以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。
なお、この実施の形態は、スーパーマーケットの会計場所(レジ)に設置される複数のPOS端末の操作者認証システムに本発明を適用した場合である。
図1は、本実施の形態のシステム構成を示す概略図である。一般に、スーパーマーケットの会計場所には、複数のチェックアウトカウンタ1A,1B,1C,1Dが並列に設置されており、各チェックアウトカウンタ1A〜1Dの一方の側をチェックアウトレーンと称して買物客が通るようになっている。また、各チェックアウトカウンタ1A〜1Dの他方の側には、会計業務を行う店員,いわゆるキャッシャ2A,2B,2C,2Dが居り、チェックアウトカウンタ1A〜1D毎に設けられたPOS端末3A,3B,3C,3Dを操作して、買物客が買上げる商品の販売データを処理することにより、買物客の会計を完結させるものとなっている。
各キャッシャ2A〜2Dは、それぞれ携帯用の無線デバイス4A,4B,4C,4Dを所持している。無線デバイス4A〜4Dは、例えば非接触ICカード(RFカード)が用いられており、身分証としての機能を果たすものとすると都合がよい。
各POS端末3A〜3Dは、商品販売データ処理装置として機能するもので、それぞれLAN(Local Area Network)5を介してストアサーバ6に接続されている。ストアサーバ6には、各POS端末3A〜3Dでの商品販売データ処理を一元化するために必要な商品データに関するデータベースのほか、操作者データベース7が設けられている。
操作者データベース7には、各POS端末3A〜3Dの操作が許容されたキャッシャ2A〜2Dや店舗責任者等の各操作者に関するデータが記憶されている。具体的には、図2に示すように、各操作者をそれぞれ識別するための操作者識別コードである操作者IDコードと関連付けて、その操作者の氏名や、ON/OFFフラグ、端末番号等のデータが記憶されている。
因みに、ON/OFFフラグは、対応する操作者IDコードによって特定される操作者が、いずれかのPOS端末3A〜3Dでサインオンしているか否かを識別する情報であって、サインオンしている場合にはONとなり、サインオンしていない場合にはOFFとなる。端末番号は、対応する操作者IDコードによって特定される操作者が、いずれかのPOS端末3A〜3Dでサインオンしていた場合に、その端末に対して予め設定されている端末固有の番号情報である。なお、サインオンしていない場合には、番号情報は「0000」となる。
図3は、各キャッシャ2A〜2Dがそれぞれ携帯している無線デバイス4(以下、無線デバイス4A〜4Dを総称する場合は、無線デバイス4と称する)の要部構成を示すブロック図である。無線デバイス4は、首から提げる等の方法で携帯が可能な例えばカード状のデバイス本体40に、アンテナ41と、ICチップ42と、バッテリ43を実装している。また、デバイス本体40の表面又は裏面には、操作子としての認証用ボタン44を設けている。
ICチップ42には、アンテナ41で受信した電波信号を復調する復調部421、送信データを変調してアンテナ41に送出する変調部422、アンテナ41から放射される電波の出力強度を設定する電波強度設定部423、この電波強度設定部423で設定される電波出力強度の強弱を切り換える切換部424、不揮発性のメモリ部425、復調部421で復調されたデータをメモリ部425に書き込んだり、送信データを変調部422に送出したりする制御部426等が設けられている。
かかる構成のICチップ42は、バッテリ43から供給される電源で動作する。すなわち無線デバイス4は、データを自ら送信する能動型の無線通信媒体である。また、認証用ボタン44が操作されたことによって生成された信号が制御部426に入力されるようになっている。
メモリ部425には、図4に示すように、データを書換え不能に記憶保持する設定エリア45と、任意のデータを書き込み可能なユーザエリア46とから構成されている。設定エリア45には、RFID(Radio Frequency Identification)等と称される無線IDコードが予め書き込まれている。RFIDは、各無線デバイス4を個々に識別するために予め設定された固有のコードである。ユーザエリア46には、当該無線デバイス4を携帯している操作者の操作者識別コードである操作者IDコードが少なくとも書き込まれている。
図5は、POS端末3(以下、POS端末3A〜3Dを総称する場合は、POS端末3と称する)の要部構成を示すブロック図である。POS端末3は、制御部本体としてCPU(Central Processing Unit)301を搭載している。またPOS端末3は、プログラム等の固定的データが予め格納されるROM(Read Only Memory)302、商品販売データの処理等に必要な各種メモリエリアが形成されるRAM(Random Access Memory)303、現在の日付及び時刻を計時する時計部304、前記LAN5を介して接続されたストアサーバ6等とのデータ通信を制御するLANコントローラ305、キーボード306のキー入力を制御するキーボードコントローラ307、オペレータ用ディスプレイ308に対する画面表示を制御する第1の表示コントローラ309、客用ディスプレイ310に対する画面表示を制御する第2の表示コントローラ311、プリンタ312によるレシート印字を制御するプリンタコントローラ313、ドロワ314に対して開放指令信号を出力するI/O(Input/Output)ポート315、及び通信インターフェイス316を備えている。
CPU301と、ROM302,RAM303,時計部304,LANコントローラ305,キーボードコントローラ307,第1の表示コントローラ309,第2の表示コントローラ311,プリンタコントローラ313,I/Oポート315及び通信インターフェイス316とは、アドレスバス,データバス等のバスライン317で接続されている。
通信インターフェイス316には、デバイス認識装置8が接続されている。デバイス認識装置8は、アンテナ9を接続しており、このアンテナ9の交信領域内に存在する無線デバイス4を認識する。アンテナ9は、POS端末3を操作するために本体正面に対峙した操作者の手が届く位置に設けられている。
図6は、前記デバイス認識装置8の要部構成を示すブロック図である。デバイス認識装置8は、対応するPOS端末3との通信インターフェイス部81、制御部82、送信データを変調する変調部83、変調された電波を増幅してアンテナ9から放射させる送信アンプ84、アンテナ9で受信した電波を増幅する受信アンプ85、増幅された電波を復調する復調部86、アンテナ9での受信感度を設定する受信感度設定部87及び受信感度の強弱を切り換える切換部88等で構成されている。
図7は、前記POS端末3のRAM303に形成される主要なメモリエリアを示す模式図である。図示するように、RAM303には、サインオンされた操作者の操作者IDコードを記憶するためのサインオンデータエリア、サインオンフラグF1を記憶するためのサインオンフラグエリア、サインオフフラグF2を記憶するためのサインオフフラグエリア、休止フラグF3を記憶するための休止フラグエリア、再試行数nを計数するための再試行カウンタエリア、第1のタイマT1を構成する第1のタイマカウンタエリア及び第2のタイマT2を構成する第2のタイマカウンタエリアが形成されている。
図8は、POS端末3のCPU301が実行する動作モード設定処理の要部処理手順を示す流れ図であり、図9〜図12は、上記動作モード設定処理のなかのサインオン判定処理,操作者監視処理,休止復帰判定処理及びサインオフ判定処理の内容を具体的に示す流れ図である。また図13は、無線デバイス4の制御部426が実行するメイン処理の要部処理手順を示す流れ図である。以下、これらの流れ図を参照しながら、POS端末3の操作者認証方式について説明する。
POS端末3では、主電源が投入されると、CPU301が図8の動作モード設定処理を開始する。先ず、CPU301は、初期化処理を実行する(ST1)。この処理により、RAM303のサインオンデータエリア、サインオンフラグエリア、サインオフフラグエリア、休止フラグエリア、再試行カウンタエリア、第1のタイマカウンタエリア及び第2のタイマカウンタエリアが全て“0”にクリアされる。すなわち初期化された状態では、サインオンフラグエリアのサインオンフラグF1が“0”にリセットされるので、当該POS端末3は、商品販売データ処理の操作を行えない停止モードとなる。
この停止モードにおいては、CPU301は、無線デバイス4からのサインオン要求信号を待機する(ST2:認証要求待機手段)。すなわちCPU301は、通信インターフェイス316を介して接続されたデバイス認識装置8に対して、無線デバイス4から発信される電波の受信待機を指令する。
これにより、デバイス認識装置8では、受信感度設定部87によって電波受信感度が高レベルに設定される。その結果、デバイス認識装置8は、アンテナ9から数メートル離れた場所に位置する無線デバイス4から発せられる電波も高い確率で受信できるようになる。
一方、各操作者2A〜2Dがそれぞれ携帯する無線デバイス4A〜4Dの制御部426は、図13に示すように、アンテナ41で信号電波を受信するか(ST71)、認証用ボタン44が入力操作されるのを待機している(ST72)。このとき、電波強度設定部423で設定されている送信電波の強度は強レベルに設定されている。強レベルは、送信電波の強度をアンテナ41から2〜3メートル離れた距離まで送信電波が到達する強度に設定する。
今、操作者2AがPOS端末3Aを操作するためにサインオンを宣言するものとする。この場合、操作者2Aは、サインオン対象のPOS端末3Aに対して2〜3メートル以内に近付いたならば、自身が携帯する無線デバイス4Aの認証用ボタン44を押す。
そうすると、当該無線デバイス4Aの制御部426は、認証用ボタン44が入力されたことを検知し(ST72のYES)、切換部424に対して送信電波の強度を弱レベルに切り換えるべく指令を送出する(ST73:送信出力切替手段)。これにより、切換部424が動作して、電波強度設定部423で設定される送信電波の強度が弱レベルに切り換わる。弱レベルは、送信電波の強度をアンテナ41から2〜3センチメートルだけ離れた距離までしか送信電波が到達しない強度に設定する。
次に、制御部426は、内蔵のタイマをスタートさせた後(ST74)、メモリ部425の設定エリア45からRFID(無線IDコード)を読み出し、このRFIDを含むサインオン要求データを変調部422に出力する(ST75:認証要求手段)。これにより、上記サインオン要求データが変調され、アンテナ41から電波として放射される。このときの電波到達距離は、前述したように電波強度設定部423が弱レベルに設定されているので、2〜3センチメートル程度である。
そこで操作者2Aは、自身が携帯する無線デバイス4AをPOS端末3Aの本体正面側に設けられているアンテナ9に対して2〜3センチメートル以内に近づける。この時点では、認証用ボタン44から指を離してしまってもよい。
無線デバイス4Aをアンテナ9から2〜3センチメートル以内の距離まで近づけると、この無線デバイス4Aのアンテナ41から放射されているサインオン要求データの電波がアンテナ9で受信される。そうすると、この無線デバイス4AのRFIDがデバイス認識装置8によって認識される。そして、デバイス認識装置8からPOS端末3Aにサインオン要求信号が送信される。
POS端末3AのCPU301は、サインオン要求信号を受信すると(ST2のYES)、デバイス認識装置8に対して受信感度低レベルへの切替を指令する(ST3:受信感度切替手段)。これにより、デバイス認識装置8では、受信感度設定部87によって電波受信感度が低レベルに設定される。その結果、デバイス認識装置8は、アンテナ9の近傍に位置する無線デバイスからしか電波を受信できなくなる。すなわち、この場合は、操作者2Aによってアンテナ9に近づけられた無線デバイス4Aから発信される電波のみを受信し、たとえ近くに別の操作者(仮に操作者2Bとする)が居たとしても、その操作者2Bが携帯する無線デバイス4Bから発信される電波を受信することはない。
受信感度を低レベルに切り換えたならば、POS端末3AのCPU301は、図9のサインオン判定処理を実行する(ST4)。先ず、デバイス認識装置8に対して操作者ID要求信号の出力を指令する(ST21:識別コード取得手段)。また、第1のタイマT1のカウント動作を開始させる(ST22)。そして、デバイス認識装置8で認識された無線デバイスから操作者IDコードを受信するか(ST23)、第1のタイマT1がタイムアウトするのを待機する(ST24)。なお、第1のタイマT1は、例えば5秒を計時するとタイムアウトするように設定されている。
これにより、デバイス認識装置8のアンテナ9からは、操作者ID要求信号の電波が放射される。このとき、操作者2Aによって無線デバイス4Aがアンテナ9に近づけられているので、操作者ID要求信号の電波は無線デバイス4Aによって受信される。
無線デバイス4Aの制御部426は、ST75にてサインオン要求信号を送信すると、その後、操作者ID要求信号を受信するか(ST76)、タイマがタイムアウトするのを待機する(ST77)。なお、タイマも、第1のタイマT1と同様に例えば5秒を計時するとタイムアウトするように設定されている。
ここで、タイマがタイムアウトする前に、アンテナ41を介して操作者ID要求信号の電波を受信した場合には(ST76のYES)、制御部426は、メモリ部425のユーザエリア46から操作者IDコードを読出し、変調部422に出力する(ST78)。これにより、上記操作者IDコードが変調され、アンテナ41から電波として放射される。このときの送信電波の到達距離は、前述したように電波強度設定部423が弱レベルに設定されているので、2〜3センチメートル程度である。しかし無線デバイス4Aは、POS端末3Aの本体正面側に設けられているアンテナ9に対して2〜3センチメートル以内に近づけられているので、上記操作者IDコードの電波は、POS端末3Aのデバイス認識装置8で受信される。かくして、デバイス認識装置8において、受信電波から操作者IDコードが復調され、POS端末3Aに送出される。
POS端末3AのCPU301は、第1のタイマT1がタイムアウトする前にデバイス認識装置8から操作者IDコードを受取ると(ST23のYES)、その操作者IDコードで特定される操作者のサインオン可否をストアサーバ6に問い合わせる(ST25:操作者認証手段)。
ストアサーバ6では、問合せのあった操作者IDコードで操作者データベース7が検索され、当該操作者IDコードに対応するON/OFFフラグがチェックされる。そして、ON/OFFフラグがOFF状態であった場合は、サインオン可能なので、サインオン許可を示す応答信号が問合せ元のPOS端末3Aに返信される。また、操作者データベース7の当該操作者IDコードに対応するON/OFFフラグがON状態に更新されるとともに、端末番号エリアに該当するPOS端末3Aの端末番号がセットされる。これに対し、ON/OFFフラグがON状態であった場合は、サインオン不可能なので、サインオン不許可を示す応答信号が問合せ元のPOS端末3Aに返信される。このとき、操作者データベース7の当該操作者IDコードに対応するON/OFFフラグは、ON状態のままである。
POS端末3AのCPU301は、サインオン可否の問合せを行った後、ストアサーバ6からの応答を待つ(ST26)。そして、サインオン許可応答を受信した場合には(ST26のYES)、CPU301は、直前にデバイス認識装置8から取り込んだ操作者IDコードをサインオンデータエリアに格納するとともに(ST27)、サインオンフラグF1を“1”にセットする(ST28:稼動移行手段)。また、サインオフフラグF2を“0”にリセットする(ST29)。かくして、当該POS端末3Aでは、サインオンデータエリアに格納された操作者IDコードで識別される操作者2Aのサインオンが有効となり、商品販売データ処理の操作が可能な稼動モードとなる。
なお、サインオン可否の問合せに対して、ストアサーバ6からサインオン不許可応答を受信した場合には(ST26のNO)、CPU301は、例えばオペレータ用ディスプレイ308にエラーメッセージを表示させて、サインオンエラーの報知を行う(ST30)。このとき、サインオンフラグF1は“1”にセットされない。同様に、操作者IDコードを受信することなく第1のタイマT1がタイムアウトした場合も(ST24のYES)、サインオンフラグF1を“0”にリセットしたまま、サインオン判定処理を終了する。したがって、この場合は、当該POS端末3は、商品販売データ処理の操作を行えない停止モードが維持される。
前記サインオン判定処理を終了すると、CPU301は、デバイス認識装置8に対して受信感度高レベルへの切替を指令する(ST5)。これにより、デバイス認識装置8では、受信感度設定部87によって電波受信感度が、アンテナ9から数メートル離れた場所に位置する無線デバイス4から発せられる電波も高い確率で受信できる高レベルに設定される。
その後、CPU301は、サインオンフラグF1をチェックする(ST6)。ここで、サインオンフラグF1が“0”にリセットされていた場合には(ST6のNO)、当該POS端末3Aは停止モードなので、CPU301は、ST2の処理に戻る。すなわち、次のサインオン要求信号を待機する。
これに対し、サインオンフラグF1が“1”にセットされていた場合には(ST6のYES)、当該POS端末3Aは稼動モードに移行したので、CPU301は、図10の操作者監視処理を実行する。すなわちCPU301は、先ず、第2のタイマT2のカウント動作を開始させる(ST31)。次に、キーボード306に設けられたサインオフ宣言キーが操作入力されているか否かを判断する(ST32)。ここで、サインオフ宣言キーが操作入力されていた場合には(ST32のYES)、サインオフフラグF2を“1”にセットして(ST33)、この操作者監視処理を終了する。
これに対し、サインオフ宣言キーが操作入力されていない場合には(ST32のNO)、CPU301は、第2のタイマT2がタイムアウトするのを待機する(ST34)。上記第2のタイマT2は、予め決められた操作者監視周期(例えば2秒)を計時するとタイムアウトするように設定されている。第2のタイマT2がタイムアウトしたならば(ST34のYES)、CPU301は、デバイス認識装置8に対して操作者ID要求信号の出力を指令する(ST35)。
一方、サインオン要求信号を送信した無線デバイス4Aの制御部26は、その後、操作者ID要求信号に応答して操作者IDコードを送信するか(ST78)、タイマがタイムアウトしたならば(ST77のYES)、切換部424に対して送信電波の強度を強レベルに戻すべく指令を送出する(ST79)。これにより、切換部424が動作して、電波強度設定部423で設定される送信電波の強度が強レベルに切り換わる。その結果、電波はアンテナ41から2〜3メートル程度離れた距離まで到達するようになる。そこで操作者2Aは、無線デバイス4Aをアンテナ9から離して身に付ける。
その後、無線デバイス4Aの制御部26は、アンテナ41で信号電波を受信するのを待機する(ST71)。そして、POS端末3Aに接続されたデバイス認識装置8のアンテナ9から操作者ID要求信号の電波を受信すると(ST80のYES)、制御部426は、メモリ部425のユーザエリア46に記憶されている操作者IDコードを読出し、送信信号に変換して、変調部422に出力する(ST81)。これにより、上記操作者IDコードの信号が変調され、アンテナ41から電波として放射される。このときの送信電波の到達距離は、前述したように電波強度設定部423が強レベルに設定されているので、2〜3メートル程度である。以後、制御部426は、操作者ID要求信号の電波を受信する毎に、ST81の処理を繰返し実行する。
ST35にてデバイス認識装置8に対して操作者ID要求信号の出力が指令されると、デバイス認識装置8のアンテナ9からは、操作者ID要求信号の電波が放射される。この電波は、アンテナ9の周囲2〜3メートル程度の広範囲に届く。このため、サインオンした操作者2Aがその範囲内にいる場合には、身に付けている無線デバイス4Aにも到達する。かくして、無線デバイス4Aからは、操作者IDコードの電波が発信される。この電波も、前述したように電波強度設定部423が強レベルに設定されているので、デバイス認識装置8のアンテナ9で受信される。因みに、別の操作者2Bもその範囲内にする場合には、この操作者2Bが身に付けている無線デバイス4Bにも操作者ID要求信号の電波が到達し、無線デバイス4Bから操作者IDコードの電波が発信される。この電波も、デバイス認識装置8のアンテナ9で受信される。
そこで、POS端末3AのCPU301は、操作者ID要求信号の出力を指令する毎に、無線デバイスから操作者IDコードを受信したか否かを判断する(ST36)。そして受信した場合には(ST36のYES)、その操作者IDコードがサインオンデータエリアに記憶されている操作者IDコードと一致するか否かを判断する(ST37)。ここで、両操作者IDコードが一致する場合には(ST37のYES)、サインオンした操作者がPOS端末3Aの傍に居るものとみなす。この場合、CPU301は、再試行カウンタエリアのカウント値nを“0”にリセットして(ST38)、今回の操作者監視処理を終了する。
これに対し、操作者IDコードを受信できないか(ST36のNO)、受信した操作者IDコードがサインオンデータエリアに記憶されている操作者IDコードと一致しない場合には(ST37のNO)、CPU301は、再試行カウンタエリアのカウント値nを“1”だけカウントアップする(ST39)。そして、カウント値nが予め設定された上限回数(例えば3回)を経過したか否かを判断する(ST40)。カウント値nが上限回数を超えていない場合には、休止フラグF3を“1”にセットすることなく今回の操作者監視処理を終了する。
これに対し、カウント値nが上限回数を超えた場合には、休止フラグF3を“1”にセットする(ST41)。休止フラグF3がセットされると、当該POS端末3Aは、商品販売データ処理の操作を行えない停止モードとなる。
操作者監視処理を終了すると、POS端末3AのCPU301は、休止フラグF3をチェックする(ST8)。ここで、休止フラグF3が“0”にリセットされていた場合には(ST8のNO)、次に、サインオフフラグF2をチェックする(ST9)。サインオフフラグF2も“0”にセットされていた場合には(ST9のNO)、再度、操作者監視処理を実行する。
したがって、サインオンした操作者2AがPOS端末3Aの近く、すなわち自身が携帯する無線デバイス4Aから発信される操作者IDコードの電波が当該POS端末3Aに設けられたデバイス認識装置8のアンテナ9に到達する範囲内に居る間は、再試行カウンタnが上限回数に達しないので、休止フラグF3がセットされていることはない。これに対し、操作者2AがPOS端末3Aから離れると、再試行カウンタnが上限回数に達する。その結果、休止フラグF3がセットされる。かくして、当該POS端末3は、商品販売データ処理の操作を行えない停止モードが設定される。
休止フラグF3がセットされると(ST8のYES)、CPU301は、再度、デバイス認識装置8に対して受信感度低レベルへの切替を指令する(ST10)。しかる後、図11の休止復帰判定処理を実行する。先ず、CPU301は、前記第2のタイマT2のカウント動作を開始させる(ST51)。そして、この第2のタイマT2がタイムアウトするのを待機する(ST52)。
第2のタイマT2がタイムアウトしたならば(ST52のYES)、CPU301は、デバイス認識装置8に対して操作者ID要求信号の出力を指令する(ST53)。次いで、無線デバイスから操作者IDコードを受信したか否かを判断する(ST54)。そして受信した場合には(ST54のYES)、CPU301は、その操作者IDコードがサインオンデータエリアに記憶されている操作者IDコードと一致するか否かを判断する(ST55)。ここで、両操作者IDコードが一致する場合には(ST55のYES)、CPU301は、休止フラグF3を “0”にリセットして(ST56)、今回の休止復帰判定処理を終了する。
これに対し、操作者IDコードを受信できないか(ST54のNO)、受信した操作者IDコードがサインオンデータエリアに記憶されている操作者IDコードと一致しない場合には(ST55のNO)、CPU301は、休止フラグF3を“0”にリセットすることなく、今回の休止復帰判定処理を終了する。
休止復帰判定処理を終了すると、CPU301は、休止フラグF3をチェックする(ST11)。そして、休止フラグF3が“0”にリセットされていない場合には(ST12のNO)、再度、休止復帰判定処理を実行する(ST11)。
こうして、CPU301は、休止フラグF3が“0”にリセットされるまで、休止復帰判定処理を繰返し実行する。そして、休止フラグF3が“0”にリセットされたならば、CPU301は、ST13としてデバイス認識装置8に対して受信感度高レベルへの切替を指令する(ST13)。しかる後、操作者監視処理を再び実行する(ST7)。
したがって、サインオンした操作者2AがPOS端末3Aから一時的に離れて停止モードが設定された後、POS端末3Aの近くに戻ると、自動的に停止モードから稼動モードに復帰する。
一方、操作者監視処理の実行によりサインオフフラグF2が“1”にセットされた場合には(ST9のYES)、CPU301は、図12のサインオフ判定処理を実行する。先ず、デバイス認識装置8に対して操作者ID要求信号の出力を指令する(ST61)。また、前記第1のタイマT1のカウント動作を開始させる(ST62)。そして、無線デバイス4Aから操作者IDコードを受信するか(ST63)、第1のタイマT1がタイムアウトするのを待機する(ST64)。
ここで、第1のタイマT1がタイムアウトする前に操作者IDコードを受信した場合には(ST63のYES)、CPU301は、その操作者IDコードがサインオンデータエリアに記憶されている操作者IDコードと一致するか否かを判断する(ST65)。そして一致する場合には(ST65のYES)、サインオンデータエリアから操作者IDコードをクリアする(ST66)。しかる後、サインオンフラグF1を“0”にリセットして(ST67)、今回のサインオフ判定処理を終了する。
これに対し、第1のタイマT1がタイムアウトするか(ST64のYES)、受信した操作者IDコードがサインオンデータエリアに記憶されている操作者IDコードと一致しない場合には(ST65のNO)、CPU301は、例えばオペレータ用ディスプレイ308にエラーメッセージを表示させて、サインオフエラーの報知を行う(ST68)。このとき、サインオンフラグF1は“0”にリセットされない。
サインオフ判定処理が終了すると、CPU301は、サインオンフラグF1をチェックする(ST15)。ここで、サインオンフラグF1が“1”にセットされていた場合には、CPU301は、再び、操作者監視処理を実行する(ST7)。これに対し、サインオンフラグF1が“0”にリセットされていた場合には、CPU301は、ST2に戻る。すなわち、新たなサインオン要求信号を待機する。
操作者2AがPOS端末3Aのキーボード306に設けられているサインオフ宣言キーを操作入力した際、当該操作者2Aが身に付けている無線デバイス4Aは、その無線デバイス4Aから発信される操作者IDコードの電波が当該POS端末3Aに設けられたデバイス認識装置8のアンテナ9に到達する領域の中に確実に存在している。したがって、POS端末3Aに対してサインオンを行った操作者2Aがサインオフ宣言キーを操作入力しさえすれば、POS端末3Aのサインオン状態が解除されて停止モードが設定される。
因みに、別の操作者2BがPOS端末3Aのサインオフ宣言キーを操作入力しても、この操作者2Bが携帯している無線デバイス4Bから発信される操作者IDコードと、当該POS端末3Aのサインオンデータエリアに記憶されている操作者IDコードとは一致しないので、サインオン状態が解除されることはない。
このように本実施の形態によれば、キャッシャ等の操作者がPOS端末3に対してサインオンを行う際には、自身の無線デバイス4に設けられた認証用ボタン44を押すとともにこの無線デバイス4をPOS端末3に設けられたデバイス認識装置8のアンテナ9に近づけるという簡単な操作を行うだけでよく、自身のユーザIDとパスワードを入力する必要がなくなる。また、サインオフを行う際も、サインオフ宣言キーを押下するという簡単な操作を行うだけでよい。したがって、サインオン及びサインオフに要する操作性と利便性を大幅に向上させることができる。
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
例えば前記実施の形態では、デバイス認識装置8に受信感度設定部87と切換部88を設けて、サインオン要求信号の受信時からサインオン判定処理終了時までの間、アンテナ9の受信感度を低レベルに低下させたが、アンテナ9の受信感度を低下させなくても、無線デバイス4から発信される操作者IDコードの電波強度が弱められているので、無線デバイス4をアンテナ9に近接させなければならない点に変わりはない。したがって、前記実施の形態と同様な効果を奏することができる。
また、逆に、無線デバイス4から発信される操作者IDコードの電波強度を弱めなくても、アンテナ9の受信感度を低下させることによって、無線デバイス4をアンテナ9に近づけなければならない点に変わりはなく、前記実施の形態と同様な効果を奏するものである。またこの場合は、無線デバイス4をアンテナ9に近づける前にPOS端末3がサインオン要求信号に応じてサインオン判定処理が開始されるので、操作者にとって良好なレスポンスが得られるメリットもある。
また、前記実施の形態では、バッテリ43を内蔵した能動型の無線デバイス4を用いたが、バッテリを内蔵せず、デバイス認識装置8から発せられる電波の受信により励起される受動型の無線デバイスを用いた操作者認証システムにも本発明を同様に適用できるものである。
この他、操作者認証の手順など、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施が可能であるのは勿論である。
2(2A〜2D)…操作者、3(3A〜3D)…POS端末、4(4A〜4D)…無線デバイス、6…ストアサーバ、7…操作者データベース、8…デバイス認証装置、9…アンテナ、44…認証用ボタン、82…制御部、87…受信感度設定部、88…切換部、301…CPU、423…電波強度設定部、424…切換部、426…制御部。