JP4874545B2 - 口腔感染に対する被検体の感受性を決定する方法 - Google Patents
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Description
本発明は、好中球減少症の診断および感染に対する感受性を決定する方法に関する。本発明はまた、好中球減少症を治療する方法ならびに感染を治療および/または予防する方法に関する。
全ての動物および動物は、先天性免疫の主要なエフェクター分子である抗菌ペプチドを産生する。700種類を超える抗菌ペプチドが知られている。抗菌ペプチドは、効力が古典的な抗生物質と似ている天然の殺菌成分である。
本発明者らは、G-CSFによる治療を受けたコストマン病患者の循環中の好中球数は正常であるが、これらの細胞には少なくとも1種類の殺菌エフェクター分子LL-37およびその前駆体カテリン-LL-37が存在しないことを示した。従って、本発明者らは、好中球減少症において感染症と闘い、常在菌叢を制御するためには、循環中の好中球の数と、抗菌エフェクターの面での適切な装備の両方を維持することが重要であることを証明した。本発明者らはまた、抗菌ペプチドLL-37のレベルがヒトにおいて低い場合があることを証明し、驚くべきことに、この一種類の抗菌ペプチドのレベルの低下によって細菌感染に対する感受性が増大することを示した。
- 感染に対する被検体の感受性を決定する方法であり、以下の段階:
(i)被検体から試料を得る段階;
(ii)試料に存在する任意のLL-37を検出する段階;
(iii)任意で、試料中のLL-37レベルと対照試料とを比較する段階;および
(iv)感染に対する被検体の感受性を決定する段階であり、LL-37が存在しないことまたはLL-37が低レベルであることが、被検体が感染に対して感受性であることを示す段階を含む方法;
- 感染のリスクを減らすために個体を治療する方法であり、以下の段階:
感染に対して感受性である被検体に、感染に対する感受性を低下させるのに有効な量のLL-37を投与する段階を含む方法;
- 感染に対する個体の感受性を決定し、感染のリスクを減らすために個体を治療する方法であり、以下の段階:
(i)被検体から試料を得る段階;
(ii)試料に存在する任意のLL-37を検出する段階;
(iii)任意で、試料中のLL-37レベルと対照試料とを比較する段階;
(iv)感染に対する被検体の感受性を決定する段階であり、LL-37が存在しないことまたはLL-37が低レベルであることが、被検体が感染に対して感受性であることを示す段階;および
(v)感染に対して感受性である被検体に、感染に対する感受性を低下させるのに有効な量の抗菌剤を投与する段階を含む方法;
- 感染の予防的処置のための薬剤の製造におけるLL-37の使用;
- 好中球減少症の被検体における感染の治療のための薬剤の製造におけるLL-37の使用;
- 被検体における好中球減少症を診断する方法であり、以下の段階:
(i)被検体から試料を得る段階;
(ii)試料に存在する任意のLL-37を検出する段階;
(iii)任意で、試料中のLL-37レベルと対照試料とを比較する段階;および
(iv)被検体が好中球減少症であるかどうかを決定する段階であり、LL-37が存在しないことまたはLL-37が低レベルであることが、被検体が好中球減少症であることを示す段階を含む方法;
- 好中球減少症の被検体が、LL-37レベルの低下に関連するタイプの好中球減少症であるかどうかを決定する方法であり、以下の段階:
(i)被検体から試料を得る段階;
(ii)試料に存在する任意のLL-37を検出する段階;
(iii)任意で、試料中のLL-37レベルと対照試料とを比較する段階;および
(iv)被検体が、LL-37レベルの低下に関連するタイプの好中球減少症であるかどうかを決定する段階であり、LL-37が存在しないことまたはLL-37が低レベルであることが、被検体がLL-37レベルの低下に関連するタイプの好中球減少症であることを示す段階を含む方法;
- 好中球減少症の被検体を治療する方法であり、以下の段階:
(i)被検体から試料を得る段階;
(ii)試料に存在する任意のLL-37を検出する段階;
(iii)任意で、試料中のLL-37レベルと対照試料とを比較する段階;および
(iv)被検体が好中球減少症であるかどうかを決定する段階であり、LL-37が存在しないことまたはLL-37が低レベルであることが、被検体が好中球減少症であることを示す段階;および
(v)好中球減少症の治療に適した治療有効量の薬剤を、好中球減少症の被検体に投与する段階を含む方法;
- 好中球減少症の被検体を治療する方法であり、治療有効量のLL-37を、治療と必要とする被検体に投与する段階を含む方法;
- 好中球減少症の治療のための薬剤の製造におけるLL-37の使用;
- ヒトまたは動物の身体の治療において別々に使用するか、連続して使用するか、または同時に使用するための、LL-37と、細胞分裂抑制薬、コルチコステロイド、または増殖因子とを含む製品;
- 細胞分裂抑制薬、コルチコステロイドもしくは増殖因子が与えられている被検体、または細胞分裂抑制薬、コルチコステロイドもしくは増殖因子が与えられたことのある被検体における感染の治療のための薬剤の製造におけるLL-37の使用。
感染に対する感受性を決定する方法
本発明は、被検体に由来する試料中のLL-37レベルを検出することによって、感染に対する被検体の感受性を決定するインビトロ方法を提供する。LL-37レベルが低いことは感染に対する高い感受性を示すように、一般的に、LL-37レベルは感染に対する感受性と相関関係がある。被検体が正常な個体と比較して感染に対して高い感受性を有するかどうかを決定するために、被検体に由来する試料中のLL-37レベルは、正常な被検体に由来する試料中のLL-37レベルと比較することができる。
(i)被検体から試料を得る段階;
(ii)試料に存在する任意のLL-37を検出する段階;
(iii)任意で、試料中のLL-37レベルと対照試料とを比較する段階;および
(iv)感染に対する被検体の感受性を決定する段階であり、LL-37が存在しないことまたはLL-37が低レベルであることが、被検体が感染に対して感受性であることを示す段階からなる。
感染のリスクを減らすために個体を治療する方法であり、感染に対して感受性の被検体に、感染に対する感受性を低下させるのに有効な量のLL-37を投与する段階を含む方法もまた本発明によって提供される。感染に対して感受性の被検体は本発明の方法を用いて特定することができる。
(i)被検体から試料を得る段階;
(ii)試料に存在する任意のLL-37を検出する段階;
(iii)任意で、試料中のLL-37レベルと対照試料とを比較する段階;
(iv)感染に対する被検体の感受性を決定する段階であり、LL-37が存在しないことまたはLL-37が低レベルであることが、被検体が感染に対して感受性であることを示す段階;および
(v)感染に対して感受性である被検体に、感染に対する感受性を低下させるのに有効な量の抗菌剤または抗菌剤の合成を促進する薬剤を投与する段階を含む方法を提供する。
本発明者らは、LL-37が好中球減少症の被検体における感染の治療に特に有効であり得ることを初めて示した。従って、本発明は、好中球減少症の被検体における感染の治療において使用するための薬剤の製造におけるLL-37の使用を提供する。
本発明はまた、好中球減少症の被検体がLL-37レベルの低下に関連するタイプであるかどうかを決定する方法も提供する。好中球減少症のタイプがLL-37レベルの低下に関連するかどうかを決定する方法も本発明によって提供される。
(i)被検体から試料を得る段階;
(ii)試料に存在する任意のLL-37を検出する段階;
(iii)任意で、試料中のLL-37レベルと対照試料とを比較する段階;および
(iv)被検体が、LL-37レベルの低下に関連するタイプの好中球減少症であるかどうかを決定する段階であり、LL-37が存在しないことまたはLL-37が低レベルであることが、被検体がLL-37レベルの低下に関連するタイプの好中球減少症であることを示す段階を含む。
以下の段階:
(i)好中球減少症の被検体から試料を得る段階;
(ii)試料に存在する任意のLL-37を検出する段階;
(iii)任意で、試料中のLL-37レベルと対照試料とを比較する段階;および
(iv)被検体の好中球減少症のタイプがLL-37レベルの低下に関連するタイプであるかどうかを決定する段階であり、試料中にLL-37が存在しないことまたはLL-37が低レベルであることが、被検体の好中球減少症のタイプがLL-37レベルの低下に関連するタイプであることを示す段階を含む。
本発明は、被検体に由来する試料中のLL-37レベルを検出することによって、好中球減少症を診断するためのインビトロ方法を提供する。一般的に、好中球減少症の被検体におけるLL-37レベルは、好中球減少症でない被検体と比較して低い。個体が好中球減少症であるかどうかを決定する方法は、本質的に、以下の段階:
(i)被検体から試料を得る段階;
(ii)試料に存在する任意のLL-37を検出する段階;
(iii)任意で、試料中のLL-37レベルと対照試料とを比較する段階;および
(iv)被検体が好中球減少症であるかどうかを決定する段階であり、LL-37が存在しないことまたはLL-37が低レベルであることが、被検体が好中球減少症であることを示す段階からなる。
好中球減少症を治療する方法も本発明によって提供される。1つの局面において、好中球減少症を治療する方法は、以下の段階:
(i)被検体から試料を得る段階;
(ii)試料に存在する任意のLL-37を検出する段階;
(iii)任意で、試料中のLL-37レベルと対照試料とを比較する段階;
(iv)被検体が好中球減少症であるかどうかを決定する段階であり、LL-37が存在しないことまたはLL-37が低レベルであることが、被検体が好中球減少症であることを示す段階;および
(v)好中球減少症の被検体に、好中球減少症の治療に適した治療有効量の薬剤を投与する段階を含む。
本発明は、ヒトまたは動物の身体の治療において別々に使用するか、連続して使用するか、または同時に使用するための、LL-37および細胞分裂抑制薬を含む製品、LL-37およびコルチコステロイドを含む製品、またはLL-37および増殖分化因子を含む製品を提供する。この製品は、細胞分裂抑制剤、コルチコステロイド、または増殖/分化因子を使用して治療することができる如何なる疾患の治療にも有用である。このような疾患として、好中球減少症、悪性疾患、ならびに炎症性疾患(例えば、潰瘍性大腸炎およびクローン病)が挙げられる。骨髄移植を受けた患者も、この製品を用いて治療することができる。このような治療において、コルチコステロイドまたは細胞分裂抑制と併用して投与されるLL-37の量は、コルチコステロイドまたは細胞分裂抑制剤の副作用を打ち消すのに有効な量である。
発明の方法のいずれか1つにおいて用いられる試料は、一般的に、個体の体液を含み、任意の適切な方法によって(例えば、口腔スワブなどのスワブを使用して)得ることができる。試料は、血液、尿、唾液、または頬細胞試料でもよい。
本発明の方法のいずれか1つにおいて検出されるLL-37は、プロ型LL-37(カテリン-LL-37)でもよく、成熟型LL-37でもよい。または、LL-37 mRNAが検出されてもよい。1つの態様において、LL-37の分解産物が検出されてもよい。
本発明の方法のいずれか1つにおいて、LL-37は任意の適切なアッセイを用いて検出することができる。一般的に、LL-37は、プロ型LL-37および/または成熟型LL-37への特異的結合が可能な薬剤(好ましくは、抗体)を使用して検出することができる。適切なアッセイ形式はELISAアッセイである。ウェスタンブロッティング、フローサイトメトリー(FACS)、または質量分光光度法が使用されてもよい。これらの技法は当業者に周知である。
本明細書で述べられた如何なる治療剤の製剤化も、薬剤の性質および治療しようとする状態などの要因に左右される。このような全ての薬剤を様々な剤形で投与することができる。薬剤は、(例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性懸濁液または油性懸濁液、分散性散剤または顆粒剤として)経口投与されてもよく、非経口投与されてもよく、皮下投与されてもよく、静脈内投与されてもよく、筋肉内投与されてもよく、基質内投与されてもよく、経皮投与されてもよく、注入法によって投与されてもよい。医師は、特定の患者1人1人について必要な投与経路を決定することができると考えられる。
実施例1: LL-37の検出
LL-37に対する抗体を用いて、本発明者は、現在生存している4人全員のコストマン病患者からの好中球抽出物および血漿試料をウェスタンブロットによって分析した。
4人全員のコストマン病患者は、5ヶ月になる前に一般的な臨床所見によって診断された。この試験には、さらに2人の血縁関係のない先天性好中球減少症患者が含まれた。1人は軽度のコストマン様症候群の患者であり(彼女は5歳の時に診断され、慢性歯肉炎のために回されてきた)、1人は周期性好中球減少症の患者である。G-CSF治療が始まる前に、周期性好中球減少症患者を除く全ての患者に歯根膜炎があったが、これらの患者は、この病気にも罹患している可能性がある。22人の対照のうち、19人は血縁者であり、3人は血縁関係のない健常個体であった。患者、患者の血縁者、および1人の健常対照は、Pediatric Ward of Sunderby病院(Lulea,Sweden)において血液を提供した。倫理上の同意が得られた(Umea,dnr01-250)。
EDTAによって全血が凝固しないようにした。好中球は、フィコール-パークプラス(Ficoll-Paque Plus)(アマシャムファルマシアバイオテク(Amersham Pharmacia Biotech)AB,Sweden)による密度遠心分離によって濃縮した。上層(血漿)を集め、-80℃で凍結した。リンパ球を境界面から集め、リン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄し、-80℃で凍結した。底にある細胞画分(主に顆粒球および赤血球を含む)を集め、赤血球を蒸留水で2分間溶解した。残りの細胞をPBSで希釈し、PBSで3回洗浄し、-80℃で保存した。
アフィニティ精製されたウサギ抗ペプチド抗体(イノバゲン(Inovagen),Sweden)は、2種類の合成ペプチド、成熟LL-37ペプチド全体およびカテリンプロ部分に由来するペプチドセグメント
に対して作成された。
抗体は、4.5kDa成熟LL-37と16kDa未処理前駆体カテリン-LL-37の両方を認識する。図1に示すように、3人の対照において前駆体と成熟LL-37の両方を検出することができた。成熟LL-37のシグナルは前駆体より非常に弱かったので、本発明者らは、4.5kDaのバンドを検出するために好中球フィルターを過度に暴露しなければならなかった(図1,左部分)。さらに17人の対照(このうち16人が血縁者である)を試験し、同じ結果が得られた。
好中球抽出物のデフェンシン含有量を分析用HPLCによって定量した。
好中球が濃縮された細胞調製物からペプチド/タンパク質を30%酢酸に+4℃で2.5時間抽出し、遠心分離した。上清を凍結乾燥し、0.1%トリフルオロ酢酸に再懸濁し、遠心分離した。透明な上清を、C18カラム(バイダック(Vydac),218TP54,ザセパレーショングループ(The Separation Group),Hesperia,USA)および10〜60%のアセトニトリル/水勾配を使用して分析用HPLCによって分析した。デフェンシン(HNP1-3)の溶出位置は、レフレックス(Reflex)III(ブルカーダルトロニクス(Bruker Daltronics),Germany)を使用したマトリックス支援レーザー脱離/イオン化時間飛行型(MALDI-TOF)質量分析によって特定した。曲線下のピーク面積を計算し、精製デフェンシンHNP1標準曲線を使用してμgに変換し、ローディングの違いについて補正し、最後に、好中球数と関連付け、μgデフェンシン/106好中球として表した。HNP-1はDr.R.Lehrer,UCLA,USAの厚意により提供された。
コストマン患者の平均デフェンシン含有量(106好中球当たり)は対照の約30%であったのに対して、移植患者(N)および周期性好中球減少症患者(W)のレベルは比較的正常であった(表1)。
好中球には、密度遠心分離によって分画することができる少なくとも3種類の顆粒がある。ラクトフェリンは好中球により産生され、カテリン-LL-37と同じ二次顆粒の中に保存される。従って、血漿中ラクトフェリン濃度は好中球回転の指標として、および二次顆粒発生のマーカーとして使用することができる。本発明者らは、血漿のラクトフェリン含有量を記録するためにELISAアッセイを使用し、これと好中球数を相関させた。
ラクトフェリンはサンドイッチELISAによって測定した。簡単に述べると、マイクロタイターウェル(マキシソープ(Maxisorp),ヌンク(Nunc))を、抗ラクトフェリンモノクローナル抗体(ハイテスト(Hy-test),Turko,Finnland)で一晩コーティングした。プレートを洗浄し、試料を添加した。第2のポリクローナルウサギ抗ラクトフェリン抗体(ダコイムノグロブリンズ(DAKO immunoglobulins)a/s,Glostrup,Denmark)およびアルカリホスファターゼ結合ポリクローナルヤギ抗ウサギ抗体(ダコイムノグロブリンズa/s,Glostrup,Denmark)によって、ラクトフェリンを検出した。
患者のラクトフェリン濃度と対照のラクトフェリン濃度には、有意な違いは見られなかった(表1)。
好中球減少症患者における好中球の機能を調べるために、4人のコストマン患者(A、M、T、およびN)からの濃縮好中球を、抗菌機構である食作用依存性酸化バースト(phagocytosis dependent oxidative burst)について研究した。
酸化バーストは、Fc OxyBURST Greenアッセイ試薬によって製造業者の説明書(モレキュラープローブ(Molecular Probe),USA)に従って記録した。この場合、血液をヘパリン処理チューブに集め、フィコールパーク分離の前にデキストラン上に予め沈殿させ、残った赤血球を氷冷蒸留水で2×30秒溶解し、次いで、5mMグルコースを含むHBSSに再懸濁した。酸化バーストアッセイの前に、1.5mM Mg2+および1.0mM Ca2+を含む37℃のPBS 100μlを添加し、次いで、最終濃度75μg/mlの酸化バースト試薬を添加した。
図2は、2人のコストマン患者(AおよびM)に由来する細胞の活性が、1人の対照および周期性好中球減少症患者に匹敵することを示している。従って、この抗菌機構における機能不全の証拠はない。さらに、重篤な好中球減少症の患者は正常なまたは高いアルカリホスファターゼ活性レベルを有することが知られており、これは三次顆粒の発生を示している。これもまた本発明者らの患者のうちの3人で観察されている。
患者A、M、およびTは全員、歯根膜に問題があり、これは、治療されているコストマン患者の初期の病気であり、年齢と共にさらに重篤になる。グラム陰性細菌A.アクチノミセテムコミタンスは患者(A)において豊富にあり、彼女は22歳で前歯の骨の50〜75%を失っていた。彼女にはまた歯肉の同じ部分に歯肉炎もある。彼女の21歳の弟には、これらの症状は全く認められない。
この試験において、本発明者らは、Dr A.Johansson(Umea)の厚意により提供された、患者(A)の口腔からのアクチノバチルス-アクチノミセテムコミタンス分離株を使用した。細菌は、微好気条件で、0.5%酵母エキスを添加したトリプティックソイ寒天(ディフコ(Difco))(TSBY)上で日常的に増殖させた。A.アクチノミセテムコミタンスに及ぼすLL-37の影響は、標準的なコロニー形成単位(CFU)-アッセイ(Tanaka et al.,Oral Microbiol Immunol.2000;15(4):226-31)において、105個の細菌と1%TSBY含有10mMリン酸緩衝液(pH7.2)に溶解した20μg/ml合成LL-37を90分間インキュベートすることによって試験した。
インビトロで試験した時、本発明者らは、合成LL-37が、患者(A)から単離された細菌A.アクチノミセテムコミタンスの増殖を止めることができることを発見した。標準的なアッセイにおいて、20μg/mlのLL-37で90分間処理された細菌はコロニー数が3〜4 logの減少を示した。
実施例5の発見を念頭に置いて、本発明者らは、ウェスタンブロット分析によって唾液試料をLL-37およびカテリン-LL-37について調べた。
未刺激の全唾液を、エッペンドルフチューブにつばを吐くことによって集め、ドライアイス上で凍結した。融解後、細胞/破片を除去するために唾液を遠心分離し、さらなる分析に使用した。試料中のタンパク質含有量はBCAタンパク質アッセイキット(ピアス,USA)によって測定した。
図3は、2人のコストマン患者(AおよびM)には前駆体カテリン-LL-37およびエフェクター分子LL-37の両方が欠損していたことを示している。対照のカテリン-LL-37およびLL-37のレベルは両方とも高かったのに対して、移植患者(N)のレベルは正常に近かった。患者および対照の唾液におけるペプチドの存在は血漿におけるペプチドの存在と相関関係があった。対照および患者からの唾液試料は同日の同じ時刻に集めた。
2歯の問題(+)、+、++、および+++は、歯根膜炎につながる歯肉炎の程度を昇順で示す。歯の問題が無い場合は-と示した。
3デフェンシンHNP1-3の値は、分析用HPLCから計算した。
4Sunderby病院の検査室によって判断された活性化細胞形態を示す。
配列番号:2は、プロ型LL-37のアミノ酸配列である。
配列番号:3は、LL-37のアミノ酸配列である。
配列番号:4は、プロ型LL-37に対する抗体を作成するために用いられた、プロ型LL-37のプロ部分の断片のアミノ酸配列である。
Claims (8)
- 口腔感染に対する被検体の感受性を決定する方法であって、
(i)被検体から採取された試料に存在するLL-37を検出する段階;
(ii)該試料中のLL-37レベルと対照試料とを比較する段階;および
(iii)口腔感染に対する該被検体の感受性を決定する段階であり、LL-37が存在しないことまたはLL-37レベルが対照試料と比較して70%未満であることが、該被検体が口腔感染に対して感受性であることを示す段階;
を含む、方法。 - 口腔感染が細菌感染である、請求項1記載の方法。
- 細菌感染がアクチノバチルス-アクチノミセテムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)感染である、請求項2記載の方法。
- 口腔感染が歯根膜炎である、請求項1記載の方法。
- 口腔感染が歯肉炎である、請求項1記載の方法。
- LL-37がプロ型LL-37である、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
- LL-37が成熟型LL-37である、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
- 被検体が、細胞分裂抑制薬および/またはコルチコステロイドを使用して治療されたことのある、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
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