JP4874545B2 - 口腔感染に対する被検体の感受性を決定する方法 - Google Patents

口腔感染に対する被検体の感受性を決定する方法 Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、好中球減少症の診断および感染に対する感受性を決定する方法に関する。本発明はまた、好中球減少症を治療する方法ならびに感染を治療および/または予防する方法に関する。
発明の背景
全ての動物および動物は、先天性免疫の主要なエフェクター分子である抗菌ペプチドを産生する。700種類を超える抗菌ペプチドが知られている。抗菌ペプチドは、効力が古典的な抗生物質と似ている天然の殺菌成分である。
動物に由来する全ての抗菌ペプチドは遺伝子によってコードされており、一次転写物は、殺菌エフェクターになるためにタンパク質分解処理を必要とする不活性前駆体に翻訳される。不活性前駆体を使用するのは宿主細胞を損傷から保護するためであると考えられ、重要な調節機構である可能性がある。
ヒトにおいて、抗菌ペプチドは、上皮細胞、特殊化した粒状細胞、および白血球によって全ての体表面において産生される。大部分の種には、いくつかのかなり類似したペプチドからなるファミリーがあり、ペプチド一つ一つに遺伝子がある。これは、有害な変異に対する進化上の安全策であると考えられている。ヒト抗菌ペプチドレパートリーの2つの主要なファミリーがα-デフェンシンおよびβ-デフェンシンである。パネート細胞および好中球などの顆粒を有する細胞がα-デフェンシンを産生するのに対して、β-デフェンシンは主に上皮細胞によって産生される。LL-37はCAMP遺伝子によりコードされ、ヒトにおいて同定されている唯一のカテリシジン(cathelicidin)型ペプチドである。LL-37は好中球によって産生され、好中球より少ない程度で末梢リンパ球によって産生される。皮膚および歯肉もLL-37を発現する。プロ型LL-37はカテリン(cathelin)-LL-37であり、これは、例えば、好中球によって励起されると切断されて、殺菌性ペプチドLL-37を放出する。
コストマン病(Morbus Kostmann)は重症先天性好中球減少症であり、ここでは最初のコストマン家の子孫における疾患と定義される。コストマン病は劣性変異の結果として起こり、エラスターゼ遺伝子の優性変異が原因であると考えられている大部分の他の遺伝性好中球減少症とは異なる。常染色体性劣性好中球減少症であるコストマン病の起源は未知である。1つまたはそれ以上の特定されていない遺伝子欠陥によって、好中球の成熟が前骨髄球/骨髄球段階で阻止される。
コストマン症候群は、今日の抗生物質が導入された1975年ごろまで命にかかわる疾患であった。組換え顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)が利用可能になった1990年ごろから、組換えヒトG-CSFによる改善された治療が実施されている。これには、毎日のG-CSF注射と、必要な場合、抗生物質療法の併用を伴う。G-CSF治療は好中球の数を正常なレベルまで回復させ、これらの患者の生活の質を著しく改善した。しかしながら、好中球レベルの正常化にもかかわらず、コストマン患者は依然として感染症にかかりやすく、重篤な歯周病に苦しんでいる。
発明の概要
本発明者らは、G-CSFによる治療を受けたコストマン病患者の循環中の好中球数は正常であるが、これらの細胞には少なくとも1種類の殺菌エフェクター分子LL-37およびその前駆体カテリン-LL-37が存在しないことを示した。従って、本発明者らは、好中球減少症において感染症と闘い、常在菌叢を制御するためには、循環中の好中球の数と、抗菌エフェクターの面での適切な装備の両方を維持することが重要であることを証明した。本発明者らはまた、抗菌ペプチドLL-37のレベルがヒトにおいて低い場合があることを証明し、驚くべきことに、この一種類の抗菌ペプチドのレベルの低下によって細菌感染に対する感受性が増大することを示した。
特に、本発明者らは、唾液および好中球におけるLL-37レベルの低下が歯周病(主に口腔の常在菌叢に由来する細菌によって引き起こされる多菌性感染症)に対する感受性を増大させることを示した。
従って、本発明は、以下を提供する:
- 感染に対する被検体の感受性を決定する方法であり、以下の段階:
(i)被検体から試料を得る段階;
(ii)試料に存在する任意のLL-37を検出する段階;
(iii)任意で、試料中のLL-37レベルと対照試料とを比較する段階;および
(iv)感染に対する被検体の感受性を決定する段階であり、LL-37が存在しないことまたはLL-37が低レベルであることが、被検体が感染に対して感受性であることを示す段階を含む方法;
- 感染のリスクを減らすために個体を治療する方法であり、以下の段階:
感染に対して感受性である被検体に、感染に対する感受性を低下させるのに有効な量のLL-37を投与する段階を含む方法;
- 感染に対する個体の感受性を決定し、感染のリスクを減らすために個体を治療する方法であり、以下の段階:
(i)被検体から試料を得る段階;
(ii)試料に存在する任意のLL-37を検出する段階;
(iii)任意で、試料中のLL-37レベルと対照試料とを比較する段階;
(iv)感染に対する被検体の感受性を決定する段階であり、LL-37が存在しないことまたはLL-37が低レベルであることが、被検体が感染に対して感受性であることを示す段階;および
(v)感染に対して感受性である被検体に、感染に対する感受性を低下させるのに有効な量の抗菌剤を投与する段階を含む方法;
- 感染の予防的処置のための薬剤の製造におけるLL-37の使用;
- 好中球減少症の被検体における感染の治療のための薬剤の製造におけるLL-37の使用;
- 被検体における好中球減少症を診断する方法であり、以下の段階:
(i)被検体から試料を得る段階;
(ii)試料に存在する任意のLL-37を検出する段階;
(iii)任意で、試料中のLL-37レベルと対照試料とを比較する段階;および
(iv)被検体が好中球減少症であるかどうかを決定する段階であり、LL-37が存在しないことまたはLL-37が低レベルであることが、被検体が好中球減少症であることを示す段階を含む方法;
- 好中球減少症の被検体が、LL-37レベルの低下に関連するタイプの好中球減少症であるかどうかを決定する方法であり、以下の段階:
(i)被検体から試料を得る段階;
(ii)試料に存在する任意のLL-37を検出する段階;
(iii)任意で、試料中のLL-37レベルと対照試料とを比較する段階;および
(iv)被検体が、LL-37レベルの低下に関連するタイプの好中球減少症であるかどうかを決定する段階であり、LL-37が存在しないことまたはLL-37が低レベルであることが、被検体がLL-37レベルの低下に関連するタイプの好中球減少症であることを示す段階を含む方法;
- 好中球減少症の被検体を治療する方法であり、以下の段階:
(i)被検体から試料を得る段階;
(ii)試料に存在する任意のLL-37を検出する段階;
(iii)任意で、試料中のLL-37レベルと対照試料とを比較する段階;および
(iv)被検体が好中球減少症であるかどうかを決定する段階であり、LL-37が存在しないことまたはLL-37が低レベルであることが、被検体が好中球減少症であることを示す段階;および
(v)好中球減少症の治療に適した治療有効量の薬剤を、好中球減少症の被検体に投与する段階を含む方法;
- 好中球減少症の被検体を治療する方法であり、治療有効量のLL-37を、治療と必要とする被検体に投与する段階を含む方法;
- 好中球減少症の治療のための薬剤の製造におけるLL-37の使用;
- ヒトまたは動物の身体の治療において別々に使用するか、連続して使用するか、または同時に使用するための、LL-37と、細胞分裂抑制薬、コルチコステロイド、または増殖因子とを含む製品;
- 細胞分裂抑制薬、コルチコステロイドもしくは増殖因子が与えられている被検体、または細胞分裂抑制薬、コルチコステロイドもしくは増殖因子が与えられたことのある被検体における感染の治療のための薬剤の製造におけるLL-37の使用。
発明の詳細な説明
感染に対する感受性を決定する方法
本発明は、被検体に由来する試料中のLL-37レベルを検出することによって、感染に対する被検体の感受性を決定するインビトロ方法を提供する。LL-37レベルが低いことは感染に対する高い感受性を示すように、一般的に、LL-37レベルは感染に対する感受性と相関関係がある。被検体が正常な個体と比較して感染に対して高い感受性を有するかどうかを決定するために、被検体に由来する試料中のLL-37レベルは、正常な被検体に由来する試料中のLL-37レベルと比較することができる。
感染に対する被検体の感受性を決定する方法は、本質的に、以下の段階:
(i)被検体から試料を得る段階;
(ii)試料に存在する任意のLL-37を検出する段階;
(iii)任意で、試料中のLL-37レベルと対照試料とを比較する段階;および
(iv)感染に対する被検体の感受性を決定する段階であり、LL-37が存在しないことまたはLL-37が低レベルであることが、被検体が感染に対して感受性であることを示す段階からなる。
感染に対する高い感受性はまた、正常なレベルのLL-37が発現されているが、発現されたLL-37が機能しない場合(すなわち、発現されたLL-37に抗菌活性がない場合)に生じることがある。本発明は、機能的LL-37のレベルが検出される、感染に対する感受性を決定する方法を提供する。従って、1つの態様において、前記の方法は、検出されるLL-37が、LL-37を機能不全にする変異を含むかどうかを決定する段階を含む。
被検体は一般的にヒトである。被検体は男性でも女性でもよい。被検体は、白血球の産生または機能に影響を及ぼす疾患(例えば、好中球減少症)に罹患していてもよい。被検体は、コルチコステロイドまたは細胞分裂抑制薬を用いて治療されたことがある被検体でもよく、コルチコステロイドまたは細胞分裂抑制薬を用いて治療されている被検体でもよい。被検体は免疫抑制薬で治療されていてもよい。被検体は再発性感染症に罹患している個体でもよい。被検体は感染のリスクに曝されている被検体でもよく、感染のリスクに曝されようとしている被検体でもよい。例えば、被検体は、歯科手術などの外科手術を受けようとしている被検体でもよい。被検体は火傷を有してもよく、および/または糖尿病でもよい。
試料中のLL-37のレベルは、一般的に、LL-37の濃度である。または、LL-37のレベルは、ある特定の大きさの試料におけるLL-37の量とみなされてもよい。個体が、正常個体より大なり小なり感染に対して感受性であるかどうかを決定するために、被検体に由来する試料中のLL-37レベルと対照試料中のLL-37レベルを比較することが必要である。
試料中のLL-37レベルは、試料中のLL-37を検出するアッセイの結果と標準試料に対して行われたアッセイの結果を比較することによって決定してもよい。標準試料は既知量のLL-37(例えば、組換えLL-37)を含んでもよい。
対照試料は、一般的に、正常な被検体に由来する同様の試料でもよい。正常な被検体は、一般的に、健常な被検体である。健常な被検体は、感染(特に、感染に対する感受性を決定しているタイプの感染)に罹患していない被検体である。好ましくは、正常な個体は免疫抑制されておらず、細胞分裂抑制薬またはコルチコステロイドを用いて治療されておらず、白血球の産生または機能に影響を及ぼす疾患(例えば、好中球減少症)に罹患していない。
一般的に、LL-37レベルを決定するために用いられる対照被検体に由来する試料は、同じタイプの試料である点で、試験されている被検体に由来する試料と同様のものである(例えば、両方とも唾液試料である)。好ましくは、対照被検体および試験被検体に由来する試料は同日の同じ時刻に採取される。
または、対照試料は一般的な参照値でもよい。例えば、対照試料は、一般集団のLL-37レベルを示す参照データベースからの理論的試料でもよく、被検体が一員であるより小さな個体群(例えば、人種もしくは家族)からの理論的試料でもよい。このようなデータベースは時が経つにつれて容易に増大し得る。好ましくは、被検体に由来する試料中のLL-37レベルと比較される対照LL-37レベルは、選択された個体群に由来する平均レベルである。
従って、1つの態様において、対照試料は正常な被検体に由来するものであるか、または正常な被検体におけるLL-37レベルを示すものであり、段階(iii)は、試料中のLL-37レベルが対照試料中のLL-37レベルと比較して高いまたは低いかどうかを決定する段階を含み、段階(iv)において、LL-37レベルが低いことは被検体が感染に対して感受性であることを示す。
感染に対して感受性の被検体から採取された試料はLL-37を含まなくてもよく、正常な被検体から採取された試料で見られるLL-37量の70%未満、例えば、60%未満、50%未満、または40%未満を含んでもよく、好ましくは、30%未満、例えば、20%未満または10%未満を含む。
試験にかけられている個体のLL-37レベルと比較される対照試料は、LL-37レベルが低い別の被検体に由来する試料でもよい。対照試料は、このような被検体の参照データベースからの理論的試料でもよい。好ましくは、対照値は、感染に対して感受性の被検体で見られる低いLL-37レベルの範囲である。この場合、感染に対して感受性の被検体は、対照試料と同じレベルまたは同様のレベルを有する被検体である。
1つの局面において、対照試料は、試験にかけられている被検体から初期の時点で採取されたものでもよい。例えば、被検体が免疫抑制されているか、免疫抑制されたことがある場合、試験にかけられている試料は、被検体が免疫抑制される前の同じ被検体に由来する試料と比較されてもよい。
感染は、LL-37が有効であるか、または宿主防御の一部をなす、任意の微生物による感染でもよい。好ましくは、感染は細菌感染である。感染を引き起こす細菌は、例えば、ブドウ球菌、連鎖球菌、大腸菌、またはサルモネラ菌でもよい。好ましくは、細菌感染はアクチノバチルス-アクチノミセテムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)感染である。
感染は、身体の任意の部分(例えば、口、眼、肺、皮膚、鼻、洞、咽頭、耳、尿路、胃腸管、または膣)の感染でもよい。好ましくは、感染は、歯肉炎および/または歯根膜炎などの口腔感染である。
コルチコステロイドの投与は、感染に対する感受性の低下をもたらすことがある。従って、本発明のアッセイ法を、多すぎるかまたは少なすぎるコルチコステロイドが患者に投与されているかどうかを決定するのに用いてもよい。
感染を予防する方法
感染のリスクを減らすために個体を治療する方法であり、感染に対して感受性の被検体に、感染に対する感受性を低下させるのに有効な量のLL-37を投与する段階を含む方法もまた本発明によって提供される。感染に対して感受性の被検体は本発明の方法を用いて特定することができる。
好ましい局面において、被検体は、感染のリスクに曝されようとしている被検体である。例えば、被検体は、歯科手術などの外科手術を受けようとしている被検体でもよい。
1つの局面において、本発明は、感染に対する個体の感受性を決定し、かつ感染のリスクを減らすために個体を治療する方法であり、以下の段階:
(i)被検体から試料を得る段階;
(ii)試料に存在する任意のLL-37を検出する段階;
(iii)任意で、試料中のLL-37レベルと対照試料とを比較する段階;
(iv)感染に対する被検体の感受性を決定する段階であり、LL-37が存在しないことまたはLL-37が低レベルであることが、被検体が感染に対して感受性であることを示す段階;および
(v)感染に対して感受性である被検体に、感染に対する感受性を低下させるのに有効な量の抗菌剤または抗菌剤の合成を促進する薬剤を投与する段階を含む方法を提供する。
対照試料は正常な被検体に由来するものでもよく、段階(iii)は、試料中のLL-37レベルが対照試料中のLL-37レベルと比較して高いまたは低いかどうかを決定する段階を含み、段階(iv)において、LL-37レベルが低いことは被検体が感染に対して感受性であることを示す。
感染に対する感受性を低下させるのに有効な抗菌剤の量は、微生物による感染の症状が観察されないように、または感染の重篤な症状が観察されないように、身体に侵入して感染を引き起こす微生物を攻撃する量である。抗菌剤の合成を促進する薬剤の有効量は、感染に対する感受性を低下させるのに有効な量の抗菌剤の発現をもたらす量である。
好ましくは、抗菌剤はLL-37である。他の適切な抗菌剤が使用されてもよく、LL-37の類似体および古典的な抗生物質を含む。
好ましくは、抗菌剤の合成を促進する薬剤はLL-37の合成を促進し、例えば、酪酸でもよい。
LL-37はプロ型LL-37(カテリン-LL-37)として投与されてもよく、成熟型LL-37として投与されてもよい。プロ型LL-37の投与は組織損傷を引き起こさないので有利である。または、プロ型LL-37または成熟型LL-37のいずれかをコードするmRNAまたはcDNA配列などの核酸(好ましくは、発現ベクター中の核酸)が投与されてもよい。プロ型LL-37を成熟型LL-37に切断することができる酵素またはこのような酵素をコードする核酸が、プロ型LL-37と同時投与されてもよい。
感染の予防的処置における使用のための薬剤の製造におけるLL-37の使用も提供される。
感染を治療する方法
本発明者らは、LL-37が好中球減少症の被検体における感染の治療に特に有効であり得ることを初めて示した。従って、本発明は、好中球減少症の被検体における感染の治療において使用するための薬剤の製造におけるLL-37の使用を提供する。
好中球減少症の被検体における感染を治療するための方法は、一般的に、好中球減少症の被検体に治療有効量のLL-37を投与する段階を含む。本明細書に記載の任意の適切な型のLL-37を投与することができる。治療有効量は、感染の症状が弱められるか、患者の状態が緩和されるような、感染を引き起こす微生物を殺傷する量である。
本発明者らはまた、歯肉炎および歯根膜炎を有する患者がLL-37欠損性であり、従って、歯肉炎および/または歯根膜炎の治療にLL-37が特に有益であり得ることも初めて示した。従って、本発明は、歯肉炎および/または歯根膜炎の治療における使用のための薬剤の製造におけるLL-37の使用を提供する。
歯肉炎および/または歯根膜炎を治療する方法は、一般的に、歯肉炎および/または歯根膜炎を有する被検体に治療有効量のLL-37を投与する段階を含む。本明細書に記載の任意の適切な型のLL-37を投与することができる。治療有効量は、歯肉炎および/もしくは歯根膜炎の症状が弱められるか、感染により引き起こされる損傷の悪化が妨げられるか、ならびに/または患者の状態が緩和するような、歯肉炎および/または歯根膜炎を引き起こす微生物を殺傷する量である。
好中球減少症のタイプを決定する方法
本発明はまた、好中球減少症の被検体がLL-37レベルの低下に関連するタイプであるかどうかを決定する方法も提供する。好中球減少症のタイプがLL-37レベルの低下に関連するかどうかを決定する方法も本発明によって提供される。
好中球減少症の被検体がLL-37レベルの低下に関連するタイプの好中球減少症であるかどうかを決定する方法は、一般的に、以下の段階:
(i)被検体から試料を得る段階;
(ii)試料に存在する任意のLL-37を検出する段階;
(iii)任意で、試料中のLL-37レベルと対照試料とを比較する段階;および
(iv)被検体が、LL-37レベルの低下に関連するタイプの好中球減少症であるかどうかを決定する段階であり、LL-37が存在しないことまたはLL-37が低レベルであることが、被検体がLL-37レベルの低下に関連するタイプの好中球減少症であることを示す段階を含む。
被検体は一般的にヒトであり、男性でも女性でもよい。被検体は、任意の適切な手段によって好中球減少症であると診断されていてもよい。一般的に、好中球減少症は細胞診によって診断することができる。好中球減少症の被検体は、(例えば、G-CSFなどの増殖因子または分化因子を用いた治療によって)好中球減少症の治療を受けたことがあってもよい。好ましくは、好中球減少症であり、好中球減少症の治療を受けている被検体は、被検体が感染に対して感受性であることを示唆する症状を有する。
試料中のLL-37のレベルは、一般的に、LL-37の濃度である。または、LL-37のレベルは、ある特定の大きさの試料におけるLL-37の量とみなされてもよい。個体が、LL-37レベルの低下に関連するタイプの好中球減少症であるかどうかを決定するために、被検体に由来する試料中のLL-37レベルと対照試料中のLL-37レベルを比較することが必要である。
一般的に、対照試料は、正常な被検体に由来する同様の試料である。正常な被検体は、一般的に、好中球減少症でない被検体であるが、LL-37レベルの低下に関連しないタイプの好中球減少症の被検体でもよい。好中球減少症でない被検体は、好ましくは、免疫抑制されていない、および/または如何なる感染症にも罹患していない被検体である。LL-37レベルを決定するために用いられる、好中球減少症でない個体に由来する試料は、同じタイプの試料である点で、試験にかけられている被検体に由来する試料と同様のものである(例えば、両方とも唾液試料である)。好ましくは、対照被検体および試験被検体に由来する試料は同日の同じ時刻に採取される。
または、対照試料は一般的な参照値でもよい。例えば、対照試料は、一般集団のLL-37レベルを示す参照データベースからの理論的試料でもよく、被検体が一員であるより小さな個体群(例えば、人種もしくは家族)からの理論的試料でもよい。このようなデータベースは時が経つにつれて容易に増大し得る。好ましくは、被検体に由来する試料中のLL-37レベルと比較される対照LL-37レベルは、選択された個体群に由来する平均レベルである。
従って、1つの態様において、対照試料は正常な被検体に由来するものであるか、または正常な被検体に由来する試料中のLL-37レベルを示すものであり、段階(iii)は、試料中のLL-37レベルが対照試料中のLL-37レベルと比較して高いまたは低いかどうかを決定する段階を含み、段階(iv)において、LL-37レベルが低いことは、被検体がLL-37レベルの低下に関連するタイプの好中球減少症であることを示す。
試験にかけられている個体のLL-37レベルと比較される対照試料は、LL-37レベルが低い別の被検体(例えば、LL-37レベルの低下に関連するタイプの好中球減少症(好ましくは、コストマン病)である別の被検体)に由来する試料でもよい。対照試料は、このような被検体の参照データベースからの理論的試料でもよい。低下したLL-37レベルの平均値が対照値として用いられる。好ましくは、対照値は、前記のタイプの好中球減少症に関連するLL-37レベルの範囲である。この場合、LL-37レベルの低下に関連するタイプの好中球減少症である被検体は、対照試料と同じレベルまたは同様のレベルを有する被検体である。
LL-37レベルの低下に関連するタイプの好中球減少症であると診断される被検体は、好中球減少症でない被検体に由来するLL-37レベルと比較してLL-37レベルが低い被検体である。LL-37レベルの低下に関連するタイプの好中球減少症である被検体から採取された試料は、LL-37を含まなくてもよい。または、LL-37レベルの低下に関連するタイプの好中球減少症である被検体から採取された試料は、正常な被検体に由来する対照試料で見られるLL-37量またはその代表的な値の70%未満、例えば、60%未満、50%未満、または40%未満を含んでもよく、好ましくは、30%未満、例えば、20%未満または10%未満を含む。
多くのタイプの好中球減少症がある。本発明の方法を用いて、LL-37レベルの低下に関連する任意のタイプの好中球減少症を診断することができる。LL-37レベルの低下に関連する可能性のあるタイプの好中球減少症として、散発性好中球減少症、コストマン病、末梢好中球減少症、原発性脾性好中球減少症、周期性好中球減少症、先天性好中球減少症、および慢性再生不良性好中球減少症(chronic hypoplastic neutropenia)が挙げられる。好ましくは、本発明の方法を用いて診断されるタイプの好中球減少症はコストマン病である。
好中球減少症のタイプがLL-37レベルの低下に関連するかどうかを決定する方法は、同様に、
以下の段階:
(i)好中球減少症の被検体から試料を得る段階;
(ii)試料に存在する任意のLL-37を検出する段階;
(iii)任意で、試料中のLL-37レベルと対照試料とを比較する段階;および
(iv)被検体の好中球減少症のタイプがLL-37レベルの低下に関連するタイプであるかどうかを決定する段階であり、試料中にLL-37が存在しないことまたはLL-37が低レベルであることが、被検体の好中球減少症のタイプがLL-37レベルの低下に関連するタイプであることを示す段階を含む。
対照試料が好中球減少症でない被検体に由来する試料である場合、段階(iii)は、試料中のLL-37レベルが対照試料中のLL-37レベルと比較して高いまたは低いかどうかを決定する段階を含んでもよく、段階(iv)において、LL-37レベルが低いことは、一般的に、被検体がLL-37レベルの低下に関連するタイプの好中球減少症であることを示す。
好中球減少症を診断する方法
本発明は、被検体に由来する試料中のLL-37レベルを検出することによって、好中球減少症を診断するためのインビトロ方法を提供する。一般的に、好中球減少症の被検体におけるLL-37レベルは、好中球減少症でない被検体と比較して低い。個体が好中球減少症であるかどうかを決定する方法は、本質的に、以下の段階:
(i)被検体から試料を得る段階;
(ii)試料に存在する任意のLL-37を検出する段階;
(iii)任意で、試料中のLL-37レベルと対照試料とを比較する段階;および
(iv)被検体が好中球減少症であるかどうかを決定する段階であり、LL-37が存在しないことまたはLL-37が低レベルであることが、被検体が好中球減少症であることを示す段階からなる。
被検体は一般的にヒトである。被検体は男性でも女性でもよい。被検体は、一般的に、感染に対して高い感受性を示し、再発性感染症の病歴があってもよい。
試料中のLL-37のレベルは、一般的に、LL-37の濃度である。または、LL-37のレベルは、ある特定の大きさの試料におけるLL-37の量とみなされてもよい。個体が好中球減少症であるかどうかを決定するために、被検体に由来する試料中のLL-37レベルと対照試料中のLL-37レベルを比較することが必要である。一般的に、対照試料は、好中球減少症でない被検体に由来する同様の試料である。好中球減少症でない被検体は、好ましくは、免疫抑制されていない、および/または如何なる感染症にも罹患していない被検体である。LL-37レベルを決定するために用いられる、好中球減少症でない個体に由来する試料は、同じタイプの試料である点で、試験されている被検体に由来する試料と同様のものである(例えば、両方とも唾液試料である)。好ましくは、対照被検体および試験被検体に由来する試料は同日の同じ時刻に採取される。
または、対照試料は、一般集団のLL-37レベルを示す参照データベースからの理論的試料でもよく、被検体が一員であるより小さな個体群(例えば、人種もしくは家族)からの理論的試料でもよい。このようなデータベースは時が経つにつれて容易に増大し得る。好ましくは、被検体に由来する試料中のLL-37レベルと比較される対照LL-37レベルは、選択された個体群に由来する平均レベルである。
従って、1つの態様において、対照試料は好中球減少症でない被検体に由来する試料であり、段階(iii)は、試料中のLL-37レベルが対照試料中のLL-37レベルと比較して高いまたは低いかどうかを決定する段階を含み、段階(iv)において、LL-37レベルが低いことは被検体が好中球減少症であることを示す。
試験にかけられている個体のLL-37レベルと比較される対照試料は、LL-37レベルが低い別の被検体(例えば、好中球減少症(好ましくは、コストマン病)である別の被検体)に由来する試料でもよい。対照試料は、このような被検体の参照データベースからの理論的試料でもよい。低下したLL-37レベルの平均値が対照値として用いられる。好ましくは、対照値は、好中球減少症に関連するLL-37レベルの範囲である。この場合、好中球減少症の被検体は、対照試料と同じレベルまたは同様のレベルを有する被検体である。
好中球減少症と診断される被検体は、好中球減少症でない被検体に由来するLL-37レベルと比較してLL-37レベルが低い被検体である。好中球減少症の被検体から採取された試料は、LL-37を含まなくてもよい。または、好中球減少症の被検体から採取された試料は、正常な被検体から採取された対照試料で見られるLL-37量の70%未満、例えば、60%未満、50%未満、または40%未満を含んでもよく、好ましくは、30%未満、例えば、20%未満または10%未満を含む。
好中球減少症を治療する方法
好中球減少症を治療する方法も本発明によって提供される。1つの局面において、好中球減少症を治療する方法は、以下の段階:
(i)被検体から試料を得る段階;
(ii)試料に存在する任意のLL-37を検出する段階;
(iii)任意で、試料中のLL-37レベルと対照試料とを比較する段階;
(iv)被検体が好中球減少症であるかどうかを決定する段階であり、LL-37が存在しないことまたはLL-37が低レベルであることが、被検体が好中球減少症であることを示す段階;および
(v)好中球減少症の被検体に、好中球減少症の治療に適した治療有効量の薬剤を投与する段階を含む。
対照試料が好中球減少症でない被検体に由来する試料である場合、段階(iii)は、試料中のLL-37レベルが対照試料中のLL-37レベルと比較して高いまたは低いかどうかを決定する段階を含んでもよく、段階(iv)において、LL-37レベルが低いことは、一般的に、被検体がLL-37レベルの低下に関連するタイプの好中球減少症であることを示す。
好中球減少症の治療に有用な任意の薬剤を投与することができる。好ましくは、薬剤は増殖因子であり、より好ましくはG-CSFまたはGM-CSFである。好ましくは、薬剤はLL-37またはLL-37類似体である。LL-37はプロ型LL-37(カテリン-LL-37)として投与されてもよく、成熟型として投与されてもよい。または、プロ型LL-37または成熟型LL-37をコードするmRNAまたはcDNA配列などの核酸(好ましくは、発現ベクター中の核酸)が投与されてもよい。プロ型LL-37を成熟型LL-37に切断することができる酵素またはこのような酵素をコードする核酸が、プロ型LL-37と同時投与されてもよい。LL-37および増殖因子(好ましくは、G-CSFまたはGM-CSF)が同時投与されてもよい。
好中球減少症であることが分かっている被検体を治療する方法も提供される。この方法は、治療を必要とする被検体に治療有効量のLL-37を投与する段階を含む。好中球減少症を治療するための薬剤の製造におけるLL-37の使用もまた本発明によって提供される。
好中球減少症を治療する方法は、一般的に、好中球減少症の被検体に治療有効量のLL-37を投与する段階を含む。本明細書に記載の任意の適切な型のLL-37を投与することができる。治療有効量は、疾患の1つもしくはそれ以上の症状を弱めるか、または一般的に患者の状態を緩和する量である。
併用療法
本発明は、ヒトまたは動物の身体の治療において別々に使用するか、連続して使用するか、または同時に使用するための、LL-37および細胞分裂抑制薬を含む製品、LL-37およびコルチコステロイドを含む製品、またはLL-37および増殖分化因子を含む製品を提供する。この製品は、細胞分裂抑制剤、コルチコステロイド、または増殖/分化因子を使用して治療することができる如何なる疾患の治療にも有用である。このような疾患として、好中球減少症、悪性疾患、ならびに炎症性疾患(例えば、潰瘍性大腸炎およびクローン病)が挙げられる。骨髄移植を受けた患者も、この製品を用いて治療することができる。このような治療において、コルチコステロイドまたは細胞分裂抑制と併用して投与されるLL-37の量は、コルチコステロイドまたは細胞分裂抑制剤の副作用を打ち消すのに有効な量である。
適切な細胞分裂抑制剤として、5-フルオロウラシル、メトトレキセート、シタラビン、ダウノルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、およびシスプラチンが挙げられる。
適切なコルチコステロイドとして、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、パラメサゾン、およびベタメタゾンが挙げられる。
好ましくは、増殖/分化因子はG-CSFまたはGM-CSFである。好中球減少症の治療において、G-CSFまたはGM-CSFとLL-37の投与が特に有利である。
LL-37は、プロ型LL-37(カテリン-LL-37)として投与されてもよく、成熟型LL-37として投与されてもよい。LL-37の類似体が投与されてもよい。プロ型LL-37は組織損傷を引き起こす能力が無いので有利である。または、プロ型LL-37または成熟型LL-37をコードするmRNAまたはcDNA配列などの核酸(好ましくは、発現ベクター中の核酸)が投与されてもよい。プロ型LL-37を成熟型LL-37に切断することができる酵素またはこのような酵素をコードする核酸が、プロ型LL-37と同時投与されてもよい。
細胞分裂抑制薬、コルチコステロイド、もしくは増殖因子が与えられようとしている被検体、細胞分裂抑制薬、コルチコステロイドもしくは増殖因子が与えられている被検体、または細胞分裂抑制薬、コルチコステロイドもしくは増殖因子が与えられたことのある被検体において感染を治療または予防するための薬剤の製造におけるLL-37の使用もまた、本発明によって提供される。
従って、好中球減少症、悪性疾患、および炎症性疾患から選択される疾患を治療する方法も提供される。骨髄移植患者を治療する方法も提供される。この方法は、一般的に、治療を必要とする被検体に、治療有効量の細胞分裂抑制剤またはコルチコステロイドおよび感染に対する感受性を低下させるのに有効な量のLL-37を投与する段階を含む。細胞分裂抑制剤またはコルチコステロイドの治療有効量は、疾患の1つもしくはそれ以上の症状を弱めるか、または一般的に患者の状態を緩和する量である。感染に対する感受性を低下させるのに有効なLL-37の量は、微生物による感染の症状が観察されないように、または感染の重篤な症状が観察されないように、身体に侵入して感染を引き起こす微生物を攻撃する量である。
試料
発明の方法のいずれか1つにおいて用いられる試料は、一般的に、個体の体液を含み、任意の適切な方法によって(例えば、口腔スワブなどのスワブを使用して)得ることができる。試料は、血液、尿、唾液、または頬細胞試料でもよい。
試料はアッセイに直接添加されてもよく、最初に処理されてもよい。一般的に、処理は、試料の希釈(例えば、水または緩衝液による希釈)を含んでもよい。一般的に、試料は、1.5倍〜100倍、例えば、2倍〜50倍または5倍〜10倍に希釈される。
処理は、血液成分または他の試料の分離を含んでもよい。
LL-37
本発明の方法のいずれか1つにおいて検出されるLL-37は、プロ型LL-37(カテリン-LL-37)でもよく、成熟型LL-37でもよい。または、LL-37 mRNAが検出されてもよい。1つの態様において、LL-37の分解産物が検出されてもよい。
検出
本発明の方法のいずれか1つにおいて、LL-37は任意の適切なアッセイを用いて検出することができる。一般的に、LL-37は、プロ型LL-37および/または成熟型LL-37への特異的結合が可能な薬剤(好ましくは、抗体)を使用して検出することができる。適切なアッセイ形式はELISAアッセイである。ウェスタンブロッティング、フローサイトメトリー(FACS)、または質量分光光度法が使用されてもよい。これらの技法は当業者に周知である。
検出方法における使用に適した抗体は、一般的に、LL-37に特異的に結合する抗体である。抗体または他の薬剤は、LL-37に優先的なもしくは高い親和性で結合するが、他のポリペプチドには実質的に結合しないか、結合しないか、または低い親和性でしか結合しない場合に、LL-37に「特異的に結合する」。抗体の特異的結合能力を決定するための競合結合または免疫放射線アッセイの様々なプロトコールが当技術分野において周知である(例えば、Maddox et al,J.Exp.Med.158,1211-1226,1993を参照のこと)。このようなイムノアッセイは、一般的に、特定のタンパク質とその抗体との複合体の形成および複合体形成の測定を伴う。
本発明の目的のために、用語「抗体」は、反対の明記がない限り、LL-37に結合する断片を含む。このような断片として、Fv、F(ab')、およびF(ab')2断片、ならびに単鎖抗体が挙げられる。さらに、抗体およびその断片は、キメラ抗体、CDRグラフト抗体、またはヒト化抗体でもよい。
LL-37 mRNAが検出される場合、mRNA配列にハイブリダイズするプローブまたはプライマーが検出方法において用いられてもよい。プローブまたはプライマーは、一般的に、mRNA配列に相補的な配列を有するが、アッセイに用いられるハイブリダイズ条件下でプローブまたはプライマーがLL-37 mRNAに特異的に結合するのであればミスマッチを含んでもよい。プローブまたはプライマーは、LL-37 mRNAに優先的なもしくは高い親和性で結合するが、他のmRNA配列には実質的に結合しないか、結合しないか、または低い親和性でしか結合しない時に、LL-37 mRNAに「特異的に結合する」。
投与
本明細書で述べられた如何なる治療剤の製剤化も、薬剤の性質および治療しようとする状態などの要因に左右される。このような全ての薬剤を様々な剤形で投与することができる。薬剤は、(例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性懸濁液または油性懸濁液、分散性散剤または顆粒剤として)経口投与されてもよく、非経口投与されてもよく、皮下投与されてもよく、静脈内投与されてもよく、筋肉内投与されてもよく、基質内投与されてもよく、経皮投与されてもよく、注入法によって投与されてもよい。医師は、特定の患者1人1人について必要な投与経路を決定することができると考えられる。
歯肉炎および/または歯根膜炎の治療のために、LL-37またはその類似体は練り歯磨きまたは口内洗浄剤の形で製剤化されてもよい。従って、LL-37またはその類似体を含む練り歯磨き、およびLL-37またはその類似体を含む口内洗浄剤も本発明によって提供される。
一般的に、薬剤は、使用のために薬学的に許容される担体または希釈剤と共に製剤化される。薬学的担体または希釈剤は、例えば、等張液でもよい。例えば、固形の経口用剤形は、活性化合物と共に、希釈剤(例えば、ラクトース、デキストロース、サッカロース、セルロース、コーンスターチ、もしくはバレイショデンプン);潤滑剤(例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムもしくはステアリン酸カルシウム、および/またはポリエチレングリコール);結合剤(例えば、デンプン、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、もしくはポリビニルピロリドン);脱凝集剤(例えば、デンプン、アルギン酸、アルギン酸塩、もしくはデンプングリコール酸ナトリウム);発泡性混合物;染料;甘味料;湿潤剤(例えば、レシチン、ポリソルベート、ラウリル硫酸)を含んでもよく、一般的に、薬剤に用いられる無毒で薬理学的に不活性の物質を含む。このような薬学的調製物は、既知の方法で(例えば、混合、造粒、錠剤化、糖衣、またはフィルムコーティングプロセスによって)製造することができる。
経口投与用の液体分散液は、シロップ、エマルジョン、および懸濁液でもよい。シロップは、担体として、例えば、サッカロースもしくはサッカロースとグリセリン、および/またはマンニトール、および/またはソルビトールを含んでもよい。
懸濁液およびエマルジョンは、担体として、例えば、天然ゴム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはポリビニルアルコールを含んでもよい。筋肉注射用の懸濁液または溶液は、活性化合物と共に、薬学的に許容される担体(例えば、滅菌水、オリーブ油、オレイン酸エチル、グリコール(例えば、プロピレングリコール))を含んでもよく、所望であれば適量の塩酸リドカインを含んでもよい。
静脈内注入用の溶液は、担体として、例えば、滅菌水を含んでもよく、好ましくは、滅菌等張食塩水の形をしていてもよい。
治療有効量の薬剤が投与される。用量は、様々なパラメータに応じて(特に、使用する薬剤;治療しようとする患者の年齢、体重、および状態;投与経路:ならびに必要とされるレジメに応じて)決定されることがある。さらに、医師は、任意の特定の患者に対して、必要な投与経路および投与量を決定することができると思われる。代表的な一日量は、特定の阻害剤の活性、治療しようとする被検体の年齢、体重、および状態、疾患の型および重篤度、ならびに投与頻度および投与経路に応じて約0.1〜50mg/kgであり、好ましくは、約0.1mg/kg〜10mg/kg体重である。好ましくは、一日投与量レベルは5mg〜2gである。
LL-37をコードする核酸は遺伝子療法の方法で哺乳動物に投与されてもよい。核酸(例えば、RNAまたはDNA、好ましくは、DNA)はベクター(例えば、被検体の細胞内で発現することができるベクター)の形で提供される。
ポリペプチドをコードする核酸は任意の利用可能な技法によって投与することができる。例えば、核酸は、針の注入(needle injection)によって、好ましくは、皮内に、皮下に、または筋肉内に導入されてもよい。または、核酸は、核酸送達装置(例えば、粒子を介した遺伝子送達)を用いて皮膚を通過するように直接送達されてもよい。核酸は、例えば、鼻腔内投与、経口投与、腟内投与、または直腸内投与によって皮膚または粘膜表面に局所投与されてもよい。
核酸構築物の取り込みは、いくつかの既知のトランスフェクション法(例えば、トランスフェクション用の薬剤の使用を含む技法)によって促進されてもよい。これらの薬剤の例として、カチオン性薬剤(例えば、リン酸カルシウムおよびDEAE-デキストラン)ならびにリポフェクタント(例えば、リポフェクタムおよびトランスフェクタム)が挙げられる。投与しようとする核酸の投与量は変更することができる。一般的に、核酸は、1pg〜1mg、好ましくは、粒子を介した遺伝子送達の場合、1pg〜10μg、他の経路の場合、10μg〜1mgの核酸の範囲で投与される。
以下の実施例は本発明を例示する。
実施例
実施例1: LL-37の検出
LL-37に対する抗体を用いて、本発明者は、現在生存している4人全員のコストマン病患者からの好中球抽出物および血漿試料をウェスタンブロットによって分析した。
患者および対照
4人全員のコストマン病患者は、5ヶ月になる前に一般的な臨床所見によって診断された。この試験には、さらに2人の血縁関係のない先天性好中球減少症患者が含まれた。1人は軽度のコストマン様症候群の患者であり(彼女は5歳の時に診断され、慢性歯肉炎のために回されてきた)、1人は周期性好中球減少症の患者である。G-CSF治療が始まる前に、周期性好中球減少症患者を除く全ての患者に歯根膜炎があったが、これらの患者は、この病気にも罹患している可能性がある。22人の対照のうち、19人は血縁者であり、3人は血縁関係のない健常個体であった。患者、患者の血縁者、および1人の健常対照は、Pediatric Ward of Sunderby病院(Lulea,Sweden)において血液を提供した。倫理上の同意が得られた(Umea,dnr01-250)。
血球の分離および抽出
EDTAによって全血が凝固しないようにした。好中球は、フィコール-パークプラス(Ficoll-Paque Plus)(アマシャムファルマシアバイオテク(Amersham Pharmacia Biotech)AB,Sweden)による密度遠心分離によって濃縮した。上層(血漿)を集め、-80℃で凍結した。リンパ球を境界面から集め、リン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄し、-80℃で凍結した。底にある細胞画分(主に顆粒球および赤血球を含む)を集め、赤血球を蒸留水で2分間溶解した。残りの細胞をPBSで希釈し、PBSで3回洗浄し、-80℃で保存した。
試料中のタンパク質含有量は、BCAタンパク質アッセイキット(ピアス(Pierce),USA)によって求めた。
抗血清およびウェスタンブロット分析
アフィニティ精製されたウサギ抗ペプチド抗体(イノバゲン(Inovagen),Sweden)は、2種類の合成ペプチド、成熟LL-37ペプチド全体およびカテリンプロ部分に由来するペプチドセグメント
Figure 0004874545
に対して作成された。
血漿および好中球抽出物をそれぞれ試料緩衝液と混合し、90℃で3分間加熱した。タンパク質を10〜20%トリス-トリシンSDS-アクリルアミドゲル(ノベックス(Novex))において分離し、PVDFフィルター(ノベックス)にブロットした。フィルターを、5%粉乳を含むPBS/0.1%トウィーン(Tween)20(PBST)で1時間ブロッキングした。フィルターを洗浄し、抗LL-37抗体1:10000希釈液と一晩インキュベートし、洗浄後、PBST中でHRP結合二次抗ウサギ血清(バイオラッド(BioRad))と1時間インキュベートした。さらに洗浄した後、イーシーエルプラス(ECL plus)(アマシャムファルマシアバイオテクAB,Sweden)を使用した化学発光によって検出を行った。抗カテリンペプチド抗体を使用した時、試料を電気泳動分離前に5% 2-メルカプトエタノール(80℃/10分)中で還元した。
結果
抗体は、4.5kDa成熟LL-37と16kDa未処理前駆体カテリン-LL-37の両方を認識する。図1に示すように、3人の対照において前駆体と成熟LL-37の両方を検出することができた。成熟LL-37のシグナルは前駆体より非常に弱かったので、本発明者らは、4.5kDaのバンドを検出するために好中球フィルターを過度に暴露しなければならなかった(図1,左部分)。さらに17人の対照(このうち16人が血縁者である)を試験し、同じ結果が得られた。
図1(中央部分)は、コストマン患者A、M、およびTの好中球ではカテリン-LL-37がほとんど存在しないことをはっきりと示している。これらの3人の患者ではLL-37を検出することができなかった(図1,左部分)。骨髄移植を受けたコストマン患者(N)には、正常レベルに近い前駆体と、はっきりと検出できる量のLL-37があった。「最初の家族(original family member)」に加えて、(最初の家族とは血縁関係がない)軽度の「散発性」コストマン様症候群と診断された1人の患者(J)のカテリン-LL-37レベルは対照と比較して少なかった(図1,中央部分)。対照的に、周期性好中球減少症と診断された患者(W)のカテリン-LL-37レベルは正常であった。好中球ブロットは濃度測定によって評価した。本発明者らは、対照における16kDa前駆体と成熟4.5kDa LL-37の比が100/1を上回ると見積もった(図1,中央部分)。
好中球数は経時変化することがあるが、血漿中のカテリン-LL-37レベルは、通常、約1.2μg/mlの濃度で存在する。本発明者らのウェスタンブロット分析(図1,右部分)から、患者T、M、およびAの通常の血漿中カテリン-LL-37レベルは、濃度測定スキャニングにより見積もられたように1%〜2%であったことが分かる。散発性患者(J)のレベルは、コストマン患者より5倍〜10倍高く(これは対照の10%に相当する)、移植患者(N)のレベルは正常に近かった(対照の70%)。前駆体のカテリン部分に対する抗体を用いたウェスタンブロット分析において、患者および対照で同じカテリン-LL-37パターンが得られた。長時間の暴露の後でさえも、如何なる試料においても遊離LL-37は検出することができなかった。
実施例2: デフェンシンの検出
好中球抽出物のデフェンシン含有量を分析用HPLCによって定量した。
顆粒球抽出物のHPLC分析
好中球が濃縮された細胞調製物からペプチド/タンパク質を30%酢酸に+4℃で2.5時間抽出し、遠心分離した。上清を凍結乾燥し、0.1%トリフルオロ酢酸に再懸濁し、遠心分離した。透明な上清を、C18カラム(バイダック(Vydac),218TP54,ザセパレーショングループ(The Separation Group),Hesperia,USA)および10〜60%のアセトニトリル/水勾配を使用して分析用HPLCによって分析した。デフェンシン(HNP1-3)の溶出位置は、レフレックス(Reflex)III(ブルカーダルトロニクス(Bruker Daltronics),Germany)を使用したマトリックス支援レーザー脱離/イオン化時間飛行型(MALDI-TOF)質量分析によって特定した。曲線下のピーク面積を計算し、精製デフェンシンHNP1標準曲線を使用してμgに変換し、ローディングの違いについて補正し、最後に、好中球数と関連付け、μgデフェンシン/106好中球として表した。HNP-1はDr.R.Lehrer,UCLA,USAの厚意により提供された。
結果
コストマン患者の平均デフェンシン含有量(106好中球当たり)は対照の約30%であったのに対して、移植患者(N)および周期性好中球減少症患者(W)のレベルは比較的正常であった(表1)。
実施例3: 好中球回転
好中球には、密度遠心分離によって分画することができる少なくとも3種類の顆粒がある。ラクトフェリンは好中球により産生され、カテリン-LL-37と同じ二次顆粒の中に保存される。従って、血漿中ラクトフェリン濃度は好中球回転の指標として、および二次顆粒発生のマーカーとして使用することができる。本発明者らは、血漿のラクトフェリン含有量を記録するためにELISAアッセイを使用し、これと好中球数を相関させた。
ラクトフェリンアッセイ
ラクトフェリンはサンドイッチELISAによって測定した。簡単に述べると、マイクロタイターウェル(マキシソープ(Maxisorp),ヌンク(Nunc))を、抗ラクトフェリンモノクローナル抗体(ハイテスト(Hy-test),Turko,Finnland)で一晩コーティングした。プレートを洗浄し、試料を添加した。第2のポリクローナルウサギ抗ラクトフェリン抗体(ダコイムノグロブリンズ(DAKO immunoglobulins)a/s,Glostrup,Denmark)およびアルカリホスファターゼ結合ポリクローナルヤギ抗ウサギ抗体(ダコイムノグロブリンズa/s,Glostrup,Denmark)によって、ラクトフェリンを検出した。
結果
患者のラクトフェリン濃度と対照のラクトフェリン濃度には、有意な違いは見られなかった(表1)。
実施例4: 抗菌機構
好中球減少症患者における好中球の機能を調べるために、4人のコストマン患者(A、M、T、およびN)からの濃縮好中球を、抗菌機構である食作用依存性酸化バースト(phagocytosis dependent oxidative burst)について研究した。
酸化バーストアッセイ
酸化バーストは、Fc OxyBURST Greenアッセイ試薬によって製造業者の説明書(モレキュラープローブ(Molecular Probe),USA)に従って記録した。この場合、血液をヘパリン処理チューブに集め、フィコールパーク分離の前にデキストラン上に予め沈殿させ、残った赤血球を氷冷蒸留水で2×30秒溶解し、次いで、5mMグルコースを含むHBSSに再懸濁した。酸化バーストアッセイの前に、1.5mM Mg2+および1.0mM Ca2+を含む37℃のPBS 100μlを添加し、次いで、最終濃度75μg/mlの酸化バースト試薬を添加した。
結果
図2は、2人のコストマン患者(AおよびM)に由来する細胞の活性が、1人の対照および周期性好中球減少症患者に匹敵することを示している。従って、この抗菌機構における機能不全の証拠はない。さらに、重篤な好中球減少症の患者は正常なまたは高いアルカリホスファターゼ活性レベルを有することが知られており、これは三次顆粒の発生を示している。これもまた本発明者らの患者のうちの3人で観察されている。
実施例5: LL-37活性
患者A、M、およびTは全員、歯根膜に問題があり、これは、治療されているコストマン患者の初期の病気であり、年齢と共にさらに重篤になる。グラム陰性細菌A.アクチノミセテムコミタンスは患者(A)において豊富にあり、彼女は22歳で前歯の骨の50〜75%を失っていた。彼女にはまた歯肉の同じ部分に歯肉炎もある。彼女の21歳の弟には、これらの症状は全く認められない。
細菌株および微生物アッセイ
この試験において、本発明者らは、Dr A.Johansson(Umea)の厚意により提供された、患者(A)の口腔からのアクチノバチルス-アクチノミセテムコミタンス分離株を使用した。細菌は、微好気条件で、0.5%酵母エキスを添加したトリプティックソイ寒天(ディフコ(Difco))(TSBY)上で日常的に増殖させた。A.アクチノミセテムコミタンスに及ぼすLL-37の影響は、標準的なコロニー形成単位(CFU)-アッセイ(Tanaka et al.,Oral Microbiol Immunol.2000;15(4):226-31)において、105個の細菌と1%TSBY含有10mMリン酸緩衝液(pH7.2)に溶解した20μg/ml合成LL-37を90分間インキュベートすることによって試験した。
結果
インビトロで試験した時、本発明者らは、合成LL-37が、患者(A)から単離された細菌A.アクチノミセテムコミタンスの増殖を止めることができることを発見した。標準的なアッセイにおいて、20μg/mlのLL-37で90分間処理された細菌はコロニー数が3〜4 logの減少を示した。
実施例6: 唾液中のLL-37の検出
実施例5の発見を念頭に置いて、本発明者らは、ウェスタンブロット分析によって唾液試料をLL-37およびカテリン-LL-37について調べた。
唾液試料およびウェスタンブロッティング
未刺激の全唾液を、エッペンドルフチューブにつばを吐くことによって集め、ドライアイス上で凍結した。融解後、細胞/破片を除去するために唾液を遠心分離し、さらなる分析に使用した。試料中のタンパク質含有量はBCAタンパク質アッセイキット(ピアス,USA)によって測定した。
唾液試料を試料緩衝液と混合し、前記のようにウェスタンブロッティングを行った。
結果
図3は、2人のコストマン患者(AおよびM)には前駆体カテリン-LL-37およびエフェクター分子LL-37の両方が欠損していたことを示している。対照のカテリン-LL-37およびLL-37のレベルは両方とも高かったのに対して、移植患者(N)のレベルは正常に近かった。患者および対照の唾液におけるペプチドの存在は血漿におけるペプチドの存在と相関関係があった。対照および患者からの唾液試料は同日の同じ時刻に集めた。
これらの結果は、通常、抗菌ペプチドLL-37は唾液中に防御分子として存在するが、コストマン病患者は唾液にも好中球にもペプチドが存在しないことを証明している。従って、唾液中のLL-37レベルは、患者の口の健康状態と良好な相関関係にある。LL-37が存在しないのはA.アクチノミセテムコミタンスの増殖に有利であり、これが歯肉ポケットのミクロフローラを混乱させ、その後に歯肉炎をもたらす可能性が高い。
(表1)調査したコストマン患者および対照
Figure 0004874545
患者A、M、N、T、および対照は図面と同様に示す。ホモ接合体を(K/K)と示し、ヘテロ接合体を(+/K)と示し、ドナーとして父親から骨髄移植を受けた患者を (+/3K)と示した。患者Jは、最初の家族とは血縁関係のない軽度のコストマン様好中球減少症である。
1ANCは、Sunderby病院の臨床検査室によって行われた好中球の絶対数を示す。処置前のANCは<0.2×109である。PBLは末梢血リンパ球である。
2歯の問題(+)、+、++、および+++は、歯根膜炎につながる歯肉炎の程度を昇順で示す。歯の問題が無い場合は-と示した。
3デフェンシンHNP1-3の値は、分析用HPLCから計算した。
4Sunderby病院の検査室によって判断された活性化細胞形態を示す。
好中球(左部分および中央部分)および血漿(右部分)のLL-37(4.5kDa)およびカテリン-LL-37(16kDa)のウェスタンブロット分析を示す。試料は、コストマン患者(A,M,T,N)、コストマン様患者(J)、および周期性好中球減少症(W)から得た。健常対照は、非血縁者(G)、(M)の弟(H)および母親(F)である。同じ好中球ブロットを左および中央に示したが、左部分では暴露時間が100倍長かった。暴露時間が長くなるのに従って、カテリン-LL-37バンドの領域は全て黒ずみ、鮮明に示されない。好中球抽出物(5000細胞/ウェル(約15μgタンパク質))を10〜20%SDS-PAGEにおいて分離し、PVDF膜にブロットし、抗LL-37抗体で検出した。血漿試料(2μl,25〜50μgタンパク質に相当する)を同様に分析した。 コストマン患者(A=白四角、M=白丸)、周期性好中球減少症患者(黒丸)、および健常ドナー(黒四角)に由来するヒト好中球の酸化バーストレベルを示す。このアッセイは、ウサギポリクローナル抗BSAと、蛍光プローブを含むBSAの共有結合複合体のFc依存性インターナリゼーションを記録する。 コストマン患者および様々な対照に由来する唾液試料(0.5〜1.5μgタンパク質)のウェスタンブロット分析の結果を示す。技術的な詳細は図1と同じである。非血縁健常男性(1)および女性(2)をさらなる対照とした。コストマン患者およびその血縁者は図1および表1と同様に示す。
配列番号:1は、LL-37のプロ型(または前駆体)をコードするcDNA配列である。
配列番号:2は、プロ型LL-37のアミノ酸配列である。
配列番号:3は、LL-37のアミノ酸配列である。
配列番号:4は、プロ型LL-37に対する抗体を作成するために用いられた、プロ型LL-37のプロ部分の断片のアミノ酸配列である。

Claims (8)

  1. 口腔感染に対する被検体の感受性を決定する方法であって、
    (i)被検体から採取された試料に存在するLL-37を検出する段階;
    (ii)該試料中のLL-37レベルと対照試料とを比較する段階;および
    (iii)口腔感染に対する該被検体の感受性を決定する段階であり、LL-37が存在しないことまたはLL-37レベルが対照試料と比較して70%未満であることが、該被検体が口腔感染に対して感受性であることを示す段階;
    を含む、方法。
  2. 口腔感染が細菌感染である、請求項1記載の方法。
  3. 細菌感染がアクチノバチルス-アクチノミセテムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)感染である、請求項2記載の方法。
  4. 口腔感染が歯根膜炎である、請求項1記載の方法。
  5. 口腔感染が歯肉炎である、請求項1記載の方法。
  6. LL-37がプロ型LL-37である、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
  7. LL-37が成熟型LL-37である、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
  8. 被検体が、細胞分裂抑制薬および/またはコルチコステロイドを使用して治療されたことのある、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
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