JP4841623B2 - 特に薬理学的画像における一連の三次元画像の区分方法 - Google Patents

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Description

本発明は画像あるいは一連の三次元画像を、関心領域である複数の領域に区分けされてなる三次元画像にする方法に関する。本発明は広くは如何なる種類の画像にも適用可能であるが、特に、薬理学的画像及び衛星画像の分野に適用することができる。本発明は、三次元の1つの画像値が単一値に等しいという3次元画像の特別な場合に該当する二次元の画像にも適用可能である。
医薬品の開発における最近の注目すべき進歩として、薬物動態パラメータを測定するための薬理学的画像法の使用を挙げることができる。既知の意味では、薬物動態学は薬理学の一分野であり、生命体中の医薬品の体内動態を記述するものであり、また、活性成分の吸収、分布、代謝、排泄の過程を定性的ならびに定量的に特定するものである。
生物学的試料を反復的に抽出することを要する従来技術に比べた薬理学的画像法の大きな利点は、人間の患者や生体動物の各器官中の活性成分の濃度を測定できる点にある。それにより、一群の試験動物を犠牲にせずに済み、また同一の試験動物についてなされる薬物動態の全ての測定の測定値のばらつきが相当に縮小される。更にはヒトの身体の内奥部に位置する器官内について、薬物動態を分析することが可能となる。
一方、薬理学的画像法は、技術的に難しい課題を達成することが必要である。第1に、追跡すべき活性成分を放射性等にすること、第2に、画像法により検出することによって、当該活性成分の濃度の定量的な測定値が本当に得られることをを証明すること、最後に、標識された活性成分に関係した信号の解剖学的な位置を捕捉することである。
限定的な意味ではなく一般的には、薬理学的画像法の好ましい技術は、ポジトロン放出断層撮影法(PET)である。これは、基礎とする測定原理の故に、画像技術の中で、ヒトや動物の器官中の分子の濃度を定量的に測定するのに、最も適している。
何れにしても、標識された活性成分(以下トレーサと称す)の被検生命体のある位置での濃度の測定値は、その位置が心臓、肝臓、腎臓、腫瘍部、脳の領域などのような明確化された器官に、解剖学的見地からあるいは生理学的見地から割り当てることができて初めて、薬物動態の見地から解釈することができる。しかし、その画像は、単に観察対象の活性成分に関係した標識(PETの場合においては放射性のポジトロン放射核)の位置を示すに留まり、薬物動態に係わる情報を提供するのみであって、そのままでは解剖学的あるいは生理学的な情報を提供するものではない。それゆえ、解剖学的かつ/又は生理学的な糸口を提供する1枚以上の画像上に、トレーサの位置を示す一連の画像を重ね合わせることが必要となる。このような画像を重ね合わせあるいは位置合わせする方法は数種類あり、下記のごとくである。
● 最も好都合なのはトレーサの分布が、判別可能な解剖学的な生体構造を示しているケースであるが、このようなケースはごく稀にしか存在しない。これには顕著な解剖学的システムの全体、例えば全身の骨のみにトレーサが集積する場合が相当し、このような場合には解剖学的情報がその画像それ自身に含まれ、従ってこの場合には複数枚の画像を重層して表示する必要性はなくなる。これとは反対に、(例えばフロロデオキシグルコースのような)ある種のトレーサにおいては、すべての器官にトレーサが拡散することがある。後者の場合においては、トレーサが保持されるレベルを反映する画像の濃淡コントラストが同画像上で器官を区分するのであるが、例えば互いに隣接する2つの器官がトレーサに対して同一の保持レベルを有する場合など、それらを特定するのに必ずしも十分とは言えない。一般的に言えば、画像の重ね合わせが無用であるか殆ど無用である場合は、「一般型」トレーサ(イオンや代謝前駆体など)に関連する場合であって、活性種の画像形成に関連する場合ではない。
● 他の多くの場合では、診断者が有する薬理学的画像に係わる知識に基づく剖学的画像を上に被せることにより、器官が捕捉される。生物学者は多くの場合、トレーサの濃度の変化動向を画像濃度として反映する画像上で、解剖学的な器官、例えば肝臓や心臓の位置を推定する。得られる位置の精度は、器官を特定する能力に依存しており、その結果、器官の輪郭を区切るトレーサの分布に多かれ少なかれ依存し、かつ、診断者のスキルと経験に依存する。解剖学的画像を用いないこの方法が、トレーサが一点にしか存在しない場合には適用できない、ということは自明である。
● 診断者は、第2のモードによる画像形成を通じて、前記薬理学的画像の上に重ね合わせる第2の画像を所望することがますます多くなっている。第2のモードによる画像においては、その濃淡画像は、トレーサの位置ではなく、同一個体に対して好ましくは同一の画像形成期間内に適用される解剖学的手法(例えば、断層画像密度測定法、又は磁気共鳴画像法すなわちMRI)に基づいている。これら二種類の画像を重ね合わせることによって、薬理学的画像が、器官を特定する解剖学的画像の上に位置合わせされる。PET撮像器とX線断層画像密度測定撮像器とを組み合わせた「PET−CT」システムの近年の出現に伴い、この二種併用型の撮像手法が、診断用画像法として益々広く使用されるようになっている。しかしながら二種併用型の撮像手法が、次に述べる通り原理的にも実用性の面からも、薬理学的画像法として完全に満足できるというものではない。
● 原理的な観点からいうならば、解剖学的画像は、薬理学的画像が与える薬物動態に関する情報の上に静的な情報を上乗せするに留まる。解剖学的画像と薬理学的画像との繋がりは、トレーサの薬物動態的な位置と解剖学的画像が示す器官の輪郭とが正確に一致して初めて確立される。従って解剖学的画像から得られる追加的情報は、使用される解剖学的画像法の解像度に制約される。この解像度は、全ての薬理学的な器官の性質を特定するのに、常に十分なものとはとてもいえない。例えば、断層画像密度測定法は柔らかい組織や脳についてほとんどコントラストを形成できず、MRIは肺部分を良好には判別できない。
● 実用的な観点からは以下の通りである。
−「PET−CT」タイプの結合されるカメラに関してはこれまでのところヒトを観察対象とするものしか製造されていない。それゆえ、小動物観察用のPETカメラよりも開口径が大きく、解像度が低くなっている。またこれらのカメラは、PET用カメラ単独に比べて必ず高価となる。
−断層画像密度測定法により解剖学的な画像を形成する場合には、小型の齧歯動物の画像を得るのに要する照射線量は、無視できる量を遥かに超える。この結果、腫瘍の画像を形成する場合に、毒性の問題及び/または結果の解釈の問題が生じる。
−得られる重ね合わせの品質は、薬物動態の全調査期間を通じて、観察対象が全体として静止していることを条件とする。この条件には、動物が一つのカメラから次のカメラまで移動させられる場合は該当しない。
さらに、PET画像を薬物動態的に解釈するためには、器官を表す関心領域「ROI」の境界を定めることが一般に求められる。Kimuraら[Kimura, 2002]
およびZhou[Zhou, 2000]は、体積要素(ボクセル)を適切にグループ化することで薬物動態的な定量化の質が向上することを示している。特に、関心領域のトレースは、各器官又は器官の各部が所与のトレーサに関して、生理的動態によって特徴付けられる均等な挙動を示すものと仮定している。従って、区分方法が何であろうと、関心領域が2つの器官に及んだり、器官の異なる機能を有する部分(以下、薬理学的器官と称する)に及んだりすることを回避するために、トレースされた器官の輪郭は見えることが必要である。それゆえ、薬理動態的な観点から一致する関心領域への区分の質は、重要な意味をもつ。一方、これら関心領域は、手作業によりトレースするのが一般的であり、その作業は、作業者に依存するとともに相当程度の専門知識を要する長ったらしく退屈なものである。
画像の薬物動態の分析を必ずしも目的としない相当数の研究により、人手によらずに関心領域の区分を可能にする自動区分方法が提案されている。PET画像にはそのSN比が低いという欠点がある。また、同画像はその空間解像度が低いため、画像の任意の体積要素において測定される放射能は、その近傍の体積要素に含まれる放射能によって汚される。特に、小寸法の器官におけるトレーサの濃度測定値は、その周囲の構造体における放射能濃度が高いか低いかによって、過大評価又は過小評価され得る。これは「部分体積」効果と呼ばれるもので、実際に画像のスムージング効果としてモデル化されている[Frouin, 2002]。それゆえ、この効果は本来的に器官の輪郭を曖昧なものにしてしまう。その結果、器官の境界付近に位置する当該器官の部分は、単一の薬理学的器官の動態を含むのではなく、付近の全ての薬理学的器官の動態の線形結合を含むものとなっている。このように、一つの体積要素内で最も表された薬理学的器官の動態は、必ずしもこの体積要素に実際に含まれる薬理学的器官の動態ではない。
更に、動的PET画像は、既知の意味で、大量のデータ(50万の数倍の動態)に対応する。その処理は、必要な計算時間及びコンピュータメモリの観点から実用的ではない[Guo, 2003]。この種の画像においては観察対象の生体は、データ全量の20ないし40%に対応する。残りは同生体の外側域に係わるものでそのほとんどがノイズである。
観察対象の薬理学的器官が一連画像の取得時間中に全く動かない場合に限り、体積要素(この用語は画像の基本となる体積単位を指す)内の薬物動態が意味を持つということも、さらに知られるところである。撮像される薬理学的器官のいかなる動きによっても体積要素の動態とこの薬理学的器官の動態との関連性が破壊される。生理学的な動きには二種類のものがあり、その補正は非常に困難である。
ある動きは周期的であり、その周期は一連の画像の獲得に要する時間よりは短いのが普通である。心臓の鼓動や呼吸動作は、隣接する器官の変位を引き起こし、無視できないぼやけ効果をもたらすが、ある獲得から次の獲得までの間では概ね一定のものとなる。
これとは異なり、非周期的に発生する動きは予測できない。このような動きには、消化の期間や呼吸の影響による内臓の動き、あるいは観察中の膀胱の充満などがあげられる。膀胱においてはその見かけ体積は一度の観察の開始から終了までの間に10倍にも増加することがありえる。尿中に排泄されるトレーサに関しては、尿中のトレーサと代謝物の濃度は非常に高くなる。それゆえ、観察の開始時点の内蔵または筋肉領域に属するボクセルが観察の終了時点には膀胱の薬物動態特性を含むということが起こり得る。添付の図2に示すように、膀胱の充満によって、獲得早期の膀胱付近の薬理学的器官の動態と、獲得後期の膀胱の動態とからなる一群の動態が得られることとなる。それゆえ、ノイズと部分体積効果の範囲内までは、PET画像には一定数の動態が含まれるという前提は、非周期的な生理学的な動きに影響を受ける画像化された生体においては、当てはまらない。
最後に、画像を再構成する方法によってPET画像のノイズが異なることは、理解されていることである。
フィルタリングを併用する逆射影の技法を用いて分析的に再構成した画像においては、ノイズは加法性定常ガウスノイズであって、信号との相関はないものと想定するのが一般的である。一方、一連画像中の画像に含まれるノイズは、当該画像の獲得に要する時間的長さに依存する。またこの依存性は、画像の獲得に要した時間の逆数との間に比例関係である、と考えることができる[Guo, 2003]。
「OSEM」(Ordered Subset Expectation Maximizationの略で、様々な入射角に対応する射影の期待値が最大になるように画像を再構成する方法)や「AWOSEM」(Attenuation Weighted Ordered Subset Expectation Maximizationの略で、生体により光子が減衰する現象をも考慮する以外は前記の「OSEM」と同様の方法)をその例とする反復統計的方法により形成される画像においては、空間に存在する定常なノイズを仮定することはもはやできない。ノイズは画像の再構成、すなわち定常現象のための反復演算の実行回数に依存するほか、信号そのものにも依存する。σをノイズのある時点における局所的な分散とし、αを採用した撮像の方法ならびにそれに伴う反復演算の実行回数により定められ、位置と時間には依存しない定数とし、Sを考察される点での信号とすると、σ2=α2×Sなる関係が成立する。またこの特定のケースでは、信号対ノイズ比はS/σ=α×S1/2となる。画像内の任意の一点におけるノイズと信号を分離するとαを算出できることから、画像内のノイズの特性も詳細に分析できる。分析的手法による画像を再構成するケースにおけると同様に、一連の各画像の獲得に要した時間がデータに及ぼす影響を補償する必要がある。
上述した問題点を克服するために、解剖学的知識を予め持たなくとも、同じ薬物動態を有するゾーン同士をグループ化した集合体にPET画像を区分する幾つかの方法が、最近提案されている。
Ashburner [Ashburner, 1996]はPET画像が既知数の動態−集合体毎に1動態−を有するものと仮定しており、それゆえ、画像のボクセルの任意の動態を、集合体の動態にある比例係数を乗じたものとして記述しており、その動態には、各集合体に対して同等の多変量正規ガウシアンノイズ−獲得された各画像に対して通常の規則に従って−が加算されるものとしている。
Wong他[Wong, 2002]は同じ一つの集合体内では薬物動態が均一であり、互いに異なる集合体間では異なるものと仮定している。彼らはk−平均法を用いて集合体を順次定義していく処方を提案している。これは、互いに異なるクラスの間の動態の分散を最大化すると共に同一のクラス内の動態の分散は最小化するものである。それにより、集合体の動態は、集合体を構成する個々の動態の平均値として評価される。
Frouin F.他[Frouin, 2001]は、潅流画像上の心臓の分割をするのに、k−平均法を用いている。しかし動態それ自身については集合体を形成することはなく、より信頼性ある分割を保証するように、因子分析による動態から抽出した因子についての集合体が形成される。しかし因子が4ないし5を超えると、因子分析の解釈が困難となるため、この方法を身体全体にそのまま適用することは考えられていない。Fro
uin F.他によって報告された方法は、生体を薬理学的期間に分割するのではなく、薬理学的器官を動脈、静脈及び組織の動態などの因子の優位性に基く領域に分割する、ということが理解されるであろう。
Acton[Acton, 1999]は、ファジーc‐平均法用いている。これはk‐平均法と良く似てはいるが、単純な光子による断層撮像法により獲得したデータの本質的に曖昧な性質を、適切に考慮することを可能にすると共に、より高い信頼性を保証するものである。
Kimura他[Kimura, 2002]は、生体の動態の全ての組について算出した固有値中の最も大きい2個の固有値に対応する固有ベクトルへの動態の射影を集め、それによって区分化モデルのパラメータを抽出する方法を開示している。
Brankov他[Brankov, 2003]は、ユークリッド・ノルムや全分散のノルムに換えて、動態空間内に表された二つのベクトルが作る角度のコサインで定義した類似度を使用することを提案している。この類似度は信号対ノイズ比が低い領域中のノイズに対して強い感度を示す。Brankov他は期待値を最大化するタイプ「EM」のアルゴリズムを二種類提示している。その一つはファジーでありもう一つはバイナリーであるが、何れにおいても個々‐すなわち動態‐が強い類似度を示す集合体を定めるものである。この「EM」法は、反復演算により隠された変数の推定を可能にし、これら変数が与える画像は選ばれたモデルに従う特定のタイプのものである。反復演算の各々は、第1の期待段階と第2の最大化段階で構成され、第1期待段階においては観察・獲得されたデータと隠されたデータの同時分布に基き、完全なデータの記載される尤度が計算され、第2最大化段階では、モデルの記載される前記尤度を最大化するモデルのパラメータが計算される。この演算プロセスは当該アルゴリズムが収束するまで反復して実行される。
Brankovは、自身の方法を、特に確率的主成分分析器の組み合わせを適用することと比較している。この方法はTippingとBishop[Tipping, 1999]が最初に紹介しているが、動態空間の部分空間への射影の組み合わせによって分割される領域内の信号をモデル化するものである。
以上記載した方法のすべてに共通する主要な欠点は、初期化がランダムに行われることである。演算の実行ごとにアルゴリズムは、局所的最小値の1つに収束する。しかし、求めるべき解は、このエネルギーの全体域における最小値に演繹上、対応する。それゆえ、最良の解を見出すためには、初期化の条件を毎回変更して当該演算プログラムを何度も実行することを要する。
Guo[Guo, 2003]は、帰納的に定義された多数の集合体を得ると同時に、小寸法の集合体を得ることをも可能にする階級遡及型の分類による集計を提案している。動態間の距離の算出のために、検討される体積要素における値は、対応する画像について予想される信号対ノイズ比によって、動態の各瞬間において重み付けがなされる。この比は、一連画像のうちの所与の画像に対して、当該画像の獲得にに要した時間長に実質的に依存するものと仮定されている。階層的アプローチは、最適な最小値へのアルゴリズムの収束を保証するが、演算に要する時間をかけたとしても全てのデータ量を演算に供することができない。その上、このアルゴリズムによって得られたボクセルの合体はいずれも最終的なものとなってしまう。従って最初の数回の繰り返し演算で、例えばノイズのために、ボクセルが誤って割り当てられると、後続する反復演算の間に修正することができない。
Guo他[Guo, 2003]は、階層朔及型の分類の速度を高める第1のグループ
化を得るために、ヒストグラムに基づく仮分割を提案している。これは、選ばれた基準に基づく最適順序で地点の合体が継続することによって動作する。選択された距離に関して最も近接している二つの地点−代表的には画像のボクセル−は集計され、それにより形成された集合体、すなわち互いに最短距離にある地点は、終了基準が満たされるまで、またはすべての地点がグループ化された唯一の集合体が存在するようになるまで、何度にも渡って、集計される。Guo他により採用されたヒストグラムは所与の濃度値を有するボクセルの数を濃度値ごとに列記する。このヒストグラムに基づく分類では、トレーサの投与後に獲得された一連の画像の中で、一時的な意味で最後に獲得された画像の値が採用される。始めの2〜3回の合体は最終的な集合体にはほとんど影響せず、一連画像の中で最後の画像のヒストグラムの同一の間隔内にあるボクセル同士がグループ化される。空間分布の分散は、考慮される時間間隔内に含まれる全ての画像中の最後の画像に対して最小となり、トレーサは、器官との親和性に従って器官内に分散するのに最長の時間を要するものと仮定されている。しかしPET技術において使用される放射能寿命が短いタイプの同位体の場合には、その放射能が時間の指数関数で減衰することから、最後に形成した画像においてはそれ以前に形成した何れの画像のものよりも信号対ノイズ比が小さく、従ってノイズが高くなるという欠点がある。
以上に記載した方法の内、F. Frouinの方法のみが短い周期の周期的動きをもって臓器が動くという状況下でも有効であることが確認されている。しかしながら、その原理から、この方法は薬理学的器官をごく少数しか含まないような生物体の領域にしか適用できない。以上に記載した方法の内、上記方法以外のものは何れも、全身の問題領域での有用性の確認はなされておらず、これらの何れの方法もこの問題領域に特有の生理学的な動きに対して適してはいない。
特許文献EP−A−1,365,356には、PETによって獲得した画像の半自動的な分割方法が開示されている。この方法においては事前に関心領域と、画像から抽出されるモデル・ボクセルとの双方の輪郭を線で囲むことが要求される。この特許文献に開示された方法は、腫瘍学の分野に限り適用されるもので、画像を二つの領域、すなわち腫瘍部分とそうでない部分とに分割するのみで、薬理学的器官として多数の関心領域に分割することはできないことが分かるであろう。
本発明の目的は、関心領域へ区画された三次元区分画像を獲得するために、開始画像または一連の三次元画像をボクセルに基いて区分する方法を提供することにある。前記画像または一連の画像は、各ボクセルについてn個の時間間隔(n≧1)の間に、前記画像または一連の画像の物理的、化学的、または生物学的な種類の少なくとも一つの変量を現す信号の実際の発現の測定値を含み、上記の欠点を克服可能とするものである。
本発明においてその区分方法はこの目的を達成するために実質的には次のステップを含んで構成される。
a)信号の時空間的発現のパラメトリックモデルの定義を有する信号を設定するモデル設定ステップであって、前記モデルが均一なパラメータセットを含み、前記セットはそれぞれ前記関心領域に対応する構造に特有であって、各パラメータセットは対応する構造内の空間座標に依存しないステップ:(以下においては、これらパラメータを「均一な」パラメータと表現する):
b)ボクセルのサンプルがそれぞれ前記構造に含まれるようにボクセルのサンプルを選定(抽出)するステップであって、
(i)前記開始画像または一連の画像、あるいはこれらの関心領域のボクセルの各々について、このボクセルの近隣領域内における前記変量の発現の前記モデルが前記構造の中の一つのみに特有であるという仮説の正当性の基準を算出すること、
(ii)前記基準の局所的最大値を実現するとされるモデルボクセルを選定すること、
(iii)モデルボクセルの各々について、前記対応する構造に含まれるボクセルの前記サンプルの一つを、前記モデルボクセルが属する構造のモデルの発現に適合する前記変量の発現を示すように定義すること、および
(iv)このように定義された各々のサンプルについて前記サンプルが含まれる構造の発現の前記モデルのパラメータを推定すること、
を含むサンプル抽出ステップ、その後
c)発現モデルが同一の構造に特有の前記サンプルをグループ化して当該サンプルを併合(合体)するステップであって、1つのグループのサンプルを寄せ集めることによって、前記合体が、前記画像もしくは一連の画像、またはこれらの関心領域の全ボクセルの分類に続いてまたは先行してあるいは当該分類を含むことにより、これらボクセルの前記変量の発現と前記グループのサンプルを特徴づける前記モデルの発現との間の類似度が最大となるようにするステップ、
を含む。
本発明は、三次元の1つが単一値に等しいという特別な場合の3次元画像に該当する二次元の画像にも等しく適用可能である。上記したように、本願文書においては「三次元」なる表現は三次元画像のみならずそれの特別な場合の二次元画像をも含めて意味するものとする。
本発明の方法においては、それが複数個の構造ないしは関心領域(例えば薬理学的器官)への分割の自動化を実現し、一連の画像に表現された情報(例えば、薬物動態)のみにより実行可能であることを理解することが重要であり、特に、上述のb)項ステップにある通り初期化を非ランダムに実行するようにしたことで初めて可能となり、関心構造のモデルのパラメータがこれらモデル内に自動的に配置された複数個の領域内から抽出される。ここで述べた初期化は処理されるデータごとに調整される。従って本願の方法は、決定論的な性質のゆえに、同一のデータセットからは、それを構成するパラメータに変化がない限り、同じ結果をシステマティカルに導出することが可能となる。
「ボクセル」なる用語は本願文書においては「三次元の」立体像における単位要素を意味し、通常は立方体となるように定義される。ボクセルはこの立体像において考えられる最小の空間占有体積を有する。ピクセルは二次元の画像における要素であってボクセルの特別なものとみなすことができる。本文書では、今後「ボクセル」なる用語は「ボクセル」と「ピクセル」の両方を含めて指す言葉として使用される。
「領域」なる用語は画像中の連結されたゾーン、すなわち一片のゾーンを意味する。二つの領域が互いに接している場合には、これらが接続されていると表現する。
前記の一枚の画像または一連の画像は、ポジトロン放出断層撮影法(PET)、磁気共鳴造影法(MRI)、光子放出断層撮影法(例えばSPECT)、光学的撮影法、エックス線走査造影法、組織画像撮影法、オートラジオグラフィー法、衛星画像撮影法、写真撮影法からなるグループから選んだ何れかの撮像法により作成されることが好ましい。
なお、一般的な意味で、これらの撮像法は、等しく「二次元」、「三次元」の何れでもあり得る。
前記一連の画像においてはそれがポジトロン放出断層撮影法(PET)により撮像されるのが一層好適である。この場合においてはステップb)の処理によってn次元の空間の局所主成分分析が、ボクセルの近傍域においてもサンプルにおいても都合よく実行される。そのためには、各々のボクセルの近傍域における発現モデルが単一の構造に特有であるとする仮説の正当性の基準の算出であり、もう一つがサンプルに基き同サンプルが属する構造の発現モデルを構成するパラメータを推定することである。
このような複数次元の測定値を分析対象とした主成分分析(PCA)は基準フレームを変換し最小数の座標軸で最大数の信号の分散を扱えるようにする演算を含んでなる。PCAにおいて見出された当該座標軸系に対応した固有ベクトルすなわち方向ベクトルならびに該座標軸系のそれぞれの軸に係わり、対応する軸に沿った方向に関する信号成分の分散を示す固有値についてそれらの違いを把握する。これら座標軸と固有ベクトルは固有値の降順にソートされるのが一般的である。
PCAに関する最初のk個の固有ベクトルに従って測定値の再構築が行われる。すなわち、この測定値はPCAの最も大きいk個の固有値に相当するk個の固有ベクトルで特定される部分空間に射影される。測定値の射影の残差は測定値そのものからその測定値のPCAへの射影を減算した値に等しい。これら残差、すなわちこれら測定値に含まれるノイズは分散が小さい座標軸への射影に対応する。
測定値セットのなかで再構築を受けなかった信号の分散は、信号の再構築においては考慮されないPCAの最も小さい固有値の平均に等しい。採用された固有値の数が当該セットの内でその信号の再構築を完了するのに必要な数を満たすのでさえあれば、再構築を受けなかった信号の分散がノイズの分散を示すものとなる。もしこの固有値の数が小さすぎるのであれば、再構築を受けなかった信号の分散にはノイズと信号の双方が含まれる。
以上のほか、再構築を受けなかった信号の、信号に関係した分散は次の通りに定義される。PCAの最初のk個の固有ベクトルに基き信号を再構築できる程度にkが大きいときには、再構築されなかった信号の標準偏差を当該セット内の信号の平均のノルムで割りこの値をSN比とする。信号が存在しない領域部分では再構築されていない信号の分散は信号が正しく再構築できた領域部分にそれがあったと仮定したときのものに等しくなるが、再構築されなかった信号に関係した分散は大きすぎる。
更に、再構築されなかった信号の割合についてはPCAにおいて行った測定値の再構築の残差のノルムをこれと同じ測定値のノルムで割った値に等しいと定義される。
本発明による方法は身体全体の画像を形成するに必要な要件を満たすことから薬理学的画像の形成に特に優れた適性を持つ。特に、好都合なことにヒトや動物の全身の画像をその最初の画像とすることができ、それぞれの輪郭線が関心領域の境界を区切る薬理学的器官の区画に前記身体を区分する区分画像に好都合である。
この出願では、本発明の方法は、生理学的な動きを示す生体の全身に適用可能とする以上、動く全身画像を形成するための要件を満たすことにも留意しなければならない。ここで生理的な動きとは呼吸や心臓鼓動のような、その周期が一連画像の開始画像の1つを獲得するのに要する時間に比べて短いような周期運動のような周期的なタイプや、あるいは全く周期性をもたない生理的動きまでが含まれる。
従って、濃度の動態は、この動態が捉えられる位置にある体積要素を通過したであろう薬理学的器官の混合から成るものであってよい。ある瞬間に捉えられた動態には薬理学的器官それぞれが別の瞬間における同一の動態と同じ比率で含まれている。更に、a)のステップで選定されたモデルを採用することで、周期運動中に幾つかの薬理学的器官が横切る撮像範囲を除いて、モデルボクセル選定ステップにおいてこの種の周期運動を考慮することができる。
一方非周期的な運動ないしはその周期が一連画像での各一枚の画像を獲得するのに要する時間と同一オーダーである周期的運動(例えば消化動作、膀胱の拡張、身体の全体的な運動)においてはこのような運動に影響を受ける領域からはモデルボクセルが選出されることはない。なぜなら、これらの領域の動態が、単一の器官を有するモデルを局所的に充足することはありえないからである。それゆえ、このような領域は薬理学的器官のモデルを決定する重要な場面から除外される(ラットの膀胱に生じる非周期的運動に関係した動態を説明する図2参照)。
本発明は、二重モードの撮像法と両立しつつ、純粋に解剖学的な器官の定義から課せられる制限を無くすことを可能にする。
「薬理学的器官」なる表現は、既にこれまでの記述においてその意味で使用されている通り、生体の部分片であってトレーサに対して同一の反応を示すものを指す。従って、薬理学的器官は器官と完全に同じものを意味する訳ではない。例えば、腎臓という器官は少なくとも二つの「薬理学的臓器」すなわち腎臓の皮質と腎盂とに別けることができ、トレーサがこれらの内部において、腎臓皮質において進行し腎盂内に尿を作る血液のフィルタリング動作に要する時間によって動態を現出させる。
「トレーサ」なる用語は既にこれまでの記述においてその意味で使用されている通り、観察対象である生物学的メカニズムに関与する分子であって生体の内部に捕捉され得るような方法で標識されたものを指す。この分子は静脈注射によって、その存在が検出できる程度に多量であると同時に生体の活動を妨害しない程度に少量である「トレーサ」投与量で、投与される。特に放射性同位体元素を用いてマークされたトレーサが、ポジトロン放出断層撮像法(PET)、ガンマトモグラフィ(「シングルフォトン放出断層撮像法」、SPECTと略称)、光学的撮像法、MRI撮像法、超音波画像撮像法において用いられる。
例えば、一連の画像を特徴付ける物理的、化学的、あるいは生物学的タイプの変数として所与の瞬間t0からtnにおける放射能濃度を採用するのが好適である。この放射能は生体内に注入された少なくとも一種類の標識された活性成分に由来するもので、各「薬理学的器官」に属するボクセルはすべてが当該活性成分の分布に関し同等の生化学的動態を示す。
本発明の方法の更なる特徴として次のことがあげられる、
−前記一連の画像中の各開始画像の中に、各々が繋がりかつ前記変量の発現によって表現される観察対象の現象に対する反応として、均一な挙動を示す有限数の構造に空間を分割する区分が存在することが許される
−前記構造の個数が帰納的に定められる。
本発明の方法におけるモデル化ステップa)の別の有利な点である特徴においては、
−前記モデルが、一つ且つ同一の構造に属するボクセルの空間座標に依存する不均一なパラメータを更に含んでおり、ステップa)において、前記均一なパラメータおよび不均一なパラメータがこの同一の構造に含まれる一つ以上の体積要素について推定することが許される、
−前記変量の発現によって表現される観察対象の現象に対して、前記構造が繋がっていなければ互いに異なる反応を示すことが更に許される。
−前記測定値に内在し、前記一連の開始および分割画像の獲得技法に起因するノイズを加算することが更に許される。
−次の二つの制限が更に加えられていることから、前記信号の種々の時間的発現の局所的混合を考慮する
(i)もし一つのボクセルの近傍にありこのボクセルについての前記変量の発現に寄与する全ボクセルが同一の構造に含まれている場合には、前記対応する信号はこの構造のモデルの実現であり、
(ii)これら近傍のボクセルの前記均一なパラメータセットはこの構造に特有の前記モデルのパラメータセットと同じである。
− PET、“SPECT”、光学的撮像法、MRI撮像法、超音波画像撮像法のように、トレーサの注射を伴う撮像技術の場合においては、前記のモデルが一以上の互いに独立したトレーサならびに生物学的小領域(コンパートメント)のような数個の小領域を伴う種類の小領域モデルであって良い(トレーサはこれら小領域に分散し、前記モデルは、トレーサがこれら小領域の間を移動する速度から当該トレーサの各小領域における濃度を割り出すものと想定される。)。
本発明の至適かつ代表的な実施例によると、採用されたモデルは、4個のパラメータを有する小領域型モデルである。しかし、本方法は、変更を加えることなく6個のパラメータを有する小領域型モデルに拡張することができる。このモデルは、臓器が健康なものと仮定している。もし臓器の何れかに病的な領域が認められる場合には、当該領域は前記モデルとは別のモデルを用いて扱われ、従って当該臓器の健康な部分とは別のものとして分割される。従って、器官の病的な部分が本方法によって救済される。
このステップa)において実行される信号モデルの構成方法においては、薬理学的画像法の場合、例えば血漿、細胞組織あるいは血液が大きい割合を占める部分域に分布するトレーサの濃度のような生理学的パラメータを導入して、生起する現象の本質的な機構を検討することが含まれる(「現象」なる用語は、影響を間接的に測定可能な隠れた過程、例えばPET撮像法の場合にグルコースの消費と相関関係を有する「ニューロン活性化」を意味するものと理解される。)。
ステップa)で採用されるモデルは、特に観察対象の現象に従って、期待される測定値に対して分析的な表現形式での値を算出することができるように設計されている。この分析的な表現形式での値と前記現象に原因する測定値との比較によってそのパラメータが算出される(例えば、「ニューロン活性化」現象においては、PET技法を用い、ポジトロン放出型の同位体元素で標識されたフロロデオキシグルコース分子を注射し、その後に捕獲することにより、グルコースの消費量を間接的かつ部分的に測定することができる。)。
信号の種々の時間的発現のこれら局所的混合は、使用されたカメラの本質的な解像度の低さに原因するいわゆる「部分体積」効果をもたらすことが理解されるであろう。そのために、所与のボクセルで測定される信号は関心領域の近傍領域(例えば近傍の薬理学的器官)の生理学的な動態の混合を含む。
本発明による方法によれば、薬理学的器官の動態のモデルがその例であるが、関心対象である構造各々に対応する発生事象のモデルを、部分体積効果のレベルまで考慮して、生成できることも理解されよう。このようにして得られるモデルは、実際、単一器官を伴う動態モデルが最も有効である当該画像中の部分域において形成される。従って反復演算を実行する段階で薬理学的器官のモデルのパラメータを調整することは役に立たない。その動態を最も良く表現するモデルの各体積要素を集約すれば足りる。
本方法は、加法性非定常ガウスノイズ・モデルを採用している。このノイズは分割作業中に抽出したサンプルセットの全てにわたり評価され、反復法によって一連画像を再構成する場合における信号の影響に対して修正が加えられる。本発明による方法は、次の点を考慮する。
− 我々のアルゴリズムの各ステップでの信号の影響に基きデータを補正することにより、反復法により再構成された画像内に存在するノイズの空間的非定常性と、
− それにより、一連画像の様々な画像に対して異なる重みを付与することを可能にして、モデル近辺のデータの実際の変動を説明するノイズの時間的非定常性。
本発明による方法に従いモデルボクセルを抽出するステップb)の特徴によると、
− このステップb)は、最初の一連画像に対応するn次元の空間(一連の所与のPET画像について、例えばn=38)においてモデルボクセルを事前に選定することを含み、その結果関心対象の構造それぞれがその中心に少なくとも一つのモデルボクセルと同モデルボクセルの近傍を含み、
− このステップb)が前記事前選択に続いて、前記空間内の距離と前記局所的選定基準を定義するための尺度(測定基準(metric))を定めることを含み、そして、
− ステップb)において、分割対象の構造の何れにも、対応する関心領域に近傍域が含まれるボクセルが存在することが許される。
本発明の更なる特徴によると、このステップb)は、
−関心対象の構造の各々に関して、前記変量の発現とこの構造に関するモデルとの近似度によってメンバーとされる、この構造に属するメンバーボクセル(すなわち、ボクセルのリスト)のサンプルを、例えば反復的に決定すること、および
−サンプルごとに、前記構造に対応するモデルの均一パラメータを推定すること
を含んでいる。
本願文書において用語「距離」は、時刻の経過と共に順次生起する信号の二つの測定値(例えば、特にPET技法により放射能の濃度を測定する場合における二つの動態の測定値)の間の距離を意味するものと理解される。一般に、ミンコウスキ(Minkowski)の重み付け距離、中でも特にユークリッド、マンハッタンおよび最長距離が採用される。重み係数は信号のあらゆる非定常成分を補償するように選択されるもので、各測定値(例えば濃度値である動態を観察・測定した時点)に関して一般的には1と設定される。
画像の「閾値による選別(thresholding)」という用語は、画像内の測定値が閾値よりも大きいボクセルを選定するという動作を指すもので、拡張する場合には、画像内の測定値が低い方と高い方の二つの閾値の間にあるボクセルを選定する動作を指す。この定義においては、従って、閾値による選別が、当該画像内の測定値が所定の値に一致するボクセルを選定することを指すこともありえる。
本発明の更なる特徴によると、同方法における上記ステップb)において、各構造の境界が前記サンプルの抽出から排除されることが理解されるであろう。
本発明の更なる特徴によると、合体ならびに分類のステップc)が関心対象であり、一つで共通の構造に対応するサンプル同士を合体する動作を含んで構成され、同合体する動作がボクセルの分類動作の前あるいは後で実行される。この合体動作においては、例えば、階層的朔及型の分類に従って実行される。また、このステップc)にも含まれるボクセルの分類は、例えば、差別化分析に基き実行されるが、あらゆる順位付け法がこの分類に適していることが理解される。
合体ならびに分類のステップc)の完了の後は、与えられたボクセルがどのサンプルグループに近似するかを指示するラベル画像が形成される。この段階での画像が満足できることもあるが、分割画像の定義を検証するために、各ラベルについて連結した領域成分を分離することが必要となる。
本発明の更に別の特徴によれば、前記分割方法には次のようなステップc)、すなわち連結した成分を分離する作業を前記ラベルの一つずつに対して繰り返し実行するステップがさらに含まれている。
連結した成分を分離するこのステップにおいては、前記変数の互いに似通った発現を示す連結しない構造を分離することが可能であり、また関心領域において分類済み画像から区分画像を形成するためにこの分離ステップが必要となることが理解されるであろう。
本発明のもう一つの有利な特徴によれば、ステップa)の前または後に実行される予備的分割というオプショナルな工程が追加される。この工程は、前記開始画像を関心対象の前記構造複数個を含んでなる第一部分と画像の背景であり分割の必要がない第二部分とに分離する。
この予備的分離ステップは、本発明による方法の実行速度を高めることを可能にするのみならず、画像の関心領域の分割結果が構造の重要でない動態により汚染されるのを防ぐことをも可能にすることが理解されるであろう。
本発明のもう一つの有利な特徴であって、上記のオプショナルなステップにかかる特徴とは独立した(すなわち同ステップの有無とは無関係の)特徴によれば、同方法がもう一つ別のオプショナルな作業ステップ、ステップb)の完了後でかつステップc)の実行前において実行されるサンプル最適化のステップを含んでなることである。このステップは、抽出されたモデルボクセルが属していた構造とは異なる構造の信号がその中において最小となるような、例えば幾何学的な形、パラメータで規定される形、あるいは自由で不定形な形を、例えば反復型のアルゴリズムを用いて探索することを含む。
サンプルを最適化するためのこのステップのためには、例えば「領域拡張」と呼ばれる処方が採用される。この「領域拡張」とは、アグリゲート(集合体)の近隣にあるボクセルを、前記モデルとの類似度を引き下げることでこのアグリゲートに集めることである。
i以外の構造において発生した信号の混入量を最小化するサンプルΨiを抽出するために、例えば次のアルゴリズムが提案されている、
反復演算第一回目では、見つけ出すサンプルΨiはVjに含まれる動態の全セットと同等のものとする。
反復演算の各回において、構造iのモデルを形式Ψi内において推定する。それに次いで領域拡張操作を体積要素jに基き実行し、新たな集約の各々において、考慮される体積要素の動態と構造iの推定されたモデルとの近似度の基準を最大化する。この領域拡張操作は、それによって形成される領域の中に含まれる体積要素の数が当該構造iに対してモデルMのパラメータ{θu(i)}1≦u≦Uを推定するのに十分な数となった時、例えばVjに含まれる数になった時に終了する。次にΨiをここで形成される領域に属する体積要素の動態セットとして算出する。
反復演算は新たな反復演算を実行してもΨiが生成されなくなった時点で終了する。
サンプルを最適化するためのこのオプショナルなステップによって、同サンプルが対応する構造に属することを保証する結果、検出された構造のそれぞれについて実行する分割作業の品質と安定性が向上することが分かる。
本発明の更に別なる優れた特徴であって、上記した二つのオプショナルな特徴の何れからも独立したものによれば、前記方法は、得られた前記関心領域を階層型形式で表現し、ステップc)に続いて、かつ前記連結していない構造同士を分離するステップに先立って実行されるオプショナルなステップを含んで構成される。
器官を階層形式で表現するこのオプショナルなステップによって、所与の構造に対する合体の可否判定レベルをユーザーが選択できるようになる。合体のレベルが高過ぎると構造を検出できなくなり、当該構造が別の構造に合体されてしまう一方、同レベルが低すぎると、画像の対応する部分が同一構造を表す2つの領域に別れてしまう。ここで採用する階層形式の表現は、以上に加えて、画像中の構造の数を後から選択することをも可能とする。
本方法は、すべての分割画像が合体レベル毎に保存され、最善の形で分割される合体レベルを、例えば所与の薬理学的器官に対して、ユーザーが選択するよう提案している。
本方法においては体積要素同士が合体されることはなく、(例えば、薬理学的器官の動態の)発現のモデルを経たサンプル同士が合体される。その数は4桁少なく有利である。それゆえ、様々な合体レベル間の「航海(navigation)」が可能であり、それは同一の薬理学的器官に対応するモデルをすべて合体する合体レベルの探索作業を意味する。アグリゲート(集合体)と関心領域(例えば薬理学的器官)とは、完全に同一視される。
一般的に、本発明による方法はあらゆるタイプの画像やあらゆる一連の開始画像、例えば衛星画像の区分に利用できることが理解されるであろう。
一般的に、本発明による方法で、大量のデータを処理することが可能であることが理解されるであろう。
具体的には、高い空間解像度を持つタイプのPET型のカメラでデータを獲得する場合においても、計算時間はユーザーの要求と両立する程度に留まる。アルゴリズムにおける幾つかの重要ステップ(モデルボクセルの選定や区分)における複雑さは、順位付けする対象の数に比例する。しかし分割の間に近似化が行われることから、対象の数を増やすことなく数百万の数の対象がランク付けされる。以上のほか、本方法において、一連画像中の何れか特定の画像が他の画像よりも、生理学的現象の安定性の観点から大きい重みを持つといった仮説を導入する必要はない。
また、本発明による方法は、固定され、特にPET技法によるデータに関する処理時間と両立性がある計算に要する時間のコストにおいて有利であることも理解されるであろう。
更に、本方法によることで大きさに大きな差がある領域を分割する場合においても分割すべき構造、例えば薬理学的器官のサイズに関して仮説を置く必要は発生しないことが理解されるであろう。
以上記した本発明は、同様に上記した同発明以外の付随的事項と同様に、以下に記述する本発明の幾つかにわたる実施例に関する説明を読まれることでより明確に理解できる。以下に記述する実施例ならびにそれに付随する説明においては本発明の範囲を限定するものではない。またここでいう説明のための記述については別途添付した図面も含むものとする。添付図面の内容については後段に記す「図面の簡単な説明」を参照されたい。
[図面の簡単な説明]
(図1)本発明の分割方法を構成する必須又は選択可能な様々なステップを説明するためのブロック図である。
(図2)PETの手法により獲得した画像において、ラットの膀胱の存在に原因する非生理学的な様々の動態を特に説明するグラフである。
(図3a,図3b)一種類のトレーサを使用した、小領域モデルの形成を一例に沿って説明する図である。このモデルは三つの小領域と4種のパラメータを通じて同トレーサと器官の間の相互作用である生理学的過程を表現する。
(図4)本発明の方法における予備的分割に係わるヒストグラムである。ラットの生体域に属する体積要素の一つにおけるPET手法により獲得した動態に関する負の測定値が示されており、同測定値の数は削減されていることを示す。
(図5)オプショナルな作業である予備的分割に係わるヒストグラムである。ラットの生体域の外側に位置する体積要素の一つにおける動態に関する負の測定値が示されており、同測定値の数は増加されていることを示す。
(図6a、図6b)予備的分割のためのヒストグラムの2つの分析を示す。それぞれ図4に係わるラットの生体と図5に係わる画像の背景に対応する二つのピークの間に存在するヒストグラムの極小点のインデックスの抽出法を説明する。このインデックスはラットの生体に該当する体積要素をその背景域に該当する体積要素から分離することを可能にする閾値に相当する。
(図7a,図7b)ラットに注射投与したオリゴ‐ヌクレオチドに基づく予備的分割により得られた2枚のマスク画像を示す。2枚の画像はそれぞれ図6aと図6bに対応する。
(図8a,図8b)ラットの生体の冠状断面における2枚の画像を示す。本発明によるモデルボクセルの抽出ステップにおいて形成される画像である。図8aは心臓と二つの腎臓を通る冠状断面画像、図8bは膀胱を通る冠状断面画像である。
(図9a,図9b)図8aと図8bそれぞれから導出された2枚の冠状断面画像であり、再構築されていないデータの分散が極小となる位置を成分分析の結果に基き示している。これらの極小点は臓器の本体域に位置している。
(図10a,図10b)図9aと図9bそれぞれから導出された2枚の冠状断面画像であり、前記選定ステップの後に本発明に従って領域拡張作業によりサンプルを最適化するステップを実行し形成している。
(図11a,図11b)図9aと図9bそれぞれから導出された2枚の冠状断面画像であり、本発明により動態を100クラスにランク付けするステップの後に得られる。
(図12)本発明によるサンプル同士を合体するステップにより得られる合体ツリーの一例を示す。この合体ステップは動態をランキングするステップの後に階層朔及形の分類を用いて実行される。
(図13a,図13b)図11aと図11bの画像からそれぞれ導出された冠状断面の画像であり、何れも階層朔及形の分類を用いてサンプル同士を合体させることで得られており、18クラスが残存している。
(図13c,図13d)図13aと図13bの画像からそれぞれ導出された冠状断面の画像であり、何れも階層朔及形の分類を用いて動態のランキングの画像のラベル同士を合体させることで得られており、18クラスが残存している。
(図14a,図14b,図14c)上記した合体ステップによってそれぞれ得られた冠状、矢状、斜位の三次元画像である。
(図15)サンプル同士を合体するステップの後に本発明を実行することにより複数個の薬理学的器官を階層化した表現方法により示すブロック図である。
本発明による方法の以下の説明において、以下の表記が用いられる。
i:臓器、ラベル又はサンプル、I:サンプル数。
o:臓器。
t及びt’:一連の画像の瞬間又はインデックス。
Δt:一連の画像tの獲得時間。
j及びk:体積要素(ボクセル)。
s:注射投与されるトレーサ、S:注射投与されるトレーサの数。
r:半径。
j:時間に関する体積要素j内の濃度の変動、以下では動態と呼ぶ。
j:体積要素jの近傍域。
Ψj:構造iのモデルを代表する動態のサンプル。
Cp(t):生命体における血漿中動態定数。
Ca(t):生命体における動脈内動態定数。
Cfi(t):自由小領域の動態。
Cbi(t):結合小領域の動態。
Cti(t):組織内の動態:Cti(t):=Cfi(t)+Cbi(t)。
i,j(t):体積要素j内部で単一臓器モデルの臓器iによって予測される動態。
εj(t):体積要素jにおける検出及び再構成されるノイズ。
σ:ノイズの標準偏差。
1、k2、k3及びk4:3つの小領域を有するモデルのパラメータ。
Vbi,j:臓器iの体積要素j内の血漿中体積比。
μi(t):臓器i内のモデルMi,j(t)の平均動態。
βj,k:体積要素kの動態による体積要素jの動態の汚染係数及びその逆も同様。
i(k):iがkに依存することを示す表記。ここでは、体積要素k中に生理学的に存在する臓器iを示す。
j:体積要素jにおける動態Cj(t)のゼロ又は負の値の数。
Modefond:背景に対応するヒストグラムのピーク。
Modeorg:生命体に対応するヒストグラムのピーク。
nmin:背景の体積要素から画像形成された生命体の体積要素を分離することが可能となる閾値に対応するModeorgとModefondとの間に置かれるヒストグラムの最小値のm’番目のインデックス。
j,r:jを中心とした半径rの球。
μj(t):球Bj,rの内の動態Ckの平均。
j,l(t):l番目の固有ベクトル、λj,l:球Bj,rに含まれる体積要素の動態に関して計算した主成分分析のl番目の固有値。
本発明による方法の主要で必須のステップ及び選択任意のステップを図1に掲載している。この方法はPET撮像法と共に実施するのが好適である。しかし、本発明の方法がこの技術に限定されるものではない点に注意すべきである。
図1に示したブロック図にはこの方法の8つのステップが記載されている。この内、ステップ10、30,50a、50b及び70の5つのステップは必須であり(実践の枠で示した)、その他の3つのステップ20、40、60は任意である(点線の枠で示した)。
最初のステップ10は、本発明の方法において本質的なものであり、観察対象とする現象に最適なモデルを定義することにより、画像内の信号をモデリングすることからなる。このモデルは与えられた現象に対して一回限りで定義されるものであり、それゆえ、この現象に関連する新たな画像に対して、再定義することを要しない。このモデルのデータは、その後に、与えられた容積が単一の構造から発現する動態を含むものか否かの判定を可能とするのみならず、動態と、与えられた構造を代表するものと仮定される動態のサンプルとの間の距離を定めることをも可能にする。
必要であれば、画像の予備的分離を行う選択任意の第2のステップ20は、後者を2つの部分に分離する。その1つは、観察の対象として必要な部位、例えばPET撮像による生体そのものに対応し、他の1つは、観察を要しないものと判定された背景画像に対応する。
第3のステップ30も同様に、本発明による方法において本質的なものであり、観察対象である各構造のコアにおけるモデルボクセルの選定を含み、画像の各ボクセルの近傍域
内の構造の動態の単一モデルの存在を測定することによって可能となる。このとき、一つで同一の構造が、複数のモデルボクセルを含むことができる。
臓器に置かれたサンプル点として選定されたモデルボクセルの上記で定義された近傍域を保持することが可能である。しかし、所与のモデルボクセルに関して、サンプルを最適化する選択任意の第4のステップ40を実行することが適切である場合があり、その形状がその内部でモデルボクセルが選定された構造の形状に最適であるサンプルの探索が行われる。この新たなサンプルは、例えば、領域成長という既知の方法によって選定されることができる。
2つのステップ50a及び50bは、何れも必須であり、以下に記載される本発明による2つの実施形態の一方又は他方に基づいて次に実行される。
第1の実施形態によれば、動態をランク付けするステップ50aは、ステップ30又は40の後に実行され、画像の各体積要素が、そのモデルがこの要素のモデルに最も近いサンプルに関して寄せ集められる。次に、サンプルを合体(併合)するステップ50bを実行し、一つで同一の臓器に属するサンプルが合体(併合)される。
第2の実施形態によれば、サンプルを合体するステップ50bは、ステップ30又は40の後に実行され、次いで、動態をランク付けするステップ50aを実行する。
合体ステップ50bが階層的な方法を用いる場合には、この合体階層は、臓器を階層的に表現する選択任意のステップ60において、構造を記述するために用いられることができ、所与の構造が所与の合体レベルの範囲に現れる。理想的な特殊な場合には、構造が出現する全範囲の共通集合が空でなく、且つ自動的に選定されることができる。逆の場合には、構造の各々に関して、最適であるように見える合体レベルの範囲の選択をユーザに託すことができる。
このステップ60で、最も類似しているサンプルの合体によって体積要素を寄せ集めた画像が得られる。
しかし、2つの構造が独立している間は観察対象とする現象に対して同一の応答を示すため、繋がった成分を分離する選択任意のステップ70を優先的に実行し、そのような構造を分離することができる。
本発明のこの方法の実行を終了すると、選択された信号モデルによる画像の区分が利用可能になる。
更に正確に言えば、本発明による区分の方法は、以下のように分解することができる。
その影響が打ち切られた空間、すなわち画像の各点で測定可能であり、且つその測定値がT個の値(T>1)を含む現象を観察する。これらの値は、例えば、連続移動における現象の測定値であってもよい。以下では、測定値のT個の値の順序系を「動態」と呼ぶ。
Sを空間の各点におけるこの現象の無ノイズ測定値と呼ぶことにする。用いられる検出モデルの制限を前提として、Cを実際の測定値と呼ぶことにする。
本発明によるこの方法が基にしている主な仮説及び制約条件は、以下で詳述する。
仮説H1:その内部で各々が均一な挙動を示す有限数の構造に空間を分割する区分けが
存在し、これらの構造の各々が繋がるようになっている。
したがって、本方法は、画像内の区分が実際の測定値Cに含まれる情報に基づくように構成することを目指している。これを実現するために、現象自体のモデリングに基づいて信号モデルを定義することから始めるものとする。このモデルにより、小さな体積内の複数の構造の存在の測定を行うことができる。この測定は、モデルボクセルを選定するステップには不可欠である。更に、体積要素が構造に属する確率が、構造のモデルとこの体積要素の動態の類似性によって決定される。
信号モデリングステップ10:
現象のパラメトリックモデルM(θu(i),ψv(j))を定義する。そのパラメータ{θu(i)}1≦u≦Uの一部は、観察対象の構造iにのみ依存し、したがって、この構造内では均一である。モデルMの他のパラメータ{ψv(j)}1≦v≦Vは、空間における位置jに依存する。したがって、パラメータ{ψv(j)}1≦v≦Vは一つで同一の構造内において可変である。続いてMi,jによって体積要素jにおける構造iの動態のモデルの実現を示すものとする。パラメータψv(j)の数Vが少なくなればなるほど、モデルの制限が多くなる。iの任意の点jでSj=Mi,jと仮定することができるようにMを選択するものとする。
観察対象とする現象に対する構造の応答は、その値が構造iに特有であり、且つ構造i内で均一であるパラメータ{θu(i)}1≦u≦Uのセットによって特徴付けられる。したがって、Mは、異なる挙動を有する2つの構造が各々、異なるパラメータセット{θu(i)}1≦u≦Uを表すように選択される。
仮説H2:Mi,jのパラメータは、iに含まれ、且つ十分に大きなサイズの測定サンプルに関して推定されることができる。
仮説H3:もし、構造が繋がっていない場合、境界を定めようとする輪郭の構造は、観察対象とする現象に対する異なる応答を表す。
したがって、現象に対して同一の応答を表す2つの繋がった構造は、一つの単一構造と考える。
仮説H4:画像の取得及び再構成モードに起因する測定ノイズが、加算される。
これから、体積要素j内の測定値Cjは、
j=Sj+εjと表現され、ノイズεjは、空間的観点及び時間的観点の何れにおいても定常ではないと考えられると結論付けられる。
したがって、jがiに含まれている場合には、Cjは、
j(t)=Mi,j(t)+εj(t)と書いてもよい。
一旦、構造iのモデルのパラメータ{θu(i)}1≦u≦Uが推定されると、画像の任意の体積要素jに関する再構成エラーεj(t)=Cj(t)−Mi,j(t)を計算することが可能となる。
この再構成エラーは、ボクセルjにおける構造iの存在の指標である。
ここで、動態の局所的混合の問題点を検討する。
jがMi,jに等しくないが、体積要素vkに存在する構造i(vk)のモデルの実現
Figure 0004841623
の既知の関数fjに等しい場合には、{vk1≦k≦Kはjの近傍である。所与の体積要素j内の信号は、
Figure 0004841623
と書くことができる。
しかし、近傍{vk1≦k≦Kの全てがiに含まれる場合には、
Figure 0004841623
である。
制約条件C1:Mは、2つの条件を満たさなければならない。
(i)近傍{vk1≦k≦Kの全てがiに含まれる場合には、Nは常にパラメトリックモデルMの実現でなければならない。
(ii)Nのパラメータセット{θu(i)}1≦u≦Uは、Mのパラメータセットと同一でなければならない。
近傍{vk1≦k≦Kの全てがiに含まれる場合には、jの関数hをSj=Mi,h(j)及びCj(t)=Mi,h(j)(t)+εj(t)と定義することができる。
一次関数fjの場合には、Miはjに線形に依存しなければならない。
jが正の係数を有する重心である場合には、Miはjの凸関数でなければならない。
予備的分離ステップ20:
ある場合には、区分される画像は多数の体積要素を含み、そのn次元測定値は信号の欠如に対応する。したがって、これらの体積要素は、一つで同一の領域にグループ化されてもよい。動態モデルは、そのような領域では無意味であり、推定モデルは何れの現象、線ノイズにも対応しない。そのような領域で行われる何れの解析も時間の空費であり、それらのサイズは画像の全体サイズに対して無視できないほどになる場合には時間の空費は相当である可能性がある。
そのような領域内の測定Cのランダム性のために、選定ステップ30の間、そのような領域から多数のモデルボクセルを選定することを予想することができる。選定されるモデルはそれ自体ランダムであり、且つ互いに極めて異なり、全てのモデルが一つで同一の領域に合体される確率は小さい。信号を示さない画像の区域に対するアルゴリズムの適用は動きが鈍くなり、選定ステップ30及びサンプルを合体するステップ50bを妨げる。
したがって、このステップ20中、信号を示す区域(「内部」と呼ぶものとする)から信号を示さない区域(「外部」と呼ぶものとする)を分離させることは好都合である。
多くの操作により、例えば、閾値処理などのそのような分離を実行することが可能であることを留意されたい。
モデルボクセル選定ステップ30:
H0Vjを、体積要素jの近傍域Vが単一構造のモデルから発現する動態のみを含むという仮説によるものとする。
本発明による方法のこの重要なステップは、その近傍域が構造に含まれる基準を最大化する点を選定する。画像に存在する信号をモデリングするステップ10は、仮説H0Vjの正当性の尺度としてこの基準を定義することを可能にする。単一構造を有するモデルが考慮される近傍域内の信号を検知することができない場合には、後者は複数の構造の動態モデルを含む可能性が高い。
しかし、このステップは、各構造に対する内部の点が選定されることを裏付ける更なる仮説を必要とする:
仮説H5:何れの構造の場合にも、近傍域Vjが臓器内に位置する体積要素jが存在する。
この仮説によれば、区分される何れの構造iも既知のVの形状と同一の形状を含み、先験的に決定される。この条件に従わなければ、この構造の検出に関して不確かさを生じることになる。
体積要素j内に存在する信号が近傍の体積要素における構造のモデルの関数fjとして計算される場合には、仮説H5は、以下のようになる:
仮説H5’:何れの構造の場合にも、近傍域Vjが臓器内に位置する体積要素jが存在し、この近傍域に属する任意のkの場合には、fkの適用する対象領域は同様に、構造に含まれる。
臓器の内部の指標:
空間の2点の間で比較されうるjの近傍域Vj内の仮説H0Vjの正当性の尺度ΓVjを考える。したがって、ノイズの非定常性は、空間的又は時間的の何れに関しても、この尺度の計算を考慮しなければならない。この尺度ΓVjは、画像又はステップ20中に選定された観察対象の区域の各体積要素に関して計算される。
選定:
大きな値ΓVjは体積要素jに対応し、その近傍域Vjの各点(仮説H5による)又はVjに属する任意のkの場合にはfkの適用の対象領域(仮説H5’による)は、同一構造に含まれる。具体的に言えば、Bj,rが観察対象とする現象に対する異なる応答によって特徴付けられる2つの構造i及びoに跨る場合には、仮説H0VjはBj,r内で無効となる。
したがって、ΓVjの局所的最大値を選定し、これは、画像の観察対象の区域の各体積要素jに関して計算されたH0Vjの正当性の尺度である。(尺度Γの局所的最大値jは、jの近傍の任意のkの場合には、ΓVj≧ΓVkである。)
本発明による方法のこのステップ30は、構造の唯一のモデルが作成される近傍域の点を検出する。関数fによる動態の局所的混合の場合には、仮説H5’が満たされないが、近傍域Vjが臓器に含まれる場合の点は、確実に検出されるわけではない。
一層有力な理由で、これは、そのサイズが画像(取得装置ではない)の解像度程度である構造の場合には当てはまり、隆起を示していない微細且つ細長い構造の場合にも当てはまる。しかし、基準の局所的最大値の選定により、考慮される近傍域のサイズより小さい
が、無視することができないサイズ又は厚さの領域内の点を選定することが可能である。しかし、そのような領域におけるモデルの推定は、近傍の構造の動態のモデルによって汚染されることを留意されたい。
サンプル最適化ステップ40:
近傍域Vjの所与の幾何学的配置の場合には、観察対象とする現象のモデルMによれば、Vjに含まれる動態はjを含む構造iの動態の局所的に最適のサンプルを構成する。したがって、Vjに含まれる体積要素の動態は、構造iの動態のサンプルとして選択されてもよい。
しかし、一部の構造はVとは極めて異なる幾何学的配置を有してもよいが、そこにはH5又はH5’を満たす近傍域Vjが存在するほど十分な隆起を有するわけではない。したがって、ステップ30中に選定されたボクセルjを包囲する近傍域Vjは、その内部でi以外の構造の信号を最小化する形状を探索する反復アルゴリズムに関する初期設定として機能してもよい。この形状は、幾何学的な形態(楕円、円柱)、パラメトリックな形態(βスプライン)或いは自由な形態であってもよい。
本発明によれば、その中でi以外の構造から発現する信号を最小化するサンプルΨiを選定することを可能にするアルゴリズムは、以下のようにすることができる。
1回目の反復で、求めたサンプルΨiは、Vjに含まれる動態の全体的なセットに等しい。
反復ごとに、構造iのモデルが、形態Ψiの中で推定される。次に、領域成長が、体積要素jに基づいて実行されると同時に、各々の新しい寄せ集めに関して、考慮される体積要素の動態と構造iの推定モデルとの間の類似性の基準を最大化する。生成される領域に含まれる体積要素の数が、例えばVjに含まれる数に等しいなど、構造iに関するモデルMのパラメータ{θu(i)}1≦u≦Uを推定するために十分になると、領域成長は終了する。
次に、Ψiが、生成された領域の体積要素の動態のセットとして計算される。
Ψiがある反復から次の反復において進化しなくなると、反復プロセスが終了する。
したがって、構造iの動態の新しいサンプルΨiが決定され、その形態は、構造iに関して観察対象とする現象のモデルMの推定を局所的に最適化する。
動態分類ステップ50a:
サンプルの定義は、画像を構成する構造iの動態のモデルに直接利用することができる。動態の分類は、その過程においてモデルのパラメータが推定される概ね反復プロセスであり、ここでは直接的分類と化している。画像の各体積要素は、そのモデルがその動態に関して最適と見なす構造に関して寄せ集められる。
空間的観点から非定常であるノイズの場合には、ノイズの分散がサンプル内で推定される限り、ノイズは「ホワイトノイズとなる」可能性がある。ノイズの分散の空間的依存度が先験的に既知の法則に従う場合には、ノイズもまた分析的に計算することができる。
ノイズは、サンプル内では、関係
Figure 0004841623
によって推定することができることに留意されたい。
サンプル合体ステップ50b:
選定ステップ30は、1つで同一の構造内の複数のモデルボクセルを選定することができる。また、構造に属する体積要素がこの同一の構造に関連するサンプルの1つにランダムに割り当てられるため、結果として生じる寄せ集め画像は、それ自体として殆ど利用可能ではない。
I個のサンプルのうち、複数のサンプルが同一の構造内で見つかる可能性がある。したがって、同一の構造に含まれるサンプルを合体しなければならず、その結果、得られた各合体クラスは構造に対応する。サンプルiとサンプルi’に関して推定されたモデルMiとモデルMi'との間の類似性の尺度が決定されるべきである。パラメータは代表する構造に特有であるため、同一の構造に含まれる2つのサンプルi及びoは、パラメータ{θu(i)}1≦u≦U及び{θu(i’)}1≦u≦Uの類似の値によって特徴付けられる。サンプルiとサンプルi’との間の類似性は、モデルを定義するパラメータ{θu1≦u≦Uに直接基づくか、又はサンプルi’(各々i)のモデルによってサンプルi(各々i’)の再構成のエラーを装うか、又はモデルによって再構成される動態から選定される基本関数(最大、最大の実現のモーメントなど)によって、或いはこれらの種々の要素を組み込んでいる関数によって決定されることができる。
合体は、各々のモデルの間の類似性が最大であるサンプルを優先的に合体する。サンプルの合体は、新しいサンプルと見なされ、それによって合体ステップを繰り返すことが可能となる。
パラメータに関して異なる2つの構造i及びoのモデルのパラメータ{θu(i)}1≦u≦U及び{θu(o)}1≦u≦Uは、同一の構造を表すサンプルの合体後に合体される。したがって、理論的には、合体ステップが存在し、そのステップの後に、そこで検出された各構造は合体されたサンプルのグループに正確に対応する。この特定の合体ステップは、例えば、2つの合体されたサンプルの間の類似性の尺度における急激な減少と同時に起きる可能性がある。したがって、この最適な合体ステップは、合体ステップに対して類似性或いはその派生物の程度を観察することによって決定されることができる。
臓器を階層的に表現するステップ60:
合体ステップ50bによって合体された領域に対して1つで同一のラベルを割り当てることにより、分類画像を理論的に得ることが可能となり、各構造がサンプルの1つの合体に正確に対応し、観察対象の各構造に関して同一である合体ステップではそれを実行することが可能である。
しかし、現象に対する一部の構造の応答は、同一ではなく極めて類似している可能性があり、このことは、異なる構造に対応するサンプルが合体された後、同一の構造に対応することを保証するわけではない。したがって、観察される現象に対する正確に同一の応答を示す各構造又は構造の各グループがサンプルに正確に対応するような「合体のレベル」は存在しない。
合体のこの最適のレベルに関して存在するが、合体されるサンプルの動態のモデルの間の類似性の尺度の観察に基づいて決定することは不可能であるとも考えられる。これらの欠陥を緩和するために、本方法は、動態を分類するステップ58中に得られた寄せ集め(aggregate)を各葉(リーフ)で表現した木(ツリー)の形の画像を表すことを提案する。木の各ノードは、合体又は合体から生じる寄せ集めを表し、子である葉(リーフ)はこの合体を構成する寄せ集めを表す。
自動的なアルゴリズムを用いた構造の認識或いは手動認識によって、このステップ60は、所与の構造に正確に対応する木のノードを決定することを保証する。木における各構造の識別により、構造に対してサンプルの合体を対応するが、合体ステップでは観察対象の構造に依存するように、分類画像を得ることが可能である。
繋がった成分を分離するステップ70:
上記の仮説H3によれば、2つの構造に関して観察対象の現象に対して同一の応答を有するが、繋がっていない可能性はある。したがって、分類ステップ50a及び合体ステップ50b合体又は階層的な表現を行うステップ60も含めて、1つで同一のラベルの下でそのような領域を併合することができる。
繋がった成分をクラスごとに簡単に分離することにより、現象に対して同一の応答を示すが、繋がっていない構造を分離することが可能であり、本発明による方法の最終的な結果として区分された画像を得ることが可能となる。
ポジトロン放出断層撮像法(PET)から生じる画像の区分のための本発明による方法の具体的な実行
ネズミなどの小動物の場合には、身体全体の問題領域が、この具体的な実施形態において処理されるが、後者は脳などの特定の区域の画像、及び他の動物又はヒトに同様にうまく適用することが可能である。実際には、身体全体の区分は、処理される画像に影響を及ぼす著しい生理学的な動きのために特に問題がある。区分される臓器のサイズが小さく、且つ生理学的な動きが発生するにもかかわらず、方法の適切な実施を示すために、小動物における身体全体型の区分を選択している。
ここで、選択された動態モデルが一般的な原理の作業仮説を満たすことが示され、以下の方法は上記の一般原理の直接的な適用として記載される。
a)信号をモデリングするステップ10:
PET信号:
ポジトロン放出断層撮像法は、陽電子放出放射性同位体によって予め標識された関心生物学的特性を示す1つ以上の分子に起こることをトレースすることを可能にする。このトレーサは、カメラの視野に配置された画像作成対象に静脈注射によって注射投与される。同位体の壊変中、陽子が放出され、電子との連続的な衝突によってその運動エネルギを失った後に、電子によって消滅し、正反対の方向に出て行く2つの光子を生じる。検出器リングから構成される検出システムは、放出された光子を検出し、壊変が発生した線を再現することを可能にする。これらの事象に基づき、アルゴリズムは、打ち切られた空間における各位置でこの体積要素で生じる壊変の数を明らかにする画像を再構成する。
薬理学的臓器は、その要素の全てがトレーサに対して同一の応答を示す生命体の構造として定義することができる。それにもかかわらず、これは、1つで同一の臓器の全ての体積要素の内部で測定された動態が必然的に同一であることを意味しているわけではない。動態Mi,jのモデルを定義することが可能であり、薬理学的臓器の体積要素の各々の生理学的動態を明らかにすることが可能となる。「生理学的動態」なる表現は、標識された分
子によって放射される信号であって、測定された信号ではないことを意味すると理解されたい。したがって、ノイズが加算されると仮定する場合及び部分体積効果を無視する場合には、臓器i内の体積要素jに関して動態Cjを、Cj=Mi,j+εjと書くことができる。
部分体積効果を考慮し、jの近傍のボクセルk内の薬理学的臓器i(k)の生理学的動態をボクセルjと混合する場合には、Cjは、
Figure 0004841623
と書くことができ、式中、βj,kは、PETイメージャ(imager)の応答関数によって決定される混合係数である。
単一臓器に関する生理学的動態のモデルは、トレーサに対して異なる応答を示す2つの薬理学的臓器i及びoの場合には、Mi,j(t)=Mo,j(t)であるような体積要素jの数が小さいように選択されなければならない。
単一トレーサに関する小領域のモデリング:
3つの小領域及び4つのパラメータによってトレーサと所与の臓器iとの間の相互作用の生理学的プロセスをモデリングする。このトレーサは、速度定数K1で細胞の障壁を通過する。トレーサは、同様に、速度定数k2で障壁を横切り、血液に戻ることができる。速度定数k3で細胞中で形質変換される。この変換が可逆である場合には、逆変換は速度定数k4によって特徴付けられる。観察対象の3つの小領域は、血漿血清小領域Cp、臓器iの自由小領域Cfi及び結合小領域Cbiである。Cp(t)、Cfi(t)及びCbi(t)をこれらの3つの小領域の各々におけるトレーサの濃度とする。このプロセスは、図3aに示されているように図式化することができる。
このモデルにおいて、種々の成分における成分の濃度の変動は、以下のように書くことができる。
Figure 0004841623
最初に、単一のトレーサが生命体に注射投与される場合を考える。Cti(t)を臓器iにおける組織中のトレーサの濃度とし、Cti(t)は、
Cti(t)=Cfi(t)+Cbi(t)
と書くことができる。
Cp(t)は、血漿中の血清におけるトレーサの濃度であり、直接入手することはできない。具体的に言えば、血漿中の血清の小領域は、別の小領域である動脈内小領域Ca(t)に含まれる。したがって、Ca(t)を動脈内小領域におけるトレーサの濃度とする。図3bに示されているように、小領域は、血液の細胞を含む小領域Ccellのほか、それ自体は選択された小領域のモデルに含まれ、血漿中の血清の小領域Cpを含む血漿中小領域Cplasma及び血液の蛋白質Cprotを含む。
臓器iに含まれる所与の体積要素j内のPET信号の動態モデルMi,j(t)は、
Figure 0004841623
と書くことができ、式中、Vbi,jは、臓器iの体積要素j内の動脈内体積比である。
Ca(t)は、生命体全体において均一であり、Ct(t)は所与の健康な薬理学的臓器内で均一である。病理学的機能を有する薬理学的臓器の場合には、後者は、健康な区域及び病理学的な区域に分離されることができる。これらの区域はトレーサに対して異なる挙動を示し、薬理学的動態的に異なり、且つ2つの異なる薬理学的臓器と見なされる。
したがって、Ca(t)及びCt(t)は、所与の薬理学的臓器内で均一であり、Mi,j(t)は区画Ca(t)Cti(t)に属し、したがって、臓器i内に依然として存在する間にjが変化する場合には直線Ca(t)Cti(t)まで延長する。
したがって、Ca(t)及びCti(t)を通過する動態の空間において、直線Diによって臓器内の生理学的動態をモデリングすることができる。したがって、少数の臓器iの場合には、生理学的動態のモデルMi,j(t)の知識により、全ての直線Diの交点としてCa(t)を計算することが可能である。他方、Cti(t)は、明示的に計算することができない。
複数のトレーサに関する小領域のモデリング:
複数のトレーサs(数はS)が生命体に注射投与されると、体積要素jにおいて結果として生じる信号Si,s,j(t)は依然として、動態の空間における直線を描くことを示すこともできる(添付の付録A参照)。このとき、これらの種々のトレーサが互いに相互作用しないという条件で、線は
Figure 0004841623
を通過する。
したがって、注射投与される「独立した」トレーサの数がいくつであろうと、動態モデルは、4つのパラメータを有する小領域のモデルの枠組み内で依然として妥当である。
動態の局所的混合:
信号における部分体積効果の影響:
画像の平滑化として、部分体積効果をモデリングすることができる[Frouin、2002]。したがって、体積要素j内の画像において測定された信号Sjは、近傍の体積要素kの動態Skの一次結合である。複数のトレーサが注射投与される場合には、
Figure 0004841623
であり、式中、βj,k
Figure 0004841623
を満たす。
その生理学的動態が信号Sjに寄与するjの近傍域Vjが臓器iに含まれる場合には、Sj(t)は依然として、動態の空間における直線に属し、
Figure 0004841623
を通過する(付録A参照)。この近傍域が異なる直線によってモデリングされた複数の臓器を含む場合には、Sj(t)は、Ca(t)を中心とする動態の空間の部分空間であって、厳密に1より大きい次元である部分空間に属する。
信号における生理学的動きの影響:
非周期的な生理学的動き又はその周期が一連の画像を獲得する時間に対して無視することができない生理学的動きは、解釈不能な動態を生成する。具体的に言えば、各瞬間tでjは、同一の生理学的部位を含まない。
呼吸又は心拍などの、一連の画像を獲得する期間に比べて無視することができる周期的な生理学的動きを受ける領域の動態は、改めて解釈可能となる(付録A参照)。
結論:
単一の薬理学的臓器に関する動態のモデルを取り上げる。
体積Aをカメラの基準系に固定されると見なす。体積Bを薬理学的臓器i内に位置する臓器の基準系に固定されると見なす。したがって、部分体積効果が達するBの近傍域(Neigh (B))はそれ自体も薬理学的臓器iに含まれる。A及びBは時間t0で重なるものと仮定し、t0でAは臓器iから発現する信号のみを含む。
Neigh(A)を部分体積効果が達するAの近傍域であるとする。小さな周期の周期的な生理学的動きの間は、BはAに対して動くため、2つの体積はもはや重ならない。しかし、生理学的動きの周期中、Neigh(A)が依然として臓器iに含まれる場合に限り、単一臓器iに関するモデルMi,j(t)は、カメラの基準系に固定されるA内部で妥当である(付録A参照)。
一般的な原理の仮説の証明:
薬理学的臓器に空間を分割する区分け:
生命体を有限数の薬理学的臓器に分離することができ、各々は、臓器、繋がった臓器のグループ又は臓器の局部に対応する。小領域のモデルの定義によって、各薬理学的臓器は、何れも薬理学的臓器において均一である動脈内動態及び組織動態によって特徴付けられる。したがって、上記の仮説H1が、満たされる。
モデルのパラメータの推定:
モデルMi,jが、動態の空間における直線である。モデルMi,jは、サンプルの体積要素の動態で行われ、サンプル内の信号の平均値を中心とした主成分分析によって推定することができる。したがって、上記の仮説H2が、満たされる。
トレーサに対する薬理学的臓器の異なる応答:
薬理学的臓器は、その内部で均一である組織動態及び動脈内動態によって定義される。他方、2つの近傍の薬理学的臓器i及びoがトレーサに対して同一の応答を示さないようにするもの或いはCtoが直線CaCtiに属さないようにするものは何もない。したがって、上記の仮説H3が満たされることを保証するものは何もない。
しかし、同一の応答を示す2つの近傍の薬理学的臓器を単一の特異な薬理学的臓器と見なす。このとき、仮説H3は満たされる。それにもかかわらず、この方法は、この薬理学的臓器の2つの部分を分離することはできない。
測定及び再構成ノイズ:
PETにおいて、再構成の反復的な方法又は解析的な方法に関して、ノイズは、上記の仮説H4に基づいて、ガウス加算であるものと見なすことができる。
動態の局所的混合:
ちょうど分かるように、部分体積効果及び生理学的動きは、所与の体積要素内で近傍の薬理学的臓器の動態の局所的混合を生成する。部分体積効果の場合には、所与の体積要素j内で行われる動態の混合は、近傍の体積要素における生理学的動態のモデルの重心であることがちょうど分かる。同様に、小さな周期の周期的な生理学的動きは、ボクセルj内で、動きの中でjを通過した薬理学的臓器の動態のモデルの重心に作用する。jの近傍の全てが薬理学的臓器iに属する場合を考える。Miは動態の空間における直線Diであり、直線Diに属する動態の任意の重心は直線Diに属する。したがって、上記の制約条件C1は、満たされる。
b)予備的分離ステップ20:
本発明による方法の一般的な説明において上記で示したように、信号の欠如を示す区域は、アルゴリズムの速度及び結果の品質を妨げる。PETにおいて、これらの無信号区域は、生命体の外部である背景に対応する。
したがって、PET画像を2つの区域に分割することができ、1つは臓器を表し、もう1つは背景を表す。背景の動態は、多数のゼロ又は負の値を生じ、非生理学的であり、臓器の動態を表していないと考えられる弱い信号によって特徴付けられる。これらの後者は、ノイズに対して一般に著しい活動度によって特徴付けられ、殆ど相殺されることはなく、背景の動態より大きい平均値を有する。
ヒストグラム解析は、複数の個体数の体積要素を分離するための閾値を決定することが可能な高速の方法である。ヒストグラムは、所与の活動度を有するか、又は更に一般的にはその活動度が所与の区間に属する体積要素の数を表す。区間は、隣接しており、同一の幅をとることが多い。
通常の方法:
PETにおいて、透過画像のヒストグラムは、生命体を容易に区分することができるが、ベッド、げっ歯類用の装置、たとえあるとしても人工呼吸器などの視野に存在する物体から生命体を殆ど分離することができない。
放出からヒストグラムを作成するために通常用いられる画像は、時間に関して平均化した一連の画像そのもの或いは特定の画像を選定したものである。そのようなヒストグラムでは、第1のピークは背景又は背景の一部を表す。
画像内の値の大きなばらつきのために、画像の値のヒストグラムに基づく解析は、背景に対応するピークを検出することを可能にするが、画像の残りからこの背景を分離する閾値の決定を保証するわけではない(図6a、図6b及び図7a、図7b参照)。
動態の負の値の数のヒストグラム:
他方、動態の負又はゼロの値の数のヒストグラムは、2つの異なるピーク(モードと呼ぶ)を表し、一方のピークは生命体に関し、ノイズに対して無視することができない放射
活性を示し、他方のピークは生命体を取り巻く空気に関し、ノイズに対して無視することができる放射活性を示す。生命体に含まれる体積要素の動態は、少数のゼロ又は負の値を表すのに対し、図4及び図5のグラフ(各々、生命体に含まれる体積要素及び生命体に対して外部の体積要素の動態の例である)によって示されているように、背景の体積要素の動態は、多数の負の値を示す。
jを所与の動態Cjによって取得された負の値の数とする。njは背景では大きく、生命体では小さいと予想される。画像におけるnjによって取得された値のヒストグラムは、2つのモードを示し、一方のモードは背景(Modeback)に対応し、他方のモードは生命体(Modeorg)に対応する。後者には一般に殆ど含まれず(身体全体、頭蓋)、その表面積はその体積及び背景の体積と比べて、無視することができる数の体積要素を示す。したがって、このヒストグラムは、ModeorgとModebackとの間に位置するインデックスnminの少なくとも1つの最小値を示す。ヒストグラムのマルチスケール解析[Mangin、1998]は、2つのモードModeorgとModebackとの間のヒストグラムのインデックスnminの最小値の選定を保証する。続いて、nj<nminであるような画像の体積要素jの全てが生命体中にあり、そのほかは生命体の外側にあると見なされる。得られたマスクにおける簡単な形態的開口部及び最大の繋がった成分の選定により、生命体に対して誤って起因する背景点を低減することができる。
生命体の内側で、肺のような一部の臓器は、極めて弱い活動度を示し、関心区域から排除される可能性がある。この欠点を緩和するために、関心区域は、画像のエッジと繋がっていない背景区域によって補完される。
c)モデルボクセルを選定するステップ30:
以下において、半径rの球Bj,rを体積要素jの近傍域Vjと見なすものとする。更に、解析的な方法によって再構成される画像の場合に限り、実施形態を詳述するものとする。この場合には、画像内のノイズが空間において定常であると仮定することができる。反復的な方法によって再構成される画像の場合には、ノイズの変動が信号に関連しており、この具体的な実施形態の変形は、添付の付録Cにおいて与えられる。
薬理学的臓器i内の生理学的動態及びiに含まれる体積要素の全てを明らかにするために予め選択されたモデルMi,j(t)によれば、Mi,j(t)は、動態の空間における直線に属する。ノイズが空間において定常である解析的な再構成の場合を考える。
仮説H5が満たされ、且つ、放射性壊変に関して補正されない一連の所与の画像内のノイズが、この画像を獲得する時間に本質的に依存すると仮定する。この依存性は線形であると仮定すると、
σ(t)=ξ/Δt
であり、式中、ξは時間及び空間において定常である量であり、Δtは一連の画像tを獲得する時間である。
Figure 0004841623
を体積要素kにおける動態であるとし、時間tにおけるその値が一連の画像tを獲得する時間によって重み付けがなされているとする。このように重み付けがなされた動態
Figure 0004841623
のセットのノイズの標準偏差は、ξに等しい。動態
Figure 0004841623
を観察することによって、ノイズの時間的非定常性を回避することが可能となる。
臓器内部の指標:
上記の仮説H0Vjは、本件の場合には、ボクセルjを中心とし、半径rの球Bj,r内の信号が動態の空間における直線に加算ノイズを加えることによってモデリングすることができるという仮説と等価である。
もはや動態ではなく、動態
Figure 0004841623
を考えるものとし、ノイズがガウス形であると更に仮定することができる。球Bj,r内の動態
Figure 0004841623
で実行される中心となる主成分分析(PCA)を考える。{λj,l1≦l≦Tを降順でランク付けられたこのPCAの固有値であるものとし、{ej,l1≦l≦Tをこれらの固有値に関連する固有ベクトルであるものとする。最後に、μ'jをPCAが中心に置かれるBj,r内の動態の平均値とする。仮説H0Vjの正当性の指標として、信号に対するPCAの第1の固有ベクトルによって再構成されないデータの分散ΓVjを用いるものとすると、
Figure 0004841623
であり、式中、
Figure 0004841623
である。
λj 2は、PCAによってBj,r内で再構成されない信号の分散である(証明のために、添付の付録B参照)。
考察:仮説H0Vjの正当性の尺度ΓVjは、Bj,r内で再構成されない信号の比率の平均値の近似値である。この近似値は、ノイズがあまりなく、且つ薬理学的臓器におけるBj,rを含むことの優れた指標であるという利点のほか、所与の臓器に完全に含まれている点がない場合、その近傍域が臓器に少なくとも大部分が含まれている点を検出するという利点も有する。したがって、近傍の臓器の生理学的信号によって汚染されていない動態を示さない薬理学的臓器を検出することができる。
図8a及び図8bは、反復的な方法によって再構成される画像の場合におけるIR’jのマップを示す(図8aはネズミの心臓及び腎臓を通過する冠状切片であり、図8bはネズミの膀胱を通過する冠状切片である)。
モデルボクセルの選定:
球Bj,rの半径rは、含まれる動態の数がPCAの計算には十分であるように選択される。例えば、n×3に等しくとる。
したがって、その局所的最小値が臓器のコア内に位置する点に対応するΓVjのマップを計算する。これらの点の近傍域は、部分体積効果によって殆ど影響を受けない。これらの局所的最小値は、同一臓器内に複数ある可能性があり、自動的に選定される。ノイズに起因する局所的最大値を排除するために、ΓVjの画像がガウスフィルタによってフィルタリングされ、反復アルゴリズムによって選択されたその分散は、局所的最小値の数が先験的に固定された閾値未満であるように選定するにはちょうど十分である。大きすぎて平滑化が臓器において含まれる球Bj,rに対応する局所的最小値を移動又は消失しないようにするために、この閾値は、比較的高く固定される。
図9a及び9bは、モデルボクセルの選定によるΓVjのマップの局所的最小値を示す(図9aはネズミの心臓及び腎臓を通過する冠状切片であり、図9bはネズミの膀胱を通過する冠状切片である)。
d)サンプルを最適化するステップ40:
球Bj,rの形で選択された幾何学的配置は、細長くて平たい形状又は「オニオンスキン」形状の一部の薬理学的臓器には適していない場合がある。したがって、Bj,rに含まれる体積要素の動態に関して計算した臓器におけるモデルによって再構成しない基準を最小限にするjにおける繋がった点のサンプルを定義するものとする(2つの繋がった点は、同一の領域に属し、且つそれらの点を繋ぐこの領域に含まれる経路が存在するようになっている)。
体積要素kにおける補正した動態
Figure 0004841623
は、
Figure 0004841623
と書き表すことができる。
ここで、サンプルΨiの形状を最適化するために、一般原理で提案された領域成長に基づく方法を用いるものとする。この領域成長は、その初期サンプルがBj,rに含まれる体積要素の動態から形成され、動態
Figure 0004841623
とサンプルΨiとの間の類似性の尺度としてΨiで計算された中心に置かれたPCAの最大固有値に関連する固有ベクトルによって再構成されない
Figure 0004841623
の信号の反比例を用いる。p’j,kをこの再構成されない信号の割合とする:
Figure 0004841623
は、臓器内で
Figure 0004841623
程度であり、臓器の外側では1程度であり、式中、εj,k(t)は依然として再構成されない信号を含む。
Figure 0004841623
はその点で著しく減衰するのに対して、εj,k(t)は依然としてその点でξ程度であるため、p’j,k(t)は生命体の境界でも大きい。したがって、モデルから遠すぎる動態を廃棄することのほか、近傍の臓器の活動度によって汚染される強い活動度を示す臓器iの場合には、臓器iの動態より弱い動態を選ぶことを回避することが可能となる。
したがって、サンプルの改良の各ステップにおいて、PCAがΨiに関して計算され、最初の領域のみから構成される体積要素jに基づいて、前方伝搬による領域成長が行われる。各ステップにおいて、p’j,k(t)を最小に抑える前方の体積要素kは、サンプルiに関して寄せ集められる。イジングモデル(Ising model)を導入することにより、得られたサンプルの輪郭を正規化することが可能となる。各サンプルの最終的なサイズは、Bj,rに含まれる体積要素の数に等しくとる。
図10a及び図10bは、サンプルの領域成長の結果を示す(図10aはネズミの心臓及び腎臓を通過する冠状切片であり、図10bはネズミの膀胱を通過する冠状切片である)。
e)動態をランク付けするステップ50a:
動態Ckのノイズは、空間において定常であると見なされ、動態C'kのノイズは空間及び時間において定常であると見なされる。モデルM'i,kを既知とするデータ項目C'kの事後確率は、
Figure 0004841623
と書くことができ、γは、考慮される体積要素kのように、臓器iとは独立のスカラーである。
一旦、モデルM'i,kが最大固有値に関連する固有ベクトルのみが保持される主成分分析によって、各サンプル内の動態C'kに基づいて計算されると、p(C'k/M'i,k)の最大化は、
Figure 0004841623
を最小にするサンプルiを求めることを意味する。
したがって、
Figure 0004841623
であるようなラベルoが、体積要素kに割り当てられる。
動態のランク付けの正規化:
ノイズに起因するkの誤った寄せ集めの可能性を制限するために、体積要素kの区分のプロセスを
Figure 0004841623
として定義するのではなく、
Figure 0004841623
として定義し、式中、Neigh(k)は体積要素kの近傍の体積要素のセットを表し、βj,kは、体積要素jとkとの間の距離に依存する重み付け因数を表す。
図11a及び図11bは、100個のクラスに分けた動態のランク付けを示す(図11aはネズミの心臓及び腎臓を通過する冠状切片であり、図11bはネズミの膀胱を通過する冠状切片である)。
f)サンプルを合体するステップ50b:
モデルボクセルを選定するステップは、所与の臓器内の複数のモデルボクセルを選定することができる。また、薬理学的臓器に属する体積要素はこの同一の薬理学的臓器に関連するサンプルの1つにランダムに割り当てられるため、結果として生じる区分画像は、それ自体として殆ど利用可能ではない。
I個のサンプルのうち、複数のサンプルが同一の臓器内で見つかる可能性がある。階層的な昇順分類(HL)[Jain、1988]は、サンプルの合体を可能にする。
一方の動態が他方で推定された単一臓器に関するモデルによってうまく再構成される場合及び各々の平均動態が(位置及び強度に関して)類似の活動度ピークを示す場合には、2つのサンプルが同一の臓器を表している可能性は十分である。
分析的な再構成の場合には、動態
Figure 0004841623
に関連するノイズの分散は、ξ2に等しく、空間及び時間において定常である。
Figure 0004841623
をサンプルiに関する動態
Figure 0004841623
で計算されるPCAのT−1個の最小固有値の平均値とする。ξ2は、サンプルに関するξ2
Figure 0004841623
の平均値として推定することができる:
Figure 0004841623
したがって、2つのサンプルa及びbを合体するためのコスト関数は、
Figure 0004841623
と書くことができ、tmaxaは、μaが最大値である瞬間である。動態の位相の不一致は、高速の動態によって特徴付けられる初期では、低速の動態によって特徴付けられる後期より著しく不利となることに留意されたい。後者の基準は、類似の動態を有する2つの薬理学的臓器を分離することが可能であるが、その動態モデルはわずかな位相のずれを示すに過ぎない。
重みβ、δ及びγは、β=0.5、δ=0.25及びγ=0.5で発見的(heuristically)に定められる。
複数のサンプルを各々含むことができるサンプルの2つのグループGaとGbとの間で、以下のコスト関数
Figure 0004841623
を定義し、一旦、任意の組(a,b)に関してCa,bが計算されると、その計算は極めて高速である。
初期化
最初に、各サンプルが単独でその中に見つけられるグループを形成する。各サンプル組を合体するコストが計算される。
合体ステップ
階層的な昇順分類の各ステップにおいて、サンプルの2つのグループGa及びGbに関して、合体コストCGa,Gbが最小であるものに合体されるか、又は新しいグループGcの中に合体される。
アルゴリズムの終了
全てのサンプルが合体されると、プロセスは終了する。サンプル間の合体の手順は、図12に示される木の形で保持される。
合体レベルEは、E個のサンプル間の動態のランク付けの画像に対応する。関連する区分画像を得るために、同一サンプルに関係するが、繋がっていない区域を分離することが必要である。この操作は、各ラベルに関して繋がった成分を選定することによって実行される。薬理学的臓器に関して予測される最小の体積より大きい体積を表す繋がった成分のみが、保持される。これらの繋がった成分の各々に関して異なるラベルを割り当てることにより、領域に画像を分離する区分、すなわち区分け(セグメンテーション)を得ることが可能である。
図13a及び図13bは階層的な昇順分類によってサンプルを合体した結果から生じ、図13c及び図13dは階層的な昇順分類によって動態のランク付けの画像のラベルを合体した結果から生じ、これらの図の各々では、18個のクラスが保持されている(図13a及び図13cはネズミの心臓及び腎臓を通過する冠状切片であり、図13b及び図13dはネズミの膀胱を通過する冠状切片である)。
図14a、図14b及び図14cは、合体後の区分の「三次元」像であり、各々、冠状、矢状及び斜位である。
g)臓器を階層的に表現するステップ60:
領域に関する合体木により、ラベル画像の形ではなく、ラベル画像の木の形で、区分画像を表現することが可能であり、各ノード又は各葉は合体のステップにおける薬理学的臓器のグループに対応する。したがって、ビューイングソフトウェアによって、1つで同一の臓器の種々のラベル区域の合体を追跡することが可能である。所与の薬理学的臓器の認識に関して最適であると判断される合体のレベルに関して、操作者に選択を委ねる。具体的に言えば、この最適な合体レベルは、2つの異なる薬理学的臓器では異なる可能性がある。
図15は、検査対象のネズミの臓器の具体的な階層的表現を示す。
h)繋がった成分を分離するステップ70:
前のステップによって得られた各寄せ集めの繋がった成分は、合体ラベルの方法によって分離される。各体積要素に対して指数が割り当てられる。この操作が可能でなくなるまで、同一の寄せ集めに属している2つの近傍の体積要素の指数は、単一の指数に合体される。したがって、各クラスの各繋がった成分を識別する指数が得られ、これが最終的な区分画像を構成する。
本発明による方法の適用
1)実行される適用例:
a)ネズミの模型:
「MCAT」ディジタル模型:
方法を検証するために、ネズミのディジタル模型が、「MCAT」模型[Segars、2004]に基づいて制作され、「HR+」型のシーメンス(Siemens)製カメラでシミュレートされた。この模型の臓器は、X線スキャナ画像で区分され、「NURBS(非一様有理Bスプライン)」面によってモデリングされる。臓器の輪郭の平滑化を除き、このモデリングは変形を高速に計算することができる。したがって、ネズミの模型は、呼吸及び心拍に起因する動きを考慮する。
これらの高周波数の周期的な動きは、動いている臓器の動態の混合を生成する。したがって、シミュレートされるカメラの基準系に固定された画像の体積要素は、これらの2つの生理学的動きの中で通過した臓器の動態の混合を含む。
検査中の膀胱の充満は、周期的な動きより区分をはるかに不利にする生理学的動きであり、これまで見てきたように、「MCAT」模型によって考慮されない。シミュレートされる検査に沿って、膀胱に対応する画像の区域の段階的な膨張によって膀胱がシミュレートされた。後者は、1分ごとの時間で獲得された37個の連続画像を含む。
生理学的動態の決定:
各フレームに関して、種々の臓器に属する各体積要素の確率の事前計算により、以下の式[Kamasak、2003]に基づき、ノイズのないPET画像を急速に再構築することが可能である:
Figure 0004841623
式中、pi,jは体積要素jが臓器iに属する確率であり、Ca(t)は全ての体積要素j及び全ての薬理学的臓器iに関して同一である血管の動態であり、Cti(t)は全ての体積要素jに関して同一である臓器iの組織内の動態であり、Vbi,jは臓器iの体積要素jにおける血液体積比を表すスカラーである。
一旦、動脈内の動態Ca(t)が決定されると、Cti(t)は、減少指数関数の重み付けした積和と動脈内の動態の畳み込み演算として計算される[Kamasak、2003]。
Figure 0004841623
パラメータai,w及びbi,wは、各指数関数w及び各薬理学的臓器iに関してランダムに決定される。
投影及び再構成:
次に、分析的再構成アルゴリズム又は反復的再構成アルゴリズムの何れかによって、この「4次元」画像が分析的に投影され、ノイズの影響を受けて再構成される。偶然の一致などの種々の検出又は再構成の現象、コンプトン散乱及び「スピルオーバー効果」もまた、シミュレートされる。
区分及び区分の品質の基準:
画像の区分及び種々の臓器に属する確率とその結果の比較により、一旦、ラベルljと対応する臓器iとの間で識別i(l)が実行されると、区分の品質の全体的な基準を確立することが可能である:
Figure 0004841623
。この基準は、完璧な区分の場合には1に等しく、破滅的な区分の場合には0に等しくなる。臓器の数に対応する臓器の検出の基準もまた、定義することができる。この基準の場合には、臓器の模型で定義された数に分割された区分画像における2つの臓器の合体又は分割のために、直接的な臓器対臓器の対応関係は不可能である。
b)「PNA」投影:
「PNA」(「ペプチド核酸」)は、RNA細胞内メッセンジャーの劣化による遺伝子放出を遮断するためのアンチセンス方式において著しい効き目を示している。動物においてそのような分子を用いることは、生体内の挙動に関する知識を必要とする。これらの分子の薬物動態特性に関する情報は、殆ど得られなかった。得られたデータは、これらの化合物が尿に排泄される血漿において安定であり、且つ他の臓器ではこれらの化合物が捕捉されることはまずない(非特異的な定着)ということを示した。
したがって、発展的な方法には、予測可能な態様で薬物動態パラメータを調整することが可能であるこの種のオリゴヌクレオチドが理想的であると判断された。「PNA」のペプチド骨格の機能付与(化学修飾)により、アンチセンスの活動度を依然として有する12個の誘導体を合成することが可能である。ネズミにおいて、これらの誘導体がフッ素18で標識され、それらの薬物動態がPET画像形成によって分析された。各「PNA」に関して、4匹の動物が、同時に注入することによって処置を施された。この一連の12個の「PNA」に制御「PNA」を加えたものに対して、自動的なPET画像区分方法を適用することによって、臓器を自動的に分離し、ひいては「PNA」の各型に関する臓器ごとの薬物動態パラメータを得ることが可能となった。自動的に得られた動態は、PET画像で識別可能な臓器の手動区分によって得られた動態との良好な一致を示した。
この観察は、オリゴヌクレオチドの薬物動態及び薬物分布を著しく変更することができることを示している。これらの結果は、治療目的のために生体内で用いるための「PNA」型の「薬物」の開発において著しい進歩を提供する。
2)本発明の方法の想定される適用例:
薬物動態情報を用いて本発明による自動的画像区分方法は、生命体内の空間において局所化される尺度に基づき、時間と共に変形を示す任意の観察に有利に適用することができる。関係のある形態は、特に核医学(特にPET及び「SPECT」技術)のほか、機能的MRI及び光学画像形成である。
以下の適用例について、特に言及する。
a)薬理学的画像形成:
身体全体のPET画像形成:
この発明の区分の方法は、画像形成される対象の生理学的動きにもかかわらず、良好な区分を得ることができる。
先験的でない薬理学的画像形成:
この発明の区分の方法は、トレーサに対する種々の臓器の応答に関する先見的知識を必要としない。
分子の生体内選別:
分子の大きなバンクを生成するために、コンビナトリアルケミストリーの可能性に直面して、問題は、関心分子の選択から生じる。この選択は、生体外で又は分子の化学特性、極性又は幾何学的特性の関数として行うことができるが、システム障壁及び分子の生体内の効き目の掛け合わせを保証するものは何もない。
生体内の生物学的分布は、画像形成対象に注射投与される分子のターゲッティング機能に関する情報を提供する。したがって、関心分子のグループから1つの分子を選択することが可能となる。しかし、多数の検査データを手動で処理することは、時間がかかり、厄介な作業であり、実際には試験対象の分子の量を制限する。
この発明の区分の方法は、その自動性及びその速度によって、多数の検査を高速に処理することが可能であり、生体内の選別が可能となり、その処理能力は今後、検査(データ)の収集によって制限されるのであって、検査から生じるデータの処理によって制限されるわけではない。
新規なトレーサの観察
トレーサ(適用されるモデルは依然として任意のトレーサに関して妥当である)の挙動に関する先験的知識を必要としない本方法は、未知の特性を有する新規なトレーサの薬物動態に関して、詳細を高速で得ることができる。
臓器のターゲッティング:
一部の分子は、その有効成分のために生体外で関心があるが、目標臓器に入るわけではない。したがって、それらの分子は生体内には関心がない。しかし、そのような「薬物」の有効成分を変更しない化学的タグ又は媒介体中に被包する化学的タグを追加することによって、そのターゲッティング(目標)機能を変更することが可能となる。
このように目印を付けられたそのような分子は、同一と仮定される有効成分を有するが、その薬物動態が異なる分子のファミリを生成する。したがって、このように生成された分子は、上記で述べたように、必要なターゲッティング機能を示す分子を選択するために、生体内の選別を受けることができる。
b)生理学における画像形成:
c)トレーサに対する臓器の応答の類似性の検出:
この発明の区分の方法は、同一の働きを有する2つの薬理学的臓器を区別することは可能ではない。区分手順から生じる画像において、これらの2つの臓器には、同一のラベルが割り当てられることになる。したがって、2つの臓器の働きの間の類似性を記録することは可能である。
類似の態様において、一部の臓器は、組になって生命体に存在する(目、腎臓、肺)。区分手順がそれらの臓器を分離することができる場合には、例えば一方の機能障害のために、トレーサに対するそれらの応答が異なる可能性は極めて高い。
d)動態のモデルの決定:
サンプルを定義するステップ40又は直接的にはモデルボクセルを選定するステップ30も、各臓器に特有の動態のモデルを推定することが可能である。所与の具体的な実施形態において、全ての臓器のモデルは、動態の空間において直線であり、単一の交点、すなわち動脈内動態を有する。したがって、動脈内動態は、動態の空間におけるモデルの線の交差を計算することによって理論的に決定することができる。
部分体積効果及び比較的少数のサンプルによって偏ったこれらのモデルの推定では、線は恐らく交点を有するのではなく、動脈内動態に近い位置を通過する。したがって、モデルの推定により、動脈内動態の直接的な推定を可能にするか、或いは推定を可能にする方法のための初期化として作用する場合がある。
e)構造の動態の再構成より前に行われる区分:
以下において、区分の利用の中で、体積要素ごとではなく、臓器ごとに関する生命体における動態の再構成が考慮される。具体的に言えば、信号対ノイズ比は、時間的なサンプリング及び空間解像度の細かさに依存する。空間解像度を低下させることによって、時間的なサンプリングを改良することが可能である。任意の態様において空間解像度を低下させるのではなく、トレーサに対して同一の応答を有する体積要素を共にグループ化することが当然であると思われる。
これらのグループ化を決定するために、解剖学的画像を区分し、PET形態に記録するのではなく、提案された区分手順は、区分から生じる薬理学的臓器として用いることによって解剖学的形態を不要にすることが可能である。具体的に言えば、身体全体の場合には、解剖学的形態と機能的形態との位置合わせは困難を極め、解剖学的形態は常に全く利用することができない。
f)画像再構成における動態モデルの利用:
本発明による区分の方法は、画像に存在する各構造の動態モデルの利用をもたらす。このモデルの利用は、画像の完全な区分を必要としない。この動態モデルは、例えばPETにおける「4次元」再構成などの種々の適用例を有する可能性がある[Nichols、2002]。
更に一般的には、時間情報を先験的情報として用いることもでき、又は特に統計的な変動に関して、画像の品質を向上するための更なる情報を装うこともできる。
g)PETにおける構造の認識:
本発明による区分の方法は、同一の薬理学的臓器に属する体積要素を同一のラベルの下で共にグループ化することができる。この方法は、このとき、種々のラベルに対応する臓器を依然として認識する。ここで提案された階層的な表現は、他の臓器から分離される特定の臓器を単一の部位として明らかにすることが可能である合体レベルを記録することによって、この認識ステップを促進するはずである。
h)解剖学的に区分される臓器の機能的一貫性の確認:
臓器の解剖学的輪郭と所与のトレーサに対するその局部の応答の識別性との相関は、例えば腫瘍が存在する場合には、確保されていない。提案された手順により、トレーサに対する別個の応答を有する局部に臓器を自動的に分割することが可能である。
i)光学画像形成における時間系列:
光学画像形成により、解剖学的画像を獲得し、更に機能的画像も獲得することが可能である。これらの画像は、極めて高い空間的及び時間的解像度を示す。本発明による方法は、そのような画像を自動的に区分することが可能である。
j)静止画像:
本方法は、ステップ10中に選択された適切なモデルを用いることによって、純粋に「2次元」画像又は「三次元」画像に適用することができる。
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− Zhou, Y., Huang, S.−C., Bergsneider, M., Wong, D.F. A non linear regression with spatial constraint for generation of parametric images in dynamic PET studies. Journal of Nuclear Medecine 42(5),100.
付録A:
4つのパラメータを有する小領域のモデルにおける動態の概要
単一トレーサに関する動態のモデル:
臓器i内に位置する所与の体積要素j内のPET信号のモデルMi,j(t)は、放射性壊変に関する補正後には、
Figure 0004841623
と書くことができ、式中、Dは注射投与される投与量であり、Vbi,jは臓器iの体積要素j内の血液体積比である。
jが臓器i内を移動する場合、Mi,j(t)は動態の空間における直線Ca(t)Cti(t)の区分を描く。
複数のトレーサに関する動態のモデル:
複数のトレーサ{Trs1≦s≦Sが生命体内に注射投与される場合、時間の経過と共に、体積要素j内で得られた活動度は、種々のトレーサの動態の積和である。組織の動態及び血漿中動態がトレーサに依存する場合には、体積要素j内の血漿中体積比はそれ自体、sに独立である。モデルMi,s,j(t)は、放射性壊変に関する補正後には、
Figure 0004841623
と書くことができる。
i,s,j(t)は依然として、動態の空間において直線に属し、このとき、線は
Figure 0004841623
を通過する。
部分体積効果:
部分体積効果は、画像の平滑化としてモデリングすることができる[Frouin、2002]。したがって、体積要素j内の画像において測定された信号Sjは、近傍の体積要素kの薬理学的臓器のモデルMi,kの一次結合である。更に明確にするために、単一のトレーサの注入の場合を考える。
Figure 0004841623
臓器内部で:
部分体積効果が達するjの近傍域が臓器iのみを含む場合には、信号Sj(t)は、以下のように書くことができる。
Figure 0004841623
j(t)は依然として、
Figure 0004841623
を通過する線に属する。
臓器の境界で:
逆に言えば、jのこの近傍域が、そのモデルが異なるI(I>1)個の臓器を含む場合には、Cjが直線Mi,jの1つに各々属する信号の一次結合として計算される。したがって、jの近傍域に含まれる信号のセット全体は、直線によって描くことはできない。
具体的に言えば、
Figure 0004841623
である。
モデルは異なっていると仮定されるため、1≦i≦Iの場合にはベクトルCas(t)Cti,s(t)は同一直線上になく、したがって、Sj(t)は直線ではなく、1<d≦Iであるような次元dの部分空間を描く。
生理学的動き:
非周期的な生理学的動きによって影響を受ける空間又はその周期が一連の画像を獲得する時間より大きい空間における区域において、同一の体積要素jの区域は一連の画像の全てに関して同一の臓器を含まない。したがって、獲得の最初の瞬間から最後の瞬間までの動態の分析は、無意味である。このことは、特に膀胱及び内臓に当てはまる。
画像を獲得する時間よりはるかに短い周期の周期的な動きによって影響を受ける画像の区域を考える。信号は、多数の期間が終了する時間に関して累算される。画像に関する獲得時間Δtは、次式で分割することができる:
Δt=n×P+δt
式中、Pは生理学的動きの周期である。P<<Δtである場合には、δt<<Δtでもある。トレーサの動態は連続していると仮定される場合には、時間n×Pに関して記録された信号に比べて、時間δtに関して記録された信号は無視することができる。したがって、ある程度同一の生理学的部位が、観察対象の一連の各画像に関して所与の体積内で観察される。部分体積効果にもかかわらず、臓器に関するモデルの線形性の証明は、高速の周期的な生理学的動きの問題に容易に置き換えることができる。
kを曲線Ωに沿った構造と共に移動する中心xを有する体積の単位であるとし、jを視野に固定された体積の単位であるとする。
同一の臓器i内の動き:
体積要素jにおける信号Sj(t)は、
Figure 0004841623
と書くことができる。
j(t)は依然として、
Figure 0004841623
を通過する線に属している。
複数の臓器を通過する動き:
Figure 0004841623
したがって、Sj(t)は、直線ではなく、1<d≦Iであるような次元dの部分空間を描く。
生理学的動き及び部分体積効果:
既知の態様において、周期的な生理学的動きに起因し、中心xを有するkがΩ全体を移動している間に、部分体積が達するkの近傍域が、iに含まれる場合に限り、1つの臓器iに関するモデルが保持されることを示すことができる。
依然として、動態のモデルが同一であるような2つの異なる臓器は存在しないという仮説の下で、周期的な生理学的動きの間、部分体積効果が達するjの近傍域が依然として、臓器iに含まれる場合に限り、視野に固定された体積要素jにおける信号Sj(t)は、任意のjに関して直線Ca(t)Cti(t)に属している。
結論:
非周期的又は長周期の生理学的動きの区域を排除する場合及び同一の動態モデルを有する臓器の組はないと仮定する場合には、生理学的動きの周期中に、部分体積効果が達するこの体積の近傍域Neigh(B)が依然として、臓器iに含まれる場合に限り、その結果として、1つの臓器iに関するモデルは、カメラの基準系に固定された体積B内部で妥当である。
付録B:
1つの臓器に関するモデルの局所的な非妥当性の尺度の選択
1)選択された信号モデルの尤度:
j,rが薬理学的臓器iに含まれる場合には、H0:Cj(t)は、
Figure 0004841623
と書くことができる。
0の尤度は、Bj,rに関するモデルの正当性の優れた指標である。球Bj,rが臓器に含まれる場合には、信号の次元は1に等しい。Cj,rが球Bj,rに含まれる動態のセットであり、KがBj,rに存在する臓器の数である場合には、ベイズの枠組(Bayesian framework)の中のモデルの選択は、最大化に相当する:
K=1の場合には、
Figure 0004841623
である。
ガウス加算ノイズに関するPCAモデリング(主成分分析)の場合には、K個の固有ベクトルを有するモデルに関する証明
Figure 0004841623
のラプラス近似値は、それ自体[Minka、2000]がモデルの実際の寸法の良好な指標であることを示している。
K次元のモデルによるデータの尤度のラプラス近似値は、
Figure 0004841623
と書くことができ、式中、
Figure 0004841623
である。
Uは相関行列の固有ベクトルの行列であり、Λは固有値の行列であり、vはノイズ及び球Bj,r内部でPCAによって再構成されない信号の分散の推定値である。U’、L’及びv’をfを最大にするパラメータU、Λ及びvの値とする。
Figure 0004841623
l≦Kの場合には、Λの対角値は、
Figure 0004841623
と書くことができ、他の場合にはλl=Vである。尚、αは先験的情報の大きさを表す。
Figure 0004841623
1つの臓器に関するモデルの尤度の局所的最大値:
jを臓器iのモデルによるデータの尤度がBj,r上で最大であるように選択する。
jは、jの近傍域に属している任意のkに関して
Figure 0004841623
を満たす。
Figure 0004841623
の空間マップの計算後、局所的最大値が選定される。臓器に位置する各局所的最大値は、モデルの正当性の最大尤度に対応する。したがって、これらの点は、部分体積によって殆ど損なわれず、その場合には、信号の特徴付けに必要なモデルの次元は1より大きい。
考察:この測定値は実際には、臓器の内部の極めてノイズが多く、芳しくない選択であるという結果に終わる。
近傍域に存在する臓器の数のマップ:
Figure 0004841623
は、Bj,r内のデータの最も有望な次元である。1に等しい区域Djは、臓器の内部に位置している区域である。
考察:この指数は、Bj,rが臓器に含まれるように、実際の体積要素jから分離することが不可能なノイズ点を示す。更に、小さいサイズ又は細長い形状の臓器は、部分体積効果に起因する近傍の薬理学的臓器の信号によって損なわれない点がなく、検出されない。
2)局所的な主成分分析:
{ej,l(t)}1≦l≦Tを、球Bj,rに含まれる体積要素の動態で作用するμj(t)を中心とした主成分分析(PCA)の固有ベクトルとする。
Figure 0004841623
をノイズεj(t)の時間tの分散とし、{λj,l1≦l≦TをPCAの固有値とする。
εj(t)の平均分散は、
Figure 0004841623
と書くことができ、式中、
Figure 0004841623
である。
分析的な方法による再構成の場合から始めることを考える。ノイズは空間及び時間の両方において定常であり、その分散は一定で、σj,t 2=σ2である。臓器内では、
Figure 0004841623
である。
したがって、λj 2は、臓器の境界に対する体積要素jの位置の優れた指標と思われる。
具体的に言えば、又は部分体積効果に起因し、体積要素jが複数の薬理学的臓器の動態を含む場合には、信号のモデリングを考慮しないPCAの固有値は薬物動態情報及びノイズの両方を含む。このとき、σ2<λj 2であり、
Figure 0004841623
である。したがって、jが臓器のコアにある場合にはλj 2/σ2〜1であり、jが2つの臓器の間の境界にある場合にはλj 2/σ2>>1であると推定される。
しかし、この尺度により、生命体の内部の点を外部の点から区別することは可能ではない。具体的に言えば、jが生命体の外側に位置する場合、生命体の外部はトレーサを含まず、jはノイズのみを含むことから、λj 2/σ2=1である。
同様に、臓器i及びoの間でiが強い信号を示し、oがノイズの分散程度の弱い信号を示す場合には、λj 2/σ2は1と殆ど変わらない。
再構成されない信号の割合の平均値:
動態の信号に関連する局所的不均一性の以下の尺度を定義するものとする:
Figure 0004841623
jをBj,r⊂臓器iであるように選び、mを#(Bm,r∩Bi,r)>>#(Bm,r−Bm,r∩Bi,r)であるように選び、Bm,r−Bm,r∩Bi,rを臓器に対して外部の点からなり、その動態がi上で計算されるPCAの第1のK個のベクトルによってモデリングすることができるとする。
Figure 0004841623
を仮定する:
1)k∈Bm,r∩iであるようなkの場合には、
Figure 0004841623
であり、初めに見たように、λm>σiであるとき、
Figure 0004841623
である。
2)k∈Bm,r−Bm,r∩iであるようなkの場合には、Ckは臓器iによって特徴付けるPCAによって貧弱に再構成されるため、
Figure 0004841623
である。
3))k∈Bj,r−Bm,r∩iであるようなkの場合には、Pkは臓器iに属し、
Figure 0004841623
である。
Figure 0004841623
臓器iの境界における任意の体積要素k及びBj,rが臓器iに含まれるような任意のjに関して、PNRk>PNRjである。
Figure 0004841623
且つ臓器iの近傍の臓器がiで定義されたモデルによって再構成されない信号の割合が高い動態によって特徴付けられるという仮説を用いると、その結果、Bj,rが臓器iに含まれるように、臓器i内にPNRの最小PNRjが存在する。
不均一性のこの尺度は、各Bj,rに関するPCAの計算を必要とするが、このPCAの第1の固有ベクトルの上へのBj,rに含まれる各体積要素の動態の投影の計算も必要である。しかし、その基準は、画像形成される生命体に含まれる体積要素ごとに計算され、この余分な計算コストは莫大なものとなる結果に終わる。
残差の相対分散:
臓器内及び臓器の境界で
Figure 0004841623
の近似を用いて、動態の信号に関連する局所的不均一性の以下の尺度を定義する:
Figure 0004841623
式中、μjは臓器に含まれる球Bj,rに関する信号の平均値であり、
Figure 0004841623
である。λj 2は、jを中心とし、半径rの球Bj,rに属する体積要素の動態で作用するPCAによって再構成されない信号の分散であり、その第1のK個の固有ベクトルのみが保持されている。
反復的な再構成のために補正される再構成されない相対分散:
再構成される系列の各画像に関して一定の反復数を有する反復的な再構成の場合には、体積要素j且つ瞬間tにおけるノイズの分散σj 2(t)は、
σj 2(t)=α2×Sj(t)/Δt
と書くことができる。
σj 2(t)は、信号に比例するため、空間的な観点及び時間的な観点の何れからも非定常である。ボクセル間のノイズの分散の比較を不可能にするノイズの分散に対する信号の寄与を回避するために、σj 2(t)ではなく、α2=σj(t)2/Sj(t)×Δtを観察するものとする。具体的に言えば、α2は一連の画像を獲得する時間の信号に独立な量であることから、時間及び空間において定常である。
空間における信号の連続的で弱い変化量を仮定する場合には、k∈Bj,rに関してSj,k(t)は球Bj,r内の平均動態μj,tによって近似されることができる。同様に、
Figure 0004841623
は、球Bj,r内の動態
Figure 0004841623
の平均値である
Figure 0004841623
によって近似されることができる。
動態
Figure 0004841623
で計算した主成分分析(μ'j(t),{λ'j,l},{e'j,l(t)})を考える。
Figure 0004841623
であり、
Figure 0004841623
であり、空間において定常である。Bj,rが臓器iに含まれる場合には、
Figure 0004841623
であり、jがi内部を動くとき、動態の空間において直線を描く。
再構成されない相対分散の基準は、
Figure 0004841623
となり、これは、球Bj,r内に1つの臓器を有するモデルの正当性を評価する。
付録C:
反復アルゴリズムによって再構成される画像の場合における具体的な実施形態の変形
反復アルゴリズムの場合には、ノイズの分散は、信号と相関される。その結果、薬理学的臓器動態モデルによる再構成のエラーの尺度に基づく2つの指数を比較可能にするために、可能である場合には常に、信号のこの影響を補正することが本質的であるように思える。
再構成される系列の各画像に関して一定の反復数を有する反復的な再構成の場合には、体積要素j且つ瞬間tにおけるノイズの分散σj 2(t)は、
σj 2(t)=α2×Sj(t)/Δt
と書くことができる。
σj 2(t)は、信号に比例するため、空間的な観点及び時間的な観点の何れからも非定常である。ボクセル間のノイズの分散の比較を不可能にするノイズの分散に対する信号の寄与を回避するために、σj 2(t)ではなく、α2=σj(t)2/Sj(t)×Δtを観察するものとする。具体的に言えば、α2は一連の画像を獲得する時間の信号に独立な量であることから、時間及び空間において定常である。
臓器の内部の指標:
空間における信号の連続的で弱い変化量を仮定する場合には、k∈Bj,rに関してSj,k(t)は球Bj,r内の平均動態μj,tによって近似されることができる。同様に、
Figure 0004841623
は、球Bj,r内の動態
Figure 0004841623
の平均値である
Figure 0004841623
によって近似されることができる。
動態
Figure 0004841623
で計算した主成分分析(μ'j(t),{λ'j,l},{e'j,l(t)})を考える。
Figure 0004841623
であり、
Figure 0004841623
であり、空間において定常である。Bj,rが臓器iに含まれる場合には、
Figure 0004841623
であり、jがi内部を動くとき、動態の空間において直線を描く。
再構成されない相対分散の基準は、
Figure 0004841623
となり、これは、球Bj,r内に1つの臓器を有するモデルの正当性の尺度である。
サンプルの最適化:
j,r上で計算した信号の再構成されない割合は、ノイズにおける信号の影響を補正しなければならない。それは、
Figure 0004841623
となり、式中、
Figure 0004841623
は1つの臓器に関するモデルによる
Figure 0004841623
の再構成としてkにおいて推定された信号である。
Figure 0004841623
と書くことができる。μ'j(t)は球Bj,r内の動態
Figure 0004841623
の平均値であり、e'j,1はBj,r内の動態
Figure 0004841623
で、μ'j(t)を中心として計算したPCAの第1の固有値に関連する固有ベクトルである。
動態のランク付け:
サンプルi内の動態
Figure 0004841623
に関して定義されるモデル
Figure 0004841623
を考える。jがi内部を動くとき、
Figure 0004841623
は依然として動態の空間において直線を描く。モデル
Figure 0004841623
による動態
Figure 0004841623
のサンプルi内の平均再構成エラーは、iに属するjに関する定常則に従う。
一旦モデル
Figure 0004841623
が各サンプル内の動態
Figure 0004841623
に基づいて計算されると、画像の区分は、任意の体積要素kに関して
Figure 0004841623
を最小化するサンプルiを求めることを意味する。
したがって、ラベルoは、
Figure 0004841623
であるように体積要素kに割り当てられる。
サンプルの合体:
サンプルiに含まれる体積要素jに関して動態
Figure 0004841623
に関連するノイズの分散は、α'2に等しく、空間のほか、時間においても定常である。
Figure 0004841623
をサンプルi内の動態
Figure 0004841623
で計算したPCAのT−1個の最小固有値の平均値とする。α'2は、サンプルに関する
Figure 0004841623
の平均値として推定することができる:
Figure 0004841623
2つのサンプルa及びbを合体するためのコスト関数は、
Figure 0004841623
となる。
本発明の分割方法を構成する必須又は選択可能な様々なステップを説明するためのブロック図である。 PETの手法により獲得した画像において、ラットの膀胱の存在に原因する非生理学的な様々の動態を特に説明するグラフである。 一種類のトレーサを使用した、小領域モデルの形成を一例に沿って説明する図である。このモデルは三つの小領域と4種のパラメータを通じて同トレーサと器官の間の相互作用である生理学的過程を表現する。 本発明の方法における予備的分割に係わるヒストグラムである。ラットの生体域に属する体積要素の一つにおけるPET手法により獲得した動態に関する負の測定値が示されており、同測定値の数は削減されていることを示す。 オプショナルな作業である予備的分割に係わるヒストグラムである。ラットの生体域の外側に位置する体積要素の一つにおける動態に関する負の測定値が示されており、同測定値の数は増加されていることを示す。 予備的分割のためのヒストグラムの2つの分析を示す。それぞれ図4に係わるラットの生体と図5に係わる画像の背景に対応する二つのピークの間に存在するヒストグラムの極小点のインデックスの抽出法を説明する。このインデックスはラットの生体に該当する体積要素をその背景域に該当する体積要素から分離することを可能にする閾値に相当する。 ラットに注射投与したオリゴ‐ヌクレオチドに基づく予備的分割により得られた2枚のマスク画像を示す。2枚の画像はそれぞれ図6aと図6bに対応する。 ラットの生体の冠状断面における2枚の画像を示す。本発明によるモデルボクセルの抽出ステップにおいて形成される画像である。図8aは心臓と二つの腎臓を通る冠状断面画像、図8bは膀胱を通る冠状断面画像である。 図8aと図8bそれぞれから導出された2枚の冠状断面画像であり、再構築されていないデータの分散が極小となる位置を成分分析の結果に基き示している。これらの極小点は臓器の本体域に位置している。 図9aと図9bそれぞれから導出された2枚の冠状断面画像であり、前記選定ステップの後に本発明に従って領域拡張作業によりサンプルを最適化するステップを実行し形成している。 図9aと図9bそれぞれから導出された2枚の冠状断面画像であり、本発明により動態を100クラスにランク付けするステップの後に得られる。 本発明によるサンプル同士を合体するステップにより得られる合体ツリーの一例を示す。この合体ステップは動態をランキングするステップの後に階層朔及形の分類を用いて実行される。 図11aと図11bの画像からそれぞれ導出された冠状断面の画像であり、何れも階層朔及形の分類を用いてサンプル同士を合体させることで得られており、18クラスが残存している。 図13aと図13bの画像からそれぞれ導出された冠状断面の画像であり、何れも階層朔及形の分類を用いて動態のランキングの画像のラベル同士を合体させることで得られており、18クラスが残存している。 上記した合体ステップによってそれぞれ得られた冠状、矢状、斜位の三次元画像である。 サンプル同士を合体するステップの後に本発明を実行することにより複数個の薬理学的器官を階層化した表現方法により示すブロック図である。

Claims (25)

  1. 複数個の関心領域に分ける仕切りを有する三次元区分画像を獲得するために、開始画像または一連の三次元画像をボクセルに基いて区分する方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
    前記画像または一連の画像は、
    各ボクセルについてn個の時間間隔(n ≧ 1)の間に、前記画像または一連の画像の物理的、化学的、または生物学的な種類の少なくとも一つの変量を現す信号の実際の発現(evolution)の測定値を含み、
    前記区分方法を実行するプログラムは、
    a)信号の時空間的発現のパラメトリックモデルの定義を有する信号を設定するモデル化ステップ(10)であって、前記モデルが均一なパラメータセットを含み、前記セットはそれぞれ前記関心領域に対応する構造に特有であって、各パラメータセットは対応する構造内の空間座標に依存しないモデル化ステップと:
    b)ボクセルのサンプルがそれぞれ前記構造に含まれるようにボクセルのサンプルを選定するサンプル選定ステップ(30)であって、
    (i)前記開始画像または一連の画像、あるいは後者の関心領域のボクセルの各々について、このボクセルの近隣領域内における前記変量の発現の前記モデルが前記構造の中の一つのみに特有であることの仮説の正当性の基準を算出すること、
    (ii)前記基準の局所的最大値を実現するとされるモデルボクセルを選定すること、
    (iii)モデルボクセルの各々について、前記対応する構造に含まれるボクセルの前記サンプルの一つを、前記モデルボクセルが属する構造のモデルの発現に適合する前記変量の発現を示すように定義すること、
    (iv)その後、このように定義された各々のサンプルについて、前記サンプルが含まれる構造の発現の前記モデルのパラメータを推定すること、
    を含むサンプル選定ステップと、
    c)発現モデルが同一の構造に特有である前記サンプルをグループに併合させるサンプル併合ステップであって、1つのグループのサンプルを寄せ集めることによって、前記併合が、前記画像もしくは一連の画像、または後者の関心領域の全ボクセルの分類に続いてまたは先行してあるいは当該分類を含むことにより、これらボクセルの前記変量の発現と前記グループのサンプルを特徴づける前記モデルの発現との間の類似度が最大となるようにするサンプル併合ステップ、
    を含む、プログラム
  2. 前記一連の画像中の各開始画像の中に、各々が繋がりかつ前記変量の発現によって表現される観察対象の現象に対する反応として、均一な挙動を示す有限数の構造に空間を分割する区分が存在することが許される、請求項1に記載のプログラム
  3. 前記構造の個数が帰納的(posteriori)に定められる、請求項2に記載のプログラム
  4. 前記モデルが、一つ且つ同一の構造に属するボクセルの空間座標に依存する不均一なパラメータを更に含んでおり、前記モデル化ステップa)において、前記均一なパラメータおよび不均一なパラメータがこの同一の構造に含まれる一つ以上の体積要素について推定することを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のプログラム
  5. 前記モデル化ステップa)において、前記構造が繋がっていなければ、前記変量の発現によって表現される観察対象の現象に対して、その構造が互いに異なる反応を示すことを特徴とする、請求項4に記載のプログラム
  6. 前記モデル化ステップa)において、前記測定値に内在し、前記一連の開始および区分け画像の獲得モードに起因するノイズを加算することを特徴とする、請求項5に記載のプログラム
  7. (i)もし一つのボクセルの近傍にありこのボクセルについての前記変量の発現に寄与する全ボクセルが同一の構造に含まれている場合には、前記対応する信号はこの構造のモデルの実現であり、
    (ii)これら近傍のボクセルの前記均一なパラメータセットはこの構造に特有の前記モデルのパラメータセットと同じである、
    という二つの制限が前記モデル化ステップa)において更に決定され、それによって前記信号の種々の時間的発現の局所的混合を考慮する、請求項6に記載のプログラム
  8. 前記開始画像または一連の画像がトレーサの注入を伴う撮像技法により獲得される場合、前記モデル化ステップa)で利用される前記モデルが、一以上の互いに独立したトレーサならびに生物学的小領域(コンパートメント)のような数個の小領域を伴う種類の小領域モデルである、請求項2に記載のプログラム
  9. モデルボクセルを選出するサンプル選定ステップb)が、関心対象の前記構造の各々が少なくとも実際に一つのモデルボクセルもその一つのモデルボクセルの近傍域も含むように、前記開始画像あるいは一連の画像に対応した次元数n(n ≧ 1)の空間内において、モデルボクセルを事前に選択することを含む、請求項1〜8の何れか1項に記載のプログラム
  10. 前記サンプル選定ステップb)が、前記事前選択に続いて、前記空間内の距離と前記局所的選定基準を定義するための測定基準(metric)を定めることを含む、請求項9に記載のプログラム
  11. 前記サンプル選定ステップb)において、区分対象の構造の何れにも、対応する関心領域の中に近傍域が含まれるボクセルが存在するように選定する、請求項9に記載のプログラム
  12. 前記サンプル選定ステップb)が、
    −関心対象の構造の各々に対して、前記変量の発現とこの構造に関するモデルとの類似度によって決定されるメンバーとされるメンバーボクセルであって、この構造に属するメンバーボクセルのサンプルを決定すること、および
    −サンプルごとに、前記構造に対応するモデルの均一パラメータを推定すること
    を含む、請求項1〜11の何れか1項に記載のプログラム
  13. 前記モデル化ステップa)の前または後で実行され、前記開始画像を関心対象である前記構造を包含する第一部分と区分対象から除外された画像背景に相当する第二部分に分離することから成る予備的区分ステップ(20)を更に含む、請求項1〜12の何れか1項に記載のプログラム
  14. 併合(50b)と分類(50a)からなる前記サンプル併合ステップc)が、関心対象である一つで同一の構造に対応する前記サンプルの併合を、ボクセルの前記分類の前または後に含む、請求項1〜13の何れか1項に記載のプログラム
  15. 関心対象である一つで同一の構造に対応する前記サンプルの併合が階層朔及型分類に従って実行される、請求項9に記載のプログラム
  16. 前記サンプル選定ステップb)の後で前記サンプル併合ステップc)の前に実行され、各サンプルに対して、モデルボクセルが選出された構造以外の構造の信号を内部で最小化する幾何学的、パラメトリック、あるいは自由な形状を探索することから成る、サンプルを最適化するステップ(40)を更に含む、請求項1〜15の何れか1項に記載のプログラム
  17. 前記サンプル併合ステップc)の後に、互いに繋がってはいないが前記変量の近似した発現を示す構造を分離する分離ステップ(70)を更に含む、請求項1〜16の何れか1項に記載のプログラム
  18. 前記サンプル併合ステップc)の後であって未接続構造の前記分離ステップの前に実行され、獲得した関心対象である前記領域を階層的に表現する階層表現ステップ(60)を更に含む、請求項17に記載のプログラム
  19. 各構造の境界域を、前記サンプル選定ステップb)において実行される前記サンプルの選定から除外する、請求項1〜18の何れか1項に記載のプログラム
  20. 前記画像または一連の画像が、ポジトロン放出断層撮像法、磁気共鳴撮像法、光子放出断層撮像法、光学式撮像法、X線走査法、組織学的撮像法、オートラジオグラフィー撮像法、衛星撮像法、および写真撮影撮像法から成るグループから選ばれた撮像技法によって獲得される、請求項1〜19の何れか1項に記載のプログラム
  21. 前記画像または一連の画像が、ポジトロン放出断層撮像技法によって獲得される、請求項1〜20の何れか1項に記載のプログラム
  22. 前記サンプル選定ステップb)において、前記変量の類似した時間的発現を示すボクセルを、得られる固有値と固有ベクトルとの関数として決定するために、n次元の空間における局所的主成分分析が実行される、請求項21に記載のプログラム
  23. 前記開始画像は生物の全身画像であり、前記区分方法は、薬理学的臓器への区分けに従って前記生物を区分する、請求項1〜22の何れか1項に記載のプログラム
  24. 前記身体は、前記一連の画像の開始画像のうちの一枚を獲得する時間に比べて短い周期を持つ周期的なタイプの生理学的な運動、あるいは非周期なタイプの生理学的な運動が与えられる(imbue)、請求項23に記載のプログラム
  25. 前記変量が、前記生物に注射投与された少なくとも一つのマークされた活性成分の所与の瞬間t0からtnにおける放射能の濃度を表し、各薬理学的臓器内のボクセルの全セットは前記活性成分の分布の類似した薬理学的動態を示す、請求項23または請求項24に記載のプログラム
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