFDAとして採用する。これをもとにして、式(3)’からEeff,jを計算する。また、実施例1と同じようにして、Protein Data Bank に登録されたX線結晶構造のデータから、アクセプター蛍光体とチロシンの距離を求める。さらに、実施例2と同じようにして、チロシンとAEDANSのフェルスター距離R0を求める。
以上のデータは公知の方法で得ることができる。これらのデータをもとにして、本発明の解析方法を用いることにより、DHFRのチロシン由来蛍光強度に対する4つのチロシンの寄与度を求めることができる。
Pace, C. N., Vajdos, F., Fee, L., Grimsley, G. & Gray, T. (1995). How to measure and predict the molar absorption coefficient of a protein. Protein Sci. 4, 2411-2423.
[実施例5: トリプトファンとチロシン以外の蛍光基を含む蛋白質の例]
強い蛍光を発し、かつ、強い光を照射しても分解されにくい蛍光基であるAlexa Fluor色素等を蛋白質に共有結合的にラベルし、その蛍光を指標にして蛋白質の機能やフォールディングに伴う運動をモニターする技術が近年、開発されている。非特許文献17では、DHFRのAsn37にAlexa Fluor 555色素(以下Alexa555と略す)を共有結合的にラベルしてDHFRの機能発現に伴う運動を観測した例が報告されている。この変異型DHFRにもう一つAlexa555を導入したとき、これら2つのAlexa555の蛍光強度寄与度を求めることを考える。
Alexa555のアクセプター蛍光体として、Alexa647、Alexa660、Cy5などを用いることができるが、ここではAlexa647を用いた場合を記載する。本発明の解析方法を適用するためには、Alexa647が1つとAlexa555を2つ含む変異型DHFR1個以上についての蛍光強度のデータが必要となる。2つのAlexa555と1つのAlexa647は、非特許文献17などに記載されている公知の方法でDHFRにラベル導入することができる。Alexa647非結合型DHFRのAlexa555由来蛍光強度と、Alexa647結合型DHFRのAlexa555由来蛍光強度を測定し、FDとFDAを得る。Alexa555の蛍光は、励起波長514 nm 程度、蛍光波長550 〜 600 nm 程度で測定できる。式3からEeff,jを計算する。また、実施例1と同じようにして、Protein Data Bank に登録されたX線結晶構造のデータから、Alexa555とAlexa647の距離を求める。Alexa555からAlexa647への蛍光共鳴エネルギー移動のフェルスター距離は公知である(51 Å)。
以上のデータは公知の方法で得ることができる。これらのデータをもとにして、本発明の解析方法を用いることにより、DHFRにラベルされたAlexa555由来蛍光強度に対する2つのAlexa555の寄与度を求めることができる。
Antikainen, N. M., Smiley, R. D., Benkovic, S. J. & Hammes, G. G. (2005). Conformation coupled enzyme catalysis: single-molecule and transient kinetics investigation of dihydrofolate reductase. Biochemistry, 44, 16835-16843.
実施例1において、励起波長295 nm で励起したAEDANS結合DHFR(太線)とAEDANS非結合DHFR(細線)の蛍光スペクトル。300 〜 400 nmがトリプトファン由来の蛍光であり、500 nm 周辺がAEDANS由来の蛍光である。(a) はAsn37 (N37C)、Arg52 (R52C)、Gln65 (Q65C)、Asp87 (D87C)、Pro105 (P105C)をシステインに置換しAEDANSを結合させた変異蛋白質の結果であり、(b)はGln108 (Q108C)、Glu120 (E120C)、Asp127 (D127C)、Gln146 (Q146C)、Arg159 (R159C) の場合である。どちらにもAS-DHFRの蛍光スペクトルを示してある。

Claims (2)

  1. Figure 0004883411
    (1)アクセプター蛍光体Aを蛋白質に導入した変異型蛋白質M個を用いて得られる、蛍光基Dに由来するj番目(j = 1 〜 M)の変異型蛋白質の蛍光強度FDAのデータ、および、アクセプター蛍光体Aが存在しない場合の蛍光基Dに由来する蛋白質の蛍光強度FDのデータを次の式(3)’に代入して、j番目の変異型蛋白質の全蛍光基Dからアクセプター蛍光体Aへの有効蛍光共鳴エネルギー移動効率Eeff,jを求める。
    Figure 0004883411
    (2)得られたEeff,j及び下記のデータを用いて次の式(9a)という連立一次方程式を解くことにより、fiを求める。
    Figure 0004883411
    R0は蛍光基Dとそのアクセプター蛍光体Aのフェルスター距離;
    ri,jはi番目の蛍光基Dとj番目のアクセプター蛍光体A導入部位との距離である。
  2. 前記手順(1)において、アクセプター蛍光体Aを蛋白質に導入した変異型蛋白質をM個を作製し、得られた蛍光基Dに由来するj番目(j = 1 〜 M)の変異型蛋白質の蛍光強度FDAのデータを使用して有効蛍光共鳴エネルギー移動効率Eeff,jを求めることを特徴とする請求項1に記載の蛍光強度解析方法。
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