JP4852955B2 - ボーリングバーおよびその加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、被削材を中ぐり加工して所望精度の孔を形成するボーリングバーおよびその加工方法に関する。
従来より、被削材を中ぐり加工するために、ボーリングバーを用いており、このボーリングバーを、被削材に予め設けた下孔に挿入して、下孔の内周面を切削することで所望精度の孔を形成している(例えば、特許文献1参照)。
上記したボーリングバーは、円柱状をなすシャンク部の先端に、仕上げ用として一個のスローアウェイチップ(以下、チップと略称す)を装着し、このチップは、摩耗すると交換できるよう着脱自在とされており、シャンク部の先端から見ると、コーナ部の稜線に形成された切刃が、シャンク部の先端外周部に若干突出している。
このようなボーリングバーは、加工時、シャンク部が駆動源によって軸線回りに回転しながら被削材に向かって前進し、チップの切刃が、被削材に予め設けてある下孔の内周面を切削することで、所望精度の孔を形成する。
実開平5−12009号公報
ところで、上記したボーリングバーの切刃によって孔を切削加工した後、シャンク部を単にそのまま回転させながら後退させると、切刃がボーリングバーの先端外周部より突出した状態となっていることから、高精度に仕上げた孔に傷が付く、いわゆるリターンマークが発生する恐れがある。
特に、高精度が要求される車両用エンジンのバルブリフタ孔やシリンダボア内面などを加工する場合には、微小なリターンマークが付くだけでエンジン特性に悪影響を与える恐れがあることから、回避する必要がある。
そこで、本発明は、加工後、ボーリングバーを後退させる際の切刃によるリターンマークの発生を防止することを目的としている。
本発明は、軸線回りに回転するシャンク部の先端外周に、切刃を有するチップを設け、被削材に対し前記シャンク部を前記軸線回りに回転させつつ前進させて前記切刃により前記被削材の孔内面を切削加工する一方、加工終了した時点で、前記シャンク部を軸線回りに回転させつつ後退させるボーリングバーであって、前記シャンク部の後退時、前記シャンク部を前記加工時とは異なる回転数で回転させて、前記切刃が前記加工時よりも前記軸線寄りに移動するように、前記シャンク部を撓ませる撓み発生部を、前記シャンク部に設け、前記撓み発生部は、先端部に前記切刃を有する前記シャンク部の軸状部の外周に凹部を設けることにより形成し、この凹部を基点として前記切刃を有する前記軸状部が撓むことを最も主要な特徴とする。
本発明によれば、ボーリングバーが加工後、回転しながら後退する際に、前進時とは異なる回転数にて回転することで、切刃が軸線寄りに移動するように、シャンク部の軸状部の外周に凹部を設けることにより形成した撓み発生部を設けたので、加工後、ボーリングバーを後退させる際には、撓み発生部を起点とするシャンク部の撓みより、切刃が加工孔内面から離れることになり、切刃によるリターンマークの発生を回避することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係わるボーリングバーの正面図、図2は図1のA矢視図である。この実施形態のボーリングバーは、シャンク部1が、図1中で下部側ほど直径が小さくなる円錐形状部3と、円錐形状部3の小径側の端部から先端側に連続する軸状部5とをそれぞれ備え、軸状部5の円錐形状部3側に、撓み発生部としての小径部5aを設けている。小径部5aは、軸状部5の全周にわたり凹部を設けることにより形成している。
上記したシャンク部1の図1中で上部の後端側外周には、シャンク部1を、図示しないマシニングセンタなどの工作機械のATC(自動工具交換装置)のアームによって把持するための被把持部7を形成している。また、被把持部7よりさらに後端側が、シャンク部1を工作機械の駆動軸に取り付けるためのアーバ9となっている。
シャンク部1の先端部には、外周および前方に開口したチップポケット11を設け、そのチップポケット11に、切刃13aを有するスローアウェイチップ(以下、チップと略称す)13を装着している。チップ13は、チップポケット11に設けた凹部11aに、取付ねじ15によって着脱可能に装着しており、チップ13のコーナ部の稜線に形成した切刃13aを、シャンク部1の先端外周部より半径方向外方に突出させている。
チップ13は、超硬合金やサーメットなどから構成し、シャンク部1が軸線O回りに回転しながら図1中で下方に前進すると、図示しない被削材に予め設けた下孔の内周面を切削加工し、所望精度の孔を形成する。被削材としては、例えば車両用エンジン(アルミニウム若しくはその合金製)からなるシリンダヘッドであり、シリンダヘッドのバルブリフタ孔内面を切削加工する。
上記したチップポケット11に設けた凹部11aにチップ13を設ける構造とすることで、ボーリングバー先端側の重心が、軸線Oを間に挟んでチップ13と反対の図1中で左側に位置するものとする。
この実施形態のボーリングバーは、上記のように構成されており、以下のようにして中ぐり加工(仕上げ)を行う。
まず、加工に際し、シャンク部1の被把持部7がATC(自動工具交換装置)のアームに把持され、また、アーバ9がマシニングセンタの駆動軸に取り付けられた状態となる。このとき、その駆動軸により、シャンク部1が軸線O回りに回転しながら図示しない被削材の下孔に向かって移動すると、シャンク部1の先端部に設けたチップ13の切刃13aが下孔の内周面を切削加工することで、下孔から所望精度の孔が得られる。
そして、このボーリングバーは、前述したように、チップポケット11の凹部11aにチップ13を設ける構造とすることで、先端側の重心が、軸線Oに対して図1中で左側に位置している。このため、ボーリングバーの回転時には、基本的にはチップ13と反対の図1中で左側の重心のある側が、遠心力により軸線Oから離れる方向に小径部5aを起点として撓んだ状態となる。
ここで、ボーリングバーが前進して加工する際には、マシニングセンタが低い回転数(例えば、10000〜3000rpm程度)でシャンク部1全体を回転させる。このように、低回転でボーリングバーを回転させる際には、小径部5aを起点とした図1中で左側への撓み量が、それより高回転で回転させる場合に比較して少なく、実際には殆ど撓むことなく、したがって、切刃13aにより下孔の内周面に接触して切削加工を行うことになる。
上記のようにして、チップ13により所望精度の孔を切削加工した後は、ボーリングバーが加工後の孔を通って元の位置に後退する後退工程に移行することとなるが、その後退工程においては、シャンク部1が上記加工時の回転数より高い回転数(例えば、15000rpm程度)で駆動する。
このように、ボーリングバーの後退時においては、前進時(加工時)と比較して、高い回転数によりシャンク部1を回転するため、軸線Oを間に挟んでチップ13と反対側に生じる遠心力は、加工時に生じる遠心力と比較して大きなものとなる。このため、小径部5aを起点としたボーリングバー先端のチップ13と反対側への撓み量が大きなものとなり、シャンク部1の外周面上に位置するチップ13は、加工時に比較して軸線O寄り移動するので、切刃13aが孔の内周面に接触することを確実に防止できる。
すなわち、チップ13をチップポケット11の凹部11aに設ける構造とすることで、ボーリングバー先端側の重心を、軸線Oを間に挟んでチップ13と反対の図1中で左側に位置させ、この状態で、後退時におけるシャンク部1の回転数を加工時より高くすることにより、切刃13aを軸線O寄り移動させることで、後退時にチップ13の孔の内周面への接触を防止する。
しかも、加工時には、低速回転によって加工し、後退時にはシャンク部1の回転数を高めるだけで後退移動させるので、回転数の切替時間に若干のロスタイムが生じるものの、シャンク部1の回転を完全に停止するわけではないので、サイクルタイムが低下するのを抑えることができる。
その結果、加工後ボーリングバーの後退時に、作業効率の低下を抑えつつ、切刃13aによるリターンマークが発生することを防止でき、中ぐり仕上げを行うボーリングバーとしての信頼性を高めることができる。これにより、マシニングセンタ特有の高速回転および高サイクルタイムを実現することができる。
図3は、前記図1に示した第1の実施の形態の変形例で、図3(a)はボーリングバーの先端側の一部を示す正面図、図3(b)は図3(a)のB−B断面図である。この変形例によるボーリングバーは、図1の小径部5aに代えて、撓み発生部としての凹部となる複数の切欠孔5bを、シャンク部1における軸状部5の外周に、円周方向に沿って複数(ここでは等間隔に4つ)設けている。
図4は、前記図1に示した第1の実施の形態の他の変形例で、図4(a)はボーリングバーの先端側の一部を示す正面図、図4(b)は図4(a)のC−C断面図である。この変形例によるボーリングバーは、図1の小径部5aに代えて、撓み発生部としての凹部となる切欠凹部5cを、シャンク部1における軸状部5の外周に設けている。
上記した図3,図4の例においても、図1における第1の実施形態と同様に、切削加工時には、シャンク部1の回転数を低くすることにより、ボーリングバー先端のチップ13と反対側への撓み量を少なくする一方で、加工後のボーリングバーの後退時には、シャンク部1の回転数を高くすることにより、シャンク部1の切欠孔5bまたは切欠凹部5cを起点とする、チップ13と反対側への撓み量を大きくして、チップ13の回転半径を加工時より小さくすることで、後退時での切刃13aの孔の内周面への接触を防止し、リターンマークの発生を防止する。
なお、上記した小径部5a,切欠孔5b,切欠凹部5cは、撓み発生部として作用する際に、シャンク部1の撓み量が不充分の場合には、さらに小径にしたり、切欠孔をさらに増やすなどの措置を講じることで、所望の撓み量を得ることができる。
図5は、本発明の第2の実施の形態に係わるボーリングバーの正面図、図6は図5のD矢視図である。この実施形態のボーリングバーは、前記図1に示した第1の実施形態に対し、シャンク部1の先端外周において、軸線Oに対してチップ13と反対側の上方位置に重錘部17を設けている。その他の構成は、第1の実施形態と同様である。
この重錘部17は、シャンク部1の先端側外周において、図6に示すように、周方向に沿って取り付けた2本のネジ19で構成している。
これらのネジ19は、例えば六角穴付き皿ボルトからなっており、図6に示すように、その先端部19aを、シャンク部1の外周に設けた雌ネジ5dに螺着し、その頭部19bを、雌ネジ5dに連続して設けた頭部用収納溝5eに、シャンク部1の外周から外部に突出しないように埋設している。
なお、重錘部17を構成するネジ19は、シャンク部1本体およびチップ15より比重の高い材料で構成している。
第2の実施形態においては、第1の実施形態に対し、重錘部17を軸線Oを間に挟んでチップ13と反対側に設けることで、同一回転数での重錘部17側に作用する遠心力が大きくなり、小径部5aの形状を同等とした場合に、この小径部5aを起点とするシャンク部1の撓み動作がより確実なものとなる。
したがって、この場合、前記した小径部5a,切欠孔5b,切欠凹部5cの構造では、シャンク部1の撓み量が不充分の場合に、撓み発生部としてさらに小径にしたり、切欠孔をさらに増やすなどする必要がない。
また、重錘部17は、シャンク部1の外周において、周方向に設けた二個のネジ19からなっているので、簡単に構成することができる。しかも二個のネジ19は、シャンク部1の外周に埋設されているので、周囲の障害物などに何等影響を与えることもない。
図7,図8は、前記図5,図6に示した第2の実施の形態の変形例で、第2の実施形態と異なるのは、シャンク部1に設けた重錘部17全体の重さを調整可能として点にある。
すなわち、この重錘部17は、図7に示すように、シャンク部1の先端外周において、軸線Oを間に挟んでチップ13と反対側で、かつチップ13よりシャンク部1の後端側に、軸線O方向に沿って複数設けるととともに、図7のE矢視図である図8(a)に示すように、所定角度の範囲内で、軸線Oに向かって複数設けており、本例では合計10本のネジ21を用いている。
これらネジ21は、例えば六角穴付きボルトとし、図8(a)に示すように、その先端部21aが、シャンク部1に設けた雌ネジ5dに螺着するとともに、その頭部21bを、雌ネジ5dと連続する頭部用収納溝5eに収納してシャンク部1の先端外周から外部に突出しないように埋設している。図8(b)は、図8(a)のF矢視図である。
図7,図8の例においては、複数の重錘部17が、シャンク部1の外周において、軸線Oを間に挟んでチップ13と反対側のシャンク部1の後端側に複数設けているため、基本的には図5,図6に示した第2の実施形態と同様の作用効果が得られるほか、以下の作用効果が得られる。
つまり、重錘部17を構成するネジ21の個数を増やすと、加工時および後退時に重錘部17に生じる遠心力の大きさの差が大きくなり、逆にネジ21の個数を減らすと、重錘部17に生じる遠心力の大きさの差が小さくなり、これにより、加工時および後退時におけるチップ13の回転半径を適宜調整することができる。
このため、重錘部17の重量および、加工時と後退時とにおけるシャンク部1の回転速度の差を調整することにより、加工時においては、チップ13の切刃13aが所望の円軌跡を描くとともに、後退時においては、チップ13の切刃13aを孔の内周面から確実に離間させることができる。
したがって、所望精度の孔を形成するための加工前進移動と、リターンマークの発生しない後退移動とを的確に行える。しかも、シャンク部1が駆動される回転速度の大きさに基づいて、使用するネジ21の本数を選定することが可能となり、より高速回転するマシニングセンタは勿論、それより低速回転される駆動装置にも良好に使用することができる。
なお、図7,図8に示す例では、重錘部17として、六角穴付きボルトを用いたが、これに限らず、前述した図5,図6におけるような六角穴付き皿ボルトを用いることもできるのは勿論である。
図9は、本発明の第3の実施の形態に係わるボーリングバーの正面図、図10は図9のG矢視図である。
前記図5に示した第2の実施形態およびその変形例(図7)においては、いずれも、重錘部17をシャンク部1の外周において、軸線Oを間に挟んでチップ13と反対側のシャンク部1の後端側に設けているが、この実施形態においては、シャンク部1の外周において、軸線Oを間に挟んでチップ13と反対側のシャンク部1の先端部に重錘部17を設けている。
すなわち、この実施形態の重錘部17は、図10に示すように、シャンク部1の先端面において、チップ13と半径方向に沿って互いにほぼ対向する位置に、軸方向に沿って設けた2本のネジ23を螺着し、これによりシャンク部1の外周においてチップ13と反対の部分を重くしている。
上記したネジ23は、図7の例と同様六角穴付きボルトからなり、図9に示すように、その先端部23aが、シャンク部1の先端面に軸線O方向に形成した雌ネジ5dに螺合するとともに、その頭部23bを、雄ネジ5dと連続する頭部用収納溝5eに収納している。この場合、2箇所の雌ネジ5dおよび頭部用収納溝5eは、シャンク部1の先端面において、径方向に沿って設けている。
上記した第3の実施形態においても、ボーリングバー先端側の重心を、軸線Oを間に挟んでチップ13と反対側の図9中で左側に位置させた状態で、加工時におけるシャンク部1の回転数を後退時より小さくすることにより、加工時でのボーリングバー先端のチップ13と反対側のへの撓み量を小さくする一方で、後退時には、シャンク部1の回転数を高くすることにより、ボーリングバー先端の小径部5aを起点とする、チップ13と反対側への撓み量を大きくして、チップ13の回転半径を、加工時より小さくすることで、後退時にチップ13の切刃13aが孔の内周面に接触することを確実に防止する。
図11および図12は、前記図9,図10に示した第3の実施の形態の変形例を示す。この例は、重錘部17を、シャンク部1の外周において、第3の実施形態と同様、軸心Oを挟んでチップ13と反対側に設けているのに加え、径方向に移動可能に螺着している。
すなわち、重錘部17は、図11のH矢視図である図12(a)に示すように、矩形状をなすスライダ25と、そのスライダ25を回転可能に挿通するネジ27とを有している。スライダ25は、図12(a)のI−I断面図である図12(b)に示すように、表面側から奧部にかけて次第に幅広となる台形状をなしている。
一方、シャンク部1の先端面においては、図12(a)に示すようにチップ13と反対側やや左寄りの位置に、径方向に延びる、上記スライダ25と嵌合する蟻溝5fを設けている。この蟻溝5fは、スライダ25と対称形状としてシャンク部1の先端面に開口しており、その開口部位の奧部にネジ27と螺合する雌ネジ部5gを径方向に沿って溝状に設けている。
そして、上記した蟻溝5fにスライダ25を嵌合しつつ、ネジ27を雌ネジ部5gと螺合させることで、重錘部17がシャンク部1の先端面に取り付けられ、しかも、蟻溝5fの径方向に沿う長さにおいて任意の位置にネジ27を螺合させることができ、これにより重錘部17をシャンク部1の先端面において、径方向の適宜位置に設定することができる。
本例においては、重錘部17を径方向に位置調整可能に設けているため、重錘部17の位置を調整することにより、加工時およびボーリングバーの後退時に重錘部17に生じる遠心力を調整することができる。
すなわち、重錘部17を軸線Oに近接するように位置調整した場合には、重錘部17に生じる遠心力が小さくなり、また、重錘部17を軸線Oに対して離間した位置に位置調整した場合には、重錘部17に生じる遠心力が大きくなる。
このように、重錘部17の位置調整が可能であるため、被削材の材質などの理由により加工時におけるシャンク部1の回転速度を変更させた場合においても、適宜重錘部17の位置を調整することにより、ボーリングバーの後退時にチップ13の切刃13aを孔の内周面から確実に離間させることができる。
したがって、加工する材料の材質などに応じて、加工時のシャンク部1の回転速度および重錘部17の位置調整を行うことにより、種々の材料に加工を施すことができる。
なお、本例においても、重錘部17がシャンク部1の外周において、チップ13と反対側に重錘部17を設けていることから、加工時には、低回転数で回転しながら前進することで、切刃13aが所望精度の孔を形成し、後退時には、加工時より高い回転数で駆動することで、重錘部17に大きな遠心力が働くこととなり、チップ13が軸線O側に変位することとなる。
このため、本例においても、上記第3の実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
また、上記した各実施形態およびその変形例では、加工時、切刃13aが所望精度の孔を形成する一方、後退時には、切刃13aが軸線O方向にずれるようにするため、加工時と後退時とでボーリングバーの回転速度を変えているが、前述した回転速度は、厳密には、使用するボーリングバー全体の重量のみならず、シャンク部1においてチップ13を装着している部分の径の大きさや重量などによる慣性モーメントなどによっても異なるので、これらの要因を考慮することで回転数を適宜決定するのが望ましく、上記実施形態に限定されるものではない。
さらに、上記した各実施形態およびその変形例では、シャンク部1がマシニングセンタの駆動力で駆動する例を示したが、これに限らず、それ以外の他の駆動源によって駆動することで、孔を中ぐり加工で仕上げることができる全てのボーリングバーにも適用でき、同様の効果を得ることができるのは勿論である。
そして、本発明においては、被削材として車両用エンジンのシリンヘッドを対象とした例を示したが、これに限らず、高精度な孔加工を行うもの全てにも適用することができ、同様の作用効果を得ることができるのは勿論である。
また、上記した各実施形態およびその変形例では、ボーリングバー先端部において、軸線Oを間に挟んでチップ13と反対側に重心を設定する構成としたが、これとは逆に、チップ13側に前記図5に示したような重錘部を設けることで、ボーリングバー先端部の重心を、軸線Oを間に挟んでチップ13側に設定してもよい。
ボーリングバー先端の重心を、チップ13側に設定した場合には、上記した各実施形態およびその変形例とは逆に、ボーリングバーが前進して加工する際には、マシニングセンタが高い回転数(例えば、15000rpm程度)でシャンク部1全体を回転させることで、チップ13に大きな遠心力を働かせてチップ13の切刃13aの先端が大きな回転半径にて回転することとなり、これにより切刃13aが、軸線Oから離間した位置において下孔の内周面に接触して切削加工を行う。
切削加工後のボーリングバーの後退工程においては、シャンク部1が上記加工時の回転数より低い回転数(例えば、10000〜3000rpm程度)で駆動することで、ボーリングバー先端のチップ13側への撓み量が小さくなることにより、シャンク部1の外周面上に位置するチップ13の回転半径も、加工時に比較して小さくなり、後退時にチップ13の切刃13aが孔の内周面に接触することを確実に防止する。
本発明の第1の実施の形態に係わるボーリングバーの正面図である。 図1のA矢視図である。 第1の実施の形態の変形例を示し、(a)はボーリングバーの先端側の一部を示す正面図,(b)は(a)のB−B断面図である。 第1の実施の形態の他の変形例で、(a)はボーリングバーの先端側の一部を示す正面図、(b)は(a)のC−C断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係わるボーリングバーの正面図である。 図5のD矢視図である。 第2の実施の形態の変形例を示すボーリングバーの正面図である。 (a)は図7のE矢視図、(b)は(a)のF矢視図である。 本発明の第3の実施の形態に係わるボーリングバーの正面図である。 図9のG矢視図である。 第3の実施の形態の変形例に係わるボーリングバーの正面図である。 (a)は図1のH矢視図、(b)は(a)のI−I断面図である。
符号の説明
1 シャンク部
5a 軸状部の小径部(撓み発生部)
5b 切欠孔(撓み発生部,凹部)
5c 切欠凹部(撓み発生部,凹部)
13 チップ
13a チップの切刃
17 重錘部
19,21,23,27 ネジ

Claims (10)

  1. 軸線回りに回転するシャンク部の先端外周に、切刃を有するチップを設け、被削材に対し前記シャンク部を前記軸線回りに回転させつつ前進させて前記切刃により前記被削材の孔内面を切削加工する一方、加工終了した時点で、前記シャンク部を軸線回りに回転させつつ後退させるボーリングバーであって、前記シャンク部の後退時、前記シャンク部を前記加工時とは異なる回転数で回転させて、前記切刃が前記加工時よりも前記軸線寄りに移動するように、前記シャンク部を撓ませる撓み発生部を、前記シャンク部に設け、前記撓み発生部は、先端部に前記切刃を有する前記シャンク部の軸状部の外周に凹部を設けることにより形成し、この凹部を基点として前記切刃を有する前記軸状部が撓むことを特徴とするボーリングバー。
  2. 前記チップを前記シャンク部の先端外周に設け、前記シャンク部先端における前記軸線を間に挟んで前記チップと反対側を、前記チップ側に対して重く設定するとともに、前記シャンク部が後退する際の回転数を、前記シャンク部が前進する際の回転数より高く設定したことを特徴とする請求項1に記載のボーリングバー。
  3. 前記シャンク部先端における前記軸線を間に挟んで前記チップと反対側に重錘部を設けたことを特徴とする請求項に記載のボーリングバー。
  4. 前記重錘部は、前記チップに対し軸方向に沿って設けたことを特徴とする請求項に記載のボーリングバー。
  5. 前記重錘部は、前記チップに対し周方向に沿って設けたことを特徴とする請求項に記載のボーリングバー。
  6. 前記シャンク部先端の前記軸線を間に挟んで前記チップ側に重錘部を設けてこのチップ側を、前記チップと反対側に対して重く設定し、前記シャンク部が後退する際の回転数を、前記シャンク部が前進する際の回転数より低く設定したことを特徴とする請求項1に記載のボーリングバー。
  7. 前記重錘部を複数設け、この複数の重錘部を前記シャンク部に対して着脱可能としたことを特徴とする請求項ないしのいずれか1項に記載のボーリングバー。
  8. 前記重錘部は、前記シャンク部の先端面において、径方向に移動可能に設けたことを特徴とする請求項またはに記載のボーリングバー。
  9. 前記重錘部は、前記シャンク部に対して着脱可能なネジを備えていることを特徴とする請求項ないしのいずれか1項に記載のボーリングバー。
  10. 軸線回りに回転するシャンク部の先端外周に、切刃を有するチップを設け、被削材に対し前記シャンク部を前記軸線回りに回転させつつ前進させて前記切刃により前記被削材の孔内面を切削加工する一方、加工終了した時点で、前記シャンク部を軸線回りに回転させつつ後退させるボーリングバーの加工方法であって、前記シャンク部の後退時、前記シャンク部を前記加工時とは異なる回転数で回転させて、前記切刃が前記加工時よりも前記軸線寄りに移動するように、前記シャンク部を、このシャンク部に設けた撓み発生部により撓ませる際に、前記シャンク部の軸状部の外周に設けた凹部を基点として、先端部に前記切刃を有する前記軸状部が撓むことを特徴とするボーリングバーの加工方法。
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