JP4852163B2 - 金属材料の疲労き裂進展速度低下用粒子含有ペースト、および、そのペーストを塗布した金属材料 - Google Patents

金属材料の疲労き裂進展速度低下用粒子含有ペースト、および、そのペーストを塗布した金属材料 Download PDF

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Description

本発明は、金属材料の疲労き裂進展抑制に関する技術分野に属するものである。
金属の疲労において、疲労き裂面内にフレッティング酸化物等の異物が生じることで、ブリッジング効果(くさび効果と称される場合もある)によって疲労き裂進展速度が低下することが広く知られている。
ブリッジング効果による疲労き裂進展速度の低下の原因は、図7のように異物の混入によってき裂先端開口変位が減少することにある。なお、図7では異物が全く潰れない場合のものを示している。応力変動1サイクルあたりの疲労き裂進展速度は疲労き裂先端の開口変位と強い相関がある。
技術文献「A new method of arresting fatigue crack growth by artificial wedge[Proceedings of International Conference on Fracture Mechanics in Engineering Applications, India (1979), pp.281-293.]」(以下、非特許文献1ともいう)には、接着剤によるブリッジング効果を利用した疲労き裂進展速度低下技術が記載されている。即ち、前述のブリッジング効果を積極的に利用して疲労き裂進展速度を低下させる技術として、接着剤を用いる方法が報告されている。例えば、アルミニウム合金の疲労き裂の中に接着剤を注入することによって、疲労き裂の開閉口が抑制され、疲労き裂進展速度が低下することが示されている。ただし、接着剤は一度硬化すると流動性を失うことから、接着剤注入直後には疲労き裂進展抑制効果は得られる一方で、接着剤注入後に疲労き裂が進展すると疲労き裂進展減速効果が弱まってしまう。
特開平5-57532 号公報(以下、特許文献1ともいう)には、非特許文献1記載の技術での問題点を解決するために、ブリッジング効果を発現させる方法として「機械・構造物の構成部材に発生したき裂の先端部に微粉を注入して、これをき裂先端部に目詰まりさせることを特徴とするき裂進展防止方法」について記載されている。具体的には、鋼板の疲労き裂に対して粒径0.05μmの微細粒シリカをインク液と混ぜた液体を注入することにより、疲労き裂進展速度が1/10程度に減速することが示されている。
技術文献「微細粒のくさび効果による疲労き裂進展抑制[日本造船学会論文集, Vol.184 (1998), pp362-367.]」(以下、非特許文献2ともいう)、技術文献「Restraint of fatigue crack growth by wedge effects of fine particles[Fatigue & Fracture of Engineering Materials & Structures, Vol.23-10 (2001), pp.867-877. ]」(以下、非特許文献3ともいう)、技術文献「アルミナペースト塗布による疲労き裂進展の自動抑制および目視検出[溶接学会論文集, Vol.22-4 (2004), pp531-541. ]」(以下、非特許文献4ともいう)には、シリカの代わりに、アルミナを用いた技術が示されている。具体的には、予め疲労損傷が予想される部分に、粒径10〜20μm程度の微細粒アルミナをサラダ油とシリコングリースと混合させてペースト状にした物質(アルミナペースト)を塗布することによって、疲労き裂進展が遅延・疲労寿命が増加する結果が示されている。
特許第3808846 号公報(特開平2005-28462号公報)(以下、特許文献2ともいう)には非特許文献2〜4に関連したアルミナペーストを用いた疲労き裂進展抑制技術が記載されている。このペーストでは「高硬度微細粒との混合対象の油の粘度」についての規定があり、5000〜15000 cP(5 〜15Pa・s)の油を用いるとよいことが記述されている。
この特許文献2記載のペーストでは、微細粒との混合対象である油の粘度については規定されているが、ペーストの粘度については規定されていないので、ペーストの疲労き裂面内への進入性を保証できないという問題点がある。即ち、微細粒を含有するペースト(以下、微細粒ペーストともいう)中の微細粒がブリッジング効果(くさび効果)を発揮するためには微細粒ペーストが疲労き裂面内へ進入する必要があるが、油の粘度が同一であっても微細粒と油の混合比率を変化させると微細粒ペーストとしての粘度は異なったものになるため、油の粘度を規定するだけでは微細粒ペーストの疲労き裂面内への流動性を保証できない。微細粒ペーストの疲労き裂内への進入性を保証するためには微細粒ペーストの粘度を規定する必要がある。また、このペーストの粘度範囲において、き裂進展抑制効果の高い粒径範囲を規定することが望ましい。特許文献2では、粒径10〜20μmの1種類のアルミナの場合のみ効果が発現した実験結果が示されており、どの範囲のアルミナ粒径が適切であるのか不明な状況にある。
特開平5-57532 号公報 特許第3808846 号公報
A new method of arresting fatigue crack growth by artificial wedge[Proceedings of International Conference on Fracture Mechanics in Engineering Applications, India (1979), pp.281-293.] 微細粒のくさび効果による疲労き裂進展抑制[日本造船学会論文集, Vol.184 (1998), pp362-367.] Restraint of fatigue crack growth by wedge effects of fine particles[Fatigue & Fracture of Engineering Materials & Structures, Vol.23-10 (2001), pp.867-877. ] アルミナペースト塗布による疲労き裂進展の自動抑制および目視検出[溶接学会論文集, Vol.22-4 (2004), pp531-541. ]
疲労き裂進展速度を低下させる手段として粒子を含有するペースト(以下、粒子ペーストともいう)を用いる場合、この粒子ペーストとしては疲労き裂内への進入性がよいことが必要である。このためには、粒子ペーストの粘性を考慮する必要がある。更には、そのペーストの粘度範囲において、疲労き裂進展抑制効果の大きい粒径に規定することが望ましい。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、金属材料の疲労き裂進展速度低下用粒子を含有するペースト(粒子ペースト)であって、疲労き裂内への進入性に優れたペーストおよび該ペーストを塗布した金属材料を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記目的を達成するため、鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。本発明によれば上記目的を達成することができる。
このようにして完成され上記目的を達成することができた本発明は、ペーストおよび該ペーストを塗布した金属材料に係わり、請求項1〜記載のペースト(第1〜発明に係るペースト)、請求項記載の金属材料(第発明に係る金属材料)であり、それは次のような構成としたものである。
即ち、請求項1記載のペーストは、金属材料の疲労き裂進展速度低下用の粒子と液体を混合したペーストであって、前記液体として粘度:0.8Pa・s以下の液体を用い、粘度が5Pa・s以上70Pa・s未満であることを特徴とするペーストである[第1発明]。
請求項2記載のペーストは、前記粒子として前記金属材料よりも高硬度の物質を用いた請求項1記載のペーストである〔第2発明〕。請求項3記載のペーストは、前記粒子としてアルミナ、鉄、シリカ、ジルコニア、炭化ケイ素、炭化ホウ素、ダイヤモンドの1種以上を用いた請求項2記載のペーストである〔第3発明〕。
請求項4記載のペーストは、前記液体として低揮発性および/または難燃性の油を用いた請求項1〜3のいずれかに記載のペーストである〔第4発明〕。
請求項記載のペーストは、前記粒子の粒径が100μm以下である請求項1〜のいずれかに記載のペーストである〔第発明〕。
請求項記載の金属材料は、請求項1〜のいずれかに記載のペーストを塗布した金属材料である〔第発明〕。
本発明に係るペーストは、疲労き裂内への流動性がよく進入性に優れているので、確実に疲労き裂へ進入することができ、ひいては、ペースト中の粒子がブリッジング効果(くさび効果)を発揮することができる。本発明に係る金属材料は、このようなペーストの効果により、確実に疲労き裂進展速度が低下し、長寿命化される。
本発明の実施例1に係るペーストを塗布した試験片の疲労破壊後の破面を示す図である。 本発明の実施例1に係るペーストを塗布した試験片および比較例に係る試験片(塗布しない試験片)についての疲労試験結果を示す図であって、応力拡大係数範囲と疲労き裂進展速度との関係を示す図である。 本発明の実施例3に係るペーストを塗布した試験片および比較例に係る試験片(塗布しない試験片)についての疲労試験結果を示す図であって、応力拡大係数範囲と疲労き裂進展速度との関係を示す図である。 本発明を高炭素鋼S45Cの焼入れ、焼戻し材に適用した試験結果を示す図である。 本発明を高温環境で適用した試験結果を示す図である。 本発明の実構造物に作用する種々の負荷形式のランダム波形下での効果実証試験結果を示す図である。 ブリッジング効果(くさび効果)による疲労き裂進展速度低下のメカニズムを説明する模式図である。
〔本発明の作用効果〕
本発明に係るペーストは、前述のように、金属材料の疲労き裂進展速度低下用の粒子と液体を混合したペーストであって、前記液体として粘度:0.8Pa・s以下の液体を用い、粘度が5Pa・s以上70Pa・s未満である。このようにペーストの粘度が5Pa・s以上70Pa・s未満であるので、疲労き裂内への流動性がよく進入性に優れている。このため、確実に疲労き裂内へ進入することができ、ひいては、ペースト中の粒子(金属材料の疲労き裂進展速度低下用の粒子)がくさび効果を発揮することができる。
ペーストは、高粘度だと疲労き裂内へ流入しなくなる。この点からペーストの粘度を考慮し、70Pa・s未満であることとしている。即ち、ペーストの粘度を70Pa・s未満であることとしているのは、70Pa・s以上とすると流動性が低すぎて、疲労き裂内へ進入しなくなるからである。この上限は50Pa・sとすることが望ましく、40Pa・sとすることは更に望ましい。また、ペーストの粘度の下限については、0.01Pa・s未満にすると、ペースト単位量あたりの疲労き裂進展速度低下用の粒子の量が少なすぎて、疲労き裂進展速度低下用ペーストとしての機能を果たさなくなる。この下限は5Pa・sとすることが望ましく、10Pa・sとすることは更に望ましい。
前記疲労き裂進展速度低下用の粒子としては、前記金属材料よりも高硬度の物質、具体的には、アルミナ、鉄、シリカ、ジルコニア、炭化ケイ素、炭化ホウ素、ダイヤモンドの1種以上を用いることが望ましい〔第2、3発明〕。これらの粒子は高硬度であるため、疲労き裂閉口過程でブリッジング効果を引き起こしやすく、疲労き裂進展抑制効果が高いからである。
前記疲労き裂進展速度低下用の粒子と混合する液体について説明する。本発明に係るペーストは、前述のように、粘度が5Pa・s以上70Pa・s未満である。この粘度範囲において粘度一定のとき、液体の粘度が低いほど、ペースト単位量あたりの疲労き裂進展速度低下用の粒子の量が多くなるため、大きな効果が期待できる。かかる点から液体の粘度は5.0Pa・s未満であることが望ましく、更に0.8Pa・s以下であることが望ましく、0.4Pa・s以下とすれば更に望ましい。また、下限値は、0.01Pa・sとすることが望ましい。
前記疲労き裂進展速度低下用の粒子と混合する液体として低揮発性および/または難燃性の油を用いることが望ましい〔第発明〕。揮発性が低ければ長期間の使用に耐え、難燃性であれば火災を引き起こす心配がないからである。
疲労き裂進展抑制の効果を発揮するには、ペーストがき裂内に進入した上で、さらに粒子が効果的にき裂開閉口を妨げる必要がある。かかる点から、疲労き裂進展速度低下用の粒子としては粒径が100μm以下のもの、特に10μm以下のものが望ましく、大きな疲労き裂進展抑制効果が期待できる〔第発明〕。更に、1μm以下の粒子であれば、さらに大きな疲労き裂進展抑制効果が期待できる。また、粒径の下限値としては、0.01μmで実施可能であるが、更に0.1μmが望ましく、0.4μmとすれば更に望ましい。
本発明に係るペーストは、疲労き裂内への流動性がよく進入性に優れているので、確実に疲労き裂へ進入することができ、ひいては、ペースト中の粒子がブリッジング効果を発揮することができる。従って、本発明に係るペーストを塗布した金属材料は、確実に疲労き裂進展速度が低下し、長寿命化される〔第発明〕。
〔本発明の実施形態〕
本発明に係るペーストは例えば下記のようにして作製する。
液体中に疲労き裂進展速度低下用の粒子を入れて、攪拌棒などで攪拌し、最後にミキサー等で完全に混合させて作製する。なお、他の方法であっても、粒子と液体を混合させることができる方法であれば構わない。
このとき、疲労き裂進展速度低下用の粒子には、ペーストを塗布する金属材料よりも高硬度の物質が好ましい。本発明において高硬度の物質とは、変形量が少ない物質を意味し、具体的には、ヤング率が大きく弾性変形の生じにくい物質、あるいは、ビッカース硬さやショア硬さなどに代表される各種硬さのいずれかの値が大きく塑性変形しにくい物質を意味する。粒子の物質はペーストを塗布する金属材料によって替えればよく、アルミナ、鉄、シリカ、ジルコニア、炭化ケイ素、炭化ホウ素、ダイヤモンドの1種以上を用いるとよい。例えば、アルミニウム合金に適用する場合であれば、アルミニウムよりもヤング率の高い鉄粉を用いたペーストを塗布することで疲労き裂進展速度抑制の効果が発揮できる。粒子としては、粒径が100μm以下のものを用いることが望ましく、10μm以下のものを用いることが更に望ましく、1μm以下のものを用いることが更に望ましい。液体には、5.0Pa・s未満の粘度のものを用いるとよく、0.8Pa・s以下のものを用いると更によい。できれば揮発性が低い油が良く、特に難燃性の工業用油などが望ましい。
ペースト作製後には粘度測定を行い、ペーストの粘度を確認する。ペーストの粘度が5Pa・s以上70Pa・s未満でない場合、疲労き裂進展速度低下用の粒子または液体を加えてペーストの粘度が5Pa・s以上70Pa・s未満となるように調整する。なお、粘度測定を毎回行わずとも、予めペーストの粘度が5Pa・s以上70Pa・s未満となるような疲労き裂進展速度低下用の粒子/液体の混合比を求めて、決めておいてもよい。
本発明に係るペーストは例えば下記のようにして金属材料に塗布する。疲労き裂が生じている部分に塗布する。あるいは、将来的に疲労き裂が生じると予想される部分にペーストを塗布する。疲労き裂が生じている部分に適用する場合には、塗布ではなく、圧入などによってペーストを強制的に注入してもよい。これは、特にペーストの粘度が高い場合に有効である。また、ペーストが塗布位置に留まりやすくするためにはペースト塗布後にシールをすることが有効である。これは、特に疲労き裂が生じると予想される部分に予めペーストを塗布する場合、ペーストを上向きに注入する場合、あるいは、ペーストの粘度が低い場合に有効である。
〔本発明の実施例および比較例〕
本発明の実施例および比較例を以下説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
(実施例1)
疲労き裂進展速度低下用の粒子としてアルミナを用い、この粒子と混合する液体として粘度:5.5×10-2Pa・sの油を用いた。これら両者を混合し、種々の粘度のペースト(アルミナペースト)を作製した。
上記ペーストの中、粘度32Pa・sのペースト(粒子の粒径:15.9μm)を用いた場合の結果、ペーストを用いない場合の結果について、以下説明する。
同一ロットのSS400 で作製した試験片4本に対して、うち2本は上記の粘度32Pa・sのペーストを塗布し、残り2本はペースト塗布せずに、それぞれ繰返し荷重を与えて疲労試験を行った。
図1に疲労試験後の疲労破面の拡大図(写真)を示す。ペーストは材料表面に塗布された後に疲労き裂内に進入している。このような粘度のペーストであれば、毛細管現象やポンプ効果によって疲労き裂の内部に進入できることが分かる。
図2に疲労試験の結果を示す。ペーストを塗布した場合、塗布しない場合よりも、疲労き裂進展速度が低く、疲労き裂進展が1/10程度遅くなっていることが分かる。
本発明の規定するペーストの粘度の範囲は5Pa・s以上70Pa・s未満であり、更に10〜40Pa・sとすることが望ましいが、上記試験においては望ましい条件を満たす32Pa・sの粘度を持つペーストを用いた。その結果、ペーストが確実に疲労き裂内へ進入することができ、ペースト中のアルミナ粒子がくさび効果を発揮して、疲労き裂進展速度が低くなった。
(実施例2)
疲労き裂進展速度低下用の粒子として上記実施例1と同じ粒径15.9μmのアルミナを用い、この粒子と混合する液体として粘度:1.2×10-1Pa・sのタービンオイルを用いた。両者を混合する際のタービンオイルの量を変えて、種々の粘度のペースト(アルミナペースト)を作製した。各ペーストの粘度は2.6Pa・s、3.4Pa・s、6.4Pa・s、32Pa・s、35Pa・s、70Pa・sである。
これらのペーストを上記実施例1と同じ試験片に塗布して疲労試験を行い、疲労破壊後の破面を観察することで、ペーストの疲労き裂内への進入性を調べた。その結果、いずれのペーストにおいても疲労き裂内への進入が認められ、これらのペーストを使用すれば疲労き裂進展速度が低くなることが期待できることが分かった。
この時、粘度が70Pa・sであるペーストについては、他のペーストと比較すると流動性が低いために疲労き裂内への進入性に劣る傾向が見られたが、圧入を行うことによって確実に疲労き裂へ進入することができ、好適に使用できるものであった(参考例)。
また、粘度が2.6Pa・s、3.4Pa・sであるペーストについては、他のペーストと比較すると流動性が高いために試験片表面に留まりにくい傾向が見られたが、ペーストを塗布後にシールすることでペーストが塗布位置に留まり、確実に疲労き裂内に進入することができ、好適に使用できるものであった(参考例)。
(実施例3)
次に、アルミナの粒径をパラメータとした試験結果を示す。試験に供したアルミナ粒径は、0.04μm、0.3μm、0.55μm、4.7μm、15.9μm、85μmである。液体には、粘度1.8×10-1Pa・sのチェーンオイルを用いた。作成したペーストの粘度は、それぞれ42Pa・s、38Pa・s、24Pa・s、34Pa・s、24Pa・s、21Pa・sである。
図3に、ペーストを用いなかった場合と上記4種のペーストを用いた場合の疲労き裂進展データを示す。試験片の材料はSS400である。これらのデータを見ると、全ての粒径のアルミナにおいて疲労き裂進展速度が減速していることが分かる。特に、0.55μmと4.7μmのアルミナの場合で疲労き裂進展速度低下の効果が大きいことが分かる。例えば、粒径0.55μmのアルミナを用いた場合では、き裂進展速度は1/20程度に減速しており、極めて疲労き裂進展速度低下の効果が大きい。なお、各ペーストともに疲労き裂進展速度低下の効果を奏していることから、上記した各ペーストの粘度が適切なものであることも確認できる。
また、0.55μm、4.7μm、15.9μm、85μmのアルミナを混合させて製作したペーストについて実験を行ったところ、0.55μmのアルミナ単独の場合と同等の疲労き裂進展速度低下の効果が得られた。即ち、複数の異なる粒径のアルミナを混合して製作したペーストも有効であることが分かった。
次に、種々の条件下での効果検証試験を行った。図4に、本発明を高強度鋼に適用した例として、高炭素鋼S45Cの焼入れ、焼戻し材での試験結果を示す。SS400の場合と同じく、き裂進展速度が1/10程度に減速していることが分かる。図5には、高温環境で本発明を適用した例を示す。200℃までの高温環境においても、室温と同程度の効果を発揮することが分かった。図6には、実構造物に作用する種々の負荷形式のランダム波形下での効果実証試験結果を示す。引張・曲げ・ねじりのいずれの負荷形式においても、疲労き裂進展速度低下の効果が得られた。これらの試験より、本発明に係るペーストの幅広い条件下での有用性が確認できた。
本発明に係るペーストは、疲労き裂内への流動性がよく進入性に優れているので、確実に疲労き裂へ進入することができ、ひいては、ペースト中の粒子がブリッジング効果(くさび効果)を発揮することができるので、金属材料の疲労き裂進展速度低下用ペーストとして好適に用いることができ、確実に金属材料の疲労き裂進展速度低下がはかれて有用である。

Claims (6)

  1. 金属材料の疲労き裂進展速度低下用の粒子と液体を混合したペーストであって、前記液体として粘度:0.8Pa・s以下の液体を用い、粘度が5Pa・s以上70Pa・s未満であることを特徴とするペースト。
  2. 前記粒子として前記金属材料よりも高硬度の物質を用いた請求項1記載のペースト。
  3. 前記粒子としてアルミナ、鉄、シリカ、ジルコニア、炭化ケイ素、炭化ホウ素、ダイヤモンドの1種以上を用いた請求項2記載のペースト。
  4. 前記液体として低揮発性および/または難燃性の油を用いた請求項1〜のいずれかに記載のペースト。
  5. 前記粒子の粒径が100μm以下である請求項1〜のいずれかに記載のペースト。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載のペーストを塗布した金属材料。
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