JP4874882B2 - ミエロペルオキシダーゼ、心臓血管疾患についての危険性指示因子 - Google Patents
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本発明は、心臓血管疾患の分野に関する。より詳細には、本発明は、個体または試験被験体が、所定のヒト被験体集団中の他の個体よりも、心臓血管疾患を発症するかまたは心臓血管疾患を有する危険性が低いかまたは高いかを決定するために使用され得る、診断試験に関する。
たって、多量の臨床的、病理学的、生化学的および遺伝的データは、アテローム性動脈硬化症は慢性炎症性障害であるという概念を支持してきた。急性期反応物質(例えば、C反応性タンパク質、補体タンパク質)は、高感度であるが非特異的な炎症のマーカーであり、これは脂肪線条およびアテローム性動脈硬化症病変の後期において豊富に存在する。最近の見込みのある臨床試験において、C反応性タンパク質のベースライン血漿レベルは、明らかに健康な個体における初めての心筋梗塞および発作の危険性を、独立して予測した。米国特許第6,040,147号は、C反応性タンパク質、サイトカインおよび細胞接着分子を使用して、個体の心臓血管障害を発症する危険性を特徴付ける方法を記載する。有用であるが、これらのマーカーは、CVD以外の原因に起因する炎症を有する個体の血液において見出され得、従って、これらのマーカーは、高度には特異的ではない。
本発明は、個体の、心臓血管疾患を発症するかまたは心臓血管疾患を有する危険性を特徴付けるための新規な診断試験を提供する。本発明の試験は、非常に積極的なCVD治療を必要とする個体、およびCVDの予防の際に標的化される治療を必要としない個体を同定するために、特に有用である。本発明の診断試験は、冠動脈疾患(CAD)を有する患者が、血管造影的に有意なCADを有さない被験体よりも有意に高いレベルの白血球および血液ミエロペルオキシダーゼ(MPO)レベルを有するという発見に基づく。CAD患者および非CAD患者における白血球−MPOレベルは、年齢、性別、糖尿病、高血圧、喫煙(これまでの喫煙または現在の喫煙)、WBC数、LDL−C、トリグリセリドおよびFramingham Global Risk Scoreに対して非依存性であることもまた発見された。従って、本発明の診断試験(これは、試験被験体由来の血液サンプルまたはその誘導体中の、MPO活性のレベル、MPO量のレベル、または選択されたMPO生成酸化産物のレベルを評価する工程を包含する)は、医師により現在用いられる臨床的および診断的危険因子を用いた場合に観察される予測値を超える付加的な予測値を提供する。
上記に加えて、本発明は、以下を提供する:
(項目1)
ヒト患者の、心臓血管疾患を発生するかまたは心臓血管疾患を有する危険性を特徴付けるための診断試験であって、該試験は、以下:
a)該ヒト患者由来の身体サンプル中の、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性のレベル、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)量のレベル、またはこれらの両方を得る工程であって、該身体サンプルは、血液または血液誘導体である、工程;ならびに
b)該ヒト患者由来の身体サンプル中の、該ミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性のレベル、該ミエロペルオキシダーゼ(MPO)量のレベル、またはこれらの両方を、それぞれ、1または2つの予め決定された値と比較する工程、
を包含し、
ここで、このような比較は、該ヒト患者の、心臓血管疾患を発生するかまたは心臓血管疾患を有する危険性を特徴付けるための情報を提供する、
診断試験。
(項目2)
前記ヒト患者の身体サンプルにおけるミエロペルオキシダーゼ活性のレベルが、フローサイトメトリーによって得られる、項目1に記載の診断試験。
(項目3)
項目1に記載の診断試験であって、ここで、前記1または2つの予め決定された値のうちの1つが、1つの正規化された値であるか、または正規化された値の範囲であり、そして、一般的なヒト被験体集団または選択されたヒト被験体集団由来の匹敵する身体サンプルにおけるMPO活性レベルに基づく、診断試験。
(項目4)
項目1に記載の診断試験であって、ここで、前記1または2つの予め決定された値のうちの1つが、1つの代表的な値であるか、または代表的な値の範囲であり、そして、一般的なヒト被験体集団または選択されたヒト被験体集団由来の匹敵する身体サンプルにおけるMPO活性レベルに基づく、診断試験。
(項目5)
項目1に記載の診断試験であって、ここで、前記1または2つの予め決定された値のうちの1つが、一般的なヒト被験体集団または選択されたヒト被験体集団由来の匹敵する身体サンプルにおけるMPO活性レベルに基づく、複数の予め決定されたMPO活性レベルの範囲であり、そして、
前記比較する工程は、該複数の予め決定されたMPO活性レベルの範囲のうちのどれに、該ヒト被験体のMPO活性レベルが入るかを決定する工程を包含する、
診断試験。
(項目6)
項目1に記載の診断試験であって、ここで、前記身体サンプルは、白血球、好中球、単球、単核性リンパ球、白血球の亜集団、好中球の亜集団、単球の亜集団、および単球性リンパ球の亜集団からなる群より選択される、1つ以上の血液誘導体である、診断試験。
(項目7)
前記ヒト被験体の身体サンプルにおけるミエロペルオキシダーゼ量のレベルが、免疫学的技術によって得られる、項目1に記載の診断試験。
(項目8)
項目1に記載の診断試験であって、ここで、前記1または2つの予め決定された値のうちの1つが、1つの正規化された値であるか、または正規化された値の範囲であり、そして、一般的なヒト被験体集団または選択されたヒト被験体集団由来の匹敵する身体サンプルにおけるMPO量レベルに基づく、診断試験。
(項目9)
項目1に記載の診断試験であって、ここで、前記1または2つの予め決定された値のうちの1つが、1つの代表的な値であるか、または代表的な値の範囲であり、そして、一般的なヒト被験体集団または選択されたヒト被験体集団由来の匹敵する身体サンプルにおけるMPO量レベルに基づく、診断試験。
(項目10)
項目1に記載の診断試験であって、ここで、前記1または2つの予め決定された値のうちの1つが、一般的なヒト被験体集団または選択されたヒト被験体集団由来の匹敵する身体サンプルにおけるMPO量レベルに基づく、複数の予め決定されたMPO量レベルの範囲であり、そして、
前記比較する工程は、該複数の予め決定されたMPO量レベルの範囲のうちのどれに、該ヒト被験体のMPO量レベルが入るかを決定する工程を包含する、
診断試験。
(項目11)
ヒト患者の、心臓血管疾患を発生するかまたは心臓血管疾患を有する危険性を特徴付けるための診断試験であって、該試験は、以下:
a)該ヒト患者由来の身体サンプル中の、1つ以上の選択されたミエロペルオキシダーゼ生成酸化産物のレベルを得る工程であって、該身体サンプルは、尿、血液または血液誘導体であり、ここで、該選択されたミエロペルオキシダーゼ生成酸化産物の各々は、ニトロチロシン、ジチロシン、メチオニンスルホキシド、およびMPO生成脂質過酸化産物からなる群より選択される、工程;ならびに
b)該ヒト患者由来の身体サンプル中の、該選択されたミエロペルオキシダーゼ生成酸化産物の各々のレベルを、予め決定された値と比較する工程、
を包含し、
ここで、該比較は、該ヒト患者の、心臓血管疾患を発生するかまたは心臓血管疾患を有する危険性を特徴付けるための情報を提供する、
診断試験。
(項目12)
前記選択されたミエロペルオキシダーゼ生成酸化産物のうちの1つが、ジチロシン、ニトロチロシン、またはメチオニンスルホキシドである、項目11に記載の診断試験。
(項目13)
項目11に記載の診断試験であって、前記選択されたミエロペルオキシダーゼ生成酸化産物のうちの1つが、ヒドロキシ−エイコサテトラエン酸(HETE);ヒドロキシ−オクタデカジエン酸(HODE)、F2イソプロスタン;2−lysoPCのグルタルモノエステルおよびノナン二酸モノエステル(それぞれ、G−PCおよびND−PC);2−lysoPCの9−ヒドロキシ−10−ドデセン二酸エステルおよび5−ヒドロキシ−8−オキソ−6−オクテン二酸エステル(それぞれ、HDdiA−PCおよびHOdiA−PC);2−lysoPCの9−ヒドロキシ−12−オキソ−10−ドデセン酸エステルおよび5−ヒドロキシ−8−オキソ−6−オクテン酸エステル(それぞれ、HODA−PCおよびHOOA−PC);2−lysoPCの9−ケト−12−オキソ−10−ドデセン酸エステルおよび5−ケト−8−オキソ−6−オクテン酸エステル(それぞれ、KODA−PCおよびKOOA−PC);2−lysoPCの9−ケト−10−ドデセン二酸エステルおよび5−ケト−6−オクテン二酸エステル(それぞれ、KDdiA−PCおよびKOdiA−PC);2−lysoPCの5−オキソ吉草酸エステルおよび9−オキソノナン酸エステル(それぞれ、OV−PCおよびON−PC);5−コレステン−5α,6α−エポキシ−3β−オール(コレステロールα−エポキシド);5−コレステン−5β,6β−エポキシ−3β−オール(コレステロールβ−エポキシド);5−コレステン−3β,7β−ジオール(7−OH−コレステロール);5−コレステン−3β,25−ジオール(25−OHコレステロール);5−コレステン−3β−オール−7β−ヒドロペルオキシド(7−OOHコレステロール);ならびにコレスタン−3β,5α,6β−トリオール(トリオール)からなる群より選択されるMPO脂質過酸化産物である、診断試験。
(項目14)
項目11に記載の診断試験であって、ここで、前記予め決定された値が、1つの代表的な値であるか、または代表的な値の範囲であり、そして、一般的なヒト被験体集団または選択されたヒト被験体集団由来の匹敵する身体サンプルにおける前記選択されたミエロペルオキシダーゼ酸化産物のレベルに基づく、診断試験。
(項目15)
項目11に記載の診断試験であって、ここで、前記予め決定された値が、一般的なヒト被験体集団または選択されたヒト被験体集団由来の匹敵する身体サンプルにおける前記選択されたミエロペルオキシダーゼ酸化産物のレベルに基づく、複数の予め決定されたMPO活性レベルの範囲であり、そして、
前記比較する工程は、該複数の予め決定された選択されたミエロペルオキシダーゼ生成酸化産物の範囲のうちのどれに、該ヒト被験体の選択されたミエロペルオキシダーゼ生成酸化産物のレベルが入るかを決定する工程を包含する、
診断試験。
(項目16)
ヒト患者の、心臓血管疾患を発生するかまたは心臓血管疾患を有する危険性を特徴付けるための診断試験であって、該試験は、以下:
a)該ヒト患者由来の身体サンプル中の、ミエロペルオキシダーゼ活性のレベル、ミエロペルオキシダーゼ量のレベル、またはこれらの両方を得る工程であって、該身体サンプルは、血液または血液誘導体である、工程;
b)該ヒト患者由来の身体サンプル中の、選択されたミエロペルオキシダーゼ生成酸化産物のレベルを得る工程であって、ここで、該身体サンプルは、血液、血液誘導体または尿であり、ここで、該選択されたミエロペルオキシダーゼ生成酸化産物は、遊離のニトロチロシン、ペプチド結合ニトロチロシン、遊離のジチロシン、ペプチド結合ジチロシン、遊離のメチオニンスルホキシド、ペプチド結合メチオニンスルホキシド、およびMPO生成脂質過酸化産物からなる群より選択され、該身体サンプルは、血液、血液誘導体または尿である、工程;
c)該ヒト患者由来の身体サンプル中の、ミエロペルオキシダーゼ活性のレベル、ミエロペルオキシダーゼ量のレベル、またはこれらの両方のそれぞれを、1または2つの予め決定された値と比較する工程;ならびに
d)該身体サンプル中の、該選択されたミエロペルオキシダーゼ生成酸化産物のレベルを、さらなる予め決定された値と比較する工程、
を包含し、
ここで、工程cおよび工程dの比較は、該ヒト患者の、心臓血管疾患を発生するかまたは心臓血管疾患を有する危険性を特徴付けるための情報を提供する、
診断試験。
(項目17)
心臓血管疾患を有すると疑われる被験体または心臓血管疾患を有する被験体における心臓血管疾患のための治療剤を評価するための診断試験であって、該試験は、
該治療剤での処置後の被験体から採取された身体サンプル中のMPO活性レベルまたはMPO量レベルを、それぞれ、該治療剤での処置前の該被験体から採取された対応する身体サンプル中のMPO活性レベルまたはMPO量レベルと比較する工程であって、ここで、該身体サンプルは、血液または血液誘導体である、工程、
を包含する、診断試験。
(項目18)
項目17に記載の診断試験であって、前記治療剤を用いた処置後の被験体から採取された血液サンプル中の第2の危険予測因子のレベルを、処置後の該被験体から採取された血液サンプル中の第2の危険因子のレベルと比較する工程であって、ここで、該第2の危険予測因子は、LDL、C−反応性タンパク質、総コレステロール、HDLコレステロール、トリグリセリド、LDL/HDL比、Lp(a)、インターロイキン6、およびホモシステインからなる群より選択される、工程、
をさらに包含する、診断試験。
(項目19)
心臓血管疾患を有すると疑われる被験体または心臓血管疾患を有する被験体における心臓血管疾患のための治療剤を評価するための診断試験であって、該試験は、
該治療剤での処置後の被験体から採取された身体サンプル中の1つ以上の選択されたMPO生成酸化産物のレベルを、該治療剤での処置前の該被験体から採取された対応する身体サンプル中のMPO活性レベルまたはMPO量レベルと比較する工程であって、ここで、該身体サンプルは、血液、血液誘導体、または尿であり、ここで、該選択されたMPO生成酸化産物は、遊離のジチロシン、ペプチド結合ジチロシン、遊離のニトロチロシン、ペプチド結合ニトロチロシン、遊離のメチオニンスルホキシド、ペプチド結合メチオニンスルホキシド、またはMPO生成脂質過酸化産物である、工程、
を包含する、診断試験。
(項目20)
項目19に記載の診断試験であって、前記治療剤を用いた処置後の被験体から採取された血液サンプル中の第2の危険予測因子のレベルを、処置後の該被験体から採取された対応する身体サンプル中の第2の危険因子のレベルと比較する工程であって、ここで、該第2の危険予測因子は、LDL、C−反応性タンパク質、総コレステロール、HDLコレステロール、トリグリセリド、LDL/HDL比、Lp(a)、インターロイキン6、およびホモシステインからなる群より選択される、工程、
をさらに包含する、診断試験。
(項目21)
項目19に記載の診断試験であって、ここで、前記脂質過酸化産物は、HETE、HODE、F2イソプロスタン、G−PC、ND−PCHDdiA−PC、HOdiA−PC、HODA−PC、HOOA−PC、KODA−PC、KOOA−PC、KDdiA−PC、KOdiA−PC、OV−PC、ON−PC、コレステロールα−エポキシド、コレステロールβ−エポキシド、7−OH−コレステロール、25−OHコレステロール、7−OOHコレステロール、およびトリオールからなる群より選択される、診断試験。
(項目22)
心臓血管疾患を有する被験体由来の身体サンプル中の、MPO活性、MPO量、または選択されたMPO生成酸化産物についてのアッセイを含むパッケージ、ならびにMPO活性レベル、MPO量レベル、または選択されたMPO生成酸化産物を関連付けるための予め決定された値を含むチャート、を備える、キット。
本明細書中に引用されるすべての参考文献は、本明細書中において参考として具体的に援用される。
標準的診断手順を使用して、全血は個体または試験被験体から得られる。血漿は、抗凝固化血液の遠心分離によって全血サンプルから得られる。このようなプロセスは、白血球成分のバフィコートおよび血漿の上清を提供する。
MPO(ドナー:過酸化水素、オキシドレダクターゼ、EC 1.11.1.7)は、約150kDaの、4量体の重グリコシル化塩基性(PI.10)ヘムタンパク質である。これは、2つの同一なジスルフィド連結プロモーターから構成され、これらのそれぞれは、プロトポルフィリン含有59〜64kDa重サブユニットおよび14kDa軽サブユニットを有する(Nauseef,W.M.ら、Blood 67:1504−1507;1986)。
Press;1991:37−62)。ヘムタンパク質は、白血球の一次アズール顆粒に保存され、そして種々のアゴニストによる食細胞活性化に続いて細胞外環境およびファゴリソソーム画分の両方に分泌される(Klebanoff,S.Jら、The neutrophil:functions and clinical disorders,Amsterdam:Elsevier Scientific Publishing Co.;1978)。免疫組織化学法は、MPOが、ヒトアテローム性動脈硬化損傷に存在することを実証した。しかし、MPOは、ヒトアテローム性動脈硬化症を有する個体由来の血液サンプル中において増加したレベルで存在することはまだ示されていない。
ミエロペルオキシダーゼ活性は、当該分野において公知である種々の標準的方法のいずれかによって、決定され得る。このような方法の1つは、比色定量に基づくアッセイであって、ここで、ペルオキシダーゼのための基質として役立つ発色団は、任意の種々の分光学法(紫外可視検出または蛍光検出を含む)によって追跡され得る固有波長を有する生成物を生成する。比色定量に基づくアッセイのさらなる詳細は、Kettle,A.J.およびWinterbourn,C.C.(1994)Methods in Enzymology.233:502〜512;ならびにKlebanoff,S.J.、Waltersdorph,A.N.およびRosen,H.(1984) Methods in Enzymology.105:399〜403(各々が本明細書中で参考として援用される)中に見出され得る。Gerber,Claudia,E.ら(1996年にEur.J.Clin.Chem Clin Biochem 34:901〜908中に刊行された表題「Phagocytic Activity and Oxidative Burst of Granulocytes in Persons with
Myeloperoxidase Deficiency」)による論文は、多型核白血球(すなわち好中球)の単離法および比色定量アッセイ(色原体である4−クロロ−1−ナフトールの酸化に関する)を用いたミエロペルオキシダーゼ活性の測定法を記述する。
所定のサンプル中のミエロペルオキシダーゼの量は、免疫学的方法(例えば、ELISA)によって容易に決定される。ELISAによるMPO定量のための市販のキットが、利用可能である。
体液中のMPO活性またはMPO量のレベルは、体液中のMPO活性またはMPO量を測定することによって、および血液1mlあたり、血清1mlあたり、血漿1mlあたり、白血球(例えば、好中球または単球)あたり、重量あたり(例えば、全血液タンパク質1mgあたり)白血球タンパク質の重量あたり(例えば、好中球タンパク質または単球タンパク質の重量あたり)のMPO活性またはMPO量を得るためにこの値を基準化することによって、決定され得る。あるいは、体液中のMPO活性またはMPO量のレベルは、試験被験体血液または血液誘導体中のMPO活性に基づく代表値であり得る。例えば、MPO活性のレベルは、上昇したMPO活性レベルまたはMPO量レベルを含む、試験被験体の好中球または単球のパーセント(%)または実測数であり得る。他の代表値の例としては、サイトグラムに基づくフローサイトメトリーから取得され得るパラメーター(例えば、X軸およびY軸上の好中球クラスターの位置、またはX軸およびY軸に比例する好中球クラスターの主軸の角度)についての任意の単位が挙げられるが、これに限定されない。
(HETEおよびHODEならびに酸化されたコレステロールエステルの生成における、MPOの役割)
LDLの酸化および脂質の過酸化におけるMPOの役割は、最近、いく人かの研究者によって疑問とされた。Noguchiおよび共同研究者らは、野生型マウスおよびMPOノックアウトマウスから単離された白血球が、エキソビボのモデル系でのLDLの酸化を促進する能力を試験し、そしてモニタリングされた脂質酸化のパラメータにおいて、適度な差異のみを観察した(Noguchi Nら、J.Biochem.(Tokyo)2000;127:971−976)。特に、タンパク質の酸化生成物に注目する場合に、NO2 −の存在によって、MPOにより触媒されるLDLの酸化が、促進ではなく阻害されることもまた、最近示唆された(Carr ACら、J.Biol.Chem.2001;276:1822−1828)。さらに、MPOにより生成されるチロシン酸化生成物に対する、酸化促進機能よりむしろ抗酸化機能、ならびにLDL酸化が提唱された(Santanam N.ら、J.Clin.Invest 1995:95:2594−2600、Exner M.ら、FEBS Lett.2001;490:28−31)。MPOによって生成されたHOClが、リポタンパク質脂質の酸化および過酸化水素の形成を促進し得ることもまた、いく人かの研究者によって示唆され(Panasenko OM.、Biofactors 1997;6:181−190)、一方で、他の研究は、これらの観察を支持しなかった(Schmitt D.ら、Biochem.1999;38:16904−16915、Hazen SLら、Circ.Res.1999;85:950−958)。最後に、最近の研究は、MPOおよび反応性酸化剤種の生成に関する、マウス白血球とヒト白血球との間の種の差異に注目した(Xie QWら、Biological oxidants:genereation and injurious consequences.San Diego,California,USA,Academic Press,1992、Rausch PGら、Blood 1975;46:913−919、Nauseef WM.、J.Clin.Invest
2001;107:401−403、Brennan MLら、J.Clin.Invest 2001;107:419−430)。
MPO(ドナー:過酸化水素、オキシドレダクターゼ、EC 1.11.1.7)を、記載されるように単離し、そして特徴付けた(Heinecke JWら、J.Biol.Chem.1993;268:4069−4077、Wu Wら、Biochemistry 1999;38:3538−3548)。単離されたMPOの純度を、R/Z≧0.85(A430/A280)を実証すること、クーマシーブルー染色を用いるSDS
PAGE分析、およびゲル内でのテトラメチルベンジジンペルオキシダーゼ染色によって確定し、好酸球ペルオキシダーゼの夾雑がないことを確認した(Wu Wら、Biochemistry 1999;38:3538−3548)。精製したMPOを、50%グリセロール中−20℃で貯蔵した。酵素濃度を、分光光度法で決定した(ε430=170,000M−1cm−1)(Odajima Tら、Biochim.Biophys.Acta.1970;:71−77)。LDLを、新鮮な血漿から、逐次的な超遠心分離によって、1.019<d<1.063g/mlの画分として単離し、透析を、アルゴン雰囲気下で密封された瓶内で実施した(Hatch FT.Adv.Lipid Res.1968;6:1−68)。最終の調製物を、50mMリン酸ナトリウム(pH7.0)、100μM DTPA中に維持し、そして使用するまでN2下で貯蔵した。LDL濃度を、1mgのLDLタンパク質あたりで表す。
ヒト好中球を、正常な被験体およびMPO欠損の被験体由来の全血から、記載されるように単離した(Hazen SLら、J.Biol.Chem.1996;271:1861−1867)。好中球調製物を、HBSS(Mg2+なし、Ca2+なし、フェノールなしかつ重炭酸なし、pH7.0)中に懸濁させ、そして試験のためにすぐに使用した。
単離したヒト好中球(106/ml)を、50%(v/v)正常ヒト血漿または単離したヒトLDL(0.2mg/ml)のいずれかと共に、空気中で、100μM DTPAを補充されたHBSS中、37℃でインキュベートした。好中球を、200nMの酢酸ミリスチン酸ホルボール(PMA)を添加することにより活性化し、そして5分ごとに穏やかに攪拌することによって、懸濁状態に維持した。2時間後、氷/水浴に浸漬することによって反応を停止させ、4℃で遠心分離し、そしてすぐに、50μMのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)および300nMのカタラーゼを上清に添加した。次いで、この上清における脂質の過酸化生成物を、以下に記載するように迅速にアッセイした。
脂質を抽出し、そして全ての工程において、アルゴン雰囲気下または窒素雰囲気下で、質量分光分析のために調製した。第1に、SnCl2(最終1mM)を添加することによって、反応混合物中の過酸化水素を、その対応する水酸化物に還元した。既知量の重水素化内部標準である、12(S)−ヒドロキシ−5,8,10,14−エイコサテトラエン−5,6,8,9,11,12,14,15−d8酸(12−HETE−d8;Cayman Chemical Company,Ann Arbor,MI)をサンプルに添加し、次いで1M酢酸/2−イソプロパノール/ヘキサン混合物(2/20/30、v/v/v)を、5ml有機溶媒混合物:1ml血漿の比で添加することによって、血漿脂質を抽出した。この混合物をボルテックスし、そして遠心分離した後に、脂質をヘキサン層に抽出した。等量のヘキサンを添加し、続いてボルテックスおよび遠心分離することによって、血漿を再抽出した。合わせたヘキサン抽出物をN2下で乾燥させ、サンプルを200μlの2−イソプロパノール/アセトニトリル/水(44/54/2、v/v/v)で再構築し、そして分析するまで−80℃でアルゴン下で貯蔵することによって、コレステリルエステルヒドロペルオキシド(CE−H(P)ODE)は、これらの安定なSnCl2還元水酸化物形態であることを分析した。遊離脂肪酸およびこれらの酸化生成物のアッセイのために、全脂質(リン脂質、コレステロールエステル、トリグリセリド)をN2下で乾燥させ、1.5mlの2−イソプロパノールに再懸濁させ、次いで1.5ml 1M
NaOHでの60℃、30分間、アルゴン下での塩基加水分解によって、脂肪酸を遊離させた。加水分解したサンプルを、2M HClでpH3.0まで酸性化し、そして脂肪酸を5mlのヘキサンで2回抽出した。合わせたヘキサン層をN2下で乾燥し、100μLのメタノールに再懸濁し、そして以下に記載されるLC/ESI/MS/MSによる分析まで、アルゴン下−80℃で貯蔵した。
脂質の過酸化の促進におけるMPOに対する基質のような、血漿中の低分子量化合物によって果たされる役割を研究するために、正常な健常なドナー由来の全血漿を、10kDa MWtカットオフフィルタ(Centriprep YM−10、Millipore−Corporation Bedford,MA USA)を通して、遠心分離により濾過した。この血漿の濾液を、直接、またはHPLCによる分画に続いてのいずれかで使用した。逆相HPLC分画を、Beckman C−18カラム(4.6×250mm、5μm ODS;Beckman Instruments,Inc.Fullerton,CA)を使用して実施した。血漿濾液(0.5ml)中の低分子量化合物の分離を、1.0ml/分の流速で、以下の勾配を用いて実施した:100%移動相A(0.1%の酢酸を含む水)で10分間、次いで100%移動相B(0.1%の酢酸を含むメタノール)までの直線勾配で10分間、続いて100%移動相Bで5分間。溶出液を1mlの画分として収集し、N2下で乾燥させ、次いで分析のために、緩衝液(0.1ml)に再懸濁した。強力な陰イオン交換HPLC(SAX−HPLC)による血漿濾液(0.5ml)の分画を、SPHERIS HPLCカラム(4.6×250mm、5μm SAX;Phase Separations Inc.Norwalk Connecticut)で実施した。血漿濾液中の低分子量化合物の分離を、0.9ml/分の流速で、無勾配条件下で、移動相として45mM酢酸アンモニウム緩衝液(pH4.0)を使用して実施した。溶出液を、1.0mlの画分として収集し、N2下で乾燥させ、次いで分析のために、緩衝液(0.1ml)に再懸濁した。
LC/ESI/MS/MSを使用して、アラキドン酸(9−ヒドロキシ−5,7,11,14−エイコサテトラエン酸および9−ヒドロペルオキシ−5,7,11,14−エイコサテトラエン酸(9−H(P)ETE))およびリノール酸(9−ヒドロキシ−10,12−オクタデカジエン酸および9−ヒドロペルオキシ−10,12−オクタデカジエン酸(9−H(P)ODE))のフリーラジカル依存性酸化生成物を定量した。分析の直前に、1容量のH2Oを、5容量のメタノールに懸濁させたサンプルに添加し、これを次いで、0.22μmのフィルタ(Millipore Corporation,Bedford,MA)に通した。サンプル(20μl)をProdigy C−18カラム(1×250mm、5μm ODS、100A;Phenomenex、Rancho Palos Verdes,CA)に、50μl/分の流速で注入した。分離を、移動相として水中95%メタノールを使用して、無勾配条件下で実施した。各分析において、HPLCカラム溶出物の全体を、Quattro II triple quandrupole MS(Micromass,Inc.)に導入した。分析を、エレクトロスプレーイオン化を使用して、陰イオン様式で、モニタリングされる異性体に対して特異的な、親イオンおよび特徴的な娘イオンの複数の反応モニタリング(MRM)を用いて実施した。モニタリングされた遷移は、9−HODEについては質量対電荷の比(m/z)で295 171であり;9−HETEについてはm/z 319 151であり;12−HETE−d8についてはm/z 327 184であった。N2を、エレクトロスプレー界面におけるカーテン気体として使用した。内部標準12−HETE−d8を使用して、抽出効率を計算した(これは、全ての分析について80%を超えた)。真性標準を用いて構築した外部較正曲線を使用して、9−HETEおよび9−HODEを定量した。
メタノール中で再構築したサンプル(100μl)(塩基加水分解なし)を、Beckman C−18カラム(4.6×250mm、5μm ODS;Beckman Instruments,Inc.Fullerton,CA)に注入した。脂質を、2−イソプロパノール/アセトニトリル/水(44/54/2、v/v/v)からなる無勾配溶媒系を使用して、1.5ml/分の流速で分離した。CE−H(P)ODEを、これらの安定なヒドロキシド形態として、234nmでのUV検出によって、外部較正曲線を作成するためにCE−9−HODE(Cayman Chemical Company,Ann Arbor,MI)を使用して、定量した。
正常な好中球は、有意なレベルの9−H(P)ODEおよび9−(H)PETEを、PMAによる細胞活性化に続いて、血漿中で生成した(図4)。全く対照的に、MPO欠損の好中球は、これらがO2 ・−を生成する増強された能力にもかかわらず、有意なレベルの脂質過酸化生成物を、PMAでの刺激の後に生成しなかった。触媒量のMPOを添加することによって、MPO欠損好中球が、内因性血漿脂質の過酸化を開始する能力が回復した(図4)。
(一般的手順)ヒトミエロペルオキシダーゼ(ドナー;過酸化水素、オキシドレダクターゼ、EC1.11.1.7)およびLDLを単離し、記載されるように定量した(Podrez,E.Aら、1999、J.Clin.Invest.103:1547)。全ての緩衝液をChelex−100樹脂(Bio−Rad,Hercules,CA)を用いて処理し、そして、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)を補い、インキュベーション中にLDL酸化を触媒し得る微量レベルの遷移金属イオンを除去した。LDLを、記載されたように、100dpm/ngタンパク質と250dpm/ngタンパク質の間の比放射能となるように、Na[125I]で標識した(Hoppe,G.ら、1994、J.Clin.Invest.94、1506−12)。細胞の脂質の抽出ならびに放射標識されたコレステロールエステルおよび標識されていないコレステロールの薄相クロマトグラフィー分離を、記載のように実行した(Podrez,E.Aら、1999、J.Clin.Invest.103:1547)。示されたリポタンパク質(50μg/ml)とのインキュベーション後の、細胞によるコレステロールエステルへの[14C]オレエートの取り込みを、記載のように決定した(Podrez,E.Aら、1999、J.Clin.Invest.103:1547)。ウサギ胸大動脈をWHHLウサギから単離し、100μMブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)および100μM DTPAを補充されたアルゴン噴霧PBS中でリンスし、同じ緩衝液中に浸し、アルゴンをかぶせそして液体窒素中で瞬間凍結し、次いで、分析まで−80℃で保存した。脂質損傷に比較的侵されていない大動脈を10〜12週齢のWHHLウサギから得、十分損傷している大動脈を、6ヶ月齢を越えたWHHLウサギから回収した。
Inc.,Bellefonte,PA)を通すことによって除去した。ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)の既知量を、内部標準として極性脂質画分に加え、脂質を、窒素下で乾燥し、分析の24時間以内まで、−80℃のアルゴン環境下で保存した。較正曲線を、固定量のDMPCおよび各々の酸化された合成PC種の変動するモル%を用いて作成し、異なる脂質間で観測された、イオン化応答因子における差異について較正するために使用した。さらなる予備的な研究において、使用された定量法は、標準的な添加の方法によって得られた結果と同一の結果であることを示すことによって、各々の検体について独立に検証された。
LDLのネイティブ形態および酸化形態におけるLC/ESI/MS/MS分析による、種々の特定の酸化されたPC種の定量によって、酸化ホスファチジルコリン種の量の実質的な増加が明らかになった(図7a、ネイティブLDL、NO2−LDLに関するデータを示す)。酸化のどの時点が検査されたかに関わらず、HODA−PCおよびHOOA−PCは、MPOによるLDL酸化の主要な生成物であった。NO2−LDLにおいて検出された、(残存する、酸化されないリン脂質およびND−PCに比例する)合わせたモル%(図7a)は、約1.2モル%に対応する。これらのうち、NO2LDL調製物において定量された、8個の酸化されたPC種の合わせた量(図7a)は、0.73モル%に対応する。
Angiogardは、経皮的血管介入の間、使用するために最近発明された、塞栓保護デバイスである。このデバイスは、血管形成術のためのバルーン膨張の前に、標的損傷に対して遠位側で展開される。このデバイスは、一時的な保護として作用し、不活性なふるい様メッシュを通して、押し出された脂質リッチなプラーク物質を捕捉する。メッシュの孔は大きく、顕微鏡によって、それらの孔が、血球の流れも血小板の流れも遮断せず、しかし大きな脂質小球を捕捉することが確認される。介入の時にAngiogard中に捕捉された物質は、分析され、プラーク物質中の脂質種が決定された。図8は、Angiogardから回収されるプラーク物質中の、LC/ESI/MS/MS法によって定量される、複数の異なる脂質酸化産物のレベルを示す。比較のために、本発明者らは、心臓移植ドナーからの器官採取の時に回収された、正常な大動脈内膜中の、同じ酸化された脂質のレベルもまた評価した。モニターした、F2−イソプロスタンおよびHETE各々における劇的な増加を観測した。Angiogard中に捕捉されたプラーク物質の分析によって、複数の異なるoxPC種の検出もまた確認された(データは示さず)。
(A.ジチロシンおよびニトロチロシン)
身体サンプルにおけるジチロシンレベルおよびニトロチロシンレベルは、そのようなチロシン種と反応性であるモノクローナル抗体を使用して、決定され得る。例えば、抗ニトロチロシン抗体が、標準的手順を使用して生成および標識され得、その後、そのサンプルにおける遊離ニトロチロシンまたはペプチド結合ニトロチロシンの存在を検出するために免疫アッセイにおいて使用され得る。適切な免疫アッセイとしては、例として、(固相および液相の両方の)ラジオイムノアッセイ、蛍光結合アッセイまたは酵素結合イムノソルベントアッセイが挙げられる。好ましくは、その免疫アッセイは、そのサンプル中に存在するチロシン種の量を定量するためにも使用され得る。
脂質酸化産物は、UV検出を用いるHPLCまたはオンライン質量分析法を用いるHPLCによって、測定され得る。他の分析法(GC/MS法および免疫細胞化学法を含む)もまた、使用され得る。F2−イソプロスタンが、当該分野で公知である種々の質量分析法技術によって測定可能である。
357→313の遷移をモニターする。
ODS C18カラム上で分離される。溶出勾配は、91:9のアセトニトリル:水+0.1%ギ酸塩(v:v)からなった。カラムは、実行の間に、アセトニトリル+0.1%ギ酸塩で洗浄される。カラム溶出物は、分離され(UV検出器に900μl/分、そして質量検出器に100μl/分)、そして選択されたイオンモニタリングを用いて陽イオンモードでの大気圧化学イオン化(APCI)によってイオン化される。7−OHコレステロールの同定は、m/z 385.3を有するイオン(M−H2O)+およびm/z 367.3を有するイオン(M−2H2O)+の同時移動を、真正標準物として同じ保持時間を用いて示すことによって、実施される。m/z 367.3でモニターされるピークについてのイオン電流の積分面積が、定量のために使用される。7−OOHコレステロールの同定は、m/z 401.3を有するイオン(M−H2O)+、m/z 383.3を有するイオン(M−2H2O)+およびm/z 367.3を有するイオン(M−H2O2)+の同時移動を、真正標準物として同じ保持時間を用いて示すことによって、実施される。m/z 401.3でモニターされるピークについてのイオン電流の積分面積が、定量のために使用される。7−ケトコレステロールの同定は、m/z 401.3を有するイオン(M+H)+およびm/z 383.3を有するイオン(M−H2O)+の同時移動を、真正標準物として同じ保持時間を用いて示すことによって、実施される。m/z 401.3でモニターされるピークについてのイオン電流の積分面積が、定量のために使用される。真正7−OHコレステロール、7−OOHコレステロール、および7−ケトコレステロールを用いて構築された外部較正曲線が、標準物添加法により得られる結果と同一の結果を示す予備APCI LC/MS実験の後に、定量のために使用される。25−OHコレステロールについての保持時間、5,6α−エポキシドについての保持時間、5,6β−エポキシドについての保持時間、およびトリオールについての保持時間が、真正標準物のLC/MS分析によって測定される。
試験被験体から得られた身体サンプル中の、MPO量のレベル、MPO活性のレベル、または選択した、MPOにより生成される酸化産物のレベルを、予め決定された値と比較し得る。この予め決定された値は、一般集団またはヒト被験体の選択した集団から得られる匹敵するサンプル中の、MPO活性のレベル、MPO量のレベル、または選択したMPOにより生成される酸化産物のレベルに基づく。例えば、選択した集団は、明らかに健康な被験体から構成され得る。「明らかに健康な」とは、本明細書中で使用される場合、アテローム性動脈硬化症の存在を示す徴候または症状(例えば、狭心症)、急性有害心臓血管事象(例えば、心筋梗塞または発作)の病歴、診断画像方法(冠動脈造影が挙げられるがこれに限定されない)によるアテローム性動脈硬化症の徴候(evidence)のいずれも以前に有していない個体を意味する。明らかに健康な個体はまた、その他にも疾患の症状を示さない。言い換えると、このような個体は、医学の専門家によって試験された場合、健康でかつ疾患の症状がないものとして特徴付けられる。
各危険予測因子(例えば、個体の身体サンプル中の、MPO活性、MPO量および選択したMPOにより生成される酸化産物)のレベルは、単一の予め決定された値または予め決定された値の範囲と比較され得る。試験被験体の身体サンプル中の提示される危険予測因子のレベルが、この予め決定された値または予め決定された値の範囲よりも高い場合、この試験被験体は、この予め決定された値または予め決定された値の範囲に匹敵するかまたはそれよりも低いレベルを有する個体よりも、CVDを発病するかまたはCVDを有する危険性が高い。対照的に、試験被験体の身体サンプル中の、提示される危険予測因子のレベルが、この予め決定された値または予め決定された値の範囲よりも低い場合、この試験被験体は、この予め決定された値または予め決定された値の範囲に匹敵するかまたはそれよりも高いレベルを有する個体よりも、CVDを発病するかまたはCVDを有する危険性が低い。例えば、この予め決定された値と比較して、高いレベルのMPO活性またはMPO量を伴う、より多数の好中球または単球またはそれら両方を有する試験被験体は、心臓血管疾患を発病する危険性が高く、そして、この予め決定された値と比較して、減少したレベルまたは低いレベルのMPO活性またはMPO量を伴う、より少数の好中球または単球またはそれら両方を有する試験被験体は、心臓血管疾患を発病する危険性が低い。試験被験体の危険予測因子レベルと予め決定された値との間の差異の程度はまた、危険性の程度を特徴付けるために有用であり、それによって、どの個体が、特定の積極的治療から最も大きい利益を得るか否かが決定される。これらの場合において、予め決定された値の範囲が複数の集団に分けられる(例えば、高い危険性、平均的な危険性、および低い危険性の個体に対する予め決定された値の範囲)場合、この比較は、どの集団が試験被験体の関連した危険予測因子のレベルを低下させるかを決定することを含む。
提示される診断試験はまた、CVDを有するかまたはCVDを発病する危険性を有する患者として診断された患者に対するCVD治療剤の効果を評価するために有用である。このような治療剤としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:抗炎症剤、インスリン感作剤、抗高血圧剤、抗血栓剤、抗血小板剤、線維素溶解性剤、脂質低下剤、直接型トロンビンインヒビター、ACATインヒビター、CDTPインヒビターチオグリチゾン、およびグリコプロテインIIb/IIIaレセプターインヒビター。このような評価は、治療剤を投与する前に被験体から得られる身体サンプル、および治療剤を投与した後に被験体から得られる、対応する体液中の、1つ以上の提示される危険予測因子(MPO活性、MPO量、選択したMPOにより生成される酸化産物、およびそれらの組み合わせを含む)のレベルを決定することを含む。治療剤を投与する前に得られるサンプルにおける選択された危険因子のレベルと比較して、治療剤を投与した後に得られるサンプルにおける選択された危険因子のレベルの低下は、処置される被験体における心臓血管疾患に対するこの治療剤のポジティブな効果を示している。
以下の実施例は、例示の目的のみであり、添付の特許請求の範囲を制限することを意図しない。
(方法)
研究集団:ロジスティック回帰検出力演算(logistic regression
power calculation)(等サイズ群を仮定する)に基づいて、高MPO(上方の四分位数)について少なくとも2.0の統計学的に有意な確率比を検出するために80%検出力(α=0.05)を提供するのに、326人の患者が必要とされた。被験体(n=333)をCardiology Department of the Cleveland Clinic Foundation内での2つの実施基準から同定した。まず、85人の一通りの連続した患者を、Preventive Cardiology Clinicから登録した。同時に、125人の連続した患者を、カテーテル処置実験所(catheterization laboratory)から登録した。この一続きのCAD罹患率に基づいて、116人のさらなるコントロール被験体の必要性が決定された。その前の6ヶ月にわたるカテーテル処置の際に有意なCADを有さない全ての患者をカテーテル処置データベースから同定し、次いで140を、無作為に(郵便番号/電話番号に基づいて)選択し、MPO測定に参加するよう要請した。CADを、書類に示された心筋梗塞、先の冠動脈血管再生介入(coronary revascularization intervention(CABGまたは経皮冠動脈介入(coronary intervention))の履歴によって、または心臓カテーテル処置の間に同定された1つ以上の冠動脈における50%以上の狭窄の存在として定義した。CAD群の排除基準は、登録前3ヶ月内の急性冠動脈事象、末期腎疾患、および骨髄移植であった。コントロール群は、有意なCADの形跡を示さなかった、診断冠動脈造影を受けた被験体からなった。コントロール被験体の排除基準は、50%以上の狭窄を有する1つ以上の冠血管、心臓弁疾患、左心室機能不全、末期腎疾患、骨髄移植、または履歴および検査によって示されるような感染症または活動性の炎症性疾患の形跡であった。全ての患者は、45歳以上であり、無熱であった。臨床履歴は、真性糖尿病、過去および現在の喫煙歴、高血圧、および第一親等がCAD(男性は50歳まで、および女性は60歳まで)を有するか否かについて評価した。研究プロトコルおよび承諾形式は、Cleveland
Clinic Foundation Institutional Review Boardによって認可され、そして十分な認識に基づいた、かつ書面による承諾を全ての被験体から得た。サンプルは記号化して、匿名であることを確実にし、そして全ての分析を盲験式に実施した。
PBS(pH7.2)中)することにより作製した。プレートを洗浄し、そしてサンドイッチELISAをヒトMPOに対するアルカリホスファターゼ標識抗体を用いて白血球溶解物に対して実施した。MPO量を、記載のように白血球から精製した既知量のヒトMPOで作成した標準曲線に基づいて計算した(Hazen,S.L.ら、J.Biol.Chem.271:1861−1867)。単離されたMPOの純度を、RZが0.87(A430/A280)であること、SDS PAGE分析、およびゲル中テトラメチルベンジジンペルオキシダーゼ染色を示すことにより確立した(Podrez,E.A.ら、J.Clin.Invest 103:1547−1560)。酵素濃度を89,000M−1cm−1/ヘムの吸光係数を利用して分光光度的に決定した。
患者個体群統計学:本研究に参加した被験体の臨床特性および生化学的特性を表1に示す。CADを有する被験体は、より年長であり、どちらかといえば男性であり、そしてどちらかといえば糖尿病、高血圧、および喫煙の履歴を有する傾向がある。CAD被験体はまた、増加した空腹時トリグリセリドレベル、脂質低下投薬(主としてスタチン)、アスピリンおよび他の心血管投薬の使用の増加を示した。他の研究と一致して、Framingham Global Risk Score、絶対好中球数、およびWBCは、CADを有する被験体において有意に増加した(それぞれに対してp<0.001;表1)。
白血球−MPO、血液−MPOおよび白血球数対冠動脈疾患の罹患率の層化:より高いレベルのMPOを有する個体がより高いCADの罹患率を有するという仮説を検定するために、本発明者らは、好中球を単離し、それらのMPO含有量を測定した。好中球タンパク質1mg当たりのMPO活性(白血球−MPO)は、CAD状態によって有意に異なった。CAD患者については18.1U/mgであるのに対してコントロール被験体については13.4U/mgのメジアンであった(p<0.001(トレンドについて、および差異について;図1)。コーホート全体についての四分位数による白血球−MPOレベルの層化は、CAD状態と正の相関を示した(p<0.001(トレンドについて))。最も高い四分位数における個体が、最も高い危険を有する(OR(CI)、8.8(4.4−17.5);表2)。その触媒活性により白血球MPO含有量を定量すること(すなわち、機能的アッセイ)に加えて、本発明者らは、独立して、酵素結合免疫吸着アッセイを用いて被験体の無作為なサブセット(n=111)における好中球当たりのMPO量を定量した。このアッセイから観察された結果は、活性測定値(データは示さず)と有意に相関した(r=0.95)。白血球−MPOの二番目および三番目の四分位数におけるCAD率が匹敵するようであるので(表2)、それらを全てのさらなる解析のために合わせた。そしてこれを、単変量モデルおよび多変量モデルにおける中央範囲レベルと称する。他の研究において見られたように、Framingham Global Risk ScoreおよびWBCは、同様に、CAD率と正の相関を示した(表2)。
ミエロペルオキシダーゼレベル、白血球数およびフラミンガム総体危険度スコア(Framingham Global Risk Score)に従う冠動脈疾患有病率の確率比
1.
2)四分位数
血中のMPOの総含有量は、白血球あたりのMPOレベルおよび白血球の総数の両方に依存する。好中球は、血中の>95%のMPO含量を有するので、本発明者らは、好中球あたりのMPO含量を、好中球の絶対数と掛けることにより、血液1mlあたりのMPOレベル(血液−MPO)を見積もった。CADの比率は、血液−MPO四分位数(quartile)と正に相関していた(トレンド(trend)についてp<0.001;図9、表2)。
伝統的CAD危険因子と白血球−MPOとの間の可能な相関を、次に評価した。白血球−MPOレベルは、年齢、性別、糖尿病、高血圧、喫煙(過去または現在)、WBC、トリグリセリドLDLcおよびフラミンガム総体危険度には依存していなかった。白血球−MPOと、総コレステロール(r=−0.15、p=0.005)およびHDLc(r=−0.14、p−0.01)の両方との間の弱い負の相関が観察された。白血球−MPOと好中球絶対数(r=0.20、p<0.001)とCADの家族歴(メジアン白血球−MPO=15.9(家族歴有りの場合)対14.1(家族歴なしの場合)p=0.05)との間に正の関係が見られた。同様の相関が血液−MPOについて示された。
白血球が正常レベルより高いかまたは低いMPOを有する患者由来の血液サンプルを、フローサイトメトリーにより分析した。各患者からの全血を、血液分析機(Bayer製Advia 120)に注入した。この分析機は、インサイチュ細胞化学的ペルオキシダーゼ染色に基づいて白血球を同定する。この機器において、全血は、最初に溶解され、インタクトなWBCがホルムアルデヒドを用いて加熱/固定される。次いで、ペルオキシダーゼ基質(過酸化水素および発色団)を、白血球と共にインキュベートし、そして得られた染色された細胞をフローサイトメトリーにより調べる(サンプルの注入からサイトグラム(cytogram)が得られるまでの間に全部で20秒間)。その結果を図11に示す。異なる色で示された細胞のクラスターは、以下を指す:1)紫色−好中球;2)緑色−単球;3)暗青色−リンパ球;4)黄色−好酸球;5)青緑色−染色されない大細胞;6)白色−RBC ゴースト/ノイズ。これらのデータに基づいて、総白血球数(WBC)および差(好中球、単球、好酸球およびリンパ球の%分布)を示す。
タンパク質結合ジチロシンのレベルを、CADを有する112人の個体および128人の明らかに健康なコントロール被験体由来の血液サンプルにおいて測定した。これらのレベルを、オンライン蛍光検出を備えたHPLCにより測定し、そして合成ジチロシンを用いて生成した外部較正曲線を使用して定量した。結果を、オンラインダイオードアレイ検出を備えたHPLCにより同時に定量された前駆体アミノ酸(チロシン)の含量に対して正規化した。これらの結果は、CADを有する被験体が、年齢および性別の同じ健常被験体由来の血清中で観察されるレベルよりも、高レベル(50%の増加、CAD対健常被験体の比較についてP<0.001)のジチロシンを血清中に有することを実証した。
タンパク質結合3−ニトロチロシンのレベルを、実施例3と同じ被験体(CADを有する112人の個体および明らかに健康な128人のコントロール被験体を試験した)由来の血液サンプルにおいて測定した。ニトロチロシンレベルを、安定同位体希釈技術を使用してオンラインエレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析法(LC/ESI/MS/MS)を用いるHPLCにより測定した。結果を、前駆体アミノ酸(チロシン)の含量に対して正規化した(チロシンの含量は、安定同位体希釈LC/ESI/MS/MS)により同時に定量した。これらの結果は、CADを有する被験体が、年齢および性別の一致する健常被験体よりも、高いレベルの血清中ニトロチロシン(2.8倍増加、CAD対健常被験体の比較に関してP<0.001)を有することを実証した。
HETE、HODE、およびF2イソプロスタンのレベルを、実施例3の被験体と同じ被験体由来の血液サンプルで測定した。CADを有する112人の個体および明らかに健康な128人のコントロール被験体を調べた。脂質を、オンラインエレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析法(LC/ESI/MS/MS)を用いるHPLCにより測定した。結果を、前駆体脂質(HETEおよびF2イソプロスタンについてはアラキドン酸、ならびにHODEについてはリノール酸)の含量に対して正規化した。この前駆体脂質の含量を、LC/ESI/MS/MSにより同時に定量した。これらの結果は、CADを有する被験体が、年齢および性別の一致する健康な被験体よりも、高レベルな血漿中の各酸化産物を有していることを実証した。F2イソプロスタンレベルは、CADを有していない被験体に対してCADを有している被験体から得られた血漿において80%高かった(P<0.001);HETEおよびHODEのレベルは、CADを有していない被験体に対してCADを有する被験体において60%高かった(P<0.001)。
MPOにより生成されることが示された以下のリン脂質酸化産物のレベルを、CADを有する25人の被験体および明らかに健康な12人のコントロール被験体由来の血液サンプルにおいて測定した:G−PCおよびND−PC(2−lysoPCの、グルタル酸モノエステルおよびノナン二酸モノエステル);HDdiA−PCおよびHOdiA−PC(2−lysoPCの、9−ヒドロキシ−10−ドデセン二酸エステルおよび5−ヒドロキシ−8−オキソ−6−オクテン二酸エステル);HODA−PCおよびHOOA−PC(2−lysoPCの、9−ヒドロキシ−12−オキソ−10−ドデセン酸エステルおよび5−ヒドロキシ−8−オキソ−6−オクテン酸エステル);KODA−PCおよびKOOA−PC(2−lysoPCの、9−ケト−12−オキソ−10−ドデセン酸エステルおよび5−ケト−8−オキソ−6−オクテン酸エステル);KDdiA−PCおよびKOdiA−PC(2−lysoPCの、9−ケト−10−ドデセン二酸エステルおよび5−ケト−6−オクテン二酸エステル);OV−PCおよびON−PC(2−lysoPCの、5−オキソ吉草酸エステルおよび9−オキソノナン酸エステル)。さらに、コレステロールα−エポキシド(5−コレステン−5α,6αエポキシ−3β−オール);コレステロールβ−エポキシド(5−コレステン−5β,6β−エポキシ−3β−オール);7−OHコレステロール(5−コレステン−3β,7β−ジオール);25−OHコレステロール(5−コレステン−3β,25−ジオール);7−OOHコレステロール(5−コレステン−3β−オール−7β−ヒドロペルオキシド);トリオール(コレスタン−3β,5α,6β−トリオール)のレベルを、CADを有する25人の被験体および明らかに健康な12人のコントロール被験体由来の血液サンプルにおいて測定した。脂質を、確立された方法を使用してオンラインエレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析法(LC/ESI/MS/MS)を用いるHPLCにより測定した。結果を、前駆体脂質(PAPC(1−ヘキサデカノイル−2−エイコサテトラ−5’,8’,11’,14’−エノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン;PLPC(1−ヘキサデカノイル−2−オクタデカジ−9’,12’−エノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン;またはコレステロール)の含量に対して正規化した。これらの前駆体脂質の含量は、LC/ESI/MS/MSにより同時に定量された。この結果は、CADを有する被験体が、年齢および性別の一致する健康な被験体よりも高いレベルの(脂質に依存して、50%〜4倍)血漿中の各リン脂質酸化産物を有することを実証した。
Claims (13)
- ヒト患者の、アテローム性動脈硬化症の心臓血管疾患を有する危険性を特徴付けるのを支援するための方法であって、該方法は、以下:
a)該ヒト患者由来の身体サンプル中の、1つ以上の選択されたミエロペルオキシダーゼ生成酸化産物のレベルを決定する工程であって、該身体サンプルは、血液、血清、血漿、またはこれらの任意の組み合わせであり、ここで、該選択されたミエロペルオキシダーゼ生成酸化産物の各々は、ニトロチロシン、およびMPO生成脂質過酸化産物からなる群より選択され、該MPO生成脂質過酸化産物は、ヒドロキシ−エイコサテトラエン酸(HETE);ヒドロキシ−オクタデカジエン酸(HODE)、F2イソプロスタン;2−lysoPCのグルタルモノエステルおよびノナン二酸モノエステル(それぞれ、G−PCおよびND−PC);2−lysoPCの9−ヒドロキシ−10−ドデセン二酸エステルおよび5−ヒドロキシ−8−オキソ−6−オクテン二酸エステル(それぞれ、HDdiA−PCおよびHOdiA−PC);2−lysoPCの9−ヒドロキシ−12−オキソ−10−ドデセン酸エステルおよび5−ヒドロキシ−8−オキソ−6−オクテン酸エステル(それぞれ、HODA−PCおよびHOOA−PC);2−lysoPCの9−ケト−12−オキソ−10−ドデセン酸エステルおよび5−ケト−8−オキソ−6−オクテン酸エステル(それぞれ、KODA−PCおよびKOOA−PC);2−lysoPCの9−ケト−10−ドデセン二酸エステルおよび5−ケト−6−オクテン二酸エステル(それぞれ、KDdiA−PCおよびKOdiA−PC);2−lysoPCの5−オキソ吉草酸エステルおよび9−オキソノナン酸エステル(それぞれ、OV−PCおよびON−PC);5−コレステン−5α,6α−エポキシ−3β−オール(コレステロールα−エポキシド);5−コレステン−5β,6β−エポキシ−3β−オール(コレステロールβ−エポキシド);5−コレステン−3β,7β−ジオール(7−OH−コレステロール);5−コレステン−3β,25−ジオール(25−OHコレステロール);5−コレステン−3β−オール−7β−ヒドロペルオキシド(7−OOHコレステロール);ならびにコレスタン−3β,5α,6β−トリオール(トリオール)からなる群より選択される、工程;ならびに
b)該ヒト患者由来の身体サンプル中の、該選択されたミエロペルオキシダーゼ生成酸化産物の各々のレベルを、健康なコントロール被験体から得られた匹敵する身体サンプル中の選択されたミエロペルオキシダーゼ生成酸化産物の測定から誘導される予め決定された値と比較する工程、
を包含し、
ここで、該比較は、該ヒト患者の、心臓血管疾患を有する危険性を特徴付けるための情報を提供する、
方法。 - 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記コントロール値が、1つの代表的な値であるか、または代表的な値の範囲であり、そして、健康なコントロール被験体由来の匹敵する身体サンプルにおける前記選択されたミエロペルオキシダーゼ酸化産物のレベルに基づく、方法。
- 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記コントロール値が、健康なコントロール被験体由来の匹敵する身体サンプルにおける前記選択されたミエロペルオキシダーゼ酸化産物のレベルに基づく、複数の予め決定されたMPO活性レベルの範囲であり、そして、
前記比較する工程は、該複数の予め決定された選択されたミエロペルオキシダーゼ生成酸化産物の範囲のうちのどれに、該ヒト被験体の選択されたミエロペルオキシダーゼ生成酸化産物のレベルが入るかを決定する工程を包含する、
方法。 - ヒト患者の、アテローム性動脈硬化症の心臓血管疾患を有する危険性を特徴付けるのを支援するための方法であって、該方法は、以下:
a)該ヒト患者由来の身体サンプル中の、ミエロペルオキシダーゼ活性のレベル、ミエロペルオキシダーゼ量のレベル、またはこれらの両方を決定する工程であって、該身体サンプルは、血液、血清、血漿、循環白血球、またはこれらの任意の組み合わせであり、該循環白血球は、好中球、単球、好中球の亜集団、および単球の亜集団からなる群より選択される、工程;
b)該ヒト患者由来の身体サンプル中の、選択されたミエロペルオキシダーゼ生成酸化産物のレベルを決定する工程であって、ここで、該身体サンプルは、血液、血清、血漿、またはこれらの組み合わせであり、ここで、該選択されたミエロペルオキシダーゼ生成酸化産物は、遊離のニトロチロシン、ペプチド結合ニトロチロシン、およびMPO生成脂質過酸化産物からなる群より選択され、該MPO生成脂質過酸化産物は、ヒドロキシ−エイコサテトラエン酸(HETE);ヒドロキシ−オクタデカジエン酸(HODE)、F2イソプロスタン;2−lysoPCのグルタルモノエステルおよびノナン二酸モノエステル(それぞれ、G−PCおよびND−PC);2−lysoPCの9−ヒドロキシ−10−ドデセン二酸エステルおよび5−ヒドロキシ−8−オキソ−6−オクテン二酸エステル(それぞれ、HDdiA−PCおよびHOdiA−PC);2−lysoPCの9−ヒドロキシ−12−オキソ−10−ドデセン酸エステルおよび5−ヒドロキシ−8−オキソ−6−オクテン酸エステル(それぞれ、HODA−PCおよびHOOA−PC);2−lysoPCの9−ケト−12−オキソ−10−ドデセン酸エステルおよび5−ケト−8−オキソ−6−オクテン酸エステル(それぞれ、KODA−PCおよびKOOA−PC);2−lysoPCの9−ケト−10−ドデセン二酸エステルおよび5−ケト−6−オクテン二酸エステル(それぞれ、KDdiA−PCおよびKOdiA−PC);2−lysoPCの5−オキソ吉草酸エステルおよび9−オキソノナン酸エステル(それぞれ、OV−PCおよびON−PC);5−コレステン−5α,6α−エポキシ−3β−オール(コレステロールα−エポキシド);5−コレステン−5β,6β−エポキシ−3β−オール(コレステロールβ−エポキシド);5−コレステン−3β,7β−ジオール(7−OH−コレステロール);5−コレステン−3β,25−ジオール(25−OHコレステロール);5−コレステン−3β−オール−7β−ヒドロペルオキシド(7−OOHコレステロール);ならびにコレスタン−3β,5α,6β−トリオール(トリオール)からなる群より選択され、該身体サンプルは、血液、血清、血漿、またはこれらの組み合わせである、工程;
c)該ヒト患者由来の身体サンプル中の、ミエロペルオキシダーゼ活性のレベル、ミエロペルオキシダーゼ量のレベル、またはこれらの両方のそれぞれを、コントロール被験体の集団から得られた匹敵する身体サンプル中の、該MPO活性のレベルまたは該MPO量のレベルに基づく第一のコントロール値と比較する工程;ならびに
d)該身体サンプル中の、該選択されたミエロペルオキシダーゼ生成酸化産物のレベルを、コントロール被験体の集団から得られた匹敵する身体サンプル中の、該MPOの生成酸化産物のレベルに基づく第二のコントロール値と比較する工程、
を包含し、
ここで、工程cおよび工程dの比較は、該ヒト患者の、心臓血管疾患を有する危険性を特徴付けるための情報を提供する、
方法。 - 心臓血管疾患を有すると疑われる被験体または心臓血管疾患を有する被験体におけるアテローム性動脈硬化症の心臓血管疾患のための治療剤を評価するのを支援するための方法であって、該方法は、
該治療剤での処置後の被験体から採取された身体サンプル中の1つ以上の選択されたMPO生成酸化産物のレベルを、該治療剤での処置前の該被験体から採取された対応する身体サンプル中の1つ以上の選択されたMPO生成酸化産物のレベルと比較する工程であって、ここで、該身体サンプルは、血液、血清、血漿、またはこれらの組み合わせであり、ここで、該MPO生成酸化産物は、遊離のニトロチロシン、ペプチド結合ニトロチロシン、またはMPO生成脂質過酸化産物であり、該MPO生成脂質過酸化産物は、ヒドロキシ−エイコサテトラエン酸(HETE);ヒドロキシ−オクタデカジエン酸(HODE)、F2イソプロスタン;2−lysoPCのグルタルモノエステルおよびノナン二酸モノエステル(それぞれ、G−PCおよびND−PC);2−lysoPCの9−ヒドロキシ−10−ドデセン二酸エステルおよび5−ヒドロキシ−8−オキソ−6−オクテン二酸エステル(それぞれ、HDdiA−PCおよびHOdiA−PC);2−lysoPCの9−ヒドロキシ−12−オキソ−10−ドデセン酸エステルおよび5−ヒドロキシ−8−オキソ−6−オクテン酸エステル(それぞれ、HODA−PCおよびHOOA−PC);2−lysoPCの9−ケト−12−オキソ−10−ドデセン酸エステルおよび5−ケト−8−オキソ−6−オクテン酸エステル(それぞれ、KODA−PCおよびKOOA−PC);2−lysoPCの9−ケト−10−ドデセン二酸エステルおよび5−ケト−6−オクテン二酸エステル(それぞれ、KDdiA−PCおよびKOdiA−PC);2−lysoPCの5−オキソ吉草酸エステルおよび9−オキソノナン酸エステル(それぞれ、OV−PCおよびON−PC);5−コレステン−5α,6α−エポキシ−3β−オール(コレステロールα−エポキシド);5−コレステン−5β,6β−エポキシ−3β−オール(コレステロールβ−エポキシド);5−コレステン−3β,7β−ジオール(7−OH−コレステロール);5−コレステン−3β,25−ジオール(25−OHコレステロール);5−コレステン−3β−オール−7β−ヒドロペルオキシド(7−OOHコレステロール);ならびにコレスタン−3β,5α,6β−トリオール(トリオール)からなる群より選択される、工程、
を包含する、方法。 - 請求項5に記載の方法であって、前記治療剤を用いた処置後の被験体から採取された血液サンプル中の第2の危険予測因子のレベルを、処置後の該被験体から採取された対応する身体サンプル中の第2の危険因子のレベルと比較する工程であって、ここで、該第2の危険予測因子は、LDL、C−反応性タンパク質、総コレステロール、HDLコレステロール、トリグリセリド、LDL/HDL比、Lp(a)、インターロイキン6、およびホモシステインからなる群より選択される、工程、
をさらに包含する、方法。 - アテローム性動脈硬化症の心臓血管疾患を有する患者においてアテローム性動脈硬化症の血管疾患の進行のモニタリングを支援する方法であって、該方法は、以下:
初期に該患者から採取した身体サンプル中の、選択されたMPO生成酸化産物のレベルと、後の時点で該患者から採取した身体サンプル中の、選択されたMPO生成酸化産物のレベルとを比較する工程、
を包含し、
ここで、該MPO生成酸化産物は、遊離のニトロチロシン、ペプチド結合ニトロチロシン、またはMPO生成脂質過酸化産物であり、該MPO生成脂質過酸化産物は、ヒドロキシ−エイコサテトラエン酸(HETE);ヒドロキシ−オクタデカジエン酸(HODE)、F2イソプロスタン;2−lysoPCのグルタルモノエステルおよびノナン二酸モノエステル(それぞれ、G−PCおよびND−PC);2−lysoPCの9−ヒドロキシ−10−ドデセン二酸エステルおよび5−ヒドロキシ−8−オキソ−6−オクテン二酸エステル(それぞれ、HDdiA−PCおよびHOdiA−PC);2−lysoPCの9−ヒドロキシ−12−オキソ−10−ドデセン酸エステルおよび5−ヒドロキシ−8−オキソ−6−オクテン酸エステル(それぞれ、HODA−PCおよびHOOA−PC);2−lysoPCの9−ケト−12−オキソ−10−ドデセン酸エステルおよび5−ケト−8−オキソ−6−オクテン酸エステル(それぞれ、KODA−PCおよびKOOA−PC);2−lysoPCの9−ケト−10−ドデセン二酸エステルおよび5−ケト−6−オクテン二酸エステル(それぞれ、KDdiA−PCおよびKOdiA−PC);2−lysoPCの5−オキソ吉草酸エステルおよび9−オキソノナン酸エステル(それぞれ、OV−PCおよびON−PC);5−コレステン−5α,6α−エポキシ−3β−オール(コレステロールα−エポキシド);5−コレステン−5β,6β−エポキシ−3β−オール(コレステロールβ−エポキシド);5−コレステン−3β,7β−ジオール(7−OH−コレステロール);5−コレステン−3β,25−ジオール(25−OHコレステロール);5−コレステン−3β−オール−7β−ヒドロペルオキシド(7−OOHコレステロール);ならびにコレスタン−3β,5α,6β−トリオール(トリオール)からなる群より選択され、
該身体サンプルは、血液、血清、または血漿であり、
後の時点で該患者から採取した身体サンプル中の、選択されたMPO生成酸化産物のレベルにおける増加は、該疾患が悪化したことを示す、
方法。 - 患者における心筋梗塞、発作、狭心症、一過性脳虚血発作、うっ血性心不全またはこれらの任意の組み合わせを経験する危険性の評価を支援するための方法であって、該方法は、
胸痛を経験した患者由来の血液、血清、血漿、またはこれらの任意の組み合わせ中の、選択されたMPO生成酸化産物のレベルを決定する工程であって、該選択されたMPO生成酸化産物は、遊離のニトロチロシン、ペプチド結合ニトロチロシン、およびMPO生成脂質酸化産物であり、該MPO生成脂質酸化産物は、ヒドロキシ−エイコサテトラエン酸(HETE);ヒドロキシ−オクタデカジエン酸(HODE)、F2イソプロスタン;2−lysoPCのグルタルモノエステルおよびノナン二酸モノエステル(それぞれ、G−PCおよびND−PC);2−lysoPCの9−ヒドロキシ−10−ドデセン二酸エステルおよび5−ヒドロキシ−8−オキソ−6−オクテン二酸エステル(それぞれ、HDdiA−PCおよびHOdiA−PC);2−lysoPCの9−ヒドロキシ−12−オキソ−10−ドデセン酸エステルおよび5−ヒドロキシ−8−オキソ−6−オクテン酸エステル(それぞれ、HODA−PCおよびHOOA−PC);2−lysoPCの9−ケト−12−オキソ−10−ドデセン酸エステルおよび5−ケト−8−オキソ−6−オクテン酸エステル(それぞれ、KODA−PCおよびKOOA−PC);2−lysoPCの9−ケト−10−ドデセン二酸エステルおよび5−ケト−6−オクテン二酸エステル(それぞれ、KDdiA−PCおよびKOdiA−PC);2−lysoPCの5−オキソ吉草酸エステルおよび9−オキソノナン酸エステル(それぞれ、OV−PCおよびON−PC);5−コレステン−5α,6α−エポキシ−3β−オール(コレステロールα−エポキシド);5−コレステン−5β,6β−エポキシ−3β−オール(コレステロールβ−エポキシド);5−コレステン−3β,7β−ジオール(7−OH−コレステロール);5−コレステン−3β,25−ジオール(25−OHコレステロール);5−コレステン−3β−オール−7β−ヒドロペルオキシド(7−OOHコレステロール);ならびにコレスタン−3β,5α,6β−トリオール(トリオール)からなる群より選択される、工程;
該選択されたMPO生成酸化産物のレベルを、コントロール被験体から得られた血液、血清、または血漿中の、該MPO生成酸化産物のレベルに基づく予め決定された値と比較する工程;
を包含し、
ここで該MPO生成酸化産物のレベルが該予め決定された値より大きい患者は、心筋梗塞、発作、一過性脳虚血発作、うっ血性心不全またはこれらの任意の組み合わせを経験する危険性が、該MPO生成酸化産物のレベルが該予め決定された値以下である患者より大きい、
方法。 - ヒト患者の、アテローム性動脈硬化症の心臓血管疾患を発生させる危険性を特徴付けるのを支援するための方法であって、該方法は、以下:
a)該ヒト患者由来の身体サンプル中の、1つ以上の選択されたミエロペルオキシダーゼ生成酸化産物のレベルを決定する工程であって、ここで、該身体サンプルは、血液、血清、血漿、またはこれらの任意の組み合わせであり、ここで、該選択されたミエロペルオキシダーゼ生成酸化産物の各々は、ニトロチロシン、およびMPO生成脂質過酸化産物からなる群より選択され、該MPO生成脂質過酸化産物は、ヒドロキシ−エイコサテトラエン酸(HETE);ヒドロキシ−オクタデカジエン酸(HODE)、F2イソプロスタン;2−lysoPCのグルタルモノエステルおよびノナン二酸モノエステル(それぞれ、G−PCおよびND−PC);2−lysoPCの9−ヒドロキシ−10−ドデセン二酸エステルおよび5−ヒドロキシ−8−オキソ−6−オクテン二酸エステル(それぞれ、HDdiA−PCおよびHOdiA−PC);2−lysoPCの9−ヒドロキシ−12−オキソ−10−ドデセン酸エステルおよび5−ヒドロキシ−8−オキソ−6−オクテン酸エステル(それぞれ、HODA−PCおよびHOOA−PC);2−lysoPCの9−ケト−12−オキソ−10−ドデセン酸エステルおよび5−ケト−8−オキソ−6−オクテン酸エステル(それぞれ、KODA−PCおよびKOOA−PC);2−lysoPCの9−ケト−10−ドデセン二酸エステルおよび5−ケト−6−オクテン二酸エステル(それぞれ、KDdiA−PCおよびKOdiA−PC);2−lysoPCの5−オキソ吉草酸エステルおよび9−オキソノナン酸エステル(それぞれ、OV−PCおよびON−PC);5−コレステン−5α,6α−エポキシ−3β−オール(コレステロールα−エポキシド);5−コレステン−5β,6β−エポキシ−3β−オール(コレステロールβ−エポキシド);5−コレステン−3β,7β−ジオール(7−OH−コレステロール);5−コレステン−3β,25−ジオール(25−OHコレステロール);5−コレステン−3β−オール−7β−ヒドロペルオキシド(7−OOHコレステロール);ならびにコレスタン−3β,5α,6β−トリオール(トリオール)からなる群より選択される、工程;
b)該ヒト患者由来の身体サンプル中の、該選択されたミエロペルオキシダーゼ生成酸化産物の各々のレベルを、健康なコントロール被験体から得られた匹敵する身体サンプル中の選択されたミエロペルオキシダーゼ生成酸化産物の測定から誘導される予め決定された値と比較する工程であって、ここで該比較は、該ヒト患者の、心臓血管疾患を発生させる危険性を特徴付けるための情報を提供する、
方法。 - 前記患者のMPO活性のレベルまたはMPO量のレベルが、フローサイトメトリーを使用する方法によって決定される、請求項3または4に記載の方法。
- 前記試験被験体の身体サンプルにおけるミエロペルオキシダーゼ量のレベルが、免疫学的技術によって決定される、請求項4に記載の方法。
- アテローム性動脈硬化症の心臓血管疾患(CVD)を有する危険性があるか、アテローム性動脈硬化症のCVDを発症する危険性があるか、そして/または、心筋梗塞、発作、狭心症、一過性脳虚血発作および/もしくはうっ血性心不全を経験する危険性のある被験体を同定するためのキットであって、該キットは以下:
a)該被験体の血漿もしくは血清中のミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性のレベルを決定するための試薬
b)該被験体の血漿もしくは血清中のMPO量のレベルを決定するための試薬、および
c)MPO
を含む、キット。 - 前記被験体の血漿もしくは血清中のMPO量のレベルを決定するための試薬が、MPOに対する抗体を含む、請求項12に記載のキット。
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