以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
まず、遊技機の一例である第1種パチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機を正面からみた正面図、図2は遊技盤の前面を示す正面図である。
パチンコ遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠(図示せず)と、外枠の内側に開閉可能に取り付けられた遊技枠とで構成される。また、パチンコ遊技機1は、遊技枠に開閉可能に設けられている額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。遊技枠は、外枠に対して開閉自在に設置される前面枠(図示せず)と、機構部品等が取り付けられる機構板と、それらに取り付けられる種々の部品(後述する遊技盤を除く。)とを含む構造体である。
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4と打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。ガラス扉枠2の背面には、遊技盤6が着脱可能に取り付けられている。なお、遊技盤6は、それを構成する板状体と、その板状体に取り付けられた種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には遊技領域7が形成されている。
遊技領域7の中央付近には、それぞれが識別情報としての図柄を可変表示する複数の可変表示部を含む可変表示装置9が設けられている。可変表示装置9には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの可変表示部(図柄表示エリア)がある。可変表示装置9の下方には、始動入賞口14が設けられている。始動入賞口14に入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、始動口スイッチ14aによって検出される。また、始動入賞口14の下部には開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられている。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。
可変入賞球装置15の下部には、特定遊技状態(大当り状態)においてソレノイド21によって開状態とされる開閉板20が設けられている。開閉板20は大入賞口を開閉する手段である。開閉板20から遊技盤6の背面に導かれた入賞球のうち一方(V入賞領域)に入った入賞球はV入賞スイッチ22で検出され、開閉板20からの入賞球はカウントスイッチ23で検出される。遊技盤6の背面には、大入賞口内の経路を切り換えるためのソレノイド21Aも設けられている。また、可変表示装置9の下部には、始動入賞口14に入った有効入賞球数すなわち始動記憶数を表示する4つのLEDによる特別図柄始動記憶表示器(以下、始動記憶表示器という。)18が設けられている。有効始動入賞がある毎に、始動記憶表示器18は点灯するLEDを1増やす。そして、可変表示装置9の可変表示が開始される毎に、点灯するLEDを1減らす。
ゲート32に遊技球が入賞しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄始動記憶が上限に達していなければ、所定の乱数値が抽出される。そして、普通図柄表示器10において表示状態が変化する可変表示を開始できる状態であれば、普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始される。普通図柄表示器10において表示状態が変化する可変表示を開始できる状態でなければ、普通図柄始動記憶の値が1増やされる。普通図柄表示器10の近傍には、普通図柄始動記憶数を表示する4つのLEDによる表示部を有する普通図柄始動記憶表示器41が設けられている。ゲート32への入賞がある毎に、普通図柄始動記憶表示器41は点灯するLEDを1増やす。そして、普通図柄表示器10の可変表示が開始される毎に、点灯するLEDを1減らす。
この実施の形態では、左右のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ、可変表示は所定時間(例えば29秒)継続する。そして、可変表示の終了時に左側のランプが点灯すれば当りとなる。当りとするか否かは、ゲート32に遊技球が入賞したときに抽出された乱数の値が所定の当り判定値と一致したか否かによって決定される。普通図柄表示器10における可変表示の表示結果が当りである場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になって遊技球が入賞しやすい状態になる。すなわち、可変入賞球装置15の状態は、普通図柄の停止図柄が当り図柄である場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態に変化する。
さらに、確変状態では、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数とのうちの一方または双方が高められ、遊技者にとってさらに有利になる。また、確変状態等の所定の状態では、普通図柄表示器10における可変表示期間(変動時間)が短縮されることによって、遊技者にとってさらに有利になるようにしてもよい。
遊技盤6には、複数の入賞口29,30,33,39が設けられ、遊技球の入賞口29,30,33への入賞は、それぞれ入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aによって検出される。このように、この実施の形態では、複数の入賞領域(入賞口29,30,33,39、可変入賞球装置15および大入賞口)のそれぞれに入賞検出手段(入賞口スイッチ29a,30a,33a,39a、始動口スイッチ14およびカウントスイッチ23)が設けられているので、入賞が生じたことは遊技制御手段によって直ちに認識可能である。なお、各入賞検出手段を経た遊技球を集合させて、それら全ての遊技球を再度検出する検出手段を設け、入賞検出の確実化を図ってもよい。
また、遊技領域7の左右周辺には、遊技中に点滅表示される装飾ランプ25が設けられ、下部には、入賞しなかった打球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上部には、効果音を発する2つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cが設けられている。さらに、遊技領域7における各構造物(大入賞口等)の周囲には装飾LEDが設置されている。天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cおよび装飾用LEDは、遊技機に設けられている装飾発光体の一例である。
そして、この例では、左枠ランプ28bの近傍に、賞球残数があるときに点灯する賞球ランプ51が設けられ、天枠ランプ28aの近傍に、補給球が切れたときに点灯する球切れランプ52が設けられている。さらに、図1には、パチンコ遊技機1に隣接して設置され、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするカードユニット50も示されている。
カードユニット50には、使用可能状態であるか否かを示す使用可表示ランプ151、カードユニット50がいずれの側のパチンコ遊技機1に対応しているのかを示す連結台方向表示器153、カードユニット50内にカードが投入されていることを示すカード投入表示ランプ154、記録媒体としてのカードが挿入されるカード挿入口155、およびカード挿入口155の裏面に設けられているカードリーダライタの機構を点検する場合にカードユニット50を解放するためのカードユニット錠156が設けられている。
打球発射装置から発射された遊技球は、打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。打球が始動入賞口14に入り始動口スイッチ14aで検出されると、図柄の可変表示を開始できる状態であれば、可変表示装置9において特別図柄が可変表示(変動)を始める。図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、始動記憶数を1増やす。
可変表示装置9における特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄の組み合わせが大当り図柄(特定表示態様)であると、大当り遊技状態に移行する。すなわち、開閉板20が、一定時間経過するまで、または、所定個数(例えば10個)の打球が入賞するまで開放する。そして、開閉板20の開放中に打球がV入賞領域に入賞しV入賞スイッチ22で検出されると、継続権が発生し開閉板20の開放が再度行われる。継続権の発生は、所定回数(例えば15ラウンド)許容される。
停止時の可変表示装置9における特別図柄の組み合わせが確率変動を伴う大当り図柄(確変図柄)の組み合わせである場合には、次に大当りとなる確率が高くなる。すなわち、確変状態という遊技者にとってさらに有利な状態となる。
なお、遊技の前面側から視認できる位置に、払い出しが完了していない賞球数を表示する未払出数表示手段としての未払出賞球数表示器100が設置されている。
次に、パチンコ遊技機1の裏面の構造について図3を参照して説明する。図3は、遊技機を裏面から見た背面図である。
図3に示すように、遊技機裏面側では、可変表示装置9を制御する図柄制御基板80を含む可変表示制御ユニット49、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31が設置されている。また、球払出制御を行う払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37が設置されている。さらに、遊技盤6に設けられている各種装飾LED、始動記憶表示器18および普通図柄始動記憶表示器41、装飾ランプ25、枠側に設けられている天枠ランプ28a、左枠ランプ28b、右枠ランプ28c、賞球ランプ51および球切れランプ52を点灯制御するランプ制御手段が搭載されたランプ制御基板35、スピーカ27からの音発生を制御する音制御手段が搭載された音制御基板70も設けられている。また、また、DC30V、DC21V、DC12VおよびDC5Vを作成する電源回路が搭載された電源基板910や発射制御基板91が設けられている。
遊技機裏面において、上方には、各種情報を遊技機外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板160が設置されている。ターミナル基板160には、少なくとも、球切れ検出スイッチの出力を導入して外部出力するための球切れ用端子、賞球個数信号を外部出力するための賞球用端子および球貸し個数信号を外部出力するための球貸し用端子が設けられている。また、中央付近には、主基板31からの各種情報を遊技機外部に出力するための各端子を備えた情報端子盤34が設置されている。
さらに、各基板(主基板31や払出制御基板37等)に含まれる記憶内容保持手段(例えば、電力供給停止時にもその内容を保持可能な変動データ記憶手段すなわちバックアップRAM)に記憶されたバックアップデータをクリアするための操作手段としてのクリアスイッチ921が搭載されたスイッチ基板190が設けられている。スイッチ基板190には、クリアスイッチ921と、主基板31等の他の基板と接続されるコネクタ922が設けられている。
貯留タンク38に貯留された遊技球は誘導レールを通り、賞球ケース40Aで覆われた球払出装置に至る。球払出装置の上部には、遊技媒体切れ検出手段としての球切れスイッチ187が設けられている。球切れスイッチ187が球切れを検出すると、球払出装置の払出動作が停止する。球切れスイッチ187は遊技球通路内の遊技球の有無を検出するスイッチであるが、貯留タンク38内の補給球の不足を検出する球切れ検出スイッチ167も誘導レールにおける上流部分(貯留タンク38に近接する部分)に設けられている。球切れ検出スイッチ167が遊技球の不足を検知すると、遊技機設置島に設けられている補給機構から遊技機に対して遊技球の補給が行われる。
入賞にもとづく景品としての遊技球や球貸し要求にもとづく遊技球が多数払い出されて打球供給皿3が満杯になり、さらに遊技球が払い出されると、遊技球は余剰球受皿4に導かれる。さらに遊技球が払い出されると、貯留状態検出手段としての満タンスイッチ48(図3において図示せず)がオンする。その状態では、球払出装置内の払出モータの回転が停止して球払出装置97の動作が停止するとともに発射装置の駆動も停止する。
図4は、球払出装置97の構成例を示す分解斜視図である。この例では、賞球ケース40Aとしての3つのケース140,141,142の内部に球払出装置97が形成されている。ケース140,141の上部には、球切れスイッチ187の下部の球通路と連通する穴170,171が設けられ、遊技球は、穴170,171から球払出装置97に流入する。
球払出装置97は駆動源となる払出モータ(例えばステッピングモータ)289を含む。払出モータ289の回転力は、払出モータ289の回転軸に嵌合しているギア290に伝えられ、さらに、ギア290と噛み合うギア291に伝えられる。ギア291の中心軸には、凹部を有するスプロケット292が嵌合している。穴170,171から流入した遊技球は、スプロケット292の凹部によって、スプロケット292の下方の球通路293に1個ずつ落下させられる。
球通路293には遊技球の流下路を切り替えるための振分部材311が設けられている。振分部材311はソレノイド310によって駆動され、賞球払出時には、球通路293における一方の流下路を遊技球が流下するように倒れ、球貸し時には球通路293における他方の流下路を遊技球が流下するように倒れる。なお、払出モータ289およびソレノイド310は、払出制御基板37に搭載されている払出制御用CPUによって制御される。また、払出制御用CPUは、主基板31に搭載されている遊技制御用のCPUからの指令に応じて払出モータ289およびソレノイド310を制御する。
賞球払出時に選択される流下路の下方には球払出装置97によって払い出された遊技球を検出する払出検出手段としての賞球センサ(賞球カウントスイッチ)301Aが設けられ、球貸し時に選択される流下路の下方には球払出装置によって払い出された遊技球を検出する球貸しセンサ(球貸しカウントスイッチ)301Bが設けられている。賞球カウントスイッチ301Aの検出信号と球貸しカウントスイッチ301Bの検出信号は払出制御基板37に搭載されている払出制御手段に入力される。払出制御用CPUは、それらの検出信号にもとづいて、実際に払い出された遊技球の個数を計数する。また、賞球カウントスイッチ301Aの検出信号は主基板31に搭載されている遊技制御手段にも入力されている。
図5は、主基板31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図5には、払出制御基板37、ランプ制御基板35、音制御基板70、発射制御基板91および図柄制御基板80も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する基本回路53と、ゲートスイッチ32a、始動口スイッチ14a、V入賞スイッチ22、カウントスイッチ23、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39a、満タンスイッチ48、球切れスイッチ187、賞球カウントスイッチ301Aおよびクリアスイッチ921からの信号を基本回路53に与えるスイッチ回路58と、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、開閉板20を開閉するソレノイド21および大入賞口内の経路を切り換えるためのソレノイド21Aを基本回路53からの指令に従って駆動するソレノイド回路59とが搭載されている。
また、遊技機には未払出賞球数表示器100が設置され、未払出賞球数表示器100は、基本回路53の制御に応じて未払出賞球数を表示する。すなわち、未払出数表示手段は、遊技制御手段によって制御される。
なお、図5には示されていないが、カウントスイッチ短絡信号もスイッチ回路58を介して基本回路53に伝達される。また、ゲートスイッチ32a、始動口スイッチ14a、V入賞スイッチ22、カウントスイッチ23、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39a、満タンスイッチ48、球切れスイッチ187、賞球カウントスイッチ301A等のスイッチは、センサと称されているものでもよい。すなわち、遊技球を検出できる遊技媒体検出手段(この例では遊技球検出手段)であれば、その名称を問わない。
また、基本回路53から与えられるデータに従って、大当りの発生を示す大当り情報、可変表示装置9における図柄の可変表示開始に利用された始動入賞球の個数を示す有効始動情報、確率変動が生じたことを示す確変情報等の情報出力信号をホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路64が搭載されている。
基本回路53は、ゲーム制御用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段(変動データを記憶する手段)としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施の形態では、ROM54,RAM55はCPU56に内蔵されている。すなわち、CPU56は、1チップマイクロコンピュータである。なお、1チップマイクロコンピュータは、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54およびI/Oポート部57は外付けであっても内蔵されていてもよい。
また、RAM(CPU内蔵RAMであってもよい。)55の一部または全部が、電源基板910において作成されるバックアップ電源よってバックアップされているバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。ただし、この実施の形態では、RAM55の全てがバックアップ電源よってバックアップされている。
遊技球を打撃して発射する打球発射装置は発射制御基板91上の回路によって制御される駆動モータ94で駆動される。そして、駆動モータ94の駆動力は、操作ノブ5の操作量に従って調整される。すなわち、発射制御基板91上の回路によって、操作ノブ5の操作量に応じた速度で打球が発射されるように制御される。
この実施の形態では、ランプ制御基板35に搭載されているランプ制御手段が、遊技盤に設けられている始動記憶表示器18、普通図柄始動記憶表示器41および装飾ランプ25の表示制御を行うとともに、枠側に設けられている天枠ランプ28a、左枠ランプ28b、右枠ランプ28c、賞球ランプ51および球切れランプ52の表示制御を行う。なお、各ランプはLEDその他の種類の発光体でもよく、この実施の形態および他の実施の形態で用いられているLEDも他の種類の発光体でもよい。すなわち、ランプやLEDは発光体の一例である。また、特別図柄を可変表示する可変表示装置9および普通図柄を可変表示する普通図柄表示器10の表示制御は、図柄制御基板80に搭載されている表示制御手段によって行われる。
図6は、払出制御基板37および球払出装置97の構成要素などの払出に関連する構成要素を示すブロック図である。図6に示すように、満タンスイッチ48からの検出信号は、中継基板71を介して主基板31のI/Oポート部57に入力される。また、球切れスイッチ187からの検出信号も、中継基板72および中継基板71を介して主基板31のI/Oポート部57に入力される。
主基板31のCPU56は、球切れスイッチ187からの検出信号が球切れ状態を示しているか、または、満タンスイッチ48からの検出信号が満タン状態を示していると、払出を停止すべき状態であることを指示する払出制御コマンドを送信する。払出を停止すべき状態であることを指示する払出制御コマンドを受信すると、払出制御基板37の払出制御用CPU371は球払出処理を停止する。
さらに、賞球カウントスイッチ301Aからの検出信号は、中継基板72および中継基板71を介して主基板31のI/Oポート部57に入力されるとともに、中継基板72を介して払出制御基板37の入力ポート372bに入力される。賞球カウントスイッチ301Aは、球払出装置97の払出機構部分に設けられ、実際に払い出された賞球払出球を検出する。
入賞があると、払出制御基板37には、主基板31の出力ポート(ポート0,1)570,571から賞球個数を示す払出制御コマンドが入力される。出力ポート(出力ポート1)571は8ビットのデータを出力し、出力ポート570は1ビットのINT信号を出力する。賞球個数を示す払出制御コマンドは、入力バッファ回路373Aを介してI/Oポート372aに入力される。INT信号は、入力バッファ回路373Bを介して払出制御用CPU371の割込端子に入力されている。払出制御用CPU371は、I/Oポート372aを介して払出制御コマンドを入力し、払出制御コマンドに応じて球払出装置97を駆動して賞球払出を行う。なお、この実施の形態では、払出制御用CPU371は、1チップマイクロコンピュータであり、少なくともRAMが内蔵されている。
入力バッファ回路373A,373Bは、主基板31から払出制御基板37へ向かう方向にのみ信号を通過させることができる。従って、払出制御基板37側から主基板31側に信号が伝わる余地はない。すなわち、入力バッファ回路373A,373Bは、入力ポートとともに、信号を一方向にのみ伝達させる不可逆性情報入力手段を構成する。よって、払出制御基板37内の回路に不正改造が加えられても、不正改造によって出力される信号が主基板31側に伝わることはない。
また、主基板31において、出力ポート570,571の外側にバッファ回路620,68Aが設けられている。バッファ回路620,68Aとして、例えば、汎用のCMOS−ICである74HC250,74HC14が用いられる。このような構成によれば、外部から主基板31の内部に入力される信号が阻止されるので、払出制御基板37から主基板31に信号が与えられる可能性がある信号ラインをさらに確実になくすことができる。なお、バッファ回路620,68Aの出力側にノイズフィルタを設けてもよい。
払出制御用CPU371は、出力ポート372cを介して、貸し球数を示す球貸し個数信号をターミナル基板160に出力する。さらに、出力ポート372dを介して、エラー表示用LED374にエラー信号を出力する。
さらに、払出制御基板37の入力ポート372bには、中継基板72を介して、球貸しカウントスイッチ301B、および払出モータ289の回転位置を検出するための払出モータ位置センサからの検出信号が入力される。球貸しカウントスイッチ301Bは、球払出装置97の払出機構部分に設けられ、実際に払い出された貸し球を検出する。払出制御基板37からの払出モータ289への駆動信号は、出力ポート372cおよび中継基板72を介して球払出装置97の払出機構部分における払出モータ289に伝えられ、振分ソレノイド310への駆動信号は、出力ポート372eおよび中継基板72を介して球払出装置97の払出機構部分における振分ソレノイド310に伝えられる。また、クリアスイッチ921の出力も、入力ポート372bに入力される。
カードユニット50には、カードユニット制御用マイクロコンピュータが搭載されている。また、カードユニット50には、連結台方向表示器153、カード投入表示ランプ154およびカード挿入口155が設けられている(図1参照)。残高表示基板74には、打球供給皿3の近傍に設けられている度数表示LED、球貸しスイッチおよび返却スイッチが接続される。
残高表示基板74からカードユニット50には、遊技者の操作に応じて、球貸しスイッチ信号および返却スイッチ信号が払出制御基板37を介して与えられる。また、カードユニット50から残高表示基板74には、プリペイドカードの残高を示すカード残高表示信号および球貸し可表示信号が払出制御基板37を介して与えられる。カードユニット50と払出制御基板37の間では、接続信号(VL信号)、ユニット操作信号(BRDY信号)、球貸し要求信号(BRQ信号)、球貸し完了信号(EXS信号)およびパチンコ機動作信号(PRDY信号)が入力ポート372bおよび出力ポート372eを介してやりとりされる。
パチンコ遊技機1の電源が投入されると、払出制御基板37の払出制御用CPU371は、カードユニット50にPRDY信号を出力する。また、カードユニット制御用マイクロコンピュータは、VL信号を出力する。払出制御用CPU371は、VL信号の入力状態により接続状態/未接続状態を判定する。カードユニット50においてカードが受け付けられ、球貸しスイッチが操作され球貸しスイッチ信号が入力されると、カードユニット制御用マイクロコンピュータは、払出制御基板37にBRDY信号を出力する。この時点から所定の遅延時間が経過すると、カードユニット制御用マイクロコンピュータは、払出制御基板37にBRQ信号を出力する。
そして、払出制御基板37の払出制御用CPU371は、カードユニット50に対するEXS信号を立ち上げ、カードユニット50からのBRQ信号の立ち下がりを検出すると、払出モータ289を駆動し、所定個の貸し球を遊技者に払い出す。このとき、振分ソレノイド310は駆動状態とされている。すなわち、球振分部材311を球貸し側に向ける。そして、払出が完了したら、払出制御用CPU371は、カードユニット50に対するEXS信号を立ち下げる。その後、カードユニット50からのBRDY信号がオン状態でなければ、賞球払出制御を実行する。
以上のように、カードユニット50からの信号は全て払出制御基板37に入力される構成になっている。従って、球貸し制御に関して、カードユニット50から主基板31に信号が入力されることはなく、主基板31の基本回路53にカードユニット50の側から不正に信号が入力される余地はない。また、カードユニット50で用いられる電源電圧AC24Vは払出制御基板37から供給される。
この実施の形態では、電源基板910から払出制御基板37に対して電源断信号も入力される。電源断信号は、払出制御用CPU371のマスク不能割込(NMI)端子に入力される。さらに、払出制御基板37に存在するRAM(CPU内蔵RAMであってもよい。)の少なくとも一部は、電源基板910において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間は、RAMの少なくとも一部の内容は保存される。ただし、この実施の形態では、RAMの全てがバックアップ電源によってバックアップされている。
図7は、電源基板910の一構成例を示すブロック図である。電源基板910は、主基板31、図柄制御基板80、音制御基板70、ランプ制御基板35および払出制御基板37等の電気部品制御基板と独立して設置され、遊技機内の各電気部品制御基板および機構部品が使用する電圧を生成する。この例では、AC24V、VSL(DC+30V)、DC+21V、DC+12VおよびDC+5Vを生成する。また、バックアップ電源すなわち記憶保持手段となるコンデンサ916は、DC+5Vすなわち各基板上のIC等を駆動する電源のラインから充電される。なお、VSLは、整流回路912において、整流素子でAC24Vを整流昇圧することによって生成される。VSLは、ソレノイド駆動電源となる。
トランス911は、交流電源からの交流電圧を24Vに変換する。AC24V電圧は、コネクタ915に出力される。また、整流回路912は、AC24Vから+30Vの直流電圧を生成し、DC−DCコンバータ913およびコネクタ915に出力する。DC−DCコンバータ913は、1つまたは複数のコンバータIC922(図7では1つのみを示す。)を有し、VSLにもとづいて+21V、+12Vおよび+5Vを生成してコネクタ915に出力する。コンバータIC922の入力側には、比較的大容量のコンデンサ923が接続されている。従って、外部からの遊技機に対する電力供給が停止したときに、+30V、+12V、+5V等の直流電圧は、比較的緩やかに低下する。コネクタ915は例えば中継基板に接続され、中継基板から各電気部品制御基板および機構部品に必要な電圧の電力が供給される。
ただし、電源基板910に各電気部品制御基板に至る各コネクタを設け、電源基板910から、中継基板を介さずにそれぞれの基板に至る各電圧を供給するようにしてもよい。また、図7には1つのコネクタ915が代表して示されているが、コネクタは、各電気部品制御基板対応に設けられている。
DC−DCコンバータ913からの+5Vラインは分岐してバックアップ+5Vラインを形成する。バックアップ+5Vラインとグラウンドレベルとの間には大容量のコンデンサ916が接続されている。コンデンサ916は、遊技機に対する電力供給が停止したときの電気部品制御基板のバックアップRAM(電源バックアップされているRAMすなわち電力供給停止時にも記憶内容保持状態となりうるバックアップ記憶手段)に対して記憶状態を保持できるように電力を供給するバックアップ電源となる。また、+5Vラインとバックアップ+5Vラインとの間に、逆流防止用のダイオード917が挿入される。なお、この実施の形態では、バックアップ用の+5Vは、主基板31および払出制御基板37に供給される。
また、電源基板910には、電源監視回路としての電源監視用IC902が搭載されている。電源監視用IC902は、VSL電圧を導入し、VSL電圧を監視することによって遊技機への電力供給停止の発生を検出する。具体的には、VSL電圧が所定値(この例では+22V)以下になったら、電力供給の停止が生ずるとして電源断信号を出力する。なお、監視対象の電源電圧は、各電気部品制御基板に搭載されている回路素子の電源電圧(この例では+5V)よりも高い電圧であることが好ましい。この例では、交流から直流に変換された直後の電圧であるVSLが用いられている。電源監視用IC902からの電源断信号は、主基板31や払出制御基板37等に供給される。主基板31に搭載されている遊技制御手段や払出制御基板37に搭載されている払出制御手段は、電源断信号の入力に応じて、バックアップRAMの記憶内容を保護するための処理である電力供給停止時処理を実行する。
電源監視用IC902が電力供給の停止を検知するための所定値は、通常時の電圧より低いが、各電気部品制御基板上のCPUが暫くの間動作しうる程度の電圧である。また、電源監視用IC902が、CPU等の回路素子を駆動するための電圧(この例では+5V)よりも高く、また、交流から直流に変換された直後の電圧を監視するように構成されているので、CPUが必要とする電圧に対して監視範囲を広げることができる。従って、より精密な監視を行うことができる。さらに、監視電圧としてVSL(+30V)を用いる場合には、遊技機の各種スイッチに供給される電圧が+12Vであることから、電源瞬断時のスイッチオン誤検出の防止も期待できる。すなわち、+30V電源の電圧を監視すると、+30V作成の以降に作られる+12Vが落ち始める以前の段階でそれの低下を検出できる。
+12V電源の電圧が低下するとスイッチ出力がオン状態を呈するようになるが、+12Vより早く低下する+30V電源電圧を監視して電力供給の停止を認識すれば、スイッチ出力がオン状態を呈する前に電力供給回復待ちの状態に入ってスイッチ出力を検出しない状態となることができる。
また、電源監視用IC902は、電気部品制御基板とは別個の電源基板910に搭載されているので、電源監視回路から複数の電気部品制御基板に電源断信号を供給することができる。電源断信号を必要とする電気部品制御基板が幾つあっても電源監視手段は1つ設けられていればよいので、各電気部品制御基板に搭載されている制御手段である電気部品制御手段が電源復旧時にバックアップ記憶内容にもとづく復旧制御を行っても、遊技機のコストはさほど上昇しない。
なお、図7に示された構成では、電源監視用IC902の検出信号(電源断信号)は、バッファ回路918,919を介してそれぞれの電気部品制御基板(例えば主基板31と払出制御基板37)に伝達されるが、例えば、1つの検出信号を中継基板に伝達し、中継基板から各電気部品制御基板に同じ信号を分配する構成でもよい。また、電源断信号を必要とする基板数に応じたバッファ回路を設けてもよい。さらに、主基板31と払出制御基板37とに出力される電源断信号について、電源断信号を出力することになる電源監視回路の監視電圧を異ならせてもよい。
図8は、賞球カウントスイッチ301Aおよび球貸しカウントスイッチ301Bの電気的制御形態を示す回路図である。図8に示すように、主基板31には、電源用コネクタ580を介して電源基板910から各種電源電圧が供給されているが、賞球カウントスイッチ301Aには、主基板31のスイッチ回路58を介して電源電圧(+12V)が供給されている。スイッチ回路58の賞球カウントスイッチ301Aに関連する部分において、賞球カウントスイッチ301Aに供給される+12V電圧は、ダイオード581、一方が接地されたコンデンサ582および一方が接地された抵抗583で安定化される。また、賞球カウントスイッチ301Aの検出信号は、スイッチ回路58のツェナーダイオード587、バッファ回路588およびバッファ回路589を介してI/Oポート57に入力されるが、検出信号は、一方が接地された抵抗584、一方が接地されたコンデンサ585、コンデンサ585とバッファ回路589との間に挿入された抵抗586によってノイズ除去等が図られている。
また、払出制御基板37には、電源用コネクタ380を介して電源基板910から各種電源電圧が供給されているが、球貸しカウントスイッチ301Bには、払出制御基板37のスイッチ回路382を介して電源電圧(+12V)が供給されている。なお、スイッチ回路383の球貸しカウントスイッチ301Bに関連する部分の構成は、主基板31のスイッチ回路58の賞球カウントスイッチ301Aに関連する部分の構成と同じでよい。
このように、この実施の形態では、賞球カウントスイッチ301Aに、主基板31から電力供給される。よって、例えば払出制御基板37において故障が発生しても、景品として払い出された遊技球の検出が不能になることはない。また、賞球カウントスイッチ301Aの検出信号は主基板31と払出制御基板37との双方に入力されているので、遊技制御手段と払出制御手段の双方において、検出信号にもとづく制御を実行することができる。また、貸出遊技媒体検出手段としての球貸しカウントスイッチ301Bには、払出制御基板37から電力供給されている。よって、主基板31において故障が発生しても、貸し出された遊技球の検出が不能になることはない。
図9は、未払出賞球数表示器100の一構成例を示すブロック図である。この例では、未払出賞球数表示器100は、未払出数表示基板104に搭載された3つの7セグメント(セグメントa〜g)LED101,102,103で実現されている。7セグメントLED101,102,103のそれぞれにおいて、共通アノードには、DG1,DG2,DG3信号が接続されている。例えば、DG1,DG2,DG3信号がローレベルになると、7セグメントLED101,102,103が点灯可能状態になり、セグメントa〜gに供給される信号に応じた表示を行う。例えば、セグメントa〜gのうち点灯させたいセグメントにハイレベルの信号が供給される。
未払出数表示基板104には、主基板31からケーブル105を介して各信号が供給される。なお、ケーブル105が主基板31に直接接続されるように構成されていてもよいし、主基板31から中継基板を介して未払出数表示基板104に各信号が供給されるように構成されていてもよい。また、未払出数表示基板104にはケーブル105を接続するためのコネクタも搭載されているが、図9では記載省略されている。
未払出賞球数表示器100は10進3桁(0〜999)で未払出賞球数を表示する。図9には、「15」が表示される例が示されている。表示されない桁(図9に示す例では最上位桁(3桁目))は消灯されるように制御してもよいし、「0」を表示するように制御してもよい。また、未払出賞球数が「999」を越えたら、未払出賞球数表示器100に、例えば「ERR」が表示される。
主基板31に搭載されている遊技制御手段は、例えば、2ms毎に順にDG1信号、DG2信号およびDG3信号を出力する(例えばローレベルにする)とともに、DG1信号を出力しているときには7セグメントLED101のセグメントa〜gに対する信号を出力する。また、DG2信号を出力しているときには7セグメントLED102のセグメントa〜gに対する信号を出力する。そして、DG3信号を出力しているときには7セグメントLED103のセグメントa〜gに対する信号を出力する。
従って、この例では、7セグメントLED101,102,103は、それぞれ、6msの期間における2ms間点灯状態になるが、人間の目には常時点灯しているように見える。もちろん、主基板31から各7セグメントLED101,102,103のそれぞれに対して別個にセグメントa〜gに対する信号を出力するようにしてもよい。その場合には、表示のちらつきが低減される。
なお、この例では、未払出賞球数表示器100は7セグメントLED101,102,103で実現されているが、未払出賞球数が遊技機外部から認識できるのであれば、他のタイプの表示器を用いてもよい。
図10は、未払出賞球数表示器100の設置例を示す説明図である。図10(A)に示す例では、遊技盤6の一部に未払出賞球数表示器100が設置されている。すなわち、図10(B)に示すように、遊技盤6の一部にケーブル105を通すための孔が開けられ、その前部に未払出数表示基板104が設置される。ガラス扉枠2において遊技領域7に対応した部分よりも広い領域がガラス部分である場合に、図10(A),(B)に示すように、遊技盤6において、遊技領域7の外に未払出賞球数表示器100を設置することができる。
ガラス扉枠2において遊技領域7に対応した部分のみがガラス部分である場合には、例えば、図10(C),(D)に示すように、ガラス扉枠2において、遊技盤6における未払出賞球数表示器100の設置位置に対応した部分にガラス窓110を設ければよい。さらに、図11に示すように、遊技盤6以外に未払出賞球数表示器100を設置するようにしてもよい。その場合、例えば、ガラス扉枠2や前面枠に未払出賞球数表示器100が設置される。
図12は、主基板31におけるCPU56周りの一構成例を示すブロック図である。図12に示すように、電源基板910の電源監視回路(電源監視手段;第1の電源監視手段)からの電源断信号が、CPU56のマスク不能割込端子(XNMI端子)に接続されている。従って、CPU56は、マスク不能割込(NMI)処理によって遊技機への電力供給の停止の発生を確認することができる。
図12には、システムリセット回路65も示されている。リセットIC651は、電源投入時に、外付けのコンデンサの容量で決まる所定時間だけ出力をローレベルとし、所定時間が経過すると出力をハイレベルにする。すなわち、リセット信号をハイレベルに立ち上げてCPU56を動作可能状態にする。また、リセットIC651は、電源監視回路が監視する電源電圧と等しい電源電圧であるVSLの電源電圧を監視して電圧値が所定値(電源監視回路が電源断信号を出力する電源電圧値よりも低い値)以下になると出力をローレベルにする。従って、CPU56は、電源監視回路からの電源断信号に応じて所定の電力供給停止時処理を行った後、システムリセットされる。すなわち、CPU56が動作しない状態になる。
図12に示すように、リセットIC651からのリセット信号は、NAND回路947に入力されるとともに、反転回路(NOT回路)944を介してカウンタIC941のクリア端子に入力される。カウンタIC941は、クリア端子への入力がローレベルになると、発振器943からのクロック信号をカウントする。そして、カウンタIC941のQ5出力がNOT回路945,946を介してNAND回路947に入力される。また、カウンタIC941のQ6出力は、フリップフロップ(FF)942のクロック端子に入力される。フリップフロップ942のD入力はハイレベルに固定され、Q出力は論理和回路(OR回路)949に入力される。OR回路949の他方の入力には、NAND回路947の出力がNOT回路948を介して導入される。そして、OR回路949の出力がCPU56のリセット端子に接続されている。このような構成によれば、電源投入時に、CPU56のリセット端子に2回のリセット信号(ローレベル信号)が与えられるので、CPU56は、確実に動作を開始する。
そして、例えば、電源監視回路の検出電圧(電源断信号を出力することになる電圧)を+22Vとし、リセット信号をローレベルにするための検出電圧を+9Vとする。そのように構成した場合には、電源監視回路とシステムリセット回路65とが、同一の電源VSLの電圧を監視するので、電圧監視回路が電源断信号を出力するタイミングとシステムリセット回路65がシステムリセット信号を出力するタイミングの差を所望の所定期間に確実に設定することができる。所望の所定期間とは、電源監視回路からの電源断信号に応じて電力供給停止時処理を開始してから電力供給停止時処理が確実に完了するまでの期間である。
なお、電源監視回路とシステムリセット回路65とが監視する電源の電圧は異なっていてもよい。また、システムリセット回路65は、第2の電源監視手段に相当する。
CPU56等の駆動電源である+5V電源から電力が供給されていない間、RAMの少なくとも一部は、電源基板から供給されるバックアップ電源によってバックアップされ、遊技機に対する電力供給が停止しても内容は保存される。そして、+5V電源が復旧すると、システムリセット回路65からリセット信号が発せられるので、CPU56は、通常の動作状態に復帰する。そのとき、必要なデータがバックアップRAMに保存されているので、停電等からの復旧時に停電等の発生時の遊技状態に復旧させることができる。
なお、図12に示す構成では、電源投入時にCPU56のリセット端子に2回のリセット信号(ローレベル信号)が与えられるが、リセット信号の立ち上がりタイミングが1回しかなくても確実にリセット解除されるCPUを使用する場合には、符号941〜949で示された回路素子は不要である。その場合、リセットIC651の出力がそのままCPU56のリセット端子に接続される。
この実施の形態で用いられるCPU56は、I/Oポート(PIO)およびタイマ/カウンタ回路(CTC)も内蔵している。PIOは、PB0〜PB3の4ビットおよびPA0〜PA7の1バイトのポートを有する。PB0〜PB3およびPA0〜PA7のポートは、入力/出力いずれにも設定できる。
図13〜図15は、この実施の形態における出力ポートの割り当てを示す説明図である。図13に示すように、出力ポート0は各電気部品制御基板に送信される制御コマンドのINT信号の出力ポートである。また、払出制御基板37に送信される払出制御コマンドの8ビットのデータは出力ポート1から出力され、図柄制御基板80に送信される表示制御コマンドの8ビットのデータは出力ポート2から出力され、ランプ制御基板35に送信されるランプ制御コマンドの8ビットのデータは出力ポート3から出力される。そして、図14に示すように、音制御基板70に送信される音制御コマンドの8ビットのデータは出力ポート4から出力される。
また、出力ポート5から、情報出力回路64を介して情報端子板34やターミナル基板160に至る各種情報出力用信号すなわち制御に関わる情報の出力データが出力される。そして、出力ポート6から、可変入賞球装置15を開閉するためのソレノイド16、大入賞口の開閉板2を開閉するためのソレノイド21、および大入賞口内の経路を切り換えるためのソレノイド21Aに対する駆動信号が出力される。
さらに、出力ポート7から、未払出賞球数表示器100における各7セグメントLED101,102,103のセグメントa〜gに対する信号が出力される。また、出力ポート8から、各7セグメントLED101,102,103に対するDG1,DG2,DG3信号が出力される。なお、各出力ポートの外(出力側)に反転回路や増幅回路が設けられる場合がある。
図13に示すように、払出制御基板37、図柄制御基板80、ランプ制御基板35および音制御基板70に対して出力される各INT信号(払出制御信号INT、表示制御信号INT、ランプ制御信号INTおよび音制御信号INT)を出力する出力ポート(出力ポート0)と、払出制御コマンドのコマンドデータとしての払出制御信号CD0〜CD7、表示制御コマンドのコマンドデータとしての表示制御信号CD0〜CD7、ランプ制御コマンドのコマンドデータとしてのランプ制御信号CD0〜CD7および音制御コマンドのコマンドデータとしての音制御信号CD0〜CD7を出力する出力ポート(出力ポート1〜4)とは、別ポートである。
従って、INT信号を出力する際に、誤って払出制御信号CD0〜CD7、表示制御信号CD0〜CD7、ランプ制御信号CD0〜CD7および音制御信号CD0〜CD7を変化させてしまう可能性が低減する。また、払出制御信号CD0〜CD7、表示制御信号CD0〜CD7、ランプ制御信号CD0〜CD7または音制御信号CD0〜CD7を出力する際に、誤ってINT信号を変化させてしまう可能性が低減する。その結果、主基板31の遊技制御手段から各電気部品制御基板に対するコマンドは、より確実に送信されることになる。さらに、各INT信号は、全て出力ポート0から出力されるように構成されているので、遊技制御手段のINT信号出力処理の負担が軽減される。
図16は、この実施の形態における入力ポートのビット割り当てを示す説明図である。図16に示すように、入力ポート0のビット0〜7には、それぞれ、入賞口スイッチ33a,39a,29a,30a、始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23、V入賞スイッチ(特定領域スイッチ)22、ゲートスイッチ32aの検出信号が入力される。また、入力ポート1のビット0〜4には、それぞれ、賞球カウントスイッチ301A、満タンスイッチ48、球切れスイッチ187の検出信号、カウントスイッチ短絡信号およびクリアスイッチ921の検出信号が入力される。なお、各スイッチからの検出信号は、スイッチ回路58において論理反転されている。このように、クリアスイッチ921の検出信号は、遊技球を検出するためのスイッチの検出信号が入力される入力ポート(8ビット)と同一の入力ポートに入力されている。
次に遊技機の動作について説明する。図17は、主基板31における遊技制御手段(CPU56およびROM,RAM等の周辺回路)が実行するメイン処理を示すフローチャートである。遊技機に対して電源が投入され、リセット端子の入力レベルがハイレベルになると、CPU56は、ステップS1以降のメイン処理を開始する。メイン処理において、CPU56は、まず、必要な初期設定を行う。
初期設定処理において、CPU56は、まず、割込禁止に設定する(ステップS1)。次に、割込モードを割込モード2に設定し(ステップS2)、スタックポインタにスタックポインタ指定アドレスを設定する(ステップS3)。そして、内蔵デバイスレジスタの初期化を行う(ステップS4)。また、内蔵デバイス(内蔵周辺回路)であるCTC(カウンタ/タイマ)およびPIO(パラレル入出力ポート)の初期化(ステップS5)を行った後、RAMをアクセス可能状態に設定する(ステップS6)。
この実施の形態で用いられるCPU56は、I/Oポート(PIO)およびタイマ/カウンタ回路(CTC)も内蔵している。また、CTCは、2本の外部クロック/タイマトリガ入力CLK/TRG2,3と2本のタイマ出力ZC/TO0,1を備えている。
この実施の形態で用いられているCPU56には、マスク可能な割込のモードとして以下の3種類のモードが用意されている。なお、マスク可能な割込が発生すると、CPU56は、自動的に割込禁止状態に設定するとともに、プログラムカウンタの内容をスタックにセーブする。
割込モード0:割込要求を行った内蔵デバイスがRST命令(1バイト)またはCALL命令(3バイト)をCPUの内部データバス上に出力する。よって、CPU56は、RST命令に対応したアドレスまたはCALL命令で指定されるアドレスの命令を実行する。リセット時に、CPU56は自動的に割込モード0になる。よって、割込モード1または割込モード2に設定したい場合には、初期設定処理において、割込モード1または割込モード2に設定するための処理を行う必要がある。
割込モード1:割込が受け付けられると、常に0038(h)番地に飛ぶモードである。
割込モード2:CPU56の特定レジスタ(Iレジスタ)の値(1バイト)と内蔵デバイスが出力する割込ベクタ(1バイト:最下位ビット0)から合成されるアドレスが、割込番地を示すモードである。すなわち、割込番地は、上位アドレスが特定レジスタの値とされ下位アドレスが割込ベクタとされた2バイトで示されるアドレスである。従って、任意の(飛び飛びではあるが)偶数番地に割込処理を設置することができる。各内蔵デバイスは割込要求を行うときに割込ベクタを送信する機能を有している。
よって、割込モード2に設定されると、各内蔵デバイスからの割込要求を容易に処理することが可能になり、また、プログラムにおける任意の位置に割込処理を設置することが可能になる。さらに、割込モード1とは異なり、割込発生要因毎のそれぞれの割込処理を用意しておくことも容易である。上述したように、この実施の形態では、初期設定処理のステップS2において、CPU56は割込モード2に設定される。
次いで、CPU56は、入力ポート1を介して入力されるクリアスイッチ921の出力信号の状態を1回だけ確認する(ステップS7)。その確認においてオンを検出した場合には、CPU56は、通常の初期化処理を実行する(ステップS11〜ステップS15)。クリアスイッチ921がオンである場合(押下されている場合)には、ローレベルのクリアスイッチ信号が出力されている。なお、入力ポート1では、クリアスイッチ信号のオン状態はハイレベルである(図16参照)。また、例えば、遊技店員は、クリアスイッチ921をオン状態にしながら遊技機に対する電力供給を開始することによって、容易に初期化処理を実行させることができる。すなわち、RAMクリア等を行うことができる。この実施の形態では、クリアスイッチ921からのクリアスイッチ信号が遊技制御手段に入力され、遊技制御手段が初期化処理を実行することによってソフトウェア的にバックアップRAMの内容がクリアされるが(後述するステップS11)、クリアスイッチ921等の操作手段に対する操作に応じて例えばバックアップRAMに対するバックアップ電源の供給を断する等のハードウェア的なバックアップRAMクリア方法を用いてもよい。
クリアスイッチ921がオンの状態でない場合には、遊技機への電力供給が停止したときにバックアップRAM領域のデータ保護処理(例えばパリティデータの付加等の電力供給停止時処理)が行われたか否か確認する(ステップS8)。この実施の形態では、電力供給の停止が生じた場合には、バックアップRAM領域のデータを保護するための処理が行われている。そのような保護処理が行われていた場合をバックアップありとする。そのような保護処理が行われていないことを確認したら、CPU56は初期化処理を実行する。
この実施の形態では、バックアップRAM領域にバックアップデータがあるか否かは、電力供給停止時処理においてバックアップRAM領域に設定されるバックアップフラグの状態によって確認される。例えば、図18に示すように、バックアップフラグ領域に「55H」が設定されていればバックアップあり(オン状態)を意味し、「55H」以外の値が設定されていればバックアップなし(オフ状態)を意味する。
バックアップありを確認したら、CPU56は、バックアップRAM領域のデータチェック(この例ではパリティチェック)を行う(ステップS9)。この実施の形態では、クリアデータ(00)をチェックサムデータエリアにセットし、チェックサム算出開始アドレスをポインタにセットする。また、チェックサムの対象となるデータ数に対応するチェックサム算出回数をセットする。そして、チェックサムデータエリアの内容とポインタが指すRAM領域の内容との排他的論理和を演算する。演算結果をチェックサムデータエリアにストアするとともに、ポインタの値を1増やし、チェックサム算出回数の値を1減算する。以上の処理が、チェックサム算出回数の値が0になるまで繰り返される。チェックサム算出回数の値が0になったら、CPU56は、チェックサムデータエリアの内容の各ビットの値を反転し、反転後のデータをチェックサムとする。
電力供給停止時処理において、上記の処理と同様の処理によってチェックサムが算出され、チェックサムはバックアップRAM領域に保存されている。ステップS9では、算出したチェックサムと保存されているチェックサムとを比較する。不測の停電等の電力供給停止が生じた後に復旧した場合には、バックアップRAM領域のデータは保存されているはずであるから、チェック結果(比較結果)は正常(一致)になる。チェック結果が正常でないということは、バックアップRAM領域のデータが、電力供給停止時のデータとは異なっていることを意味する。そのような場合には、内部状態を電力供給停止時の状態に戻すことができないので、電力供給の停止からの復旧時でない電源投入時に実行される初期化処理を実行する。
チェック結果が正常であれば、CPU56は、遊技制御手段の内部状態と表示制御手段等の電気部品制御手段の制御状態を電力供給停止時の状態に戻すための遊技状態復旧処理を行う(ステップS10)。そして、バックアップRAM領域に保存されていたPC(プログラムカウンタ)の退避値がPCに設定され、そのアドレスに復帰する。
このように、バックアップフラグとチェックサム等のチェックデータとを用いてバックアップRAM領域のデータが保存されているか否かを確認することによって、遊技状態を電力供給停止時の状態に正確に戻すことができる。すなわち、バックアップRAM領域のデータにもとづく状態復旧処理の確実性が向上する。なお、この実施の形態では、バックアップフラグとチェックデータとの双方を用いてバックアップRAM領域のデータが保存されているか否かを確認しているが、いずれか一方のみを用いてもよい。すなわち、バックアップフラグとチェックデータとのいずれかを、状態復旧処理を実行するための契機としてもよい。
初期化処理では、CPU56は、まず、RAMクリア処理を行う(ステップS11)。また、所定の作業領域(例えば、普通図柄判定用乱数カウンタ、普通図柄判定用バッファ、特別図柄左中右図柄バッファ、特別図柄プロセスフラグ、払出コマンド格納ポインタ、賞球中フラグ、球切れフラグ、払出停止フラグなど制御状態に応じて選択的に処理を行うためのフラグ)に初期値を設定する作業領域設定設定処理を行う(ステップS12)。さらに、球払出装置97からの払出が可能であることを指示する払出停止解除コマンド(払出可能状態指定コマンド)を払出制御基板37に対して送信する処理を行う(ステップS13)。また、他のサブ基板(ランプ制御基板35、音制御基板70、図柄制御基板80)を初期化するための初期化コマンドを各サブ基板に送信する処理を実行する(ステップS14)。初期化コマンドとして、可変表示装置9に表示される初期図柄を示すコマンド(図柄制御基板80に対して)や賞球ランプ51および球切れランプ52の消灯を指示するコマンド(ランプ制御基板35に対して)等がある。
初期化処理では、払出制御基板37に対して常に払出可能状態指定コマンドが送信される。仮に、遊技機の状態が球払出装置97からの払出が可能でない状態であったとしても、直後に実行される遊技制御処理において、その旨が検出され、払出が可能でない状態であることを指示する払出停止コマンド(払出停止状態指定コマンド)が送信されるので問題はない。なお、払出可能状態指定コマンドおよび他のサブ基板に対する初期化コマンドの送信処理において、例えば、各コマンドが設定されているテーブル(ROM領域)のアドレスをポインタにセットし、後述するコマンドセット処理のような処理ルーチンをコールすればよい。
そして、2ms毎に定期的にタイマ割込がかかるようにCPU56に設けられているCTCのレジスタの設定が行われる(ステップS15)。すなわち、初期値として2msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。
初期化処理の実行(ステップS11〜S15)が完了すると、メイン処理で、表示用乱数更新処理(ステップS17)および初期値用乱数更新処理(ステップS18)が繰り返し実行される。表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理が実行されるときには割込禁止状態とされ(ステップS16)、表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理の実行が終了すると割込許可状態とされる(ステップS19)。表示用乱数とは、可変表示装置9に表示される図柄を決定するための乱数であり、表示用乱数更新処理とは、表示用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。また、初期値用乱数更新処理とは、初期値用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。初期値用乱数とは、大当りとするか否かを決定するための乱数を発生するためのカウンタ(大当り決定用乱数発生カウンタ)等のカウント値の初期値を決定するための乱数である。後述する遊技制御処理において、大当り決定用乱数発生カウンタのカウント値が1周すると、そのカウンタに初期値が設定される。
なお、表示用乱数更新処理が実行されるときには割込禁止状態とされるのは、表示用乱数更新処理が後述するタイマ割込処理でも実行されることから、タイマ割込処理における処理と競合してしまうのを避けるためである。すなわち、ステップS17の処理中にタイマ割込が発生してタイマ割込処理中で表示用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新してしまったのでは、カウント値の連続性が損なわれる場合がある。しかし、ステップS17の処理中では割込禁止状態にしておけば、そのような不都合が生ずることはない。
図19は、遊技状態復旧処理の一例を示すフローチャートである。遊技状態復旧処理において、CPU56は、まず、スタックポインタの復帰処理を行う(ステップS81)。スタックポインタの値は、後で詳述する電力供給停止時処理において、所定のRAMエリア(電源バックアップされている)に退避している。よって、ステップS81では、そのRAMエリアの値をスタックポインタに設定することによって復帰させる。なお、復帰されたスタックポインタが指す領域(すなわちスタック領域)には、電力供給が停止したときのレジスタ値やプログラムカウンタ(PC)の値が退避している。
次いで、CPU56は、払出停止状態であったか否か確認する(ステップS82)。払出停止状態であったか否かは、電源バックアップされているRAMエリアに保存されている所定の作業領域(例えば、普通図柄判定用乱数カウンタ、普通図柄判定用バッファ、特別図柄左中右図柄バッファ、特別図柄プロセスフラグ、払出コマンド格納ポインタ、賞球中フラグ、球切れフラグ、払出停止フラグなど)における払出状態データとしての払出停止フラグによって確認される。払出停止状態であった場合には、払出制御基板37に搭載されている払出制御手段に対して、払出の停止を指示する払出制御コマンド(払出停止状態指定コマンド)を送信する(ステップS83)。払出停止状態でなかった場合には、払出制御手段に対して払出が可能であることを指示する払出制御コマンド(払出可能状態指定コマンド)を送信する(ステップS84)。
補給球の不足や余剰球受皿4の満タンについて払出制御手段は認識できないので、遊技制御手段から通知しないと、停電等からの復旧時に、補給球の不足や余剰球受皿4の満タンであるにもかかわらず遊技球の払出処理を開始してしまうおそれがある。しかし、この実施の形態では、遊技状態復旧処理において、払出の停止を指示する払出制御コマンドまたは払出が可能であること指示する払出制御コマンドが送信されるので、払出制御手段が、補給球の不足や余剰球受皿4の満タンであるにもかかわらず遊技球の払出処理を開始してしまうことはない。
なお、ここでは、遊技媒体の払い出しが可能であるか否かを判定する払出状態判定手段(遊技制御手段の一部)が払出可能でないことを検出したら、原因の如何に関わらず、1種類の払出停止状態指定コマンドが送信されるようにしたが、原因別のコマンド(この例では、補給球の不足を示すコマンドと下皿満タンを示すコマンド)に分けて送信してもよい。さらに、遊技球の払出が可能でない場合に、遊技の継続を禁止するために遊技球の発射を禁止することを指示するコマンドを払出制御基板37に対して送信してもよい。払出制御基板37に搭載された払出制御手段は、遊技球の発射を禁止することを指示するコマンドを受信したら、打球発射装置の駆動を停止する。また、遊技球の払出が可能でない場合に、遊技制御手段が発射制御手段に対して、直接、遊技球の発射を禁止することを指示する信号を与えてもよい。また、払出制御手段は、払出停止状態指定コマンドを受信した場合に、打球発射装置の駆動を停止するようにしてもよい。
次いで、CPU56は、電力供給が停止したときに可変表示装置9において特別図柄変動中であったか否か確認する(ステップS85)。電力供給が停止したときに特別図柄変動中であったか否かは、例えば電源バックアップされているRAMエリアに格納されている特別図柄プロセスフラグの値等によって確認することができる。特別図柄変動中であった場合には、図柄制御基板80に搭載されている表示制御手段に対して、特別図柄停電復旧コマンドおよび左右中の図柄を指定する表示制御コマンドを送信する(ステップS86,S87)。ここで、表示制御コマンドで指定される左右中の図柄は、電力供給が停止したときに行われていた特別図柄変動で停止表示されるはずであった図柄である。
表示制御手段は、特別図柄停電復旧コマンドを受信すると、所定の報知処理を行う。例えば、可変表示装置9に停電が生じた旨の表示を行う。電源バックアップされていた各種情報にもとづいて、遊技状態が電力供給停止前の状態に戻るのであるが、その後、特別図柄の変動期間が終了すると、遊技制御手段は表示制御手段に対して確定コマンドを送信する。表示制御手段は、確定コマンドを受信したことにもとづいて、次の特別図柄の変動を行える状態になる。
特別図柄変動中でなかった場合には、CPU56は、表示制御手段に対して、左右中の図柄を指定する表示制御コマンド、確定コマンドおよび客待ちデモコマンドを送信する処理を行う(ステップS88〜S90)。表示制御コマンドで指定される左右中の図柄は、電力供給が停止したときに可変表示装置9において表示されていた図柄である。
表示制御手段は、確定コマンドを受信すると、左右中の図柄を指定する表示制御コマンドで指定された特別図柄を可変表示装置9に表示させる制御を行う。また、客待ちデモコマンドを受信すると、可変表示装置9の背景等の表示状態を待機状態の表示状態にする制御を行う。
その後、CPU56は、バックアップフラグをクリアする(ステップS91)すなわち、前回の電力供給停止時に所定の記憶保護処理が実行されたことを示すフラグをリセットする。また、スタック領域から各種レジスタの退避値を読み出して、各種レジスタに設定する(ステップS92)。すなわち、レジスタ復元処理を行う。そして、パリティフラグがオンしていない場合には割込許可状態にする(ステップS93,S94)。最後に、AFレジスタ(アキュミュレータとフラグのレジスタ)をスタック領域から復元する(ステップS95)。
そして、RET命令が実行されるのであるが、ここでのリターン先は、遊技状態復旧処理をコールした部分ではない。なぜなら、ステップS81においてスタックポインタの復帰処理がなされ、復帰されたスタックポインタが指すスタック領域に格納されているリターンアドレスは、プログラムにおける前回の電力供給停止時にNMIが発生したアドレスである。従って、ステップS95の次のRET命令によって、電力供給停止時にNMIが発生したアドレスにリターンする。すなわち、スタック領域に退避されていたアドレスにもとづいて復旧制御が実行されている。
遊技状態復旧処理によってレジスタの値等が復元され、RAM55の内容はバックアップ電源によって保存されていたので、遊技制御手段は、電力供給停止直前の状態から遊技制御を続行することができる。
タイマ割込が発生すると、CPU56は、レジスタの退避処理(ステップS20)を行った後、図20に示すステップS21〜S32の遊技制御処理およびステップS33のDG処理を実行する。遊技制御処理において、CPU56は、まず、スイッチ回路58を介して、ゲートスイッチ32a、始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23および入賞口スイッチ29a,30a,33a,39a等のスイッチの検出信号を入力し、それらの状態判定を行う(スイッチ処理:ステップS21)。
次いで、パチンコ遊技機1の内部に備えられている自己診断機能によって種々の異常診断処理が行われ、その結果に応じて必要ならば警報が発せられる(エラー処理:ステップS22)。
次に、遊技制御に用いられる大当り判定用の乱数等の各判定用乱数を生成するための各カウンタのカウント値を更新する処理を行う(ステップS23)。CPU56は、さらに、表示用乱数および初期値用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理を行う(ステップS24,S25)。
さらに、CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS26)。特別図柄プロセス制御では、遊技状態に応じてパチンコ遊技機1を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、特別図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。また、普通図柄プロセス処理を行う(ステップS27)。普通図柄プロセス処理では、普通図柄表示器10の表示状態を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、普通図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。
次いで、CPU56は、特別図柄に関する表示制御コマンドをRAM55の所定の領域に設定して表示制御コマンドを送信する処理を行う(特別図柄コマンド制御処理:ステップS28)。また、普通図柄に関する表示制御コマンドをRAM55の所定の領域に設定して表示制御コマンドを送信する処理を行う(普通図柄コマンド制御処理:ステップS29)。
さらに、CPU56は、例えばホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動情報、確率変動情報などのデータを出力する情報出力処理を行う(ステップS30)。
また、CPU56は、所定の条件が成立したときにソレノイド回路59に駆動指令を行う(ステップS31)。可変入賞球装置15または開閉板20を開状態または閉状態としたり、大入賞口内の遊技球通路を切り替えたりするために、ソレノイド回路59は、駆動指令に応じてソレノイド16,21,21Aを駆動する。
そして、CPU56は、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aの検出信号にもとづく賞球個数の設定などを行う賞球処理を実行する(ステップS32)。具体的には、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aがオンしたことにもとづく入賞検出に応じて、払出制御基板37に賞球個数を示す払出制御コマンドを出力する。払出制御基板37に搭載されている払出制御用CPU371は、賞球個数を示す払出制御コマンドに応じて球払出装置97を駆動する。
さらに、CPU56は、DG処理を行う(ステップS33)。DG処理とは、未払出賞球数表示器100における各7セグメントLED101,102,103に、後述する総賞球数格納バッファの格納内容すなわち未払出賞球数に対応するデータを出力する処理である。CPU56は、DG1信号、DG2信号およびDG3信号のいずれかを出力する(例えばローレベルにする)とともに、DG1信号を出力しているときには7セグメントLED101のセグメントa〜gに対して、未払出賞球数の3桁目のデータを出力する。また、DG2信号を出力しているときには7セグメントLED102のセグメントa〜gに対して、未払出賞球数の2桁目のデータを出力する。そして、DG3信号を出力しているときには7セグメントLED103のセグメントa〜gに対して、未払出賞球数の1桁目のデータを出力する。なお、DG1信号、DG2信号およびDG3信号は順に出力される。例えば、今回のDG処理でDG1信号を出力した場合には、次回の(2ms後の)DG処理でDG2信号が出力される。
その後、レジスタの内容を復帰させ(ステップS34)、割込許可状態に設定する(ステップS35)。
以上の制御によって、この実施の形態では、遊技制御処理は2ms毎に起動されることになる。なお、この実施の形態では、タイマ割込処理で遊技制御処理が実行されているが、タイマ割込処理では例えば割込が発生したことを示すフラグのセットのみがなされ、遊技制御処理はメイン処理において実行されるようにしてもよい。
図21,図22は、電源基板910からの電源断信号に応じて実行されるマスク不能割込処理(電力供給停止時処理)の処理例を示すフローチャートである。マスク不能割込が発生すると、CPU56に内蔵されている割込制御機構は、マスク不能割込発生時に実行されていたプログラムのアドレス(具体的には実行完了後の次のアドレス)を、スタックポインタが指すスタック領域に退避させるとともに、スタックポインタの値を増やす。すなわち、スタックポインタの値がスタック領域の次のアドレスを指すように更新する。
電力供給停止時処理において、CPU56は、AFレジスタ(アキュミュレータとフラグのレジスタ)を所定のバックアップRAM領域に退避する(ステップS51)。また、割込フラグをパリティフラグにコピーする(ステップS52)。パリティフラグはバックアップRAM領域に形成されている。割込フラグは、割込許可状態であるのか割込禁止状態であるのかを示すフラグであって、CPU56が内蔵する制御レジスタ中にある。割込フラグのオン状態が割込禁止状態であることを示す。上述したように、パリティフラグは遊技状態復旧処理で参照される。そして、遊技状態復旧処理において、パリティフラグがオン状態であれば、割込許可状態には設定されない。
また、BCレジスタ、DEレジスタ、HLレジスタ、IXレジスタおよびスタックポインタをバックアップRAM領域に退避する(ステップS54〜58)。なお、ステップS51〜S58の処理は、電源監視手段の検出信号に応じて制御状態を復旧させるために必要なデータを変動データ記憶手段に保存させるためのデータ退避処理に相当する。
次に、バックアップあり指定値(この例では「55H」)をバックアップフラグにストアする。バックアップフラグはバックアップRAM領域に形成されている。次いで、パリティデータを作成する(ステップS60〜S67)。すなわち、まず、クリアデータ(00)をチェックサムデータエリアにセットし(ステップS60)、チェックサム算出開始アドレスをポインタにセットする(ステップS61)。また、チェックサム算出回数をセットする(ステップS62)。
そして、チェックサムデータエリアの内容とポインタが指すRAM領域の内容との排他的論理和を演算する(ステップS63)。演算結果をチェックサムデータエリアにストアするとともに(ステップS64)、ポインタの値を1増やし(ステップS65)、チェックサム算出回数の値を1減算する(ステップS66)。ステップS63〜S66の処理が、チェックサム算出回数の値が0になるまで繰り返される(ステップS67)。
チェックサム算出回数の値が0になったら、CPU56は、チェックサムデータエリアの内容の各ビットの値を反転する(ステップS68)。そして、反転後のデータをチェックサムデータエリアにストアする(ステップS69)。このデータが、電源投入時にチェックされるパリティデータとなる。次いで、RAMアクセスレジスタにアクセス禁止値を設定する(ステップS70)。以後、内蔵RAM55のアクセスができなくなる。従って、電圧低下に伴ってプログラムの暴走が生じても、RAMの記憶内容が破壊されるようなことはない。
さらに、CPU56は、クリアデータ(00)を適当なレジスタにセットし(ステップS71)、出力ポート数に対応した処理数(この例では「9」)を別のレジスタにセットする(ステップS72)。また、出力ポート0のアドレスをIOポインタに設定する(ステップS73)。IOポインタとして、さらに別のレジスタが用いられる。
そして、IOポインタが指すアドレスにクリアデータをセットするとともに(ステップS74)、IOポインタの値を1増やし(ステップS75)、処理数の値を1減算する(ステップS77)。ステップS74〜S76の処理が、処理数の値が0になるまで繰り返される。その結果、全ての出力ポート0〜8(図13〜図15参照)にクリアデータが設定される。図13〜図15に示すように、この例では、「1」がオン状態であり、クリアデータである「00」が各出力ポートにセットされるので、全ての出力ポートがオフ状態になる。
従って、遊技状態を保存するための処理(この例では、チェックサムの生成およびRAMアクセス防止)が実行された後、各出力ポートは直ちにオフ状態になる。なお、この実施の形態では、遊技制御処理において用いられるデータが格納されるRAM領域は全て電源バックアップされている。従って、その内容が正しく保存されているか否かを示すチェックサムの生成処理、およびその内容を書き換えないようにするためのRAMアクセス防止処理が、遊技状態を保存するための処理に相当する。
遊技状態を保存するための処理が実行された後、直ちに各出力ポートがオフ状態になるので、保存される遊技状態と整合しない状況が発生することは確実に防止される。つまり、パチンコ遊技機のように可変入賞球装置を有している遊技機において、実装の関係上、可変入賞球装置における可変入賞口の位置と入賞を検出する入賞口スイッチの設置位置とを、ある程度離さざるを得ない。出力ポート、特に可変入賞球装置を開放状態にするための信号が出力される出力ポートを直ちにオフ状態にしないと、電力供給停止時に、可変入賞口に入賞したにもかかわらず、電力供給停止時処理の実行が開始されて入賞口スイッチの検出がなされない状況が起こりうる。その場合、可変入賞口に入賞があったことは保存されない。すなわち、実際に生じている遊技状態(入賞があったこと)と保存される遊技状態とが整合しない。しかし、この実施の形態では、出力ポートがクリアされて可変入賞球装置が閉じられるので、保存される遊技状態と整合しない状況が発生することは確実に防止される。
また、電気部品の駆動が不能になる状態になる前に実行される電力供給停止時処理の際に、出力ポートをクリアすることができるので、電気部品の駆動が不能になる状態となる前に遊技制御手段によって制御される各電気部品を、適切な動作停止状態にすることができる。例えば、開放中の大入賞口を閉成させ、また開放中の可変入賞球装置15を閉成させるなど、電気部品についての作動を停止させたあとに電気部品の駆動が不能になる状態とすることができる。従って、適切な停止状態で電力供給の復旧を待つことが可能となる。そして、出力ポートに対するクリア処理が完了すると、CPU56は、待機状態(ループ状態)に入る。従って、システムリセットされるまで、何もしない状態になる。
なお、この実施の形態では、NMIに応じて電力供給停止時処理が実行されたが、電源断信号をCPU56のマスク可能端子に接続し、マスク可能割込処理によって電力供給停止時処理を実行してもよい。また、電源断信号を入力ポートに入力し、入力ポートのチェック結果に応じて電力供給停止時処理を実行してもよい。
図23は、CPU56が実行する特別図柄プロセス処理のプログラムの一例を示すフローチャートである。図23に示す特別図柄プロセス処理は、図20のフローチャートにおけるステップS26の具体的な処理である。CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う際に、変動短縮タイマ減算処理(ステップS310)を行った後に、内部状態に応じて、ステップS300〜S309のうちのいずれかの処理を行う。変動短縮タイマは、特別図柄の変動時間が短縮される場合に、変動時間を設定するためのタイマである。
特別図柄変動待ち処理(ステップS300):始動入賞口14に打球入賞して始動口スイッチ17がオンするのを待つ。始動口スイッチ14がオンすると、始動入賞記憶数が満タンでなければ、始動入賞記憶数を+1するとともに大当り決定用乱数等を抽出する。
特別図柄判定処理(ステップS301):特別図柄の可変表示が開始できる状態になると、始動入賞記憶数を確認する。始動入賞記憶数が0でなければ、抽出されている大当り決定用乱数の値に応じて大当りとするかはずれとするか決定する。
停止図柄設定処理(ステップS302):左右中図柄の停止図柄を決定する。
リーチ動作設定処理(ステップS303):左右中の停止図柄の組み合わせにもとづいてリーチ動作するか否か決定するとともに、リーチとすることに決定した場合には、変動パターン決定用乱数の値に応じてリーチ時の変動時間を決定する。
全図柄変動開始処理(ステップS304):可変表示装置9において全図柄が変動開始されるように制御する。このとき、図柄制御基板80に対して、左右中最終停止図柄と変動態様を指令する情報とが送信される。処理を終えると、内部状態(プロセスフラグ)をステップS305に移行するように更新する。
全図柄停止待ち処理(ステップS305):所定時間(ステップS310の変動短縮タイマで示された時間)が経過すると、可変表示装置9において表示される全図柄が停止される。そして、停止図柄が大当り図柄の組み合わせである場合には、内部状態(プロセスフラグ)をステップS306に移行するように更新する。そうでない場合には、内部状態をステップS300に移行するように更新する。
大入賞口開放開始処理(ステップS306):大入賞口を開放する制御を開始する。具体的には、カウンタやフラグを初期化するとともに、ソレノイド21を駆動して大入賞口を開放する。また、大当りフラグ(大当り中であることを示すフラグ)のセットを行う。処理を終えると、内部状態(プロセスフラグ)をステップS307に移行するように更新する。
大入賞口開放中処理(ステップS307):大入賞口ラウンド表示の表示制御コマンドを図柄制御基板80に送信する制御や大入賞口の閉成条件の成立を確認する処理等を行う。最終的な大入賞口の閉成条件が成立したら、内部状態をステップS308に移行するように更新する。
特定領域有効時間処理(ステップS308):V入賞スイッチ22の通過の有無を監視して、大当り遊技状態継続条件の成立を確認する処理を行う。大当り遊技状態継続の条件が成立し、かつ、まだ残りラウンドがある場合には、内部状態をステップS306に移行するように更新する。また、所定の有効時間内に大当り遊技状態継続条件が成立しなかった場合、または、全てのラウンドを終えた場合には、内部状態をステップS309に移行するように更新する。
大当り終了処理(ステップS309):大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知するための表示を行う。その表示が終了したら、内部状態をステップS300に移行するように更新する。
図24は、主基板31から他の電気部品制御基板に送信される制御コマンドのコマンド形態の一例を示す説明図である。この実施の形態では、制御コマンドのコマンドデータは2バイト構成であり、1バイト目はMODE(コマンドの分類)を表し、2バイト目はEXT(コマンドの種類)を表す。MODEデータの先頭ビット(ビット7)は必ず「1」とされ、EXTデータの先頭ビット(ビット7)は必ず「0」とされる。このように、電気部品制御基板に送信される制御コマンドは、複数のコマンドデータで構成され、先頭ビットによってそれぞれを区別可能な態様になっている。なお、図24に示されたコマンド形態は一例であって他のコマンド形態を用いてもよい。例えば、1バイトや3バイト以上のコマンドデータで構成される制御コマンドを用いてもよい。
図25は、各電気部品制御手段に対する制御コマンドを構成する8ビットの制御信号CD0〜CD7(コマンドデータ)とINT信号(取込信号)との関係を示すタイミング図である。図25に示すように、MODEまたはEXTのデータが出力ポート(出力ポート1〜出力ポート4のうちのいずれか)に出力されてから、Aで示される期間が経過すると、CPU56は、データ出力を示す信号であるINT信号をハイレベル(オンデータ)にする。また、そこからBで示される期間が経過するとINT信号をローレベル(オフデータ)にする。さらに、次に送信すべきデータがある場合には、すなわち、MODEデータ送信後では、Cで示される期間をおいてから2バイト目のデータを出力ポートに出力する。2バイト目のデータに関して、A,Bの期間は、1バイト目の場合と同様である。このように、取込信号はMODEおよびEXTのデータのそれぞれについて出力される。
Aの期間は、CPU56が、コマンドの送信準備の期間すなわちバッファに制御コマンドを設定する処理に要する期間であるとともに、制御信号線におけるデータの安定化のための期間である。すなわち、制御信号線において制御信号CD0〜CD7が出力された後、所定期間(Aの期間:オフ出力期間の一部)経過後に、取込信号としてのINT信号が出力される。また、Bの期間(オン出力期間)は、INT信号安定化のための期間である。そして、Cの期間(オフ出力期間の一部)は、電気部品制御手段が確実にデータを取り込めるように設定されている期間である。B,Cの期間では、信号線上のデータは変化しない。すなわち、B,Cの期間が経過するまでデータ出力が維持される。
この実施の形態では、払出制御基板37への払出制御コマンド、図柄制御基板80への表示制御コマンド、ランプ制御基板35へのランプ制御コマンドおよび音制御基板70への音制御コマンドは、同一のコマンド送信処理ルーチン(共通モジュール)を用いて送信される。そこで、B,Cの期間すなわち1バイト目に関するINT信号が立ち上がってから2バイト目のデータが送信開始されるまでの期間は、コマンド受信処理に最も時間がかかる電気部品制御手段における受信処理時間よりも長くなるように設定される。
なお、各電気部品制御手段は、INT信号が立ち上がったことを検知して、例えば割込処理によって1バイトのデータの取り込み処理を開始する。
B,Cの期間が、コマンド受信処理に最も時間がかかる電気部品制御手段における受信処理時間よりも長いので、遊技制御手段が、各電気部品制御手段に対するコマンド送信処理を共通モジュールで制御しても、いずれの電気部品制御手段でも遊技制御手段からの制御コマンドを確実に受信することができる。
CPU56は、INT信号出力処理を実行した後に所定期間が経過すると次のデータを送信できる状態になるが、その所定期間(B,Cの期間)は、INT信号出力処理の前にデータを送信してからINT信号を出力開始するまでの期間(Aの期間)よりも長い。上述したように、Aの期間はコマンドの信号線における安定化期間であり、B,Cの期間は受信側がデータを取り込むのに要する時間を確保するための期間である。従って、Aの期間をB,Cの期間よりも短くすることによって、受信側の電気部品制御手段が確実にコマンドを受信できる状態になるという効果を得ることができるとともに、1つのコマンドの送信完了に要する期間が短縮される効果もある。
図26は、払出制御コマンドの内容の一例を示す説明図である。図26に示された例において、MODE=FF(H),EXT=00(H)のコマンドFF00(H)は、払出が可能であることを指示する払出制御コマンド(払出許可状態指定コマンド:払出可能状態指定コマンドともいう。)である。MODE=FF(H),EXT=01(H)のコマンドFF01(H)は、払出を停止すべき状態であることを指示する払出制御コマンド(払出禁止状態指定コマンド:払出停止状態指定コマンドともいう。)である。また、MODE=F0(H)のコマンドF0XX(H)は、賞球個数を指定する払出制御コマンドである。EXTである「XX」が払出個数を示す。
払出制御手段は、主基板31の遊技制御手段からFF01(H)の払出制御コマンドを受信すると賞球払出および球貸しを停止する状態となり、FF00(H)の払出制御コマンドを受信すると賞球払出および球貸しができる状態になる。また、賞球個数を指定する払出制御コマンドを受信すると、受信したコマンドで指定された個数に応じた賞球払出制御を行う。
なお、この実施の形態では、払出制御手段は払出停止状態指定コマンドを受信すると球貸しも賞球払出もともに停止し、払出可能状態指定コマンドに応じて球貸しも賞球払出もともに可能な状態に戻すのであるが、賞球に関する払出禁止指示と球貸しに関する払出禁止指示とを別コマンドとし、賞球に関する払出許可指示と球貸しに関する払出許可指示とを別コマンドとしてもよい。その場合でも、賞球禁止/許可をすべき条件が異なっていても共通のコマンドが遊技制御手段から払出制御手段に送出され、球貸し禁止/許可をすべき条件が異なっていても共通のコマンドが遊技制御手段から払出制御手段に送出されるように構成することができる。
また、遊技制御手段は、各制御コマンドを、払出制御手段が受信可能に1回だけ出力する。受信可能とは、この例では、INT信号のレベルが変化することであり、受信可能に1回だけ出力するとは、この例では、コマンドデータの1バイト目および2バイト目のそれぞれに応じてINT信号が1回だけパルス状(矩形波状)に出力することである。
次に、メイン処理におけるスイッチ処理(ステップS21)の具体例を説明する。この実施の形態では、各スイッチの検出信号のオン状態が所定時間継続すると、確かにスイッチがオンしたと判定されスイッチオンに対応した処理が開始される。所定時間を計測するために、スイッチタイマが用いられる。スイッチタイマは、バックアップRAM領域に形成された1バイトのカウンタであり、検出信号がオン状態を示している場合に2ms毎に+1される。図27に示すように、スイッチタイマは検出信号の数N(クリアスイッチ921の検出信号を除く)だけ設けられている。この実施の形態ではN=12である。また、RAM55において、各スイッチタイマのアドレスは、入力ポートのビット配列順(図16に示された上から下への順)と同じ順序で並んでいる。
図28は、遊技制御処理におけるステップS21のスイッチ処理の処理例を示すフローチャートである。なお、スイッチ処理は、図20に示すように遊技制御処理において最初に実行される。スイッチ処理において、CPU56は、まず、入力ポート0に入力されているデータを入力する(ステップS101)。次いで、処理数として「8」を設定し(ステップS102)、入賞口スイッチ33aのためのスイッチタイマのアドレスをポインタにセットする(ステップS103)。そして、スイッチチェック処理サブルーチンをコールする(ステップS104)。
図29は、スイッチチェック処理サブルーチンを示すフローチャートである。スイッチチェック処理サブルーチンにおいて、CPU56は、ポート入力データ、この場合には入力ポート0からの入力データを「比較値」として設定する(ステップS121)。また、クリアデータ(00)をセットする(ステップS122)。そして、ポインタ(スイッチタイマのアドレスが設定されている)が指すスイッチタイマをロードするとともに(ステップS123)、比較値を右(上位ビットから下位ビットへの方向)にシフトする(ステップS124)。比較値には入力ポート0のデータ設定されている。そして、この場合には、入賞口スイッチ33aの検出信号がキャリーフラグに押し出される。
キャリーフラグの値が「1」であれば(ステップS125)、すなわち入賞口スイッチ33aの検出信号がオン状態であれば、スイッチタイマの値を1加算する(ステップS127)。加算後の値が0でなければ加算値をスイッチタイマに戻す(ステップS128,S129)。加算後の値が0になった場合には加算値をスイッチタイマに戻さない。すなわち、スイッチタイマの値が既に最大値(255)に達している場合には、それよりも値を増やさない。
キャリーフラグの値が「0」であれば、すなわち入賞口スイッチ33aの検出信号がオフ状態であれば、スイッチタイマにクリアデータをセットする(ステップS126)。すなわち、スイッチがオフ状態であれば、スイッチタイマの値が0に戻る。
その後、CPU56は、ポインタ(スイッチタイマのアドレス)を1加算するとともに(ステップS130)、処理数を1減算する(ステップS131)。処理数が0になっていなければステップS122に戻る。そして、ステップS122〜S132の処理が繰り返される。
ステップS122〜S132の処理は、処理数分すなわち8回繰り返され、その間に、入力ポート0の8ビットに入力されるスイッチの検出信号について、順次、オン状態かオフ状態か否かのチェック処理が行われ、オン状態であれば、対応するスイッチタイマの値が1増やされる。
CPU56は、スイッチ処理のステップS105において、入力ポート1に入力されているデータを入力する。次いで、処理数として「4」を設定し(ステップS106)、賞球カウントスイッチ301Aのためのスイッチタイマのアドレスをポインタにセットする(ステップS107)。そして、スイッチチェック処理サブルーチンをコールする(ステップS108)。
スイッチチェック処理サブルーチンでは、上述した処理が実行されるので、ステップS122〜S132の処理が、処理数分すなわち4回繰り返され、その間に、入力ポート1の4ビットに入力されるスイッチの検出信号について、順次、オン状態かオフ状態か否かのチェック処理が行われ、オン状態であれば、対応するスイッチタイマの値が1増やされる。
なお、この実施の形態では、遊技制御処理が2ms毎に起動されるので、スイッチ処理も2msに1回実行される。従って、スイッチタイマは、2ms毎に+1される。
図30〜図32は、遊技制御処理におけるステップS32の賞球処理の一例を示すフローチャートである。この実施の形態では、賞球処理では、賞球払出の対象となる入賞口スイッチ29a,30a,33a,39a、カウントスイッチ23および始動口スイッチ14aが確実にオンしたか否か判定されるとともに、オンしたら賞球個数を示す払出制御コマンドが払出制御基板37に送信されるように制御し、また、満タンスイッチ48および球切れスイッチ187が確実にオンしたか否か判定されるとともに、オンしたら所定の払出制御コマンドが払出制御基板37に送信されるように制御する等の処理が行われる。
賞球処理において、CPU56は、入力判定値テーブルのオフセットとして「1」を設定し(ステップS150)、スイッチタイマのアドレスのオフセットとして「9」を設定する(ステップS151)。入力判定値テーブル(図34参照)のオフセット「1」は、入力判定値テーブルの2番目のデータ「50」を使用することを意味する。また、各スイッチタイマは、図16に示された入力ポートのビット順と同順に並んでいるので、スイッチタイマのアドレスのオフセット「9」は満タンスイッチ48に対応したスイッチタイマが指定されることを意味する。そして、スイッチオンチェックルーチンがコールされる(ステップS152)。
入力判定値テーブルとは、各スイッチについて、連続何回のオンが検出されたら確かにスイッチがオンしたと判定するための判定値が設定されているROM領域である。入力判定値テーブルの構成例は図34に示されている。図34に示すように、入力判定値テーブルには、上から順に、すなわちアドレス値が小さい領域から順に、「2」、「50」、「250」、「30」、「250」、「1」の判定値が設定されている。また、スイッチオンチェックルーチンでは、入力判定値テーブルの先頭アドレスとオフセット値とで決まるアドレスに設定されている判定値と、スイッチタイマの先頭アドレスとオフセット値とで決まるスイッチタイマの値とが比較され、一致した場合には、例えばスイッチオンフラグがセットされる。
スイッチオンチェックルーチンの一例が図33に示されている。スイッチオンチェックルーチンにおいて、満タンスイッチ48に対応するスイッチタイマの値が満タンスイッチオン判定値「50」に一致していればスイッチオンフラグがセットされるので(ステップS153)、満タンフラグがセットされる(ステップS154)。なお、図30には明示されていないが、満タンスイッチ48に対応したスイッチタイマの値が0になると、満タンフラグはリセットされる。
また、CPU56は、入力判定値テーブルのオフセットとして「2」を設定し(ステップS156)、スイッチタイマのアドレスのオフセットとして「0A(H)」を設定する(ステップS157)。入力判定値テーブルのオフセット「2」は、入力判定値テーブルの3番目のデータ「250」を使用することを意味する。また、各スイッチタイマは、図16に示された入力ポートのビット順と同順に並んでいるので、スイッチタイマのアドレスのオフセット「0A(H)」は球切れスイッチ187に対応したスイッチタイマが指定されることを意味する。そして、スイッチオンチェックルーチンがコールされる(ステップS158)。
スイッチオンチェックルーチンにおいて、球切れスイッチ187に対応するスイッチタイマの値が球切れスイッチオン判定値「250」に一致していればスイッチオンフラグがセットされるので(ステップS159)、球切れフラグがセットされる(ステップS160)。なお、図30には明示されていないが、球切れスイッチ187に対応したスイッチオフタイマが用意され、その値が50になると、球切れフラグはリセットされる。
そして、CPU56は、払出停止状態であるか否か確認する(ステップS201)。払出停止状態は、払出制御基板37に対して払出を停止すべき状態であることを指示する払出制御コマンドである払出停止状態指定コマンドを送出した後の状態であり、具体的には、作業領域における払出停止フラグがセットされている状態である。払出停止状態でなければ、上述した球切れ状態フラグまたは満タンフラグがオンになったか否かを確認する(ステップS202)。
いずれかがオン状態に変化したときには、払出停止状態フラグをセットするとともに(ステップS203)、払出停止状態指定コマンドに関するコマンド送信テーブルをセットし(ステップS204)、コマンドセット処理をコールする(ステップS205)。ステップS204では、払出停止状態指定コマンドの払出制御コマンドが格納されているコマンド送信テーブル(ROM)の先頭アドレスが、コマンド送信テーブルのアドレスとして設定される。払出停止状態指定コマンドに関するコマンド送信テーブルには、後述するINTデータ、払出制御コマンドの1バイト目のデータ、および払出制御コマンドの2バイト目のデータが設定されている。なお、ステップS202において、いずれか一方のフラグが既にオン状態であったときに他方のフラグがオン状態になったときには、ステップS203〜ステップS205の処理は行われない。
また、払出停止状態であれば、球切れ状態フラグおよび満タンフラグがともにオフ状態になったか否かを確認する(ステップS206)。ともにオフ状態となったときには、払出停止フラグをリセットするとともに(ステップS207)、払出可能状態指定コマンドに関するコマンド送信テーブルをセットし(ステップS208)、コマンドセット処理をコールする(ステップS209)。ステップS208では、払出可能状態指定コマンドの払出制御コマンドが格納されているコマンド送信テーブル(ROM)の先頭アドレスが、コマンド送信テーブルのアドレスとして設定される。払出可能状態指定コマンドに関するコマンド送信テーブルには、後述するINTデータ、払出制御コマンドの1バイト目のデータ、および払出制御コマンドの2バイト目のデータが設定されている。
さらに、CPU56は、入力判定値テーブルのオフセットとして「0」を設定し(ステップS221)、スイッチタイマのアドレスのオフセットとして「0」を設定する(ステップS222)。入力判定値テーブルのオフセット「0」は、入力判定値テーブルの最初のデータを使用することを意味する。また、各スイッチタイマは、図16に示された入力ポートのビット順と同順に並んでいるので、スイッチタイマのアドレスのオフセット「0」は入賞口スイッチ33aに対応したスイッチタイマが指定されることを意味する。また、繰り返し数として「4」をセットする(ステップS223)。そして、スイッチオンチェックルーチンがコールされる(ステップS224)。
スイッチオンチェックルーチンにおいて、CPU56は、入力判定値テーブル(図34参照)の先頭アドレスを設定する(ステップS281)。そして、そのアドレスにオフセットを加算し(ステップS282)、加算後のアドレスからスイッチオン判定値をロードする(ステップS283)。
次いで、CPU56は、スイッチタイマの先頭アドレスを設定し(ステップS284)、そのアドレスにオフセットを加算し(ステップS285)、加算後のアドレスからスイッチタイマの値をロードする(ステップS286)。各スイッチタイマは、図16に示された入力ポートのビット順と同順に並んでいるので、スイッチに対応したスイッチタイマの値がロードされる。
そして、CPU56は、ロードしたスイッチタイマの値とスイッチオン判定値とを比較する(ステップS287)。それらが一致すれば、スイッチオンフラグをセットする(ステップ128)。
この場合には、スイッチオンチェックルーチンにおいて、入賞口スイッチ33aに対応するスイッチタイマの値がスイッチオン判定値「2」に一致していればスイッチオンフラグがセットされる(ステップS225)。そして、スイッチチェックオンルーチンは、スイッチタイマのアドレスのオフセットが更新されつつ(ステップS230)、最初に設定された繰り返し数分だけ実行されるので(ステップS228,S229)、結局、入賞口スイッチ33a,39a,29a,30aについて、対応するスイッチタイマの値がスイッチオン判定値「2」と比較されることになる。
スイッチオンフラグがセットされたら、払い出すべき賞球個数としての「10」をリングバッファに設定する(ステップS226)。そして、総賞球数格納バッファの格納値に10を加算する(ステップS227)。なお、リングバッファにデータを書き込んだときには、書込ポインタをインクリメントし、リングバッファの最後の領域にデータを書き込まれたときには、書込ポインタを、リングバッファの最初の領域を指すように更新する。
総賞球数格納バッファは、払出制御手段に対して指示した賞球個数の累積値(ただし、払い出しがなされると減算される)が格納されるバッファであり、バックアップRAMに形成されている。なお、この実施の形態では、リングバッファにデータを書き込んだ時点で総賞球数格納バッファの格納値に対する加算処理が行われるが、払い出すべき賞球個数を指示する払出制御コマンドを出力ポートに出力した時点で総賞球数格納バッファの格納値に対する、出力する払出制御コマンドに対応した賞球数の加算処理を行ってもよい。
次に、CPU56は、入力判定値テーブルのオフセットとして「0」を設定し(ステップS231)、スイッチタイマのアドレスのオフセットとして「4」を設定する(ステップS232)。入力判定値テーブルのオフセット「0」は、入力判定値テーブルの最初のデータを使用することを意味する。また、各スイッチタイマは、図16に示された入力ポートのビット順と同順に並んでいるので、スイッチタイマのアドレスのオフセット「4」は始動口スイッチ14aに対応したスイッチタイマが指定されることを意味する。そして、スイッチオンチェックルーチンがコールされる(ステップS233)。
スイッチオンチェックルーチンにおいて、始動口スイッチ14aに対応するスイッチタイマの値がスイッチオン判定値「2」に一致していればスイッチオンフラグがセットされる(ステップS234)。スイッチオンフラグがセットされたら、払い出すべき賞球個数としての「6」をリングバッファに設定する(ステップS235)。また、総賞球数格納バッファの格納値に6を加算する(ステップS236)。
次いで、CPU56は、入力判定値テーブルのオフセットとして「0」を設定し(ステップS241)、スイッチタイマのアドレスのオフセットとして「5」を設定する(ステップS242)。入力判定値テーブルのオフセット「0」は、入力判定値テーブルの最初のデータを使用することを意味する。また、各スイッチタイマは、図16に示された入力ポートのビット順と同順に並んでいるので、スイッチタイマのアドレスのオフセット「5」はカウントスイッチ23に対応したスイッチタイマが指定されることを意味する。そして、スイッチオンチェックルーチンがコールされる(ステップS243)。
スイッチオンチェックルーチンにおいて、カウントスイッチ23に対応するスイッチタイマの値がスイッチオン判定値「2」に一致していればスイッチオンフラグがセットされる(ステップS244)。スイッチオンフラグがセットされたら、払い出すべき賞球個数としての「15」をリングバッファに設定する(ステップS245)。また、総賞球数格納バッファの格納値に15を加算する(ステップS246)。
そして、リングバッファにデータが存在する場合には(ステップS247)、読出ポインタが指すリングバッファの内容を送信バッファにセットするとともに(ステップS248)、読出ポインタの値を更新(リングバッファの次の領域を指すように更新)し(ステップS249)、賞球個数に関するコマンド送信テーブルをセットし(ステップS250)、コマンドセット処理をコールする(ステップS251)。コマンドセット処理の動作については後で詳しく説明する。
ステップS250では、賞球個数に関する払出制御コマンドが格納されているコマンド送信テーブル(ROM)の先頭アドレスが、コマンド送信テーブルのアドレスとして設定される。賞球個数に関するコマンド送信テーブルには、後述するINTデータ(01(H))、払出制御コマンドの1バイト目のデータ(F0(H))、および払出制御コマンドの2バイト目のデータが設定されている。ただし、2バイト目のデータとして「80(H)」が設定されている。
以上のように、遊技制御手段から払出制御基板37に賞球個数を指示する払出制御コマンドを出力しようとするときに、賞球個数に関するコマンド送信テーブルのアドレス設定と送信バッファの設定とが行われる。そして、コマンドセット処理によって、賞球個数に関するコマンド送信テーブルと送信バッファの設定内容とにもとづいて払出制御コマンドが払出制御基板37に送信される。なお、ステップS247において、書込ポインタと読出ポインタとの差によってデータがあるか否か確認することができるが、リングバッファ内の未処理のデータ個数を示すカウンタを設け、カウント値によってデータがあるか否か確認するようにしてもよい。
そして、総賞球数格納バッファの内容が0でない場合、すなわち、まだ賞球残がある場合には、CPU56は、賞球払出中フラグをオンする(ステップS252,S253)。
また、CPU56は、賞球払出中フラグがオンしているときには(ステップS254)、球払出装置97から実際に払い出された賞球個数を監視して総賞球数格納バッファの格納値(未払出賞球数)を減算する賞球個数減算処理を行う(ステップS255)。なお、賞球払出中フラグがオンからオフに変化したときには、ランプ制御基板35に対して、賞球ランプ51の点灯を指示するランプ制御コマンドが送信される。
上述したように、総賞球数格納バッファの格納値は、未払出賞球数表示器100において表示される。表示制御を容易にするために、総賞球数格納バッファには10進表示で未払出賞球数が格納されていることが好ましい。総賞球数格納バッファには2進表示で未払出賞球数が格納されている場合には、ステップS33のDG処理において、10進数への変換がなされた後に、各桁のデータが未払出賞球数表示器100における7セグメント表示器101,102,103に出力される。
また、賞球処理が実行される場合、払出検出手段としての賞球カウントスイッチ301Aには、主基板31から電力が供給されている。よって、払出制御基板37において故障が発生しても、その影響で払出検出手段の検出機能が不能になるということはない。従って、遊技制御手段による賞球処理に続行が不能になってしまうことはない。さらに、遊技制御手段は、賞球カウントスイッチ301Aの検出信号にもとづいて、払い出された遊技媒体数に関連する情報(上記の例では賞球情報信号)を作成することができるが、そのような信号の作成および出力が不能になってしまうことはない。
この実施の形態では、払い出される遊技球の不足が検知されたとき(球切れ時)にも、下皿満タンで遊技球を払い出すべきでないときにも、同一のコマンドである払出停止状態指定コマンドが遊技制御手段から払出制御手段に通知される(図36参照)。すなわち、払出停止をすべき条件が異なっていても、共通のコマンドが遊技制御手段から払出制御手段に送信される。換言すれば、遊技媒体の払出の完了とは異なる複数の払出停止条件のうち、いずれの条件が成立したときでも共通の制御コマンドによって払出制御手段に対して払出が可能な状態でないことが指令される。そして、払出制御手段は、払出停止状態指定コマンドを受信すると遊技球の払出を停止する。
なお、払出制御手段は、払出停止状態指定コマンドを受信すると、賞球としての球払出と球貸しとしての球払出とをともに停止させる。また、払出可能状態指定コマンドを受信すると、、賞球としての球払出と球貸しとしての球払出とをともに可能な状態とする。しかし、遊技制御手段から払出制御手段に対して、賞球としての球払出を停止または再開させる払出制御コマンドと、球貸しとしての球払出を停止または再開させる払出制御コマンドとを、別の制御コマンドとして送信するようにしてもよい。
また、この実施の形態では、払出停止中であっても(ステップS201,S206)、ステップS221〜S251の処理が実行される。すなわち、遊技制御手段は、払出停止状態であっても、賞球個数を指示するための払出制御コマンドを送信することができる。すなわち、賞球個数を指示するためのコマンドが、払出停止状態であっても払出制御手段に伝達され、払出停止状態が解除されたときに、早めに賞球払出を開始することができる。また、遊技制御手段において、払出停止状態における入賞にもとづく賞球個数を記憶するための大きな記憶領域は必要とされない。
さらに、この実施の形態では、遊技媒体の払出状況とは無関係に、ステップS221〜S251の処理が実行される。すなわち、遊技制御手段は、前回までに指定した賞球個数の払い出しが完了しているか否かに関わらず、新たな賞球個数を指示するための払出制御コマンドを送信することができる。よって、遊技制御手段の払い出しに関する処理負担を軽減させることができるとともに、賞球の払出処理を迅速に行うことができる。
次に、遊技制御手段から各電気部品制御手段に対する制御コマンドの送信方式について説明しておく。遊技制御手段から他の電気部品制御基板(サブ基板)に制御コマンドを出力しようとするときに、コマンド送信テーブルの先頭アドレスの設定が行われる。図35(A)は、コマンド送信テーブルの一構成例を示す説明図である。1つのコマンド送信テーブルは3バイトで構成され、1バイト目にはINTデータが設定される。また、2バイト目のコマンドデータ1には、制御コマンドの1バイト目のMODEデータが設定される。そして、3バイト目のコマンドデータ2には、制御コマンドの2バイト目のEXTデータが設定される。
なお、EXTデータそのものがコマンドデータ2の領域に設定されてもよいが、コマンドデータ2には、EXTデータが格納されているテーブルのアドレスを指定するためのデータが設定されるようにしてもよい。例えば、コマンドデータ2のビット7(ワークエリア参照ビット)が0であれば、コマンドデータ2にEXTデータそのものが設定されていることを示す。また、コマンドデータ2のビット7(ワークエリア参照ビット)が1であれば、所定のアドレステーブル(コマンド拡張データアドレステーブル)内のアドレスが指す領域に格納されているデータがEXTデータとして使用されることを示す。例えば、払出制御コマンドの場合には、ワークエリア参照ビットが1であり、EXTデータとして、送信バッファの内容が使用される。
図35(B)はINTデータの一構成例を示す説明図である。INTデータにおけるビット0は、払出制御基板37に払出制御コマンドを送出すべきか否かを示す。ビット0が「1」であるならば、払出制御コマンドを送出すべきことを示す。従って、CPU56は、例えば賞球処理(メイン処理のステップS31)において、INTデータに「01(H)」を設定する。また、INTデータにおけるビット1は、図柄出制御基板80に表示制御コマンドを送出すべきか否かを示す。ビット1が「1」であるならば、表示制御コマンドを送出すべきことを示す。従って、CPU56は、例えば特別図柄コマンド制御処理(メイン処理のステップS27)において、INTデータに「02(H)」を設定する。
INTデータのビット2,3は、それぞれ、ランプ制御コマンド、音制御コマンドを送出すべきか否かを示すビットであり、CPU56は、それらのコマンドを送出すべきタイミングになったら、特別図柄プロセス処理等で、ポインタが指しているコマンド送信テーブルに、INTデータ、コマンドデータ1およびコマンドデータ2を設定する。それらのコマンドを送出するときには、INTデータの該当ビットが「1」に設定され、コマンドデータ1およびコマンドデータ2にMODEデータおよびEXTデータが設定される。
この実施の形態では、払出制御コマンドについて、図35(C)に示すように、リングバッファおよび送信バッファが用意されている。そして、賞球処理において、賞球払出条件が成立すると、成立した条件に応じた賞球個数が順次リングバッファに設定される。また、賞球個数に関する払出制御コマンド送出する際に、リングバッファから1個のデータが送信バッファに転送される。なお、図35(C)に示す例では、リングバッファには、12個分の払出制御コマンドに相当するデータが格納可能になっている。すなわち、12個のバッファがある。なお、リングバッファにおけるバッファの数は、賞球を発生させる入賞口の数に対応した数であればよい。同時入賞が発生した場合でも、それぞれの入賞にもとづく払出制御コマンドのデータの格納が可能だからである。
図36は、コマンドセット処理の処理例を示すフローチャートである。コマンドセット処理は、コマンド出力処理とINT信号出力処理とを含む処理である。コマンドセット処理において、CPU56は、まず、コマンド送信テーブルのアドレスをスタック等に退避する(ステップS331)。そして、ポインタが指していたコマンド送信テーブルのINTデータを引数1にロードする(ステップS332)。引数1は、後述するコマンド送信処理に対する入力情報になる。また、コマンド送信テーブルを指すアドレスを+1する(ステップS333)。従って、コマンド送信テーブルを指すアドレスは、コマンドデータ1のアドレスに一致する。
次いで、CPU56は、コマンドデータ1を読み出して引数2に設定する(ステップS334)。引数2も、後述するコマンド送信処理に対する入力情報になる。そして、コマンド送信処理ルーチンをコールする(ステップS335)。
図37は、コマンド送信処理ルーチンを示すフローチャートである。コマンド送信処理ルーチンにおいて、CPU56は、まず、引数1に設定されているデータすなわちINTデータを、比較値として決められているワークエリアに設定する(ステップS351)。次いで、送信回数=4を、処理数として決められているワークエリアに設定する(ステップS352)。そして、ポート1のアドレスをIOアドレスにセットする(ステップS353)。この実施の形態では、ポート1のアドレスは払出制御コマンドデータを出力するための出力ポートのアドレスであり、ポート2〜4のアドレスが、表示制御コマンド、ランプ制御コマンドデータ、音制御コマンドデータを出力するための出力ポートのアドレスである。
次に、CPU56は、比較値を1ビット右にシフトする(ステップS354)。シフト処理の結果、キャリービットが1になったか否か確認する(ステップS355)。キャリービットが1になったということは、INTデータにおける最も右側のビットが「1」であったことを意味する。この実施の形態では4回のシフト処理が行われるのであるが、例えば、表示制御コマンドを送信すべきことが指定されているときには、2回目のシフト処理でキャリービットが1になる。
キャリービットが1になった場合には、引数2に設定されているデータ、この場合にはコマンドデータ1(すなわちMODEデータ)を、IOアドレスとして設定されているアドレスに出力する(ステップS356)。2回目のシフト処理が行われたときにはIOアドレスにポート2のアドレスが設定されているので、そのときに、表示制御コマンドのMODEデータがポート2に出力される。
次いで、CPU56は、IOアドレスを1加算するとともに(ステップS357)、処理数を1減算する(ステップS358)。加算前にポート2を示していた場合には、IOアドレスに対する加算処理によって、IOアドレスにはポート3のアドレスが設定される。ポート3は、ランプ制御コマンドを出力するためのポートである。そして、CPU56は、処理数の値を確認し(ステップS359)、値が0になっていなければ、ステップS354に戻る。ステップS354で再度シフト処理が行われる。
2回目のシフト処理ではINTデータにおけるビット1の値が押し出され、ビット1の値に応じてキャリーフラグが「1」または「0」になる。従って、表示制御コマンドを送信すべきことが指定されているか否かのチェックが行われる。同様に、3回目および4回目のシフト処理によって、ランプ制御コマンドおよび音制御コマンドを送信すべきことが指定されているか否かのチェックが行われる。このように、それぞれのシフト処理が行われるときに、IOアドレスには、シフト処理によってチェックされるコマンド(払出制御コマンド、表示制御コマンド、ランプ制御コマンド、音制御コマンド)に対応したIOアドレスが設定されている。
よって、キャリーフラグが「1」になったときには、対応する出力ポート(ポート1〜ポート4)に制御コマンドが送信される。すなわち、1つの共通モジュールで、各電気部品制御手段に対するコマンドの送信処理(出力処理)を行うことができる。
また、このように、シフト処理のみによってどの電気部品制御手段に対して制御コマンドを出力すべきかが判定されるので、いずれの電気部品制御手段に対して制御コマンドを出力すべきか判定する処理が簡略化されている。
次に、CPU56は、シフト処理開始前のINTデータが格納されている引数1の内容を読み出し(ステップS360)、読み出したデータをポート0に出力する(ステップS361)。この実施の形態では、ポート0のアドレスは、各制御信号についてのINT信号を出力するためのポートであり、ポート0のビット0〜4が、それぞれ、払出制御INT信号、表示制御INT信号、ランプ制御INT信号、音制御INT信号を出力するためのポートである。INTデータでは、ステップS351〜S359の処理で出力された制御コマンド(払出制御コマンド、表示制御コマンド、ランプ制御コマンド、音制御コマンド)に応じたINT信号の出力ビットに対応したビットが「1」になっている。従って、ポート1〜ポート4のいずれかに出力された制御コマンド(払出制御コマンド、表示制御コマンド、ランプ制御コマンド、音制御コマンド)に対応したINT信号がオフ状態(ローレベル)になる。
次いで、CPU56は、ウェイトカウンタに所定値を設定し(ステップS362)、その値が0になるまで1ずつ減算する(ステップS363,S364)。ウェイトカウンタの値が0になると、クリアデータ(00)を設定して(ステップS365)、そのデータをポート0に出力する(ステップS366)。よって、INT信号はオフ状態になる。そして、ウェイトカウンタに所定値を設定し(ステップS362)、その値が0になるまで1ずつ減算する(ステップS368,S369)。
以上のようにして、制御コマンドの1バイト目のMODEデータが送信される。そこで、CPU56は、図36に示すステップS336で、コマンド送信テーブルを指す値を1加算する。従って、3バイト目のコマンドデータ2の領域が指定される。CPU56は、指し示されたコマンドデータ2の内容を引数2にロードする(ステップS337)。また、コマンドデータ2のビット7(ワークエリア参照ビット)の値が「0」であるか否か確認する(ステップS338)。0でなければ、コマンド拡張データアドレステーブルの先頭アドレスをポインタにセットし(ステップS339)、そのポインタにコマンドデータ2のビット6〜ビット0の値を加算してアドレスを算出する(ステップS340)。そして、そのアドレスが指すエリアのデータを引数2にロードする(ステップS341)。
コマンド拡張データアドレステーブルには、電気部品制御手段に送信されうるEXTデータが順次設定されている。よって、以上の処理によって、ワークエリア参照ビットの値が「1」であれば、コマンドデータ2の内容に応じたコマンド拡張データアドレステーブル内のEXTデータが引数2にロードされ、ワークエリア参照ビットの値が「0」であれば、コマンドデータ2の内容がそのまま引数2にロードされる。なお、コマンド拡張データアドレステーブルからEXTデータが読み出される場合でも、そのデータのビット7は「0」である。
次に、CPU56は、コマンド送信処理ルーチンをコールする(ステップS342)。従って、MODEデータの送信の場合と同様のタイミングでEXTデータが送信される。その後、CPU56は、コマンド送信テーブルのアドレスを復帰し(ステップS343)、コマンド送信テーブルを指す読出ポインタの値を更新する(ステップS344)。そして、さらに送信すべきコマンドがあれば(ステップS345)、ステップS331に戻る。
以上のようにして、2バイト構成の制御コマンド(払出制御コマンド、表示制御コマンド、ランプ制御コマンド、音制御コマンド)が、対応する電気部品制御手段に送信される。電気部品制御手段ではINT信号のレベル変化を検出すると制御コマンドの取り込み処理を開始するのであるが、いずれの電気部品制御手段についても、取り込み処理が完了する前に遊技制御手段からの新たな信号が信号線に出力されることはない。すなわち、表示制御手段等の各電気部品制御手段において、確実なコマンド受信処理が行われる。なお、INT信号の極性を図25に示された場合と逆にしてもよい。
以上のように、コマンドセット処理は、表示制御コマンド、ランプ制御コマンド、音制御コマンドおよび払出制御コマンドのいずれの制御コマンドを送信する際にも使用される共通モジュールである。従って、遊技制御手段が実行する遊技制御プログラムのプログラム容量を節減することができる。
さらに、表示制御コマンド、ランプ制御コマンド、音制御コマンドおよび払出制御コマンドの形態が共通しているので、各制御コマンドを作成する処理も容易にモジュール化することができる。この実施の形態では、各制御コマンドのそれぞれについてのコマンド送信テーブル(図35(A)参照)があらかじめROMに設定されていたが、各制御コマンドを送信する際に作成することもできる。例えば、図35(A)に示されたようなコマンド送信テーブルをRAMに作成した後に、図36に示されたコマンドセット処理を呼び出せばよい。
表示制御コマンド、ランプ制御コマンド、音制御コマンドおよび払出制御コマンドのいずれの制御コマンドについてのコマンド送信テーブルも、INTデータ、コマンドデータ1,2で構成されているので、制御コマンドを作成する共通モジュールとして、いずれかのビットが「1」になっているINTデータと、コマンドデータ1,2に設定されるべきデータとを入力データとして共通モジュールを呼び出せば、いずれの制御コマンドについても図35に示されたようなコマンド送信テーブルが作成されるように、制御コマンドを作成する共通モジュールを構成することができる。
図38は、図32に示されたステップS255の賞球個数減算処理の一例を示すフローチャートである。賞球個数減算処理において、CPU56は、まず、総賞球数格納バッファの格納値をロードする(ステップS381)。そして、格納値が0であるか否か確認する(ステップS382)。0であれば処理を終了する。
0でなければ、賞球カウントスイッチ用のスイッチタイマをロードし(ステップS383)、ロード値とオン判定値(この場合は「2」)とを比較する(ステップS384)。一致したら(ステップS385)、賞球カウントスイッチ301Aが確かにオンしたとして、すなわち、確かに1個の遊技球が球払出装置97から払い出されたとして、総賞球数格納バッファの格納値を1減算する(ステップS386)。
そして、総賞球数格納バッファの格納値が0になったら(ステップS387)、賞球払出中フラグをクリアし(ステップS388)、賞球残数がないことを報知するために、ランプ制御コマンド用のコマンド送信テーブルに賞球ランプ51の消灯を示すコマンドデータを設定した後(ステップS389)、ランプ制御コマンドの送出処理を実行する(ステップS390)。
以上のように、この実施の形態では、遊技制御手段が、入賞検出手段からの検出信号にもとづいて払い出されるべき遊技媒体数のうち未だ払い出されていない未払出遊技媒体数を特定可能な未払出データ(この実施の形態では総賞球数格納バッファ)を記憶し、入賞検出手段からの検出信号にもとづいて未払出データを更新する処理(この実施の形態では、例えばステップS227,S235,S246の払い出されるべき遊技媒体数を未払出データ加算する処理)と、払出検出手段からの検出信号にもとづいて未払出データを更新する処理(この実施の形態では、ステップS386の未払出データを減算する処理)とを行い、未払出データにもとづいて未払出遊技媒体数を表示する未払出数表示手段(この実施の形態では未払出賞球数表示器100)の制御を行う。このように、遊技制御手段が未払出数表示手段の制御を行うので、払出制御手段の制御負担が過大になってしまうようなことはない。
図39は、賞球情報信号出力処理を示すフローチャートである。賞球情報信号出力処理は、図20に示された遊技制御処理における情報出力処理(ステップS30)の一部である。賞球情報信号出力処理において、CPU56は、賞球カウントスイッチ用のスイッチタイマをロードし(ステップS401)、ロード値とオン判定値(この場合は「2」)とを比較する(ステップS402)。一致したら(ステップS403)、賞球カウントスイッチ301Aが確かにオンしたとして、すなわち、確かに1個の遊技球が球払出装置97から払い出されたとして、賞球個数情報カウンタの値を1加算する(ステップS404)。
そして、賞球個数情報カウンタの値が10以上の値になっていれば(ステップS405)、賞球情報出力回数カウンタの値を+1するとともに(ステップS406)、賞球個数情報カウンタの値を10減らす(ステップS407)。また、賞球情報信号の出力処理を行う(ステップS408)。賞球情報信号は、出力ポート5(図13参照)から出力され、さらに、ターミナル基板160の賞球用端子から遊技機外部に出力される。
図40は、主基板31からターミナル基板160を介して外部出力される賞球情報信号の出力タイミング例を示すタイミング図である。この例では、図39に示された処理によって、賞球払出個数が10個になる毎に、賞球情報信号が0.1秒間ローレベルとされた後、続いて0.1秒間ハイレベルとされる。すなわち、賞球10個毎に、0.1秒間「オン」を出力し、続いて、0.1秒間「オフ」を出力する。なお、0.1秒の期間は、ステップS408の処理において設定されている。
以上のように、この実施の形態では、遊技制御手段が、払出検出手段からの検出信号にもとづいて所定数の遊技媒体が払い出されたことを検出する毎に(この実施の形態では10個毎に)、払い出された遊技媒体の数に関連する情報(賞球情報信号)を外部に出力する。
次に、電気部品制御手段の他の例である払出制御手段(払出制御用CPU371およびROM,RAM等の周辺回路)の動作を説明する。図41は、この実施の形態での払出制御基板37における出力ポートの割り当てを示す説明図である。図41に示すように、出力ポートC(アドレス00H)は、払出モータ289に出力される駆動信号等の出力ポートである。また、出力ポートD(アドレス01H)は、7セグメントLEDであるエラー表示LED374に出力される表示制御信号の出力ポートである。そして、出力ポートE(アドレス02H)は、振分ソレノイド310に出力される駆動信号、およびカードユニット50に対するEXS信号とPRDY信号とを出力するための出力ポートである。
図42は、この実施の形態における入力ポートのビット割り当てを示す説明図である。図42に示すように、入力ポートA(アドレス06H)は、主基板31から送信された払出制御コマンドの8ビットの払出制御信号を取り込むための入力ポートである。また、入力ポートB(アドレス07H)のビット0〜1には、それぞれ、賞球カウントスイッチ301Aおよび球貸しカウントスイッチ301Bの検出信号が入力される。ビット2〜5には、カードユニット50からのBRDY信号、BRQ信号、VL信号およびクリアスイッチ921の検出信号が入力される。なお、払出制御手段ではクリアスイッチ921を使用しない場合には、その検出信号を入力する必要はない。
図43は、払出制御手段が実行するメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理では、払出制御用CPU371は、まず、必要な初期設定を行う。すなわち、払出制御用CPU371は、まず、割込禁止に設定する(ステップS701)。次に、割込モードを割込モード2に設定し(ステップS702)、スタックポインタにスタックポインタ指定アドレスを設定する(ステップS703)。また、払出制御用CPU371は、内蔵デバイスレジスタの初期化を行い(ステップS704)、CTCおよびPIOの初期化(ステップS705)を行った後に、RAMをアクセス可能状態に設定する(ステップS706)。
この実施の形態では、内蔵CTCのうちの一つのチャネルがタイマモードで使用される。従って、ステップS704の内蔵デバイスレジスタの設定処理およびステップS705の処理において、使用するチャネルをタイマモードに設定するためのレジスタ設定、割込発生を許可するためのレジスタ設定および割込ベクタを設定するためのレジスタ設定が行われる。そして、そのチャネルによる割込がタイマ割込として用いられる。タイマ割込を例えば2ms毎に発生させたい場合は、初期値として2msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。
なお、タイマモードに設定されたチャネル(この実施の形態ではチャネル3)に設定される割込ベクタは、タイマ割込処理の先頭アドレスに相当するものである。具体的は、Iレジスタに設定された値と割込ベクタとでタイマ割込処理の先頭アドレスが特定される。タイマ割込処理では、払出制御処理が実行される。
また、内蔵CTCのうちの他の一つのチャネル(この実施の形態ではチャネル2)が、遊技制御手段からの払出制御コマンド受信のための割込発生用のチャネルとして用いられ、そのチャネルがカウンタモードで使用される。従って、ステップS704の内蔵デバイスレジスタの設定処理およびステップS705の処理において、使用するチャネルをカウンタモードに設定するためのレジスタ設定、割込発生を許可するためのレジスタ設定および割込ベクタを設定するためのレジスタ設定が行われる。
カウンタモードに設定されたチャネル(チャネル2)に設定される割込ベクタは、後述するコマンド受信割込処理の先頭アドレスに相当するものである。具体的は、Iレジスタに設定された値と割込ベクタとでコマンド受信割込処理の先頭アドレスが特定される。
この実施の形態では、払出制御用CPU371でも割込モード2が設定される。従って、内蔵CTCのカウントアップにもとづく割込処理を使用することができる。また、CTCが送出した割込ベクタに応じた割込処理開始アドレスを設定することができる。
CTCのチャネル2(CH2)のカウントアップにもとづく割込は、上述したタイマカウンタレジスタCLK/TRG2の値が「0」になったときに発生する割込である。従って、例えばステップS705において、特定レジスタとしてのタイマカウンタレジスタCLK/TRG2に初期値「1」が設定される。さらに、CLK/TRG2端子に入力される信号の立ち上がりまたは立ち下がりで特定レジスタとしてのタイマカウンタレジスタCLK/TRG2のカウント値が−1されるのであるが、所定の特定レジスタの設定によって、立ち上がり/立ち下がりの選択を行うことができる。この実施の形態では、CLK/TRG2端子に入力される信号の立ち上がりで、タイマカウンタレジスタCLK/TRG2のカウント値が−1されるような設定が行われる。
また、CTCのチャネル3(CH3)のカウントアップにもとづく割込は、CPUの内部クロック(システムクロック)をカウントダウンしてレジスタ値が「0」になったら発生する割込であり、後述する2msタイマ割込として用いられる。具体的には、CPU371の動作クロックを分周したクロックがCTCに与えられ、クロックの入力によってレジスタの値が減算され、レジスタの値が0になるとタイマ割込が発生する。例えば、CH3のレジスタ値はシステムクロックの1/256周期で減算される。分周したクロックにもとづいて減算が行われるので、レジスタの初期値は大きくならない。ステップS705において、CH3のレジスタには、初期値として2msに相当する値が設定される。
CTCのCH2のカウントアップにもとづく割込は、CH3のカウントアップにもとづく割込よりも優先順位が高い。従って、同時にカウントアップが生じた場合に、CH2のカウントアップにもとづく割込、すなわち、コマンド受信割込処理の実行契機となる割込の方が優先される。
次いで、払出制御用CPU371は、入力ポートB(図42参照)を介して入力されるクリアスイッチ921の出力信号の状態を1回だけ確認する(ステップS707)。その確認においてオンを検出した場合には、払出制御用CPU371は、通常の初期化処理を実行する(ステップS711〜ステップS713)。クリアスイッチ921がオンである場合(押下されている場合)には、ローレベルのクリアスイッチ信号が出力されている。なお、入力ポート372では、クリアスイッチ信号のオン状態はハイレベルである。このように、遊技店員が、クリアスイッチ921をオン状態にしながら遊技機に対する電力供給を開始することによって、容易に初期化処理を実行させることができ、バックアップRAMの内容をクリアすることができる。また、払出制御手段においては、ステップS707の判定を行わなくてもよい。
なお、払出制御用CPU371も、主基板31のCPU56と同様に、スイッチの検出信号のオン判定を行う場合には、例えば、オン状態が少なくとも2ms(2ms毎に起動される処理の1回目の処理における検出直前に検出信号がオンした場合)継続しないとスイッチオンとは見なさないが、クリアスイッチ921のオン検出の場合には、1回のオン判定でオン/オフが判定される。すなわち、初期化操作手段としてのクリアスイッチ921が所定の操作状態であるか否かを払出制御用CPU371が判定するための初期化要求検出判定期間は、遊技媒体検出手段としての賞球カウントスイッチ等が遊技媒体を検出したことを判定するための遊技媒体検出判定期間とは異なる期間とされている。
クリアスイッチ921がオンの状態でない場合には、払出制御用CPU371は、払出制御用のバックアップRAM領域にバックアップデータが存在しているか否かの確認を行う(ステップS708)。例えば、主基板31のCPU56の処理と同様に、遊技機への電力供給停止時にセットされるバックアップフラグがセット状態になっているか否かによって、バックアップデータが存在しているか否か確認する。バックアップフラグがセット状態になっている場合には、バックアップデータありと判断する。
バックアップありを確認したら、払出制御用CPU371は、バックアップRAM領域のデータチェック(この例ではパリティチェック)を行う。不測の停電等の電力供給の停止が生じた後に復旧した場合には、バックアップRAM領域のデータは保存されていたはずであるから、チェック結果は正常になる。チェック結果が正常でない場合には、内部状態を電力供給の停止時の状態に戻すことができないので、不測の停電等からの復旧時ではなく電源投入時に実行される初期化処理を実行する。
チェック結果が正常であれば(ステップS709)、払出制御用CPU371は、内部状態を電力供給停止時の状態に戻すための払出状態復旧処理を行う(ステップS710)。そして、バックアップRAM領域に保存されていたPC(プログラムカウンタ)の指すアドレスに復帰する。なお、払出状態復旧処理では、遊技状態復旧処理の場合と同様に(図19参照)、レジスタの復元処理等が実行される。
初期化処理では、払出制御用CPU371は、まず、RAMクリア処理を行う(ステップS711)。そして、2ms毎に定期的にタイマ割込がかかるように払出制御用CPU371に設けられているCTCのレジスタの設定が行われる(ステップS712)。すなわち、初期値として2msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。そして、初期設定処理のステップS701において割込禁止とされているので、初期化処理を終える前に割込が許可される(ステップS713)。
この実施の形態では、払出制御用CPU371の内蔵CTCが繰り返しタイマ割込を発生するように設定される。この実施の形態では、繰り返し周期は2msに設定される。そして、タイマ割込が発生すると、図44に示すように、タイマ割込があったことを示すタイマ割込フラグがセットされる(ステップS772)。そして、メイン処理において、タイマ割込フラグがセットされたことが検出されたら(ステップS714)、タイマ割込フラグがリセットされるとともに(ステップS751)、払出制御処理(ステップS752〜S760)が実行される。
なお、タイマ割込では、図44に示すように、最初に割込許可状態に設定される(ステップS771)。よって、タイマ割込処理中では割込許可状態になり、INT信号の入力にもとづく払出制御コマンド受信処理を優先して実行することができる。
払出制御処理において、払出制御用CPU371は、まず、入力ポート372bに入力される賞球カウントスイッチ301Aや球貸しカウントスイッチ301B等のスイッチがオンしたか否かを判定する(スイッチ処理:ステップS752)。
次に、払出制御用CPU371は、主基板31から払出停止状態指定コマンドを受信していたら払出停止状態に設定し、払出可能状態指定コマンドを受信していたら払出停止状態の解除を行う(払出停止状態設定処理:ステップS753)。また、受信した払出制御コマンドを解析し、解析結果に応じた処理を実行する(コマンド解析実行処理:ステップS754)。さらに、プリペイドカードユニット制御処理を行う(ステップS755)。
次いで、払出制御用CPU371は、球貸し要求に応じて貸し球を払い出す制御を行う(ステップS756)。このとき、払出制御用CPU371は、振分ソレノイド310によって球振分部材311を球貸し側に設定する。
さらに、払出制御用CPU371は、総合個数記憶に格納された個数の賞球を払い出す賞球制御処理を行う(ステップS757)。このとき、払出制御用CPU371は、振分ソレノイド310によって球振分部材311を賞球側に設定する。そして、出力ポート372cおよび中継基板72を介して球払出装置97の払出機構部分における払出モータ289に対して駆動信号を出力し、所定の回転数分払出モータ289を回転させる払出モータ制御処理を行う(ステップS758)。なお、この実施の形態では、払出モータ289としてステッピングモータが用いられる。
次いで、エラー検出処理が行われ、その結果に応じてエラー表示LED374に所定の表示を行う(エラー処理:ステップS759)。また、遊技機外部に出力される球貸し個数信号を出力する処理等を行う(出力処理:ステップS760)。
なお、図41に示す出力ポートCは、払出制御処理における払出モータ制御処理(ステップS758)でアクセスされる。また、出力ポートDは、払出制御処理におけるエラー処理(ステップS759)でアクセスされる。そして、出力ポートEは、払出制御処理における球貸し制御処理(ステップS756)および賞球制御処理(ステップS757)でアクセスされる。
図45は、この例では、バックアップRAM領域に、コマンド受信バッファ、バックアップあり/なしフラグ、払出停止/解除フラグ、エラーフラグ、課税情報設定スイッチ180の設定値等が設定されるワークエリアの他に、総合個数記憶(例えば2バイト)と貸し球個数記憶とがそれぞれ形成されている。総合個数記憶は、主基板31の側から指示された賞球払出個数の総数を記憶するものである。貸し球個数記憶は、未払出の球貸し個数を記憶するものである。よって、総合個数記憶の内容は、遊技機への電力供給が停止しても所定期間(バックアップ電源によるバックアップ可能期間)は保存されている。従って、所定期間内に電力供給が復旧すれば、総合個数記憶の内容は電力供給停止直前のままであり、払出状態復旧処理(ステップS710)によってレジスタの復元処理等がなされることによって、払出制御手段は、電力供給停止直前の総合個数記憶の内容にもとづいて払出制御を復旧させることができる。なお、この実施の形態では払出制御処理において用いられるデータが格納されるRAM領域は全て電源バックアップされているが、少なくとも、電力供給停止からの復旧時に電力供給停止時の制御状態を復元するためのデータが電源バックアップされ、その他のデータは電源バックアップされていないRAM領域に格納されるようにしてもよい。
そして、払出制御用CPU371は、例えば、賞球制御処理(ステップS757)において、遊技制御手段から賞球個数を示す払出制御コマンドを受信すると、指示された個数分だけ総合個数記憶に内容を増加する。また、球貸し制御処理(ステップS756)において、カードユニット50から球貸し要求の信号を受信する毎に1単位(例えば25個)の個数分だけ貸し球個数記憶に内容を増加する。さらに、払出制御用CPU371は、賞球制御処理において賞球カウントスイッチ301Aが1個の賞球払出を検出すると総合個数記憶の値を1減らし、球貸し制御処理において球貸しカウントスイッチ301Bが1個の貸し球払出を検出すると貸し球個数記憶の値を1減らす。
従って、未払出の賞球個数と貸し球個数とが、所定期間はその内容を保持可能なバックアップRAM領域に記憶されることになる。よって、停電等の不測の電力供給停止が生じても、所定期間内に電力供給が復旧すれば、バックアップRAM領域の記憶内容にもとづいて賞球処理および球貸し処理を再開することができる。すなわち、遊技機への電力供給が停止しても、電力供給が再開すれば、電力供給停止時の未払出の賞球個数と貸し球個数とにもとづいて払い出しが行われ、遊技者に与えられる不利益を低減することができる。
図46は、主基板31から受信した払出制御コマンドを格納するための受信バッファの一構成例を示す説明図である。この例では、2バイト構成の払出制御コマンドを6個格納可能なリングバッファ形式の受信バッファが用いられる。従って、受信バッファは、受信コマンドバッファ1〜12の12バイトの領域で構成される。そして、受信したコマンドをどの領域に格納するのかを示すコマンド受信個数カウンタが用いられる。コマンド受信個数カウンタは、0〜11の値をとる。
このように、払出制御基板37には、受信した払出制御コマンドを同時の複数個格納することが可能な格納エリアとしての受信バッファ領域が設けられ、受信バッファ領域における受信コマンドバッファに払出制御コマンドが格納されると、格納アドレス指示手段に相当するコマンド受信個数カウンタが更新される。また、受信バッファ領域における最後の受信コマンドバッファに払出制御コマンドが格納されると、コマンド受信個数カウンタの値が0に戻される。すなわち、格納アドレス指示手段が受信バッファ領域の先頭アドレスを指すように設定される。
なお、払出制御用CPU371は、データ指示手段としての読出アドレスにもとづいて受信バッファ領域内の払出制御コマンドを読み出す。そして、1個の払出制御コマンドを読み出すと読出アドレスを更新する。すなわち、次の受信コマンドバッファを指すように更新される。例えば、後述する払出停止状態設定処理やコマンド解析実行処理において、受信バッファ領域に払出制御コマンドが格納されていることが検出されると、読み出された払出制御コマンドで指示される制御処理を開始する。従って、払出制御手段は、受信した順番に従って読出アドレスで指示される特定の受信コマンドバッファから払出制御コマンドを読み出し、読み出した払出制御コマンドに応じた制御処理を開始する。
また、この実施の形態では、主基板31から受信された払出制御コマンドがそのまま受信バッファ領域に格納されるが、受信した払出制御コマンドの一部のデータのみを受信バッファ領域に格納するようにしてもよい。例えば、賞球個数を示す払出制御コマンドについて個数を示すデータのみを受信バッファ領域に格納するようにしてもよい。
図47は、割込処理による払出制御コマンド受信処理を示すフローチャートである。主基板31からの払出制御用のINT信号は払出制御用CPU371のCLK/TRG2端子に入力されている。よって、主基板31からのINT信号が立ち上がると、払出制御用CPU371に割込がかかり、図47に示す払出制御コマンドの受信処理が開始される。なお、払出制御用CPU371は、割込が発生すると、ソフトウェアで割込許可にしない限り、マスク可能割込がさらに生ずることはないような構造のCPUである。
なお、この実施の形態では、CLK/TRG2端子の入力が立ち上がるとタイマカウンタレジスタCLK/TRG2の値が−1されるような初期設定を行ったが、すなわち、INT信号の立ち上がりで割込が発生するような初期設定を行ったが、CLK/TRG2端子の入力が立ち下がるとタイマカウンタレジスタCLK/TRG2の値が−1されるような初期設定を行ってもよい。換言すれば、INT信号の立ち下がりで割込が発生するような初期設定を行ってもよい。
すなわち、取込信号としてのパルス状(矩形波状)のINT信号のレベル変化タイミング(エッジ)で割込が発生するように構成すれば、エッジは立ち上がりエッジであっても立ち下がりエッジであってもよい。いずれにせよ、取込信号としてのパルス状(矩形波状)のINT信号のレベル変化タイミング(エッジ)で割込が発生するように構成される。このようにすることで、コマンドの取込が指示された段階でいち早くコマンド受信を行うことが可能になる。また、Aの期間(図25参照)が経過するまでINT信号の出力が待機されるので、INT信号の出力時に、制御信号CD0〜CD7のライン上のコマンドデータの出力状態は安定している。よって、払出制御手段において、払出制御コマンドは良好に受信される。
払出制御コマンドの受信処理において、払出制御用CPU371は、まず、各レジスタをスタックに退避する(ステップS850)。次いで、払出制御コマンドデータの入力に割り当てられている入力ポート372a(図6参照)からデータを読み込む(ステップS851)。そして、2バイト構成の払出制御コマンドのうちの1バイト目であるか否か確認する(ステップS852)。1バイト目であるか否かは、受信したコマンドの先頭ビットが「1」であるか否かによって確認される。先頭ビットが「1」であるのは、2バイト構成である払出制御コマンドのうちのMODEバイト(1バイト目)のはずである(図24参照)。そこで、払出制御用CPU371は、先頭ビットが「1」であれば、有効な1バイト目を受信したとして、受信したコマンドを受信バッファ領域におけるコマンド受信個数カウンタが示す受信コマンドバッファに格納する(ステップS853)。
払出制御コマンドのうちの1バイト目でなければ、1バイト目を既に受信したか否か確認する(ステップS854)。既に受信したか否かは、受信バッファ(受信コマンドバッファ)に有効なデータが設定されているか否かによって確認される。
1バイト目を既に受信している場合には、受信した1バイトのうちの先頭ビットが「0」であるか否か確認する。そして、先頭ビットが「0」であれば、有効な2バイト目を受信したとして、受信したコマンドを、受信バッファ領域におけるコマンド受信個数カウンタ+1が示す受信コマンドバッファに格納する(ステップS855)。先頭ビットが「0」であるのは、2バイト構成である払出制御コマンドのうちのEXTバイト(2バイト目)のはずである(図24参照)。なお、ステップS854における確認結果が1バイト目を既に受信したである場合には、2バイト目として受信したデータのうちの先頭ビットが「0」でなければ処理を終了する。なお、ステップS854で「N」と判断された場合には、ステップS856の処理が行われないので、次に受信したコマンドは、今回受信したコマンドが格納されるはずであったバッファ領域に格納される。
ステップS855において、2バイト目のコマンドデータを格納すると、コマンド受信個数カウンタに2を加算する(ステップS856)。そして、コマンド受信カウンタが12以上であるか否か確認し(ステップS857)、12以上であればコマンド受信個数カウンタをクリアする(ステップS858)。その後、退避されていたレジスタを復帰し(ステップS859)、最後に割込許可に設定する(ステップS859)。
コマンド受信割込処理中は割込禁止状態になっている。上述したように、2msタイマ割込処理中は割込許可状態になっているので、2msタイマ割込中にコマンド受信割込が発生した場合には、コマンド受信割込処理が優先して実行される。また、コマンド受信割込処理中に2msタイマ割込が発生しても、その割込処理は待たされる。このように、この実施の形態では、主基板31からのコマンド受信処理の処理優先度が高くなっている。また、コマンド受信処理中には他の割込処理が実行されないので、コマンド受信処理に要する最長時間は決まる。コマンド受信処理中に他の割込処理が実行可能であるように構成したのでは、コマンド受信処理に要する最長の時間を見積もることは困難である。コマンド受信処理に要する最長時間が決まるので、遊技制御手段のコマンド送信処理におけるCの期間(図25参照)をどの程度にすればよいのかを正確に判断することができる。
また、払出制御コマンドは2バイト構成であって、1バイト目(MODE)と2バイト目(EXT)とは、受信側で直ちに区別可能に構成されている。すなわち、先頭ビットによって、MODEとしてのデータを受信したのかEXTとしてのデータを受信したのかを、受信側において直ちに検出できる。よって、上述したように、適正なデータを受信したのか否かを容易に判定することができる。
なお、この実施の形態では、コマンド受信割込処理では、受信したコマンドを受信バッファに格納する制御が行われるが、後述する払出停止状態設定処理(図49参照)やコマンド解析実行処理(図50参照)を、コマンド受信割込処理において実行するように構成してもよい。そのように、受信バッファ内のコマンドについて判定するコマンド判定処理までもコマンド受信割込処理において実行する場合には、コマンドの判定も迅速に実行される。
図48は、ステップS752のスイッチ処理の一例を示すフローチャートである。スイッチ処理において、払出制御用CPU371は、賞球カウントスイッチ301Aがオン状態を示しているか否か確認する(ステップS752a)。オン状態を示していれば、払出制御用CPU371は、賞球カウントスイッチオンカウンタを+1する(ステップS752b)。賞球カウントスイッチオンカウンタは、賞球カウントスイッチ301Aのオン状態を検出した回数を計数するためのカウンタである。
そして、賞球カウントスイッチオンカウンタの値をチェックし、その値が250になっていれば(ステップS752c)、賞球球詰まりフラグをセットする(ステップS752d)。つまり、賞球カウントスイッチ301Aのオン状態が長期間継続した場合に賞球球詰まりフラグがセットされる。
また、賞球カウントスイッチオンカウンタの値が2になったときには(ステップS752e)、確実に賞球カウントスイッチ301Aがオンした判断し、賞球カウントスイッチオンフラグをセットする(ステップS752f)。
ステップS752aにおいて賞球カウントスイッチ301Aがオン状態でないことが確認されると、払出制御用CPU371は、賞球カウントスイッチオンフラグをリセットするとともに(ステップS752h)、賞球カウントスイッチオンカウンタをクリアする(ステップS752i)。そして、球貸しカウントスイッチ301Bがオン状態を示しているか否か確認する(ステップS752j)。オン状態を示していれば、払出制御用CPU371は、球貸しカウントスイッチオンカウンタを+1する(ステップS752k)。球貸しカウントスイッチオンカウンタは、球貸しカウントスイッチ301Bのオン状態を検出した回数を計数するためのカウンタである。
そして、球貸しカウントスイッチオンカウンタの値をチェックし、その値が250になっていれば(ステップS752l)、貸し球詰まりフラグをセットする(ステップS752m)。つまり、球貸しカウントスイッチ301Bのオン状態が長期間継続した場合に貸し球球詰まりフラグがセットされる。
また、球貸しカウントスイッチオンカウンタの値が2になったときには(ステップS752n)、確実に球貸しカウントスイッチ301Bがオンした判断し、球貸しカウントスイッチオンフラグをセットする(ステップS752o)。
ステップS752jにおいて球貸しカウントスイッチ301Bがオン状態でないことが確認されると、払出制御用CPU371は、球貸しカウントスイッチオンフラグをリセットするとともに(ステップS752p)球貸しカウントスイッチオンカウンタをクリアする(ステップS752q)。
図49は、ステップS753の払出停止状態設定処理の一例を示すフローチャートである。払出停止状態設定処理において、払出制御用CPU371は、受信バッファ中に受信コマンドがあるか否かの確認を行う(ステップS753a)。受信バッファ中に受信コマンドがあれば、受信した払出制御コマンドが払出停止状態指定コマンドであるか否かの確認を行う(ステップS753b)。払出停止状態指定コマンドであれば、払出制御用CPU371は、払出停止状態に設定する(ステップS753c)。
ステップS753bで受信コマンドが払出停止状態指定コマンドでないことを確認すると、受信した払出制御コマンドが払出可能状態指定コマンドであるか否かの確認を行う(ステップS753d)。払出可能状態指定コマンドであれば、払出停止状態を解除する(ステップS753e)。
なお、払出停止状態に設定するときには、例えば払出モータ289の駆動が停止されるとともに払出停止中であることを示す内部フラグ(払出停止中フラグ)がセットされる。また、払出停止状態を解除するときには、払出モータ289の駆動が再開されるとともに、払出停止中フラグがリセットされる。
払出停止状態に設定された場合に、直ちに払出モータ289を停止してもよいが、そのように制御するのではなく、切りのよいところで払出モータ289を停止するようにしてもよい。例えば、遊技球の払出を25個単位で実行し、一単位の払出が完了した時点で払出モータ289を停止するとともに、内部状態を払出停止状態に設定するようにしてもよい。上述したように、球切れスイッチ187は、払出球通路に27〜28個程度の遊技球が存在することを検出できるような位置に設置されているので、主基板31の遊技制御手段が球切れを検出しても、その時点から少なくとも25個の払出は可能である。従って、一単位の払出が完了した時点で払出停止状態にしても問題は生じない。また、一単位の区切りで払出停止状態とすれば、払出再開時の制御が容易になる。
図50は、ステップS754のコマンド解析実行処理の一例を示すフローチャートである。コマンド解析実行処理において、払出制御用CPU371は、受信バッファに受信コマンドがあるか否かの確認を行う(ステップS754a)。受信コマンドがあれば、受信した払出制御コマンドが賞球個数を指定するための払出制御コマンドであるか否かの確認を行う(ステップS754b)。なお、払出制御用CPU371は、コマンド指示手段としての読出ポインタが指す受信バッファ中のアドレスに格納されている受信コマンドについてステップS754bの判断を行う。また、その判断後、読出ポインタの値は+1される。読出ポインタが指すアドレスが受信コマンドバッファ12(図46参照)のアドレスを越えた場合には、読出ポインタの値は、受信コマンドバッファ1を指すように更新される。
受信した払出制御コマンドが賞球個数を指定するための払出制御コマンドであれば、払出制御コマンドで指示された個数を総合個数記憶に加算する(ステップS754c)。すなわち、払出制御用CPU371は、主基板31のCPU56から送られた払出制御コマンドに含まれる賞球個数をバックアップRAM領域(総合個数記憶)に記憶する。
なお、払出制御用CPU371は、必要ならば、コマンド受信個数カウンタの減算や受信バッファにおける受信コマンドシフト処理を行う。また、払出停止状態設定処理およびコマンド解析実行処理が、読出ポインタの値と受信バッファにおける最新コマンド格納位置とが一致するまで繰り返すように構成されていてもよい。例えば、読出ポインタの値と受信バッファにおける最新コマンド格納位置との差が「3」であれば未処理の受信済みコマンドが3つあることになるが、一致するまで繰り返し処理が実行されることによって、未処理の受信済みコマンドがなくなる。すなわち、受信バッファに格納されている受信済みコマンドが、一度の処理で、全て読み出されて処理される。
図51は、ステップS755のプリペイドカードユニット制御処理の一例を示すフローチャートである。プリペイドカードユニット制御処理において、払出制御用CPU371は、カードユニット制御用マイクロコンピュータより入力されるVL信号を検知したか否かを確認する(ステップS755a)。VL信号を検知していなければ、VL信号非検知カウンタを+1する(ステップS755b)。また、払出制御用CPU371は、VL信号非検知カウンタの値が本例では125であるか否か確認する(ステップS755c)。VL信号非検知カウンタの値が125であれば、払出制御用CPU371は、発射制御基板91への発射制御信号出力を停止して、駆動モータ94を停止させる(ステップS755d)。
以上の処理によって、125回(2ms×125=250ms)継続してVL信号のオフが検出されたら、球発射禁止状態に設定される。
ステップS755aにおいてVL信号を検知していれば、払出制御用CPU371は、VL信号非検知カウンタをクリアする(ステップS755e)。そして、払出制御用CPU371は、発射制御信号出力を停止していれば(ステップS755f)、発射制御基板91への発射制御信号出力を開始して駆動モータ94を動作可能状態にする(ステップS755g)。
図52および図53は、ステップS756の球貸し制御処理の一例を示すフローチャートである。なお、この実施の形態では、連続的な払出数の最大値を貸し球の一単位(例えば25個)とするが、連続的な払出数の最大値は他の数であってもよい。
球貸し制御処理において、払出制御用CPU371は、球貸し停止中であるか否かを確認する(ステップS510)。停止中であれば、処理を終了する。なお、球貸し停止中であるか否かは、図49に示された払出停止状態設定処理において設定される払出停止中フラグがオンしているか否かによって確認される。
球貸し停止中でなければ、払出制御用CPU371は、貸し球払出中であるか否かの確認を行い(ステップS511)、貸し球払出中であれば図53に示す球貸し中の処理に移行する。なお、貸し球払出中であるか否かは、後述する球貸し処理中フラグの状態によって判断される。貸し球払出中でなければ、賞球の払出中であるか否か確認する(ステップS512)。賞球の払出中であるか否は、後述する賞球処理中フラグの状態によって判断される。
貸し球払出中でも賞球払出中でもなければ、払出制御用CPU371は、カードユニット50から球貸し要求があったか否かを確認する(ステップS513)。要求があれば、球貸し処理中フラグをオンするとともに(ステップS514)、25(球貸し一単位数:ここでは100円分)をバックアップRAM領域の貸し球個数記憶に設定する(ステップS515)。そして、払出制御用CPU371は、EXS信号をオンする(ステップS516)。また、球払出装置97の下方の球振分部材311を球貸し側に設定するために振分用ソレノイド310を駆動する(ステップS517)。さらに、払出制御用CPU371は、25個の遊技球を払い出すためのモータ回転時間を設定するか、または、モータ回転時間に応じた数の出力パルス数を決定する。そして、払出モータ289をオンして(ステップS518)、図53に示す球貸し中の処理に移行する。
なお、払出モータ289をオンするのは、厳密には、カードユニット50が受付を認識したことを示すためにBRQ信号をオフ状態にしてからである。また、球貸し処理中フラグはバックアップRAM領域に設定される。
図53は、払出制御用CPU371による払出制御処理における球貸し中の処理を示すフローチャートである。払出制御用CPU371は、貸し球通過待ち時間中であるか否かの確認を行う(ステップS519)。貸し球通過待ち時間中でなければ、モータ位置センサのチェックを行い(ステップS520)、また、後述する球貸しカウントスイッチチェック処理を行う(ステップS521)。
なお、ステップS520のモータ位置センサのチェック処理では、払出モータ位置センサのオンとオフとがタイマ監視されるが、所定時間以上のオン状態またはオフ状態が継続したら、払出制御用CPU371は、モータ球噛みエラーが生じたと判断する。
次いで、払出モータ289の駆動を終了すべきか(一単位の払出動作が終了したか)否かの確認を行う(ステップS522)。具体的には、所定個数の払出に対応した回転時間が経過したか否かを確認する。所定個数の払出に対応した回転時間が経過した場合には、払出制御用CPU371は、払出モータ289の駆動を停止し(ステップS523)、貸し球通過待ち時間の設定を行う(ステップS524)。
ステップS519で貸し球通過待ち時間中であれば、払出制御用CPU371は、後述する球貸しカウントスイッチチェック処理を行うとともに(ステップS525)、貸し球通過待ち時間が終了したか否かの確認を行う(ステップS526)。貸し球通過待ち時間は、最後の払出球が払出モータ289によって払い出されてから球貸しカウントスイッチ301Bを通過するまでの時間である。
貸し球通過待ち時間の終了を確認すると、一単位の貸し球は全て払い出された状態であるので、カードユニット50に対して次の球貸し要求の受付が可能になったことを示すためにEXS信号をオフにする(ステップS527)。また、振分ソレノイドをオフするとともに(ステップS528)、球貸し処理中フラグをオフする(ステップS529)。なお、貸し球通過待ち時間が経過するまでに最後の払出球が球貸しカウントスイッチ301Bを通過しなかった場合には、球貸し経路エラーとされる。また、この実施の形態では、賞球も球貸しも同じ払出装置で行われる。また、この実施の形態では、賞球も球貸しも同じ払出装置で行われる。
払出制御手段は、貸し球個数記憶の他に、一単位の貸し球の払出数をカウントするカウンタも制御することが好ましい。その場合、貸し球カウントスイッチ301Bがオンする度にそのカウンタを+1するとともに、貸し球通過待ち時間の終了時にカウンタのカウント値を確認する。そして、カウント値が一単位の貸し球数よりも少ない場合には、補正払出処理を実行するようにしてもよい。具体的には、ステップS518に戻り、再度、払出モータ289をオン状態にする。そのとき、払出モータ289の回転時間として、不足分を払い出すことができるだけの時間を設定する。また、カウント値が一単位の貸し球数よりも多い場合には、例えば貸し球カウントスイッチ301Bに異常が生じていると判断してエラー報知を行うようにしてもよい。
なお、球貸し要求の受付を示すEXS信号をオフにした後、所定期間内に再び球貸し要求信号であるBRQ信号がオンしたら、振分ソレノイドおよび払出モータをオフせずに球貸し処理を続行するようにしてもよい。すなわち、所定単位(この例では100円単位)毎に球貸し処理を行うのではなく、球貸し処理を連続して実行するように構成することもできる。
貸し球個数記憶の内容は、遊技機への電力供給が停止しても、所定期間電源基板910のバックアップ電源によって保存される。従って、所定期間中に電力供給が復旧すると、払出制御用CPU371は、貸し球個数記憶の内容にもとづいて球貸し処理を継続することができる。
図54は、ステップS521およびS525で実行される球貸しカウントスイッチチェック処理を示すフローチャートである。球貸しカウントスイッチチェック処理は、球貸しカウントスイッチ301Bの状態を監視して、貸し球個数記憶を減算する処理である。
球貸しカウントスイッチチェック処理において、払出制御用CPU371は、まず、球貸しカウントスイッチON待ちフラグがセットされているか否か確認する(ステップS811)。球貸しカウントスイッチON待ちフラグがセットされていれば、球貸しカウントスイッチオンフラグがオン状態になるのを待つ(ステップS812)。なお、球貸しカウントスイッチオンフラグは、図48に示されたスイッチ処理におけるステップS752oでセットされる。球貸しカウントスイッチオンフラグがオン状態になる前にタイマT11がタイムアウトすると球貸し経路エラーフラグをセットする(ステップS817,S818)。球貸しカウントスイッチ301Bがオンすると、タイマT11を停止して(ステップS813)、球貸しカウントスイッチON待ちフラグをリセットする(ステップS814)。なお、タイマT11は、球貸しカウントスイッチ301Bが所定期間内にオンするか否かを確認するためのタイマである。
球貸しカウントスイッチ301Bがオンした場合には、球貸しカウントスイッチ301Bがオフすることを確認するために、オフを待つ状態であることを示す球貸しカウントスイッチOFF待ちフラグをセットする(ステップS815)。
従って、払出制御用CPU371は、球貸しカウントスイッチOFF待ちフラグがオンしていれば(ステップS821)、球貸しカウントスイッチオンフラグがオフするのを待つ(ステップS824)。球貸しカウントスイッチオンフラグがオフすると、球貸しカウントスイッチOFF待ちフラグをリセットする(ステップS825)。そして、1個の遊技球が払い出されたことが検出されたとして、一時計数カウンタを+1する(ステップS826)。また、球貸し個数信号を出力するための球貸し情報出力処理サブルーチンを起動する(ステップS827)。次いで、貸し球個数記憶を−1する(ステップS828)。
ステップS821で、球貸しカウントスイッチOFF待ちフラグもオンしていないことを確認したら、タイマT11をスタートするとともに(ステップS822)、球貸しカウントスイッチON待ちフラグをセットする(ステップS823)。
図55は、1個の遊技球の払出(貸出)が完了したときに起動される球貸し情報出力処理サブルーチン(ステップS827)の動作を示すフローチャートである。球貸し情報出力処理サブルーチンにおいて、払出制御用CPU371は、まず、Tfタイマが動作中か否か(球貸し個数信号がオン中か否か)確認する(ステップS781)。動作中であれば、タイムアウトしたか否か確認する(ステップS782)。タイムアウトしたら、球貸し個数信号をオフ状態(=0)にする(ステップS783)。
Tfタイマが動作中でなければ、一時カウンタの値がN(この例では25)の倍数になっているか否か確認する(ステップS784)。一時カウンタの値は、1個の遊技球の払出が完了したときに+1される。また、Nは100円で貸し出される遊技球数である。一時カウンタの値がNの倍数になっている場合には、球貸し個数信号をオン状態(=1)にするとともに(ステップS785)、Tfタイマを起動する(ステップS786)。
以上のような処理によって、100円分の球貸しが行われるときに、Tfタイマで作成される時間(例えば、0.1秒)だけ球貸し個数信号がオンする。払出制御用CPU371からの球貸し個数信号は、主基板31からの賞球情報信号と同様に、ターミナル基板160に伝達される。そして、ターミナル基板160の球貸し用端子から遊技機外部に出力される。
図56および図57は、ステップS758の賞球制御処理の一例を示すフローチャートである。なお、この例では、連続的な払出数の最大値を貸し球の一単位と同数(例えば25個)とするが、連続的な払出数の最大値は他の数であってもよい。
賞球制御処理において、払出制御用CPU371は、まず、賞球停止中であるか否かを確認する(ステップS530)。停止中であれば、処理を終了する。なお、球貸し停止中であるか否かは、図49に示された払出停止状態設定処理において設定される払出停止中フラグがオンしているか否かによって確認される。
賞球停止中でなければ、払出制御用CPU371は、貸し球払出中であるか否かの確認を行い(ステップS531)、貸し球払出中であれば処理を終了する。なお、貸し球払出中であるか否かは、球貸し処理中フラグの状態によって判断される。貸し球払出中でなければ、既に賞球払出処理が開始されているか否か、すなわち賞球中であるか否か確認する(ステップS532)。賞球中であれば図57に示す賞球中の処理に移行する。なお、賞球中であるか否かは、後述する賞球処理中フラグの状態によって判断される。
賞球払出中でなければ、払出制御用CPU371は、総合個数記憶に格納されている賞球数(未払出の賞球数)が0でないか否か確認する(ステップS534)。総合個数記憶に格納されている賞球数が0でなければ、賞球制御用CPU371は、賞球処理中フラグをオンし(ステップS535)、総合個数記憶の値が25以上であるか否か確認する(ステップS536)。なお、賞球処理中フラグは、バックアップRAM領域に設定される。
総合個数記憶に格納されている賞球個数が25以上であると、払出制御用CPU371は、25個分の遊技球を払い出すまで払出モータ289を回転させるように払出モータ289に対して駆動信号を出力するために、25個払出動作の設定を行う(ステップS537)。具体的には、25個の遊技球を払い出すためのモータ回転時間を設定したり、モータ回転時間に応じた数の出力パルス数を決定する。
総合個数記憶に格納されている賞球個数が25以上でなければ、払出制御用CPU371は、総合個数記憶に格納されている数に応じた遊技球を払い出すまで払出モータ289を回転させるように駆動信号を出力するために、全個数払出動作の設定を行う(ステップS538)。具体的には、遊技球を払い出すためのモータ回転時間を設定したり、モータ回転時間に応じた数の出力パルス数を決定する。次いで、払出モータ289をオンする(ステップS539)。なお、振分ソレノイドはオフ状態であるから、球払出装置97の下方の球振分部材は賞球側に設定されている。そして、図57に示す賞球制御処理における賞球払出中の処理に移行する。
図57は、払出制御用CPU371による払出制御処理における賞球中の処理の一例を示すフローチャートである。賞球中の処理において、払出制御用CPU371は、賞球通過待ち時間中であるか否かの確認を行う(ステップS541)。賞球通過待ち時間中でなければ、モータ位置センサのチェックを行い(ステップS542)、また、後述する賞球カウントスイッチチェック処理を行う(ステップS543)。
なお、ステップS542のモータ位置センサのチェック処理では、モータ位置センサのオンとオフとがタイマ監視されるが、所定時間以上のオン状態またはオフ状態が継続したら、払出制御用CPU371は、モータ球噛みエラーが生じたと判断する。
そして、払出制御用CPU371は、払出モータ289の駆動を終了すべきか(25個または25個未満の所定の個数の払出動作が終了したか)否かの確認を行う(ステップS544)。具体的には、所定個数の払出に対応した回転時間が経過したか否かを確認する。所定個数の払出に対応した回転時間が経過した場合には、払出制御用CPU371は、払出モータ289の駆動を停止し(ステップS545)、賞球通過待ち時間の設定を行う(ステップS546)。賞球通過待ち時間は、最後の払出球が払出モータ289によって払い出されてから賞球カウントスイッチ301Aを通過するまでの時間である。
ステップS541において、賞球通過待ち時間中であれば、払出制御用CPU371は、後述する賞球カウントスイッチチェック処理を行い(ステップS547)、賞球通過待ち時間が終了したか否かの確認を行う(ステップS548)。賞球通過待ち時間が終了した時点は、ステップS537またはステップS538で設定された賞球が全て払い出された状態である。そこで、払出制御用CPU371は、賞球処理中フラグをオフする(ステップS549)。なお、賞球通過待ち時間が経過するまでに最後の払出球が賞球カウントスイッチ301Aを通過しなかった場合には、賞球経路エラーとされる。
なお、この実施の形態では、ステップS531の判断によって球貸しが賞球処理よりも優先されることになるが、賞球処理が球貸しに優先するようにしてもよい。
払出制御手段は、総合個数記憶の他に、ステップS537またはS538で設定した払出数をカウントするカウンタも制御することが好ましい。その場合、賞球カウントスイッチ301Aがオンする度にそのカウンタを+1するとともに、賞球通過待ち時間の終了時にカウンタのカウント値を確認する。そして、カウント値がステップS537またはS538で設定した払出数よりも少ない場合には、補正払出処理を実行するようにしてもよい。具体的には、ステップS539に戻り、再度、払出モータ289をオン状態にする。そのとき、払出モータ289の回転時間として、不足分を払い出すことができるだけの時間を設定する。また、カウント値がステップS537またはS538で設定した払出数よりも多い場合には、例えば賞球カウントスイッチ301Aに異常が生じていると判断してエラー報知を行うようにしてもよい。
図58は、ステップS543およびS547で実行される賞球カウントスイッチチェック処理を示すフローチャートである。賞球カウントスイッチチェック処理は、賞球カウントスイッチ301Aの状態を監視して、総合個数記憶を減算する処理である。
賞球カウントスイッチチェック処理において、払出制御用CPU371は、まず、賞球カウントスイッチON待ちフラグがセットされているか否か確認する(ステップS831)。賞球カウントスイッチON待ちフラグがセットされていれば、賞球カウントスイッチオンフラグがオン状態になるのを待つ(ステップS832)。なお、賞球カウントスイッチオンフラグは、図48に示されたスイッチ処理におけるステップS752fでセットされる。賞球カウントスイッチオンフラグがオン状態になる前にタイマT12がタイムアウトすると賞球経路エラーフラグをセットする(ステップS837,S838)。賞球カウントスイッチ301Aがオンすると、タイマT12を停止して(ステップS833)、賞球カウントスイッチON待ちフラグをリセットする(ステップS834)。タイマT12は、賞球カウントスイッチ301Aが所定期間内にオンするか否かを確認するためのタイマである。
賞球カウントスイッチ301Aがオンした場合には、賞球カウントスイッチ301Aがオフすることを確認するために、オフを待つ状態であることを示す賞球カウントスイッチOFF待ちフラグをセットする(ステップS835)。
従って、払出制御用CPU371は、賞球カウントスイッチOFF待ちフラグがオンしていれば(ステップS841)、賞球カウントスイッチオンフラグがオフするのを待つ(ステップS844)。賞球カウントスイッチオンフラグがオフすると、賞球カウントスイッチOFF待ちフラグをリセットする(ステップS845)。そして、総合個数記憶を−1する(ステップS848)。
ステップS841で、賞球カウントスイッチOFF待ちフラグもオンしていないことを確認したら、タイマT12をスタートするとともに(ステップS842)、賞球カウントスイッチON待ちフラグをセットする(ステップS843)。
総合個数記憶および貸し球個数記憶の内容は、それぞれ、遊技機の電源が断しても、所定期間電源基板910のバックアップ電源によって保存される。従って、所定期間中に電源が回復すると、払出制御用CPU371は、総合個数記憶および貸し球個数記憶の内容にもとづいて払出処理を継続することができる。
以上のように、この実施の形態では、払出制御手段は、払い出されるべき遊技媒体数のうち未だ払い出されていない未払出遊技媒体数を特定可能な未払出データ(この実施の形態では総合個数記憶)を記憶し、遊技制御手段から賞球数を示す払出制御コマンドにもとづいて、未払出データを更新する処理(この実施の形態では、ステップS754cの払い出されるべき遊技媒体数を未払出データに加算する処理)と、払出検出手段からの検出信号にもとづいて未払出データを更新する処理(この実施の形態では、ステップS848の未払出データを減算する処理)とを行う。
なお、払出制御用CPU371は、主基板31から指示された賞球個数を賞球個数記憶で総数として管理したが、賞球数毎(例えば15個、10個、6個)に管理してもよい。例えば、賞球数毎に対応した個数カウンタを設け、払出個数指定コマンドを受信すると、そのコマンドで指定された個数に対応する個数カウンタを+1する。そして、個数カウンタに対応した賞球払出が行われると、その個数カウンタを−1する(この場合、払出制御処理にて減算処理を行うようにする)。その場合にも、各個数カウンタはバックアップRAM領域に形成される。よって、遊技機の電源が断しても、所定期間中に電源が回復すれば、払出制御用CPU371は、各個数カウンタの内容にもとづいて賞球払出処理を継続することができる。
次に、エラー処理について説明する。図59は、エラーの種類とエラー表示用LED374(図6参照)の表示との関係を示す説明図である。また、図60および図61は、ステップS760のエラー処理の一例を示すフローチャートである。
この例では、エラー処理において、払出制御用CPU371は、賞球経路エラーフラグがオンした場合に(ステップS601)、エラー表示用LED374に「0」を表示する(ステップS602)。また、賞球経路エラーフラグがオフした場合にエラー表示用LED374の表示「0」を消去する(ステップS603)。なお、賞球経路エラーフラグは、図58に示されたステップS838でセットされる。すなわち、球払出装置97が遊技球の払出動作を実行したにもかかわらず、所定期間内に賞球カウントスイッチ301Aがオンしなかったときにセットされる。
球貸し経路エラーフラグがオンした場合には(ステップS604)、エラー表示用LED374に「1」を表示する(ステップS605)。また、球貸し経路エラーフラグがオフした場合にエラー表示用LED374の表示「1」を消去する(ステップS606)。なお、球貸し経路エラーフラグは、図54に示されたステップS818でセットされる。すなわち、球払出装置97が遊技球の払出動作を実行したにもかかわらず、所定期間内に球貸しカウントスイッチ301Bがオンしなかったときにセットされる。
賞球詰まりフラグがオンした場合には(ステップS607)、エラー表示用LED374に「2」を表示する(ステップS608)。また、賞球詰まりフラグがオフした場合にエラー表示用LED374の表示「2」を消去する(ステップS609)。なお、賞球詰まりフラグは、図48に示されたステップS752dでセットされる。すなわち、賞球カウントスイッチ301Aがオフしなかったときにセットされる。なお、賞球カウントスイッチ301Aがオフしなかった場合には、賞球カウントスイッチ301Aの断線の場合と、賞球カウントスイッチ301Aの部分において球詰まりが発生した場合とがある。
貸し球詰まりフラグがオンした場合には(ステップS610)、エラー表示用LED374に「3」を表示する(ステップS611)。また、貸し球詰まりフラグがオフした場合にエラー表示用LED374の表示「3」を消去する(ステップS612)。なお、貸し球詰まりフラグは、図48に示されたステップS752mでセットされる。すなわち、球貸しカウントスイッチ301Bがオフしなかったときにセットされる。なお、球貸しカウントスイッチ301Bの検出信号がオフ状態にならなかった場合には、球貸しカウントスイッチ301Bの断線の場合と、球貸しカウントスイッチ301Bの部分において球詰まりが発生した場合とがある。
モータセンサ出力異常が検出された場合には(ステップS613)、エラー表示用LED374に「4」を表示する(ステップS614)。また、モータセンサ出力異常が解除された場合にエラー表示用LED374の表示「4」を消去する(ステップS615)。なお、モータセンサ出力異常は、図53に示されたステップS520や図57に示されたステップS542で、モータ位置センサのオンが所定期間以上継続したり、オフが所定期間以上継続した場合に検出される。
VLオフ検出フラグがセットされた場合には(ステップS621)、エラー表示用LED374に「5」を表示する(ステップS622)。また、VLオフ検出フラグがッリセットされた場合にエラー表示用LED374の表示「5」を消去する(ステップS623)。なお、VLオフ検出フラグは、図51に示されたステップS755eでセットされる。
なお、正規でないタイミングでカードユニット50との通信が実行されたときには(ステップS624)、プリペイドカードユニット通信エラーが発生したとして、エラー表示用LED374に「6」を表示する(ステップS625)。また、そのようなエラーが解消されたときに、エラー表示用LED374の表示「6」を消去する(ステップS626)。
また、払出停止状態になったときには(ステップS627)、エラー表示用LED374に「7」を表示する(ステップS628)。払出停止状態が解除されたときには、エラー表示用LED374の表示「7」を消去する(ステップS629)。なお、払出停止状態は、図49におけるステップS753cで払出停止状態に設定された状態である。すなわち、遊技制御手段から払出停止状態指定コマンドによって払出禁止を通知された後の状態である。
以上に説明したように、上記の実施の形態では、遊技球の払い出しを行う球払出装置97は払出制御手段によって制御され、未払出賞球数表示器100は遊技制御手段によって制御される。よって、球払出装置97を制御する払出制御手段の負担が重くなってしまうことが防止される。
上記の実施の形態では、例えば賞球数15個に対応した入賞が発生すると、遊技制御手段が実行する遊技制御処理における賞球処理(ステップS32)おいて、総賞球数格納バッファの格納値が15になり(元の値が0であった場合)、ステップS33のDG処理において総賞球数格納バッファの格納値を未払出賞球数表示器100に表示する制御が行われるので、図62に例示するように、未払出賞球数表示器100に「15」が表示される。そして、賞球個数減算処理(ステップS255)において1個の賞球としての遊技球の払い出しが検出されると、総賞球数格納バッファの格納値が14になり、ステップS33のDG処理において総賞球数格納バッファの格納値を未払出賞球数表示器100に表示する制御が行われるので、図62に例示するように、未払出賞球数表示器100に「14」が表示される。また、15個全ての払い出しが検出されると、未払出賞球数表示器100が無表示(または「000」表示)になるように制御される。
しかし、表示の方式はそのようなものに限られない。例えば、図63に例示するように、未払出賞球数表示器100として、実際に払い出された遊技球の数を表示する払出数表示の部分(図63における左側)と、払い出されるべき賞球数(払出予定数)を表示する払出数予定数表示の部分(図63における右側)とを含む表示器を用いてもよい。その場合、例えば賞球数15個に対応した入賞が発生すると、払出数表示の部分に「0」が表示されるとともに、払出予定数表示の部分に「15」が表示される。そして、1個の賞球としての遊技球が検出される度に、払出数表示の部分に表示される値が1増える。また、15個全ての払い出しが検出されると、払出予定数表示の部分に「15」が表示された後、払出数表示の部分および払出予定数表示の部分における表示が消灯する。
また、払出制御手段は、賞球カウントスイッチ301Aの検出信号にもとづいて、球払出装置97において異常が生じているか否か判定することができる。すなわち、払出検出手段の検出信号にもとづいて、払出手段において払出異常が生じているか否かを判別することができる。例えば、賞球カウントスイッチ301Aの検出信号がオン状態にならないような場合には賞球経路エラーと判定される。また、例えば払出モータ位置センサの検出信号にもとづいて払出手段によって払出動作が実行されたことを認識したにも関わらず、所定期間内に、払出動作に応じた賞球カウントスイッチ301Aの検出信号が検出されなかったような場合には、払出手段の払出異常が発生したと判定するように構成してもよい。
また、払出検出手段の検出信号にもとづいて、払出検出手段において払出検出異常が生じているか否かを判別することができる。例えば、賞球カウントスイッチ301Aの検出信号のオン状態が、所定期間(例えばステップS752cに示す期間(賞球カウントスイッチ301Aがオン状態となってから賞球カウントスイッチオンカウンタが250となるまでの期間))以上継続したような場合には、賞球カウントスイッチ球詰まりエラーと判定される。なお、エラーと判定した場合には、払出制御手段は、例えば、復旧動作を行わせるために払出手段に対する制御を行ったり、例えば発光体を点灯させることなどによって遊技者や遊技店員にエラーが発生したことを報知するようにしたりする。
また、上記の実施の形態では、払い出される遊技球の不足が検知されたとき(球切れ時)にも、下皿満タンで遊技球を払い出すべきでないときにも、同一のコマンドである払出停止状態指定コマンドが遊技制御手段から払出制御手段に通知される(図30参照)。すなわち、払出停止をすべき条件が異なっていても、共通のコマンドが遊技制御手段から払出制御手段に送信される。換言すれば、いずれの払出停止条件が成立したときでも共通の制御コマンドによって払出制御手段に対して賞球払出が可能な状態でないことが指令される。
さらに、遊技球の払出が可能な状態になった場合に、いずれの払出停止条件による払出停止状態であっても共通の払出可能状態指定コマンドによって払出制御手段に対して払出が可能な状態になったことを指令する。その結果、遊技制御手段から払出制御手段に対する情報伝達に関する負荷が低減され、遊技制御手段におけるプログラム容量が節減されて遊技制御に回せるプログラム容量が増える等の利点が生ずる。また、主基板31から払出制御基板37に送信されるコマンドの数を削減することができる。なお、上記の実施の形態では、払出停止条件として下皿満タンおよび払い出しのための貯留遊技球の不足を例にしたが、払出停止条件としてその他の条件を含めてもよい。
また、球貸しについても、払い出される遊技球の不足が検知されたとき(球切れ時、すなわち球払出装置97に供給される遊技球が所定量以上確保されていないとき)にも、下皿満タンで遊技球を払い出すべきでないとき(払い出された遊技球を貯留する貯留部に所定量以上の遊技球が貯留されたとき)にも、同一のコマンドである払出停止状態指定コマンドが遊技制御手段から払出制御手段に通知される。すなわち、球貸し停止をすべき条件が異なっていても、共通のコマンドが遊技制御手段から払出制御手段に送信される。換言すれば、いずれの球貸し停止条件が成立したときでも共通の制御コマンドによって払出制御手段に対して球貸しが可能な状態でないことが指令される。
さらに、遊技球の払出が可能な状態になった場合に、いずれの払出停止条件による球貸し停止状態であっても共通の払出可能状態指定コマンドによって払出制御手段に対して球貸しが可能な状態になったことを指令する。従って、やはり、遊技制御手段から払出制御手段に対する情報伝達に関する負荷が低減され、遊技制御手段におけるプログラム容量が節減されて遊技制御に回せるプログラム容量が増える等の利点が生ずる。また、主基板31から払出制御基板37に送信されるコマンドの数を削減することができる。
また、遊技制御手段は、遊技状態復旧処理において、払出可能状態指定コマンドまたは払出停止状態指定コマンドを払出制御手段に対して出力する制御を行うので、電力供給の開始後において、遊技制御手段と払出制御手段との間に、状態情報(払出情報、球貸し情報、賞球情報、発射情報など)に関する認識の食い違いが生じてしまうことを回避することができる。その結果、払出制御手段による誤動作を防止することができる。
上記の実施の形態では、電力供給開始時に、遊技制御手段が、払出制御手段に対して払出停止状態指定コマンドまたは払出可能状態指定コマンドを送信したが、他のコマンドを送信してもよい。例えば、打球操作ハンドル5による打球発射の可否や、エラーとエラー解除に関する情報などを通知する。そのように構成することで、電力供給開始後において、遊技制御手段と払出制御手段との間に、現在状況の認識の食い違いが生じてしまうことを回避することができる。その結果、適正な遊技制御をおこなうことができる。
なお、上記の実施の形態では、払出制御手段は払出停止状態指定コマンドを受信すると球貸しも賞球払出もともに停止し、払出可能状態指定コマンドに応じて球貸しも賞球払出もともに可能な状態に戻すのであるが、すなわち、景品払出禁止状態指定コマンドと貸出禁止状態指定コマンドとが共通化され、かつ、景品払出許可状態指定コマンドと貸出許可状態指定コマンドとが共通化されていたが、賞球に関する払出禁止指示と球貸しに関する払出禁止指示とを別コマンドとし、賞球に関する払出許可指示と球貸しに関する払出許可指示とを別コマンドとしてもよい。その場合でも、賞球禁止/許可をすべき条件が異なっていても共通のコマンドが遊技制御手段から払出制御手段に送出され、球貸し禁止/許可をすべき条件が異なっていても共通のコマンドが遊技制御手段から払出制御手段に送出されるように構成することができる。
しかし、払出制御手段が払出停止状態指定コマンドを受信すると、球貸しも賞球払出もともに停止し、払出可能状態指定コマンドを受信すると、球貸しも賞球払出もともに可能な状態にすれば、すなわち、1つのコマンドで、球貸しも賞球払出も停止し、また、停止状態を解除すれば、それぞれについての停止指示コマンドおよび停止解除指示コマンドを用いる場合に比べて遊技制御手段から払出制御手段に対する情報伝達に関する負荷がさらに低減される。
なお、上記の実施の形態では、払出手段は球貸しも賞球払出も実行可能な構成であったが、球貸しを行う機構と賞球払出を行う機構とが独立していても本発明を適用することができる。その場合、球貸しを行う機構と賞球払出を行う機構とが独立していても、払出制御手段が両方の機構を制御するように構成されていれば、上記の実施の形態のように、遊技制御手段が、複数の景品払出禁止条件のうちいずれの条件が成立した場合でも、払出手段における賞球払出を行う機構からの景品としての遊技媒体の払い出しを禁止することを示す共通の景品払出禁止状態指定コマンドを払出制御手段に対して送信し、複数の貸出禁止条件のうちいずれの条件が成立した場合でも、払出手段における球貸しを行う機構からの遊技媒体の貸し出しを禁止することを示す共通の貸出禁止状態指定コマンドを払出制御手段に対して送信するように構成することができる。
そして、賞球払出を行う払出装置と球貸しを行う払出装置とが独立して設けられている場合には、エラー表示用LED374で、賞球停止状態と球貸し停止状態とを別に報知するようにしてもよい。
また、図30〜図32のフローチャートに示されたように、遊技制御手段は、払出停止状態であっても(ステップS201)、ステップS251のコマンドセット処理が実行可能であるように構成されている。よって、払出停止状態であっても、入賞検出がなされると払出個数を示す払出制御コマンドが払出制御手段に対して送信される。
払出制御手段において、払出停止状態であっても割込処理は起動されるので、払出制御手段は、払出停止中であっても、払出制御コマンドを受信することができる。そして、払出停止中では受信した払出制御コマンドに応じた払出処理は停止しているのであるが、複数の払出制御コマンドを格納可能な受信リングバッファが設けられているので、遊技制御手段から送信された払出制御コマンドは、払出制御手段において消失してしまうようなことはない。
そして、払出制御手段において、送信コマンドを受信リングバッファにおけるどの領域に格納するのかを示すアドレス指示手段としてのコマンド受信個数カウンタが用いられる。よって、どの領域を使用すればよいのかの判断は容易である。
なお、上記の実施の形態のパチンコ遊技機1は、主として、始動入賞にもとづいて可変表示装置9に可変表示される特別図柄の停止図柄が所定の図柄の組み合わせになると所定の遊技価値が遊技者に付与可能になる第1種パチンコ遊技機であったが、始動入賞にもとづいて開放する電動役物の所定領域への入賞があると所定の遊技価値が遊技者に付与可能になる第2種パチンコ遊技機や、始動入賞にもとづいて可変表示される図柄の停止図柄が所定の図柄の組み合わせになると開放する所定の電動役物への入賞があると所定の権利が発生または継続する第3種パチンコ遊技機に対して本発明を適用してもよい。
また、上記の実施の形態では、以下のような遊技機も開示されている。
(1)入賞領域が複数設けられ、入賞領域毎にそれぞれ入賞検出手段が設けられている遊技機。
そのような構成によれば、複数の入賞領域毎にそれぞれ入賞検出手段が設けられているので、入賞があったことを確実に、かつ、迅速に検出することができる。
(2)払出制御手段が、払出手段によって遊技媒体の払出動作が実行されたにも関わらず、所定期間内に払出検出手段からの検出信号が入力されなかった場合に異常が発生したと判定する(例えばステップS832,S837)ように構成されている遊技機。
そのような構成によれば、払出動作に応じた異常が発生している旨を認識することができる。
(3)払出制御手段が、払出検出手段からの検出信号が所定期間以上継続して入力されている場合に、異常が発生したと判定する(例えばS752c)ように構成されている遊技機。
そのような構成によれば、払出検出手段に関わる異常が発生している旨を認識することができる。
(4)遊技制御手段が、払出禁止条件が成立(例えば補給球の不足や余剰球受皿4の満タン)すると、払出手段からの遊技媒体の払い出しを禁止することを示す払出禁止状態指定コマンドを払出制御手段に対して送信する(例えばステップS204,S205)ように構成されている遊技機。
そのような構成によれば、払出禁止条件が成立している状態で遊技媒体を払い出してしまうことにより不具合が発生してしまうことを防止することができる。
(5)遊技制御手段が、払出禁止条件が解除(例えば補給球の充足および余剰球受皿4の満タン解除)されると、払出手段からの遊技媒体の払い出しを許可することを示す払出許可状態指定コマンドを払出制御手段に対して送信する(例えばステップS208,S209)ように構成されている遊技機。
そのような構成によれば、遊技制御手段から払出制御手段に対して、遊技媒体の払出の禁止の解除に関する情報伝達を行うことができる。
(6)払い出された遊技媒体が貯留される貯留部(例えば貯留タンク38)に所定量以上の遊技媒体が貯留されているか否かを検出するための貯留状態検出手段(例えば球切れスイッチ187)を備え、遊技制御手段が、貯留状態検出手段により貯留部に所定量以上の遊技媒体が貯留されていることが検出された場合に払出禁止条件の成立と判定するように構成されている遊技機。
そのような構成によれば、貯留部に所定量以上の遊技媒体が貯留されているにも関わらず、払出制御手段が払出処理を実行してしまうことを防止することができる。
(7)払出手段に供給される遊技媒体が所定量以上確保されているか否かを検出するための遊技媒体切れ検出手段(例えば満タンスイッチ48)を含み、遊技制御手段が、遊技媒体切れ検出手段により遊技媒体が所定量以上確保されていないことが検出された場合に払出禁止条件の成立と判定するように構成されている遊技機。
そのような構成によれば、払出手段に供給される遊技媒体が所定量以上確保されていないにも関わらず、払出制御手段が払出処理を実行してしまうことを防止することができる。
(8)遊技制御手段が、払出検出手段からの検出信号にもとづいて所定数の遊技媒体が払い出されたことを検出する毎に、払い出された遊技媒体の数に関連する情報(例えば賞球情報信号)を外部に出力するように構成されている遊技機。
そのような構成によれば、遊技制御手段の情報出力に関する負荷が増大してしまうようなことはない。
(9)払出制御手段が、払出検出手段からの検出信号によって特定される遊技媒体数が払い出されるべき遊技媒体数よりも少ない場合には、不足している数の遊技媒体を払い出させるように払出手段を制御するように構成されている遊技機。
そのような構成によれば、遊技者に不測の不利益が与えられてしまうことが防止される。
(10)払出制御手段が、払い出されるべき遊技媒体数のうち未だ払い出されていない未払出遊技媒体数を特定可能な未払出データ(例えば総合個数記憶)を記憶し、払出制御手段にて記憶される未払出データを遊技制御手段からの遊技媒体数を特定可能なコマンド(例えば賞球個数を指定する払出制御コマンドFFXX(H))にもとづいて更新する処理と(例えばステップS754c)、払出制御手段にて記憶される未払出データを払出検出手段からの検出信号にもとづいて更新する処理(例えばステップS848)とを行うように構成されている遊技機。
そのような構成によれば、払い出しが完了していない遊技媒体の数を払出制御手段における記憶値によって特定することができる。
(11)払出制御手段が、遊技機への電力供給が停止しても所定期間は記憶されたデータを保持することが可能な払出制御用変動データ記憶手段(例えば払出制御基板37におけるバックアップRAM)を備え、払出制御手段にて記憶される未払出データは払出制御用変動データ記憶手段に記憶され、遊技機への電力供給が停止した後、電力供給が復旧した場合に、払出制御用変動データ記憶手段に記憶されていた未払出データにもとづいて払出制御を続行することが可能であるように構成されている遊技機。
そのような構成によれば、遊技機への電力供給が停止しても、遊技者に不利益が与えられることが防止される。
(12)遊技制御手段が、遊技機への電力供給が停止しても所定期間は記憶されたデータを保持することが可能な遊技制御用変動データ記憶手段(例えば主基板31におけるバックアップRAM)を備え、遊技記憶手段にて記憶される未払出データは遊技制御用変動データ記憶手段に記憶され、遊技機への電力供給が停止した後、電力供給が復旧した場合に、遊技制御用変動データ記憶手段に記憶されていた未払出データにもとづいて未払出数表示手段の表示状態を復旧することが可能であるように構成されている遊技機。
そのような構成によれば、遊技機への電力供給が停止しても、復旧後速やかに未払出数を表示することができる。
(13)操作手段(例えばクリアスイッチ921)が設けられ、変動データ記憶手段の記憶内容が、操作手段が操作されたことを条件に初期化される(例えばステップS7およびS11)ように構成されている遊技機。
そのような構成によれば、変動データ記憶手段に保存されている状態記憶にもとづく復旧処理を行う必要がない場合には復旧処理が実行されないようにすることができ、遊技機運用上の利便性を向上させることができる。
(14)遊技制御手段が、払出制御手段にコマンドを送信する際に、コマンドを受信可能に一回だけ出力するように構成されている遊技機。
そのような構成によれば、遊技制御手段におけるコマンド送信のための制御が簡略化される。
(15)コマンドは、コマンドデータと、コマンドデータの取り込みを指示する取込信号(例えばINT信号)とを含み、払出制御手段が、遊技制御手段から取込信号が出力されたことに応じてコマンドデータを取り込むように構成されている遊技機。
そのような構成によれば、コマンドを受信する払出制御手段が確実にコマンドを受信することができる。
(16)払出制御手段には、受信したコマンドを格納するための格納エリア(例えば受信コマンドバッファ)が設けられ、格納エリアとして、受信した複数のコマンドに関わる複数のデータを同時期に格納しておくことが可能なエリアが確保されているように構成されている遊技機。
そのような構成によれば、格納エリアからのデータ読出処理が遅れても、新たに受信されたコマンドによって格納エリアが上書きされることはく、遊技制御手段からのコマンドが消失してしまうことはない。
(17)払出制御手段が、遊技制御手段からのコマンドを格納する格納エリア内の格納アドレスを指示する格納アドレス指示手段(例えばコマンド受信カウンタ)と、格納アドレス指示手段の指示に従ってコマンドに関わるデータを格納する処理を行うコマンド受信処理手段(例えば払出制御用CPU371)とを備え、格納アドレス指示手段が、コマンドに関わるデータが格納エリアに格納されると格納アドレスを更新するとともに、格納エリアにおける最終アドレスにコマンドに関わるデータが格納された場合には格納アドレスを格納エリアの先頭アドレスに設定するように構成されている遊技機。
そのような構成によれば、格納アドレス指示手段における格納アドレスを指定することができ、コマンド受信処理を簡便に実現することができる。
(18)払出制御手段が、格納エリア内の特定のデータを指示するデータ指示手段(例えば読出ポインタ)を備え、データ指示手段によって指示された情報を参照して所定の制御処理を行い、データ指示手段が、コマンドを受信した順番に従って特定のデータを指示するように構成されている遊技機。
そのような構成によれば、データ指示手段により参照するデータを指定することができ、格納エリアのデータを参照して行う処理を簡便に実現することができる。
(19)遊技制御手段が搭載された遊技制御基板(例えば主基板31)に、払出検出手段に電力を供給する電力供給手段(例えば+12Vを供給する回路)が搭載されている遊技機。
そのような構成によれば、払出制御手段に故障が生じても払出検出手段の検出信号が遊技制御手段に入力され遊技制御手段において遊技媒体の払い出し状況を管理することができる。