JP4062514B2 - ミエロペルオキシダーゼ、心臓血管疾患についての危険性指示因子 - Google Patents

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本願は、米国仮出願60/259,340(2001年1月2日出願)および米国仮出願60/283,432(2001年5月12日出願)(これら両方は、その全体が本明細書中で援用される)の優先権を主張する。
本願に記載される研究は、少なくとも部分的に、国立衛生研究所の助成番号RO1 HL62526−01により支援された。米国政府は、本発明において特定の権利を有する。
(背景)
本発明は、心臓血管疾患の分野に関する。より詳細には、本発明は、個体または試験被験体が、所定のヒト被験体集団中の他の個体よりも、心臓血管疾患を発症するかまたは心臓血管疾患を有する危険性が低いかまたは高いかを決定するために使用され得る、診断試験に関する。
心臓血管疾患(CVD)は、心臓および血管の疾患についての一般的な用語であり、これにはアテローム性動脈硬化症、冠動脈心臓疾患、脳血管疾患、および末梢血管疾患が挙げられる。心臓血管障害は、CVDの急性症状であり、これには心筋梗塞、発作、狭心症、一過性脳虚血発作、およびうっ血性心不全が挙げられる。CVDは、米国における死因の2分の1を占め、そして第1の致命的疾患である。従って、心臓血管疾患の予防は、主な公衆衛生の重要性の分野である。
低脂肪食および運動は、CVDを予防するために推奨されている。さらに、多数の薬物が、CVDを発症する危険性があることが知られているヒトに、医師により処方され得る。これには、コレステロールおよびトリグリセリドの血液レベルを減少させる脂質低下剤が挙げられる。血圧を正常化する薬剤は、高血圧の患者に使用される。血小板の活性化を防止する薬剤(例えば、アスピリン)もまた、CVDを発症する危険性のある患者に処方され得る。より積極的な治療(例えば、複数の薬剤の投与)は、危険性の高い個体に使用され得る。CVD治療は、有害な副作用を有し得るので、危険性のある個体、特にCVDを発症する危険性の高い個体を同定するための診断試験を有することが望ましい。
現在、いくつかの危険因子が、個体のCVDを発症する危険性を評価するためおよび高い危険性のある個体を同定するために、医師界のメンバーによって使用される。心臓血管疾患についての主な危険因子としては、高血圧、早期CVDの家族歴、喫煙、高い総コレステロール、低いHDLコレステロールおよび糖尿病が挙げられる。CVDについての主な危険因子は、付加的であり、そして代表的には、CVDの処置から恩恵を受ける可能性が最も高い個体を標的化するための危険予測アルゴリズムにおいて、医師によって一緒に使用される。これらのアルゴリズムは、10年以内の15%のCVDの危険性を予測するために、高い感度および特性を達成する。しかし、CVDを発症する高い可能性を予測する現在のアルゴリズムの能力は、制限されている。現在の危険因子のいずれも有さない個体の中で、10年以内にCVDを発症する危険性は、なおも約2%ある。さらに、現在公知の危険因子を使用して決定されるように、多数の心臓血管障害が、危険プロフィールを緩和する能力が明らかに低い個体において生じる。従って、CVDの危険性があるかまたはCVDに罹患したより広範な個体を同定するために、現在の心臓血管危険アルゴリズムを拡大する必要性がある。
アテローム性動脈硬化症のメカニズムは、十分には理解されていない。過去十年間にわたって、多量の臨床的、病理学的、生化学的および遺伝的データは、アテローム性動脈硬化症は慢性炎症性障害であるという概念を支持してきた。急性期反応物質(例えば、C反応性タンパク質、補体タンパク質)は、高感度であるが非特異的な炎症のマーカーであり、これは脂肪線条およびアテローム性動脈硬化症病変の後期において豊富に存在する。最近の見込みのある臨床試験において、C反応性タンパク質のベースライン血漿レベルは、明らかに健康な個体における初めての心筋梗塞および発作の危険性を、独立して予測した。米国特許第6,040,147号は、C反応性タンパク質、サイトカインおよび細胞接着分子を使用して、個体の心臓血管障害を発症する危険性を特徴付ける方法を記載する。有用であるが、これらのマーカーは、CVD以外の原因に起因する炎症を有する個体の血液において見出され得、従って、これらのマーカーは、高度には特異的ではない。
従って、個体の、心臓血管疾患を発症するかまたは心臓血管疾患を有する危険性を特徴付けるためのさらなる診断試験の必要性がなお存在する。従来のCVD危険因子(例えば、LDLレベル)に対して非依存性の危険因子を用いる診断試験が、特に望ましい。
(発明の要旨)
本発明は、個体の、心臓血管疾患を発症するかまたは心臓血管疾患を有する危険性を特徴付けるための新規な診断試験を提供する。本発明の試験は、非常に積極的なCVD治療を必要とする個体、およびCVDの予防の際に標的化される治療を必要としない個体を同定するために、特に有用である。本発明の診断試験は、冠動脈疾患(CAD)を有する患者が、血管造影的に有意なCADを有さない被験体よりも有意に高いレベルの白血球および血液ミエロペルオキシダーゼ(MPO)レベルを有するという発見に基づく。CAD患者および非CAD患者における白血球−MPOレベルは、年齢、性別、糖尿病、高血圧、喫煙(これまでの喫煙または現在の喫煙)、WBC数、LDL−C、トリグリセリドおよびFramingham Global Risk Scoreに対して非依存性であることもまた発見された。従って、本発明の診断試験(これは、試験被験体由来の血液サンプルまたはその誘導体中の、MPO活性のレベル、MPO量のレベル、または選択されたMPO生成酸化産物のレベルを評価する工程を包含する)は、医師により現在用いられる臨床的および診断的危険因子を用いた場合に観察される予測値を超える付加的な予測値を提供する。
1つの局面において、本発明の診断試験は、個体または試験被験体から得られた身体的サンプル中のMPO活性のレベルを決定する工程を包含する。この身体的サンプルは、血液またはその誘導体であり、これには白血球、好中球、単球、血清または血漿が挙げられるが、これらに限定されない。次いで、この試験被験体由来の身体的サンプル中のMPO活性のレベルは、一般的なヒト被験体集団または選択されたヒト被験体集団から得られた匹敵する身体的サンプル中のMPO活性の測定から誘導される予め決定された値と比較される。このような比較は、試験被験体のCVDを発症する危険性を特徴付ける。例えば、MPO活性の血液レベルが予め決定された値よりも高い試験被験体は、血液MPO活性レベルが予め決定された値以下の個体よりも、CVDを発症するかまたはCVDを有する危険性が高い。さらに、試験被験体のMPO活性レベルと予め決定された値との間の差異の程度はまた、この危険性の程度を特徴付け、それによりどの被験体が特定の治療から最も良く恩恵を受けるかを決定するために、有用である。
別の局面において、この診断試験は、試験被験体から得られた身体的サンプル中のMPO量のレベルを決定する工程を包含する。この身体的サンプルは、血液またはその誘導体であり、これには白血球、好中球、単球、血清または血漿が挙げられるが、これらに限定されない。次いで、この試験被験体由来の身体的サンプル中のMPO量のレベルは、健康なコントロールから得られた匹敵する身体的サンプル中のMPO量の測定から誘導される予め決定された値と比較される。このような比較は、この試験被験体のCVDを発症する危険性を特徴付ける。
別の局面において、この診断試験は、試験被験体から得られた身体的サンプル中の1つ以上の選択したMPO生成酸化産物のレベルを決定する工程を包含する。この選択したMPO生成酸化産物は、ジチロシン、ニトロチロシン、メチオニンスルホキシド、およびMPO生成脂質過酸化産物である。好ましいMPO脂質過酸化産物は、ヒドロキシ−エイコサテトラエン酸(HETE);ヒドロキシ−オクタデカジエン酸(HODE);F2イソプロスタン;2−lysoPCのグルタル酸モノエステル(glutaric monoester)およびノナン二酸モノエステル(nonanedioic monoester)(それぞれ、G−PCおよびND−PC);2−lysoPCの9−ヒドロキシ−10−ドデセン二酸エステルおよび5−ヒドロキシ−8−オキソ−6−オクテン二酸エステル(それぞれ、HDdiA−PCおよびHOdiA−PC);2−lysoPCの9−ヒドロキシ−12−オキソ−10−ドデセン酸エステルおよび5−ヒドロキシ−8−オキソ−6−オクテン酸エステル(それぞれ、HODA−PCおよびHOOA−PC);2−lysoPCの9−ケト−12−オキソ−10−ドデセン酸エステルおよび5−ケト−8−オキソ−6−オクテン酸エステル(それぞれ、KODA−PCおよびKOOA−PC);2−lysoPCの9−ケト−10−ドデセン二酸エステルおよび5−ケト−6−オクテン二酸エステル(それぞれ、KDdiA−PCおよびKOdiA−PC);2−lysoPCの5−オキソ吉草酸エステルおよび9−オキソノナン酸エステル(それぞれ、OV−PCおよびON−PC);5−コレステン−5α,6α−エポキシ−3β−オール(コレステロールα−エポキシド);5−コレステン−5β,6β−エポキシ−3β−オール(コレステロールβ−エポキシド);5−コレステン−3β,7β−ジオール(7−OH−コレステロール);5−コレステン−3β,25−ジオール(25−OHコレステロール);5−コレステン−3β−オール−7β−ヒドロペルオキシド(7−OOHコレステロール);ならびにコレスタン−3β,5α,6β−トリオール(トリオール)である。身体的サンプルは、血液、尿または血液誘導体であり、これには白血球、好中球、単球、血清または血漿が挙げられるが、これらに限定されない。次いで、試験被験体由来の身体的サンプル中の選択したMPO生成酸化産物のレベルが、健康なコントロールから得られた匹敵する身体的サンプル中の選択されたMPO生成酸化産物の測定から誘導される予め決定された値と比較される。このような比較は、この試験被験体のCVDを発症する危険性を特徴付ける。
急性の有害な心臓血管事象(例えば、心筋梗塞または虚血性発作)をすでに経験した個体について、本発明の診断試験はまた、このような個体の再発事象を有する危険性を評価するために有用である。従って、本発明はまた、被験体におけるCVDの状態を長時間にわたってモニタリングするための方法を提供する。この方法は、初期に被験体から採取した身体的サンプル、および後の時点でこの被験体から採取した対応する身体的流体において、1つ以上の当該危険因子(MPO活性、MPO量、選択したMPO生成酸化生成物およびその組み合わせを含む)のレベルを決定する工程を包含する。後の時点で採取した身体的流体由来の当該危険因子のレベルの、初期と比較した場合の増加は、被験体の将来心臓血管事象/障害を有する危険性が増加したことを示す。後の時点で採取した身体的流体由来の当該危険因子のレベルの、初期と比較した場合の減少は、被験体の心臓血管事象を有する危険性が減少したことを示す。
別の局面において、本発明は、心臓血管疾患を有することが疑われるかまたは心臓血管疾患を有する被験体における治療を評価するための方法を提供する。この方法は、治療前の被験体から採取した身体的サンプルおよび治療中または治療後の被験体から採取した対応する身体的流体において、1つ以上の当該危険因子(MPO活性、MPO量、選択したMPO生成酸化産物およびそれらの組み合わせを含む)のレベルを決定する工程を包含する。治療後または治療中に採取したサンプルにおける選択した危険因子のレベルの、治療前に採取したサンプルにおける選択した危険因子のレベルと比較した場合の減少は、処置された被験体における心臓血管疾患に対するポジティブな治療効果の指標である。
(発明の詳細な説明)
本明細書中に引用されるすべての参考文献は、本明細書中において参考として具体的に援用される。
本発明は、CVDを発症する個体の危険性またはCVDを有する個体の危険性を特徴付けるための診断試験を提供する。1つの局面において、この方法は、個体から得た身体サンプル中におけるMPO活性のレベルを得る工程を包含する。別の局面において、この方法は、個体由来の身体サンプル中のMPO量のレベルを得る工程を包含する。別の局面において、この方法は、個体または試験被験体由来の身体サンプル中の1つ以上の選択MPO生成酸化生成物のレベルを得る工程を包含する。このようなMPO生成酸化生成物は、ジチロシン、ニトロチロシン、メチオニンスルホキシドおよび脂質過酸化生成物からなる群より選択される。なお別の局面において、この方法は、MPO活性、もしくはMPO量、またはその両方のレベル、および個体から得られた身体サンプル中の1つ以上の選択MPO生成酸化生成物のレベルを得る工程を包含する。
次いで、MPO活性もしくはMPO量または個体の身体サンプル中の選択MPO生成酸化生成物のレベルを、予め決定された値と比較して、CVDを発症する個体の危険性またはCVDを有する個体の危険性を特徴付ける危険値を提供する。
本発明はまた、MPO活性、もしくはMPO量、または選択MPO生成酸化生成物についてのアッセイを含むキットに関連する。このようなアッセイは、本発明の診断方法に基づいて選択された予め決定された値に関して、適切な感受性を有する。本発明のキットは、例えば、アッセイの結果に基づいて危険を特徴付けるための、異なるカットオフ、特定のカットオフにおける異なる感受性、ならびに使用説明所または他の印刷物を含むことによって、MPOについて現在市販のキットとは異なる。
(身体サンプルの調製)
標準的診断手順を使用して、全血は個体または試験被験体から得られる。血漿は、抗凝固化血液の遠心分離によって全血サンプルから得られる。このようなプロセスは、白血球成分のバフィコートおよび血漿の上清を提供する。
血清は、抗凝固剤を含まない管中に収集された全血サンプルの遠心分離によって収集される。血液は、遠心分離の前に凝固し得る。遠心分離によって得られる黄色−赤色の流体が血清である。
白血球は、以下の実施例における記載のような浮遊密度遠心分離を含む、種々の技術のいずれかによって全血サンプルから単離され得る。
(ミエロペルオキシダーゼおよびミエロペルオキシダーゼ生成酸化生成物)
MPO(ドナー:過酸化水素、オキシドレダクターゼ、EC 1.11.1.7)は、約150kDaの、4量体の重グリコシル化塩基性(PI.10)ヘムタンパク質である。これは、2つの同一なジスルフィド連結プロモーターから構成され、これらのそれぞれは、プロトポルフィリン含有59〜64kDa重サブユニットおよび14kDa軽サブユニットを有する(Nauseef,W.M.ら、Blood 67:1504−1507;1986)。
MPOは、好中球および単球において豊富に存在し、それぞれ、これらの細胞の乾燥重量の5%、および1〜2%を占める(Nauseef,W.Mら、Blood 67;1504−1507;1986.,(Hurst,J.K.:Everse J.;Everse K.;Grisham M. B.編、Peroxidases in chemistry and biology 1st ed.Boca Raton:CRC Press;1991:37−62)。ヘムタンパク質は、白血球の一次アズール顆粒に保存され、そして種々のアゴニストによる食細胞活性化に続いて細胞外環境およびファゴリソソーム画分の両方に分泌される(Klebanoff,S.Jら、The neutrophil:functions and clinical disorders,Amsterdam:Elsevier Scientific Publishing Co.;1978)。免疫組織化学法は、MPOが、ヒトアテローム性動脈硬化損傷に存在することを実証した。しかし、MPOは、ヒトアテローム性動脈硬化症を有する個体由来の血液サンプル中において増加したレベルで存在することはまだ示されていない。
MPOについての現在提案されている実用の動力学モデルを、図1に示す。MPOは、複合体ヘムタンパク質であり、これは、複数の中間状態を有し、このそれぞれは、O およびHならびに酸化窒素(NO、一酸化窒素)のような還元酸素種の利用能によって影響される(Abu−Soud,H.M.ら、J.Biol.Chem.275:5425−5430;2000)。基底状態において、MPOは、第二鉄(Fe(III))形態で存在する。Hの添加において、MPOのヘム基は、2e当量酸化されて、化合物Iと呼ばれる反応性第二鉄πカチオンラジカル中間体を形成する。Cl、Br、およびIのようなハライド、ならびに偽ハライドチオシアネート(SCN)の存在下で、化合物Iは、単一の2e工程で容易に還元され、MPO−Fe(III)および対応する次亜ハロゲン酸(hypohalous acid)(HOX)を再生する。血漿レベルのハライドおよびチオシアネート(100mM Cl、100mM、Br、50mM SCN、100nM I)では、塩化物が好ましい基質であり、そして次亜塩素酸(HOCl)(強力な塩素化剤)が形成される(Foote,C.S.ら;.Nature 301:715−726;1983.,Weiss,S.J.ら、J.Clin.Invest.70:598−607;1982)。
化合物Iはまた、多数の有機基質を酸化し得、一方、ヘムは、2つの連続した1e還元工程を受け、それぞれ、化合物IIおよびMPO−Fe(III)を生成する(図1)。低分子量化合物は、主に、MPOに対する基質として役立ち、拡散可能な酸化剤およびフリーラジカル種を生成し、これらは、次いで、酸化電位のヘムを異なる標的に運び得る。ハライドおよびSCNに加えて、MPOについて天然に存在する基質のいくつかとしては、ニトライト(NO )(van der Vliet,A.ら、J.Biol.Chem.272:7617−7625;1997)、チロシン(van der Vliet,A.ら、J.Biol.Chem.272:7617−7625;1997)、アスコルベート(Marquez,L.A.ら、J.Biol.Chem.265:5666−5670;1990)、ウレート(Maehly,H.C.Methods Enzymol.2:798−801;1955)、カテコールアミン(Metodiewa,D.ら、Eur.J.Biochem.193:445−448;1990)、エストロゲン(Klebanoff,S.J.J.Exp.Med.145:983−998;1977)、およびセロトニン(Svensson,B.E.Chem.Biol.Interact.70:305−321;1989)が挙げられる。MPO−Fe(III)はまた、不活性な第1鉄形態、MPO−Fe(II)に還元され得る(Hurst,J.K.:Everse J.;Everse K.;Grisham M.B.編、Peroxidases in chemistry and biology 1st ed.Boca Raton:CRC Press;1991:37−62.,(Kettle,A.J.ら、Redox.Rep.3:3−15;1997)。MPO−Fe(III)およびMPO−Fe(II)は、O ・−、およびOにそれぞれ結合し、第二鉄ジオキシ中間体(化合物III(MPO−Fe(II)−O)を形成する(図1)。スペクトル研究は、化合物IIIに対するHの付加が、最終的に化合物IIを形成することを実証した。従って、化合物IIIは、1e過酸化反応を間接的に促進し得る。
近年の研究はNOの役割を同定し、このNOは、MPOペルオキシダーゼ活性を調節する際に、一酸化窒素シンターゼ(NOS)によって生成される比較的長命のフリーラジカルである(Abu−Soud,H.M.ら、J.Biol.Chem.275:5425〜5430;2000)。MPOおよびNOSの誘導可能なアイソフォームは、白血球の一次顆粒中に共存する。食細胞の活性化の間(例えば、細菌の摂取の間)、MPOおよびNOSは、ファゴリソソームおよび細胞外画分へ分泌され、そして、細菌タンパク質のニトロ化が観察される(Evans,T.J.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:9553〜9558;1996)。急速な速度論の研究は、低レベルのNOでは、基質のMPO触媒過酸化の初発速度が増強されるということを立証した。この機構は、MPO触媒作用中の律速工程である、化合物IIのMPO−Fe(III)への還元の加速化を介する(図1)(Abu−Soud,H.M.ら、J.Biol.Chem.275:5425〜5430;2000.、Abu−Soud,H.M.ら、Nitric oxide is a physiological substrate for mammalian animal peroxidases.投稿;2000)。より高いレベルのNOでは、MPOの可逆的阻害が、分光学的に識別可能なニトロシル複合体(MPO−Fe(III)−NO)の形成を介して生じる(Abu−Soud,H.M.ら、J.Biol.Chem.275:5425〜5430;2000)。NOはまた、MPO化合物Iのための基質として機能し得、化合物IIへの還元を生じる(Abu−Soud,H.M.ら、Nitric oxide is a physiological substrate for mammalian animal peroxidases.投稿;2000)。さらに、NOの存在下では、ペルオキシダーゼサイクルを介したMPOの全体の回転率が、約1000倍に増強される(Abu−Soud,H.M.ら、Nitric oxide is a physiological substrate for mammalian animal peroxidases.;2000)。最後に、NOはまた、対応するMPO−Fe(II)−NO中間体を形成するMPO−Fe(II)に可逆的に結合し得、この中間体は、MPO−Fe(II)およびMPO−Fe(III)−NOと平衡である(図1)(Abu−Soud,H.M.ら、J.Biol.Chem.275:5425〜5430;2000.、Abu−Soud,H.M.ら、Nitric oxide is a physiological substrate for mammalian animal peroxidases.投稿;2000)。
上記で記述したように、MPOは、中間物として反応性酸素を生成するために、Hとともに種々の補基質を利用し得る。これらの種によって生成された多くの安定な最終生成物は、特徴付けられ、そして、タンパク質中、脂質中およびLDL中(ヒトアテローム性動脈硬化型病巣より収集された)で濃縮されることが示された(Chisolm,G.M.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:11452〜11456;1994、Hazell,L.J.ら、J.Clin.Invest.97:1535〜1544;1996、Hazen、S.L.ら、J.Clin.Invest.99:2075〜2081;1997、Leeuwenburgh,C.ら、J.Biol.Chem.272:1433〜1436;1997、Leeuwenburgh,C.ら、J.Biol.Chem.272:3520〜3526;1997)。図2は、MPOによって生成されたいくつかの反応性中間体および生成物を要約し、これらのいずれかは、血管障害において濃縮されるということは既知である。
(MPO活性の決定法)
ミエロペルオキシダーゼ活性は、当該分野において公知である種々の標準的方法のいずれかによって、決定され得る。このような方法の1つは、比色定量に基づくアッセイであって、ここで、ペルオキシダーゼのための基質として役立つ発色団は、任意の種々の分光学法(紫外可視検出または蛍光検出を含む)によって追跡され得る固有波長を有する生成物を生成する。比色定量に基づくアッセイのさらなる詳細は、Kettle,A.J.およびWinterbourn,C.C.(1994)Methods in Enzymology.233:502〜512;ならびにKlebanoff,S.J.、Waltersdorph,A.N.およびRosen,H.(1984) Methods in Enzymology.105:399〜403(各々が本明細書中で参考として援用される)中に見出され得る。Gerber,Claudia,E.ら(1996年にEur.J.Clin.Chem Clin Biochem 34:901〜908中に刊行された表題「Phagocytic Activity and Oxidative Burst of Granulocytes in Persons with Myeloperoxidase Deficiency」)による論文は、多型核白血球(すなわち好中球)の単離法および比色定量アッセイ(色原体である4−クロロ−1−ナフトールの酸化に関する)を用いたミエロペルオキシダーゼ活性の測定法を記述する。
ペルオキシダーゼ活性は、フローサイトメトリーに基づく方法を用いて、MPO含有細胞をインサイチュペルオキシダーゼ染色することによって決定し得る。このような方法は、白血球および白血球の亜集団中のペルオキシダーゼ活性の定量のためのハイスループットなスクリーニングを可能とする。1つの例は、ペルオキシダーゼ染色法に基づく血液学アナライザーを用いて白血球カウントおよび鑑別を生成するために使用される細胞化学ペルオキシダーゼ染色である。例えば、BayerによるAdvia 120血液学系は、フローサイトメトリーによって全血を分析し、そして、全白血球カウント(CBC)を得るため、そして、種々の白血球群間を区別するために白血球のペルオキシダーゼ染色を実施する。
これらの方法を用いると、全血は機器に入り、そして、赤血球は、溶解チャンバー中で溶解される。次いで、残存する白血球は固定され、そして、ペルオキシダーゼ活性のためにインサイチュで染色される。この染色された細胞は、ペルオキシダーゼ染色の強度および細胞の全体の大きさに基づく特徴付け(所定の細胞の光散乱量に反映される)のためにフローサイトメーターへ導かれる。これらの2つのパラメーターは、通常のフローサイトメトリーソフトウェアによって、x軸およびy軸上に各々プロットされ、そして、個々の細胞集団のクラスターは、容易に認識可能となる。細胞集団としては以下が挙げられるが、これらに限定されない;好中球、単球および好酸球(可視的なペルオキシダーゼ染色を含む3つの主要な白血球集団)。
これらの分析の過程の間、白血球(例えば、単球、好中球、好酸球およびリンパ球)は、ペルオキシダーゼ染色の強度およびそれらの全体の大きさによって同定される。従って、特定の細胞集団内の全体のペルオキシダーゼ活性染色についての情報は、個々の細胞クラスター(例えば、好中球クラスター、単球クラスター、好酸球クラスター)の位置において固有であり、そして、特定の細胞集団内のペルオキシダーゼレベルが決定され得る。本検出法におけるペルオキシダーゼ活性/染色は、ペルオキシダーゼ染色参照または校正物質と比較される。白血球あたりより高レベルのペルオキシダーゼ活性を有する個体は、サイトグラム上の位置がより高いペルオキシダーゼレベル(すなわち、白血球あたりのペルオキシダーゼ活性の平均)を示す細胞集団を有すること、または平均もしくはより高い亜群(例えば、三分位点または四分位点)のいずれかより高いレベルのペルオキシダーゼ活性を含有する細胞クラスター(例えば、好中球クラスター、単球クラスター、好酸球クラスター)内の細胞亜集団を立証することによって、同定される。
(MPO量の決定法)
所定のサンプル中のミエロペルオキシダーゼの量は、免疫学的方法(例えば、ELISA)によって容易に決定される。ELISAによるMPO定量のための市販のキットが、利用可能である。
サンプル中のMPO量はまた、身体サンプルのインサイチュペルオキシダーゼ染色によって、間接的に決定され得る。白血球ペルオキシダーゼ染色を分析する方法は、全血に対して実施され得る(例えば、インサイチュペルオキシダーゼ染色に基づいて機能する血液学アナライザーを用いた方法)。他の研究者らによる以前の研究は、染色の全体強度がペルオキシダーゼ量に比例するということを立証した(例えば、Claudia E.Gerber,Selim Kuci,Matthias Zipfel,Ditrich NiethammerおよびGernot Bruchfelt、「Phagocytic activity and oxidative burst of granulocytes in persons with myeloperoxidase deficiency」European Journal of Clinical Chemistry and Clinic Biochemistry(1996)34:901〜908)。
血液学アナライザーを介したフローサイトメトリーは、MPO活性もしくは量レベル、または上昇したMPO活性レベルもしくは量レベルを含む細胞の数を決定する際に使用されるパラメーターを定量化するための、ハイスループットな技術である。これらの技術を使用する利点は、使用の容易さおよび迅速さである。Advia 120は、1時間で120個の全細胞血液カウントおよび鑑別を実施し得、そして、一度に数μlの血液しか利用しない。ペルオキシダーゼ活性の決定のために必要な全てのデータは、全白血球カウントおよびその鑑別を最終的に計算するために使用されるフローサイトメトリー細胞クラスター内に、保持される。読み出しは、全体のペルオキシダーゼ活性の多数の異なる指標を含むように、この装置のソフトウェアを僅かに調整することで、改変され得る。例えば、好中球クラスターの平均ペルオキシダーゼ活性が全体的に上昇(すなわち、平均ぺルオキシダーゼ指標の上昇)する個体は、心臓血管疾患発達についての危険が増加する。単に所定の細胞型についての平均ペルオキシダーゼ活性を決定することに加えて、CVD発達の危険が増加した個体は、所定の細胞クラスター内のペルオキシダーゼ活性の全体的な分布(平均+モード、など)を検査することによって、同定される。白血球あたりのペルオキシダーゼ活性の集団を見ることによって、細胞の一部分(例えば、上の四分位点、または上の三分位点)中に高いペルオキシダーゼ活性を含有する細胞をより高い比率で有する白血球を保持する個体は、特にハイリスクであり得るということが、推定される。
(MPO活性およびMPO量のレベル)
体液中のMPO活性またはMPO量のレベルは、体液中のMPO活性またはMPO量を測定することによって、および血液1mlあたり、血清1mlあたり、血漿1mlあたり、白血球(例えば、好中球または単球)あたり、重量あたり(例えば、全血液タンパク質1mgあたり)白血球タンパク質の重量あたり(例えば、好中球タンパク質または単球タンパク質の重量あたり)のMPO活性またはMPO量を得るためにこの値を基準化することによって、決定され得る。あるいは、体液中のMPO活性またはMPO量のレベルは、試験被験体血液または血液誘導体中のMPO活性に基づく代表値であり得る。例えば、MPO活性のレベルは、上昇したMPO活性レベルまたはMPO量レベルを含む、試験被験体の好中球または単球のパーセント(%)または実測数であり得る。他の代表値の例としては、サイトグラムに基づくフローサイトメトリーから取得され得るパラメーター(例えば、X軸およびY軸上の好中球クラスターの位置、またはX軸およびY軸に比例する好中球クラスターの主軸の角度)についての任意の単位が挙げられるが、これに限定されない。
(ミエロペルオキシダーゼにより生成される酸化生成物)
(HETEおよびHODEならびに酸化されたコレステロールエステルの生成における、MPOの役割)
LDLの酸化および脂質の過酸化におけるMPOの役割は、最近、いく人かの研究者によって疑問とされた。Noguchiおよび共同研究者らは、野生型マウスおよびMPOノックアウトマウスから単離された白血球が、エキソビボのモデル系でのLDLの酸化を促進する能力を試験し、そしてモニタリングされた脂質酸化のパラメータにおいて、適度な差異のみを観察した(Noguchi Nら、J.Biochem.(Tokyo)2000;127:971−976)。特に、タンパク質の酸化生成物に注目する場合に、NO の存在によって、MPOにより触媒されるLDLの酸化が、促進ではなく阻害されることもまた、最近示唆された(Carr ACら、J.Biol.Chem.2001;276:1822−1828)。さらに、MPOにより生成されるチロシン酸化生成物に対する、酸化促進機能よりむしろ抗酸化機能、ならびにLDL酸化が提唱された(Santanam N.ら、J.Clin.Invest 1995:95:2594−2600、Exner M.ら、FEBS Lett.2001;490:28−31)。MPOによって生成されたHOClが、リポタンパク質脂質の酸化および過酸化水素の形成を促進し得ることもまた、いく人かの研究者によって示唆され(Panasenko OM.、Biofactors 1997;6:181−190)、一方で、他の研究は、これらの観察を支持しなかった(Schmitt D.ら、Biochem.1999;38:16904−16915、Hazen SLら、Circ.Res.1999;85:950−958)。最後に、最近の研究は、MPOおよび反応性酸化剤種の生成に関する、マウス白血球とヒト白血球との間の種の差異に注目した(Xie QWら、Biological oxidants:genereation and injurious consequences.San Diego,California,USA,Academic Press,1992、Rausch PGら、Blood 1975;46:913−919、Nauseef WM.、J.Clin.Invest 2001;107:401−403、Brennan MLら、J.Clin.Invest 2001;107:419−430)。
血漿における脂質酸化の促進におけるMPOの役割を決定するために、本発明者らは、健常な被験体およびミエロペルオキシダーゼ欠損を罹患する被験体由来の活性化した好中球を、全血漿(50%、v/v)および生理学的レベルのCl(最終100mM)と共にインキュベートした。貪食細胞をPMAで活性化させ、そしてリノール酸およびアラキドン酸それぞれの特異的酸化生成物の形成を、LC/ESI/MS/MSにより決定した。
(MPOおよびリポタンパク質の単離)
MPO(ドナー:過酸化水素、オキシドレダクターゼ、EC 1.11.1.7)を、記載されるように単離し、そして特徴付けた(Heinecke JWら、J.Biol.Chem.1993;268:4069−4077、Wu Wら、Biochemistry 1999;38:3538−3548)。単離されたMPOの純度を、R/Z≧0.85(A430/A280)を実証すること、クーマシーブルー染色を用いるSDS PAGE分析、およびゲル内でのテトラメチルベンジジンペルオキシダーゼ染色によって確定し、好酸球ペルオキシダーゼの夾雑がないことを確認した(Wu Wら、Biochemistry 1999;38:3538−3548)。精製したMPOを、50%グリセロール中−20℃で貯蔵した。酵素濃度を、分光光度法で決定した(ε430=170,000M−1cm−1)(Odajima Tら、Biochim.Biophys.Acta.1970;:71−77)。LDLを、新鮮な血漿から、逐次的な超遠心分離によって、1.019<d<1.063g/mlの画分として単離し、透析を、アルゴン雰囲気下で密封された瓶内で実施した(Hatch FT.Adv.Lipid Res.1968;6:1−68)。最終の調製物を、50mMリン酸ナトリウム(pH7.0)、100μM DTPA中に維持し、そして使用するまでN下で貯蔵した。LDL濃度を、1mgのLDLタンパク質あたりで表す。
(ヒト好中球調製物)
ヒト好中球を、正常な被験体およびMPO欠損の被験体由来の全血から、記載されるように単離した(Hazen SLら、J.Biol.Chem.1996;271:1861−1867)。好中球調製物を、HBSS(Mg2+なし、Ca2+なし、フェノールなしかつ重炭酸なし、pH7.0)中に懸濁させ、そして試験のためにすぐに使用した。
(脂質過酸化反応)
単離したヒト好中球(10/ml)を、50%(v/v)正常ヒト血漿または単離したヒトLDL(0.2mg/ml)のいずれかと共に、空気中で、100μM DTPAを補充されたHBSS中、37℃でインキュベートした。好中球を、200nMの酢酸ミリスチン酸ホルボール(PMA)を添加することにより活性化し、そして5分ごとに穏やかに攪拌することによって、懸濁状態に維持した。2時間後、氷/水浴に浸漬することによって反応を停止させ、4℃で遠心分離し、そしてすぐに、50μMのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)および300nMのカタラーゼを上清に添加した。次いで、この上清における脂質の過酸化生成物を、以下に記載するように迅速にアッセイした。
単離したMPOとの反応を、代表的に、37℃で、100μMのDTPAを補充されたリン酸ナトリウム緩衝液中(20mM、pH7.0)で、30nM MPO、1mM グルコース(G)、20ng/mlグルコースオキシダーゼ(GO)を使用して実施した。この条件下で、Hの一定の流束(0.18μM/分)が、グルコース/グルコースオキシダーゼ(G/GO)系によって発生した。他に言及しない限り、反応を、氷/水浴に浸漬させ、そしてこの反応混合物に50μMのBHTと300nMのカタラーゼとの両方を添加することによって、停止させた。
(脂質抽出およびサンプル調製)
脂質を抽出し、そして全ての工程において、アルゴン雰囲気下または窒素雰囲気下で、質量分光分析のために調製した。第1に、SnCl(最終1mM)を添加することによって、反応混合物中の過酸化水素を、その対応する水酸化物に還元した。既知量の重水素化内部標準である、12(S)−ヒドロキシ−5,8,10,14−エイコサテトラエン−5,6,8,9,11,12,14,15−d8酸(12−HETE−d8;Cayman Chemical Company,Ann Arbor,MI)をサンプルに添加し、次いで1M酢酸/2−イソプロパノール/ヘキサン混合物(2/20/30、v/v/v)を、5ml有機溶媒混合物:1ml血漿の比で添加することによって、血漿脂質を抽出した。この混合物をボルテックスし、そして遠心分離した後に、脂質をヘキサン層に抽出した。等量のヘキサンを添加し、続いてボルテックスおよび遠心分離することによって、血漿を再抽出した。合わせたヘキサン抽出物をN下で乾燥させ、サンプルを200μlの2−イソプロパノール/アセトニトリル/水(44/54/2、v/v/v)で再構築し、そして分析するまで−80℃でアルゴン下で貯蔵することによって、コレステリルエステルヒドロペルオキシド(CE−H(P)ODE)は、これらの安定なSnCl還元水酸化物形態であることを分析した。遊離脂肪酸およびこれらの酸化生成物のアッセイのために、全脂質(リン脂質、コレステロールエステル、トリグリセリド)をN下で乾燥させ、1.5mlの2−イソプロパノールに再懸濁させ、次いで1.5ml 1M NaOHでの60℃、30分間、アルゴン下での塩基加水分解によって、脂肪酸を遊離させた。加水分解したサンプルを、2M HClでpH3.0まで酸性化し、そして脂肪酸を5mlのヘキサンで2回抽出した。合わせたヘキサン層をN下で乾燥し、100μLのメタノールに再懸濁し、そして以下に記載されるLC/ESI/MS/MSによる分析まで、アルゴン下−80℃で貯蔵した。
(血漿濾液のHPLC分画)
脂質の過酸化の促進におけるMPOに対する基質のような、血漿中の低分子量化合物によって果たされる役割を研究するために、正常な健常なドナー由来の全血漿を、10kDa MWtカットオフフィルタ(Centriprep YM−10、Millipore−Corporation Bedford,MA USA)を通して、遠心分離により濾過した。この血漿の濾液を、直接、またはHPLCによる分画に続いてのいずれかで使用した。逆相HPLC分画を、Beckman C−18カラム(4.6×250mm、5μm ODS;Beckman Instruments,Inc.Fullerton,CA)を使用して実施した。血漿濾液(0.5ml)中の低分子量化合物の分離を、1.0ml/分の流速で、以下の勾配を用いて実施した:100%移動相A(0.1%の酢酸を含む水)で10分間、次いで100%移動相B(0.1%の酢酸を含むメタノール)までの直線勾配で10分間、続いて100%移動相Bで5分間。溶出液を1mlの画分として収集し、N下で乾燥させ、次いで分析のために、緩衝液(0.1ml)に再懸濁した。強力な陰イオン交換HPLC(SAX−HPLC)による血漿濾液(0.5ml)の分画を、SPHERIS HPLCカラム(4.6×250mm、5μm SAX;Phase Separations Inc.Norwalk Connecticut)で実施した。血漿濾液中の低分子量化合物の分離を、0.9ml/分の流速で、無勾配条件下で、移動相として45mM酢酸アンモニウム緩衝液(pH4.0)を使用して実施した。溶出液を、1.0mlの画分として収集し、N下で乾燥させ、次いで分析のために、緩衝液(0.1ml)に再懸濁した。
a)質量分析
LC/ESI/MS/MSを使用して、アラキドン酸(9−ヒドロキシ−5,7,11,14−エイコサテトラエン酸および9−ヒドロペルオキシ−5,7,11,14−エイコサテトラエン酸(9−H(P)ETE))およびリノール酸(9−ヒドロキシ−10,12−オクタデカジエン酸および9−ヒドロペルオキシ−10,12−オクタデカジエン酸(9−H(P)ODE))のフリーラジカル依存性酸化生成物を定量した。分析の直前に、1容量のHOを、5容量のメタノールに懸濁させたサンプルに添加し、これを次いで、0.22μmのフィルタ(Millipore Corporation,Bedford,MA)に通した。サンプル(20μl)をProdigy C−18カラム(1×250mm、5μm ODS、100A;Phenomenex、Rancho Palos Verdes,CA)に、50μl/分の流速で注入した。分離を、移動相として水中95%メタノールを使用して、無勾配条件下で実施した。各分析において、HPLCカラム溶出物の全体を、Quattro II triple quandrupole MS(Micromass,Inc.)に導入した。分析を、エレクトロスプレーイオン化を使用して、陰イオン様式で、モニタリングされる異性体に対して特異的な、親イオンおよび特徴的な娘イオンの複数の反応モニタリング(MRM)を用いて実施した。モニタリングされた遷移は、9−HODEについては質量対電荷の比(m/z)で295 171であり;9−HETEについてはm/z 319 151であり;12−HETE−d8についてはm/z 327 184であった。Nを、エレクトロスプレー界面におけるカーテン気体として使用した。内部標準12−HETE−d8を使用して、抽出効率を計算した(これは、全ての分析について80%を超えた)。真性標準を用いて構築した外部較正曲線を使用して、9−HETEおよび9−HODEを定量した。
b)CE−H(P)ODEのRP−HPLC定量
メタノール中で再構築したサンプル(100μl)(塩基加水分解なし)を、Beckman C−18カラム(4.6×250mm、5μm ODS;Beckman Instruments,Inc.Fullerton,CA)に注入した。脂質を、2−イソプロパノール/アセトニトリル/水(44/54/2、v/v/v)からなる無勾配溶媒系を使用して、1.5ml/分の流速で分離した。CE−H(P)ODEを、これらの安定なヒドロキシド形態として、234nmでのUV検出によって、外部較正曲線を作成するためにCE−9−HODE(Cayman Chemical Company,Ann Arbor,MI)を使用して、定量した。
(結果)
正常な好中球は、有意なレベルの9−H(P)ODEおよび9−(H)PETEを、PMAによる細胞活性化に続いて、血漿中で生成した(図4)。全く対照的に、MPO欠損の好中球は、これらがO ・−を生成する増強された能力にもかかわらず、有意なレベルの脂質過酸化生成物を、PMAでの刺激の後に生成しなかった。触媒量のMPOを添加することによって、MPO欠損好中球が、内因性血漿脂質の過酸化を開始する能力が回復した(図4)。
細胞混合物へのカタラーゼの添加(しかし熱により不活化されたカタラーゼではない)によって、血漿中での脂質過酸化のより完全な消耗が生じ、このことは、細胞依存性反応におけるHの重要な役割を強く示唆する(図5)。反応混合物をスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)と共にインキュベートすることは、血漿脂質の酸化を減衰させない(図5)。対照的に、ヘム毒(例えば、アジド、シアニド)および水溶性抗酸化剤であるアスコルベートを添加することにより、好中球に依存する血漿脂質の過酸化が完全に阻害された。最後に、HOClスカベンジャー(例えば、ジチオトレイトールおよびチオエーテルメチオニン)の添加は、9−H(P)ODEおよび9−H(P)ETEの定量によって評価されると、好中球依存性の内因性血漿脂質の過酸化を減衰しなかった(図5)。
ここまでに示された結果は、好中球は、MPO−H系を用い、血漿における脂質過酸化の開始のための1次酸化剤として、塩素化中間体と異なる反応性種を生成することを強く示唆する。MPOに関する生理学的役割を確認するために、本発明者らは、次いで、精製されたヒトMPOおよびH生成系(グルコース/グルコースオキシダーゼ、G/GO)を、血漿に加え、LC/ESI/MS/MS分析によって、特定の酸化生成物の形成をモニターした。9−H(P)ODEおよび9−H(P)ETEの形成が、容易に起こり、MPOおよびH生成系両方の存在のための、絶対的な必要条件を有した(図6)。脂質酸化は、また、カタラーゼ、アジドまたはアスコルビン酸によって阻害されたが、SODまたはメチオニンの添加によって影響されなかった(図6)。ひとまとめにすると、これらの結果は、複雑な生物学的組織、および血漿のような流体において、脂質過酸化を開始するための1次機構としてのMPO−H系に関する白血球の中枢的役割を強く支持する。
(アテローム性動脈硬化症の損傷におけるLDLのMPO酸化および生成する酸化産物の存在)
(一般的手順)ヒトミエロペルオキシダーゼ(ドナー;過酸化水素、オキシドレダクターゼ、EC1.11.1.7)およびLDLを単離し、記載されるように定量した(Podrez,E.Aら、1999、J.Clin.Invest.103:1547)。全ての緩衝液をChelex−100樹脂(Bio−Rad,Hercules,CA)を用いて処理し、そして、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)を補い、インキュベーション中にLDL酸化を触媒し得る微量レベルの遷移金属イオンを除去した。LDLを、記載されたように、100dpm/ngタンパク質と250dpm/ngタンパク質の間の比放射能となるように、Na[125I]で標識した(Hoppe,G.ら、1994、J.Clin.Invest.94、1506−12)。細胞の脂質の抽出ならびに放射標識されたコレステロールエステルおよび標識されていないコレステロールの薄相クロマトグラフィー分離を、記載のように実行した(Podrez,E.Aら、1999、J.Clin.Invest.103:1547)。示されたリポタンパク質(50μg/ml)とのインキュベーション後の、細胞によるコレステロールエステルへの[14C]オレエートの取り込みを、記載のように決定した(Podrez,E.Aら、1999、J.Clin.Invest.103:1547)。ウサギ胸大動脈をWHHLウサギから単離し、100μMブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)および100μM DTPAを補充されたアルゴン噴霧PBS中でリンスし、同じ緩衝液中に浸し、アルゴンをかぶせそして液体窒素中で瞬間凍結し、次いで、分析まで−80℃で保存した。脂質損傷に比較的侵されていない大動脈を10〜12週齢のWHHLウサギから得、十分損傷している大動脈を、6ヶ月齢を越えたWHHLウサギから回収した。
(リポタンパク質改変)MPO生成ニトロ化中間体によって改変されたLDL(NO−LDL)を、他に明記されていなければ、37℃で、50mMリン酸ナトリウム(pH7.0)、100μM DTPA、30nM MPO、100μg/mlグルコース、20ng/mlグルコースオキシダーゼおよび0.5mM NaNO中で8時間、LDL(0.2mgタンパク質/ml)をインキュベートすることによって形成した。これらの条件下で、Hの定常流(10μM/時間)を、Fe(II)の酸化およびFe(III)−チオシアネート錯体の形成によって決定される、グルコース/グルコースオキシダーゼ系によって生成する(van der Vliet,A.ら、1997、J.Biol.Chem.,272:7617)。酸化反応を、反応混合物への40μM BHTおよび300nMカタラーゼの、添加によって終了した。LDLアセチル化を、以前に記載されたように実施した(Podrez,E.Aら、1999、J.Clin.Invest.103:1547)。
(リン脂質の分離および質量分光分析)脂質を、不活性な環境(アルゴンまたは窒素)下で、絶えず維持した。等容量の飽和NaCl溶液を(脂質の抽出を高めるために)加えた直後に、脂質を、酸化PAPCもしくは酸化PLPCまたはNO−LDLのいずれかから、BlighおよびDyerの方法[Bligh,1959#52]によって、連続的に3回抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を、窒素下でエバポレートし、次いで、脂質をメタノール中に(約200μg/0.1mLで)再懸濁し、Acrodisc CR PTFEフィルターを通して濾過し、逆相カラム(Luna C18,250×10mm,5μm,Phenomenex,Torrence,CA,USA)にアプライした。脂質を、Waters 600E多重溶媒送達システムHPLC(Waters,Milford,MA,USA)によって生成された3元勾配(アセトニトリル/メタノール/HO)を使用して、3mL/分の流速で分離し、蒸発光散乱検出器(Sedex 55,Sedere,Alfortville,France)を使用してモニターした。
生理活性脂質のさらなる分画および単離を、N下で乾燥され、BHTを補充されたクロロホルム(300μl)中に再懸濁され、アルゴン環境下で維持された、3回の分離の混合脂質抽出物に対して実行した。その画分のアリコート(2/3)を、取り出し、窒素下でエバポレートし、そして、逆相HPLCカラムに注入する直前に、HPLC緩衝液(メタノール/水;85/15;v/v)中に再懸濁した。
質量分光分析は、エレクトロスプレーイオン化(ESI)プローブを備え、HP 1100 HPLC(Hewlett−Packard,Wilmington,DE)とインターフェースされた、Quatro II 3連四重極質量分析計(Micromass,Inc.,Altrincham,U.K.)で実行した。脂質(遊離の脂質および誘導体後の脂質の両方)は、Luna C18 250×4.6mm、5μmカラム(Phenomenex,Torrance,CA)で、0.8ml/分の流速で分離した。不連続勾配(Gradient II)を、以下のように、溶媒A(メタノール(MeOH):HO、85:15、v:v)を溶媒B(MeOH)と混合することによって使用した:0〜7分、溶媒Aでのイソクラティック溶出;7〜10分、88%の溶媒Bへ増加;10〜34分、91%の溶媒Bへ増加;次いで、34〜52分、94%の溶媒Bへ増加。45μl/分を質量分析計に導入し、そして755μl/分を収集し、生物学的活性を分析するために、カラム溶出物を分割した。いくつかの場合において、生物学的活性をまた、真正標準物の注入後に、同じ勾配を使用して決定した。質量分光分析を、エレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析法(ESI/MS/MS)を、マルチプルリアクションモニタリング(MRM)モード(コーン電圧60eV/衝突エネルギー20〜25eV)で陽性イオンモードにて使用して、オンラインで実行した。各々の画分中に存在する、酸化されたリン脂質を検出するために使用されたMRM遷移は、分子カチオン[MH]および m/z 184の娘イオン(ホスホコリン基)に対する質量対電荷比(m/z)(すなわち、[MH]→m/z 184)であった。リン脂質のオキシム誘導体を、[MH29]→m/z184でモニターした。
種々の酸化されたPC種の定量化を、MRMを使用した陽イオンモードでLC/ESI/MS/MSを使用して実行した。蟻酸(0.1%)が、移動層に含まれた。別個の酸化されたリン脂質種を、図2および図3に図示されるように、各々個々のリン脂質に対して特異的な、プロトン化された親→娘遷移についての、m/zおよびそれらの保持時間を使用することによって同定した。OV−PCおよびND−PCを、同様にしかし各々の検体に対してメタノールと形成されたヘミアセタールと極性ヘッド基の損失の間の遷移についてのm/z(m/z184)でモニタリングすることによっても、定量化した。
脂質は、リポタンパク質または組織から、BHTの存在下で、BlighおよびDyerの方法(Bligh,E.G.ら、1959、Canadian Journal of Biochemical Physiology、37、911−917)によって、まず3回抽出された。合わせた抽出物を、窒素下で迅速に乾燥し、メタノール:HO(98:2、v:v)中に再懸濁し、次いで、脂質抽出物中の中性脂質を、18Cミニカラム(Supelclean LC−18 SPE tube,3ml;Supelco Inc.,Bellefonte,PA)を通すことによって除去した。ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)の既知量を、内部標準として極性脂質画分に加え、脂質を、窒素下で乾燥し、分析の24時間以内まで、−80℃のアルゴン環境下で保存した。較正曲線を、固定量のDMPCおよび各々の酸化された合成PC種の変動するモル%を用いて作成し、異なる脂質間で観測された、イオン化応答因子における差異について較正するために使用した。さらなる予備的な研究において、使用された定量法は、標準的な添加の方法によって得られた結果と同一の結果であることを示すことによって、各々の検体について独立に検証された。
(結果)
LDLのネイティブ形態および酸化形態におけるLC/ESI/MS/MS分析による、種々の特定の酸化されたPC種の定量によって、酸化ホスファチジルコリン種の量の実質的な増加が明らかになった(図7a、ネイティブLDL、NO−LDLに関するデータを示す)。酸化のどの時点が検査されたかに関わらず、HODA−PCおよびHOOA−PCは、MPOによるLDL酸化の主要な生成物であった。NO−LDLにおいて検出された、(残存する、酸化されないリン脂質およびND−PCに比例する)合わせたモル%(図7a)は、約1.2モル%に対応する。これらのうち、NOLDL調製物において定量された、8個の酸化されたPC種の合わせた量(図7a)は、0.73モル%に対応する。
酸化されたPC種が、インビボで形成されるかどうかを決定するために、広範なアテローム性動脈硬化症の損傷を有する胸大動脈および有しない胸大動脈を、Watanabe遺伝性高脂質血症(WHHL)ウサギから単離し、複数の異なる特定の酸化されたリン脂質のレベルを、LC/ESI/MS/MS分析を使用して決定した。oxPAPC(HOOA−PC,KOOA−PC,HOdiA−PC,KOdiA−PC)ならびにoxPLPC(HODA−PC,KODA−PC,HDdiA−PCおよびKDdiA−PC)由来の、酸化されたPCの各々の量における有意な増加が、疾患の血管において注目された(図7b)。興味深いことに、PLPC由来の酸化されたPC種のレベルが、より高度に酸化されたON−PCおよびND−PCについて観測されたレベルより低かったのに対して、PAPC由来の酸化されたPC種のレベルは、OV−PCおよびG−PCについて観測されたレベルと同等であった(図7a)。
(ヒト被験体の、アテローム性動脈硬化症の損傷におけるHETE、HODE、Fイソプロスタンおよび酸化されたPC種の存在)
Angiogardは、経皮的血管介入の間、使用するために最近発明された、塞栓保護デバイスである。このデバイスは、血管形成術のためのバルーン膨張の前に、標的損傷に対して遠位側で展開される。このデバイスは、一時的な保護として作用し、不活性なふるい様メッシュを通して、押し出された脂質リッチなプラーク物質を捕捉する。メッシュの孔は大きく、顕微鏡によって、それらの孔が、血球の流れも血小板の流れも遮断せず、しかし大きな脂質小球を捕捉することが確認される。介入の時にAngiogard中に捕捉された物質は、分析され、プラーク物質中の脂質種が決定された。図8は、Angiogardから回収されるプラーク物質中の、LC/ESI/MS/MS法によって定量される、複数の異なる脂質酸化産物のレベルを示す。比較のために、本発明者らは、心臓移植ドナーからの器官採取の時に回収された、正常な大動脈内膜中の、同じ酸化された脂質のレベルもまた評価した。モニターした、F−イソプロスタンおよびHETE各々における劇的な増加を観測した。Angiogard中に捕捉されたプラーク物質の分析によって、複数の異なるoxPC種の検出もまた確認された(データは示さず)。
(選択したミエロペルオキシダーゼにより生成された酸化産物のレベルを決定する方法)
(A.ジチロシンおよびニトロチロシン)
身体サンプルにおけるジチロシンレベルおよびニトロチロシンレベルは、そのようなチロシン種と反応性であるモノクローナル抗体を使用して、決定され得る。例えば、抗ニトロチロシン抗体が、標準的手順を使用して生成および標識され得、その後、そのサンプルにおける遊離ニトロチロシンまたはペプチド結合ニトロチロシンの存在を検出するために免疫アッセイにおいて使用され得る。適切な免疫アッセイとしては、例として、(固相および液相の両方の)ラジオイムノアッセイ、蛍光結合アッセイまたは酵素結合イムノソルベントアッセイが挙げられる。好ましくは、その免疫アッセイは、そのサンプル中に存在するチロシン種の量を定量するためにも使用され得る。
そのジチロシン種に対するモノクローナル抗体およびニトロチロシン種に対するモノクローナル抗体は、確立された手順に従って生成される。一般的に、そのジチロシン残基またはニトロチロシン残基(ハプテンとして公知である)は、まず、キャリアタンパク質に結合体化され、そして宿主動物を免疫するために使用される。好ましくは、ジチロシン残基およびニトロチロシン残基は、異なる周囲配列とともに合成ペプチド中に挿入され、その後、キャリアタンパク質に結合される。そのキャリアに結合されたそのペプチド内のジチロシン種およびニトロチロシン種の周囲の配列を交代させる(rotate)ことによって、その周囲配列の状況に関わらず、そのジチロシン種のみ対する抗体およびニトロチロシン種のみ対する抗体が、生成される。類似するストラテジーが、種々の他の低分子量アミノ酸アナログを用いて首尾良く使用されている。
適切な宿主動物としては、ウサギ、マウス、ラット、ヤギ、およびモルモットが挙げられるが、これらに限定されない。種々のアジュバントが、その宿主動物における免疫学的応答を増加させるために使用され得る。使用されるアジュバントは、その宿主種に、少なくとも部分的に依存する。そのジチロシンに特異的なモノクローナル抗体およびニトロチロシンに特異的なモノクローナル抗体が生成される可能性を増加させるために、それぞれのジチロシン種およびニトロチロシン種を含むペプチドが、免疫される動物中に存在するキャリアタンパク質に結合体化され得る。例えば、モルモットアルブミンが、モルモットにおける免疫のためのキャリアとして、一般的に使用される。そのような動物は、抗体分子の不均質集団を生成し、その集団は、ポリクローナル抗体と呼ばれ、そしてその集団は、免疫された動物の血清に由来し得る。
モノクローナル抗体(これは、特定の抗原に結合する抗体の均質集団である)が、連続細胞系列から得られる。モノクローナル抗体を生成するための従来の技術は、KohlerおよびMillsteinのハイブリドーマ技術(Nature 356:495−497(1975))およびKosborらのヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Immunology Today 4:72(1983))である。このような抗体は、任意の免疫グロブリンのクラス(IgG、IgM、IgE、IgA、IgDを含む)およびその任意のサブクラスであり得る。改変アミノ酸(例えば、3−ニトロチロシン)に対する抗体を調製するための手順は、Ye,Y.Z.,M.Strong,Z.Q.HuangおよびJ.S.Beckman、1996、Antibodies that recognize nitrotyrosine,Methods Enzymol.269:201〜209に記載される。
一般に、体液に由来するタンパク質結合ジチロシン種およびタンパク質結合ニトロチロシン種を直接測定するための技術は、遊離アミノ酸残基を含む液体抽出物を提供するためにタンパク質および脂質を除去することを包含する。その組織および体液は、好ましくは、緩衝化し、キレート化し、そして抗酸化剤保護した溶液中に、好ましくは−80℃にて、上記のように保存される。その後、その凍結組織および凍結体液は、解凍され、ホモジナイズされ、そして好ましくは、上記のようにメタノール:ジエチルエーテル:水の単相混合物で抽出されて、脂質および塩が除去される。重い同位体で標識された内部標準が、そのペレットに添加され、それは、好ましくは、真空下で乾燥され、加水分解され、その後、アミノ酸加水分解産物が、好ましくは水:メタノール混合物中に再懸濁され、ミニ固相C18抽出カラムに通され、誘導体化され、そして上記のように安定なアイソトープ希釈ガスクロマトグラフィー−質量分析法によって分析される。その身体サンプル中の遊離ジチロシン種およびニトロチロシン種の値は、上記のように、タンパク質含量またはチロシンのようなアミノ酸に対して正規化され得る。
非常に好ましい手順において、タンパク質は、HO/メタノール/HO飽和ジエチルエーテル(1:3:8 v/v/v)の単相混合物を用いる2回の連続抽出を使用して、脱脂および脱塩される。酸化チロシン標準物(各々2pmol)およびユニバーサル標識チロシン(2nmol)が、タンパク質ペレットに添加される。脱塩されたタンパク質ペレットを、1%フェノールを補充した脱気6N HClとともにアルゴン雰囲気下で24時間インキュベートすることによって、タンパク質は加水分解される。アミノ酸加水分解産物は、chelex処理水中に再懸濁され、そして0.1%トリフルオロ酢酸で予め平衡化されたミニ固相C18抽出カラム(Supelclean LC−C18SPEミニカラム;3ml;Supelco,Inc.,Bellfone,PA)に適用される。2mlの0.1%トリフルオロ酢酸で連続洗浄した後、酸化チロシンおよびチロシンが、2mlの0.1%トリフルオロ酢酸中の30%メタノールを用いて溶出され、真空下で乾燥され、その後、質量分析法によって分析される。
タンデム質量分析法が、Thermo SP4000高速液体クロマトグラフ(HPLC)にインターフェースされたイオン捕捉質量分析計(LCQ Deca,ThermoFinigann,San Jose,CA)を用いるエレクトロスプレーイオン化および検出を使用して、実施される。サンプルは、平衡溶媒(0.1%ギ酸を含むHO)中に懸濁され、そしてUltrasphere C18カラム(Phenominex,5μm,2.0mm×150mm)上に注入される。L−チロシンおよびその酸化産物が、メタノール(pH2.5)中0.1%ギ酸に対して生成される直線勾配を第2の移動相として使用して、流速200μl/分で溶出される。分析物は、単位分離度で、フルスキャン生成物イオンMS/MSを用いて陽イオンモードでモニターされる。応答は、スプレー電圧設定5KVおよびスプレー電流80μAにより最適にされる。加熱キャピラリー電圧は、10Vに設定され、そして温度は350℃にされる。窒素が、シース、および補助ガスの両方として、それぞれ、流速70任意単位および30任意単位にて使用される。フルスキャン全イオンクロマトグラムから抽出された選択された生成物イオンのクロマトグラフィーピーク面積を、対応するイオン捕捉生成物イオンスペクトルに従って測定することによって、分析物の量が評価される。各分析物についてモニターされたイオンは、以下である:3−ニトロ[12]チロシン(質量対電荷比(m/z)227、181、および210)、3−ニトロ[13]チロシン(m/z 233、187、および216)、3−ニトロ[13 15]チロシン(m/z 237、190、および219)、[12]チロシン(m/z 182、136および165)、[13 15]チロシン(m/z 192、145、および174)。チロシンおよびニトロチロシンは、使用されるHPLCの条件下でベースライン分離され、これにより、チロシンイソトポマーの検出のために0〜7分間にわたって、そして3−ニトロチロシンイソトポマーの検出のために7分から、分析するためのLCQ Decaのプログラミングが可能になる。
遊離ニトロチロシンおよびジチロシンは、サンプルにおいて同様に測定されるが、組織または体液は、まず、低分子量カットオフフィルターを通され、そしてその低分子量成分が、LC/ECS/MS/MSによって分析される。身体サンプル中の遊離ジチロシン種および遊離ニトロチロシン種ならびにタンパク質結合ジチロシン種およびタンパク質結合チロシン種の値は、下記にように、タンパク質含量、または前駆体チロシンのようなアミノ酸に対して、正規化され得る。
(B.脂質酸化産物)
脂質酸化産物は、UV検出を用いるHPLCまたはオンライン質量分析法を用いるHPLCによって、測定され得る。他の分析法(GC/MS法および免疫細胞化学法を含む)もまた、使用され得る。F−イソプロスタンが、当該分野で公知である種々の質量分析法技術によって測定可能である。
MPO生成脂質酸化産物である、ヒドロキシ−エイコサテトラエノン酸(HETE)、ヒドロキシ−オクタデカジエノン酸(HODE)、F−イソプロスタン;2−リソPCの5−オキソ吉草酸エステル(OV−PC);5−コレステン−5α,6α−エポキシ−3β−オール(コレステロールαエポキシド);5−コレステン−5β,6β−エポキシ−3β−オール(コレステロールβエポキシド);5−コレステン−3β,7β−ジオール(7−OH−コレステロール);5−コレステン−3β,25−ジオール(25−OHコレステロール5−コレステン−3β−オール−7β−ヒドロペルオキシド(7−OOHコレステロール);およびコレスタン−3β,5α,6β−トリオール(トリオール)を抽出および定量する方法は、Schmittら(1999)Biochemistry,Vol.38,16904−16915(これは、参考として本明細書中に特に援用される)に記載される。9−H(P)ODE、9−H(P)ETEおよびF−イソプロスタンの測定のために、反応混合物中のヒドロペルオキシドが、改変Dole手順を使用する抽出の間に、対応するその水酸化物に還元される。この改変Dole手順において、還元剤であるトリフェニルホスフィンが存在する(Savenkova,M.L.ら(1994)J.Biol.Chem.269,20394−20400)。これらの条件はまた、イソプロスタンおよび酸化脂質の人工的形成を阻害する。脂質は、N下で乾燥され、イソプロパノール(2ml)中に再懸濁され、その後、N下で室温にて90分間、1N水酸化ナトリウム(2ml)を用いる塩基加水分解によって脂肪酸が遊離される。そのサンプルは、2N HClを用いて酸性化(pH3.0)され、既知量の内部標準が添加され、そしてヘキサン(5ml)を用いて遊離脂肪酸が2回抽出される。その後、9−H(P)ODE、9−H(P)ETEおよびF−イソプロスタンの含量が、下記に概略されるようにLC/MS/MS分析によって測定される。
1−パルミトイル−2オキソバレリル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリン(PoxvPC)が、上記のような9−H(P)ODE分析、9−H(P)ETE分析およびF−イソプロスタン分析のために使用されるのと同じ改変Dole手順(しかし、還元剤であるトリフェニルホスフィンの添加は省く)によって、抽出される。脂質は、N下で乾燥され、メタノール中に再懸濁され、そして下記に概略されるような後のLC/MS分析まで、−70℃にてアルゴン下で保存される。ステロール酸化産物が、4M NaCl(150μl)およびアセトニトリル(500μl)を添加することによって抽出される。サンプルは、ボルテックスされ、遠心分離され、そして上部有機相が取り出される。抽出物は、N下で乾燥され、メタノール中に再懸濁され、そしてオンライン質量分析を用いるHPLCによる分析まで、−70℃にてアルゴン下で保存される。
質量分析は、HP 1100 HPLCをインターフェースしたQuatro II三連四重極質量分析計にて実施される。Mallat(Mallat,Z.ら(1999)J.Clin.Invest.103,421−427)により記載されるように、8−エピ−[]PGF2αを標準として用いるオンライン逆相HPLCタンデム質量分析法(LC/MS/MS)を使用して、安定同位体希釈質量分析法によって、F−イソプロスタンが定量される。9−HODE分析および9−HETE分析のために、還元脂質の塩基加水分解後に生成される脂質抽出物(上記)は、N下で乾燥され、そしてメタノール中に再懸濁される。その後、その混合物のアリコートが、平衡化されたUltrasphere ODS C18カラム上に注入され、そしてメタノール:HO(85:15 v/v)を溶媒と使用するイソクラティック条件下で実行される。カラム溶出物が、分離され(UV検出器に930μl/分、そして質量検出器に70μl/分)、そして質量分析計によって分析される。カラム溶出物における9−HODE、9−HETEおよびF−イソプロスタンのLC/MS/MS分析が、陰イオンモードにて、マルチプルリアクションモニタリング(MRM)を用いてエレクトロスプレーイオン化質量分析計(ESI−MS)を使用して実施され、この9−HODEについてのm/z 295→171の遷移;9−HETEについてのm/z 319→151の遷移;F−イソプロスタンについてのm/z 353→309の遷移;および[]PGF2αについてのm/z 357→313の遷移をモニターする。
POxvPCの定量が、陽イオンモードでのオンラインESI−MS分析ならびにそれぞれm/z 782およびm/z 594での選択されたイオンモニタリングを用いるHPLCを使用して、脂質抽出物に対して実施される。メタノール中に再構成された脂質抽出物のアリコート(上記)が、メタノール中の0.1%ギ酸(移動相B)と混合され、そして70%移動相B,30%移動相A(水中の0.1%ギ酸)中に事前に平衡化されたColumbus C18カラム(1×250mm、5μm、P.J.Cobert,St.Louis,MO)上に流速30μl/分でローディングされる。70%移動相Bでの3分間の洗浄期間の後、そのカラムは、100%移動相Bまでの直線勾配を用いて展開され、その後、100%移動相Bを用いてイソクラティック溶出される。真正POxvPCを用いて構築した外部較正曲線が、定量のために使用される。7−OHコレステロール、7−ケトコレステロール、および7−OOHコレステロールが、Ultrasphere ODS C18カラム上で分離される。溶出勾配は、91:9のアセトニトリル:水+0.1%ギ酸塩(v:v)からなった。カラムは、実行の間に、アセトニトリル+0.1%ギ酸塩で洗浄される。カラム溶出物は、分離され(UV検出器に900μl/分、そして質量検出器に100μl/分)、そして選択されたイオンモニタリングを用いて陽イオンモードでの大気圧化学イオン化(APCI)によってイオン化される。7−OHコレステロールの同定は、m/z 385.3を有するイオン(M−HO)およびm/z 367.3を有するイオン(M−2HO)の同時移動を、真正標準物として同じ保持時間を用いて示すことによって、実施される。m/z 367.3でモニターされるピークについてのイオン電流の積分面積が、定量のために使用される。7−OOHコレステロールの同定は、m/z 401.3を有するイオン(M−HO)、m/z 383.3を有するイオン(M−2HO)およびm/z 367.3を有するイオン(M−Hの同時移動を、真正標準物として同じ保持時間を用いて示すことによって、実施される。m/z 401.3でモニターされるピークについてのイオン電流の積分面積が、定量のために使用される。7−ケトコレステロールの同定は、m/z 401.3を有するイオン(M+H)およびm/z 383.3を有するイオン(M−HO)の同時移動を、真正標準物として同じ保持時間を用いて示すことによって、実施される。m/z 401.3でモニターされるピークについてのイオン電流の積分面積が、定量のために使用される。真正7−OHコレステロール、7−OOHコレステロール、および7−ケトコレステロールを用いて構築された外部較正曲線が、標準物添加法により得られる結果と同一の結果を示す予備APCI LC/MS実験の後に、定量のために使用される。25−OHコレステロールについての保持時間、5,6α−エポキシドについての保持時間、5,6β−エポキシドについての保持時間、およびトリオールについての保持時間が、真正標準物のLC/MS分析によって測定される。
(予め決定された値)
試験被験体から得られた身体サンプル中の、MPO量のレベル、MPO活性のレベル、または選択した、MPOにより生成される酸化産物のレベルを、予め決定された値と比較し得る。この予め決定された値は、一般集団またはヒト被験体の選択した集団から得られる匹敵するサンプル中の、MPO活性のレベル、MPO量のレベル、または選択したMPOにより生成される酸化産物のレベルに基づく。例えば、選択した集団は、明らかに健康な被験体から構成され得る。「明らかに健康な」とは、本明細書中で使用される場合、アテローム性動脈硬化症の存在を示す徴候または症状(例えば、狭心症)、急性有害心臓血管事象(例えば、心筋梗塞または発作)の病歴、診断画像方法(冠動脈造影が挙げられるがこれに限定されない)によるアテローム性動脈硬化症の徴候(evidence)のいずれも以前に有していない個体を意味する。明らかに健康な個体はまた、その他にも疾患の症状を示さない。言い換えると、このような個体は、医学の専門家によって試験された場合、健康でかつ疾患の症状がないものとして特徴付けられる。
予め決定された値は、試験被験体から得られる身体サンプル中の、MPO活性のレベルまたはMPO量のレベルを特徴付けるために使用される値に関する。従って、MPO活性のレベルが、白血球1個あたりまたは血液1mlあたりのMPO活性の単位のような絶対値である場合、この予め決定された値はまた、一般集団またはヒト被験体の選択した集団内の個体における、白血球1個あたりまたは血液1mlあたりのMPO活性の単位に基づく。同様に、MPO活性またはMPO量のレベルが、サイトグラム(cytogram)から得られる任意の単位のような代表値である場合、この予め決定された値はまた、この代表値に基づく。
この予め決定された値は、種々の形態を取り得る。予め決定された値は、単一のカットオフ値(例えば、中央値または平均値)であり得る。予め決定された値は、比較集団(例えば、1つの規定された集団内の危険性が、別の規定された集団内の危険性の2倍である)に基づいて設定され得る。予め決定された値は、例えば、一般集団が、集団(例えば、低い危険性の集団、中間の危険性の集団および高い危険性の集団)にかまたは象限(最も低い象限は、最も低い危険性を伴う個体であり、最も高い象限は、最も高い危険性を伴う個体である)に等しく(または、不等に)分けられる範囲であり得る。
予め決定された値は、一般集団内のMPO活性のレベルまたはMPO量のレベルを決定することによって導き出され得る。あるいは、予め決定された値は、選択した集団(例えば、明らかに健康な非喫煙者集団)内のMPO活性のレベルまたはMPO量のレベルを決定することによって導き出され得る。例えば、明らかに健康な非喫煙者集団は、喫煙者集団またはメンバーが以前に心臓血管障害を患った集団とは、MPO活性またはMPO量の、異なる正常範囲を有し得る。従って、選択された予め決定された値は、個体が含まれるカテゴリーを考慮し得る。適切な範囲およびカテゴリーは、当業者によって慣用的にすぎない実験を用いて選択され得る。
MPO活性またはMPO量の予め決定された値(例えば、平均レベル、中間レベル、または「カットオフ」レベル)は、一般集団または選択した集団内の個体の多量のサンプルをアッセイすることによって、そして、Knapp,R.G.,およびMiller,M.C.(1992).Clinical Epidemiology and Biostatistics.WilliamおよびWilkins,Harual Publishing Co.Malvern,PA(これは、特に、本明細書中で参考として援用される)に記載されるように、最適な特異度(最も高い真の負の割合)および感度(最も高い真の正の割合)を規定する、確実性基準または受信動作特性曲線を選択するための、統計学的モデル(例えば、推定値方法)を使用することによって、設定される。「カットオフ」値は、アッセイされる各危険予測因子(predictor)について決定され得る。以下の実施例1において使用される規格化方法は、Klebanoff,S.J.,Waltersdorph,A.N.およびRosen,H.1984「Antimicrobial activity of myeloperoxidase」Methods in Enzymology.105:399〜403に記載されるようなグアヤコール酸化アッセイを使用する。
(試験被験体由来の身体サンプル中の、MPO活性のレベル、MPO量のレベルおよび選択したMPOにより生成される酸化産物のレベルと、予め決定された値との比較)
各危険予測因子(例えば、個体の身体サンプル中の、MPO活性、MPO量および選択したMPOにより生成される酸化産物)のレベルは、単一の予め決定された値または予め決定された値の範囲と比較され得る。試験被験体の身体サンプル中の提示される危険予測因子のレベルが、この予め決定された値または予め決定された値の範囲よりも高い場合、この試験被験体は、この予め決定された値または予め決定された値の範囲に匹敵するかまたはそれよりも低いレベルを有する個体よりも、CVDを発病するかまたはCVDを有する危険性が高い。対照的に、試験被験体の身体サンプル中の、提示される危険予測因子のレベルが、この予め決定された値または予め決定された値の範囲よりも低い場合、この試験被験体は、この予め決定された値または予め決定された値の範囲に匹敵するかまたはそれよりも高いレベルを有する個体よりも、CVDを発病するかまたはCVDを有する危険性が低い。例えば、この予め決定された値と比較して、高いレベルのMPO活性またはMPO量を伴う、より多数の好中球または単球またはそれら両方を有する試験被験体は、心臓血管疾患を発病する危険性が高く、そして、この予め決定された値と比較して、減少したレベルまたは低いレベルのMPO活性またはMPO量を伴う、より少数の好中球または単球またはそれら両方を有する試験被験体は、心臓血管疾患を発病する危険性が低い。試験被験体の危険予測因子レベルと予め決定された値との間の差異の程度はまた、危険性の程度を特徴付けるために有用であり、それによって、どの個体が、特定の積極的治療から最も大きい利益を得るか否かが決定される。これらの場合において、予め決定された値の範囲が複数の集団に分けられる(例えば、高い危険性、平均的な危険性、および低い危険性の個体に対する予め決定された値の範囲)場合、この比較は、どの集団が試験被験体の関連した危険予測因子のレベルを低下させるかを決定することを含む。
提示される診断試験は、CVDを予防する際に標的化される治療剤を、患者に処方すべきか否か、ならびに処方すべき場合および処方すべきでない場合を決定するために有用である。例えば、特定のカットオフ値より高いMPO活性の値(U/mg PMNタンパク質;またはU/ml 血液)を有する個体、または「正常範囲」のより高い三分位数もしくは四分位数内にある個体は、脂質低下剤、生活様式の変化などを用いたより積極的介入の必要性のある個体として同定され得る。
CVDに対する危険予測因子としての、MPOの増加の最も魅力的な知見の1つは、それが、心臓血管疾患に対する危険性の増加した個体を同定するための、非依存的なマーカーを表わすことである。これは、多変量解析 対 CVDに対する他の公知の危険因子(例えば、脂質レベル(例えば、LDL、HDL、全コレステロール、トリグリセリド)、および家族の病歴、喫煙、高血圧症、糖尿病)において、非依存的にCVDとの関連性が予測される、高いレベルのMPO活性およびMPO量である。従って、提示される診断試験は、既存のスクリーニングプロトコル/スクリーニング方法によって他に同定されなかった、危険性の増加した個体を同定するために、特に有用である。さらに、提示される危険予測因子は、現在使用される危険予測因子(例えば、血中LDLレベル、血中トリグリセリドレベルおよび血中C反応性タンパク質レベル)と、それに基づくアルゴリズムとを組み合わせて使用されて、CVDを発病するかまたはCVDを有する個体の危険性が、より正確に特徴付けられ得る。
(CVD治療剤の評価)
提示される診断試験はまた、CVDを有するかまたはCVDを発病する危険性を有する患者として診断された患者に対するCVD治療剤の効果を評価するために有用である。このような治療剤としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:抗炎症剤、インスリン感作剤、抗高血圧剤、抗血栓剤、抗血小板剤、線維素溶解性剤、脂質低下剤、直接型トロンビンインヒビター、ACATインヒビター、CDTPインヒビターチオグリチゾン、およびグリコプロテインIIb/IIIaレセプターインヒビター。このような評価は、治療剤を投与する前に被験体から得られる身体サンプル、および治療剤を投与した後に被験体から得られる、対応する体液中の、1つ以上の提示される危険予測因子(MPO活性、MPO量、選択したMPOにより生成される酸化産物、およびそれらの組み合わせを含む)のレベルを決定することを含む。治療剤を投与する前に得られるサンプルにおける選択された危険因子のレベルと比較して、治療剤を投与した後に得られるサンプルにおける選択された危険因子のレベルの低下は、処置される被験体における心臓血管疾患に対するこの治療剤のポジティブな効果を示している。
(実施例)
以下の実施例は、例示の目的のみであり、添付の特許請求の範囲を制限することを意図しない。
(実施例1:冠動脈疾患を有する患者および有さない患者の血液サンプル中のMPO活性およびMPO量のレベル)
(方法)
研究集団:ロジスティック回帰検出力演算(logistic regression power calculation)(等サイズ群を仮定する)に基づいて、高MPO(上方の四分位数)について少なくとも2.0の統計学的に有意な確率比を検出するために80%検出力(α=0.05)を提供するのに、326人の患者が必要とされた。被験体(n=333)をCardiology Department of the Cleveland Clinic Foundation内での2つの実施基準から同定した。まず、85人の一通りの連続した患者を、Preventive Cardiology Clinicから登録した。同時に、125人の連続した患者を、カテーテル処置実験所(catheterization laboratory)から登録した。この一続きのCAD罹患率に基づいて、116人のさらなるコントロール被験体の必要性が決定された。その前の6ヶ月にわたるカテーテル処置の際に有意なCADを有さない全ての患者をカテーテル処置データベースから同定し、次いで140を、無作為に(郵便番号/電話番号に基づいて)選択し、MPO測定に参加するよう要請した。CADを、書類に示された心筋梗塞、先の冠動脈血管再生介入(coronary revascularization intervention(CABGまたは経皮冠動脈介入(coronary intervention))の履歴によって、または心臓カテーテル処置の間に同定された1つ以上の冠動脈における50%以上の狭窄の存在として定義した。CAD群の排除基準は、登録前3ヶ月内の急性冠動脈事象、末期腎疾患、および骨髄移植であった。コントロール群は、有意なCADの形跡を示さなかった、診断冠動脈造影を受けた被験体からなった。コントロール被験体の排除基準は、50%以上の狭窄を有する1つ以上の冠血管、心臓弁疾患、左心室機能不全、末期腎疾患、骨髄移植、または履歴および検査によって示されるような感染症または活動性の炎症性疾患の形跡であった。全ての患者は、45歳以上であり、無熱であった。臨床履歴は、真性糖尿病、過去および現在の喫煙歴、高血圧、および第一親等がCAD(男性は50歳まで、および女性は60歳まで)を有するか否かについて評価した。研究プロトコルおよび承諾形式は、Cleveland Clinic Foundation Institutional Review Boardによって認可され、そして十分な認識に基づいた、かつ書面による承諾を全ての被験体から得た。サンプルは記号化して、匿名であることを確実にし、そして全ての分析を盲験式に実施した。
測定:血液を一晩の断食後にEDTA含有チューブ中に採取し、WBC、低密度リポタンパク質コレステロール(LDLc)、高密度リポタンパク質コレステロール(HDLc)、総コレステロール(TC)、および空腹時(fasting)トリグリセリド(TG)を定量するために使用した。好中球浮遊密度遠心分離によって好中球を単離した(Hazen,S.L.ら、J.Biol.Chem.271:1861−1867)。細胞調製物は、視覚検査によって少なくとも98%均質であった。白血球調製物を、細胞溶解のために0.2%セチルトリメチルアンモニウムブロミドに添加し、室温で10分間インキュベートし、液体窒素中で急速冷凍し、そして分析まで−80℃で保存した。
機能的MPOを好中球溶解物のペルオキシダーゼ活性アッセイによって定量した。簡単に言えば、界面活性剤溶解細胞(10/ml;三連サンプル)を、14.4mM グアヤコール、0.34mM H、および200μM DTPAを含有する20mMリン酸緩衝液(pH 7.0)に添加し、そしてグアヤコール酸化産物の形成を、25℃でのA470でモニターした(Klebanoff,S.J.ら、Methods Enzymol.105:399−403,Capeillere−Blandin,C.,Biochem.J.36 (Pt2):395−404)。ジグアヤコール酸化産物についての26.6mM−1cm−1のミリモル濃度吸光係数を用いて、ペルオキシダーゼ活性を計算した。ここでMPO活性の一単位は、25℃で1分あたり1μmolのHを消費する量として定義される。報告されたMPO活性は、好中球タンパク質1mg当たり(白血球−MPO)または血液1ml当たり(血液−MPO)のいずれかで正規化した。血液−MPO(血液1ml当たりMPO単位)を好中球当たりのMPO活性の単位数×絶対好中球数(血液1μl当たり)×1000によって概算した。タンパク質濃度は、記載のように決定した(Markwell,M.A.ら、Anal.Biochem.87:206−210)。
個体中の白血球−MPOのレベルは、極めて再現性であることが見出された。これは、経時的に被験体における±7%未満の変動を示した(n=6の男性を2年を超える期間の間1〜3ヶ月に一度評価した)。白血球−MPOの決定についての分散係数(サンプルの分析を複数回連続して行うことにより決定される)は、4.2%であった。3日、別々の日に実施した10のサンプルについての血液−MPO決定は、4.6%の分散係数を生じた。血液−MPOの決定についての分散係数(サンプルの分析を複数回連続して行うことにより決定される)は、4.2%であった。3日、別々の日に実施した10のサンプルについての白血球−MPO決定は、4.8%の分散係数を生じた。好中球当たりのMPO量を、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いて決定した。捕捉プレートを、96ウェルプレートをヒトMPOの重鎖に対して惹起されたポリクローナル抗体(Dako,Glostrup,Denmark)と一晩インキュベート(10μg/ml、10mM PBS(pH7.2)中)することにより作製した。プレートを洗浄し、そしてサンドイッチELISAをヒトMPOに対するアルカリホスファターゼ標識抗体を用いて白血球溶解物に対して実施した。MPO量を、記載のように白血球から精製した既知量のヒトMPOで作成した標準曲線に基づいて計算した(Hazen,S.L.ら、J.Biol.Chem.271:1861−1867)。単離されたMPOの純度を、RZが0.87(A430/A280)であること、SDS PAGE分析、およびゲル中テトラメチルベンジジンペルオキシダーゼ染色を示すことにより確立した(Podrez,E.A.ら、J.Clin.Invest 103:1547−1560)。酵素濃度を89,000M−1cm−1/ヘムの吸光係数を利用して分光光度的に決定した。
統計学的解析:提示特性は、連続測定値について平均±標準偏差またはメジアン(四分位数間領域)のいずれか、およびカテゴリー測定値(categorical measures)について数およびパーセントとして示される。CAD被験体とコントロール被験体との間の差異をWilcoxon順位和またはχ二乗検定を用いて評価した。MPOレベルを分析のために四分位数に分割した。なぜなら、白血球−MPO活性も血液−MPO活性もGaussian分布に従わないからである。MPO活性の増加に伴うCAD率の増加について調整されないトレンド(trend)を、Cochran−Armitageトレンド検定で評価した。改変されたFramingham Global Riskスコアを、カテーテル処置の時点において記録した血圧よりむしろ文書に記録された高血圧の履歴を用いて決定した(Taylor,A.J.ら、Circulation 101:1243−1248)。
ロジスティック回帰モデル(SAS System,SAS Institute,Cary NC)を、MPO活性の2番目および3番目の四分位数の組み合わせと関連した相対的危険値を概算する確率比(OR)を計算するために開発し、そしてMPO活性の最も高い四分位数を最も低い四分位数と比較した。調整は、個々の伝統的なCAD危険因子(年齢、性、糖尿病、高血圧、喫煙(以前または現在)、家族歴、TC、LDLc、HDLc、TG、WBC)について行った。Hosmer−Lemeshow適合度検定を用いて、適当なモデル適合を評価した。連続変動間の関連を、Spearmanの順位−相関係数を用いて評価した。カテゴリー変動間の関連を、Wilcoxon順位和検定を用いて評価した。
(結果)
患者個体群統計学:本研究に参加した被験体の臨床特性および生化学的特性を表1に示す。CADを有する被験体は、より年長であり、どちらかといえば男性であり、そしてどちらかといえば糖尿病、高血圧、および喫煙の履歴を有する傾向がある。CAD被験体はまた、増加した空腹時トリグリセリドレベル、脂質低下投薬(主としてスタチン)、アスピリンおよび他の心血管投薬の使用の増加を示した。他の研究と一致して、Framingham Global Risk Score、絶対好中球数、およびWBCは、CADを有する被験体において有意に増加した(それぞれに対してp<0.001;表1)。
Figure 0004062514
白血球−MPO、血液−MPOおよび白血球数対冠動脈疾患の罹患率の層化:より高いレベルのMPOを有する個体がより高いCADの罹患率を有するという仮説を検定するために、本発明者らは、好中球を単離し、それらのMPO含有量を測定した。好中球タンパク質1mg当たりのMPO活性(白血球−MPO)は、CAD状態によって有意に異なった。CAD患者については18.1U/mgであるのに対してコントロール被験体については13.4U/mgのメジアンであった(p<0.001(トレンドについて、および差異について;図1)。コーホート全体についての四分位数による白血球−MPOレベルの層化は、CAD状態と正の相関を示した(p<0.001(トレンドについて))。最も高い四分位数における個体が、最も高い危険を有する(OR(CI)、8.8(4.4−17.5);表2)。その触媒活性により白血球MPO含有量を定量すること(すなわち、機能的アッセイ)に加えて、本発明者らは、独立して、酵素結合免疫吸着アッセイを用いて被験体の無作為なサブセット(n=111)における好中球当たりのMPO量を定量した。このアッセイから観察された結果は、活性測定値(データは示さず)と有意に相関した(r=0.95)。白血球−MPOの二番目および三番目の四分位数におけるCAD率が匹敵するようであるので(表2)、それらを全てのさらなる解析のために合わせた。そしてこれを、単変量モデルおよび多変量モデルにおける中央範囲レベルと称する。他の研究において見られたように、Framingham Global Risk ScoreおよびWBCは、同様に、CAD率と正の相関を示した(表2)。
(表2)
ミエロペルオキシダーゼレベル、白血球数およびフラミンガム総体危険度スコア(Framingham Global Risk Score)に従う冠動脈疾患有病率の確率比
1.
2)四分位数
Figure 0004062514
血中のMPOの総含有量は、白血球あたりのMPOレベルおよび白血球の総数の両方に依存する。好中球は、血中の>95%のMPO含量を有するので、本発明者らは、好中球あたりのMPO含量を、好中球の絶対数と掛けることにより、血液1mlあたりのMPOレベル(血液−MPO)を見積もった。CADの比率は、血液−MPO四分位数(quartile)と正に相関していた(トレンド(trend)についてp<0.001;図9、表2)。
(白血球−MPOは、伝統的な冠動脈危険因子と有意に相関しない):
伝統的CAD危険因子と白血球−MPOとの間の可能な相関を、次に評価した。白血球−MPOレベルは、年齢、性別、糖尿病、高血圧、喫煙(過去または現在)、WBC、トリグリセリドLDLcおよびフラミンガム総体危険度には依存していなかった。白血球−MPOと、総コレステロール(r=−0.15、p=0.005)およびHDLc(r=−0.14、p−0.01)の両方との間の弱い負の相関が観察された。白血球−MPOと好中球絶対数(r=0.20、p<0.001)とCADの家族歴(メジアン白血球−MPO=15.9(家族歴有りの場合)対14.1(家族歴なしの場合)p=0.05)との間に正の関係が見られた。同様の相関が血液−MPOについて示された。
(白血球−MPOおよび血液−MPOは、単一および複数の危険因子の調整後の冠動脈疾患状態と強く相関する):白血球−MPOおよび血液−MPOは、独立してCAD状態と関連するか否かを評価するために、白血球−MPOおよび血液−MPOの四分位数についての確率比を、個々の伝統的なCAD危険因子について調整した。最も低い(第1の)、白血球−MPOおよび血液−MPOの両方の四分位数に対する、中間(第2および第3)および最も高い(第4)四分位数の両方についての確率比は、個々の伝統的CAD危険因子、WBCおよびフラミンガム総体危険度スコアの調整後のCAD状態と高度に相関したままであり(データは示されていない)、確率比は、HDLcについての調整後の8.4(CI=4.2−16.9、p<0.001)から、喫煙についての調整後の13.5(CI=6.3−29.1、p<0.001)までの範囲にわたった。糖尿病、高血圧、喫煙、ならびに(より低い程度で)年齢、HDLc、フラミンガム総体危険度およびWBCはまた、単一の因子の調整後のCAD状態についての有意な予測因子のままであった。同様の結果が、個々の伝統的CAD危険因子についての単一因子調整後の血液−MPOについて観察された(データは示されていない)。
次いで、多変量回帰分析を、いくつかのモデルを使用して行った(表2、図10)。モデル1は、以前の工程(すなわち、単変量回帰)においてCADと有意に相関していた単一危険因子の各々に対する同時調整後の白血球−MPOおよび血液MPOを調べた。白血球−MPOは、CAD状態の強力な予測因子のままであり、8.5(CI=3.7−19.7、中間四分位数 対 低四分位数)および20.3(CI=7.9−52.1、高四分位数 対 低四分位数)の調整されたORであった。WBC(CADについての増大された危険度を予測するマーカー)に対する調整された確率比(2;3;23−25)は、1.1(CI=1.02−1.21)であった。フラミンガム総体危険度スコアおよびWBCを調整する第2の回帰モデルにより、白血球−MPOについてのORが得られ、これは、モデル1において観察された大きなORと一致していた(中間OR 対 低OR=4.2;高OR 対 低OR=11.9)。フラミンガム総体危険度スコアおよびWBCについて調整されたORはまた有意であった。血液−MPOも同様に、伝統的CAD危険因子、フラミンガム総体危険度スコアおよびWBCと比較して、多変量調整後のCAD状態の強力な予測因子のままであった(表2)。
(実施例2:CADを有する被験体およびCADを有していない被験体由来の血液サンプルのフローサイトメトリー分析)
白血球が正常レベルより高いかまたは低いMPOを有する患者由来の血液サンプルを、フローサイトメトリーにより分析した。各患者からの全血を、血液分析機(Bayer製Advia 120)に注入した。この分析機は、インサイチュ細胞化学的ペルオキシダーゼ染色に基づいて白血球を同定する。この機器において、全血は、最初に溶解され、インタクトなWBCがホルムアルデヒドを用いて加熱/固定される。次いで、ペルオキシダーゼ基質(過酸化水素および発色団)を、白血球と共にインキュベートし、そして得られた染色された細胞をフローサイトメトリーにより調べる(サンプルの注入からサイトグラム(cytogram)が得られるまでの間に全部で20秒間)。その結果を図11に示す。異なる色で示された細胞のクラスターは、以下を指す:1)紫色−好中球;2)緑色−単球;3)暗青色−リンパ球;4)黄色−好酸球;5)青緑色−染色されない大細胞;6)白色−RBC ゴースト/ノイズ。これらのデータに基づいて、総白血球数(WBC)および差(好中球、単球、好酸球およびリンパ球の%分布)を示す。
サイトグラム上の所定の細胞クラスター位置の配置は、その光吸収強度(Y軸−ペルオキシダーゼ活性に関連する特性、従って、染色の強度)および光散乱(X軸−サイズおよび顆粒性/屈折率の両方に関連する特性、ペルオキシダーゼ活性および染色と関連した特性)に関連する。
左のパネルは、好中球あたりのMPOレベル(好中球−MPOともいう)が集団における平均より低い(例えば、下の方の25%)個体由来のサイトグラムを図示する。右のパネルは、好中球あたりのMPOレベルが、集団における平均より高い(例えば、50〜75%)個体由来のサイトグラムの位置を図示する。X軸およびY軸上の好中球クラスターの位置は異なり、そして概して、MPOが高いほど右にシフトすることに留意のこと。また、好中球クラスターを含む楕円の長軸の傾きは異なる。これらの変化は、その細胞型中のMPOの含量に関連する情報を含んでいる。
モデリングおよび既知のペルオキシダーゼ含量を有する標準の使用により、本発明者らは、この情報を使用して白血球あたりのペルオキシダーゼの相対レベルを同定するために、標準曲線を開発することができる。同じ種類の分析は、単球(MPOを含む血液中の別の主要な細胞型)に対しても可能である。好酸球におけるペルオキシダーゼ染色は、好酸球ペルオキシダーゼ(MPOに関連する酵素)に起因するが、異なる遺伝子産物には起因しない。
(実施例3:CADを有するヒト被験体およびCADを有していないヒト被験体由来の血液中のジチロシンレベル)
タンパク質結合ジチロシンのレベルを、CADを有する112人の個体および128人の明らかに健康なコントロール被験体由来の血液サンプルにおいて測定した。これらのレベルを、オンライン蛍光検出を備えたHPLCにより測定し、そして合成ジチロシンを用いて生成した外部較正曲線を使用して定量した。結果を、オンラインダイオードアレイ検出を備えたHPLCにより同時に定量された前駆体アミノ酸(チロシン)の含量に対して正規化した。これらの結果は、CADを有する被験体が、年齢および性別の同じ健常被験体由来の血清中で観察されるレベルよりも、高レベル(50%の増加、CAD対健常被験体の比較についてP<0.001)のジチロシンを血清中に有することを実証した。
(実施例4:CADを有するヒト被験体およびCADを有していないヒト被験体由来の血液中のニトロチロシンレベル)
タンパク質結合3−ニトロチロシンのレベルを、実施例3と同じ被験体(CADを有する112人の個体および明らかに健康な128人のコントロール被験体を試験した)由来の血液サンプルにおいて測定した。ニトロチロシンレベルを、安定同位体希釈技術を使用してオンラインエレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析法(LC/ESI/MS/MS)を用いるHPLCにより測定した。結果を、前駆体アミノ酸(チロシン)の含量に対して正規化した(チロシンの含量は、安定同位体希釈LC/ESI/MS/MS)により同時に定量した。これらの結果は、CADを有する被験体が、年齢および性別の一致する健常被験体よりも、高いレベルの血清中ニトロチロシン(2.8倍増加、CAD対健常被験体の比較に関してP<0.001)を有することを実証した。
(実施例5:CADを有するヒト被験体およびCADを有していないヒト被験体におけるHETE、HODE、およびF2イソプロスタン(Isoprostane)の血液レベル)
HETE、HODE、およびF2イソプロスタンのレベルを、実施例3の被験体と同じ被験体由来の血液サンプルで測定した。CADを有する112人の個体および明らかに健康な128人のコントロール被験体を調べた。脂質を、オンラインエレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析法(LC/ESI/MS/MS)を用いるHPLCにより測定した。結果を、前駆体脂質(HETEおよびF2イソプロスタンについてはアラキドン酸、ならびにHODEについてはリノール酸)の含量に対して正規化した。この前駆体脂質の含量を、LC/ESI/MS/MSにより同時に定量した。これらの結果は、CADを有する被験体が、年齢および性別の一致する健康な被験体よりも、高レベルな血漿中の各酸化産物を有していることを実証した。F2イソプロスタンレベルは、CADを有していない被験体に対してCADを有している被験体から得られた血漿において80%高かった(P<0.001);HETEおよびHODEのレベルは、CADを有していない被験体に対してCADを有する被験体において60%高かった(P<0.001)。
(実施例6:CADを有するヒト被験体およびCADを有していないヒト被験体におけるMPO産生脂質酸化産物の血液レベル)
MPOにより生成されることが示された以下のリン脂質酸化産物のレベルを、CADを有する25人の被験体および明らかに健康な12人のコントロール被験体由来の血液サンプルにおいて測定した:G−PCおよびND−PC(2−lysoPCの、グルタル酸モノエステルおよびノナン二酸モノエステル);HDdiA−PCおよびHOdiA−PC(2−lysoPCの、9−ヒドロキシ−10−ドデセン二酸エステルおよび5−ヒドロキシ−8−オキソ−6−オクテン二酸エステル);HODA−PCおよびHOOA−PC(2−lysoPCの、9−ヒドロキシ−12−オキソ−10−ドデセン酸エステルおよび5−ヒドロキシ−8−オキソ−6−オクテン酸エステル);KODA−PCおよびKOOA−PC(2−lysoPCの、9−ケト−12−オキソ−10−ドデセン酸エステルおよび5−ケト−8−オキソ−6−オクテン酸エステル);KDdiA−PCおよびKOdiA−PC(2−lysoPCの、9−ケト−10−ドデセン二酸エステルおよび5−ケト−6−オクテン二酸エステル);OV−PCおよびON−PC(2−lysoPCの、5−オキソ吉草酸エステルおよび9−オキソノナン酸エステル)。さらに、コレステロールα−エポキシド(5−コレステン−5α,6αエポキシ−3β−オール);コレステロールβ−エポキシド(5−コレステン−5β,6β−エポキシ−3β−オール);7−OHコレステロール(5−コレステン−3β,7β−ジオール);25−OHコレステロール(5−コレステン−3β,25−ジオール);7−OOHコレステロール(5−コレステン−3β−オール−7β−ヒドロペルオキシド);トリオール(コレスタン−3β,5α,6β−トリオール)のレベルを、CADを有する25人の被験体および明らかに健康な12人のコントロール被験体由来の血液サンプルにおいて測定した。脂質を、確立された方法を使用してオンラインエレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析法(LC/ESI/MS/MS)を用いるHPLCにより測定した。結果を、前駆体脂質(PAPC(1−ヘキサデカノイル−2−エイコサテトラ−5’,8’,11’,14’−エノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン;PLPC(1−ヘキサデカノイル−2−オクタデカジ−9’,12’−エノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン;またはコレステロール)の含量に対して正規化した。これらの前駆体脂質の含量は、LC/ESI/MS/MSにより同時に定量された。この結果は、CADを有する被験体が、年齢および性別の一致する健康な被験体よりも高いレベルの(脂質に依存して、50%〜4倍)血漿中の各リン脂質酸化産物を有することを実証した。
図1は、ミエロペルオキシダーゼについての動力学的モデルを示す。 図2は、特定のミエロペルオキシダーゼ生成反応性中間体およびいくつかのMPO生成酸化生成物の概略図を示す。 図3は、ジチロシンおよびニトロチロシンの化学構造を示す。 図4は、健康な被験体およびMPO欠損被験体由来の好中球を有する血漿における脂質過酸化を示す。正常な個体およびMPO欠損個体から単離された好中球(1×10/ml)を、DTPA(100μM、pH7.0)および新鮮なヒト血漿(50%v/v)を補充したHBSS中で、37℃でインキュベートした。細胞を、ホルボールミリステートアセテート(PMA、200nM)の添加によって活性化し、そして2時間インキュベートした(完全系)。次いで、内因性血漿脂質内に形成される9−H(P)ODEおよび9−H(P)ETEの含有量を、LC/ESI/MS/MSによって決定した。示される場合、ヒトMPO(30nM)を、反応混合物に添加した。データは、3連の測定の平均±SDを表す。所与の条件についてのクラスター内のそれぞれのバーは、異なるドナー由来の好中球調製物を用いて行った独立した実験から得られた結果を表す。PMN(MPO+)、正常な被験体から単離された好中球;PMN(MPO−)、MPO欠損被験体から単離された好中球。 図5は、内因性血漿脂質の脂質過酸化の好中球依存性の開始の特徴を示す。正常な被験体(PMN)から単離された好中球(1×10/ml)を、DTPA(100μM、pH7.0)および新鮮なヒト血漿(50%v/v)を補充したHBSS中で、37℃でインキュベートした。細胞を、ホルボールミリステートアセテート(PMA、200nM)の添加によって活性化し、次いで2時間インキュベートした(完全系)。次いで、内因性血漿脂質内に形成される9−H(P)ODEおよび9−H(P)ETEの含有量を、LC/ESI/MS/MSによって決定した。完全系に対する付加また削除は、示されるとおりであった。完全系への添加の最終濃度は、30nM ヒトMPO、1mM NaN、300nM カタラーゼ(Cat)、300nM 熱不活化カタラーゼ(hiCat)、100μM メチオニン(Met)、100μM アスコルベートおよび10μg/ml スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)であった。データは、3つの独立した実験の平均±SDを表す。 図6は、内因性血漿脂質の脂質過酸化のMPO依存性の開始の特徴を示す。新鮮なヒト血漿(50%、v/v)を、DTPA(100μM、pH7.0)およびH生成系(グルコース/グルコースオキシダーゼ(G/GO)から構成される)を補充したHBSS中で、12時間、37℃で、単離されたヒトMPO(30nM)とともにインキュベートした(完全系)。この条件下で、Hの連続フラックスを、10μM/時間で形成する。次いで、内因性血漿脂質内に形成される9−H(P)ODEおよび9−H(P)ETEの含有量を、LC/ESI/MS/MSによって決定した。完全系に対する付加また削除は、示されるとおりであった。完全系への添加の最終濃度は、1mM NaN、300nM カタラーゼ(Cat)、300nM 熱不活化カタラーゼ(hiCat)、200nM SOD、100μM メチオニン(Met)、および100μM アスコルベートであった。データは、3つの独立した実験の平均±SDを表す。 図7は、LDLのMPO酸化によって生成された、酸化ホスファチジルコリン種が、アテローム性動脈硬化損傷において濃縮されることを示す。示される酸化PC種の含有量を、LC/ESI/MS/MSを使用して、ネイティブなLDLおよびMPO−H−NO系によって酸化されたLDL(NO−LDL)において決定した。データは、2回行われた代表的な実験の3連の測定の平均±S.D.を表す。LDL調製物およびNO−LDL調製物中のPAPCの含有量は、それぞれ、0.122±0.07μmol/mgのアポタンパク質および0.008±0.001μmol/mgのアポタンパク質であった。LDL調製物およびNO−LDL調製物中のPLPCの含有量は、それぞれ、0.88±0.05μmol/mgのアポタンパク質および0.35±0.05μmol/mgのアポタンパク質であった。Watanabe Heritable Hyperlipidemic Rabbit由来の胸大動脈を単離し、100μM BHTおよび100μM DTPAを補充したアルゴン散布(sparged)PBS中でリンスし、同じ緩衝液中に浸し、アルゴンでカバーし、液体窒素中でフラッシュ凍結し、次いで、分析まで−80℃で保存した。脂質損傷を比較的含まない動脈を、10〜12週齢のWHHLウサギから得た一方で、コンフルエントな損傷を有する動脈を、6か月齢より上のWHHLウサギから回収した。個々の凍結動脈を、液体窒素下でステンレス鋼乳鉢および乳棒を用いて粉砕し、この粉末を、PTFEを裏打ちされたキャップを備えるガラスネジキャップ付き試験管に移し、次いで、BHTの存在下で、アルゴン下で、BlighおよびDyerの方法によって、脂質を抽出した。3つの動脈を、各群において分析した。次いで、脂質の定量化を、LC/ESI/MS/MSによって実行した。データを、平均±S.D.として表す。 図8は、ヒト患者のアテローム性動脈硬化プラーク物質および心臓移植ドナーの正常動脈内膜中の選択MPO−g生成酸化脂質の含有量を示す。 図9は、単離された白血球中のMPOの含有量(白血球−MPO)および血液1ml当たりのMPOの含有量(血液−MPO)を、「方法」において記載したように、333の被験体(158が既知の冠状動脈疾患を有し、そして175が血管造影的に有意なCADを有さなかった)中で決定したことを示す。MPOレベル対CAD状態のボックス−ウイスカー(box−whisker)プロットが示される。ボックスは、25〜75パーセンタイルを含む。ボックス内の線は、中央値を表す。バーは、2.5パーセンタイルおよび97.5パーセンタイルを表す。ANC、絶対好中球計数;CAD,冠状動脈疾患;PMN、多形核白血球。 図10は、モデル1−単変量調節(年齢、性別、高血圧、喫煙履歴、HDLc、WBC四分位数、およびMPO四分位数)に従って有意な危険性因子について調節した確率比(odds ratio);モデル2−フラミンガム総体危険度評価、WBC四分位数およびMPO四分位数について調節した確率比を示す。黒丸、非調節確率比。黒三角、モデル1。黒四角、モデル2。 図11は、好中球1個当たりのMPOレベルが、集団における平均より下である個体(左パネル)、および、好中球1個当たりのMPOレベルが、集団における平均より上である個体(右パネル)由来のWBCのサイトグラムを示す。

Claims (19)

  1. ヒト患者の、心臓血管疾患を有する危険性を特徴付けるのを支援するための方法であって、該方法は、以下:
    a)該ヒト患者由来の身体サンプル中の、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性のレベル、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)量のレベル、またはこれらの両方を決定する工程であって、該身体サンプルは、血液、血清、血漿、循環白血球、またはこれらの任意の組み合わせである、工程;ならびに
    b)該ヒト患者由来の身体サンプル中の、該ミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性のレベル、該ミエロペルオキシダーゼ(MPO)量のレベル、またはこれらの両方を、それぞれ、コントロール被験体の集団から得られた匹敵する身体サンプル中の、該MPO活性のレベル、該MPO量のレベル、またはこれらの両方に基づく少なくとも1つのコントロール値と比較する工程、
    を包含し、
    ここで、該少なくとも1つのコントロール値と比較した場合の該試験被験体の身体サンプル中のMPO活性、MPO量、またはこれらの両方の上昇したレベルは、該試験被験が、アテローム性動脈硬化症の心臓血管疾患を有する危険性があることを示す、
    方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記コントロール値が、1つの正規化された値であるか、または正規化された値の範囲であり、そして、一般的なヒト被験体集団または選択されたヒト被験体集団由来の匹敵する身体サンプルにおけるMPO活性レベル、MPO量レベルまたはその両方に基づく、方法。
  3. 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記コントロール値が、1つの代表的な値であるか、または代表的な値の範囲であり、そして、一般的なヒト被験体集団または選択されたヒト被験体集団由来の匹敵する身体サンプルにおけるMPO活性レベル、MPO量レベルまたはその両方に基づく、方法。
  4. 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記コントロール値が、一般的なヒト被験体集団または選択されたヒト被験体集団由来の匹敵する身体サンプルにおけるMPO活性レベルに基づく、複数の予め決定されたMPO活性レベルの範囲であり、そして、
    前記比較する工程は、該複数の予め決定されたMPO活性レベルの範囲のうちのどれに、該ヒト被験体のMPO活性レベルが入るかを決定する工程を包含する、
    方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法であって、ここで、前記身体サンプルは、好中球、単球、好中球の亜集団、および単球の亜集団からなる群より選択される、1つ以上の循環白血球である、方法。
  6. 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記コントロール値が、一般的なヒト被験体集団または選択されたヒト被験体集団由来の匹敵する身体サンプルにおけるMPO量レベルに基づく、複数の予め決定されたMPO量レベルの範囲であり、そして、
    前記比較する工程は、該複数の予め決定されたMPO量レベルの範囲のうちのどれに、該ヒト被験体のMPO量レベルが入るかを決定する工程を包含する、
    方法。
  7. ヒト患者の、アテローム性動脈硬化症の心臓血管疾患を有する危険性を特徴付けるのを支援するための方法であって、該方法は、以下:
    a)該ヒト患者由来の身体サンプル中の、ミエロペルオキシダーゼ活性のレベル、ミエロペルオキシダーゼ量のレベル、またはこれらの両方を決定する工程であって、該身体サンプルは、血液、血清、血漿、循環白血球、またはこれらの任意の組み合わせであり、該循環白血球は、好中球、単球、好中球の亜集団、および単球の亜集団からなる群より選択される、工程;
    b)該ヒト患者由来の身体サンプル中の、選択されたミエロペルオキシダーゼ生成酸化産物のレベルを決定する工程であって、ここで、該身体サンプルは、血液、血清、血漿、もしくは尿またはこれらの組み合わせであり、ここで、該選択されたミエロペルオキシダーゼ生成酸化産物は、遊離のニトロチロシン、および、ペプチド結合ニトロチロシンからなる群より選択され、該身体サンプルは、血液、血清、血漿、もしくは尿またはこれらの組み合わせである、工程;
    c)該ヒト患者由来の身体サンプル中の、ミエロペルオキシダーゼ活性のレベル、ミエロペルオキシダーゼ量のレベル、またはこれらの両方のそれぞれを、コントロール被験体の集団から得られた匹敵する身体サンプル中の、該MPO活性のレベルまたは該MPO量のレベルに基づく第一のコントロール値と比較する工程;ならびに
    d)該身体サンプル中の、該選択されたミエロペルオキシダーゼ生成酸化産物のレベルを、コントロール被験体の集団から得られた匹敵する身体サンプル中の、該MPO活性のレベルまたは該MPO量のレベルに基づく第二のコントロール値と比較する工程、
    を包含し、
    ここで、工程cおよび工程dの比較は、該ヒト患者の、心臓血管疾患を有する危険性を特徴付けるための情報を提供する、
    方法。
  8. アテローム性動脈硬化症の心臓血管疾患を有すると疑われる被験体またはアテローム性動脈硬化症の心臓血管疾患を有する被験体におけるアテローム性動脈硬化症の心臓血管疾患のための治療剤を評価するのを支援するための方法であって、該方法は、
    該治療剤での処置後の被験体から採取された身体サンプル中のMPO活性レベル、MPO量レベルまたはその両方を、それぞれ、該治療剤での処置前の該被験体から採取された対応する身体サンプル中のMPO活性レベル、MPO量レベルまたはその両方と比較する工程であって、ここで、該身体サンプルは、血液、血清、血漿、循環白血球であり、該循環白血球は、好中球、単球、好中球の亜集団、単球の亜集団およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、工程、
    を包含する、方法。
  9. 請求項に記載の方法であって、前記治療剤を用いた処置後の被験体から採取された血液サンプル中の第2の危険予測因子のレベルを、処置後の該被験体から採取された血液サンプル中の第2の危険因子のレベルと比較する工程であって、ここで、該第2の危険予測因子は、LDL、C−反応性タンパク質、総コレステロール、HDLコレステロール、トリグリセリド、LDL/HDL比、Lp(a)、インターロイキン6、およびホモシステインからなる群より選択される、工程、
    をさらに包含する、方法。
  10. アテローム性動脈硬化症の心臓血管疾患を有する患者においてアテローム性動脈硬化症の血管疾患の進行のモニタリングを支援する方法であって、該方法は、以下:
    初期に被験体から採取した身体サンプル中の、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性のレベル、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)量のレベル、またはこれらの両方と、後の時点で該被験体から採取した身体サンプル中の、MPO活性のレベル、MPO量のレベル、またはこれらの両方とを比較する工程、
    を包含し、
    ここで、該身体サンプルは、血液、血清、血漿、または循環白血球の集団もしくは亜集団であり、該循環白血球の集団もしくは亜集団は、単球、好中球、単球の亜集団、好中球の亜集団またはこれらの任意の組み合わせからなる群より選択され、そして
    後の時点で採取した身体サンプル中の、MPO活性のレベル、MPO量のレベル、またはこれらの両方における増加は、該疾患が悪化したことを示す、
    方法。
  11. 患者における心筋梗塞、発作、狭心症、一過性脳虚血発作、うっ血性心不全またはこれらの任意の組み合わせを経験する危険性の評価を支援するための方法であって、該方法は、
    該被験体の身体サンプル中の、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性のレベル、MPO量のレベル、またはこれらの両方を決定する工程であって、該身体サンプルは、血液、血清、血漿、循環白血球またはこれらの任意の組み合わせであり、該循環白血球は、単球、好中球、単球の亜集団、および好中球の亜集団からなる群より選択される、工程;
    該MPO活性のレベル、該MPO量のレベル、またはこれらの両方を、コントロール被験体から得られた匹敵する身体サンプル中の、該MPO活性のレベル、該MPO量のレベル、またはこれらの両方に基づく1つ以上の予め決定された値と比較する工程、
    を包含し、
    ここで該身体サンプル中の該MPO量のレベルが該予め決定された値より大きい患者は、心筋梗塞、発作、狭心症、一過性脳虚血発作、うっ血性心不全またはこれらの任意の組み合わせを経験する危険性が、該MPO量のレベルが該予め決定された値以下である患者より大きい、
    方法。
  12. 試験被験体の、アテローム性動脈硬化症の心臓血管疾患を発生させる危険性を特徴付けるのを支援するための方法であって、該方法は、
    該試験被験体由来の身体サンプル中の、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性のレベル、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)量のレベル、またはこれらの両方を決定する工程であって、該身体サンプルは、血液、血清、血漿、血液の白血球であり、該白血球は、好中球、単球およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、工程、
    を包含し、
    ここでコントロール被験体から得られた匹敵する身体サンプル中の、該MPO活性のレベル、MPO量のレベル、またはこれらの両方に基づく少なくとも1つの値と比較した場合の、該試験被験体の身体サンプル中の、該MPO活性、MPO量、またはこれらの両方の上昇したレベルは、アテローム性動脈硬化症の心臓血管疾患を発生させる危険性があることを示す、
    方法。
  13. 請求項12に記載の方法であって、ここで、前記コントロール値が、1つの正規化された値であるか、または正規化された値の範囲であり、そして、一般的なヒト被験体集団または選択されたヒト被験体集団由来の匹敵する身体サンプルにおけるMPO活性レベル、MPO量レベルまたはその両方に基づく、方法。
  14. 請求項12に記載の方法であって、ここで、前記コントロール値が、1つの代表的な値であるか、または代表的な値の範囲であり、そして、一般的なヒト被験体集団または選択されたヒト被験体集団由来の匹敵する身体サンプルにおけるMPO活性レベル、MPO量レベルまたはその両方に基づく、方法。
  15. 請求項12に記載の方法であって、ここで、前記コントロール値が、一般的なヒト被験体集団または選択されたヒト被験体集団由来の匹敵する身体サンプルにおけるMPO活性レベルに基づく、複数の予め決定されたMPO活性レベルの範囲であり、そして、
    前記比較する工程は、該複数の予め決定されたMPO活性レベルの範囲のうちのどれに、該ヒト被験体のMPO活性レベルが入るかを決定する工程を包含する、
    方法。
  16. 請求項1215のいずれか1項に記載の方法であって、ここで、前記身体サンプルは、好中球、単球、好中球の亜集団、および単球の亜集団からなる群より選択される、1つ以上の循環白血球である、方法。
  17. 請求項12に記載の方法であって、ここで、前記コントロール値が、一般的なヒト被験体集団または選択されたヒト被験体集団由来の匹敵する身体サンプルにおけるMPO量レベルに基づく、複数の予め決定されたMPO量レベルの範囲であり、そして、
    前記比較する工程は、該複数の予め決定されたMPO量レベルの範囲のうちのどれに、該ヒト被験体のMPO量レベルが入るかを決定する工程を包含する、
    方法。
  18. 前記患者のMPO活性のレベルまたはMPO量のレベルが、フローサイトメトリーを使用する方法によって決定される、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記試験被験体の身体サンプルにおけるミエロペルオキシダーゼ量のレベルが、免疫学的技術によって決定される、請求項1〜3、5〜14、16、または17のいずれか1項に記載の方法。
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