JP4867001B2 - 体外循環装置用の訓練装置 - Google Patents

体外循環装置用の訓練装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4867001B2
JP4867001B2 JP2005347895A JP2005347895A JP4867001B2 JP 4867001 B2 JP4867001 B2 JP 4867001B2 JP 2005347895 A JP2005347895 A JP 2005347895A JP 2005347895 A JP2005347895 A JP 2005347895A JP 4867001 B2 JP4867001 B2 JP 4867001B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
blood
control valve
extracorporeal circulation
flow control
circuit
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2005347895A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007155897A (ja
Inventor
泰二郎 末田
達也 黒崎
伸治 二宮
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hiroshima University NUC
Original Assignee
Hiroshima University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hiroshima University NUC filed Critical Hiroshima University NUC
Priority to JP2005347895A priority Critical patent/JP4867001B2/ja
Publication of JP2007155897A publication Critical patent/JP2007155897A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4867001B2 publication Critical patent/JP4867001B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Instructional Devices (AREA)

Description

本発明は、体外循環装置用の訓練装置に関するものであり、特に、血液回路に流量制御弁を設けた体外循環装置用の訓練装置に関するものである。
重症心疾患の開心術治療において体外循環装置の信頼性は大変重要であり、さらにそれを操作する医療従事者の技能も高度のものが求められている。従って、体外循環装置のような生命維持管理装置の操作に従事する臨床工学技士の技能の習得および維持のため、臨床の実際に則した体外循環技術教育の重要性が増している。このような体外循環装置は多数実用化されており、本願発明者も体外循環装置に関連する人工肺装置(特許文献1を参照されたい。)を開発している。臨床工学技士の体外循環技術の実技指導においては、装置の組立と準備を中心とした構造の理解および病院実習における臨床現場の見学に始まる現場での実技指導が主体となっている。
一方、体外循環装置は自動化が進められつつあり、自動化に伴ってトラブル発生時の対処方法の習得が重要となっているが、臨床の現場でこれらのトラブルに遭遇する機会が少なく、時間と症例数に限りの有る臨床実習では充分な実地修練ができないのが実状であった。そしてこのようなトラブル発生時の対処ができないために、体外循環中に最悪の結果を招いたとの報告も散見される。かかる観点から、不測のトラブルを再現しそれに迅速に対処するような体外循環装置のシミュレーションによるトレーニングは重要である。なお、いくつかの臨床工学技士養成校では、学内実習のためのシミュレーションソフトウェアおよびシミュレーション装置の構築に取り組んでいる。しかし、これらの従来のシミュレーションソフトウェアなどは、いずれも体外循環装置の組立手順と、原理および構造の理解に重点を置いており、臨床現場で発生する様々な事態に対して即応するためのシミュレーション装置およびシミュレーションソフトウェアには成り得ていないのが現状であった。
さらに、このような人工心肺装置の運転は複雑な循環動態に対して瞬時の対応が必要で、一歩間違うと重大な医療事故に繋がる。そこで、本願発明者らは、「人体模擬循環回路に接続した人工心肺装置をパソコンで制御してミュレーション操作訓練のできる装置」を開発した(特許文献2を参照されたい。)。
特開平06-000219号公報(段落0008-0011、図1) 特開2005-114764号公報(段落0005-0006、図1)
上述した従来技術によるシミュレーション装置では、人工心肺の通常の運転操作とともに運転中に起こりうるアクシデントへの対処法のシミュレーション訓練が可能である。このような人工心肺の運転においては、血液の流量や血圧は主として送血ポンプの流量制御および脱血流量の制御に依存するものであり、ポンプの流量制御および脱血流量の制御が主たる操作対象である。
しかしながら、体外循環装置を臨床に用いる場合には、ポンプの流量制御に依存しない、或いは、ほとんど依存しないような血液の流量や血圧の変化が生じる場合がある。即ち、送血管や脱血管(カニューレ)の詰まり、装置側の各血液回路や流路における不良、術野および人体側の問題(例えば、静脈、動脈などの血管や臓器など出血などの身体状況)などの様々な何らかの要因によって血液の流量や血圧に予期しない変化が発生することがあり、上述した従来の訓練装置では、このようなポンプ制御に依存しないトラブルを含む状況への対処方法を訓練することが困難であった。換言すれば、このような血液回路やカニューレでの閉塞状態に起因したり、このような閉塞状態を引き起こしたりするようなトラブルの状態を正確にシミュレーションした訓練を実施することができなかった。
そこで、本発明は、上述した諸課題を解決したよりリアルなトラブル例を再現し得る体外循環装置用の訓練装置を提供することを目的とする。
上述した諸課題を解決すべく、本発明は、
脱血回路、ベント回路(心臓のある部位からの血液を受ける回路)、送血回路、および手術部吸引回路(術野の出血を吸引ポンプで吸引して受け、貯血槽に流す回路)の各血液回路を具え、前記血液回路に、前記血液回路を流れる模擬血液の流量を調節する流量制御弁が設けられた体外循環装置と、
少なくとも前記流量制御弁に対する指示(例えば、弁開度など)を含む血液循環に関する操作情報を入力する入力部と、
前記操作情報に基づき前記流量制御弁を制御する流量制御弁制御部と、
前記操作情報に基づき、少なくとも血行動態情報を含むシミュレーション生体情報をリアルタイムで算出するリアルタイム数値シミュレーション部と、
前記シミュレーション生体情報を(音声情報、数値や映像などの視覚的情報として)提示する情報提示部と、を含み、
前記入力部が、イベント入力、または、予め用意されている複数のシナリオから選択されたシナリオを入力し、
前記リアルタイム数値シミュレーション部が、前記入力部で入力された、イベント入力またはシナリオを受け、これを少なくとも前記流量制御弁に対する指示を含む操作情報に変換し、この変換した操作情報を前記流量制御弁制御部に渡し、かつ、この変換した操作情報に基づきシミュレーション生体情報を算出する体外循環装置用の訓練装置において、
前記脱血回路に設けられた流量制御弁の弁開度の調節により、術野側に起因する脱血不良を再現し、
前記ベント回路に設けられた流量制御弁の弁開度の調節により、心腔内血液の不足に起因するベントカニューレ先端の貼り付きによるベント回路の閉塞を再現し、
前記送血回路に設けられた流量制御弁の弁開度の調節により、術野側に起因する大動脈解離、挿入位置異常、回路の屈曲による送血圧の上昇または送血量の不足を再現し、
前記手術部吸引回路に設けられた流量制御弁の弁開度の調節により、血液凝固による吸引回路不良を再現することを特徴とする。
また、本発明は、
前記脱血回路を2本とし、前記脱血回路に設けられた流量制御弁の弁開度の調節により、片側脱血異常と両側脱血異常を任意に発生させることを特徴とする。
本発明によれば、送血管や脱血管の詰まり、装置側の血液回路における不良、人体側の問題などの要因による血流変化や血圧変化を流量制御弁によって擬似的に再現することができ、ユーザは非常に現実感のある訓練を受けることが可能になる。すなわち、本発明によれば、指導者やユーザ自身などが入力した弁開度などの操作情報に基づき、送血ラインの狭窄や屈曲による送血圧上昇、脱血ラインの狭窄、屈曲による脱血不良、或いは、術野側操作または人体側の静脈、動脈などによる血流変化や血圧変化などを非常にリアルに再現することができ、ユーザに非常に現実感のある訓練を提供することが可能となる。
また、本発明によれば、リアルタイム数値シミュレーション部が、入力部からの指導者や訓練者自身などのユーザによるイベント入力、或いは、コンピュータによる自動的なイベント入力(病態変化、出血量の増減、血圧の増減、心拍数の変化、不整脈、体温の上昇下降、事故など)を受け、或いは、予め記憶装置に格納され用意されている複数のシナリオ(前記イベントが時系列で発生する状況)から選択(指導者や訓練者による手動選択、或いはコンピュータによる自動選択)されたシナリオを読み出し、これをも加味してシミュレーション生体情報をリアルタイムで算出することを特徴であり、本発明によれば、体外循環中に起こりうる血圧変動などの体外循環中の様々なイベントやシナリオ即ち異常事態をシミュレーションすることができ、さらには合併症の対処法も学習することが可能となる。
また、本発明は、
前記体外循環装置が、前記模擬血液を流す流路(模擬血管)を含む人体などを模した模擬循環ユニットに接続され、
前記流量制御弁が、模擬循環ユニット内の流路にも設けられている、ことを特徴とする。
本発明によれば、各部位、例えば、脱血回路や送血回路およびそこに接続されて
いる脱血管や送血管などのカニューレ、さらにはこれらの接続先の静脈や動脈などの不良や異常をリアルに再現できるため、より現実的かつ臨床に近い訓練を行うことができる。また、これら血液回路や流路の複数の流量制御弁の開度を自由に設定することができるため、これら各部位による複合的な異常事態や不良などもよりリアルに再現して訓練することができる。各血液回路や各流路は、1つまたは複数設けることができ、例えば、脱血回路は、通常2つあり、第1および第2の脱血回路の弁を個別に制御して、脱血回路の屈曲などのトラブルを再現した訓練を行うことができる。同様に、弁を模擬循環ユニットの流路に設けた場合には人体側のトラブルや異常をリアルに再現できるため、より現実的かつ臨床に近い訓練を行うことができる。
また、本発明は、
前記血液回路および前記流路に、前記模擬血液に関する物理情報を測定する流量センサおよび血圧センサ(さらには人体側貯血槽に設けられた液量センサ、模擬循環ユニット内の流路に設けられた流量センサや血圧センサなど)が設けられ
前記リアルタイム数値シミュレーション部が、前記流量センサおよび前記血圧センサで測定された物理情報をも加味して前記シミュレーション生体情報を算出する、ことを特徴とする。
或いは、本発明は、
前記リアルタイム数値シミュレーション部が、前記流量センサおよび前記血圧センサで測定された物理情報に基づき、少なくとも前記流量制御弁に対する指示を含む前記操作情報を補正し、この補正した操作情報を前記流量制御弁制御部に渡す、ことを特徴とする。
本発明によれば、流量制御弁の操作のみならず、体外循環装置が具える各ポンプの操作、体外循環装置内の血液回路や模擬循環ユニット(静脈や動脈などの流路を含む)などの影響を受けた模擬血液に関する実際の物理情報(流量や血圧)を得ることができるため、これに基づき、よりリアルなシミュレーション生体情報を算出することができるため、さらに臨場感のある訓練が可能になる。また、得られた物理情報を各弁の弁開度に反映することもできる。所望のトラブル例の血液流量や血圧を再現するために特定の弁開度に調整しても当該血液流量や血圧を再現できない場合には、本構成によって測定された物理情報を弁開度にフィードバックすることで、所望のトラブル例の血液流量や血圧を精度よく再現した訓練が可能になる。例えば、血液の流量が減少すると、心臓内の血液が不足し、ベント用カニューレの閉塞が生じやすくなるが、このような血流のセンシング結果をベント回路の流量制御弁の開度に反映してベント回路の弁開度を小さくすれば、当該現象をほぼ忠実に再現した訓練を実施することができるようになる。
また、本発明は、
前記シミュレーション生体情報が、血圧、循環血液量、心拍数、不整脈、心拍出量、末梢血管抵抗、体温、血液ガス情報、および、ヘマトクリットのうちの少なくとも1つを含む、ことを特徴とする。
なお、操作情報には、体外循環開始前は、体重、心拍数、血圧、および体温を含み、体外循環開始後は、ポンプ血流量、脱血量、および目標体温をも含む。また、血液回路では、各種の物理センサで人体側血液量、送血量、脱血量、血液温度、および血圧のうちの少なくとも1つを含む物理情報が測定され、リアルタイム数値シミュレーション部で使用される。
上述したように本発明の解決手段を装置として説明してきたが、本発明はこれらに実質的に相当する方法、プログラム、プログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
以降、諸図面を参照しつつ、本発明の実施態様を詳細に説明する。図1は、本発明による体外循環装置用の訓練装置の基本的な構成を示すブロック図である。図に示すように、本発明による訓練装置100は、入力部110、模擬循環ユニット120、シミュレーション部130、記憶部(ハードディスク、フラッシュメモリなど)140、情報提示部(音声、映像、文字などを提示する装置)150、および体外循環装置160を具える。そして、模擬循環ユニット120は、模擬血液を流す流路122および測定部124を具える。訓練装置100は、送血回路161、脱血回路、162、ベント回路163、手術部吸引回路164を具える。各血液回路には、流量制御弁(比例制御電磁弁)V1、V2、V3、V4が設けられている。また、図示しないが、各血液回路には流量センサおよび血圧センサも設けられている。弁開度は、10段階、100段階などのステップ状に設定することができ、特定のイベントやシナリオに応じて、シミュレーション部130が弁開度を算出することも可能である。測定部124は、流量センサおよび血圧センサのみならず、体温計や他のセンサも設けてある。
入力部110は、血液循環に関する操作情報を入力する。操作情報としては、弁開度、想定体重、体外循環前の血圧や心拍数、体温を入力する。その後、体外循環が開始されると、脱血量、送血量、ポンプ流量、血液冷却温、リザーバタンク液量、およびリザーバタンク陰圧などを入力し、それに従って、生体内での血圧、末梢血管抵抗、血液温のシミュレーション値が、出力されることとなる。入力されなかった情報はデフォルト値が自動的に設定される。制御部115は、例えば弁開度を含む操作情報に基づき、各弁開度を調整しながら模擬血液を循環するように体外循環装置160を制御する制御信号を体外循環装置160へ送信する。体外循環装置160は、この制御信号に基づき模擬血液を模擬循環ユニット120へ送液する。また、制御信号に基づき、各流量電磁弁V1−V4の弁開度を調節する。模擬循環ユニット120は、静脈コンプライアンス等の生体(人、動物など)の血行動態を模擬するように構成されている。即ち、模擬循環ユニット120は、体外循環装置160から送血された模擬血液(生体の血液と同様の粘度、温度などの諸特性を持つ液体)を受け、この模擬血液は血管を模した流路122に流され、最終的に模擬血液は体外循環装置160へ戻される。流路122では模擬血液が循環しており、測定部124は、模擬血液の循環によって発生する物理情報を測定する。模擬循環ユニット120の測定部124は、流量センサ、血圧センサ、温度センサなどを含み、そこで測定される物理情報は、送血量、脱血量、温度、および血圧などである。
リアルタイム数値シミュレーション部130は、前記操作情報、前記模擬循環ユニットで測定された物理情報、および各血液回路における液量、流量センサおよび血圧センサに基づき、少なくとも血行動態情報を含むシミュレーション生体情報をリアルタイムで算出する。情報提示部150は、算出された前記シミュレーション生体情報を操作者(訓練受講者)に提示する。なお、操作者(ユーザ)は、直接、本システム100で訓練を受けるのみならず、インターネットなどのネットワークを介してユーザPCなどから本システム100にアクセスして訓練を受けることも可能である。同様に、指導者も、直接、本システム100にアクセスするのみならず、ネットワークを介して通信端末などから本システム100にアクセスすることが可能である。そして、入力されたデータ、測定されたデータ、および算出されたデータなどは、記憶部140に格納される。
前記リアルタイム数値シミュレーション部130は、指導者によるイベント入力、或いは、予め用意されている複数のシナリオから選択されたシナリオを受け、これをも加味してシミュレーション生体情報をリアルタイムで算出する。
図2は、本発明による訓練方法のフローチャートの一例である。図に示すように、ステップS110では、指導者あるいは操作者が体外術環装置の操作コンソールを用いて、弁開度などの情報含む操作情報を入力し、その情報は電気信号としてリアルタイム数値シミュレーション部に送信される。ステップS115では、体外循環ユニットは、操作コンソールから入力された操作情報に基づき、模擬血液を模擬循環ユニットへ流す。S120では、この血液循環により発生する物理情報(送血量、脱血量、温度等)を測定し、測定結果は、A/Dコンバータでデジタル値に変換されてリアルタイム数値シミュレーション部に送信される。S130では、指導者(或いは操作者)は、リアルタイム数値シミュレーション部に対して、病態変化、事故等を模擬するイベントまたはシナリオの選択を行う。S140では、イベント入力、或いは、選択されたシナリオを受け、これをも加味してシミュレーション生体情報をリアルタイムで算出する。S150では、操作者は、自己の操作および、イベントの発生による生体情報の変化を情報提示ディスプレイで視認することで、適切な操作を行う。訓練の段階に応じて、操作コンソールとリアルタイム数値シミュレーション装置のみを用いた訓練、或いは、実際の体外循環装置を用いた訓練を選択することができる。また、リアルタイム数値シミュレーション装置内の既定のプログラムを指導者の代替として用いることで、操作者のみによる反復訓練も可能である。
ここで上述したシミュレーションの演算アルゴリズムの詳細を説明する。入力情報となるのは、体外循環前では、患者の想定体重、心拍数、血圧、体温である。体外循環開始後は、送血流量、脱血流量(ml/min)、目標体温(通常は低下目標体温)が入力されると、それに合わせて、ポンプ内の残血量、患者の心拍出量、心拍数、血圧、体温などの各値がシミュレーションされて表示される。そして、大動脈遮断後に、心筋保護液を注入(ml/min)すると、心停止が起こり、その後、シミュレーション上の血圧や血管抵抗などは、体外循環のポンプ血流、各所に設けた弁開度などに依存する。注入した心筋保護液量を加えた全体の循環血液量から、脱血量を引いて、生体内の血管内血液量がシミュレーション計算されて、血圧、灌流量などが表示されることとなる。
本発明でシミュレーションされる各生体情報値は相互に依存関係がある。例えば、血圧は、大まかには、以下の式のように末梢血管抵抗および心拍出量のファクターで決定される。
血圧= 係数×(心拍出量×末梢血管抵抗)
逆に、血圧と心拍出量がわかれば、末梢血管抵抗をシミュレーションで求めることができる。なお、血圧には、上記以外に循環血液量、中心静脈圧、血液粘度、血管壁弾力性(即ち、血管緊張度の増減によって流路の断面積が変化し、循環血液量などが変化する。)なども関連する。さらに、心拍出量は、心拍数、1回心拍出量、体表面積(想定体重から換算可能)に依存する。
従って、本発明による装置は、入力された操作情報や模擬循環ユニットで測定された物理情報、およびデフォルト値などに基づき、上記の式などを用いて血圧、末梢血管抵抗、心拍出量などの生体情報値をシミュレーションで求めることが可能である。
ここで、ユーザやコンピュータによって入力されるイベント、或いは、記憶装置に予め格納されているシナリオの例を幾つか挙げる。
シナリオ例1
「脱血回路」の弁開度の調節により、脱血回路の屈曲または脱血カニューレの位置異常などの術野側に起因する脱血不良が再現できる。
シナリオ例2
「ベント回路」の弁開度の調節により、心腔内血液の不足に起因するベントカニューレ先端の貼り付きによるベント回路の閉塞を再現できる。
シナリオ例3
「送血回路」の弁開度の調節により、術野側に起因する大動脈解離、挿入位置異常、回路の屈曲による送血圧の上昇または送血量の不足を再現できる。
シナリオ例4
脱血回路を2本とし、片側脱血異常と両側脱血異常を任意に発生させて、異なる対処の方法を習得できる。
シナリオ例5
流路(例えば動脈や静脈)の弁開度の調整により、人体側の末梢血管抵抗および末梢血管床の変動、出血による異常、空気吸い込みによる異常、不完全な大動脈遮断による異常を再現できる。
シナリオ例6
体外循環開始後、脱血量が少ないのに送血量が多いと、人工心肺装置内の血液レベルが急速に低下してレベルセンサーが鳴り、送血量を落とすか、脱血量を減らすかを行うよう訓練者に警告する。訓練者はこれに応じて適切に操作情報を入力する。その後、あまりに体外循環のレベルが低下すると空気を送る危険をアラームが知らせ、ポンプは自動的にストップするという動作がシミュレーションされる。
シナリオ例7
心臓手術を終了後に、大動脈遮断を解除して、自己心拍が再開した後、心拍出が不良で、充分な血圧や心拍出量が維持できない状況を作り出す。このとき自己心臓の心拍出量の回復を計るための処置を訓練者に実施させる。模範的な処置は、訓練者が操作情報として、心拍出を高めるための強心剤投与を入力する。この投与が功を奏するパターンの場合は、心拍出シミュレーション値が改善される。この投与が功を奏しないパターン、或いは訓練者が適切に投与しなかったパターンの場合は、訓練者が操作情報として、体外循環のポンプ血流量を一時的に増加させ、その後ゆっくりと減らすという情報を入力する。この操作によって、自己心臓を一時的に休ませて、その後、ゆっくりと心拍出の回復を計ることが可能となる。
シナリオ例8
大動脈遮断を解除した後、不整脈が頻発して血行動態が安定せず体外循環を終了できない状況を作り出す。このとき血行動態を安定させるための処置を訓練者に実施させる。模範的な処置は、血漿中の電解質の中でカリウムの値をチェックし、訓練者が操作情報として、カリウム値が適正になるような情報を入力する。その後、抗不整脈剤を投与して不整脈を抑える。それでも不整脈が治まらない場合は、致死的な頻脈性不整脈には電気的除細動を行うという操作情報を入力すると、不整脈がおさまるというシミュレーション値となる。
本発明によるシステムは、入力されたイベント、或いはシナリオに含まれるイベントから各弁の弁開度を算出することも可能である。主たるイベントと弁開度との関連性を以下の表に示す。下記のような表を予め用意して記憶手段に格納しておけば、入力された、或いはシナリオに含まれるイベントに応じて表を参照することによって、各弁の弁開度を個別に制御することが可能となり、様々なトラブル事例を精密に再現することができ、より正確な訓練を訓練者に施すことが可能となる。
Figure 0004867001
Figure 0004867001
図3は、本発明による体外循環装置用の訓練装置のシステム構成の一例を示すブロック図である。図に示すように、本発明による体外循環装置用の訓練装置200は、体外循環装置の操作コンソール(入力部)210と、血行動態の部分的な特性を模擬した模擬循環ユニット220と、リアルタイム数値シミュレーション装置230、情報提示ディスプレイ250を持つ。リアルタイム数値シミュレーション装置230は、集中定数回路による血行動態の等価回路シミュレーション技術を利用したものである。情報提示ディスプレイ250は、コンピュータによるグラフィカルユーザインターフェースを具える。本装置200は、これら諸コンポーネントや諸機能による入出力を統合し、これまで臨床現場以外では困難であった体外術環装置操作技術の習得を容易にするトレーニング環境を提供する。臨床工学技士が人工心肺を運転する前にイメージ練習できるソフトを提供する点で広く活用され得るものである。
臨床現場での実習は、臨床工学技士の絶対数の不足および体外循環装置を用いる症例が必ずしも多くないことから、時間コストと人的コストについて厳しい制限のもと行われている。本発明により、現場における実習の前段階として系統的に体外循環装置の操作を習得することができることから、現場における実習の効果を最大限に発揮することができる。また、実際の臨床現場では極めて希少な事故例についても、イベントやシナリオを通じて模擬体験することが可能であり、医療事故減少のための安全教育として大きな効果が期待される。また、本発明による装置やプログラムは、臨床工学技士の資格試験や心肺装置の操作認定試験などへの応用も期待される。
また、演算手段を搭載したパソコンと体外循環の模型があれば、本願発明による装置は容易に作製可能である。また、本発明による装置は、臨床工学技士以外の医療従事者、例えば看護婦、医療系の学生、さらには医師などの訓練にも利用することができる。また、本発明は、血圧、循環血液量以外に、心拍数、不整脈、心拍出量、体温、末梢血管抵抗、或いは血漿中電解質など様々な生体情報をシミュレーションすることができ、医療分野で広く利用され得るものである。
本明細書では、様々な実施態様で本発明の原理を説明してきたが、本発明は上述した実施例に限定されず幾多の変形および修正を施すことが可能であり、これら変形および修正されたものも本発明に含まれることを理解されたい。例えば、イベント入力やシナリオの選択は、指導者によって実施されることが望ましいが、コンピュータによってランダム或いは所定のパターンで入力・選択することも可能である。
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各部材、各手段、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
本発明による体外循環装置用の訓練装置の一例を示すブロック図である。図である。 本発明による訓練方法のフローチャートの一例である。 本発明による体外循環装置用の訓練装置のシステム構成の一例を示すブロック図である。
符号の説明
100 訓練装置
110 入力部
120 模擬循環ユニット
122 運転部
124 測定部
130 シミュレーション部
140 記憶部
150 情報提示部
200 体外循環装置用の訓練装置
220 体外循環装置
210操作コンソール(入力部)
220 模擬循環ユニット
230 リアルタイム数値シミュレーション装置
250 情報提示ディスプレイ

Claims (6)

  1. 脱血回路、ベント回路、送血回路、および手術部吸引回路の各血液回路を具え、前記血液回路に、前記血液回路を流れる模擬血液の流量を調節する流量制御弁が設けられた体外循環装置と、
    少なくとも前記流量制御弁に対する指示を含む血液循環に関する操作情報を入力する入力部と、
    前記操作情報に基づき前記流量制御弁を制御する流量制御弁制御部と、
    前記操作情報に基づき、少なくとも血行動態情報を含むシミュレーション生体情報をリアルタイムで算出するリアルタイム数値シミュレーション部と、
    前記シミュレーション生体情報を提示する情報提示部と、を含み、
    前記入力部が、イベント入力、または、予め用意されている複数のシナリオから選択されたシナリオを入力し、
    前記リアルタイム数値シミュレーション部が、前記入力部で入力された、イベント入力またはシナリオを受け、これを少なくとも前記流量制御弁に対する指示を含む操作情報に変換し、この変換した操作情報を前記流量制御弁制御部に渡し、かつ、この変換した操作情報に基づきシミュレーション生体情報を算出する体外循環装置用の訓練装置において、
    前記脱血回路に設けられた流量制御弁の弁開度の調節により、術野側に起因する脱血不良を再現し、
    前記ベント回路に設けられた流量制御弁の弁開度の調節により、心腔内血液の不足に起因するベントカニューレ先端の貼り付きによるベント回路の閉塞を再現し、
    前記送血回路に設けられた流量制御弁の弁開度の調節により、術野側に起因する大動脈解離、挿入位置異常、回路の屈曲による送血圧の上昇または送血量の不足を再現し、
    前記手術部吸引回路に設けられた流量制御弁の弁開度の調節により、血液凝固による吸引回路不良を再現することを特徴とする体外循環装置用の訓練装置。
  2. 請求項1に記載の体外循環装置用の訓練装置において、
    前記脱血回路を2本とし、前記脱血回路に設けられた流量制御弁の弁開度の調節により、片側脱血異常と両側脱血異常を任意に発生させることを特徴とする体外循環装置用の訓練装置。
  3. 請求項1または2に記載の体外循環装置用の訓練装置において、
    前記体外循環装置が、前記模擬血液を流す流路を含む模擬循環ユニットに接続され、前記流量制御弁が、模擬循環ユニットの流路にも設けられており、
    前記流路に設けられた流量制御弁の弁開度の調整により、人体側の末梢血管抵抗および末梢血管床の変動、出血による異常、空気吸い込みによる異常、不完全な大動脈遮断による異常を再現することを特徴とする体外循環装置用の訓練装置。
  4. 請求項3に記載の体外循環装置用の訓練装置において、
    前記血液回路および前記流路に、前記模擬血液に関する物理情報を測定する流量センサおよび血圧センサが設けられ、
    前記リアルタイム数値シミュレーション部が、前記流量センサおよび前記血圧センサで測定された物理情報をも加味して前記シミュレーション生体情報を算出する、
    ことを特徴とする体外循環装置用の訓練装置。
  5. 請求項4に記載の体外循環装置用の訓練装置において、
    前記リアルタイム数値シミュレーション部が、前記流量センサおよび前記血圧センサで測定された物理情報に基づき、少なくとも前記流量制御弁に対する指示を含む前記操作情報を補正し、この補正した操作情報を前記流量制御弁制御部に渡す、
    ことを特徴とする体外循環装置用の訓練装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の体外循環装置用の訓練装置において、
    前記シミュレーション生体情報が、血圧、循環血液量、心拍数、不整脈、心拍出量、末梢血管抵抗、体温、血液ガス情報、および、ヘマトクリットのうちの少なくとも1つを含む、
    ことを特徴とする訓練装置。
JP2005347895A 2005-12-01 2005-12-01 体外循環装置用の訓練装置 Active JP4867001B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005347895A JP4867001B2 (ja) 2005-12-01 2005-12-01 体外循環装置用の訓練装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005347895A JP4867001B2 (ja) 2005-12-01 2005-12-01 体外循環装置用の訓練装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007155897A JP2007155897A (ja) 2007-06-21
JP4867001B2 true JP4867001B2 (ja) 2012-02-01

Family

ID=38240373

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005347895A Active JP4867001B2 (ja) 2005-12-01 2005-12-01 体外循環装置用の訓練装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4867001B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4999186B2 (ja) * 2008-03-11 2012-08-15 国立大学法人広島大学 体外循環装置用の訓練装置およびそのプログラム
JP5320155B2 (ja) * 2009-04-30 2013-10-23 旭化成メディカル株式会社 体外循環装置のシミュレーション装置及び体外循環装置のシミュレーションモジュール
EP3364321A1 (de) * 2017-02-15 2018-08-22 Fresenius Medical Care Deutschland GmbH Medizintechnisches gerät für ein simulations- und evaluierungssystem für medizinische behandlungseinrichtungen
CN113012543A (zh) * 2019-12-19 2021-06-22 杨青 一种动脉血压测量原理动态演示装置

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3229487B2 (ja) * 1994-07-12 2001-11-19 有限会社安久工機 血液循環シミュレータ
JPH0830192A (ja) * 1994-07-14 1996-02-02 Terumo Corp 血管モデル用液体循環装置
JP3774769B2 (ja) * 2003-10-02 2006-05-17 国立大学法人広島大学 体外循環装置用の訓練装置、およびそのプログラム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007155897A (ja) 2007-06-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9047787B2 (en) Perfusion method and apparatus
US9715839B2 (en) Perfusion method and apparatus
Carey et al. Perfused fresh cadavers: method for application to surgical simulation
EP2906107B1 (en) Patient simulation system for medical services or diagnostic machines
CN110603575A (zh) 用于医学服务或诊断机器的心脏模拟系统
JP6861216B2 (ja) 医療手術シミュレータ、及び医療手術シミュレーションの方法
JP3774769B2 (ja) 体外循環装置用の訓練装置、およびそのプログラム
JP4867001B2 (ja) 体外循環装置用の訓練装置
Matte Perfusion for congenital heart surgery: notes on cardiopulmonary bypass for a complex patient population
Morris et al. “Orpheus” cardiopulmonary bypass simulation system
US10984678B2 (en) Devices and methods for dynamic extracorporeal membrane oxygenation simulation
JP4999186B2 (ja) 体外循環装置用の訓練装置およびそのプログラム
KR102011236B1 (ko) 증강현실 기반 심혈관계 시술 가상훈련 시뮬레이터 시스템 및 그 방법
Mahmoud et al. Preliminary implementation of the next generation cannulation simulator
CN113160679A (zh) 一种vv-ecmo穿刺后血流分布效果模拟系统及方法
Washburn et al. A plumber’s guide to the cardiovascular system
CN117934232B (zh) 一种基于vr的ecmo插管操作方法
JP4284418B2 (ja) 体外循環装置用訓練装置の血行動態算出方法およびそのプログラム
Turkmen et al. A simulator for perfusion training
CN117934231B (zh) 一种基于vr的ecmo导丝扩张操作方法
US20240278001A1 (en) Systems and methods for simulating cardiovascular fluid flow
Lynch PUTTING THE AI IN TRAINING: AN EXPLORATORY STUDY ON A DYNAMIC PERFUSION SCENARIO TOOL
CN118588267A (zh) Ecmo预充方法、ecmo护理设备及其应用
Kheshvadjian et al. Implementation and Validation of a High-fidelity Simulation Model for Surgical Resident Training: Management of Acute Intraoperative Hemorrhage during Robot-assisted Surgery
Baumgartner et al. Design of a fuzzy controller for the automation of an extracorporeal support system with the use of a simulation environment

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080821

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101126

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101207

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110204

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20110204

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110510

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110620

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111018

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4867001

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313114

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250